説明

ボタン付けミシン

【課題】縦送り量を細かく調節することによる高性能化を確実に図ることのできるボタン付けミシンを提供する。
【解決手段】ミシンフレーム3の送り量調節レバー114の操作部119の延出する位置に形成された開口8を塞ぐように、送り調節板13を、レバー挿通孔14から操作部119が外部に突出して回動操作可能なように取付用長孔16、17を介して送り量調節レバー114の回動操作方向と平行な方向に位置調節可能に取着する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボタンと被縫製物を移動しながらボタンを被縫製物に縫い付けるのに好適なボタン付けミシンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ボタンを被縫製物に縫い付けることのできるボタン付けミシンが知られている。このような従来のボタン付けミシンとして、ボタンおよび被縫製物をミシンベッドの長手方向に沿った前後方向に移動させるための縦送り機構を備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図3は、従来のボタン付けミシンの要部を示すものであり、従来のボタン付けミシン101は、縦送り機構102を有している。この縦送り機構102は、図示しないミシン主軸(上軸)からの回転が伝達されて回転駆動されるカム軸103を有しており、このカム軸103には送りカム104が取着されている。そして、送りカム104は、ミシン主軸ひいては針の上下動と同期して、例えば、ミシン主軸が1回転すると、カム軸103とともに1回転するように形成されている。また、送りカム104は、円板状に形成されたカム本体105の外周面に、周方向に沿って環状のカム溝106が形成されている。
【0004】
前記送りカム104の上方には、揺動部材としての平面ほぼベルクランク状に形成された板状の揺動レバー108が配設されている。この揺動レバー108の基端部としての屈曲部分108aは、図4に示すミシンフレーム131のミシンベッド132に一端が固定された支点軸109の他端側に回動自在に軸支されている。また、揺動レバー108は、前記屈曲部分108aを挟んで一方の腕が平板状に形成された駆動アーム110とされ、他方の腕が円弧状に形成されたガイド部111a、111aを有する従動アーム111とされている。そして、駆動アーム110の自由端部分には、従動節としてのコロ軸112がその先端を下方に向けて取着されており、コロ軸112の先端部分には、図示しないカムコロが配設されている。このカムコロは、送りカム104のカム溝106に嵌合されるようになっている。そして、送りカム104の回転にともなって、カムコロがカム軸103の軸方向に移動することにより、揺動レバー108が支点軸109を中心として予め設定された所定の角度範囲内で揺動するようになっている。
【0005】
前記従動アーム111には、ガイド部111a、111aの長手方向に沿って移動自在とされた送り調節駒113を介して送り量調節レバー114が連結されており、この送り調節駒113は、全体として板状に形成された送り量調節レバー114の長手方向のほぼ中央部分の下面に回動自在に取着され、従動アーム111のガイド部111a、111aと係合している。
【0006】
前記送り量調節レバー114の図3の左側に示す一端には、リンク115aおよびリンク115bをこの順に介してミシンベッド132上に配置されている移動体としての送り台117の基端部が連結される連結部116が設けられており、送り台117の先端部分には、押え下板118の基端部がねじ止めなどにより取着されている。また、前記ガイド部111a、111aは、縫い始め位置における連結部116を中心とする円弧状となるように形成されている。また、送り量調節レバー114の図3の右側に示す他端には、人手により操作される操作部119とされており、この操作部119を操作することにより送り量調節レバー114は連結部116を中心に回動操作可能となっている。また、送り量調節レバー114の送り調節駒113と操作部119とのほぼ中間部分の側端には、送り量調節レバー114の長手方向に沿って厚さ方向とほぼ直交するように上方に向かって突出するリブ状の凸部120が形成されている。なお、リンクとしては、2つのリンク115a、115bを用いずに、1つのリンクを用いる構成もある。
【0007】
図4に示すように、操作部119は、送り調節板121に設けられた長尺のレバー挿通孔122を介してミシンフレーム131の外部に延出されている。この送り調節板121は、ミシンフレーム131の針の配設側とは反対の後端側に形成されている図示しない開口を閉塞するようにねじ止めされており、取着状態においてほぼ水平方向に延在するように配設されている。また、レバー挿通孔122の上面には、凸部120が着脱自在に嵌合される複数のノッチ123が所定の間隔で配設されている。
【0008】
なお、開口は、送り量調節レバー114の操作部119をミシンフレーム131の外部に突出するように配置するためのものであり、ミシンフレーム131の送り量調節レバー114の操作部119の延出する位置に設けられている。
【0009】
また、ミシンフレーム131は、従来公知の如く、ミシンテーブル上の所定の位置に取着されるミシンベッド132と、ミシンベッド132の上方にミシンベッド132と平行に延在するミシンアームと、ミシンベッド132とミシンアームとをミシンアームの自由端側たるミシン頭部とは反対側の後端側で接続する脚柱部133とを有するほぼコ字状に形成されている。そして、ミシンアームのミシン頭部の下面の所望の位置には、針がその長手方向を上下方向に向けて配設されている。この針は、従来公知の如く針棒の下端部にその基端部が取着されており、ミシンアームの内部に回転自在に配設されミシンモータによって回転駆動されるミシン主軸の回転に連動する針棒駆動機構によって上下方向に所定のストロークをもって往復動自在とされている。また、ミシンベッド132の下部にはミシン主軸と同期して動く周知のルーパーと糸切り装置とが設けられており、針とルーパーとの協働により単環縫いの縫い動作が行われ、所定針数の縫い動作が完了したところで糸切り装置によって糸が切断されるようになっている。
【0010】
前記揺動レバー108、送り調節駒113および送り量調節レバー114は、縦送り機構102によるミシンアームの長手方向に対して平行に延在するミシンベッド132の長手方向に沿った縦方向への縦送り量を調節するための縦送り量調節機構を構成するものであり、送り量調節レバー114の操作部119を下方に押し下げることにより操作部119および凸部120が下方に弾性変形して嵌合しているノッチ123から離脱するようになっている。そして、この状態で操作部119をレバー挿通孔122の長さ方向に沿って連結部116を中心に回動操作して凸部120を異なる位置に配置されている所望のノッチ123の下方に位置させてから操作部119を下方に押し下げている力を解除することにより、操作部119が凸部120とともに上方に復帰し、凸部120を異なる位置のノッチ123と嵌合させることができるようになっている。このように、凸部120を異なる位置のノッチ123と嵌合させることにより、従動アーム111のガイド部111a、111aと送り調節駒113の係合位置の、送り調節駒113の支点軸109からの距離が変更され、揺動レバー108が同一の角度範囲内で揺動しても距離に応じて送り量調節レバー114、ひいては送り台117の送り量、すなわち、ミシンベッド132の長手方向に沿った縦送り量を変化させることができるようになっている。
【0011】
また、送り量調節レバー114は、移動体117に連結されているから移動体が送りカム104の回転運動により縦方向に移動すれば送り量調節レバー114も長手方向に移動することになるが、上述した凸部120をノッチ123に嵌合させる構成により、送り量調節レバー114は、移動体117の縦方向の移動にともなう長手方向の移動が可能とされつつ所定の回動位置が保持可能とされることになる。
【0012】
【特許文献1】特許第2762695号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、従来のボタン付けミシン101においては、近年の高性能化の要求に応えることができないという問題点があった。
【0014】
すなわち、従来のボタン付けミシン101においては、凸部120を複数のノッチ123のいずれかに嵌合させることにより縦送り量を調節する構成とされているために、相互に隣位するノッチ123の間隔が縦送り量の最小調節単位とされており、ノッチ123の間隔より細かい縦送り量の調節をすることができないという問題点があった。
【0015】
また、従来のボタン付けミシン101においては、相互に隣位するノッチ123の間隔を細かく(狭く)するには、凸部120およびノッチ123の強度や加工による制限があるという問題点もあった。
【0016】
そこで、縦送り量を細かく調節することによる高性能化を確実に図ることのできるボタン付けミシンが求められている。
【0017】
本発明はこの点に鑑みてなされたものであり、縦送り量を細かく調節することによる高性能化を確実に図ることのできるボタン付けミシンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
前述した目的を達成するため、本発明に係るボタン付けミシンの特徴は、ボタンおよび被縫製物を移動させる縦送り機構を備えており、この縦送り機構は、回転駆動可能とされたカム軸と、このカム軸に取着され外周にカム溝が形成された送りカムと、この送りカムの回転駆動により少なくともミシンベッドの長手方向に沿った縦方向に移動される移動体と、一端に前記移動体に連結される連結部を有するとともに他端にミシンフレームから外部に延出される操作部を有し、該操作部の操作により前記連結部を中心に回動操作可能かつ長手方向に移動可能とされつつ所定の回動位置が保持可能に構成された送り量調節レバーと、ミシンフレームに回転自在に軸支される基端部を挟んで一方の腕が前記カム溝に嵌合して揺動する従動節が取着された駆動アームとされ、他方の腕が前記連結部を中心とする円弧状のガイド部が設けられた従動アームとされるベルクランク状の揺動部材とを有しており、前記送り量調節レバーの長手方向中央部には、前記従動アームのガイド部と係合する送り調節駒が回動自在に取着され、前記送り量調節レバーの回動操作により、前記従動アームの前記ガイド部と前記送り量調節駒との係合位置を変更し前記縦方向の移動量を変更可能としたボタン付けミシンにおいて、前記ミシンフレームの前記送り量調節レバーの操作部の延出する位置には、前記送り量調節レバーの操作部をミシンフレームの外部に突出するように配置するための開口と、この開口を閉塞する送り調整板とが設けられており、前記送り調整板には、前記送り量調節レバーの中間部分が挿入され前記送り量調節レバーの回動操作を可能とするように形成された長尺のレバー挿通孔、前記送り量調節レバーの長手方向の移動を可能としつつその回動位置を保持するために前記レバー挿通孔の上面あるいは下面に間隔をおいて設けられ前記送り量調節レバーが嵌合される複数のノッチ、および、前記送り量調節レバーの回動操作経路に沿って平行に延在するようにして形成された取付用長孔が設けられており、前記開口に対して前記記送り調整板が、前記レバー挿通孔から前記操作部が外部に突出して回動操作可能なように前記取付用長孔を介して前記送り量調節レバーの回動操作方向と平行な方向に位置調節可能に取着されている点にある。
【0019】
前記送り調節板の前記送り量調節レバーの回動操作方向の少なくとも一端が指標とされており、前記ミシンフレームの前記送り調節板の取着位置の前記送り量調節レバーの回動操作方向の少なくとも一端側には、前記指標が指し示す位置に前記送り調節板の取付位置の位置決めのための前記複数のノッチの間隔より細かい目盛が前記送り量調節レバーの回動操作方向と平行な方向に沿って設けられていることが好ましい。
【0020】
また、本発明に係る他のボタン付けミシンの特徴は、ボタンおよび被縫製物を移動させる縦送り機構を備えており、この縦送り機構は、回転駆動可能とされたカム軸と、このカム軸に取着され外周にカム溝が形成された送りカムと、この送りカムの回転駆動により少なくともミシンベッドの長手方向に沿った縦方向に移動される移動体と、一端に前記移動体に連結される連結部を有するとともに他端にミシンフレームから外部に延出される操作部を有し、該操作部の操作により前記連結部を中心に回動操作可能かつ長手方向に移動可能とされつつ所定の回動位置が保持可能に構成された送り量調節レバーと、ミシンフレームに回転自在に軸支される基端部を挟んで一方の腕が前記カム溝に嵌合して揺動する従動節が取着された駆動アームとされ、他方の腕が前記連結部を中心とする円弧状のガイド部が設けられた従動アームとされるベルクランク状の揺動部材とを有しており、前記送り量調節レバーの長手方向中央部には、前記従動アームのガイド部と係合する送り調節駒が回動自在に取着され、前記送り量調節レバーの回動操作により、前記従動アームの前記ガイド部と前記送り量調節駒との係合位置を変更し前記縦方向の移動量を変更可能としたボタン付けミシンにおいて、前記ミシンフレームの前記送り量調節レバーの操作部の延出する位置には、前記送り量調節レバーの操作部をミシンフレームの外部に突出させ前記送り量調節レバーの回動操作を可能とするようにミシンフレームを貫通する長尺のレバー挿通孔、このレバー挿通孔の上方において前記レバー挿通孔と平行に延在するようにミシンフレームを貫通する長尺の第1ガイド長孔、および、前記レバー挿通孔の下方において前記レバー挿通孔と平行に延在するようにミシンフレームを貫通する長尺の第2ガイド長孔を有する送り調節部が設けられており、前記送り調節部の外側には、前記送り量調節レバーの操作部が挿通される第1挿通孔と、前記第1あるいは第2ガイド長孔との対向部分に設けられた操作ねじが挿通される貫通孔とを有する第1ガイド部材が配置されており、前記送り調節部の内側には、前記送り量調節レバーの操作部とは反対側の端部が挿通される第2挿通孔と、前記第1あるいは第2ガイド長孔との対向部分に設けられた前記操作ねじが螺着されるねじ孔とを有する第2ガイド部材が配置されており、前記第1および第2挿通孔のうちの少なくとも一方には、前記送り量調節レバーの長手方向の移動を可能としつつその回動位置を保持するために前記送り量調節レバーが嵌合される係止部が設けられており、前記送り量調節レバーを前記係止部に嵌合した状態で、前記操作ねじを前記第1挿通孔と前記第1あるいは第2ガイド長孔とをこの順に挿通して前記ねじ孔に螺着することにより、前記送り調節部に、前記第1および第2ガイド部材が前記送り量調節レバーの回動操作方向と平行な方向に位置調節可能に取着されている点にある。
【0021】
前記第1ガイド部材には、前記第1および第2ガイド部材の位置決めのための指標が設けられており、前記送り調節部の外側には、前記指標が指し示す位置に縦送り量をあらわす目盛が前記送り量調節レバーの回動操作方向と平行な方向に沿って設けられていることが好ましい。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係るボタン付けミシンによれば、送り量調節レバーの操作部をレバー挿通孔の任意の位置に固定することができるので、縦送り量の細かい調節を行うことができる。その結果、縦送り量を細かく調節することによる高性能化を確実に図ることができるなどの優れた効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明を図面に示す実施形態により説明する。なお、前述した従来のものと同一ないし相当する構成については図面中に同一の符号を付しその説明は省略する。
【0024】
図1は、本発明に係るボタン付けミシンの第1実施形態の要部を示す分解斜視図である。
【0025】
図1に示すように、本実施形態のボタン付けミシン1は、少なくとも単環縫いを実行することのできるサイクルミシンからなるミシン本体2を有している。そして、ミシン本体2は、図1の左斜め上方側が図示しない針の配置側である前側FSとされ、図1の右斜め下方側が針の配側とは反対の後側BSとされている。
【0026】
前記ミシン本体2のミシンフレーム3は、従来公知の如く、図示しないミシンテーブル上の所定の位置に取着されるミシンベッド4と、ミシンベッド4の上方にミシンベッド4と平行に延在する図示しないミシンアームと、ミシンベッド4とミシンアームとをミシンアームの自由端側たるミシン頭部とは反対側の後側BSで接続する脚柱部5とを有するほぼコ字状に形成されている。また、ミシンベッド4は前側FSから後側BSに至る前後方向を長手方向として形成されており、このミシンベッド4の長手方向に沿った前後方向が縦方向とされている。
【0027】
前記ミシンフレーム3、詳しくはミシンベッド4の後側BSには、後側BSから見て左右方向の大きい幅広の下ベース6と、この下ベース6の上部に一体形成された左右方向の狭い幅狭の上ベース7とがそれぞれの左右方向の中央部が上下方向に重なるように配置されている。すなわち、下ベース6の左右方向の両側は、それぞれ上ベース7の左右方向両端から外側に張り出すように突出されている。また、ミシンベッド4の後端は、上ベース7と下ベース6の上半分とが下ベース6のほぼ下半分より短く形成されており、上ベース7の後端面7aと下ベース6の上半分に位置する上後端面6aとは面一に形成されている。また、下ベース6の下半分に位置する下後端面6bは、上ベース7の端面7aおよび下ベース6の上後端面6aより後側BSに突出されている。
【0028】
前記上ベース7の端面7aには、後側BSから見て左右方向に長い開口8がミシンフレーム3の内外を連通するように設けられている。そして、開口8からは、縦送り機構102の一部を構成する送り量調節レバー114の操作部119(図3参照)が外部に延出されるように配置されている。
【0029】
すなわち、開口8は、送り量調節レバー114の回動操作経路に沿って平行に延在するようにして形成されているとともに、開口8の後側BSからみて左右方向に示す長手方向に沿った長さ寸法は、送り量調節レバー114の回動操作を可能とするように、送り量調節レバー114の回動操作領域を越えるように形成されている。
【0030】
なお、開口8の形成位置としては、ミシンフレーム3に形成されていればよく、特に、本実施形態のミシンベッド4の上ベース7の端面7aに限定されるものではない。
【0031】
前記下ベース6の上後端面6aの開口8の下方に位置する後側BSから見て右側には、逃げ穴9が形成されており、この逃げ穴9の底部には図示しないねじ穴が形成されている。また、下ベース6の上後端面6aの開口8の下方に位置する後側BSから見て左側には、ピン穴10が形成されている。さらに、下ベース6の後側BSから見て左側に位置する側面の後側BS近傍には、ピン穴10に連通するねじ孔11が形成されており、このねじ孔11には、止めねじ12が着脱自在に螺着されるようになっている。
【0032】
前記ミシンベッド4の後側BSには、開口8を閉塞する送り調節板13が配置されている。この送り調節板13の送り量調節レバー114の回動操作方向である左右方向の寸法は、上ベース7の左右方向の寸法とほぼ同一寸法とされている。また、送り調整板の上下方向の寸法は、上ベース7の端面7aの上下方向の寸法と下ベース6の上後端面6aの上下寸法の寸法とを加算した寸法とほぼ同一寸法とされている。
【0033】
前記送り調節板13の中央部分、詳しくは開口8と対向する部分には、送り調節板13の厚さ方向に貫通する長尺のレバー挿通孔14が形成されている。このレバー挿通孔14は、その長手方向が送り調節板13の長手方向に沿って形成されており、ミシンフレーム3に送り調節板13を取り付けた取着状態においてミシン本体2の高さ方向である図1の上下方向に対して直交するほぼ水平方向に延在するように形成されている。
【0034】
すなわち、レバー挿通孔14は、送り量調節レバー114の回動操作ができるように、送り量調節レバー114の回動操作経路に沿って平行に延在するように形成されている。また、レバー挿通孔14には、送り量調節レバー114の回動中心と操作部119との中間部分に形成されているリブ状の凸部120が配置されるようになっている。さらに、レバー挿通孔14の上面には、送り量調節レバー114の凸部120が着脱自在に嵌合される正面ほぼ矩形状に形成された複数のノッチ15が所定の間隔をおいて設けられている。
【0035】
なお、レバー挿通孔14の図1の上下方向に示す幅寸法は、凸部120の上下方向に示す高さ寸法より大きく形成されている。さらに、開口8の上下方向に示す寸法は、レバー挿通孔14の凸部120の形成部位における上下方向の寸法より大きく形成されている。
【0036】
また、送り量調節レバー114の凸部120が送り量調節レバー114の下面から下方に向かって設けられている場合には、レバー挿通孔14の下面に複数のノッチ15が設けられることになる。
【0037】
前記送り調節板13の長手方向の両端側の下部には、それぞれ厚さ方向に貫通する取付用長孔16、17が設けられている。これらの取付用長孔16、17は、左右1対とされており、それそれの長手方向が送り量調節レバー114の回動操作経路に沿って平行に延在するように形成されている。すなわち、送り調節板13には、レバー挿通孔14の長手方向と、取付用長孔16、17の長手方向とが相互に平行に延在するようにして配置されている。
【0038】
なお、取付用長孔16、17の形成位置としては、レバー挿通孔14の形成部位を除く部分、すなわち、レバー挿通孔14と干渉しない位置であればよく、また、取付用長孔16、17の数を3以上としてもよい。
【0039】
前記2つの取付用長孔16、17のうちの後側BSから見て右側の取付用長孔16には、調節つまみ18が挿入されるようになっている。この調節つまみ18は、円柱状の操作頭部18aと円柱状の段軸部18bと雄ねじ部18cとが軸方向に沿ってこの順に配置されて形成されている。そして、操作頭部18aの外径寸法は、取付用長孔16の上下方向に示す幅寸法より大きく設定されており、段軸部18bとは反対側の端面には回転操作用のすりわりが形成されている。なお、操作頭部18aの外径寸法としては、下ベース6の下半分の上面に接触しないように設定することが肝要である。さらに、段軸部18bの外径寸法は、取付用長孔16の上下方向に示す寸法より若干小さく設定されているとともに、逃げ穴9より小径となるように設定されている。この段軸部18bの長さ寸法は、送り調節板13の厚さ寸法と逃げ穴9の深さ寸法とを加算した寸法より短く、すなわち、段軸部18bの雄ねじ部18c側に位置する端面が逃げ穴9の底部に接触しないように設定されている。また、雄ねじ部18cの長さ寸法は、その先端が逃げ穴9の底部に形成されているねじ穴にねじ込んで螺着した状態においてねじ穴の底部に接触しないように設定されている。
【0040】
前記2つの取付用長孔16、17のうちの後側BSから見て左側の取付用長孔17には、ガイドピン19が挿入されるようになっている。このガイドピン19は、円柱状のピン頭部19aと円柱状のピン本体部19bとが軸方向に沿ってこの順に配置されて形成されている。そして、ピン頭部19aの外径寸法は、取付用長孔17の上下方向に示す寸法より大きく設定されているとともに、下ベース6の下半分の上面に接触しないように設定されている。さらに、ピン本体部19bの外径寸法は、ピン頭部19aより小径で、取付用長孔17の上下方向に示す寸法より若干小さく設定されているとともに、ピン穴10より若干小径となるように設定されている。また、ピン本体部19bの長さ寸法は、送り調節板13の厚さ寸法とピン穴10の深さ寸法とを加算した寸法より短く、すなわち、ピン本体部19bの先端面がピン穴10の底部に接触しないように設定されている。さらに、ピン本体部19bをピン穴10に挿入した状態においてピン本体部19bの中間部分にねじ孔11の内側の端が対向するように設定されている。
【0041】
前記右側の取付用長孔16に調節つまみ18を挿入して、調節つまみ18の雄ねじ部18cを逃げ穴9の底部に形成されているねじ穴にねじ込むことにより、取付用長孔16に段軸部18bが嵌合されて操作頭部18aと上後端面6aとの間に送り調節板13が固定されるようになっている。
【0042】
前記左側の取付用長孔17にガイドピン19を挿入して、ガイドピン19のピン本体部19bをピン穴10に押し込むことにより、取付用長孔17にピン本体部19bが嵌合されてピン頭部19aと上後端面6aとの間に送り調節板13が配置されるようになっている。また、ピン頭部19aのピン本体部19b側の端面7aと送り調節板13との間には、わずかな隙間が設けられており、この状態で止めねじ12をねじ孔11にねじ込んで、止めねじ12の先端をピン本体部19bの外周面に当接させることにより、ピン本体部19bがミシンベッド4に固定されるようになっている。
【0043】
したがって、調節つまみ18を緩めると、送り調節板13は、調節つまみ18の段軸部18bの外周面と、ガイドピン19のピン本体19bの外周面との両者をガイドとして、取付用長孔16、17の長手方向、ひいては送り量調節レバー114の回動操作経路に沿って平行な方向にスライド移動させることができるようになっている。
【0044】
すなわち、送り調節板13は、レバー挿通孔14から操作部119が外部に突出して回動操作可能なように取付用長孔16、17を介して送り量調節レバー114の回動操作方向と平行な方向に位置調節可能に取着されている。
【0045】
よって、本実施形態のボタン付けミシン1においては、ミシンフレーム3の送り量調節レバー114の操作部119の延出する位置には、送り量調節レバー114の中間部分が挿入され送り量調節レバー114の回動操作を可能とするように形成された長尺のレバー挿通孔14と、送り量調節レバー114の長手方向の移動を可能としつつその回動位置を保持するためにレバー挿通孔14の上面に間隔をおいて設けられ凸部120が着脱自在に嵌合される複数のノッチ15と、送り量調節レバー114の回動操作経路に沿って平行に延在するようにして形成された取付用長孔16、17とが設けられている送り調節板13が、レバー挿通孔14から操作部119が外部に突出して回動操作可能なように取付用長孔16、17を介して送り量調節レバー114の回動操作方向と平行な方向に位置調節可能に取着されている構成とされている。
【0046】
前記下ベース6の上後端面6aの図1の奥側に位置する左側には、送り調節板13の取付位置の位置決め(位置合わせ)のための目盛20が送り量調節レバー114の回動操作方向と平行な方向に沿って設けられており、送り調節板13の後側BSから見て右端を目盛20に重ねることで送り調節板13の取付位置、ひいては、送り量調節レバー114の操作量、すなわち縦送り量を知ることができるようになっている。
【0047】
したがって、送り量調節レバー114の回動操作方向の一端側に位置する送り調節板13の右端は、目盛20に対する指標21とされている。
【0048】
前記目盛20は、複数のノッチ15の間隔より縦送り量をさらに細分化して調節することができるように、複数のノッチ15の間隔より細部化して形成されている。この目盛20の間隔を細かくするほど縦送り量をより細かく調節することができる。また、目盛20の形成位置としては、下ベース6の上後端面6aの左側に設けたり、左側および右側の両側に設けてもよい。
【0049】
なお、ミシン本体2、縦送り機構102および縦送り量調節機構などのその他の構成については、従来のボタン付けミシンの構成と同様とされているので、その詳しい説明については省略する。
【0050】
つぎに、前述した構成からなる本実施形態の作用について説明する。
【0051】
本実施形態のボタン付けミシン1において、縦送り量を調節する場合には、まず、従来と同様に、送り量調節レバー114の操作部119を下方に押し下げて凸部120を嵌合しているノッチ15から離脱させた状態で、操作部119をレバー挿通孔14の長さ方向に沿って移動し、所望のノッチ15の下方に位置させてから操作部119を下方に押し下げている力を解除することにより、操作部119が凸部120とともに上方に復帰し、凸部120を所望のノッチ15と嵌合させることにより、縦送り量の大まかな調節を行う。
【0052】
ついで、調節つまみ18を緩めると、凸部120をノッチ15に嵌合させた状態で送り調節板13を、調節つまみ18の段軸部18bの外周面とガイドピン19のピン本体19bの外周面との両者をガイドとしてレバー挿通孔14の長さ方向に沿って、すなわち、送り量調節レバー114の回動操作方向と平行な方向にスライド移動させて所望の位置に位置決めする。これにより、送り量調節レバー114の操作部119が、送り量調節レバー114の回動操作方向と平行な方向であるレバー挿通孔14の長手方向の任意の位置に無段階で位置決めされることになり、縦送り量の細かい調節が行われる。
【0053】
また、従来と同様に、送り量調節レバー114は、移動体117に連結されているから移動体117が送りカム104の回転運動により縦方向に移動すれば送り量調節レバー114も長手方向に移動することになるが、上述した凸部120をノッチ15に嵌合させる構成により、送り量調節レバー114は、移動体117の縦方向の移動にともなう長手方向の移動が可能とされつつ所定の回動位置が保持可能とされることになる。
【0054】
この時、スライド移動させる移動量、すなわち、縦送り量を調節するために、送り調節板13を移動させた後の位置は、目盛20に対する指標21の位置により容易に位置決めすることができる。なお、指標21を目盛20の間隔の間に位置決めすることもできる。
【0055】
その後、調節つまみ18をねじ込んで送り調節板13の取付位置(送り量調節レバー114の操作後の位置)を固定することにより、縦送り量の調節が終了する。
【0056】
このように本実施形態のボタン付けミシン1によれば、送り調節板13が、レバー挿通孔14から操作部119が外部に突出して回動操作可能なように取付用長孔16、17を介して送り量調節レバー114の回動操作方向と平行な方向に位置調節可能にして開口8を塞ぐようにミシンフレーム3の送り量調節レバー114の操作部119の延出する位置に取着されているので、相互に隣位するノッチ15の間隔を細かくせずに、ノッチ15の間隔より細かい縦送り量の調節を容易に行うことができる。
【0057】
また、本実施形態のボタン付けミシン1によれば、送り調節板13の取着位置の送り量調節レバー114の回動操作方向の少なくとも一端が指標21とされており、ミシンフレーム3の送り調節板13の取着位置の送り量調節レバー114の回動操作方向の少なくとも一端側には、指標21が指し示す位置に送り調節板13の取付位置の位置決めのための複数のノッチ15の間隔より細かい目盛20が設けられているから、縦送り量の細かい調節を容易に行うことができる。
【0058】
したがって、本実施形態のボタン付けミシン1によれば、縦送り量を細かく調節することによる高性能化を確実に図ることができる。
【0059】
なお、本実施形態のボタン付けミシン1によれば、従来より縦送り量を細かく調節することが容易にできるので使い勝手に優れたものとなる。
【0060】
なお、本実施形態においては、送り量調節レバー114に形成された凸部120をノッチ15に嵌合する構成としたが、送り量調節レバー114に凸部120を形成せずに、ノッチ15の幅を送り量調節レバー114の幅方向長さより大きく形成し、送り量調節レバー114自体をノッチ15に嵌合させる構成としてもよい。
【0061】
図2は、本発明に係るボタン付けミシンの第2実施形態の要部を示す分解斜視図である。
【0062】
図2に示すように、本実施形態のボタン付けミシン1においては、ミシン本体2Aのミシンフレーム3A、詳しくはミシンベッド4Aの後側BSに送り調節部24が設けられている。この送り調節部24には、送り量調節レバー114の操作部119をミシンフレーム3Aの外部に突出させ送り量調節レバー114の回動操作を可能とするように、送り量調節レバー114の回動操作方向と平行な方向を長手方向とするミシンフレーム3Aをその厚さ方向に貫通する長尺のレバー挿通孔25が設けられている。このレバー挿通孔25の上方には、レバー挿通孔25と平行に延在するようにミシンフレーム3Aをその厚さ方向に貫通する長尺の第1ガイド長孔26が設けられており、レバー挿通孔25の下方には、レバー挿通孔25と平行に延在するようにミシンフレーム3Aをその厚さ方向に貫通する長尺の第2ガイド長孔27が設けられている。
【0063】
なお、送り調節部24の形成位置としては、ミシンフレーム3Aに形成されていればよく、特に、本実施形態のミシンベッド4の後側BSに限定されるものではない。また、図2においては、送り調節部24を平板状に模式化して示してある。
【0064】
前記送り調節部24の外側、詳しくは、ミシンフレーム3Aの送り調節部24の配設位置の外表面の第1ガイド長孔26の上方には、後述する第1および第2ガイド部材28、29、ひいては送り量調節レバー114の位置決めのための目盛20Aが第1ガイド長孔26の長手方向に沿って設けられている。
【0065】
前記送り調節部24の外側(ミシンフレーム3Aの外部に露出されている面)には、送り量調節レバー114の操作部119が挿通される第1挿通孔30と、第1ガイド長孔26との対向部分に設けられた操作ねじ31が挿通される貫通孔32とを有する縦長矩形の平板状に形成された第1ガイド部材28が配置されている。この第1ガイド部材28の第1挿通孔30の上面には、送り量調節レバー114の長手方向の移動を可能としつつその回動位置を保持するために、送り量調節レバー114が嵌合される係止部として送り量調節レバー114の凸部120が常に嵌合されるノッチ15Aが設けられている。なお、送り量調節レバー114の凸部120が送り量調節レバー114の下面から下方に向かって設けられている場合には、第1挿通孔30の下面にノッチ15Aが設けられることになる。
【0066】
なお、送り量調節レバー114に凸部120を設けずに、第1挿通孔30の幅方向長さを送り量調節レバー114の第1挿通孔30の挿通部分とほぼ同一幅に形成し、第1挿通孔30そのものを送り量調節レバー114が嵌合される係止部としてもよい。
【0067】
前記第1ガイド部材28の第2ガイド長孔27との対向部分には、ガイドピン33が挿通される第1ガイド孔34が設けられている。さらにまた、第1ガイド部材28の貫通孔32の形成位置の上方には、上下方向に延在する直線状の指標21Aが設けられている。この指標21Aの上端は、第1ガイド部材28の上端に接続されており、この指標21Aが目盛20Aのどの位置にあるかを視認することで送り量調節レバー114の操作量、すなわち縦送り量を知ることができるようになっている。よって、第1ガイド部材28は、その上端が目盛20Aの直下に位置するように配置できるように形成されている。また、目盛20Aは、送り量調節レバー114の回動操作方向と平行な方向に沿って配列されている。
【0068】
前記送り調節部24の内側(ミシンフレーム3Aの内部側の面)には、送り量調節レバー114の操作部119とは反対側の端部が挿通される第2挿通孔35と、第1ガイド長孔26との対向部分に設けられた操作ねじ31が螺着されるねじ孔36とを有する縦長矩形の平板状に形成された第2ガイド部材29が配置されている。また、第2ガイド部材29の第2ガイド長孔27との対向部分には、ガイドピン33が挿通される第2ガイド孔37が設けられている。
【0069】
前記操作ねじ31は、円柱状の操作頭部31aと円柱状の段軸部31bと雄ねじ部31cとが軸方向に沿ってこの順に配置されて形成されている。そして、操作頭部31aの外径寸法は、貫通孔32の直径寸法より大きく設定されており、段軸部31bとは反対側の面にはすりわりが形成されている。さらに、段軸部31bの外径寸法は、第1ガイド長孔26の上下方向に示す寸法より若干小さく設定されている。この段軸部31bの長さ寸法は、送り調節部24の厚さ寸法と第1ガイド部材28の厚さ寸法とを加算した寸法より短く、すなわち、段軸部31bの雄ねじ部31c側に位置する端面が第1ガイド長孔26の内部に位置して第2ガイド部材29とは接触しないように設定されている。また、雄ねじ部31cの長さ寸法は、その先端が第2ガイド部材29のねじ孔36にねじ込んで螺着することができるように設定されている。
【0070】
前記ガイドピン33は、円柱状のピン頭部33aと円柱状のピン本体部33bとが軸方向に沿ってこの順に配置されて形成されている。そして、ピン頭部33aの外径寸法は、第1ガイド孔34の直径寸法より大きく設定されている。さらに、ピン本体部33bの外径寸法は、ピン頭部33aより小径で、第2ガイド長孔27の上下方向に示す寸法より若干小さく、かつ、第2ガイド孔37の内径寸法より若干小さく設定されている。また、ピン本体部33bの長さ寸法は、第1ガイド部材部材28の厚さ寸法と送り調節部24の厚さ寸法と第2ガイド部材29の厚さ寸法とを加算した寸法より長く、すなわち、ピン本体部33bの先端が第2ガイド部材29の第2ガイド孔37から突出するよう設定されている。そして、ピン本体部33bの第2ガイド部材29の第2ガイド孔37から突出している部分には、円筒状のスラストカラー38の内孔が装着されており、このスラストカラー38の径方向外側から止めねじ39を螺入して止めねじ39の先端をピン本体部33bに当接させることにより、スラストカラー38がガイドピン33に着脱自在に固定されている。
【0071】
前記貫通孔32に操作ねじ31を挿入して、操作ねじ31の雄ねじ部31cをねじ孔36にねじ込むことにより、第1および第2ガイド部材28、29は、送り操作部119の第1ガイド長孔26を間において送り調節部24を挟持して固定されるようになっている。
【0072】
前記第1ガイド孔34にガイドピン33のピン本体部33bを挿入して、ガイドピン33のピン本体部33bの先端を第2ガイド孔37から突出させるとともに、ピン本体部33bの第2ガイド部材29の第2ガイド孔37から突出している部分にスラストカラー38の内孔を装着した後、スラストカラー38の径方向外側から止めねじ39を螺入して止めねじ39の先端をピン本体部33bに当接させることにより、第1および第2ガイド部材28、29は、送り調節部24の第2ガイド長孔27を間において送り調節部24を挟持して固定されるようになっている。なお、第1ガイド部材28と送り調節部24の外面との間、および/または、第2ガイド部材29と送り調節部24の内面との間には、わずかな隙間が設けられている。
【0073】
したがって、操作ねじ31を緩めると、第1および第2ガイド部材28、29は、第1および第2ガイド長孔26、27をガイドとして、レバー挿通孔25の長手方向、ひいては送り量調節レバー114の回動操作経路に沿って平行な方向にその取り付けた姿勢を保持した状態でスライド移動させることができるようになっている。
【0074】
すなわち、第1および第2ガイド部材28、29は、送り量調節レバー114の回動操作方向と平行な方向に位置調節可能に取着されている。
【0075】
なお、操作ねじ31およびガイドピン33を上下反転して配置するように構成してもよい。
【0076】
また、ミシン本体2、縦送り機構102などのその他の構成については、前述した第1実施形態のボタン付けミシン1と同様の構成とされているので、その詳しい説明については省略する。
【0077】
このような構成からなるの本実施形態のボタン付けミシン1Aによれば、前述した第1実施形態のボタン付けミシン1と同様の効果を奏することができる。
【0078】
すなわち、本実施形態のボタン付けミシン1Aにおいて、縦送り量を調節する場合には、操作ねじ31を緩めてから操作ねじ31を移動させると、第1および第2ガイド部材28、29は、第1および第2ガイド長孔26、27をガイドとして操作ねじ31とともに送り量調節レバー114の回動操作方向と平行な方向にその取り付けた姿勢を保持した状態で移動する。この時、凸部120がノッチ15Aに嵌合されているので、操作ねじ31の移動にともなって、送り量調節レバー114の操作部119も連動して移動するから、操作ねじ31の移動は、送り量調節レバー114の操作部119を操作することになる。そして、操作ねじ31を所望の位置に位置決めする。これにより、送り量調節レバー114の操作部119が、送り量調節レバー114の回動操作方向と平行な方向であるレバー挿通孔25の長手方向の任意の位置に無段階で位置決めされることになり、縦送り量の調節が行われる。
【0079】
この時、操作ねじ31とともに移動する第1および第2ガイド部材28、29の移動させた後の取付位置は、目盛20Aに対する指標21Aの位置により容易に位置決めすることができる。
【0080】
その後、調節ねじ31をねじ込んで、第1および第2ガイド部材28、29の送り調節部24に対する取付位置(送り量調節レバー114の操作後の位置)を固定することにより、縦送り量の調節が終了する。
【0081】
このように本実施形態のボタン付けミシン1によれば、第1および第2ガイド部材28、29が送り量調節レバー114の回動操作方向と平行な方向に位置調節可能に取着されているので、送り量調節レバー114の操作部119をレバー挿通孔25の任意の位置に固定することができる。その結果、縦送り量の細かい調節を容易に行うことができる。
【0082】
また、本実施形態のボタン付けミシン1によれば、第1ガイド部材28には、第1および第2ガイド部材28、29の位置決めのための指標21Aが設けられており、送り調節部24の外側には、指標21Aが指し示す位置に縦送り量をあらわす目盛20Aが設けられているので、目盛20Aを細かくするという簡単な構成により縦送り量の細かい調節を容易に行うことができる。
【0083】
したがって、本実施形態のボタン付けミシン1Aによれば、縦送り量を細かく調節することによる高性能化を確実に図ることができる。
【0084】
なお、本実施形態のボタン付けミシン1Aによれば、従来より縦送り量を細かく調節することが容易にできるので使い勝手に優れたものともなる。
【0085】
また、本発明は、前述した各実施形態に限定されるものではなく、必要に応じて種々の変更が可能である。例えば、上述の第2実施形態では、第1挿通孔30に係止部としてのノッチ15Aを形成したが、第2挿通孔35に係止部としてのノッチ15Aを形成してもよい。また、この場合も、送り量調節レバー114に凸部15Aを設けずに、第2挿通孔35の幅方向長さを送り量調節レバー114の第2挿通孔35の挿通部分とほぼ同一幅に形成し、第1挿通孔35そのものを送り量調節レバー114が嵌合される係止部としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】本発明に係るボタン付けミシンの第1実施形態の要部を示す分解斜視図
【図2】本発明に係るボタン付けミシンの第2実施形態の要部を示す分解斜視図
【図3】従来のボタン付けミシンの縦送り機構の要部を示す平面図
【図4】従来のボタン付けミシンの送り量調節レバーの操作部近傍を示す斜視図
【符号の説明】
【0087】
1、1A ボタン付けミシン
2、2A ミシン本体
3、3A ミシンフレーム
4、4A ミシンベッド
8 開口
13 送り調節板
14、25 レバー挿通孔
15、15A ノッチ
16、17 取付用長孔
20、20A 目盛
21、21A 指標
24 送り調節部
26 第1ガイド長孔
27 第2ガイド長孔
28 第1ガイド部材
29 第2ガイド部材
30 第1挿通孔
31 操作ねじ
32 貫通孔
35 第2挿通孔
36 ねじ孔
102 縦送り機構
103 カム軸
104 送りカム
106 カム溝
108 揺動レバー
110 駆動アーム
111 従動アーム
112 コロ軸
114 送り量調節レバー
115a、115b リンク
116 連結部
117 送り台
119 操作部
120 凸部
FS 前側
BS 後側

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボタンおよび被縫製物を移動させる縦送り機構を備えており、
この縦送り機構は、回転駆動可能とされたカム軸と、このカム軸に取着され外周にカム溝が形成された送りカムと、この送りカムの回転駆動により少なくともミシンベッドの長手方向に沿った縦方向に移動される移動体と、
一端に前記移動体に連結される連結部を有するとともに他端にミシンフレームから外部に延出される操作部を有し、該操作部の操作により前記連結部を中心に回動操作可能かつ長手方向に移動可能とされつつ所定の回動位置が保持可能に構成された送り量調節レバーと、
ミシンフレームに回転自在に軸支される基端部を挟んで一方の腕が前記カム溝に嵌合して揺動する従動節が取着された駆動アームとされ、他方の腕が前記連結部を中心とする円弧状のガイド部が設けられた従動アームとされるベルクランク状の揺動部材とを有しており、
前記送り量調節レバーの長手方向中央部には、前記従動アームのガイド部と係合する送り調節駒が回動自在に取着され、
前記送り量調節レバーの回動操作により、前記従動アームの前記ガイド部と前記送り量調節駒との係合位置を変更し前記縦方向の移動量を変更可能としたボタン付けミシンにおいて、
前記ミシンフレームの前記送り量調節レバーの操作部の延出する位置には、前記送り量調節レバーの操作部をミシンフレームの外部に突出するように配置するための開口と、この開口を閉塞する送り調整板とが設けられており、
前記送り調整板には、前記送り量調節レバーの中間部分が挿入され前記送り量調節レバーの回動操作を可能とするように形成された長尺のレバー挿通孔、前記送り量調節レバーの長手方向の移動を可能としつつその回動位置を保持するために前記レバー挿通孔の上面あるいは下面に間隔をおいて設けられ前記送り量調節レバーが嵌合される複数のノッチ、および、前記送り量調節レバーの回動操作経路に沿って平行に延在するようにして形成された取付用長孔が設けられており、
前記開口に対して前記記送り調整板が、前記レバー挿通孔から前記操作部が外部に突出して回動操作可能なように前記取付用長孔を介して前記送り量調節レバーの回動操作方向と平行な方向に位置調節可能に取着されていることを特徴とするボタン付けミシン。
【請求項2】
前記送り調節板の前記送り量調節レバーの回動操作方向の少なくとも一端が指標とされており、
前記ミシンフレームの前記送り調節板の取着位置の前記送り量調節レバーの回動操作方向の少なくとも一端側には、前記指標が指し示す位置に前記送り調節板の取付位置の位置決めのための前記複数のノッチの間隔より細かい目盛が前記送り量調節レバーの回動操作方向と平行な方向に沿って設けられている請求項1のボタン付けミシン。
【請求項3】
ボタンおよび被縫製物を移動させる縦送り機構を備えており、
この縦送り機構は、回転駆動可能とされたカム軸と、このカム軸に取着され外周にカム溝が形成された送りカムと、この送りカムの回転駆動により少なくともミシンベッドの長手方向に沿った縦方向に移動される移動体と、
一端に前記移動体に連結される連結部を有するとともに他端にミシンフレームから外部に延出される操作部を有し、該操作部の操作により前記連結部を中心に回動操作可能かつ長手方向に移動可能とされつつ所定の回動位置が保持可能に構成された送り量調節レバーと、
ミシンフレームに回転自在に軸支される基端部を挟んで一方の腕が前記カム溝に嵌合して揺動する従動節が取着された駆動アームとされ、他方の腕が前記連結部を中心とする円弧状のガイド部が設けられた従動アームとされるベルクランク状の揺動部材とを有しており、
前記送り量調節レバーの長手方向中央部には、前記従動アームのガイド部と係合する送り調節駒が回動自在に取着され、
前記送り量調節レバーの回動操作により、前記従動アームの前記ガイド部と前記送り量調節駒との係合位置を変更し前記縦方向の移動量を変更可能としたボタン付けミシンにおいて、
前記ミシンフレームの前記送り量調節レバーの操作部の延出する位置には、前記送り量調節レバーの操作部をミシンフレームの外部に突出させ前記送り量調節レバーの回動操作を可能とするようにミシンフレームを貫通する長尺のレバー挿通孔、このレバー挿通孔の上方において前記レバー挿通孔と平行に延在するようにミシンフレームを貫通する長尺の第1ガイド長孔、および、前記レバー挿通孔の下方において前記レバー挿通孔と平行に延在するようにミシンフレームを貫通する長尺の第2ガイド長孔を有する送り調節部が設けられており、
前記送り調節部の外側には、前記送り量調節レバーの操作部が挿通される第1挿通孔と、前記第1あるいは第2ガイド長孔との対向部分に設けられた操作ねじが挿通される貫通孔とを有する第1ガイド部材が配置されており、
前記送り調節部の内側には、前記送り量調節レバーの操作部とは反対側の端部が挿通される第2挿通孔と、前記第1あるいは第2ガイド長孔との対向部分に設けられた前記操作ねじが螺着されるねじ孔とを有する第2ガイド部材が配置されており、
前記第1および第2挿通孔のうちの少なくとも一方には、前記送り量調節レバーの長手方向の移動を可能としつつその回動位置を保持するために前記送り量調節レバーが嵌合される係止部が設けられており、
前記送り量調節レバーを前記係止部に嵌合した状態で、前記操作ねじを前記第1挿通孔と前記第1あるいは第2ガイド長孔とをこの順に挿通して前記ねじ孔に螺着することにより、前記送り調節部に、前記第1および第2ガイド部材が前記送り量調節レバーの回動操作方向と平行な方向に位置調節可能に取着されていることを特徴とするボタン付けミシン。
【請求項4】
前記第1ガイド部材には、前記第1および第2ガイド部材の位置決めのための指標が設けられており、
前記送り調節部の外側には、前記指標が指し示す位置に縦送り量をあらわす目盛が前記送り量調節レバーの回動操作方向と平行な方向に沿って設けられている請求項3に記載のボタン付けミシン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−17923(P2008−17923A)
【公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−190448(P2006−190448)
【出願日】平成18年7月11日(2006.7.11)
【出願人】(000003399)JUKI株式会社 (1,557)
【Fターム(参考)】