説明

ポリエステルの製造方法、固相重縮合法および高強力ポリエステル繊維

【課題】簡略された方法でエステル化反応を制御することで、高品質のポリエステルおよび高強力ポリエステル繊維を安定的に製造する方法を提供すること。
【解決手段】直接エステル化法によるポリエステルの連続製造方法であって、以下の条件を同時に満たすポリエステルの製造方法。(1)ジカルボン酸とグリコールとからなるスラリーをスラリー調製槽で調製してエステル化反応槽に連続的に供給する過程において、該スラリーの温度を設定値の±4℃以内に制御してエステル化反応槽に定量供給すること。(2)最終エステル化反応槽出口のポリエステル低重合体のカルボキシル末端基濃度をオンラインで連続的に検出し、その検出値に基づいて、エステル化反応および/または重縮合反応を制御すること。また、上記ポリエステルを用いて固相重縮合する固相重縮合方法および該固相重縮合法で得られたポリエステルを紡糸してなる高強力繊維。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はエステル化反応を制御することにより、工程安定性を向上させ、安定したポリエステルを生産することができるポリエステルの製造方法、該ポリエステルを用いてなる固相重縮合法および該固相重縮合法で得られたポリエステルを用いてなる高強力ポリエステル繊維に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリエステルは、その優れた特性からフィルム、繊維、ボトルをはじめ様々な用途に用いられている。なかでもポリエチレンテレフタレートは機械的強度、耐薬晶性、寸法安定性に優れることから、一般的に使用されている。
【0003】
一般にポリエステルの製造は、エステル化反応と重縮合反応の2段階で行われる。ポリエチレンテレフタレートの製造において、製造工程を安定化させるためには、エステル化反応によって得られる中間体である低重合体のカルボキシル末端基とヒドロキシル末端基の比率(以下「末端基比」と記載)を調整することが重要とされている。
【0004】
例えば、末端基比が大きく変動すると重縮合工程において重縮合反応の進行速度が変動するために、エチレングリコール除去の負荷変動を生じたり、ポリマーが所定の重合度に到達しない等の問題が発生する。品質においてはポリマーの色相が変化するような現象が生じる。
【0005】
そこで、例えば、重縮合工程へ供給するポリエステルオリゴマーのエステル化率を90〜98%の範囲内で一定になるように、エステル化反応時の温度、圧力滞留時間およびエチレングリコール供給量からなる少なくとも1種の反応条件を調節しカルボキシル末端基量が20〜50eq/tonのポリエステルを得る方法、重縮合工程へ供給するポリエステルオリゴマーのエステル化率を92〜98%の範囲であり、かつ全末端基中のカルボキシル末端基の割合が35%以下にすることによりカルボキシル末端基量が35eq/tonのポリエステルを得る方法、第1重縮合反応時の温度、滞留時間およびエチレングリコール供給量からなる少なくとも1種の反応条件を調節するか、若しくはエステル化反応物のエステル化反応率と共に第1重縮合反応条件を調節しカルボキシル末端基量が15〜50eq/tonのポリエステルを得る方法およびポリエステルオリゴマーのカルボキシル末端基量を9〜30eq/tonにして重縮合工程に供給する方法が開示されている(特許文献1〜4参照)。
【特許文献1】特開平10−176043号公報
【特許文献2】特開平10−251391号公報
【特許文献3】特開平11−106498号公報
【特許文献4】特開2001−329058号公報
【0006】
さらに、製品ポリマーの色調を測定し、その測定値の目標値に対する偏差に応じてエステル化工程でのエステル化率を調節する方法、製品ポリマーの色調を測定し、その測定値の目標値に対する偏差に応じて第1重縮合反応時の滞留時間を調節する方法および製品ポリマーの色調および極限粘度を測定してその測定値の目標値に対する偏差に応じて第1段重縮合反応缶へのエチレングリコールの供給量を調節することにより、製造されるポリエステルの色調(b値)の標準偏差が平均値の0.05倍以内に保ち、かつ極限粘度の標準偏差が平均値の0.005倍以内に保つ方法が開示されている(特許文献5〜7参照)。
【特許文献5】特許3375403号公報
【特許文献6】特開2004−75955号公報
【特許文献7】特開2004−75957号公報
【0007】
しかし、上記の方法では、製品ポリマーの色調を測定した時点では、すでに重縮合反応が進行しているので、エステル化率の調節が遅れるために、上記問題が解消されているとはいえない。
【0008】
また、ポリエステルの製造工程へ供給するテレフタル酸とエチレングリコールとからなるスラリーの密度や濃度を連続測定して、該測定値より求められるスラリー中のテレフタル酸に対するエチレングリコールのモル比に基づいてエステル化反応を制御する方法やスラリー濃度の変化に応じてスラリー中のテレフタル酸とエチレングリコールとの比率の変動を制御する方法が開示されている(特許文献8および9参照)。
【特許文献8】特開平6−247899号公報
【特許文献9】特開2004−75956号公報
【0009】
上記方法は、エステル化反応に供給されスラリー濃度によりポリエステル生成反応が一定になるように制御される点で得られるポリエステルの品質安定化にとっては好ましい方法であるが、ポリエステルの品質に対して大きな影響をおよぼすエステル化反応の進行度は検知されないという課題を有する。
【0010】
また、エステル化反応生成物の電気伝導度をオンライン測定してその結果によりエステル化反応を制御する方法が開示されている(例えば、特許文献10〜12等参照)。該方法は、エステル化反応生成物の電気伝導度とエステル化反応度が比例することを利用してエステル化反応を制御する方法であり、エステル化反応度を直接測定している点で、前記した方法よりは一歩前進した制御方式である。しかしながら、該方法は、エステル化反応により生ずる水や未反応のエチレングリコールの影響でエステル化反応生成物の電気伝導度に変動を与える等の外乱の影響が大きいという課題を有している。
【特許文献10】特公昭51−41679号公報
【特許文献11】特開昭48−103537号公報
【特許文献12】特開昭52−19634号公報
【特許文献13】特公平5−32385号公報
【0011】
上記課題を解決する方法として、ポリエステルの製造工程中の原料、反応中間生成物または最終生成物のうち1種以上についての近赤外線特性を連続的に測定し、得られた分光スペクトルから測定物中の物性を解析し、解析データに基づいて製造工程中の反応条件を制御する方法が開示されている(特許文献14参照)該特許文献において、ポリエステル連続製造工程の重縮合槽の底部に設けられた抜き出し口に近赤外線吸収スペクトルの検出端子を設置して、常時抜き出し口を通過するポリエステルのカルボキシル末端基濃度を連続的に測定すると供に、第2エステル化反応槽の出口にも近赤外線吸収スペクトルの検出端子を設置して、該検出端子部を通過するポリエステルオリゴマーのエステル化率を連続測定し、目標エステル化率になるように第2エステル化反応槽温度調節器へフィードバックし、生成ポリエステルのカルボキシル末端基濃度変化を抑制する方法が開示されている。該方法は、ポリエステルのカルボキシル末端基濃度を安定化する制御方法としては有効な方法であるが、ポリエステル製造工程の2ヶ所のポリエステルおよびオリゴマーの特性値を検出し制御する方法であり、検出器および制御装置の設備投資やその性能維持のためのメンテナンス費用が高額なり、かつ制御系の複雑になるという課題を有する。さらに、反応制御が応答速度の遅い第2エステル化反応槽の温度制御により行われているという課題もある。該課題は連動している。すなわち、反応制御が応答速度の遅い第2エステル化反応槽の温度制御で実施されているために上記した複雑な制御が必要となるものと推察される。そこで、より単純化された制御系で生成ポリエステルのカルボキシル末端基濃度変化を安定化できる方法の構築が嘱望されている。
【特許文献14】特開平11−315137号公報
【0012】
一方、高強力繊維やダイレクトブロー成型ボトル用の原料ポリエステルとしては、高分子量のポリエステルが必要である。該原料ポリエステルは一般に極限粘度が0.45〜0.70のプレポリマーを溶融重縮合法で調製し、該プレポリマーを固相重縮合することにより高分子量のポリエステルが製造されている。該固相重縮合においては、プレポリマーのカルボキシル末端基により重縮合反応速度が大きく変化することが知られている。
【0013】
例えば、プレポリマーの総末端基に対するカルボキシル末端基の割合が20〜45当量%として固相重縮合を行う方法が開示されている(特許文献15参照)。
【特許文献15】特開平8−188643号公報
【0014】
また、プレポリマーの末端基の量に応じて固相重縮合時間を特定化する方法が開示されている(特許文献16参照)。
【特許文献16】特開平7−90064号公報
【0015】
上記した背景に基づき、本発明者等は、重縮合開始前のエステル化反応生成物のカルボキシル末端基をオンラインで連続的に検出し、その検出値に基づいて、カルボキシル末端基とヒドロキシル末端基の比率を調整する方法を提案した(特許文献17参照)。
【特許文献17】特願2003−431641号公報
【0016】
上記方法により高品質のポリエステルを安定して製造できるようになり、該ポリエステル固相重縮合法用のプレポリマーとして用いることにより固相重縮合されたポリエステルの品質が向上できた。しかし、例えば、高強力繊維の紡糸操業性の高度な安定化を図るためには、さらなる品質の安定化が必要でありその技術確立が嘱望されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明の目的は、簡略された方法でエステル化反応を制御することで、高品質のポリエステルおよび高強力ポリエステル繊維を安定的に製造する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記課題を解決するために鋭意検討し、先に提案した近赤外線吸収によるカルボキシル末端基の定量による反応制御に加えて、エステル化反応槽に供給するジカルボン酸およびグリコールよりなるスラリー温度を特定温度範囲内に制御して供給することにより上記目的が達成でき、得られるポリエステルの品質がより安定化でき、該ポリエステルをプレポリマーとして固相重縮合を行うことにより、固相重縮合反応の安定性が向上し、該固相重縮合ポリエステルを用いて高強力ポリエステル繊維を製造する場合の紡糸操業性をより向上することができることを見出して本発明を完成した。
すなわち、本発明は、直接エステル化法によるポリエステルの連続製造方法であって、以下の条件を同時に満たすことを特徴とするポリエステルの製造方法である。
(1)ジカルボン酸とグリコールとからなるスラリーをスラリー調製槽で調製してエステル化反応槽に連続的に供給する過程において、該スラリーの温度を設定値の±4℃以内に制御してエステル化反応槽に定量供給すること。
(2)最終エステル化反応槽出口のポリエステル低重合体のカルボキシル末端基濃度をオンラインで連続的に検出し、その検出値に基づいて、エステル化反応および/または重縮合反応を制御すること。
この場合において、上記スラリー調製槽の温度を検出し、該温度が設定値の設定値の±4℃以内になるように該スラリー調製槽に供給されるグリコール温度にフィードバックし制御することが好ましい。
また、この場合において、上記方法で検出したカルボキシル末端基濃度によるフィードバック回路により連続的に上記第2エステル化反応槽以降に供給されるグリコール添加量を変更することで反応制御を行うことにより、該カルボキシル末端基濃度を標準偏差(s)が2.5以下に制御することが好ましい。
また、この場合において、前記生成物のカルボキシル末端基濃度の検出を近赤外分光光度計を用いて行うことが好ましい。
また、本発明は上記方法で得られたポリエステルを固相重縮合することを特徴とするポリエステルの固相重縮合法である。
また、本発明は、上記固相重縮合法で得られたポリエステルを紡糸されてなることを特徴とする高強力ポリエステル繊維である。
【発明の効果】
【0019】
本発明のポリエステル製造方法は、極めて簡略化された経済性の高い反応制御方法により、得られるポリエステルの品質変動を抑制することができる。従って、該ポリエステルをプレポリマーをして用いることにより、固相重縮合反応の安定化ができ、該固相重縮合ポリエステルを用いることにより、高強力繊維の紡糸操業性を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明のポリエステルの製造方法の実施形態を説明する。
【0021】
本発明においては、直接エステル化法によるポリエステルの連続製造方法において、以下の条件を同時に満たすことが重要である。すなわち、(1)ジカルボン酸とグリコールとからなるスラリーをスラリー調製槽で調製してエステル化反応槽に連続的に供給する過程において、該スラリーの温度を設定値の±4℃以内に制御してエステル化反応槽に定量供給することおよび(2)最終エステル化反応槽出口のポリエステル低重合体のカルボキシル末端基濃度をオンラインで連続的に検出し、その検出値に基づいて、エステル化反応を制御することである。
【0022】
直接エステル化法はエステル交換法に比べ経済性の点で有利である。また、連続式重縮合法は回分式重縮合法に比して品質の均一性や経済性において有利である。
【0023】
本発明においては、エステル化および重縮合工程の反応器の個数やサイズおよび各工程の製造条件等は限定なく適宜選択できる。
【0024】
例えば、テレフタル酸1モルに対して1.02〜2.0モル、好ましくは1.03〜1.95モルのエチレングリコ−ルが含まれたスラリ−を調製し、これをエステル化反応工程に連続的に供給する。エステル化反応は、1〜3個のエステル化反応槽を直列に連結した多段式装置を用い反応によって生成した水を精留塔で系外に除去しながら実施する。第1段目のエステル化反応の温度は240〜270℃、好ましくは245〜265℃、圧力は常圧〜0.29MPa、好ましくは0.005〜0.19MPaである。最終段目のエステル化反応の温度は通常250〜290℃好ましくは255〜275℃であり、圧力は通常0〜0.15MPa、好ましくは0〜0.13MPaである。3段階以上で実施する場合には、中間段階のエステル化反応の反応条件は、上記第1段目の反応条件と最終段目の反応条件の間の条件である。これらのエステル化反応の反応率の上昇は、それぞれの段階で滑らかに分配されることが好ましい。最終的にはエステル化反応率は90%以上、好ましくは93%以上に達することが望ましい。これらのエステル化反応により分子量500〜2000程度の低次縮合物が得られる。引き続き重縮合反応槽に移送し重縮合を行う。該重縮合工程の反応槽数も限定されない。一般には初期重縮合、中期重縮合および後期重縮合の3段階方式が取られている。重縮合反応条件は、第1段階目の重縮合の反応温度は250〜290℃、好ましくは260〜280℃であり、圧力は0.065〜0.0026MPa、好ましくは200〜20Torrで、最終段階の重縮合反応の温度は265〜300℃、好ましくは275〜295℃であり、圧力は0.0013〜0.000013MPa、好ましくは0.00065〜0.000065MPaである。3段階以上で実施する場合には、中間段階の重縮合反応の反応条件は、上記第1段目の反応条件と最終段目の反応条件の間の条件である。これらの重縮合反応工程の各々において到達される極限粘度の上昇の度合は滑らかに分配されることが好ましい。
【0025】
本発明における第一の構成要件は、上記したような製造方法のジカルボン酸とグリコールとからなるスラリーをスラリー調製槽で調製してエステル化反応槽に連続的に供給する過程において、該スラリーの温度を設定値の±4℃以内に制御してエステル化反応槽に定量供給することが好ましい。該スラリー温度は設定値の±3℃以内に制御するのがより好ましく、±2℃以内に制御するのがさらに好ましい。±1℃以内に制御するのが特に好ましい。±4℃を超えた場合は、上記の回収グリコール中の水分量を本発明の範囲に制御しても、エステル化反応の進行の変動が大きくなりポリエステルオリゴマー(以下単にオリゴマーと称することがある)のカルボキシル末端基濃度の変動が大きくなる場合あり、後続の重縮合反応の進行や最終製品であるポリエステルの色調や透明性等の品質変動に繋がるので好ましくない。一方、下限は無変動である±0℃が最も好ましいが、コストパフォーマンスの点より、±0.1℃が好ましく、±0.3℃がより好ましい。
【0026】
上記スラリー温度の制御方法は限定されないが、上記スラリー調製槽の温度又はテレフタル酸温度を検出し、該調製槽に供給されるグリコール温度にフィードバックし制御するのが好ましい。また、スラリー温度制御はスラリー調製槽やスラリーの移送ラインに熱交換器を設置して制御してもよい。また、スラリー調製槽に循環ラインを設けてスラリー調製槽中のスラリーを循環させて温度制御の精度向上を図ってもよい。該方法の場合は、循環ラインにも温度制御機能を付加するのが好ましい。以上の方法を単独でおこなってもよいし、複数の方法を組み合わせて行ってもよい。また、スラリー調製槽出口からエステル化反応槽供給するまでの間にスラリー貯留槽を設けてスラリー温度制御の精度を高めてもよい。該方法の場合に、スラリー貯留槽に温度制御機構を付加してもよい。該スラリー貯留槽を設ける方法はスラリー調製槽におけるスラリー調整はバッチ式で実施してもよい。バッチ式スラリー調製法は、スラリー調製における重要工程管理項目であるスラリーのジカルボン酸とグリコールとの組成比の管理が容易となるので該管理の制御系を簡略化することができるという利点にも繋がる。また、該方法の場合は、スラリー貯留槽において、上記のジカルボン酸とグリコールとの組成比の調整が実施できるので、該組成比の変動抑制に繋げることもできるという利点を有する。該方法においては、スラリー調製を連続法やセミバッチ法で実施してもよい。また、該方法と前者の方法を組み合わせて実施してもよい。
【0027】
上記設定値は限定されないが室温から180℃が好ましい。一般に、ポリエステルの製造工程においては、該製造工程で発生する回収グリコールがスラリー調製のグリコールの一部と使用されることが多い。該回収グリコールはインプラントで回収されることがある。該方法においては、回収グリコールは加温状態にある。従って、該設定温度は加温状態が好ましく70〜150℃がより好ましい。
【0028】
本発明においては、エステル化反応槽へ供給されるスラリーは定量供給を前提としている。すなわち、スラリーのエステル化反応槽への供給量を設定値±3%以内に制御することが好ましい。±2.5%以内がより好ましく、±2.0%以内がさらに好ましい。下限は無変動である±0%が最も好ましいが、コストパフォーマンスの点より±0.3%が好ましく、±0.5%がより好ましい。供給量の変動が設定値±3%を超えた場合は、本発明の効果が十分に発現できない場合がある。
【0029】
上記スラリーの供給量の制御方法は限定されない。例えば、流量計を用いて設定流量になるように送液ポンプ回転数を変更する方法、送液ラインの送液ポンプの後に、スラリー調合槽に戻るバイパスラインを設け、送液ポンプの回転数を一定回転とし、送液ラインに設けた流量計の流量が一定になるようにバイパスラインに設けたコントロール弁の開度を調整する方法、スラリー調製槽と第1エステル化反応槽の位置に高低差を設けて、ヘッド圧でスラリーの送液を行い、該送液ラインに設けた流量計の流量が一定になるように送液ラインに設けたコントロール弁の開度調整により行う等が挙げられる。流量計の種類は限定されない。例えば、ローター流量計、ローターピストン流量計、オーバル流量計およびマイクロモーション流量計等が挙げられる。また、第1エステル化反応槽の液面レベルが一定になるように調整してもよい。
【0030】
また、本発明においては、スラリーを供給する第1エステル化反応槽の条件の変動を抑制することにより、本発明の効果が安定して発現することができる。
【0031】
例えば、該スラリーの中のジカルボン酸とグリコールとのモル比もエステル化反応に影響するので一定範囲に制御することが好ましい。該変動範囲は、前記した公知技術の範囲で十分である。設定値±0.3%以内が好ましい。設定値±0.25%以内がより好ましく、設定値±0.2%以内がさらに好ましい。一方、下限は無変動である±0%が最も好ましいが、コストパフォーマンスの点より、±0.01%が好ましく、±0.02%がより好ましい。
【0032】
上記モル比の調整方法は限定されないが、オンラインで連続計測してスラリー調製槽へのジカルボン酸および/またはグリコール供給量を調整する方法が好ましい。計測方法も限定されない。密度計や近赤外線分光光度計で計測する方法が挙げられる。
【0033】
また、エステル化反応は第1エステル化槽の温度、圧力および滞留時間(限定されたポリエステル製造ラインにおいては、反応槽の液面レベル)の影響を受けるので、該要因は設定条件範囲に制御することが好ましい。例えば、温度は設定値±3%以内が好ましく、±2%以内がより好ましい。一方、下限は無変動である±0%が最も好ましいが、コストパフォーマンスの点より、±0.2%が好ましく、±0.5%がより好ましい。また、圧力は設定値±4%以内が好ましく、±3%以内がより好ましい。±2.5%以内がより好ましい。一方、下限は無変動である±0%が最も好ましいが、コストパフォーマンスの点より、±0.2%が好ましく、±0.5%がより好ましい。また、液面レベルは設定値±0.2%以内が好ましく、±0.1%以内がより好ましい。一方、下限は無変動である±0%が最も好ましいが、コストパフォーマンスの点より、±0.02%が好ましく、±0.05%がより好ましい。該液面レベルの制御は前記のスラリー流量制御を上記範囲にすることにより制御が可能である。
【0034】
本発明における第二の構成要件は、上記したような製造方法において、最終エステル化反応槽出口のポリエステル低重合体のカルボキシル末端基濃度をオンラインで連続的に検出し、その検出値に基づいて、エステル化反応および/または重縮合反応を制御することである。この場合において、上記方法で検出したカルボキシル末端基濃度によるフィードバック回路により連続的に上記第2エステル化反応槽以降に供給されるグリコール添加量を変更することで反応制御を行うことにより、該カルボキシル末端基濃度を平均値に対する標準偏差(σ)が2.5以下に制御することが好ましい。該標準偏差(σ)は2.0以下がより好ましく、1.8以下がさらに好ましい。該標準偏差(σ)が2.5を越えた場合は、後続の重縮合反応の進行や最終製品であるポリエステルのカルボキシル末端基濃度の変動に繋がるので好ましくない。
【0035】
上記カルボキシル末端基濃度の平均値は限定されない。後続の重縮合反応の進行や最終製品であるポリエステルのカルボキシル末端基濃度等の要求により適宜設定される。例えば、後続の重縮合反応の進行、すなわち重縮合活性に関しては、ポリエステルの製造に用いられる重縮合触媒の種類により最適範囲が異なる。また、最終製品であるポリエステルのカルボキシル末端基濃度の設定に関しても、該ポリエステルの使用用途等により最適範囲が異なる。例えば、後続の固相重縮合の重縮合を考慮した場合は高め設定が、また、ポリエステルの加水分解安定性を要求される分野へ使用する場合は低め設定が好ましい。一般には、100〜1000eq/tonの範囲が好ましい。200〜900eq/tonがより好ましい。
【0036】
この場合において、前記生成物のカルボキシル末端基濃度の検出を近赤外分光光度計を用いて行うことが好ましい。
【0037】
該重縮合開始前におけるオリゴマーのカルボキシル末端基濃度の検出は、オリゴマーが流動している部分、例えば反応缶、配管などにおいて、近赤外分光光度計を用いながら連続的に行うのが好ましい。オンラインで連続的に測定可能な近赤外分光光度計であれば、特に限定されない。例えば、NIRSシステムズ社(ニレコ社)、BRAN LUEBBEおよび横河電機社製の近赤外オンライン分析計等の市販品を使用してもよいし、本目的のためにシステム化した装置を製作して対応してもよい。
【0038】
本発明に用いる近赤外分光光度計とは、光源より特定波長の光をサンプルに照射し、その特定波長の透過光の強弱を検出する原理からなる。通常、酸化剤、漂白剤、消毒剤の製造などに使用されており、例えば、過酸化水素の製造工程において品質管理及び収率向上の目的で使用されている。
【0039】
本発明方法においては、近赤外分光光度計の検出セルは高温域に設置する必要があり、該対応のための設計が必要である。また、エステル化反応缶間に設置する場合は加圧状態に、エステル化反応缶から初期重縮合缶への移送ラインに設置する場合は、加圧と減圧の両方に耐えるような構造にする必要がある。該対応は設置場所等により適宜実施するのが好ましい。
【0040】
本発明においては、上記近赤外分光光度計の測定セルの設置場所はエステル化反応開始より重縮合反応開始直前までの任意の場所に設定すればよい。エステル化反応缶に設定してもよいし、各反応缶の移送ラインに設置してもよい。それぞれの反応缶や移送ラインに直接設置してもよいし、バイパスラインを設けて該バイパスラインに設置してもよい。該バイパスラインに設置する場合の反応缶の内部を検出する場合は、対象とする反応缶に反応内容物が循環する循環ラインを設けて、該循環ラインに設置するのが好ましい。該設置された測定セルはメンテナンスが必要な場合があるので、バイパスラインに設置するのが好ましい。
【0041】
カルボキシル末端基濃度定量のための近赤外線の測定波長は限定されない。測定個所に対応したモデルオリゴマーを用いて、感度が高く、かつ外乱の少ない波長を調査して適宜設定するのが好ましい。例えば、1444nmの波長を用いるのが好ましい。また、複数の波長を組み合わせた検量線より算出してもよい。
【0042】
上記方法で定量されるカルボキシル末端基濃度量の検量線は、上記のモデルオリゴマーを用いて作成するのが好ましい。この場合のモデルオリゴマーのカルボキシル末端基濃度量はNMR法により測定した値を用いるのが好ましい。
【0043】
本発明においては、上記方法でオリゴマーのカルボキシル末端基濃度量をリアルタイムで連続的に検出し、あらかじめコンピュータに組み込んだプログラムより演算し、ポリエステルの製造条件を制御することにより得られるポリエステルの品質の安定化を図る。
【0044】
該反応制御方法は限定されないが、例えば、上記検出情報により、フィードバック回路により、エステル化反応工程に供給するジオール添加量を変更する方法が好ましい実施態様である。該方法は、前述した従来公知のエステル化反応温度を制御する等の方法に比べ、応答速度が速く、かつ精度の高い制御を行うことが可能である。勿論、該エステル化反応温度等の制御と組み合わせて実施しても構わない。
【0045】
・ 例えば反応缶温度が変動しないように、できるだけ反応缶に近い温度に調整したグリコールを添加するのが好ましい。該方法により反応温度変動によるエステル化反応の変動を抑制することができる。
また、グリコール添加量が一定範囲以上を超えるとエステル化反応槽の温度を調整する方法をとってもよい。該方法における温度調整をするエステル化反応槽は限定されないが、第1エステル化反応槽の温度を制御するのが好ましい。
【0046】
本発明においては、得られるポリエステルのカルボキシル末端基の標準偏差(s)が0.7以下であることが好ましい。0.6以下がより好ましく、0.5以下がさらに好ましい。
【0047】
本発明においては上記方法により得られたポリエステルを用いて固相重縮合することが好ましい。さらに、該固相重縮合により得られた高重合度ポリエステルを用いて紡糸する事により、例えば、タイヤコード用原糸、魚網用、フィルター用不織布、安全ベルト等に用いられる高強力繊維を得るのが好ましい。
【0048】
本発明方法により得られたポリエステルは、前述のごとくカルボキシル末端基量の変動が抑制されているので、固相重縮合反応速度が安定化し、得られるポリエステルの品質、特に、極限粘度が安定される。例えば、一定条件で固相重縮合を実施した時のポリエステルの極限粘度の標準偏差(s)が0.004以下であることが好ましい。0.003以下がより好ましい。該標準偏差(s)が0.004を超えた場合は、紡糸における糸切れ回数が増大し、紡糸の操業安定性が低下するので好ましくない。
【0049】
本発明で使用されるポリエステルはジカルボン酸及びジオールから合成されるポリマーであって、フィルム、繊維、ボトル等の成型品として用いることが可能であれば特に限定されるものではない。特に、高強力繊維用に用いる固相重縮合ポリエステル用のプレポリマーの製造に適用するのが好ましい。
【0050】
このようなポリエステルとして具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボシキレート、ポリエチレン−1,2−ビス(2−クロロフォノキシ)エタン4,4′−ジカルボキシレート、ポリプロピレンテレフタレートなどが挙げられる。本発明は、なかでも汎用的に用いられているポリエチレンテレフタレートまたは主としてポリエチレンテレフタレートの繰り返し単位からなるポリエステル共重合体の製造において好適である。
【0051】
上記のポリエステルを得るために用いるジカルボン酸としては、芳香族、脂肪族及び脂環族のジカルボン酸であれば特に制限はない。具体的には、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、4,4`一ジフェニルジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸等が挙げられる。
【0052】
本発明で用いるジオールは特に制限はない。例えばエチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサメチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等が挙げられる。
【0053】
また、必要に応じて5−スルホイソフタル酸、4−スルホナフタレン−2,7−ジカルボン酸等のアルカリ金属塩、2−スルホ−1,4−ブタンジオール、2,5−ジメチル−3−スルホ−2,5−ヘキサンジオール等のスルホン酸金属塩を含有するジカルボン酸、グリコールを使用してもよい。
【0054】
本発明の重縮合反応では公知の重縮合触媒が使用される。例えば、リチウム、ナトリウム、カルシウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、ストロンチウム、亜鉛、アルミニウム、チタン、コバルト、ゲルマニウム、錫、鉛、アンチモン、砒素、セリウム、ホウ素、カドミウム、マンガン等の金属及びこれら金属を含む金属化合物が挙げられる。なかでも、アンチモン、ゲルマニウム、チタンおよびアルミニウム系の重縮合触媒の使用が好ましい。
【0055】
このようにして得られる本発明のポリエステル樹脂は品位が安定しているだけでなく、固相重合工程の安定化も期待できる。
【実施例】
【0056】
本発明を、以下の実施例を用いて具体的に説明する。なお、これらの実施例は本発明を例示するものであり、限定されるものではない。また、下記の実施例中の極限粘度、オリゴマーカルボキシル末端基濃度及びポリマーカルボキシル末端基濃度は下記の方法により測定した。
【0057】
(1)極限粘度
試料をフェノール/テトラクロロエタン(重量比6/4)50mlに溶解する。この溶液を40mlウベローデ粘度管に取り、30℃の恒温槽中で落下秒数を計測して極限粘度(IV)を算出した。
【0058】
(2)オリゴマーカルボキシル末端基濃度
オリゴマーを乾燥に呈すことなくハンディーミル(粉砕器)にて粉砕した。試料1.00gを精秤し、ピリジン20mlを加えた。沸石を数粒加え、15分間煮沸還流し溶解させた。煮沸還流後直ちに、10mlの純水を添加し、室温まで放冷した。フェノールフタレインを指示薬としてN/10−NaOHで滴定した。試料を入れずにブランクも同じ作業を行う。なお、オリゴマーがピリジンに溶解しない場合は、ベンジルアルコール中で行った。下記式に従って、AVo(eq/ton)を算出する。
AVo=(A−B)×0.1×f×1000/W
(A=滴定数(ml),B=ブランクの滴定数(ml),f=N/10−NaOHのファクター,W=試料の重さ(g))
【0059】
(3)ポリマー酸価
試料15mgをヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)/CDCl=1/1混合溶媒0.13mlに溶解し、CDCl 0.52mlで希釈し、さらに0.2Mトリエチルアミン溶液(HFIP/CDCl 1/9)を22μl添加した溶液を用いて、500MHzのH−NMR測定をして定量した。該定量を3回測定してその平均値を用いた。
【0060】
(実施例1)
エチレングリコール及びテレフタル酸をモル比が1.7となるようにスラリー調製槽に連続的に供給した。該スラリーはスラリー調整槽90±2℃になるようにグリコール温度を制御した。スラリー調製槽の温度制御は連続的にスラリー調製槽温度と該調製槽に供給するグリコール温度を監視しながら、フィードバック回路により連続的にグリコール添加温度を熱交換器を用いて変更するとともに、スラリー調製槽にも温度調整機能を付け、該スラリー調製槽内スラリー温度が一定になるように制御をした。そのスラリーと三酸化アンチモンをエステル反応槽へ連続的に供給し、常圧下255℃で連続的に第1エステル化反応を行った。続いて第2エステル化反応槽にて第2エステル化反応を260℃で行い、オリゴマーを得た。スラリー流量の変動率は設定値の±1.5%以内に制御した。該スラリー流量はロータリーピストン流量計を用いて送液ポンプの回転数を変えて調整した。また、エチレングリコール及びテレフタル酸をモル比は、±0.25%以内に制御した。該モル比の調整は、近赤外線分光光度計を用いてスラリーのテレフタル酸量を計測して、スラリー調製槽に供給するエチレングリコール量を調整することにより行った。また、第1エステル化反応槽の温度および圧力変動は±1.3%以内に制御した。また、第1エステル化反応槽の液面レベルの変動は±0.2%以内であった。そのオリゴマーを重縮合反応槽に連続供給しながら該移送ラインにバイパスラインを設け、該バイパスラインに設置した近赤外分光光度計を用いてオリゴマーのカルボキシル末端基濃度を波長1444nmで測定し、その測定値に基づき重縮合反応工程に供給するオリゴマーのカルボキシル末端基濃度量が一定となるようにエチレングリコールをフィードバック回路により自動的に計算された量を第2エステル化反応槽に添加することでエステル化反応制御を行った。該グリコールは175±2℃に調整し供給した。
【0061】
次いで、重縮合反応槽において減圧下で連続的に重縮合反応を行った。生成したポリマーはストランド状にして抜き出し、水冷後にペレット状態にカットした。以上の方法により連続的にペレットを生産し、時間の異なる代表サンプルを採取した。そのサンプルの極限粘度、オリゴマー酸価、ポリマー酸価を測定した。そのサンプル間の平均値および標準偏差(s)を表1に示す。いずれの測定値も良好で安定に推移し、品質変動の小さいポリエステル樹脂が得られた。
なお、表1に示した値は、12時間毎にサンプリングした50個のサンプル(25日分)の評価結果である。また、標準偏差(s)は下記式で求めた。
標準偏差(s)={(測定値―平均値)の和/サンプル数(50)}1/2
【0062】
(比較例1)
実施例1において、第1エステル化反応槽に供給するスラリー温度の制御を取りやめる以外は、実施例1同様の方法でポリエステルを得た。スラリー温度は90±5℃であった。結果を表1に示す。
【0063】
(比較例2)
実施例1において、第2エステル化反応槽に供給するオリゴマーカルボキシル末端基濃度調整用のエチレングリコールは一定流量で添加したこと以外は、実施例1同様の方法でポリエステルを得た。結果を表1に示す。
【0064】
(比較例3)
比較例1において、第2エステル化反応槽に供給するオリゴマーカルボキシル末端基濃度調整用のエチレングリコールは一定流量で添加したこと以外は、実施例1同様の方法でポリエステルを得た。結果を表1に示す。
【0065】
【表1】

(実施例2)
実施例1で得られたポリエステル樹脂を固相重合反応槽へ供給し、減圧下67Pa、槽内温度を240℃コントロールした状態で6時間、固相重合反応を実施した。同様の方法で5バッチ反応をおこない、反応終了後に各バッチのレジンをサンプリングして極限粘度測定を実施した。また、得られた固相重縮合ポリエステルを用いてタイヤコード用原糸の紡糸を行った。結果を表2に示す。
【0066】
(比較例4〜6)
それぞれ比較例1〜3で得られたポリエステル樹脂を使用した以外は、実施例2に準じて固相重合を5バッチ行い、レジンをサンプリングした。また、得られた固相重縮合ポリエステルを用いてタイヤコード用原糸の紡糸を行った。結果を表2に示す。
【0067】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明のポリエステル製造方法は、極めて簡略化された経済性の高い反応制御方法により、得られるポリエステルの品質変動を抑制することができる。従って、該ポリエステルをプレポリマーをして用いることにより、固相重縮合反応の安定化ができ、該固相重縮合ポリエステルを用いることにより、高強力繊維の紡糸操業性を向上することができる。従って、産業界に寄与することが大である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直接エステル化法によるポリエステルの連続製造方法であって、以下の条件を同時に満たすことを特徴とするポリエステルの製造方法。
(1)ジカルボン酸とグリコールとからなるスラリーをスラリー調製槽で調製してエステル化反応槽に連続的に供給する過程において、該スラリーの温度を設定値の±4℃以内に制御してエステル化反応槽に定量供給すること。
(2)最終エステル化反応槽出口のポリエステル低重合体のカルボキシル末端基濃度をオンラインで連続的に検出し、その検出値に基づいて、エステル化反応および/または重縮合反応を制御すること。
【請求項2】
上記スラリー調製槽の温度を検出し、該温度が設定値の設定値の±4℃以内になるように該スラリー調製槽に供給されるグリコール温度にフィードバックし制御することを特徴とする請求項1に記載のポリエステルの製造方法。
【請求項3】
上記方法で検出したカルボキシル末端基濃度によるフィードバック回路により連続的に上記第2エステル化反応槽以降に供給されるグリコール添加量を変更することで反応制御を行うことにより、該カルボキシル末端基濃度を標準偏差(s)が2.5以下に制御することを特徴とする請求項1または2に記載のポリエステルの製造方法。
【請求項4】
前記生成物のカルボキシル末端基濃度の検出を近赤外分光光度計を用いて行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリエステルの製造方法。
【請求項5】
請求項1〜4に記載のポリエステル製造方法により得られたポリエステルを固相重縮合することを特徴とするポリエステルの固相重縮合法。
【請求項6】
請求項5に記載の固相重縮合法で得られたポリエステルを紡糸されてなることを特徴とする高強力ポリエステル繊維。

【公開番号】特開2007−9151(P2007−9151A)
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−195347(P2005−195347)
【出願日】平成17年7月4日(2005.7.4)
【出願人】(000003160)東洋紡績株式会社 (3,622)
【Fターム(参考)】