説明

マイクロ波加熱式乾燥処理機及びこれを用いた廃液蒸発処理方法

【課題】 生ゴミ処理の他に、果糖やぶどう糖や液糖や砂糖などの糖類を含む廃液、乳酸や発酵乳などの乳類を含む廃液、その両方を含む廃液などの各種の廃液も、泡立ったり飴状になることなくマイクロ波加熱により乾燥処理(蒸発)できるようにする。
【解決手段】 駆動軸側のクラッチ34と接続するための容器側クラッチを容器本体の底部外側に有し、これらクラッチ同士を接続して回転受け台上に着脱自在に設置できる生ゴミ用処理容器と、カッタ及びクラッチがマイクロ波透過材質の容器本体に無く、回転受け台4上に着脱自在に設置できる廃液用処理容器1Bとを備え、これら生ゴミ用処理容器と廃液用処理容器とを交換して使用できるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生ゴミや廃液(果糖やぶどう糖や液糖や砂糖などの糖類を含む廃液、乳酸や発酵乳などの乳類を含む廃液、その両方を含む廃液などの各種の廃液)等をマイクロ波加熱により乾燥させるマイクロ波加熱式乾燥処理機、及びこれを用いて廃液を蒸発処理する廃液蒸発処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特に、糖類と乳類の両方を含む乳酸飲料の廃液は、直接加熱や蒸気加熱で蒸発処理しようとすると、熱制御が難しく、泡立ってしまったり、加熱を継続すると飴状となって容器に固く付着してしまい、残渣として取り出すことが困難になる。
【0003】
マイクロ波による間接加熱は、マイクロ波が水分に選択的に吸収されて水分蒸発効率が高いため、熱制御が容易であるが、それでも飴状となって容器に固く付着することは避けられない。
【0004】
特許文献1(特開昭64−7902号公報)には、主に放射性廃液をマイクロ波加熱により濃縮するためのマイクロ波濃縮装置であって、溶融物が析出して処理容器に付着することを抑制するため、処理容器のマイクロ波透過性周壁を取り囲むようにマイクロ波オーブンを設けることで、処理容器内の廃液を広い面積で加熱するとともに、処理容器の周壁内面に沿って廃液の上昇流が発生するようにしたものが開示されている。この装置では、送風ガイドが常時閉じており、この送風ガイドを貫通する供給管から廃液を投入し、また送風ガイドに開口する蒸気抜き管から蒸気を排出する。
【0005】
しかし、このような構造のものでは、吸排気がほとんど行われないため、糖類と乳類の両方を含む乳酸飲料の廃液の場合には、廃液が泡立ってしまうとともに、廃液が飴状となると処理容器の内面に固く付着して、次の処理ができなくなる問題がある。
【0006】
一方、特許文献2(特開2004−42019号公報)には、生ゴミを収容するマイクロ波透過材料の処理容器を、マグネトロンにてマイクロ波を照射されるマイクロ波遮蔽室内において、その底部に装着された回転受け台上に着脱自在に設置し、吸排気手段でマイクロ波遮蔽室内に吸気された空気を、送風案内手段で処理容器中に案内してからマイクロ波遮蔽室外へ排気しつつ、処理容器内の生ゴミをマイクロ波加熱して乾燥させる生ゴミ処理装置が開示されている。
【0007】
この生ゴミ処理装置は、生ゴミのみの処理を意図していることから、その処理容器は、容器本体内の底部上に回転カッタを回転自在に軸受けするとともに、そのカッタ軸を、マイクロ波遮蔽室の底部に軸受けされている駆動軸側のクラッチと接続するための容器側クラッチを容器本体の底部外側に設けたもので、処理容器自体を回転させながらその中で生ゴミを切断するため、このような処理容器を使用して上記のような廃液を処理しようとすると、回転カッタが廃液を泡立てる泡立て器のような役目をするばかりでなく、廃液が飴状になるのを促進して、回転カッタ自体の回転を不能にするようなもので、廃液処理には到底使用できない。
【0008】
また、この生ゴミ処理装置では、処理容器内での乾燥を促進するため、マイクロ波遮蔽室内に吸気された空気を処理容器中に案内する送風案内手段が、マイクロ波遮蔽室の上面開口を開閉する上蓋の下面に設けられているものの、この送風案内手段は次のような構造になっている。
【0009】
すなわち、この送風案内手段は、上蓋の下面に設けられたリング状の送風ガイドに、処理容器への吸気を行う風洞となる送風胴を突設するとともに、送風ガイドの周壁に網状の排気口を設け、また送風ガイドの内方に、これら送風胴と排気口との間を仕切る仕切り板を設けたものである。
【0010】
これによると、マイクロ波遮蔽室内に吸気された空気が、風洞となる送風胴を通って仕切り板に当たってから処理容器中へ送風されるものの、送風胴内で空気の逆流や乱流が生じるため、処理容器中での空気の流れも悪くなり、乾燥効率の低下を招く問題があった。
【特許文献1】特開昭64−7902号公報
【特許文献2】特開2004−42019号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の第1の課題は、生ゴミ処理の他に、果糖やぶどう糖や液糖や砂糖などの糖類を含む廃液、乳酸や発酵乳などの乳類を含む廃液、その両方を含む廃液などの各種の廃液も、泡立ったり飴状になることなくマイクロ波加熱により乾燥処理(蒸発)できるようにすることにある。
【0012】
本発明の第2の課題は、上記のような廃液が飴状の残渣物となっても、その残渣物を処理容器に付着することなく簡単に取り出すことができるようにすることにある。
【0013】
本発明の第3の課題は、処理容器内への送風に当たり、空気の逆流や乱流が生じることなく、処理容器内への送風を効率良く行って乾燥効率の向上が図れるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記第1の課題を達成するため、本発明による乾燥処理機は、処理物を収容するマイクロ波透過材質の処理容器を、マグネトロンにてマイクロ波を照射されるマイクロ波遮蔽室内において、その底部に装着された回転受け台上に着脱自在に設置し、吸排気手段でマイクロ波遮蔽室内に吸気された空気を、送風案内手段で処理容器中に案内してからマイクロ波遮蔽室外へ排気しつつ、処理容器内の処理物をマイクロ波加熱して乾燥させるマイクロ波加熱式乾燥処理機であって、マイクロ波透過材質の容器本体内の底部上に回転カッタを回転自在に軸受けするとともに、そのカッタ軸を、マイクロ波遮蔽室の底部に軸受けされている駆動軸側のクラッチと接続するための容器側クラッチを容器本体の底部外側に有し、これらクラッチ同士を接続して回転受け台上に着脱自在に設置できる生ゴミ用処理容器と、この生ゴミ用処理容器のようなカッタ及びクラッチがマイクロ波透過材質の容器本体に無く、回転受け台上に着脱自在に設置できる廃液用処理容器とを備え、これら生ゴミ用処理容器と廃液用処理容器とを交換して使用できるようにしたことを特徴とする。
【0015】
上記第2の課題も達成するため、廃液を入れるための防水袋を備え、この防水袋に廃液を入れてこれと共に処理容器に収容するようになっている。防水袋はマイクロ波透過材質とする。
【0016】
上記第3の課題を達成するため、マイクロ波遮蔽室内に吸気された空気を処理容器中に案内する送風案内手段は、マイクロ波遮蔽室の上面開口を開閉する上蓋の下面に設けられ、この上蓋を閉じたとき前記処理容器の上面開口を閉じる送風ガイドと、この送風ガイドの周壁に設けられ、処理容器への吸気を行う吸気口及び排気を行う排気口と、この周壁の内方でこれら吸気口と排気口との間を仕切る仕切り板と、吸気口から仕切り板まで斜めに延びる複数枚の整流板とで構成する。
【0017】
複数枚の整流板は、互いの間隔を徐々に狭くしながら仕切板に達する配置とする。送風ガイドの周壁に、生ゴミ用処理容器の上面開口及び廃液用処理容器の上面開口との間をシールする弾性シール材を付設する。
【0018】
一方、廃液蒸発処理方法は、上記第1及び第2の課題を達成するため、処理物を収容するマイクロ波透過材質の処理容器を、マグネトロンにてマイクロ波を照射されるマイクロ波遮蔽室内において、その底部に装着された回転受け台上に着脱自在に設置し、吸排気手段でマイクロ波遮蔽室内に吸気された空気を、送風案内手段で処理容器中に案内してからマイクロ波遮蔽室外へ排気しつつ、処理容器内の処理物をマイクロ波加熱して乾燥させるマイクロ波加熱式乾燥処理機を用い、廃液を防水袋に入れて該防水袋と共に処理容器に収容し、この処理容器を回転受け台上に着脱自在に設置して、マイクロ波を照射しながら、マイクロ波遮蔽室内の温度を吸排気手段による吸排気により制御するとともに、マイクロ波遮蔽室外へ排気される排気温度と排気湿度と廃液の表面温度の少なくとも一つを検出し、その検出温度又は検出湿度によりマイクロ波加熱式乾燥処理機の運転の停止又は中断の制御を行う。
【0019】
マイクロ波加熱式乾燥処理機の運転の停止又は中断の制御は、ファンにてマイクロ波遮蔽室内へ吸気しながら吸気温度を検出し、その検出吸気温度に従い検出排気温度の補正をして、補正した排気温度により制御、又は、マイクロ波遮蔽室の上面開口を開閉する上蓋に設けられた表面温度センサにより廃液の表面温度を検出し、その検出温度により制御する。
【発明の効果】
【0020】
本発明の乾燥処理機によれば、容器本体の底部上にカッタ及び底部外側にクラッチを備えた生ゴミ用処理容器と、このようなカッタ及びクラッチを備えていない廃液用処理容器とを交換して使用するので、生ゴミを従来と同様に生ゴミ用処理容器内でカッタで細かく切断しながらマイクロ波加熱により乾燥させることができるばかりでなく、廃液果糖やぶどう糖や液糖や砂糖などの糖類を含む廃液、乳酸や発酵乳などの乳類を含む廃液、その両方を含む廃液などの各種の廃液を、カッタ及びクラッチを備えていない廃液用処理容器に入れて、泡立てたり飴状にすることなく蒸発させて、その残渣物を処理容器と共に機外へ取り出すことができる。
【0021】
廃液を防水袋に入れてこれと共に処理容器に収容することにより、廃液が飴状に固まった残渣物となっても、処理容器に付着することなく、防水袋ごと処分できる。
【0022】
防水袋をマイクロ波透過材質とすることにより、マイクロ波透過材質である処理容器を透過してきたマイクロ波を防水袋にも透過させて、マイクロ波を全方向から廃液に照射して加熱効率を向上させることができる。
【0023】
マイクロ波遮蔽室内に吸気された空気を処理容器中に案内する送風案内手段において、送風ガイドの周壁に設けられた吸気口から、周壁内方の仕切り板まで斜めに延びる複数枚の整流板を設けると、処理容器内への送風に当たり、空気の逆流や乱流が生じることなく、処理容器内への送風を効率良く行って乾燥効率の向上が図れる。複数枚の整流板の互いの間隔を仕切り板に向かって徐々に狭くすると、その効果を一層良くなる。
【0024】
本発明の廃液蒸発処理方法は、廃液を防水袋に入れて該防水袋と共に処理容器に収容し、マイクロ波を照射しながら、マイクロ波遮蔽室内の温度を吸排気手段による吸排気により制御するとともに、マイクロ波遮蔽室外へ排気される排気温度と排気湿度と廃液の表面温度の少なくとも一つを検出し、その検出温度又は検出湿度によりマイクロ波加熱式乾燥処理機の運転の停止又は中断の制御を行うので、廃液を泡立てたり飴状にすることなく蒸発させて、その残渣物を処理容器と共に機外へ取り出すことができる。また、廃液が飴状に固まった残渣物となっても、処理容器に付着することなく、防水袋ごと処分できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
次に、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【実施例】
【0026】
このマイクロ波加熱式乾燥処理機は、図1に示すようにハウジング2内に設けられた箱形のマイクロ波遮蔽室3の上面開口を、ハウジング2に蝶着された電磁遮蔽上蓋6にて開閉できるようになっている。この乾燥処理機には、図3及び図8に示す生ゴミ用処理容器1Aと、図4〜図6及び図9に示す廃液用処理容器1Bとが用意されており、これらを交換して用いて、ハウジング2内に設けられた金属製の回転受け台4上に着脱自在に搭載し、回転受け台4と共に回転させるようになっている。図3は生ゴミ用処理容器1Aを回転受け台4上にセットした場合、図4〜図6は廃液用処理容器1Bをセットした場合である。
【0027】
これら処理容器1A・1Bは、その容器本体1がいずれもマイクロ波透過材質(プラスチック)で作られた有底円筒形で、着脱及び持ち運びを容易にする把手1d(図8及び図9では図示しないが、図10では図示)が本体胴部の外面に設けられている。
【0028】
マイクロ波遮蔽室3は、マイクロ波を反射するステンレス等の金属板5にて上面以外の面を囲繞され、電磁遮蔽上蓋6を開いてマイクロ波遮蔽室3の上面開口から処理容器1A・1Bを外部に取り出すことができるようになっている。電磁遮蔽上蓋6には把手6a(図1)が設けられている。
【0029】
マイクロ波遮蔽室3内には、ハウジング2内に設置されたマグネトロン7(図3及び図5)からのマイクロ波が、導波管8を通じてマイクロ波遮蔽室3の側壁下部から照射される。
【0030】
また、ハウジング2内に設置した吸気ファン9(図7)にて機外から吸気してマグネトロン7の冷却に供された風が、吸気ダクト10を通じてマイクロ波遮蔽室3の側壁上部から、電磁遮蔽上蓋6の内面(下面)に設けられた金属製の送風ガイド11にて処理容器1A内又は1B内へ送風できるようになっている。更に、マイクロ波遮蔽室3の側壁上部には、吸気ダクト10の出口と一致するメッシュ構造の吸気口12が設けられているとともに、これとほぼ同じ高さの反対側に、排気ダクト13の入口と一致するメッシュ構造の排気口14が設けられ、ハウジング2内の下部に設置され排気ファン15にて処理容器1A内又は1B内を吸気することにより、排気ダクト13を通じてハウジング2外へ強制排気できるようになっている。吸気口12及び排気口14のメッシュ構造とは、マイクロ波漏洩を防止するため多数の小孔をメッシュ状に設けて吸気口及び排気口としたものである。
【0031】
送風ガイド11は、電磁遮蔽上蓋6の内面(下面)に固定されたリング状の金属製周壁16に、上記と同様のメッシュ構造の排気口17を形成するとともに、周壁16の一部分を欠如してその欠如部の周縁から金属製吸気案内板18を突設することにより、排気口17とは向きが異なる吸気口19を形成し、周壁16のリングの内側(欠如部の内側)に金属製仕切板20を固定して、吸気口19と排気口17との間を仕切り、また吸気口19から仕切板20に至る複数枚(本例では2枚)の金属製整流板21を、電磁遮蔽上蓋6の内面に固定したものである。これら整流板21は、互いの間隔を徐々に狭くしながら、しかも排気口17から遠ざかるように傾斜して仕切板20に達している。周壁16の外周面には弾性シール材(パッキン)22が付設され、電磁遮蔽上蓋6を閉じると、送風ガイド11は、処理容器1A又は1Bの上面開口を吸排気可能に閉じる内蓋として機能するようになっている。
【0032】
すなわち、電磁遮蔽上蓋6を閉じると、リング状の周壁16が、処理容器1A又は1Bの上側でその本体胴部と僅かに嵌合して連続する状態となり、弾性シール材22により処理容器1Aの上面開口又は処理容器1Bの上面開口との間がシールされる。また、吸気案内板18による吸気口19がマイクロ波遮蔽室3の吸気口12と至近位置で対向するため、図7に空気の流れを矢印で示すように、吸気ファン9にて吸気されて吸気ダクト10を通ってきた空気は、吸気案内板18に案内されて吸気口19からリング状の周壁16の内側に入る。そして、整流板21にて向きを変えてやや絞られながら仕切板20に当たって、処理容器1A又は1B内の内周面に向かって下向きに流れることにより、処理容器1A又は1B内へ回転流となって送風される。一方、排気ファン15の吸引作用による排気は、処理容器1A又は1B内で上昇流となり、送風ガイド11の排気口17からマイクロ波遮蔽室3の排気口14を通って排気ダクト13に入り、機外へ排気される。なお、その排気経路に脱臭器を設置することができる。
【0033】
図7に示すように、吸気ダクト10には吸気温度センサ51が設置されていて、処理容器1A内又は1B内へ吸気される吸気温度が検出され、また、排気ダクト13には排気温度センサ52及び湿度センサ53が設置されていて、処理容器1A又は1Bから排気される排気温度及び湿度が検出される。また、電磁遮蔽上蓋6の内面(下面)には、処理容器1A内又は1B内の処理物の表面温度を赤外線等を利用して遠隔的に検出する表面温度センサ54(図3)が設置されている。
【0034】
図3に示すように、生ゴミ用処理容器1Aの容器本体1の底部の内面中央には、ドーム形の軸受台部23が一体に形成され、この軸受台部23上に回転カッタ24がカッタ軸25にて回転自在に軸受けされている。回転カッタ24は、上向きカッタ羽根26と下向きカッタ羽根27とを互いに交差させて組み合わせて構成されている。上向きカッタ羽根26は、その両翼が中央より水平に延びてから上向きに傾斜しているのに対し、下向きカッタ羽根27は、その両翼が中央より水平に延びてから下向きに傾斜している。
【0035】
一方、マイクロ波遮蔽室3の底部中央には、前出の回転受け台4が、マイクロ波遮蔽室3の底部外側の軸受28にて回転自在に支承されている。この回転受け台4は皿状で、その周壁は処理容器1A側との嵌合を行うリング状の雌継手部4aとなっている。回転受け台4は、ハウジング2内の下部に設置された容器回転モータ29(図3)の回転を回転伝達機構を介して伝達される。
【0036】
この回転受け台4上に着脱自在に載置するため、処理容器1Aの底部外面(下面)には、カッタ軸25の軸受を兼ねる金属製の継手部材30が固定されている。継手部材30はリング状の雄継手部30aを有し、この雄継手部30aと、回転受け台4の雌継手部4aとは、前者を内側にして後者に嵌合させてから、処理容器1Aを所定の方向に少し回して雄継手部30aと雌継手部4aの噛み合い部分を互いに噛み合わせることにより、嵌合状態をロックされるようになっている。
【0037】
処理容器1Aは、このようなロック状態にして回転受け台4上に載置するもので、回転受け台4と一体に回転する。
【0038】
カッタ軸25は、処理容器1Aの軸受台部23の中央を貫通しており、その下端には、処理容器1Aの底部外側において金属製のカッタ側クラッチ31(図8)が固定されている。このクラッチ31は、継手部材30の環状の雄継手部30aにて周囲を覆われている。
【0039】
一方、ハウジング2内の下部に設置されたカッタモータ32(図3)にて回転されるカッタ駆動軸33は、回転受け台4の軸受28の中心を上方へと貫通しており、このカッタ駆動軸33の上端には、モータ側クラッチ34が固定されている。このクラッチ34は、回転受け台4の雌継手部4aにて周囲を囲まれている。
【0040】
処理容器1Aを上記のように回転受け台4上に載置すると、カッタ側クラッチ31がモータ側クラッチ34と上下に向かい合って接離自在に噛み合い、カッタモータ32の回転が回転カッタ24に伝達される。噛み合った両クラッチ31・34は、図5に示すように、処理容器1A側の継手部材30と回転受け台4とで全周を覆われ、これら継手部材30と回転受け台4が金属製であることにより、マイクロ波漏洩を防止される。
【0041】
このような生ゴミ用処理容器1Aに対して、廃液用処理容器1Bは、図5、図6及び図9に示すように、容器本体1内に回転カッタ24が無いとともに、容器本体1の底部にカッタ軸25及びカッタ側クラッチ31も無く、容器本体1の底部外面に、リング状の雄継手部30aを有する継手部材30のみが備わった構造となっている。
【0042】
従って、廃液用処理容器1Bは、回転受け台4上に生ゴミ用処理容器1Aと同様に着脱自在に載置、すなわち、雄継手部30aと、回転受け台4の雌継手部4aとを嵌合させてから、処理容器1Bを所定の方向に少し回して雄継手部30aと雌継手部4aとの噛み合い部分を互いに噛み合わせることにより、嵌合状態をロックできるようになっているが、カッタモータ32が回転してもその回転は伝達されず、モータ側クラッチ34の空転を、嵌合しているリング状の雌雄の継手部4a・30a内で許容できるようになっている。
【0043】
この廃液用処理容器1Bを用いて廃液を処理する場合には、図10に示すように防水袋1Cを用い、これに廃液を入れて防水袋1Cごと廃液用処理容器1Bに収容する。防水袋1Cもマイクロ波透過材質で、廃液用処理容器1Bの容量に応じたサイズであるが、使い捨てとするため、経済性や取り扱い易さに鑑み紙製とするのが良い。
【0044】
処理容器1A又は1Bは、容器回転モータ29にて回転される回転受け台4上に上記のように載置されてこれと一体に回転するが、その際に処理容器1A・1Bが揺動しないように、マイクロ波遮蔽室3の内壁の四面に、処理容器1A・1Bの外周面が摺接する揺動防止突起35が付設されている。
【0045】
ハウジング2の上面にはタッチ操作パネル36(図1)が配設され、本乾燥処理機は、タッチ操作パネル36にて、生ゴミ用処理容器1Aを用いて行う生ゴミ処理モードと廃液用処理容器1Bを用いて行う廃液処理モードなどのモード選択や、各種の具体的な制御や、パラメータ等の設定などを電気的に行えるようになっている。
【0046】
図11にその電気的な構成のブロック図を示し、吸気温度センサ51、排気温度センサ52、湿度センサ53及び表面温度センサ54の出力、並びに電磁遮蔽上蓋6の開閉を検出する上蓋開閉検知センサ55の出力は、制御盤に設けられているCPUやROM等を含む制御回路56に入力される。
【0047】
制御回路46は、吸気温度センサ51、排気温度センサ52、表面温度センサ54のそれぞれの検出温度の推移並びに湿度センサ53の検出湿度の推移を監視する。そして、
(1)排気温度センサ52の検出温度が直線的な緩やかな上昇推移から急激な上昇になったとき(定率乾燥期間から減率乾燥期間に変わったとき)、
(2)表面温度センサ54の検出温度(処理容器1A内又は1B内の処理物の表面温度)が設定温度以上に上昇したとき、
(3)湿度センサ53の検出湿度が直線的な緩やかな下降推移から急激な下降になったとき、
の3つの条件のうちの、一つ又は2つ或いは3つを満足したときに、マグネトロン7を停止又は中断させて(容器回転モータ29及びカッタモータ32も停止又は中断)乾燥処理を自動終了又は自動中断する。その変化時点は、検出温度から捉える場合には、一定時間内での温度上昇率が閾値を越えたことをもって検出でき、また検出湿度から捉える場合には、一定時間内での湿度下降率が閾値を越えたことをもって検出できる。更に、検出温度と検出湿度の両方からでも検出できる。判断を行う閾値は、固定値としても構わないが、タッチ操作パネル36にて任意に設定できるようにしたり、タッチ操作パネル36により生ゴミや廃液の種類を選択できるようにした場合には、種類毎に設定できるようにすれば、乾燥終了をより適切に行える。
【0048】
上記(1)の条件の場合、吸気温度の変化も反映させて、より適切な温度制御を行うため、吸気温度センサ51が検出した検出吸気温度に従い、排気温度センサ52の検出排気温度の補正をして、補正した排気温度により上記のように運転の停止又は中断の制御を行うこともできる。
【0049】
このような乾燥処理の自動終了又は自動中断の他に、本実施例では、排気温度センサ52の検出温度が、タッチ操作パネル36にて設定した制限温度を越えたときに、マグネトロン7、容器回転モータ29及びカッタモータ32を停止させて乾燥処理を中断又は強制終了する。このとき警報器57を作動させる。電磁遮蔽上蓋6が開けられたことが上蓋開閉検知センサ55にて検知されたときも、乾燥処理を強制終了させる。
【0050】
処理容器1A又は1Bを回転させる容器回転モータ29は、制御回路46の制御により、本乾燥処理機の運転開始時(マイクロ波照射開始時)から、処理容器1A又は1Bを一定秒間に一定方向に1回転させる割合で連続作動、又は、処理容器1A又は1Bを一定秒t0おきに一定方向に所定回転数ずつ間欠回転させる割合で間欠作動される。その連続回転の割合、又は間欠回転の時間間隔t0及び回転数は、タッチ操作パネル36にて任意に設定できるようになっている。
【0051】
一方、カッタモータ32は、回転カッタ24を処理容器1A又は1Bの回転方向とは逆方向に回転させるもので、カッタモータ32の回転は、生ゴミ用処理容器1Aに生ゴミを入れて生ゴミ処理モードで運転する場合、本乾燥処理機の運転開始時(マイクロ波照射開始時)から、湿度センサ53の検出湿度が例えば50%になるまでは回転を保留され、検出湿度が50%になった後、タッチ操作パネル36にて任意に設定した条件で段階的に回転される。廃液用処理容器1Bに廃液を入れて廃液処理モードで運転する場合には、カッタモータ32は回転しない。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の実施例であるマイクロ波加熱式乾燥処理機の外観斜視図である。
【図2】その平面図である。
【図3】生ゴミ用処理容器をセットしたときの簡略縦断面図である。
【図4】廃液用処理容器をセットしたときの平面図である。
【図5】その簡略縦断面図である。
【図6】同上の一部拡大図である。
【図7】空気の流れを併せて示す簡略水平断面図である。
【図8】生ゴミ用処理容器の下から見た斜視図である。
【図9】廃液用処理容器の下から見た斜視図である。
【図10】廃液用処理容器と防水袋の斜視図である。
【図11】電気的構成のブロック図である。
【符号の説明】
【0053】
1A 生ゴミ用処理容器
1B 廃液用処理容器
1C 防水袋
1 容器本体
2 ハウジング
3 マイクロ波遮蔽室
4 回転受け台
4a 雌継手部
5 金属板
6 電磁遮蔽上蓋
6a 把手
7 マグネトロン
8 導波管
9 吸気ファン
10 吸気ダクト
11 送風ガイド
12 吸気口
13 排気ダクト
14 排気口
15 排気ファン
16 周壁
17 排気口
18 吸気案内板
19 吸気口
20 仕切板
21 整流板
22 弾性シール材
23 軸受台部
24 回転カッタ
25 カッタ軸
26 上向きカッタ羽根
27 下向きカッタ羽根
28 軸受
29 容器回転モータ
30 継手部材
30a 雄継手部
31 カッタ側クラッチ
32 カッタモータ
33 カッタ駆動軸
34 モータ側クラッチ
35 揺動防止突起
36 タッチ操作パネル
51 吸気温度センサ
52 排気温度センサ
53 湿度センサ
54 表面温度センサ
55 上蓋開閉検知センサ
56 制御回路
57 警報器


【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理物を収容する処理容器を、マグネトロンにてマイクロ波を照射されるマイクロ波遮蔽室内において、その底部に装着された回転受け台上に着脱自在に設置し、吸排気手段でマイクロ波遮蔽室内に吸気された空気を、送風案内手段で処理容器中に案内してからマイクロ波遮蔽室外へ排気しつつ、処理容器内の処理物をマイクロ波加熱して乾燥させるマイクロ波加熱式乾燥処理機であって、
マイクロ波透過材質の容器本体内の底部上に回転カッタを回転自在に軸受けするとともに、そのカッタ軸を、マイクロ波遮蔽室の底部に軸受けされている駆動軸側のクラッチと接続するための容器側クラッチを容器本体の底部外側に有し、これらクラッチ同士を接続して前記回転受け台上に着脱自在に設置できる生ゴミ用処理容器と、前記カッタ及びクラッチがマイクロ波透過材質の容器本体に無く、前記回転受け台上に着脱自在に設置できる廃液用処理容器とを備え、これら生ゴミ用処理容器と廃液用処理容器とを交換して使用できるようにしたことを特徴とするマイクロ波加熱式乾燥処理機。
【請求項2】
廃液を入れるための防水袋を備え、この防水袋に廃液を入れてこれと共に処理容器に収容するようになっていることを特徴とする請求項1に記載のマイクロ波加熱式乾燥処理機。
【請求項3】
防水袋がマイクロ波透過材質であることを特徴とする請求項2に記載のマイクロ波加熱式乾燥処理機。
【請求項4】
マイクロ波遮蔽室内に吸気された空気を処理容器中に案内する送風案内手段が、
マイクロ波遮蔽室の上面開口を開閉する上蓋の下面に設けられ、この上蓋を閉じたとき前記処理容器の上面開口を閉じる送風ガイドと、
この送風ガイドの周壁に設けられ、処理容器への吸気を行う吸気口及び排気を行う排気口と、
この周壁の内方でこれら吸気口と排気口との間を仕切る仕切り板と、
前記吸気口から前記仕切り板まで斜めに延びる複数枚の整流板と、
で構成されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のマイクロ波加熱式乾燥処理機。
【請求項5】
複数枚の整流板が、互いの間隔を徐々に狭くしながら仕切板に達していることを特徴とする請求項4に記載のマイクロ波加熱式乾燥処理機。
【請求項6】
送風ガイドの周壁に、生ゴミ用処理容器の上面開口及び廃液用処理容器の上面開口との間をシールする弾性シール材が付設されていることを特徴とする請求項4又は5に記載のマイクロ波加熱式乾燥処理機。
【請求項7】
処理物を収容するマイクロ波透過材質の処理容器を、マグネトロンにてマイクロ波を照射されるマイクロ波遮蔽室内において、その底部に装着された回転受け台上に着脱自在に設置し、吸排気手段でマイクロ波遮蔽室内に吸気された空気を、送風案内手段で処理容器中に案内してからマイクロ波遮蔽室外へ排気しつつ、処理容器内の処理物をマイクロ波加熱して乾燥させるマイクロ波加熱式乾燥処理機を用い、
廃液を防水袋に入れて該防水袋と共に前記処理容器に収容し、この処理容器を前記回転受け台上に着脱自在に設置して、マイクロ波を照射しながら、前記マイクロ波遮蔽室内の温度を前記吸排気手段による吸排気により制御するとともに、マイクロ波遮蔽室外へ排気される排気温度と排気湿度と廃液の表面温度の少なくとも一つを検出し、その検出温度又は検出湿度によりマイクロ波加熱式乾燥処理機の運転の停止又は中断の制御を行うことを特徴とする廃液蒸発処理方法。
【請求項8】
ファンにてマイクロ波遮蔽室内へ吸気しながら吸気温度を検出し、その検出吸気温度に従い検出排気温度の補正をして、補正した排気温度によりマイクロ波加熱式乾燥処理機の運転の停止又は中断の制御を行うことを特徴とする請求項7に記載の廃液蒸発処理方法。
【請求項9】
マイクロ波遮蔽室の上面開口を開閉する上蓋に設けられた表面温度センサにより廃液の表面温度を検出し、その検出温度によりマイクロ波加熱式乾燥処理機の運転の停止又は中断の制御を行うことを特徴とする請求項7に記載の廃液蒸発処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−14859(P2007−14859A)
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−197667(P2005−197667)
【出願日】平成17年7月6日(2005.7.6)
【出願人】(592014067)
【出願人】(301022493)株式会社ジャパン・エンジニアリング・サプライ (5)
【Fターム(参考)】