説明

ボトル容器検査装置

【課題】ボトル容器の高速搬送が可能であると共に首部及び胴部等のボトル容器全体の検査が容易にできるボトル容器検査装置を提供する。
【解決手段】本発明のボトル容器検査装置1は、首部NにフランジFを有するボトル容器Bを、首部Nを上にした正立状態で搬送しつつボトル容器Bを検査する装置であって、ボトル首部Nを把持して搬送する首部把持搬送ユニット5と、ボトル容器Bの胴部Mを把持して搬送する胴部把持搬送ユニット7と、ボトル胴部Bを検査する胴部検査部15と、ボトル首部Nを検査する首部検査部37とを備え、首部把持搬送ユニット5に胴部検査部15が設けてあり、胴部把持搬送ユニット5に首部検査部37が設けてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボトル容器の傷や損傷、異物混入等を検査するボトル容器検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のボトル容器検査装置において、特許文献1にはコンベアベルト上にボトル容器を正立させた状態で搬送し、ボトル首部を撮像部で撮像してボトル容器の異常を検査することが開示されている。
【0003】
特許文献2には、ロータリホイールによりボトル容器の胴部を保持しつつ搬送してボトル容器を検査することが開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開2005−308441号公報
【特許文献2】特開2004−205453号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述の特許文献1に記載の従来技術では、コンベアベルト上にボトル容器を正立させ搬送しているので、ボトル容器が不安定で搬送し難く、特に高速搬送での検査ができないという問題がある。
【0006】
一方、特許文献2の従来技術では、ロータリホイールは高価であると共に大きな設置面積が必要になるという問題がある。また、胴部を保持しているため、保持部材が邪魔になって胴部の検査がし難いという問題がある。
【0007】
そこで、本発明は、ボトル容器の高速搬送が可能であると共に首部及び胴部等のボトル容器全体の検査が容易にできるボトル容器検査装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、請求項1に記載された発明は、首部にフランジを有するボトル容器を、首部を上にした正立状態で搬送しつつボトル容器を検査するボトル容器検査装置であって、ボトル首部を把持して搬送する首部把持搬送ユニットと、ボトル容器の胴部を把持して搬送する胴部把持搬送ユニットと、ボトル胴部を検査する胴部検査部と、ボトル首部を検査する首部検査部とを備え、首部把持搬送ユニットに胴部検査部が設けてあり、胴部把持搬送ユニットに首部検査部が設けてあることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載された発明は、請求項1に記載の発明において、首部把持搬送ユニットは、上ベルトと下ベルトとを備え、上ベルトと下ベルトでボトル容器のフランジを上下から挟んで搬送することを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載された発明は、請求項1に記載の発明において、胴部把持搬送ユニットは、搬送方向に沿って間隔をあけて設けてありボトル容器を水平方向から挟む一方及び他方のベルトとを備え、少なくとも一方のベルトには他方のベルトに向けて突設する複数の突状部を有し、突状部がボルト容器の胴部を他方側ベルトに向けて押圧しつつボトル容器を搬送することを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載された発明は、請求項3に記載の発明において、突状部は薄板状のフィンであり、ボトル容器側に突設するフィンの先端部又は屈曲部がボトル容器の胴部を押圧することを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載された発明は、請求項1に記載の発明において、首部把持搬送ユニット及び胴部把持搬送ユニットのボトル搬送方向下流側には、排斥ユニットを備え、胴部検査部と首部検査部とはボトル容器の異常を検知するボトル制御部を備え、排斥ユニットは首部把持搬送ユニット又は胴部把持搬送ユニットからボトル容器を受けて搬送する排斥搬送部と、排斥搬送部からボトル容器を落下する落下部と、落下部の駆動を制御する排斥制御部とを有し、排斥制御部はボトル制御部からの異常検知信号を受けると異常検知されたボトル容器を落下部で落下させてボトル搬送部から排斥することを特徴とする。
【0013】
請求項6に記載された発明は、請求項5に記載の発明において、首部把持搬送ユニット及び胴部把持搬送ユニットは、各々エンコーダを備え、ボトル制御部はエンコーダからの位置信号に基づいて、胴部検査部及び首部検査部で異常を検知したボルト容器のアドレスを演算して異常を検知したボトル容器のアドレス信号を排斥制御部に送ることにより、排斥制御部は落下させるボトル容器を特定することを特徴とする。
【0014】
請求項7に記載された発明は、請求項5に記載の発明において、落下部は、排斥搬送部で搬送するボトルの支持を解除するボトル支持解除部と、ボトルの支持が解除されたときに、上方からボトルを押す押部材とを備えることを特徴とする。
【0015】
請求項8に記載された発明は、請求項5に記載の発明において、落下部は複数設けてあり、ボトル容器の各異常部位毎に異なる落下部でボトル容器を落下させて排斥することを特徴とする。
【0016】
請求項9に記載された発明は、請求項1に記載の発明において、胴部把持搬送ユニットには、ボトル容器の底部を検査する底部検査部を更に備えることを特徴とする。
【0017】
請求項10に記載された発明は、請求項9に記載の発明において、胴部検査部、首部検査部及び底部検査部は、各々撮像部を有し、各撮像部は撮影した映像信号をボトル容器制御に送り、ボトル容器制御は映像信号に基づいてボトル容器の異常を検知することを特徴とする。
【0018】
請求項11に記載された発明は、請求項1に記載の発明において、首部把持搬送ユニットと、胴部把持搬送ユニットとをボトル搬送方向に沿ってこの順序で連続して設け、首部把持搬送ユニットの上流側にはスパイラルスクリュー搬送ユニットを設け、スパイラルスクリュー搬送ユニットは、一対のスパイラルスクリュー間にボトル容器を正立状態で直線搬送し、首部把持搬送ユニットはスパイラルスクリュー搬送ユニットで搬送しているボトル容器の首部を把持することを特徴とする。
【0019】
請求項12に記載された発明は、請求項6に記載の発明において、首部把持搬送ユニットと、胴部把持搬送ユニットとをボトル搬送方向に沿ってこの順序で連続して設け、首部把持搬送ユニットの上流側にはスパイラルスクリュー搬送ユニットを設け、スパイラルスクリュー搬送ユニットは、ボトル制御部に位置信号を送信するエンコーダを備え、ボトル制御部は首部把持搬送ユニット又は胴部把持搬送ユニットのエンコーダからの位置信号に基づいて、スパイラルスクリュー搬送ユニットのボトル搬送量を制御していることを特徴とする。
【0020】
請求項13に記載された発明は、請求項11に記載の発明において、少なくともスパイラルスクリュウ搬送ユニット及び胴部把持搬送ユニットには、搬送しているボトル容器のフランジの下側にフランジから離れて位置してボトル容器が落下したときにフランジを受ける落下防止レールが設けてあり、落下防止レールはスパイラルスクリュウ搬送ユニット及び胴部把持搬送ユニットにおけるボトル容器の搬送方向に沿って配置してあることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
請求項1に記載の発明によれば、首部を把持して搬送しているときにボトル容器の胴部を検査し、胴部を把持して搬送しているときにボトル容器の首部を検査しているので、把持部が邪魔にならずに、ボトル容器全体の検査を行うことができると共に、搬送時にはボトル容器を把持しているので、安定で且つ高速搬送ができる。
【0022】
特に、ボトル容器は、いずれの検査位置にある場合にも常時把持しているので、安定で且つ高速搬送が実現できるものである。
【0023】
ボトル容器の搬送時には搬送方向に沿ってボトルを把持しているので、従来技術のような高価なロータリホイールを用いないでも直線搬送が可能であり、設備の占有面積を小さくでき、且つ安価である。
【0024】
ボトル容器は常時正立状態で搬送するので、ボトル容器の取り扱いが容易であり、検査機器の種類や設置の自由度が高い。
【0025】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の作用効果を奏すると共に、ボトル容器のフランジを上下のベルトで挟持するので、ボトル容器のフランジを利用して容易に且つ簡易な構成で確実に保持することができる。
【0026】
請求項3に記載の発明によれば、請求項1に記載の作用効果を奏すると共に、複数の突状部でボトル容器の胴部を押圧するので、簡易な構成でボトル保持力を高めることができる。
【0027】
請求項4に記載の発明によれば、請求項3に記載の作用効果を奏すると共に、フィンの先端又は屈曲部でボトル容器を保持するので、弾性力を持って押圧でき、胴部把持するときにボトル容器が損傷するのを防止できる。
【0028】
請求項5に記載の発明によれば、請求項1に記載の作用効果を奏すると共に、検査により異常があるボトル容器をボトル搬送路から容易に排斥できる。
【0029】
請求項6に記載された発明によれば、請求項5に記載された発明と同様の作用効果を奏すると共に、異常があったボトル容器のアドレスが特定できるので、異常があったボトル容器のみを確実に選択して排斥できる。
【0030】
請求項7に記載された発明によれば、請求項5に記載された発明と同様の作用効果を奏すると共に、排斥するべきボトル容器を上方から叩き落とすことによって、高速搬送していても所定の位置で確実にボトル容器を排斥ができる。
【0031】
請求項8に記載された発明によれば、請求項5に記載された発明と同様の作用効果を奏すると共に、異常があった空ボトルを異常部位毎に仕分けして排斥することができる。
【0032】
請求項9に記載された発明によれば、請求項1に記載された発明と同様の作用効果を奏すると共に、ボトル容器の胴部を保持する胴部把持搬送ユニット部では、首部把持搬送ユニットよりもボトル容器を安定した状態で搬送できるから、容器底部の検査を安定に且つ容易に行うことができる。
【0033】
底部検査をすることにより、首部及び胴部に加えて容器全体の検査を行うことができる。
【0034】
請求項10に記載された発明によれば、請求項1に記載された発明と同様の作用効果を奏すると共に、ボトル容器の各部位を撮像により検査するので、非接触による検査ができ、高速搬送しながら映像処理による連続的な検査をおこなうことができる。
【0035】
請求項11に記載された発明によれば、請求項1に記載された発明と同様の作用効果を奏すると共に、首部把持搬送ユニットへのボトル容器の搬送及び受け渡しを安定に且つスムーズに行うことができ、首部把持搬送ユニットへの受け渡しから高速搬送ができる。
【0036】
請求項12に記載された発明によれば、請求項6に記載された発明と同様の作用効果を奏すると共に、スクリュウ搬送ユニットから首部把持搬送ユニット及び胴部把持搬送ユニットの適正位置にボトル容器を搬送することができる。
【0037】
請求項13に記載された発明は、請求項11に記載の発明において、落下防止レールが搬送方向に設けてあるので、ボトル容器の搬送中にボトル容器が把持部から滑り落ちたり、搬送ユニットの停止や駆動時の衝撃により落下しようとしても、落下防止レールがボトル容器のフランジを受けて、ボトル容器の落下を防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
以下に、添付図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は本発明の実施の形態にかかる検査装置の概略的構成を示す側面図であり、図2は図1に示す検査装置の概略的構成を示す平面図であり、図3は首部把持搬送ユニットによるボトル首部を把持した状態を示す断面図であり、図4は胴部把持搬送ユニットによるボトル胴部を把持した状態を示す平面図であり、図5は胴部把持搬送ユニットの一部を示す斜視図であり、図6は排斥ユニットの平面図であり、図7は排斥ユニットの側面図であり、図8は胴部把持搬送ユニットにおけるボトル首部と落下防止レールとの関係を示した断面図である。
【0039】
まず、図1及び図2を参照して本発明の実施の形態に係るボトル容器検査装置1の構成を説明する。ボトル容器検査装置1は、飲料充填前の空ボトル容器Bの傷や変形、異物付着や異物混入等を検査する装置であり、ボトル容器Bの首部Nを上にした正立状態で搬送しつつボトル容器を検査する。ボトル容器Bは、首部NにフランジF(図3参照)が形成された樹脂製容器(いわゆる「ペットボトル」)である。尚、本明細書では首部Nには口部を含む。
【0040】
ボトル容器検査装置1は、スパイラルスクリュー搬送ユニット3と、首部把持搬送ユニット5と、胴部把持搬送ユニット7と、排斥ユニット9とをこの順序で備え、各ユニットはボトル容器Bを、首部Nを上にした正立状態で直線状に搬送する。
【0041】
スパイラルスクリュー搬送ユニット3は、搬送方向に沿って略平行に配置した一対のスパイラルスクリュー11a、11b、一対のネックフランジ部支持材55a、55bを備え、一対のスパイラルスクリュー11a、11b間にボトル容器Bの胴部Mを挟み、且つ一対のネックフランジ部支持材55a、55bにてフランジFを下方から支持し、スクリュウの回転により一本ずつ正立状態で搬送する。尚、本実施の形態では左右の各スパイラルスクリュー11a、11bは各上下に2つずつ合計4本のスクリューが設けてある。また、スパイラルスクリュー搬送ユニット3は、駆動部にエンコーダ25が設けてあり、エンコーダ25で計測した移動量信号をボトル制御部19に送信している。
【0042】
首部把持搬送ユニット5は、スパイラルスクリューの上部から搬送方向下流に沿って設けた上下のゴム製無端ベルト13a、13bを備え、上下の無端担ベルト13a、13bで、ボトル容器BのフランジFを挟んでボトル容器Bを吊り下げるようにして搬送している。
【0043】
首部把持搬送ユニット5の中間部には、胴部検査部15が設けてある。胴部検査部15には、4つの撮像部17が搬送方向に沿って2個ずつ搬送路を挟む位置に設けてあり、ボトル容器Bの胴部Mを四方から撮影している。各撮像部17は、ボトル制御部19に接続されており、ボトル制御部19では、撮像部17からの画像信号を受けて、撮影した映像の光の濃淡から傷、変形や異物があることを演算処理する。傷や異物等があると判断した場合には、排斥ユニット9の排斥制御部21(後述する)に異常信号を送る。また、首部把持搬送ユニット5の無端ベルト13a、13bの駆動部23にはエンコーダ25が設けてあり、駆動部23で無端ベルト13a、13bの移動距離からボトル容器Bの位置信号をボトル制御部19に送信しており、ボトル制御部19ではボトル容器Bのアドレスを特定するようになっている。尚、ボトル制御部19にはモニター27が接続されており、撮像したボトル容器の映像を必要に応じて監視できるようになっている。
【0044】
首部把持搬送ユニット5の下流側端には、胴部把持搬送ユニット7が設けてあり、胴部把持搬送ユニット7の上流側端は首部把持搬送ユニット5の下流側端に一部重なって配置されており、首部把持搬送ユニット5により首部Nが吊り下げてあるボトル容器Bの胴部Mを把持して連続搬送するようになっている。
【0045】
胴部把持搬送ユニット7は、搬送方向に沿って間隔をあけて設けてあり設けた一方及び他方のベルト29a、29bとを備えており、一方及び他方のベルト29a、29bでボトル容器Bの胴部Mを水平方向から挟んで搬送する。一方及び他方のベルト29a、29bは帯状であり、ベルト29a、29bの上方にボトル容器Bの首部Nが出るようになっている。
【0046】
一方のベルト29aには、他方のベルト29bに向けて突設する複数の突状部31が設けてある。突状部31は薄板状のフィンであり、他方のベルト29b側に突設するフィンの先端部31a又は屈曲部31bがボトル容器Bの胴部Mを押圧して保持するようになっている。
【0047】
他方のベルト29bには、一方のベルト29a側に一対のローラ33、33が設けてあり、一対のローラ33、33でボトル容器Bの胴部Mを受けている。他方のベルト29bは排斥ユニット9の下流側まで延出してあり、排斥搬送部41を兼ねている。
【0048】
尚、各ベルト29a、29bの駆動部26にもエンコーダ25が設けてあり、ボトル制御部19では他方のベルト29bの移動量からボトル容器Bのアドレスを演算するようになっている。
【0049】
胴部把持搬送ユニット7には、上流側から下流側に、首部検査部37と底部検査部39とがこの順序で設けてある。首部検査部37はネックリング検査部37a、口内面検査部(首部検査部)37b、天面検査部37cから構成されており、各検査部37a、37b、37c及び底部検査部39はカメラ(撮像部)であり、各検査部は対応するボトル容器Bの部位を撮影して、その映像信号をボトル制御部19に送信している。ボトル制御部19では、映像信号から各部位毎に傷や異物等の陰に基づいて異常を検知する。
【0050】
排斥ユニット9は胴部把持搬送ユニット7からボトル容器Bを受けて搬送する排斥搬送部41と、排斥搬送部41からボトル容器Bを落下する落下部43と、落下部43の駆動を制御する排斥制御部21とを有している。
【0051】
排斥搬送部41は、搬送方向に延出して、首部NのフランジFを受ける一対の案内レール45を有している。落下部43は排斥搬送部41の途中に設けてフランジFを受ける一対のボトル支持部47と一対のボトル支持部47を互いにボトル首部Nから離れる方向に移動させてボトル容器BのフランジFとの係合を外すシリンダ49と、ボトル容器Bの首部Nを上から押圧して叩き落とす押部材53と、落下したボトル容器Bを収納する収納部51とから構成されている。排斥制御部21は、ボトル制御部19から異常ボトル検知信号及びそのアドレス信号を受けると、シリンダ49を駆動してボトル支持部47を移動してボトル容器BのフランジFとの係合を外すと共に押部材53により異常ボトル容器を叩き落とす。押部材53は、上下方向に駆動するシンリンダ52により下方に押し下げ自在になっている。落下部43は搬送方向に沿って2つ並べて設けてあり、異常箇所毎に分けて落下するようになっている。例えば、上流側の落下部43では、ボトル容器Bの胴部に異常があるもの、下流側の落下部43では首部Nに異常があるものに分けている。尚、排斥ユニット9を通過したボトル容器Bは次工程に搬送されるようになっている。
【0052】
また、本実施の形態では、図1及び図8に示すように、スパイラルスクリュウ搬送ユニット3及び胴部把持搬送ユニット7、排斥ユニット7の排斥搬送部41には、搬送しているボトル容器BのフランジFの下側にフランジFから離れて位置してボトル容器Bが落下したときにフランジFを受ける落下防止レール61が設けてある。このように、落下防止レール61を設けることにより、搬送途中にあるボトル容器Bの落下を防止することができる。
【0053】
次に、本実施の形態によるボトル検査方法及び作用効果を説明する。スパイラルスクリュー搬送ユニット3により首部Nを上にして正立状態で搬送されてきたボトル容器Bは、首部把持搬送ユニット5の上下の無端ベルト13a、13bにより挟持されて吊り下げた状態で首部把持搬送ユニット5を移動する。
【0054】
スパイラルスクリュー搬送ユニット3では、略平行に配置した一対のスパイラルスクリュー11a、11bによりボトル容器Bを搬送することにより、ボトル容器Bを所定の間隔で正立搬送することができる。
【0055】
首部把持搬送ユニット5では、胴部検査部15で撮像部17により四方から撮影されて撮影された映像信号がボトル制御部19に送られて、胴部Mの映像から異常を検知する。例えば、影となる部分の領域を検知すると正常なものと比較して異常を判断する。同時にボトル制御部19では、エンコーダ25から位置信号を受けてその異常ボトルBのアドレスを特定し、異常信号と共に排斥制御部21に送信する。
【0056】
首部把持搬送ユニット5の搬送方向下流では吊り下げられているボトル容器Bの胴部Mを、胴部把持搬送ユニット7の一方及び他方のベルト29a、29bで挟持して連続搬送する。胴部把持搬送ユニット7の搬送途中では、各首部検査部37a、37b、37c及び底部検査部39でボトル容器Bの各部位を撮影してその映像信号をボトル制御部19に送り、胴部検査部15と同様に映像信号からボトル容器Bの異常を判断する。また、エンコーダ25からの位置信号によりそのアドレスを特定して、異常ボトル信号と共に排斥制御部21に送信する。
【0057】
排斥ユニット9では、排斥制御部21が異常ボトル信号及びアドレス信号を受けると、そのアドレスのボトル容器Bが搬送されてきたときにシリンダ49を作動させてボトル支持部47を後退させてボトル容器Bとの係合を外すと共に、押部材53で収納部51に叩き落とす。
【0058】
本実施の形態によれば、従来搬送速度が300bpm(本/分)であったものを620bpmで搬送して検査し、異常ボトルを自動的に排斥することができた。
【0059】
本実施の形態にかかる検査装置1によれば、首部把持搬送ユニット5で、首を把持して搬送しているときにボトル容器Bの胴部Mを検査し、胴部把持搬送ユニット7で胴部Mを把持して搬送しているときにボトル容器Bの首部Nを検査しているので、各把持部が邪魔にならずに、ボトル容器B全体の検査を行うことができると共に、搬送時にはボトル容器Bを把持しているので、安定で且つ高速搬送ができる。
【0060】
特に、各搬送ユニット5、7、9は直線状に且つ連続して設けているので、ロータリホイールに比較して、設備の占有面積を小さくでき、且つ安価である。
【0061】
ボトル容器Bは、常時正立状態で且つ中空を搬送するので、ボトル容器Bの取り扱いが容易であり、各検査部37、39における検査機器(撮像部)17の種類や設置の自由度が高い。
【0062】
首部把持搬送ユニット5では、ボトル容器BのフランジFを上下のベルト13a、13bで挟持するので、ボトル容器BのフランジFを利用して容易に且つ簡易な構成で確実に保持することができる。
【0063】
胴部把持搬送ユニット7では、複数の突状部31でボトル容器Bの胴部Mを押圧するので、簡易な構成でボトル保持力を高めることができる。
【0064】
特に、突条部31はフィン形状として、フィンの先端31a又は屈曲部31bでボトル容器Bを保持するので、弾性力を持って押圧でき、胴部Mを把持するときにボトル容器Bが損傷するのを防止できる。
【0065】
排斥ユニット9では、エンコーダ25により位置を特定した異常ボトル容器Bを、搬送路から落下させるので、異常ボトル容器を搬送路から自動排斥できる。
【0066】
また、首部把持搬送ユニット5及び胴部把持搬送ユニット7にエンコーダ25を設ける構成であるから、簡易な構成で搬送している各ボトル容器Bのアドレスを特定できる。
【0067】
スパイラルスクリュー搬送ユニット3は、ボトル制御部19に位置信号を送信するエンコーダ25を備え、ボトル制御部19は首部把持搬送ユニット5及び胴部把持搬送ユニット7のエンコーダ25からの位置信号に基づいて、スパイラルスクリュー搬送ユニット3のボトル搬送量を制御しているので、スクリュウ搬送ユニット3から首部把持搬送ユニット5の適正位置にボトル容器Bを搬送することができる。
【0068】
排斥ユニット9では、排斥するべきボトル容器Bを押部材53により上方から叩き落とすことによって、高速搬送していても収納部51の位置で確実にボトル容器Bを排斥ができる。
【0069】
排斥ユニット9では、複数の落下部43を設けているので、異常があった空ボトルBを異常部位毎に仕分けして各収納部51、51に排斥することができる。
【0070】
胴部把持搬送ユニット部7では、胴部Mを挟持することにより首部把持搬送ユニット5よりもボトル容器Bを安定した状態で搬送できるから、容器底部の検査を安定に且つ容易に行うことができる。
【0071】
本実施の形態では、容器の首部N、胴部M及び底部を検査するので、容器全体の検査を行うことができる。
【0072】
胴部検査部15、首部検査部37及び底部検査部39では、ボトル容器Bの各部位を撮像により検査するので、非接触による検査ができ、高速搬送しながら映像処理による連続的な検査を行うことができる。
【0073】
スパイラルスクリュー搬送ユニット3は、一対のスパイラルスクリュー11a、11b間にボトル容器を正立状態で直線搬送し、首部把持搬送ユニット5はスパイラルスクリュウ搬送ユニット3で搬送しているボトル容器Bの首部Nを把持するので、首部把持搬送ユニットへ5のボトル容器の搬送及び受け渡しを高速で安定に且つスムーズに行うことができる。
【0074】
本発明は上述した実施の形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
【0075】
例えば、ボトル容器Bは、樹脂製ボトル容器に限らず、ガラスや金属製ボトルであってもよい。
【0076】
ボトル制御部19は、各搬送ユニット5、9毎に合計2つ設けることに限らず、一つだけで各ユニット5、9を制御するものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明の実施の形態にかかる検査装置の概略的構成を示す側面図である。
【図2】図1に示す検査装置の概略的構成を示す平面図である。
【図3】首部把持搬送ユニットによるボトル首部を把持した状態を示す断面図である。
【図4】胴部把持搬送ユニットによるボトル胴部を把持した状態を示す平面図である。
【図5】胴部把持搬送ユニットの一部を示す斜視図である。
【図6】排斥ユニットの平面図である。
【図7】排斥ユニットの側面図である。
【図8】胴部把持搬送ユニットにおけるボトル首部と落下防止レールとの関係を示した断面図である。
【符号の説明】
【0078】
1 ボトル容器検査装置
3 スパイラルスクリュー搬送ユニット
5 首部把持搬送ユニット
7 胴部把持搬送ユニット
9 排斥ユニット
11a、11b スパイラルスクリュー
13a、13b 無端ベルト
15 胴部検査部
17 撮像部
19 ボトル制御部
21 排斥制御部
25 エンコーダ
31 突条部
37、37a、37b、37c 首部検査部
39 底部検査部
41 排斥搬送部
43 落下部
47 ボトル支持部
53 押部材
61 落下防止レール
B ボトル容器
N 首部
F フランジ
M 胴部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
首部にフランジを有するボトル容器を、首部を上にした正立状態で搬送しつつボトル容器を検査するボトル容器検査装置であって、ボトル首部を把持して搬送する首部把持搬送ユニットと、ボトル容器の胴部を把持して搬送する胴部把持搬送ユニットと、ボトル胴部を検査する胴部検査部と、ボトル首部を検査する首部検査部とを備え、首部把持搬送ユニットに胴部検査部が設けてあり、胴部把持搬送ユニットに首部検査部が設けてあることを特徴とするボトル容器検査装置。
【請求項2】
首部把持搬送ユニットは、上ベルトと下ベルトとを備え、上ベルトと下ベルトでボトル容器のフランジを上下から挟んで搬送することを特徴とする請求項1に記載のボトル容器検査装置。
【請求項3】
胴部把持搬送ユニットは、搬送方向に沿って間隔をあけて設けてありボトル容器を水平方向から挟む一方及び他方のベルトとを備え、少なくとも一方のベルトには他方のベルトに向けて突設する複数の突状部を有し、突状部がボルト容器の胴部を他方側ベルトに向けて押圧しつつボトル容器を搬送することを特徴とする請求項1に記載のボトル容器検査装置。
【請求項4】
突状部は薄板状のフィンであり、ボトル容器側に突設するフィンの先端部又は屈曲部がボトル容器の胴部を押圧することを特徴とする請求項3に記載のボトル容器検査装置。
【請求項5】
首部把持搬送ユニット及び胴部把持搬送ユニットのボトル搬送方向下流側には、排斥ユニットを備え、胴部検査部と首部検査部とはボトル容器の異常を検知するボトル制御部を備え、排斥ユニットは首部把持搬送ユニット又は胴部把持搬送ユニットからボトル容器を受けて搬送する排斥搬送部と、排斥搬送部からボトル容器を落下する落下部と、落下部の駆動を制御する排斥制御部とを有し、排斥制御部はボトル制御部からの異常検知信号を受けると異常検知されたボトル容器を落下部で落下させてボトル搬送部から排斥することを特徴とする請求項1に記載のボトル容器検査装置。
【請求項6】
首部把持搬送ユニット及び胴部把持搬送ユニットは、各々エンコーダを備え、ボトル制御部はエンコーダからの位置信号に基づいて、胴部検査部及び首部検査部で異常を検知したボルト容器のアドレスを演算して異常を検知したボトル容器のアドレス信号を排斥制御部に送ることにより、排斥制御部は落下させるボトル容器を特定することを特徴とする請求項5に記載のボトル容器検査装置。
【請求項7】
落下部は、排斥搬送部で搬送するボトルの支持を解除するボトル支持解除部と、ボトルの支持が解除されたときに、上方からボトルを押す押部材とを備えることを特徴とする請求項5に記載のボトル容器検査装置。
【請求項8】
落下部は複数設けてあり、ボトル容器の各異常部位毎に異なる落下部でボトル容器を落下させて排斥することを特徴とする請求項5に記載のボトル容器検査装置。
【請求項9】
胴部把持搬送ユニットには、ボトル容器の底部を検査する底部検査部を更に備えることを特徴とする請求項1に記載のボトル容器検査装置。
【請求項10】
胴部検査部、首部検査部及び底部検査部は、各々撮像部を有し、各撮像部は撮影した映像信号をボトル容器制御に送り、ボトル容器制御は映像信号に基づいてボトル容器の異常を検知することを特徴とする請求項9に記載のボトル容器検査装置。
【請求項11】
首部把持搬送ユニットと、胴部把持搬送ユニットとをボトル搬送方向に沿ってこの順序で連続して設け、首部把持搬送ユニットの上流側にはスパイラルスクリュー搬送ユニットを設け、スパイラルスクリュー搬送ユニットは、一対のスパイラルスクリュー間にボトル容器を正立状態で直線搬送し、首部把持搬送ユニットはスパイラルスクリュー搬送ユニットで搬送しているボトル容器の首部を把持することを特徴とする請求項1に記載のボトル容器検査装置。
【請求項12】
首部把持搬送ユニットと、胴部把持搬送ユニットとをボトル搬送方向に沿ってこの順序で連続して設け、首部把持搬送ユニットの上流側にはスパイラルスクリュー搬送ユニットを設け、スパイラルスクリュー搬送ユニットは、ボトル制御部に位置信号を送信するエンコーダを備え、ボトル制御部は首部把持搬送ユニット又は胴部把持搬送ユニットのエンコーダからの位置信号に基づいて、スパイラルスクリュー搬送ユニットのボトル搬送量を制御していることを特徴とする請求項6に記載のボトル容器検査装置。
【請求項13】
少なくともスパイラルスクリュウ搬送ユニット及び胴部把持搬送ユニットには、搬送しているボトル容器のフランジの下側にフランジから離れて位置してボトル容器が落下したときにフランジを受ける落下防止レールが設けてあり、落下防止レールはスパイラルスクリュウ搬送ユニット及び胴部把持搬送ユニットにおけるボトル容器の搬送方向に沿って配置してあることを特徴とする請求項11に記載のボトル容器検査装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2008−76081(P2008−76081A)
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−252602(P2006−252602)
【出願日】平成18年9月19日(2006.9.19)
【出願人】(596126465)アサヒ飲料株式会社 (84)
【出願人】(500505348)丸紅テクノシステム株式会社 (3)
【Fターム(参考)】