説明

ポリマー性グリシジルエーテル反応性希釈剤

(a)少なくとも1種の熱硬化性樹脂、(b)少なくとも1種のポリマー性グリシジル反応性希釈剤及び(c)硬化剤を含む熱硬化性樹脂組成物;この熱硬化性樹脂組成物の製造プロセス;硬化したこの熱硬化性組成物を含む硬化生成物並びに(I)(a)少なくとも1種の熱硬化性樹脂、(b)少なくとも1種のポリマー性グリシジル反応性希釈剤及び(c)硬化剤を混合し、そして(II)工程(I)の混合物を硬化させることを含む硬化樹脂熱硬化生成物の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1種のポリマー性グリシジルエーテル反応性希釈剤(polymeric glycidyl ethers reactive diluent)を含む熱硬化性樹脂組成物及びこの硬化した熱硬化性組成物から作られた硬化生成物に関する。
【背景技術】
【0002】
脂肪アルコールの単官能性グリシジルエーテル(MGE)は、周知のエポキシ樹脂用の反応性希釈剤である。それらのエポキシ官能性のために、エポキシ化された、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)及びポリブチレングリコール(PBG)のようなポリアルキレングリコール(PAG)は、異なった目的、例えば繊維用糊付け剤、エポキシ樹脂用柔軟剤、電着性塗料用成分及びポリオールの合成用原材料のための特定のグリシジルエーテルとして知られている。モノアルキル化ポリアルキルグリコール(PAG)からのグリシジルエーテル(GE)も、例えば種々の組成物用の添加剤として知られている。これらのPAGから誘導されたGEは、PGEの典型的な例である。
【0003】
公知のPGEは、良好(good)〜相当の(fair)水溶性又は少なくとも適切な分散性を示す。しかしながら、同時に、PGEは、エポキシ樹脂との分子相互作用における多くの酸素エーテル官能性のために、限定されたカッティング・パワー(cutting power)を有するに過ぎない。
【0004】
モノマー性構造を有する幾つかのGEは公知の化合物であり、例えば非特許文献1に開示されているような種々の用途に使用されている。モノマー性構造を有するGEのために一般的に確保されている用途において使用するために、ポリマー性構造を有するGEを提供することが望ましい。
【0005】
僅かな限定された数の公知のポリマー単官能性GEが存在する。例えば特許文献1には、C6−C12 0−7 EO−MGEから誘導されたラジカルが開示されている。C6−C12 0−7 EO−MGEは、デンプン用の変性剤として使用される。特許文献2には、例えば同じ目的のためのC12−3EO−MGEが開示されている。
【0006】
産業界で入手可能なGE、例えばUPPC AGから市販されているC12/C14−MGE(Polypox R24)よりも良い又はこれに匹敵するカッティング・パワー(即ち、GEをLERの中にブレンドすることにより、液体エポキシ樹脂(LER)の粘度を低下させる能力、所定の最終粘度のために必要なGEの量が低いほど、このようなGEのカッティング・パワーは良い)を有するポリマー性GEについての、産業界におけるニーズが存在している。更にまた、改良された、又は匹敵する、表面外観を有するポリマー性GEについての、産業界におけるニーズが存在している。更に、その有利な特性の他のもの、例えばTg、靱性、湿潤特性、耐薬品性、耐水膨潤性及び延長された可使時間において低下を示さない、改良されたポリマー性GEを提供するための、産業界におけるニーズが存在している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際特許出願公開第WO2005058971号公報
【特許文献2】欧州特許出願公開第EP1191039号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Lee,H.及びNeville,K.、Handbook of Epoxy Resins、McGraw-Hill Book Company、ニューヨーク、1967年刊
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、耐薬品性、表面外観及び靱性のような他の特性を劇的に低下させることなく、湿潤又は柔軟性のような特性の改良を有する、公知の標準的なGE、例えばC12/C14−MGEに匹敵するカッティング・パワーを有する、熱硬化性樹脂、例えばエポキシ樹脂用の反応性希釈剤として、ポリマー性GEを提供することが望まれる。
【0010】
また、ポリマー性グリシジルエーテル(ここで、このようなポリマー性グリシジルエーテルは熱硬化性樹脂、例えばエポキシ樹脂用の反応性希釈剤として使用することができる)を、良好な収率で製造するためのプロセスを提供することが望まれるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、ポリマー性MGE、例えば熱硬化性樹脂用の古典的な反応性希釈剤に類似の、脂肪アルコールのC12/C14−脂肪アルコール、エトキシル化MGEを利用する。
【0012】
本発明の一つの面は、(a)少なくとも1種の熱硬化性樹脂、(b)少なくとも1種のポリマー性グリシジル反応性希釈剤及び(c)硬化剤を含む熱硬化性樹脂組成物に関する。
【0013】
一つの態様において、この熱硬化性組成物は、少なくとも1種のエポキシ樹脂であってよい。別の態様において、少なくとも1種のポリマー性グリシジル反応性希釈剤はエトキシル化アルコールのモノグリシジルエーテルであってよい。
【0014】
本発明の別の面は上記の熱硬化性樹脂組成物の製造プロセスに関する。
【0015】
本発明の更に別の面は、硬化した上記熱硬化性組成物を含む硬化生成物に関する。
【0016】
本発明の更に別の面は、
(I)(a)少なくとも1種の熱硬化性樹脂、(b)少なくとも1種のポリマー性グリシジル反応性希釈剤及び(c)硬化剤を混合し、そして
(II)工程(I)の混合物を上昇した温度で硬化させる
工程を含む硬化樹脂熱硬化生成物の製造プロセスに関する。
【発明の効果】
【0017】
驚くべきことに、本発明の化合物は、その中で、樹脂状成分(成分(a))が、本発明のポリマー性GE生成物の1種によって希釈されている硬化されたエポキシ系の耐水膨潤性試験によって示されるように、或る量の増強された水溶解度と共に、良好なカッティング・パワーを示すことが見出された。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本発明を例示する目的のために、以下の図面が提供される。
【図1】図1は、比較組成物中に使用された先行技術のGE(樹脂I)と比較された、本発明の組成物中に使用されたポリマー性GE(樹脂II)の、異なった温度でのカッティング・パワーの結果を示すグラフ表示である。
【図2】図2は、比較組成物の硬化樹脂系(樹脂I)の耐薬品性試験の結果を示す、8軸を有する八角形スパイダーウェブグラフの形でのグラフ表示である。
【図3】図3は、本発明の硬化樹脂系(樹脂II)の耐薬品性試験の結果を示す、8軸を有する八角形スパイダーウェブグラフの形でのグラフ表示である。
【図4】図4は、比較硬化系(樹脂I)と比較した、本発明の硬化樹脂系(樹脂II)の耐水膨潤性を示す棒図表の形でのグラフ表示である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
その最も広い範囲で、本発明は、反応性希釈剤としてポリマー性グリシジルエーテルを利用する熱硬化性樹脂組成物に関する。従って、この熱硬化性樹脂組成物、系又は配合物は、(a)少なくとも1種の熱硬化性樹脂、例えばエポキシ樹脂、(b)少なくとも1種のポリマー性グリシジル反応性希釈剤、例えば少なくとも1種のアルコキシル化アルコール−MGE及び(c)硬化剤、例えばアミン硬化剤を含んでなる熱硬化性樹脂組成物の組合せを含む。
【0020】
本発明のグリシジルエーテルポリマー性希釈剤生成物は、硬化させることができる熱硬化性樹脂組成物を提供し、得られる硬化系は、興味深い特性、例えば表面外観向上、改良された軟化特性及び改良された湿潤特性を示す。
【0021】
本発明のポリマー性生成物のカッティング・パワーは、公知のMGEに匹敵し、(硬化系中の)表面特性が向上する。驚くべきことに、標準的合成、即ち例えばエピクロロヒドリン(ECH)のBF3−触媒作用付加及び苛性ソーダによる続く除去の使用は、収率及び加工性の点で良く作動する。
【0022】
本発明の一つの態様において、エトキシル化アルコールから製造されたポリマー性GE、例えばアルコキシル化アルコール−MGEは、熱硬化性樹脂、例えばエポキシ樹脂用の反応性希釈剤として使用される。
【0023】
一般的に、本発明のプロセスは、ポリマーとして認識される、少なくとも三重にアルコキシル化された中間鎖アルコール(threefold alkoxylated medium-chained alcohol)を使用し、次いで、このアルコキシル化した中間鎖アルコールを、例えばECH及び苛性経路を経て、グリシジルエーテルに転化させる。更に詳しくは、本発明のグリシジルエーテルの製造プロセスは、(i)少なくとも1種のエトキシル化アルコール化合物を、エピハロヒドリンと、触媒の存在下で反応させ、(ii)溶媒を添加し、次いで(iii)塩基、例えば水酸化ナトリウム(NaOH)の水溶液と反応させて、対応するグリシジルエーテルを形成させる工程を含んでなる。
【0024】
本発明の成分(b)である、少なくとも1種のポリマー性グリシジル反応性希釈剤には、エトキシル化アルコールのモノグリシジルエーテル、好ましくは少なくとも三重にエトキシル化された脂肪族アルコールのモノグリシジルエーテルが含まれる。
【0025】
一つの態様において、この熱硬化性樹脂組成物には、C4〜約C40の炭素原子を有する少なくとも三重にエトキシル化された脂肪族アルコールのモノグリシジルエーテルが含まれる。このC4〜約C40の少なくとも三重にエトキシル化された脂肪族アルコールのモノグリシジルエーテルは、分岐していてよく又は線状であってよい。このC4〜約C40の少なくとも三重にエトキシル化された脂肪族アルコールのモノグリシジルエーテルの例には、異なった鎖長の又は分岐した/分岐していない炭化水素主鎖の混合物が含まれてよい。
【0026】
少なくとも1種のポリマー性グリシジルエーテルは、本発明の熱硬化性組成物中に、組成物中の全成分の重量基準で、約2重量パーセント(重量%)〜約30重量%、好ましくは約4重量%〜20重量%、更に好ましくは約6重量%〜約15重量%の量で存在する。
【0027】
成分(a)である熱可塑性樹脂に添加されるべき、本発明において有用な成分(b)である少なくとも1種のポリマー性グリシジルエーテルは、当該技術分野における任意の周知の手段によって合成することができる。例えばポリマー性グリシジルエーテルの製造プロセスは、(i)少なくとも1種のエトキシル化アルコール化合物を、エピクロロヒドリンと、触媒の存在下で反応させ、(ii)溶媒を添加し、そして(iii)NaOH水溶液と反応させて、対応するグリシジルエーテルを形成させる工程を含んでなる。
【0028】
本発明の一つの態様において、少なくとも1種のポリマー性グリシジルエーテルの合成は、例えばF.Lohse in Houben-Weyl,Methoden der organishen Chemie、Vol 20E(1987) p.1911-1924(参照して本明細書に含める)に記載されているようなプロセスを含むことができる。一般的に、上記のプロセスには、エトキシル化アルコールを、BF3触媒による触媒作用で、エピハロヒドリンと反応させ、続いて、苛性ソーダ水溶液の添加によるエポキシドの生成が含まれる。
【0029】
例えば、本発明において有用な成分(b)である、少なくとも1種のポリマー性グリシジルエーテルを製造する際に、このプロセスにおいて有用なエトキシル化アルコールは、市販のエトキシル化アルコール、例えばLutensol XP30又はLutensol AO30(共に、BASFから市販されている)、Genapol LA030(Clariantから市販されている)及びこれらの混合物から選択することができる。好ましくはGenapol LA030を、このエトキシル化アルコールが、天然源から得ることができるC12/C14主鎖を含むので、本発明において使用することができる。
【0030】
一つの態様において、少なくとも1種のポリマー性グリシジルエーテルを製造するプロセスに有用なエトキシル化アルコール化合物はアルコール+3EOを含むことができる。エトキシル化アルコールのこれらの例は、好ましくは少なくとも3のエトキシル化度を含有するポリマーであり、分子量分布を有する。
【0031】
一般的に、このアルコール化合物中のアルコール官能基の約80パーセント(%)よりも多くがグリシジル基に転化され、好ましくは、このアルコール化合物中のアルコール官能基の約90%よりも多くがグリシジル基に転化され、最も好ましくは、このアルコール化合物中のアルコール官能基の100%がグリシジル基に転化される。最終生成物中に残留する任意の未反応アルコール基は、一般的に約5%よりも少なく、本発明の組成物又は組成物の用途に悪影響を与えない。
【0032】
本発明の成分(b)である、少なくとも1種のポリマー性グリシジルエーテルを製造する際に有用なエピハロヒドリンは、当該技術分野で公知の任意のエピハロヒドリン、例えばエピクロロヒドリン(ECH)、エピブロモヒドリン及びこれらの混合物であってよい。
【0033】
使用することができるエピハロヒドリンの濃度は、約1:0.8〜約1:1.8、好ましくは約1:0.9〜約1:1.5、更に好ましくは約1:1〜1:1.2のエピハロヒドリン:OHのモル比を含む。
【0034】
本発明の成分(b)である、少なくとも1種のポリマー性グリシジルエーテルを製造する際に有用な触媒は、この目的のために使用される当該技術分野で公知の任意の触媒であってもよい。例えば、この触媒は、当該技術分野で公知のルイス酸であってよい。触媒には、例えばBF3エチルエーテレート、BF3水和物、Mg(ClO42、SnCl4及びこれらの混合物が含まれる。
【0035】
この触媒の濃度は、全反応剤の重量基準で、約0.001重量%〜約5重量%、好ましくは約0.01重量%〜約2重量%、更に好ましくは約0.1重量%〜約1重量%である。0.001重量%の濃度よりも低いと、顕著な反応が存在せず、5重量%の濃度よりも高いと、材料の無駄、望まない副生物の生成及び最終生成物中の変色が生ずる。
【0036】
本発明において有用な成分(b)である、少なくとも1種のポリマー性グリシジルエーテルを製造する際に、エトキシル化アルコールがBF3触媒によって触媒作用されるエピハロヒドリンと反応すると、ハロヒドリン中間体が生成する。この工程は、次いで、塩基性化合物の添加によるエポキシド生成に続く。
【0037】
本発明の成分(b)である、少なくとも1種のポリマー性グリシジルエーテルを製造する際に有用な塩基性化合物は、当該技術分野で公知の任意の塩基性化合物であってよい。例えば、この塩基性化合物は、アルカリ金属水酸化物又はアルカリ金属炭酸塩であってよい。好ましくは、この塩基性化合物は、水溶液中で使用される。例えば、この塩基性化合物は、水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液、水酸化カルシウム水溶液、水酸化カリウム水溶液及びこれらの混合物又はナトリウム、カルシウム若しくはカリウム及びこれらの混合物の炭酸塩並びに塩基性化合物の任意の組合せであってよい。
【0038】
このプロセス中で使用される塩基性化合物水溶液、例えばNaOH水溶液の濃度は、約1重量%〜約100重量%、好ましくは約5重量%〜約50重量%、更に好ましくは約10重量%〜約30重量%であってよい。
【0039】
本発明の成分(b)である、少なくとも1種のポリマー性グリシジルエーテルの製造プロセスにおいて、溶媒を任意的に使用することができる。例えばトルエン、キシレン、ブタノール、2−ブタノン及びこれらの混合物から選択された1種又はそれ以上の溶媒を使用することができる。好ましくは、本発明において使用される溶媒はトルエンである。
【0040】
このプロセスにおいて使用される溶媒の量は、最終生成物の重量基準で、約0重量%〜約200重量%、好ましくは約10重量%〜約150重量%、更に好ましくは約20重量%〜約100重量%であってよい。
【0041】
最終反応性希釈剤生成物は、例えばエポキシ当量(g/当量)、25℃での動力学的粘度(dynamic viscosity)(mPas)、色(ガードナー)、加水分解性塩化物として参照されるような、易鹸化性の塩素(%)及び屈折率のような特性を示すことができる。
【0042】
例えば反応性希釈剤のエポキシ当量についての値(g/当量)は、一般的に約50〜約5000、好ましくは約100〜約4000、更に好ましくは約150〜約2500である。
【0043】
例えば、反応性希釈剤の25℃での動力学的粘度についての値(mPas)は、一般的に約5〜約5000、好ましくは約4〜約4000、更に好ましくは約1〜約500である。
【0044】
例えば反応性希釈剤の色についての値(ガードナー)は、一般的に約0〜約15、好ましくは約0〜約10、更に好ましくは約0〜約5である。
【0045】
例えば、反応性希釈剤の易鹸化性の塩素又は加水分解性塩化物についての値(%)は、一般的に約0〜約2%、好ましくは約0.05〜約1、更に好ましくは約0.01〜約0.5である。
【0046】
例えばエトキシル化脂肪アルコール及びECHから、本発明の成分(b)である、少なくとも1種のポリマー性グリシジルエーテルを製造する際に、成分を反応させる順序は、前記の通りである。しかしながら、熱硬化性樹脂組成物を生成させるために、前記製造したMGE成分を熱硬化性樹脂と反応させる順序は、重要ではない、即ち、任意の他の添加剤を含む本発明の熱硬化性組成物の成分は、任意の順序で混合することができる。前記のようにして製造されたMGEの1種又はそれ以上を、エポキシ樹脂のような熱硬化性樹脂用の反応性希釈剤として使用することができる。
【0047】
本発明において使用されるMGEの濃度は、樹脂状組成物の成分の全重量基準で、約0.01重量%〜約50重量%、好ましくは約5重量%〜約40重量%、更に好ましくは約10重量%〜約25重量%であってよい。50重量%よりも高い濃度が使用されると、得られる硬化生成物の機械的特性の低下が起こるであろう。0.01重量%よりも低い濃度が使用されると、樹脂状組成物の望ましくない高い粘度が生じるであろう。
【0048】
本発明の熱硬化性組成物中で有用な成分(a)は、エポキシ樹脂、イソシアネート樹脂、(メタ)アクリル樹脂、フェノール樹脂、ビニル樹脂、スチレン樹脂、ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、ビニルエステル樹脂、シリコーン樹脂及びこれらの混合物から選択された少なくとも1種の樹脂を含む、当該技術分野で公知の熱硬化性樹脂から選択することができる。
【0049】
一つの態様において、本発明において有用な熱硬化性樹脂には、少なくとも1種のエポキシ樹脂、成分(a)が含まれる。用語「エポキシ樹脂」は、本明細書において、1分子当り1個又はそれ以上の隣接エポキシ基、即ち1分子当り少なくとも1個の1,2−エポキシ基を有する化合物を意味する。一般的に、エポキシ樹脂化合物は、少なくとも1個の1,2−エポキシ基を有する、飽和又は不飽和の、脂肪族、脂環族、芳香族又は複素環式化合物であってよい。このような化合物は、所望により、1個又はそれ以上の非干渉置換基、例えばハロゲン原子、ヒドロキシ基、エーテル基、低級アルキル等によって置換されていてよい。このエポキシ樹脂化合物は、モノマー性、オリゴマー性又はポリマー性であってもよい。即ちエポキシ樹脂はモノエポキシド、ジエポキシド、多官能性エポキシ樹脂、ポリエポキシド又はこれらの混合物から選択することができる。本発明において有用なエポキシ樹脂の包括的な列挙は、非特許文献1の第2章、第257〜307頁(参照して本明細書に含める)中に記載されている。
【0050】
本発明において有用なエポキシ樹脂は、変化し、単独で又は2種若しくはそれ以上の組合せで使用することができる、一般的な及び市販のエポキシ樹脂を含むことができる。本明細書中に開示された組成物のためのエポキシ樹脂を選択する際に、最終生成物の特性に対してのみならず、樹脂組成物の加工に影響を与え得る粘度及び他の特性に対しても、考慮を払うべきである。
【0051】
当業者に公知の特に適切なエポキシ樹脂は、多官能性アルコール、フェノール、脂環族カルボン酸、芳香族アミン又はアミノフェノールとエピハロヒドリンとの反応生成物をベースにしている。僅かな非限定態様には、例えばビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、レゾルシノールジグリシジルエーテル及びパラ−アミノフェノールのトリグリシジルエーテルが含まれる。当業者に公知である他の適切なエポキシ樹脂には、エピクロロヒドリンと、o−クレゾール及びそれぞれフェノールノボラックとの反応生成物が含まれる。上記のエポキシ樹脂の何れかの1種又はそれ以上の混合物を使用することもできる。
【0052】
硬化性組成物の製造のために本発明において有用な成分(a)であるエポキシ樹脂は、市販の製品から選択することができる。例えばThe Dow Chemical Companyから入手可能な、D.E.R.(登録商標)331、D.E.R.332、D.E.R.334、D.E.R.580、D.E.N.431、D.E.N.438、D.E.R.736又はD.E.R.732を使用することができる。本発明の例示として、エポキシ樹脂成分(a)は、液体エポキシ樹脂である、175〜185g/当量のエポキシド当量重量、9500mPasの粘度及び1.16g/cm3の密度を有するD.E.R.383(DGEBPA)であってよい。エポキシ樹脂成分のために使用することができる他の市販のエポキシ樹脂は、D.E.R.330、D.E.R.354又はD.E.R.332であってよい。
【0053】
成分(a)として有用な他の適切なエポキシ樹脂は、例えば米国特許第3,018,262号明細書、米国特許第7,163,973号明細書、米国特許第6,887,574号明細書、米国特許第6,632,893号明細書、米国特許第6,242,083号明細書、米国特許第7,037,958号明細書、米国特許第6,572,971号明細書、米国特許第6,153,719号明細書、米国特許第5,405,688号明細書、PCT公開第WO2006/052727号明細書、米国特許出願公開第20060293172号明細書及び米国特許出願公開第20050171237号明細書(これらのそれぞれを、参照して本明細書中に含める)中に開示されている。
【0054】
一般的に、本発明において有用なエポキシ化合物のEEWは、約100〜約1000、好ましくは約120〜約800、最も好ましくは約150〜約500である。
【0055】
一般的に、本発明において使用されるエポキシ化合物の粘度は0mPas〜約10000mPas、好ましくは約1mPas〜約1000mPas、最も好ましくは約5mPas〜約500mPasである。
【0056】
成分(a)である熱硬化性樹脂は、熱硬化性組成物中に、約10重量%〜約95重量%、好ましくは約20重量%〜約90重量%、更に好ましくは約30重量%〜約80重量%の範囲内の濃度で存在してよい。
【0057】
この熱硬化性組成物中で有用な硬化剤(硬化剤又は架橋剤とも呼ばれる)は、例えば、これらに限定するものではないが、無水物、カルボン酸、アミン化合物、フェノール性化合物、ポリオール又はこれらの混合物を含む、当該技術分野で公知のこれらの硬化剤から選択することができる。
【0058】
熱硬化性樹脂がエポキシ樹脂を含む一つの態様の例示として、少なくとも1種の硬化剤はアミン、フェノール樹脂、カルボン酸、カルボン酸無水物又はこれらの混合物から選択することができる。
【0059】
熱硬化性樹脂がイソシアネートを含む一つの態様の例示として、少なくとも1種の硬化剤は、少なくとも1種のポリオールから選択することができる。
【0060】
本発明において有用な硬化剤の例には、エポキシ樹脂ベースの組成物を硬化させるために有用であると知られている、任意の硬化材料が含まれる。このような材料には、例えばポリアミン、ポリアミド、ポリアミノアミド、ジシアンジアミド、ポリフェノール、ポリマー性チオール、ポリカルボン酸及び無水物、ポリオール、第三級アミン、第四級アンモニウムハライド並びにこれらの任意の組合せ等が含まれる。硬化剤の他の具体例には、ジシアンジアミド、フェノールノボラック、ビスフェノール−Aノボラック、ジシクロペンタジエンのフェノールノボラック、ジフェニルスルホン、スチレン−無水マレイン酸(SMA)コポリマー及びこれらの任意の組合せが含まれる。
【0061】
ジシアンジアミド(「dicy」)は、本発明において有用な硬化剤の一つの好ましい態様であろう。dicyは、その硬化特性を活性化するために比較的高い温度を必要とし、従って、dicyをエポキシ樹脂に添加し、室温(約25℃)で貯蔵することができるので、dicyは、遅延した硬化を提供するという利点を有する。
【0062】
従来のエポキシ硬化剤の中で、アミン又はアミノ及び/若しくはアミド基含有物質又はこれらの混合物が好ましい。
【0063】
一般的に、硬化剤は、本発明の組成物中に、一般的に約0.01重量%〜約50重量%、好ましくは約10重量%〜約40重量%の範囲内の濃度で存在してよい。
【0064】
当該技術分野で公知の標準的モノマー性GEの任意の1種又はそれ以上の他のものを、本発明のポリマー性GEと組合せて、本発明の熱硬化性組成物中に使用することができる。例えば、本発明において有用な幾つかの標準的モノマー性GE(一−又は二官能性、MGE又はDGE)には、C12/C14−MGE(Polypox R24)、o−クレジル−MGE(Polypox R6)及び1,4−ブタンジオール−DGE(Polypox R3)が含まれてよい。
【0065】
任意の標準的モノマー性GEの濃度は、ポリマー性GEの重量基準で、約1%〜約99%、好ましくは約10%〜約90%、更に好ましくは約20%〜約80%であってよい。
【0066】
本発明の熱硬化性組成物は、任意的に、それらの意図される用途のために有用である、1種又はそれ以上の他の添加剤を含むことができる。例えば本発明の熱硬化性組成物中で有用な任意の添加剤には、これらに限定するものではないが、脱泡剤、湿潤剤、安定剤、界面活性剤、流動調節剤、顔料、染料、マット剤、脱気剤、難燃剤、強化剤、ポリオール及びグリコール、硬化開始剤、硬化抑制剤、着色剤、顔料、熱可塑性樹脂、加工助剤、UVブロッキング化合物、蛍光化合物、UV安定剤、不活性充填材、酸化防止剤、熱可塑性粒子を含有する耐衝撃性改良剤並びにこれらの混合物が含まれてよい。上記のリストは、例示であることを意図し、限定ではない。本発明の配合物のための好ましい添加剤は、当業者によって最適化することができる。
【0067】
追加の添加剤の濃度は、一般的に、全組成物の重量基準で、0重量%〜約50重量%、好ましくは約0.01重量%〜約20重量%、更に好ましくは約0.05重量%〜約15重量%、最も好ましくは約0.1重量%〜約10重量%である。約0.01重量%よりも低いと、添加剤は、一般的に、得られる硬化性組成物に如何なる更なる顕著な利点も与えず、約20重量%よりも高いと、これらの添加剤によってもたらされる特性改良は、比較的一定のままである。
【0068】
少なくとも1種の熱硬化性樹脂、例えばエポキシ樹脂、少なくとも1種のポリマー性GE反応性希釈剤、硬化剤及び任意の他の任意の添加剤を含む、最終の熱硬化性樹脂組成物を製造するための成分は、一緒に混合することができ、ここで、この混合は、約5℃〜約80℃の温度で実施することができる。
【0069】
一般的に、本発明において使用される熱硬化性組成物、例えばエポキシ樹脂組成物の可使時間は、使用される硬化剤に依存して、約1分間〜約600分間、好ましくは約5分間〜約120分間、最も好ましくは約15分間〜約75分間である。
【0070】
最終の熱硬化性配合物は、従来の加工条件下で硬化させて、熱硬化樹脂を形成することができる。一般的に、この硬化反応は、約0℃〜約180℃、好ましくは約5℃〜約100℃、更に好ましくは約10℃〜約50℃で実施することができる。好ましくは、この反応時間は、約10分間よりも長く約48時間よりも短く、好ましくは約30分間〜約24時間、更に好ましくは約1時間〜約6時間である。
【0071】
一般的に、本発明において使用される硬化エポキシ樹脂のショアーD硬度は、使用される硬化剤に依存して、約10〜約95、好ましくは約20〜約90、最も好ましくは約35〜約85である。
【0072】
一般的に、本発明において使用される硬化エポキシ樹脂のTgは、使用される硬化剤に依存して、0℃〜約120℃、好ましくは約10℃〜約100℃、最も好ましくは約40℃〜約90℃である。
【0073】
一般的に、本発明において使用される硬化エポキシ樹脂のE−弾性率は、使用される硬化剤に依存して、0N/mm2〜約5000N/mm2、好ましくは約100N/mm2〜約3500N/mm2、最も好ましくは約500N/mm2〜約2000N/mm2である。
【0074】
本発明の例示として、一般的に、本発明の熱硬化性樹脂配合物は、特に、シビルエンジニアリング(civil engineering)(CEG)における用途、例えば床張り材、被覆材、注封材、カプセル化剤、接着剤、成形品、成形型、コンポジット、ラッカー等のために特に適しているであろう。本発明の組成物は、電気及びエレクトロニクス用途、例えばコンポジット、ラミネート又は反応性被覆用途において有利に使用することができる。他の用途には、例えばセルロース、デンプンの変性、例えばポリアルキレンオキシド系テンサイド(tenside)又は脱泡剤におけるHLB値の微細なチューニングにおけるコ−「モノマー」としてが含まれるであろう。本発明の組成物はタイヤゴム用の接着促進剤として使用することもできる。
【実施例】
【0075】
以下の実施例及び比較例は、本発明を更に詳細に示すが、その範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。以下の標準的分析装置、方法及び試験手順を、実施例において使用する。
【0076】
「EEW」(g/当量)はエポキシド当量重量を表す。エポキシ化合物のエポキシド当量重量(EEW、g/当量)は試験方法DIN16945に従って測定する。
【0077】
エポキシ化合物の25℃での動力学的(dyn)粘度(mPas)は、DIN53018に記載されている試験方法に従って25℃で測定する。
【0078】
色(ガードナーナンバー)はDIN4630に記載されているプロセスに従って測定する。
【0079】
加水分解性塩化物又は鹸化性塩素(%)はDIN ISO21627/2に従って測定する。
【0080】
硬化システムの屈折率はDIN51423に従って測定する。
【0081】
熱硬化樹脂サンプルの水膨潤試験は、以下のようにして実施した。最初に、グリシジルエーテルは、A−成分として単独で使用しないので、BisA/BisF(70重量%:16重量%)液体エポキシ樹脂(LER)、例えばD.E.R.331又はD.E.R.354との、グリシジルエーテル14重量%の混合物を調製する。この混合物を混合し(1アミン当量と1エポキシ当量)、室温(約23℃)でアミン付加物硬化剤(B−成分)によって硬化させる。硬化した2mm厚さのフィルム(及び他の組成物、即ちGEの変形のフィルム)を、脱イオン水中に浸漬し、重量増加を時間に対して測定する。重量増加が多いほど、耐水膨潤性は悪い。
【0082】
熱硬化樹脂試験サンプルの耐薬品性を、以下の方法に従って異なった媒体中で、異なった反応性希釈剤(変性アミン硬化剤、Polypox H488/Lによって硬化させた、BisA/BisF(70重量%:16重量%)液体エポキシ樹脂(LER)、例えば、D.E.R.331又はD.E.R.354を伴うグリシジルエーテル14重量%)について試験する。
【0083】
2mmのフィルムを、完全に硬化させる(室温(約23℃)で、7日間(7d))。綿パッドに、試験液体、例えばガソリン(ベンゼン、脂肪族炭化水素の混合物)、アルコール混合物(4体積%の水と共に、それぞれ46体積%のエタノール及びイソプロパノールからなる、B.P.G.5b)、酢酸(x重量%のHac)、メチルイソブチルケトン(MIBK)を染み込ませる。この綿パッドを、フィルムの表面上に置き、カバーして、試験液体の蒸発を防止する。予定の時間に亘るショアーD硬度における低下は、異なった試験液体に対する耐性についての良好な指標である。通常、7d値が、百分位数の項目で取られる。
【0084】
図面のそれぞれ中の八角形スパイダーウェブグラフの点を比較して、サンプルのショアーD硬度を決定することができる。スパイダーウェブグラフの点からの収縮の「長さ」は、初期値で割った7日後のショアーD硬度であり、例えばC12/C14−3EO−MGEによって変性したビスフェノールA/F樹脂のジグリシジルエーテルが、C12/C14−MGEに匹敵することを示している。
【0085】
エポキシ樹脂の可使時間(分間)は、試験方法Gelnorm Geltimer TCに従って測定する。
【0086】
エポキシ樹脂熱硬化生成物の表面品質は、23℃/50%rH(相対湿度)で、目視観察により測定する。一般的に、熱硬化樹脂の表面は、如何なる汚損又は他の欠陥も無く、平滑で、光沢があり、輝いていなくてはならない。熱硬化樹脂の表面特性は、「良」、「悪」又は「並」として特定する。例えば、実施例において、「+」は「良」表面品質(これは、平滑で、光沢があり、輝いている表面を意味する)である。「+/−」は、並の表面品質(これは、僅かに悪い表面特性が、表面上に見えるが、大部分は良好な表面特性が、表面上に見えることを意味する)である。「−」は、「悪」表面品質(これは、表面が、歪み、傷跡若しくは表面上のカルバメート反応生成物(即ち、ブラッシング若しくは白化)を含むか又は表面が粘着性であることを意味する)である。
【0087】
エポキシ樹脂の23℃/50%rHでの7日間硬化後のショアーDは試験方法DIN53505に従って25℃で測定する。
【0088】
エポキシ樹脂のガラス転移温度[Tg(第二ラン、℃)]は試験方法DIN65467Aに従って測定する。
【0089】
エポキシ樹脂のE−弾性率(N/mm2)は試験方法EN ISO178に従って測定する。
【0090】
合成例1:ポリマー性GEの製造
500グラム(g)のLutensol XP30(BASFから入手可能な、C10−ゲルベアルコール+3EO)を、183gのエピクロロヒドリンと、BF3触媒作用下で反応させた。400gのトルエンの添加の後、173gの30%NaOH水溶液及び175gの20%NaOH水溶液による逐次的除去によって、対応するグリシジルエーテルに至った。得られた樹脂のパラメーターを表Iに記載する。
【0091】
合成例2:ポリマー性GEの製造
450gのLutensol AO3(BASFから入手可能な、C13/C15−オキソアルコール+3EO)を、136gのエピクロロヒドリンと、BF3触媒作用下で反応させた。400gのトルエンの添加の後、130gの30%NaOH水溶液及び130gの20%NaOH水溶液による逐次的除去によって、対応するグリシジルエーテルに至った。得られた樹脂のパラメーターを表Iに記載する。
【0092】
合成例3:ポリマー性GEの製造
652gのGenapol LA030(Clariantから入手可能な、C12/C14−オキソアルコール+3EO)を、212gのエピクロロヒドリンと、BF3触媒作用下で反応させた。450gのトルエンの添加の後、233gの30%NaOH水溶液及び155gの20%NaOH水溶液による逐次的除去によって、対応するグリシジルエーテルに至った。得られた樹脂のパラメーターを表Iに記載する。
【0093】
【表1】

【0094】
実施例1:熱硬化性樹脂及び硬化樹脂の製造
本発明のこの実施例において、下記の表IIに列挙した成分を、表II中に記載した混合比(A−成分:B−成分の比)で、攪拌しながら一緒に混合した。樹脂I(比較実施例A)は70重量%のビスフェノールA樹脂及び16重量%のビスフェノールF樹脂との14重量%のC12/C14−MGEの混合物であった。樹脂II(実施例1)は70重量%のビスフェノールA樹脂及び16重量%のビスフェノールF樹脂との14重量%のC12/C14−3EO−MGEの混合物であった。成分を一緒に混合する前に、ビスフェノールA樹脂を60℃に予熱し、ビスフェノールF樹脂を室温(約25℃)で使用した。
【0095】
【表2】

【0096】
比較例A樹脂及び実施例1樹脂を、幾つかの試験手順に付し、試験手順の結果を下記の表III〜Xに記載する。
【0097】
【表3】

【0098】
【表4】

【0099】
【表5】

【0100】
【表6】

【0101】
【表7】

【0102】
【表8】

【0103】
【表9】

【0104】
【表10】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)少なくとも1種の熱硬化性樹脂、(b)少なくとも1種のポリマー性グリシジル反応性希釈剤及び(c)硬化剤を含んでなる熱硬化性樹脂組成物。
【請求項2】
前記少なくとも1種の熱硬化性樹脂がエポキシ樹脂を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記少なくとも1種のエポキシ樹脂がビスフェノールAのジグリシジルエーテルを含む、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
少なくとも1種のエポキシ樹脂が、組成物中の全成分の重量基準で、約10重量%〜約80重量%の量で存在する請求項2に記載の組成物。
【請求項5】
前記少なくとも1種のポリマー性グリシジル反応性希釈剤がエトキシル化アルコールのモノグリシジルエーテルを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記エトキシル化アルコールのモノグリシジルエーテルが少なくとも三重にエトキシル化された脂肪族アルコールのモノグリシジルエーテルである請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記少なくとも三重にエトキシル化された脂肪族アルコールのモノグリシジルエーテルがC4〜約C40の炭素原子を含む、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記モノグリシジルエーテルが、分岐、非分岐、又はホモローグの混合物である請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
前記ホモローグがC12/C14;C13/C15;又はC13脂肪アルコール混合物を含む請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
少なくとも1種のポリマー性グリシジルエーテルが、組成物中の全成分の重量基準で、約10重量%〜約40重量%の量で存在する請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
前記硬化剤がポリアミン型又はポリアミノアミド型硬化剤である請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
前記硬化剤が、組成物中の全成分の重量基準で、約10重量%〜約60重量%の量で存在する請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
(a)少なくとも1種の熱硬化性樹脂、(b)少なくとも1種のポリマー性グリシジル反応性希釈剤及び(c)硬化剤を混合することを含んでなる熱硬化性樹脂組成物の製造方法。
【請求項14】
(I)(a)少なくとも1種の熱硬化性樹脂、(b)少なくとも1種のポリマー性グリシジル反応性希釈剤及び(c)硬化剤を混合し、そして
(II)工程(I)の混合物を、約5℃〜約120℃の温度で硬化させる
工程を含んでなる硬化樹脂熱硬化生成物の製造プロセス。
【請求項15】
請求項1に記載の硬化組成物を含んでなる硬化生成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2012−528234(P2012−528234A)
【公表日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−513126(P2012−513126)
【出願日】平成22年5月19日(2010.5.19)
【国際出願番号】PCT/US2010/035337
【国際公開番号】WO2010/138346
【国際公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー (1,383)
【Fターム(参考)】