説明

マイクロクラック検査方法及び装置

【課題】簡易に精度良く安定して適確に検査対象物の導体部に生じるマイクロクラックを検査し得るマイクロクラック検査装置を提供すること。
【解決手段】このマイクロクラック検査装置の場合、コネクタ1の導体部1aに生じたマイクロクラック4の形状が所定の方向の押圧により繋がり易いものであっても、押込みツール5(鉛直方向でコネクタ1を押圧する)及びプローブ板2,3(水平方向でコネクタ1を挟むように押圧する)による多方向押圧機能と、プローブ板2,3における端子2a,3aを導体部1aへ通電させての電気検査機能(導通不良の有無確認)とが協働することにより、マイクロクラック4の繋がり発生が防止された上、簡易に精度良く安定して適確にコネクタ1の導体部1aに生じるマイクロクラック4を検査することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として弾性体表面上に導体部が所定のパターンで配設されて成るゴムコネクタ等の検査対象物における導体部に生じるマイクロクラックを検査するためのマイクロクラック検査方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一般的な導体部を有する検査対象物のマイクロクラックを検査するための周知技術としては、例えば太陽電池製造時において、内部割れのある太陽電池を選別するために太陽電池セル自体を強制的に湾曲させ、マイクロクラックが生じている場合に生じる振動波(アコースティクエミッションと呼ばれる)を検知するようにした太陽電池の内部割れ検査方法およびその検査装置(特許文献1参照)が挙げられる。
【0003】
この特許文献1に係る検査対象物(ワーク)となる太陽電池セルは、開示されているように押し込み棒等を用いて隅部を押し込めば或る程度撓ませることが可能であるものの、太陽電池セル自体は弾性を持つものではないため、ゴムコネクタ等の弾性を持つ検査対象物に適用することは困難である。このため、ゴムコネクタ等を検査する場合には、別途検査基板等を当てて行う必要がある。
【0004】
図10は、検査対象物としてゴム製のコネクタ11における導体部11aに生じるマイクロクラックを検査する場合の一例(文献公知に係る発明でないが、一般的に実施されている周知な手法)を示した概略斜視図であり、同図(a)はコネクタ11の外観構成に関するもの,同図(b)はプローブ板2,3によるコネクタ11に対する押圧の様子を示した外観構成に関するものである。
【0005】
ここでは、図10(a)を参照すれば、コネクタ11として、棒状のゴム基材に対してその外径よりも局所が突出するように所定の間隔で断面カマボコ状の略凸部を形成した弾性体11aにおける略凸部の平坦面を除く表面にそれぞれ帯状に導体部11aを配設した構造のものを用い、図10(b)に示されるように、一方のプローブ板3上にコネクタ11の一端側を載せ、コネクタ11における導体部11aの一端側に対してプローブ板3の図示されない端子が接触されるようにし、更に他方のプローブ板2によりコネクタ11の他端側を押圧し、プローブ板2の図示されない端子がコネクタ11における導体部11aの他端側に対して押圧接触される状態とすること、即ち、プローブ板2,3の端子がそれぞれコネクタ11の導体部11aを対向する鉛直方向で挟み込む押圧接触状態とした上、プローブ板2,3の端子を通電させることによって、導体部11aに生じるマイクロクラックを電気検査する様子を示している。
【0006】
【特許文献1】特開2002−343992号公報(第3頁、段落[0013]〜[0014])
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した図10(b)に示すマイクロクラックの電気検査の場合、一対のプローブ板の端子がそれぞれゴム製のコネクタの導体部を対向する鉛直方向で挟み込む押圧接触状態を得て端子を通電させる手法であり、コネクタの導体部における押圧変形が或る程度の規則性を持つのに対し、導体部に生じるマイクロクラックの形状はまちまちであって、その形状によっては押圧変形時に裂け目が繋がって導電性での検査結果が誤認されてしまうことが起こり得るため、必ずしも精度良く安定して適確にマイクロクラックを検査できないという問題がある。
【0008】
その他、検査対象物をフレキシブル基板(FPC)とした場合には、一般に撮像カメラを用いて導体部を撮像して得た撮像画像を画像処理したものをモニタ表示して検査する画像処理検査が適用されており、こうした画像処理検査についてもゴム製のコネクタの検査に適用することが可能であるが、こうした場合においても同様に、押圧変形時に裂け目が繋がって誤認されてしまうことが起こり得るため、必ずしも精度良く安定して適確にマイクロクラックを検査できないという問題がある。
【0009】
本発明は、このような問題点を解決すべくなされたもので、その技術的課題は、簡易に精度良く安定して適確に検査対象物の導体部に生じるマイクロクラックを検査し得るマイクロクラック検査方法及び装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、所定の形状の弾性体表面上に所定のパターンにより導体部が配設されて成る検査対象物における該導体部に生じるマイクロクラックを検査するためのマイクロクラック検査方法において、検査対象物における弾性体及び導体部を異なる方向から押圧変形させたときの該導体部の表面状態に基づいてマイクロクラックを検査する多方向押圧検査段階を有するマイクロクラック検査方法が得られる。
【0011】
又、本発明によれば、上記マイクロクラック検査方法において、多方向押圧検査段階は、検査対象物の延在方向に沿って延在する第1の押圧手段を用いて弾性体及び導体部を鉛直方向に押圧する第1の押圧段階と、少なくとも導体部のパターンに合致すると共に、該導体部のパターンに対してそれぞれ対向する方向から押圧接触される端子を有する一対の第2の押圧手段を用いて弾性体及び該導体部を鉛直方向とは垂直な水平方向で挟み込むように押圧する第2の押圧段階と、導体部を通電させた上で第2の押圧段階で変形された該導体部における電気出力値の変化を示すパラメータ情報を一対の第2の押圧手段における端子から検出してマイクロクラックを検査する電気検出段階とを有するマイクロクラック検査方法が得られる。
【0012】
更に、本発明によれば、上記マイクロクラック検査方法において、多方向押圧検査段階は、検査対象物の延在方向に沿って延在する透明材料による第1の押圧手段を用いて弾性体及び導体部を鉛直方向に押圧する第1の押圧段階と、検査対象物に対してそれぞれ対向する方向から押圧接触される一対の第2の押圧手段を用いて弾性体及び導体部を鉛直方向とは垂直な水平方向で挟み込むように押圧する第2の押圧段階と、第2の押圧段階を経て変形された検査対象物における導体部の表面状態を第1の押圧手段を通して光学的に撮像して撮像情報を得ると共に、該撮像情報を表示してマイクロクラックを検査する撮像表示段階とを有するマイクロクラック検査方法が得られる。
【0013】
加えて、本発明によれば、上記マイクロクラック検査方法において、多方向押圧検査段階は、検査対象物の延在方向に沿って延在する透明材料による第1の押圧手段を用いて弾性体及び導体部を鉛直方向に押圧する第1の押圧段階と、少なくとも導体部のパターンに合致すると共に、該導体部のパターンに対してそれぞれ対向する方向から押圧接触される端子を有する一対の第2の押圧手段を用いて弾性体及び導体部を鉛直方向とは垂直な水平方向で挟み込むように押圧する第2の押圧段階と、導体部を通電させた上で第2の押圧段階で変形された導体部における電気出力値の変化を示すパラメータ情報を一対の第2の押圧手段における端子から検出してマイクロクラックを検査する電気検出段階と、第2の押圧段階を経て変形された検査対象物における導体部の表面状態を第1の押圧手段を通して光学的に撮像して撮像情報を得ると共に、該撮像情報を表示してマイクロクラックを検査する撮像表示段階とを有するマイクロクラック検査方法が得られる。
【0014】
一方、本発明によれば、所定の形状の弾性体表面上に所定のパターンにより導体部が配設されて成る検査対象物における該導体部に生じるマイクロクラックを検査するためのマイクロクラック検査装置において、検査対象物における弾性体及び導体部を異なる方向から押圧変形させるための可動な多方向押圧手段と、多方向押圧手段による弾性体及び導体部の押圧変形時における該導体部の表面状態情報に基づいてマイクロクラックを検査する検査手段とを備えたマイクロクラック検査装置が得られる。
【0015】
又、本発明によれば、上記マイクロクラック検査装置において、多方向押圧手段は、検査対象物の延在方向に沿って延在すると共に、弾性体及び導体部を鉛直方向に押圧する第1の押圧手段と、検査対象物に対してそれぞれ対向する方向から押圧接触されると共に、弾性体及び導体部を鉛直方向とは垂直な水平方向で挟み込むように押圧する一対の第2の押圧手段とを備えたマイクロクラック検査装置が得られる。
【0016】
更に、本発明によれば、上記マイクロクラック検査装置において、一対の第2の押圧手段は、少なくとも導体部のパターンに合致すると共に、該導体部のパターンに対してそれぞれ対向する方向から押圧接触される端子を有しており、検査手段は、導体部を通電させる通電手段を含むと共に、表面状態情報として第1の押圧手段及び一対の第2の押圧手段により変形された該導体部における電気出力値の変化を示すパラメータ情報を該一対の第2の押圧手段における端子から検出してマイクロクラックを検査する電気検出手段であるマイクロクラック検査装置が得られる。
【0017】
加えて、本発明によれば、上記マイクロクラック検査装置において、第1の押圧手段は、透明材料から成り、検査手段は、表面状態情報として第1の押圧手段及び一対の第2の押圧手段により変形された検査対象物における導体部の表面状態を第1の押圧手段を通して光学的に撮像して撮像情報を得ると共に、該撮像情報を表示してマイクロクラックを検査する撮像表示手段であるマイクロクラック検査装置が得られる。
【0018】
又、本発明によれば、上記マイクロクラック検査装置において、第1の押圧手段は、透明材料から成り、一対の第2の押圧手段は、少なくとも導体部のパターンに合致すると共に、該導体部のパターンに対してそれぞれ対向する方向から押圧接触される端子を有しており、検査手段は、導体部に通電させる通電手段を含むと共に、表面状態情報として第1の押圧手段及び一対の第2の押圧手段により変形された導体部における電気出力値の変化を示すパラメータ情報を該一対の第2の押圧手段における端子から検出してマイクロクラックを検査する電気検出手段、並びに該表面状態情報として該第1の押圧手段及び該一対の第2の押圧手段により変形された検査対象物における導体部の表面状態を第1の押圧手段を通して光学的に撮像して撮像情報を得ると共に、該撮像情報を表示してマイクロクラックを検査する撮像表示手段であるマイクロクラック検査装置が得られる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、検査対象物における弾性体表面上の導体部に生じるマイクロクラックを検査する際、弾性体及び導体部を異なる方向から押圧変形させたときの導体部の表面状態に基づいて検査するため、周知の対向する方向のみで押圧変形させる場合とは異なり、マイクロクラックが微小部分で繋がることはあっても、全体的には強調されて露呈される傾向となるため、簡易に精度良く安定して適確に検査対象物の導体部に生じるマイクロクラックを検査することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明の最良の形態に係るマイクロクラック検査方法は、基本的な技術概要として、所定形状の弾性体表面上に所定のパターンにより導体部が配設されて成る検査対象物における導体部に生じるマイクロクラックを検査する際、検査対象物における弾性体及び導体部を異なる方向から押圧変形させたときの導体部の表面状態に基づいてマイクロクラックを検査する多方向押圧検査段階を有するものである。
【0021】
その好ましい形態の一例は、多方向押圧検査段階において、検査対象物の延在方向に沿って延在する第1の押圧手段を用いて弾性体及び導体部を鉛直方向に押圧する第1の押圧段階と、少なくとも導体部のパターンに合致すると共に、導体部のパターンに対してそれぞれ対向する方向から押圧接触される端子を有する一対の第2の押圧手段を用いて弾性体及び導体部を鉛直方向とは垂直な水平方向で挟み込むように押圧する第2の押圧段階と、導体部に通電させた上で第2の押圧段階で変形された導体部における電気出力値の変化を示すパラメータ情報を一対の第2の押圧手段における端子から検出してマイクロクラックを検査する電気検出段階とを有するようにしたものである。
【0022】
その好ましい形態の他例は、多方向押圧検査段階において、検査対象物の延在方向に沿って延在する透明材料による第1の押圧手段を用いて弾性体及び導体部を鉛直方向に押圧する第1の押圧段階と、検査対象物に対してそれぞれ対向する方向から押圧接触される一対の第2の押圧手段を用いて弾性体及び導体部を鉛直方向とは垂直な水平方向で挟み込むように押圧する第2の押圧段階と、第2の押圧段階を経て変形された検査対象物における導体部の表面状態を第1の押圧手段を通して光学的に撮像して撮像情報を得ると共に、撮像情報を表示してマイクロクラックを検査する撮像表示段階とを有するようにしたものである。
【0023】
その好ましい形態の別例は、多方向押圧検査段階において、上記二つの例を併用したものであり、検査対象物の延在方向に沿って延在する透明材料による第1の押圧手段を用いて弾性体及び導体部を鉛直方向に押圧する第1の押圧段階と、少なくとも導体部のパターンに合致すると共に、導体部のパターンに対してそれぞれ対向する方向から押圧接触される端子を有する一対の第2の押圧手段を用いて弾性体及び導体部を鉛直方向とは垂直な水平方向で挟み込むように押圧する第2の押圧段階と、導体部を通電させた上で第2の押圧段階で変形された導体部における電気出力値の変化を示すパラメータ情報を一対の第2の押圧手段における端子から検出してマイクロクラックを検査する電気検出段階と、第2の押圧段階を経て変形された検査対象物における導体部の表面状態を第1の押圧手段を通して光学的に撮像して撮像情報を得ると共に、撮像情報を表示してマイクロクラックを検査する撮像表示段階とを有するようにしたものである。
【0024】
これらのマイクロクラック検査方法を適用したマイクロクラック検査装置では、所定の形状の弾性体表面上に所定のパターンにより導体部が配設されて成る検査対象物における導体部に生じるマイクロクラックを検査するためのものにおいて、検査対象物における弾性体及び導体部を異なる方向から押圧変形させるための可動な多方向押圧手段と、多方向押圧手段による弾性体及び導体部の押圧変形時における導体部の表面状態情報に基づいてマイクロクラックを検査する検査手段とを備えたものである。
【0025】
但し、このマイクロクラック検査装置の場合、多方向押圧手段については、検査対象物の延在方向に沿って延在すると共に、弾性体及び導体部を鉛直方向に押圧する第1の押圧手段と、検査対象物に対してそれぞれ対向する方向から押圧接触されると共に、弾性体及び導体部を鉛直方向とは垂直な水平方向で挟み込むように押圧する一対の第2の押圧手段とを備えることを基本とする。
【0026】
こうした基本構成において、一対の第2の押圧手段については、少なくとも導体部のパターンに合致すると共に、導体部のパターンに対してそれぞれ対向する方向から押圧接触される端子を有するものとした上、検査手段については、導体部を通電させる通電手段を含むと共に、表面状態情報として第1の押圧手段及び一対の第2の押圧手段により変形された導体部における電気出力値の変化を示すパラメータ情報を一対の第2の押圧手段における端子から検出してマイクロクラックを検査する電気検出手段であるようにしたり、或いは第1の押圧手段については、透明材料から成るものとした上、検査手段については、表面状態情報として第1の押圧手段及び一対の第2の押圧手段により変形された検査対象物における導体部の表面状態を第1の押圧手段を通して光学的に撮像して撮像情報を得ると共に、撮像情報を表示してマイクロクラックを検査する撮像表示手段であるようにしたり、或いはこれらを併合した構成、即ち、第1の押圧手段については、透明材料から成るものとすると共に、一対の第2の押圧手段については、少なくとも導体部のパターンに合致すると共に、導体部のパターンに対してそれぞれ対向する方向から押圧接触される端子を有するものとした上、検査手段については、導体部に通電させる通電手段を含むと共に、表面状態情報として第1の押圧手段及び一対の第2の押圧手段により変形された導体部における電気出力値の変化を示すパラメータ情報を一対の第2の押圧手段における端子から検出してマイクロクラックを検査する電気検出手段、並びに表面状態情報として第1の押圧手段及び一対の第2の押圧手段により変形された検査対象物における導体部の表面状態を第1の押圧手段を通して光学的に撮像して撮像情報を得ると共に、撮像情報を表示してマイクロクラックを検査する撮像表示手段であるようにすることが好適となる。
【0027】
以下は、幾つかの実施例を挙げ、本発明の磁力コネクタについて、図面を参照して具体的な説明する。
【実施例1】
【0028】
図1は、本発明の実施例1に係るマイクロクラック検査装置における検査前期工程を工程順に従って示した模式図であり、同図(a)は対向するプローブ板2,3間にゴム製のコネクタ1を配置した状態の平面図に関するもの,同図(b)は同図(a)の状態におけるコネクタ1上に押込みツール5を配置した状態の平面図に関するもの,同図(c)は同図(b)の状態における側面図に関するもの,同図(d)はコネクタ1を押込みツール5により押し込んで弾性変形させた状態における側面図に関するものである。
【0029】
この実施例1に係るマイクロクラック検査装置は、長さ方向に対して垂直な面方向での断面形状が略カマボコ状の弾性体1b表面上に対し、長さ方向で所定の間隔を成して互いに平行となり、且つ長さ方向と垂直な幅方向に帯状に延在するように所定数(図示するものでは5本)の導体部1aが底面側の平坦面を除いて配設されて成る検査対象物であるゴム製のコネクタ1における導体部1aに生じるマイクロクラックを検査するためのもので、コネクタ1における弾性体1b及び導体部1aを異なる方向から押圧変形させるための可動な多方向押圧手段と、この多方向押圧手段による弾性体1b及び導体部1aの押圧変形時における導体部1aの表面状態情報に基づいてマイクロクラックを検査する検査手段とを備えている。
【0030】
但し、ここでの多方向押圧手段は、コネクタ1の延在方向に沿って延在すると共に、弾性体1b及び導体部1aを鉛直方向に押圧する第1の押圧手段としての押込みツール5と、コネクタ1に対してそれぞれ対向する方向から押圧接触されると共に、弾性体1b及び導体部1aを鉛直方向とは垂直な水平方向で挟み込むように押圧する一対の第2の押圧手段としてのプローブ板2,3とを備え成る。又、プローブ板2,3は、少なくとも導体部1aのパターンに合致すると共に、導体部1aのパターンに対してそれぞれ対向する方向から押圧接触される端子2a,3aを有している。更に、検査手段については、導体部1aを通電させる通電手段を含むと共に、表面状態情報として押込みツール5及びプローブ板2,3により変形された導体部1aにおける電気出力値の変化を示すパラメータ情報をプローブ板2,3における端子2a,3aから検出してマイクロクラックを検査する電気検出手段となっている。
【0031】
即ち、このマイクロクラック検査装置では、検査前期工程として、例えば図1(a)に示されるようにプローブ板2,3の間にコネクタ1を配置すると共に、図1(b)及び図1(c)に示されるようにコネクタ1上に押込みツール5を配置した状態を検査前の準備段階とした後、図1(d)に示されるように押込みツール5によりコネクタ1を鉛直方向真上から押し込んで弾性変形させる。
【0032】
図2は、本発明の実施例1に係るマイクロクラック検査装置における検査後期工程を工程順に従って示した模式図であり、同図(a)は図1(d)の状態から対向するプローブ板2,3によりコネクタ1を挟み込んで押圧した状態の平面図に関するもの,同図(b)は同図(a)の状態における押込みツール5を省図してプローブ板2,3の端子2a,3aに通電した状態の平面図に関するもの,図図(c)は同図(a)の状態における側面図に関するもの,図図(d)は同図 (b)の状態における側面図に関するものである。
【0033】
検査後期工程では、図2(a)及び図2(c)に示されるようにプローブ板2,3間でコネクタ1を挟み込むように押圧し、プローブ板2,3の端子2a,3aがコネクタ1における導体部1aにそれぞれ接触され、この状態で図2(b)及び図2(d)に示されるようにプローブ板2,3の端子2a,3aに通電させて導通不良(導通性)を調べることにより導体部1aに生じるマイクロクラックを電気検査する。ここでの通電手段は、合わせて通電不良を認知できる機能を持つもので、電気検出手段として働く。
【0034】
この実施例1に係るマイクロクラック検査装置の場合、検査対象物としてのゴム製のコネクタ1については、弾性体1b表面上の中央に位置される導体部1aにマイクロクラック4が発生していることを想定しているが、電気検査に先立って導体部1a及び弾性体1bが押込みツール5により鉛直方向に押圧されて弾性変形されると共に、プローブ板2,3の間に挟まれて水平方向にも押圧されること、即ち、異なる方向で押圧されて弾性変形されているため、仮にマイクロクラック4の形状が水平方向の押圧により塞がれる可能性がある場合でも、コネクタ1自体は押込みツール5により水平方向とは異なる鉛直方向にも押圧されて弾性変形状態を保持しているため、結果としてマイクロクラック4が微小部分で繋がることはあっても、全体的には強調されて露呈される傾向となり、マイクロクラック4が繋がる可能性が極めて低いものとなる。又、この関係が反対な場合、即ち、マイクロクラック4の形状が鉛直方向の押圧で塞がれる可能性がある場合でも、コネクタ1自体はプローブ板2,3により鉛直方向とは異なる水平方向にも押圧されて弾性変形状態を保持しているため、同様に結果としてマイクロクラック4が繋がる可能性が極めて低いものとなる。
【0035】
従って、この実施例1に係るマイクロクラック検査装置の場合、コネクタ1の導体部1aに生じたマイクロクラック4の形状が所定の方向の押圧により繋がり易いものであっても、押込みツール5及びプローブ板2,3による多方向押圧機能と、プローブ板2,3における端子2a,3aを導体部1aへ通電させての電気検査機能とが協働することにより、マイクロクラック4の繋がり発生が防止された上、簡易に精度良く安定して適確にコネクタ1の導体部1aに生じるマイクロクラック4を検査することができる。
【0036】
ところで、このマイクロクラック検査装置においては、押込みツール5が垂直方向に可動であり、プローブ板2,3が水平方向に可動なものであるが、こうした機械機構は周知技術を適用することで容易に構成することができる。
【0037】
図3は、この実施例1に係るマイクロクラック検査装置の基本構成部分を機械機構に組み付けた場合の要部構造を一部透視して例示した部分拡大図である。
【0038】
この機械機構では、水平方向に可動なプローブ取り付け可動部7,8の対向する端面側の所定箇所にプローブ板2,3を露呈させるように取り付けられるようになっており、鉛直方向に可動なツール取り付け可動部9の先端下側には押込みツール5を露呈させるように取り付けられるようになっている。又、検査対象物(ワーク)としてのコネクタ1を載置させるための鉛直方向に可動な検査台6は、先端上側の端面(ワーク載置面)の中央部分にコネクタ1の弾性変形部分を受け入れるための凹み部が形成され、コネクタ1の平坦な底面が凹み部の周辺部分に載置されるようになっている。
【実施例2】
【0039】
図4は、本発明の実施例2に係るマイクロクラック検査装置における画像処理検査前期工程を工程順に従って示した模式図であり、同図(a)は対向するプローブ板20,30間にゴム製のコネクタ1を配置した状態の平面図に関するもの,同図(b)は同図(a)の状態におけるコネクタ1上に押込みツール50を配置した状態の平面図に関するもの,同図(c)は同図(b)の状態における側面図に関するもの,同図(d)はコネクタ1を押込みツール50により押し込んで弾性変形させた状態における側面図に関するものである。
【0040】
この実施例2に係るマイクロクラック検査装置の場合、先の実施例1に係るものと比べ、プローブ板20,30が端子を持たないものであり、光学的な特性を問わない(不透明であって良い)材質の押込みツール5に代えて特に透明板として光学的に透過撮像可能な材質の押込みツール50とした以外は、同様な構成であるので、細部の説明は省略する。
【0041】
このマイクロクラック検査装置では、検査前期工程として、例えば図4(a)に示されるようにプローブ板20,30の間にコネクタ1を配置すると共に、図4(b)及び図4(c)に示されるようにコネクタ1上に押込みツール50を配置した状態を検査前の準備段階とした後、図4(d)に示されるように押込みツール50によりコネクタ1を鉛直方向真上から押し込んで弾性変形させる。
【0042】
図5は、本発明の実施例2に係るマイクロクラック検査装置における画像処理検査後期工程を工程順に従って示した模式図であり、同図(a)は図4(d)の状態から対向するプローブ板20,30によりコネクタ1を挟み込んで押圧した状態の平面図に関するもの,同図(b)は同図(a)の状態における押込みツール50を省図した状態の平面図に関するもの,図図(c)は同図(a)の状態における側面図に関するもの,図図(d)は同図(c)の状態で真上に設置された撮像カメラ10を含む側面図に関するものである。
【0043】
検査後期工程では、図5(a)〜(c)に示されるようにプローブ板20,30間でコネクタ1を挟み込むように押圧し、この状態で図5(d)に示されるように撮像カメラ10で導体部1aを撮像して図示されない画像処理装置において画像処理して得られる画像処理情報を図示されないモニタ上に表示することにより導体部1aに生じるマイクロクラック4を画像処理検査する。即ち、ここでの撮像カメラ10,画像処理装置,モニタは撮像表示手段として機能する。
【0044】
この実施例2に係るマイクロクラック検査装置の場合においても、実施例1のものと同様に、画像処理検査に先立ってコネクタ1における導体部1a及び弾性体1bが異なる方向で押圧されて弾性変形されているため、コネクタ1の導体部1aに生じたマイクロクラック4の形状が所定の方向の押圧により繋がり易いものであっても、押込みツール50及びプローブ板20,30による多方向押圧機能と、この多方向押圧機能により弾性変形された導体部1aを撮像する撮像カメラ10による画像処理検査機能とが協働することにより、マイクロクラック4の繋がり発生が防止された上、簡易に精度良く安定して適確にコネクタ1の導体部1aに生じるマイクロクラック4を検査することができる。
【0045】
因みに、ここでの撮像カメラ10を図3で説明した機械機構に適用する場合には、先端下側の押込みツール5とは所定の距離を隔てて配置されるようにツール取り付け可動部9の内部に組み込めば良い。このとき、必要に応じて照明手段を撮像カメラ10と一緒に組み込むようにしても有効である。
【実施例3】
【0046】
図6は、本発明の実施例3に係るマイクロクラック検査装置における検査前期工程を工程順に従って示した模式図であり、同図(a)は対向するプローブ板2,3間にゴム製のコネクタ1を配置した状態の平面図に関するもの,同図(b)は同図(a)の状態におけるコネクタ1上に押込みツール50を配置した状態の平面図に関するもの,同図(c)は同図(b)の状態における側面図に関するもの,同図(d)はコネクタ1を押込みツール50により押し込んで弾性変形させた状態における側面図に関するものである。
【0047】
この実施例3に係るマイクロクラック検査装置の場合、先の実施例1に係るものと比べ、光学的な特性を問わない押込みツール5に代えて実施例2で説明した光学的に透明な材質(光透過可能であるもの)による押込みツール50とした以外は、同様な構成であるので、細部の説明は省略する。
【0048】
即ち、このマイクロクラック検査装置では、検査前期工程として、例えば図6(a)に示されるようにプローブ板2,3の間にコネクタ1を配置すると共に、図6(b)及び図6(c)に示されるようにコネクタ1上に押込みツール50を配置した状態を検査前の準備段階とした後、図6(d)に示されるように押込みツール50によりコネクタ1を鉛直方向真上から押し込んで弾性変形させる。
【0049】
図7は、本発明の実施例3に係るマイクロクラック検査装置における検査後期工程を工程順に従って示した模式図であり、同図(a)は図6(d)の状態から対向するプローブ板2,3によりコネクタ1を挟み込んで押圧した状態の平面図に関するもの,同図(b)は同図(a)の状態から押込みツール50を省図してプローブ板2,3の端子2a,3aに通電した状態の平面図に関するもの,同図(c)は同図(a)の状態における側面図に関するもの,同図(d)は同図(c)の状態で真上に設置された撮像カメラ10を含むにおける側面図に関するものである。
【0050】
検査後期工程では、図7(a)及び図7(c)に示されるようにプローブ板2,3間でコネクタ1を挟み込むように押圧し、プローブ板2,3の端子2a,3aがコネクタ1における導体部1aにそれぞれ接触され、この状態で図7(b)及び図7(d)に示されるようにプローブ板2,3の端子2a,3aに通電させて導通不良(導通性)を調べることにより導体部1aに生じるマイクロクラックを電気検査すると共に、図7(d)に示されるように撮像カメラ10で導体部1aを撮像して図示されない画像処理装置において画像処理した画像処理情報を図示されないモニタ上に表示することにより導体部1aに生じるマイクロクラック4を画像処理検査する。尚、ここでの通電不良を認知可能な電気検出手段としての通電手段において得られる通電不良の有無の結果は、モニタ上に表示させることも可能である。
【0051】
従って、この実施例3に係るマイクロクラック検査装置の場合、先の実施例1及び実施例2のものを組み合わせたものであり、電気検査及び画像処理検査に先立ってコネクタ1における導体部1a及び弾性体1bが異なる方向で押圧されて弾性変形されているため、コネクタ1の導体部1aに生じたマイクロクラック4の形状が所定の方向の押圧により繋がり易いものであっても、押込みツール50及びプローブ板2,3による多方向押圧機能と、プローブ板2,3における端子2a,3aを導体部1aへ通電させての電気検査機能、並びに多方向押圧機能により弾性変形された導体部1aを撮像する撮像カメラ10による画像処理検査機能とが協働することにより、マイクロクラック4の繋がり発生が防止された上、簡易に精度良く一層安定して適確にコネクタ1の導体部1aに生じるマイクロクラック4を検査することができる。
【0052】
ところで、上述した実施例1〜実施例3の何れのマイクロクラック検査装置が備える押込みツール5,50についても、コネクタ1の延在方向と垂直な面方向の断面形状が鉛直方向でコネクタ1と対向する側の先端部分を含んで略馬蹄形である場合を例示したが、この断面形状自体は略凸状であればその他の形態に任意に変更することが可能である。
【0053】
図8は、実施例2のマイクロクラック検査装置における押込みツール50について、断面形状を変更した一例として逆三角形の押込みツール50′を示したもので、同図(a)は対向するプローブ板20,30によりコネクタ1を挟み込んで押圧した状態の側面図に関するもの,同図(b)は同図(a)の状態からコネクタ1を押込みツール50′により押し込んで弾性変形させた状態における側面図に関するものである。
【0054】
この押込みツール50′は、断面形状が逆三角形で先端が尖っていることにより、略馬蹄形の場合よりもコネクタ1を局部的に鋭利に弾性変形させることができるので、マイクロクラック4がコネクタ1の中心付近で狭い範囲で生じている可能性がある場合の検査時に用いるのが有効である。
【0055】
図9は、実施例2のマイクロクラック検査装置における押込みツール50について、断面形状を変更した他例として逆さ台形の押込みツール50″を示したもので、同図(a)は対向するプローブ板20,30によりコネクタ1を挟み込んで押圧した状態の側面図に関するもの,同図(b)は同図(a)の状態からコネクタ1を押込みツール50″により押し込んで弾性変形させた状態における側面図に関するものである。
【0056】
この押込みツール50″は、断面形状が逆さ台形で角部分がコネクタ1の両側方向(幅方向)へに隔たって位置されているため、マイクロクラック4がコネクタ1の中心付近よりもやや隔たった周囲部分で生じている可能性がある場合の検査時に用いるのが有効である。
【0057】
尚、各実施例では、押込みツール5,50でコネクタ1を鉛直方向で押し込んだ後、対向するプローブ板20,30によりコネクタ1を挟み込むように押圧する手順を説明したが、この関係は反対であっても良い(図8や図9で説明した押込みツール50′,50″の場合も同様)。又、押込みツール5,50,50′,50″の先端部分を略凸状としたことにより、検査対象物であるコネクタ1についても、各実施例中では鉛直方向で押込みツール5,50,50′,50″と対向する側の先端部分を含んで略カマボコ状である場合を例示したが、延在方向と垂直な面方向の断面形状はその他の略凸状であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の実施例1に係るマイクロクラック検査装置における検査前期工程を工程順に従って示した模式図であり、(a)は対向するプローブ板間にゴム製のコネクタを配置した状態の平面図に関するもの,(b)は(a)の状態におけるコネクタ上に押込みツールを配置した状態の平面図に関するもの,(c)は(b)の状態における側面図に関するもの,(d)はコネクタを押込みツールにより押し込んで弾性変形させた状態における側面図に関するものである。
【図2】本発明の実施例1に係るマイクロクラック検査装置における検査後期工程を工程順に従って示した模式図であり、(a)は図1(d)の状態から対向するプローブ板によりコネクタを挟み込んで押圧した状態の平面図に関するもの,(b)は(a)の状態における押込みツールを省図してプローブ板の端子に通電した状態の平面図に関するもの,(c)は(a)の状態における側面図に関するもの,(d)は(b)の状態における側面図に関するものである。
【図3】図1(a)〜(d)及び図2(a)〜(d)に示すマイクロクラック検査装置の基本構成部分を機械機構に組み付けた場合の要部構造を一部透視して例示した部分拡大図である。
【図4】本発明の実施例2に係るマイクロクラック検査装置における検査前期工程を工程順に従って示した模式図であり、(a)は対向するプローブ板間にゴム製のコネクタを配置した状態の平面図に関するもの,(b)は(a)の状態におけるコネクタ上に押込みツールを配置した状態の平面図に関するもの,(c)は(b)の状態における側面図に関するもの,(d)はコネクタを押込みツールにより押し込んで弾性変形させた状態における側面図に関するものである。
【図5】本発明の実施例2に係るマイクロクラック検査装置における検査後期工程を工程順に従って示した模式図であり、(a)は図4(d)の状態から対向するプローブ板によりコネクタを挟み込んで押圧した状態の平面図に関するもの,(b)は(a)の状態における押込みツールを省図した状態の平面図に関するもの,(c)は(a)の状態における側面図に関するもの,(d)は(c)の状態で真上に撮像カメラを設置した状態の側面図に関するものである。
【図6】本発明の実施例3に係るマイクロクラック検査装置における検査前期工程を工程順に従って示した模式図であり、(a)は対向するプローブ板間にゴム製のコネクタを配置した状態の平面図に関するもの,(b)は(a)の状態におけるコネクタ上に押込みツールを配置した状態の平面図に関するもの,(c)は(b)の状態における側面図に関するもの,(d)はコネクタを押込みツールにより押し込んで弾性変形させた状態における側面図に関するものである。
【図7】本発明の実施例3に係るマイクロクラック検査装置における検査後期工程を工程順に従って示した模式図であり、(a)は図6(d)の状態から対向するプローブ板によりコネクタを挟み込んで押圧した状態の平面図に関するもの,(b)は(a)の状態における押込みツールを省図してプローブ板の端子に通電した状態の平面図に関するもの,(c)は(a)の状態における側面図に関するもの,(d)は(c)の状態で真上に撮像カメラを設置した状態の側面図に関するものである。
【図8】実施例2のマイクロクラック検査装置における押込みツールの断面形状を変更した一例を示したもので、(a)は対向するプローブ板によりコネクタを挟み込んで押圧した状態の側面図に関するもの,(b)は(a)の状態からコネクタを押込みツールにより押し込んで弾性変形させた状態における側面図に関するものである。
【図9】実施例2のマイクロクラック検査装置における押込みツールの断面形状を変更した他例を示したもので、(a)は対向するプローブ板によりコネクタを挟み込んで押圧した状態の側面図に関するもの,(b)は(a)の状態からコネクタを押込みツールにより押し込んで弾性変形させた状態における側面図に関するものである。
【図10】周知の検査対象物としてゴム製のコネクタにおける導体部に生じるマイクロクラックを検査する場合の一例を示した概略斜視図であり、(a)はコネクタの外観構成に関するもの,同図(b)はプローブ板によるコネクタに対する押圧の様子を示した外観構成に関するものである。
【符号の説明】
【0059】
1,11 コネクタ
1a,11a 導体部
1b,11b 弾性体
2,3,20,30 プローブ板
2a,3a 端子
4 マイクロクラック
5,50,50′,50″ 押し込みツール
6 検査台
7,8 プローブ取り付け可動部
9 ツール取り付け可動部
10 撮像カメラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の形状の弾性体表面上に所定のパターンにより導体部が配設されて成る検査対象物における該導体部に生じるマイクロクラックを検査するためのマイクロクラック検査方法において、前記検査対象物における前記弾性体及び前記導体部を異なる方向から押圧変形させたときの該導体部の表面状態に基づいて前記マイクロクラックを検査する多方向押圧検査段階を有することを特徴とするマイクロクラック検査方法。
【請求項2】
請求項1記載のマイクロクラック検査方法において、前記多方向押圧検査段階は、前記検査対象物の延在方向に沿って延在する第1の押圧手段を用いて前記弾性体及び前記導体部を鉛直方向に押圧する第1の押圧段階と、少なくとも前記導体部のパターンに合致すると共に、該導体部のパターンに対してそれぞれ対向する方向から押圧接触される端子を有する一対の第2の押圧手段を用いて前記弾性体及び該導体部を前記鉛直方向とは垂直な水平方向で挟み込むように押圧する第2の押圧段階と、前記導体部を通電させた上で前記第2の押圧段階で変形された該導体部における電気出力値の変化を示すパラメータ情報を前記一対の第2の押圧手段における前記端子から検出して前記マイクロクラックを検査する電気検出段階とを有することを特徴とするマイクロクラック検査方法。
【請求項3】
請求項1記載のマイクロクラック検査方法において、前記多方向押圧検査段階は、前記検査対象物の延在方向に沿って延在する透明材料による第1の押圧手段を用いて前記弾性体及び前記導体部を鉛直方向に押圧する第1の押圧段階と、前記検査対象物に対してそれぞれ対向する方向から押圧接触される一対の第2の押圧手段を用いて前記弾性体及び前記導体部を前記鉛直方向とは垂直な水平方向で挟み込むように押圧する第2の押圧段階と、前記第2の押圧段階を経て変形された前記検査対象物における前記導体部の表面状態を前記第1の押圧手段を通して光学的に撮像して撮像情報を得ると共に、該撮像情報を表示して前記マイクロクラックを検査する撮像表示段階とを有することを特徴とするマイクロクラック検査方法。
【請求項4】
請求項1記載のマイクロクラック検査方法において、前記多方向押圧検査段階は、前記検査対象物の延在方向に沿って延在する透明材料による第1の押圧手段を用いて前記弾性体及び前記導体部を鉛直方向に押圧する第1の押圧段階と、少なくとも前記導体部のパターンに合致すると共に、該導体部のパターンに対してそれぞれ対向する方向から押圧接触される端子を有する一対の第2の押圧手段を用いて前記弾性体及び前記導体部を前記鉛直方向とは垂直な水平方向で挟み込むように押圧する第2の押圧段階と、前記導体部を通電させた上で前記第2の押圧段階で変形された前記導体部における電気出力値の変化を示すパラメータ情報を前記一対の第2の押圧手段における前記端子から検出して前記マイクロクラックを検査する電気検出段階と、前記第2の押圧段階を経て変形された前記検査対象物における前記導体部の表面状態を前記第1の押圧手段を通して光学的に撮像して撮像情報を得ると共に、該撮像情報を表示して前記マイクロクラックを検査する撮像表示段階とを有することを特徴とするマイクロクラック検査方法。
【請求項5】
所定の形状の弾性体表面上に所定のパターンにより導体部が配設されて成る検査対象物における該導体部に生じるマイクロクラックを検査するためのマイクロクラック検査装置において、前記検査対象物における前記弾性体及び前記導体部を異なる方向から押圧変形させるための可動な多方向押圧手段と、前記多方向押圧手段による前記弾性体及び前記導体部の押圧変形時における該導体部の表面状態情報に基づいて前記マイクロクラックを検査する検査手段とを備えたことを特徴とするマイクロクラック検査装置。
【請求項6】
請求項5記載のマイクロクラック検査装置において、前記多方向押圧手段は、前記検査対象物の延在方向に沿って延在すると共に、前記弾性体及び前記導体部を鉛直方向に押圧する第1の押圧手段と、前記検査対象物に対してそれぞれ対向する方向から押圧接触されると共に、前記弾性体及び前記導体部を前記鉛直方向とは垂直な水平方向で挟み込むように押圧する一対の第2の押圧手段とを備えたことを特徴とするマイクロクラック検査装置。
【請求項7】
請求項6記載のマイクロクラック検査装置において、前記一対の第2の押圧手段は、少なくとも前記導体部のパターンに合致すると共に、該導体部のパターンに対してそれぞれ対向する方向から押圧接触される端子を有しており、前記検査手段は、前記導体部を通電させる通電手段を含むと共に、前記表面状態情報として前記第1の押圧手段及び前記一対の第2の押圧手段により変形された該導体部における電気出力値の変化を示すパラメータ情報を該一対の第2の押圧手段における前記端子から検出して前記マイクロクラックを検査する電気検出手段であることを特徴とするマイクロクラック検査装置。
【請求項8】
請求項6記載のマイクロクラック検査装置において、前記第1の押圧手段は、透明材料から成り、前記検査手段は、前記表面状態情報として前記第1の押圧手段及び前記一対の第2の押圧手段により変形された前記検査対象物における前記導体部の表面状態を前記第1の押圧手段を通して光学的に撮像して撮像情報を得ると共に、該撮像情報を表示して前記マイクロクラックを検査する撮像表示手段であることを特徴とするマイクロクラック検査装置。
【請求項9】
請求項6記載のマイクロクラック検査装置において、前記第1の押圧手段は、透明材料から成り、前記一対の第2の押圧手段は、少なくとも前記導体部のパターンに合致すると共に、該導体部のパターンに対してそれぞれ対向する方向から押圧接触される端子を有しており、前記検査手段は、前記導体部を通電させる通電手段を含むと共に、前記表面状態情報として前記第1の押圧手段及び前記一対の第2の押圧手段により変形された前記導体部における電気出力値の変化を示すパラメータ情報を該一対の第2の押圧手段における前記端子から検出して前記マイクロクラックを検査する電気検出手段、並びに該表面状態情報として該第1の押圧手段及び該一対の第2の押圧手段により変形された前記検査対象物における該導体部の表面状態を該第1の押圧手段を通して光学的に撮像して撮像情報を得ると共に、該撮像情報を表示して該マイクロクラックを検査する撮像表示手段であることを特徴とするマイクロクラック検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−248404(P2007−248404A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−75947(P2006−75947)
【出願日】平成18年3月20日(2006.3.20)
【出願人】(000231073)日本航空電子工業株式会社 (1,081)
【Fターム(参考)】