説明

マイクロホンユニットおよび携帯機器

【課題】音響リークの発生をより確実に抑制することが可能なマイクロホンユニットを提供する。
【解決手段】この差動マイクロホンユニット(マイクロホンユニット)100は、カバー部20の第1凹部22(第2凹部23)の内側面22b(内側面23b)と、ガスケット30の第1凸部31(第2凸部32)の外側面31c(外側面32c)とが密着するとともに、カバー部20の第1凹部22(第2凹部23)と、ガスケット30の第1凸部31(第2凸部32)とが固定的に係合している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、マイクロホンユニットおよび携帯機器に関し、特に、音孔を有する凸部を含む封止部材を備えるマイクロホンユニットおよび携帯機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、音孔を有する凸部を含む封止部材を備えるマイクロホンユニットおよび携帯機器が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、音声入力可能な音入口が形成され、凹形状の断面を有する蓋と、蓋の凹形状の部分を覆うように組みつけられるとともに音出口(音孔)が形成された凸状領域(凸部)を有するシート状のラベルと、凸状領域の音出口と密着する開口部が形成されたシーリング部材(封止部材)と、シーリング部材の開口部の音出口とは反対側に配置されたマイクロホンとを備えた無線電話機(携帯機器)が開示されている。なお、蓋の音入口からラベルの凸状領域の音出口までのラベルと蓋との間の空間は、音響ダクトとして機能する。また、ラベルが組みつけられた蓋は、シーリング部材に対して摺動可能(移動可能)に構成されており、ラベルが組みつけられた蓋をシーリング部材に対して摺動させて、ラベルの凸状領域の表面とシーリング部材の表面とが当接した際に、ラベルに形成された音出口とシーリング部材に形成された開口部とが連結した状態になるように構成されている。これにより、音入口から入った音声(音響)が、音響ダクト、ラベルの音出口およびシーリング部材の開口部を介して、本体部のマイクロホンに到達するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2001−515313号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1の無線電話機では、ラベルが組みつけられた蓋は、シーリング部材に対して摺動(移動)するように構成されているため、たとえば、ラベルが組みつけられた蓋が摺動方向と直交する方向(シーリング部材から離間する方向)に動いた場合に、ラベルの音出口とシーリング部材との間に隙間ができる場合があると考えられる。この場合、音入口から入った音声(音響)がラベルとシーリング部材との間から漏れてしまうため、音響リークが発生するという問題点がある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、音響リークの発生をより確実に抑制することが可能なマイクロホンユニットおよび携帯機器を提供することである。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0007】
この発明の第1の局面によるマイクロホンユニットは、音圧により振動する振動部が設けられた基板と、振動部を覆うように基板上に配置されたカバー部と、カバー部の表面上に配置された封止部材とを備え、封止部材は、封止部材側音孔と、封止部材側音孔の周囲を囲うとともに封止部材の表面からカバー部側に突出する凸部とを含み、カバー部は、封止部材の封止部材側音孔と連結するように形成されたカバー部側音孔と、封止部材の凸部に対応する位置に配置される凹部とを含み、少なくともカバー部の凹部の内側面と、封止部材の凸部の外側面とが密着するとともに、カバー部の凹部と、封止部材の凸部とが固定的に係合している。
【0008】
この第1の局面によるマイクロホンユニットでは、上記のように、カバー部の凹部と、封止部材の凸部とを固定的に係合させることによって、カバー部と封止部材とが相対的に移動可能な場合と異なり、凸部と凹部との係合が外れにくいので、カバー部と封止部材との間からの音響リークが発生するのをより確実に抑制することができる。また、少なくともカバー部の凹部の内側面と、封止部材の凸部の外側面とを密着させることによって、たとえば、カバー部が封止部材に対して基板の表面と直交する方向にずれた場合でも、ずれの大きさが凸部の高さ(凹部の深さ)の範囲内では、凹部の内側面と凸部の外側面とを密着させた状態を維持することができるので、これによっても、カバー部と封止部材との間からの音響リークの発生をより確実に抑制することができる。
【0009】
上記第1の局面によるマイクロホンユニットにおいて、好ましくは、カバー部の凹部の内側面と封止部材の凸部の外側面とが密着しているとともに、カバー部の凹部の封止部材側の内底面と封止部材の凸部の表面とが密着した状態で、カバー部の凹部と封止部材の凸部とが固定的に係合している。このように構成すれば、カバー部の凹部の内側面と封止部材の凸部の外側面との間、および、カバー部の凹部の封止部材側の内底面と封止部材の凸部の表面との間の両方を密着させるとともに、固定的に係合した状態に保つことができるので、音響リークの発生をさらに確実に抑制することができる。
【0010】
上記第1の局面によるマイクロホンユニットにおいて、好ましくは、封止部材の凸部がカバー部の凹部に圧入されることにより、少なくともカバー部の凹部の内側面と封止部材の凸部の外側面とが密着するとともに、カバー部の凹部と封止部材の凸部とが固定的に係合している。このように構成すれば、封止部材の凸部とカバー部の凹部とが軽く接触している場合と異なり、封止部材の凸部とカバー部の凹部とを強固に固定させることができるので、凸部と凹部との間の密着性(気密性)をより向上させることができるとともに、凸部と凹部との係合が外れるのをより有効に防止することができる。
【0011】
上記第1の局面によるマイクロホンユニットにおいて、好ましくは、封止部材の封止部材側音孔は、第1封止部材側音孔と、第2封止部材側音孔とを含み、封止部材の凸部は、第1封止部材側音孔の周囲を囲うとともに、封止部材の表面からカバー部側に突出する第1凸部と、第2封止部材側音孔の周囲を囲うとともに、封止部材の表面からカバー部側に突出する第2凸部とを含み、カバー部のカバー部側音孔は、第1封止部材側音孔と連結するように形成された第1カバー部側音孔と、第2封止部材側音孔と連結するように形成された第2カバー部側音孔とを含み、カバー部の凹部は、封止部材の第1凸部に対応する位置に配置される第1凹部と、封止部材の第2凸部に対応する位置に配置される第2凹部とを含み、第1封止部材側音孔および第1カバー部側音孔を介して振動部の一方側に音が到達するとともに、第2封止部材側音孔および第2カバー部側音孔を介して振動部の他方側に音が到達することにより、振動部の一方側に到達した音の音圧と、振動部の他方側に到達した音の音圧との差圧を検知するように構成されている。このように構成すれば、カバー部の第1凹部と封止部材の第1凸部との間、および、カバー部の第2凹部と封止部材の第2凸部との間の両方において音響リークが発生するのをより確実に抑制することができる。これにより、第1カバー部側音孔から入力される音圧と、第2カバー部側音孔から入力される音圧とをそれぞれ振動部の裏面(一方側)と表面(他方側)とに伝達して、差圧を正確に検出することができる。その結果として、遠方雑音を抑圧する性能を最大限に発揮することができる。
【0012】
上記第1の局面によるマイクロホンユニットにおいて、好ましくは、封止部材の凸部の突出高さは、カバー部の凹部の深さと略等しい。このように構成すれば、カバー部の凹部の内側面と封止部材の凸部の外側面とを凸部の突出方向の全域にわたって接触させることができるとともに、カバー部の凹部の封止部材側の内底面と封止部材の凸部の表面とを接触(密着)させることができるので、カバー部の凹部と封止部材の凸部との密着性をより向上させることができる。
【0013】
上記第1の局面によるマイクロホンユニットにおいて、好ましくは、カバー部に形成された凹部の内側面または封止部材に形成された凸部の外側面のうちいずれか一方は、先細りするテーパ状に形成されている。このように構成すれば、カバー部の凹部と封止部材の凸部とを嵌め合わせる(係合させる)際に、カバー部の凹部または封止部材の凸部のうちいずれか一方のテーパ部分に沿って、カバー部の凹部と封止部材の凸部とが嵌め合わされるので、カバー部の凹部と封止部材の凸部とを嵌め合わせやすく(係合させやすく)することができる。
【0014】
この場合、好ましくは、封止部材は、弾性変形可能な材料からなり、封止部材に形成された凸部の外側面は、先細りするテーパ形状に形成されており、カバー部に形成された凹部の内表面は、略矩形形状に形成されており、カバー部の凹部の開口端の幅は、封止部材の凸部の根元部の幅よりも小さい。このように構成すれば、封止部材のテーパ形状の凸部と、カバー部の略矩形形状の凹部とを嵌め合わせた際に、封止部材の凸部の外側面が内側に弾性変形して押し込まれた状態になる。これにより、カバー部の凹部には、凹部の外側に向かって付勢力が働くので、カバー部の凹部の内側面と、封止部材の凸部の外側面との間の密着性(気密性)をより向上させることができる。
【0015】
上記第1の局面によるマイクロホンユニットにおいて、好ましくは、カバー部に形成された凹部の内側面または封止部材に形成された凸部の外側面のうち少なくともいずれか一方は、凹凸形状に形成されている。このように構成すれば、カバー部の凹部の内側面または封止部材の凸部の外側面のうち少なくともいずれか一方に形成された凹凸形状により、カバー部の凹部と封止部材の凸部との係合状態をより外れにくくすることができる。
【0016】
上記第1の局面によるマイクロホンユニットにおいて、好ましくは、封止部材は、弾性変形可能な材料からなるとともに、封止部材の凸部の外側面は、カバー部の凹部の内側面の形状に沿うように弾性変形された状態でカバー部の凹部の内側面と係合されている。このように構成すれば、カバー部の凹部には、凹部の外側に向かって付勢力が働くので、封止部材の凸部の外側面と、カバー部の凹部の内側面との間の密着性(気密性)をより有効に向上させることができる。
【0017】
上記第1の局面によるマイクロホンユニットにおいて、好ましくは、封止部材は、マイクロホンが収納される製品筐体の裏面側と、カバー部との間を封止するように配置されている。このように構成すれば、封止部材により、マイクロホンが収納される製品筐体の裏面側とカバー部との間からの音響リークの発生を抑制することができる。
【0018】
上記第1の局面によるマイクロホンユニットにおいて、好ましくは、カバー部と、封止部材との間に配置され、封止部材の凸部を逃がすための開口部を有する導電性のシールド部材をさらに備え、封止部材の凸部の突出高さは、シールド部材の厚みよりも大きい。このように構成すれば、シールド部材により、電磁波などのノイズを除去しながら、封止部材の凸部のうちのシールド部材から突出した部分の外側面と、カバー部の凹部の内側面との係合(密着)により、容易に、音響リークの発生を抑制することができる。
【0019】
この発明の第2の局面による携帯機器は、音圧により振動する振動部が設けられた基板と、振動部を覆うように基板上に配置されたカバー部と、カバー部の表面上に配置された封止部材とを備え、封止部材は封止部材側音孔と封止部材側音孔の周囲を囲うとともに封止部材の表面からカバー部側に突出する凸部とを含み、カバー部は封止部材の封止部材側音孔と連結するように形成されたカバー部側音孔と封止部材の凸部に対応する位置に配置される凹部とを含み、少なくともカバー部の凹部の内側面と封止部材の凸部の外側面とが密着するとともにカバー部の凹部と封止部材の凸部とが固定的に係合しているマイクロホンユニットと、マイクロホンユニットが収納される携帯機器筐体とを備え、封止部材は、携帯機器筐体の裏面側と、カバー部との間を封止するように配置されている。
【0020】
この第2の局面による携帯機器では、上記のように、カバー部の凹部と、封止部材の凸部とを固定的に係合させることによって、カバー部と封止部材とが相対的に移動可能な場合と異なり、凸部と凹部との係合が外れにくいので、カバー部と封止部材との間からの音響リークが発生するのをより確実に抑制することができる。また、少なくともカバー部の凹部の内側面と、封止部材の凸部の外側面とを密着させることによって、たとえば、カバー部が封止部材に対して基板の表面と直交する方向にずれた場合でも、ずれの大きさが凸部の高さ(凹部の深さ)の範囲内では、凹部の内側面と凸部の外側面とを密着させた状態を維持することができるので、これによっても、カバー部と封止部材との間からの音響リークの発生をより確実に抑制することができる。また、封止部材を、携帯機器筐体の裏面側と、カバー部との間を封止するように配置することによって、封止部材により、マイクロホンユニットが収納される携帯機器筐体の裏面側と、カバー部との間からの音響リークの発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1実施形態による差動マイクロホンユニットを備える携帯電話機の平面図である。
【図2】本発明の第1実施形態による差動マイクロホンユニットを備える携帯電話機の拡大図である。
【図3】図2の300−300線に沿った断面図である。
【図4】本発明の第1実施形態による差動マイクロホンユニットを備える携帯電話機の携帯電話筐体部とカバー部の凹部とガスケットの凸部との組み立て後の状態を示した断面図である。
【図5】本発明の第1実施形態による差動マイクロホンユニットを備える携帯電話機の分解斜視図である。
【図6】本発明の第1実施形態による差動マイクロホンユニットの上面側から見た平面図である。
【図7】本発明の第1実施形態による差動マイクロホンユニットの下面側から見た平面図である。
【図8】本発明の第1実施形態による差動マイクロホンユニットを備える携帯電話機に入った音の経路を示した断面図である。
【図9】本発明の第1実施形態の第1変形例による差動マイクロホンユニットを備える携帯電話機の携帯電話筐体部とカバー部の凹部とガスケットの凸部との組み立て後の状態を示した断面図である。
【図10】本発明の第1実施形態の第1変形例による差動マイクロホンユニットを備える携帯電話機の携帯電話筐体部とカバー部の凹部とガスケットの凸部との組み立て前の状態を示した断面図である。
【図11】本発明の第1実施形態の第2変形例による差動マイクロホンユニットを備える携帯電話機の携帯電話筐体部とカバー部の凹部とガスケットの凸部との組み立て後の状態を示した断面図である。
【図12】本発明の第1実施形態の第2変形例による差動マイクロホンユニットを備える携帯電話機の携帯電話筐体部とカバー部の凹部とガスケットの凸部との組み立て前の状態を示した断面図である。
【図13】本発明の第1実施形態の第3変形例による差動マイクロホンユニットを備える携帯電話機の携帯電話筐体部とカバー部の凹部とガスケットの凸部との組み立て後の状態を示した断面図である。
【図14】本発明の第1実施形態の第3変形例による差動マイクロホンユニットを備える携帯電話機の携帯電話筐体部とカバー部の凹部とガスケットの凸部との組み立て前の状態を示した断面図である。
【図15】本発明の第1実施形態の第4変形例による差動マイクロホンユニットを備える携帯電話機の携帯電話筐体部とカバー部の凹部とガスケットの凸部との組み立て後の状態を示した断面図である。
【図16】本発明の第1実施形態の第4変形例による差動マイクロホンユニットを備える携帯電話機の携帯電話筐体部とカバー部の凹部とガスケットの凸部との組み立て前の状態を示した断面図である。
【図17】本発明の第1実施形態の第5変形例による差動マイクロホンユニットを備える携帯電話機の携帯電話筐体部とカバー部の凹部とガスケットの凸部との組み立て後の状態を示した断面図である。
【図18】本発明の第1実施形態の第5変形例による差動マイクロホンユニットを備える携帯電話機の携帯電話筐体部とカバー部の凹部とガスケットの凸部との組み立て前の状態を示した断面図である。
【図19】本発明の第2実施形態によるガスケットとカバー部との間にシールド部材が配置された差動マイクロホンユニットを備える携帯電話機の断面図である。
【図20】本発明の第1および第2実施形態の第1変形例による差動マイクロホンユニットの上面側から見た平面図である。
【図21】本発明の第1および第2実施形態の第2変形例による差動マイクロホンユニットの上面側から見た平面図である。
【図22】本発明の第1および第2実施形態の第3変形例による差動マイクロホンユニットの上面側から見た平面図である。
【図23】本発明の第1および第2実施形態の第4変形例による差動マイクロホンユニットの上面側から見た平面図である。
【図24】本発明の第1および第2実施形態の第4変形例による差動マイクロホンユニットの断面図である。
【図25】本発明の第1および第2実施形態の第5変形例による差動マイクロホンユニットの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0023】
(第1実施形態)
図1〜図8を参照して、本発明の第1実施形態による差動マイクロホンユニット100を備える携帯電話機200の構成について説明する。なお、差動マイクロホンユニット100は、本発明の「マイクロホンユニット」の一例であり、携帯電話機200は、本発明の「携帯機器」の一例である。ここで、本発明の差動マイクロホンユニット100は、2つの音孔を有しており、2つ音孔に入力される音圧のそれぞれを後述する振動部(振動板)の表面および裏面へと伝達する。振動板は表と裏との音圧の差圧にしたがって振動し、この振動変化を電気信号として出力するものである。2つの音孔から振動板までの距離は略等しく構成されており、2つの音孔から振動板までの音の伝播時間を等しくすることで、遅延差がゼロになるように設計されている。このように設計された差動マイクロホンユニット100は、距離にともなう感度減衰特性が大きいのが特徴である。通常の無指向性マイクロホンが−20dB/decの減衰率であるのに対して、差動マイクロホンユニット100は、−40dB/decであり、減衰率が大きい。すなわち、遠方雑音を抑圧して、近接音のみを捕らえる接話マイクロホンとして機能する。この性能を最大限に発揮するためには、2つの音孔から振動板までの音響的な伝達特性を極力等しくなるようにするとともに、2つの音孔のそれぞれから振動板までバランス良く、かつ、効率良く音を伝播する必要がある。この伝播経路のいずれかで音響リークが発生したり、一方の伝播経路間から他方の伝播経路へとリークが発生したりすると、バランスずれあるいは伝達ロスが発生し、上記の優れた性能が発揮できなくなる。
【0024】
本発明の第1実施形態による携帯電話機200には、図1に示すように、携帯電話筐体部1と、「0〜9」、「*」および「#」などの入力キー部2と、メニューボタンやメールボタンなどの操作キー部3と、液晶ディスプレイからなる表示画面部4と、スピーカ5と、アンテナ6と、差動マイクロホンユニット100とが設けられている。なお、携帯電話筐体部1は、本発明の「製品筐体」および「携帯機器筐体」の一例である。また、図2に示すように、差動マイクロホンユニット100は、差動マイクロホンユニット100の長手方向がX方向に沿うように、携帯電話筐体部1の裏面側に設けられている。
【0025】
差動マイクロホンユニット100は、図3に示すように、基板10と、カバー部20と、ガスケット30とから構成されている。なお、ガスケット30は、本発明の「封止部材」の一例である。
【0026】
基板10は、図3に示すように、約0.2mm以上約0.8mm以下の厚みt1を有するガラスエポキシなどの絶縁性の材料からなる。また、基板10には、外部から入力された音声の音圧により振動する振動部11を有するMEMS(Micro Electro Mechanical System)チップ12が設けられている。また、基板10には、外部から入力された音声を振動部11のZ1方向側の表面に導くための音道13が形成されている。また、MEMSチップ12の近傍には、MEMSチップ12の振動部11の振動に基づいて電気信号を出力するための集積回路である電気信号出力IC14が配置されている。また、MEMSチップ12と、電気信号出力IC14とは、配線15aおよび配線15bにより電気的に接続されている。
【0027】
また、図5に示すように、基板10には、3つの貫通孔17a、貫通孔17bおよび貫通孔17cが形成されている。また、貫通孔17a、貫通孔17bおよび貫通孔17cには、それぞれ、配線18a、配線18bおよび配線18cが埋め込まれている。また、基板10のZ1方向側の表面(裏面)上には、図7に示すように、配線18a、配線18bおよび配線18cにそれぞれ接続するように、3つの電極部16a、電極部16bおよび電極部16cが形成されている。この3つの電極部16a、電極部16bおよび電極部16cは、それぞれ、電気信号出力IC14への電力の供給、電気信号出力IC14からの電気信号の出力およびGND接続を行うために形成されている。
【0028】
また、図3に示すように、カバー部20は、MEMSチップ12および電気信号出力IC14を覆うように、図示しない約50μm(約0.05mm)の厚みを有する接着剤層を用いて、基板10のZ2方向側の表面に接着されている。また、カバー部20は、約0.6mm以上約1.0mm以下の厚みt2を有する耐熱性樹脂からなる。また、MEMSチップ12および電気信号出力IC14が収納されるカバー部20と基板10とで囲まれた空間は、外部からの音声を振動部11のZ2方向側の表面に導くための音道21として機能する。
【0029】
ここで、第1実施形態では、図4および図5に示すように、カバー部20のZ2方向側の表面には、断面が矩形形状の第1凹部22(第2凹部23)が形成されている。また、カバー部20の第1凹部22(第2凹部23)の内底面22c(内底面23c)の深さD1は、約0.2mm以上約2.8mm以下である。なお、カバー部20の第1凹部22(第2凹部23)は、平面的に見て矩形形状(図5参照)の外形を有するように形成されている。また、第1凹部22(第2凹部23)のX方向の幅W1(図4参照)は、約1.1mmである。
【0030】
また、第1凹部22(第2凹部23)には、Z方向に沿って延びるように第1カバー部側音孔22a(第2カバー部側音孔23a)が形成されている。なお、第1カバー部側音孔22a(第2カバー部側音孔23a)は、平面的に見て、長孔形状(長丸形状)(図5および図6参照)に形成されている。また、第1カバー部側音孔22a(第2カバー部側音孔23a)のX方向の孔幅W2(図4参照)は、約0.2mm以上約0.5mm以下である。また、第1凹部22の内側面22bと、第1カバー部側音孔22aとの間の第1凹部22のX方向の幅(厚み)W3は、約0.3mm以上約0.45mm以下である。また、第2凹部23の内側面23bと、第2カバー部側音孔23aとの間の第2凹部23のX方向の幅(厚み)W3も、約0.3mm以上約0.45mm以下である。
【0031】
また、図6に示すように、第1カバー部側音孔22a(第2カバー部側音孔23a)のY方向の孔幅W4は、約1.5mm以上約2.0mm以下である。また、第1凹部22の内側面22bと、第1カバー部側音孔22aとの間の第1凹部22のY方向の幅(厚み)W5は、約0.3mm以上約0.45mm以下である。また、第2凹部23の内側面23bと、第2カバー部側音孔23aとの間の第2凹部23のY方向の幅(厚み)W5も、約0.3mm以上約0.45mm以下である。
【0032】
また、図3に示すように、ガスケット30は、弾性変形可能な材料(ゴム部材など)からなり、カバー部20の表面上に配置されている。また、第1実施形態では、図4に示すように、ガスケット30のZ1方向側の表面には、Z1方向に突出するとともに、断面が矩形形状の第1凸部31(第2凸部32)が形成されている。また、第1凸部31(第2凸部32)の表面31b(表面32b)の突出高さh1は、約0.2mm以上約2.8mm以下であり、カバー部20の第1凹部22(第2凹部23)の深さD1(約0.2mm以上約2.8mm以下)と略等しい。また、ガスケット30の第1凸部31(第2凸部32)が形成されていない部分のガスケット30の厚みt3(図3参照)は、約0.2mm以上約3.0mm以下である。また、第1凸部31の表面31bは、第1凹部22の内底面22cと接触しているとともに、第2凸部32の表面32bは、第2凹部23のZ2方向側の内底面23cと接触している。また、第1凸部31(第2凸部32)のX方向の幅W6は、約1.1mmであり、第1凹部22(第2凹部23)のX方向の幅W1(約1.1mm)と略等しい。
【0033】
この第1凸部31(第2凸部32)の表面31b(表面32b)には、カバー部20の第1カバー部側音孔22a(第2カバー部側音孔23a)と連結するとともに、Z方向に沿って延びるように、第1ガスケット側音孔31a(第2ガスケット側音孔32a)が形成されている。なお、第1ガスケット側音孔31aは、本発明の「第1封止部材側音孔」の一例であり、第2ガスケット側音孔32aは、本発明の「第2封止部材側音孔」の一例である。また、第1凸部31(第2凸部32)は、第1ガスケット側音孔31a(第2ガスケット側音孔32a)の周囲を囲むように形成されている。
【0034】
また、第1ガスケット側音孔31a(第2ガスケット側音孔32a)のX方向の幅W7は、約0.2mm以上約0.5mm以下であり、第1カバー部側音孔22a(第2カバー部側音孔23a)のX方向の孔幅W2(約0.2mm以上約0.5mm以下)と略等しい。また、第1凸部31(第2凸部32)の外側面31c(外側面32c)と第1ガスケット側音孔31a(第2ガスケット側音孔32a)との間の第1凸部31のX方向の幅W8は、約0.3mm以上約0.45mm以下であり、第1凹部22(第2凹部23)の内側面22b(内側面23b)と第1カバー部側音孔22a(第2カバー部側音孔23a)との間のX方向の幅(厚み)W3と略等しい。
【0035】
また、図6に示すように、第1ガスケット側音孔31a(第2ガスケット側音孔32a)のY方向の孔幅W9は、約1.5mm以上約2.0mm以下であり、第1カバー部側音孔22a(第2カバー部側音孔23a)のY方向の孔幅W4と略等しい。
【0036】
また、第1凸部31(第2凸部32)の外側面31c(外側面32c)と、第1ガスケット側音孔31a(第2ガスケット側音孔32a)との間のY方向の第1凸部31(第2凸部32)の幅W10は、約0.3mm以上約0.45mm以下である。すなわち、第1凸部31(第2凸部32)の外側面31c(外側面32c)と、第1ガスケット側音孔31a(第2ガスケット側音孔32a)との間の第1凸部31(第2凸部32)のY方向の幅W10は、第1凹部22(第2凹部23)の内側面22b(内側面23b)と、第1カバー部側音孔22a(第2カバー部側音孔23a)との間の第1凹部22(第2凹部23)のY方向の幅(厚み)W5と略等しい。
【0037】
また、第1実施形態では、図4に示すように、ガスケット30の第1凸部31(第2凸部32)が、カバー部20の第1凹部22(第2凹部23)に圧入されている。これにより、カバー部20の第1凹部22(第2凹部23)の内側面22b(内側面23b)と、ガスケット30の第1凸部31(第2凸部32)の外側面31c(外側面32c)とが密着されている。また、カバー部20の第1凹部22(第2凹部23)の内底面22c(内底面23c)と、ガスケット30の第1凸部31(第2凸部32)の表面31b(表面32b)とが密着するように構成されている。その結果、カバー部20の第1凹部22(第2凹部23)と、ガスケット30の第1凸部31(第2凸部32)とが固定的に係合するように構成されている。これにより、第1カバー部側音孔22a(第2カバー部側音孔23a)の内面と、第1ガスケット側音孔31a(第2ガスケット側音孔32a)の内面とが段差なく面一に位置合わせされるように構成されている。
【0038】
また、図8に示すように、外部からの音声(音響)は、第1ガスケット側音孔31a、第1カバー部側音孔22a、および、音道13を介して、振動部11のZ1方向側の表面に到達するように構成されている。また、第2ガスケット側音孔32a、第2カバー部側音孔23a、および、カバー部20のMEMSチップ12、電気信号出力IC14が収納される空間(音道21)を介して、振動部11のZ2方向側の表面に音が到達するように構成されている。これにより、振動部11のZ1方向側の表面に到達した音の音圧と、振動部11のZ2方向側の表面に到達した音の音圧との差圧を検知する差動マイクロホンユニット100が構成される。
【0039】
また、図3に示すように、差動マイクロホンユニット100は、携帯電話筐体部1のZ1方向側の表面上に配置されており、ガスケット30は、カバー部20と、携帯電話筐体部1との間を封止するように配置されている。この携帯電話筐体部1には、平面的に見て、ガスケット30の第1ガスケット側音孔31aおよび第2ガスケット側音孔32aと重なる位置に、それぞれ、第1筐体部音孔1aおよび第2筐体部音孔1bが形成されている。また、第1筐体部音孔1aおよび第2筐体部音孔1bのX方向の幅W11は約0.7mmである。
【0040】
第1実施形態では、上記のように、カバー部20の第1凹部22(第2凹部23)と、ガスケット30の第1凸部31(第2凸部32)とを固定的に係合させることによって、カバー部20とガスケット30とが相対的に移動可能な場合と異なり、第1凹部22(第2凹部23)と第1凸部31(第2凸部32)との係合が外れにくいので、カバー部20とガスケット30との間からの音響リークが発生するのをより確実に抑制することができる。また、カバー部20の第1凹部22(第2凹部23)の内側面22b(内側面23b)と、ガスケット30の第1凸部31(第2凸部32)の外側面31c(外側面32c)とを密着させることによって、たとえば、カバー部20がガスケット30に対してZ方向にずれた場合でも、ずれの大きさが第1凹部22(第2凹部23)の深さD1(第1凸部31(第2凸部32)の高さh1)の範囲内では、第1凹部22(第2凹部23)の内側面22b(内側面23b)と、第1凸部31(第2凸部32)の外側面31c(外側面32c)とを密着させた状態を維持することができるので、これによっても、カバー部20とガスケット30との間からの音響リークの発生をより確実に抑制することができる。また、たとえば、カバー部に凸部を形成するとともにガスケットに凹部を形成する場合と異なり、ガスケットの厚みを小さくすることができるので、差動マイクロホンユニット100の厚みを小さく(薄型化)することができる。
【0041】
また、第1実施形態では、上記のように、カバー部20の第1凹部22(第2凹部23)の内側面22b(内側面23b)とガスケット30の第1凸部31(第2凸部32)の外側面31c(外側面32c)とを密着させるとともに、カバー部20の第1凹部22(第2凹部23)の内底面22c(内底面23c)とガスケット30の第1凸部31(第2凸部32)の表面31b(表面32b)とを密着させた状態で、カバー部20の第1凹部22(第2凹部23)とガスケット30の第1凸部31(第2凸部32)とを固定的に係合させる。これにより、カバー部20の第1凹部22(第2凹部23)の内側面22b(内側面23b)とガスケット30の第1凸部31(第2凸部32)の外側面31c(外側面32c)との間、および、カバー部20の第1凹部22(第2凹部23)の内底面22c(内底面23c)とガスケット30の第1凸部31(第2凸部32)の表面31b(表面32b)との間の両方を密着させるとともに、固定的に係合した状態に保つことができるので、音響リークの発生をさらに確実に抑制することができる。
【0042】
また、第1実施形態では、上記のように、ガスケット30の第1凸部31(第2凸部32)をカバー部20の第1凹部22(第2凹部23)に圧入することにより、カバー部20の第1凹部22(第2凹部23)の内側面22b(内側面23b)とガスケット30の第1凸部31(第2凸部32)の外側面31c(外側面32c)とを密着させるとともに、カバー部20の第1凹部22(第2凹部23)とガスケット30の第1凸部31(第2凸部32)とを固定的に係合させる。これにより、ガスケット30の第1凸部31(第2凸部32)と、カバー部20の第1凹部22(第2凹部23)とが軽く接触している場合と異なり、ガスケット30の第1凸部31(第2凸部32)と、カバー部20の第1凹部22(第2凹部23)とを強固に固定させることができるので、第1凸部31(第2凸部32)と第1凹部22(第2凹部23)との間の密着性(気密性)をより向上させることができるとともに、第1凸部31(第2凸部32)と第1凹部22(第2凹部23)との係合が外れるのをより有効に防止することができる。
【0043】
また、第1実施形態では、上記のように、第1ガスケット側音孔31aおよび第1カバー部側音孔22aを介して振動部11のZ1方向側に音が到達するとともに、第2ガスケット側音孔32aおよび第2カバー部側音孔23aを介して振動部11のZ2方向側に音が到達することにより、振動部11のZ1方向側に到達した音の音圧と、振動部11のZ2方向側に到達した音の音圧との差圧を検知するように構成する。これにより、カバー部20の第1凹部22とガスケット30の第1凸部31との間、および、カバー部20の第2凹部23とガスケット30の第2凸部32との間の両方において音響リークが発生するのをより確実に抑制することができる。これにより、第1カバー部側音孔22aから入力される音圧と、第2カバー部側音孔23aから入力される音圧とをそれぞれ振動部11の表面と裏面とに伝達して、差圧を正確に検出することができる。その結果として、遠方雑音を抑圧する性能を最大限に発揮することができる。
【0044】
また、第1実施形態では、上記のように、カバー部20の第1凹部22(第2凹部23)の深さD1を、ガスケット30の第1凸部31(第2凸部32)の高さh1と略等しくする。これにより、カバー部20の第1凹部22(第2凹部23)の内側面22b(内側面23b)と、ガスケット30の第1凸部31(第2凸部32)の外側面31c(外側面32c)とを第1凸部31(第2凸部32)の突出方向(Z1方向)の全域にわたって接触させることができるとともに、カバー部20の第1凹部22(第2凹部23)の内底面22c(内底面23c)とガスケット30の第1凸部31(第2凸部32)の表面31b(表面32b)とを接触(密着)させることができる。その結果、カバー部20の第1凹部22(第2凹部23)の内側面22b(内側面23b)と、ガスケット30の第1凸部31(第2凸部32)の外側面31c(外側面32c)との密着性をより向上させることができる。
【0045】
また、第1実施形態では、上記のように、ガスケット30を、差動マイクロホンユニット100が収納される携帯電話筐体部1の裏面側と、カバー部20との間を封止するように配置することによって、ガスケット30により、差動マイクロホンユニット100が収納される携帯電話筐体部1の裏面側と、カバー部20との間からの音響リークの発生を抑制することができる。
【0046】
(第1実施形態の第1変形例)
次に、図9および図10を参照して、本発明の第1実施形態の第1変形例について説明する。この第1実施形態の第1変形例による差動マイクロホンユニット101では、断面が矩形形状の凸部が形成されたガスケットを備える上記第1実施形態とは異なり、断面が先細りするテーパ状の凸部が形成されたガスケットを備える。なお、差動マイクロホンユニット101は、本発明の「マイクロホンユニット」の一例である。
【0047】
この第1実施形態の第1変形例による差動マイクロホンユニット101は、図10に示すように、カバー部20のZ2方向側の表面には、断面が矩形形状の第1凹部22(第2凹部23)が形成されている。また、ガスケット301のZ1方向側の表面には、Z1方向に突出するとともに、断面が先細りするテーパ状の第1凸部302(第2凸部303)が形成されている。また、カバー部20の第1凹部22(第2凹部23)に、ガスケット301の第1凸部302(第2凸部303)が圧入される前の状態では、カバー部20の第1凹部22(第2凹部23)の開口端の幅W12は、ガスケット301の第1凸部302(第2凸部303)の根元部の幅W13よりも小さい。
【0048】
そして、カバー部20の第1凹部22(第2凹部23)にガスケット301の第1凸部302(第2凸部303)が圧入される際に、ガスケット301の第1凸部302(第2凸部303)のテーパ部302a(テーパ部303a)が、カバー部20の第1凹部22(第2凹部23)の開口端に接触することにより、押し込まれる方向に弾性変形するように構成されている。
【0049】
そして、図9に示すように、カバー部20の第1凹部22(第2凹部23)が圧入されることにより、カバー部20の第1凹部22(第2凹部23)の内側面22b(内側面23b)と、ガスケット301の第1凸部302(第2凸部303)のテーパ部302a(テーパ部303a)とが密着する。また、カバー部20の第1凹部22(第2凹部23)の内底面22c(内底面23c)と、ガスケット301の第1凸部302(第2凸部303)の表面302b(表面303b)とが密着する。これにより、カバー部20の第1凹部22(第2凹部23)と、ガスケット301の第1凸部302(第2凸部303)とが固定的に係合するように構成されている。
【0050】
なお、第1実施形態の第1変形例のその他の構成は、上記した第1実施形態と同様である。
【0051】
第1実施形態の第1変形例では、上記のように、カバー部20の第1凹部22(第2凹部23)の開口端の幅W12を、ガスケット301の第1凸部302(第2凸部303)の根元部の幅W13よりも小さくすることによって、カバー部20の略矩形形状の第1凹部22(第2凹部23)と、ガスケット301のテーパ形状の第1凸部302(第2凸部303)とを嵌め合わせた際に、ガスケット301の第1凸部302(第2凸部303)のテーパ部302a(テーパ部303a)が内側に弾性変形して押し込まれた状態になる。これにより、カバー部20の第1凹部22(第2凹部23)には、第1凹部22(第2凹部23)の内側面22b(内側面23b)に付勢力が働くので、ガスケット301の第1凸部302(第2凸部303)のテーパ部302a(テーパ部303a)と、カバー部20の第1凹部22(第2凹部23)の内側面22b(内側面23b)との間の密着性(気密性)をより向上させることができる。
【0052】
なお、第1実施形態の第1変形例のその他の効果は、上記した第1実施形態と同様である。
【0053】
(第1実施形態の第2変形例)
次に、図11および図12を参照して、本発明の第1実施形態の第2変形例について説明する。この第1実施形態の第2変形例による差動マイクロホンユニット102では、断面が矩形形状の凸部が形成されたガスケットを備える上記第1実施形態とは異なり、凸部の外側面に凹凸形状の段差部が形成されたガスケットを備える。なお、差動マイクロホンユニット102は、本発明の「マイクロホンユニット」の一例である。
【0054】
この第1実施形態の第2変形例による差動マイクロホンユニット102は、図12に示すように、カバー部20のZ2方向側の表面には、W14の幅(開口端)を有する第1凹部22(第2凹部23)が形成されている。また、ガスケット130には、Z1方向に突出するとともに、W15の幅を有する第1凸部131(第2凸部132)が形成されている。また、第1凸部131(第2凸部132)の外側面131a(外側面132a)のZ2方向側の端部には、凹凸形状の段差部131b(段差部132b)が形成されている。この段差部131b(段差部132b)は、X方向にくぼむように切り込み状に形成されている。なお、第1凹部22(第2凹部23)の幅W14は、第1凸部131(第2凸部132)の幅W15よりも小さい。
【0055】
そして、図11に示すように、ガスケット130の第1凸部131(第2凸部132)は、カバー部20の第1凹部22(第2凹部23)に圧入されている。これにより、カバー部20の第1凹部22(第2凹部23)の内側面22b(内側面23b)と、ガスケット130の第1凸部131(第2凸部132)の外側面131a(外側面132a)とが密着する。このとき、第1凸部131(第2凸部132)の外側面131a(外側面132a)は、第1凹部22(第2凹部23)の内側面22b(内側面23b)によって、X方向に押し込まれるように係合される。また、カバー部20の第1凹部22(第2凹部23)の内底面22c(内底面23c)と、ガスケット130の第1凸部131(第2凸部132)の表面131c(表面132c)とが密着する。その結果、カバー部20の第1凹部22(第2凹部23)と、ガスケット130の第1凸部131(第2凸部132)とが固定的に係合するように構成されている。
【0056】
なお、第1実施形態の第2変形例のその他の構成は、上記した第1実施形態と同様である。
【0057】
第1実施形態の第2変形例では、上記のように、ガスケット130に形成された第1凸部131(第2凸部132)の外側面131a(外側面132a)を、凹凸形状に形成することによって、ガスケット130の第1凸部131(第2凸部132)の外側面131a(外側面132a)に形成された凹凸形状により、カバー部20の内側面22b(内側面23b)を密着させることができるので、カバー部20の第1凹部22(第2凹部23)とガスケット130の第1凸部131(第2凸部132)との係合状態をより外れにくくすることができる。
【0058】
なお、第1実施形態の第2変形例のその他の効果は、上記した第1実施形態と同様である。
【0059】
(第1実施形態の第3変形例)
次に、図13および図14を参照して、本発明の第1実施形態の第3変形例について説明する。この第1実施形態の第3変形例による差動マイクロホンユニット103では、断面が矩形形状の凹部が形成されたカバー部を備える上記第1実施形態とは異なり、凹部の内側面に凹凸形状の段差部が形成されたカバー部を備える。なお、差動マイクロホンユニット103は、本発明の「マイクロホンユニット」の一例である。
【0060】
この第1実施形態の第3変形例による差動マイクロホンユニット103では、図14に示すように、カバー部220のZ2方向側の表面には、W16の幅(開口端)を有する第1凹部221(第2凹部222)が形成されている。この第1凹部221(第2凹部222)の内側面221a(内側面222a)には、段差部221b(段差部222b)が形成されている。また、ガスケット30には、Z1方向に突出するとともに、W17の幅を有する第1凸部31(第2凸部32)が形成されている。また、ガスケット30の外側面31c(外側面32c)は、矩形形状に形成されている。なお、第1凹部221(第2凹部222)の幅W16は、第1凸部31(第2凸部32)の幅W17よりも小さい。
【0061】
そして、図13に示すように、ガスケット30の第1凸部31(第2凸部32)は、カバー部220の第1凹部221(第2凹部222)に圧入されている。これにより、カバー部220の第1凹部221(第2凹部222)の内側面221a(内側面222a)と、ガスケット30の第1凸部31(第2凸部32)の外側面31c(外側面32c)とが密着する。また、カバー部220の第1凹部221(第2凹部222)の内底面221c(内底面222c)と、ガスケット30の第1凸部31(第2凸部32)の表面31b(表面32b)とが密着する。このとき、第1凸部31(第2凸部32)のZ1方向の端部は、第1凹部221(第2凹部222)の段差部221b(段差部222b)に食い込むように係合される。その結果、カバー部220の第1凹部221(第2凹部222)と、ガスケット30の第1凸部31(第2凸部32)とが固定的に係合するように構成されている。
【0062】
なお、第1実施形態の第3変形例のその他の構成は、上記した第1実施形態と同様である。
【0063】
第1実施形態の第3変形例では、上記のように、カバー部220に形成された第1凹部221(第2凹部222)の内側面221a(内側面222a)を凹凸形状に形成する。これにより、カバー部220の第1凹部221(第2凹部222)の内側面221a(内側面222a)に形成された凹凸形状により、ガスケット30の外側面31c(外側面32c)を密着させるとともに、第1凸部31(第2凸部32)のZ1方向の端部を、第1凹部221(第2凹部222)の段差部221b(段差部222b)に食い込ませることができるので、カバー部220の第1凹部221(第2凹部222)とガスケット30の第1凸部31(第2凸部32)との係合状態をより外れにくくすることができる。また、カバー部220の第1凹部221(第2凹部222)に、X方向にくぼむように切り込み状の段差部221b(段差部222b)を形成することによって、カバー部220とガスケット30とを係合させる際に、カバー部220の第1凹部221(第2凹部222)の開口端をX方向に広がりやすくすることができるので、カバー部220とガスケット30とを嵌め合わせやすく(係合させやすく)することができる。
【0064】
なお、第1実施形態の第3変形例のその他の効果は、上記した第1実施形態と同様である。
【0065】
(第1実施形態の第4変形例)
次に、図15および図16を参照して、本発明の第1実施形態の第4変形例について説明する。この第1実施形態の第4変形例による差動マイクロホンユニット104では、断面が矩形形状の凸部が形成されたガスケットを備える上記第1実施形態とは異なり、断面が凹凸形状(波形状)の凸部が形成されたガスケットを備える。なお、差動マイクロホンユニット104は、本発明の「マイクロホンユニット」の一例である。
【0066】
この第1実施形態の第4変形例による差動マイクロホンユニット104では、図16に示すように、カバー部20のZ2方向側の表面には、W18の幅(開口端)を有する矩形形状の第1凹部22(第2凹部23)が形成されている。また、ガスケット230のZ1方向側の表面には、Z1方向に突出するように第1凸部231(第2凸部232)が形成されている。また、第1凸部231(第2凸部232)の外側面231a(外側面232a)は、先端部231c(232c)および根元部231d(232d)を含む凹凸形状(波形状)に形成されている。この第1凸部231(第2凸部232)の一方の先端部231c(232c)から、他方の先端部231c(232c)までのX方向の幅(間隔)は、W19である。また、第1凸部231(第2凸部232)の一方の根元部231d(232d)から、他方の根元部231d(232d)までのX方向の幅(間隔)は、W20である。そして、第1凹部22(第2凹部23)の幅W18は、第1凸部231(第2凸部232)の先端部231c(232c)の幅W19よりも小さく、かつ、第1凸部231(第2凸部232)の根元部231d(232d)の幅W20よりも大きい。
【0067】
そして、図15に示すように、ガスケット230の第1凸部231(第2凸部232)は、カバー部20の第1凹部22(第2凹部23)に圧入されている。これにより、カバー部20の第1凹部22(第2凹部23)の内側面22b(内側面23b)と、ガスケット230の第1凸部231(第2凸部232)の外側面231a(外側面232a)とが密着する。具体的には、第1凸部231(第2凸部232)の先端部231c(232c)が、第1凹部22(第2凹部23)の内側面22b(内側面23b)を押圧しており、先端部231c(232c)は、第1凹部22(第2凹部23)の内側面22b(内側面23b)の形状に沿うように弾性変形して押しつぶされた状態で、第1凹部22(第2凹部23)の内側面22b(内側面23b)に密着する。また、第1凹部22(第2凹部23)の内側面22b(内側面23b)と、第1凸部231(第2凸部232)の根元部231d(232d)との間には、隙間ができる。また、カバー部20の第1凹部22(第2凹部23)の内底面22c(内底面23c)と、ガスケット230の第1凸部231(第2凸部232)の表面231b(表面232b)とが密着している。このように、カバー部20の第1凹部22(第2凹部23)と、ガスケット230の第1凸部231(第2凸部232)とが固定的に係合するように構成されている。
【0068】
なお、第1実施形態の第4変形例のその他の構成は、上記した第1実施形態と同様である。
【0069】
第1実施形態の第4変形例では、上記のように、ガスケット230の第1凸部231(第2凸部232)の外側面231a(外側面232a)の先端部231c(232c)を、カバー部20の第1凹部22(第2凹部23)の内側面22b(内側面23b)の形状に沿うように弾性変形された状態でカバー部20の第1凹部22(第2凹部23)の内側面22b(内側面23b)と係合させる。これにより、カバー部20の第1凹部22(第2凹部23)には、第1凸部231(第2凸部232)の外側面231a(外側面232a)から第1凹部22(第2凹部23)に向かって付勢力(押圧力)が働くので、ガスケット230の第1凸部231(第2凸部232)の外側面231a(外側面232a)と、カバー部20の第1凹部22(第2凹部23)の内側面22b(内側面23b)との間の密着性(気密性)をより有効に向上させることができるとともに、第1凸部231(第2凸部232)の凹凸形状により、第1凹部22(第2凹部23)と第1凸部231(第2凸部232)との係合状態をより外れにくくすることができる。
【0070】
なお、第1実施形態の第4変形例のその他の効果は、上記した第1実施形態と同様である。
【0071】
(第1実施形態の第5変形例)
次に、図17および図18を参照して、本発明の第1実施形態の第5変形例について説明する。この第1実施形態の第5変形例による差動マイクロホンユニット105では、断面が矩形形状の凹部が形成されたカバー部を備える上記第1実施形態とは異なり、断面が凹凸形状(波形状)の凹部が形成されたカバー部を備える。なお、差動マイクロホンユニット105は、本発明の「マイクロホンユニット」の一例である。
【0072】
この第1実施形態の第5変形例による差動マイクロホンユニット105では、図18に示すように、カバー部320のZ2方向側の表面には、第1凹部321(第2凹部322)が形成されている。この第1凹部321(第2凹部322)の内側面321a(内側面322a)は、先端部321c(322c)および根元部321d(322d)を含む凹凸形状(波形状)に形成されている。互いに対向する第1凹部321(第2凹部322)の先端部321c(322c)のX方向の幅(間隔)は、W21である。また、互いに対向する第1凹部321(第2凹部322)の根元部321d(322d)のX方向の幅(間隔)は、W22である。また、ガスケット30には、Z1方向に突出するとともに、W23の幅を有する第1凸部31(第2凸部32)が形成されている。なお、第1凸部31(第2凸部32)の幅W23は、第1凹部321(第2凹部322)の先端部321c(322c)の幅W21よりも大きく、かつ、第1凹部321(第2凹部322)の根元部321d(322d)の幅W22よりも小さい。
【0073】
そして、図17に示すように、ガスケット30の第1凸部31(第2凸部32)は、カバー部320の第1凹部321(第2凹部322)に圧入されている。これにより、カバー部320の第1凹部321(第2凹部322)の内側面321a(内側面322a)と、ガスケット30の第1凸部31(第2凸部32)の外側面31c(外側面32c)とが密着している。具体的には、第1凸部31(第2凸部32)の外側面31c(外側面32c)が、第1凹部321(第2凹部322)の先端部321c(322c)を押し込んだ状態となる。すなわち、第1凸部31(第2凸部32)の外側面31c(外側面32c)は、第1凹部321(第2凹部322)の先端部321c(322c)の形状に沿うように弾性変形して押しつぶされた状態で、第1凹部321(第2凹部322)の内側面321a(内側面322a)に密着する。このとき、第1凹部321(第2凹部322)の根元部321d(根元部322d)と、第1凸部31(第2凸部32)の外側面31c(外側面32c)との間には、隙間ができる。また、カバー部320の第1凹部321(第2凹部322)の内底面321b(内底面322b)と、ガスケット30の第1凸部31(第2凸部32)の表面31b(表面32b)とが密着している。これにより、カバー部320の第1凹部321(第2凹部322)と、ガスケット30の第1凸部31(第2凸部32)とが固定的に係合するように構成されている。
【0074】
なお、第1実施形態の第5変形例のその他の構成は、上記した第1実施形態と同様である。
【0075】
第1実施形態の第5変形例では、上記のように、ガスケット30の第1凸部31(第2凸部32)の外側面31c(外側面32c)を、カバー部320の第1凹部321(第2凹部322)の内側面321a(内側面322a)の先端部321c(322c)の形状に沿うように弾性変形された状態でカバー部320の第1凹部321(第2凹部322)の内側面321a(内側面322a)と係合させる。これにより、カバー部320の第1凹部321(第2凹部322)には、第1凸部31(第2凸部32)の外側面31c(外側面32c)から第1凹部321(第2凹部322)に向かって付勢力(押圧力)が働くので、ガスケット30の第1凸部31(第2凸部32)の外側面31c(外側面32c)と、カバー部320の第1凹部321(第2凹部322)の内側面321a(内側面322a)との間の密着性(気密性)をより有効に向上させることができるとともに、第1凹部321(第2凹部322)の凹凸形状により、第1凹部321(第2凹部322)と第1凸部31(第2凸部32)との係合状態をより外れにくくすることができる。
【0076】
また、第1実施形態の第5変形例の効果は、上記した第1実施形態と同様である。
【0077】
(第2実施形態)
次に、図19を参照して、本発明の第2実施形態について説明する。この第2実施形態による差動マイクロホンユニット106では、カバー部20のZ2方向側の表面上にガスケット30を配置する例を示した上記第1実施形態とは異なり、カバー部20のZ2方向側の表面上に、導電性のシールド部材40を介して、ガスケット30を配置する。なお、差動マイクロホンユニット106は、本発明の「マイクロホンユニット」の一例である。
【0078】
本発明の第2実施形態による差動マイクロホンユニット106では、図19に示すように、カバー部20のZ2方向側の表面上に、導電性のシールド部材40を介して、ガスケット30が配置されている。このシールド部材40には、ガスケット30の第1凸部31(第2凸部32)を逃がすための第1開口部40a(第2開口部40b)が形成されている。
【0079】
また、シールド部材40の厚みt4は、約0.1mm以下である。すなわち、ガスケット30の第1凸部31(第2凸部32)の突出高さh1(約0.2mm以上約2.8mm以下)は、シールド部材40の厚みt4よりも大きく形成されている。
【0080】
なお、第2実施形態のその他の構成は、上記した第1実施形態と同様である。
【0081】
第2実施形態では、上記のように、ガスケット30の第1凸部31(第2凸部32)の突出高さh1を、シールド部材40の厚みt4よりも大きくすることによって、シールド部材40により、電磁波などのノイズを除去しながら、ガスケット30の第1凸部31(第2凸部32)のうちのシールド部材40から突出した部分の外側面31c(外側面32c)と、第1凹部22(第2凹部23)の内側面22b(内側面23b)との係合(密着)により、容易に、音響リークの発生を抑制することができる。
【0082】
なお、第2実施形態のその他の効果は、上記した第1実施形態と同様である。
【0083】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0084】
たとえば、上記第1および第2実施形態では、携帯機器の一例として、携帯電話機を示したが、本発明はこれに限らない。たとえば、本発明を差動マイクロホンユニットを有するPDA、携帯型のゲーム機などの携帯機器にも適用可能である。
【0085】
また、上記第1および第2実施形態では、カバー部に2つの凹部を形成するとともに、ガスケットに2つの凸部を形成する例を示したが、本発明はこれに限らない。たとえば、カバー部に1つの凹部を形成するとともに、ガスケットに1つの凸部を形成してもよいし、カバー部に3つ以上の凹部を形成するとともに、ガスケットに3つ以上の凸部を形成してもよい。
【0086】
また、上記第1および第2実施形態では、カバー部の凹部(ガスケットの凸部)を、平面的に見て、矩形形状に形成する例を示したが、本発明はこれに限らない。たとえば、図20に示す第1変形例の差動マイクロホンユニット107のように、カバー部の凹部107a(ガスケットの凸部107b)を、平面的に見て、長孔形状(長丸形状)に形成してもよい。なお、差動マイクロホンユニット107は、本発明の「マイクロホンユニット」の一例である。
【0087】
また、上記第1および第2実施形態では、カバー部の凹部(ガスケットの凸部)を、平面的に見て、矩形形状に形成するとともに、カバー部側音孔(ガスケット側音孔)を長孔形状(長丸形状)に形成する例を示したが、本発明はこれに限らない。たとえば、図21に示す第2変形例の差動マイクロホンユニット108のように、カバー部の凹部108a(ガスケットの凸部108b)を、平面的に見て、正方形形状に形成するとともに、カバー部側音孔108c(ガスケット側音孔108d)を真円形状に形成してもよい。なお、カバー部側音孔108c(ガスケット側音孔108d)の幅W24を約0.5mm以上約1.0mm以下に形成するとよい。また、差動マイクロホンユニット108は、本発明の「マイクロホンユニット」の一例である。
【0088】
また、上記第1および第2実施形態では、カバー部の凹部(ガスケットの凸部)を、平面的に見て、矩形形状に形成するとともに、カバー部側音孔(ガスケット側音孔)を長孔形状(長丸形状)に形成する例を示したが、本発明はこれに限らない。たとえば、図22に示す第3変形例の差動マイクロホンユニット109のように、カバー部の凹部109a(ガスケットの凸部109b)を、平面的に見て、真円形状に形成するとともに、カバー部側音孔109c(ガスケット側音孔109d)を真円形状に形成してもよい。なお、カバー部側音孔109c(ガスケット側音孔109d)の幅W25は、約0.5mm以上約1.0mm以下に形成するとよい。また、カバー部の凹部(ガスケットの凸部)およびカバー部側音孔(ガスケット側音孔)を真円形状以外の形状(たとえば、楕円形状)にしてもよい。なお、差動マイクロホンユニット109は、本発明の「マイクロホンユニット」の一例である。
【0089】
また、上記第1および第2実施形態では、MEMSチップ12と電気信号出力IC14とを配線により電気的に接続する例を示したが、本発明はこれに限らない。たとえば、図23および図24に示す第4変形例の差動マイクロホンユニット110のように、フリップチップにより電気的に接続してもよい。具体的には、MEMSチップ12と電気信号出力IC14とは、基板10の表面上に形成された配線110aおよび110bにより電気的に接続される。また、電気信号出力IC14は、基板10の表面上に設けられた配線110c、110dおよび110eと電気的に接続される。なお、差動マイクロホンユニット110は、本発明の「マイクロホンユニット」の一例である。
【0090】
また、上記第1および第2実施形態では、1枚の基板10を用いて差動マイクロホンユニットを構成する例を示したが、本発明はこれに限らない。たとえば、図25に示す第5変形例の差動マイクロホンユニット111のように、2枚の基板10aおよび基板10bを用いて差動マイクロホンユニット111を構成してもよい。なお、差動マイクロホンユニット111は、本発明の「マイクロホンユニット」の一例である。
【符号の説明】
【0091】
1 携帯電話筐体部(製品筐体)(携帯機器筐体)
10、10a、10b 基板
11 振動部
20、120、220、320 カバー部
22、121、221、321 第1凹部(凹部)
22a 第1カバー部側音孔(カバー部側音孔)
22b、23b、221a、222a、321a、322a 内側面
22c、23c、121b、122b、221c、222c、321b、322b 内底面
23、122、222、322 第2凹部(凹部)
23a 第2カバー部側音孔(カバー部側音孔)
30、130、230 ガスケット(封止部材)
31、131、231 第1凸部(凸部)
31a 第1ガスケット側音孔(第1封止部材側音孔)(封止部材側音孔)
31b、32b、131c、132c、231b、232b 表面
31c、32c、131a、132a、231a、232a 外側面
32、132、232 第2凸部(凸部)
32a 第2ガスケット側音孔(第2封止部材側音孔)(封止部材側音孔)
40 シールド部材
100〜111 差動マイクロホンユニット(マイクロホンユニット)
200 携帯電話機(携帯機器)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
音圧により振動する振動部が設けられた基板と、
前記振動部を覆うように前記基板上に配置されたカバー部と、
前記カバー部の表面上に配置された封止部材とを備え、
前記封止部材は、封止部材側音孔と、前記封止部材側音孔の周囲を囲うとともに前記封止部材の表面から前記カバー部側に突出する凸部とを含み、
前記カバー部は、前記封止部材の前記封止部材側音孔と連結するように形成されたカバー部側音孔と、前記封止部材の凸部に対応する位置に配置される凹部とを含み、
少なくとも前記カバー部の凹部の内側面と、前記封止部材の凸部の外側面とが密着するとともに、前記カバー部の凹部と、前記封止部材の凸部とが固定的に係合している、マイクロホンユニット。
【請求項2】
前記カバー部の凹部の内側面と前記封止部材の凸部の外側面とが密着しているとともに、前記カバー部の凹部の前記封止部材側の内底面と前記封止部材の凸部の表面とが密着した状態で、前記カバー部の凹部と前記封止部材の凸部とが固定的に係合している、請求項1に記載のマイクロホンユニット。
【請求項3】
前記封止部材の凸部が前記カバー部の凹部に圧入されることにより、少なくとも前記カバー部の凹部の内側面と前記封止部材の凸部の外側面とが密着するとともに、前記カバー部の凹部と前記封止部材の凸部とが固定的に係合している、請求項1または2に記載のマイクロホンユニット。
【請求項4】
前記封止部材の封止部材側音孔は、第1封止部材側音孔と、第2封止部材側音孔とを含み、
前記封止部材の凸部は、前記第1封止部材側音孔の周囲を囲うとともに、前記封止部材の表面から前記カバー部側に突出する第1凸部と、前記第2封止部材側音孔の周囲を囲うとともに、前記封止部材の表面から前記カバー部側に突出する第2凸部とを含み、
前記カバー部のカバー部側音孔は、前記第1封止部材側音孔と連結するように形成された第1カバー部側音孔と、前記第2封止部材側音孔と連結するように形成された第2カバー部側音孔とを含み、
前記カバー部の凹部は、前記封止部材の第1凸部に対応する位置に配置される第1凹部と、前記封止部材の第2凸部に対応する位置に配置される第2凹部とを含み、
前記第1封止部材側音孔および前記第1カバー部側音孔を介して前記振動部の一方側に音が到達するとともに、前記第2封止部材側音孔および前記第2カバー部側音孔を介して前記振動部の他方側に音が到達することにより、前記振動部の一方側に到達した音の音圧と、前記振動部の他方側に到達した音の音圧との差圧を検知するように構成されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載のマイクロホンユニット。
【請求項5】
前記封止部材の前記凸部の突出高さは、前記カバー部の前記凹部の深さと略等しい、請求項1〜4のいずれか1項に記載のマイクロホンユニット。
【請求項6】
前記カバー部に形成された凹部の内側面または前記封止部材に形成された凸部の外側面のうちいずれか一方は、先細りするテーパ状に形成されている、請求項1〜5のいずれか1項に記載のマイクロホンユニット。
【請求項7】
前記封止部材は、弾性変形可能な材料からなり、
前記封止部材に形成された凸部の外側面は、先細りするテーパ形状に形成されており、
前記カバー部に形成された凹部の内表面は、略矩形形状に形成されており、
前記カバー部の凹部の開口端の幅は、前記封止部材の凸部の根元部の幅よりも小さい、請求項6に記載のマイクロホンユニット。
【請求項8】
前記カバー部に形成された凹部の内側面または前記封止部材に形成された凸部の外側面のうち少なくともいずれか一方は、凹凸形状に形成されている、請求項1〜7のいずれか1項に記載のマイクロホンユニット。
【請求項9】
前記封止部材は、弾性変形可能な材料からなるとともに、前記封止部材の凸部の外側面は、前記カバー部の凹部の内側面の形状に沿うように弾性変形された状態で前記カバー部の凹部の内側面と係合されている、請求項1〜8のいずれか1項に記載のマイクロホンユニット。
【請求項10】
前記封止部材は、マイクロホンが収納される製品筐体の裏面側と、前記カバー部との間を封止するように配置されている、請求項1〜9のいずれか1項に記載のマイクロホンユニット。
【請求項11】
前記カバー部と、前記封止部材との間に配置され、前記封止部材の凸部を逃がすための開口部を有する導電性のシールド部材をさらに備え、
前記封止部材の凸部の突出高さは、前記シールド部材の厚みよりも大きい、請求項1〜10のいずれか1項に記載のマイクロホンユニット。
【請求項12】
音圧により振動する振動部が設けられた基板と、前記振動部を覆うように前記基板上に配置されたカバー部と、前記カバー部の表面上に配置された封止部材とを備え、前記封止部材は封止部材側音孔と前記封止部材側音孔の周囲を囲うとともに前記封止部材の表面から前記カバー部側に突出する凸部とを含み、前記カバー部は前記封止部材の前記封止部材側音孔と連結するように形成されたカバー部側音孔と前記封止部材の凸部に対応する位置に配置される凹部とを含み、少なくとも前記カバー部の凹部の内側面と前記封止部材の凸部の外側面とが密着するとともに前記カバー部の凹部と前記封止部材の凸部とが固定的に係合しているマイクロホンユニットと、
前記マイクロホンユニットが収納される携帯機器筐体とを備え、
前記封止部材は、前記携帯機器筐体の裏面側と、前記カバー部との間を封止するように配置されている、携帯機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2011−120021(P2011−120021A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−275846(P2009−275846)
【出願日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】