説明

ポリマーペレットを機能性添加剤とコンパウンドする方法

コンパウンドされたセルロースエステルを形成する新規な方法を提供する。この方法は、セルロースエステル、機能性添加剤および膨潤剤を混合し、その後膨潤剤の少なくとも一部を除去することを含む。膨潤剤は、機能性添加剤をセルロースエステル内に浸透させることを補助するがセルロースエステルに対する溶媒としては顕著に作用しないものである。好ましいセルロースエステルとしては、これらに限定されないが、セルロースアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートフタレート、およびセルロースアセテートブチレートが挙げられる。機能性添加剤は、可塑剤、安定剤、またはセルロースの特定の特性を変更するために選択される他の添加剤であることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広範には、フィルム、繊維および徐放性マトリクス等の物品を形成するために使用できるセルロースと機能性添加剤との混合物を形成する新規な方法に関する。
【背景技術】
【0002】
セルロースは種々の脂肪族および芳香族のカルボン酸でエステル化されてきた。最も典型的なセルロースエステルは、セルロースのアセテート、プロピオネート、ブチレート、および、セルロースアセテートプロピオネートおよびセルロースアセテートブチレート等の混合エステルである。セルロースエステルおよびこれらの製造は、参照によりここに組み入れられるGedonらの“Cellulose Esthers,”Kirk−Othmer Encyclopedia of Chemical Technology,4th ed.,vol. 5,John Wiley&Sons,New York,496−529(1993)に概説されている。セルロースエステルの製造はまた、参照によりここに組み入れられるSteinmeier,Macromolecular Symposia(2004),208(Cellulose Acetates),49−60に記載されている。それぞれ参照によりここに組み入れられる米国特許第2,196,768号および同3,022,287号もまたセルロースエステルを製造するための手順を記載する。
【0003】
多様なセルロースエステルが市販で入手できる。例えば、セルロースエステルの商業的な仕入先としてはEastman Chemical Company,キングスポート,テネシー州がある。市販で入手できる典型的なセルロースエステルとしては、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースプロピオネートブチレート、カルボキシメチルセルロースアセテートプロピオネートおよびカルボキシメチルセルロースアセテートブチレートが挙げられる。
【0004】
セルロースエステルは典型的には粉末、ペレット、グレイン、球、伸長球、または粒形の形状で製造される。これらの形状のうちペレット、グレイン、球、伸長球、および粒形は、洗浄、加工および運搬が容易であるため、そして塵埃量が少ないため好ましい。
【0005】
セルロースエステルが優れた熱可塑性材料であることは公知であり、従ってセルロースエステルは広範囲の用途で用いられる。セルロースエステルの幾つかの用途が、参照によりここに組み入れられるEdgarら“Advances in Cellulose Esther Performance and Application”Progress in Polymer Science 26(9),1605−1688(2001)に記載されている。自身の良好な熱可塑特性のために最も一般的に用いられるセルロースエステルは、セルロースアセテート(CA)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、およびセルロースアセテートブチレート(CAB)である。しかし他の種類のセルロースエステルは特定用途に対して有用であることができる。
【0006】
これらの材料の各々は、比較的高い溶融温度または軟化温度(すなわち150〜250℃)および比較的高い溶融粘度を有する。高溶融温度と高溶融粘度とのこの組合せにより、これらのセルロースエステルの溶融加工に必要な温度は、場合によってセルロースエステルの分解温度に近づきまたはこれを超えることがある。結果として、セルロースエステルは処理中に分解する可能性があり、これにより特定用途におけるこれらの有用性が最低限になる可能性がある。溶融加工温度をより低くするために、セルロースエステルの溶融加工の前または間に低分子量の可塑剤を添加しても良い。
【0007】
可塑剤等の機能性添加剤の親和性および導入性は、セルロースエステルの組成および形状に極めて大きく依存する可能性がある。例えば、ジオクチルアジペートは通常セルロースアセテートとの親和性が乏しいが、殆どのセルロースアセテートブチレートとの親和性は良好である。可塑剤の親和性はまた、単一種のセルロースエステルにおいてでも置換度(無水グルコースユニット当たりの置換基の数)で変化する可能性がある。例えば、ジエチルフタレート(“DEP”)は、置換度2.5以下のセルロースアセテートに対する可塑剤として使用することができる。しかしDEPは、置換度2.8から3.0のセルロースアセテートに対しては芳しくない可塑剤と考えられている。
【0008】
機能性添加剤は、しばしば、セルロースエステルと可塑剤および他の添加剤とを適切な混合要素を備える2軸押出機において適切な温度および圧力で組合せて、材料が押出機を出る時までに、溶融した均一に組合されたセルロースエステル混合物を得ることを含む従来の溶融コンパウンド技術でセルロースエステルと混合される。典型的には、溶融した、組合されたセルロースエステル混合物は、ストランドを押出すために直径約2〜6mmのオリフィスを備えるダイを経て押出すことが好ましい。次いでストランドを水または空気で冷却し、そして規則的な間隔で切断して、均一で所望のサイズおよび形状である“ペレット”または“粒”といわれるものを得る。
【0009】
特にセルロースエステルまたは機能性添加剤が典型的なコンパウンド温度で熱的に不安定である場合、セルロースエステル中に機能性添加剤を完全に混合および導入することは困難である可能性がある。例えば、セルローストリアセテートおよび他のセルロースエステルはペレットの形状で製造される場合がある。ペレットは非常に硬く、そのままの状態では容易には可塑剤または添加剤を吸収しない。従来の標準的な溶融押出条件下(バレル温度260〜270℃,一般的な2軸設計)では、押出機を出る溶融ストランドは不適切な浸透および可塑剤とペレット全体との不均一な混合による顕著な非溶融領域を有する。温度を上げることは溶融をより完全にするのに役立つが、温度を上げることで、純粋なセルローストリアセテートの熱分解が350〜360℃で生じることによる着色の増大という犠牲が生じる。さらに、熱的に敏感で、必要な2つの熱履歴(すなわち、材料の溶融コンパウンド、続いて最終プラスチック物品を形成するための溶融加工)に耐えられない場合がある添加剤もある。ペレット自体はまた、例えば制御放出マトリクス製品等の所望の最終形状であって良い。この場合、成分が過度の熱に晒されないことが好ましい場合がある。特定の可塑剤および他の添加剤は、分解の開始を300℃未満に低くすることができ、これらの添加によりさらなる着色が生じる。温度を下げることは着色を低減するのに役立つが、あるセルロースエステルでは高い軟化点により温度の上昇が求められる。
【0010】
加えて、プラスチック用途におけるセルローストリアセテートの溶融コンパウンドまたは溶融加工は、セルローストリアセテートの溶融加工が、その分解温度よりも高いその融点によりおよび可塑剤の添加でその軟化が制限されることにより実用的でない、という理由で工業的に実行できない。工業用セルロースアセテートフィルムは現在溶媒キャストにより製造されている。
【0011】
熱的に敏感な添加剤は溶媒コンパウンドによりセルロースエステル中に組込まれても良い。しかし、機能性添加剤のセルロースエステルへの溶媒融解コンパウンドにもまた、セルロースエステルの形状が崩壊し、好都合な形状(例えばペレット)を得るために、コンパウンドされた製品の再沈または2回目の押出しが必要であるという不都合がある。このペレットまたは粒状の沈殿セルロースエステルをさらに活用し、セルロースエステルと機能性添加剤とのコンパウンドの間この望ましい形状を維持することは有利である。よって材料がすでにこの望ましい形状である場合、“コンパウンド”ステップは機能性添加剤のこれらのペレットへの組込みの実現を必要とするのみである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
可塑剤および他の添加剤をセルロースエステル中、特にセルローストリアセテート中に導入する方法であって、熱を使用せずかつセルロースエステルペレットの一般的形状を変えることなくコンパウンドされたセルロースを与えることができる方法に対する要求が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、広範には、セルロース、添加剤および膨潤剤を組合せて混合物を形成することによってコンパウンドされたセルロースを形成する新規な方法を提供することによりこれらの課題を解決する。
【0014】
ある態様において、本発明は少なくとも1種の添加剤とともにセルロースのペレット、グレイン、または粒を導入するための方法を提供する。該方法は、セルロースエステル、初期量の添加剤、および膨潤剤を組合せることにより混合物を形成すること、ならびに次いで、コンパウンドされたセルロースエステルを形成するために該膨潤剤の少なくとも一部を該混合物から除去することを含む。有利には、該コンパウンドされたセルロースエステルが該添加剤の該初期量の少なくとも約0.01質量%、または0.1質量%、または1質量%、または5質量%、または10質量%、または20質量%、または30質量%、または40質量%、または50質量%、または60質量%、または70質量%、または80質量%、または90質量%を含む。
【0015】
他の態様において、本発明は、セルロースエステル、初期量の添加剤、および膨潤剤を組合せて混合物を得て、そしてコンパウンドされたセルロースエステルを形成するために該膨潤剤の少なくとも一部を該混合物から除去する方法を提供する。この態様において、膨潤剤は、水、ベンゼン、スルホン化ヒマシ油、キシレン、トルエン、モノポール油、松根油、スルホン化松根油、シクロヘキサノール、シクロヘキサノン、ジアセチン、およびテトラリンからなる群から選択される含有成分を約10質量%未満含む。
【0016】
図面の簡単な説明
図1は、対照サンプルを本発明のサンプルと27時間にわたって比較する一連の写真である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明は、セルロースエステル、添加剤および膨潤剤を組合せて混合物を形成することによってコンパウンドされたセルロースエステルを形成する新規な方法を提供する。含有成分の組合せは、これらに限定されないが、円筒容器内での回転、オーバーヘッド攪拌、シグマブレード混合、および転動等の任意の公知の混合技術により実現できる。
【0018】
他の表示がない限り、含有成分、分子量や反応条件等の特性、その他明細書および特許請求の範囲で用いられるもの等の量を表す全ての数は、全ての場合で用語「約」により修飾されることを理解すべきである。よって、逆の表示がない限り、以下の明細書および特許請求の範囲におけるような数値パラメータは、本発明による実現が求められる所望の特性に応じて変動し得る近似である。最低でも、各数値パラメータは、少なくとも記載される有効数字の数を考慮し通常の四捨五入法を適用して解釈すべきである。さらに、この開示および特許請求の範囲で記載される範囲は全範囲を具体的に含みかつ1つまたは複数の端点のみではないことが意図される。例えば、0から10と記載される範囲は、例えば1、2、3、4等のような0から10の間の全ての整数、例えば1.5、2.3、4.57、6.1113等のような0から10の間の全ての端数、ならびに端点0および10を開示することが意図される。また、例えば「C1からC5の炭化水素」等の化学置換基に関連する範囲は、C1およびC5の炭化水素およびC2、C3およびC4の炭化水素を具体的に含みかつ開示することが意図される。
【0019】
本発明の広範な範囲を説明する数値範囲およびパラメータが近似であることに関わらず、具体例において説明される数値は可能な限り厳密に記載される。しかしいずれの数値も、これらのそれぞれの試験測定で見られる標準偏差に起因して本質的にある程度の誤差を必然的に含む。
【0020】
ここに使用される冠詞"a" "an"および"the"は、他を指す明確な記載がない限りこれらの複数の指示対象を含む。例えば、a "polymer"またはa "shaped article"の記載は、複数のポリマーまたは物品を加工または形成することを含むことが意図される。"an" ingredientまたは"a" polymerを有しまたは含む組成物の記載は、名前の挙がったものに加えて他の含有成分または他のポリマーをそれぞれ含むことが意図される。
【0021】
"comprising"または"containing"または"including"によれば、少なくとも名前の挙がった化合物、成分、粒子、または方法ステップ等が組成物または物品または方法に存在するが、他の化合物、触媒、材料、粒子、方法ステップ等の存在は、他のこのような化合物、材料、粒子、方法ステップ等が名前の挙がったものと同じ機能を有しても、明確に排除していない限りは排除されないことが意味される。
【0022】
また、1以上の方法ステップの記載は、組み合わされた列挙されるステップの前もしくは後の追加の方法ステップ、または明確に規定されるこれらのステップの間の途中の方法ステップの存在を排除しないことを理解すべきである。さらに、プロセスステップまたは含有成分の表記は別々の働きまたは含有成分を規定するための便宜的な手段であり、そして列挙された表記は他の記載がない限り任意の配列に並べることができる。
【0023】
セルロースエステルは任意の物理形状(例えば、ペレット、粉末、粒、繊維)であることができ、そしてある態様ではエーテル基等の他の官能基を含むことができる。好ましいセルロースエステルは、置換度(すなわち、無水グルコースユニット当たりの置換基の数)約0.7から約3.0を有する。ある態様では、置換度は好ましくは約2.7から約3.0であり、より好ましくは約2.8から約2.95である。他の態様では、置換度は好ましくは約0.7から約2.0、およびより好ましくは約1.5から約1.9である。さらに、好ましいセルロースエステルは、重量平均分子量(以下に記載のようにして測定)約5,000から約400,000ダルトン、より好ましくは約100,000から約300,000ダルトン、およびさらにより好ましくは約125,000から約250,000ダルトンを有する。
【0024】
好ましいセルロースエステルは、セルロースのC1−C20エステル,より好ましくはセルロースのC2−C20エステル、およびさらにより好ましくはセルロースのC2−C10エステル、およびさらにより好ましくはセルロースのC2からC4エステルを含む。2級または3級のセルロースエステルもまた好ましい。本発明において使用するために特に好ましいセルロースエステルは、セルロースアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートフタレート、セルロースアセテートブチレート、セルロースブチレート、セルローストリブチレート、セルロースプロピオネート、セルローストリプロピオネート、セルロースアセテートプロピオネート、カルボキシメチルセルロースアセテート、カルボキシメチルセルロースアセテートプロピオネート、カルボキシメチルセルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートブチレートサクシネート、およびこれらの混合物からなる群から選択される。
【0025】
ある態様において、セルロースエステルは、置換度約1.0から約3.0を有する。他の態様において、セルロースエステルは、置換度約2.5から約3.0、および好ましくは約2.7から約3.0のセルロースアセテートである。他の態様において、セルロースエステルは、アセチルの置換度が約0.5から約2.0、および好ましくは約1.6から約1.8のセルロースアセテートである。他の態様において、セルロースエステルは、アセチルの置換度が約0.1から約2.1、およびプロピオニルの置換度が約0.5から約2.5のセルロースアセテートプロピオネートである。他の態様において、セルロースエステルは、アセチルの置換度が約0.3から約2.1、およびブチリルの置換度が約0.75から約2.6のセルロースアセテートブチレートである。
【0026】
セルロースエステルは、好ましくは、1種または2種以上のセルロースエステルと1種または2種以上の添加剤との100質量%とされる組合せ量を基にして、混合物が約5質量%から約95質量%のセルロースエステル、好ましくは約50質量%から約90質量%のセルロースエステル、およびさらにより好ましくは約70質量%から約85質量%のセルロースエステルを含むのに十分なレベルで用いられる。
【0027】
ここで用いられる膨潤剤は、セルロースエステルを膨潤または「オープンアップ」させるがそのセルロースエステルを溶解させることはない化合物である。すなわち、セルロースエステルは、典型的に、セルロースエステル濃度50質量%での約120分間を通じた膨潤剤中での溶解量が約5%未満、好ましくは約2%未満、およびより好ましくは約1%未満となる。さらに、膨潤剤はセルロースエステルを十分に膨潤させることができ、添加剤の初期量の少なくとも約0.01質量%、または0.1質量%、または0.5質量%、または1質量%、または2質量%、または3質量%、または4質量%、または5質量%、または10質量%、または20質量%、または30質量%、または40質量%、または50質量%、または60質量%、または70質量%、または80質量%、または90質量%、または92質量%、または93質量%、または94質量%、または95質量%、または96質量%、または97質量%、または98質量%、好ましくは少なくとも約99質量%、およびより好ましくは約100質量%がセルロースエステルに混ぜられ、最終的なコンパウンドされたセルロースエステル中に残存することができる。
【0028】
好ましい膨潤剤としては、これらに限定されないが、ケトン(例えば、アセトン、メチルエチルケトン)、エステル(例えば、酢酸エチル、酢酸メチル)、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、イソプロピル)、エーテル、カルボン酸(例えば、酢酸)、テトラヒドロフラン、超臨界流体(例えば、超臨界二酸化炭素)、およびこれらの混合物からなる群から選択されるものが挙げられる。好ましい態様において、膨潤剤は、水、ベンゼン、スルホン化ヒマシ油(「ターキーレッドオイル」(Turkey red oil)ともいう)、キシレン、トルエン、モノポール油、松根油、スルホン化松根油、シクロヘキサノール、シクロヘキサノン、ジアセチン、およびテトラリンからなる群から選択される含有成分を、約10質量%未満、好ましくは約5質量%未満、および好ましくは約0質量%含む。膨潤剤が水、ベンゼン、スルホン化ヒマシ油(「ターキーレッドオイル」ともいう)、キシレン、トルエン、モノポール油、松根油、スルホン化松根油、シクロヘキサノール、シクロヘキサノン、ジアセチン、および/またはテトラリンの1種または2種以上の混合物を含む場合、これらの含有成分の各々の組合せ量は、存在する膨潤剤全体の約10質量%未満、好ましくは約5質量%未満、および好ましくは約0質量%とすることができる。
【0029】
本発明の方法で用いられる膨潤剤の量は、セルロースマトリクスに適切に浸透してこれを膨潤させ、そしてこれにより添加剤をセルロースマトリクス全体に適切に分散させるのに十分な量であるのが良い。用いられる膨潤剤が十分に少量であって、膨潤剤および添加剤との接触時間の後に、膨潤したセルロースが触れられる程度に乾燥してスラリーというよりむしろ自由に流動する粒子となることもまた好ましい。これにより、典型的には、膨潤剤:セルロースエステルの質量比約0.8:1から約3:1、およびより好ましくは約1:1から約1.5:1がもたらされる。
【0030】
本発明の方法で用いられる1種または2種以上の添加剤は好ましくは機能性添加剤である。該添加剤は、セルロースエステルの幾つかの特性を変更または保護することが好ましい。好ましい添加剤としては、可塑剤、熱安定剤、酸化防止剤、紫外(UV)安定剤、酸安定剤、酸捕捉剤、色素、顔料、芳香剤(臭気マスクを含む)、蛍光増白剤、難燃剤、農薬(例えば、殺菌剤、除草剤、肥料、殺虫剤、微量ミネラル)、生物活性化合物(例えば、調合薬、薬物、栄養剤)、指示薬、およびこれらの混合物からなる群から選択されるものが挙げられる。
【0031】
可塑剤は、参照によりここに組み入れられる“Handbook of Plasticizers,”Ed.Wypych,George,ChemTec Publishing(2004)に記載されている。ある態様において、好ましい可塑剤は、ポリマーの2級原子価結合の幾つかを可塑剤のポリマーへの結合で置換えることにより、ポリマーを含む製品の加工を容易にし、柔軟性を増大させ、および/または強靭性を増大させる。本発明における添加剤として使用するために好適な可塑剤の例としては、これらに限定されないが、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジイソノニルフタレート、ブチルベンジルフタレート、ブチルフタリルブチルグリコレート、トリス(2−エチルヘキシル)トリメリテート、トリエチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、p−フェニレンビス(ジフェニルホスフェート)、およびその他のホスフェート誘導体、ジイソブチルアジペート、ビス(2−エチルヘキシル)アジペート、クエン酸トリエチル、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸を含む可塑剤(例えば、Citroflex(商標)可塑剤、Morflexより入手可能)、トリアセチン、トリプロピオニン、トリブチリン、スクロースアセテートイソブチレート、グルコースペンタプロピオネート、トリエチレングリコール−2−エチルヘキサノエート、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコールジベンゾエート、ポリエチレングルタレート、ポリエチレンサクシネート、ポリアルキルグリコシド、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールイソブチレート、ジイソブチレート、フタル酸共重合体、1,3−ブタンジオール、脂肪族エポキシドで末端封鎖された1,4−ブタンジオール、ビス(2−エチルへキシル)アジペート、エポキシド化大豆油、およびこれらの混合物からなる群から選択されるものが挙げられる。
【0032】
本発明における添加剤として使用するために好適なUV吸収剤およびUV安定剤の例としては、これに限定されないが、ベンゾトリアゾール、トリアジン、ヒドロキシベンゾフェノン、ベンズオキサジノン、レゾルシノールモノベンゾエート、サリチル酸エステル(例えば2,6−ジアルキルフェニルサリチレート)、p−オクチルフェニルサリチレート、桂皮酸誘導体、オキサニリド、ヒドロキシ安息香酸エステル、立体障害トリアジン、立体障害アミン光捕捉剤(HALS)、Tinuvin(登録商標),Chimassorb(登録商標),Cyasorb(登録商標)(Cibaより入手可能)およびUnivul(商標)(BASFより入手可能)製品シリーズ中の化合物、およびこれらの混合物からなる群から選択されるものが挙げられる。UV吸収剤および安定剤は、典型的には、100質量%とされるセルロースエステルの質量を基にして約0.01から約5質量%で存在する。
【0033】
2次溶融形成が所望される場合には熱安定剤が必要となろう。本発明における添加剤として使用するために好適な熱安定剤の例としては、これに限定されないが、酸化防止剤、ラジカル捕捉剤、ラジカル停止剤、金属捕捉剤、ペルオキシド分解剤、および金属塩からなる群から選択されるものが挙げられる。より詳細には、熱安定剤は、ヒンダードフェノール、ヒンダードアミン、天然油のエポキシド、有機亜リン酸塩、およびこれらの混合物からなる群から選択される化合物を含んでも良い。好ましい熱安定剤としては、Irganox(登録商標),Irgafos(登録商標),およびIrgastab(登録商標)(Cibaより入手可能)の名称で販売されるものもある。酸化防止剤は、特に有用な、トリアルキル(C1−C10、より好ましくはC1−C4)、アルキル(C1−C10、より好ましくはC1−C4)フェニル、および/またはトリフェニルホスファイトを有する有機亜リン酸塩を含んでも良い。
【0034】
好適な安定金属剤の例としては、これに限定されないが、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウムおよびバリウムの塩等のアルカリおよびアルカリ金属塩の群から選択されるものが挙げられる。好適なアルカリおよびアルカリ金属の無機酸塩および有機酸塩としては、これらに限定されないが、水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩、クエン酸塩、乳酸塩、酒石酸塩、マルテート、オキシレート、ホスフェート、アセテート、プロピオネート等、およびこれらの混合物が挙げられる。熱安定剤は、典型的には、100質量%とされるセルロースエステル全質量を基にして約0.05質量%から約5質量%、好ましくは約0.1質量%から約2質量%のレベルで存在する。
【0035】
所望の色調または視覚的効果を与えるために色素を使用しても良い。好適な有機色素の例としては、これに限定されないが、C.I.Solvent Violet 13、C.I.Pigment Blue 15、C.I.Pigment Blue 28、C. I.Dispersion Violet 8、C.I.Pigment Red 122、およびこれらの混合物からなる群から選択されるものが挙げられる。蛍光色素または蛍光増白剤の例としては、EccowhiteおよびEccobright製品(Eastern Color&Chemical Companyより入手可能)、Eastobrite OB−1(Eastman Chemical Companyよりより入手可能)、フルオレセイン、およびこれらの混合物からなる群から選択されるものが挙げられる。特殊なまたは新規な色素としては、サーモクロミック色素およびフォトクロミック色素が挙げられる。揮発または熱分解により標準的な溶融コンパウンドプロセスに耐えられない色素および着色剤を本発明では使用できるため本発明の方法は特に有利である。
【0036】
好適な芳香剤、防臭剤、消臭剤、および臭気マスクの例としては、これに限定されないが、各々参照によりここに組み入れられるFabulous Fragrances,Jan Moranによる;Fragrances of the World,Michael Edwardsによる;The Illustrated Encyclopedia of Essential Oils,Julia Lawlessによる;Chemistry of Fragrant Substances,Paul Jose Teisseireによる;The Fragrances,Foundation Reference Guide 1999,The Fragrances Foundation(New York,1999)に記載されるものが挙げられる。具体的な芳香剤は、ハッカ油、バニリン、エステル、リナロール、シトロネラル、特定のアルデヒドおよびエステル、複合香料混合物、植物エキス、およびこれらの混合物からなる群から選択できる。揮発または熱分解により標準的な溶融コンパウンドプロセスに耐えられない芳香剤を本発明では使用できるため本発明の方法は特に有利である。
【0037】
本発明において使用するために好適な指示薬の例としては、これらに限定されないが、pH指示薬、水分指示薬、レドックス指示薬、および温度指示薬からなる群から選択されるものが挙げられる。好適なpH指示薬の例としては、フェノールフタレイン、リトマス、チモールブルー、トロペオリンOO、メチルイエロー、メチルオレンジ、ブロモフェノールブルー、ブロモクレゾールグリーン、メチルレッド、ブロモチモールブルー、フェノールレッド、ニュートラルレッド、チモールフタレイン、アリザリンイエロー、トロペオリンO、ニトラミン、およびトリニトロ安息香酸からなる群から選択されるものが挙げられる。水分指示薬の例は塩化コバルトである。温度指示薬の例としては、ヨウ素青、スピロピラン誘導体等のサーモクロミック色素が挙げられる。好適なレドックス指示薬としては、フェロイン、ヨウ素/デンプン、ビス(4−ジアルキルアミノフェニル)スクアライン色素、KMnO4およびK2Cr27からなる群から選択されるものが挙げられる。
【0038】
殺虫剤の例としては、有機塩素化合物、有機リン酸エステル化合物、アリール化合物、複素環化合物、有機硫黄化合物、カルバメート化合物、ホルムアミジン化合物、ジニトロフェノール化合物、有機スズ化合物、ピレスロイド化合物、アシル尿素化合物、植物化合物、抗生物質化合物、燻蒸剤化合物、忌避化合物、無機化合物、およびこれらの混合物からなる群から選択されるものが挙げられる。
【0039】
除草剤の例としては、ALSアーゼ阻害剤、芳香族カルボン酸、クロロアセタミド、トリアジン、ESPSアーゼ阻害剤、ACCアーゼ阻害剤、ジニトロアニリン化合物、ベンタゾン、ハロヒドロキシベンゾニトリル、ジフェニルエーテル、イソオキサゾリドン、パラコートおよびこれらの混合物からなる群から選択されるものが挙げられる。
【0040】
添加剤は、好ましくは、1種または2種以上のセルロースエステルおよび1種または2種以上の添加剤の100質量%とされる組合せ量を基にして、混合物が約5質量%から約95質量%の添加剤、好ましくは約10質量%から約50質量%の添加剤、およびさらにより好ましくは約15質量%から約30質量%の添加剤を含むのに十分なレベルで用いられる。
【0041】
セルロースエステル、添加剤および膨潤剤を混合して混合物を形成した後、次いで、セルロースエステルおよび添加剤の混合物が得られるように膨潤剤を除去することが好ましい。膨潤剤は蒸発等の多くの方法により除去できる。さらにより好ましくは、膨潤剤除去ステップを膨潤剤回収系により実行して該膨潤剤を再利用できる。好ましくは、この除去ステップにより、少なくとも約10質量%、または約20質量%、または約30質量%、または約40質量%、または約50質量%、または約60質量%、または約70質量%、または約80質量%、または約90質量%、または約95質量%、好ましくは少なくとも約98質量%、およびより好ましくは約100質量%の膨潤剤が混合物から除去される。
【0042】
当然ながら、得られるコンパウンドされたセルロースエステルは、従来技術の溶融コンパウンドにより作製されたコンパウンドされたセルロースエステルと比べたときに1以上の望ましい特性を有する。例えば、本発明の方法は高温を必要とせずにコンパウンドを実行するため、本発明のコンパウンドされたセルロースエステルは熱分解を被らない。結果として、最終的なコンパウンドされたセルロースエステルにおけるセルロースエステルの重量平均分子量は、出発セルロースエステルの重量平均分子量の少なくとも約98%、好ましくは少なくとも約99%、およびさらにより好ましくは少なくとも約100%となる。
【0043】
さらに、従来技術の溶融コンパウンドプロセスの高温を回避することは、これらの従来技術の加工において問題であった、コンパウンドされたセルロースエステルの熱変色も回避する。よって好ましい態様において、本発明のコンパウンドされたセルロースエステルは、厚み約5milおよび波長約400nmの光で少なくとも約85%、好ましくは少なくとも約88%、より好ましくは少なくとも約91%、およびさらにより好ましくは少なくとも約95%の透過パーセントを有するフィルムに形成することができる。
【0044】
本発明のコンパウンドされたセルロースエステルは、出発セルロースエステル材料と実質的に同じ物理形状(例えば、ペレット、粉末、粒、繊維)を有することになる。コンパウンドされたセルロースエステルは「そのままで」使用でき、または必要な2次加工ステップ(例えば、押出成形または射出成形等の溶融加工)を行って所望の成形品または製品を形成することができる。例えば、コンパウンドされたセルロースエステルはLCD用途に用いられるもの等のフィルムに形成することができる。有利には、成形品または製品におけるセルロースエステルの重量平均分子量は、出発セルロースエステルの重量平均分子量の少なくとも約73%、好ましくは少なくとも約77%、およびさらにより好ましくは少なくとも約80%となる。
【0045】
潜在的な加工ステップを以下に詳細に説明する。
【0046】
成形品の作製
コンパウンドされたセルロースエステルは、加熱および溶融加工すべき原料として使用できる。ある態様において、コンパウンドされたセルロースエステルは、異形押出、シート押出、フィルム押出、フィルムキャスト、押出ブロー成形、および引抜成形等の溶融押出加工により成形される。溶融加工技術は、参照によりここに組み入れられるVlachopoulos,J.ら,Materials Science and Technology,19(9),第1161−1169ページ(2003)に記載されている。押出方法は、参照によりここに組み入れられるScrew Extrusion:Science and Technology(Progress in Polymer Processing),Eds.Whiteら,Hanser Gardner Publications(2003)に記載されている。
【0047】
他の態様において、コンパウンドされたセルロースエステルは溶融射出成形プロセスにより成形される。射出成形は、溶融ポリマーの型キャビティ内への射出によって多くの大小の部品を製造するために用いられる。溶融射出成形の例としては、射出成形、射出ブロー成形、射出延伸ブロー成形、射出トランスファー成形、射出オーバーモールド、およびインサート成形が挙げられる。射出成形の方法の詳細は、各々参照によりここに組み入れられるInjection Molding Handbook(3rd Ed.)Eds. Rosatoら,Springer(2000),およびInjection Molding:An Introduction,Potschら,Hanser Gardner Publications(1995)で検討されている。
【0048】
制御放出マトリクス系の作製
他の態様において、コンパウンドされたセルロースエステルは、例えば芳香剤、農業用添加剤、または医薬用添加剤等の制御放出に寄与できるもの等の制御放出マトリクス系を形成するために使用できる。添加剤はマトリクス系の外面細孔に単純に充填されまたは組込まれるのではない。むしろ、制御放出マトリクス系は、セルロースエステルと添加剤との実質的に均一な混合物である。この徐放性マトリクス系は、残留膨潤剤をマトリクス系の約0.005質量%から約5質量%のレベルで含んでも良い。
【0049】
本発明の制御放出マトリクス系によれば、セルロースエステルおよび添加剤の選択および量ならびにセルロースエステルの分子量および置換度の量に応じて添加剤を種々の速度で放出することが可能になる。好ましくは、ある態様において、拡散速度を制御するために可塑剤も使用できる。
【0050】
重要なことには、本発明において添加剤は化学的にセルロースエステルに付加しているのではない。よってある従来技術の制御放出系とは異なり、添加剤と高分子支持材料との間の化学結合の加水分解は添加剤の放出のためには必要ない。特定の態様において、セルロースエステルの生分解によって添加剤が放出されるようにセルロースエステルが生分解性であっても良い。または、拡散によって添加剤が放出されるようにセルロースエステルが非生分解性であっても良い。
【0051】
ある制御放出マトリクス態様において、セルロースエステルは置換度約1.0から約3.0を有する。他の態様において、セルロースエステルは、置換度約2.5から約3.0、および好ましくは約2.7から約3.0のセルロースアセテートである。他の態様において、セルロースエステルは、アセチルの置換度約0.5から約2.0、および好ましくは約1.6から約1.8のセルロースアセテートである。さらに他の制御放出マトリクス態様において、セルロースエステルは、アセチルの置換度約0.1から約2.1、およびプロピオニルの置換度約0.5から約2.5のセルロースアセテートプロピオネートである。さらに他の態様において、セルロースエステルは、アセチルの置換度約0.3から約2.1、およびブチリルの置換度約0.75から約2.6のセルロースアセテートブチレートである。ある態様において、制御放出マトリクスは、100質量%とされるマトリクス系全質量を基にして約50質量%から約99.9質量%のセルロースエステル、および好ましくは約70質量%から約99質量%のセルロースエステルを含むことが好ましい。
【0052】
本発明の範囲の制御放出マトリクスにおいては幅広い多様な芳香剤を使用できる。膨潤したセルロースエステルマトリクス中に拡散可能な任意の芳香剤または芳香剤混合物を組込んでも良い。本発明において有用な芳香剤としては、各々参照によりここに組み入れられるFabulous Fragrance,Jan Moranによる;Fragrances of the World,Michael Edwardsによる;The Illustrated Encyclopedia of Essential Oils,Julia Lawlessによる;Chemistry of Fragrant Substances,Paul Jose Teisseireによる;The Fragrance Foundation Reference Guide 1999,The Fragrances Foundation(New York,1999)に開示されるものが挙げられる。香料は、芳香剤化合物の複合混合物を含んでも良く、または制御放出マトリクス系内に抽出物を組込んでも良い。または、芳香剤添加剤は臭気マスクであることができる。可塑剤を芳香剤とともに組込んで制御放出拡散速度を変更することができる。
【0053】
制御放出マトリクス系では、幅広い多様な医薬用または生物活性の添加剤を使用できる。本発明においては、生分解性セルロースエステルと混合可能な任意の医薬用添加剤を使用できる。本発明において有用な医薬用添加剤はPhysician’s Desk Referenceに開示されている。
【0054】
意図する投与様式に応じ、医薬用添加剤を含む制御放出マトリクス系は、固体または半固体の、タブレット、座薬、錠剤、カプセル、粉末、液体、懸濁液、ローション、クリーム、ゲル等の剤形、好ましくは正確な用量の単独投与に対して好適な単位剤形の形状の医薬用組成物中にあることができる。さらに、制御放出マトリクス系は、他の薬剤、調合剤、担体、アジュバント、希釈剤等を含んでも良い。
【0055】
経口投与に対しては、微粉末または顆粒は、希釈剤、分散剤および/または表面活性剤を含んでも良く、そして水中またはシロップ中、カプセル中または乾燥状態の小袋中、非水性の溶液中または懸濁液中、タブレット中、または水中またはシロップ中の懸濁液中に存在しても良い。望ましいまたは必要な場合は、着香料、保存料、懸濁化剤、増粘剤、および/または乳化剤が含まれても良い。タブレットおよび顆粒は好ましい経口投与形状であり、そしてこれらはコートされても良い。注射物質は、液体の溶液または懸濁液、注射前の液体中の溶液もしくは懸濁液に対して好適な固体形状として、またはエマルションのとしてのいずれかの従来の形状で形成できる。
【0056】
医薬用添加剤の正確な量は、対象の生物種、齢、体重、および全身状態;疾病の重篤性、感染症、または治療もしくは予防されている状態;使用される具体的な医薬用添加剤;ならびに投与様式、に応じて対象ごとに変化することになる。適切な量は、当該分野の通常技術のいずれかで決定できる。ある態様において、医薬用添加剤は、制御放出マトリクス系中に、100質量%とされる制御放出マトリクス系の全質量を基にして約0.1質量%から約50質量%、および好ましくは約0.1質量%から約20質量%のレベルで存在する。この系は人間および動物(野生および家畜)を治療するために使用できる。
【0057】
制御放出マトリクス系のサイズおよび形状は、マトリクス系を生成するために使用される元ペレットを製造するために使用される技術に応じて変化し得る。ある態様において、マトリクス系は、例示的なサイズが直径約0.1mmから約50mm、好ましくは約0.1mmから約10mm、およびより好ましくは約0.5mmから約5mmの顆粒または球であることができる。
【0058】
本発明の制御放出マトリクス系においては幅広い多様な農業用添加剤を使用できる。例示的な農業用添加剤は前に議論した。マトリクス系内に組込むことができる農業用添加剤の量は、農業用添加剤および該添加剤の放出速度に応じて変化し得る。ある好ましい態様において、制御放出マトリクス系は、100質量%とされるマトリクス系の全質量を基にして約0.1質量%から約50質量%の農業用添加剤、好ましくは約0.1質量%から約30質量%の農業用添加剤、およびより好ましくは約0.1質量%から約20質量%の農業用添加剤を含む。
【0059】
農業用添加剤を含む制御放出マトリクス系は、農業用、庭園用、芝用の化学物質の投与に対する当該技術で公知の技術により調剤できる。該系は、植物(農業、庭園、芝生等)および/または土壌の処置に使用できる。
【0060】
制御放出マトリクス系から添加剤を放出するために必要な時間は、使用されるセルロースエステルおよび添加剤に応じて変化し得る。添加剤の初期放出が一旦生じると、添加剤の放出の持続時間はまた、採用されるセルロースエステルおよび添加剤に応じて変化し得る。放出の持続時間(すなわち、実質的に全ての添加剤がマトリクスを抜けるための時間)は日単位から年単位であることができる。ある態様において、少量の可塑剤または界面活性剤を制御放出マトリクス系内に組込んで放出プロファイルを変えることができる。他の態様において、制御放出マトリクス系内に少量の残留膨潤剤が存在しても良い。
【0061】
指示薬マトリクス系の調製
コンパウンドされたセルロースエステルはまた指示薬マトリクスを形成するために使用できる。温度、pH等のための例示的な指示薬は前に議論した。
【0062】

以下の例は本発明に関する好ましい方法を説明する。しかしこれらの例は実例の目的で与えられ、そしてこのうちのいずれも本発明の範囲全体の限定ととるべきでないことを理解すべきである。
【0063】
試験方法
1.分子量を決定するためのゲル透過クロマトグラフィー(GPC)
溶離剤は、1質量%酢酸を含むN−メチルピロリドン(NMP)である。温度は40℃、流速は0.8ml/分とした。使用したカラムはPolymer Laboratories 10μmPLGel、50×7.5mmガードカラム1本、および300×7.5mmMixed B分析カラム1本であり、そして検出器は屈折率とした。25mgのポリマーを10mlのNMP+10μlのトルエンに溶解させ、そして流速マーカーを添加することによりサンプルを調製した。サンプル注入体積は20μlであった。分子量は単分散ポリスチレン標準を用いてポリスチレン当量として記録した。
【0064】
2.色分析
90/10(体積/体積)塩化メチレン/メタノール中に、固形分レベル15%でサンプルを溶解させ、次いでキャストして5mil厚フィルムを形成した。フィルムサンプルの透過率は、Perkin−Elmer Lambda 950 UV−可視分光光度計により測定し、サンプルの黄変を示す値として400nmでの透過率%の値を用いた。
【0065】
3.可塑剤および添加剤のための分析
サンプルを計量し、既知量の内部標準を混合し、そして塩化メチレン中に溶解させた。非溶媒の添加により、可塑剤および安定剤は液相に残してセルロースエステルを溶液から沈殿させた。サンプルをろ過し、そしてガスクロマトグラフィーで液体を分析した。
【0066】
4.ガスクロマトグラフィー(GC)手順
ガスクロマトグラフィーは、DB−1301(J&W) 30M×0.32mm×0.25μm分析カラムおよび炎イオン化検出器(FID)を備えるHP6890ガスクロマトグラフで行った。キャリアガスは150ml/分のヘリウム、分流、15℃/分、ランプ40℃から250℃であった。
【0067】
5.誘導結合プラズマ発光分析(ICP−OES)
この手順では、微量金属グレードHNO3中で材料を消化してサンプルを調製した。内部標準を添加し、そしてサンプルをアルゴン誘導結合プラズマ中に吸引した。プラズマはサンプル中に存在する元素を原子化および励起させる。次いで、励起状態から得られる発光を検出し、応答と既知濃度の標準の応答との比較に基づくこれらの元素の溶液中の濃度の定量化に用いた。
【0068】
6.プロファイルIR手順
プロファイル赤外分光法(Nic−Plan IR顕微鏡を組み合わせたNicolet Nexus 670分光光度計)を用いてペレット全体の添加剤の存在を定性的に検出した。ペレットサンプルをエポキシ内に包埋し、次いでミクロトームでペレットの中央から切片を得た。ペレットの縁付近、中程、および中心の3点で赤外吸収を測定した。添加剤レベルは最高値で100の値に正規化した。
【0069】
例1
可塑剤および安定剤のペレット内への導入
セルローストリアセテート(“CTA,”CA−436−80 Eastman Chemical Companyより)(300g)を、アセトン(300g)および1%tert−ブチルフェノールを含むジエチルフタレート(DEP)(150g)と32オンスガラス瓶内で混合した。該瓶を16時間回し、この時間で全ての液体がセルローストリアセテートペレット内に吸収され、そしてペレットは膨潤して瓶を満たした。ペレットを浅いパンに注ぎ入れて室温で78時間空気乾燥させた。乾燥ペレットの質量は446gであった。これにより、理論的な可塑剤量が32.8%可塑剤であるペレットが得られた。乾燥ペレットは自由流動性であり形状は元ペレットと類似していたが、若干サイズがより大きく若干形状がより不規則であった。ペレットを可塑剤分析に供し、32.36%DEPおよび0.17%tert−ブチルフェノールが与えられた。これにより可塑剤および安定剤が両者ともペレット内に導入されたことが示される。
【0070】
例2
可塑剤のペレット内への導入
セルローストリアセテート(CA−436−80 Eastman Chemical Companyより)(440g)を、アセトン(450g)およびトリフェニルホスフェート(60g)と32オンスガラス瓶内で混合した。該瓶を24時間回し、この時間で全ての液体がセルローストリアセテートペレット内に吸収され、そしてペレットは膨潤して瓶を満たした。ペレットを浅いパンに注ぎ入れて室温で空気乾燥し、続いて熱風乾燥機内で60℃で6時間乾燥させた。乾燥ペレットの質量は506gであり、目標の12%可塑剤レベルに一致する。乾燥ペレットは自由流動性であり形状は元ペレットと類似していたが、若干サイズがより大きく若干形状がより不規則であった。
【0071】
例3
UV安定剤のペレット内への導入
セルローストリアセテート(CA−436−80 Eastman Chemical Companyより)(200g)を、200gのアセトンおよび1.0gのTinuvin7 292(Cibaから入手可能なUV安定剤)および1.0gのTinuvin7 1130(Cibaから入手可能なUV吸収剤)と32オンスガラス瓶内で混合した。該瓶を15時間回し、この時間で全ての液体がセルローストリアセテートペレット内に吸収され、そしてペレットのサイズが顕著に増大した。自由流動性のペレットを浅皿内に注ぎ入れ、室温で78時間空気乾燥させた。
【0072】
例4
可塑剤および安定剤が導入された溶融加工ペレット
セルローストリアセテート(CA−436−80 Eastman Chemical Companyより)(400g)を、アセトン(300g)およびジエチルフタレート(200g)と32オンスガラス瓶内で混合した。該瓶を6時間回し、この時間でほぼ全ての液体がセルローストリアセテートペレット内に吸収され、そしてペレットは膨潤して瓶を満たした。ペレットを浅いパンに注ぎ入れて室温で24時間空気乾燥させた。乾燥ペレットの質量は600gであり、これはペレットが33%の可塑剤を含んだことを意味する。乾燥ペレットは自由流動性で形状が元ペレットと類似しており、そして若干サイズがより大きかった。導入されたペレットをAPV押出機で265℃で押出して、良好な色および光沢表面を有することが目視で観察されるストランドを形成した。
【0073】
例5
溶融加工CTA/DEP/TPP/安定剤導入ペレット
セルローストリアセテート(CA−436−80 Eastman Chemical Companyより)(500g)を、アセトン(300g)、ジエチルフタレート(48g)、トリフェニルホスフェート(48g)およびブレンド安定剤混合物(5g、ホスファイト酸化防止剤およびエポキシド化油性熱安定剤)と32オンスガラス瓶内で混合した。該瓶を12時間回し、この時間で全ての液体がセルローストリアセテートペレット内に吸収され、そしてペレットは膨潤して瓶を満たした。ペレットを浅いパンに注ぎ入れて室温で24時間空気乾燥させた。乾燥ペレットの質量は617gであった。乾燥ペレットは自由流動性で形状が元ペレットと類似しており、そして若干サイズがより大きかった。導入されたペレットをAPV押出機から265℃で押出して、良好な色および光沢表面を有するストランドを形成した。
【0074】
例6
溶融加工CTA/TPP/安定剤導入ペレット
セルローストリアセテート(CA−436−80 Eastman Chemical Companyより)(400g)を、アセトン(300g)、トリフェニルホスフェート(100g)およびブレンド安定剤混合物(2g、ホスファイト酸化防止剤およびエポキシド化油性熱安定剤)と32オンスガラス瓶内で混合した。該瓶を12時間回し、この時間で全ての液体がセルローストリアセテートペレット内に吸収され、そしてペレットは膨潤して瓶を満たした。ペレットを浅いパンに注ぎ入れて室温で24時間空気乾燥させた。乾燥ペレットの質量は617gであった。乾燥ペレットは自由流動性で形状が元ペレットと類似しており、そして若干サイズがより大きかった。次いで導入されたペレットをAPV押出機から260〜265℃で押出して、良好な色および光沢表面を有するストランドを形成した。
【0075】
例7
CTA/DEP/TPP/安定剤導入ペレットのフィルム押出
セルローストリアセテートペレット(CA−436−80 Eastman Chemical Companyより)(800g)を、アセトン(800g)、ジエチルフタレート(50g)、トリフェニルホスフェート(150g)および安定剤混合物(8g、ホスファイト酸化防止剤およびエポキシド化油性熱安定剤)の混合物に64オンスガラス瓶内で添加した。該瓶を24時間回し、この時間で全ての液体がセルローストリアセテートペレット内に吸収され、そしてペレットは膨潤して瓶をほぼ満たした。触れる程度に乾燥した自由流動性のペレットを浅いパン内に注ぎ入れて室温で24時間空気乾燥させた。次いで空気乾燥ペレットをさらにオーブン内50℃で6時間乾燥させた。乾燥ペレットは自由流動性で形状が元ペレットと類似しており、そして若干サイズがより大きかった。次いで処理されたペレットを270℃で、6インチフィルムダイを備える単軸押出機から押出した。フィルムは良好な色および透明性を有することが目視で観察された。
【0076】
例8
CTA中の可塑剤の評価
この手順においては、40gのセルローストリアセテートを30gのアセトンと30gの可塑剤との混合物に16時間暴露した。過剰な液体は排水した。次いでペレットを拭い、そして25℃で24時間乾燥させ、次いで熱風乾燥機内50℃で24時間乾燥させた。乾燥後の質量は取り込まれた可塑剤を示し、従って種々の可塑剤の親和性および拡散性を比較するために用いることができる。表1は、試験された種々の可塑剤、さらに取り込まれた可塑剤を説明する。
【0077】
【表1】

【0078】
例9
CTA中の膨潤剤の評価
この例においては、200gのセルローストリアセテートを、150gのジエチルフタレート(DEP)可塑剤および150gの膨潤剤に16時間暴露した。過剰の液体は排水した。次いでペレットを拭い、そして25℃で24時間乾燥させ、次いで熱風乾燥機内50℃で24時間乾燥させた。乾燥後の質量は取り込まれた可塑剤を示し、そして種々の膨潤剤を比較するために用いた。表2は、試験された種々の膨潤剤、さらに取り込まれた可塑剤を説明する。
【0079】
【表2】

【0080】
セルローストリアセテートに対して最も有効な膨潤剤は、アセトン、酢酸メチルおよび酢酸であった。アセトニトリルがこの実験で中程度の有効性を有した一方で、メタノール、メチルエチルケトン(MEK)および酢酸エチルは取り込まれた可塑剤に対して効果が小さかった。質量増加が5グラム未満のサンプル(これは組込まれた有効な可塑剤の3%未満に対応する)は、このセルローストリアセテート/DEP系に対する極めて劣る膨潤剤である。これらの液体の、ターキーレッドオイルおよびDEP等のあるものは、極めて粘性および粘着性でペレットに粘着する傾向があり、これにより誤った高いDEP取込み値が与えられる場合がある。膨潤剤を有さないか膨潤剤に乏しいサンプルは、適切な膨潤剤が存在しないことで添加剤の導入の不足を示した。DEPで処理されたペレットおよび膨潤剤で処理されていないペレットのプロファイルIR分析により、DEPの極めて薄い層がペレット表面上のみに存在し、ペレットの内部にはDEPが存在しないことが示された。アセトンを膨潤剤として用いたペレットもまたプロファイルIR法で試験され、これらではペレット断面を通じて可塑剤が見られた。
【0081】
例10
CTA/蛍光増白剤
セルローストリアセテート(CA−436−80 Eastman Chemical Companyより)(200g)を、200gのアセトンおよび1gのEccowhite蛍光増白剤(Eastman Chemical Companyより入手可能)と32オンスガラス瓶内で混合した。該瓶を7時間回し、この時間で全ての液体がセルローストリアセテートペレット内に吸収され、そしてペレットのサイズが顕著に増大した。次いでペレットを浅皿内に注ぎ入れて室温で空気乾燥させた。UVランプ(波長254nmまたは366nm)下でペレットは強い青色の蛍光を発した。
【0082】
例11
CTA/複合芳香剤
セルローストリアセテート(CA−436−80 Eastman Chemical Companyより入手可能)(40g)を、30gのアセトンおよび0.4gのフルーツ芳香剤濃縮物(Universal Fragrance Corporation #557921)と8オンスガラス瓶内で混合した。該瓶を16時間回し、この時間で全ての液体がセルローストリアセテートペレット内に吸収され、そしてペレットのサイズが顕著に増大した。次いでペレットを浅皿内に注ぎ入れて室温で78時間空気乾燥させた。ペレットはかすかなフルーツ香を有していた。
【0083】
例12
CTA/バニリン(芳香剤)
セルローストリアセテート(CA−436−80 Eastman Chemical Companyより入手可能)(200g)を、200gのアセトン、22gのDEP、および2.0gのバニリンと32オンスガラス瓶内で混合した。該瓶を15時間回し、この時間で全ての液体がセルローストリアセテートペレット内に吸収され、そしてペレットのサイズが顕著に増大した。次いで自由流動性のペレットを浅皿内に注ぎ入れ、室温で24時間空気乾燥させ、そして空気乾燥後これらは顕著なバニラ香を有した。次いでペレットをさらに50℃で4時間乾燥させ、この後これらはなお顕著なバニラ香を有した。
【0084】
例13
CTA/色素
セルローストリアセテート(CA−436−80 Eastman Chemical Companyより入手可能)(200g)を、200gのアセトン、20gのDEP、および0.1gのアリザリン(CAS[72−48−0],Aldrichから入手可能な33,317−4 工業グレード85%)と32オンスガラス瓶内で混合した。該瓶を15時間回し、この時間で全ての液体がセルローストリアセテートペレット内に吸収された。ペレットは、色が赤レンガ色になりサイズが顕著に増大した。自由流動性のペレットを浅皿内に注ぎ入れ、室温で24時間空気乾燥させ、次いで50℃で12時間乾燥させた。ペレットは乾燥後赤レンガ色を維持していた。アリザリン導入ペレットを酢酸でゆっくり処理したところペレットは赤レンガ色から金黄色になった。UV光(波長366nm)下で導入ペレットは赤−橙の蛍光を発した一方、酸処理した導入ペレットは黄−橙の蛍光を発した。
【0085】
例14
CTA/pH指示薬
セルローストリアセテート(CA−436−80 Eastman Chemical Companyより入手可能)(200g)を、200gのアセトンおよび2.0gのフェノールフタレインと32オンスガラス瓶内で混合した。該瓶を15時間回し、この時間で全ての液体がセルローストリアセテートペレット内に吸収され、そしてペレットのサイズが顕著に増大した。自由流動性のペレットを浅皿内に注ぎ入れて室温で24時間空気乾燥させ、次いで50℃で12時間乾燥させた。水酸化ナトリウムの0.05M溶液中に置いた際にペレットはピンクになった。次いで混合物をデカンテーションまたはろ過して指示ペレットを回収および再利用できた。
【0086】
例15
CA/イソプロパノール/DEP
セルロースアセテート(CA−320S Eastman Chemical Companyより入手可能)(14g)を、イソプロパノール(14g)およびジエチルフタレート(14g)と8オンスガラス瓶内で混合した。該瓶を16時間回し、この時間で全ての液体がセルローストリアセテートペレット内に吸収され、そしてペレットは膨潤して瓶を満たした。次いでペレットを浅いパン内に注ぎ入れて室温で24時間空気乾燥させ、次いで50℃で12時間乾燥させた。乾燥ペレットの質量は27.3gであった。これにより理論的な可塑剤量が49質量%であるペレットが得られた。乾燥ペレットは自由流動性で形状が元ペレットと類似していた。
【0087】
例16
CA/アセトン/トリアセチン
セルロースアセテート(CA−320S Eastman Chemical Companyより入手可能)(40g)を、アセトン(30g)およびトリアセチン(30g)と8オンスガラス瓶内で混合した。該瓶を16時間回し、この時間で全ての液体がセルローストリアセテートペレット内に吸収され、そしてペレットは膨潤して瓶を満たした。次いでペレットを浅いパン内に注ぎ入れて室温で24時間空気乾燥させ、次いで50℃で12時間乾燥させた。乾燥ペレットの質量は58.6gであった。これにより理論的な可塑剤量が31質量%であるペレットが得られた。乾燥ペレットは自由流動性で形状が元ペレットと類似していた。
【0088】
例17
CA/メタノール/DEP
セルロースアセテート(CA−320S,DSAC〜1.7−1.8,Eastman Chemical Companyより入手可能)(10g)を、メタノール(15g)およびジエチルフタレート(10g)と8オンスガラス瓶内で混合した。該瓶を16時間回し、この時間でペレットは完全に溶解した。これにより、メタノールは、CA−320Sに対する溶解力が大き過ぎるためにCA−320Sに対して好適な膨潤剤ではないことが示された。
【0089】
例18
処理ペレットの溶解
この手順は、処理されたセルローストリアセテートペレットを用いたドープ形成と、ドープを形成する先行技術の方法とを比較するために行った。先行技術の、セルローストリアセテートドープを形成するための実験室スケール条件においては、所望の溶媒、可塑剤、および任意の他の添加剤を含む溶液に固体セルローストリアセテートを添加する。瓶内で混合物を組合せた後、平行ローラー上で瓶を回すことにより内容物を混合する。典型的な条件下では、トリアセテート固形分は約24時間以内に溶解する。この検討では、この先行技術の手順により作製した対照のトリアセテートペレットを、膨潤剤を使用することによって可塑剤および添加剤を予め導入した処理トリアセテートペレットと比較した。
【0090】
最終溶液が90gのセルローストリアセテート(CA−436−80,Eastman Chemical Companyより入手可能)、10gのトリフェニルホスフェート、1滴(<0.05g)の青色色素(フタロシアニン系色素)、および567gの90/10(体積/体積)CH2Cl2/CH3OH(目標 固形分15%のドープ)から構成されるように対照および実験のサンプルの両者を調整した。青色色素は溶解の進行をより可視化するために溶媒に添加し、溶解への作用を見込んだものではない。
【0091】
対照サンプルAに対しては、加工されたものとしてセルローストリアセテートを用いた。実験サンプルBの手順では、予め可塑剤および安定剤を10%トリフェニルホスフェートのレベルまで導入した100.0gの処理ペレットを用いた。溶解実験の前に両ペレットサンプルを60℃で16時間乾燥させた。
【0092】
対照サンプルAに対しては、合成石英瓶内で、10gのトリフェニルホスフェートおよび1滴の青色色素を567gの90/10(体積/体積)CH2Cl2/CH3OHに溶解させた。実験サンプルBに対して、合成石英瓶内の液体は567gの90/10(体積/体積)CH2Cl2/CH3OHおよび1滴の青色色素であった。
【0093】
ペレットをこれらのそれぞれの液体の瓶に添加する量は、時間=0として規定した(図1a参照;各々の2瓶の画像において対照サンプルAは左、一方実験サンプルBは右である)。ペレットは迅速に添加し、そしてペレットを添加した後各瓶を直ちに手で振ってペレットの凝集を最小限にした。対照サンプルAにおけるペレットは凝集して瓶の側面に付着したため、サンプルAには追加で長いスパチュラでの突きおよび攪拌を行って凝集物をばらばらにすることを試みた。サンプルBのペレットは初期に分散して手動でばらばらにする必要がなかった。手で振って5分後に図1aの時間=5分での写真を撮影し、次いで、セルロースエステルドープを混合するための典型的な方法である平行ローラーに、混合のために瓶を移した。実験を通じて回すことで両方の瓶を混合し、23時間のスパンにわたって定期的に取外して溶解の進行を写真撮影した。サンプルの写真撮影のために、混合ローラーから瓶を取外して一定の照明および背景の同じ場所に置いた。各写真は約2分間撮影し、混合していないこの時間を相殺するために、ローラーから取外す際およびローラーへ戻す前にも各瓶を手で5秒間振った。
【0094】
時間=1時間で、対照サンプルAは数個のより大きい塊を有した一方、実験サンプルBは多数の分散した小さいゲルを有した(図1a)。6時間後、該ゲルのサイズは小さくなり、そしてサンプルBにおける極小ゲルは殆ど見えなくなった(図1b)。時間=9時間で、サンプルAにおけるゲルは約2cm×2cm×5cmであった一方、サンプルBにおけるゲルは本質的に溶解し、肉眼で視認できるゲルはなかった。12時間後、サンプルにおけるゲルはより透明になった。時間=24時間で、対照サンプルAにおける非溶解ゲルはほぼ溶解して約1cm3であった。時間=27時間で、サンプルAおよびBの両者は完全に溶解して、90gのCTA(CA−436−80)、10gのトリフェニルホスフェート、1滴の青色色素、および567gの90/10(体積/体積)CH2Cl2/CH3OHを含む同質な溶液となった。
【0095】
対照サンプルAは、予想通りに、そして先行技術の方法によりトリアセテートドープを形成するために典型的であるように、約27時間以内に完全に溶解した。処理された予導入ペレットは、視認できるゲルをたった9時間後で何ら示さず極めてより速く溶解した。処理されたペレットは、これらの溶媒中でのより容易な初期溶解において驚くべき改善を示し、そして、既知の条件に対し、無処理セルローストリアセテートペレットよりも顕著に速く分散状態の維持および溶解をする。この溶解改善は、紡糸、溶液キャストフィルム、コーティング等に用いられるドープの形成において有利となる。
【0096】
2つの他の溶解比較検討において、対照セルローストリアセテートペレットは15から24時間で溶解した一方、処理ペレットは9から12時間で溶解した。溶解時間は温度、固形分/溶媒比、可塑剤レベル、およびペレットの初期分散による作用を受ける可能性があるが、各々の場合で、処理された可塑剤導入ペレットは対照ペレットよりも速く溶解した。
【0097】
例19
導入セルローストリアセテートペレットの溶融紡糸
セルローストリアセテートペレット(CA−436−80 Eastman Chemical Companyより入手可能)(300g)を、67gのジエチルフタレート(DEP)、33gのトリフェニルホスフェート(TPP)、3gの独自仕様の安定剤ブレンド(ホスファイト酸化防止剤およびエポキシド化油性熱安定剤)、および300gのアセトンを有する64オンス瓶に添加した。平行電動ローラー上で瓶を回すことにより混合物をブレンドした。液体は約4時間で殆ど吸収されたが、混合物は1晩回したままにした。膨潤したペレットを25℃で空気乾燥させ、次いで、減圧オーブン内で65℃で3時間乾燥させた。紡糸直前に、ペレットを減圧オーブン内で60℃でさらに1晩乾燥させた。溶融紡糸は、実験室スケール、ギアポンプおよび16孔紡糸口金を備える溶融紡糸装置で行った。バレル温度は270℃に設定した。繊維は引出しを伴いまたは伴わずに溶融紡糸され、オフホワイトの繊維が得られた。
【0098】
例20
導入セルロースアセテートペレットの溶融紡糸
水中でペレットのスラリーに水酸化カルシウムを99ppmCaとなるまで添加することによって、セルロースアセテート(CA320S Eastman Chemical Companyより入手可能)を洗浄および再安定化した。セルロースエステルサンプル中のカルシウムのレベルは誘導結合プラズマ発光分析(ICP−OES)を用いて測定した。
【0099】
これらの再安定化されたペレット(300g)を、75gのトリアセチン(可塑剤)、3gの独自仕様の安定剤ブレンド(ホスファイト酸化防止剤およびエポキシド化油性熱安定剤)および300gのアセトンを有する64オンス瓶に添加した。該瓶を手で2分間振り、次いで瓶を平行電動ローラー上で回すことにより混合した。液体は15分間以内に完全に吸収された。瓶は1晩回したままにした。導入ペレットを環境(25℃)条件下で空気乾燥し、次いで減圧オーブン内で65℃で3時間乾燥させた。紡糸直前に、ペレットを減圧オーブン(20mmHg)内で60℃でさらに1晩乾燥させた。溶融紡糸は、実験室スケール、ギアポンプおよび16孔紡糸口金を備える溶融紡糸装置で行った。バレル温度は260℃に設定した。繊維は引出しを伴いまたは伴わずに溶融紡糸され、オフホワイトの繊維が得られた。
【0100】
例21
色素および芳香剤を有するセルロースアセテートフタレート
セルロースアセテートフタレート(40g)を、30gのエタノール、10gのイソプロピルアルコール、1gのトリアセチン、4gのシトラス芳香剤(Universal Fragrance,Co.,“Citrus Melange”)およびイエローマーカーのインク(<0.01g)の混合物を有する16オンス瓶に添加した。混合物を10分間振り、この時間で全ての液体がペレット内に吸収された。膨潤したペレットの色は淡黄色で、より半透明なペレットもあり、そしてより不透明なものもあった。瓶を開けて内容物を環境(25℃)条件にさらすことにより膨潤剤を蒸発させた。ペレットを定期的に攪拌してこれらの乾燥に伴う凝集を最小限にした。乾燥ペレットは心地良いシトラス香を有する淡黄色であった。
【0101】
例22
色素および芳香剤を有するセルロースアセテートフタレート
セルロースアセテートフタレート(40g)を、17gのエタノール、15gのイソプロピルアルコール、4gのグレープ芳香剤(“Add a Scent”ブランドの芳香剤、Darice Inc.より入手可能なキャンドル用および石鹸形成用の芳香油)および赤油性マーカーのインク(<0.01g)の混合物を有する16オンス瓶に添加した。混合物を10分間振り、この時間で全ての液体がペレット内に吸収された。膨潤したペレットの色はピンクで、より半透明なペレットもあり、そしてより不透明なものもあった。瓶を開けて内容物を環境(25℃)条件にさらすことによって膨潤剤を蒸発させた。乾燥中のペレットを定期的に攪拌して凝集を最小限にした。乾燥ペレットは心地良いフルーツ香を有するピンクであった。
【0102】
例23
膨潤剤の回収
セルローストリアセテートペレット(CA436−80S Eastman Chemical Companyから入手可能)(90g)を、80gのアセトンおよび10gのジエチルフタレートを有する16オンス瓶に添加した。瓶を1晩回した。膨潤したペレットを500mlの丸底フラスコ内に入れ、ロータリーエバポレーションユニット(Buechi Rotavapor RE121、氷水冷却凝縮器、水アスピレーター(50mmHg)および加熱浴を備える)上に置いた。加熱浴は65℃に、そしてモーターは55rpmに設定した。30分後、31.5gの膨潤剤を回収し、そして約1時間後、乾燥ペレットの質量は108.6gであった。この実験により、減圧および冷却水冷却凝縮器を用いることによってペレットの乾燥中に膨潤剤の部分的な回収を実現できることが示された。
【0103】
例24
膨潤剤の回収
セルロースアセテートペレット(CA320S Eastman Chemical Companyより入手可能)(90g)を、アセトン(100g)およびトリアセチン可塑剤(10g)と16オンス瓶内で混合し、そして瓶を平行ローラー上で回した。全ての液体が10分以内で吸収された。瓶は1晩回したままにした。膨潤したペレットを1,000ml丸底フラスコに移し、そして該フラスコをロータリーエバポレーションユニット(Buechi Rotavapor RE121、氷水冷却凝縮器、水アスピレーターおよび加熱浴を備える)上に置いた。加熱浴は55℃に、そしてモーターは55rpmに設定した。30分後、51gの膨潤剤を回収し、そして約1時間後、ペレットの質量は109.6gであった。この実験により、減圧および冷却水冷却凝縮器を用いることによってペレットの乾燥中に膨潤剤の部分的な回収が可能になることが示された。
【0104】
例25
膨潤したコンパウンドされたペレットからの膨潤剤の回収
セルローストリアセテート(800g,CA436−80S)を、1ガロン瓶内で、700gのアセトン、100gの酢酸メチル、150gのトリフェニルホスフェート(TPP)および50gのジエチルフタレート(DEP)の溶液と混合した。混合物を瓶内で1晩(約16時間)回した。膨潤したセルローストリアセテートペレットの4バッチが与えられるようにこの手順を繰り返した。膨潤剤の回収段階に対し、Buechiロータリーエバポレーションユニット上の3リットルフラスコに収まるように、膨潤したペレットを8バッチに分けた。膨潤剤は、水アスピレーターバキュームを用い、浴温度50℃、回転速度20rpm、およびバッチ当たり1時間で回収した。膨潤剤はロータリーエバポレーション装置上で1時間ペレットから揮散したが、完全には蒸発せず、1時間より長くかかることとなった。全部で2,123gの膨潤剤を回収した(理論的な全膨潤剤の66.4%)。回収した膨潤剤を、液体をガスクロマトグラフ(GC)内に直接注入してアセトンの酢酸メチルに対する比を測定すること、および膨潤剤の回収中に揮散した可塑剤の量を測定することにより分析した。回収された液体のGC分析から、92.23%アセトン(理論的には87.5%);7.74%酢酸メチル(理論的には12.5%);および3.04ppmジエチルフタレートの組成が与えられた。トリフェニルホスフェートは検出されなかった。
【0105】
GC分析により、回収された膨潤剤においてアセトンの酢酸メチルに対する比の増大があることが示された。ともにアセトンの酢酸メチルに対する正確な比に影響する可能性がある要因である溶媒揮散が厳密な捕集によりなされなかったことおよび完了まで起こらなかったことに留意すべきである。重要なことに、回収された膨潤剤において可塑剤レベルは3ppmに過ぎないジエチルフタレートと低くかつトリフェニルホスフェートが検出されなかったことは、極めて望ましく、そして可塑剤が本質的にポリマーとともに残存していることを示した。揮散した膨潤剤において可塑剤の汚染が低いことにより、ポリマー中の可塑剤レベルのより正確な予測および大規模な清浄化を必要としない膨潤剤の再利用が可能になる。
【0106】
例26
膨潤剤の回収および再利用
セルローストリアセテートペレット(CA436−80S,90g)を、90gのアセトンおよび10gのトリアセチンを有する16オンス瓶に添加した。混合物を混合用の電動平行ローラー上に置いた。殆どの膨潤剤は1時間後にポリマー内に吸収された。瓶を1晩(約14時間)回したままにした。
【0107】
膨潤したペレットを500ml丸底フラスコ内に入れ、ロータリーエバポレーションユニット(Buechi Rotavapor RE121、氷水冷却凝縮器、水アスピレーターおよび加熱浴を備える)上に置いた。加熱浴は55℃に、そしてモーターは55rpmに設定した。30分後、53gの膨潤剤を回収し、そしてペレットの質量は107.3gであった。可塑剤分析は9.8%のトリアセチンを示した。
【0108】
8オンス瓶内で、50gの回収されたアセトンを5gのトリアセチン可塑剤と混合した。この混合物に45gのセルローストリアセテートペレット(CA436−80S)を添加して混合物を瓶内で回して混合した。殆どの膨潤剤は1時間後にポリマー内に吸収された。瓶を1晩、約14時間回したままにした。膨潤したペレットを500ml丸底フラスコ内に入れ、ロータリーエバポレーションユニット(Buechi Rotavapor RE121、氷水冷却凝縮器、水アスピレーターおよび加熱浴を備える)上に置いた。加熱浴は55℃に、そしてモーターは55rpmに設定した。30分後、21gのアセトンを回収し、そしてペレットの質量は52.4gであった。可塑剤分析は10.2%のトリアセチンを示した。
【0109】
この実験は、膨潤剤が回収できること、およびこの回収された膨潤剤はポリマーおよび添加剤の新たなバッチとともに使用するために膨潤剤として再利用できることを示した。膨潤剤の回収および再利用により、添加剤をポリマー内に導入するための膨潤方法の経費が低減される。
【0110】
例27
ロータリーエバポレーションユニット上でともに行う混合および膨潤剤回収
500ml丸底フラスコ内で、60gのアセトン、8gのジエチルフタレート(DEP)および72gのセルローストリアセテート(CA436−80S,Eastman Chemical Companyより入手可能)を混合し、そして該フラスコをロータリーエバポレーションユニット(Buechi Rotavapor RE121)上に置いた。実験の混合段階において、水浴の上で減圧なしでフラスコを回転させるように該ユニットをまず設定した。該ユニットを160rpmで5分間に設定した後、80rpm10分間に下げ、そして最後に60rpm15分間に下げた。30分間の混合後、ペレットは膨潤してゴム状態となり、次いでフラスコを55℃浴内に下ろして、なお大気圧でさらに30分間混合した。全混合時間1時間の後、バキュームを作動させて実験の蒸発段階を開始した。水浴は55℃に設定し、回転は60rpmに設定し、水アスピレーターバキュームおよび水冷却凝縮器を適用した。約30分後、回収されたアセトンの質量は26.5gであり、そして約2時間後、セルローストリアセテートペレットの質量は82.7gであった。可塑剤分析は10.0%のDEPを示した。
【0111】
例28
蒸留フラスコ内でともに行う混合および膨潤剤回収
1000mlの3首丸底フラスコに電動攪拌羽根、加熱マントル、および水冷却蒸留凝縮器を取り付けた。このフラスコで、90gのアセトン、6gのトリフェニルホスフェート(TPP)、6gのトリアセチンおよび88gのセルローストリアセテート(CA436−80S,Eastman Chemical Companyより入手可能)を混合した。混合物を40分間攪拌し、この時間で大部分の液体がセルローストリアセテートペレット内に吸収され、そして該ペレットは凝集しなかった。次いで加熱マントルを低温(約40℃)で作動させ、そして混合物をさらに20分間攪拌して導入段階を完了させた。この時間で、全てのフリーな液体がペレット内に吸収され、そしてペレットは触れる程度に乾燥し、ゴム状態であり、かつ攪拌が自由な状態であった。膨潤剤蒸発段階を開始するために、攪拌を継続し、加熱を約55℃に上昇させ、減圧バルブを開け、そして蒸留受入れフラスコをドライアイス中に埋めた。膨潤したペレットから膨潤剤が徐々に蒸留除去され、そして2時間後、回収されたアセトンの質量は54.8gであった。加熱および減圧を伴う追加の約1時間後、セルローストリアセテートペレットの質量は100.7gであった。可塑剤分析は6.2%のトリアセチンおよび6.0%のTPPを示した。
【0112】
例29
種々のセルロースエステルに対する膨潤剤のスクリーニング
このスクリーニング検討では、全てEastman Chemical Companyより入手可能な3つの異なるセルロースエステル、セルロースアセテート(CA398−30)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP141−20)およびセルロースアセテートブチレート(CAB 171−15)を、これらの粉末市販形状で用いた。対象の膨潤剤は、一連のアルコールおよびエステルを含んでいた。対象のセルロースエステル(20g)を、20gの対象の膨潤剤に加え2gのジエチルフタレートを代表的な可塑剤として有する4オンス瓶(CAP141−20に対しては8オンス)に添加した。次いで瓶を室温で回して成分を混合した。膨潤剤とポリマーとの相互作用が観察された。好適な膨潤剤に対する望ましい挙動は、ポリマーを溶解させることなくポリマーを膨潤および軟化させて、添加剤のポリマーマトリクス内への拡散を促進し、そしてポリマーの形態および形状を同様に維持することである。サンプルは16時間後および5日後に観察した。観察は以下の表3に纏めている。膨潤剤への暴露後の体積を測定して膨潤の目安を得た。強過ぎる膨潤剤は部分的な溶解によって体積を減少させる傾向がある。望ましい膨潤はまた、暴露後のポリマーの硬度および外観により示される。体積が増大したがポリマーが硬さおよび粗さを維持する場合、膨潤剤は弱過ぎて良好な対象ではない。溶解性であり過ぎるかまたは弱過ぎる膨潤剤のブレンド物はまた好適な膨潤対象である場合がある。セルロースアセテートCA398−30に対しては、最良の対象はメタノールおよびプロピルアセテートであった。CAP141−20およびCAB171−15に対しては、ブチルアセテートが最良の膨潤および軟化を与えた。ブチルアセテートまたは少量のより弱い溶媒アルコールのいずれかとブレンドされたブチルアセテートは、見込みがある膨潤対象である。
【0113】
【表3】

【0114】
【表4】

【0115】
例30
比較例
セルロースアセテート(表4で特定される種類のもの100g)を、5.0gのグリセロールおよび水または表4に示される膨潤剤の混合物を有する16オンス瓶内に攪拌した。CA398−30サンプルは、これらの嵩密度が低いために32オンス瓶内で混合した。対照サンプルではグリセロールに対して140gの水を担体として用いたが、比較サンプルは、セルロースアセテートの膨潤およびグリセロールとの混和性を与える膨潤剤を使用した。混合物はこれらのそれぞれの瓶内で1晩(約16時間)、転動型の混合を与える平行電動ローラー上で回した。各サンプルで、フリーな液体は全て排水し、そしてこの吸収されなかった液体の質量を測定した。残りの固形分を紙タオルで30秒間拭って表面の液体を全て除去し、次いで、浅いパン内に広げて25℃で6時間乾燥させた。25℃での乾燥に続き、サンプルを24時間50℃減圧下で乾燥させた。10.0gのグリセロールを入れたビーカーをサンプルとともに減圧オーブン内に置き、そして50℃減圧下、24時間後のこのグリセロールの質量はなお10.0gであった。この、ビーカー内でグリセロールの蒸発がなかったことから、サンプルからのグリセロールの損失の原因が乾燥ステップ自体ではないことが示された。質量が理論上の最大値105gに及ばないサンプルは、暴露ステップ中に、使用可能な5gのグリセロールの全部が組み入まれてはいないものとして説明できる。
【0116】
各サンプルに対して得られる乾燥質量および可塑剤分析により検出されるグリセロール%を表4に説明する。各種のセルロースアセテートに対し、キャリアとして水を使用するサンプルはグリセロールの吸収が最も低かった一方、既定種のセルロースアセテートに合う良好な膨潤剤である膨潤剤を使用するサンプルではグリセロール吸収がより高かった。水サンプル中のフリーの液体が多くかつ質量増加が無視できることは、これらのサンプルにおいてグリセロールがより表在性であったことを示す。膨潤法では、添加剤が粒子内に浸透するためこれらは容易には洗浄されずまたは拭い去られなかった。サンプルB,HおよびNは、乾燥後にも幾らかの残留膨潤剤を維持していると思われた。残留膨潤剤を最小限にするためには、より揮発性の膨潤剤の選択またはより高い乾燥温度を用いることができる。
【0117】
【表5】

【0118】
例31
比較例
サンプルA,C,EおよびGに対しては、セルロースアセテート(表5に示す種類のもの100g)を、30gのトリアセチン、10gのカンファーおよび165gのベンゼンの溶液と32オンス瓶内で混合した。混合物を1晩、約16時間回し、次いで過剰の液体を全てデカンテーションで除き、そして質量を記録した。残留している湿った固形分を環境(25℃)条件に開放して48時間立てて乾燥させた。
【0119】
比較サンプルB,D,F,およびHに対し、セルロースアセテート(表5に示す種類のもの100g)を、30gのトリアセチンおよび10gのカンファーが表5に示す膨潤剤中に溶解された溶液と32オンス瓶内で混合した。混合物を1晩、約16時間回し、次いでフリーの液体を全てデカンテーションで除き、そしてこれらの各々の質量を記録した。残留している固形分を環境(25℃)条件に開放して48時間立てて乾燥させた。
【0120】
比較例の各々の対のうち、ベンゼン、非膨潤剤、を用いるサンプルの質量増加はより小さかった。代わりに肝心のセルロースアセテートを膨潤させる膨潤剤を用いて、可塑剤のより高い吸収を実現できる。さらに、暴露時間中にセルロースエステル内に完全に吸収される膨潤剤の種類および量を選択することにより、過剰の液体を排水する処理ステップをなくすことができる。粉末化されたCA398−30(サンプルC)は全てのベンゼン液体を吸収したが、粉末は硬度および粗さを維持し、このことにより、液体吸収が主に粉末化サンプル形状の物理的効果であり、従って可塑剤の吸収がより表在性であることが予期されることが示された。乾燥で、サンプルCは不均一で皮殻様の領域および粉末状の領域を有した。可塑剤分析により、異なる可塑剤%値をもたらす(表5におけるエントリーC)同一サンプルにより異なって支配される可塑剤の不均一な分布も示された。サンプルFにおいて用いられたセルロースアセテートは同様のアセチルレベルを有するがより低い表面積のフレーク形状を有し、ベンゼンをDS2.4から2.5の範囲のセルロースアセテートとともに用いたときのこの膨潤不足および乏しい可塑剤吸収を強く示す。
【0121】
表5に示される一連のサンプルに対し、可塑剤レベルは比較的高い(100gのCAに対して40g)ため、可塑剤の溶解特性は、溶媒/添加剤または膨潤剤/添加剤溶液の膨潤効果に寄与すると予期される。このことは、100gのCA398−30に対して表4中のサンプルEを表5中のサンプルDと比較することにより明らかである。5gの比較的相溶性が乏しいグリセロール、140gの60/40メタノール/酢酸エチルは良好に作用してセルロースアセテートを膨潤させた。しかし、可塑剤が30gのトリアセチンおよび10gのカンファーに変更された場合、これはより高いレベルのより溶媒性の可塑剤ブレンド物であり、70/30メタノール/酢酸エチルでもCA398−30を部分的に溶解させる混合物を形成した。従って、40gのより相溶性の可塑剤に対しては、100%メタノールへの変更により混合物がCA−398−30に対するより適切な膨潤ブレンド物となった。
【0122】
【表6】

【0123】
例32
比較例
サンプルIA. アセトン溶解性のセルロースアセテート(CA394−60,50g)を、半ガロン瓶内の1,000gの水に入れてスラリーにし、そして加熱庫内で60℃で1時間回した。スラリーに対し、25gのジメチルフタレート(DMP)および5gのトリフェニルホスフェート(TPP)を添加した。固体TPP(mp=48℃)を、加熱混合物に添加してから数秒以内に溶融および分散させた。瓶を60℃でさらに5時間回すことによりスラリーの攪拌を継続した。フリット漏斗を用いて吸引してろ過することにより固形分を分離した。固形分を漏斗上で1時間乾燥し、次いで浅いパン内に広げて1晩25℃で乾燥させ、そして最後に減圧(約25mmHg)オーブン内で50℃で24時間乾燥させた。デカンテーションされた液体は若干グリース状の触感を有した。乾燥されたセルロースアセテートの質量(理論的な最大値は80g)を表6に記す。
【0124】
サンプルIB. アセトン溶解性のセルロースアセテート(CA394−60,50g)を、20gのメタノール、5gの酢酸エチル,25gのジメチルフタレート(DMP)、および5gのトリフェニルホスフェート(TPP)の溶液を有する8オンス瓶内に混合した。瓶を平行電動ローラー上で回して内容物を5時間25℃で混合した。セルロースアセテート粒子は部分的に融合して塊になったが、容易にばらばらにして粒状の膨潤、軟化した粒子にすることができた。粒状固形分を浅いパン内に広げて1晩25℃で乾燥させ、次いで減圧(約25mmHg)オーブン内で50℃で24時間乾燥させた。乾燥させたセルロースアセテートの質量(理論的な最大値は80g)を表6に記す。
【0125】
サンプルIC. アセトン溶解性のセルロースアセテート(CA394−60,50g)を、30gのメタノール、25gのジメチルフタレート(DMP)、および5gのトリフェニルホスフェート(TPP)の溶液を有する8オンス瓶内に混合した。瓶を平行電動ローラー上で回して内容物を5時間25℃で混合した。この時間で、全ての液体が吸収され、そしてセルロースアセテート粒子が部分的に融合したが、容易にばらばらにして粒状の膨潤、軟化した粒子とすることができた。固形分を浅いパン内に広げて1晩25℃で乾燥させ、次いで減圧(約25mmHg)オーブン内で50℃で24時間乾燥させた。乾燥させたセルロースアセテートの質量(理論的な最大値は80g)を表6に記す。
【0126】
サンプル2A. アセトン非溶解性セルローストリアセテート(CA436−80S,50g)を、半ガロン瓶内の1,000gの水に混合し、そして室温で1時間回し、次いで加熱庫内で温度を60℃まで上げて30分間回した。スラリーに対し、10gのN−エチル−p−トルエンスルホンアミド(ETS)、5gのジメチルフタレート(DMP)、5gのトリフェニルホスフェート(TPP)、および0.3gのアリザリン(CAS[72−48−0],Aldrich 33,317−4 工業グレード 85%)を添加した。スラリーを加熱(60℃)しながら8時間回した。フリット漏斗を用いて吸引してろ過することにより固形分を分離し、漏斗上で1時間乾燥し、浅いパン内に広げて1晩25℃で乾燥させ、そして最終的に減圧(約25mmHg)オーブン内で50℃で24時間乾燥させた。セルローストリアセテートは膨潤していないように思われ、かつ斑状の錆黄色の外観を有した。デカンテーションされた液体は若干グリース状の触感を有した。乾燥されたセルロースアセテートの質量(理論的な最大値は70g)を表6に記す。
【0127】
サンプル2B. アセトン非溶解性セルローストリアセテート(CA436−80S,50g)を、40gのアセトン、10gのN−エチル−p−トルエンスルホンアミド(ETS)、5gのジメチルフタレート(DMP)、5gのトリフェニルホスフェート(TPP)、および0.3gのアリザリンの溶液中に混合した。瓶を平行電動ローラー上で回して内容物を5時間25℃で混合した。全ての液体は吸収され、均一なさび色を有する膨潤したゴム状態のペレットを形成した。固形分を浅いパン内に広げて1晩25℃で乾燥させ、次いで減圧(約25mmHg)オーブン内で50℃で24時間乾燥させた。乾燥されたセルロースアセテートの質量(理論的な最大値は70g)を表6に記す。
【0128】
サンプル3A. アセトン非溶解性セルローストリアセテート(CA436−80S,50g)を、半ガロン瓶内の1,000gの水に混合し、そして室温で1時間回し、次いで30分間加熱庫内で温度を60℃まで上げて回した。スラリーに対し、10gのN−エチル−p−トルエンスルホンアミド(ETS)、5gのジメチルフタレート(DMP)、および5gのトリフェニルホスフェート(TPP)を添加した。スラリーを60℃に加熱しながら8時間回した。フリット漏斗を用いて吸引してろ過することにより固形分を分離した。セルローストリアセテートは膨潤していないように思われ、そしてデカンテーションされた液体は若干グリース状の触感を有した。固形分を漏斗上で1時間乾燥させ、次いで浅いパン内に広げて25℃で1晩乾燥させ、そして最後に減圧(約25mmHg)オーブン内で50℃で24時間乾燥させた。乾燥されたセルロースアセテートの質量(理論的な最大値は70g)を表6に記す。
【0129】
サンプル3B. アセトン非溶解性セルローストリアセテート(CA436−80S,50g)を、40gのアセトン、10gのN−エチル−p−トルエンスルホンアミド(ETS)、5gのジメチルフタレート(DMP)および5gのトリフェニルホスフェート(TPP)の溶液内に混合した。この混合物を有する瓶を平行電動ローラー上で回して内容物を5時間25℃で混合した。全ての液体が吸収され、膨潤したゴム状態の触れる程度に乾燥したペレットを形成した。乾燥されたセルロースアセテートの質量(理論的な最大値は70g)を表6に記す。
【0130】
各比較群に対し、水スラリーを用いるサンプルは、組込まれた可塑剤による小さい質量増加のみ示した。水法はセルローストリアセテートに対してよりもアセトン溶解性CA394−60に対してより効果的であるが、両者ともなお、セルロースアセテートに合う膨潤剤を用いたこれらの比較の対応物には及ばなかった。デカンテーションされた水は、水相内の可塑剤の存在を示すグリース状の触感を有した。水スラリー法は、作業および回収すべき大量の可塑剤汚染水を生成するという欠点を有した。さらに、水相とセルロースアセテートとに分離した可塑剤では、セルロースエステル中の目標の可塑剤レベルを実現することが困難であった。これに代えて、全ての液体が吸収されるようにする量で膨潤剤を用いることにより、可塑剤の充填量を添加量によって単純に決定できる。膨潤法を用い、同じかより短い接触時間でセルロースアセテート内により多くの可塑剤を組込むことができる。
【0131】
【表7】

【0132】
例33
比較例
サンプル1A,2Aおよび3Aに対し、セルロースアセテート(表7に示す種類のもの100g)を、1,800gの水、0.5gのターキーレッドオイル(スルホン化ヒマシ油のナトリウム塩,水分散性油および界面活性剤,Sigma Aldrichより得たもの)および0.5gのキシレンを入れたガロン瓶内でスラリーにした。瓶を1時間25℃で回した後、50gのジメチルフタレート(DMP)および10gのトリフェニルホスフェート (TPP)をスラリーに添加し、そして瓶を加熱庫内のローラーに移して60℃で60分間回した。粗いフリット漏斗およびバキュームを用い、ろ過により固形分をスラリーから分離した。固形分を浅いパン内に広げて25℃で1晩(約16時間)、次いで減圧オーブン内で50℃で24時間乾燥させた。
【0133】
比較サンプル1B,2B,および3Bに対し、セルロースアセテート(表7に示す種類のもの100g)を、表7に示される膨潤剤中に溶解した50gのジメチルフタレート(DMP)および10gのトリフェニルホスフェート(TPP)を有する16オンス瓶(1Bに対しては32オンス瓶)内に攪拌した。電動平行ローラー上で室温(25℃)で5時間回すことにより混合物を混合した。設計では、固形分からろ過除去すべき液体は存在しなかった。固形分を浅いパン内に広げて25℃で1晩約16時間乾燥させ、次いで減圧オーブン内で50℃で24時間乾燥させた。
【0134】
各々の比較の対に対して、水/キシレン/ターキーレッドオイル混合物を可塑剤キャリアとして用いるサンプルは、無視できる質量増加を示し、そして添加剤分析によっては可塑剤を検出できなかった。一方、セルロースアセテートおよび添加剤に合う膨潤剤を用いた各比較サンプルは、良好な膨潤、良好な液体取込み、および顕著な質量増加を示した。可塑剤のこの量(全体で60g)は100g量のセルロースアセテートに対して比較的大きい(セルロースアセテートに対する典型的な可塑剤充填量は10〜30%)が、各種類のセルロースアセテートに対して適切な膨潤剤を用いることにより、60グラムの可塑剤のほぼ定量的な取込みを実現できた。セルロースアセテートおよび該セルロースアセテートに対して適切な膨潤作用を有する膨潤剤との良好な相溶性を有する可塑剤の組合せによって、可塑剤のこの高い取込みが可能になる。水を用いる例は、相溶性の可塑剤単独では良好な可塑剤吸収を実現するのに十分でないことを示す。
【0135】
【表8】

【0136】
例34
溶融押出セルローストリアセテートフィルム
1.溶融コンパウンドされたペレット/溶融キャストフィルム
セルローストリアセテート(CA436−80S)を、290℃で、トリフェニルホスフェート(TPP)、ジエチルフタレート(DEP)およびエポキシ系熱安定剤と溶融コンパウンドし、80部のセルローストリアセテート、15部のTPP、5部のDEP、および1部の安定剤を含むコンパウンドされたペレットを得た。可塑剤分析は、14.2%のTPPおよび4.8%のDEPを示した。該ペレットを溶融キャストフィルム用の原料として用いた。該フィルムは、6インチフィルムダイを備えバレル設定温度が280℃である1インチKillionフィルム押出機で押出した。
【0137】
2.非熱コンパウンドされたペレット/溶融キャストフィルム
セルローストリアセテート(800g,CA436−80S)を、700gのアセトン、100gの酢酸メチル,150gのトリフェニルホスフェート(TPP),50gのジエチルフタレート(DEP)、および10gのエポキシ系熱安定剤の溶液と混合した。混合物をガロン瓶内で1晩回し、その後大部分の揮発性物質をロータリーエバポレーションユニット(Buechi Rotavapor RE121)により除去した。85℃で1晩のさらなる乾燥により、80部のセルローストリアセテート、15部のTPP、5部のDEP、および1部の安定剤を含むコンパウンドペレットが得られた。可塑剤分析は、14.7%のTPPおよび5.1%のDEPを示した。該ペレットを溶融キャストフィルム用の原料として用いた。該フィルムは、6インチフィルムダイを備えバレル設定温度が280℃である1インチKillionフィルム押出機で押出した。
【0138】
分子量は、ゲル透過クロマトグラフィ(GPC)により、N−メチルピロリドン(NMP)溶離液中で、対ポリスチレン標準で測定した。元のセルローストリアセテートに対する値、2種のコンパウンドペレット、および各種類のペレットによる溶融キャストフィルムを比較した(表8)。質量損失の相違から、非熱膨潤コンパウンドが与える少ない熱履歴の1つの利点が示された。5mil厚のフィルムは同じサンプルからの溶媒キャストであった。フィルムに対する400nmでの透過率値パーセントを表8に列挙する。元のセルローストリアセテートと比較した透過率の損失から、従来の溶融コンパウンドに対する膨潤コンパウンドの色の利点が示された。可塑剤が導入されたセルローストリアセテートは、溶融キャストフィルムに対して有望な原料であり、包装フィルム、接着テープ用およびシート用のバッキング、膜、および光学フィルム等の用途に対して有用となる。
【0139】
【表9】

【図面の簡単な説明】
【0140】
【図1】図1は、対照サンプルを本発明のサンプルと27時間にわたって比較する一連の写真である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンパウンドされたセルロースエステルを形成する方法であって、
セルロースエステル、初期量の添加剤、および膨潤剤を組合せて混合物を得ること、ならびに
コンパウンドされたセルロースエステルを形成するために前記膨潤剤の少なくとも一部を前記混合物から除去すること、
を含み、
前記コンパウンドされたセルロースエステルが前記添加剤の前記初期量の少なくとも92質量%を含む、方法。
【請求項2】
前記セルロースエステルがセルロースのC1−C20エステルを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記セルロースエステルが、セルロースアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートフタレート、セルロースアセテートブチレート、セルロースブチレート、セルローストリブチレート、セルロースプロピオネート、セルローストリプロピオネート、セルロースアセテートプロピオネート、カルボキシメチルセルロースアセテート、カルボキシメチルセルロースアセテートプロピオネート、カルボキシメチルセルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートブチレートサクシネート、およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記添加剤が、可塑剤、熱安定剤、酸化防止剤、UV安定剤、酸安定剤、酸捕捉剤、色素、顔料、芳香剤、蛍光増白剤、難燃剤、農薬、生物活性化合物、指示薬、およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記膨潤剤が、ケトン、エステル、アルコール、エーテル、カルボン酸、テトラヒドロフラン、超臨界流体、およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記膨潤剤が、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、酢酸メチル、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、酢酸、超臨界二酸化炭素、およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記セルロースエステルが初期重量平均分子量を有し、かつ前記コンパウンドされたセルロースエステルが最終重量平均分子量を有するセルロースエステルを含み、前記最終重量平均分子量が初期重量平均分子量の少なくとも約73%である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
厚み約5milの前記コンパウンドされたセルロースエステルの層の透過パーセントが、波長約400nmの光で少なくとも約85%である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記除去ステップが、前記膨潤剤の少なくとも約95質量%を除去することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記コンパウンドされたセルロースエステルを成形品に形成することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記成形品が、フィルム、繊維、徐放性マトリクス、および指示薬マトリクスからなる群から選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記成形品がフィルムを含み、かつ前記形成することが、前記コンパウンドされたセルロースエステルを溶融加工してフィルムを形成することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記溶融加工が押出しプロセスを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記形成することが、前記コンパウンドされたセルロースエステルを射出成形プロセスに供して該成形品を形成することを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
コンパウンドされたセルロースエステルを形成する方法であって、
セルロースエステル、初期量の添加剤、および膨潤剤を組合せて混合物を得ること、ならびに
コンパウンドされたセルロースエステルを形成するために前記膨潤剤の少なくとも一部を前記混合物から除去すること、
を含み、前記膨潤剤が水、ベンゼン、スルホン化ヒマシ油、ベンゼン、キシレン、トルエン、モノポール油、松根油、スルホン化松根油、シクロヘキサノール、シクロヘキサノン、ジアセチン、およびテトラリンからなる群から選択される含有成分を約10質量%未満含み、前記質量パーセントは、100質量%とされる膨潤剤全質量を基にしている、方法。
【請求項16】
前記セルロースエステルが、セルロースのC1−C20エステルを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記セルロースエステルが、セルロースアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートフタレート、セルロースアセテートブチレート、セルロースブチレート、セルローストリブチレート、セルロースプロピオネート、セルローストリプロピオネート、セルロースアセテートプロピオネート、カルボキシメチルセルロースアセテート、カルボキシメチルセルロースアセテートプロピオネート、カルボキシメチルセルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートブチレートサクシネート、およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記添加剤が、可塑剤、熱安定剤、酸化防止剤、UV安定剤、酸安定剤、酸捕捉剤、色素、顔料、芳香剤、蛍光増白剤、難燃剤、農薬、生物活性化合物、指示薬、およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記膨潤剤が、ケトン、エステル、アルコール、エーテル、カルボン酸、テトラヒドロフラン、超臨界流体、およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記膨潤剤が、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、酢酸メチル、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、酢酸、超臨界二酸化炭素、およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記セルロースエステルが初期重量平均分子量を有し、かつ前記コンパウンドされたセルロースエステルが最終重量平均分子量を有するセルロースエステルを含み、前記最終重量平均分子量が初期重量平均分子量の少なくとも約73%である、請求項15に記載の方法。
【請求項22】
厚み約5milの前記コンパウンドされたセルロースエステルの層の透過パーセントが、波長約400nmの光で少なくとも約85%である、請求項15に記載の方法。
【請求項23】
前記除去ステップが、前記膨潤剤の少なくとも約90質量%を除去することを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項24】
前記コンパウンドされたセルロースエステルを成形品に形成することをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項25】
前記成形品が、フィルム、繊維、徐放性マトリクス、および指示薬マトリクスからなる群から選択される、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記成形品がフィルムを含み、かつ前記形成することが、前記コンパウンドされたセルロースエステルを溶融加工してフィルムを形成することを含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記溶融加工が押出しプロセスを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記形成することが、前記コンパウンドされたセルロースエステルを射出成形プロセスに供して該成形品を形成することを含む、請求項24に記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2008−542473(P2008−542473A)
【公表日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−513679(P2008−513679)
【出願日】平成18年5月24日(2006.5.24)
【国際出願番号】PCT/US2006/020116
【国際公開番号】WO2006/127830
【国際公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【出願人】(594055158)イーストマン ケミカル カンパニー (391)
【Fターム(参考)】