説明

マイクロエマルジョン

【課題】保管寿命が改善されたジアザ2環性の化合物を含む液体医薬投与形態の提供。
【解決手段】各成分の合計が100%で、以下の成分(重量%):(S)界面活性剤;ミセル、液晶、小胞として組織化された構造を形成するポリマー、から選択される1つ以上の化合物0.01%〜95%、(O)1種以上の油0.01%〜95%、(PA)下記式で代表されるジアザ2環性化合物0.001%〜90%、(AD)水および/または油の極性改質剤、成分S)のフィルムの曲率の改質剤、補助界面活性剤、から選択される1種以上の化合物0%〜60%、および水を含むマイクロエマルジョンの形態の医薬組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オピオイド性(opioidergic)受容体μおよび/もしくはδおよび/もしくはκ、ならびに/またはそれらの受容体サブクラスに対する親和性を有するジアザ2環性の化合物、それらの対応する溶媒和物および医薬的に許容される塩を活性成分として含む、マイクロエマルジョンの形態の医薬組成物に関する。
より具体的には、本発明は、上記のジアザ活性成分がジアザ2環性のヘプタン、オクタン、ノナンおよびデカン化合物であるマイクロエマルジョンの形態の医薬組成物に関する。
より具体的には、本発明は、上記のジアザ2環性の化合物と油相とを含み、界面活性剤/三環式化合物の重量比が、油相が存在しないマイクロエマルジョンのものよりも低いマイクロエマルジョンの形態の医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
オピオイド性受容体に親和性を有するジアザ2環性の化合物が、先行技術で知られている。US特許出願2003/0195,217号(特許文献1)において、オピオイド性受容体が介在する中枢性の鎮痛活性を有する3,9-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン化合物が記載されている。その鎮痛活性は、モルヒネにより誘導されるものに匹敵するが、副作用が低い。この特許出願において、これらの化合物を含む医薬の形態も記載されている。示されている液体の医薬の形態は、滴剤、エリキシル剤、シロップ剤および注射可能な形である。これらのジアザ2環性の化合物の研究は、Bioorganic & Medicinal Chemistry, 10 (2002) 1929-1937(非特許文献1)の出版物中でも論じられており、ここで、オピオイド性受容体μ、δおよびκへの親和性に対する2環性の構造の種々の置換基の効果が指摘されている。
【0003】
オピオイド性受容体μ、δおよびκへの親和性を有するジアザ2環性の化合物のもう1つのクラスおよびその対応する医薬の形態が、特許出願WO 2004/011,468号(特許文献2)に記載されている。特に、該クラスの化合物は、一般式:
【化1】

【0004】
[式中、Qは-CH2-CH2-または-CH2-CH2-CH2-であり、R1とR2のうちの1つは-CH2-CH2-CH2-R3または-CH2-CH=CH-R3または-CH2-C≡C-R3(ここで、R3はアリールまたはヘテロアリールである)であり、R1とR2のうちの他方は-C(O)R4(ここで、R4はアルキル、またはシクロアルキル、またはシクロアルキルアルキル、またはアリールまたはアリールアルキルである)である]
のジアザ2環性のノナンおよびデカンから形成される。この特許出願に記載される液体の医薬の形態は、溶液、懸濁液およびエマルジョンである。
【0005】
US特許5,672,601号(特許文献3)は、オピオイド性受容体μが介在する中枢性の鎮痛活性を有する、3,8-ジアザ-ビシクロ[3.2.1]-オクタン化合物およびその対応する医薬の形態を記載している。ここに記載される液体の医薬の形態は、滴剤、エリキシル剤、シロップ剤および注射可能な形である。
【0006】
特許出願WO 2005/108,402号(特許文献4)は、受容体μが選択的に介在する中枢性の鎮痛活性を有する、3,6-ジアザ-ビシクロ[3.3.1]ヘプタン誘導体に関する。ここに記載される液体の医薬の形態は、滴剤、エリキシル剤、シロップ剤および注射可能な形である。
上記の特許および特許出願は、疼痛の治療のための、オピオイド性受容体に対して親和性を有するジアザ2環性の化合物の使用を記載している。
【0007】
前記の特許出願WO 2004/011,468号において、オピオイド性化合物が、異なる種類の疼痛(外科手術後の疼痛、神経障害性疼痛のような慢性疼痛)の治療のための使用に加えて、アレルギー性皮膚炎、性機能障害、アルコール中毒、悪心、嘔吐、鬱病、タバコ中毒、肥満および食物摂取に関する障害、薬物(例えば、ヘロイン、コカイン)の乱用、脊髄損傷、脳損傷、ショック、脳梗塞、胃腸管障害のようなその他の疾病および障害の治療に使用できることが述べられている。
【0008】
Eur. J. Pharmacol 296 (1996) 199-207(非特許文献2)は、オピオイド性受容体のアゴニスト化合物の乳癌のヒト細胞株の抗増殖活性を報告している。それゆえ、本論文は該アゴニスト化合物の抗腫瘍活性を開示している。Veterinary Ophthalmology (2003) 6, 1, 73-76(非特許文献3); Exp. Eye Res. 2007 January 84(1) 185-190(非特許文献4); British Journal of Anaesthesia 1998, 81 606-607(非特許文献5)の論文において、オピオイド性受容体のアゴニスト化合物の眼内圧低下能力およびその結果として緑内障のような眼疾病への該化合物の使用が指摘されている。Neuropeptides (1999) 33(5) 360-368(非特許文献6)に発表された論文に、オピオイド性受容体を調節する化合物の食物摂取への効果が報告されており、特にオピオイド性受容体のアゴニストおよびアンタゴニストが、それぞれ食物摂取を増大および減少することが述べられている。
【0009】
特許出願WO 06/113,468号(特許文献5)は、関節炎、乾癬、喘息、心不全、性機能障害、疼痛、失禁および尿生殖路の障害の治療のための、オピオイド性受容体を調節する化合物の使用を記載している。
【0010】
特許出願US2005/0203,123号(特許文献6)は、オピオイド性受容体のアンタゴニスト化合物および胃腸障害、疼痛、肥満、アルツハイマーおよびパーキンソン病の治療のためのそれらの使用に関する。糖尿病およびアテローム性動脈硬化症の治療のためのオピオイド性化合物の使用が、特許出願WO 05/092,836号(特許文献7)およびWO 05/066,164号(特許文献8)に記載されている。
【0011】
特許出願WO 04/089,372号(特許文献9)は、不安症および鬱病のような中枢神経系障害の治療および予防のためのオピオイド性受容体を調節することができる化合物の使用を記載している。
【0012】
特許出願WO 04/060,321号(特許文献10)は、心臓保護効果を有するオピオイド性受容体のアゴニストを含む治療組成物に関する。
特許出願WO 02/42,309号(特許文献11)、WO 01/46,198号(特許文献12)は免疫賦活剤または免疫抑制剤として、オピオイド性化合物の使用を記載している。
【0013】
上記の特許および特許出願の化合物は、油の形で得られる。治療におけるそれらの使用のために、上記の化合物は、それらの生物学的利用能(バイオアベイラビリティー)を増大させるために塩化されなければならない。実際に、化合物はそのままでは水に実質的に不溶である。さらに、対応する塩は、それでも水溶性が限られている。よって、これらの化合物および対応する塩の溶解性の特徴は、これらの化合物をそのままでまたは塩化して用いる場合に、そして上記の医薬投与形態を用いる場合にともに、これらのクラスの化合物の、上記の病状および障害の治療における有効な治療剤としての使用を妨げるかまたは制限し得る。
【0014】
ジアザ2環性の化合物またはそれらの塩の既知の水ベースの医薬投与形態は、安定性が低く、よって、保管寿命が限られている。
界面活性剤を、医薬製剤に用いることが知られている。界面活性剤は、特に、著しい量で存在する場合に、例えばアナフィラキシーショックのような副作用を起し得ることが公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】US特許出願2003/0195,217号
【特許文献2】特許出願WO 2004/011,468号
【特許文献3】US特許5,672,601号
【特許文献4】特許出願WO 2005/108,402号
【特許文献5】特許出願WO 06/113,468号
【特許文献6】特許出願US2005/0203,123号
【特許文献7】特許出願WO 05/092,836号
【特許文献8】特許出願WO 05/066,164号
【特許文献9】特許出願WO 04/089,372号
【特許文献10】特許出願WO 04/060,321号
【特許文献11】特許出願WO 02/42,309号
【特許文献12】特許出願WO 01/46,198号
【非特許文献】
【0016】
【非特許文献1】Bioorganic & Medicinal Chemistry, 10 (2002) 1929-1937
【非特許文献2】Eur. J. Pharmacol 296 (1996) 199-207
【非特許文献3】Veterinary Ophthalmology (2003) 6, 1, 73-76
【非特許文献4】Exp. Eye Res. 2007 January 84(1) 185-190
【非特許文献5】British Journal of Anaesthesia 1998, 81 606-607
【非特許文献6】Neuropeptides (1999) 33(5) 360-368
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
以下の特性の組み合わせを示す、保管寿命が改善されたジアザ2環性の化合物を含む液体医薬投与形態を入手可能とすることに対する必要性が感じられていた:
− 製剤で相が分離しても、出発組成物の均質性および保管寿命が回復される、
− 水または水溶液で希釈可能、
− 上記の液体医薬組成物中での、ヒトおよび哺乳類での有効治療に適する濃度に少なくとも等しい濃度の活性成分の可溶化、
− 従来技術の問題点を回避する、界面活性剤/活性成分の重量比の低減。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記の技術的問題を解決する医薬組成物が、本出願人により、驚くべきことに、そして予期せぬことに見出された。
本発明の目的は、重量%で示される量の以下の成分:
S) 以下のクラス:
− 任意にフッ素原子を含有していてもよい、非イオン、アニオン、カチオン、および両性の界面活性剤から選択される界面活性剤、
− 溶解している液体中で、凝集体、ミセル、液晶、小胞として組織化された(organized)構造を形成するポリマー
から選択される、1つ以上の医薬的に許容される化合物0.01%〜95%、
【0019】
O) 以下のクラスの医薬的に許容される化合物:
− 1つ以上のエチレンタイプの不飽和を任意に含んでいてもよいC4-C32の酸エステル、
− 1つ以上のエチレンタイプの不飽和を任意に含んでいてもよいC4-C32の酸(これらは、最終組成物が、該酸が対応する塩に変換されないpHを有する場合に用いられる)
から選択される1種以上の油0.01%〜95%、
【0020】
PA) 式A'のジアザ2環性の化合物0.001%〜90%:
【化2】

(式中、tは1または2に等しい整数であり;
rは、1、2または3に等しく、tに依存して次の値
t=1のときr=1、2または3;
t=2のときr=2または3;
を有する整数であり:
t=1のとき、ジアザ2環性の環の窒素原子の置換基WおよびYの一方は、アシル基-C(O)-RB (ここで、RBは直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC1-C10アルキル基である)であり、他方の置換基は:
【0021】
【化3】

(式中、Zは以下の意味を有する:
− C6-C10アリール基、
− C5-C7シクロアルキル基、
− 窒素、酸素および硫黄から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む、5または6原子を環に有する芳香族複素環式基;
【0022】
Q'は、水素、直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC1-C4アルキル、C5-C7シクロアルキル、またはフェニルから選択される)
から選択され、
t=2のとき、ジアザ2環性の環の窒素原子の置換基WおよびYの一方は、アシル基-C(O)-RB (ここで、RBは上記で定義されたとおりである)であり、WおよびYのうちの残りの他方の置換基は、以下の意味:
【0023】
【化4】

(式中、
− Tは、飽和または不飽和の、直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC2-C9脂肪族鎖であり、
− T1は、以下の意味を有する:水素、イソチオシアネート、CN、OR'、C(O)OR'、C(O)R'、C(O)NR'R''、NR'R'' (ここで、R'およびR''は、互いに同一または異なって、水素、直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC1-C7アルキル、C1-C7アルコキシ、C1-C7アルキルチオ、C1-C7ハロアルキル、C1-C7ハロアルコキシ、C3-C15シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、
− T2およびT3は、互いに同一または異なって:
− 水素、但し:
− WおよびYのうちの一方の置換基が式(XVII)を有するとき、T1、T2およびT3の少なくとも1つは水素でない、
− WおよびYのうちの一方の置換基が式(XVIII)を有するとき、T2およびT3の少なくとも1つは水素でない、
− 直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC1-C10アルキル、
− アリールまたはヘテロアリール、
− C3-C15シクロアルキル
から選択される置換基であり、
− T4は、T2およびT3と同じ意味であるが、水素を除く)
を有する)
【0024】
AD) 以下のクラス:
− 水および/または油の極性の改質剤、
− 成分S)のフィルムの曲率(curvature)の改質剤、
− 補助界面活性剤(co-surfactants)
から選択される1種以上の化合物0%〜60%、
WA) 任意に緩衝されていてもよい、水または生理食塩水溶液0.01%〜99.9%
を含み、各成分の合計が100%であり、
S) / PA)の重量比が、同じ組成を有するが成分O)を含まないマイクロエマルジョン中のS) / PA)の重量比に対して、少なくとも10%より低く、好ましくは少なくとも30%より低い、マイクロエマルジョンの形態の医薬組成物である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
マイクロエマルジョンの形態の本発明の組成物は、澄明で透明であり、好ましくは液体である。粘度が非常に高い場合、本発明の組成物は、ゲルの形態であり得る。
【0026】
成分S)において、フッ素原子を含有する界面活性剤は、(ペル)フッ素化鎖、例えば(ペル)フルオロポリエーテル鎖を有し得る。
成分S)のポリマーが溶解して組織化された構造を形成する液体は、水および/または油である。用い得る油を以下に記載するが、天然および合成の起源のいずれであってもよい。
【0027】
成分PA)において、RBは、C3-C10シクロアルキルもしくはC6-C10アリール環、または飽和もしくは不飽和の、N、SおよびOから選択される1つ以上のヘテロ原子を含むC3-C10複素環を任意に含み得る。
【0028】
Zにおいて、C6-C10アリール基は、C1-C3アルコキシ、C1-C2ハロアルコキシ、C1-C3アルキル、ハロゲン、カルボキシ、シアノ、ニトロ、-CONHZ' (Z'は、直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC1-C4アルキルを意味する)から選択される、互いに同一または異なる1つ以上の基で任意に置換されていてもよい。
Zにおいて、5または6原子を環に有する芳香族複素環式基は、ベンゼン環と任意に縮合していてもよい。さらに、5または6原子を環に有する芳香族複素環式基は、ZがC6-C10アリール基を意味する場合について上記したものから選択される、互いに同一または異なる1つ以上の置換基で任意に置換され得る。
【0029】
Q'がC5-C7シクロアルキルまたはフェニルを意味するとき、これらの基は、ZがC6-C10アリール基を意味する場合について上記したものから選択される、互いに同一または異なる1つ以上の基で任意に置換され得る。
【0030】
T1がOR'、C(O)OR'、C(O)R'、C(O)NR'R''、NR'R''を意味し、R'および/またはR''がC3-C15シクロアルキルを意味するとき、このシクロアルキルは、1つ以上のヘテロ原子、好ましくはO、S、Nから選択されるものを任意に含み得る。
T1がOR'、C(O)OR'、C(O)R'、C(O)NR'R''、NR'R''を意味し、R'および/またはR''がC3-C15シクロアルキル、アリール、およびヘテロアリールを意味する場合、これらの構造は、ヒドロキシ、ハロゲン、直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC1-C10アルキルから選択される1つ以上の基で任意に置換され得る。
【0031】
T2およびT3が直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC1-C10アルキルを意味する場合、このアルキルは、ヒドロキシ、ハロゲン、CN、C3-C15シクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールから選択される、互いに同一または異なる1つ以上の基で任意に置換され得る。C3-C15シクロアルキルは、1つ以上のヘテロ原子、好ましくはO、S、Nから選択されるものを任意に含み得る。C3-C15シクロアルキル、アリールおよびヘテロアリールは、ヒドロキシ、ハロゲン、C1-C10アルキル、C1-C7アルコキシ、C1-C7アルキルチオ、C1-C7ハロアルキル、C1-C7ハロアルコキシ(これらの構造は全て、直鎖状または可能なとき分枝鎖状である)から選択される1つ以上の基で任意に置換され得る。
【0032】
T2およびT3がアリールまたはヘテロアリールを意味するとき、このアリールまたはヘテロアリールは、以下から選択される、互いに同一または異なる1つ以上の基で任意に置換され得る:
ヒドロキシ、ハロゲン、CNから選択される、互いに同一または異なる1つ以上の基で任意に置換されていてもよい、直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC1-C10アルキル;
1つ以上のヘテロ原子、好ましくはO、S、Nから選択されるものを任意に含んでいてもよいC3-C15シクロアルキル。このシクロアルキルは、ヒドロキシ、ハロゲン、直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC1-C10アルキル、C1-C7アルコキシ、C1-C7アルキルチオ、C1-C7ハロアルキル、C1-C7ハロアルコキシから選択される、互いに同一または異なる1つ以上の基で任意に置換され得る;
ヒドロキシ、ハロゲン、直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC1-C10アルキル、C1-C7アルコキシ、C1-C7アルキルチオ、C1-C7ハロアルキル、C1-C7ハロアルコキシから選択される、互いに同一または異なる1つ以上の基で任意に置換されていてもよいアルキルアリールまたはアリールまたはヘテロアリールまたはアルキルへテロアリール。
【0033】
T2およびT3がC3-C15シクロアルキルを意味するとき、このシクロアルキルは、1つ以上のヘテロ原子、好ましくはO、S、Nから選択されるものを任意に含み得る。さらに、シクロアルキルは、以下から選択される、互いに同一または異なる1つ以上の基で任意に置換され得る:
ヒドロキシ、ハロゲン、CNから選択される、互いに同一または異なる1つ以上の基で任意に置換されていてもよい、直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC1-C10アルキル;
1つ以上のヘテロ原子、好ましくはO、S、Nから選択されるものを任意に含んでいてもよいC3-C15シクロアルキル。さらに、このシクロアルキルは、ヒドロキシ、ハロゲン、直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC1-C10アルキル、C1-C7アルコキシ、C1-C7アルキルチオ、C1-C7ハロアルキル、C1-C7ハロアルコキシから選択される、互いに同一または異なる1つ以上の基で任意に置換され得る;
ヒドロキシ、ハロゲン、直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC1-C10アルキル、C1-C7アルコキシ、C1-C7アルキルチオ、C1-C7ハロアルキル、C1-C7ハロアルコキシから選択される、互いに同一または異なる1つ以上の基で任意に置換されていてもよいアリールアルキルまたはアリールまたはヘテロアリールまたはへテロアリールアルキル。
【0034】
好ましい化合物PA)は、WおよびYのうちの一方の置換基が-C(O)CH3または-C(O)C2H5から選択され、WおよびYのうちの残りが、
− t=1のとき、(XIV)または(XV)の基から選択され、
− t=2のとき、(XVII)の基(ここで、T1=Hである)または(XVIII)の基から選択される
ものである。
【0035】
最も好ましい化合物PA)は、WおよびYのうちの一方の置換基が-C(O)CH3または-C(O)C2H5から選択され、他方の置換基が、
− t=1のとき、(XIV)または(XV)の基(ここで、置換基Q'およびZの少なくとも一方はアリールを意味する)から選択され、
− t=2のとき、(XVII)の基(ここで、T1=Hである)または(XVIII)の基(ここで、置換基T2およびT3の少なくとも一方はアリールを意味する)から選択される
ものである。
【0036】
マイクロエマルジョンとは、互いに不混和性の2つ以上の相から形成される、透明で、等方性であり、少なくとも1つの水相と少なくとも1つの油相とを含む系を意味し、ここでは、多様な相が、任意に1種以上の補助界面活性剤の存在下で、成分S)により安定化されている。補助界面活性剤は、以下に定義される。例えば、R.K. Mitra, Physicochemical investigations of microemulsification of eucalyptus oil and water mized surfactants (AOT + Brij-35) and butanol, J. Colloid and Interface Science, 283 (2005) 565-577を参照されたい。
【0037】
本発明の好ましいマイクロエマルジョンは、以下のものである(重量%で):
− 成分S) 0.01〜60%;
− 成分O) 0.01〜90%;
− 成分PA) 0.001〜50%;
− 成分AD) 0〜20%;
− 成分WA) 0.1〜99.9%、
成分の合計が100%である。
【0038】
以下の組成を有するマイクロエマルジョンがより好ましい:
− 成分S) 0.01〜50%;
− 成分O) 0.01〜90%;
− 成分PA) 0.05〜50%;
− 成分AD) 0〜10%;
− 成分WA) 10〜99.9%、
成分の合計が100%である。
【0039】
以下の組成を有するマイクロエマルジョンが、さらにより好ましい:
− 成分S) 0.01〜50%;
− 成分O) 0.01〜50%;
− 成分PA) 0.05〜50%;
− 成分AD) 0〜10%;
− 成分WA) 20〜99.9%、
成分の合計が100%である。
【0040】
好ましい界面活性剤成分S)は、非イオン性またはアニオン性のものである。非イオン性界面活性剤のうち、最も好ましいものは、ポリオキシアルキレン鎖、好ましくはポリオキシエチレン鎖を含有するものである。例えば以下のものを挙げることができる:
例えば商品名Cremophor (登録商標) EL (BASF)により知られる、ひまし油のエトキシ化により製造されるポリオキシル35ひまし油、
例えば商品名Cremophor (登録商標) RH40 (BASF)により知られる、硬化ひまし油のエトキシ化により製造されるポリオキシル40硬化ひまし油、
例えば商品名Solutol (登録商標) HS15 (BASF)により知られる、15モルのエチレンオキシドと、1モルの12-ヒドロキシステアリン酸との反応により製造されるポリエチレングリコール15ヒドロキシステアレート、
Tween (登録商標) 80、Tween (登録商標) 20、Tween (登録商標) 60、Tween (登録商標) 85のようなポリオキシエチレンポリソルベート、
【0041】
ソルビタンモノラウレートおよびソルビタンモノステアレートのような脂肪酸のソルビタンエステル、例えばSpan (登録商標) 20およびSpan (登録商標) 60の名前でそれぞれ商品化されている、
ビタミンE/TPGS:トコフェリルプロピレングリコール1000スクシネート、
Brij (登録商標)シリーズ、例えばBrij (登録商標) 35、Brij (登録商標) 76、Brij (登録商標) 98のような脂肪酸のポリオキシエチレンエーテル、
【0042】
PEG-12-アシルオキシ-ステアレート、例えばC.E. McNameeら, "Physicochemical Characterization of PEG 1500-12-acyloxy-stearate micelles and liquid crystalline phases", Langmuir, 2005, 21, 8146-8145を参照されたい。脂肪酸のポリオキシエチレンエーテルのうち、例えば以下のものを挙げることができる:
− PEG 1500モノ-12-カプリロイルオキシステアレート(PEG 1500-C18C8)、
− PEG 1500モノ-12-カプロイルオキシステアレート(PEG 1500-C18C10)、
− PEG 1500モノ-12-ラウロイルオキシステアレート(PEG 1500-C18C12)、
− PEG 1500モノ-12-ミリストイルオキシステアレート(PEG 1500-C18C14)、
− PEG 1500モノ-12-パルミトイルオキシステアレート(PEG 1500-C18C16)。
【0043】
アニオン性界面活性剤のうち、例えば以下のものを挙げることができる:
例えば商品名Epikuron (登録商標) 200により知られる大豆レシチン、ビス-2-エチルヘキシルスルホ-スクシネート、(AOT)、タウロコール酸ナトリウム。
【0044】
カチオン性界面活性剤のうち、例えば、ヘキサデシル-トリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)およびジドデシルアンモニウムブロミド(DDAB)を挙げることができる。
【0045】
成分S)として用い得るポリマーは、水相および/または油相に溶解性でなければならない。溶解性とは、ポリマーが、それらが溶解している相において、組織化された構造、例えば凝集体、ミセル、液晶、小胞の形成を可能にする濃度に少なくとも等しい濃度に達することを意味する。上記の組織化された構造の存在は、レーザ光走査(LLS)、中性子走査、顕微鏡のような、分散系の物理化学の特定の技術により検出できる。
【0046】
上記のように、ポリマー成分S)は、上記の界面活性剤との組み合わせで用いることもできる。この場合も、用いられる液相中で溶解されるポリマーの濃度は、上記の組織化された構造を形成するようなものでなければならない。
【0047】
ポリマー成分S)は、例えば、Kollidon (登録商標)、例えばKollidon (登録商標) 12PFおよびKollidon (登録商標) 17PF (BASF)の名前により商品化されているポリビニルピロリドンおよびビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマー、ならびにポリオキシエチレン鎖を含むブロックコポリマー、より好ましくはポリオキシエチレン鎖(PEO)を含むもの、例えば、BASFにより商品化されている商品名Pluronic (登録商標)またはPoloxamer (登録商標)またはLutol (登録商標)、例えばLutol (登録商標) F68およびLutol (登録商標) F127で商業的に入手可能なPEO-PPO-PEO構造を特徴とするポリオキシプロピレン鎖(PPO)を有するPEOブロックコポリマーである。
【0048】
成分O)のエステルは、対応する酸と、脂肪鎖、好ましくはC1-C5鎖もしくはポリオキシアルキレン鎖を有するアルコール、またはグリセリンとのエステル化により好ましくは得られる。この場合、モノ-、ジ-、またはトリ-グリセリドが得られる。
【0049】
例えば以下のエステルを挙げることができる:
例えば商品名Labrafil (登録商標) 1944 CS (Gattefosse)により商品化される、オレオイルマクロゴール6グリセリド(不飽和ポリグリコシル化グリセリド)、
例えば商品名Labrafac (登録商標) PG (Gattefosse)により知られる、プロピレングリコールカプリレートカプレート、
例えば商品名Capmul (登録商標) PG-8 (Abitec)により商品化される、カプリル酸のプロピレングリコールモノエステル
グリセロールオレエート(例えばPaceol (登録商標) (Gattefosse))、
【0050】
中鎖モノ-およびジ-グリセリド、例えばカプリン酸およびカプリル酸のグリセリド(例えばCapmul (登録商標) MCM (Abitec)、Imwitor (登録商標) 308 (Sasol))、
ポリグリセロールオレエート(例えばPluro (登録商標) oleic (Gattefosse))、
カプリン酸/カプリル酸のトリグリセリド(例えばMiglyol (登録商標) 812およびMiglyol (登録商標) 810 (Sasol)、Labrafac (登録商標) CC CS (Gattefosse))、
エチルブチレート、エチルカプリレート、エチルオレエート、
例えばSasolによりDYNASAN (登録商標) 116の名前で商品化されるトリパルミチン。
上記のエステルを1種以上含む、医薬グレードの純度の植物油も用いることができる。例えば大豆油を挙げることができる。
【0051】
成分O)の酸のうち、ステアリン酸、オメガ-3酸およびオメガ-6酸を挙げることができる。
【0052】
成分AD)において、水および/または油の極性の改質剤は、例えばポリエチレングリコールであり得る。Lutrol (登録商標) E300およびLutrol (登録商標) E400 (BASF)を挙げることができる。脂肪族アルコール、例えばエタノールも用いることができる。
成分AD)において、成分S)フィルムの曲率の改質剤は、例えば脂肪族アルコール、好ましくはC2-C5である。
【0053】
成分AD)において、補助界面活性剤は、例えば、上記で定義される界面活性化合物、または脂肪族アルコール、好ましくは少なくとも6炭素原子を有する鎖を有するものであり得る。例えば、以下のものを挙げることができる:
例えば商品名Campul (登録商標) PG12 (Gattefosse)またはLauroglycol (登録商標) 90 (Gattefosse)により知られる、プロピレングリコールモノラウレート、
例えば商品名Labrasol (登録商標)、Gelucire 44-14 (Gattefosse)により商品化される、カプリロカプロイルマクロゴール8グリセリド(飽和エチルジグリコシル化グリセリド)、
例えば商品名Transcutol (登録商標) (Gattefosse)により知られる、ジエチレングリコールモノエチルエーテル。
【0054】
マイクロエマルジョンの形態の本発明による組成物は、広い範囲の温度、通常、0℃〜80℃、好ましくは4℃〜45℃において安定である。
【0055】
本発明のマイクロエマルジョンは、以下の工程を含む方法を用いて製造される:
(IP) 式A'のジアザ2環性の化合物を、油中に溶解し、
(IIP) 成分S)を上記の油の溶液に加え、
(IIIP) 成分AD)を上記の油相に任意に加え、
(IVP) 水または生理食塩水溶液を上記の油相に加えて、澄明な溶液を得る。
工程(IVP)において、水または生理食塩水溶液は、好ましくは撹拌の下で得られた油相に加えられる。
この方法の各工程は、0℃〜80℃の範囲の温度で行うことができる。
【0056】
上記の工程を行う順序を変更するか、または、例えば以下のように行うことによっても、澄明な溶液の形のマイクロエマルジョンを得ることができる:
(I') 式A'のジアザ2環性の化合物を油に溶解し、
(II') 成分S)を水相(水または生理食塩水)に加え、
(III') 成分AD)を水相に任意に加え、
(IV') 工程(I')の油相を、工程(II')の水相または任意の(III')の水相と混合する。
工程(IV')において、混合は、撹拌の下で行うのが好ましい。
操作する温度範囲は、上記と同様である。
【0057】
本発明のマイクロエマルジョンにおいて、活性成分に対する界面活性剤の含量が、成分O)を含有しないマイクロエマルジョンのそれに比べてより低いことが、本出願人により驚くべきことに、そして予期せぬことに見出された。このことは、特にPA)に対して著しい量で界面活性剤が存在するときの、界面活性剤の望ましくない潜在的な影響を低減するので、非常に有利である。
【0058】
本出願人は、よりよい保管寿命を有する式A'のジアザ2環性の化合物を含有する医薬製剤を製造できることを、驚くべきことに、そして予期せぬことに見出した。式A'の化合物を用いてマイクロエマルジョンを製造できることが、驚くべきことに、そして予期せぬことに見出された。本発明の医薬製剤は、以下の特性の組み合わせを示す:
− 水または水溶液で希釈可能、
− 液体医薬組成物中での、ヒトおよび哺乳類での有効治療濃度に少なくとも等しい濃度の活性成分の溶溶解、
− 保管寿命の改善、
− 製剤で相が分離しても、出発組成物の均質性および保管寿命が回復される、
− 従来技術の問題点を回避する、界面活性剤/活性成分の重量比の低減。
【0059】
本出願人は、ある時間安定な、活性成分が濃縮された、例えば50%より高い濃度を有するマイクロエマルジョンを得ることができることも、驚くべきことに、そして予期せぬことに見出した。さらに、濃縮されたマイクロエマルジョンを水および/または油で希釈して、希釈組成物を得ることもできる。濃縮マイクロエマルジョンから出発して、例えば、水または等張生理食塩溶液で希釈することにより、有効量の活性成分を含有する即時使用可能な医薬組成物を得ることができるので、このことは、著しく有利である。
【0060】
化合物A'は、シスおよびトランスの異性体および/または化合物中に1つ以上のキラル中心が存在する場合に光学異性体の形で存在できる。
【0061】
本発明は、1つ以上のオピオイド性受容体μ、δ、κまたはそれらの受容体サブクラスに対する高い親和性および選択性を有するので、この受容体クラスの実質的に1つのみの受容体または同時に複数のオピオイド受容体のいずれに対しても作用できる、ホモピペラジン主環を有するジアザ2環性のノナンおよびデカン誘導体の特定のクラスにも関する。
【0062】
それゆえ、本発明のさらなる目的は、ホモピペラジン主環を有し、オピオイド性μおよび/もしくはδおよび/もしくはκ受容体ならびに/またはそれらの受容体のサブクラスに親和性を有し、中枢神経系および/または末梢系に活性を有し、その異性体およびそれらの混合物を含む(ここで、環原子は任意に種々の同位体の形態であってもよい)式(I):
【化5】

【0063】
[式中、
− nは1または2に等しい整数であり、
− ジアザ2環性の環の窒素原子の置換基RとR1の1つは-C(O)-RB基(ここで、RBは、直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC1-C10アルキル基である)であり、
− RとR1のうちの他の置換基は次の(II)〜(X)の基から選択され:
構造(II):
【化6】

【0064】
(式中、
− RCは、直鎖状または可能なとき分枝鎖状の2価の飽和のC3-C10脂肪族鎖であり、
− Bは、水素、イソチアシアネート、CN、OR'、C(O)OR'、C(O)R'、C(O)NR'R''、NR'R''から選択される基であり、R'およびR''は、互いに同一または異なって、水素、直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC1-C7アルキル、C1-C7アルコキシ、C1-C7アルキルチオ、C1-C7ハロアルキル、C1-C7ハロアルコキシ、C3-C15シクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールから選択され、
− DおよびR2は、互いに同一または異なって、
− 水素、但し、式(II)中のB、DおよびR2のうちの少なくとも1つの置換分は水素ではなく、
− 直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC1-C10アルキル、
− アリールまたはヘテロアリール、
− C3-C15シクロアルキル
から選択される置換基である)、
【0065】
式(III):
【化7】

【0066】
(式中、
− B'は前記で定義されたBと同じであり、
− R3は水素、またはそれぞれR2について定義されたアルキル、アリール、ヘテロアリールまたはシクロアルキル置換基であり、
− R4は次の意味:
− 直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC1-C10アルキル、
− 好ましくはO、S、Nから選択される1以上のへテロ原子を任意に含んでいてもよいC3-C15シクロアルキル、
を有し、B'およびR3の両方が水素でないとき、R4はアリールまたはヘテロアリールのさらなる意味を有する)、
【0067】
式(IV):
【化8】

【0068】
(式中、
− B''は前記で定義されたB'と同じ意味を有し、
− R5は前記で定義されたR3と同じ意味を有し、
− R6は前記で定義されたR4と同じ意味を有するか、またはアリールもしくはヘテロアリールである)、
【0069】
式(V):
【化9】

(式中、
− RDは、2価の飽和または不飽和の、直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC2-C8脂肪族鎖であり、
− BIIIおよびR7は、互いに同一または異なって、前記で定義されたR2と同じ意味を有する、但し、BIIIおよびR7は両方がともに水素ではない)、
【0070】
式(VI):
【化10】

(式中、
− REは不飽和の2価の、直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC2-C8脂肪族鎖であり、
− BIVは前記で定義されたBと同じ意味を有し、
− DIおよびDIIは前記で定義されたR2と同じ意味を有する、
但し、式(VI)において、BIV、DIIおよびDIのうちの少なくとも1つの置換分は水素ではない)、
【0071】
式(VII):
【化11】

(式中、
− DIIIおよびDIVは、互いに同一または異なって、前記で定義されたR2と同じ意味を有するが、水素を除く)、
【0072】
式(VIII):
【化12】

(式中、DVは前記で定義されたアリールまたはヘテロアリール以外のR4の意味を有する)、
【0073】
式(IX):
【化13】

(式中、RFは、飽和または不飽和の、直鎖状または可能なとき分枝鎖状の、2価のC2-C8脂肪族鎖であり、R8は前記で定義されたR2と同じ意味を有するが、R8が水素の意味を除く)、
【0074】
式(X):
【化14】

(式中、R9は前記で定義されたR4と同じ意味を有するが、アリールまたはヘテロアリールを除く)
から選択される]
を有する、ジアザ2環性のノナンおよびデカン誘導体である。
【0075】
式(II)における置換基BがOR'、C(O)OR'、C(O)R'、C(O)NR'R''、NR'R''から選択される基であり、R'および/またはR''がC3-C15シクロアルキルの意味を有するとき、該シクロアルキルは、好ましくはO、S、Nから選択される1以上のヘテロ原子を任意に含み得る。
【0076】
式(II)における置換基BがOR'、C(O)OR'、C(O)R'、C(O)NR'R''、NR'R''から選択される基であり、R'および/またはR''がC3-C15シクロアルキル、アリールおよびヘテロアリールの意味を有するとき、該C3-C15シクロアルキル、アリールおよびヘテロアリールは、ヒドロキシ、ハロゲン、直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC1-C10アルキルから選択される1以上の基で任意に置換され得る。
【0077】
式(II)におけるDおよび/またはR2が、直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC1-C10アルキルの意味を有するとき、アルキルはヒドロキシ、ハロゲン、CN、C3-C15シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールから選択される、互いに同一または異なった1以上の基で任意に置換され得る。該シクロアルキルは、好ましくはO、S、Nから選択される1以上のヘテロ原子を任意に含み得る。該C3-C15シクロアルキル、アリールおよびヘテロアリールは、ヒドロキシ、ハロゲン、直鎖状または可能なとき分枝鎖状の、C1-C10アルキル、C1-C7アルコキシ、C1-C7アルキルチオ、C1-C7ハロアルキル、C1-C7ハロアルコキシから選択される1以上の基で任意に置換され得る。
【0078】
式(II)におけるDおよび/もしくはR2ならびに/または式(IV)におけるR6が、アリールまたはヘテロアリールの意味を有するとき、これらの構造は、互いに同一または異なった次の基:ヒドロキシ、ハロゲン、CNから選択される、互いに同一または異なった1以上の基で任意に置換されていてもよい、直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC1-C10アルキル、
好ましくはO、S、Nから選択される1以上のヘテロ原子を任意に含んでいてもよいC3-C15シクロアルキル
から選択される1以上の基で任意に選択され得る。
【0079】
該シクロアルキルは、ヒドロキシ、ハロゲン、直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC1-C10アルキル、C1-C7アルコキシ、C1-C7アルキルチオ、C1-C7ハロアルキル、C1-C7ハロアルコキシ、
アリールアルキルまたはアリールまたはヘテロアリールまたはヘテロアリールアルキル(これらの基は、ヒドロキシ、ハロゲン、直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC1-C10アルキル、C1-C7アルコキシ、C1-C7アルキルチオ、C1-C7ハロアルキル、C1-C7ハロアルコキシから選択される、互いに同一または異なった1以上の基で任意に置換されていてもよい)
から選択される、互いに同一または異なった1以上の基で任意に置換され得る。
【0080】
式(II)におけるDおよび/またはR2が、C3-C15シクロアルキルの意味を有するとき、該シクロアルキルは、好ましくはO、S、Nから選択される1以上のヘテロ原子を任意に含み得る。さらに、シクロアルキルは、次の基:ヒドロキシ、ハロゲン、CNから選択される、互いに同一または異なった1以上の基で任意に置換されていてもよい、直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC1-C10アルキル、
好ましくはO、S、Nから選択される1以上のヘテロ原子を任意に含んでいてもよいC3-C15シクロアルキル
から選択される、互いに同一または異なった1以上の基で任意に置換され得る。
【0081】
該シクロアルキルは、ヒドロキシ、ハロゲン、直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC1-C10アルキル、C1-C7アルコキシ、C1-C7アルキルチオ、C1-C7ハロアルキル、C1-C7ハロアルコキシ、
アリールアルキルまたはアリールまたはヘテロアリールまたはヘテロアリールアルキル(該基は、ヒドロキシ、ハロゲン、直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC1-C10アルキル、C1-C7アルコキシ、C1-C7アルキルチオ、C1-C7ハロアルキル、C1-C7ハロアルコキシから選択される、互いに同一または異なった1以上の基で任意に置換されていてもよい)
から選択される、互いに同一または異なった1以上の基で任意に置換され得る。
【0082】
式(III)において、R4が直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC1-C10アルキルの意味を有するとき、該C1-C10アルキルは、ヒドロキシ、ハロゲン、CN、アリール、ヘテロアリール、または好ましくはO、S、Nから選択される1以上のヘテロ原子を任意に含んでいてもよいC3-C15シクロアルキルから選択される、互いに同一または異なった1以上の基で任意に置換され得る。
【0083】
該C3-C15シクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールは、ヒドロキシ、ハロゲン、直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC1-C10アルキル、アリールアルキルまたはアリールまたはヘテロアリールまたはヘテロアリールアルキルから選択される、互いに同一または異なった1以上の基で任意に置換され得る。
【0084】
該アリールアルキルまたはアリールまたはヘテロアリールまたはヘテロアリールアルキルは、ヒドロキシ、ハロゲン、直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC1-C10アルキル、C1-C7アルコキシ、C1-C7アルキルチオ、C1-C7ハロアルキル、C1-C7ハロアルコキシから選択される、互いに同一または異なった1以上の基で任意に置換され得る。
【0085】
式(III)において、R4が、好ましくはO、S、Nから選択される1以上のヘテロ原子を任意に含んでいてもよいC3-C15シクロアルキルの意味を有するとき、該シクロアルキルは、互いに同一または異なった次の基:
ヒドロキシ、ハロゲン、CNから選択される、互いに同一または異なった1以上の基で任意に置換されていてもよい、直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC1-C10アルキル、
好ましくはO、S、Nから選択される、互いに同一または異なった1以上のヘテロ原子を任意に含んでいてもよいC3-C15シクロアルキル(該シクロアルキルは、ヒドロキシ、ハロゲン、直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC1-C10アルキル、アリールアルキルまたはアリールまたはヘテロアリールまたはヘテロアリールアルキル
から選択される、互いに同一または異なった1以上の基で任意に置換されていてもよい)
から選択され1以上の基で任意に置換され得る。
【0086】
該アリールアルキルまたはアリールまたはヘテロアリールまたはヘテロアリールアルキルは、ヒドロキシ、ハロゲン、直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC1-C10アルキル、C1-C7アルコキシ、C1-C7アルキルチオ、C1-C7ハロアルキル、C1-C7ハロアルコキシ、
ヒドロキシ、ハロゲン、直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC1-C10アルキル、C1-C7アルコキシ、C1-C7アルキルチオ、C1-C7ハロアルキル、C1-C7ハロアルコキシから選択される、互いに同一または異なった1以上の基で任意に置換されていてもよい、アリールアルキルまたはアリールまたはヘテロアリールまたはヘテロアリールアルキル
から選択される、互いに同一または異なった1以上の基で任意に置換され得る。
【0087】
式(III)において、B'およびR3は両方がともに水素ではなく、R4がアリールまたはヘテロアリールの意味も有するとき、これらの構造は、互いに同一または異なった次の1以上の基:
ヒドロキシ、ハロゲン、CNから選択される、互いに同一または異なった1以上の基で任意に置換されていてもよい、直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC1-C10アルキル、
好ましくはO、S、Nから選択される、互いに同一または異なった1以上のヘテロ原子を任意に含んでいてもよいC3-C15シクロアルキル
で任意に置換され得る。
【0088】
該シクロアルキルは、互いに同一または異なった次の基:ヒドロキシ、ハロゲン、直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC1-C10アルキル、アリールアルキルまたはアリールまたはヘテロアリールまたはヘテロアリールアルキルの1以上で任意に置換され得る。
【0089】
該アリールアルキルまたはアリールまたはヘテロアリールまたはヘテロアリールアルキルは、ヒドロキシ、ハロゲン、直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC1-C10アルキル、C1-C7アルコキシ、C1-C7アルキルチオ、C1-C7ハロアルキル、C1-C7ハロアルコキシ、
ヒドロキシ、ハロゲン、直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC1-C10アルキル、C1-C7アルコキシ、C1-C7アルキルチオ、C1-C7ハロアルキル、C1-C7ハロアルコキシから選択される、互いに同一または異なった1以上の基で任意に置換されていてもよい、アリールアルキルまたはアリールまたはヘテロアリールまたはヘテロアリールアルキル
から選択される、互いに同一または異なった1以上の基で任意に置換され得る。
【0090】
別に特定されていなとき、本発明において、次の意味を有する。
アルキルまたはアルキル鎖は、脂肪族鎖が1つの遊離の原子価を有する、飽和のC1-C40、好ましくはC1-C10の直鎖状または可能なとき分枝鎖状の脂肪族鎖を意味する。
2価の飽和の脂肪族鎖は、水素原子で飽和された炭素原子から形成され、互いに単結合で結合し、主鎖の各末端に1つの遊離の原子価を有する、直鎖状または可能なとき分枝鎖状の炭化水素鎖を意味する。
【0091】
2価の不飽和の脂肪族鎖は、単結合と少なくとも1つの2重または3重結合で互いに結合した炭素原子から形成され、該鎖が各末端に1つの遊離の原子価を有し、炭素原子の他の原子価が水素原子で飽和されている炭化水素鎖を意味する。
【0092】
シクロアルキルは、例えば3〜8の炭素原子、好ましくは5〜6の炭素原子の1つの環をもつか、または好ましくは8〜19の炭素原子を有する、より多くの縮合したシクロアルキル環を有する構造をもつシクロアルキルを意味する。
【0093】
飽和ヘテロサイクルは、シクロアルキル環の少なくとも1つの炭素原子が、好ましくはS、O、Nから選択されるヘテロ原子で置換された、上記で定義されたシクロアルキルを意味する。
【0094】
不飽和へテロサイクルは、1以上のシクロアルキル環中に1以上の2重結合を有する以外は上記で定義された飽和ヘテロサイクルを意味するが、環構造は芳香族ではない。
【0095】
ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素から選択される原子を意味する。
ハロアルキルまたはハロアルキル鎖は、1以上の水素原子がハロゲン原子で置換された前記で定義されたアルキル、例えばトリフルオロメチル、1-ブロモ-n-ブチル、ペンタクロロエチルを意味する。
【0096】
アリールは、C6芳香族単環基または少なくとも1つの環が芳香族であるC7-C19の多環基を意味し、該基は炭素と水素原子を含む。
アルキルアリールは、1つの水素原子が前記で定義されたアリール基で置換され、遊離の原子価がアリール上にある、直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC1-C7のアルキル基を意味する。
【0097】
アリールアルキルは、遊離の原子価がアルキル部分にあり、前記で定義されたアリールに結合した、直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC1-C10アルキルを意味し、例えばベンジルが挙げられ得る。
【0098】
ヘテロアリールは、環の少なくとも1つの原子が好ましくはS、O、Nから選択されるヘテロ原子である、5環原子を有するものも同様である以外は前記で定義されたアリールを意味する。
【0099】
アルキルへテロアリールは、1つの水素原子が前記で定義されたヘテロアリール基で置換された、直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC1-C7アルキル基を意味する。
【0100】
ヘテロアリールアルキルは、環原子の少なくとも1つの原子が好ましくはO、S、Nから選択されるヘテロ原子である、5環原子を有するものも同様である以外は前記で定義されたアリールアルキルを意味する。
【0101】
受容体に親和性を有する化合物は、インビボおよび/もしくはインビトロおよび/もしくはエキス-ビボで、受容体に対してアゴニスト活性、またはアンタゴニスト、または部分アゴニスト、または部分アンタゴニスト、または逆アゴニスト、または逆アンタゴニスト、または逆部分アゴニスト、または逆部分アンタゴニスト活性を有する化合物を意味する。該用語の意味は当業者に公知である。
【0102】
オピオイド受容体およびオピオイド性受容体は、受容体μおよび/もしくはδおよび/もしくはκ、ならびに/またはそれらの受容体のサブクラスを意味する。
オピオイド性受容体μ、δおよびκの受容体のサブクラスは、受容体μ1、μ2、δ1、δ2、κ1、κ2およびκ3を意味する。
【0103】
式(I)の好ましい化合物は、ジアザ2環性の環の窒素原子の置換基RおよびR1の1つが基-C(O)-RBであり、RとR1のうちの残った他の置換基が式(II)〜(X)の構造:ここで、
式(II)において、RCは2価の飽和の直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC3-C7脂肪族鎖であり、Bは水素である、
【0104】
式(III)において、B'は水素であり、R3は、R2で定義されたアルキル、アリール、ヘテロアリールまたはシクロアルキルから選択される置換基であり、ここでR4は前記で定義されたとおりであり、前記で定義されたアリールまたはヘテロアリールの意味をさらに含む、
【0105】
式(IV)において、B''は水素である、
式(V)において、RDは飽和または不飽和の2価の、直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC2-C5脂肪族鎖であり、BIIIおよびR7は、互いに同一または異なってR2と同じ意味を有するが、BIIIとR7は両方がともに水素ではない、
【0106】
式(VI)において、REは2価の不飽和の直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC2-C5脂肪族基であり、BIVは水素であり、DIIおよびDIはR2と同じ意味を有するが、式(VI)においてDIIとDIのうちの少なくとも1つの置換分は水素ではない、
式(VII)〜(X)は前記で定義されたとおりである
から選択されるものである。
【0107】
式(I)の最も好ましい化合物は、置換基RおよびR1の1つが基-C(O)-RBであり、ここで、RBは直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC1-C4アルキル基であり、RとR1のうちの残った他の置換基が式(II)〜(X)の構造:ここで、
式(II)において、RCは2価の飽和の直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC3-C7脂肪族鎖であり、Bは水素である、
【0108】
式(III)において、B'は水素であり、R3はR2で定義されたアルキル、アリール、ヘテロアリールまたはシクロアルキルから選択される置換基であり、ここで、R4はアリールまたはヘテロアリールの意味も含み、R3は水素ではなく、Bは水素である、
【0109】
式(IV)において、B''は水素である、
式(V)において、RDは2価の飽和または不飽和の直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC2-C5脂肪族鎖であり、BIIIおよびR7は、互いに同一または異なって、R2と同じ意味を有するが、BIIIとR7は両方がともに水素ではない、
【0110】
式(VI)において、REは不飽和の直鎖状または可能なとき分枝鎖状の2価のC2-C5脂肪族基であり、BIVは水素であり、DIIおよびDIはR2と同じ意味を有するが、式(VI)におけるDIIとDIのうちの少なくとも1つの置換分は水素ではない、
式(VII)〜(X)は前記で定義されたとおりである
から選択されるものである。
【0111】
さらになお好ましい式(I)の化合物は、置換基RおよびR1の1つが基-C(O)-RBであり、ここでRBはメチルまたはエチルであり、RとR1のうちの残った他の置換基が式(II)〜(X)の構造:ここで、
式(II)において、RCは2価の飽和の直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC3アルキル鎖であり、Bは水素である、
【0112】
式(III)において、B'は水素であり、R3は、R2で定義されたアルキル、アリール、ヘテロアリールまたはシクロアルキルから選択される置換基であり、ここで、R4はアリールまたはヘテロアリールの意味も含み、R3は水素でなく、Bは水素である、
【0113】
式(IV)において、B''は水素である、
式(V)において、RDは2価の飽和または不飽和の直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC2-C5脂肪族鎖であり、BIIIおよびR7は、互いに同一または異なってR2と同じ意味を有するが、BIIIとR7は両方がともに水素でない、
【0114】
式(VI)において、REは不飽和の直鎖状または可能なとき分枝鎖状の2価のC3アルキル鎖であり、BIVは水素であり、DIIおよびDIはR2と同じ意味を有するが、式(VI)においてDIIとDIのうちの少なくとも1つの置換分は水素ではない、
式(VII)〜(X)は前記で定義されたとおりである
から選択されるものである。
【0115】
特に、最も好ましい化合物は、置換基RおよびR1の1つが基-C(O)-RBであり、ここで、RBはメチルまたはエチルであり、RとR1のうちの残った他の置換基が次の式:
【0116】
B'が水素であり、R3がR2で定義されたアルキル、アリール、ヘテロアリールまたはシクロアルキルから選択される置換基であり、ここでR4はアリールまたはヘテロアリールの意味も含む式(III)、
【0117】
DIIIおよびDIVが、互いに同一または異なって水素を除くR2の意味を有する式(VII)、
DVがアリールまたはヘテロアリールを除くR4の意味を有する式(VIII)、
R9がアリールまたはヘテロアリールを除くR4の意味を有する式(X)
から選択される
式(I)の化合物である。
【0118】
式(I)の具体的な化合物は、次の:
【化15−1】

【化15−2】

【化15−3】

【化15−4】

【化15−5】

【化15−6】

【化15−7】

【0119】
上記のように、種々の幾何異性体および/または立体異性体(例えば、シスおよびトランス異性体、化合物中に1つ以上のキラル中心が存在する場合に光学異性体)、ならびに式(I)の化合物の対応する混合物を含む、式(I)の化合物の水和物、溶媒和物および医薬的に許容される塩は、本発明のさらなる目的である。水和物および溶媒和物の用語の意味は、当業者によく知られている。特に、水和物は、1分子以上の水和水、通常、1〜10個の水分子を含有する化合物を意味する。溶媒和物は、水ではない溶媒を1分子以上、好ましくは1〜10個の溶媒分子を含有する化合物を意味する。
【0120】
医薬的に許容される塩は、式(I)の化合物を医薬的観点から許容される有機酸または無機酸と処理して得られる全ての塩を意味する。例えば、塩酸塩、硫酸塩、フマル酸塩、シュウ酸塩、クエン酸塩、硫酸水素塩、コハク酸塩、パラトルエンスルホン酸塩が挙げられる。"Remington, The Science and Practice of Pharmacy", II巻, 1995, 1457頁を参照。
式(I)の化合物の個体および動物への投与から誘導される代謝物は本発明のさらなる目的である。
【0121】
本出願人は、本発明の式(I)の化合物が、インビトロおよび/もしくはインビボで、オピオイド性受容体μおよび/もしくはδおよび/もしくはκ、ならびに受容体μ1、μ2およびμ3'のようなそれらの受容体サブクラス全てに対して、1以上の次の活性、アゴニスト、またはアンタゴニスト、または部分アゴニスト、または部分アンタゴニスト、または逆アゴニスト、または逆アンタゴニスト、または逆部分アゴニスト、または逆部分アンタゴニストを有することを、驚くことにかつ予測しなかったことに見出した。特に、式(I)の化合物がオピオイド作動系の1以上の受容体に対してアゴニスト活性を示すとき、それらは疼痛の治療に用いられ得る。
【0122】
式(I)の化合物の製造方法が本発明のさらなる目的である。
スキーム1に示すように、本方法は次の工程:
a) 式2のアルデヒドを式1のアミン(ここで、Rgはメチルまたはベンジルの意味を有する)および式3の1,3-アセトンジカルボン酸と反応させ、式4の2環性のケトンを得る、
b) アジドまたはその誘導体の存在下、式4のケトンを無機酸で処理し、式5のアミノラクタムを得る、
【0123】
c) 式5のアミノラクタムを還元して、式6のジアザ2環性のアミンを得る、
d) 式6のジアザ2環性のアミンをアルキル無水物またはアシルクロライド(ここで、無水物またはアシルクロライド中のアルキル鎖は式(I)において前記で定義されたRBである)でアシル化して、式7のアミド(ここで、アシル置換基-C(O)-RBは式(I)におけるR1の意味を有する)を得る、
【0124】
e) 式7のアミドを水素化して、式8のアミドの化合物を得る、
f) 式8の化合物のアミン性窒素上に存在する水素を、式(I)で定義された置換基Rで置換し、式9の化合物を得る
を含む。
【0125】
【化16−1】

【化16−2】

【0126】
工程a)の反応は、酢酸ナトリウムの存在下、水溶液中、温度約0℃で操作することにより行われ得る。得られる混合物を室温で撹拌下に少なくとも1時間放置し、次いで3〜7時間、50℃に加熱する。pHを4〜5の間に含まれる値にする。次いで、化合物4を有機溶媒、例えばジクロロメタンで水相から抽出し、次いで溶媒蒸発により回収する。
式4のケトンが商業的に入手可能なとき、工程a)は回避できる。
【0127】
工程b)において、使用される無機酸、好ましくは濃縮された無機酸は、例えば硫酸である。さらに、アジドは、その誘導体、例えばアジ化ナトリウムの形態下で用いることができる。一般的に、それは40℃より低い、好ましくは35℃より低い温度で行われる。
【0128】
工程c)において、アミノラクタム5の還元は、好ましくは、不活性雰囲気中、不活性有機溶媒中、金属ハイドライドを用いて行われる。金属ハイドライドとして、例えばLiAlH4が用いられ得るし、不活性有機溶媒は例えばテトラヒドロフラン(THF)であり得る。一般的に、それは、不活性雰囲気中、例えばアルゴンを用いることにより、約0℃の温度で行われる。
【0129】
工程d)において、好ましくは、ジアザ2環性のアミンのアシル化反応は、3級アミンのようなプロトン受容体の存在下に行われる。
式7のアミドの水素化の工程e)は、2,2,2-トリクロロエチルクロロホルメートおよび酢酸中の金属亜鉛を用いるか、またはPd/Cを用いる触媒水素化により行われ得る。
【0130】
工程f)は、例えば、式R-X(ここで、Xは、好ましくはハロゲン、メシルまたはトシルから選択される脱離基である)の化合物との反応により行われ得る。化合物R-Xの代わりに、式RT-C(O)Hを有するアルデヒドも用いられ得る。アルデヒドを用いる反応で形成される置換基RT-CH2-は、式(I)の基Rに対応する。
【0131】
反応条件は、先行技術で公知の条件である。反応物R-Xは、一般的に、商業的に入手可能であるか、または先行技術の方法にしたがって製造され得る。例えば、それらは、次に示す合成スキームによって得られる。
【0132】
【化17】

【0133】
スキーム1'によれば、式16および18のクロライドは、次の工程により得られる:
a') トルエン中のトリエチル-ホスホニウムアセテートの1.5等量を水素化ナトリウムの1.5等量と室温で1時間反応する。得られる混合物に、トルエンに溶解した式13のケトンの1等量を滴下する。得られる混合物を、撹拌下、2〜3日間、室温で反応し、式14のアクリル酸誘導体のエステルを得る、
【0134】
b') 式14のアクリル酸誘導体のエステルを式15の対応するアルコールに、好ましくは金属ハイドライド、例えばLiAlH4を用いて還元する、
c') 式15のアルコールを、好ましくは濃塩酸で処理することによりハロゲン化し、式16の対応するクロライドを得る、
【0135】
d') 工程c')の代わりに、式15のアルコールを、例えばPd/Cを用いる触媒還元により、飽和脂肪族鎖を有する式17の対応するアルコールに変換し得る、
e') 式17のアルコールを濃塩酸で処理し、式18のクロライドを得る。
【0136】
代替方法によれば、スキーム1の化合物8を、工程f)に付す代わりに、工程f')およびg')に付す(スキーム2を参照):
f') 式8のアミド化合物を熱転位に付すことにより、式8aのジアザ2環性の化合物を得る(ここで、アミド性窒素のアシル置換基-C(O)-RBは、式(I)のRの意味を有する)、
g') 式8aの化合物のアミン性窒素上に存在する水素を、式(I)で定義された置換基R1で置換することにより、式9aの化合物を得る。
【0137】
【化18−1】

【化18−2】

【0138】
工程f')において、熱転位は、100℃〜200℃に含まれる温度、好ましくは120℃〜150℃で行われ得る。一般的に、反応時間は60〜180分の間に含まれる。
好ましくは、工程g')は、式R1-X(ここで、Xは、好ましくはハロゲン、メシルまたはトシルから選択される脱離基である)の化合物を用いることにより行われる。化合物R1-Xの代わりに、式RW-C(O)Hのアルデヒドが用いられ得る。
【0139】
この場合、形成される置換基RW-CH2-は、式(I)の基R1に対応する。この工程の反応条件は、先行技術で公知の条件である。化合物R1-Xは、一般的に、商業的に入手可能であるか、または先行技術で公知の合成スキームにしたがって製造され得る。
【0140】
スキーム1の記載された方法のさらなる代替によれば、工程d)〜f)の代わりに、次に示すスキーム3にしたがって、g)〜k)の工程が用いられ得る:
【0141】
g) 式6のジアザ2環性のアミンの3位での窒素原子を保護して、式10の化合物を得る、
h) 式10の化合物を水素化して、式11のジアザ2環性のアミノカルバメート化合物を得る、
【0142】
i) 式11のジアザ2環性のアミンを、アルキル無水物またはアシルクロライド(ここで、両化合物中、アルキル基は式(I)で定義したRBである)でアシル化して、式12のアミド(ここで、アミド性窒素のアシル置換基-C(O)-RBは、式(I)中のRの意味を有する)を得る、
j) アミノ基を脱保護して、式8aの化合物を得る、
k) 工程g')で記載した反応を行うことにより、化合物9aを得る。
【0143】
【化19】

【0144】
工程g)において、窒素原子の保護は、好ましくは、不活性溶媒中、ジ-tert-ブチルジカーボネート((BOC)2O)を用いて行われる。
工程h)において、水素化反応は、Pd/C触媒を用いて行われる。
工程j)において、脱保護は、不活性溶媒中、トリフルオロ酢酸での処理によって行われる。アミンがBOCで保護されているとき、特に、これが用いられる。
【0145】
式(I)の化合物とは異なる式A'の他の化合物は、次のようにして製造される。
t=1およびr=1のとき、ジアザ2環性のヘプタン化合物が定義され、これは、特許出願WO 2005/108,402号に記載されるようにして製造できる。
t=1およびr=2のとき、ジアザ2環性のクタン化合物が定義され、これは、USP 5,672,601号に記載されるようにして製造できる。
t=1およびr=3のとき、ジアザ2環性のノナン化合物が定義され、これは、特許出願US2003/196,217号に記載されるようにして製造できる。
t=2およびr=2またはr=3のとき、ジアザ2環性のノナン化合物およびジアザ2環性のデカン化合物がそれぞれ定義され、これらは、特許出願WO 2004/11,468号に記載されるようにして製造できる。
【0146】
本発明のさらなる目的は、医薬組成物を製造するための本発明のマイクロエマルジョンである。
【0147】
さらなる目的は、医薬組成物の製造のための本発明のマイクロエマルジョンの使用である。医薬組成物は、活性成分の量が、特定の医薬的な使用で要求されるものであるマイクロエマルジョン自体であり得る。必要であれば、出発マイクロエマルジョンを希釈して、所望の濃度を得ることができる。
本発明の医薬組成物は、本発明のマイクロエマルジョンが一部分のみを構成することができる。好ましくは、本発明のマイクロエマルジョンは、最終製剤中の活性成分の所望の量に応じて、(重量%で) 0.1%〜95%、より好ましくは5%〜85%、さらにより好ましくは10%〜60%の量で存在する。
【0148】
医薬組成物において、成分PA)は、そのまま、または塩もしくは溶媒和物の形態、もしくは異性体としても存在できる。
【0149】
本発明のマイクロエマルジョンを含む医薬組成物に含まれる添加剤は、製薬の分野でその使用が公知である、賦形剤、担体、染料、保存剤、香料等である。これらの種々の添加剤および賦形剤の使用量は、具体的な適用で公知の量である。
医薬組成物の投与は、経口、皮下、舌下、筋肉内、静脈内、局所、経皮、直腸、眼、鼻腔内、膣、腹腔内のルートで行われ得る。
【0150】
医薬組成物が本発明のマイクロエマルジョンによって一部分のみが構成される場合、該組成物は、例えば、分散剤、溶液、乳液、散剤、カプセル、エアゾール、坐剤、錠剤、シロップ、エリキシル剤、クリーム剤、ゲル剤、軟膏、プラスター等を含む。例えば、特許出願WO 2004/011,468号に記載されたものを参照。医薬組成物は、製剤の技術で公知の方法にしたがって得られる。例えば、医薬組成物は、USP6,028,084号に記載の方法にしたがって得られる。
【0151】
種々の異性体および対応する水和物または溶媒和物および医薬的に許容される塩を含む式A'の化合物、ならびにその医薬組成物は、オピオイド性受容体μおよび/もしくはδおよび/もしくはκ、ならびに/またはそれらの全ての受容体サブクラスに対してインビトロで高い親和性を有する。実施例を参照されたい。より具体的には、式A'の化合物は、オピオイド性受容体μおよび/またはδおよび/またはκに対するKi値が、0.5μM未満である。
【0152】
哺乳類および人における、オピオイド性受容体μおよび/もしくはδおよび/もしくはκが関与する疾病および障害の予防および治療のための、本発明の医薬組成物の使用が、本発明のさらなる目的である。
本発明の医薬組成物で治療される疾病および障害は、疼痛、外科手術後の疼痛、慢性疼痛、神経障害性疼痛、薬物の乱用(例えば、ヘロイン、コカイン乱用のような)の場合の治療、アルコール中毒症、便秘、下痢および胃腸管のその他の障害、悪心、嘔吐、皮膚炎、肥満および食欲に関するその他の障害、鬱病、タバコ依存症(タバコ中毒)、性機能障害、ショック、脳損傷、脊髄損傷ならびに例えば緑内障および眼内高圧のような眼の症状および障害、例えば乳癌のような癌である。
【0153】
種々の病状の治療のための本発明の医薬組成物の使用は、該治療のために採用される公知の方法を用いることによりなされ得る。
特に、本発明の組成物の投与は、活性成分の量が特定の治療に有効であるように行われなければならない。用量、投与ルートおよび薬量学は、疾病のタイプ、その重篤度、患者の健康状態および年齢、体重、活性成分に対する応答のような特徴、特定の治療に対する活性成分の薬物動態学および毒性学に依存して設定される。
【0154】
好ましい1日用量は、治療される哺乳類の体重のKg当たり式A'の化合物0.01〜1,000 mgである。ヒトの場合、好ましい1日の範囲は、Kg/体重に対して、化合物0.1〜800 mg、さらにより好ましくは1〜600 mgである。
【0155】
本発明は、さらに、哺乳類およびヒトにおける、オピオイド性受容体μおよび/もしくはδおよび/もしくはκ、ならびに/またはそれらの受容体サブクラスが関与する疾病および障害の治療のための薬剤を製造するための、式(I)の化合物に関する。
本発明のさらなる目的は、上記の疾病および障害の治療のための、式(I)の化合物の使用である。
【0156】
放射性同位体を含む式(I)の化合物およびそれらの医薬組成物が、哺乳類またはヒトのオピオイド性受容体μおよび/もしくはδおよび/もしくはκ、ならびに/またはそれらの受容体の全てのサブクラスを確認し、マークするために使用され得る。
【0157】
さらに、1つのヒドロキシ基を有する式(I)の化合物は、リガンドを得るために用いられ得る。該リガンドは、免疫化学的方法によって検出可能であり、オピオイド性受容体μおよび/もしくはδおよび/もしくはκ、ならびに/またはそれらの受容体のサブクラスの分離、精製および特徴付け、ならびに対応する活性部位の同定に用いられる。
【実施例】
【0158】
以下の実施例は、本発明をより理解するために与えられるもので、本発明の範囲を限定することを意味しない。
実施例1
化合物9-メチル-3,9-ジアザビシクロ[4.2.1]ノナン-4-オンの合成
-5℃に冷却した、式:
【化20】

【0159】
のトロピノン (1a) (5 g)のクロロホルム (50 ml)中の溶液に、15℃より低い温度を維持しながら、濃H2SO4 (11.3 ml)を滴下する。次いで、温度が35℃を超えるのを避けるように、NaN3 (4.67 g)を少量ずつゆっくりと加える。次いで、2時間、還流加熱する。得られる混合物を、約200 mlの氷を含む容器中に注ぐ。個体のK2CO3を強アルカリpHが得られるまで加える。エマルジョンが形成される。該エマルジョンに、60%KOH水溶液 (25 ml)を加える。それを撹拌下に10分間放置し、ついで形成される無機塩を濾過し、反応混合物をクロロホルムで抽出する。有機相を硫酸ナトリウム上で無水化し、溶媒を蒸発し、白色の結晶個体として、化合物9-メチル-3,9-ジアザビシクロ[4.2.1]ノナン-4-オン (1b) (3.64 g)を得る。
【0160】
【化21】

【0161】
収率:95%;Rf:0.26 (CHCl3-MeOH 8:2);m.p.:79-82℃;1H-NMR (CDCl3):δ(ppm) 1.69-1.85 (m, 2H), 2.00-2.20 (m, 2H), 2.42 (s, 3H), 2.48-2.53 (m, 1H), 2.80-2.96 (m, 2H), 3.15-3.27 (m, 2H), 3.59 (bd, 1H, J=14Hz)
【0162】
実施例2
9-メチル-3,9-ジアザビシクロ[4.2.1]ノナンの合成
0℃に冷却し、アルゴン不活性雰囲気下に保った無水THF (30 ml)中のLiAlH4 (0.61 g)の懸濁液に、実施例1で得られる9-メチル-3,9-ジアザビシクロ[4.2.1]ノナン-4-オンのTHF中の溶液 (THF10 ml中化合物1.00 g)を滴下する。得られる混合物を48時間還流加熱し、次いで0℃に冷却する。次いで、水 (3 ml)を混合物にゆっくりと加える。水の添加後、混合物を撹拌下に10分間保つ。沈殿が形成され、それを最後に真空下に濾過し、ジクロロメタンで洗浄する。得られる濾液を蒸発し、油状物を得、それをジクロロメタンに溶解する。次いで、得られる溶液を硫酸ナトリウムで無水化し、溶媒を蒸発する。残渣の油状物を蒸留(45〜50℃/0.1 mmHg)し、無色の油状物として、9-メチル-3,9-ジアザビシクロ[4.2.1]ノナン (2a) (0.63 g)を得る。
【0163】
【化22】

【0164】
収率:69%;Rf:0.22 (CH2Cl2-MeOH 9:1+微量のNH4OH);b.p.:45-50℃/0.1 mmHg;1H-NMR (CDCl3):δ(ppm) 1.40-2.38 (m, 4H), 2.05-2.15 (m, 2H), 2.44 (s, 3H), 2.47 (bs, 1H, NH), 2.64-3.30 (m, 6H); 13C-NMR (CDCl3):δ(ppm) 28.16; 30.65; 37.30; 43.69; 45.84; 55.57; 63.98; 66.69
【0165】
実施例3
3-プロピオニル-9-メチル-3,9-ジアザビシクロ[4.2.1]ノナンの合成
実施例2で得られる9-メチル-3,9-ジアザビシクロ[4.2.1]ノナン (0.63 g)の無水ジクロロメタン (18 ml)中の溶液に、0℃に冷却し、無水ジクロロメタン (5 ml)中の無水プロピオン酸溶液 (2.1 ml)を加える。得られる混合物を1時間還流加熱し、次いで室温に冷却し、40重量%のNaOH水溶液でアルカリ性にし、16時間撹拌下に放置する。そのようにして得られる混合物をジクロロメタンで抽出し、有機相を分離し、硫酸ナトリウムで無水化し、蒸発する。化合物3-プロピオニル-9-メチル-3,9-ジアサビシクロ[4.2.1]ノナン (3a) (0.88 g)を、淡黄色の油状物の形態で得る。収率は定量的である。
【0166】
【化23】

【0167】
Rf:0.44 (CH2Cl2-MeOH 9:1); 1H-NMR (CDCl3):δ(ppm) 1.16 (t, 3H, J=7.4Hz), 1.21-2.38 (m, 6H), 2.43 (s, 3H), 2.80-2.88 (m, 1H), 3.19-3.75 (m, 5H), 3.85-4.00 (m, 1H), 4.35 (bd, 1H, J=14Hz)
【0168】
実施例4
3-プロピオニル-3,9-ジアザビシクロ[4.2.1]ノナンの合成
実施例3で得られる3-プロピオニル-9-メチル-3,9-ジアザビシクロ[4.2.1]ノナン (0.49 g)のトルエン (25 ml)中の溶液に、アルゴン不活性雰囲気下に保ち、2,2,2-トリクロロエチルクロロホルメート (0.4 ml)およびK2CO3 (0.52 g)を加える。混合物を16時間還流加熱し、次いで室温で冷却し、水、次いで15%のクエン酸水溶液および食塩水で洗浄する。洗浄の最後に回収する有機相を硫酸ナトリウムで無水化し、溶媒を蒸発し、黄色の油状物 (カーバメート) (0.76 g)を得る。油状物を氷酢酸 (25 ml)に溶解する。そのようにして得られる溶液に、粉末の亜鉛 (0.82 g)を加える。混合物を撹拌下に室温で16時間保ち、次いでトルエン (約25 ml)で希釈し、最後に真空下に蒸発する。残渣を最小容積のジクロロメタンに溶解し、15重量%のクエン酸水溶液で3回抽出する。水相をジクロロメタンで洗浄し、次いで濃NH4OHでアルカリ性にし、ジクロロメタンで再度抽出する。有機相を硫酸ナトリウムで無水化し、溶媒を蒸発し、化合物3-プロピオニル-3,9-ジアザビシクロ[4.2.1]ノナン (4a) (0.28 g)を黄色の油状物として得る。
【0169】
【化24】

【0170】
収率:62%;Rf:0.15 (CH2Cl2-MeOH 9:1); 1H-NMR (CDCl3):δ(ppm) 1.16 (t, 3H, J=7.6Hz), 1.25-2.00 (m, 6H), 2.06 (bs, 1H, NH), 2.20-2.48 (m, 2H), 2.75-2.85 (m, 1H), 3.25-4.03 (m, 4H), 4.39 (bd, 1H, J=14Hz)
【0171】
実施例5
9-プロピオニル-3,9-ジアザビシクロ[4.2.1]ノナンの合成
実施例4で得られる化合物3-プロピオニル-3,9-ジアザビシクロ[4.2.1]ノナン (0.5 g)を110℃で1時間加熱する。残渣をフラッシュクロマトグラフィー (CH2Cl2-MeOH 8:2)で精製し、化合物9-プロピオニル-3,9-ジアザビシクロ[4.2.1]ノナン (5a) (0.21 g)を得る。
【0172】
【化25】

【0173】
収率:42%;Rf:0.17 (CH2Cl2-MeOH 8:2);1H-NMR (CDCl3):δ(ppm) 1.16 (t, 3H, J=7.6Hz), 1.20-2.65 (m, 9H), 2.46 (bs, 1H, NH), 2.70-3.10 (m, 3H), 4.13-4.30 (m, 1H), 4.60-4.73 (m, 1H)
【0174】
実施例6
9-ベンジル-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-3-オンの合成
ペンタンジアール (84.5 g)およびベンジルアミン塩酸塩 (36.3 g)の水 (400 ml)中の溶液を0℃に冷却し、1,3-アセトンジカルボン酸 (30.8 g)を加える.次いで、10%の酢酸ナトリウム水溶液 (70 ml)を加える。得られる混合物を撹拌下、室温で1時間保ち、次いで50℃で4時間加熱する。次いで、混合物を10重量%のHCl水溶液でpH2に酸性化し、次いでジエチルエーテルで洗浄する。次いで、重炭酸ナトリウムでpHを6にし、水相をジクロロメタンで抽出する。有機抽出物を硫酸ナトリウムで無水化し、溶媒を蒸発して、化合物9-ベンジル-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-3-オン (6a) (38.5 g)を薄い色の固体として得る。
【0175】
【化26】

【0176】
収率:78%;B.p.:165-169℃/0.2 mmHg;1H-NMR (CDCl3):δ(ppm) 1.49-1.59 (m, 6H), 2.26 (d, 2H, J=19Hz), 2.76 (dd, 2H, J=8および19Hz), 3.28-3.49 (bs, 2H), 3.91 (s, 2H), 7.22-7.46 (m, 5H)
【0177】
実施例7
10-ベンジル-3,10-ジアザビシクロ[4.3.1]デカン-4-オンの合成
クロロホルム (4.4 ml)中の9-ベンジル-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-3-オン (0.5 g)の溶液を-5℃に冷却し、15℃下の温度を維持しながら、濃H2SO4 (1 ml)を滴下する。次いで、NaN3 (0.28 g)を、反応温度が35℃を超えないように、少量ずつゆっくりと加える。次いで、それを2時間還流加熱し、得られる混合物を氷 (約200 ml)を含む容器に注ぐ。固体のK2CO3を強アルカリのpHになるまで加える。エマルジョンが生じ、それに、60%KOH水溶液 (25 ml)を加える。それを撹拌下に10分間放置し、次いで生じる無機塩を濾別し、クロロホルムで抽出する。有機相を硫酸ナトリウムで無水化し、溶媒を蒸発し、10-ベンジル-3,10-ジアザビシクロ[4.3.1]デカン-4-オン (7a) (0.50 g)を薄い色の固体として得る。
【0178】
【化27】

【0179】
収率:95%;Rf:0.42 (CHCl3-MeOH 97:3); 1H-NMR (CDCl3):δ(ppm) 1.43-1.70 (m, 3H), 1.90-2.23 (m, 3H), 2.37-2.53 (m, 1H), 2.80-3.15 (m, 4H), 3.75 (dt, 1H, J=3.8および15Hz), 3.93 (s, 2H), 5.82 (bs, 1H), 7.20-7.40 (m, 5H)
【0180】
実施例8
10-ベンジル-3,10-ジアザビシクロ「4.3.1]デカンの合成
無水THF (9 ml)中のLiAlH4 (0.19 g)の懸濁液を、0℃に冷却し、アルゴン不活性雰囲気下に保ち、THF (4 ml)中の実施例7で得られる10-ベンジル-3,10-ジアザビシクロ[4.3.1]デカン-4-オン (0.50 g)の溶液を滴下する。混合物を撹拌下に、室温で14時間保つ。次いで、混合物を0℃に冷却し、H2O (約0.9 ml)を注意して加え、その後、撹拌下に10分間放置する。得られる沈殿物を真空下に濾過し、ジクロロメタンで洗浄する。濾液を蒸発し、得られる油状物をジクロロメタンに溶解し、その溶液を硫酸ナトリウムで無水化し、溶媒を蒸発して、化合物10-ベンジル-3,10-ジアザビシクロ[4.3.1]デカン (8a) (0.47 g)を得る。
【0181】
【化28】

【0182】
収率:定量的;Rf:0.62 (CH2Cl2-MeOH 8:2);1H-NMR (CDCl3):δ(ppm) 1.17-2.18 (m, 8H), 2.62 (bs, 1H), 2.76-2.92 (m, 2H), 2.99-3.18 (m, 4H), 3.97 (s, 2H), 7.20-7.42 (m, 5H)
【0183】
実施例9
10-ベンジル-3-プロピオニル-3,10-ジアザビシクロ[4.3.1]デカンの合成
無水ジクロロメタン (18 ml)中の実施例8で得られる10-ベンジル-3,10-ジアザビシクロ[4.3.1]デカン (0.63 g)の溶液を0℃に冷却し、無水ジクロロメタン (5 ml)に溶解した無水プロピオン酸 (1.27 ml)を加える。混合物を1時間還流加熱し、次いで室温に冷却し、40%NaOH水溶液でアルカリ性とし、撹拌下に16時間放置する。混合物をジクロロメタンで抽出し、有機相を分離し、硫酸ナトリウムで無水化し、蒸発する。化合物10-ベンジル-3-プロピオニル-3,10-ジアザビシクロ[4.3.1]デカン (9a) (0.73 g)を淡黄色の油状物として得る。
【0184】
【化29】

【0185】
収率:94%;Rf:0.55 (AcOEt-リグロイン 6:4);1H-NMR (CDCl3):δ(ppm) 1.05-1.30 (m, 3H), 1.38-2.13 (m, 8H), 2.20-2.46 (m, 2H), 2.82-3.18 (m, 2H), 3.38-3.65 (m, 3H), 3.72-4.00 (m, 3H), 7.15-7.40 (m, 5H)
【0186】
実施例10
3-プロピオニル-3,10-ジアザビシクロ[4.3.1]デカンの合成
実施例9で得られる10-ベンジル-3-プロピオニル-3,10-ジアザビシクロ[4.3.1]デカン (2.40 g)のEtOH (39 ml)溶液を10% Pd/C (0.89 g)の存在下、45 psi、室温で19時間水素化する。混合物をセライトで濾過し、触媒をEtOHで洗浄する。溶液を濃縮して、化合物3-プロピオニル-3,10-ジアザビシクロ[4.3.1]デカン (10a)に相当する薄い色の油状物 (1.60 g)を得る。
【0187】
【化30】

【0188】
収率:97%;Rf:0.15 (CH2Cl2-MeOH 9:1);1H-NMR (CDCl3):δ(ppm) 1.16 (t, 3H, J=7.6Hz), 1.35-2.09 (m, 8H), 2.38 (q, 2H, J=7.4Hz), 2.68-2.83 (m, 2H), 3.06-3.96 (m, 5H)
【0189】
実施例11
10-ベンジル-3-BOC-3,10-ジアザビシクロ[4.3.1]デカンの合成
THF中のジ-tert-ブチルジカーボネート(BOC)の溶液 (THF 12 mlにBOC2O 1.38 g)を0℃に冷却し、THF (8 ml)中の実施例8で得られる10-ベンジル-3,10-ジアザビシクロ[4.3.1]デカン (0.97 g)の溶液を加える。混合物を撹拌下に10分放置し、室温まで温め、次いで撹拌下に16時間放置する。得られる溶液をEt2Oで希釈し、10%NaHCO3水溶液、次いで食塩水で洗浄する。有機相をNa2SO4で無水化し、濃縮する。得られる残渣をフラッシュクロマトグラフィー (リグロイン/Et2O 9:1)で精製する。化合物10-ベンジル-3-BOC-3,10-ジアザビシクロ[4.3.1]デカン (11a) (1.11 g)を無色の油状物として得る。
【0190】
【化31】

【0191】
収率:80%;Rf:0.48 (リグロリン/Et2O 9:1); 1H-NMR (CDCl3):δ(ppm) 1.18-2.15 (m, 8H), 1.46 (s, 3H), 1.50 (bs, 6H), 2.80-3.00 (m, 1H), 3.05-3.22 (m, 1H), 3.23-3.90 (m, 1H), 3.92 (s, 2H), 7.20-7.50 (m, 5H)
【0192】
実施例12
3-BOC-3,10-ジアザビシクロ[4.3.1]デカンの合成
EtOH (52 ml)中の実施例11で得られる10-ベンジル-3-BOC-3,10-ジアザビシクロ[4.3.1]デカン (3.50 g)の溶液を、10% Pd/C (1.13 g)の存在下、45 psi、30℃で19時間水素化を行う。最後に、混合物をセライトで濾過し、触媒をEtOHで洗浄する。次いで、溶液を濃縮する。化合物3-BOC-3,10-ジアザビシクロ[4.3.1]デカン (12a)に相当する薄い色の油状物 (2.44 g)を得る。
【0193】
【化32】

【0194】
収率:96%;Rf:0.55 (CHCl3-MeOH 9:1);1H-NMR (CDCl3):δ(ppm) 1.38-2.00 (m, 8H), 1.48 (s, 9H), 2.30 (bs, 1H), 3.05-3.42 (m, 4H), 3.60-3.88 (m, 2H)
【0195】
実施例13
3-BOC-10-プロピオニル-3,10-ジアザビシクロ[4.3.1]デカンの合成
実施例12で得られる3-BOC-3,10-ジアザビシクロ[4.3.1]デカン (0.34 g)の無水ジクロロメタン (8 ml)中の溶液を0℃に冷却し、無水ジクロロメタン (3 ml)に溶解した無水プロピオン酸 (0.66 ml)を加える。混合物を1時間還流加熱し、次いで室温まで冷却し、次いで40% NaOH水溶液でアルカリ性にし、撹拌下に16時間放置する。混合物をジクロロメタンで抽出し、有機相を分離し、硫酸ナトリウムで無水化し、蒸発して、3-BOC-10-プロピオニル-3,10-ジアザビシクロ[4.3.1]デカン (13a)に相当する無色の油状物 (0.32 g)を得る。
【0196】
【化33】

【0197】
収率:76%;Rf:0.32 (リグロイン-AcOEt 7:3);1H-NMR (CDCl3):δ(ppm) 1.17 (t, 3H, J=8.8Hz), 1.44 (s, 3H), 1.48 (s, 6H), 1.50-2.60 (m, 3H), 2.90-3.20 (m, 3H), 3.82-4.40 (m, 1H), 1.47-5.17 (m, 1H)
【0198】
実施例14
10-プロピオニル-3,10-ジアザビシクロ[4.3.1]デカンの合成
実施例13で得られる3-BOC-10-プロピオニル-3,10-ジアザビシクロ[4.3.1]デカン (0.32 g)のジクロロメタン (7 ml)中の溶液を0℃に冷却し、ジクロロメタン (3 ml)中のトリフルオロ酢酸 (0.83 ml)を加える。混合物を室温で撹拌下、3時間保つ。次いで溶媒を蒸発し、残渣を飽和NaHCO3水溶液で処理し、次いでCH2Cl2で抽出する。有機相を分離し、硫酸ナトリウムで無水化し、蒸発する。化合物10-プロピオニル-3,10-ジアザビシクロ[4.3.1]デカン (14a)に相当する薄い色の油状物 (0.21 g)を得る。
【0199】
【化34】

【0200】
収率:定量的;Rf:0.20 (CH2Cl2-MeOH 8:2); 1H-NMR (CDCl3):δ(ppm) 1.17 (t, 3H, J=7.2Hz), 1.31-2.60 (m, 11H), 1.84 (bs, 1H), 2.76-3.12 (m, 3H), 3.92-4.40 (m, 1H), 4.71-5.17 (m, 1H)
【0201】
実施例15
3-プロピオニル-9-アルキル-3,9-ジアザビシクロ[4.2.1]ノナン (I-A)化合物を製造するための一般的方法
実施例4で得られる3-プロピオニル-3,9-ジアザビシクロ[4.2.1]ノナン (4a) (0.6 mmol)、K2CO3 (0.72 mmol)、アセトン (7 ml)および一般式(II-A):
【化35】

【0202】
(式中、DAおよびR11は表1に示す意味を有する)
の有機塩化物 (0.72 mmol)から形成される混合物を24時間還流加熱する。次いで、混合物を室温まで冷却し、生じる固体を濾過し、アセトンを蒸発する。残渣をフラッシュクロマトグラフィー (CH2Cl2/アセトン 8:2)で精製し、次の一般的な化学構造(I-A)で特徴付けられる、式I-Aa〜I-Adまでの化合物3-プロピオニル-9-アルキル-3,9-ジアザビシクロ[4.2.1]ノナンを油状物として得た。
【0203】
【化36】

【0204】
表1において、合成された化合物I-Aa、I-Ab、I-AcおよびI-Adの各々に対して、DA、R11、パーセントでの反応収率(収率%)、対応するフマル酸塩の摂氏度での融点(℃でのm.p.)、実験式、基-C(O)-に対応するIRバンドの波長(λ)、CDCl3中の1H-NMR分析の大きなピーク(1H-NMR δ ppm)を示す。
【0205】
実施例16
3-アルキル-9-プロピオニル-3,9-ジアザビシクロ[4.2.1]ノナン (I-B)を製造するための一般的方法
化合物3-プロピオニル-3,9-ジアザビシクロ[4.2.1]ノナン (4a)の代わりに実施例5で得られる化合物9-プロピオニル-3,9-ジアザビシクロ[4.2.1]ノナン (5a)を用いることにより、3-プロピオニル-9-アルキル-3,9-ジアザビシクロ[4.2.1]ノナン (実施例15)の製造で記載した同じ方法が、3-アルキル-9-プロピオニル-3,9-ジアザビシクロ[4.2.1]ノナンの製造に対して用いられた。化合物 (5a)を一般式(II-A) (実施例15を参照) (式中、DAおよびR11は表1に示す値を有する)の有機塩化物と反応した。表中に、この方法で合成された式I-Bの化合物3-アルキル-9-プロピオニル-3,9-ジアザビシクロ[4.2.1]ノナン、I-Ba、I-Bb、I-BcおよびI-Bdを示す。それらは、油状物の物理的形態であり、一般的な化学構造(I-B)で特徴付けられる。
【0206】
【化37】

【0207】
実施例17
3-プロピオニル-10-アルキル-3,10-ジアザビシクロ[4.3.1]デカン (I-C)の製造のための一般的方法
次の一般的な化学構造(I-C):
【化38】

で特徴付けられる化合物3-プロピオニル-10-アルキル-3,10-ジアザビシクロ[4.3.1]デカンの製造のために、実施例15で記載した同じ方法が用いられた。
【0208】
実施例5に関して、本合成におけるこの場合に、3-プロピオニル-3,9-ジアザビシクロ[4.2.1]ノナン (4a)の代わりに、実施例10で得られる化合物3-プロピオニル-3,10-ジアザビシクロ[4.3.1]デカン (10a)を用いる。一般式(II-A)の有機塩化物 (実施例15を参照) (式中、DAおよびR11は、この方法により合成される各々の化合物:I-Ca、I-Cb、I-Ccに対して表1に示す意味を有する)を用いることにより、一般式I-Cの化合物を合成した。
【0209】
実施例18
3-アルキル-10-プロピオニル-3,10-ジアザビシクロ[4.3.1]デカン (I-D)の製造のための一般的方法
化合物3-プロピオニル-3,9-ジアザビシクロ[4.2.1]ノナン (4a)の代わりに、実施例14で得られる化合物10-プロピオニル-3,10-ジアザビシクロ[4.3.1]デカン (14a)を用いることにより、3-プロピオニル-9-アルキル-3,9-ジアザビシクロ[4.2.1]ノナン (実施例15)の製造に対して記載した同じ方法を行う。用いられる有機塩化物は一般式(II-A) (式中、DAおよびR11は表1に示す意味を有する)のものである。得られる化合物3-アルキル-10-プロピオニル-3,10-ジアザビシクロ[4.3.1]デカンは式(I-D)を有し、油状物の物理的形態である。
【0210】
【化39】

【0211】
次の化合物:I-Da、I-DbおよびI-Dcが表に示される。
【表1−1】

【表1−2】

【0212】
実施例19
オピオイド性受容体μ、δ、κに対する親和性
前記実施例で合成された化合物のオピオイド性受容体μ、δ、κに対する親和性を、以下に示す方法を用いる放射受容体結合研究により、インビトロで評価した。
受容体結合の技術は、どんな親和性でかつどんな特異性で、具体的な化合物が特定の受容体に結合するかどうか立証することができる。
【0213】
具体的な化合物の特定の受容体への親和性を評価するために、既知の親和性を有する放射活性標識された化合物で、試験化合物を(これらの特定の受容体が存在する特定の組織標本中で)刺激する(challenge)必要がある。放射活性化合物に取って代わる試験化合物の性質が、その特定の受容体への結合に対する化合物の親和性の指標を与える。さらに、受容体-化合物の複合体中に観測される放射活性の値が、受容体に結合する化合物の量を大きな精度で算定することを可能にする。それゆえ、この方法により、特定の受容体への新規化合物の親和性を素早く確認することが可能であり、このようにして、その薬理活性を決定することが可能である。同じ実験計画法を繰り返すことにより、他の種類の受容体への化合物の親和性を評価することが可能であり、このようにして、その特異性の度合を確証することが可能である。
【0214】
薬理活性を有する新規な分子のスクリーニングのために用いられるのに加えて、受容体結合技術は、例えば薬物および/または特定の病状に対する長期の曝露に関連する、受容体レベルでの可能な変化に対する有益な情報を与えることができる。実際、このような状況で、存在する受容体の量の変化、または構造変化が起こり得る。そして、その変化は、受容体自身の正常な機能への影響を及ぼすアゴニストまたはアンタゴニストの親和性を変える。
【0215】
実験は、標準スタビュレーション (stabulation)条件下 (温度 22±2℃、相対湿度 60%、12時間の明/暗サイクルの人工光)で、1つのケージに12匹を入れた実験動物 (雄性マウス CD1 Charles River Italy, Calco, LC, Italy)を用いて、動物実験に対する欧州共同体のガイドライン (EEC n. 86/609)にしたがって行われた。食餌と水は自由に与えた。
【0216】
結合実験は次の方法にしたがって行った。
受容体κ:体重20〜25 gのCD1雄性マウスを用いた。動物は頸部脱臼により屠殺し、(小脳を除く)全部の脳を素早く解剖し、氷中に保った。組織を40容積(w/v)のTris-HCl緩衝液 (50 mM, pH 7.4)中、Ultra-Turraxによりホモジナイズし、次いで、4℃に保った遠心分離機中、48,000×gで20分間遠心分離した。得られた上清液を同じ緩衝液に再度懸濁し、振動下に保った浴中、37℃で30分間インキュベートした。インキュベーションの最後に、懸濁液を48,000×gで15分間遠心分離し、ペレットを10容積のTris-HCl緩衝液に再度懸濁した。
【0217】
結合実験を、試料に対して約800〜1000 μgの蛋白質を用いて、25℃の温度で1 mlの容積中で行った。インキュベーションを、異なる濃度のリガンド3H-U 69.593 (41.7 Ci/mmol)の存在下、60分間行った。非特異的結合をU69593 (10 μM)の存在下で測定した。インキュベーションを、GF/Cフィルター (Whatman(登録商標))を用いる濾過機器(Brandel(登録商標), Gaithersburg, MD, USA)による素早い濾過により停止した。
【0218】
受容体μおよびδ:実験は、標準スタビュレーション(stabulation)条件下 (温度 22±2℃、相対湿度 60%、12時間の明/暗サイクルの人工光)で、ケージに対して20匹を入れた、体重20〜25 gのCD1雄性マウスを用いて、Unterwald (1995)に記載された方法にしたがって行われた。屠殺後、(小脳を除く)動物の全脳を素早く取り出した。そのようにして得られた組織を、Polytron(登録商標)により、50 mlのTris-HCl緩衝液 (50 mM)、pH 7.4中で素早くホモジナイズし、次いでホモジネートを4℃で20分間、48,000×gで遠心分離した。
【0219】
得られたペレットを50容積の同じ緩衝液に懸濁し、受容体からの内因性のオピオイドの分離をより容易にするために、懸濁液を、振動下に保った浴中、37℃で45分間インキュベートした。インキュベーションの最後に、懸濁液を4℃で20分間、48,000×gで遠心分離し、得られたペレットを40容積のTris-HCl緩衝液 (50 mM)、pH 7.4中に懸濁した。得られた脳の膜の懸濁液を結合試験に用いた。
【0220】
結合実験は、各試料に対して50〜100 μgの蛋白質を用いて、2 mlの容積中、25℃の温度で行い、インキュベーションは、受容体μおよびδの試験に対してそれぞれ、1 nM [3H]-DAMGO (54.5 Ci/mmol)または1 nM [3H]-DPDPE (45 Ci/mmol)の存在下、60分間行った。
【0221】
非特異的結合をナロキソン(10 μM)の存在下で測定した。競合曲線の作図のために、各化合物の少なくとも8つの異なる濃度を用いた。参照化合物として、モルヒネを10-10〜10-5 Mの間に含まれる濃度で用いた。
【0222】
インキュベーションを、濾過機器 (Brandel(登録商標), Gaithersburg, MD, USA)による、GF/Bフィルター (Whatman(登録商標))を用いる素早い濾過により中断した。フィルターを5 mlの冷Tris HCl緩衝液 (50 mM)、pH 7.4で3回洗浄した。
【0223】
放射活性を、3 mlのシンチレーティング液体(scintillating fluid) (Ultima Gold MV, Packard, Meridien, IL, USA)を用いて、液相中、シンチレーター (Tricarb(登録商標) 2100, Packard, Meridien, IL, USA)により測定した。
【0224】
蛋白質の測定は、Bio-Rad (Milano, Italy)により提供されるプロトコールおよび反応物を用い、Bradford法 (1976)により行った。
受容体μ、δ、κに対する化合物の親和性は、Kiの表現で表わした。
結合実験の結果を表2に示す。
【0225】
表2
オピオイド性受容体μ、δおよびκに対する本発明の化合物の親和性
(Kiとして表わした親和性値)
【0226】
【表2】

【0227】
実施例20
マイクロエマルジョンの製造
実施例15で得られた化合物I-Aa (5.05 mg)を、25℃にて、カプリル酸のトリグリセリドおよびカプリン酸のトリグリセリドの混合物であるトリグリセリドMiglyol (登録商標) 812S (Sasol Germany GmbH) (5.08 mg)に溶解した。得られた油状の溶液に、非イオン性界面活性剤Solutol (登録商標) HS15 (BASF) (ポリエチレングリコール660ヒドロキシステアレート) (45.10 mg)と、生理溶液(physiological solution) (2.445 g)を加えた。得られた試料を、40℃にて5分間加熱し、次いで、室温で冷却した。25℃にて完全に液体であり等方性の最終試料は、以下の組成(重量%)を有するマイクロエマルジョンであった:
化合物I-Aa 0.2%
油(Miglyol (登録商標) 812S) 0.2%
Solutol (登録商標) HS15 1.8%
水相(生理溶液) 97.8%
【0228】
実施例21
マイクロエマルジョンの製造
化合物I-Aa (10.09 mg)と、生理溶液(2.450 g)を用いる以外は、実施例20の手順を繰り返した。25℃にて完全に液体であり等方性の得られたマイクロエマルジョンは、以下の組成(重量%)を有した:
化合物I-Aa 0.4%
油(Miglyol (登録商標) 812S) 0.2%
Solutol (登録商標) HS15 1.8%
水相(生理溶液) 97.6%
【0229】
実施例22
マイクロエマルジョンの製造
実施例16で得られた化合物I-Ba (5.05 mg)を、40℃にて、カプリン酸/カプリル酸のトリグリセリドであるトリグリセリドMiglyol (登録商標) 810 (Sasol Germay GmbH) (2.50 mg)、80重量%を超えるグリセリルモノカプリレートモノエステルを含有する脂質混合物であるモノグリセリドImwitor (登録商標) 308 (Sasol Germany GmbH) (2.52 mg)および非イオン性界面活性剤Solutol HS15 (BASF) (45.10 mg)と混合した。室温で冷却した、得られた試料は澄んでいる。この試料に、生理溶液 (2.445 g)を加えた。得られた試料を40℃にて5分間加熱し、次いで室温にて冷却した。得られたマイクロエマルジョンは、25℃にて完全に液体で等方性であり、以下の組成(重量%)を有する:
化合物I-Ba 0.2%
トリグリセリド(Miglyol (登録商標) 810) 0.1%
モノグリセリド(Imwitor (登録商標) 308) 0.1%
Solutol (登録商標) HS15 1.8%
水相(生理溶液) 97.8%
【0230】
実施例23
マイクロエマルジョンの製造
化合物I-Ba (10.07 mg)と、生理溶液 (2.450 g)を用いる以外は、実施例22の手順を繰り返した。マイクロエマルジョンは、25℃にて完全に液体で等方性であるように見え、以下の組成(重量%)を有する:
化合物I-Ba 0.4%
トリグリセリド(Miglyol (登録商標) 810) 0.1%
モノグリセリド(Imwitor (登録商標) 308) 0.1%
Solutol (登録商標) HS15 1.8%
水相(生理溶液) 97.6%
【0231】
実施例24
マイクロエマルジョンの製造
実施例16で得られた化合物I-Ba (5.01 mg)を、25℃にて、大豆油(Aldrich) 40.00 mgに可溶化した。得られた油状溶液を、非イオン性界面活性剤Brij (登録商標) 97 (Aldrich)、ポリオキシエチレン-10-オレイルエーテルC18:1E10 (0.205 g)を生理溶液(0.751 g)に可溶化することにより得られた、60℃に維持した水溶液 (0.956 g)に、撹拌しながら加えた。最終試料を室温にて冷却すると、25℃にて完全に液体で等方性のマイクロエマルジョンが得られ、以下の組成(重量%)を有した:
化合物I-Ba 0.5%
大豆油 4.0%
Brij (登録商標) 97 20.5%
水相(生理溶液) 75.0%
【0232】
実施例25
マイクロエマルジョンの製造
実施例17で得られた化合物I-Cb (2.03 mg)を、25℃にて、大豆油(Aldrich) (30.02 mg)に可溶化した。得られた油状溶液を、非イオン性界面活性剤Solutol (登録商標) HS15 (BASF) (0.400 g)を生理溶液 (0.568 g)に可溶化することにより得られた、60℃に維持した水溶液 (0.968 g)に、撹拌しながらゆっくり加えた。最終試料を室温にて冷却すると、25℃にて完全に液体で等方性のマイクロエマルジョンが得られ、以下の組成(重量%)を有した:
化合物I-Cb 0.2%
大豆油 3.0%
Solutol (登録商標) HS15 40.0%
水相(生理溶液) 56.8%
【0233】
実施例26
マイクロエマルジョンの製造
実施例18で得られた化合物I-Db (3.03 mg)を、以下の成分:大豆レシチン (0.070 g)、Solutol (登録商標) HS15 (BASF) (0.049 g)、PEG (登録商標) 400 (0.114 g)、生理溶液 (0.278 g)、エタノール (0.049 g)、トリグリセリドMiglyol (登録商標) 810 (Sasol Germay GmbH) (0.440 g)を25℃にて混合することにより得られたマイクロエマルジョン (1.0 g)に加えた。得られたマイクロエマルジョンは、25℃にて完全に液体で等方性であるようであり、以下の組成(重量%)を有する:
化合物I-Db 0.3%
大豆レシチン 7.0%
PEG 400 11.4%
Solutol (登録商標) 4.9%
生理溶液 27.7%
エタノール 4.9%
油(Miglyol (登録商標) 810) 43.8%
【0234】
実施例27
マイクロエマルジョンの製造
オピオイド性化合物9-(3,3-ジフェニルプロプ-2-エニル)-3-プロピオニル-3,9-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン (30 mg)を、G.A. Pinnaら, Bioorganic & Medicinal Chemistry, 10 (2002) 1929-1937 (この文献中のオピオイド性リガンド2dを参照)に記載される手順に従って合成し、それは以下の化学構造を有する:
【化40】

【0235】
上記の化合物 (2.52 mg)を、トリグリセリドMiglyol (登録商標) 812S (Sasol Germany GmbH) (5.08 mg)中に25℃にて可溶化した。非イオン性界面活性剤Solutol HS15 (BASF) (45.10 mg)および生理溶液 (2.445 g)を、得られた油状溶液に加えた。得られた試料を40℃にて5分間加熱し、次いで室温にて冷却した。得られたマイクロエマルジョンは、25℃にて完全に液体で等方性であり、以下の組成(重量%)を有する:
オピオイド性化合物 0.1%
油(Miglyol (登録商標) 812S) 0.2%
Solutol (登録商標) HS15 1.8%
水相(生理溶液) 97.9%
【0236】
実施例28
マイクロエマルジョンの製造
USP 5,672,601号の実施例1に記載される手順に従って、以下の構造を有するオピオイド性化合物N8-アセチル-N3-シンナミル-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン (20 mg)を合成した:
【化41】

【0237】
この化合物 (4.03 mg)を、トリグリセリドMiglyol (登録商標) 812S (Sasol Germany GmbH) (5.08 mg)中に25℃にて可溶化した。非イオン性界面活性剤Solutol HS15 (BASF) (45.10 mg)および生理溶液 (2.445 g)を、得られた油状溶液に撹拌しながら加えた。得られた試料を40℃にて5分間加熱し、次いで室温にて冷却した。得られたマイクロエマルジョンは、25℃にて完全に液体で等方性であり、以下の組成(重量%)を有する:
オピオイド性化合物 0.2%
油(Miglyol (登録商標) 812S) 0.2%
Solutol (登録商標) HS15 1.8%
水相(生理溶液) 97.8%
【0238】
実施例29
マイクロエマルジョンの製造
オピオイド性化合物1-{6-[3-(4-クロロフェニル)-ブト-2-エニル]-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプチ-3-イル}-プロパン-1-オン (50 mg)を、特許出願WO 2005/108402号に記載される手順に従って合成した。この特許出願の第24頁のオピオイド性リガンドIAfに相当するこの化合物は、以下の化学構造を有する:
【化42】

【0239】
この化合物 (2.73 mg)を、トリグリセリドMiglyol (登録商標) 812S (Sasol Germany GmbH) (5.08 mg)中に25℃にて可溶化した。非イオン性界面活性剤Solutol HS15 (BASF) (45.10 mg)および生理溶液 (2.445 g)を、得られた油状溶液に加えた。得られた試料を40℃にて5分間加熱し、次いで室温にて冷却した。得られたマイクロエマルジョンは、25℃にて完全に液体で等方性であるようであり、以下の組成(重量%)を有する:
オピオイド性化合物 0.1%
油(Miglyol (登録商標) 812S) 0.2%
Solutol (登録商標) HS15 1.8%
水相(生理溶液) 97.9%
【0240】
実施例30
マイクロエマルジョンの製造
オピオイド性誘導体活性成分を、実施例4で得られた化合物3-プロピオニル-3,9-ジアザビシクロ[4.2.1]ノナン (0.6 mmol)、K2CO3 (0.72 mmol)、アセトン(7 ml)および式:
【化43】

の塩化物 (0.72 mmol)からなる混合物から出発して製造した。
【0241】
混合物を還流にて24時間加熱する。次いで、混合物を再び室温にし、固体を濾過してアセトンを蒸発させる。残渣を、次いで、フラッシュクロマトグラフィー (CH2Cl2/アセトン8:2)により精製して、油の形態の以下の化合物:
【化44】

を得た。
【0242】
マイクロエマルジョンを製造するために、実施例16で得られた化合物I-Baを、上記のオピオイド性誘導体に置き換えることにより、実施例23に記載される手順を繰り返した。得られたマイクロエマルジョンは、25℃にて完全に液体で等方性であり、以下の組成(重量%)を有する:
オピオイド性化合物 0.4%
トリグリセリド(Miglyol (登録商標) 810) 0.1%
モノグリセリド(Imwitor (登録商標) 308) 0.1%
Solutol (登録商標) HS15 1.8%
水相(生理溶液) 97.6%
【0243】
実施例31
マイクロエマルジョンの製造
オピオイド性誘導体活性成分を、式(II-A)の有機塩化物の代わりに、実施例30で用いたものを用いて実施例16を繰り返すことにより製造した。得られた誘導体は、以下の化学構造を有した:
【化45】

【0244】
マイクロエマルジョンを製造するために、実施例16で得られた化合物I-Baを、上記のオピオイド性誘導体に置き換えることにより、実施例23に記載される手順を繰り返した。得られたマイクロエマルジョンは、25℃にて完全に液体で等方性であり、以下の組成(重量%)を有する:
オピオイド性化合物 0.4%
トリグリセリド(Miglyol (登録商標) 810) 0.1%
モノグリセリド(Imwitor (登録商標) 308) 0.1%
Solutol (登録商標) HS15 1.8%
水相(生理溶液) 97.6%
【0245】
実施例32
マイクロエマルジョンの製造
実施例15で得られた化合物I-Aa (0.082 g)を、トリグリセリドMiglyol (登録商標) 812S (Sasol Germany GmbH) (0.082 g)中に25℃にて可溶化した。得られた油状溶液に、非イオン性界面活性剤Solutol HS15 (BASF) (0.736 g)および生理溶液 (0.010 g)を、撹拌しながら加えた。試料を40℃にて5分間加熱し、次いで室温にて冷却した。得られたマイクロエマルジョンは、25℃にて完全に液体で等方性であり、以下の組成(重量%)を有する:
化合物I-Aa 8.2%
油(Miglyol (登録商標) 812S) 8.2%
Solutol (登録商標) HS15 73.6%
水相(生理溶液) 10.0%
【0246】
実施例33
オピオイド性化合物を含有するマイクロエマルジョンの鎮痛効果の評価
オピオイド性受容体のアゴニスト化合物の最も重要な治療適用の1つは、疼痛除去である。モルヒネがこのクラスのオピオイド性誘導体の参照化合物であり、その使用は、急性および慢性の疼痛の場合に推奨される。
【0247】
疼痛治療における本発明のマイクロエマルジョンの治療特性を評価するために、実験動物での疼痛閾値の評価に通常用いられる2種の行動アッセイを、実験動物で採用し、ホットプレート試験およびテイルフリック試験(Tail Flick test)を行った。
【0248】
ホットプレート試験による化合物の鎮痛効果の評価
鎮痛効果を、Ruiu S. ら (J. Pharmacol. Exp. Ther. 306(1) (2003) 363-370)により示された手順に従って、55±0.2℃の一定温度に維持されたプレート上に置かれたマウス (雄性CD1、20〜25 g)の疼痛に対する応答の時間 (秒での潜伏時間)を測定することによって評価した。
【0249】
実験において、次の挙動:脚部持ち上げ(前肢または後肢)、脚部を舐めること、跳びあがること等を疼痛のサインとしてみなした。
上記のサインの1つが動物に見られたとき、ホットプレートから直ぐに動物を移動し、該当する潜伏時間を記録した。
脚組織の損傷を避けるため、その時間後はどんな場合でもプレートから動物を移動する、最大潜伏時間の14秒が設定された。
【0250】
実験から得られた値は、式:
【数1】

(式中、潜伏試験は、薬理学的処置が行われた動物に疼痛サインが現われるまでに経過した秒数である。基準潜伏は、薬物投与前の同じ動物に疼痛サインが現われるまでに経過した秒を意味する。)
に従って、MPE %(最大可能効果(maximum possible effect) %)として表わされた。
【0251】
特に、実施例20、21および23のマイクロエマルジョンの鎮痛効力を評価した。これらのマイクロエマルジョンを、マイクロエマルジョンに含まれるオピオイド性化合物活性成分について示す以下の投与量で腹腔内ルート(i.p.)により投与した:
実施例20のマイクロエマルジョン: 10 mg/kg
実施例21のマイクロエマルジョン: 20 mg/kg
実施例23のマイクロエマルジョン: 20 mg/kg
【0252】
ブランクまたは参照は、オピオイド性化合物を含まない同じマイクロエマルジョンと、モルヒネ(10 mg/kg)により作製した。ブランクがモルヒネである場合、これを、スクリーニングするのと同じ組成のマイクロエマルジョン中に可溶化した。
鎮痛効果の期間を評価するために、マイクロエマルジョンおよび参照を投与してからの異なる時間(15、30、60、120、240、360分)での%MPE値を記録した(平均±SEM)。表3を参照。表中の値は、各実験群について少なくとも6匹の動物の±SEM平均に相当する。
【0253】
テイルフリック試験による化合物の鎮痛効果の評価
この試験のために、体重20〜25 gの雄性CD1マウスを用いた。試験は、(尾の先端から2 cmに置かれた)小熱源のマウスの尾の部分への曝露から動物が熱源から尾を移動する時までに経過した時間を評価することからなる(Ruiu S. ら. J. Pharmacol. Exp. Ther.; 306(1) (2003) 363-370中)。この時間間隔は、熱源が調節できる赤外ランプである、テイル-フリック試験のための特定の装置 (テイルフリックのための機器、Ugo Basile、Italy)により自動的に計算される。該装置は、マウスの尾が熱源に接している間の時間(潜伏時間)を自動的に記録する。組織の損傷を避けるため、その時間後はどんな場合でも熱源からマウスを移動する、最大潜伏時間 (12秒)が設定された。
【0254】
ホットプレート試験と同様に、実施例20、21および23のマイクロエマルジョンの鎮痛効力を評価した。これらのマイクロエマルジョンを、マイクロエマルジョンに含まれるオピオイド性活性成分について示す以下の投与量で腹腔内ルート(i.p.)により投与した:
実施例20のマイクロエマルジョン: 10 mg/kg
実施例21のマイクロエマルジョン: 20 mg/kg
実施例23のマイクロエマルジョン: 20 mg/kg
【0255】
ブランクまたは参照は、オピオイド性化合物を含まない同じマイクロエマルジョンと、モルヒネ(10 mg/kg)により作製した。ブランクがモルヒネである場合、これを、スクリーニングするのと同じ組成のマイクロエマルジョン中に可溶化した。
テイル-フリック試験に対する応答の値は、%MPE (±SEM平均)として表し、化合物の鎮痛効果は、マイクロエマルジョンおよび参照組成物を投与してからの異なる時間(15、30、60、120、240、360分)で評価した(表4)。表中の値は、各実験群について少なくとも6匹の動物の±SEMの値に相当する。
【0256】
結果
ホットプレート試験およびテイルフリック試験で得られた結果を、表3および4にそれぞれ示す。これらの表は、本発明のオピオイド性活性成分を含有するマイクロエマルジョンが、疼痛閾値を著しく増加させることを示す。実際、投与から120分以内に得られたMPE%の値は、対応する担体のものよりも著しく高い。よって、本発明の上記のオピオイド性活性成分を含有するマイクロエマルジョンは、鎮痛特性を示す。
投与から30分で、鎮痛効果は、モルヒネの鎮痛効果と等しいかまたはより高い結果であった。また、特に20 mg/kgの投与量を参照すると、鎮痛効果が時間中で維持されることがわかる。
表において、「マイクロエマルジョンの担体」との表現は、活性成分を含まないマイクロエマルジョン組成物を意味する。
【0257】
【表3】

【0258】
【表4】

【0259】
実施例34
マイクロエマルジョンの製造
実施例16で得られた化合物I-Ba (活性成分) (5 mg)を、ステアリン酸(油) (65 mg)中に70℃にて可溶化した。ステアリン酸中に活性成分が完全に溶けると、タウロコール酸ナトリウム(界面活性剤) (280 mg)および蒸留水 (650 mg)を加えた。70℃にて得られる最終試料は完全に澄んでおり、液体で等方性である。得られたマイクロエマルジョンの最終組成(重量%)は、以下のとおりである:
ステアリン酸(油) 6.5%
タウロコール酸ナトリウム(界面活性剤) 28%
水 65%
活性成分 0.5%
【0260】
実施例35
マイクロエマルジョンの製造
実施例15で得られた化合物I-Aa (活性成分) (5 mg)を、ステアリン酸(油) (95 mg)中に70℃にて可溶化した。油中に活性成分が完全に溶けると、タウロコール酸ナトリウム(0.1875 g)および大豆レシチンの市販の試料Epikuron (登録商標) 200 (界面活性剤) (0.0625 g)ならびに蒸留水 (650 mg)を加えた。
70℃にて得られる最終試料は完全に澄んでおり、液体で等方性である。得られたマイクロエマルジョンの最終組成(重量%)は、以下のとおりである:
ステアリン酸(油) 9.5%
タウロコール酸ナトリウム(界面活性剤) 18.75%
レシチン(界面活性剤) 6.25%
水 65%
活性成分 0.5%
【0261】
実施例36
マイクロエマルジョンの製造
実施例15で得られた化合物I-Aa (活性成分) (5 mg)を、Dynasan (登録商標) 116 (トリパルミチン) (15 mg)中に70℃にて可溶化した。n-ブタノール (190 mg)、大豆レシチン(Epikuron (登録商標) 200) (63 mg)、タウロコール酸ナトリウム (127 mg)および生理溶液 (600 mg)を、得られた油状の溶液に70℃にて加えた。
70℃にて得られる最終試料は完全に澄んでおり、液体で等方性である。得られたマイクロエマルジョンの最終組成(重量%)は、以下のとおりである:
トリパルミチン(油) 1.5%
タウロコール酸ナトリウム(界面活性剤) 6.3%
レシチン(界面活性剤) 12.7%
n-ブタノール 19%
生理溶液(水相) 60%
活性成分 0.5%
【0262】
実施例37
マイクロエマルジョンの製造
実施例15で得られた化合物I-Aa (活性成分) (5 mg)を、Miglyol (登録商標) 812S (9 mg)およびトリパルミチン (36 mg)中に70℃にて可溶化した。n-ブタノール (175 mg)、大豆レシチン(Epikuron (登録商標) 200) (140 mg)、タウロコール酸ナトリウム (35 mg)および生理溶液 (600 mg)を、得られた油状の溶液に加えた。
70℃にて得られる最終試料は完全に澄んでおり、液体で等方性である。得られたマイクロエマルジョンの最終組成(重量%)は、以下のとおりである:
トリパルミチン(油) 3.6%
Miglyol (登録商標) 812S (油) 0.9%
タウロコール酸ナトリウム(界面活性剤) 3.5%
レシチン(界面活性剤) 14%
n-ブタノール 17.5%
生理溶液(水相) 60%
活性成分 0.5%
【0263】
実施例38
実施例20のマイクロエマルジョンを、密閉した容器内で75℃にて15分間加熱した。水相と油相の間の相分離が観察された。次いで、試料を撹拌して25℃に冷却すると、元のマイクロエマルジョンを回復した。
【0264】
実施例39 比較
実施例20に記載されるマイクロエマルジョンの製造を、油Miglyol (登録商標) 812Sを用いずに繰り返した。他の成分同士の重量比は、実施例20のものと同じままにした。界面活性剤(Solutol (登録商標) HS15)と活性成分(化合物I-Aa)との比は、9.00に等しい。製造の最後に、マイクロエマルジョンではなく、固体残渣を含む乳白色の液相で形成される不均質な組成物が得られた。
組成物の外観は、実施例20のマイクロエマルジョンの化合物I-Aaの同じ濃度(0.2%)を得るように、得られた組成物を生理溶液で希釈しても変わらなかった。組成物の外観は、Solutol (登録商標) HS15の添加により、界面活性剤/化合物I-Aaの重量比を9から20に増加しても、変化しなかった。
よって、成分O)の不在下でマイクロエマルジョンを得るためには、この実施例の成分PA)/成分S)の比を、20を超えてさらに増加させるべきである。実施例20においては、上記のように、この比は9.00であった。
【0265】
実施例40 比較
実施例22に記載されるマイクロエマルジョンの製造を、Miglyol (登録商標) 810油もImwitor (登録商標) 308油も用いずに繰り返した。他の成分同士の重量比は、実施例22のものと等しいままにした。界面活性剤(Solutol (登録商標) HS15)と活性成分(化合物I-Ba)との比は9.00である。製造の最後に、実施例39 比較と同様に、固体残渣を含む乳白色の液相で構成される不均質な組成物が得られた。
組成物の外観は、実施例22のマイクロエマルジョンと等しい化合物I-Baの濃度(0.2%)を得るために、得られた組成物を生理溶液で希釈しても変わらなかった。Solutol (登録商標) HS15の添加により、界面活性剤/化合物I-Baの重量比を9から2倍(18)に増加しても、状況は変化しなかった。
【0266】
実施例41 比較
実施例27に記載されるマイクロエマルジョンの製造を、Miglyol (登録商標) 812S油を用いずに繰り返した。他の成分同士の重量比は、実施例27のものと等しいままにした。界面活性剤(Solutol (登録商標) HS15)/活性成分(オピオイド性化合物)の比は、18.00である。製造の最後に、固体を含む乳白色の液相で形成される不均質な組成物が得られる。
組成物の外観は、実施例27のマイクロエマルジョンと等しいオピオイド性化合物の濃度(0.1%)を得るために、生理溶液で希釈しても変わらなかった。Solutol (登録商標) HS15の添加により、界面活性剤/オピオイド性化合物の重量比を18から30に増加しても、状況は変化しなかった。
【0267】
実施例42 比較
実施例28に記載されるマイクロエマルジョンの製造を、Miglyol (登録商標) 812S油を用いずに繰り返した。他の成分同士の重量比は、実施例28のものと等しいままにした。界面活性剤(Solutol (登録商標) HS15)/活性成分(オピオイド性化合物)の比は、9.00である。製造の最後に、固体残渣を含む乳白色の液相で形成される不均質な組成物が得られる。
組成物の外観は、実施例28のマイクロエマルジョンのオピオイド性化合物と同じ濃度(0.2%)を得るために、生理溶液で希釈しても変わらなかった。Solutol (登録商標) HS15の添加により、界面活性剤/オピオイド性化合物の重量比を9から20に増加しても、組成物には影響せず、不均質のままであった。
【0268】
実施例43 比較
実施例29のマイクロエマルジョンの製造を、Miglyol (登録商標) 812S油を用いずに繰り返した。
他の成分同士の重量比は、実施例29のものと等しいままにした。界面活性剤(Solutol (登録商標) HS15)/活性成分(オピオイド性化合物)の比は、18.00である。製造の最後に、固体残渣を含む乳白色の液相で形成される不均質な組成物が得られる。
組成物の外観は、実施例29のマイクロエマルジョンのオピオイド性化合物と同じ濃度(0.1%)を得るために、生理溶液で希釈しても変わらなかった。Solutol (登録商標) HS15の添加により、界面活性剤/オピオイド性化合物の重量比を18から25に増加しても、外観は変化しなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
重量%で示される量の以下の成分:
S) 以下のクラス:
− 任意にフッ素原子を含有していてもよい、非イオン性、アニオン性、カチオン性、および両性の界面活性剤から選択される界面活性剤、
− 溶解した液体中で、凝集体、ミセル、液晶、小胞として組織化された構造を形成するポリマー
から選択される、1つ以上の医薬的に許容される化合物0.01%〜95%、
O) 以下のクラスの医薬的に許容される化合物:
− 1つ以上のエチレンタイプの不飽和を任意に含んでいてもよいC4-C32の酸エステル、
− 1つ以上のエチレンタイプの不飽和を任意に含んでいてもよいC4-C32の酸
から選択される1種以上の油0.01%〜95%、
PA) 式A'を有するジアザ2環性の化合物0.001%〜90%:
【化1】

(式中、tは1または2に等しい整数であり;
rは、1、2または3に等しく、tに依存して次の値
t=1のときr=1、2または3;
t=2のときr=2または3;
を有する整数であり:
t=1のとき、ジアザ2環性の環の窒素原子の置換基WおよびYの一方は、アシル基-C(O)-RB (ここで、RBは直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC1-C10アルキル基である)であり、他方の置換基は:
【化2】

(式中、Zは:
− C6-C10アリール基、
− C5-C7シクロアルキル基、
− 窒素、酸素および硫黄から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む、5または6原子を環に有する芳香族複素環式基
から選択され、
Q'は、水素、直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC1-C4アルキル、C5-C7シクロアルキル、またはフェニルから選択される)
から選択され、
t=2のとき、置換基WおよびYの一方は、アシル基-C(O)-RB (ここで、RBは上記で定義されたとおりである)であり、他方の置換基は:
【化3】

(式中、
− Tは、飽和または不飽和の、直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC2-C9脂肪族鎖であり、
− T1は、水素、イソチオシアネート、CN、OR'、C(O)OR'、C(O)R'、C(O)NR'R''、NR'R'' (ここで、R'およびR''は、互いに同一または異なって、水素、直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC1-C7アルキル、C1-C7アルコキシ、C1-C7アルキルチオ、C1-C7ハロアルキル、C1-C7ハロアルコキシ、C3-C15シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールから選択され、
− T2およびT3は、互いに同一または異なって:
− 水素、但し
− WおよびYのうちの一方の置換基が式(XVII)を有するとき、T1、T2およびT3の少なくとも1つは水素でない、
− WおよびYのうちの一方の置換基が式(XVIII)を有するとき、T2およびT3の少なくとも1つは水素でない、
− 直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC1-C10アルキル、
− アリールまたはヘテロアリール、
− C3-C15シクロアルキル
から選択される置換基であり、
− T4は、T2およびT3と同じ意味であるが、水素を除く)
から選択される)
AD) 以下のクラス:
− 水および/または油の極性の改質剤、
− 成分S)のフィルムの曲率の改質剤、
− 補助界面活性剤
から選択される1種以上の化合物0%〜60%、
WA) 任意に緩衝されていてもよい、水または生理食塩水溶液0.01%〜99.9%
を含み、各成分の合計が100%であり、
S) / PA)の重量比が、同じ組成を有するが成分O)を含まないマイクロエマルジョンのS) / PA)の重量比に対して、少なくとも10%より低く、好ましくは少なくとも30%より低い、マイクロエマルジョンの形態の医薬組成物。
【請求項2】
ポリマー成分S)が溶解している液体が、水および/または油である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
成分PA)のRBが、C3-C10シクロアルキル環もしくはC6-C10アリール環、または飽和もしくは不飽和の、好ましくはN、SおよびOから選択される1つ以上のヘテロ原子を含むC3-C10複素環を任意に含んでいてもよい、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
ZがC6-C10アリールまたは5もしくは6原子を環に有する芳香族複素環であるとき、該アリールおよび芳香族複素環が、C1-C3アルコキシ、C1-C2ハロアルコキシ、C1-C3アルキル、ハロゲン、カルボキシ、シアノ、ニトロ、-CONHZ' (ここで、Z'は直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC1-C4アルキルである)から選択される、互いに同一または異なる1つ以上の基で任意に置換されていてもよい、請求項1〜3のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項5】
Zが、ベンゼン環と任意に縮合していてもよい、5または6原子を環に有する芳香族複素環である、請求項1〜4のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項6】
Q'がC5-C7シクロアルキルまたはフェニルであり、これらの基が、C1-C3アルコキシ、C1-C2ハロアルコキシ、C1-C3アルキル、ハロゲン、カルボキシ、シアノ、ニトロ、-CONHZ' (ここで、Z'は直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC1-C4アルキルを意味する)から選択される、互いに同一または異なる1つ以上の基で任意に置換されていてもよい、請求項1〜5のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項7】
T1がOR'、C(O)OR'、C(O)R'、C(O)NR'R''、NR'R''であり、R'および/またはR''が好ましくはO、S、Nから選択される1つ以上のヘテロ原子を任意に含んでいてもよいC3-C15シクロアルキルである、請求項1〜6のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項8】
T1がOR'、C(O)OR'、C(O)R'、C(O)NR'R''、NR'R''であり、R'および/またはR''がO、S、Nから選択される1つのヘテロ原子を任意に含んでいてもよいC3-C15シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールであり、これらの基がヒドロキシ、ハロゲン、直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC1-C10アルキルから選択される1つ以上の基で任意に置換されていてもよい、請求項1〜7のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項9】
T2およびT3が直鎖状または分枝鎖状のC1-C10アルキルであり、該アルキルは、ヒドロキシ、ハロゲン、CN、C3-C15シクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールから選択される、互いに同一または異なる1つ以上の基で任意に置換されていてもよく、該シクロアルキルは好ましくはO、S、Nから選択される1つ以上のヘテロ原子を任意に含んでいてもよく、該シクロアルキル、アリールおよびヘテロアリールはそれぞれヒドロキシ、ハロゲン、直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC1-C10アルキル、C1-C7アルコキシ、C1-C7アルキルチオ、C1-C7ハロアルキル、C1-C7ハロアルコキシから選択される1つ以上の基で任意に置換されていてもよい、請求項1〜8のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項10】
T2およびT3がアリールまたはヘテロアリールを意味し、該アリールまたはヘテロアリールのそれぞれが、以下の基:
− ヒドロキシ、ハロゲン、CNから選択される、互いに同一または異なる1つ以上の基で任意に置換されていてもよい、直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC1-C10アルキル;
− 好ましくはO、S、Nから選択される1つ以上のヘテロ原子を任意に含んでいてもよいC3-C15シクロアルキルであり、該シクロアルキルはヒドロキシ、ハロゲン、直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC1-C10アルキル、C1-C7アルコキシ、C1-C7アルキルチオ、C1-C7ハロアルキル、C1-C7ハロアルコキシから選択される、互いに同一または異なる1つ以上の基で任意に置換されていてもよい;
− ヒドロキシ、ハロゲン、直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC1-C10アルキル、C1-C7アルコキシ、C1-C7アルキルチオ、C1-C7ハロアルキル、C1-C7ハロアルコキシから選択される、互いに同一または異なる1つ以上の基で任意に置換されていてもよいアルキルアリールまたはアリールまたはヘテロアリールまたはアルキルへテロアリール
から選択される、互いに同一または異なる1つ以上の基で任意に置換されていてもよい、請求項1〜9のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項11】
T2およびT3がC3-C15シクロアルキルを意味し、該シクロアルキルは好ましくはO、S、Nから選択される1つ以上のヘテロ原子を任意に含んでいてもよく、以下の基:
− ヒドロキシ、ハロゲン、CNから選択される、互いに同一または異なる1つ以上の基で任意に置換されていてもよい、直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC1-C10アルキル;
− 好ましくはO、S、Nから選択される1つ以上のヘテロ原子を任意に含んでいてもよいC3-C15シクロアルキルであって、該シクロアルキルは、ヒドロキシ、ハロゲン、直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC1-C10アルキル、C1-C7アルコキシ、C1-C7アルキルチオ、C1-C7ハロアルキル、C1-C7ハロアルコキシから選択される、互いに同一または異なる1つ以上の基で任意に置換されていてもよい;
− ヒドロキシ、ハロゲン、直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC1-C10アルキル、C1-C7アルコキシ、C1-C7アルキルチオ、C1-C7ハロアルキル、C1-C7ハロアルコキシから選択される、互いに同一または異なる1つ以上の基で任意に置換されていてもよいアリールアルキル、アリール、ヘテロアリールまたはへテロアリールアルキル
から選択される、互いに同一または異なる1つ以上の基で任意に置換されていてもよい、請求項1〜10のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項12】
化合物PA)のWおよびY置換基の一方が、-C(O)CH3または-C(O)C2H5から選択され、他方の置換基が、
− t=1のとき、(XIV)または(XV)から選択され、
− t=2のとき、(XVII)(ここで、T1=Hである)または(XVIII)から選択される、
請求項1〜11のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項13】
化合物PA)のWおよびY置換基の一方が、-C(O)CH3または-C(O)C2H5から選択され、他方の置換基が、
− t=1のとき、(XIV)または(XV)(ここで、Q'およびZの少なくとも一方はアリールを意味する)から選択され、
− t=2のとき、(XVII)(ここで、T1=Hである)または(XVIII)(ここで、T2およびT3の少なくとも一方はアリールである)から選択される、
請求項1〜12のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項14】
以下の成分(重量%):
− 成分S) 0.01〜60%;
− 成分O) 0.01〜90%;
− 成分PA) 0.001〜50%;
− 成分AD) 0〜20%;
− 成分WA) 0.1〜99.9%
を含み、成分の合計が100%である、請求項1〜13のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項15】
以下の成分(重量%):
− 成分S) 0.01〜50%;
− 成分O) 0.01〜90%;
− 成分PA) 0.05〜50%;
− 成分AD) 0〜10%;
− 成分WA) 10〜99.9%
を含み、成分の合計が100%である、請求項1〜13のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項16】
以下の成分(重量%):
− 成分S) 0.01〜50%;
− 成分O) 0.01〜50%;
− 成分PA) 0.05〜50%;
− 成分AD) 0〜10%;
− 成分WA) 20〜99.9%
を含み、成分の合計が100%である、請求項1〜13のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項17】
界面活性剤成分S)が、非イオン性またはアニオン性界面活性剤から選択される、請求項1〜16のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項18】
成分AD)において、
水および/または油の極性の改質剤が、ポリエチレングリコールおよび脂肪族アルコールであり、
− 成分S)フィルムの曲率の改質剤が、C2-C5脂肪族アルコールであり、
− 補助界面活性剤が、好ましくは少なくとも6炭素原子を有する脂肪族アルコールである、
請求項1〜17のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項19】
医薬的に有効な活性成分の濃度を得るために、水および/または水溶液および/または油で希釈された、請求項1〜18のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項20】
以下の工程:
(IP) 式A'のジアザ2環性の化合物を油中に溶解し、
(IIP) 成分S)を上記の油の溶液に加え、
(IIIP) 成分AD)を任意に上記の油相に加え、
(IVP) 水または生理食塩溶液を上記の油相に加えて、澄明な溶液を得る
ことを含む、請求項1〜19のいずれか1つに記載の組成物を製造する方法。
【請求項21】
以下の工程:
(I') 式A'のジアザ2環性の化合物を油に溶解し、
(II') 成分S)を水相に加え、
(III') 成分AD)を任意に上記の水相に加え、
(UV') 工程(I')の油相を、工程(II')の水相または任意の(III')の水相と混合する
ことを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
0〜80℃の温度で行われる、請求項20または21に記載の方法。
【請求項23】
オピオイド性μおよび/もしくはδおよび/もしくはκ受容体、ならびに/またはそれら全ての受容体のサブクラスに親和性を有し、中枢系および/または末梢系に対する活性を有し、式(I)(ここで、環原子は任意に異なる同位体の形態であってもよい)を有する、異性体およびそれらの混合物を含むホモピペラジン含有ノナンおよびデカンジアザ2環性の誘導体:
【化4】

[式中、
− nは1または2に等しい整数であり、
− ジアザ2環性の環の窒素原子の置換基RおよびR1の1つは-C(O)-RB基(ここで、RBは、直鎖状または可能なときは分枝鎖状のC1-C10アルキル基である)であり、
− 他の置換基は次の(II)〜(X)の基から選択される:
構造(II):
【化5】

(式中、
− RCは、直鎖状または可能なとき分枝鎖状の2価の飽和の脂肪族鎖C3-C10であり、
− Bは、水素、イソチアシアネート、CN、OR'、C(O)OR'、C(O)R'、C(O)NR'R''、NR'R''から選択される基であり、R'およびR''は、互いに同一または異なって、水素、直鎖状または可能なとき分枝鎖状の、C1-C7アルキル、C1-C7アルコキシ、C1-C7アルキルチオ、C1-C7ハロアルキル、C1-C7ハロアルコキシ、C3-C15シクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールから選択され、
− DおよびR2は、互いに同一または異なって、
− 水素、但し、式(II)中のB、DおよびR2のうちの少なくとも1つの置換基は水素ではなく、
− 直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC1-C10アルキル、
− アリールまたはヘテロアリール、
− C3-C15シクロアルキル
から選択される)、
式(III):
【化6】

(式中、
− B'は前記で定義されたBと同じ意味を有し、
− R3は水素、またはR2について定義されたアルキル、アリール、ヘテロアリールまたはシクロアルキルであり、
− R4は次の意味:
− 直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC1-C10アルキル、
− 好ましくはO、S、Nから選択される1以上のへテロ原子を任意に含んでいてもよいC3-C15シクロアルキル、
を有し、B'およびR3の両方が水素でないとき、R4はアリールまたはヘテロアリールのさらなる意味を有する)、
式(IV):
【化7】

(式中、
− B''はB'と同じ意味を有し、
− R5はR3と同じ意味を有し、
− R6はR4と同じ意味を有するか、またはアリールもしくはヘテロアリールである)、
式(V):
【化8】

(式中、
− RDは、2価の飽和または不飽和の、直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC2-C8脂肪族鎖であり、
− BIIIおよびR7は、互いに同一または異なって、R2と同じ意味を有する、但し、BIIIおよびR7は両方がともに水素ではない)、
式(VI):
【化9】

(式中、
− REは不飽和の2価の、直鎖状または可能のなときは分枝鎖状のC2-C8脂肪族鎖であり、
− BIVは前記で定義されたBと同じ意味を有し、
− DIおよびDIIはR2と同じ意味を有する、
但し、式(VI)において、BIV、DIIおよびDIのうちの少なくとも1つは水素ではない)、
式(VII):
【化10】

(式中、
− DIIIおよびDIVは、互いに同一または異なって、R2と同じ意味を有するが、水素を除く)、
式(VIII):
【化11】

(式中、DVはアリールまたはヘテロアリール以外のR4と同じ意味を有する)、
式(IX):
【化12】

(式中、RFは、飽和または不飽和の、直鎖状または可能なとき分枝鎖状の、2価のC2-C8脂肪族鎖であり、R8は水素を除くR2と同じ意味を有する)、
式(X):
【化13】

(式中、R9は、アリールまたはヘテロアリール以外のR4と同じ意味を有する)
から選択される]。
【請求項24】
式(II)におけるBが、OR'、C(O)OR'、C(O)R'、C(O)NR'R''、NR'R''から選択される基であり、ここで、R'および/またはR''は、好ましくO、S、Nから選択される1以上のヘテロ原子を任意に含んでいてもよいC3-C15シクロアルキル、アリールおよびヘテロアリールから選択され、シクロアルキル、アリールおよびヘテロアリールのそれぞれは、ヒドロキシ、ハロゲン、直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC1-C10アルキルから選択される1以上の基で任意に置換されていてもよい、請求項23に記載の化合物。
【請求項25】
式(II)におけるDおよび/またはR2が、直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC1-C10アルキルであり、該アルキルはヒドロキシ、ハロゲン、CN、C3-C15シクロアルキル、アリール、へテロアリールから選択される、互いに同一または異なった1以上の基で任意に置換されていてもよく、ここで、
−C3-C15シクロアルキルは、好ましくはO、S、Nから選択される1以上のヘテロ原子を任意に含んでいてもよく、
−C3-C15シクロアルキル、アリールおよびヘテロアリールは、ヒドロキシ、ハロゲン、直鎖状または可能なとき分枝鎖状の、C1-C10アルキル、C1-C7アルコキシ、C1-C7アルキルチオ、C1-C7ハロアルキル、C1-C7ハロアルコキシから選択される1以上の基で置換されていてもよい、請求項23または24に記載の化合物。
【請求項26】
式(II)におけるDおよび/またはR2が、好ましくはO、SおよびNから選択される1以上のヘテロ原子を任意に含んでいてもよいC3-C15シクロアルキルであり、式(II)におけるDおよび/もしくはR2ならびに/または式(IV)におけるR6がアリール、ヘテロアリールであり、アリール、ヘテロアリールおよびシクロアルキルはそれぞれ、互いに同一または異なった次の基:
− ヒドロキシ、ハロゲン、CNから選択される、互いに同一または異なった1以上の基で任意に置換されていてもよい、直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC1-C10アルキル、
− 好ましくはO、S、Nから選択される1以上のヘテロ原子を任意に含んでいてもよいC3-C15シクロアルキル(シクロアルキルは、ヒドロキシ、ハロゲン、直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC1-C10アルキル、C1-C7アルコキシ、C1-C7アルキルチオ、C1-C7ハロアルキル、C1-C7ハロアルコキシから選択される、互いに同一または異なった1以上の基で任意に置換されていてもよい)、
− ヒドロキシ、ハロゲン、直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC1-C10アルキル、C1-C7アルコキシ、C1-C7アルキルチオ、C1-C7ハロアルキル、C1-C7ハロアルコキシから選択される、互いに同一または異なった1以上の基で任意に置換されていてもよい、アリールアルキルまたはアリールまたはヘテロアリールまたはヘテロアリールアルキル
から選択される1以上の基で任意に置換されていてもよい、請求項23〜25のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項27】
式(III)において、R4が直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC1-C10アルキル(このアルキルは、ヒドロキシ、ハロゲン、CN、アリール、へテロアリール、または好ましくはO、S、Nから選択される1以上のヘテロ原子を任意に含んでいてもよいC3-C15シクロアルキルから選択される、互いに同一または異なった1以上の基で任意に置換されていてもよく、ここで、シクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールはそれぞれ、ヒドロキシ、ハロゲン、直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC1-C10アルキル、アリールアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキルから選択される、互いに同一または異なった1以上の基で任意に置換されていてもよく、アリールアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキルはそれぞれ、ヒドロキシ、ハロゲン、直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC1-C10アルキル、C1-C7アルコキシ、C1-C7アルキルチオ、C1-C7ハロアルキル、C1-C7ハロアルコキシから選択される、互いに同一または異なった1以上の基で任意に置換されていてもよい、請求項23〜26のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項28】
式(III)において、R4がC3-C15シクロアルキルの意味を有し、該シクロアルキルは、互いに同一または異なった次の基:
− ヒドロキシ、ハロゲン、CNから選択される、互いに同一または異なった1以上の基で任意に置換されていてもよい、直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC1-C10アルキル、
− 好ましくはO、S、Nから選択される互いに同一または異なった1以上のヘテロ原子を任意に含んでいてもよいC3-C15シクロアルキル(該シクロアルキルは、互いに同一または異なった次の1以上の基:ヒドロキシ、ハロゲン、直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC1-C10アルキル、アリールアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキルで任意に置換されていてもよく、該アリールアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキルは、ヒドロキシ、ハロゲン、直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC1-C10アルキル、C1-C7アルコキシ、C1-C7アルキルチオ、C1-C7ハロアルキル、C1-C7ハロアルコキシから選択される、互いに同一または異なった1以上の基で任意に置換されていてもよい)、
− ヒドロキシ、ハロゲン、直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC1-C10アルキル、C1-C7アルコキシ、C1-C7アルキルチオ、C1-C7ハロアルキル、C1-C7ハロアルコキシから選択される、互いに同一または異なった1以上の基で任意に置換されていてもよい、アリールアルキルまたはアリールまたはヘテロアリールまたはヘテロアリールアルキル
から選択される1以上の基で任意に置換されていてもよい、請求項23〜27のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項29】
式(III)において、B'およびR3は両方がともに水素ではなく、R4がアリールまたはヘテロアリールであり、アリールおよびヘテロアリールはそれぞれ、互いに同一または異なった次の1以上の基:
− ヒドロキシ、ハロゲン、CNから選択される、互いに同一または異なった1以上の基で任意に置換されていてもよい、直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC1-C10アルキル、
− 好ましくはO、S、Nから選択される、互いに同一または異なった1以上のヘテロ原子を任意に含んでいてもよいC3-C15シクロアルキル(該シクロアルキルは、互いに同一または異なった次の基:ヒドロキシ、ハロゲン、直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC1-C10アルキル、アリールアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキルの1以上で任意に置換されていてもよく、上記のアリールアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキルはヒドロキシ、ハロゲン、直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC1-C10アルキル、C1-C7アルコキシ、C1-C7アルキルチオ、C1-C7ハロアルキル、C1-C7ハロアルコキシから選択される、互いに同一または異なった1以上の基で任意に置換されていてもよい)、
− アリールアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル(ここで、これらの基の各々は、ヒドロキシ、ハロゲン、直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC1-C10アルキル、C1-C7アルコキシ、C1-C7アルキルチオ、C1-C7ハロアルキル、C1-C7ハロアルコキシから選択される、互いに同一または異なった1以上の基で任意に置換されていてもよい)
で任意に置換されていてもよい、請求項23〜28のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項30】
RとR1の一方が、-C(O)-RB基であり、他方が基(II)〜(X)から選択され、ここで
− 式(II)において、RCは2価の飽和の直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC3-C7脂肪族鎖であり、Bは水素である、
− 式(III)において、B'は水素であり、R3はR2で定義されたアルキル、アリール、ヘテロアリールまたはシクロアルキルであり、R4はアリールまたはヘテロアリールの意味を含み前記で定義されたとおりである、
− 式(IV)において、B''は水素である、
− 式(V)において、RDは飽和または不飽和の2価の、直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC2-C5脂肪族鎖であり、BIIIおよびR7は、互いに同一または異なってR2と同じ意味を有するが、RIIIおよびR7は両方がともに水素ではない、
− 式(VI)において、REは不飽和の2価の直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC2-C5脂肪族鎖であり、BIVは水素であり、DIIおよびDIはR2と同じ意味を有するが、式(VI)においてDIIとDIの少なくとも1つの置換基は水素でない、
式(VII)〜(X)は前記で定義されたとおりである、
請求項23〜29のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項31】
RとR1の一方が-C(O)-RB基であり、RBは直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC1-C4アルキル基であり、他方が式(II)〜(X)から選択される:ここで、
− 式(II)において、RCは2価の飽和の直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC3-C7脂肪族鎖であり、Bは水素である、
− 式(III)において、B'は水素であり、R3は、R2で定義されたアルキル、アリール、ヘテロアリールまたはシクロアルキルから選択される置換基であり、R4はアリールまたはヘテロアリールを含み前記で定義されたとおりである、
− 式(IV)において、B''は水素である、
− 式(V)において、RDは飽和または不飽和の2価の直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC2-C5脂肪族鎖であり、BIIIおよびR7は、互いに同一または異なって、R2と同じ意味を有するが、BIIIおよびR7は両方がともに水素ではない、
− 式(VI)において、REは不飽和の2価の直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC2-C5脂肪族鎖であり、BIVは水素であり、DIIおよびDIはR2と同じ意味を有するが、式(VI)におけるDIIとDIの少なくとも1つの置換分は水素でない、
式(VII)〜(X)は前記で定義されたとおりである、
請求項23〜29のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項32】
式(I)において、RおよびR1の一方が-C(O)-RBであり、RBはメチル、エチルから選択され、他方が式(II)〜(X)から選択される、ここで、
− 式(II)において、RCは2価の飽和の直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC3アルキル鎖であり、Bは水素である、
− 式(III)において、B'は水素であり、R3は、R2で定義されたアルキル、アリール、ヘテロアリールまたはシクロアルキルから選択される置換基であり、R4はアリールまたはヘテロアリールを含み前記で定義されたとおりである、
− 式(IV)において、B''は水素である、
− 式(V)において、RDは飽和または不飽和の2価の直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC2-C5脂肪族鎖であり、BIIIおよびR7は互いに同一または異なってR2と同じ意味を有するが、BIIIおよびR7は両方がともに水素ではない、
− 式(VI)において、REは不飽和の2価の直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC3脂肪族鎖であり、BIVは水素であり、DIIおよびDIはR2と同じ意味を有するが、式(VI)においてDIIとDIの少なくとも一方は水素でない、
式(VII)〜(X)は前記で定義されたとおりである、
請求項23〜29のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項33】
式(I)において、RおよびR1の一方が-C(O)-RBであり、RBはメチル、エチルから選択され、他方が次の式から選択される:
− B'が水素であり、R3が、R2で定義されたアルキル、アリール、ヘテロアリールまたはシクロアルキルから選択され、R4がアリールまたはヘテロアリールを含む前記で定義されたとおりの式(III)、
− DIIIおよびDIVが互いに同一または異なって水素以外のR2と同じ意味を有する式(VII)、
− DVがアリールまたはヘテロアリール以外のR4と同じ意味を有する式(VIII)、
− R9がアリールまたはヘテロアリール以外のR4と同じ意味を有する式(X)、
請求項23〜29のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項34】
次の式を有する、請求項23〜33のいずれか1つに記載の化合物:
【化14−1】

【化14−2】

【化14−3】

【化14−4】

【化14−5】

【化14−6】

【化14−7】

【化14−8】

【請求項35】
請求項23〜34のいずれか1つに記載の化合物の幾何異性体および立体異性体の両方を含む異性体、ならびにそれらの対応する混合物。
【請求項36】
請求項23〜35のいずれか1つに記載の化合物の、請求項1〜19のいずれか1つに記載のマイクロエマルジョンマイクロエマルジョン。
【請求項37】
医薬組成物を製造するための、請求項36に記載のマイクロエマルジョンの使用。
【請求項38】
マイクロエマルジョンが請求項23〜35のいずれか1つに記載の化合物を含む、請求項37に記載の使用。
【請求項39】
請求項36に記載のマイクロエマルジョンを含む医薬組成物。
【請求項40】
哺乳動物および個体において、オピオイド性受容体μおよび/またはδおよび/またはκが関与する疾病および障害の治療および予防のための、請求項39に記載の医薬組成物。
【請求項41】
請求項23〜35のいずれか1つに記載の化合物を含む、請求項40に記載の医薬組成物。
【請求項42】
疾病および障害が、次の:疼痛、手術後の疼痛、慢性疼痛、神経障害性疼痛、乱用の治療(例えばヘロインおよびコカイン乱用)、アルコール中毒症、便秘、下痢および胃腸管のその他の障害、悪心、嘔吐、皮膚炎、肥満および食欲に関するその他の障害、鬱病、タバコ依存症(タバコ中毒)、性機能障害、ショック、脳損傷、脊髄損傷、例えば緑内障および眼内高圧のような眼の症状および障害、例えば乳癌のような癌の予防および治療用医薬を製造するための、請求項39に記載の組成物の使用。
【請求項43】
組成物が、請求項23〜35のいずれか1つに記載の化合物を含む、請求項42に記載の使用。
【請求項44】
請求項23〜35のいずれか1つに記載の化合物の水和物または溶媒和物。

【公開番号】特開2010−37342(P2010−37342A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−177957(P2009−177957)
【出願日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【出願人】(509215651)ニューロサイエンス ファーマネス エス.シー. エー アール.エル. (7)
【氏名又は名称原語表記】NEUROSCIENZE PHARMANESS S.C. A R.L.
【住所又は居所原語表記】Loc. Piscinamanna, Edificio 5, 09010 Pula, Cagliari, ITALY
【Fターム(参考)】