ホログラム再生装置及びホログラム再生方法
【課題】再生参照光とホログラム記録媒体との位置合わせを精度良く行って、ホログラム記録媒体の再セット時、或いは他装置との互換再生を確実且つ安定に行うこと。
【解決手段】角度多重方式で多重記録されたホログラム記録媒体24に再生参照光12bを照射し、それにより前記ホログラム記録媒体24から発生する再生光13aを撮像装置29により受光して再生データを得る際に、前記再生光の中の必要な光を選択する絞り27に投影される光の投影情報を光検出器32で検出し、この検出情報に基づいて、ホログラム記録媒体24の位置ずれを検出してこれが解消されるように前記ホログラム記録媒体24を移動させる。その際、光検出器32の受光素子間隔をaとし、前記ホログラム記録媒体24にマルチブックで記録されたデータ間隔をbとし、nを自然数とした場合、a=2nbを満たさないようにaまたはbを設定する。
【解決手段】角度多重方式で多重記録されたホログラム記録媒体24に再生参照光12bを照射し、それにより前記ホログラム記録媒体24から発生する再生光13aを撮像装置29により受光して再生データを得る際に、前記再生光の中の必要な光を選択する絞り27に投影される光の投影情報を光検出器32で検出し、この検出情報に基づいて、ホログラム記録媒体24の位置ずれを検出してこれが解消されるように前記ホログラム記録媒体24を移動させる。その際、光検出器32の受光素子間隔をaとし、前記ホログラム記録媒体24にマルチブックで記録されたデータ間隔をbとし、nを自然数とした場合、a=2nbを満たさないようにaまたはbを設定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、角度多重方式でホログラム記録媒体に多重記録したデータを再生するホログラム再生装置及び方法に係り、特に、ホログラム記録媒体を再セットまたは他装置で記録したホログラム記録媒体と交換した時などの互換性の確保に関する。
【背景技術】
【0002】
従来よりホログラムデータストレージの記録時には、信号光と参照光の2光束が干渉する領域にホログラム記録媒体を配置して、前記2光束の干渉縞をホログラム記録媒体に記録するものである。その際に、ホログラム記録媒体への記録密度を向上させるため、角度多重方式をはじめ、シフト多重方式、スペックル多重方式及び位相コード多重方式などの各種多重方式によるホログラムの多重記録が行われている。
【0003】
角度多重方式によるホログラム記録装置では、信号光と参照光の2光束をホログラム記録媒体に照射するが、信号光を空間変調器(SLM)に表示されるデータページで空間変調(強度変調)する毎に、参照光のホログラム記録媒体への入射角(記録角度)を変化させて同一記録領域に異なる記録情報を多重記録するものである。
【0004】
この角度多重方式のホログラム記録装置では、参照光の記録角度の変化ピッチを例えば0.1度刻みで最大数度の範囲で変更して(例えば88度〜92度の間で僅かずつ変更して)、同一記録エリアの異なる記録情報(データページ)を順次多重記録すると、同一の記録エリアに例えば40多重といった複数の異なる記録情報を記録することができる。そして、同一個所に記録されたデータページの集まりを適宜“ブック”と呼ぶ。一つのブックのみ記録したものを“シングルブック”と呼び、複数のブックを記録したものを“マルチブック”と呼ぶ。
【0005】
他方、このようなホログラム記録装置と対をなすホログラム再生装置は、再生参照光に対するホログラム記録媒体の表面の角度を僅かずつ変更することによって、同一記録エリアに多重記録された記録情報を再生するように構成されている。ここでは、このような角度多重方式で記録されたホログラム記録媒体の再生における、ホログラム記録媒体の表面に対する再生参照光の角度を適宜“再生角度”と呼ぶ。更に、例えばホログラム記録媒体の表面の法線に一致する際の再生角度など、再生角度の基準となる角度を適宜“基準再生角度”と呼ぶ。この角度多重方式のホログラム再生装置によれば、再生角度を基準再生角度から、記録角度の場合に対応して僅かに変更することによって、再生角度に等しい記録角度で記録した記録情報を、再生角度別に再生することができる。
【0006】
このように角度多重型のホログラム記録装置及びホログラム再生装置によれば、同一記録エリアに参照光の記録角度別に多数の記録情報を夫々記録でき、且つこれら多重記録された記録情報を夫々分離して再生できるので、記録密度及び記録容量を飛躍的に増大させることができる。
【0007】
ところで、ホログラム記録は一般的にホログラム記録媒体の記録エリアに3次元で記録され、ホログラム記録媒体の表面では2次元の記録エリア(記録面)となるため、記録時と再生時でホログラム記録媒体のセット位置が少しでもずれると、記録面を見つけ出すことが容易ではなくなる。それはホログラム記録媒体の位置が変わると、記録時の参照光と再生時の参照光の波面情報が変わり、再生画像が得られなくなるためである。また、ホログラム記録媒体への記録密度を上げようとすると、記録エリア同士の間隔を狭くする必要があるが記録エリアが近接してくると、再生時にホログラム記録媒体が所定の位置から僅かにずれても、隣の記録場所の記録情報を再生してしまったり、違う記録角度の記録情報を再生してしまったりする可能性がある。したがって、ホログラム記録媒体を再生する際には、記録時と同一の位置にホログラム記録媒体をセットする必要があり、その位置決を厳密に行うことが求められ、これができないと、ホログラム記録媒体を再セットした時とか、或いは別の装置で再生する場合や別の装置で記録したホログラム記録媒体を再生する場合に互換性がとれず、これが本方式の実用化を妨げている一つの要因となっている。
【0008】
そこで、ホログラム記録媒体における例えば最初の記録角度でデータを記録する特定の記録面にデータを記録する際の記録角度を基準記録角度として設定する。そして、この特定の記録面にデータを記録した以降における記録角度を、この設定された基準記録角度を基準として所定角度ずつ変更し固定する。それ故、当該ホログラム記録装置側における記録角度変更手段及び光学系などの機械的状態或いは設定条件により規定される基準記録角度と、ホログラム記録媒体側における基準記録角度とを、最初の記録時などの特定の記録時に一致させることを可能として、上記互換性を向上させる公知例がある(特許文献1参照)。しかしながら、この公知例では、位置合わせの方法が複雑で、角度方向のみ可能であるため、ホログラム記録媒体の位置制御には適用できなかった。
【0009】
そのため、装置を複雑にすることなく、再生参照光とホログラム記録媒体との位置合わせを精度良く行って、ホログラム記録媒体の再セット時、或いは他装置との互換再生を確実且つ安定に行うことができる方法が提案された(特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2003−337524号公報
【特許文献2】特願2006−171589号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記した後者の公知例ではホログラム記録媒体の移動方向に並ぶホログラム記録間隔と位置合わせのための情報を得るディテクタの受光素子間隔が、ある条件にあるときで、且つ、複数のブックが記録された記録媒体から再生する場合(マルチブック再生)、位置合わせのための情報が得られなくなる場合があることが判った。
【0011】
本発明は前記事情に鑑み案出されたものであって、本発明の目的は、装置を複雑にすることなく、再生参照光とホログラム記録媒体との位置合わせをあらゆる場合において精度良く行って、ホログラム記録媒体の再セット時、或いは他装置との互換再生を確実且つ安定に行うことができるホログラム再生装置及びホログラム再生方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は上記目的を達成するため、データを多重記録されたホログラム記録媒体へ再生参照光を照射し、それにより前記ホログラム記録媒体から発生する再生光を撮像手段により受光して多重記録されたデータをそれぞれ分離して再生するホログラム再生装置であって、前記再生光に含まれる必要な光のみを前記撮像手段に受光させる不要光除去手段と、
前記ホログラム記録媒体、或いは再生光光学系を動かす駆動手段と、前記不要光除去手段によりカットされた光の当該不要光除去手段への再生光投影状態を検出する光検出手段と、前記光検出手段により検出された前記投影状態情報のなかの特定部分の情報に基づいて前記ホログラム記録媒体の位置ずれを求め、この位置ずれが解消するように前記駆動手段を制御して前記ホログラム記録媒体、或いは光学系を移動させる制御手段とを具備し、前記光検出手段の穴を挟んで対向する受光素子の間隔をaとし、前記ホログラム記録媒体にマルチブックで記録されたデータ間隔をbとし、nを自然数とした場合、a=2nbを満たさないようにaまたはbを設定する。
【0013】
このように本発明では、ホログラム記録媒体に位置ずれがない正常セット状態では、絞りなどの不要光除去手段は、再生光の中の必要な光(0次光)を通し、隣接記録領域からのクロストーク成分等の不要光を通さず、それらは絞りの表面で投影される。しかし、ホログラム記録媒体に位置ずれがあると、必要な光が絞りを通過できなくなり、それが絞りの貫通孔の外周で且つ再生目標の記録エリアに隣接する記録エリアから発生した再生光の投影領域の内側部分の再生光投影状態情報に現れるため、それを光検出器で検出した検出情報に基づいて、位置ずれがない再生光投影状態になるようにホログラム記録媒体を移動させてホログラム記録媒体を正常セット状態にする、フィードバック制御を行なうことによって、装置を複雑にすることなく再生参照光とホログラム記録媒体との位置合わせを精度良く行って、ホログラム記録媒体の再セット時、或いは他装置との互換再生を確実且つ安定に行うことができる。さらに、前記ホログラム記録媒体にマルチブックで多重記録されたデータを再生する場合でも、前記光検出手段の穴を挟んで対向する受光素子の間隔をaとし、前記ホログラム記録媒体にマルチブックで記録されたデータ間隔をbとし、nを自然数とした場合、a=2nbを満たさないようにaまたはbを設定すれば、ホログラム記録媒体の位置合わせ情報を得ることができて、上記のような位置合わせを行うことができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ホログラム記録媒体に位置ずれがあると、必要な光が絞りを通過できなくなり、それが絞りの貫通孔の外周で且つ再生目標の記録エリアに隣接する記録エリアから発生した再生光の投影領域の内側部分の再生光投影状態情報に現れるため、それを光検出器で検出した検出情報に基づいて、位置ずれがない再生光投影状態になるようにホログラム記録媒体を移動させることにより、装置を複雑にすることなく、再生参照光とホログラム記録媒体との位置合わせを精度良く行って、ホログラム記録媒体の再セット時、或いは他装置との互換再生を確実且つ安定に行うことができる。
それ故、角度多重方式において、ホログラム記録媒体の記録エリアが既知の位置からずれていた場合においても、正確に目標とする記録エリアの位置を見つけ出すことが可能であり、これにより、ホログラム記録媒体を取り外して交換しても、ホログラムの再生を円滑且つ安定に行うことができる。
また、前記光検出手段の穴を挟んで対向する受光素子の間隔をaとし、前記ホログラム記録媒体にマルチブックで記録されたデータ間隔をbとし、nを自然数とした場合、a=2nbを満たさないようにaまたはbを設定すれば、ホログラム記録媒体の位置合わせ情報を得ることができて、上記のような位置合わせを行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
(実施例1)
図1は、本発明の第1の実施形態に係るホログラム再生装置の構成を示したブロック図である。ホログラム再生装置(本例では説明の便宜上記録系を含んでいる)は、レーザ光源20、偏向ビームスプリッター(PBS)21、空間変調器22、信号光用レンズ23、ホログラム記録媒体24、再生光用レンズ25、26、絞り27、レンズ28、撮像装置29、進路変更用ミラー30、角度可変ミラー31、絞り27上の投影光を受光するCCDやCMOSなどの光検出器32、ホログラム記録媒体24の位置を制御する位置制御部33、ホログラム記録媒体24を移動させる駆動機構34を有して構成されている。尚、再生機能だけ必要な場合は、偏向ビームスプリッター(PBS)21、空間変調器22、信号光用レンズ23は必要なくなる。
【0016】
次に本実施形態の動作について説明する。レーザ光源20から出射されたレーザ光10はPBS21によってP波11aとS波12aに分けられる。レーザ光源20は一般的に可視光近辺の波長を発生させるものが用いられる。P波11aは空間変調器22を通過し、空間変調器22に表示されているデータページに応じて空間変調されて信号光11bとなる。空間変調器22しては一般的には透過型のLCDパネルや反射型のLCDパネル、或いはDMD、GLVなどの画像表示装置に用いられるデバイスを用いられる場合が多い。信号光11bはレンズ23によりホログラム記録媒体24の記録エリアに集光される。ここで、ホログラム記録媒体24は必ずしも信号光11bの光軸と垂直に交わる必要はない。
【0017】
また、S波12aはミラー30にてその進路が変更され、それが参照光12bとしてミラー31に入射される。ミラー31はその角度が変化可能で、参照光12bのホログラム記録媒体24への入射角を設定する。入射角が設定された参照光12bはホログラム記録媒体24上の信号光11aの照射範囲をカバーするように同ホログラム記録媒体24に照射される。信号光11bと参照光12bはホログラム記録媒体24の記録エリアで干渉を起こし、その干渉情報が同記録エリアに記録される。次に、空間変調器22に次に記録するデータページが表示されると共に、ミラー31により参照光の入射角が変化された後、次に記録するデータページの情報が干渉情報として上記と同様にして同一記録領域に多重記録される。
【0018】
その後、記録時と同一の参照光12bのみを再生参照光12bとしてホログラム記録媒体24の記録エリアに照射すると、ホログラム記録媒体24に記録された干渉情報を反映した回折光が発生し、4f系を形成するレンズ25、26を通って再生光13aとなり、絞り27に集光される。回折光が発生する部分と絞り27の集光部分は鏡像関係になっており、この絞り27により0次光以外の光や隣接記録エリアからのクロストークによる光が除去され、再生情報を持っている光のみが通過し、これが更にレンズ28により撮像装置29に集光され、この撮像装置29により光電変換されて再生データとなる。
【0019】
ここで、絞り27は図2で示すように、遮光板に穴27aが開口して形成されている。穴27aの大きさは一般的に絞りの限界量に設定されている。そのため、穴27aには目的の記録エリアから発生した再生光13aが通過し、隣接する記録エリアから発生した余分な光は遮光板により遮蔽され、撮像装置29側に入射しないようになる。
【0020】
図2は絞り27の前面を示した図である。絞り27は遮光板に穴(貫通孔)27aが開口して形成され、穴27aの大きさは一般的に絞りの限界量に設定されている。従って、絞り27は再生目標の記録エリアから発生した再生光13aの0次光のみを通過させる。再生目標の記録エリアから発生した再生光13aの1次光以降の高次光と別のデータページの再生光、及び隣接する記録エリアから発生した再生光は上記した0次光と光束がずれ、穴27aを通過することはできないため、撮像装置29には入射する光に所望しない成分が入らないようになる。記録時は11bと12bは記録媒体に入射して、記録を行う。再生時にはP波11bは用いず、S波12bのみを照射して波面の記録情報をレンズ25の方向に伝達する。再生のみであれば必ずしもPBS21,空間変調器22,信号光用レンズ23は必要としない。
【0021】
ここで、図2に示すように、絞り27の遮光板の前面には、再生目標の記録エリアに隣接する記録エリアから発生した再生光13cと、この記録エリアの隣の記録エリアから発生する再生光13dが図のように投影されるようになる。一般的に、余分な再生光には様々な成分があるが、その成分の光は、必要な光(再生目標の記録エリアから発生した再生光13aの0次光)の強度に比べはるかに強度が小さい。
【0022】
一方、検出装置32の受光面は、図2に示したものと同様の配置で余分な光が受光される。即ち、図2の遮光板の前面を検出装置32の受光面と置き換えた状態と同一になる。ここで、ホログラム記録媒体24のセット位置が記録時と全く同一である場合、再生目標の記録エリアから発生した再生光13aの0次光は絞り27を通過し、その遮光板には図2に示すように、再生光の不必要な成分が投影されるが、ホログラム記録媒体24のセット位置がずれている場合、再生目標の記録エリアがずれるため、そこから発生する再生光13aの0次光の進行方向がずれて、絞り27の遮光板の前面は図3に示したような再生光の投影状態になる。
【0023】
即ち、再生光13aの0次光80は絞り27の穴27aを通過することができず、穴27aの周囲のいずれかの方向に投影される。ここで、光検出装置32の受光面を図3に示した遮光板の前面と置き換えてみた場合にも、全く同様の投影状態になり、穴27aの周囲に配置されている受光領域(図3の13eに相当し、絞り27の穴27aの外周で且つ隣接記録エリアから発生する再生光13cの投影位置との間にある領域)の、図中左側にある受光領域の受光レベルが著しく大きくなる。これは先に述べたように再生光13aの0次光は強度が非常に強いため、どの方向にずれたのかがはっきりとわかり、それは、検出装置32の受光領域の特定の部分の受光レベルが大きくなることによって検出される。 このように0次光のはみ出しが検出されたら、位置制御部33に内蔵されている演算器によってどれだけずれているのか、どの方向にずれているのかを演算する。この演算及びホログラム記録媒体24の位置制御はPCやICに組みこまれたマイコンによって行う。また、光検出は一般的にはCCDやCMOSイメージャーなどが用いられ、うまく光束を合わせることで、Pinダイオードなども使用可能である。
【0024】
位置制御部33は光検出装置32からの検出情報を画像処理(上記演算)することにより、再生光13aの0次光80の位置ずれ、即ち、ホログラム記録媒体24のセット位置の位置ずれを求め、ホログラム記録媒体24の位置ずれを是正する駆動制御信号を発生し、この駆動制御信号を駆動機構34を与えて、ホログラム記録媒体24を上記した位置ずれが解消するように(上記した受光領域の受光レベルに偏りが生じなくなるように)、移動させて、ホログラム記録媒体24を正規の位置に設定する。即ち、絞り27の遮光板に投影される再生光13aの状態を検出する光検出器32、位置制御部33、駆動機構34、ホログラム記録媒体24の移動、絞り27の遮光板に投影される再生光13aの状態変化というフィードバックループにより、ホログラム記録媒体24が常に位置ずれのない正規の位置に来るような制御が行われる。
【0025】
尚、駆動機構34は一般的にはステッピングモーター、エアシリンダー、リニアモーターなど一般的なアクチュエーターなら何でもよい。また、光学的に成り立つのであれば、駆動機構34が移動する対象はホログラム記録媒体24に限らず、信号光用レンズ23やレンズ25、26などの光学系を移動することでホログラム記録媒体24を移動することと同様の効果を得ることが可能である。
【0026】
図5は、光検出器32に絞り27を形成したものを示した平面図である。これは半導体材料上にフォトディテクタアレイを形成し、その真ん中にアパーチャとなる穴を開け、この穴の周辺部分に対して、取り囲むようにフォトディテク1〜8が並ぶ形状をしている。このフォトディテクタは通常のフォトダイオードやPinダイオードなど、光を受光すると抵抗値が変わったり、起電力を生じたりするような半導体であれば何でも良い。ここの受光部分に入ることで0次光のずれ方向が分かる。図5中のイントラック方向に対向しているディテクタ(4、5、6),(1、2、3)間の差分信号ΔXを演算増幅器41でとり、図5中のクロストラック方向に対向しているディテクタ(1、7、4),(3、8、6)間の差分信号ΔYを演算増幅器42でとり、これら両信号を位置制御部33に入力して、所定の演算をすることによって、位置合わせのそれぞれの軸方向を決定することが出来る。
【0027】
図6は等速移動するホログラム記録媒体24に記録されたホログラムを再生する際の位置合わせを図5に示したフォトディテクタで行う際の原理を説明する図である。図6(A)はフォトディテクタの断面図で、穴27aを挟んでAとBの光電変換素子(フォトダイオード)が配置されていて、その間隔がaである。図6(B)はホログラム記録媒体24の断面図であり、52が記録されたホログラムである。図6(C)はホログラム記録媒体24を等速で移動したときの光電変換素子A、Bの出力を示したグラフである。この場合、光電変換素子B‐Aの出力は図6(D)で示したようになり、位置制御部33は53で示した範囲でホログラム記録媒体24の位置を修正することができる。
【0028】
シングルブックの場合は上記の動作で問題は無いが、マルチブックの場合は以下に述べるような問題がある。図7(A)はフォトディテクタの断面図で、穴27aを挟んでAとBの光電変換素子が配置されていて、その中心間距離がaである。図7(B)はホログラム記録媒体24の断面図であり、52がマルチブックで記録されたホログラムで、記録間隔を示す中心間距離はbである。図7(C)は光電変換素子A,Bそれぞれの出力波形を示した図である。ここで、nを任意の自然数とした場合、a=2nbを満たすとき、光電変換素子B‐Aの出力は図7(C)で示したようになり、図7(D)で示したように信号が出ないところが生じ、この範囲では位置制御ができないことになる。そこで、例えばa=bとしてa=2nbを満たさないようにすればよく、その場合は、光電変換素子B‐Aの出力は図7(E)で示したようになり、図7(F)で示したように位置修正信号を得ることができ、期待通りの位置修正を行うことができる。
【0029】
また、図4に示すようにディテクタが8つ並ぶのはコスト的観点と、回路として計算を複雑化するので図8のように台形の形をした4個のディテクタを用いる。これにより使用するフォトディテクタの数を減らすことが出来、フォトディテクタのコストダウンと回路のコストダウンに貢献できる。この4個のディテクタを用いた場合は図9に示すような回路を用いて修正信号を取り出す。さらに、フォトディテクタの形状として、図10、図11、図12に示したような1軸のみの検出の場合、アパーチャが丸型の場合、フォトダイオードを円弧状に配置する場合など各種の形状が考えられる。さらに、図13に示すように、穴の大きさの半分ぐらいになるようなフォトディテクタを用いることで、ホログラム記録媒体24の位置による漏れ光の出方を急峻にすることが可能になり、このために記録密度を上げても位置を検出することが可能となる。
【0030】
0次光が図3に示すように13eが絞り穴に対して1方向もしくは2方向のみずれている場合はその軸を検出し、それぞれの軸方向の補正を行う。しかしながら、図4に示すように、穴の周辺全域に0次光がある場合は、それはメディアが光軸方向(フォーカス方向)にずれていることを示している。
【0031】
ここで、ホログラム記録媒体24の位置がフォーカス方向(再生光の進行方向)で合っている場合は、図14に示したとおり、穴27aを0次光が全て通過する。ホログラム記録媒体24の位置がフォーカス方向(再生光の進行方向)でずれている場合、再生光13aの光束が広がるため、遮光板の再生光13aの投影状態は図15、図16に示すようになり、穴27aに再生目標の記録エリアから発生した再生光13aの0次光が入りきらず、穴27aの周囲に一様に広がった状態になる。このような位置制御部33は光検出器32の受光面の受光素子A、Bの受光レベルが均等で所定レベル以上ある場合は、ホログラム記録媒体24がフォーカス方向にずれていると判定し、ホログラム記録媒体24を駆動機構34によりフォーカス方向に往動させて、Wobblingなどで図17に示したディテクタA+Bの信号の谷の位置に来るようにホログラム記録媒体をフォーカス方向に移動させて、ホログラム記録媒体24の位置を設定する。これにより、絞り27の再生光の投影状態は図14に示したようになり、再生目標の記録エリアから発生した再生光13aの0次光は全て絞り27を通過して撮像装置29に集光され、再生光13aのフォーカスが合った状態になる。
【0032】
また、再生参照光12bが角度変化する面とホログラム記録媒体24の面が交差する時にできる交差軸を中心としたホログラム記録媒体24の傾きが、記録時のそれと異なる場合、再生参照光12bのあるデータページを再生するための入射角度が正しくとも、再生参照光12bの波面が記録時の参照光の波面と微妙に異なるため、撮像装置25により得られる再生画像データが暗くなってS/Nが悪化する。そこで、絞り27の再生光13aの投影状態が図4に示すようなフォーカスずれを起こしている状態の時、光検出器32の受光面の受光領域(13eに相当する部分)の受光レベルの総和が最大になるように、位置制御部33により駆動機構34を介してホログラム記録媒体24の傾きを変化させることにより、上記したホログラム記録媒体24の傾きを記録時のそれと同じにして、再生画像データのS/Nの悪化を防止することができる。
【0033】
本実施形態によれば、再生時に、再生光13aの絞り27の遮蔽板への再生光投影状態を検出し、その検出状態に基づいてホログラム記録媒体24の正規の位置からのずれを検出し、このずれを無くすようにホログラム記録媒体24の位置を移動することにより、再生参照光12bの照射ビームとホログラム記録媒体24の記録エリア(記録領域)との位置関係と、記録時の参照光の照射ビームと同記録エリアとの位置関係とを常に同一にすることができる。これは再生参照光12bが照射しているホログラム記録媒体24の範囲が、記録時の参照光と同一の範囲であり、そこに再生目標の記録エリアがあることになり、且つその時、再生光13aの0次光が撮像装置29に全て入射されるため、再セットしたホログラム記録媒体、或いは他装置で記録したホログラム記録媒体を再生する時でも、再生目標の記録エリアを確実に再生できるということであり、それ故、ホログラム記録媒体24の再セット、或いは他装置によりシフト多重されたホログラム記録媒体24の再生を支障なく行うことができる。
【0034】
また、本実施形態では、ホログラム記録媒体24の位置ずれを検出するのに再生光を用いており、検出のために別の波長の光を用いていないため、光学系は従来通りで良く、且つ別途光学系を設ける必要もないと共に、簡単な構成の位置合わせ制御系を付加するだけであるので、装置の小型化を損なうことなく、安価に上記効果を得ることができると共に、波長の違いによる諸特性(例えば温度特性など)の差異が発生しないためホログラム記録媒体24の位置合わせを精度よく行うことができる。
【0035】
また、本実施形態では、再生目標の記録エリアから発生した再生光13aの再生光13aの0次光は全て絞り27を通過するように制御することにより、ホログラム記録媒体24の位置ずれをなくしているため、装置間の再生光光学系や撮像装置29の設置位置の誤差や違いを解消して、再生光13aの0次光が撮像装置29に全て入射されるようになるため、この点からも装置間の互換性を確保することができる。
【0036】
さらに、ホログラム記録媒体24にマルチブックで多重記録されたデータを再生する場合でも、前記光検出器32の受光素子間隔をaとし、前記ホログラム記録媒体24にマルチブックで記録されたデータ間隔をbとし、nを自然数とした場合、a=2nbを満たさないようにaまたはbを設定すれば、マルチブック記録ホログラム記録媒体の位置合わせ情報を得ることができて、上記のような位置合わせを確実に行うことができる。
【0037】
尚、本発明は上記実施形態に限定されることなく、その要旨を逸脱しない範囲において、具体的な構成、機能、作用、効果において、他の種々の形態によっても実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るホログラム再生装置の構成を示したブロック図である。
【図2】図1に示した絞りに再生光が投影されている状態を示した図である。
【図3】図1に示した絞りに再生光が投影されている他の状態を示した図である。
【図4】図1に示した絞りに再生光が投影されている他の状態を示した図である。
【図5】図1に示した光検出器およびそこから信号を取り出す回路を示した図を示したブロック図である。
【図6】等速移動するホログラム記録媒体にシングルブック記録されたホログラムを再生する際の位置合わせをフォトディテクタで行う際の原理を説明する図である。
【図7】等速移動するホログラム記録媒体にマルチブック記録されたホログラムを再生する際の位置合わせをフォトディテクタで行う際の原理を説明する図である。
【図8】フォトディテクタを4個用いて形成される光検出器の構成例を示した平面図である。
【図9】図8に示した光検出器およびそこから信号を取り出す回路を示した図を示したブロック図である。
【図10】フォトディテクタを4個用いて形成される光検出器の構成例を示した平面図である。
【図11】フォトディテクタを4個用いて形成される光検出器の構成例を示した平面図である。
【図12】フォトディテクタを4個用いて形成される光検出器の構成例を示した平面図である。
【図13】絞りの穴のサイズとその外周部に配置されたフォトディテクタのサイズとの関係を示した図である。
【図14】図1に示した光検出器を用いてフォーカスエラーを検出する方法を説明する図である。
【図15】図1に示した光検出器を用いてフォーカスエラーを検出する方法を説明する図である。
【図16】図1に示した光検出器を用いてフォーカスエラーを検出する方法を説明する図である。
【図17】図1に示した光検出器より得られるフォーカスエラー信号の波形を示した図である。
【符号の説明】
【0039】
20……レーザ光源、21……偏向ビームスプリッター(PBS)、22……空間変調器、23……信号光用レンズ、24……ホログラム記録媒体、25、26……再生光用レンズ、27……絞り、28……レンズ、29……撮像装置、30……進路変更用ミラー、31……角度可変ミラー、32……光検出器、33……位置制御部、34……駆動機構、36……ビームスプリッター(PBS)、51……ミラー、61……受光素子。
【技術分野】
【0001】
本発明は、角度多重方式でホログラム記録媒体に多重記録したデータを再生するホログラム再生装置及び方法に係り、特に、ホログラム記録媒体を再セットまたは他装置で記録したホログラム記録媒体と交換した時などの互換性の確保に関する。
【背景技術】
【0002】
従来よりホログラムデータストレージの記録時には、信号光と参照光の2光束が干渉する領域にホログラム記録媒体を配置して、前記2光束の干渉縞をホログラム記録媒体に記録するものである。その際に、ホログラム記録媒体への記録密度を向上させるため、角度多重方式をはじめ、シフト多重方式、スペックル多重方式及び位相コード多重方式などの各種多重方式によるホログラムの多重記録が行われている。
【0003】
角度多重方式によるホログラム記録装置では、信号光と参照光の2光束をホログラム記録媒体に照射するが、信号光を空間変調器(SLM)に表示されるデータページで空間変調(強度変調)する毎に、参照光のホログラム記録媒体への入射角(記録角度)を変化させて同一記録領域に異なる記録情報を多重記録するものである。
【0004】
この角度多重方式のホログラム記録装置では、参照光の記録角度の変化ピッチを例えば0.1度刻みで最大数度の範囲で変更して(例えば88度〜92度の間で僅かずつ変更して)、同一記録エリアの異なる記録情報(データページ)を順次多重記録すると、同一の記録エリアに例えば40多重といった複数の異なる記録情報を記録することができる。そして、同一個所に記録されたデータページの集まりを適宜“ブック”と呼ぶ。一つのブックのみ記録したものを“シングルブック”と呼び、複数のブックを記録したものを“マルチブック”と呼ぶ。
【0005】
他方、このようなホログラム記録装置と対をなすホログラム再生装置は、再生参照光に対するホログラム記録媒体の表面の角度を僅かずつ変更することによって、同一記録エリアに多重記録された記録情報を再生するように構成されている。ここでは、このような角度多重方式で記録されたホログラム記録媒体の再生における、ホログラム記録媒体の表面に対する再生参照光の角度を適宜“再生角度”と呼ぶ。更に、例えばホログラム記録媒体の表面の法線に一致する際の再生角度など、再生角度の基準となる角度を適宜“基準再生角度”と呼ぶ。この角度多重方式のホログラム再生装置によれば、再生角度を基準再生角度から、記録角度の場合に対応して僅かに変更することによって、再生角度に等しい記録角度で記録した記録情報を、再生角度別に再生することができる。
【0006】
このように角度多重型のホログラム記録装置及びホログラム再生装置によれば、同一記録エリアに参照光の記録角度別に多数の記録情報を夫々記録でき、且つこれら多重記録された記録情報を夫々分離して再生できるので、記録密度及び記録容量を飛躍的に増大させることができる。
【0007】
ところで、ホログラム記録は一般的にホログラム記録媒体の記録エリアに3次元で記録され、ホログラム記録媒体の表面では2次元の記録エリア(記録面)となるため、記録時と再生時でホログラム記録媒体のセット位置が少しでもずれると、記録面を見つけ出すことが容易ではなくなる。それはホログラム記録媒体の位置が変わると、記録時の参照光と再生時の参照光の波面情報が変わり、再生画像が得られなくなるためである。また、ホログラム記録媒体への記録密度を上げようとすると、記録エリア同士の間隔を狭くする必要があるが記録エリアが近接してくると、再生時にホログラム記録媒体が所定の位置から僅かにずれても、隣の記録場所の記録情報を再生してしまったり、違う記録角度の記録情報を再生してしまったりする可能性がある。したがって、ホログラム記録媒体を再生する際には、記録時と同一の位置にホログラム記録媒体をセットする必要があり、その位置決を厳密に行うことが求められ、これができないと、ホログラム記録媒体を再セットした時とか、或いは別の装置で再生する場合や別の装置で記録したホログラム記録媒体を再生する場合に互換性がとれず、これが本方式の実用化を妨げている一つの要因となっている。
【0008】
そこで、ホログラム記録媒体における例えば最初の記録角度でデータを記録する特定の記録面にデータを記録する際の記録角度を基準記録角度として設定する。そして、この特定の記録面にデータを記録した以降における記録角度を、この設定された基準記録角度を基準として所定角度ずつ変更し固定する。それ故、当該ホログラム記録装置側における記録角度変更手段及び光学系などの機械的状態或いは設定条件により規定される基準記録角度と、ホログラム記録媒体側における基準記録角度とを、最初の記録時などの特定の記録時に一致させることを可能として、上記互換性を向上させる公知例がある(特許文献1参照)。しかしながら、この公知例では、位置合わせの方法が複雑で、角度方向のみ可能であるため、ホログラム記録媒体の位置制御には適用できなかった。
【0009】
そのため、装置を複雑にすることなく、再生参照光とホログラム記録媒体との位置合わせを精度良く行って、ホログラム記録媒体の再セット時、或いは他装置との互換再生を確実且つ安定に行うことができる方法が提案された(特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2003−337524号公報
【特許文献2】特願2006−171589号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記した後者の公知例ではホログラム記録媒体の移動方向に並ぶホログラム記録間隔と位置合わせのための情報を得るディテクタの受光素子間隔が、ある条件にあるときで、且つ、複数のブックが記録された記録媒体から再生する場合(マルチブック再生)、位置合わせのための情報が得られなくなる場合があることが判った。
【0011】
本発明は前記事情に鑑み案出されたものであって、本発明の目的は、装置を複雑にすることなく、再生参照光とホログラム記録媒体との位置合わせをあらゆる場合において精度良く行って、ホログラム記録媒体の再セット時、或いは他装置との互換再生を確実且つ安定に行うことができるホログラム再生装置及びホログラム再生方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は上記目的を達成するため、データを多重記録されたホログラム記録媒体へ再生参照光を照射し、それにより前記ホログラム記録媒体から発生する再生光を撮像手段により受光して多重記録されたデータをそれぞれ分離して再生するホログラム再生装置であって、前記再生光に含まれる必要な光のみを前記撮像手段に受光させる不要光除去手段と、
前記ホログラム記録媒体、或いは再生光光学系を動かす駆動手段と、前記不要光除去手段によりカットされた光の当該不要光除去手段への再生光投影状態を検出する光検出手段と、前記光検出手段により検出された前記投影状態情報のなかの特定部分の情報に基づいて前記ホログラム記録媒体の位置ずれを求め、この位置ずれが解消するように前記駆動手段を制御して前記ホログラム記録媒体、或いは光学系を移動させる制御手段とを具備し、前記光検出手段の穴を挟んで対向する受光素子の間隔をaとし、前記ホログラム記録媒体にマルチブックで記録されたデータ間隔をbとし、nを自然数とした場合、a=2nbを満たさないようにaまたはbを設定する。
【0013】
このように本発明では、ホログラム記録媒体に位置ずれがない正常セット状態では、絞りなどの不要光除去手段は、再生光の中の必要な光(0次光)を通し、隣接記録領域からのクロストーク成分等の不要光を通さず、それらは絞りの表面で投影される。しかし、ホログラム記録媒体に位置ずれがあると、必要な光が絞りを通過できなくなり、それが絞りの貫通孔の外周で且つ再生目標の記録エリアに隣接する記録エリアから発生した再生光の投影領域の内側部分の再生光投影状態情報に現れるため、それを光検出器で検出した検出情報に基づいて、位置ずれがない再生光投影状態になるようにホログラム記録媒体を移動させてホログラム記録媒体を正常セット状態にする、フィードバック制御を行なうことによって、装置を複雑にすることなく再生参照光とホログラム記録媒体との位置合わせを精度良く行って、ホログラム記録媒体の再セット時、或いは他装置との互換再生を確実且つ安定に行うことができる。さらに、前記ホログラム記録媒体にマルチブックで多重記録されたデータを再生する場合でも、前記光検出手段の穴を挟んで対向する受光素子の間隔をaとし、前記ホログラム記録媒体にマルチブックで記録されたデータ間隔をbとし、nを自然数とした場合、a=2nbを満たさないようにaまたはbを設定すれば、ホログラム記録媒体の位置合わせ情報を得ることができて、上記のような位置合わせを行うことができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ホログラム記録媒体に位置ずれがあると、必要な光が絞りを通過できなくなり、それが絞りの貫通孔の外周で且つ再生目標の記録エリアに隣接する記録エリアから発生した再生光の投影領域の内側部分の再生光投影状態情報に現れるため、それを光検出器で検出した検出情報に基づいて、位置ずれがない再生光投影状態になるようにホログラム記録媒体を移動させることにより、装置を複雑にすることなく、再生参照光とホログラム記録媒体との位置合わせを精度良く行って、ホログラム記録媒体の再セット時、或いは他装置との互換再生を確実且つ安定に行うことができる。
それ故、角度多重方式において、ホログラム記録媒体の記録エリアが既知の位置からずれていた場合においても、正確に目標とする記録エリアの位置を見つけ出すことが可能であり、これにより、ホログラム記録媒体を取り外して交換しても、ホログラムの再生を円滑且つ安定に行うことができる。
また、前記光検出手段の穴を挟んで対向する受光素子の間隔をaとし、前記ホログラム記録媒体にマルチブックで記録されたデータ間隔をbとし、nを自然数とした場合、a=2nbを満たさないようにaまたはbを設定すれば、ホログラム記録媒体の位置合わせ情報を得ることができて、上記のような位置合わせを行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
(実施例1)
図1は、本発明の第1の実施形態に係るホログラム再生装置の構成を示したブロック図である。ホログラム再生装置(本例では説明の便宜上記録系を含んでいる)は、レーザ光源20、偏向ビームスプリッター(PBS)21、空間変調器22、信号光用レンズ23、ホログラム記録媒体24、再生光用レンズ25、26、絞り27、レンズ28、撮像装置29、進路変更用ミラー30、角度可変ミラー31、絞り27上の投影光を受光するCCDやCMOSなどの光検出器32、ホログラム記録媒体24の位置を制御する位置制御部33、ホログラム記録媒体24を移動させる駆動機構34を有して構成されている。尚、再生機能だけ必要な場合は、偏向ビームスプリッター(PBS)21、空間変調器22、信号光用レンズ23は必要なくなる。
【0016】
次に本実施形態の動作について説明する。レーザ光源20から出射されたレーザ光10はPBS21によってP波11aとS波12aに分けられる。レーザ光源20は一般的に可視光近辺の波長を発生させるものが用いられる。P波11aは空間変調器22を通過し、空間変調器22に表示されているデータページに応じて空間変調されて信号光11bとなる。空間変調器22しては一般的には透過型のLCDパネルや反射型のLCDパネル、或いはDMD、GLVなどの画像表示装置に用いられるデバイスを用いられる場合が多い。信号光11bはレンズ23によりホログラム記録媒体24の記録エリアに集光される。ここで、ホログラム記録媒体24は必ずしも信号光11bの光軸と垂直に交わる必要はない。
【0017】
また、S波12aはミラー30にてその進路が変更され、それが参照光12bとしてミラー31に入射される。ミラー31はその角度が変化可能で、参照光12bのホログラム記録媒体24への入射角を設定する。入射角が設定された参照光12bはホログラム記録媒体24上の信号光11aの照射範囲をカバーするように同ホログラム記録媒体24に照射される。信号光11bと参照光12bはホログラム記録媒体24の記録エリアで干渉を起こし、その干渉情報が同記録エリアに記録される。次に、空間変調器22に次に記録するデータページが表示されると共に、ミラー31により参照光の入射角が変化された後、次に記録するデータページの情報が干渉情報として上記と同様にして同一記録領域に多重記録される。
【0018】
その後、記録時と同一の参照光12bのみを再生参照光12bとしてホログラム記録媒体24の記録エリアに照射すると、ホログラム記録媒体24に記録された干渉情報を反映した回折光が発生し、4f系を形成するレンズ25、26を通って再生光13aとなり、絞り27に集光される。回折光が発生する部分と絞り27の集光部分は鏡像関係になっており、この絞り27により0次光以外の光や隣接記録エリアからのクロストークによる光が除去され、再生情報を持っている光のみが通過し、これが更にレンズ28により撮像装置29に集光され、この撮像装置29により光電変換されて再生データとなる。
【0019】
ここで、絞り27は図2で示すように、遮光板に穴27aが開口して形成されている。穴27aの大きさは一般的に絞りの限界量に設定されている。そのため、穴27aには目的の記録エリアから発生した再生光13aが通過し、隣接する記録エリアから発生した余分な光は遮光板により遮蔽され、撮像装置29側に入射しないようになる。
【0020】
図2は絞り27の前面を示した図である。絞り27は遮光板に穴(貫通孔)27aが開口して形成され、穴27aの大きさは一般的に絞りの限界量に設定されている。従って、絞り27は再生目標の記録エリアから発生した再生光13aの0次光のみを通過させる。再生目標の記録エリアから発生した再生光13aの1次光以降の高次光と別のデータページの再生光、及び隣接する記録エリアから発生した再生光は上記した0次光と光束がずれ、穴27aを通過することはできないため、撮像装置29には入射する光に所望しない成分が入らないようになる。記録時は11bと12bは記録媒体に入射して、記録を行う。再生時にはP波11bは用いず、S波12bのみを照射して波面の記録情報をレンズ25の方向に伝達する。再生のみであれば必ずしもPBS21,空間変調器22,信号光用レンズ23は必要としない。
【0021】
ここで、図2に示すように、絞り27の遮光板の前面には、再生目標の記録エリアに隣接する記録エリアから発生した再生光13cと、この記録エリアの隣の記録エリアから発生する再生光13dが図のように投影されるようになる。一般的に、余分な再生光には様々な成分があるが、その成分の光は、必要な光(再生目標の記録エリアから発生した再生光13aの0次光)の強度に比べはるかに強度が小さい。
【0022】
一方、検出装置32の受光面は、図2に示したものと同様の配置で余分な光が受光される。即ち、図2の遮光板の前面を検出装置32の受光面と置き換えた状態と同一になる。ここで、ホログラム記録媒体24のセット位置が記録時と全く同一である場合、再生目標の記録エリアから発生した再生光13aの0次光は絞り27を通過し、その遮光板には図2に示すように、再生光の不必要な成分が投影されるが、ホログラム記録媒体24のセット位置がずれている場合、再生目標の記録エリアがずれるため、そこから発生する再生光13aの0次光の進行方向がずれて、絞り27の遮光板の前面は図3に示したような再生光の投影状態になる。
【0023】
即ち、再生光13aの0次光80は絞り27の穴27aを通過することができず、穴27aの周囲のいずれかの方向に投影される。ここで、光検出装置32の受光面を図3に示した遮光板の前面と置き換えてみた場合にも、全く同様の投影状態になり、穴27aの周囲に配置されている受光領域(図3の13eに相当し、絞り27の穴27aの外周で且つ隣接記録エリアから発生する再生光13cの投影位置との間にある領域)の、図中左側にある受光領域の受光レベルが著しく大きくなる。これは先に述べたように再生光13aの0次光は強度が非常に強いため、どの方向にずれたのかがはっきりとわかり、それは、検出装置32の受光領域の特定の部分の受光レベルが大きくなることによって検出される。 このように0次光のはみ出しが検出されたら、位置制御部33に内蔵されている演算器によってどれだけずれているのか、どの方向にずれているのかを演算する。この演算及びホログラム記録媒体24の位置制御はPCやICに組みこまれたマイコンによって行う。また、光検出は一般的にはCCDやCMOSイメージャーなどが用いられ、うまく光束を合わせることで、Pinダイオードなども使用可能である。
【0024】
位置制御部33は光検出装置32からの検出情報を画像処理(上記演算)することにより、再生光13aの0次光80の位置ずれ、即ち、ホログラム記録媒体24のセット位置の位置ずれを求め、ホログラム記録媒体24の位置ずれを是正する駆動制御信号を発生し、この駆動制御信号を駆動機構34を与えて、ホログラム記録媒体24を上記した位置ずれが解消するように(上記した受光領域の受光レベルに偏りが生じなくなるように)、移動させて、ホログラム記録媒体24を正規の位置に設定する。即ち、絞り27の遮光板に投影される再生光13aの状態を検出する光検出器32、位置制御部33、駆動機構34、ホログラム記録媒体24の移動、絞り27の遮光板に投影される再生光13aの状態変化というフィードバックループにより、ホログラム記録媒体24が常に位置ずれのない正規の位置に来るような制御が行われる。
【0025】
尚、駆動機構34は一般的にはステッピングモーター、エアシリンダー、リニアモーターなど一般的なアクチュエーターなら何でもよい。また、光学的に成り立つのであれば、駆動機構34が移動する対象はホログラム記録媒体24に限らず、信号光用レンズ23やレンズ25、26などの光学系を移動することでホログラム記録媒体24を移動することと同様の効果を得ることが可能である。
【0026】
図5は、光検出器32に絞り27を形成したものを示した平面図である。これは半導体材料上にフォトディテクタアレイを形成し、その真ん中にアパーチャとなる穴を開け、この穴の周辺部分に対して、取り囲むようにフォトディテク1〜8が並ぶ形状をしている。このフォトディテクタは通常のフォトダイオードやPinダイオードなど、光を受光すると抵抗値が変わったり、起電力を生じたりするような半導体であれば何でも良い。ここの受光部分に入ることで0次光のずれ方向が分かる。図5中のイントラック方向に対向しているディテクタ(4、5、6),(1、2、3)間の差分信号ΔXを演算増幅器41でとり、図5中のクロストラック方向に対向しているディテクタ(1、7、4),(3、8、6)間の差分信号ΔYを演算増幅器42でとり、これら両信号を位置制御部33に入力して、所定の演算をすることによって、位置合わせのそれぞれの軸方向を決定することが出来る。
【0027】
図6は等速移動するホログラム記録媒体24に記録されたホログラムを再生する際の位置合わせを図5に示したフォトディテクタで行う際の原理を説明する図である。図6(A)はフォトディテクタの断面図で、穴27aを挟んでAとBの光電変換素子(フォトダイオード)が配置されていて、その間隔がaである。図6(B)はホログラム記録媒体24の断面図であり、52が記録されたホログラムである。図6(C)はホログラム記録媒体24を等速で移動したときの光電変換素子A、Bの出力を示したグラフである。この場合、光電変換素子B‐Aの出力は図6(D)で示したようになり、位置制御部33は53で示した範囲でホログラム記録媒体24の位置を修正することができる。
【0028】
シングルブックの場合は上記の動作で問題は無いが、マルチブックの場合は以下に述べるような問題がある。図7(A)はフォトディテクタの断面図で、穴27aを挟んでAとBの光電変換素子が配置されていて、その中心間距離がaである。図7(B)はホログラム記録媒体24の断面図であり、52がマルチブックで記録されたホログラムで、記録間隔を示す中心間距離はbである。図7(C)は光電変換素子A,Bそれぞれの出力波形を示した図である。ここで、nを任意の自然数とした場合、a=2nbを満たすとき、光電変換素子B‐Aの出力は図7(C)で示したようになり、図7(D)で示したように信号が出ないところが生じ、この範囲では位置制御ができないことになる。そこで、例えばa=bとしてa=2nbを満たさないようにすればよく、その場合は、光電変換素子B‐Aの出力は図7(E)で示したようになり、図7(F)で示したように位置修正信号を得ることができ、期待通りの位置修正を行うことができる。
【0029】
また、図4に示すようにディテクタが8つ並ぶのはコスト的観点と、回路として計算を複雑化するので図8のように台形の形をした4個のディテクタを用いる。これにより使用するフォトディテクタの数を減らすことが出来、フォトディテクタのコストダウンと回路のコストダウンに貢献できる。この4個のディテクタを用いた場合は図9に示すような回路を用いて修正信号を取り出す。さらに、フォトディテクタの形状として、図10、図11、図12に示したような1軸のみの検出の場合、アパーチャが丸型の場合、フォトダイオードを円弧状に配置する場合など各種の形状が考えられる。さらに、図13に示すように、穴の大きさの半分ぐらいになるようなフォトディテクタを用いることで、ホログラム記録媒体24の位置による漏れ光の出方を急峻にすることが可能になり、このために記録密度を上げても位置を検出することが可能となる。
【0030】
0次光が図3に示すように13eが絞り穴に対して1方向もしくは2方向のみずれている場合はその軸を検出し、それぞれの軸方向の補正を行う。しかしながら、図4に示すように、穴の周辺全域に0次光がある場合は、それはメディアが光軸方向(フォーカス方向)にずれていることを示している。
【0031】
ここで、ホログラム記録媒体24の位置がフォーカス方向(再生光の進行方向)で合っている場合は、図14に示したとおり、穴27aを0次光が全て通過する。ホログラム記録媒体24の位置がフォーカス方向(再生光の進行方向)でずれている場合、再生光13aの光束が広がるため、遮光板の再生光13aの投影状態は図15、図16に示すようになり、穴27aに再生目標の記録エリアから発生した再生光13aの0次光が入りきらず、穴27aの周囲に一様に広がった状態になる。このような位置制御部33は光検出器32の受光面の受光素子A、Bの受光レベルが均等で所定レベル以上ある場合は、ホログラム記録媒体24がフォーカス方向にずれていると判定し、ホログラム記録媒体24を駆動機構34によりフォーカス方向に往動させて、Wobblingなどで図17に示したディテクタA+Bの信号の谷の位置に来るようにホログラム記録媒体をフォーカス方向に移動させて、ホログラム記録媒体24の位置を設定する。これにより、絞り27の再生光の投影状態は図14に示したようになり、再生目標の記録エリアから発生した再生光13aの0次光は全て絞り27を通過して撮像装置29に集光され、再生光13aのフォーカスが合った状態になる。
【0032】
また、再生参照光12bが角度変化する面とホログラム記録媒体24の面が交差する時にできる交差軸を中心としたホログラム記録媒体24の傾きが、記録時のそれと異なる場合、再生参照光12bのあるデータページを再生するための入射角度が正しくとも、再生参照光12bの波面が記録時の参照光の波面と微妙に異なるため、撮像装置25により得られる再生画像データが暗くなってS/Nが悪化する。そこで、絞り27の再生光13aの投影状態が図4に示すようなフォーカスずれを起こしている状態の時、光検出器32の受光面の受光領域(13eに相当する部分)の受光レベルの総和が最大になるように、位置制御部33により駆動機構34を介してホログラム記録媒体24の傾きを変化させることにより、上記したホログラム記録媒体24の傾きを記録時のそれと同じにして、再生画像データのS/Nの悪化を防止することができる。
【0033】
本実施形態によれば、再生時に、再生光13aの絞り27の遮蔽板への再生光投影状態を検出し、その検出状態に基づいてホログラム記録媒体24の正規の位置からのずれを検出し、このずれを無くすようにホログラム記録媒体24の位置を移動することにより、再生参照光12bの照射ビームとホログラム記録媒体24の記録エリア(記録領域)との位置関係と、記録時の参照光の照射ビームと同記録エリアとの位置関係とを常に同一にすることができる。これは再生参照光12bが照射しているホログラム記録媒体24の範囲が、記録時の参照光と同一の範囲であり、そこに再生目標の記録エリアがあることになり、且つその時、再生光13aの0次光が撮像装置29に全て入射されるため、再セットしたホログラム記録媒体、或いは他装置で記録したホログラム記録媒体を再生する時でも、再生目標の記録エリアを確実に再生できるということであり、それ故、ホログラム記録媒体24の再セット、或いは他装置によりシフト多重されたホログラム記録媒体24の再生を支障なく行うことができる。
【0034】
また、本実施形態では、ホログラム記録媒体24の位置ずれを検出するのに再生光を用いており、検出のために別の波長の光を用いていないため、光学系は従来通りで良く、且つ別途光学系を設ける必要もないと共に、簡単な構成の位置合わせ制御系を付加するだけであるので、装置の小型化を損なうことなく、安価に上記効果を得ることができると共に、波長の違いによる諸特性(例えば温度特性など)の差異が発生しないためホログラム記録媒体24の位置合わせを精度よく行うことができる。
【0035】
また、本実施形態では、再生目標の記録エリアから発生した再生光13aの再生光13aの0次光は全て絞り27を通過するように制御することにより、ホログラム記録媒体24の位置ずれをなくしているため、装置間の再生光光学系や撮像装置29の設置位置の誤差や違いを解消して、再生光13aの0次光が撮像装置29に全て入射されるようになるため、この点からも装置間の互換性を確保することができる。
【0036】
さらに、ホログラム記録媒体24にマルチブックで多重記録されたデータを再生する場合でも、前記光検出器32の受光素子間隔をaとし、前記ホログラム記録媒体24にマルチブックで記録されたデータ間隔をbとし、nを自然数とした場合、a=2nbを満たさないようにaまたはbを設定すれば、マルチブック記録ホログラム記録媒体の位置合わせ情報を得ることができて、上記のような位置合わせを確実に行うことができる。
【0037】
尚、本発明は上記実施形態に限定されることなく、その要旨を逸脱しない範囲において、具体的な構成、機能、作用、効果において、他の種々の形態によっても実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るホログラム再生装置の構成を示したブロック図である。
【図2】図1に示した絞りに再生光が投影されている状態を示した図である。
【図3】図1に示した絞りに再生光が投影されている他の状態を示した図である。
【図4】図1に示した絞りに再生光が投影されている他の状態を示した図である。
【図5】図1に示した光検出器およびそこから信号を取り出す回路を示した図を示したブロック図である。
【図6】等速移動するホログラム記録媒体にシングルブック記録されたホログラムを再生する際の位置合わせをフォトディテクタで行う際の原理を説明する図である。
【図7】等速移動するホログラム記録媒体にマルチブック記録されたホログラムを再生する際の位置合わせをフォトディテクタで行う際の原理を説明する図である。
【図8】フォトディテクタを4個用いて形成される光検出器の構成例を示した平面図である。
【図9】図8に示した光検出器およびそこから信号を取り出す回路を示した図を示したブロック図である。
【図10】フォトディテクタを4個用いて形成される光検出器の構成例を示した平面図である。
【図11】フォトディテクタを4個用いて形成される光検出器の構成例を示した平面図である。
【図12】フォトディテクタを4個用いて形成される光検出器の構成例を示した平面図である。
【図13】絞りの穴のサイズとその外周部に配置されたフォトディテクタのサイズとの関係を示した図である。
【図14】図1に示した光検出器を用いてフォーカスエラーを検出する方法を説明する図である。
【図15】図1に示した光検出器を用いてフォーカスエラーを検出する方法を説明する図である。
【図16】図1に示した光検出器を用いてフォーカスエラーを検出する方法を説明する図である。
【図17】図1に示した光検出器より得られるフォーカスエラー信号の波形を示した図である。
【符号の説明】
【0039】
20……レーザ光源、21……偏向ビームスプリッター(PBS)、22……空間変調器、23……信号光用レンズ、24……ホログラム記録媒体、25、26……再生光用レンズ、27……絞り、28……レンズ、29……撮像装置、30……進路変更用ミラー、31……角度可変ミラー、32……光検出器、33……位置制御部、34……駆動機構、36……ビームスプリッター(PBS)、51……ミラー、61……受光素子。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
データを多重記録されたホログラム記録媒体へ再生参照光を照射し、それにより前記ホログラム記録媒体から発生する再生光を撮像手段により受光して多重記録されたデータをそれぞれ分離して再生するホログラム再生装置であって、
前記再生光に含まれる必要な光のみを前記撮像手段に受光させる不要光除去手段と、
前記ホログラム記録媒体、或いは再生光光学系を動かす駆動手段と、
前記不要光除去手段によりカットされた光の当該不要光除去手段への再生光投影状態を検出する光検出手段と、
前記光検出手段により検出された前記投影状態情報のなかの特定部分の情報に基づいて前記ホログラム記録媒体の位置ずれを求め、この位置ずれが解消するように前記駆動手段を制御して前記ホログラム記録媒体、或いは光学系を移動させる制御手段とを具備し、
前記光検出手段の受光素子間隔をaとし、前記ホログラム記録媒体にマルチブックで記録されたデータ間隔をbとし、nを自然数とした場合、a=2nbを満たさないようにaまたはbを設定することを特徴とするホログラム再生装置。
【請求項2】
前記光検出手段は、前記不要光除去手段が貫通孔を有する遮光板であった場合に、前記貫通孔の外周で且つ再生目標の記録エリアに隣接する記録エリアから発生した再生光の投影領域の内側に配置される複数の光電変換素子により構成されることを特徴とする請求項1記載のホログラム再生装置。
【請求項3】
前記光電変換素子は、前記貫通孔を挟んで対向した位置に配置されることを特徴とする請求項2記載のホログラム再生装置。
【請求項4】
前記対向した位置に配置された光電変換素子それぞれから得られる信号の差分信号を用いて前記ホログラム記録媒体の位置ずれを求めることを特徴とする請求項3記載のホログラム再生装置。
【請求項5】
前記対向した位置に配置された2組の光電変換素子からそれぞれ差分信号を取り出し、これら2個の差分信号から2方向の前記ホログラム記録媒体の位置ずれを求めることを特徴とする請求項3記載のホログラム再生装置。
【請求項6】
前記光電変換素子は前記貫通孔の外周部に少なくとも4個以上配置されていることを特徴とする請求項3記載のホログラム再生装置。
【請求項7】
前記光電変換素子はピンダイオードであることを特徴とする請求項2記載のホログラム再生装置。
【請求項8】
前記不要光除去手段は、貫通孔を有するフォトダイオードアレイで、このフォトダイオードアレイが前記遮光板と前記光検出手段を兼用することを特徴とする請求項1記載のホログラム再生装置。
【請求項9】
前記光検出手段は遮光板への前記再生光投影状態を受光し、前記制御手段は前記遮光板の前記貫通孔の外周で且つ再生目標の記録エリアに隣接する記録エリアから発生した再生光の投影領域の内側部分の投影状態情報に基づいて、前記ホログラム記録媒体の位置ずれを求めることを特徴とする請求項1乃至3いずれか1項記載のホログラム再生装置。
【請求項10】
前記貫通孔を挟んで対向した位置に配置される複数の光電変換素子の幅は、前記貫通孔の直径のほぼ半分か、それ以下であることを特徴とする請求項3記載のホログラム再生装置。
【請求項11】
前記貫通孔を挟んで対向した位置に配置される複数の光電変換素子の形状は任意であることを特徴とする請求項3記載のホログラム再生装置。
【請求項12】
前記ホログラム記録媒体の位置ずれは、フォーカス方向を含むことを特徴とする請求項1記載のホログラム再生装置。
【請求項13】
前記ホログラム記録媒体に角度多重方式により前記データを多重記録することを特徴とする請求項1記載のホログラム再生装置。
【請求項14】
データを多重記録されたホログラム記録媒体へ入射角を変化させながら再生参照光を照射し、それにより前記ホログラム記録媒体から発生する再生光を撮像手段により受光して多重記録されたデータをそれぞれ分離して再生するホログラム再生方法であって、
前記再生光に含まれる余分な光をカットして必要な光のみを前記撮像手段に受光させる不要光除去過程でカットされた光の投影状態を検出し、検出された投影状態情報のなかの特定部分の情報に基づいて前記ホログラム記録媒体の位置ずれを求め、この位置ずれが解消するように前記ホログラム記録媒体、或いは光学系を移動させる際に、前記カットされた光の投影状態を検出する受光素子間隔をaとし、前記ホログラム記録媒体にマルチブックで記録されたデータ間隔をbとし、nを自然数とした場合、a=2nbを満たさないようにaまたはbを設定することを特徴とするホログラム再生方法。
【請求項1】
データを多重記録されたホログラム記録媒体へ再生参照光を照射し、それにより前記ホログラム記録媒体から発生する再生光を撮像手段により受光して多重記録されたデータをそれぞれ分離して再生するホログラム再生装置であって、
前記再生光に含まれる必要な光のみを前記撮像手段に受光させる不要光除去手段と、
前記ホログラム記録媒体、或いは再生光光学系を動かす駆動手段と、
前記不要光除去手段によりカットされた光の当該不要光除去手段への再生光投影状態を検出する光検出手段と、
前記光検出手段により検出された前記投影状態情報のなかの特定部分の情報に基づいて前記ホログラム記録媒体の位置ずれを求め、この位置ずれが解消するように前記駆動手段を制御して前記ホログラム記録媒体、或いは光学系を移動させる制御手段とを具備し、
前記光検出手段の受光素子間隔をaとし、前記ホログラム記録媒体にマルチブックで記録されたデータ間隔をbとし、nを自然数とした場合、a=2nbを満たさないようにaまたはbを設定することを特徴とするホログラム再生装置。
【請求項2】
前記光検出手段は、前記不要光除去手段が貫通孔を有する遮光板であった場合に、前記貫通孔の外周で且つ再生目標の記録エリアに隣接する記録エリアから発生した再生光の投影領域の内側に配置される複数の光電変換素子により構成されることを特徴とする請求項1記載のホログラム再生装置。
【請求項3】
前記光電変換素子は、前記貫通孔を挟んで対向した位置に配置されることを特徴とする請求項2記載のホログラム再生装置。
【請求項4】
前記対向した位置に配置された光電変換素子それぞれから得られる信号の差分信号を用いて前記ホログラム記録媒体の位置ずれを求めることを特徴とする請求項3記載のホログラム再生装置。
【請求項5】
前記対向した位置に配置された2組の光電変換素子からそれぞれ差分信号を取り出し、これら2個の差分信号から2方向の前記ホログラム記録媒体の位置ずれを求めることを特徴とする請求項3記載のホログラム再生装置。
【請求項6】
前記光電変換素子は前記貫通孔の外周部に少なくとも4個以上配置されていることを特徴とする請求項3記載のホログラム再生装置。
【請求項7】
前記光電変換素子はピンダイオードであることを特徴とする請求項2記載のホログラム再生装置。
【請求項8】
前記不要光除去手段は、貫通孔を有するフォトダイオードアレイで、このフォトダイオードアレイが前記遮光板と前記光検出手段を兼用することを特徴とする請求項1記載のホログラム再生装置。
【請求項9】
前記光検出手段は遮光板への前記再生光投影状態を受光し、前記制御手段は前記遮光板の前記貫通孔の外周で且つ再生目標の記録エリアに隣接する記録エリアから発生した再生光の投影領域の内側部分の投影状態情報に基づいて、前記ホログラム記録媒体の位置ずれを求めることを特徴とする請求項1乃至3いずれか1項記載のホログラム再生装置。
【請求項10】
前記貫通孔を挟んで対向した位置に配置される複数の光電変換素子の幅は、前記貫通孔の直径のほぼ半分か、それ以下であることを特徴とする請求項3記載のホログラム再生装置。
【請求項11】
前記貫通孔を挟んで対向した位置に配置される複数の光電変換素子の形状は任意であることを特徴とする請求項3記載のホログラム再生装置。
【請求項12】
前記ホログラム記録媒体の位置ずれは、フォーカス方向を含むことを特徴とする請求項1記載のホログラム再生装置。
【請求項13】
前記ホログラム記録媒体に角度多重方式により前記データを多重記録することを特徴とする請求項1記載のホログラム再生装置。
【請求項14】
データを多重記録されたホログラム記録媒体へ入射角を変化させながら再生参照光を照射し、それにより前記ホログラム記録媒体から発生する再生光を撮像手段により受光して多重記録されたデータをそれぞれ分離して再生するホログラム再生方法であって、
前記再生光に含まれる余分な光をカットして必要な光のみを前記撮像手段に受光させる不要光除去過程でカットされた光の投影状態を検出し、検出された投影状態情報のなかの特定部分の情報に基づいて前記ホログラム記録媒体の位置ずれを求め、この位置ずれが解消するように前記ホログラム記録媒体、或いは光学系を移動させる際に、前記カットされた光の投影状態を検出する受光素子間隔をaとし、前記ホログラム記録媒体にマルチブックで記録されたデータ間隔をbとし、nを自然数とした場合、a=2nbを満たさないようにaまたはbを設定することを特徴とするホログラム再生方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2008−96755(P2008−96755A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−279292(P2006−279292)
【出願日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
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