マイクロストリップアレーアンテナ
【課題】マイクロストリップアレーアンテナの指向性制御範囲を広くすること。
【解決手段】列数が少ないマイクロストリップアレーアンテナの指向性制御のための自由度が小さいという問題を解決するために、給電用の主線路を中心に交互配列するマイクロストリップアレーアンテナ100について、給電ストリップ線路41に接続されたアンテナ素子列6及び7に異なる放射量を与え、給電ストリップ線路42に接続されたアンテナ素子列8及び9に異なる放射量を与えることにより、実現可能な指向性の自由度を広げ、従来は困難であったアンテナの低サイドローブ化、主放射方向の制御を実現した。給電ストリップ線路41に接続されたアンテナ素子列6及び7に異なる位相を与え、給電ストリップ線路42に接続されたアンテナ素子列8及び9に異なる位相を与えることで、平面アンテナの法線方向から傾いたビームを形成する場合にも低サイドローブ化を実現できる。
【解決手段】列数が少ないマイクロストリップアレーアンテナの指向性制御のための自由度が小さいという問題を解決するために、給電用の主線路を中心に交互配列するマイクロストリップアレーアンテナ100について、給電ストリップ線路41に接続されたアンテナ素子列6及び7に異なる放射量を与え、給電ストリップ線路42に接続されたアンテナ素子列8及び9に異なる放射量を与えることにより、実現可能な指向性の自由度を広げ、従来は困難であったアンテナの低サイドローブ化、主放射方向の制御を実現した。給電ストリップ線路41に接続されたアンテナ素子列6及び7に異なる位相を与え、給電ストリップ線路42に接続されたアンテナ素子列8及び9に異なる位相を与えることで、平面アンテナの法線方向から傾いたビームを形成する場合にも低サイドローブ化を実現できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車搭載用レーダをはじめとする各種電波センサの送信および受信アンテナに用いることができる誘電体基板を用いた平面アレーアンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、大容量高速通信や自動車レーダなどに用いられるミリ波アンテナの開発が進められている。各種ミリ波アンテナのうちマイクロストリップアレーアンテナ(以下、「MSAA」と略記することがある)は、低コスト、薄型化に有利である。
【0003】
従来、主線路(給電ストリップ線路)に対し左右交互配列のMSAAは、右側アンテナ素子列と左側アンテナ素子列とで、同じ放射量、同じ放射位相で構成されていたため、アンテナの列数が少ないときには、放射量分布の自由度が少なく、指向性制御が困難であった。
【0004】
それでも指向性を制御するためには、放射量分布の自由度を大きくするために、アンテナの列数を増やすしかなく、アンテナが大型化されてしまうという欠点があった。
【特許文献1】特開2001−44752号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1その他のマイクロストリップアレーアンテナにおいては、アレーアンテナの列数が少ないとき、各列に与える放射量および放射位相の自由度が小さいので、実現可能な指向性パターン形状に制限が生じてしまうという問題がある。即ち、各アンテナ素子列を構成する放射アンテナ素子の数を多くすれば、給電ストリップ線路方向のビーム幅を容易に絞ることができ、アンテナ素子列の列数を多くすれば、給電ストリップ線路と垂直方向のビーム幅を容易に絞ることができる。すると、アンテナ素子列の列数が2又は3の場合は、給電ストリップ線路と垂直方向のビーム幅が広いマイクロストリップアレーアンテナ(平面アンテナ)となる。
【0006】
上記の問題点は具体的には次の通りである。特許文献1の図1の構成をサブアレーとし、たとえば、給電点から2分岐された2つのサブアレーから成るMSAAについて考える。
【0007】
第1の問題点として、各々のサブアレーが、給電ストリップ線路の両側に接続されたアンテナ素子列のいずれもが実質的に対称な放射電界を持つ、即ち対称サブアレーであるとすると、給電ストリップ線路の長手方向と直交する面内(給電ストリップ線路を鉛直に配置した場合、水平面内)の指向性パターンにおけるサイドローブレベルが大きい(たとえば−11dB程度)といった問題があった。
【0008】
この問題点が発生する技術的理由としては、給電ストリップ線路を中心としてその両側に配置されたアンテナ素子列の放射振幅レベルが等しいことを前提としてサブアレーを設計することが通常であるためである。このため、給電ストリップ線路の長手方向と直交する面内の振幅分布は2つのサブアレーの合計4つのアンテナ素子列により「一様」の振幅分布が形成され、サイドローブを低減するのに効果がある、中央で高く外側で低い「テーパー様」の振幅分布を実現できなかったためである。
【0009】
第2の問題点として、2つのサブアレーから成るマイクロストリップアレーアンテナにおいて、給電ストリップ線路の長手方向と直交する面内の指向性パターンにおける主ビームの方向を、平面アンテナの法線方向から上記面内で傾けようとした場合、正面ビームの場合に存在していたサイドローブレベル(たとえば−11dB)が著しく増大する(例えば−2〜−3dBとなる)問題があった。
【0010】
その問題点が発生する技術的理由も、給電ストリップ線路を中心としてその両側に配置されたアンテナ素子列の放射位相が等しいことを前提としてサブアレーを設計することが通常であるためである。このため、給電ストリップ線路が2本の場合、分岐点の位置による2つの給電ストリップ線路間の位相差(正確には、2つのサブアレーの各々最も分岐点に近い放射アンテナ素子と、分岐点までの伝送距離)のみで制御され、水平方向の位相分布は一部階段状となり「一定勾配分布」を実現できなかったためである。
【0011】
本発明は上記課題を解決するために成されたものであり、その目的は、マイクロストリップアレーアンテナにおいて、給電ストリップ線路の長手方向の垂直方向に対するサイドローブを、簡易な構成で低減することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1に係る手段によれば、背面に導体の接地板が形成された誘電体基板と、その誘電体基板上に形成されたストリップ導体とから形成されたマイクロストリップアレーアンテナにおいて、ストリップ導体は、線状に配設された給電ストリップ線路と、給電ストリップ線路の両側辺に沿って所定間隔で、それらの側辺から接続配列された複数の短冊形状の放射アンテナ素子とから成る、複数個のサブアレーと、当該複数個のサブアレーに1個の給電点から給電するための分岐線路とを有し、各サブアレーの給電ストリップ線路の長手方向は互いに平行であって、全ての放射アンテナ素子の放射する電界方向が平行であり、少なくとも外周に位置する2つのサブアレーは、給電ストリップ線路の一方の側辺に接続された放射アンテナ素子の放射量又は放射位相と、給電ストリップ線路の他方の側辺に接続された放射アンテナ素子の放射量又は放射位相とが異なる非対称放射サブアレーであることを特徴とする。
【0013】
また、請求項2に係る手段によれば、マイクロストリップアレーアンテナの中央線上に給電ストリップ線路が位置しない全てのサブアレーが非対称放射サブアレーであり、その放射量分布が、アレーアンテナの中心線で大きくアレーアンテナの外周に向かって順次小さくなるように、給電ストリップ線路の両側に接続されたアンテナ素子列の放射量の大小関係、および分岐線路による分配比が決定されていることを特徴とする。
【0014】
また、請求項3に係る手段によれば、非対称放射サブアレーは、給電ストリップ線路の一方の側辺からマイクロストリップアレーアンテナの中心から見て外側を向いて接続された放射アンテナ素子の各々の放射量が、他方の側辺に接続された近隣の放射アンテナ素子の放射量よりも小さいことを特徴とする。
【0015】
また、請求項4に係る手段によれば、非対称放射サブアレーは、給電ストリップ線路の一方の側辺からマイクロストリップアレーアンテナの中心から見て外側を向いて接続された放射アンテナ素子の個数が、他方の側辺に接続された放射アンテナ素子の個数よりも2個以上少ないことを特徴とする。
【0016】
また、請求項5に係る手段によれば、各アンテナ素子列の放射位相分布が、給電ストリップ線路の長手方向の直交方向に対して線形となるように、各サブアレーにおいて給電ストリップ線路の両側の放射アンテナ素子の放射位相差が設計され、且つ給電点から各サブアレーの直近の放射アンテナ素子への放射位相差が決定さるよう分岐線路が設計されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明の構成は、背面に導体の接地板が形成された誘電体基板と、その誘電体基板上に形成されたストリップ導体からなり、前記ストリップ導体が少なくとも1本以上の給電用の主線路(給電ストリップ線路)と、前記主線路を中心として左右交互にアンテナ素子を配置されたマイクロストリップアレーアンテナにおいて、右側に配列されたアンテナ素子群と、左側に配列されたアンテナ素子群で、放射量または放射位相を異なるようにアレーアンテナを構成するものである。
【0018】
或いは、主線路の長手方向に配列されたアンテナ素子を、主線路の長手方向と垂直方向に、1素子置きに分布させ、奇数番目の素子から構成される第1列の素子群と、偶数番目の素子から構成される第2列の素子群の、放射量または放射位相を異なるように構成するとも言える。
【0019】
マイクロストリップアレーアンテナが、2列や3列など、少ない列数でも、指向性制御が可能となり、実現可能な指向性パターン形状の種類が格段に増加する。詳しく述べれば次の通りである。
【0020】
給電ストリップ線路の長手方向に垂直な面内の指向性パターン分布において、主ビームの両側に発生する望まれないローブ(サイドローブ)を低減する理論として、アンテナの横方向の放射振幅分布の与え方を「中央で強く、外側に向かって徐々に弱くする(テーパー分布にする)」と良いことが広く知られている。これを実現する際に、給電線路毎の電力分配比のみで従来は制御してきた。たとえば、給電線路が2本の場合は、横方向の分布を作ることができなかった。しかし、本発明によれば、各給電ストリップ線路の両側のアンテナ素子列で独立に放射強度を変えるため、4つのアンテナ素子列のうち、中央の2列と外側の2列とで振幅の大小を与えることが可能となる。これにより、たとえば給電線路が2本の場合でも放射量についてテーパー分布を与えることができ、給電線路が3本以上の場合は、よりなめらかなテーパー分布を与えることができるために、従来に比べサイドローブが低減できる。
【0021】
同様に、放射位相については、主ビームを平面アンテナの法線方向から水平方向に傾けたい場合、各アンテナ素子列の位相分布は一定勾配で傾けるべきところを、従来法ではたとえば給電線路が2本の場合、一定勾配は作ることができなかった。そのため、ビームの中心は傾いたとしても、その周辺の角度のサイドローブが抑制できなかった。本発明においては、位相を一定勾配で傾けることが実現でき、ビーム幅を維持しながら主ビームを傾けることが可能である。
【0022】
従来は、水平方向の振幅分布あるいは位相分布の与え方の自由度は、給電線路の本数で制限されたため、サイドローブが大きいといった問題があった。本発明により、給電線路の本数の2倍まで自由度が拡張され、従来に比べてサイドローブが低減できる。その効果は、ビームの横幅が比較的広い、近距離用レーダに応用する場合に極めて顕著な差として現れる。また、水平方向に主ビームを傾けたい場合に、本発明によれば、従来に比べて理想的な形状のビーム形成が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、図面を参照しながら本発明の具体例について説明する。尚、各図は本発明の特徴部分の概略を示しているに留まり、接続点の位置、各放射アンテナ素子の幅等は適宜周知の設計事例に基づいて設計されるべきものである。
【実施例1】
【0024】
図1に、主線路(給電ストリップ線路)が2本の場合の構造を示し、放射アンテナ素子1つ分の拡大図を図2に示す。各素子への入力電力に対する放射電力の比を結合量と呼び、主線路(給電ストリップ線路)の長手方向の素子番号に対する結合量分布を図5に示す。
【0025】
図3.Aは本発明の具体的な実施例に係るマイクロストリップアレーアンテナ100の構成を示す平面図である。また、図3.Bはその側面図である。一方図4.Aは従来構造のマイクロストリップアレーアンテナ900の構成を示す平面図であり、図4.Bはその側面図である。図1は、図3と図4の共通部分の概略を示した斜視図である。
【0026】
まず、図1を用いて、図3に示した本発明に係るマイクロストリップアレーアンテナ100と図4に示した従来構造のマイクロストリップアレーアンテナ900の共通部分を説明する。誘電体基板1の表面に、ストリップ導体2(又は29)が形成され、裏面に導体から成る接地板3が形成されている。ストリップ導体2(又は29)は、給電点20を有する分岐線路40、分岐線路40に接続された給電ストリップ線路41及び42、合計28個の放射アンテナ素子5から成る。合計28個の放射アンテナ素子5は、給電ストリップ線路41及び42の、右側辺及び左側辺にそれぞれ接続されており、各々7個の放射アンテナ素子5から構成されるアンテナ素子列6、7、8及び9から成る。28個の放射アンテナ素子5は短冊状(矩形状)であって、給電ストリップ線路41及び42に直接接続されている。アンテナ素子列6及び9はアンテナ素子列7及び8よりも平面アンテナの外周側に位置する。
【0027】
次に、本発明に係るマイクロストリップアレーアンテナ100の構成の詳細を図3により説明する。線状に配設された給電ストリップ線路41の、給電点20に近い側から遠い側に向かって、右側に接続された放射アンテナ素子5−61乃至67が図1のアンテナ素子列6を構成し、左側に接続された放射アンテナ素子5−71乃至77が図1のアンテナ素子列7を構成している。給電ストリップ線路41と放射アンテナ素子5−61乃至67並びに5−71乃至77がサブアレーSA1を構成している。
【0028】
同様に、給電ストリップ線路42の、給電点20に近い側から遠い側に向かって、右側に接続された放射アンテナ素子5−81乃至87が図1のアンテナ素子列8を構成し、左側に接続された放射アンテナ素子5−91乃至97が図1のアンテナ素子列9を構成している。給電ストリップ線路42と放射アンテナ素子5−81乃至87並びに5−91乃至97がサブアレーSA2を構成している。
【0029】
図3のマイクロストリップアレーアンテナ100においては、給電ストリップ線路41及び42の長手方向が平行であり、当該方向と、各々が短冊形状(矩形形状)の放射アンテナ素子5−61乃至67、5−71乃至77、5−81乃至87並びに5−91乃至97の長手方向(放射される電界の方向)とが垂直である。尚、放射アンテナ素子5−61乃至67、5−71乃至77、5−81乃至87並びに5−91乃至97の長手方向(放射される電界の方向)が全て平行であれば、それらと給電ストリップ線路41及び42の長手方向との成す角に関係なく、本発明は適用できる。
【0030】
図3のマイクロストリップアレーアンテナ100の28個の放射アンテナ素子5は、より放射量の多い放射アンテナ素子5−71乃至77並びに5−81乃至87と、より放射量の少ない放射アンテナ素子5−61乃至67並びに5−91乃至97とから成る。これらは図2に示す結合量が、各短冊形状の幅として設計され得ることは周知のことである。図3では、「概略を説明するため」、例えばアンテナ素子列6を形成する放射アンテナ素子5−61乃至67が、本来当該幅の異なる短冊形状とすべき所、単に「同一幅」で示している。即ち、図3は、放射アンテナ素子列6と放射アンテナ素子列9から放射される電界よりも、放射アンテナ素子列7と放射アンテナ素子列8から放射される電界の方が大きいことを示しているに留める。
【0031】
尚、図3のマイクロストリップアレーアンテナ100においては、給電点20から、それに最も近いアンテナ素子列6の放射アンテナ素子5−61までの伝送距離と、給電点20から、それに最も近いアンテナ素子列8の放射アンテナ素子5−81までの伝送距離とを等しく置いた。また、給電点20からそれに最も近いアンテナ素子列7の放射アンテナ素子5−71までの伝送距離と、給電点20からそれに最も近いアンテナ素子列9の放射アンテナ素子5−91までの伝送距離とは、給電点20から放射アンテナ素子5−61までの伝送距離に、用いる高周波のストリップ導体内の管内波長λの1/2倍を加えたものとした。以下、各アンテナ列i(i=6〜9)における隣り合う放射アンテナ素子5−ij(j=1〜6)及び放射アンテナ素子5−i(j+1)は、給電点20からの伝送距離が管内波長λずつ異なるようにした。尚分岐線路40により、高周波はサブアレーSA1とサブアレーSA2とに等分配される。放射される電界は、全ての放射アンテナ素子について同相であり、放射量は、アンテナ素子列6及び9が同量で小さく、アンテナ素子列7及び8が同量で大きい。よって、サブアレーSA1は放射量の異なるアンテナ素子列6及び7を有するので、非対称放射サブアレーである。同様にサブアレーSA2も放射量の異なるアンテナ素子列8及び9を有するので、非対称放射サブアレーである。本実施例は2つの非対称サブアレーSA1及びSA2と分岐線路40のみから構成されており、アンテナ素子列の数の面からは、請求項1乃至3に係る発明の最も簡単な構成である。
【0032】
図4の従来のマイクロストリップアレーアンテナ900は比較のために示されるものであり、次のような構成である。即ち、図3の本発明のマイクロストリップアレーアンテナ100の28個のアンテナ素子5を、全て放射量が等しいものとした。即ち、図4に示す通り、各々が短冊形状(矩形形状)の放射アンテナ素子95−61乃至67、95−71乃至77、95−81乃至87並びに95−91乃至97からの個々の放射量は全て等しい。
【0033】
このような図3のマイクロストリップアレーアンテナ100と図4のマイクロストリップアレーアンテナ900について、各放射アンテナ素子における結合量の観点から示したものが図5である。図5では図3のマイクロストリップアレーアンテナ100のアンテナ素子列6及び7の放射アンテナ素子の「結合量曲線」を点線で、図4のマイクロストリップアレーアンテナ900の放射アンテナ素子の「結合量曲線」を実線で示した。尚図5では左右で「19個」の放射アンテナ素子が給電ストリップ線路に接続されたものを示している。従来構造では、右側素子群と左側素子群の放射量が同じになる設計であったため、滑らかなカーブとなるが、提案構造では、右側素子群と左側素子群の放射量が異なるように設計しているため、主線路の長手方向の素子番号の、奇数番である右側素子群と、偶数番である左側素子群は、交互に大小を繰り返し、結合量分布はジグザグ分布となる。
【0034】
図6及び図7に図5を分解した図を示す。尚、図6及び図7では、左右で「14個」の放射アンテナ素子が給電ストリップ線路に接続されたもの(図4と図3に対応)を示している。図6は図4の従来のマイクロストリップアレーアンテナ900について示したものであり、各放射アンテナ素子の位置(伝送距離)と、結合量の関係を示している。図6では黒三角が放射アンテナ素子95−61乃至67の位置(伝送距離)と結合量を示し、黒丸が放射アンテナ素子95−71乃至77の位置(伝送距離)と結合量を示している。図6では代表させて放射アンテナ素子95−71と95−62の位置を矢印で明示した。このように、図4の従来のマイクロストリップアレーアンテナ900は、給電ストリップ線路を共有する両側に接続された放射アンテナ素子について、同一の「結合量曲線」に基づいて設計することで、全ての放射アンテナ素子からの放射量を等しくするものである。
【0035】
一方、本発明においては、図7が採用される。点線で示したものは図6の「結合量曲線」であり、同じ位置でも図6よりも結合量が大きい第1の「結合量曲線」と、同じ位置でも図6よりも結合量が小さい第2「結合量曲線」とが採用される。図3の本発明のマイクロストリップアレーアンテナ100においては、アンテナ素子列7及び8の放射アンテナ素子5−71乃至77並びに5−81乃至87については図7の結合量が大きい第1の「結合量曲線」に基づいて設計される。実際、図7のように、放射アンテナ素子5−71は、結合量が10%程度である。一方、アンテナ素子列6及び9の放射アンテナ素子5−61乃至67並びに5−91乃至97については図7の結合量が小さい第2の「結合量曲線」に基づいて設計される。実際、図7のように、放射アンテナ素子5−62は、結合量が3%程度である。図5は、図7の黒三角と黒丸をジグザクにつなぎ、点線と実線とを入れ換え、横軸を対応する「素子番号」としたものである。
【0036】
給電ストリップ線路42を共有するアンテナ素子列8及び9についても、伝送距離と2つの「結合量曲線」とから容易に設計される。尚、給電ストリップ線路の幅を一定とすれば、放射素子の素子幅を広くするほど結合度が上げられる。また、放射アンテナ素子の素子幅を一定とすれば、給電線路の結合部分における線路幅を狭くするほど結合度が上げられる関係にある。図3及び図4ではこの点については厳密な記載とはなっていないことは繰り返し述べている。給電点から見て近い側の放射アンテナ素子から順に給電ストリップ線路から入力された電力の一部が前記方法で定められた結合度にしたがって放射され、余剰電力は透過しさらに下流の放射素子へと入力される。
【0037】
図7のような「結合量曲線」に基づき設計された放射アンテナ素子を有する本発明に係る図3のマイクロストリップアレーアンテナ100と、図6のような「結合量曲線」に基づき設計された放射アンテナ素子を有する図4の従来構造のマイクロストリップアレーアンテナ900の、給電ストリップ線路41及び42の長手方向と直交する面内の放射分布を図8及び図9に示す。従来構造では一様分布しかできない一方で、提案構造では、中央の第1列左側素子から成るアンテナ素子列7と第2列右側素子から成るアンテナ素子列8の放射レベルは高く、両端の第1列右側素子から成るアンテナ素子列6と第2列左側素子から成るアンテナ素子列9の放射レベルは低い。また、放射端を1.7mm間隔とした。
【0038】
図8及び図9において、アンテナ素子列7とアンテナ素子列8の放射電界強度を1とした場合に、アンテナ素子列6とアンテナ素子列9の放射電界強度を0.5とした場合の給電ストリップ線路の長手方向と直交する面内の指向性パターンを図10に示す。平面アンテナであるマイクロストリップアレーアンテナの法線方向を0degとして、当該0deg方向の主ビームに対し、±60deg付近に各々ピークを有する2つのサイドローブが存在する。従来構造のマイクロストリップアレーアンテナ900のサイドローブレベルは−11.3dBであるのに対し、提案構造のマイクロストリップアレーアンテナ100では、サイドローブレベルが−23.9dBまで低減できていることがわかる。即ち、図3のマイクロストリップアレーアンテナ100は図4のマイクロストリップアレーアンテナ900に比較して、給電ストリップ線路の長手方向に垂直な面内の指向性パターンについて、サイドローブを12dB以上低減できる。
【0039】
明白なことであるが、給電ストリップ線路を共有する2つのアンテナ素子列を構成する放射アンテナ素子の個数は同数とする必要はない。例えば一方が他方よりも1個多くても良い。重要なことは、給電ストリップ線路41(又は42)の一方の側辺からマイクロストリップアレーアンテナの外側を向いて接続された放射アンテナ素子5−61乃至5−67(5−91乃至97)の各々の放射量が、他方の側辺に接続された近隣の放射アンテナ素子5−71乃至77(5−81乃至87)の放射量よりも小さいことである。「近隣」とは、両隣が存在する、例えば放射アンテナ素子5−62に対して放射アンテナ素子5−71及び72が存在する場合と、放射アンテナ素子5−61に対して放射アンテナ素子5−71のみが存在する場合とを合わせた表現である。
【0040】
本実施例は、給電ストリップ線路が少ない、特に2本の場合に顕著となる。
【実施例2】
【0041】
給電ストリップ線路を共有する2つのアンテナ素子列を構成する放射アンテナ素子の個数が、一方が他方よりも2個以上異なれば、各放射アンテナ素子の放射量が全て等しくても、非対称放射サブアレーを構成できる。これを図11に示す。
【0042】
図11のマイクロストリップアレーアンテナ200は、給電点20を有する分岐線路40と、給電ストリップ線路421及び422と、4個のアンテナ素子52−63乃至66から成るアンテナ素子列6、8個のアンテナ素子52−71乃至78から成るアンテナ素子列7、8個のアンテナ素子52−81乃至88から成るアンテナ素子列8、4個のアンテナ素子52−93乃至96から成るアンテナ素子列9を有する。これらがストリップ導体22を構成する。図11のマイクロストリップアレーアンテナ200は、言わば図4のマイクロストリップアレーアンテナ900から放射アンテナ素子95−61、62及び67、95−91、92及び97を削除し、放射アンテナ素子52−78及び88を付加したものである。図11のマイクロストリップアレーアンテナ200の24個の放射アンテナ素子5は全て同相、同振幅の電界を放射する。ここにおいて、給電ストリップ線路421、アンテナ素子列6及びアンテナ素子列7から成るサブアレーSA21は、4個の放射アンテナ素子52−63乃至66の放射量の合計と8個の放射アンテナ素子52−71乃至78の放射量の合計とが異なるので、非対称放射サブアレーである。同様に、給電ストリップ線路422、アンテナ素子列8及びアンテナ素子列9から成るサブアレーSA22は、8個の放射アンテナ素子52−81乃至88の放射量の合計と4個の放射アンテナ素子52−93乃至96の放射量の合計とが異なるので非対称放射サブアレーである。図11のマイクロストリップアレーアンテナ200の給電ストリップ線路の長手方向と直交する面内の放射分布を図8と同一図に示す。従来構造では一様分布であった一方で、アンテナ素子の個数をアンテナ素子列7に対しアンテナ素子列6を半分とし、同様にアンテナ素子列8に対してアンテナ素子列9を半分とすることで、アンテナ素子列7とアンテナ素子列8の放射電界強度を1とした場合に、アンテナ素子列6とアンテナ素子列9の放射電界強度を0.5に設定している。
【0043】
図8と同一図の相対放射電界強度を設定した場合の、図11のマイクロストリップアレーアンテナ200の給電ストリップ線路の長手方向と直交する面内の指向性パターンを図10と同様に図4のマイクロストリップアレーアンテナ900の指向性パターンと共に図12に示す。放射端は1.7mm間隔とした。図11のマイクロストリップアレーアンテナ200の指向性パターンは、図3のマイクロストリップアレーアンテナ100の指向性パターンとほぼ同等であった。即ち、図11のマイクロストリップアレーアンテナ200は図4のマイクロストリップアレーアンテナ900に比較して、給電ストリップ線路の長手方向に垂直な方向の指向性パターンについて、サイドローブを12dB以上低減できる。
【0044】
尚、繰り返し述べている通り図11及び図4の構成は「概略」を示しているものであり、図4の構成から放射アンテナ素子を増減したことで、各放射アンテナ素子の厳密な位置等は若干の修正が必要となることは周知のとおりである。これは各放射アンテナ素子の有無により位相差が生じることに基づく。
【実施例3】
【0045】
主放射方向を制御する場合には、素子間隔を変え、右側素子群と左側素子群の放射位相の調整によって制御すると良い。さらに1列目と2列目の給電位相差を適切に与えると良い。このようにして構成されたマイクロストリップアレーアンテナ300を図13に示す。破線は、図4のマイクロストリップアレーアンテナ900との比較のために記載したものである。図13のマイクロストリップアレーアンテナ300は、給電点20を有する分岐線路43と、給電ストリップ線路431及び432と、7個のアンテナ素子53−61乃至67から成るアンテナ素子列6、7個のアンテナ素子53−71乃至77から成るアンテナ素子列7、7個のアンテナ素子53−81乃至87から成るアンテナ素子列8、7個のアンテナ素子53−91乃至97から成るアンテナ素子列9を有する。これらがストリップ導体23を構成する。図13のマイクロストリップアレーアンテナ300は、図4のマイクロストリップアレーアンテナ900のアンテナ素子列7及び9の配置を変更して、アンテナ素子列6及び8に対して位相を先に進め、更に分岐位置の異なる分岐線路43を採用してアンテナ素子列8及び9をアンテナ素子列6及び7に対して位相を先に進めたものである。ここにおいて、給電ストリップ線路431、アンテナ素子列6及びアンテナ素子列7から成るサブアレーSA31は、アンテナ素子列6の放射位相とアンテナ素子列7の放射位相が異なるので非対称放射サブアレーである。同様に、給電ストリップ線路432、アンテナ素子列8及びアンテナ素子列9から成るサブアレーSA32は、アンテナ素子列8の放射位相とアンテナ素子列9の放射位相が異なるので非対称放射サブアレーである。
【0046】
主線路(給電ストリップ線路)の長手方向の素子番号に対する素子間隔の分布を図14に示す。主放射方向が正面方向の場合には、右側素子群と左側素子群の放射位相が同じであるので素子間隔は一定であるが、提案構造では、右側素子群と左側素子群の放射位相が異なるように設計可能であるので、主線路の長手方向の素子番号の、奇数番である右側素子群と、偶数番である左側素子群は、交互に大小を繰り返し、素子間隔はジグザグ分布となる。
【0047】
即ち、アンテナ素子列6及び7について、jを1〜6として、アンテナ素子53−6jと53−7jとの間隔は短くし、アンテナ素子53−7jと53−6(j+1)との間隔は長くしている。図示しないが同様に、アンテナ素子列8及び9について、jを1〜6として、アンテナ素子53−8jと53−9jとの間隔は短くし、アンテナ素子53−8jと53−9(j+1)との間隔は長くする。
【0048】
図15に「相対放射位相」を示す。放射端は1.7mm間隔とした。白抜き丸は図13のマイクロストリップアレーアンテナ300の構成により、主ビームを平面アンテナの法線方向から、給電ストリップ線路の長手方向に垂直な面内で20度傾けた場合を示す。また、黒三角は図4のマイクロストリップアレーアンテナ900の分岐線路40を図13の分岐線路43に替えることで、主ビームを平面アンテナの法線方向から、給電ストリップ線路の長手方向に垂直な面内で20度傾けた場合を示す。図4のマイクロストリップアレーアンテナ900の分岐線路40を図13の分岐線路43に替えたのでは、図15の黒三角のように、アンテナ素子列6及び7で相対放射位相が−67.4度、アンテナ素子列8及び9で相対放射位相が67.4度と階段状の放射位相が生ずる。一方、図13のマイクロストリップアレーアンテナ300によれば、アンテナ素子列6で−80.1度、アンテナ素子列7で−26.7度、アンテナ素子列8で26.7度、アンテナ素子列9で80.1度と、相対放射位相が線形に変化するように容易に設計できる。
【0049】
図15の白抜き丸のように設計された、図13のマイクロストリップアレーアンテナ300の指向性パターンを図16に実線で示す。図16の破線は、比較のため、図4のマイクロストリップアレーアンテナ900の分岐線路40を図13の分岐線路43に替えたものであって、図15の黒三角のように設計されたものの指向性パターンである。尚、図8に相当する各アンテナ素子列の相対放射電界強度は、本実施例に関わるマイクロストリップアレーアンテナ300及び比較のため示した従来技術によるマイクロストリップアレーアンテナ900のいずれも一様分布設計とした。いずれもチルト角20度が達成されているが、本願発明によればサイドローブレベルは−11.3dBと、単に分岐線路のみで段差状の位相差を形成する場合のサイドローブレベルの−2.4dBよりも8.9dB低減することが可能となった。
【0050】
〔放射量と放射位相の組み合わせについて〕
図3のマイクロストリップアレーアンテナ100の特徴であるアンテナ素子列ごとの放射量と、図13のマイクロストリップアレーアンテナ300の特徴であるアンテナ素子列ごとの放射位相とを組み合わせた場合の指向性パターンを図17に実線で示す。相対放射位相は、図15の本件発明に示す条件とし、相対放射電界強度は、アンテナ素子列7とアンテナ素子列8の放射電界強度を1とした場合に、アンテナ素子列6とアンテナ素子列9の相対放射電界強度を0.55とした場合の結果である。チルト角20度が達成されているが、組み合わせによってサイドローブレベルは−21.1dBと、単に分岐線路のみで段差状の位相差を形成する場合のサイドローブレベルの−2.4dBよりも18.7dB低減することが可能となった。尚、図10、図12、図16、図17はいわゆるエレメントファクタを除いた、アレーファクタのみによる指向性パターン図である。
【0051】
以上の全ての実施例において、各放射アンテナ素子5は、主線路(給電ストリップ線路)の長手方向の垂直方向から傾いていても良い。その場合、特許文献1に記載されたように、各放射アンテナ素子を矩形形状とした上、その1頂点のみで接続する、或いは微小なギャップを設けて電磁的に結合させる構成としても良い。
【産業上の利用可能性】
【0052】
自動車用などの近距離センサやデジタル信号処理による指向性パターン形成(DBF)のサブアレー用等、小型のアレーアンテナが必要な用途に要求される様々な放射特性(低サイドローブ、主放射(メインビーム)方向の制御)を有するアンテナを実現可能である。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の適用可能な種類のマイクロストリップアレーアンテナの構造を示す斜視図。
【図2】図1のアレーアンテナを構成する単位放射素子の構造および放射原理を示す図。
【図3】本発明の具体的な第1の実施例に係るマイクロストリップアレーアンテナ100の構成を示す平面図(3.A)及び側面図(3.B)。
【図4】従来構造のマイクロストリップアレーアンテナ900の構成を示す平面図(4.A)及び側面図(4.B)。
【図5】図1のアンテナに本発明を適用し、サイドローブレベルの低いアンテナを設計した場合の結合量分布を表す図。
【図6】従来のマイクロストリップアレーアンテナ900の各放射アンテナ素子の結合位置と結合量を示すグラフ図。
【図7】第1実施例のマイクロストリップアレーアンテナ100の各放射アンテナ素子の結合位置と結合量を示すグラフ図。
【図8】図1のアンテナに本発明を適用し、サイドローブレベルの低いアンテナを設計した場合の各列の相対放射電界強度を表す図。
【図9】第1実施例のマイクロストリップアレーアンテナ100の各アンテナ素子列の相対放射電界強度を示すグラフ図。
【図10】第1実施例のマイクロストリップアレーアンテナ100の指向性パターンを、マイクロストリップアレーアンテナ900の指向性パターンと比較して示したグラフ図。
【図11】本発明の具体的な第2の実施例に係るマイクロストリップアレーアンテナ200の構成を示す平面図(11.A)及び側面図(11.B)。
【図12】第2実施例のマイクロストリップアレーアンテナ200の指向性パターンを、マイクロストリップアレーアンテナ900の指向性パターンと比較して示したグラフ図。
【図13】本発明の具体的な第3の実施例に係るマイクロストリップアレーアンテナ300の構成を示す平面図(13.A)及び側面図(13.B)。
【図14】図1のアンテナに本発明を適用し、正面から傾いた方向へ主放射方向を持つアンテナを設計した場合の位相分布を表す図。
【図15】第3実施例のマイクロストリップアレーアンテナ300の各アンテナ素子列の相対放射位相を示すグラフ図。
【図16】第3実施例のマイクロストリップアレーアンテナ300の指向性パターンを、マイクロストリップアレーアンテナ900の分岐線路40を分岐線路43に置き換えた場合の指向性パターンと比較して示したグラフ図。
【図17】第1実施例のマイクロストリップアレーアンテナ100の特徴と第3実施例のマイクロストリップアレーアンテナ300の特徴を組み合わせた場合の指向性パターンを、マイクロストリップアレーアンテナ900の分岐線路40を分岐線路43に置き換えた場合の指向性パターンと比較して示したグラフ図。
【符号の説明】
【0054】
1:誘電体基板
100、200、300:マイクロストリップアレーアンテナ
2、22、23:ストリップ導体
20:給電点
3:導体から成る接地板
40、43:分岐線路
41、42、421、422、431、432:給電ストリップ線路
5、5−ij、52−ij’、53−ij(i=6〜9、j=1〜7、j’=1〜8):放射アンテナ素子
6、7、8、9:アンテナ素子列
SA1、SA2、SA21、SA22、SA31、SA32:サブアレー
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車搭載用レーダをはじめとする各種電波センサの送信および受信アンテナに用いることができる誘電体基板を用いた平面アレーアンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、大容量高速通信や自動車レーダなどに用いられるミリ波アンテナの開発が進められている。各種ミリ波アンテナのうちマイクロストリップアレーアンテナ(以下、「MSAA」と略記することがある)は、低コスト、薄型化に有利である。
【0003】
従来、主線路(給電ストリップ線路)に対し左右交互配列のMSAAは、右側アンテナ素子列と左側アンテナ素子列とで、同じ放射量、同じ放射位相で構成されていたため、アンテナの列数が少ないときには、放射量分布の自由度が少なく、指向性制御が困難であった。
【0004】
それでも指向性を制御するためには、放射量分布の自由度を大きくするために、アンテナの列数を増やすしかなく、アンテナが大型化されてしまうという欠点があった。
【特許文献1】特開2001−44752号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1その他のマイクロストリップアレーアンテナにおいては、アレーアンテナの列数が少ないとき、各列に与える放射量および放射位相の自由度が小さいので、実現可能な指向性パターン形状に制限が生じてしまうという問題がある。即ち、各アンテナ素子列を構成する放射アンテナ素子の数を多くすれば、給電ストリップ線路方向のビーム幅を容易に絞ることができ、アンテナ素子列の列数を多くすれば、給電ストリップ線路と垂直方向のビーム幅を容易に絞ることができる。すると、アンテナ素子列の列数が2又は3の場合は、給電ストリップ線路と垂直方向のビーム幅が広いマイクロストリップアレーアンテナ(平面アンテナ)となる。
【0006】
上記の問題点は具体的には次の通りである。特許文献1の図1の構成をサブアレーとし、たとえば、給電点から2分岐された2つのサブアレーから成るMSAAについて考える。
【0007】
第1の問題点として、各々のサブアレーが、給電ストリップ線路の両側に接続されたアンテナ素子列のいずれもが実質的に対称な放射電界を持つ、即ち対称サブアレーであるとすると、給電ストリップ線路の長手方向と直交する面内(給電ストリップ線路を鉛直に配置した場合、水平面内)の指向性パターンにおけるサイドローブレベルが大きい(たとえば−11dB程度)といった問題があった。
【0008】
この問題点が発生する技術的理由としては、給電ストリップ線路を中心としてその両側に配置されたアンテナ素子列の放射振幅レベルが等しいことを前提としてサブアレーを設計することが通常であるためである。このため、給電ストリップ線路の長手方向と直交する面内の振幅分布は2つのサブアレーの合計4つのアンテナ素子列により「一様」の振幅分布が形成され、サイドローブを低減するのに効果がある、中央で高く外側で低い「テーパー様」の振幅分布を実現できなかったためである。
【0009】
第2の問題点として、2つのサブアレーから成るマイクロストリップアレーアンテナにおいて、給電ストリップ線路の長手方向と直交する面内の指向性パターンにおける主ビームの方向を、平面アンテナの法線方向から上記面内で傾けようとした場合、正面ビームの場合に存在していたサイドローブレベル(たとえば−11dB)が著しく増大する(例えば−2〜−3dBとなる)問題があった。
【0010】
その問題点が発生する技術的理由も、給電ストリップ線路を中心としてその両側に配置されたアンテナ素子列の放射位相が等しいことを前提としてサブアレーを設計することが通常であるためである。このため、給電ストリップ線路が2本の場合、分岐点の位置による2つの給電ストリップ線路間の位相差(正確には、2つのサブアレーの各々最も分岐点に近い放射アンテナ素子と、分岐点までの伝送距離)のみで制御され、水平方向の位相分布は一部階段状となり「一定勾配分布」を実現できなかったためである。
【0011】
本発明は上記課題を解決するために成されたものであり、その目的は、マイクロストリップアレーアンテナにおいて、給電ストリップ線路の長手方向の垂直方向に対するサイドローブを、簡易な構成で低減することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1に係る手段によれば、背面に導体の接地板が形成された誘電体基板と、その誘電体基板上に形成されたストリップ導体とから形成されたマイクロストリップアレーアンテナにおいて、ストリップ導体は、線状に配設された給電ストリップ線路と、給電ストリップ線路の両側辺に沿って所定間隔で、それらの側辺から接続配列された複数の短冊形状の放射アンテナ素子とから成る、複数個のサブアレーと、当該複数個のサブアレーに1個の給電点から給電するための分岐線路とを有し、各サブアレーの給電ストリップ線路の長手方向は互いに平行であって、全ての放射アンテナ素子の放射する電界方向が平行であり、少なくとも外周に位置する2つのサブアレーは、給電ストリップ線路の一方の側辺に接続された放射アンテナ素子の放射量又は放射位相と、給電ストリップ線路の他方の側辺に接続された放射アンテナ素子の放射量又は放射位相とが異なる非対称放射サブアレーであることを特徴とする。
【0013】
また、請求項2に係る手段によれば、マイクロストリップアレーアンテナの中央線上に給電ストリップ線路が位置しない全てのサブアレーが非対称放射サブアレーであり、その放射量分布が、アレーアンテナの中心線で大きくアレーアンテナの外周に向かって順次小さくなるように、給電ストリップ線路の両側に接続されたアンテナ素子列の放射量の大小関係、および分岐線路による分配比が決定されていることを特徴とする。
【0014】
また、請求項3に係る手段によれば、非対称放射サブアレーは、給電ストリップ線路の一方の側辺からマイクロストリップアレーアンテナの中心から見て外側を向いて接続された放射アンテナ素子の各々の放射量が、他方の側辺に接続された近隣の放射アンテナ素子の放射量よりも小さいことを特徴とする。
【0015】
また、請求項4に係る手段によれば、非対称放射サブアレーは、給電ストリップ線路の一方の側辺からマイクロストリップアレーアンテナの中心から見て外側を向いて接続された放射アンテナ素子の個数が、他方の側辺に接続された放射アンテナ素子の個数よりも2個以上少ないことを特徴とする。
【0016】
また、請求項5に係る手段によれば、各アンテナ素子列の放射位相分布が、給電ストリップ線路の長手方向の直交方向に対して線形となるように、各サブアレーにおいて給電ストリップ線路の両側の放射アンテナ素子の放射位相差が設計され、且つ給電点から各サブアレーの直近の放射アンテナ素子への放射位相差が決定さるよう分岐線路が設計されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明の構成は、背面に導体の接地板が形成された誘電体基板と、その誘電体基板上に形成されたストリップ導体からなり、前記ストリップ導体が少なくとも1本以上の給電用の主線路(給電ストリップ線路)と、前記主線路を中心として左右交互にアンテナ素子を配置されたマイクロストリップアレーアンテナにおいて、右側に配列されたアンテナ素子群と、左側に配列されたアンテナ素子群で、放射量または放射位相を異なるようにアレーアンテナを構成するものである。
【0018】
或いは、主線路の長手方向に配列されたアンテナ素子を、主線路の長手方向と垂直方向に、1素子置きに分布させ、奇数番目の素子から構成される第1列の素子群と、偶数番目の素子から構成される第2列の素子群の、放射量または放射位相を異なるように構成するとも言える。
【0019】
マイクロストリップアレーアンテナが、2列や3列など、少ない列数でも、指向性制御が可能となり、実現可能な指向性パターン形状の種類が格段に増加する。詳しく述べれば次の通りである。
【0020】
給電ストリップ線路の長手方向に垂直な面内の指向性パターン分布において、主ビームの両側に発生する望まれないローブ(サイドローブ)を低減する理論として、アンテナの横方向の放射振幅分布の与え方を「中央で強く、外側に向かって徐々に弱くする(テーパー分布にする)」と良いことが広く知られている。これを実現する際に、給電線路毎の電力分配比のみで従来は制御してきた。たとえば、給電線路が2本の場合は、横方向の分布を作ることができなかった。しかし、本発明によれば、各給電ストリップ線路の両側のアンテナ素子列で独立に放射強度を変えるため、4つのアンテナ素子列のうち、中央の2列と外側の2列とで振幅の大小を与えることが可能となる。これにより、たとえば給電線路が2本の場合でも放射量についてテーパー分布を与えることができ、給電線路が3本以上の場合は、よりなめらかなテーパー分布を与えることができるために、従来に比べサイドローブが低減できる。
【0021】
同様に、放射位相については、主ビームを平面アンテナの法線方向から水平方向に傾けたい場合、各アンテナ素子列の位相分布は一定勾配で傾けるべきところを、従来法ではたとえば給電線路が2本の場合、一定勾配は作ることができなかった。そのため、ビームの中心は傾いたとしても、その周辺の角度のサイドローブが抑制できなかった。本発明においては、位相を一定勾配で傾けることが実現でき、ビーム幅を維持しながら主ビームを傾けることが可能である。
【0022】
従来は、水平方向の振幅分布あるいは位相分布の与え方の自由度は、給電線路の本数で制限されたため、サイドローブが大きいといった問題があった。本発明により、給電線路の本数の2倍まで自由度が拡張され、従来に比べてサイドローブが低減できる。その効果は、ビームの横幅が比較的広い、近距離用レーダに応用する場合に極めて顕著な差として現れる。また、水平方向に主ビームを傾けたい場合に、本発明によれば、従来に比べて理想的な形状のビーム形成が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、図面を参照しながら本発明の具体例について説明する。尚、各図は本発明の特徴部分の概略を示しているに留まり、接続点の位置、各放射アンテナ素子の幅等は適宜周知の設計事例に基づいて設計されるべきものである。
【実施例1】
【0024】
図1に、主線路(給電ストリップ線路)が2本の場合の構造を示し、放射アンテナ素子1つ分の拡大図を図2に示す。各素子への入力電力に対する放射電力の比を結合量と呼び、主線路(給電ストリップ線路)の長手方向の素子番号に対する結合量分布を図5に示す。
【0025】
図3.Aは本発明の具体的な実施例に係るマイクロストリップアレーアンテナ100の構成を示す平面図である。また、図3.Bはその側面図である。一方図4.Aは従来構造のマイクロストリップアレーアンテナ900の構成を示す平面図であり、図4.Bはその側面図である。図1は、図3と図4の共通部分の概略を示した斜視図である。
【0026】
まず、図1を用いて、図3に示した本発明に係るマイクロストリップアレーアンテナ100と図4に示した従来構造のマイクロストリップアレーアンテナ900の共通部分を説明する。誘電体基板1の表面に、ストリップ導体2(又は29)が形成され、裏面に導体から成る接地板3が形成されている。ストリップ導体2(又は29)は、給電点20を有する分岐線路40、分岐線路40に接続された給電ストリップ線路41及び42、合計28個の放射アンテナ素子5から成る。合計28個の放射アンテナ素子5は、給電ストリップ線路41及び42の、右側辺及び左側辺にそれぞれ接続されており、各々7個の放射アンテナ素子5から構成されるアンテナ素子列6、7、8及び9から成る。28個の放射アンテナ素子5は短冊状(矩形状)であって、給電ストリップ線路41及び42に直接接続されている。アンテナ素子列6及び9はアンテナ素子列7及び8よりも平面アンテナの外周側に位置する。
【0027】
次に、本発明に係るマイクロストリップアレーアンテナ100の構成の詳細を図3により説明する。線状に配設された給電ストリップ線路41の、給電点20に近い側から遠い側に向かって、右側に接続された放射アンテナ素子5−61乃至67が図1のアンテナ素子列6を構成し、左側に接続された放射アンテナ素子5−71乃至77が図1のアンテナ素子列7を構成している。給電ストリップ線路41と放射アンテナ素子5−61乃至67並びに5−71乃至77がサブアレーSA1を構成している。
【0028】
同様に、給電ストリップ線路42の、給電点20に近い側から遠い側に向かって、右側に接続された放射アンテナ素子5−81乃至87が図1のアンテナ素子列8を構成し、左側に接続された放射アンテナ素子5−91乃至97が図1のアンテナ素子列9を構成している。給電ストリップ線路42と放射アンテナ素子5−81乃至87並びに5−91乃至97がサブアレーSA2を構成している。
【0029】
図3のマイクロストリップアレーアンテナ100においては、給電ストリップ線路41及び42の長手方向が平行であり、当該方向と、各々が短冊形状(矩形形状)の放射アンテナ素子5−61乃至67、5−71乃至77、5−81乃至87並びに5−91乃至97の長手方向(放射される電界の方向)とが垂直である。尚、放射アンテナ素子5−61乃至67、5−71乃至77、5−81乃至87並びに5−91乃至97の長手方向(放射される電界の方向)が全て平行であれば、それらと給電ストリップ線路41及び42の長手方向との成す角に関係なく、本発明は適用できる。
【0030】
図3のマイクロストリップアレーアンテナ100の28個の放射アンテナ素子5は、より放射量の多い放射アンテナ素子5−71乃至77並びに5−81乃至87と、より放射量の少ない放射アンテナ素子5−61乃至67並びに5−91乃至97とから成る。これらは図2に示す結合量が、各短冊形状の幅として設計され得ることは周知のことである。図3では、「概略を説明するため」、例えばアンテナ素子列6を形成する放射アンテナ素子5−61乃至67が、本来当該幅の異なる短冊形状とすべき所、単に「同一幅」で示している。即ち、図3は、放射アンテナ素子列6と放射アンテナ素子列9から放射される電界よりも、放射アンテナ素子列7と放射アンテナ素子列8から放射される電界の方が大きいことを示しているに留める。
【0031】
尚、図3のマイクロストリップアレーアンテナ100においては、給電点20から、それに最も近いアンテナ素子列6の放射アンテナ素子5−61までの伝送距離と、給電点20から、それに最も近いアンテナ素子列8の放射アンテナ素子5−81までの伝送距離とを等しく置いた。また、給電点20からそれに最も近いアンテナ素子列7の放射アンテナ素子5−71までの伝送距離と、給電点20からそれに最も近いアンテナ素子列9の放射アンテナ素子5−91までの伝送距離とは、給電点20から放射アンテナ素子5−61までの伝送距離に、用いる高周波のストリップ導体内の管内波長λの1/2倍を加えたものとした。以下、各アンテナ列i(i=6〜9)における隣り合う放射アンテナ素子5−ij(j=1〜6)及び放射アンテナ素子5−i(j+1)は、給電点20からの伝送距離が管内波長λずつ異なるようにした。尚分岐線路40により、高周波はサブアレーSA1とサブアレーSA2とに等分配される。放射される電界は、全ての放射アンテナ素子について同相であり、放射量は、アンテナ素子列6及び9が同量で小さく、アンテナ素子列7及び8が同量で大きい。よって、サブアレーSA1は放射量の異なるアンテナ素子列6及び7を有するので、非対称放射サブアレーである。同様にサブアレーSA2も放射量の異なるアンテナ素子列8及び9を有するので、非対称放射サブアレーである。本実施例は2つの非対称サブアレーSA1及びSA2と分岐線路40のみから構成されており、アンテナ素子列の数の面からは、請求項1乃至3に係る発明の最も簡単な構成である。
【0032】
図4の従来のマイクロストリップアレーアンテナ900は比較のために示されるものであり、次のような構成である。即ち、図3の本発明のマイクロストリップアレーアンテナ100の28個のアンテナ素子5を、全て放射量が等しいものとした。即ち、図4に示す通り、各々が短冊形状(矩形形状)の放射アンテナ素子95−61乃至67、95−71乃至77、95−81乃至87並びに95−91乃至97からの個々の放射量は全て等しい。
【0033】
このような図3のマイクロストリップアレーアンテナ100と図4のマイクロストリップアレーアンテナ900について、各放射アンテナ素子における結合量の観点から示したものが図5である。図5では図3のマイクロストリップアレーアンテナ100のアンテナ素子列6及び7の放射アンテナ素子の「結合量曲線」を点線で、図4のマイクロストリップアレーアンテナ900の放射アンテナ素子の「結合量曲線」を実線で示した。尚図5では左右で「19個」の放射アンテナ素子が給電ストリップ線路に接続されたものを示している。従来構造では、右側素子群と左側素子群の放射量が同じになる設計であったため、滑らかなカーブとなるが、提案構造では、右側素子群と左側素子群の放射量が異なるように設計しているため、主線路の長手方向の素子番号の、奇数番である右側素子群と、偶数番である左側素子群は、交互に大小を繰り返し、結合量分布はジグザグ分布となる。
【0034】
図6及び図7に図5を分解した図を示す。尚、図6及び図7では、左右で「14個」の放射アンテナ素子が給電ストリップ線路に接続されたもの(図4と図3に対応)を示している。図6は図4の従来のマイクロストリップアレーアンテナ900について示したものであり、各放射アンテナ素子の位置(伝送距離)と、結合量の関係を示している。図6では黒三角が放射アンテナ素子95−61乃至67の位置(伝送距離)と結合量を示し、黒丸が放射アンテナ素子95−71乃至77の位置(伝送距離)と結合量を示している。図6では代表させて放射アンテナ素子95−71と95−62の位置を矢印で明示した。このように、図4の従来のマイクロストリップアレーアンテナ900は、給電ストリップ線路を共有する両側に接続された放射アンテナ素子について、同一の「結合量曲線」に基づいて設計することで、全ての放射アンテナ素子からの放射量を等しくするものである。
【0035】
一方、本発明においては、図7が採用される。点線で示したものは図6の「結合量曲線」であり、同じ位置でも図6よりも結合量が大きい第1の「結合量曲線」と、同じ位置でも図6よりも結合量が小さい第2「結合量曲線」とが採用される。図3の本発明のマイクロストリップアレーアンテナ100においては、アンテナ素子列7及び8の放射アンテナ素子5−71乃至77並びに5−81乃至87については図7の結合量が大きい第1の「結合量曲線」に基づいて設計される。実際、図7のように、放射アンテナ素子5−71は、結合量が10%程度である。一方、アンテナ素子列6及び9の放射アンテナ素子5−61乃至67並びに5−91乃至97については図7の結合量が小さい第2の「結合量曲線」に基づいて設計される。実際、図7のように、放射アンテナ素子5−62は、結合量が3%程度である。図5は、図7の黒三角と黒丸をジグザクにつなぎ、点線と実線とを入れ換え、横軸を対応する「素子番号」としたものである。
【0036】
給電ストリップ線路42を共有するアンテナ素子列8及び9についても、伝送距離と2つの「結合量曲線」とから容易に設計される。尚、給電ストリップ線路の幅を一定とすれば、放射素子の素子幅を広くするほど結合度が上げられる。また、放射アンテナ素子の素子幅を一定とすれば、給電線路の結合部分における線路幅を狭くするほど結合度が上げられる関係にある。図3及び図4ではこの点については厳密な記載とはなっていないことは繰り返し述べている。給電点から見て近い側の放射アンテナ素子から順に給電ストリップ線路から入力された電力の一部が前記方法で定められた結合度にしたがって放射され、余剰電力は透過しさらに下流の放射素子へと入力される。
【0037】
図7のような「結合量曲線」に基づき設計された放射アンテナ素子を有する本発明に係る図3のマイクロストリップアレーアンテナ100と、図6のような「結合量曲線」に基づき設計された放射アンテナ素子を有する図4の従来構造のマイクロストリップアレーアンテナ900の、給電ストリップ線路41及び42の長手方向と直交する面内の放射分布を図8及び図9に示す。従来構造では一様分布しかできない一方で、提案構造では、中央の第1列左側素子から成るアンテナ素子列7と第2列右側素子から成るアンテナ素子列8の放射レベルは高く、両端の第1列右側素子から成るアンテナ素子列6と第2列左側素子から成るアンテナ素子列9の放射レベルは低い。また、放射端を1.7mm間隔とした。
【0038】
図8及び図9において、アンテナ素子列7とアンテナ素子列8の放射電界強度を1とした場合に、アンテナ素子列6とアンテナ素子列9の放射電界強度を0.5とした場合の給電ストリップ線路の長手方向と直交する面内の指向性パターンを図10に示す。平面アンテナであるマイクロストリップアレーアンテナの法線方向を0degとして、当該0deg方向の主ビームに対し、±60deg付近に各々ピークを有する2つのサイドローブが存在する。従来構造のマイクロストリップアレーアンテナ900のサイドローブレベルは−11.3dBであるのに対し、提案構造のマイクロストリップアレーアンテナ100では、サイドローブレベルが−23.9dBまで低減できていることがわかる。即ち、図3のマイクロストリップアレーアンテナ100は図4のマイクロストリップアレーアンテナ900に比較して、給電ストリップ線路の長手方向に垂直な面内の指向性パターンについて、サイドローブを12dB以上低減できる。
【0039】
明白なことであるが、給電ストリップ線路を共有する2つのアンテナ素子列を構成する放射アンテナ素子の個数は同数とする必要はない。例えば一方が他方よりも1個多くても良い。重要なことは、給電ストリップ線路41(又は42)の一方の側辺からマイクロストリップアレーアンテナの外側を向いて接続された放射アンテナ素子5−61乃至5−67(5−91乃至97)の各々の放射量が、他方の側辺に接続された近隣の放射アンテナ素子5−71乃至77(5−81乃至87)の放射量よりも小さいことである。「近隣」とは、両隣が存在する、例えば放射アンテナ素子5−62に対して放射アンテナ素子5−71及び72が存在する場合と、放射アンテナ素子5−61に対して放射アンテナ素子5−71のみが存在する場合とを合わせた表現である。
【0040】
本実施例は、給電ストリップ線路が少ない、特に2本の場合に顕著となる。
【実施例2】
【0041】
給電ストリップ線路を共有する2つのアンテナ素子列を構成する放射アンテナ素子の個数が、一方が他方よりも2個以上異なれば、各放射アンテナ素子の放射量が全て等しくても、非対称放射サブアレーを構成できる。これを図11に示す。
【0042】
図11のマイクロストリップアレーアンテナ200は、給電点20を有する分岐線路40と、給電ストリップ線路421及び422と、4個のアンテナ素子52−63乃至66から成るアンテナ素子列6、8個のアンテナ素子52−71乃至78から成るアンテナ素子列7、8個のアンテナ素子52−81乃至88から成るアンテナ素子列8、4個のアンテナ素子52−93乃至96から成るアンテナ素子列9を有する。これらがストリップ導体22を構成する。図11のマイクロストリップアレーアンテナ200は、言わば図4のマイクロストリップアレーアンテナ900から放射アンテナ素子95−61、62及び67、95−91、92及び97を削除し、放射アンテナ素子52−78及び88を付加したものである。図11のマイクロストリップアレーアンテナ200の24個の放射アンテナ素子5は全て同相、同振幅の電界を放射する。ここにおいて、給電ストリップ線路421、アンテナ素子列6及びアンテナ素子列7から成るサブアレーSA21は、4個の放射アンテナ素子52−63乃至66の放射量の合計と8個の放射アンテナ素子52−71乃至78の放射量の合計とが異なるので、非対称放射サブアレーである。同様に、給電ストリップ線路422、アンテナ素子列8及びアンテナ素子列9から成るサブアレーSA22は、8個の放射アンテナ素子52−81乃至88の放射量の合計と4個の放射アンテナ素子52−93乃至96の放射量の合計とが異なるので非対称放射サブアレーである。図11のマイクロストリップアレーアンテナ200の給電ストリップ線路の長手方向と直交する面内の放射分布を図8と同一図に示す。従来構造では一様分布であった一方で、アンテナ素子の個数をアンテナ素子列7に対しアンテナ素子列6を半分とし、同様にアンテナ素子列8に対してアンテナ素子列9を半分とすることで、アンテナ素子列7とアンテナ素子列8の放射電界強度を1とした場合に、アンテナ素子列6とアンテナ素子列9の放射電界強度を0.5に設定している。
【0043】
図8と同一図の相対放射電界強度を設定した場合の、図11のマイクロストリップアレーアンテナ200の給電ストリップ線路の長手方向と直交する面内の指向性パターンを図10と同様に図4のマイクロストリップアレーアンテナ900の指向性パターンと共に図12に示す。放射端は1.7mm間隔とした。図11のマイクロストリップアレーアンテナ200の指向性パターンは、図3のマイクロストリップアレーアンテナ100の指向性パターンとほぼ同等であった。即ち、図11のマイクロストリップアレーアンテナ200は図4のマイクロストリップアレーアンテナ900に比較して、給電ストリップ線路の長手方向に垂直な方向の指向性パターンについて、サイドローブを12dB以上低減できる。
【0044】
尚、繰り返し述べている通り図11及び図4の構成は「概略」を示しているものであり、図4の構成から放射アンテナ素子を増減したことで、各放射アンテナ素子の厳密な位置等は若干の修正が必要となることは周知のとおりである。これは各放射アンテナ素子の有無により位相差が生じることに基づく。
【実施例3】
【0045】
主放射方向を制御する場合には、素子間隔を変え、右側素子群と左側素子群の放射位相の調整によって制御すると良い。さらに1列目と2列目の給電位相差を適切に与えると良い。このようにして構成されたマイクロストリップアレーアンテナ300を図13に示す。破線は、図4のマイクロストリップアレーアンテナ900との比較のために記載したものである。図13のマイクロストリップアレーアンテナ300は、給電点20を有する分岐線路43と、給電ストリップ線路431及び432と、7個のアンテナ素子53−61乃至67から成るアンテナ素子列6、7個のアンテナ素子53−71乃至77から成るアンテナ素子列7、7個のアンテナ素子53−81乃至87から成るアンテナ素子列8、7個のアンテナ素子53−91乃至97から成るアンテナ素子列9を有する。これらがストリップ導体23を構成する。図13のマイクロストリップアレーアンテナ300は、図4のマイクロストリップアレーアンテナ900のアンテナ素子列7及び9の配置を変更して、アンテナ素子列6及び8に対して位相を先に進め、更に分岐位置の異なる分岐線路43を採用してアンテナ素子列8及び9をアンテナ素子列6及び7に対して位相を先に進めたものである。ここにおいて、給電ストリップ線路431、アンテナ素子列6及びアンテナ素子列7から成るサブアレーSA31は、アンテナ素子列6の放射位相とアンテナ素子列7の放射位相が異なるので非対称放射サブアレーである。同様に、給電ストリップ線路432、アンテナ素子列8及びアンテナ素子列9から成るサブアレーSA32は、アンテナ素子列8の放射位相とアンテナ素子列9の放射位相が異なるので非対称放射サブアレーである。
【0046】
主線路(給電ストリップ線路)の長手方向の素子番号に対する素子間隔の分布を図14に示す。主放射方向が正面方向の場合には、右側素子群と左側素子群の放射位相が同じであるので素子間隔は一定であるが、提案構造では、右側素子群と左側素子群の放射位相が異なるように設計可能であるので、主線路の長手方向の素子番号の、奇数番である右側素子群と、偶数番である左側素子群は、交互に大小を繰り返し、素子間隔はジグザグ分布となる。
【0047】
即ち、アンテナ素子列6及び7について、jを1〜6として、アンテナ素子53−6jと53−7jとの間隔は短くし、アンテナ素子53−7jと53−6(j+1)との間隔は長くしている。図示しないが同様に、アンテナ素子列8及び9について、jを1〜6として、アンテナ素子53−8jと53−9jとの間隔は短くし、アンテナ素子53−8jと53−9(j+1)との間隔は長くする。
【0048】
図15に「相対放射位相」を示す。放射端は1.7mm間隔とした。白抜き丸は図13のマイクロストリップアレーアンテナ300の構成により、主ビームを平面アンテナの法線方向から、給電ストリップ線路の長手方向に垂直な面内で20度傾けた場合を示す。また、黒三角は図4のマイクロストリップアレーアンテナ900の分岐線路40を図13の分岐線路43に替えることで、主ビームを平面アンテナの法線方向から、給電ストリップ線路の長手方向に垂直な面内で20度傾けた場合を示す。図4のマイクロストリップアレーアンテナ900の分岐線路40を図13の分岐線路43に替えたのでは、図15の黒三角のように、アンテナ素子列6及び7で相対放射位相が−67.4度、アンテナ素子列8及び9で相対放射位相が67.4度と階段状の放射位相が生ずる。一方、図13のマイクロストリップアレーアンテナ300によれば、アンテナ素子列6で−80.1度、アンテナ素子列7で−26.7度、アンテナ素子列8で26.7度、アンテナ素子列9で80.1度と、相対放射位相が線形に変化するように容易に設計できる。
【0049】
図15の白抜き丸のように設計された、図13のマイクロストリップアレーアンテナ300の指向性パターンを図16に実線で示す。図16の破線は、比較のため、図4のマイクロストリップアレーアンテナ900の分岐線路40を図13の分岐線路43に替えたものであって、図15の黒三角のように設計されたものの指向性パターンである。尚、図8に相当する各アンテナ素子列の相対放射電界強度は、本実施例に関わるマイクロストリップアレーアンテナ300及び比較のため示した従来技術によるマイクロストリップアレーアンテナ900のいずれも一様分布設計とした。いずれもチルト角20度が達成されているが、本願発明によればサイドローブレベルは−11.3dBと、単に分岐線路のみで段差状の位相差を形成する場合のサイドローブレベルの−2.4dBよりも8.9dB低減することが可能となった。
【0050】
〔放射量と放射位相の組み合わせについて〕
図3のマイクロストリップアレーアンテナ100の特徴であるアンテナ素子列ごとの放射量と、図13のマイクロストリップアレーアンテナ300の特徴であるアンテナ素子列ごとの放射位相とを組み合わせた場合の指向性パターンを図17に実線で示す。相対放射位相は、図15の本件発明に示す条件とし、相対放射電界強度は、アンテナ素子列7とアンテナ素子列8の放射電界強度を1とした場合に、アンテナ素子列6とアンテナ素子列9の相対放射電界強度を0.55とした場合の結果である。チルト角20度が達成されているが、組み合わせによってサイドローブレベルは−21.1dBと、単に分岐線路のみで段差状の位相差を形成する場合のサイドローブレベルの−2.4dBよりも18.7dB低減することが可能となった。尚、図10、図12、図16、図17はいわゆるエレメントファクタを除いた、アレーファクタのみによる指向性パターン図である。
【0051】
以上の全ての実施例において、各放射アンテナ素子5は、主線路(給電ストリップ線路)の長手方向の垂直方向から傾いていても良い。その場合、特許文献1に記載されたように、各放射アンテナ素子を矩形形状とした上、その1頂点のみで接続する、或いは微小なギャップを設けて電磁的に結合させる構成としても良い。
【産業上の利用可能性】
【0052】
自動車用などの近距離センサやデジタル信号処理による指向性パターン形成(DBF)のサブアレー用等、小型のアレーアンテナが必要な用途に要求される様々な放射特性(低サイドローブ、主放射(メインビーム)方向の制御)を有するアンテナを実現可能である。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の適用可能な種類のマイクロストリップアレーアンテナの構造を示す斜視図。
【図2】図1のアレーアンテナを構成する単位放射素子の構造および放射原理を示す図。
【図3】本発明の具体的な第1の実施例に係るマイクロストリップアレーアンテナ100の構成を示す平面図(3.A)及び側面図(3.B)。
【図4】従来構造のマイクロストリップアレーアンテナ900の構成を示す平面図(4.A)及び側面図(4.B)。
【図5】図1のアンテナに本発明を適用し、サイドローブレベルの低いアンテナを設計した場合の結合量分布を表す図。
【図6】従来のマイクロストリップアレーアンテナ900の各放射アンテナ素子の結合位置と結合量を示すグラフ図。
【図7】第1実施例のマイクロストリップアレーアンテナ100の各放射アンテナ素子の結合位置と結合量を示すグラフ図。
【図8】図1のアンテナに本発明を適用し、サイドローブレベルの低いアンテナを設計した場合の各列の相対放射電界強度を表す図。
【図9】第1実施例のマイクロストリップアレーアンテナ100の各アンテナ素子列の相対放射電界強度を示すグラフ図。
【図10】第1実施例のマイクロストリップアレーアンテナ100の指向性パターンを、マイクロストリップアレーアンテナ900の指向性パターンと比較して示したグラフ図。
【図11】本発明の具体的な第2の実施例に係るマイクロストリップアレーアンテナ200の構成を示す平面図(11.A)及び側面図(11.B)。
【図12】第2実施例のマイクロストリップアレーアンテナ200の指向性パターンを、マイクロストリップアレーアンテナ900の指向性パターンと比較して示したグラフ図。
【図13】本発明の具体的な第3の実施例に係るマイクロストリップアレーアンテナ300の構成を示す平面図(13.A)及び側面図(13.B)。
【図14】図1のアンテナに本発明を適用し、正面から傾いた方向へ主放射方向を持つアンテナを設計した場合の位相分布を表す図。
【図15】第3実施例のマイクロストリップアレーアンテナ300の各アンテナ素子列の相対放射位相を示すグラフ図。
【図16】第3実施例のマイクロストリップアレーアンテナ300の指向性パターンを、マイクロストリップアレーアンテナ900の分岐線路40を分岐線路43に置き換えた場合の指向性パターンと比較して示したグラフ図。
【図17】第1実施例のマイクロストリップアレーアンテナ100の特徴と第3実施例のマイクロストリップアレーアンテナ300の特徴を組み合わせた場合の指向性パターンを、マイクロストリップアレーアンテナ900の分岐線路40を分岐線路43に置き換えた場合の指向性パターンと比較して示したグラフ図。
【符号の説明】
【0054】
1:誘電体基板
100、200、300:マイクロストリップアレーアンテナ
2、22、23:ストリップ導体
20:給電点
3:導体から成る接地板
40、43:分岐線路
41、42、421、422、431、432:給電ストリップ線路
5、5−ij、52−ij’、53−ij(i=6〜9、j=1〜7、j’=1〜8):放射アンテナ素子
6、7、8、9:アンテナ素子列
SA1、SA2、SA21、SA22、SA31、SA32:サブアレー
【特許請求の範囲】
【請求項1】
背面に導体の接地板が形成された誘電体基板と、その誘電体基板上に形成されたストリップ導体とから形成されたマイクロストリップアレーアンテナにおいて、
前記ストリップ導体は、
線状に配設された給電ストリップ線路と、前記給電ストリップ線路の両側辺に沿って所定間隔で、それらの側辺から接続配列された複数の短冊形状の放射アンテナ素子とから成る、複数個のサブアレーと、
当該複数個のサブアレーに1個の給電点から給電するための分岐線路とを有し、
前記各サブアレーの給電ストリップ線路の長手方向は互いに平行であって、
全ての前記放射アンテナ素子の放射する電界方向が平行であり、
少なくとも外周に位置する2つのサブアレーは、前記給電ストリップ線路の一方の側辺に接続された前記放射アンテナ素子の放射量又は放射位相と、前記給電ストリップ線路の他方の側辺に接続された前記放射アンテナ素子の放射量又は放射位相とが異なる非対称放射サブアレーであること
を特徴とするマイクロストリップアレーアンテナ。
【請求項2】
マイクロストリップアレーアンテナの中央線上に前記給電ストリップ線路が位置しない全てのサブアレーが非対称放射サブアレーであり、
その放射量分布が、アレーアンテナの中心線で大きくアレーアンテナの外周に向かって順次小さくなるように、
前記給電ストリップ線路の両側に接続されたアンテナ素子列の放射量の大小関係、および分岐線路による分配比が決定されていること
を特徴とする請求項1に記載のマイクロストリップアレーアンテナ。
【請求項3】
前記非対称放射サブアレーは、
前記給電ストリップ線路の一方の側辺からマイクロストリップアレーアンテナの中心から見て外側を向いて接続された前記放射アンテナ素子の各々の放射量が、他方の側辺に接続された近隣の放射アンテナ素子の放射量よりも小さいこと
を特徴とする請求項1に記載のマイクロストリップアレーアンテナ。
【請求項4】
前記非対称放射サブアレーは、
前記給電ストリップ線路の一方の側辺からマイクロストリップアレーアンテナの中心から見て外側を向いて接続された前記放射アンテナ素子の個数が、他方の側辺に接続された前記放射アンテナ素子の個数よりも2個以上少ないこと
を特徴とする請求項1に記載のマイクロストリップアレーアンテナ。
【請求項5】
各アンテナ素子列の放射位相分布が、前記給電ストリップ線路の長手方向の直交方向に対して線形となるように、各サブアレーにおいて前記給電ストリップ線路の両側の前記放射アンテナ素子の放射位相差が設計され、且つ給電点から各サブアレーの直近の前記放射アンテナ素子への放射位相差が決定さるよう分岐線路が設計されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のマイクロストリップアレーアンテナ。
【請求項1】
背面に導体の接地板が形成された誘電体基板と、その誘電体基板上に形成されたストリップ導体とから形成されたマイクロストリップアレーアンテナにおいて、
前記ストリップ導体は、
線状に配設された給電ストリップ線路と、前記給電ストリップ線路の両側辺に沿って所定間隔で、それらの側辺から接続配列された複数の短冊形状の放射アンテナ素子とから成る、複数個のサブアレーと、
当該複数個のサブアレーに1個の給電点から給電するための分岐線路とを有し、
前記各サブアレーの給電ストリップ線路の長手方向は互いに平行であって、
全ての前記放射アンテナ素子の放射する電界方向が平行であり、
少なくとも外周に位置する2つのサブアレーは、前記給電ストリップ線路の一方の側辺に接続された前記放射アンテナ素子の放射量又は放射位相と、前記給電ストリップ線路の他方の側辺に接続された前記放射アンテナ素子の放射量又は放射位相とが異なる非対称放射サブアレーであること
を特徴とするマイクロストリップアレーアンテナ。
【請求項2】
マイクロストリップアレーアンテナの中央線上に前記給電ストリップ線路が位置しない全てのサブアレーが非対称放射サブアレーであり、
その放射量分布が、アレーアンテナの中心線で大きくアレーアンテナの外周に向かって順次小さくなるように、
前記給電ストリップ線路の両側に接続されたアンテナ素子列の放射量の大小関係、および分岐線路による分配比が決定されていること
を特徴とする請求項1に記載のマイクロストリップアレーアンテナ。
【請求項3】
前記非対称放射サブアレーは、
前記給電ストリップ線路の一方の側辺からマイクロストリップアレーアンテナの中心から見て外側を向いて接続された前記放射アンテナ素子の各々の放射量が、他方の側辺に接続された近隣の放射アンテナ素子の放射量よりも小さいこと
を特徴とする請求項1に記載のマイクロストリップアレーアンテナ。
【請求項4】
前記非対称放射サブアレーは、
前記給電ストリップ線路の一方の側辺からマイクロストリップアレーアンテナの中心から見て外側を向いて接続された前記放射アンテナ素子の個数が、他方の側辺に接続された前記放射アンテナ素子の個数よりも2個以上少ないこと
を特徴とする請求項1に記載のマイクロストリップアレーアンテナ。
【請求項5】
各アンテナ素子列の放射位相分布が、前記給電ストリップ線路の長手方向の直交方向に対して線形となるように、各サブアレーにおいて前記給電ストリップ線路の両側の前記放射アンテナ素子の放射位相差が設計され、且つ給電点から各サブアレーの直近の前記放射アンテナ素子への放射位相差が決定さるよう分岐線路が設計されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のマイクロストリップアレーアンテナ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2006−109425(P2006−109425A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−257600(P2005−257600)
【出願日】平成17年9月6日(2005.9.6)
【出願人】(304021277)国立大学法人 名古屋工業大学 (784)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年9月6日(2005.9.6)
【出願人】(304021277)国立大学法人 名古屋工業大学 (784)
【Fターム(参考)】
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