説明

ポインティングデバイス用キーシート及びポインティングデバイス

【課題】磁力、大きさともにコンパクトな磁石を用いた薄型化が可能なポインティングデバイス用キーシートとポインティングデバイスの提供。
【解決手段】
基板Pの接点入力部と対向する押し子14fと、該押し子14fを中央とする外側位置でキートップ15から離してベースシート14に固定した磁石11との間に、接点入力部に向かうキートップ15の押込み操作によって押込み操作方向での変位を許容する弾性可撓部14dを設けた。そのため、ベースシート14に磁石11を備えながら、キートップ15の押込み操作が可能となり、確定入力などのスイッチ入力を行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、携帯電話機、PDA、ゲームコントローラなど電子機器の操作装置として利用するポインティングデバイス、及び該ポインティングデバイス用キーシートに関し、特に、移動する磁石による磁束密度の変化を検出する磁気検出方式のポインティングデバイスとそのキーシートに関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器の操作装置とその入力方式が多様化する中で、傾倒や水平方向への変位といった磁石の「側方移動」による磁束密度の変化を磁気センサで検出し、これを入力信号として利用する磁気検知方式のポインティングデバイスが知られている。これらのポインティングデバイスは、押圧操作するキートップの中に磁石が一体化されて収納されており、キートップの操作によって磁石も移動し、基板に備えられた磁気センサによって磁石の移動量を検出するものである。
【特許文献1】特開2000−235822号公報、図7
【特許文献2】特開2004−62447号公報、図1
【特許文献3】特開2002−150904号公報、図4及び図5
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このような磁気検知方式のポインティングデバイスでは、磁石が移動するため、磁石と磁気センサとが接触しないように配置するための工夫がなされている。例えば、前記特許文献1や特許文献2では、磁気センサを基板の裏面に実装し、基板上でキートップが移動しても磁気センサと接触しない構造になっている。ところが、基板の裏面に磁気センサを設けたのでは、基板の表面に設けるよりも磁気センサと磁石との距離が離れるため強力な磁石を用いる必要がある。また、磁気センサの実装スペースを基板裏面に設ける必要があり、ポインティングデバイスの厚みが厚くなるという問題がある。
【0004】
これに対し、前記特許文献3に記載された技術では、磁気センサを基板の表面に実装しており、磁気センサと磁石の距離は基板の裏面に実装するよりも短くなる。しかしながら、入力操作を行うキートップ内に磁石を設けていることから、それでもなお強力な磁石を用いる必要があり、磁石の厚さが厚いものとならざるを得ない。そのため、強力な磁場の発生による周辺部材への悪影響や、磁石の厚みでキートップの厚さを薄くできないという問題がある。
【0005】
以上のような従来技術を背景になされたのが本発明である。すなわち本発明の目的は、磁力、大きさともにできるだけコンパクトな磁石を用いるとともに、薄型化が可能なポインティングデバイスとポインティングデバイス用キーシートを得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、上記目的を達成すべく本発明は、キートップと、操作面側となる表面に前記キートップが固着され、表面とは反対の裏面に該裏面と対向する基板の接点入力部を押込む押し子を有する支持部材と、押し子を中央として該押し子の側方位置の支持部材に固定する磁石と、を備えており、キートップを側方移動させると磁石が連動し、磁石の側方移動による磁束密度の変化を基板に設けた磁気センサで検出するポインティングデバイス用キーシートであって、磁石と押し子との間に、接点入力部に向かうキートップの押込み操作によって押込み操作方向での変位を許容する弾性可撓部を設けたポインティングデバイス用キーシートを提供する。
【0007】
磁石をキートップから離して支持部材に固定したため、例えば基板に配置する磁気センサと磁石との間隔を狭めることができる。そのため、この間隔が広い従来技術に比べて磁束密度が小さな磁石を適用することができ、ポインティングデバイスの大きさをコンパクトにすることができる。また、磁石を支持部材に固定したため、キートップの中に磁石を収納する従来技術に比べて磁石を備えるスペースを大きく取ることが可能となり、要求性能に応じた十分に大型の磁石を用いることもできる。
【0008】
そして、磁石と押し子との間に、接点入力部に向かうキートップの押込み操作によって押込み操作方向での変位を許容する弾性可撓部を設けたため、支持部材に磁石を設ける構造であっても、押込み操作時に磁石が邪魔にならない。よってキートップの押込み操作が可能となり、確定入力などのスイッチ入力を行うことができる。そのため、側方移動方向による位置情報の獲得だけでなく、スイッチ入力可能なポインティングデバイス用キーシートが得られる。
【0009】
本発明は、弾性可撓部をゴム状弾性体で形成されているものとすることができる。ゴム状弾性体であれば、伸縮自在であり、キートップの押込み操作方向で弾性可撓部が伸びることでその変位を許容することができ、支持部材に設けられた磁石の配置に拘わらずキートップの押込み操作が可能となる。また、押込み操作を止めれば、ゴム状弾性体の復元力で元の状態に復帰する。
【0010】
本発明は、弾性可撓部がキートップの側面から側方移動方向に突出する鍔部である。
【0011】
弾性可撓部を鍔部としたため、例えば弾性可撓部を電子機器の筐体など他部材の内面側と係合すれば、支持部材から剥がれたキートップの電子機器からの脱落を防止できる。
【0012】
そして弾性可撓部が鍔部であるため、キートップの側面に鍔部を有していても、押込み操作時に鍔部が邪魔にならない。よってキートップの押込み操作が可能となり、確定入力などのスイッチ入力を行うことができる。そのため、側方移動方向による位置情報の獲得だけでなく、スイッチ入力可能なポインティングデバイス用キーシートが得られる。
【0013】
本発明は、鍔部をキートップとは別部材でなる樹脂フィルムにて形成することができる。例えば硬質材でなるキートップに別部材の樹脂フィルムでなる鍔部を組み合わせて構成できる。このように硬質のキートップにすると押込み荷重の緩衝がなくなり、キートップを押込み易くできる。そして鍔部が樹脂フィルムでなる弾性可撓部であるため、押込み操作時に鍔部が邪魔にならない。よってキートップの押込み操作が可能となる。
【0014】
また、弾性可撓部は、キートップの側方移動方向に沿う平板状とすることができる。弾性可撓部をキートップの側方移動方向に沿う平板状としたため、キートップの側方移動方向で変形しにくく、キートップの押込み操作方向で変形し易くすることができる。そのため、キートップの側方移動量と磁石の移動量が対応し、キートップの側方移動による入力信号が正確に得られる一方、キートップの押込み操作での押込み荷重が低いポインティングデバイス用キーシートとすることができる。
【0015】
また本発明は、支持部材をゴム状弾性体でなるベースシートとし、該ベースシートに磁石を保持する収容凹部を設けてあり、弾性可撓部が該収容凹部を形成する側壁である。
【0016】
支持部材をゴム状弾性体でなるベースシートとしたため、ベースシートが支持部材と弾性可撓部とを構成できる。このため弾性可撓部を別途用意する必要がなく部品点数を削減できる。
【0017】
そして弾性可撓部が収容凹部を形成する側壁であるため、ベースシートに磁石を設ける構造であっても、押込み操作時に磁石が邪魔にならない。よってキートップの押込み操作が可能となり、確定入力などのスイッチ入力を行うことができる。そのため、側方移動方向による位置情報の獲得だけでなく、スイッチ入力可能なポインティングデバイス用キーシートが得られる。なお、弾性可撓部となる側壁は、その一部であっても、側壁の全部であっても良い。
【0018】
より具体的には、収容凹部が、キートップの押込み方向における磁石の厚みよりも深さのある側壁を有するものとすることができる。収容凹部が、キートップの押込み方向における磁石の厚みよりも深さのある側壁を有するものとすれば、磁石の厚みを超える深さ部分の側壁を弾性可撓部とすることができ、かかる部分が潰れることなどにより、キートップの押込み操作方向での変位を許容することができる。
【0019】
また、収容凹部の押し子側の側壁が、磁石と固着されずに、磁石と離間する方向で変形可能とされているものとすることができる。磁石を保持する収容凹部の押し子側の側壁が、磁石と固着されずに、磁石と離間する方向で変形可能としたため、かかる側壁が磁石を保持する形状から変形することでキートップの押込み操作方向での変位を許容することができる。
【0020】
さらに、弾性可撓部は、キートップの押込み操作方向に伸びる筒状に形成されたものとすることもできる。弾性可撓部がキートップの押込み操作方向に伸びる筒状に形成されたものとすれば、キートップの側方移動方向での磁石の配置を狭めることができ、その方向でのポインティングデバイスの大きさをコンパクトにすることができる。また、弾性可撓部が筒状に形成されているため、キートップの側方移動方向での変形が生じにくく、キートップの押込み操作方向での変形が生じやすい。そのため、キートップの側方移動での移動量検出が正確である一方、キートップの押込み操作における押込み荷重を低くすることができる。
【0021】
また本発明は、支持部材として、キートップに対してその側方移動方向に突出し、キートップを載置するキートップとは別部材でなる支持板を備え、弾性可撓部が該支持板である。
【0022】
支持部材をキートップに対してその側方移動方向に突出した支持板としたため、磁石をキートップの側面より外側に固定できる。よって例えば基板に配置する磁気センサと磁石との間隔を狭めることができる。したがって両者間の間隔が広い従来技術に比べて磁束密度の小さい磁石を使用できる。
【0023】
そして弾性可撓部が支持板であるため、支持板に磁石を設ける構造であっても、押込み操作時に磁石が邪魔にならない。よってキートップの押込み操作が可能となり、確定入力などのスイッチ入力を行うことができる。そのため、側方移動方向による位置情報の獲得だけでなく、スイッチ入力可能なポインティングデバイス用キーシートが得られる。
【0024】
弾性可撓部が支持板の肉厚を貫通する貫通孔にて形成する舌片部である。支持板に、貫通孔にて形成する舌片部を設け、該舌片部を弾性可撓部とすれば、板状のままでは可撓性がない支持板であっても、舌片部を形成することによって、舌片部の根本を中心に舌片部が舌片部以外の部分に対して撓むことが可能となり、キートップの押込み操作ができるようになる。
【0025】
環状の目隠し部材をキートップの外周面の側方に備えており、該目隠し部材はキートップの押込み操作方向でキートップが相対移動可能な挿通孔を有し、キートップの側方位置で支持部材又は磁石を外観上隠す遮蔽板である。キートップを側方移動させると、キートップとともに支持部材や磁石が側方移動する。このため例えばキートップを表出する筐体など他部材の透孔からキートップより基板側にある支持部材などが見えることがある。しかし前記本発明によれば、目隠し部材をキートップの外周面の側方すなわち支持部材や磁石などの表面側に被せているため、キートップを側方移動したときに目隠し部材が支持部材や磁石を覆っており外部からこれらを隠すことができる。
【0026】
目隠し部材の内周はキートップの側面に固着しておらず、押込み操作方向で目隠し部材はキートップと相対移動するため、押込み操作時にキートップが目隠し部材によって拘束されることなくキートップの押込みが可能となる。よって確定入力などのスイッチ入力を行うことができ、側方移動方向による位置情報の獲得だけでなくスイッチ入力可能なポインティングデバイス用キーシートが得られる。
【0027】
磁石は、円環磁石として、また環状位置に配置する複数の磁石でなるものとして構成し、この場合、磁石の着磁方向を円環又は環状の内外方向として構成できる。磁石を円環磁石又は環状位置に配置する複数の磁石としたため、磁気センサに対する距離を縮めることができ、磁束密度の小さな磁石を適用することができる。また、キートップの360°側方移動の何れの方向移動に対しても正確にその移動量を検出することができる。
【0028】
これらの磁石は、キートップの所定部位から等距離の環状位置に配置するため、キートップの初期位置を中心として、基板に対して水平な360°側方移動変位を等しく検出することができる。また、複数の磁気センサと磁石との距離を縮めることができ、磁束密度の小さな磁石を適用することが可能となる。なお、ここでキートップの所定位置とは、円形のキートップであれば通常その中心であるが、デザイン上対称図形とならないキートップを用いる場合もあることからキートップの中心である必要はない。すなわち、キートップを360°側方移動させる場合の何れの方向に対しても中心となる位置をいうものとする。
【0029】
また、磁石の着磁方向を円環又は環状の内外方向として構成できる。磁石の着磁方向を円環又は環状の内外方向として構成したため、例えば円環磁石であれば内周側にS極、外周側にN極のように着磁させることができ、磁石の厚み方向、例えば上側にS極、下側にN極のように着磁したものと比較して外部に漏れる磁束密度を小さくでき温度特性も改善したものとすることができる。また、磁気センサの感磁方向を基板に対して水平方向とすることにより、磁石の移動に対する磁束の変化を大きく感知することができる。そして、ポインティングデバイスを薄型化できる。
【0030】
さらに、本発明は上記キーシートと磁気センサとを備えるポインティングデバイスとすることができる。上記キーシートを備えたため、キートップの押込み操作が可能となり、磁石の側方移動に基づく変位量を検知するだけでなく、スイッチ入力可能なポインティングデバイスとすることができる。
【0031】
このポインティングデバイスは、磁石と磁気センサとが基板に平行な一平面内に位置するものとして構成することができる。磁石と磁気センサとを基板に平行な一平面内に配置したため、磁石と磁気センサとの距離を短くすることができる。また、磁石の着磁方向をキートップの側方移動方向とすることができる。そのため、磁束密度の小さい磁石を適用することができ、感度がそれほど優れているとはいえない磁気センサでも用いることができる。さらに、キートップの押込み方向に非常にコンパクトなポインティングデバイスとすることができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明のポインティングデバイス用キーシートや、ポインティングデバイスは、磁束密度が小さな磁石でも、大型の磁石でも備えることもでき、選択する磁石の自由度が高いため、要求性能に応じた設計が可能である。特にキートップの押込み方向にコンパクトに設計することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。各実施形態の説明において、先行する実施形態と共通な材質や構造については重複説明を省略する。
【0034】
第1実施形態〔図1〜図6〕: 本実施形態のポインティングデバイス10は、図1で示した携帯電話機1において用いられ、図2で示すように、円環磁石11を側方移動可能に保持するキーシート12と、基板Pに実装された磁気センサ13にて構成される。そして、このポインティングデバイス10用のキーシート12は、円環磁石11を保持する「支持部材」としてのゴム状弾性体でなるベースシート14と、そのベースシート14に載置される略円形状の中央キートップ15と、略円環形状の外周キートップ16と、さらに、図1で示されるような5行3列に配列した小型キートップ16bとを備えて構成されている。
【0035】
中央キートップ15や外周キートップ16は、エラストマーやポリカーボネート、ABS樹脂等の硬質樹脂、金属などからなり、略円柱形や略直方体形などの種々のデザインに応じた形状に形成されて、付加される操作荷重内では可撓性のない塊状となっている。これらの中央キートップ15や外周キートップ16は、それぞれ接着剤でなる接着層17、接着層18を介してベースシート14に固着されている。小型キートップ16bも同様に、硬質樹脂等で形成され、ベースシート14に接着剤等で固着されている。
【0036】
ベースシート14は、シリコーンゴムやスチレン系熱可塑性エラストマーなどのゴム状弾性体でなり、中央キートップ15と外周キートップ16などを支持し、円環磁石11を保持している。ベースシート14をその機能や形状に基づいてさらに細分すると、中央キートップ15を載置する部位となる中央キートップ載置部14aと、多段波状に屈曲形成されている伸縮部14bと、円環磁石11を保持する収容凹部14cと、中央キートップ載置部14aと収容凹部14cとの間に位置する弾性可撓部14dと、外周キートップ16を載置する部位となる外周キートップ載置部14eと、中央キートップ載置部14aのから接点皿ばねPiに向かって突出し、基板Pの接点入力部と対向する押し子14fとに区分することができる。押し子14fの先端は摩擦係数の低減などの理由から、別途、樹脂などで被覆されていても良い。
【0037】
円環磁石11は、押し子14fを中心とする外側位置、即ち、押し子fを中心とする中央キートップ15の側方移動方向位置で、中央キートップ15から離した位置にベースシート14の収容凹部14c内に保持される。この円環磁石11は、永久磁石の他、アルニコ磁石、フェライト磁石、サマリウム−コバルト磁石、ネオジウム磁石などの粉体をバインダー樹脂に充填して金型成形してなるプラスチックマグネットを利用することができ、その着磁方向は、図3で示すように、外周側部分がN極に、内周側部分がS極になるようにすることが好ましい。これは、基板P上に置かれた磁気センサ13に対して図2における横方向に円環磁石11が位置するためであり、換言すれば、円環磁石11と磁気センサ13とが基板P上の一平面内に位置することにより実現可能となっている。
【0038】
磁気センサ13には、具体的にはホール素子、ホールIC、磁気抵抗効果素子、磁気抵抗効果ICなどが用いられる。本実施形態においては、図2で示すように、円環磁石11の外側でベースシート14の伸縮部14bの内側の基板P上に実装されている。
【0039】
次に、ポインティングデバイス10の作用・効果を説明する。
【0040】
中央キートップ15は、外周キートップ16との間に形成された透孔16aの差し渡し幅の範囲内で、例えば図4で示す右側移動の他、中央キートップ15が外周キートップ16に向かう側方の360°全方向に側方移動可能であるとともに、図5で示すように、基板Pに向かう下方に押込み操作が可能である。
【0041】
すなわち、ベースシート14の伸縮部14bは、外周キートップ16と基板Pとの間にあって、中央キートップ15の側方移動に合わせて伸縮可能となっているため、図4で示すように、中央キートップ15を図中右へ側方移動させると、中央キートップ15が近づく側(図面右側)の伸縮部14bは屈曲し、中央キートップ15が離れる側(図面左側)の伸縮部14bは伸長するように変形する。これにより、中央キートップ載置部14aで支持された中央キートップ15の側方移動が可能となる。側方移動させた中央キートップ15の初期位置への復帰力も、主としてこの伸縮部14bによって付与される。
【0042】
一方、側方に対して垂直方向となる中央キートップ15の押込み操作を行うと、図5で示すように、基板Pに接地された円環磁石11は動かないものの、収容凹部14cに保持される円環磁石11と押し子14fの間にあって、中央キートップ15の側方移動面(中央キートップ15が側方移動する軌跡が描く平面)に平行な平板状である弾性可撓部14dが、中央キートップ15の押込み操作に応じて伸長し、押込み操作方向で変位する。こうして押し子14fが接点皿ばねPiを座屈させる。これによりクリック感が生じ、図外の接点入力部を導通させて確定入力などのスイッチ入力ができる。また、押込み方向の押圧を解けば、弾性可撓部14dが収縮する復元力により中央キートップ15がその初期位置に戻ることができる。
【0043】
このように、中央キートップ15の側方移動によって、円環磁石11と磁気センサ13との間隔が変化し、磁気センサ13が磁束密度の変化を読取ることで水平方向位置を感知する。また、中央キートップ15の押込み操作によって、接点皿ばねPiと接点入力部を導通させてスイッチ入力を可能とする。
【0044】
キーシート12に設けられた外周キートップ16は、平面視で円環における上下左右の4方向位置で、押込み操作によって接点皿ばねPoを座屈させて方向入力が可能である。小型キートップ16bもオンオフスイッチとして機能する。
【0045】
ポインティングデバイス10では、磁石を中央キートップ15の内部に収容せずに、中央キートップ15の外側、即ち中央キートップ15から離したベースシート14の収容凹部14cに収容したため、磁気センサ13との間隔を短くでき、またポインティングデバイス用キーシート12の厚さを薄くすることができる。従来技術ではキートップに磁石を収容する構造としていたため、磁気センサと磁石とが縦方向に互いに位置し、磁石の着磁方向はキートップの厚み方向(上下方向)となり、キートップの厚み方向に厚い磁石とならざるを得なかった。これに対し本発明では、円環磁石11の着磁方向は、図2で示すように、外周側部分がN極に、内周側部分がS極になるようにしているため、キートップの厚み方向、即ち、本実施形態では中央キートップ15の厚み方向の厚さを薄くすることが可能となる。このように着磁方向が内外方向であることは、着磁方向が上下方向となる場合と比較して、外部に漏れる磁束密度を小さくでき、また、着磁方向が側方移動させる中央キートップ15の移動方向とも合致するため、磁気センサ13における磁束密度の検出精度も高めることができる。以上より、従来のポインティングデバイスと比較して用いる磁石の大きさ、磁気強度をより小さくすることが可能になる。また逆に、スペースが生まれるため、必要に応じて大きな磁石を用いることも可能となる。この結果、小型化・薄型化の要請が高い携帯電話機、PDA等の携帯機器について好適に用いられ、表示画面のスクロールや座標入力など、多様な入力操作を高精度で実現できる。なお、円環磁石11の代わりに、図6で示したように、環状位置に配置する複数の磁石11bを設けるものとしても良い。
【0046】
第2実施形態〔図7,図8〕: 本実施形態におけるポインティングディバイス20及びそれに用いられるキーシート22を図7、図8で示す。第1実施形態での中央キートップ15と異なり、本実施形態での中央キートップ25は、塊状の硬質樹脂であり可撓性のないキートップ本体部25aからなるが、キートップ本体部25aとは別部材の樹脂フィルム25cが、このキートップ本体部25aを覆い、キートップ本体部25aから鍔状に突き出す鍔部25bを形成している。樹脂フィルム25cはキートップ本体部25aとは別部材であるが、両者は2色成形などの方法で互いに隙間無く密に接合されている。また、「支持部材」としてのベースシート24における収容凹部24cは、円環磁石11を基板P側から覆うように形成されている。さらに、ベースシート24が中央キートップ25や外周キートップ16と融着によって固着されている。
【0047】
また、本実施形態では、ゴム状弾性体でなるベースシート24と樹脂フィルム25cでなる鍔部25bが積層して固着一体化して、中央キートップ載置部24aと円環磁石11との間に弾性可撓部29を形成している。しかし、樹脂フィルム25cにも可撓性があるため、中央キートップ25の押込み操作を可能としている。この樹脂フィルム25cとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルムやポリカーボネートフィルム、ポリアクリル系フィルム、ポリカーボネートフィルムとポリブチレンテレフタレートフィルムの共重合体などを用いることができ、また、耐摩耗性があり低摩擦係数であるフッ素樹脂、ポリアミド樹脂等からなる樹脂フィルムを利用することができる。これらの樹脂フィルム25cに中央キートップ25を押し込めば撓む可撓性を持たせるためには、その膜厚を0.3mm以下とすることが好ましい。
【0048】
本実施形態では、収容凹部24cの側壁24gを円環磁石11と接着しないでおくことができる。これにより、図8で示すように、中央キートップ25の押込み操作によって、収容凹部24cの側壁24gも変形可能となっている。また、収容凹部24cの底面が基板Pと接する構造となっているため、基板Pとの摩擦から収容凹部24cを保護するため、基板Pと収容凹部24cの接触面の少なくとも何れか一方に保護層などを設けて、摺動抵抗を減ずる工夫を施しても良い。
【0049】
本実施形態のポインティングデバイス20とそれに用いられるキーシート22では、ベースシート24に収容凹部24cを設けて円環磁石11を配置したため、中央キートップ25の押込み方向でのキーシート22の厚さを薄くすることが可能になる。また、弾性可撓部29が樹脂フィルム25cとベースシート24との積層により形成されているため、中央キートップ25の押込み操作が可能であるだけでなく、中央キートップ25の側方移動操作時に弾性可撓部29が撓みにくいという利点がある。そのため、中央キートップ25の移動量を正確に得ることができるポインティングデバイス20及びキーシート22となる。
【0050】
第3実施形態〔図9,図10〕: 第2実施形態の変形例を、図9、図10で示す。第2実施形態では、中央キートップ25とベースシート24との接着が融着によっていたのに対し、本実施形態におけるポインティングデバイス30とそれに用いられるキーシート32は、キートップ本体部35aとベースシート34との間を接着剤37により限定的に接着している点で相違している。また、押し子34fは、その先端まですべてゴム状弾性体で形成している。このように、樹脂フィルム35cの部分とベースシート34とを接着しないこととすれば、中央キートップ35の押込み操作によって、弾性可撓部39のうち、樹脂フィルム35cの部分が変形し易くなり押込み荷重を減ずることができる。
【0051】
第4実施形態〔図11〕: 本実施形態におけるポインティングディバイス40及びそれに用いられるキーシート42を図11に示す。本実施形態では、円環磁石11が、中央キートップ45の押込み方向で、中央キートップ45の鍔部45bに重なる位置に配置されている。すなわち、「支持部材」としてのベースシート44の中央キートップ載置部44aは、鍔部45bの裏面よりも小面積である。また、収容凹部44cが基板Pとは接せず基板Pから浮いた位置に配置されている。
【0052】
この実施形態では、ベースシート44は、中央キートップ載置部44aから略垂直に折れ曲がり、収容凹部44cを形成している。そして、収容凹部44cを形成する側壁44gは、中央キートップ45の押込み方向における円環磁石11の厚みt1よりも深さt2だけ深さのある側壁44gとして形成され、円環磁石11と接していない深さt2の部分が、中央キートップ45の押込み操作方向での変位を許容する弾性可撓部44dとなっている。そして、この弾性可撓部44dは中央キートップ45の押込み操作方向に伸びる円筒状となっている。
【0053】
また、本実施形態において用いられる樹脂フィルム45cは、第2実施形態におけるキーシート22の樹脂フィルム25cと同様に可撓性のある樹脂フィルムとすることも可能であるが、材質や膜厚を変更することにより、中央キートップ45が受ける操作荷重内では可撓性のない樹脂フィルム45cとすることもできる。すなわち、キートップ本体部45aと樹脂フィルム45cとが一体となり、キートップ本体部45aと鍔部45bを含めた全体として可撓性のない中央キートップ45が形成されていても良い。
【0054】
中央キートップ45の押込み操作は、弾性可撓部44dが潰れるように変形すること、および収容凹部44cの底面が基板Pに接するまで移動することにより可能である。そのため、十分なクリック感を得ることができる。一方、中央キートップ45の側方移動操作時においては、弾性可撓部44dが円環磁石11の内側側壁に沿って円筒状に形成されていることから、弾性可撓部44dが容易には変形しない。そのため、中央キートップ45の側方移動量に応じた正確な位置を把握することができる。
【0055】
このように、本実施形態のポインティングデバイス40及びそれに用いられるキーシート42によれば、収容凹部44cと中央キートップ45との間に弾性可撓部44d、収容凹部44cと基板Pとの間に間隙を設けたため、基板Pと中央キートップ45との間に円環磁石11が存在していても、中央キートップ45の押込み操作が可能で、入力操作できないという不都合を回避することができる。また、収容凹部44cを基板Pから離しているため、中央キートップ45の側方移動時の摩擦抵抗を少なくすることができる。さらに、中央キートップ45の押込み操作方向で中央キートップ45と円環磁石11の一部が重なる位置に配置されているため、幅方向におけるポインティングデバイス40の大きさを小さくすることができる。
【0056】
また、本実施形態のキーシート42は、収容凹部44cを形成する側壁44gにも弾性可撓部44dを設けたため、収容凹部44cと基板Pとの間隔の設定に拘わらず、接点皿ばねPiを押込んで十分なクリック感を生じさせるキーシート42とすることができる。
【0057】
第5実施形態〔図12〕: 第4実施形態の変形例である図12で示すポインティングデバイス50及びこれに用いられるキーシート52は、収容凹部54cが基板Pに接する構造とされている。そのため、第4実施形態における弾性可撓部44dに比べて、収容凹部54cと基板Pとの間の隙間分だけ弾性可撓部54dの長さを長くすることができる。
【0058】
本実施形態のポインティングデバイス50及びこれを用いたキーシート52によれば、第4実施形態におけるポインティングデバイス40及びこれを用いたキーシート42に比べて、円環磁石11と磁気センサ13との間隔を短くすることができる。
【0059】
第6実施形態〔図13,図14〕: 第6実施形態のポインティングデバイス60及びこれに用いられるキーシート62では、図13で示すように、「支持部材」としてのベースシート64に設けた収容凹部64cの側壁64gうち、押し子64fに近い内側側壁64gが、円環磁石11に対して固着されずに、磁石から離れる方向、すなわち、押し子64fに向かう方向に変形可能とされている。図14には、中央キートップ65を押込み操作した場合を示すが、側壁64gと中央キートップ載置部64aとを繋ぐ部分、及び側壁64gとが共に弾性可撓部69となっている。
【0060】
本実施形態のポインティングデバイス60及びこれを用いたキーシート62によれば、中央キートップ65と円環磁石11とが極めて接近した状態に配置されても、中央キートップ65の押込み操作が可能となる。
【0061】
第7実施形態〔図15〕: 本実施形態におけるポインティングディバイス70及びこれに用いられるキーシート72を図15で示す。本実施形態では、硬質樹脂製の中央キートップ75とゴム状弾性体でなるベースシート74との間に硬質樹脂または金属からなる平板状の支持板73を設けている。支持板73は、その平面図を図16に示すが、支持板73を略十字状に打ち抜いた貫通孔73aによって舌片状に形成された4枚の舌片部73bを有する構造とされている。このような支持板73及びベースシート74が「支持部材」を構成している。
【0062】
押し子75fと一体に形成された中央キートップ75は、その押し子75fが支持板73を貫いていることから、支持板73の中央部分で、中央キートップ75に接する部分がキートップ支持部73cを形成している。また、押し子75fは円形に形成された貫通孔73aの内周より太く形成されて支持板73を貫いているため、中央キートップ75の支持板73からの抜止めに機能している。また、舌片部73bは弾性可撓部79を形成しており、中央キートップ75の押込み方向に撓むことで中央キートップ75の押込み操作を可能としている。さらに、ベースシート74が支持板73を下側から覆うことで、支持板73と中央キートップ75との隙間から塵や埃、水分がキーシート72の内側に侵入することがないようにされている。
【0063】
本実施形態のポインティングデバイス70及びこれに用いられるキーシート72は、硬質の支持板73を設けたため、中央キートップ75の側方移動の際に、弾性可撓部79が側方移動方向で変形しにくい。そのため、中央キートップ75の操作量が正確にポインティングデバイス50の入力信号に反映される。一方、中央キートップ75の押込み操作時には、ベースシート74が伸長するとともに、支持板73の舌片部73bが押し込まれることにより、スイッチ入力が可能となる。また、押込み後の中央キートップ75の元位置への復帰にあっては、押し子75fが抜止めとしても機能し、中央キートップ75がキーシート72から抜け落ちることはない。
【0064】
第8実施形態〔図17〕: 本実施形態におけるポインティングディバイス80及びこれに用いられるキーシート82は、第7実施形態のポインティングデバイス70等の変形例であり、支持板83の形状を変え、中央キートップ85との固着方法を変えたものである。本実施形態における支持板83は、図18で示すように、中央キートップ85と固着する中央キートップ載置部83cが舌片部83bとして形成されるように、その周囲に貫通孔83aが設けられている。そして、中央キートップ85の裏面と、この中央キートップ載置部83cが接着剤や融着によって接着、固定されている。
【0065】
本実施形態のポインティングデバイス80及びこれに用いられるキーシート82は、弾性可撓部89がゴム状弾性体でなるベースシート84だけでなく、硬質樹脂又は金属からなる薄板状の支持板83との積層において形成されているため、ゴム状弾性体だけから弾性可撓部が形成される場合に比較して、押込み荷重は大きくなるものの、側方移動における検出の正確性や、中央キートップ85を支持する安定性が向上する。
【0066】
第9実施形態〔図19〕: 本実施形態におけるポインティングディバイス90及びこれに用いられるキーシート92も、第7実施形態のポインティングデバイス70等の変形例である。本実施形態では、ベースシート94が支持板73の端に連なる点で、支持板73の全体を下から覆う第7実施形態とは異なる。また、ベースシート94には、中央キートップ載置部が無い。このように支持板73が「支持部材」を構成する。このポインティングデバイス90及びこれに用いられるキーシート92もコンパクトな構成とすることができる。
【0067】
本実施形態の変形例として、中央キートップ95と支持板73の代わりに第8実施形態における中央キートップ85と支持板83を用いることもできる。
【0068】
第10実施形態〔図20,図21〕: 本実施形態におけるポインティングデバイス100及びこれに用いられるキーシート102を図20、図21で示す。中央キートップ105の側面下端には側方に突出する環状の突起105bを形成している。さらに中央キートップ105の外周面の側方には、突起105bと係合する円環状のステンレスでなる「目隠し部材」としての目隠し板101が備えられ、円環磁石11の操作面側に被さるように位置している。この目隠し板101は円環磁石11との間に隙間を形成しつつその操作面側を覆っており、外径は円環磁石11の外径とほぼ同等であり、内径は円環磁石11より小さく中央キートップ105の外周面と目隠し板101の内周は固着されていない。また、「支持部材」としてのベースシート104に設けられる収容凹部104cは基板Pとは接せず基板Pから浮いた位置に配置されている。この収容凹部104cの内側側壁104gは、円環磁石11に対して固着されずに円環磁石11から離れる方向すなわち押し子104fに向かう方向に変形可能とされている。そして内側側壁104gの深さは円環磁石11の厚みよりも浅く形成されている。
【0069】
中央キートップ105を押込み操作した場合を図21に示す。ベースシート104の内側側壁104gと中央キートップ載置部104aとを繋ぐ部分、及び内側側壁104gとが共に弾性可撓部104dとなって変形し、中央キートップ105が押し込まれて中央キートップ105の突起105bと目隠し板101との間で隙間を形成している。
【0070】
本実施形態のポインティングデバイス100及びこれに用いられるキーシート102によれば、目隠し板101が円環磁石11及びベースシート104の弾性可撓部104dを覆っているため、外周キートップ16の透孔16aを通して円環磁石11やベースシート104が視認されるのを防ぎ、隠すことができる。また中央キートップ105を押込み操作すると、目隠し板101の内周は中央キートップ105の外周面と相対移動するため、目隠し板101は変形しなくても中央キートップ105を押込み操作方向で拘束せず、中央キートップ105の押込みが可能となる。
【0071】
第11実施形態〔図22〕: 第10実施形態の変形例である図22で示すポインティングデバイス110及びこれに用いられるキーシート112は、目隠し板101が円環磁石11の操作面側に接着層117で固着されている。
【0072】
本実施形態のポインティングデバイス110及びこれに用いられるキーシート112によれば、目隠し板101を円環磁石11に固着したため、例えば剪断方向の力に対して割れやすいプラスチック製の円環磁石11や薄い円環磁石11などを目隠し板101によって補強できる。また、中央キートップ115の側方移動操作時には円環磁石11が目隠し板101を介して中央キートップ115と連動する。目隠し板101は弾性可撓部に比べて変形しないため、弾性可撓部を介して連動するときより中央キートップ115の移動量を正確に得ることができる。さらにキーシート112と目隠し板101を一体で携帯電話機1に組み付けできる。
【0073】
第12実施形態〔図23〕: 第10実施形態の変形例である図23で示すポインティングデバイス120及びこれに用いられるキーシート122は、収容凹部124cの内側側壁124gが中央キートップ載置部124aより目隠し板101に向かって突出しており、その内側側壁124gの深さは円環磁石11の厚さと同等に形成されている。
【0074】
本実施形態のポインティングデバイス120及びこれに用いられるキーシート122によれば、中央キートップ125の側方移動操作時に中央キートップ125の突起125bと円環磁石11との間に内側側壁124gがクッションのように介在し、突起125bと円環磁石11の衝突を防止することができ、突起125bや磁石11の割れを防止し、磁石11の脱落を起こしにくくしている。
【0075】
実施形態の変更例: 上記第1実施形態〜第12実施形態については、以下のような変更もまた可能である。
【0076】
図6で示した環状の複数の磁石11bを用いることは、上記全ての実施形態において可能である。
【0077】
各実施形態において、各キートップ15,16,16b等とベースシート14,24,34,44,54,64,74,84,94,104,114,124とは別部材としていたが、各キートップ15,16,16b等は、ベースシート14,24,34,44,54,64,74,84,94,104,114,124の形状を変形して設けた凸部を各キートップ15,16,16b等とするものであっても良い。即ち、キートップとベースシートとは同一部材として形成されていても良い。
【0078】
基板PにLED等の内部光源を設け、中央キートップ15,25,35,45,55,75,85,95,105,115,125や外周キートップ16をいわゆる照光式キートップとして、これらのキートップから照光させることができる。
【0079】
以上の実施形態では、外周キートップ16を周方向で分割して構成してもよい。また、外周キートップ16や小型キートップ16bを設けず、中央キートップ15,25,35,45,55,75,85,95,105,115,125のみを有するポインティングデバイスとして構成することもできる。この場合、操作方向は360度全方向への又は特定方向への入力操作を可能なものとして構成し、それに応じて磁気センサ13の数や配置を変更してもよい。
【0080】
中央キートップ15,25,35,45,55,75,85,95,105,115,125や外周キートップ16には、文字や図形、記号などを表示する表示部や、所定の色調や模様を形成する着色部を設けたものとすることができる。
【0081】
以上の実施形態では、磁気センサ13を接点皿ばねPiと接点皿ばねPoとの間に配置する例を示したが、例えば、図3において、接点皿ばねPiを中心に45度ずらした位置に、磁気センサ13を移動することによって、接点皿ばねPoの間に磁気センサ13を配置することができ、より小型化が可能となる。また、磁気センサ13の配置は、基板Pの表面であることに限らず、その裏面に設けることもできる。また、磁気センサ13と磁石との位置関係は、円環磁石11を磁気センサ13の外周側になるように配置することも可能である。
【0082】
以上の実施形態では、キートップの押込み方向に垂直な360°方向に移動可能なポインティングデバイス10,20,30,40,50,70,80,90,100,110,120としていたが、キートップの押込み方向に垂直な1方向、または2方向など、特定の方向にのみ移動可能なポインティングデバイスとすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明のポインティングデバイスが実装された携帯電話機の外観図。
【図2】第1実施形態によるポインティングデバイスであり、図1のSA−SA線断面図。
【図3】円環磁石と、基板の磁気センサ及び接点皿ばねとの配置関係を模式的に示す平面図。
【図4】図2のポインティングデバイスの中央キートップを右方に移動させた時の断面図。
【図5】図2のポインティングデバイスの中央キートップを押し込んだ時の断面図。
【図6】複数の磁石と、基板の磁気センサ及び接点皿ばねとの配置関係を模式的に示す平面図。
【図7】第2実施形態によるポインティングデバイスの図2相当の断面図。
【図8】図7のポインティングデバイスの中央キートップを押し込んだ時の断面図。
【図9】第3実施形態によるポインティングデバイスの図2相当の断面図。
【図10】図8のポインティングデバイスの中央キートップを押し込んだ時の断面図。
【図11】図11(A)は、第4実施形態によるポインティングデバイスの図2相当の断面図であり、図11(B)は、図11(A)のA部分の拡大図。
【図12】第5実施形態によるポインティングデバイスの図2相当の断面図。
【図13】第6実施形態によるポインティングデバイスの図2相当の断面図。
【図14】図13のポインティングデバイスの中央キートップを押し込んだ時の断面図。
【図15】第7実施形態によるポインティングデバイスの図2相当の断面図。
【図16】図15で示す支持板の拡大平面図。
【図17】第8実施形態によるポインティングデバイスの図2相当の断面図。
【図18】図17で示す支持板の拡大平面図。
【図19】第9実施形態によるポインティングデバイスの図2相当の断面図。
【図20】第10実施形態によるポインティングデバイスの図2相当の断面図。
【図21】図20のポインティングデバイスの中央キートップを押し込んだときの断面図。
【図22】第11実施形態によるポインティングデバイスの図2相当の断面図。
【図23】第12実施形態によるポインティングデバイスの図2相当の断面図。
【符号の説明】
【0084】
1 携帯電話機
10,20,30,40,50,60,70,80,90,100,110,120 ポインティングデバイス
11 円環磁石
11b 磁石
12,22,32,42,52,62,72,82,92,102,112,122 キーシート
13 磁気センサ
14,24,34,44,54,64,74,84,94,104,114,124 ベースシート
14a,24a,34a,44a,54a,64a,74a,84a,104a,114a,124a 中央キートップ載置部
14b,24b,34b,44b,54b,64b,74b,84b,94b,104b,114b,124b 伸縮部
14c,24c,34c,44c,54c,64c,74c,84c,94c,104c,114c,124c 収容凹部
14d,44d,54d,104d,114d,124d 弾性可撓部
14e,24e,34e,44e,54e,74e,84e,94e,104e,114e,124e 外周キートップ載置部
14f,24f,34f,44f,54f,64f,75f,84f,95f,104f,114f,124f 押し子
24g,44g,64g,104g,114g,124g 収容凹部の側壁
15,25,35,45,55,65,75,85,95,105,115,125 中央キートップ
25a,35a,45a,55a キートップ本体部
25b,35b,45b,55b 鍔部
25c,35c,45c,55c 樹脂フィルム
105b,115b,125b 突起
16 外周キートップ
16a 透孔
16b 小型キートップ
17,37,47,117 接着層
18 接着層
29,39,69,79,89,99 弾性可撓部
73,83 支持板
73a,83a 貫通孔
73b,83b 舌片部
73c,83c 中央キートップ支持部
101 目隠し板
P 基板
Pi,Po 接点皿ばね

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キートップと、
操作面側となる表面に前記キートップが固着され、表面とは反対の裏面に該裏面と対向する基板の接点入力部を押込む押し子を有する支持部材と、
押し子を中央として該押し子の側方位置で支持部材に固定する磁石と、
を備えており、キートップを側方移動させると磁石が連動し、磁石の側方移動による磁束密度の変化を基板に設けた磁気センサで検出するポインティングデバイス用キーシートであって、
磁石と押し子との間に、接点入力部に向かうキートップの押込み操作によって押込み操作方向での変位を許容する弾性可撓部を設けたポインティングデバイス用キーシート。
【請求項2】
弾性可撓部がゴム状弾性体で形成されている請求項1記載のポインティングデバイス用キーシート。
【請求項3】
弾性可撓部がキートップの側面から側方移動方向に突出する鍔部である請求項1又は請求項2記載のポインティングデバイス用キーシート。
【請求項4】
鍔部がキートップとは別部材の樹脂フィルムでなる請求項3記載のポインティングデバイス用キーシート。
【請求項5】
支持部材をゴム状弾性体でなるベースシートとし、該ベースシートに磁石を保持する収容凹部を設けてあり、弾性可撓部が該収容凹部を形成する側壁である請求項1又は請求項2記載のポインティングデバイス用キーシート。
【請求項6】
収容凹部が、キートップの押込み方向における磁石の厚みよりも深さのある側壁を有する請求項5記載のポインティングデバイス用キーシート。
【請求項7】
収容凹部の押し子側の側壁が、磁石と離間する方向で変形可能とされている請求項5記載のポインティングデバイス用キーシート。
【請求項8】
支持部材として、キートップに対してその側方移動方向に突出し、キートップを載置するキートップとは別部材でなる支持板を備え、弾性可撓部が該支持板である請求項1又は請求項2記載のポインティングデバイス用キーシート。
【請求項9】
弾性可撓部が支持板の肉厚を貫通する貫通孔にて形成する舌片部である請求項8記載のポインティングデバイス用キーシート。
【請求項10】
環状の目隠し部材をキートップの外周面の側方に備えており、該目隠し部材は、キートップの押込み操作方向でキートップが相対移動可能な挿通孔を有し、キートップの側方位置で支持部材又は磁石を外観上隠す遮蔽板である請求項1〜請求項9何れか1項記載のポインティングデバイス用キーシート。
【請求項11】
磁石を、円環磁石又は環状位置に配置する複数の磁石でなるものとして構成し、磁石の着磁方向を前記円環又は環状の内外方向とする請求項1〜請求項10何れか1項記載のポインティングデバイス用キーシート。
【請求項12】
請求項1〜請求項11何れか1項記載のポインティングデバイス用キーシートと、磁気センサとを備えるポインティングデバイス。
【請求項13】
磁石と磁気センサとを基板に平行な一平面内に配置した請求項12記載のポインティングデバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2007−12591(P2007−12591A)
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−75147(P2006−75147)
【出願日】平成18年3月17日(2006.3.17)
【出願人】(000116851)旭化成電子株式会社 (18)
【出願人】(000237020)ポリマテック株式会社 (234)
【Fターム(参考)】