説明

ポリエステル樹脂、ポリエステル樹脂水性液、易接着性ポリエステルフィルムの製造方法及び易接着性ポリエステルフィルム

【課題】水性液の分散性に優れ、得られる層の屈折率が高く、易接着性に優れたポリエステル樹脂及びかかるポリエステル樹脂で表層を形成した易接着性ポリエステルフィルムを提供する。
【解決手段】A:炭素数8〜12の芳香族ジカルボン酸から形成される構成単位、炭素数8〜12の芳香族ジカルボン酸のエステル形成性誘導体等から形成される構成単位、B:スルホン酸塩基を有する炭素数8〜12の芳香族ジカルボン酸の塩から形成される等から形成される構成単位、C:下記の化1で示されるジオール化合物から形成される構成単位、D:炭素数4〜10のアルカンジオールから形成される構成単位及び下記の化2で示されるジオール化合物から形成される構成単位から選ばれる一つ又は二つ以上で構成され、還元粘度が0.3〜2.0dL/g、屈折率が1.58以上であるポリエステル樹脂及び該樹脂で表層を形成した易接着性ポリエステルフィルム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はポリエステル樹脂、ポリエステル樹脂水性液、易接着性ポリエステルフィルムの製造方法及び易接着性ポリエステルフィルムに関する。近年、CRTディスプレイ、液晶ディスプレイ及びプラズマディスプレイ等は画面の平坦なものが主流となっている。平坦なディスプレイの視認性を高めるためにはそれらの表面に反射防止処理をする必要があり、そのために反射防止フィルムが使用されていて、このような反射防止フィルムの一つとしてポリエステルフィルムの表面に高屈折率層と低屈折率層とを交互に積層したものが使用されている。かかる反射防止フィルムの製造では、先ずもって担体としてのポリエステルフィルムの表面に充分な高屈折率層を形成することが求められ、同時にそのような高屈折率層を形成したものが更にその上に他の層を積層したときでも充分強固な積層フィルムとなる易接着性のものであることが求められる。本発明は、かかる易接着性のポリエステルフィルムの製造に使用できるポリエステル樹脂、その水性液、かかる水性液を用いる易接着性ポリエステルフィルムの製造方法及びこの製造方法によって得られる易接着性ポリエステルフィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一般に易接着性ポリエステルフィルムは、ポリエステルフィルムの製造時にその表面にポリエステル樹脂の水性液を塗布することにより製造されている(例えば特許文献1〜3参照)。しかし、かかる従来法には、用いるポリエステル樹脂の水性液それ自体の分散性において、またポリエステル樹脂から形成される層の屈折率や易接着性において不充分という問題がある。
【特許文献1】特開昭54−3848号公報
【特許文献2】特開昭60−248232号公報
【特許文献3】特開平6−116487号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明が解決しようとする課題は、それから調製される水性液の分散性に優れ、またそれから形成される層の屈折率が高く、しかも易接着性に優れたポリエステル樹脂及びその水性液、並びにかかる水性液を用いる易接着性ポリエステルフィルムの製造方法及びこの製造方法によって得られる易接着性ポリエステルフィルムを提供する処にある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
しかして本発明者らは、前記の課題を解決するべく研究した結果、易接着性のポリエステルフィルムの製造に使用できるポリエステル樹脂としては、特定の4種の構成単位を所定割合で有していて、しかも特定の還元粘度及び屈折率を有するものが正しく好適であることを見出した。
【0005】
すなわち本発明は、下記の構成単位A〜Dで構成されており、構成単位Aを20〜49.5モル%、構成単位Bを0.5〜30モル%、構成単位Cを10〜48モル%及び構成単位Dを2〜40モル%(合計100モル%)の割合で有していて、還元粘度が0.3〜2.0dL/g、また屈折率が1.58以上であることを特徴とするポリエステル樹脂に係る。
【0006】
構成単位A:炭素数8〜12の芳香族ジカルボン酸から形成される構成単位、炭素数8〜12の芳香族ジカルボン酸のエステル形成性誘導体から形成される構成単位、炭素数4〜22の脂肪族ジカルボン酸から形成される構成単位及び炭素数4〜22の脂肪族ジカルボン酸のエステル形成性誘導体から形成される構成単位から選ばれる一つ又は二つ以上
【0007】
構成単位B:スルホン酸塩基を有する炭素数8〜12の芳香族ジカルボン酸の塩から形成される構成単位、スルホン酸塩基を有する炭素数8〜12の芳香族ジカルボン酸のエステル形成性誘導体の塩から形成される構成単位、炭素数9〜20の3又は4価の芳香族ポリカルボン酸から形成される構成単位及び炭素数9〜20の3又は4価の芳香族ポリカルボン酸のエステル形成性誘導体から形成される構成単位から選ばれる一つ又は二つ以上
【0008】
構成単位C:下記の化1で示されるジオール化合物から形成される構成単位
【0009】
構成単位D:炭素数4〜10のアルカンジオールから形成される構成単位及び下記の化2で示されるジオール化合物から形成される構成単位から選ばれる一つ又は二つ以上
【0010】
【化1】

【0011】
【化2】

【0012】
化1及び化2において、
,X:合計1〜15個の炭素数2〜4のオキシアルキレン単位で構成された(ポリ)オキシアルキレン基を有する(ポリ)アルキレングリコールから全ての水酸基を除いた残基
:合計1〜4個の炭素数2又は3のオキシアルキレン単位で構成された(ポリ)オキシアルキレン基を有する(ポリ)アルキレングリコールから全ての水酸基を除いた残基
【0013】
また本発明は、前記の本発明に係るポリエステル樹脂を水又は水と水溶性有機溶剤との混合溶媒中に分散したポリエステル樹脂水性液に係る。
【0014】
更に本発明は、前記の本発明に係るポリエステル樹脂水性液をポリエステルフィルム1m当たりポリエステル樹脂として0.01〜2gの割合となるよう塗布する易接着性ポリエステルフィルムの製造方法に係る。
【0015】
更にまた本発明は、前記の本発明に係る易接着性ポリエステルフィルムの製造方法により得られる易接着ポリエステルフィルムに係る。
【0016】
本発明に係るポリエステル樹脂は、その構成単位として、構成単位A、構成単位B、構成単位C及び構成単位Dを有するものである。かかるポリエステル樹脂は、構成単位Aを形成することとなる化合物と、構成単位Bを形成することとなる化合物と、構成単位Cを形成することとなる化合物と、構成単位Dを形成することとなる化合物とを縮合重合反応させることにより得られる。
【0017】
構成単位Aを形成することとなる化合物としては、1)フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸等の炭素数8〜12の芳香族ジカルボン酸、2)フタル酸ジメチル、イソフタル酸ジメチル、テレフタル酸ジメチル、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジエチル、1,4−ナフタレンジカルボン酸ジメチル等の炭素数8〜12の芳香族ジカルボン酸のエステル形成性誘導体が挙げられるが、これらのなかでは炭素数12の芳香族ジカルボン酸のエステル形成性誘導体が好ましく、2,6−ナフタレンジカルボン酸のエステル形成性誘導体がより好ましい。
【0018】
また構成単位Aを形成することとなる化合物としては、3)コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、α、ω−ドデカンジカルボン酸、ドデセニルコハク酸、オクタデセニルジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の炭素数4〜22の脂肪族ジカルボン酸、4)コハク酸ジメチル、アジピン酸ジメチル、アゼライン酸ジメチル、セバシン酸ジメチル、α、ω−ドデカンジカルボン酸ジメチル、ドデセニルコハク酸ジメチル、オクタデセニルジカルボン酸ジメチル、シクロヘキサンジカルボン酸ジメチル等の炭素数4〜22の脂肪族ジカルボン酸のエステル形成性誘導体が挙げられるが、これらのなかではアジピン酸、セバシン酸、これらのエステル形成性誘導体が好ましい。
【0019】
構成単位Bを形成することとなる化合物としては、1)スルホフタル酸のアルカリ金属塩、スルホイソフタル酸のアルカリ金属塩、スルホテレフタル酸のアルカリ金属塩、スルホフタル酸のアルカリ土類金属塩、スルホイソフタル酸のアルカリ土類金属塩、スルホテレフタル酸のアルカリ土類金属塩、スルホ=2,6−ナフタレンジカルボン酸のアルカリ金属塩、スルホ=2,3−ナフタレンジカルボン酸のアルカリ金属塩、スルホ=1,4−ナフタレンジカルボン酸のアルカリ金属塩、スルホ=2,6−ナフタレンジカルボン酸のアルカリ土類金属塩、スルホ=2,3−ナフタレンジカルボン酸のアルカリ土類金属塩、スルホ=1,4−ナフタレンジカルボン酸のアルカリ土類金属塩等のスルホン酸塩基を有する炭素数8〜12の芳香族ジカルボン酸の塩、2)スルホフタル酸ジメチルのアルカリ金属塩、スルホイソフタル酸ジメチルのアルカリ金属塩、スルホテレフタル酸ジメチルのアルカリ金属塩、スルホフタル酸ジメチルのアルカリ土類金属塩、スルホイソフタル酸ジメチルのアルカリ土類金属塩、スルホテレフタル酸ジメチルのアルカリ土類金属塩、スルホ=2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルのアルカリ金属塩、スルホ=2,3−ナフタレンジカルボン酸ジメチルのアルカリ金属塩、スルホ=1,4−ナフタレンジカルボン酸ジメチルのアルカリ金属塩、スルホ=2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルのアルカリ土類金属塩、スルホ=2,3−ナフタレンジカルボン酸ジメチルのアルカリ土類金属塩、スルホ=1,4−ナフタレンジカルボン酸ジメチルのアルカリ土類金属塩等のスルホン酸塩基を有する炭素数8〜12の芳香族ジカルボン酸のエステル形成性誘導体の塩が挙げられるが、これらのなかではスルホイソフタル酸のアルカリ金属塩、スルホイソフタル酸のアルカリ土類金属塩等のスルホイソフタル酸の塩、スルホイソフタル酸のエステル形成性誘導体のアルカリ金属塩、スルホイソフタル酸のエステル形成性誘導体のアルカリ土類金属塩等のスルホイソフタル酸のエステル形成性誘導体の塩が好ましい。
【0020】
前記のスルホフタル酸のアルカリ金属塩の具体例としては、5−スルホフタル酸=リチウム、5−スルホフタル酸=ナトリウム、5−スルホフタル酸=カリウム、5−スルホフタル酸=セシウムが挙げられ、前記のスルホフタル酸のアルカリ土類金属塩の具体例としては、ビス(5−スルホフタル酸)=マグネシウム、ビス(5−スルホフタル酸)=カルシウム、ビス(5−スルホフタル酸)=バリウム等が挙げられる。具体的な例示を省略するが、スルホイソフタル酸やスルホテレフタル酸のアルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩についても同様である。
【0021】
前記のスルホフタル酸ジメチルのアルカリ金属塩の具体例としては、5−スルホフタル酸ジメチル=リチウム、5−スルホフタル酸ジメチル=ナトリウム、5−スルホフタル酸ジメチル=カリウム、5−スルホフタル酸ジメチル=セシウムが挙げられ、前記のスルホフタル酸ジメチルのアルカリ土類金属塩の具体例としては、ビス(5−スルホフタル酸ジメチル)=マグネシウム、ビス(5−スルホフタル酸ジメチル)=カルシウム、ビス(5−スルホフタル酸ジメチル)=バリウム等が挙げられる。具体的な例示を省略するが、スルホイソフタル酸ジメチルやスルホテレフタル酸ジメチルのアルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩についても同様である。
【0022】
また構成単位Bを形成することとなる化合物としては、3)トリメリット酸、ピロメリット酸、トリメシン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ビフェニル-2,2'-ジカルボン酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水ベンゾフェノンテトラカルボン酸等の炭素数9〜20の3又は4価の芳香族ポリカルボン酸、4)トリメリット酸トリメチル、ピロメリット酸テトラメチル、トリメシン酸トリメチル、ベンゾフェノンテトラカルボン酸テトラメチル、ビフェニル-2,2'-ジカルボン酸ジメチル等の炭素数9〜20の3又は4価の芳香族ポリカルボン酸のエステル形成性誘導体が挙げられるが、これらのなかではトリメリット酸、ピロメリット酸、トリメリット酸トリメチルのようなトリメリット酸のエステル形成性誘導体、ピロメリット酸テトラメチルのようなピロメリット酸のエステル形成性誘導体が好ましい。
【0023】
構成単位Cを形成することとなる化合物は、化1で示されるジオール化合物である。化1中のX及びXは、(ポリ)アルキレングリコールから全ての水酸基を除いた残基である。かかる(ポリ)アルキレングリコール中の(ポリ)オキシアルキレン基を構成するオキシアルキレン単位は炭素数2〜4のもので、これにはオキシエチレン単位、オキシプロピレン単位、オキシブチレン単位及び/又はオキシテトラメチレン単位が含まれるが、オキシエチレン単位及び/又はオキシプロピレン単位が好ましい。またポリアルキレングリコール中のポリオキシアルキレン基が2種以上のオキシアルキレン単位で構成される場合、その付加形態にはブロック型及び/又はランダム型が含まれる。いずれにしても、(ポリ)アルキレングリコール中の(ポリ)オキシアルキレン基を構成するオキシアルキレン基の繰り返し数は1〜15とするが、1〜4とするのが好ましく、1又は2とするのがより好ましい。
【0024】
構成単位Dを形成することとなる化合物としては、1)炭素数4〜10のアルカンジオール、2)化2で示されるジオール化合物、3)前記1)と2)との混合物が挙げられる。前記1)の化合物としては、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,8−オクタンジオール、1,10−デカンジオール等が挙げられるが、なかでも1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオールが好ましい。また前記2)の化合物において、化2中のXは、(ポリ)アルキレングリコールから全ての水酸基を除いた残基である。かかる(ポリ)アルキレングリコール中の(ポリ)オキシアルキレン基を構成するオキシアルキレン単位は炭素数2〜3のもので、これにはオキシエチレン単位及び/又はオキシプロピレン単位が含まれるが、オキシエチレン単位が好ましい。また(ポリ)アルキレングリコール中の(ポリ)オキシアルキレン基を構成するオキシアルキレン基の繰り返し数は1〜4とするが、1〜3とするのが好ましい。
【0025】
本発明に係るポリエステル樹脂は、以上説明したような構成単位A〜Dで構成されるものであって、構成単位Aを20〜49.5モル%、好ましくは30〜47モル%、構成単位Bを0.5〜30モル%、好ましくは3〜20モル%、構成単位Cを10〜48モル%、好ましくは20〜45モル%、及び構成単位Dを2〜40モル%、好ましくは5〜30モル%の割合で有するものである。
【0026】
また本発明に係るポリエステル樹脂は、還元粘度が0.3〜2.0dL/g、好ましくは0.4〜1.0dL/gのものである。本発明において還元粘度は、ポリエステル樹脂0.3gをフェノール/テトラクロロエタン=40/60(質量比)の混合溶媒25ml中に溶解し、キャノンフェンスケ型粘度計を用いて35℃で測定した値である。
【0027】
更に本発明に係るポリエステル樹脂は、屈折率が1.58以上、好ましくは1.61以上で1.64未満のものである。本発明において屈折率は、ミニホットプレスを用いて、ポリエステル樹脂を厚さ0.5mmの樹脂プレートに成形し、アッベ屈折計を用いて25℃で測定した値である。測定には中間液としてモノブロモナフタレンを用いる。
【0028】
本発明に係るポリエステル樹脂それ自体は、公知の方法で合成できる。例えば、1)構成単位Aを形成することとなるナフタレンジカルボン酸ジメチルと、構成単位Bを形成することとなるスルホン酸塩基を有する炭素数8〜12の芳香族ジカルボン酸の塩と、構成単位Cを形成することとなる化1で示されるジオール化合物と、構成単位Dを形成することとなる炭素数2〜10のアルカンジオールとを、公知の重合触媒の存在下でエステル交換反応させた後、高温高真空下に低分子量化合物を留去しながら重縮合反応させるエステル交換−重縮合反応による方法、2)構成単位Aを形成することとなるナフタレンジカルボン酸ジメチルと、構成単位Bを形成することとなるスルホン酸塩基を有する炭素数8〜12の芳香族ジカルボン酸の塩と、構成単位Cを形成することとなる化1で示されるジオール化合物と、構成単位Dを形成することとなる炭素数2〜10のアルカンジオールとを、公知の重合触媒の存在下でエステル交換反応させた後、高温高真空下に低分子量化合物を留去しながら重縮合反応及び解重合反応させるエステル交換−重縮合−解重合反応による方法、3)構成単位Aを形成することとなるナフタレンジカルボン酸と、構成単位Bを形成することとなるスルホン酸塩基を有する炭素数8〜12の芳香族ジカルボン酸の塩と、構成単位Cを形成することとなる化1で示されるジオール化合物と、構成単位Dを形成することとなる炭素数2〜10のアルカンジオールとを、公知の重合触媒の存在下で高温高真空下に低分子量化合物を留去しながら重縮合反応させる直接重縮合反応による方法等が挙げられる。
【0029】
以上説明した本発明に係るポリエステル樹脂は、易接着性ポリエステルフィルム製造用のものとして好適である。担体としてのポリエステルフィルムの製造時に、その表面に本発明に係るポリエステル樹脂を例えば水性液の形態で塗布すると、易接着性ポリエステルフィルムとすることができる。かかる易接着性ポリエステルフィルムは、ポリエステルフィルムの表面に塗布した本発明に係るポリエステル樹脂が高屈折率層を形成するため、各種ディスプレイの反射防止フィルムを製造するのに有用である。
【0030】
次に本発明に係るポリエステル樹脂水性液について説明する。本発明に係るポリエステル樹脂水性液は、前記した本発明に係るポリエステル樹脂を水又は水と水溶性有機溶剤との混合溶媒中に分散したもので、したがってこれには、本発明に係るポリエステル樹脂と水とから成るもの、本発明に係るポリエステル樹脂と水と水溶性有機溶剤とから成るものが含まれる。
【0031】
本発明に係るポリエステル樹脂水性液は、次のように調製することができる。先ず、本発明に係るポリエステル樹脂を、20℃で1Lの水に対する溶解度が20g以上且つ沸点が100℃以下、又は100℃以下で水と共沸する水溶性有機溶剤に溶解し、ポリエステル樹脂−有機溶剤溶液とする。かかる親水性の有機溶剤としてはメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール等の低級アルコール類、アセトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、ブチルセロソルブ、メチルセロソルブ、テトラヒドロフラン等のエーテル類等が挙げられるが、なかでもテトラヒドロフランが好ましい。ポリエステル樹脂と水溶性有機溶剤との混合割合は、ポリエステル樹脂100質量部に対し、水溶性有機溶剤を200〜350質量部とするのが好ましく、250〜300質量部とするのがより好ましい。次に、前記のポリエステル樹脂−有機溶剤溶液を水と混合する。このとき、ポリエステル樹脂−有機溶剤溶液を撹拌しつつこれに水を加えてもよいし、水を撹拌しつつこれにポリエステル樹脂−有機溶剤溶液を加えてもよい。双方を混合するときの温度は、ポリエステル樹脂−有機溶剤溶液及び水の双方で共に20〜80℃とするのが好ましい。かくして得られるポリエステル樹脂−有機溶剤溶液−水の分散系は、外観が青み又は赤みを帯びた乳白色を呈する。最後に、かかる分散系を蒸留して、水溶性有機溶剤を留去し、本発明に係るポリエステル樹脂水性液を得る。蒸留は、常圧下で行なうこともできるが、減圧下で行なう方が好ましい。蒸留後の固形分濃度は40質量%以下となるようにするのが好ましい。
【0032】
本発明に係るポリエステル樹脂水性液は、その固形分濃度を通常5〜40質量%のものとする。またこれに含まれるポリエステル樹脂の微粒子の平均粒径を通常1μm以下のものとし、好ましくは0.5μm以下のものとする。本発明に係るポリエステル樹脂水性液は長期間に亘って安定した分散性を示す。
【0033】
次に本発明に係る易接着性ポリエステルフィルムの製造方法について説明する。本発明に係る易接着性ポリエステルフィルムの製造方法は、以上説明した本発明に係るポリエステル樹脂水性液をポリエステルフィルム1m当たりポリエステル樹脂として0.01〜2gの割合となるよう、好ましくは0.02〜0.2gの割合となるよう塗布する方法である。
【0034】
本発明に係るポリエステル樹脂水性液を塗布するポリエステルフィルムは、結晶配向が完了する前のものを対象とするのが好ましく、したがって本発明に係るポリエステル樹脂水性液をポリエステルフィルムの製造工程で塗布する場合は、ポリエステルを溶融押出してキャスティングした未延伸状態のポリエステルフィルムに塗布するか、縦又は横のいずれか一方向に延伸を施した直後のポリエステルフィルムに塗布するのが好ましい。本発明に係るポリエステル樹脂水性液をポリエステルフィルムに塗布するときは、塗布した塗膜を乾燥し、その後に少なくとも200℃以上の温度で2秒間以上塗膜を加熱して熱固定するのが好ましい。本発明に係るポリエステル樹脂水性液をポリエステルフィルムに塗布する方法としては、いずれも公知の、ロールコート法,グラビアコート法,ロールブラッシュ法,スプレーコート法,エアーナイフコート法,含浸法、カーテンコート法等が挙げられる。
【0035】
本発明に係るポリエステル樹脂水性液をポリエステルフィルムに塗布するときは、アニオンやノニオン等の界面活性剤を適宜併用することができる。かかる界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、脂肪酸金属石けん、アルキル硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩等が挙げられる。
【0036】
以上説明した本発明に係る易接着性ポリエステルフィルムの製造方法に用いるポリエステルフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル又はこれらの共重合ポリエステルから製膜されるポリエステルフィルムが挙げられる。
【0037】
最後に、本発明に係る易接着性ポリエステルフィルムについて説明する。本発明に係る易接着性ポリエステルフィルムは、以上説明した本発明に係る易接着性ポリエステルフィルムの製造方法により得られるものである。本発明に係る易接着性ポリエステルフィルムは、ポリエステルフィルムの表面に塗布した本発明に係るポリエステル樹脂によるところの高屈折率層を有し、同時に優れた易接着性を有する。したがって本発明に係る易接着性ポリエステルフィルムは、反射防止フィルム、低反射フィルム、偏光板保護フィルム等を製造するのに有用である。
【発明の効果】
【0038】
以上説明した本発明によると、それから調製される水性液の分散性に優れ、またそれから形成される層の屈折率が高く、しかも易接着性に優れたポリエステル樹脂及びかかるポリエステル樹脂で表層を形成した易接着性ポリエステルフィルム等を提供できるという効果がある。
【0039】
以下、本発明の構成及び効果をより具体的にするため、実施例等を挙げるが、本発明がこれらの実施例に限定されるというものではない。尚、以下の実施例及び比較例において、別に記載しない限り、部は質量部を、また%は質量%を意味する。
【実施例】
【0040】
試験区分1(ポリエステル樹脂の合成)
・実施例{ポリエステル樹脂(P−1)の合成}
2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル132.59g(0.54モル)、5−スルホイソフタル酸ジメチル=ナトリウム21.93g(0.07モル)、ビスフェノールSにエチレンオキサイド4モルを付加した化合物179.49g(0.53モル)、エチレングリコール43.64g(0.70モル)及びエステル交換触媒としてテトラブチルチタネート(IV)0.15gを反応容器に仕込み、反応容器内を窒素置換した後、常圧下で200℃に昇温し、副生するメタノールを留去しながら2時間エステル交換反応を行ない、更に240℃まで昇温して2時間エステル交換反応を行なって、エステル化物を得た。次に270℃まで昇温後、徐々に反応容器内を減圧して15分後に100Paとし、同減圧下で30分間重縮合反応を行ない、ポリエステル樹脂200gを得た。このポリエステル樹脂を分析したところ、構成単位Aに相当する2,6−ナフタレンジカルボン酸から形成された構成単位を44モル%、構成単位Bに相当する5−スルホイソフタル酸=ナトリウムから形成された構成単位を6モル%、構成単位Cに相当するビスフェノールSにエチレンオキサイド4モルを付加した化合物から形成された構成単位を43モル%及び構成単位Dに相当するエチレングリコールから形成された構成単位を7モル%の割合で有していて、還元粘度が0.52dL/g、また屈折率が1.63のものであった。これをポリエステル樹脂(P−1)とした。
【0041】
・実施例2〜13及び比較例1〜7{ポリエステル樹脂(P−2)〜(P−13)及び(R−1)〜(R−7)の合成}
実施例1のポリエステル樹脂(P−1)の合成と同様にして、実施例2〜13のポリエステル樹脂(P−2)〜(P−13)及び比較例1〜7のポリエステル樹脂(R−1)〜(R−7)を合成した。以上の内容を表1にまとめて示した。
【0042】
・実施例14{ポリエステル樹脂(P−14)の合成}
2,6−ナフタレンジカルボン酸173.56g(0.71モル)、ビスフェノールSにプロピレンオキサイド4モルを付加した化合物133.57g(0.40モル)、エチレングリコール73.50g(1.19モル)及びエステル化触媒として酢酸亜鉛(II)・二水和物0.30gを反応容器に仕込み、反応容器内を窒素置換した後、窒素にて0.5MPaまで加圧し、240℃で2時間保持した。反応容器内を徐々に常圧に戻し、副生する水を留去しながら2時間エステル化反応を行ない、更に250℃まで昇温して1時間エステル化反応を行なって、エステル化物を得た。次に280℃まで昇温後、徐々に反応容器内を減圧して15分後に100Paとし、同減圧下で30分間重縮合反応を行ったところで、窒素にて常圧に戻し、250℃まで冷却した。冷却後、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸16.60g(0.08モル)を加え、反応容器を密閉して、攪拌しながら1時間解重合反応を行ない、ポリエステル樹脂250gを得た。このポリエステル樹脂を分析したところ、2,6−ナフタレンジカルボン酸から形成された構成単位を45モル%、構成単位Bに相当するトリメリット酸から形成された構成単位を5モル%、構成単位Cに相当するビスフェノールSにプロピレンオキサイド4モルを付加した化合物から形成された構成単位を25モル%及び構成単位Dに相当するエチレングリコールから形成された構成単位を25モル%の割合で有していて、還元粘度が0.58dL/g、また屈折率が1.63のものであった。これをポリエステル樹脂(P−14)とした。
【0043】
・実施例15〜20及び比較例8〜9{ポリエステル樹脂(P−15)〜(P−20)及び(R−8)〜(R−9)の合成}
実施例14のポリエステル樹脂(P−14)の合成と同様にして、実施例15〜20のポリエステル樹脂(P−15)〜(P−20)及び比較例8〜9のポリエステル樹脂(R−8)〜(R−9)を合成した。以上の内容を表1にまとめて示した。
【0044】
【表1】







【0045】
【表2】

【0046】
表1及び表2において、
各構成単位の種類は、それを形成することとなる単量体で表記した。
A−1:2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル
A−2:2,6−ナフタレンジカルボン酸
A−3:イソフタル酸ジメチル
A−4:セバシン酸ジメチル
A−5:アジピン酸ジメチル
B−1:5−スルホイソフタル酸ジメチル=ナトリウム
B−2:5−スルホイソフタル酸=リチウム
B−3:トリメリット酸
B−4:ピロメリット酸
B−5:5−スルホ−1,4−ナフタレンジカルボン酸=ナトリウム
C−1:ビスフェノールSにエチレンオキサイド2モルを付加した化合物
C−2:ビスフェノールSにプロピレンオキサイド2モルを付加した化合物
C−3:ビスフェノールSにエチレンオキサイド4モルを付加した化合物
C−4:ビスフェノールSにエチレンオキサイド10モルを付加した化合物
C−5:ビスフェノールSにプロピレンオキサイド10モルを付加した化合物
D−1:エチレングリコール
D−2:ジエチレングリコール
D−3:トリエチレングリコール
D−4:1,3−プロパンジオール
D−5:1,4−ブタンジオール
D−6:1,6−ヘキサンジオール
D−7:1,8−オクタンジオール
【0047】
試験区分2(ポリエステル樹脂水性液の調製と評価)
・実施例21{ポリエステル樹脂水性液(PW−1)の調製}
試験区分1で合成したポリエステル樹脂(P−1)40部及びテトラヒドロフラン105部を反応容器に仕込み、室温で混合して均一溶液とした。次に、この均一溶液を室温で撹拌しながらこれに室温の水160部を徐々に滴下して、ポリエステル樹脂−テトラヒドロフラン−水の分散系を得た。そしてこの分散系を攪拌しながら、反応容器内を常圧下、60〜80℃として、テトラヒドロフランを留去し、固形分濃度20%のポリエステル樹脂水性液(PW−1)を得た。
【0048】
・実施例22〜33及び比較例10〜16{ポリエステル樹脂水性液(PW−2)〜(PW−13)及び(RW−1)〜(RW−7)の調製}
実施例21のポリエステル樹脂水性液(PW−1)の調製と同様にして、実施例22〜33のポリエステル樹脂水性液(PW−2)〜(PW−13)及び比較例10〜16のポリエステル樹脂水性液(RW−1)〜(RW−7)を調製した。以上の内容を表3にまとめて示した。
【0049】
・実施例34{ポリエステル樹脂水性液(PW−14)の調製}
純水240部及びイソプロピルアルコール60部を反応容器に仕込み、撹拌しながら試験区分1で合成したポリエステル樹脂(P−14)100部を投入した。次にこのポリエステル樹脂(P−14)の酸価に対して1.5倍当量の25%アンモニア水3部を投入して、ポリエステル樹脂−イソプロピルアルコール−水の分散系とした。そしてこの分散系を攪拌しながら、反応容器内を、常圧下、80℃まで加温して、イソプロピルアルコールを留去した。留去はイソプロピルアルコールの1.5倍量のイソプロピルアルコールと水との混合物を回収して終了とした。留去後、反応容器内を20℃まで冷却して、固形分濃度30%のポリエステル樹脂水性液(PW−14)を得た。
【0050】
・実施例35〜40及び比較例17〜18{ポリエステル樹脂水性液(PW−15)〜(PW−20)及び(RW−8)〜(RW−9)の調製}
実施例34のポリエステル樹脂水性液(PW−14)の調製と同様にして、実施例35〜40のポリエステル樹脂水性液(PW−15)〜(PW−20)及び比較例17〜18のポリエステル樹脂水性液(RW−8)〜(RW−9)を調製した。以上の内容を表3にまとめて示した。
【0051】
・ポリエステル樹脂水性液の経日的な分散安定性の評価
各例で調製したポリエステル樹脂水性液100mlを、0.1ml目盛りの共栓付きメスシリンダーに入れ、25℃の恒温槽に、1日間及び30日間静置した後、沈降量を計測した。各例で5サンプルについて沈降量を計測し、その平均値を算出して、以下の基準で評価した。結果を表3にまとめて示した。
評価基準
◎:沈降量の平均値が0.1ml未満
○:沈降量の平均値が0.1ml以上0.5ml未満
△:沈降量の平均値が0.5ml以上1ml未満
×:沈降量の平均値が1ml以上
【0052】
・平均粒子径の測定:各例で調製したポリエステル樹脂水性液を2時間静置したものについてレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(堀場製作所社製のLA−700型)により測定した。結果を表3にまとめて示した。








【0053】
【表3】

【0054】
試験区分3(易接着性ポリエステルフィルムの製造と評価)
・実施例41〜60及び比較例19〜27
極限粘度0.65のポリエチレンテレフタレ−トを280℃〜300℃で溶融押し出しし、15℃の冷却ロールで冷却して未延伸フィルムとした。この未延伸フィルムを周速の異なる85℃の一対のロール間で縦方向に3.5倍に一軸延伸して一軸延伸フィルムとした。次に、試験区分2で調製した各例のポリエステル樹脂水性液を一軸延伸フィルムの片面に塗布し、70℃の熱風で乾燥した後、テンターにより98℃で3.5倍に横方向に延伸し、210℃で熱固定して、ポリエステル樹脂の平均塗布量が60mg/mの易接着性ポリエステルフィルムを得た。
【0055】
・塗布性の評価
前記で製造した易接着性ポリエステルフィルムのポリエステル樹脂塗布面を肉眼で観察し、下記の基準で評価した。結果を表4にまとめて示した。
評価基準
◎:ハジキがなく均一な塗膜が形成されている
〇:ハジキが極めて僅かにあるが、ほぼ均一な塗膜が形成されている
△:ハジキが幾分あるが、全体としてはほぼ均一な塗膜が形成されている
×:ハジキが多く、不均一な塗膜が形成されている
【0056】
・接着性の評価
前記で製造した易接着性ポリエステルフィルムのポリエステル樹脂塗布面に、UV硬化インキ(ティーアンドケイ東華社製の商品名ベストキュアー161墨S)をクロロホルム(和光純薬社製の試薬1級)で70%に希釈したものをフイルムアプリケーター(テスター産業社製の商品名ベーカー式アプリケーター)で塗布した後、UVインキの塗布面にUVランプ(オーク製作所社製の商品名OHD−110M−ST)を照射距離10cmで30秒照射して硬化させ、膜厚5μmのUVインキ膜を形成した積層フィルムを得た。この積層フィルムを室温60℃、湿度90%にて24時間保管した後、UVインキ膜の接着性を次のように評価した。カッターとカッターガイド(中央精密機械社製の商品名クロスカットガイド)を用いて、UVインキ膜上から担体であるポリエチレンテレフタレートフィルムの表面まで到達するよう2mm四方のクロスカットを5×5マス入れた。クロスカット部の上から粘着テープ(日東電工社製の商品名ニットーポリエステルテープNo.31幅24mm)を密着させ、60度方向に急速剥離した時の剥離状況を目視観察し、以下の基準にて接着性を判定した。結果を表4にまとめて示した。
評価基準
◎:剥離が5%未満であり、接着性は優れている
○:剥離が5%以上25%未満であり、接着性は良好である
△:剥離が25%以上50%未満であり、接着性はやや不良
×:剥離が50%以上であり、接着性は不良



























【0057】
【表4】

【0058】
表4において、
G−1:オレイルアルコールにエチレンエキサイドを13モル付加したノニオン界面活性剤
G−2:2級アルコールを有するトリデシルアルコールにエチレンエキサイドを9モル付加したノニオン界面活性剤
G−3:スチレン化フェノールにエチレンエキサイドを4モル付加したノニオン界面活性剤
G−4:炭素数13の分岐アルコールにプロピレンオキサイド2モルとエチレンオキサイド8モルを付加したノニオン界面活性剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の構成単位A〜Dで構成されており、構成単位Aを20〜49.5モル%、構成単位Bを0.5〜30モル%、構成単位Cを10〜48モル%及び構成単位Dを2〜40モル%(合計100モル%)の割合で有していて、還元粘度が0.3〜2.0dL/g、また屈折率が1.58以上であることを特徴とするポリエステル樹脂。
構成単位A:炭素数8〜12の芳香族ジカルボン酸から形成される構成単位、炭素数8〜12の芳香族ジカルボン酸のエステル形成性誘導体から形成される構成単位、炭素数4〜22の脂肪族ジカルボン酸から形成される構成単位及び炭素数4〜22の脂肪族ジカルボン酸のエステル形成性誘導体から形成される構成単位から選ばれる一つ又は二つ以上
構成単位B:スルホン酸塩基を有する炭素数8〜12の芳香族ジカルボン酸の塩から形成される構成単位、スルホン酸塩基を有する炭素数8〜12の芳香族ジカルボン酸のエステル形成性誘導体の塩から形成される構成単位、炭素数9〜20の3又は4価の芳香族ポリカルボン酸から形成される構成単位及び炭素数9〜20の3又は4価の芳香族ポリカルボン酸のエステル形成性誘導体から形成される構成単位から選ばれる一つ又は二つ以上
構成単位C:下記の化1で示されるジオール化合物から形成される構成単位
構成単位D:炭素数4〜10のアルカンジオールから形成される構成単位及び下記の化2で示されるジオール化合物から形成される構成単位から選ばれる一つ又は二つ以上
【化1】

【化2】

(化1及び化2において、
,X:合計1〜15個の炭素数2〜4のオキシアルキレン単位で構成された(ポリ)オキシアルキレン基を有する(ポリ)アルキレングリコールから全ての水酸基を除いた残基
:合計1〜4個の炭素数2〜3のオキシアルキレン単位で構成された(ポリ)オキシアルキレン基を有する(ポリ)アルキレングリコールから全ての水酸基を除いた残基
【請求項2】
構成単位Aが、炭素数12の芳香族ジカルボン酸のエステル形成性誘導体から形成される構成単位である請求項1記載のポリエステル樹脂。
【請求項3】
構成単位Bが、スルホイソフタル酸の塩から形成される構成単位及びスルホイソフタル酸のエステル形成性誘導体の塩から形成される構成単位から選ばれる一つ又は二つ以上である請求項1又は2記載のポリエステル樹脂。
【請求項4】
構成単位Bが、トリメリット酸から形成される構成単位、ピロメリット酸から形成される構成単位、トリメリット酸のエステル形成性誘導体から形成される構成単位及びピロメリット酸のエステル形成性誘導体から形成される構成単位から選ばれる一つ又は二つ以上である請求項1又は2記載のポリエステル樹脂。
【請求項5】
構成単位Cが、化1中のX及びXが合計1又は2個のオキシエチレン単位及び/又はオキシプロピレン単位で構成された(ポリ)オキシアルキレン基を有する(ポリ)アルキレングリコールから全ての水酸基を除いた残基である場合のものである請求項1〜4のいずれか一つの項記載のポリエステル樹脂。
【請求項6】
構成単位Dが、化2中のXが合計1〜3個のオキシエチレン単位で構成された(ポリ)オキシエチレン基を有する(ポリ)エチレングリコールから全ての水酸基を除いた残基である場合の化2で示されるジオール化合物、1,3−プロパンジオールから形成される構成単位及び1,4−ブタンジオールから形成される構成単位から選ばれる一つ又は二つ以上である請求項1〜5のいずれか一つの項記載のポリエステル樹脂。
【請求項7】
易接着性ポリエステルフィルム製造用のものである請求項1〜6のいずれか一つの項記載のポリエステル樹脂。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一つの項記載のポリエステル樹脂を水又は水と水溶性有機溶剤との混合溶媒中に分散したポリエステル樹脂水性液。
【請求項9】
請求項8記載のポリエステル樹脂水性液をポリエステルフィルム1m当たりポリエステル樹脂として0.01〜2gの割合となるよう塗布する易接着性ポリエステルフィルムの製造方法。
【請求項10】
請求項9記載の易接着性ポリエステルフィルムの製造方法により得られる易接着性ポリエステルフィルム。

【公開番号】特開2008−208313(P2008−208313A)
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−49097(P2007−49097)
【出願日】平成19年2月28日(2007.2.28)
【出願人】(000210654)竹本油脂株式会社 (138)
【Fターム(参考)】