説明

ポリマー粉末、係る粉末の製造方法及びその使用並びに該粉末からなる成形体

【課題】3次元の成形体を積層式で成形用具を使用せずに製造するための方法を、使用可能な原材料の選択と同様に経済性に関しても、より広範に使用できる粉末及び製造方法を提供する。
【解決手段】3次元の成形体を積層式で成形用具を使用せずに、その都度の粉末層の選択的な領域を電磁エネルギーの導入によって溶融させて製造するための方法に適した粉末の製造方法において、該製造方法が、ポリマー又はコポリマーと少なくとも1種の水溶性のポリマー型のポリオールとを混合すること、該混合物を水中に溶解させて分散液を形成させること、ポリマー粒子又はコポリマー粒子を分散液から分離すること、分離されたポリマー粒子又はコポリマー粒子を洗浄及び乾燥させることを含み、そのポリマー型のポリオールがポリエチレングリコール及びポリビニルアルコールからなる群から選択される方法によって解決される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、形状付与方法において分散液から製造されるポリマー粉末の使用、並びに、前記粉末の使用下で、積層式造形方法(schichtweise arbeitendes Verfahren)により製造される成形体であって、粉末層の選択的領域が溶融される方法により製造される成形体に関する。予め層毎に溶融させた領域の冷却及び凝固後に、前記成形体は前記粉末床から取り除かれてよい。
【0002】
プロトタイプの素早い供給が、最近では頻繁に課せられる課題である。特に適するのは、粉末形状の原材料をベースとして作業する方法であり、この際積層式(schichitweise)に、選択的な溶融及び凝固を介してこの所望の構造体を製造する。オーバーハング及びアンダーカットでの支持構造はこの際断念できる可能性があり、というのもこの溶融領域を取り囲む粉末床は十分な支持作用を提供するからである。同様に、支持体を取り除くための後処理は削除される。前記方法は、小規模生産(Kleinserien)の製造にも適する。
【0003】
前記積層式造形方法の選択性はこの際、例えばサセプタ(Suszeptor)、吸収剤、阻害剤の施与により、又はマスクにより、又は集束化したエネルギー導入、例えばレーザー線によるエネルギー導入により、又はガラス繊維により、又は前記粉末の選択的施与により行ってよい。前記エネルギー導入は、電磁線を介して達成される。
【0004】
ラピッドプロトタイピングの目的にとりわけ良好に適する方法は、選択的レーザー焼結である。この方法では、プラスチック粉末がチャンバ内で選択的に短時間、レーザ線で照射され、これにより、レーザ線により衝突される粉末粒子が溶融する。この溶融した粒子は互いにリンクし合って、かつ迅速に凝固して、再び固形の材料を形成する。常に新しく設けられた層に繰り返し照射することにより、この方法を用いると、3次元の物体を簡単かつ迅速に製造することができる。
【0005】
粉末状のポリマーから成形体を製造するためのレーザ焼結(ラピッドプロトタイピング)の方法は、特許明細書US6136948及びWO96/06881(両者共にDTM Corporation)に詳しく説明されている。複数のポリマー及びコポリマー、例えばポリアセタート、ポリプロピレン、ポリエチレン、イオノマー及びポリアミドがこの適用のために記載されている。
【0006】
その他の良好に適した方法は、例えばWO01/38061に記載されたSIV方法、又はEP1015214に記載された方法である。両者の方法は粉末の溶融のために平面式赤外線加熱を用いて処理する。溶融の選択性は、第一の方法の場合には阻害剤の施与により、第二の方法の場合にはマスクにより達成される。更なる方法はDE10311438に記載されている。前記方法の際には、溶融のために必要なエネルギーを、マイクロ波発生器により導入し、この選択性をサセプタの施与により達成する。
【0007】
他の適当な方法は、例えばDE102004012682.8、DE102004012683.6及びDE102004020452.7に記載されているような、粉末中に含まれているか又はインクジェット法により施与される吸収剤を用いて作業する方法である。
【背景技術】
【0008】
前記のラピッドプロトタイピング方法又はラピッドマニュファクチャリング方法(RP方法又はRM方法)のためには、粉末形状の基材、特にポリマー、有利にはポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリアセタール、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリカーボナート、ポリ−(N−メチルメタクリルイミド)(PMMI)、ポリメチルメタクリラート(PMMA)、イオノマー、ポリアミド、又はこれらの混合物から選択されるポリマーを使用してよい。
【0009】
WO95/11006号において、レーザー焼結に適したポリマー粉末が記載され、前記ポリマー粉末は、10〜20℃/分の走査速度での示差走査熱量測定を介した溶融挙動の測定の際に、溶融ピーク及び再結晶ピークの重なりを示さず、同様にDSCにより測定された結晶化度(Kristallinitaetsgrad)10〜90%を示し、数平均分子量Mn30000〜500000を有し、かつこの商Mw/Mnは1〜5の範囲にある。
【0010】
DE19747309号は、増加した溶融温度及び増加した溶融エンタルピーを有するポリアミド−12−粉末の使用を記載し、前記粉末は、前もってのラウリンラクタムの開環及び引き続く重縮合により製造されるポリアミドの再沈殿(Umfaellung)により得られる。これは、この際ポリアミド12である。
【0011】
全ての方法での欠点は、比較的丸い粒子形態を有する粉末を使用しなくてはならないことである。これにより、使用できる材料の選択は制限される。従って、例えば、粉砕により得られた材料を使用すべきことが欠点であり、というのは、前記粒子の鋭いエッジは、劣悪な流動特性(Rieseleigenschaft)の原因となるからである。自動制御構成プロセスは困難であり、というのも溝(Riefen)が前記粉末層の成層の際に繰り返し生じるからであり、これは最悪の場合には、前記構成プロセスの中断を生じ、どのような場合であっても、このようにして製造される構成部材の品質、特にこの密度及び表面状態は悪化する。
【0012】
例えばDE19747309号に記載されている沈殿プロセスもまた、前記ポリマーの溶媒中での溶解性及び適した条件下での沈殿能力を必要とする。無定形ポリマー並びにコポリマーを、この記載した方法を用いて、丸い粒子を有する粉末の形で得ることは可能でない。非溶解性又は劣悪な溶解性のポリマー、例えばPBTには、この同様の制限が適用される。
【0013】
丸い粒子の更なる製造方法は、その他の理由からわずかな材料に制限される。例として、アニオン重合が挙げられ、これは劣悪に定義された生成物を産生し、加えて、添加剤、例えば安定剤の添加は既に製造プロセスにおいて、重合が妨げられない限りにのみ可能である。
【0014】
更なる困難性は、添加剤、例えば難燃剤又は耐衝撃性向上剤が前記粉末中に含有されなくてはならない場合に存在する。通常は、前記添加剤は、所望の作用を達成すべく1質量%を上回る量で終生成物中に必要とされる;これにより通常のプロセス、例えばアニオン重合又は沈殿プロセスを禁じる。粉末の形で別個に導入され、かつ引き続きドライブレンドにおいて混合されるべき両者の成分は、前記成分の良好な混合が達成されず、かつまずもって適切な相互作用が構成できない欠点を有する。従ってこれは、前記の耐衝撃性成分がベースポリマーに結合する場合には、耐衝撃性向上のためには有利である。更に、ドライブレンド混合は、上記したようなラピッドプロトタイピング方法又はラピッドマニュファクチャリング方法における加工の際に、前記粒子が極めて相違した性質であるか、又は顕著に相違する密度を有する場合にとりわけ、この両者の成分の混合を脅かす。
【0015】
コンパウンドの製造並びに引き続く低温粉砕は同様に満足のいく結果を生じず、それも複数の理由からである。一方では、前記ポリマー及びまた前記添加剤は配合により自体で損害を被る可能性がある。他方では、低温粉砕は、ポリマー又は添加剤次第では極めて非効率的であり、従ってこのように製造された粉末の製品化は禁じられる。例示的には、この際耐衝撃性が向上されたポリマーが挙げられ、その際耐衝撃性向上剤は、前記向上剤がその配合の間に前記ポリマーに結合したか又はしないかとは無関係に、非常にわずかな収率を生じる − 30%よりも少ない値が例示的に挙げられる。同様に、そのポリマー分類中でその分子量に関して上端にあるポリマーは極めて粗悪な粉砕能を有するが、これは機械的特性にとってはちょうど有利である。
【0016】
改善された特性、特にレーザー焼結について改善された特性を有する粉末を得るための尽力は多岐にわたっている。例えば、それについてDE10256097号A1、WO2004/050746号A1及びWO2005/090448号A1で提案がなされている。とりわけ、DE10256097号A1においてEP0863174号が引用されており、そこでは、アルコール性溶液からの沈降によるポリアミド粉末の製造方法が、沈降プロセスによって達成できるレーザー焼結に関連する特性とともに記載されている。
【0017】
EP1512725号A1から、樹脂成分と水溶性補助成分との分散液並びに係る分散液の製造方法が知られており、その際、樹脂成分としては、特に熱可塑性樹脂又は水不溶性樹脂が提案されている。補助成分としては、オリゴ糖、糖又は糖アルコールが提案されている。更に、前記の刊行物から、分散液を使用して製造されている製品が知られており、特に多孔性材料又は粒子が記載されている。
【0018】
EP1512725号A1に記載される方法と分散液は、しかしながら、あまり高くない溶融温度を有する樹脂成分についてのみ目的にかなうように使用できるに過ぎない。より高融点の樹脂については該方法が適さないのは、それが約230℃より高い温度の場合に、分解反応に基づき、補助成分として使用されるべきオリゴ糖が混合物を固化させ、該混合物がもはや分散不可能であるためである。
【特許文献1】WO95/11006号
【特許文献2】DE19747309号
【特許文献3】DE10256097号A1
【特許文献4】WO2004/050746号A1
【特許文献5】WO2005/090448号A1
【特許文献6】EP0863174号
【特許文献7】EP1512725号A1
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
従って本発明の課題は、3次元の成形体を積層式で成形用具を使用せずに製造するための方法を、使用可能な原材料の選択と同様に経済性に関しても、より広範に使用できる粉末及び製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
前記課題は、3次元の成形体を積層式で成形用具を使用せずに、その都度の粉末層の選択的な領域を電磁エネルギーの導入によって溶融させて製造するための方法に適した粉末の製造方法において、該製造方法が、ポリマー又はコポリマーと少なくとも1種の水溶性のポリマー型のポリオールとを混合すること、該混合物を水中に溶解させて分散液を形成させること、ポリマー粒子又はコポリマー粒子を分散液から分離すること、分離されたポリマー粒子又はコポリマー粒子を洗浄及び乾燥させることを含み、そのポリマー型のポリオールがポリエチレングリコール及びポリビニルアルコールからなる群から選択される方法によって解決される。
【0021】
本発明による方法によって、目下、高融点のポリマー又はコポリマー、特に例えばより高融点のポリアミドを、上記の形状付与方法に適した粉末へと廉価に加工することが可能である。より高融点のポリマー又はコポリマーの加工性の制限は、EP1512725号A1から公知の方法から補助成分の分解の結果としてもたらされるが、それは本発明による方法では排除される。
【0022】
更に、EP1512725号A1から公知の方法に対して、反応過程を通じての水溶性補助成分の範囲内での粉末の帯褐色の変色が回避されるという利点がもたらされる。最後に、本発明による方法を用いると、水溶性補助物質の抽出が非常により廉価に実現でき、かつ最終的な廃棄も環境に優しくかつ廉価に実施できることが明らかになった。
【0023】
有利な一実施態様では、分離されたポリマー粒子又はコポリマー粒子から形成される粉末の洗浄は、ポリマー粒子又はコポリマー粒子に対して0.001質量%〜5質量%のポリオール含有量にまで行われる。本発明によれば、驚くべきことに、完成した粉末中のポリエチレングリコール又はポリビニルアルコールのある特定の含有量が、その粉末の更なる消費のために好ましいことが確認された。前記の本発明による方法の実施態様によって、補助物質の採収のための費用を、公知法に対して実質的に低減することができ、このことは一方で、より短時間の製造時間によってその製造コストが少なくなるだけでなく、特に明らかにより少ない消費水量ももたらされる。
【0024】
本発明の有利な一実施態様では、分離された粉末を粉末状の充填剤と混合し、その際、粉末全量における充填剤の割合が70容量%までである場合に適切であることが明らかとなった。それにより、該粉末から製造された成形体の規定の機械的特性を調整できる。
【0025】
更に、分散液中のポリマーもしくはポリマーと少なくとも1種の水溶性ポリオールとの質量比が1:99〜91:9、有利には1:5〜2:1であることが適切であることが明らかとなった。
【0026】
更に前記課題は、冒頭で挙げられた種類の粉末であって、ポリマー型のポリオールの含有量0.001質量%〜5質量%を有し、ポリマー型のポリオールがポリエチレングリコール及びポリビニルアルコールからなる群から選択されるポリマー粉末又はコポリマー粉末によって解決される。
【0027】
本発明によれば、驚くべきことに、ポリエチレングリコール及び/又はポリビニルアルコールの係る含有量は、従来技術において、粉末中の水溶性成分の分量が、特にレーザー焼結に際して加工にとって不利であり、かつレーザー焼結プロセスの妨害あるいはそれにより製造される成形体で欠陥をもたらすとされていたにも拘わらず粉末の特性に関する特定の利点を必然的に伴うことが見出された。
【0028】
実際に、本発明によれば、前記のポリオールの含有量によって、該粉末は全体でより良好な流動性を獲得し、従ってより確実に自動的にも計量供給できることが見出された。更に、係る割合を有さない粉末に対して、同等の粒度分布でもより高い嵩密度が得られ、それによりレーザー焼結によって製造された成形体のより低い多孔度を得ることができる。更にそのことは、該粉末から製造された成形体の改善された表面特性をもたらし、かつより良好な機械的特性をもたらす。更に前記の含有量は、従来技術による粉末で添加される乾式の流動助剤を回避することが可能であり、又はプロセスウインドウ(Verarbeitungsfenster)に悪い結果をもたらす所要量を低減させることができる。
【0029】
更に、本発明によれば、レーザー焼結で使用するために、該粉末のより多くの再利用可能性も与えられることが判明した。レーザー焼結に際して、又は別の冒頭に挙げた3次元の成形体の積層式の成形用具を用いない製造方法に際しては、この成形体は、粉末からなる堆積床(geschuettetes Bett)内に形成される。この場合に、成形体は、その作製の間に、それを取り囲む可塑化されていないあるいは露光されていない粉末によって支持される。成形体を仕上げた後に、それを粉末床から取り出す。残りの粉末は、基本的に、後続の加工工程で再利用可能である。続いて、単に成形体の形成によって失われた粉末の部分を補わねばならないだけである。実際には、確かに、粉末床への電磁線の導入によって、溶融されなかった粉末成分と成形体に加工された粉末成分とも相互作用がもたらされる。このことは、当業界の慣用では、"劣化"とも呼称される。この"劣化"の結果として、粉末のプロセスウインドウが変化する。それにより、粉末のポリマー成分もしくはコポリマー成分が溶融を開始する温度範囲はシフトするかあるいは拡大する。それによって、成形体の表面を形成すべき領域において、本来はもはや溶融されるべきでない粉末との熱伝導を通じて、新たな粉末を用いた場合のような端正かつ輪郭がはっきりした表面をもはや得ることができない。こうして、前記のように製造された成形体の品質は全体として低下する。従って、使用分野に応じては、成形体の十分な品質を得るために、一定の割合の新たな粉末を使用せねばならない。このことは、従来技術においては、"再生率(Auffrischfaktor)"とも呼称される(DE10256097号を参照)。高い"再生率"は、実際には、まだ消耗されていない粉末の相当の部分が劣化に基づきもはや使用できず、未使用で廃棄せねばならないことを意味する。本発明による粉末を用いることで劣化が減少することによって、未使用の粉末の損失を明らかに少なくすることができ、そうして前記粉末から成形体を製造する場合の経済性を明らかに改善することができる。
【0030】
本発明による粉末から製造されるべき成形体の規定の機械的特性の調整のためには、該粉末が粉末状の充填剤を含有し、その際、粉末全量における充填剤の割合が70容量%までである場合に適切である。
【0031】
適切には、該粉末は、平均粒径5μm〜100μm、有利には8μm〜80μmを有する。係る粒径をもって、レーザー焼結による成形体の製造のために特に良好な加工性がもたらされる。
【0032】
有利には、該粉末は、10m2/g未満又はそれと等しい、有利には3m2/g未満又はそれと等しい、特に有利には1m2/g未満又はそれと等しい、DIN ISO 9277により測定されたBET表面積を有する。このことは、特に細孔の少ない成形体の製造を可能にし、それにより前記粉末を用いて製造された成形体の規定の強度値を達成することに関して高い確実性を可能にする。
【0033】
適切には、該粉末は、DIN53466による嵩密度300g/l〜700g/lを有する。粉末の高い嵩密度は、該粉末から製造される成形体の高い密度を可能にし、それにより機械的に特に安定な成形体の製造が可能となる。
【0034】
特にレーザー焼結での使用のために、該粉末が3:1〜15:1の粒度分布d90:d10を有する場合に適切であることが明らかとなった。
【0035】
更に、該粉末は、一般にまだ必要だとすれば、流動助剤を含有する場合に適切である。適切には、該粉末は、充填剤として無機粒子を含有し、特にそのためには、ガラス粒子、金属粒子又はセラミック粒子、例えばガラス球、鋼球又は金属粒が、規定の所望の機械的、電気的又は磁気的特性を達成するために適している。
【0036】
更に、有機顔料及び/又は無機顔料を添加してよく、その際、特に二酸化チタン又はカーボンブラックを挙げられるべきである。それにより、粉末の吸収挙動にも影響を及ぼすことができる。
【0037】
本願では、"ポリエチレングリコール"という概念を用いる限りにおいて、それにより、モル質量とは無関係に全てのポリエチレングリコールの形を指すことが望ましい。特に、概念"ポリエチレングリコール"により、定常条件で液状に存在するポリエチレングリコールが呼称されるだけでなく、より高モルの固体のポリエチレングリコールのことも呼称されるべきである。後者は、時としてポリエチレンオキシドとも呼称され、略号PEOXとも略記される。ポリエチレングリコールについての通常の略語は、PEGである。本願で挙げられるポリビニルアルコールについての略号は、ASTMによればPVAであり、その他にもPVALとも略記される。
【0038】
本発明により特に好ましいのは、ポリエチレングリコールが、2000〜2000000g/モル、有利には7000〜250000g/モル、特に有利には9000〜100000g/モルのモル質量を有する場合であり、特にポリエチレングリコールが、種々のモル質量のポリエチレングリコールからなる混合物を含む場合である。
【0039】
更に本発明によれば、種々のモル質量のポリエチレングリコールからなる混合物を使用することによって、溶融粘度を調整でき、かつ更にそれによって、作製された粉末の粒度を、使用されるポリマー粉末もしくはコポリマー粉末に応じて調整可能であることが見出された。このことは、本発明による粉末が所望の粒度で高い収率をもって特に経済的に製造できるので特に好ましい。
【0040】
本発明による方法及び/又は粉末の特に有利な一実施態様では、ポリマー又はコポリマーは、PEEK(ポリエーテルケトン)、PEAK(ポリアリールエーテルケトン)、PSU(ポリスルホン)、PPSU(ポリフェニレンスルホン)、ポリアミド又はそれらの混合物を含む。有利には、ポリアミドは、より高融点のポリアミド、PA1010、PA610、PA6、PA66、PA46、脂肪族又は芳香族のポリエステル、脂肪族、脂環式又は芳香族のポリアミド、コポリアミド又はそれらの混合物である。
【0041】
本発明は、本発明による粉末を、3次元の成形体を積層式で成形用具を使用せずに製造するにあたり、その都度の粉末層の選択的な領域を電磁エネルギーの導入によって溶融させる製造方法で使用することによって、そしてこうして製造された成形体の場合に、経済的に特に目的にかなうように利用することができる。係る成形体は、0.0005質量%〜5質量%の含有量のポリオールを有してよい。
【0042】
本発明の実施例の説明
本発明は、以下で幾つかの例をもとにより詳細に説明されるべきである。本発明による製造方法、本発明による粉末並びにそれらの本発明による使用を以下に説明するが、ただし本発明はこれに制限されるものではない。本願では、ポリマーという概念は、コポリマーをも含む。
【0043】
分散液から製造されるポリマー粉末の使用は、前記粉末からその都度の層の選択的な領域が溶融される積層式造形方法により製造される成形体が、従来技術に説明された方法においてこれまでに加工性が閉ざされていたポリマー又はコポリマーで形成できるという利点を有する。従って、これまでに可能であった特性に比べて全く別の特性を開発できる。従って、例えばコポリマー又は無定形ポリマーを、成形体の透明性又は耐衝撃性の達成のために上記した方法において使用できる。このことは、特に、一般に230℃より高い融点を有する係るポリマー及びコポリマーについて当てはまる。
【0044】
本発明により特に好ましいとして挙げられたポリマーの他にも、別の水不溶性ポリマー又は熱可塑性ポリマー又は熱硬化性樹脂(Duromer)又はこれらの組み合わせも使用することができる。前記熱可塑性ポリマーの例は、重縮合体、例えば脂肪族又は芳香族のポリエステル、ポリアミド、コポリアミド、ポリウレタン、ポリ(チオ)エーテル、ポリカーボナート、ポリスルホン、ポリイミド、又は、重合体、例えばポリオレフィン、メタクリラート、ポリスチレン、ビニル系ポリマー、並びに、天然材料から導かれる生成物、例えばセルロース誘導体である。また、コポリマーも挙げられる。熱硬化性樹脂の例は、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル、ジアリルフタラート、並びにシリコーンである。特に挙げられるのは、熱可塑性エラストマー、例えばポリアミド、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、又はフッ素ポリマーをベースとする熱可塑性エラストマーである。同様に挙げられるのは、ポリ塩化ビニル、ポリアセタール、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリカーボナート、ポリブチレンテレフタラート、ポリエチレンテレフタラート、ポリスルホン、ポリアリーレンエーテル、ポリウレタン、ポリラクチド、ポリオキシアルキレン、ポリ−(N−メチルメタクリルイミド)(PMMI)、ポリメチルメタクリラート(PMMA)、イオノマー、シリコーンポリマー、ターポリマー、アクリルニトリル−ブタジエン−スチレン−コポリマー(ABS)またはこれらの混合物である。
【0045】
可溶性の補助成分としては、有利にはポリマーと不相容性の水溶性のマトリックス材料、例えばポリエチレングリコール又はポリビニルアルコールが使用される。PEGは非常に良好に水溶性なので、それをもって分散液は容易にかつ廉価に製造でき、かつPEGは容易にかつ環境汚染を少なく抽出することができる。有機溶剤中に可溶の補助成分を、特にポリマーとしてのポリアミドと組み合わせて使用することも考慮できる。しかしながら有機溶剤の使用は、環境汚染及び廃棄費用に関して様々な欠点を有する。
【0046】
必要であれば、前記分散液は更なる添加剤を有してよい。例示的に、充填剤、安定剤、増粘剤、着色剤(顔料)、滑沢剤、分散助剤、帯電防止剤、又は難燃助剤が挙げられる。前記充填剤は、雲母、粘土、タルク、又はレーヨン繊維であってよいが、本発明をこれらに制限するものではない。特に、ガラス球又はガラス繊維、カーボン繊維(破砕していてもよい)、及び金属粒子が挙げられる。
【0047】
前記分散液は、前記ポリマー成分を前記補助成分と混練することで製造されてよい。前記混練プレセスを、慣用のニーダー(例えば一軸スクリュー押出機又は二軸スクリュー押出機又はニーダー又はカレンダー)中で実施してよい。前記ポリマー成分及び/又は前記補助成分を既に予め、低温破砕又は予備混練により、粉末類似形にすることが有利であってよい。混練温度又は成形温度は90〜400℃、特に有利には110〜260℃、殊に有利には140℃より高いことが好ましい。従来技術とは異なって、本発明では、例えばオリゴ糖の場合に生ずる補助成分の熱分解を回避するために、230℃の範囲に境界は存在しない。
【0048】
分散系(前記ポリマー成分及び補助成分が分散性の形にある形)は、溶融した混合物の冷却により製造され(例えば、ニーダーから)、その際前記の溶融した混合物は前記ポリマー成分及び前記補助成分を有する。この冷却温度は、前記ポリマー成分の熱形状安定温度の又は前記補助成分の融点又は軟化点の少なくとも10℃下であることが望ましい。
【0049】
この冷却時間は前記ポリマー成分及び前記助剤に適合され、更なる影響因子はこの冷却時間である;冷却時間は、例えば30秒間〜20時間の幅広い範囲にあってよい。有利な時間の例は、1.5〜30分間である。
【0050】
とりわけ、前記ポリマー成分及び前記補助成分が相互に相容性である場合には、前記分散系は、前記冷却の間に前記分散系を形成するために、この表面張力及び凝固の相違する状態を、例えば晶析を介して利用することにより得られる。
【0051】
粒子の場合には、この平均の孔径又は粒度は、ポリマー成分及び補助成分の間の相容性の調整により、前記成分の間での粘性の相違により、混練条件又は成形条件、並びに冷却条件により影響されるので、孔径及び孔分布、あるいは粒度及び粒度分布の調整のために広い範囲がもたらされる。
【0052】
該分散系を溶液と一緒に導入することで、前記補助成分は、前記ポリマー成分から分離させるか又は抽出される。この有利な溶媒は、水であり、これは安価かつ環境に安全である。前記補助成分の分離は、雰囲気圧力、高圧、又は真空下で実施してよい。前記補助成分の分離の際の温度は、前記成分に依存して、例えば10〜100℃である。
【0053】
粒子は、例えば濾過又は遠心分離力によって収集される。分離され乾燥された粉末中のポリエチレングリコールの含有量を、ポリマー粒子又はコポリマー粒子に対して0.001質量%〜5質量%の範囲で得ることが好ましい。
【0054】
補助物質の分離によって生ずる粒子は、有利には丸形の粉末を形成する。
【0055】
本発明による平均粒径を有する粒子の作製のためには、ポリマー成分と水溶性の補助成分との質量比1:99〜91:9で加工することが好ましい。場合により、引き続き、このように得られた粉末の保護ふるい分け(Schutzsiebung)及び更なる分級を行う。高速ミキサー中での後処理もまた、前記粒子の更なる丸み付けのために有利であってよい。本発明による粉末の場合に、従来技術による別個の流動助剤の添加は、ほとんど必要ない。
【0056】
当業者は、本発明による粉末ベースの成形用具を使用しない製造方法における加工のための条件を、情報収集予備試験(orientierend Vorversuch)を介して容易に見出す。
【0057】
BET表面積は、該分散液から製造された粉末の場合に、10m2/g未満、有利には3m2/g未満、特に有利には1m2/g未満である。平均粒径d50は、有利には5μm〜100μm、特に有利には8μm〜80μmである。
【0058】
前記ポリマーの粘性は、本発明による方法における加工が良好に可能であるように算定されなくてはならない。一般的に、むしろ低粘性材料が良好に適する:例えば射出成形の際にそれぞれのポリマーにとって通常である分子量は、押出に最適化された材料にとって有利であるものである。上記した方法を用いた粉末形態への変換の際に、出発材料の分子量を変更してよい;この際上方への、また同様に下方への逸脱が実験において確認された。
【0059】
こうして得られた粉末の粒度分布は比較的広い;D90対D10は、3:1〜15:1、有利には4:1〜10:1であるが、狭くても又は二峰性であってもよい。本発明による粉末の嵩密度は、有利には300〜700g/lである。このBET表面積はブルナウアー・エメット・テラーの原理(Prinzip von Brunauer ,Emmet und Teller)による原理に従ったガス吸着により算出できる;この考慮される規格はDIN ISO9277である。
【0060】
本発明による方法において使用される本発明による粉末は更に、助剤及び/又は充填剤及び/又は更なる有機又は無機の顔料を有してよい。係る充填剤は、例えばガラス粒子、金属粒子、又はセラミック粒子、例えばガラス球、鋼球、又は金属粒、又は異物顔料(Fremdpigment)、例えば遷移金属酸化物であってよい。前記顔料は、例えば、ルチルベース(有利には)又はアナターゼベースの二酸化チタン粒子又はカーボンブラック粒子であってよい。本発明による方法における加工を容易にする吸収剤の添加もまた、この際挙げられるものである。特に有利には、カーボンブラックの添加であることが示された。
【0061】
前記充填剤粒子はこの際、有利には、前記ポリマー粉末の粒子と比べて、より小さな又はおよそ同じ大きさの平均粒径を有する。有利には、前記充填剤の平均粒度d50は、前記ポリマー粉末の平均粒径d50を、20%以下、有利には15%以下、特に有利には5%以下だけ上回るものである。前記粒径は、特に、ラピッドプロトタイピング/ラピッドマニュファクチャリング−装置中で許容される構造高さ(Bauhoehe)又は層密度により制限される。
【0062】
市販のポリマー粉末を上記した分散液中で製造されたポリマー粉末と混合することも同様に可能である。このようにして、表面特性の更なる組み合わせを有するポリマー粉末が製造される。前記混合物の製造方法は、例えばDE3441708から引用される。特に有利にはこの際、分散液を用いて製造されたポリマー粉末が、これはより良好に丸い粒子の形を有するが、粒子が顕著に鋭いエッジを有する低温粉砕により得られたポリマー粉末と混合される。この際、前記分散液を介して製造されたポリマー粉末は、流動助剤のように作用し、その結果前記破砕粉末に帰属すべき加工困難性が、係る混合物の使用により減少できる。有利には、少なくとも30%の、上記した分散液から製造されたポリマー粉末を有する混合物、特に有利には、少なくとも40%の前記ポリマー粉末を有する混合物、最も有利には、少なくとも50%の前記ポリマー粉末を有する混合物である。
【0063】
加工性の改善のために、又は前記ポリマー粉末の更なる改質のために、無機の異物顔料、例えば遷移金属酸化物、安定剤、例えばフェノール、特に立体障害フェノール並びに充填剤粒子を添加してよい。
【0064】
本発明の対象は、また本発明による粉末を、積層式造形法により成形体を製造するにあたり、その都度の層の選択的な領域を溶融させる製造方法において用いる使用である。その際前記エネルギーは電磁線により導入され、かつこの選択性は、例えば、マスク、阻害剤、吸収剤、サセプタの施与、又は前記放射線の集束化により、例えばレーザーによりもたらされる。電磁線は、100nm〜10cm、有利には400nmから10600nm、又は800〜1060nmの領域を含む。前記放射線の供給源は、例えばマイクロ波発生器、適したレーザー、輻射加熱器(Heizstrahler)、又はランプ、又はこれらの組み合わせであってよい。全ての層の冷却後、本発明による成形体を取り出してよい。
【0065】
係る方法のための以下の実施例は説明に用いられ、本発明をこれらに制限するものではない。レーザー焼結方法は十分に公知であり、かつポリマー粒子の選択的な焼結に基づくものであり、その際ポリマー粒子の層は短期間レーザー光に暴露され、そして前記レーザー光に暴露したポリマー粒子は、相互に結合する。相次いで引き続く、ポリマー粒子の層の焼結により、3次元の物体が製造される。選択的レーザー焼結の方法のための詳細は、例えば公報US6,136,948及びWO96/06881から引用できる。
【0066】
その他の良好に適する方法は、SIV方法であり、例えばこれはWO01/38061に記載され、又はEP1015214に記載された方法である。両者の方法は粉末の溶融のために平面式赤外線加熱を用いて処理する。溶融の選択性は、第一の方法の場合には阻害剤の施与により、第二の方法の場合にはマスクにより達成される。更なる方法はDE10311438に記載されている。前記方法の際には、溶融のために必要なエネルギーを、マイクロ波発生器により導入し、この選択性をサセプタの施与により達成する。
【0067】
他の適当な方法は、例えばDE102004012682、DE102004012683及びDE102004020452に記載されているような、粉末中に含まれているか又はインクジェット法により施与される吸収剤を用いて作業する方法である。
【0068】
本発明による成形体のための応用分野は、ラピッドプロトタイピング並びにラピッドマニュファクチュアリングである。ラピッドマニュファクチュアリングとは、小規模生産、従って1つより多くの同じ部品を製造することであるが、射出成形用具を用いた製造だと、とりわけ非常に複雑な形態を有する場合に非経済的である製造を指す。このための例は、少数のみ製造される高価な乗用車、レース用車両又はラリー用車両のための部品、又は、少数であることに加えて利用可能な時点も重要な役割を果たすモータースポーツ用の交換用部品である。本発明による部材が属する分野は、航空宇宙産業、医療技術、機械製作、自動車製造、スポーツ産業、家庭用品産業、電気産業及び生活様式であることができる。
【0069】
融点は、DSC(示差走査熱量測定)を用いて、DIN53765により又はAN−SAA0663により測定することができる。溶液粘度は、DIN EN ISO 307に従って0.5%のm−クレゾール溶液中で測定することができる。嵩密度は、DIN53466による装置を用いて測定することができる。
【0070】
以下の実施例と試験結果は、本発明の優れた特性を明らかにするものである。
【実施例】
【0071】
これらの実施例と試験のために、ポリマー成分又はコポリマー成分として、第1表による様々なポリアミド成形材料を使用した。
【0072】
【表1】

【0073】
そこでは、VA Zとは、低粘度のPA12ベースポリマーを指す。係るPA12ベースポリマーは、DEGUSSA AG社(ドイツ国・マール在)から商品名Vestamid L1600として市販されている。ISO1874−1による名称は、PA12,XN,12−010となっている。VA Eとは、DEGUSSA AG社(ドイツ・マール在)から商品名Vestamid E40として市販されているようなPA12−エラストマーを指す。TG CXと呼称される材料は、中粘度のポリアミドであり、該ポリアミドは光学的な使用に適しており、DEGUSSA AG社(ドイツ・マール在)から商品名Trogamid CX7323として市販されている。VestamidとTrogamidは、DEGUSSA AG社の登録商標である。
【0074】
補助成分としては、第2表による水溶性のポリエチレングリコールと挙げられるポリエチレングリコールの混合物が使用された。
【0075】
【表2】

【0076】
PEG 20Mとは、NOF Cooperation社(日本)から市販されているポリエチレングリコールを指し、PEG LEとPEG R150と呼称されるポリエチレングリコールは、Meisei Chemical Works,LTD社(日本)から市販されている。
【0077】
ポリマー成分と補助成分とを混合し、そして押出機中で混練した。押出機として、スクリュー径30mmを有するJSW TEX30−SST型の二軸スクリュー押出機を使用した。温度条件、スクリュー回転数及び混ざった流量は、第3表から得られる。
【0078】
【表3】

【0079】
押出機中で混練されたストランドを、押出機から出た後に冷却し、そして水中に溶解させた。溶液の濃度は、10%であった。PEG溶液と分散された粉末とからなる混合物が得られた。この分散液を濾過し、濾別された粉末を水で複数回洗浄して、PEGを大部分除去した。洗浄された粉末を、振動乾燥器を用いて80℃で6時間にわたり乾燥させ、そして分級機で分級した。
【0080】
使用された混合物と得られた粉末の平均粒度を、第4表に示す。その都度の混合物の成分は、質量部で示している。
【0081】
【表4】

【0082】
第4表の第9行目に示される混合物については、得られた粉末で、嵩密度464g/lが測定された。
【0083】
第4表のデータは、本発明による製造方法の優れた結果と、レーザ焼結に関する得られた粉末の特定の適性を示している。更に、本発明による方法をもって、低融点のポリマー及び高融点のポリマー、特にポリアミドを加工して、本発明による粉末が得られることが確認できる。同じことは、種々異なる相対溶液粘度のポリアミドについても言える。
【0084】
最後に、それらのデータが非常にはっきりと示していることは、種々異なるモル質量のPEGの混合によって、特に種々異なるモル質量のPEGとポリマー成分もしくはコポリマー成分との混合比の調整によって、得られたポリマー粉末の平均粒度は、非常に厳密にかつ実質的にレーザ焼結に好ましい全粒度範囲にわたって調節することができることである。
【0085】
更にその試験により、完成したポリマー粉末中のPEGの一定の割合が、成形体のレーザ焼結に際して使用するために好ましい作用を必然的に伴い、今まで支持されていた見解と異なって、補助成分を該粉末からできる限り残すところ無く除去せねばならないという必要性はないことが示された。また、補助成分の熱により開始される不所望な反応の結果としての、例えば補助成分の成分としてオリゴ糖を公知のように使用した場合に観察されるような粉末の帯褐色の変色の危険性はない。
【0086】
本発明の上述の利点とその他の上記に論じた利点によって、3次元の成形体の積層式の成形用具を使用しない製造のための公知の方法の材料に関連した使用分野を明らかに拡張することができる。更に、本発明による製造方法は、明らかな経済的な改善をもたらす。特に、本発明による粉末の有利な特性と一緒に、係る成形方法、特にレーザ焼結の使用範囲は、実質的に、僅かな高価な成形体もしくは製品にまで、特に小規模生産についても拡張することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
3次元の成形体を積層式で成形用具を使用せずに、その都度の粉末層の選択的な領域を電磁エネルギーの導入によって溶融させて製造するための方法で使用するのに適した粉末の製造方法において、該製造方法が、ポリマーもしくはコポリマーと少なくとも1種の水溶性のポリマー型のポリオールとを混合すること、該混合物を水中に溶解させて分散液を形成させること、ポリマー粒子又はコポリマー粒子を該分散液から分離すること、分離されたポリマー粒子又はコポリマー粒子を洗浄及び乾燥させることを含み、そのポリマー型のポリオールがポリエチレングリコール及びポリビニルアルコールからなる群から選択される方法。
【請求項2】
請求項1記載の方法において、洗浄工程は、ポリマー粒子又はコポリマー粒子から形成される粉末が、ポリマー粒子又はコポリマー粒子に対して、0.001質量%〜5質量%のポリオールの含有量を含有するまで行うことを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1又は2記載の方法において、分離された粉末を粉末状の充填剤と混合し、その際、粉末の全量における充填剤の割合が、70容量%までであることを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1から3までのいずれか1項記載の方法において、分散液中のポリマーもしくはポリマーと少なくとも1種の水溶性のポリマー型のポリオールとの質量比が1:99〜91:9、有利には1:5〜2:1であることを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項1から4までのいずれか1項記載の方法において、ポリエチレングリコールが、モル質量2000〜2000000g/モル、有利には7000〜250000g/モル、特に有利には9000〜100000g/モルを有することを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1から5までのいずれか1項記載の方法において、ポリエチレングリコールが、種々異なるモル質量のポリエチレングリコールからなる混合物を含むことを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1から6までのいずれか1項記載の方法において、ポリマー又はコポリマーが、PEEK、PAEK、PSU、PPSU、ポリアミド、脂肪族又は芳香族のポリエステル、脂肪族、脂環式又は芳香族のポリアミド、コポリアミド又はそれらの混合物を含むことを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項7記載の方法において、ポリアミドが、高融点のポリアミド、PA1010、PA610、PA6、PA66、PA46又はそれらの混合物を含むことを特徴とする方法。
【請求項9】
3次元の成形体を積層式で成形用具を使用せずに製造するための方法で使用するのに適した粉末であって、該粉末が少なくとも1種のポリマー粉末又はコポリマー粉末を含有することを特徴とし、該ポリマー粉末又はコポリマー粉末が、0.001質量%〜5質量%のポリマー型のポリオールの含有量を有し、その際、そのポリマー型のポリオールがポリエチレングリコール及びポリビニルアルコールからなる群から選択されることを特徴とする粉末。
【請求項10】
請求項9記載の粉末であって、該粉末が少なくとも1種の粉末状の充填剤を含有し、その際、粉末の全量における充填剤の割合が、70容量%までであることを特徴とする粉末。
【請求項11】
請求項9又は10記載の粉末であって、該粉末が平均粒径5〜100μmを有することを特徴とする粉末。
【請求項12】
請求項9から11までのいずれか1項記載の粉末であって、該粉末が平均粒径8〜80μmを有することを特徴とする粉末。
【請求項13】
請求項9から12までのいずれか1項記載の粉末であって、該粉末が10m2/g未満又はそれと等しいDIN ISO 9277によるBET表面積を有することを特徴とする粉末。
【請求項14】
請求項9から13までのいずれか1項記載の粉末であって、該粉末が3m2/g未満又はそれと等しいDIN ISO 9277によるBET表面積を有することを特徴とする粉末。
【請求項15】
請求項9から14までのいずれか1項記載の粉末であって、該粉末が1m2/g未満又はそれと等しいDIN ISO 9277によるBET表面積を有することを特徴とする粉末。
【請求項16】
請求項9から15までのいずれか1項記載の粉末であって、該粉末が300〜700g/lのDIN53466による嵩密度を有することを特徴とする粉末。
【請求項17】
請求項9から16までのいずれか1項記載の粉末であって、該粉末が、3:1〜15:1の粒度分布d90対d10を有することを特徴とする粉末。
【請求項18】
請求項9から17までのいずれか1項記載の粉末であって、該粉末が流動助剤を含有することを特徴とする粉末。
【請求項19】
請求項9から18までのいずれか1項記載の粉末であって、該粉末が充填剤として無機粒子を含有することを特徴とする粉末。
【請求項20】
請求項9から19までのいずれか1項記載の粉末であって、該粉末が有機顔料及び/又は無機顔料を含有することを特徴とする粉末。
【請求項21】
請求項9から20までのいずれか1項記載の粉末であって、該粉末がカーボンブラック及び/又は二酸化チタンを含有することを特徴とする粉末。
【請求項22】
請求項9から21までのいずれか1項記載の粉末であって、ポリエチレングリコールが、モル質量2000〜2000000g/モル、有利には7000〜250000g/モル、特に有利には9000〜100000g/モルを有することを特徴とする粉末。
【請求項23】
請求項9から22までのいずれか1項記載の粉末であって、ポリエチレングリコールが、種々異なるモル質量のポリエチレングリコールからなる混合物を含むことを特徴とする粉末。
【請求項24】
請求項9から23までのいずれか1項記載の粉末であって、ポリマー又はコポリマーが、PEEK、PAEK、PSU、PPSU、ポリアミド、脂肪族又は芳香族のポリエステル、脂肪族、脂環式又は芳香族のポリアミド、コポリアミド又はそれらの混合物を含むことを特徴とする粉末。
【請求項25】
請求項24記載の粉末であって、ポリアミドが、高融点のポリアミド、PA1010、PA610、PA6、PA66、PA46又はそれらの混合物を含むことを特徴とする粉末。
【請求項26】
請求項1から8までのいずれか1項記載の方法により製造できる粉末。
【請求項27】
請求項9から26までのいずれか1項記載の粉末を、3次元の成形体を積層式で成形用具を使用せずに、その都度の粉末層の選択的な領域を電磁エネルギーの導入によって溶融させて製造するための方法で用いる使用。
【請求項28】
請求項9から26までのいずれか1項記載の粉末を、3次元の成形体を積層式で成形用具を使用せずに、その都度の粉末層の選択的な領域を電磁エネルギーの導入によって溶融させて製造するための方法で用いることにより製造される成形体。
【請求項29】
請求項28記載の成形体であって、該成形体が、0.0005質量%〜5質量%のポリオールの含有量を有することを特徴とする成形体。

【公開番号】特開2007−277546(P2007−277546A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−91554(P2007−91554)
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【出願人】(501073862)デグサ ゲーエムベーハー (837)
【氏名又は名称原語表記】Degussa GmbH
【住所又は居所原語表記】Bennigsenplatz 1, D−40474 Duesseldorf, Germany
【Fターム(参考)】