説明

ポジショナ

【課題】内部回路のインピーダンスを低く抑えつつ、電空変換部などの機能回路部への電流を増やしたり、基本機能を犠牲にすることなく、調節弁の異常診断や自己の異常診断などの付加機能の機能回路部を動作させたりする。
【解決手段】電空変換部4のコイル4−1を定電圧回路3に並列に接続する。コイル4−1への電流Idの供給路に電流調整部5を設ける。この電流調整部5での電流の調整値を本体回路2のCPU1からの指令によって制御する。CPU1は、上位側システム200からの供給電流Iの実際値を現在の供給電流として検出し、この現在の供給電流に電空変換部4に振り向けることが可能な余剰電流があるか否かを判断する。この場合、4mAを超える供給電流を余剰電流とみなし、余剰電流があった場合、その余剰電流をコイル4−1に配分するように、電流調整部5へ指令を送る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、上位側システムより一対の電線を介して電流の供給を受け、この供給電流の値に応じて調節弁の開度を制御するポジショナに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、この種のポジショナは、上位側システムより一対の電線を介して送られてくる4〜20mAの電流で動作するように設計されている。例えば、上位側システムより4mAの電流が送られてきた場合には調節弁の開度を0%とし、20mAの電流が送られてきた場合には調節弁の開度を100%とする。
【0003】
この場合、上位側システムからの供給電流は4mA(下限電流値)から20mA(上限電流値)の範囲で変化するので、ポジショナの内部回路は上位側システムから供給される電流値として常に確保することの可能な4mA以下の電流によって動作する(例えば、特許文献1参照)。なお、この電流は最低動作電流と呼ばれ、例えば3.8mA程度とされる。
【0004】
図7に従来のポジショナの要部の構成を示す。このポジショナ100は、上位側システム200より一対の電線L1,L2を介して電流Iの供給を受け、この供給電流Iから自己の動作電源を生成する一方、供給電流Iの値に応じて図示されていない調節弁の開度を制御する。
【0005】
ポジショナ100は、CPU(中央演算処理装置)1を含む本体回路2と、ツェナーダイオードD1を含む定電圧回路3と、本体回路2からの電気信号を空気圧信号に変換する電空変換部4と、抵抗R1とを備えている。
【0006】
定電圧回路3と抵抗R1とは上位側システム200からの電流Iが入出力される端子T1,T2間に直列に接続され、定電圧回路3と抵抗R1との接続点は接地されている。なお、電空変換部4はノズル・フラッパ機構(図示せず)を駆動するコイル4−1を有し、このコイル4−1に本体回路2からの電気信号が供給される。
【0007】
このポジショナ100において、定電圧回路3は、上位側システム200からの供給電流Iより定電圧V1を生成し、この生成した定電圧V1を動作電源として本体回路2に供給する。本体回路2のCPU1は、抵抗R1の電流Iの流出側に生ずる電圧Vsを目標開度θspとして入力とし、すなわち上位側システム200からの供給電流Iの値に応じた電圧Vsを目標開度θspとして入力とし、また調節弁よりフィードバックされてくる電圧Vrを調節弁の実開度θpvとして入力し、目標開度θspと実開度θpvとが一致するように電空変換部4のコイル4−1へ電気信号を供給する。
【0008】
この回路構成において、上位側システム200からは4〜20mAの間で変化する電流Iが供給されるが、この供給電流Iのうち本体回路2側のラインLAに回路の消費電流(動作電流)Icが流れ、この動作電流Icを超える余分な電流が余剰電流Iv(Iv=I−Ic)として定電圧回路3側のラインLBに流れる。また、図8に示すように、供給電流Iの4〜20mA(θsp=0〜100%)の変化に対し、電空変換部4のコイル4−1には0〜0.7mAの電流Idが流れる。
【0009】
一方、特許文献2,3に示されたポジショナでは、電空変換部のコイルとその他の回路とを直列に接続し、かつ電空変換部のコイルを上流側に設けるようにしている。これにより、電空変換部のコイルに流れる電流が増加し、温度等の外乱に対する安定性のマージンが大きくなって、調節弁の応答性が良くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2004−151941号公報
【特許文献2】特開平11−304033号公報(特許第3596293号)
【特許文献3】特開2000−304148号公報(特許第3635982号)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、特許文献2,3に記載された方式では、電空変換部に流せる電流は大きくなるが、内部回路が直列(電空変換部のコイルとその他の回路とが直列)となっているので、内部回路のインピーダンスが大きくなり、ポジショナの動作可能な端子間電圧(最小動作端子間電圧)が高くなる。このため、2線の伝送路(一対の電線)間に直列に2つのポジショナを接続(2連結)したり、他の負荷と連結するよういうような使用方法を実現することが難しい。
【0012】
例えば、2線の伝送路からの供給電圧を15Vとした場合、ポジショナを2連結すると、そのポジショナの端子間電圧は7.5Vとなる。この場合、特許文献2,3に記載された方式では、内部回路が直列となっているため、ポジショナの最小動作端子間電圧が12Vとなり、ポジショナを2線の伝送路間に2連結することができない。この場合、ポジショナを2連結するには、2線の伝送路からの供給電圧を24Vとしなければならない。
【0013】
また、近年、ポジショナには、調節弁の弁開度制御という本来の機能(基本機能)に加えて、調節弁の異常診断や自己の異常診断などの機能を付加機能として盛り込ませたいという要請がある。しかし、このような多機能化の要請に応えようとすると、付加機能の機能回路部を動作させるために電流を割り当てなければならず、その分、基本機能の機能回路部に配分する電流を減らさなければならず、基本機能の低下を招いてしまう。
【0014】
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、内部回路のインピーダンスを低く抑えつつ、電空変換部などの機能回路部への電流を増やしたり、基本機能を犠牲にすることなく、調節弁の異常診断や自己の異常診断などの付加機能の機能回路部を動作させたりすることが可能なポジショナを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
このような目的を達成するために本発明は、上位側システムより一対の電線を介して電流の供給を受け、この供給電流の値に応じて調節弁の開度を制御するポジショナにおいて、供給電流から自己の動作電源として定電圧を生成する定電圧回路と、定電圧回路に並列に接続された機能回路部と、供給電流の実際値を現在の供給電流として検出する供給電流検出手段と、検出された現在の供給電流に機能回路部に振り向けることが可能な余剰電流があるか否かを判断し、余剰電流があった場合、その余剰電流を機能回路部に配分する余剰電流配分手段とを備えたことを特徴とする。
【0016】
この発明によれば、供給電流の実際値が現在の供給電流として検出され、この検出された現在の供給電流に機能回路部に振り向けることが可能な余剰電流があるか否かが判断され、余剰電流があった場合、その余剰電流が機能回路部に配分される。また、機能回路部は定電圧回路に並列に接続されているので、内部回路のインピーダンスが低く抑えられる。これにより、機能回路部を電空変換部とした場合、内部回路のインピーダンスを低く抑えつつ、電空変換部への電流を増やすことが可能となる。また、機能回路部を調節弁の異常診断や自己の異常診断などの付加機能の機能回路部とした場合、基本機能を犠牲にすることなく、その付加機能の機能回路部を動作させることが可能となる。また、機能回路部を中央演算処理装置を含む基本機能の機能回路部とした場合、中央演算処理装置の動作速度をアップするなどして、制御性、応答性を向上させることが可能となる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、機能回路部を定電圧回路に並列に接続するとともに、供給電流の実際値を現在の供給電流として検出し、この検出した現在の供給電流に機能回路部に振り向けることが可能な余剰電流があるか否かを判断し、余剰電流があった場合、その余剰電流を機能回路部に配分するようにしたので、内部回路のインピーダンスを低く抑えつつ、電空変換部などの機能回路部への電流を増やしたり、基本機能を犠牲にすることなく、調節弁の異常診断や自己の異常診断などの付加機能の機能回路部を動作させたりすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係るポジショナの一実施の形態(実施の形態1)の要部の構成を示す図である。
【図2】このポジショナに供給される上位側システムからの供給電流および電空変換部のコイルに供給される電流の関係を示す図である。
【図3】本発明に係るポジショナの他の実施の形態(実施の形態2)の要部の構成を示す図である。
【図4】このポジショナで用いられるテーブルの一例を示す図である。
【図5】このポジショナで用いられるテーブルの別の例を示す図である。
【図6】このポジショナで用いられるテーブルの別の例を示す図である。
【図7】従来のポジショナの要部の構成を示す図である。
【図8】従来のポジショナに供給される上位側システムからの供給電流および電空変換部のコイルに供給される電流の関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
〔実施の形態1〕
図1はこの発明に係るポジショナの一実施の形態(実施の形態1)の要部の構成図である。同図において、図7と同一符号は図7を参照して説明した構成要素と同一或いは同等構成要素を示し、その説明は省略する。
【0020】
この実施の形態1において、電空変換部4は、定電圧回路3に並列に接続されている。すなわち、定電圧回路3からの定電圧V1の供給ラインLAと接地ラインLCとの間に電空変換部4のコイル4−1を接続し、コイル4−1に電流Idを流すようにしている。また、このコイル4−1への電流Idの供給路に電流調整部5を設け、この電流調整部5での電流の調整値を本体回路2のCPU1からの指令によって制御するようにしている。
【0021】
CPU1は、メモリM1に格納されているプログラムに従って動作し、抵抗R1の電流Iの流出側に生ずる電圧Vsを供給電流Iの実際値(現在の供給電流)として検出し、この現在の供給電流に電空変換部4に振り向けることが可能な余剰電流があるか否かを判断する。この例において、CPU1は、4mAを超える供給電流を余剰電流とみなす。そして、CPU1は、余剰電流があった場合、その余剰電流を電空変換部4のコイル4−1に配分するように、電流調整部5へ指令を送る。
【0022】
これにより、図2に示されるように、上位側システム200からの供給電流Iが4mAである場合には、コイル4−1への電流Idが0mAとされ、上位側システム200からの供給電流が20mAである場合には、コイル4−1への電流Idが16mAとされる。
【0023】
すなわち、図7に示したポジショナ100では、余剰電流Ivを定電圧回路3側のラインLBに流すだけで、そのまま上位側システム200へ戻していたが、本実施の形態のポジショナ100Aでは、余剰電流Ivをコイル4−1への電流Idとして有効に利用している。
【0024】
これにより、コイル4−1に流れる電流が増加し、温度等の外乱に対する安定性のマージンが大きくなって、調節弁の応答性が良くなる。また、コイル4−1は定電圧回路3に対して並列に接続されているので、内部回路のインピーダンスが低く抑えられる。これにより、端子間電圧が低く抑えられ、2線の伝送路間にポジショナ100Aを2連結したり、他の負荷と連結するというような使用方法を実現することが可能となる。
【0025】
〔実施の形態2〕
図3に図1に示したポジショナ100Aに対して調節弁の異常診断や自己の異常診断などの付加機能を設けた例を実施の形態2として示す。
【0026】
この実施の形態2のポジショナ100Bでは、調節弁の異常診断を行う機能回路部としてバルブ診断部6と、自己の異常診断を行う機能回路部として自己診断部7とを設けている。バルブ診断部6および自己診断部7も、1つの機能回路部として設けられている電空変換部4と同様に、定電圧回路3に並列に接続されている。
【0027】
以下、電空変換部4での電空変換を行う機能を機能A、バルブ診断部6での調節弁の異常診断を行う機能を機能B、自己診断部7での自己の異常診断を行う機能を機能Cとする。
【0028】
本体回路2のCPU1は、メモリM1に格納されているプログラムに従って動作し、電空変換部4のコイル4−1への電流Idの値を制御する一方、バルブ診断部6および自己診断部7の動作モードの「H」/「L」を制御する。
【0029】
メモリM1には、上述したプログラムに加えて、供給電流Iが取り得る電流の範囲(0〜20mA)を複数の電流範囲に区分し、この区分された電流範囲毎に余剰電流を配分する機能回路部の組み合わせを定めたテーブルTB1が格納されている。
【0030】
図4にテーブルTB1の一例を示す。このテーブルTB1では、供給電流Iが取り得る電流の範囲(0〜20mA)を4つの電流範囲に区分し、区分1の電流範囲(0〜4mA)に対しては「A+B(L)+C(L)」を機能の組み合わせとして定め、区分2の電流範囲(4〜16mA)には「A(X)+B(L)+C(L)」を機能の組み合わせとして定め、区分3の電流範囲(16〜18mA)には「A(X)+B(H)+C(L)」を機能の組み合わせとして定め、区分4の電流範囲(18〜20mA)には「A(X)+B(H)+C(H)」を機能の組み合わせとして定めている。
【0031】
なお、「B(L)」,「C(L)」は機能B,Cの動作モードを「L」(制限付き動作)とすることを示し、「B(H)」,「C(H)」は機能B,Cの動作モードを「H」(本動作)とすることを示す。この場合、機能Bの動作モード「H」では余剰電流を配分するが、機能Bの動作モード「L」では余剰電流は配分しない。同様に、機能Cの動作モード「H」では余剰電流を配分するが、機能Cの動作モード「L」では余剰電流は配分しない。また、「A」は機能Aに対して余剰電流を配分しないことを示し、「A(X)」は機能Aに対して余剰電流を配分することを示す。
【0032】
したがって、図4に示したテーブルTB1において、区分1の電流範囲に対して定められた「A+B(L)+C(L)」は余剰電流を配分する機能回路部がないことを示し、区分2の電流範囲に対して定められた「A(X)+B(L)+C(L)」は余剰電流を配分する機能回路部の組み合わせが機能Aの機能回路部のみであることを示し、区分3の電流範囲に対して定められた「A(X)+B(H)+C(L)」は余剰電流を配分する機能回路部の組み合わせが機能Aと機能Bの機能回路部であることを示し、区分4の電流範囲に対して定められた「A(X)+B(H)+C(H)」は余剰電流を配分する機能回路部の組み合わせが機能Aと機能Bと機能Cの機能回路部であることを示している。
【0033】
〔区分1:電流範囲が0〜4mAの場合〕
今、上位側システム200からの供給電流Iが0〜4mAの範囲内にあるものとする。この場合、CPU1は、供給電流Iの実際値(現在の供給電流)が区分1の電流範囲に属していることを確認し、その属している区分1の電流範囲の機能の組み合わせとして「A+B(L)+C(L)」をテーブルTB1より読み出し、この読み出した機能の組み合わせに従って余剰電流の配分を定める。
【0034】
この場合、「A+B(L)+C(L)」は余剰電流を配分する機能回路部がないことを示しているので、CPU1は機能A,B,Cの機能回路部に振り向けることが可能な余剰電流はないと判断し、機能Aの機能回路部である電空変換部4のコイル4−1への電流Idを0mAとし、機能Bの機能回路部であるバルブ診断部6の動作モードを「L」とし、機能Cの機能回路部である自己診断部7の動作モードを「L」とする。
【0035】
〔区分2:電流範囲が4〜16mAの場合〕
今、上位側システム200からの供給電流Iが4〜16mAの範囲内で変化しているものとする。この場合、CPU1は、供給電流Iの実際値(現在の供給電流)が区分2の電流範囲に属していることを確認し、その属している区分2の電流範囲の機能の組み合わせとして「A(X)+B(L)+C(L)」をテーブルTB1より読み出し、この読み出した機能の組み合わせに従って余剰電流の配分を定める。
【0036】
この場合、「A(X)+B(L)+C(L)」は余剰電流を配分する機能回路部の組み合わせが機能Aの機能回路部のみであることを示しているので、CPU1は機能Aの機能回路部に振り向けることが可能な余剰電流があると判断し、供給電流Iのうち4mAを超えた部分を余剰電流(第1の余剰電流)とし、この余剰電流を機能Aの機能回路部である電空変換部4のコイル4−1へ配分するように、電流調整部5へ指令を送る。
【0037】
〔区分3:電流範囲が16〜18mAの場合〕
今、上位側システム200からの供給電流Iが16〜18mAの範囲内で変化しているものとする。この場合、CPU1は、供給電流Iの実際値(現在の供給電流)が区分3の電流範囲に属していることを確認し、その属している区分3の電流範囲の機能の組み合わせとして「A(X)+B(H)+C(L)」をテーブルTB1より読み出し、この読み出した機能の組み合わせに従って余剰電流の配分を定める。
【0038】
この場合、「A(X)+B(H)+C(L)」は余剰電流を配分する機能回路部の組み合わせが機能Aと機能Bの機能回路部であることを示しているので、CPU1は機能Aに加えて機能Bの機能回路部にさらに振り向けることが可能な余剰電流があると判断し、供給電流Iのうち16mAを超えた部分をさらなる第2の余剰電流とし、機能Bの機能回路部であるバルブ診断部6の動作モードを「H」に切り替える。これにより、電空変換部4のコイル4−1への第1の余剰電流の配分を続けながら、バルブ診断部6へ第2の余剰電流が配分され、バルブ診断部6が本動作で動作する。この場合、本体回路2への電流は削減されないので、基本機能の低下を招くことはない。
【0039】
〔区分4:電流範囲が18〜20mAの場合〕
今、上位側システム200からの供給電流Iが18〜20mAの範囲内で変化しているものとする。この場合、CPU1は、供給電流Iの実際値(現在の供給電流)が区分4の電流範囲に属していることを確認し、その属している区分4の電流範囲の機能の組み合わせとして「A(X)+B(H)+C(H)」をテーブルTB1より読み出し、この読み出した機能の組み合わせに従って余剰電流の配分を定める。
【0040】
この場合、「A(X)+B(H)+C(H)」は余剰電流を配分する機能回路部の組み合わせが機能Aと機能Bと機能Cの機能回路部であることを示しているので、CPU1は機能A,Bに加えてさらに機能Cの機能回路部に振り向けることが可能な余剰電流があると判断し、供給電流Iのうち18mAを超えた部分をさらなる第3の余剰電流とし、機能Cの機能回路部である自己診断部7の動作モードを「H」に切り替える。これにより、電空変換部4のコイル4−1への第1の余剰電流の配分を続けながら、また第2の余剰電流の配分を受けてバルブ診断部6の本動作を続けながら、自己診断部7へ第3の余剰電流が配分され、自己診断部7が本動作で動作する。この場合、本体回路2への電流は削減されないので、基本機能の低下を招くことはない。
【0041】
なお、図4ではテーブルTB1に電流範囲の区分毎に余剰電流を配分する機能回路部の組み合わせが決定されているものとしたが、上位側システム200からの指示によって決定されるものとしてもよい。例えば、図5に示すように、区分3の電流範囲に対して「A(X)+B(Hable)+C(L)」を機能の組み合わせとして定め、区分4の電流範囲に対して「A(X)+B(Hable)+C(Hable)」を機能の組み合わせとして定め、「B(Hable)」や「C(Hable)」を上位側システム200からの指示によって「B(H)」や「C(H)」として確定させるようにしてもよい。
【0042】
この場合、「B(Hable)」は上位側システム200からの指示によって「B(L)」から「B(H)」への変更が可能であることを示し、「C(Hable)」は上位側システム200からの指示によって「C(L)」から「C(H)」への変更が可能であることを示す。したがって、図6に示すように、区分3において、「A(X)+B(L)+C(Hable)」とされていれば、機能Cが「C(L)」から「C(H)」への変更が可能とされ、機能Bの「B(L)」から「B(H)」への変更はできないものとされる。
【0043】
また、図3に示した構成では、電空変換部4のコイル4−1に続いて、バルブ診断部6や自己診断部7に余剰電流を配分するようにしたが、電空変換部4のコイル4−1には余剰電流を配分せず、バルブ診断部6や自己診断部7にのみ余剰電流を配分するようにしてもよい。
【0044】
また、付加機能の機能回路部はバルブ診断部6や自己診断部7に限られるものではなく、センサ類(圧力、加速度、温度)などを付加機能回路部とし、待機モード、制限付き動作、本動作へと切り替えて行くようにしてもよい。
【0045】
また、CPU1を含む本体回路2を機能回路部とし、余剰電流があった場合、本体回路2自身に余剰電流を配分し、CPU1の動作速度をアップするようにしてもよい。これにより、制御性、応答性を向上させることが可能となる。
【0046】
また、上述した実施の形態では、4mAを超える供給電流を余剰電流としたが、内部回路の最低動作電流である3.8mAを超える電流を余剰電流としてもよく、電流範囲の区分や機能の組み合わせも自由に定めることができることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明のポジショナは、調節弁の開度を制御する機器として、プロセス制御など様々な分野で利用することが可能である。
【符号の説明】
【0048】
1…CPU、2…本体回路、3…定電圧回路、4…電空変換部、4−1…コイル、5…電流調整部、6…バルブ診断部、7…自己診断部、D1…ツェナーダイオード、R1…抵抗、T1,T2…端子、L1,L2…一対の電線、M1…メモリ、TB1…テーブル、LA,LB,LC…ライン、100A,100B…ポジショナ、200…上位側システム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上位側システムより一対の電線を介して電流の供給を受け、この供給電流の値に応じて調節弁の開度を制御するポジショナにおいて、
前記供給電流から自己の動作電源として定電圧を生成する定電圧回路と、
前記定電圧回路に並列に接続された機能回路部と、
前記供給電流の実際値を現在の供給電流として検出する供給電流検出手段と、
前記検出された現在の供給電流に前記機能回路部に振り向けることが可能な余剰電流があるか否かを判断し、余剰電流があった場合、その余剰電流を前記機能回路部に配分する余剰電流配分手段と
を備えることを特徴とするポジショナ。
【請求項2】
請求項1に記載されたポジショナにおいて、
前記機能回路部は、電気信号を空気信号に変換する電空変換部である
ことを特徴とするポジショナ。
【請求項3】
請求項1に記載されたポジショナにおいて、
前記機能回路部として前記定電圧回路に並列に接続された複数の機能回路部と、
前記供給電流が取り得る電流の範囲を複数の電流範囲に区分し、この電流範囲の区分毎に余剰電流を配分する前記機能回路部の組み合わせを定めたテーブルを記憶する記憶手段とを備え、
前記余剰電流配分手段は、前記検出された現在の供給電流が前記電流範囲の区分の何れに属しているかを確認し、その属している電流範囲の区分に対して定められている機能回路部の組み合わせを前記テーブルより読み出し、この読み出した組み合わせの機能回路部へ余剰電流を配分する
ことを特徴とするポジショナ。
【請求項4】
請求項3に記載されたポジショナにおいて、
前記テーブルにおける前記余剰電流を配分する機能回路部の組み合わせにはその機能回路部の動作モードが指定されている
ことを特徴とするポジショナ。
【請求項5】
請求項3又は4に記載されたポジショナにおいて、
前記テーブルにおける前記余剰電流を配分する機能回路部の組み合わせは前記上位側システムからの指示によって決定される
ことを特徴とするポジショナ。
【請求項6】
請求項1に記載されたポジショナにおいて、
前記機能回路部は、中央演算処理装置を含み、
前記余剰電流配分手段は、前記余剰電流があった場合、前記機能回路部に余剰電流を配分し、その機能回路部の中央演算処理装置の動作速度を上昇させる
ことを特徴とするポジショナ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2012−211599(P2012−211599A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−76180(P2011−76180)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(000006666)アズビル株式会社 (1,808)
【Fターム(参考)】