説明

ボールジョイント及びその組立方法

【課題】環状バンドを大きく拡径させることなく,環状バンドをブーツの第2リップ部の外周に装着し得るようにする。
【解決手段】ハウジング13及びスタッド部11間に張設されるブーツ37を備え,そのブーツ37のハウジング13側の第2リップ部37cは,ハウジング13外周のリップ装着溝38に嵌め込まれ,その外周のバンド溝39に環状バンド43が装着されるボールジョイントにおいて,リップ装着溝38に隣接する円筒状の支持底面42aと,この支持底面42aから半径方向に起立するストッパ面42bとからなるバンド仮置き段部42をハウジング13の外周に形成し,支持底面42aは,これにリップ装着溝38内の第2リップ部37cに装着する前の環状バンド43を待機させ得るように形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,主として自動車の懸架装置や操向装置に使用されるボールジョイントに関し,特に,ハウジングと,このハウジング内で首振り可能に保持されるボール部及びこのボール部に一体に連設されて前記ハウジングの開口部外方に突出するスタッド部よりなるボールスタッドと,前記ハウジング及びスタッド部間に張設されて前記開口部を覆うブーツとからなり,そのブーツは,可撓性を有する胴部と,この胴部の一端に形成されて前記スタッド部に嵌着される第1リップ部と,前記胴部の他端に形成されて,前記ハウジングの外周に形成されたリップ装着溝に嵌め込まれる第2リップ部とで構成され,その第2リップ部の外周にそれを緊縮させる環状バンドを装着して,第2リップ部のリップ装着溝からの離脱を阻止するようにしたボールジョイント及びその組立方法の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
かゝるボールジョイントは,下記特許文献1に開示されるように既に知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特公平4−28491号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来,かゝるボールジョイントにおいて,ハウジングのリップ装着溝に嵌め込んだブーツの第2リップ部の外周に環状バンドを装着する際には,環状バンドは,これをブーツの胴部又はハウジングの最大外径より大きく拡径させた状態で,ブーツの胴部又はハウジングを越えて第2リップ部の外周に装着していた。
【0005】
しかしながら,環状バンドをブーツの胴部又はハウジングの最大外径より大きく拡径させると,環状バンドに多少とも塑性変形を来し,環状バンドの第2リップ部に対する緊縮機能が減退することがある。
【0006】
本発明は,かゝる事情に鑑みてなされたもので,大きく拡径させることなく,環状バンドを第2リップ部の外周に装着し得るようにして,環状バンドの第2リップ部に対する緊縮機能を正常に維持し得るボールジョイント及びその組立方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために,本発明は,ハウジングと,このハウジング内で首振り可能に保持されるボール部及びこのボール部に一体に連設されて前記ハウジングの開口部外方に突出するスタッド部よりなるボールスタッドと,前記ハウジング及びスタッド部間に張設されて前記開口部を覆うブーツとからなり,そのブーツは,可撓性を有する胴部と,この胴部の一端に形成されて前記スタッド部に嵌着される第1リップ部と,前記胴部の他端に形成されて,前記ハウジングの外周に形成されたリップ装着溝に嵌め込まれる第2リップ部とで構成され,その第2リップ部の外周にそれを緊縮させる環状バンドを装着したボールジョイントにおいて,前記リップ装着溝の前記開口部と反対側に隣接する円筒状の支持底面と,この支持底面から半径方向に起立するストッパ面とからなるバンド仮置き段部を前記ハウジングの外周に形成し,前記支持底面は,これに前記リップ装着溝内の前記第2リップ部に装着する前の環状バンドを待機させ得るように形成されることを第1の特徴とする。
【0008】
尚,前記開口部は,後述する本発明の実施例中の第1開口部14aに対応する。
【0009】
また本発明は,第1の特徴に加えて,前記支持底面を,前記リップ装着溝に嵌め込み状態での前記第2リップ部の外径より大径に形成したことを第2の特徴とする。
【0010】
さらに本発明は,ハウジングと,このハウジング内で首振り可能に保持されるボール部及びこのボール部から前記ハウジングの開口部側に突出するスタッド部よりなるボールスタッドと,前記ハウジング及びスタッド部間に張設されて前記開口部を覆うブーツとからなり,そのブーツは,可撓性を有する胴部と,この胴部の一端に形成されて前記スタッド部に嵌着される第1リップ部と,前記胴部の他端に形成されて,前記ハウジングの外周に形成されたリップ装着溝に嵌め込まれる第2リップ部とで構成され,その第2リップ部の外周にそれを緊縮させる環状バンドを装着したボールジョイントの組立方法において,前記リップ装着溝の前記開口部と反対側に隣接する円筒状の支持底面と,この支持底面から半径方向に起立するストッパ面とからなるバンド仮置き段部を前記ハウジングの外周に形成しておき,前記環状バンドを一旦拡径させて前記支持底面に仮置きする工程と,前記第2リップ部を前記リップ装着溝に嵌め込む工程と,前記支持底面に仮置きした環状バンドを前記リップ装着溝側に滑らせて前記第2リップ部の外周に装着する工程とを順次実行することを第3の特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の第1の特徴によれば,第2リップ部をリップ装着溝に嵌め込むまで環状バンドを待機させるバンド仮置き段部の支持底面は,ハウジングやブーツの最大外径より小径であるから,環状バンドは,支持底面への仮置きに際して僅かに拡径させれば足り,塑性変形の心配がない。したがって第2リップ部のバンド溝に装着したとき,第2リップ部に対して規定の緊縮力を発揮することができる。しかも支持底面がリップ装着溝に隣接することから,環状バンドは,支持底面上の待機位置からリップ装着溝側に僅かに移動させることにより,第2リップ部の外周に装着することができ,装着性が極めて良好である。
【0012】
本発明の第2の特徴によれば,支持底面は,リップ装着溝に嵌め込み状態の第2リップ部の外径より大径に形成されることで,環状バンドは,支持底面を滑り出るや否や,第2リップ部の外周縁に干渉されることなく,第2リップ部の外周にスムーズに装着することができる。
【0013】
本発明の第3の特徴によれば,第1の特徴と同様に,環状バンドは,支持底面への仮置きに際して僅かに拡径させれば足り,塑性変形の心配がなく,したがって第2リップ部のバンド溝に装着したとき,第2リップ部に対して規定の緊縮力を発揮することができる。しかも環状バンドは,支持底面上の待機位置からリップ装着溝側に僅かに移動させることにより,第2リップ部の外周に確実に装着することができ,装着性が極めて良好である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施例に係るボールジョイントの正面図。
【図2】同ボールジョイント縦断正面図。
【図3】同ボールジョイントの組立要領説明図。
【図4】同ボールジョイントにおける環状バンドの装着要領説明図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施の形態を,添付図面に示す本発明の好適な実施例に基づいて以下に説明する。
【0016】
先ず,図1及び図2において,第1支持部材A及び第2支持部材Bは,ボールジョイントJを介して相互に揺動可能に連結される。このボールジョイントJは,第1支持部材Aの一側面に一体に突設されるボールスタッド10と,第2支持部材Bの先端に一体に形成されるハウジング13とを備える。以下の説明において,便宜上,ハウジング13側を上,ボールスタッド10側を下とする。
【0017】
ボールスタッド10は,第1支持部材Aから隆起したスタッド基部11aに,それより小径のスタッド頸部11bを一体に連設してなるスタッド部11と,その頸部11bに一体に連設されるボール部12とよりなっており,スタッド基部11aは,ボール部12より大径になっている。そのボール部12は,外周面が円筒状をなす合成樹脂製のベアリング部材15により抱持される。
【0018】
ハウジング13はシリンダ状の内室14を有する。その内室14は,軸方向下端を第1開口部14a,上端を第2開口部14bとして開放しており,前記ベアリング部材15は,第1開口部14aから内室14に密に嵌合される。
【0019】
ベアリング部材15は,その内周側にボール部12の赤道e(スタッド部11の軸線yと直交するボール部12上の大円)及びその周辺部に適合する球状の抱持面17が形成される。またベアリング部材15の周壁には,第1開口部14a側の一端部から抱持面17を越えて延びる複数のスリット19が周方向等間隔置きに設けられる。
【0020】
ベアリング部材15及びボール部12間には,ボール部12の頂部に圧接する補助ベアリング部材21が介装される。この補助ベアリング部材21は,ボール部12の頂部に圧接する球面の圧接面23を持った皿状のベアリング部22と,このベアリング部22の外周面中心部より突出する位置決め筒部24とからなっている。この補助ベアリング部材21を保持する保持孔27がベアリング部材15に設けられる。
【0021】
而して,補助ベアリング部材21のベアリング部22には予め所定の締め代が付与されており,ボール部12がベアリング部材15の抱持面17に密接するようにベアリング部材15に保持されたとき,ベアリング部22がベアリング部材15及びボール部12間で所定量,弾性圧縮変形され,ベアリング部22に所定の圧縮セット荷重が付与される。これによりボールスタッド21の首振りトルクが設定される。
【0022】
ハウジング13の,第1開口部14a近傍の内周面には環状の係止溝28が設けられ,この係止溝28に,ベアリング部材15の下端面を支承するサークリップ状の止め環30が装着される。
【0023】
一方,ハウジング13の第2開口部14bの内周面には,内室14より大径の環状凹部34が設けられ,この環状凹部34の外端縁から環状のかしめ部35が隆起している。環状凹部34には閉止部材36が嵌合される。この閉止部材36は,第2開口部14bを閉鎖すると共に,ベアリング部材15の上端面を押圧して止め環30に所定のセット荷重を付与するもので,この閉止部材36の環状凹部34との嵌合状態を保持するようにかしめ部35が半径方向内側にかしめられる。
【0024】
スタッド部11及びハウジング13間には,ハウジング13の第1開口部14a周りを覆う防水・防塵のための可撓性のブーツ37が張設される。このブーツ37は,蛇腹状の胴部37aと,その軸方向両端に形成される環状の第1及び第2リップ部37b,37cとからなっており,第1リップ部37bの内部には金属製でL型断面の補強環40が埋設され,その内周面には金属製でL型断面の取り付け環41が嵌合される。また第2リップ部37cの外周には環状のバンド溝39が形成される。
【0025】
一方,ハウジング13の,第1開口部14a側端部の外周面には環状のリップ装着溝38が形成される。このリップ装着溝38は,環状の溝底38aと,この溝底38aの,第1開口部14a側の一端から起立する第1内側壁38bと,溝底38aの他端から起立する第2内側壁38cとからなっており,第2内側壁38cの外周縁は,第1内側壁38bの外周縁より大径になっている。
【0026】
而して,第1リップ部37bは,取り付け環41をスタッド基部11a外周面に圧入することによりボールスタッド10に取り付けられ,第2リップ部37cは,ハウジング13の前記リップ装着溝38に嵌め込まれ,その第2リップ部37c外周のバンド溝39に環状バンド43が装着される。この環状バンド43は,図1に示すようにコイルばねで構成され,それ自体の弾性収縮力により第2リップ部37cに緊縮力を与えることができる。
【0027】
図4に明示するように,ハウジング13の外周には,環状バンド43を第2リップ部37cに装着する前に,その装着を容易にすべく環状バンド43を待機させるための環状のバンド仮置き段部42が形成される。バンド仮置き段部42は,リップ装着溝38の第2内側壁38cの外周縁に軸方向一端を連ねる円筒状の支持底面42aと,この支持底面42aの軸方向他端から半径方向に起立するストッパ面42bとからなっており,支持底面42aは,環状バンド43をそれ自体の弾性収縮力をもって待機させ得る広さを持っている。またこの支持底面42aは,リップ装着溝38に嵌め込み状態の第2リップ部37cの外周面より大径に形成される。
【0028】
次に,このボールジョイントJの組立要領について図3及び図4により説明する。
【0029】
先ず,図3に示すように,ハウジング13のバンド仮置き段部42の支持底面42aに,僅かに拡径させた環状バンド43を嵌め,それ自体の弾性収縮力をもって支持底面42a上に待機させる。その際,ストッパ面42bは,その環状バンド43の一端を受けてその待機位置を規定する。
【0030】
一方,スタッド基部11aにはブーツ37の第1リップ部37bを取り付け環41を介して取り付け,次いで止め環30の切り口を開きながら,止め環30をスタッド部11の周囲に待機させる。
【0031】
次に,ボール部12の外周面にグリースを塗布し,またベアリング部材15に補助ベアリング部材21を嵌合した状態で,それらの内周面にもグリースを塗布する。これらグリースはボール部12と,ベアリング部材15及び補助ベアリング部材21との各間の摺動部に潤滑に供される。
【0032】
それから,ベアリング部材15の,補助ベアリング部材21と反対側の開口部にボール部12を押し込む。而して,ベアリング部材15の周壁には,その開口端から球状の抱持面17を越えて延びる複数条のスリット19が設けられているから,ボール部12の押し込み力によれば,それらスリット19が拡張するようにベアリング部材15の周壁が円錐状に拡径してボール部12を受け入れ,その後,抱持面17がボール部12に密接するように,ベアリング部材15の周壁は,それ自体の弾性により原形に戻ろうとするが,補助ベアリング部材21のベアリング部22には所定の締め代が付与されているため,ボール部12は圧縮変形前のベアリング部22に邪魔されて抱持面27に不完全な状態で嵌合し,したがってベアリング部材15の周壁は,僅かに円錐状に拡径した状態を呈する。
【0033】
そこで,次にベアリング部材15をボール部12と共にハウジング13の内室14に第1開口部14a側,即ち係止溝28側から嵌合していくと,ベアリング部材15の前記円錐状拡径部は,内室14の内周面により縮径され,それに伴ないボール部12は,抱持面17に密着するよう強制的に押し込まれながらベアリング部22をベアリング部材15との間で圧縮していく。こうして補助ベアリング部材21には圧縮セット荷重を付与する。このとき,補助ベアリング部材21は,ベアリング部材15より軟質の合成樹脂製であるから,ベアリング部材15に殆ど干渉されることなく,補助ベアリング部材21のセット荷重を所望通りに設定することが可能となり,ボールスタッド11の首振りトルクを所望通り容易に設定することができる。
【0034】
ベアリング部材15の内室14への嵌合が進み,ベアリング部材15が係止溝28を通過した後,止め環30を係止溝28に装着する。ハウジング13の内室24に嵌合したベアリング部材15の周壁は,内室14の内周面により拡径が阻止されるので,ボール部12は抱持面17により強固に抱持され,ベアリング部材15からの抜け出しが阻止される。
【0035】
次にベアリング部材15を,係止溝28に係止された止め環30上に載せて,ハウジング13の環状凹部34に閉止部材36を嵌合し,そしてこの閉止部材36が環状凹部34の底面に密着するように,ハウジング23のかしめ部35を半径方向内側にかしめ,閉止部材36をハウジング13に固定する。
【0036】
而して,かしめ部35の閉止部材36に与えるかしめ力は,ベアリング部材15を介して止め環30に伝達して,それらに所定の弾性曲げ変形を与え所定のセット荷重を付与することになる。その際,ベアリング部材15にも僅かながら弾性圧縮変形が生じ,補助ベアリング部材21と協働してボール部12に対する抱持力を増加させる。
【0037】
閉止部材36の固定後,図4に示すように,ブーツ37の第2リップ部37cをハウジング13のリップ装着溝38に嵌め込み,先刻,ブーツ仮置き段部42の支持底面42aに待機させた環状バンド43を,マイナスドライバ等の適当な工具により矢印Fに従って第2リップ部37c側に滑らせれば,環状バンド43は,それ自体の弾性収縮力をもって第2リップ部37c外周のバンド溝39に自動的に装着されることになる。特に,支持底面42aは,リップ装着溝38に嵌め込み状態の第2リップ部37cの外径より大径に形成されているので,環状バンド43は,支持底面42aを滑り出るや否や,第2リップ部37cの外周縁に干渉されることなく,バンド溝39にスムーズに装着することができる。
【0038】
ところで,第2リップ部37cをリップ装着溝38に嵌め込むまで環状バンド43を待機させるバンド仮置き段部42の支持底面42aは,ハウジング13やブーツ37の最大外径より小径であるから,環状バンド43は,支持底面42aへの仮置きに際して僅かに拡径させれば足り,塑性変形の心配がなく,したがって第2リップ部37cのバンド溝39に装着したとき,第2リップ部37cに対して規定の緊縮力を発揮することができる。しかも支持底面42aがリップ装着溝38に隣接することから,環状バンド43は,支持底面42a上の待機位置からリップ装着溝38側に僅かに移動させることにより,第2リップ部37cのバンド溝39に装着することができ,装着性が極めて良好である。
【0039】
以上,本発明の好適実施例について説明したが,本発明は,上記実施例に限定されるものではなく,その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。例えば,本発明は,ハウジングがボールスタッド10を突出させる一つの開口部しか持たないボールジョイントや,ボール部から互いに反対方向に突出する一対のスタッド部を備えるボールジョイントにも適用可能である。
【符号の説明】
【0040】
10・・・ボールスタッド
11・・・スタッド部
12・・・ボール部
13・・・ハウジング
14a・・開口部(第1開口部)
37・・・ブーツ
37a・・胴部
37b・・第1リップ部
38・・・リップ装着溝
42・・・バンド仮置き段部
42a・・支持底面
42b・・ストッパ面
43・・・環状バンド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング(13)と,このハウジング(13)内で首振り可能に保持されるボール部(12)及びこのボール部(12)から前記ハウジング(13)の開口部(14a)側に突出するスタッド部(11)よりなるボールスタッド(10)と,前記ハウジング(13)及びスタッド部(11)間に張設されて前記開口部(14a)を覆うブーツ(37)とからなり,そのブーツ(37)は,可撓性を有する胴部(37a)と,この胴部(37a)の一端に形成されて前記スタッド部(11)に嵌着される第1リップ部(37b)と,前記胴部(37a)の他端に形成されて,前記ハウジング(13)の外周に形成されたリップ装着溝(38)に嵌め込まれる第2リップ部(37c)とで構成され,その第2リップ部(37c)の外周に,それを緊縮させる環状バンド(43)を装着したボールジョイントにおいて,
前記リップ装着溝(38)の前記開口部(14a)と反対側に隣接する円筒状の支持底面(42a)と,この支持底面(42a)から半径方向に起立するストッパ面(42b)とからなるバンド仮置き段部(42)を前記ハウジング(13)の外周に形成し,前記支持底面(42a)は,これに前記リップ装着溝(38)内の前記第2リップ部(37c)に装着する前の環状バンド(43)を待機させ得るように形成されることを特徴とするボールジョイント。
【請求項2】
請求項1記載のボールジョイントにおいて,
前記支持底面(42a)を,前記リップ装着溝(38)に嵌め込み状態の前記第2リップ部(37c)の外径より大径に形成したことを特徴とするボールジョイント。
【請求項3】
ハウジング(13)と,このハウジング(13)内で首振り可能に保持されるボール部(12)及びこのボール部(12)に一体に連設されて前記ハウジング(13)の開口部(14a)外方に突出するスタッド部(11)よりなるボールスタッド(10)と,前記ハウジング(13)及びスタッド部(11)間に張設されて前記開口部(14a)を覆うブーツ(37)とからなり,そのブーツ(37)は,可撓性を有する胴部(37a)と,この胴部(37a)の一端に形成されて前記スタッド部(11)に嵌着される第1リップ部(37b)と,前記胴部(37a)の他端に形成されて,前記ハウジング(13)の外周に形成されたリップ装着溝(38)に嵌め込まれる第2リップ部(37c)とで構成され,その第2リップ部(37c)の外周に,それを緊縮させる環状バンド(43)を装着してなるボールジョイントの組立方法において,
前記リップ装着溝(38)の前記開口部(14a)と反対側に隣接する円筒状の支持底面(42a)と,この支持底面(42a)から半径方向に起立するストッパ面(42b)とからなるバンド仮置き段部(42)を前記ハウジング(13)の外周に形成しておき,前記環状バンド(43)を一旦拡径させて前記支持底面(42a)に仮置きする工程と,前記第2リップ部(37c)を前記リップ装着溝(38)に嵌め込む工程と,前記支持底面(42a)に仮置きした環状バンド(43)を前記リップ装着溝(38)側に滑らせて前記第2リップ部(37c)の外周に装着する工程とを順次実行することを特徴とするボールジョイントの組立方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2011−52729(P2011−52729A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−200581(P2009−200581)
【出願日】平成21年8月31日(2009.8.31)
【出願人】(000238360)武蔵精密工業株式会社 (82)
【Fターム(参考)】