説明

ポリ乳酸組成物

【課題】環境負荷の少ないポリ乳酸と芳香族ポリカーボネートからなる樹脂成分に対し、環状構造の中にカルボジイミド基を有する環状カルボジイミド化合物と酸化防止剤を配合することで、イソシアネート基を有する化合物の遊離を防ぎ、作業環境が良好で、耐加水分解性に優れるだけでなく耐薬品性、耐衝撃性にも優れる樹脂組成物を提供する。
【解決手段】(A)ポリ乳酸(A−α成分)5〜95重量%および芳香族ポリカーボネート(A−β成分)95〜5重量%からなる樹脂成分(A成分)100重量部に対し、(B)カルボジイミド基を1個有しその第一窒素と第二窒素とが結合基により結合されている下記式(1)で表される環状構造を含み、環状構造を形成する原子数が8〜50である化合物(B成分)0.001〜10重量部、並びに(C)ホスファイト系化合物、ホスホナイト系化合物、ヒンダートフェノール系化合物およびチオエーテル系化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種の酸化防止剤(C成分)0.001〜2重量部を含有する組成物。


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【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ポリ乳酸(A−α成分)5〜95重量%および芳香族ポリカーボネート(A−β成分)95〜5重量%からなる樹脂成分(A成分)100重量部に対し、(B)カルボジイミド基を1個有し、その第一窒素と第二窒素とが結合基により結合されている下記式(1)で表される環状構造を含み、環状構造を形成する原子数が8〜50である化合物(B成分)0.001〜10重量部、並びに(C)ホスファイト系化合物、ホスホナイト系化合物、ヒンダートフェノール系化合物およびチオエーテル系化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種の酸化防止剤(C成分)0.001〜2重量部を含有する組成物。
【化1】

(式中、Qは、下記式(1−1)、(1−2)または(1−3)で表される2〜4価の結合基である。)
【化2】

(式中、ArおよびArは各々独立に、2〜4価の炭素数5〜15の芳香族基である。RおよびRは各々独立に、2〜4価の炭素数1〜20の脂肪族基、2〜4価の炭素数3〜20の脂環族基、およびこれらの組み合わせ、またはこれら脂肪族基、脂環族基と2〜4価の炭素数5〜15の芳香族基の組み合わせである。sは0〜10の整数である。kは0〜10の整数である。XおよびXは各々独立に、2〜4価の炭素数1〜20の脂肪族基、2〜4価の炭素数3〜20の脂環族基、2〜4価の炭素数5〜15の芳香族基、またはこれらの組み合わせである。Xは、2〜4価の炭素数1〜20の脂肪族基、2〜4価の炭素数3〜20の脂環族基、2〜4価の炭素数5〜15の芳香族基、またはこれらの組み合わせである。但し、Ar、Ar、R、R、X、XおよびXはヘテロ原子を含有していてもよい、また、Qが2価の結合基であるときは、Ar、Ar、R、R、X、XおよびXは全て2価の基である。Qが3価の結合基であるときは、Ar、Ar、R、R、X、XおよびXの内の一つが3価の基である。Qが4価の結合基であるときは、Ar、Ar、R、R、X、XおよびXの内の一つが4価の基であるか、二つが3価の基である。)
【請求項2】
式(1)中のQが下記式(2−1)、(2−2)または(2−3)で表される2価の結合基である請求項1に記載の組成物。
【化3】

(式中、Ar(aは下付、以下同様)およびArは各々独立に、2価の炭素数5〜15の芳香族基である。RおよびRは各々独立に、2価の炭素数1〜20の脂肪族基、2価の炭素数3〜20の脂環族基、およびこれらの組み合わせ、またはこれら脂肪族基、脂環族基と2価の炭素数5〜15の芳香族基の組み合わせである。saは0〜10の整数である。kaは0〜10の整数である。XおよびXは各々独立に、2価の炭素数1〜20の脂肪族基、2価の炭素数3〜20の脂環族基、2価の炭素数5〜15の芳香族基、またはこれらの組み合わせである。Xは、2価の炭素数1〜20の脂肪族基、2価の炭素数3〜20の脂環族基、2価の炭素数5〜15の芳香族基、またはこれらの組み合わせである。但し、Ar、Ar、R、R、X、XおよびXはヘテロ原子を含有していてもよい。)
【請求項3】
環状構造を含む化合物であるB成分が下記式(3)で表される化合物である請求項1に記載の組成物。
【化4】

(式中、Q(bは下付、以下同様)は下記式(3−1)、(3−2)または(3−3)で表される3価の結合基であり、Yは環状構造を担持する担体であり、単結合、二重結合、原子、原子団またはポリマーである。)
【化5】

(式中、Ar、Ar、R、R、X、X、X、sbおよびkbは、各々式(1−1)〜(1−3)のAr、Ar、R、R、X、X、X、sbおよびkbと同じである。但しこれらの内の一つは3価の基である。)
【請求項4】
環状構造を含む化合物であるB成分が下記式(4)で表される請求項1に記載の組成物。
【化6】

(式中、Q(cは下付、以下同様)は下記式(4−1)、(4−2)または(4−3)で表される4価の結合基であり、ZおよびZは、環状構造を担持する担体であり、各々独立に、単結合、二重結合、原子、原子団またはポリマーである。)
【化7】

(式中、Ar、Ar、R、R、X、X、X、scおよびkcは、各々式(1−1)〜(1−3)の、Ar、Ar、R、R、X、X、X、scおよびkcと同じである。但し、これらの内の一つが4価の基であるか、二つが3価の基である。)
【請求項5】
樹脂成分(A成分)100重量部に対して、(D)エポキシ化合物、オキサゾリン化合物およびオキサジン化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種の末端封鎖剤(D成分)0.001〜10重量部を含む請求項1〜4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
樹脂成分(A成分)100重量部に対して、(E)ハイドロタルサイト(E成分)0.01〜0.3重量部を含む請求項1〜5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
樹脂成分(A成分)100重量部に対して、(F)衝撃改質剤(F成分)2〜100重量部を含む請求項1〜6のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
樹脂成分(A成分)100重量部に対して、(G)リン系難燃剤(G−1成分)、窒素系難燃剤(G−2成分)、金属水酸化物系難燃剤(G−3成分)、金属酸化物系難燃剤(G−4成分)、シリコーン系難燃剤(G−5成分)、有機金属塩系難燃剤(G−6成分)および臭素系難燃剤(G−7成分)からなる群より選ばれる少なくとも一種の難燃剤(G成分)0.1〜100重量部を含む請求項1〜7のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
ポリ乳酸(A−α成分)は、(A−α−1)主としてL−乳酸単位からなるポリ−L乳酸(A−α−1成分)および(A−α−2)主としてD−乳酸単位からなるポリ−D乳酸(A−α−2成分)を含有し、A−α−1成分とA−α−2成分との重量比が10:90〜90:10の範囲にある請求項1〜8のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
ポリ−L乳酸(A−α−1成分)はL−乳酸単位を90モル%以上含有し、ポリ−D乳酸(A−α−2成分)はD−乳酸単位を90モル%以上含有する請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
ポリ乳酸(A−α成分)は、示差走査熱量計(DSC)測定の昇温過程における融解エンタルピーを用いて下記式(5)で表されるステレオコンプレックス結晶化度が80%以上である請求項9または10に記載の組成物。
ステレオコンプレックス結晶化度=△Hms/(△Hms+△Hmh)×100 (5)
[但し、式(5)中、△Hmhと△Hmsは、それぞれ示差走査熱量計(DSC)の昇温過程において、190℃未満に現れる結晶融点の融解エンタルピー(△Hmh)、および190℃以上250℃未満に現れる結晶融点の融解エンタルピー(△Hms)である。]
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか1項に記載の組成物からなる成形品。
【請求項13】
射出成形、押出成形、熱成形、ブロー成形または発泡成形により成形した請求項12に記載の成形品。
【請求項14】
自動車部品、電気・電子部品、電気機器外装部品、OA外装部品である請求項12または13に記載の成形品。

【公開番号】特開2011−256303(P2011−256303A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−132928(P2010−132928)
【出願日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【出願人】(000003001)帝人株式会社 (1,209)
【Fターム(参考)】