説明

ポリエチレン−ポリプロピレン多層ブロー成形フィルムの製造方法

【課題】結合層を用いずに、少なくとも一層のポリプロピレン層に隣接した少なくとも一層のポリエチレン層を有する多層フィルムまたはシートの製造方法。
【解決手段】ポリエチレンが高圧重合方法で製造した低密度ポリエチレンでなく、溶融押出物の凝固時間を10秒以下にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも一層のポリエチレン層と少なくとも一層のポリプロピレン層とを含む多層フィルムの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ポリエチレンはその透明性、柔軟性、タフネス、熱溶着性、体衝撃抵抗性、耐引裂強度および器官無刺激性によってフィルム用途で広く使用されている。フィルムに剛性を与えるために一般にポリエチレンは共押出しされるか、他のポリオレフィン、例えばポリプロピレンにラミネートまたは接着されるが、ポリエチレンは結合層を用いないとポリプロピレン上に接着しないということは知られている。結合層は一般に高価であり、複雑な押出成形機械を必要とする。
【0003】
従って、結合層を用いずに、ポリエチレンとポリプロピレンとを共押出しして、ポリエチレンの一般的特性とポリプロピレンのよい強い剛性とを有するフィルムを製造するというニーズがある。
【0004】
特許文献1(国際特許第WO 97/44178号公報)には少なくとも一層のメタロセン直鎖低密度ポリエチレンと、少なくとも一層の衝撃階級ポリプロピレンとを共押出してブロー成形フィルムを製造することと、共押出しブロー成形したフィルムから包装デバイスを製造することが記載されている。
【0005】
特許文献2(米国特許第US 5,789,029号明細書)にはn−ヘキサン抽出分レベルが高いポリマーや、非類似のポリマー化学や、低分子量粘着付与剤を使わずに、実質的に片側粘着性を有する包装用多層熱可塑性延伸フィルムが記載されている。反対粘着層は約0.90g/cm3以下の密度を有する少なくとも一種の均一分岐したエチレンポリマー組成物から成り、非粘着層は密度が0.90g/cm3以上のプロピレンまたはエチレンポリマーの組成物から成る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際特許第WO 97/44178号公報
【特許文献2】米国特許第US 5,789,029号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は結合層無しでポリエチレンとポリプロピレンとを共押出ししてフィルムまたはシートを製造する方法を提供することにある。
本発明の他の目的はポリエチレンとポリプロピレンとの間の接着性を改良することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は下記(a)〜(e):
(a) 共押出フィルム機械の第1の押出機へポリプロピレンを供給し、
(b) 共押出フィルム機械の第2の押出機へポリエチレンを供給し、
(c) 上記ポリプロピレンとポリエチレンをダイを介して共押出しして溶融押出物を形成し、
(d) 溶融押出物をフィルムにブロー成形し、
(e) 得られたフィルムを冷却して多層フィルムを形成する、
の段階を有する、少なくとも一層のポリプロピレン層に隣接した少なくとも一層のポリエチレン層を有する多層フィルムまたはシートの製造方法において、
上記ポリエチレンが高圧重合方法で製造した低密度ポリエチレンでなく、溶融押出物の凝固時間を10秒以下にすることを特徴とする方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】[表1]の結果をプロットしたもの。
【図2】[表2]の結果をプロットしたもの。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明ではフィルムは極めて薄い連続シートとし定義される。:
厚さの上限は約250ミクロンである(下記文献参照):
【非特許文献1】Hawley's Condensed Chemical Dictionary, Twelfth Edition, Rev. by R.J.Lewis, Van Nostrand Reinhold Co., New York
【0011】
本発明で「隣接」という用語は結合層無しにポリエチレン層がポリプロピレン層に接合していることを意味する。
本発明で「押出物の凝固時間(freezing time)」という用語は、溶融状態から押出物がダイから出てフロストラインで結晶性固体状態になるまでの時間を意味する。
本発明で「高圧重合方法で製造した低密度ポリエチレン(LDPE)」とは一般にフリーラジカル開始剤を使用して120MPa以上の圧力でオートクレーブまたは管型反応器中で作られるLDPEを意味する。この低密度ポリエチレンの製造方法は公知で、例えば下記文献に記載されている。
【非特許文献2】「Encyclopedia of Polymer Science and Engineering」, second edition, Volume 6, on pages 404 to 410
【0012】
本発明で使用可能なポリプロピレンはフィルムまたはシートの製造に適した任意のポリプロピレンにすることができ、チーグラー−ナッタ触媒系を用いて製造したプロピレンのホモポリマーまたはコポリマーまたはターポリマーまたはその物理的または化学的混合物にすることができる。あるいは、メタロセン触媒系を用いて製造したポリプロピレンにすることができ、ホモポリマー、コポリマー(ランダムコポリマー、ブロックコポリマー)またはアイソタクチックまたはシンジオタクチックポリプロピレンのターポリマーにすることができる。これらの例は下記文献に記載されている。
【特許文献3】欧州特許第EP-A-881,236号公報
【特許文献4】欧州特許第EP-A-965603号公報
【特許文献5】欧州特許第EP-A-1,010709号公報
【特許文献6】国際特許第WO-00/49209号公報
【0013】
本発明で使用するポリエチレンは直鎖低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレンまたは高密度ポリエチレンにすることができる。ポリエチレンは公知の任意の触媒プロセス、例えば酸化クロムベースの触媒、チーグラー−ナッタ触媒またはメタロセン触媒を使用して作れることができる。
【0014】
酸化クロムベースの触媒、チーグラー−ナッタ触媒およびメタロセン触媒は当業者に周知である。チーグラー−ナッタ触媒は適切な担体、例えば活性タイプのハロゲン化マグネシウム上に担持された少なくとも一種のチタン−ハロゲン結合と内部電子供与体とを有するチタン化合物と、有機アルミニウム化合物、例えばアルミニウムトリアルキルと、任意成分の外部ドナーとから成る。メタロセン触媒は必要に応じて適切な担体上に支持されたメタロセンと、アクティベータ、例えばアルミノキサンと、任意成分の第2有機アルミニウム化合物、例えばアルミニウムトリアルキルとから成る。メタロセンという用語は一つまたは複数のリガンドに結合した金属原子から成る任意の遷移金属複合体を意味する。クロム触媒は担体、例えばシリカまたはアルミニウム担体上に酸化クロムを沈着させて得られる触媒を意味する。クロム触媒の例はCrSiO2またはCrAl23であるが、これらに限定されない。
【0015】
ポリエチレンの密度(ASTM D 1505規格を使用して23℃で測定)は0.900g/cm3から0.965g/cm3、好ましくは0.918g/cm3から0.960g/cm3、より好ましくは0.923g/cm3から0.950g/cm3、さらに好ましくは0.923g/cm3から0.940g/cm3である。
【0016】
所望する密度はプロピレン、1- ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンおよび4-メチル-1-ペンテンから成る群の中から選択されるコモノマーの適切な量をエチレンと共重合することによって得られるということは公知である。好ましいコモノマーは1-ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンであり、最も好ましいコモノマーは1-ヘキセンである。
【0017】
ポリエチレンのメルトインデックスは反応装置に注入する水素の量によってコントロールできる。ポリエチレンのメルトインデックス(Ml2)(ASTM D 1238に従って条件190℃/2.16kgで測定)は0.2g/10分から10g/10分、好ましくは0.3g/10分から2g/10分である。
【0018】
本発明使用可能な直鎖低密度ポリエチレンの製造方法は公知で、例えば下記文献に記載されている。
【非特許文献3】「Encyclopedia of Polymer Science and Engineering」, second edition, Volume 6, on pages 436 to 444に記載されている。
【0019】
本発明で使用するポリエチレンはメタロセン触媒を用いて製造したポリエチレンであるのが好ましい。このメタロセン触媒を用いて製造したポリエチレンは下記一般式を有するメタロセン触媒を用いて製造するのが好ましい:
R(THI)2MQZ-2
(ここで、
THIはテトラ水素化された置換または非置換のインデニル基を表し、
Rは2つのテトラ水素化インデニル基をブリッジする置換または非置換のC1〜C4アルキリデン基、ジアルキルゲルマニウム、ジアルキルシリコン、ジアリールシリコン、ジ−アルコキシシラン、ジフェノキシシランまたはアルキルフォスフィンまたはアミン基、
Qは1〜20の炭素原子を有するアリール、アルキル、アルケニル、アルキルアリールまたはアリールアルキル基等のヒドロカルビル基、1〜20の炭素原子を有するヒドロカルボキシル基またはハロゲンで、互いに同じでも異なっていてもよく、
Mは第4、5または6族の遷移金属であり、
Zは遷移金属の結合価である)
【0020】
THIは未置換のテトラ水素化されたインデニル基であるのが好ましい。
Mは第4族の遷移金属であるのが好ましく、Mはジルコニウムであるのが好ましい。
Qは1〜4個の炭素原子を有するアルキル基またはハロゲンであるのが好ましく、Qはメチルまたは塩素であるのが好ましい。
Rは置換または非置換のC1〜C4アルキリデン基であるのが好ましく、好ましくはエチリデンまたはイソプロピリデンである。
【0021】
本発明で使用するメタロセン触媒はブリッジしたビス(テトラヒドロ-インデニル)ジルコニウム二塩化物、好ましくはエチレンビス(テトラヒドロ-インデニル)ジルコニウム二塩化物であるのが好ましい。
メタロセン触媒は公知の任意の方法で重合プロセスで使用できる。
【0022】
本発明で使用するメタロセン触媒を用いたポリエチレン(mPE)はモノモダル(monomodal、単峰)な分子量分布を有するのが好ましい。分子量分布は分散指数(D)として公知のパラメータで定義され、これは重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との間の比である。本発明で使用するメタロセン触媒を用いたポリエチレンの分子量分布は4以下、好ましくは2〜3の間、より好ましくは2.2〜2.7の間である。分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)で求める。
【0023】
また、mPEは長鎖分岐構造によって特徴付けることができる。本発明で使用するmPE樹脂はレオロジー的に長鎖分岐インデックス(LCBI)を有するのが好ましい。これは例えば下記非特許文献4に記載の下記式で定義される:
【非特許文献4】R.N. Shroff and H.Mavridis in Macromolecules 2001, 34, 7362-7367
【0024】

【0025】
(ここで、η0は190℃での限界ゼロ剪断粘度であり、[η]は135℃のトリクロロベンゼン中での固有粘度である)
LCBIは米国特許第US-A-6114486号明細書に記載のように一般化した下記クロス式を用いてレオロジ曲線(rheological curve)曲線(複合粘度−周波数)の最少二乗法解析にるベストフッテヤングから計算される:
η=η0/(1+(γt0)n
(ここで、nは材料の剪断細分挙動を特徴付ける材料のべき法則インデックスであり、t0は材料の特性緩和時間であり、η0はゼロ剪断粘度であり、ηとγはそれぞれ測定粘度および剪断率データである)
この動的レオロジー解析は190℃で窒素下に実行され、歪周波数は10%であり、結果はASTM D 4440に従って報告される。
【0026】
本発明で使用されるmPEのLCBIは少なくとも0.14以上、好ましくは0.50以上、より好ましくは1以上、最も好ましくは2以上である。
多層フィルムは共押出ブロー成形法で作られる。この共押出ブロー成形法では溶融したポリマーを複数の通路を有する環状ダイを介して押出して「バブル」とよばれる管状フィルムを形成する。このバズルの内部に空気を注入して所望直径まで膨張させる。次いで、バブルをニップローラーを用いて潰してバブルを平らなフィルムにする。
【0027】
バブルは溶融した状態でダイ表面から上方へ送られ、冷却され、固形物になる温度に達する。ダイ表面から凝固が起こる所までの距離をフロストライン高さ(frost-line hight)とよんでいる。この高さでフィルムはポリマーの結晶化によって曇り、「光学的に霜った(frost)状態」になる。従来はこのフロストラインはバブルが最大直径になる最も低い点と定義されてきた。すなわち、この点より上方ではさらに延伸が効果的に行なわれることはないためである。共押出フィルム成形法では複数のフロストラインが存在し、フィルムの各層に対して一つ存在する。本発明での共押出フィルムのフロストラインは最初にフリーズした層のフロストラインである。
【0028】
ダイから出たときの溶融状態からフロストラインで結晶固体状態になるまでに押出物が要した時間は「押出物の凝固時間(freexing time)」とよばれる。バブルがダイ表面の直ぐ上で拡大を開始した場合、すなわち「ネック」無しに拡大を開始した場合を当業者は「ポケットバブル」または「LDPE形状」とよんでおり、押出物の凝固時間(Ft)(秒で表示)は下記の式で定義できる:

【0029】
(ここで、
Fh(m)はフロストライン高さであり、
Inは対数関数であり、Vf(m/s)はウェブがニップローラーを通過するときのウェブの速度で、フィルム速度としても知られており、フィルムの厚さを決定し、
Vo(m/s)は溶融吐出速度で、ポリマーがダイのギャップを出る時の初速度としも知られている。
Voは溶融物の密度、ダイ吐出量およびダイ表面積の関数で、下記の式で計算される:

【0030】
(ここで、
Q(kg/s)は吐出流速度、
d(kg/m3)は溶融物の密度、
S(m2)はダイをポリマーが出る時の表面積)
【0031】
フィルム引取り速度(Vf)、溶融物の吐出速度(Vo)および押出物の所望凝固時間(Ft)がわかれば、フロストライン高(Fh)を上記の式から求めることができる。
バブルの冷却は一般にフィルムがダイを出た後にフィルム上に多量の体積の空気を吹付けることで行なわれる。これはバブルの外部のみか、バブルの内部と外部の両方に対して行われる。当業者はバブルに吹き付けられる空気の温度および/または速度をコントロールしてバブルの冷却を調節することで、押出物の正しいフロストライン高さ(従って、所望凝固時間)を得ることができる。
フロストラインはフィルムが霜状に濁る点で、視覚的に決定できる。一般に、このフロストライン高さの測定はメジャーを用いて手動で行なう。
【0032】
本発明では押出物の凝固時間が10秒以下、好ましくは9秒以下、さらに好ましくは8秒以下、より好ましくは7秒以下、最も好ましくは6秒以下にしてフィルムを製造する。
2層以上の層がある本発明の一つの実施例では、ポリプロピレン層はフィルムまたはシートの内側層であり、外側層はポリエチレンである。本発明の他の実施例では、ポリプロピレン層がフィルムまたはシートの外側層で、内側層はポリエチレンである。両方の実施例でフィルムまたはシートは高い剛性と優れたシーリング特性とを同時に有する。
【0033】
本発明はさらに、本発明方法で製造したブロー成形フィルムまたはシートを提供する。本発明で得れたフィルムまたはシートは結合層無しにポリエチレンとポリプロピレンとの間の優れた接着性を示す。ポリプロピレンとポリエチレンとは互いにほとんど接着しないと考えられてきたので、このことは特に驚くべきことである。
【0034】
本発明のブロー成形フィルムまたはシートはポリエチレン層とポリプロピレン層との間の接着力によって特徴付けられる。この接着力は、凝固時間を11秒以上にした点以外は本発明と同じ条件下で同じ共押出法で製造した同じフィルムのポリプロピレン層とポリエチレン層との間の接着力より、少なくとも10パーセント、好ましくは少なくとも20パーセント、より好ましくは少なくとも50パーセント、さらに好ましくは少なくとも100パーセント、最も好ましくは少なくとも200パーセント高い。接着力は室温で200mm/分の速度でダイナモメータを用いて測定する。
【実施例】
【0035】
1.材料
本実施例では下記の樹脂を使用した:
(1)メタロセンポリエチレン「R1」(密度=0.923g/cm3、Ml2=0.9g/分)
(2)メタロセンポリエチレン「R2」(密度=0.927g/cm3、Ml2=0.9g/分)
(3)メタロセンポリエチレン「R3」(密度=0.934g/cm3、Ml2=0.9g/分)
上記の樹脂「R1」、「R2」および「R3」はブリッジしたメタロセン・エチレン・ビス(4,5,6,7,テトラヒドロ-1-インデニル)ジルコニウム二塩化物を使用して製造された。この触媒は活性化され、担持されている。
(4)商業的に入手可能なチーグラー−ナッタ触媒を用いて製造された直鎖低密度ポリエチレン「R4」(ダウレックス(Dowlex、登録商標)2049Eで市販)(このダウレックス2049Eは密度が0.926g/cm3、Ml2は1.0g/分)
(5)商業的に入手可能な低密度ポリエチレン「R5」(トタルペトロケミカル(Total Petrochemicals)から番号1008FE24で市販)(密度=0.924g/cm3、Ml2=0.8g/10分)。この樹脂は過酸化物を用いて高圧法で製造される。
(6)商業的に入手可能なポリプロピレン「R6」(トタルペトロケミカル(Total Petrochemicals)から番号PPH3060で市販)(密度=0.905g/cm3、MI2=1.8)。これはチーグラー‐ナッタ触媒を用いて製造したプロピレンのホモポリマーである。
(7)商業的に入手可能なポリプロピレン「R7」(トタルペトロケミカル(Total Petrochemicals)から番号PPR3260で市販)(密度=0.902g/cm3、Ml2=1.8g /10分)。これはチーグラー−ナッタ触媒を用いて製造されたプロピレンのランダム共重合体である。
【0036】
2.フィルムの製造
共押出しブロー成形で下記5層のA/A/B/C/Cフィルム(以下に「F1」〜「F5」)を製造した。
(i) プロピレン(R6)のホモポリマーまたはプロピレン(R7)のランダム共重合体のいずれかで作った全く同じ2層(層A)。両方の層Aの全体の厚さは50マイクロメートルである。
(ii)上記1の第5番目のポリエチレンの一つから成るコア層(層B)。層Bの厚さは10マイクロメートル。
(iii)ポリエチレンR3か成る2つの同一層(層C)。両方の層Cの全体の厚さは70マイクロメートルである。
各フィルムを合わせた全体の厚さは130マイクロメートルである。
【0037】
フィルムはフィルムブロー成形ライン装置でブロー成形で低密度形状の特徴(ダイ直径=50mm、ブロー比=2.5倍、ネックなし、ダイ・ギャップ=1.4mm)を使用して作った。バブルの冷却は空気で行い、室温でバブルの外側のみに12kg/hの速度で行なった。
【0038】
3. フィルム特性
ポリプロピレン層とコアのポリエチレン層との間の接着力をそれらの層を分離するのに必要な力(ニュートン)で測定した。この測定はダイナモメータを用いて200mm/分の速度で室温で行なった。結果は3つのサンプルの平均値で示した。
プロピレンのランダム共重合体を外側層として使用した場合の結果は[表1]に示してある。プロピレンのホモポリマーを外側層として使用したときの結果は[表2]に示してある。
[図1](図2]は[表1]と[表2]の結果をプロットしたものである。
【0039】
【表1】

【0040】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(a)〜(e):
(a) 共押出フィルム機械の第1の押出機へポリプロピレンを供給し、
(b) 共押出フィルム機械の第2の押出機へポリエチレンを供給し、
(c)上記ポリプロピレンとポリエチレンをダイを介して共押出しして溶融押出物を形成し、
(d) 溶融押出物をフィルムにブロー成形し、
(e) 得られたフィルムを冷却して多層フィルムを形成する、
の段階を有する、少なくとも一層のポリプロピレン層に隣接した少なくとも一層のポリエチレン層を有する多層フィルムまたはシートの製造方法において、
上記ポリエチレンが高圧重合方法で製造した低密度ポリエチレンでなく、溶融押出物の凝固時間を10秒以下にすることを特徴とする方法。
【請求項2】
溶融押出物の凝固時間が9秒以下である請求項1に記載の方法。
【請求項3】
溶融押出物の凝固時間が8秒以下である請求項2に記載の方法。
【請求項4】
溶融押出物の凝固時間が7秒以下である請求項3に記載の方法。
【請求項5】
溶融押出物の凝固時間が6秒以下である請求項4に記載の方法。
【請求項6】
ポリエチレンが下記一般式を有するメタロセン触媒を用いて製造されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法:
R(THI)2MQZ-2
(ここで、
THIは置換されていてもよいテトラ水素化インデニル基を表し、
Rは置換または非未置換のC1−C4アルキリデン基、ジアルキルゲルマニウム、ジアルキルシリコン、ジアリールシリコン、ジ−アルコキシシラン、ジフェノキシシランまたはアルキルフォスフィン、アミン基またはブリッジした2つのテトラ水素化インデニル基を表し、
Qは1〜20の炭素原子を有するヒドロカルビル基、例えばアリール、アルキル、アルケニル、アルキルアリール基、アリールアルキル基またはハロゲンまたは1〜20の炭素原子を有するヒドロカルボキシル基で、互い同じものでも異なっていてもよく、
Mは第4、5または6族の遷移金属であり、
Zは遷移金属の結合価を表す)
【請求項7】
MがIVb族遷移金属である請求項6に記載の方法。
【請求項8】
Mがジルコニウムである請求項7に記載の方法。
【請求項9】
Rが置換または非未置換のC1〜C4アルキリデン基である請求項6〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法で得られるフィルムまたはシート。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2010−530323(P2010−530323A)
【公表日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−512708(P2010−512708)
【出願日】平成20年6月20日(2008.6.20)
【国際出願番号】PCT/EP2008/057912
【国際公開番号】WO2009/000783
【国際公開日】平成20年12月31日(2008.12.31)
【出願人】(504469606)トータル・ペトロケミカルズ・リサーチ・フエリユイ (180)
【Fターム(参考)】