説明

マグネシウム基複合材料体の製造方法

【課題】本発明は、マグネシウム基複合材料体の製造方法に関する。
【解決手段】本発明のマグネシウム基複合材料体の製造方法は、半固体状のマグネシウム基材料を形成する第一ステップと、前記半固体状のマグネシウム基材料に強化ナノ粒子材料を加えて、半固体状の混合物を得る第二ステップと、前記半固体状の混合物を加熱させて、液体状態にさせる第三ステップと、前記液体状態の混合物を超音波処理する第四ステップと、前記液体状態の混合物を冷却させて、マグネシウム基複合材料体を得る第五ステップと、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マグネシウム基複合材料体の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
マグネシウム合金は、産業において一番軽い金属合金材料として用いられている。該マグネシウム合金は、高い比強度/比硬度、良好な電磁両立性、及び加工し易いなどの特性を有するので、広範な分野での応用が期待されている。しかし、従来のマグネシウム合金の強度/硬度はまだ低く、その強度は、同じ工程で製造されたアルミニウム合金の50%〜70%である。マグネシウム合金の靭性は、アルミニウム合金より更に低い。従って、マグネシウム合金の応用が制限されている。しかし、マグネシウム基複合材料は、マグネシウム合金の上述の足りない点を補うことができる。
【0003】
現在、マグネシウム合金に強化ナノ粒子を加入させて、マグネシウム基複合材料体の特性を高めている。強化ナノ粒子は、マグネシウム合金に均一的に分散される場合、マグネシウム基複合材料体の特性を高めることができる。従来の強化ナノ粒子は、主にカーボンナノチューブ(CNT)、炭化ケイ素(SiC)、酸化アルミニウム(Al)及び炭化ホウ素(BC)などである。
【0004】
非特許文献1を参照すると、前記非特許文献1に一種のマグネシウム基複合材料体の製造方法が掲示されている。該マグネシウム基複合材料体の製造方法は、700℃の液体Mg−(2,4)Al−Siのマグネシウム合金を800グラム提供する第一ステップと、超音波プローブを前記液体Mg−(2,4)Al−Siのマグネシウム合金の25mm〜31mmの深度の位置にさし込んで、700℃の温度で前記液体Mg−(2,4)Al−Siのマグネシウム合金を超音波処理する第二ステップと、重量パーセンテージが2wt%であるSiCナノ粒子を30分〜40分間で、前記液体Mg−(2,4)Al−Siマグネシウム合金に加入して混合物を形成する第三ステップと、前記混合物を超音波で15分間処理する第四ステップと、前記混合物を725℃まで加熱させて、金型に注入する第五ステップと、を含む。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Mechanical properties and microstruture of SiC−reinforced Mg−(2,4)Al−1Si nanocomposites fabricatied by ultrasonic cavitation based solidification processing, Gao G. et al., Materials Science and Engineering A, 486, 357−362(2008)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、高強度超音波処理方法では、ナノサイズな強化体と溶融マグネシウム基複合材料との間の密度差に起因して、ナノサイズな教化体が凝集する傾向があり、溶融マグネシウム基複合材料と混合しない。その結果、最初に溶融マグネシウム基複合材料に分散させたナノサイズな強化体が、凝固時に凝固金属内に均一に分散するように捕捉されることは極めて困難である。分散質の著しく不均一な分布では、最適な機械的性能は得られない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
従って、前記課題を解決するために、本発明はナノ粒子材料が均一的に分散されているマグネシウム基複合材料体の製造方法を提供する。
【0008】
本発明のマグネシウム基複合材料体の製造方法は、半固体状のマグネシウム基材料を形成する第一ステップと、前記半固体状のマグネシウム基材料に強化ナノ粒子材料を加えて、半固体状の混合物を得る第二ステップと、前記半固体状の混合物を加熱させて、液体状態にさせるにさせる第三ステップと、前記液体状態の混合物を超音波処理する第四ステップと、前記液体状態の混合物を冷却させて、マグネシウム基複合材料体を得る第五ステップと、を含む。
【0009】
前記第一ステップにおいて、前記半固体状のマグネシウム基材料を形成する方法は、固体マグネシウム基金属を提供する第一サブステップと、前記固体マグネシウム基金属を、その液相線温度より50℃高い温度まで加熱して、液体状のマグネシウム基材料を形成する第二サブステップと、前記液体状のマグネシウム基材料を、その液相線温度及び固相線温度の間の温度まで冷却することにより、半固体状のマグネシウム基金属を形成する第三サブステップと、を含むことを特徴とする請求項1に記載のマグネシウム基複合材料体の製造方法。
【発明の効果】
【0010】
従来の技術と比べて、本発明のマグネシウム基複合材料体の製造方法において、強化ナノ粒子を、半固体状のマグネシウム基材料に加え、前記半固体状のマグネシウム基材料の粘性抵抗が大きいので、前記半固体状のマグネシウム基材料に置く前記強化ナノ粒子が、前記半固体状のマグネシウム基材料で束縛されて、上昇又は落ちられない。従って、前記強化ナノ粒子が加えられた前記半固体状のマグネシウム基材料を撹拌する場合に生じる渦運動の遠心力によって、前記強化ナノ粒子は、全ての前記半固体状のマグネシウム基材料に均一的に分散されることができる。更に、半固体状のマグネシウム基材料は、液体状のマグネシウム基材料と比較して、酸化することが難しい。前記液体状態の混合物を超音波処理することにより、前記強化ナノ粒子を、前記液体状態の混合物の各々の領域に全て均一的に分散させることができる。その場合、微視的世界及び巨視で、前記強化ナノ粒子は、全部で前記液体状態の混合物に均一的に分散される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明のマグネシウム基複合材料体の製造方法のフローチャートである。
【図2】実施例8のCNTの重量パーセンテージが2.0wt%であるCNT/AZ91Dマグネシウム基複合材料体の透過型電子顕微鏡写真である。
【図3】図2に示すCNT/AZ91Dマグネシウム基複合材料体の割れ目の透過型電子顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
【0013】
図1を参照すると、本実施形態のマグネシウム基複合材料体の製造方法は、半固体状のマグネシウム基材料を形成するステップS10と、前記半固体状のマグネシウム基材料を攪拌すると同時に強化ナノ粒子材料を加えて、半固体状の混合物を得るステップS20と、前記半固体状の混合物を加熱させて、液体状態にさせるステップS30と、前記液体状態の混合物を超音波処理するステップS40と、前記液体状態の混合物を冷却させて、マグネシウム基複合材料体を得るステップS50と、を含む。
【0014】
前記ステップS10において、前記半固体状のマグネシウム基材料は、純なマグネシウム又はマグネシウム合金からなる。前記マグネシウム合金は、マグネシウム(Mg)と、亜鉛(Zn)、マンガン(Mn)、アルミニウム(Al)、トリウム(Th)、リチウム(Li)、銀(Ag)、カルシウム(Ca)、またはそれらの組み合わせのような他の金属とを含んでいる。
【0015】
一つの例として、前記ステップS10において、前記半固体状のマグネシウム基材料を形成する方法は、固体マグネシウム基金属を提供するステップS101と、前記固体マグネシウム基金属を、その液相線温度及び固相線温度の間の温度まで加熱して、半固体状のマグネシウム基金属を形成するステップS102と、前記半固体状のマグネシウム基金属を所定の時間に保持するステップS103と、を含む。
【0016】
前記ステップS101において、前記固体マグネシウム基金属は、純なマグネシウム粒子、マグネシウム合金粒子又はマグネシウム合金鋳物からなることができる。
【0017】
前記ステップS102において、前記固体マグネシウム基金属を、電気抵抗炉によって加熱させることができる。前記電気抵抗炉は、坩堝電気抵抗炉であることができる。前記固体マグネシウム基金属を加熱する前に、それを粘土黒鉛坩堝又はステンレス鋼容器に置く。保護ガス又は真空環境において、前記固体マグネシウム基金属を加熱することにより、前記固体マグネシウム基金属のマグネシウムが酸化されることを防止できる。前記保護ガスは、前記ステップ10、前記ステップ20、前記ステップ30、前記ステップ40及び前記ステップ50の全ての工程に、存在する。
【0018】
前記S103において、加熱されたマグネシウム基金属に、固体及び半固体状のマグネシウム基金属が共存することを防止するために、半固体状になったマグネシウム基金属を、10分〜60分間で半固結状態に維持させる。
【0019】
もう一つの例として、前記ステップS10において、前記半固体状のマグネシウム基材料を形成する方法は、固体マグネシウム基金属を提供するステップS111と、前記固体マグネシウム基金属を、その液相線温度より50℃高い温度まで加熱して、液体状のマグネシウム基材料を得るステップS112と、前記液体状のマグネシウム基材料を、その液相線温度及び固相線温度の間の温度まで冷却することにより、半固体状のマグネシウム基金属を形成するステップS113と、を含む。該方法によって形成された半固体状のマグネシウム基金属の内部と外部を、全て半固体状とすることができる。
【0020】
前記ステップS20において、前記強化ナノ粒子は、カーボンナノチューブ(CNT)、炭化ケイ素(SiC)、酸化アルミニウム(Al)、炭化チタン(TiC)及び炭化ホウ素(BC)の一種又は数種からなる。前記マグネシウム基複合材料体に置く前記強化ナノ粒子の重量パーセンテージは、0.5wt%〜5.0wt%であるが、前記強化ナノ粒子がマグネシウム基金属の中に凝集することを防止するために、0.5wt%〜2.0wt%であることが好ましい。前記強化ナノ粒子の粒径は、1.0nm〜100nmである。前記強化ナノ粒子はカーボンナノチューブである場合、その外径が10nm〜50nmであり、その長さが0.1μm〜50μmである。前記半固体状のマグネシウム基材料に強化ナノ粒子材料を加える前に、前記強化ナノ粒子を、300℃〜350℃まで加熱することにより前記強化ナノ粒子の表面に付着された水を除去することができる。従って、前記強化ナノ粒子及び前記半固体状のマグネシウム基材料の間の濡れ性は増強される。前記強化ナノ粒子は、他の構造を有することができ、例えば以下の実施例1〜8に示すものがある。
【0021】
一つの例として、前記強化ナノ粒子を、前記半固体状のマグネシウム基材料に均一的に分散させるために、前記半固体状のマグネシウム基材料に強化ナノ粒子材料を加えると同時に、前記半固体状のマグネシウム基材料を撹拌することができる。機械攪拌器又は電磁気攪拌器によって、前記半固体状のマグネシウム基材料を強力的に撹拌することが好ましい。前記機械攪拌器は、複数のプロペラを有する超音波攪拌器である。前記複数のプロペラは、二層式または三層式で配列されることができる。前記半固体状のマグネシウム基材料を撹拌する場合、前記超音波攪拌器のプロペラを、200r/min〜500r/minの回転速度で1分〜5分間攪拌する。
【0022】
前記半固体状のマグネシウム基材料を撹拌する過程で、前記強化ナノ粒子を加える場合、前記強化ナノ粒子を、前記半固体状のマグネシウム基材料にゆっくりと連続的に加えることにより、前記強化ナノ粒子を、前記半固体状のマグネシウム基材料に均一的に分散させることができる。前記強化ナノ粒子を、前記半固体状のマグネシウム基材料に一度に全て加えてしまうと、前記強化ナノ粒子は、前記半固体状のマグネシウム基材料において凝集する問題が生じてしまう。その他、鋼鉄管、漏斗又は微穴を有する篩によって、前記強化ナノ粒子を、前記半固体状のマグネシウム基材料に加えることができる。これにより、前記強化ナノ粒子の加入速度を制御できる。従って、前記強化ナノ粒子を、前記半固体状のマグネシウム基材料に均一的に分散させる。
【0023】
前記半固体状のマグネシウム基材料は、ある程度の柔軟度を有するので、これに前記強化ナノ粒子を加える場合、前記強化ナノ粒子が損傷することを避けることができる。更に、前記半固体状のマグネシウム基材料の粘性抵抗が大きいので、前記半固体状のマグネシウム基材料における前記強化ナノ粒子は、前記半固体状のマグネシウム基材料に束縛されて、上昇したり又は落ちたりし難い。従って、前記強化ナノ粒子が加えられた前記半固体状のマグネシウム基材料を撹拌する場合に生じる渦運動の遠心力によって、前記強化ナノ粒子は、全ての前記半固体状のマグネシウム基材料に均一的に分散されることができる。これにより、前記強化ナノ粒子が均一的に分散された半固体状の混合物を得る。
【0024】
前記ステップS30において、保護ガスの雰囲気で、前記半固体状の混合物を、その液相線温度より高い温度まで加熱させる。前記半固体状の混合物を加熱させる過程において、前記強化ナノ粒子は、前記混合物で分散状態が変化しない。
【0025】
前記ステップS40において、前記液体状態の混合物を超音波処理することにより、前記強化ナノ粒子を、前記液体状態の中で全て均一的に分散させることができる。前記超音波のプローブは、20mm〜50mmの深さまで、前記液体状態の混合物に挿入される。前記液体状態の混合物を超音波処理する場合、前記超音波の周波数が15kHz〜20kHz、最大出力パワーが1.4kW〜4KWであり、処理時間が10分〜30分間である。前記強化ナノ粒子の量が多いほど、前記液体状態の混合物を超音波処理する時間は長い。逆に、前記強化ナノ粒子の量が少ないほど、前記液体状態の混合物を超音波処理する時間は短い。
【0026】
前記液体状態の混合物は、その粘性抵抗が小さく、その流動性がよいので、前記液体状態の混合物に作用する超音波は、半固体状の混合物に作用する超音波より強い。前記液体状態の混合物を超音波処理することにより、前記液体状態の混合物の局部に存在する前記強化ナノ粒子の凝集体を分散させることができる。この場合、微視的世界及び巨視において、前記強化ナノ粒子は、全て前記液体状態の混合物に均一的に分散される。
【0027】
前記ステップS50において、前記液体状態の混合物を冷却する方法は、炉冷却方法又は自然対流冷却方法とすることができる。一つの例として、前記液体状態の混合物を冷却する方法は、前記液体状態の混合物を、その鋳込み温度まで加熱させるステップS51と、一つの金型を提供するステップS52と、前記鋳込み温度まで加熱された液体状態の混合物を前記金型に注入するステップS53と、前記金型を冷却するステップS54と、を含む。
【0028】
前記ステップS51において、鋳込み温度は、液体状態の混合物を前記金型に注入できる温度である。前記鋳込み温度は、前記マグネシウム基材料の液相線温度より高く、650℃〜700℃である。前記強化ナノ粒子の量が多いほど、前記鋳込み温度は高くなる。逆に、前記強化ナノ粒子の量が少ないほど、前記鋳込み温度は低くなる。
【0029】
前記ステップS52において、前記金型は、金属からなる。前記金型は、予熱されることができる。前記金型の予熱温度は、200℃〜300℃である。前記金型の予熱温度は、マグネシウム基複合材料の性能に影響を与える。前記金型の予熱温度が低すぎる場合、前記液体状態の混合物を、前記金型に全て充填させることができない。これにより形成されたマグネシウム基複合材料体には穴が生じる可能性がある。前記金型の予熱温度が高すぎる場合、形成されたマグネシウム基複合材料体の結晶粒構造のサイズが大きくなる。従って、マグネシウム基複合材料体の性能が低まる。
【0030】
以下、図面を参照して、本発明の実施例について説明する。
【0031】
(実施例1)
本実施例は、SiCナノ粒子の重量パーセンテージが0.5wt%であるSiC/ AZ91Dマグネシウム基複合材料体の製造方法を提供する。前記SiC/AZ91Dマグネシウム基複合材料体の製造方法は、電気抵抗炉及び6キログラムのAZ91Dマグネシウム合金を提供するステップS111と、保護ガスで、前記電気抵抗炉によって前記AZ91Dマグネシウム合金を650℃まで加熱させるステップS112と、前記AZ91Dマグネシウム合金を550℃まで冷却させて、30分間保温して、半固体状のAZ91Dマグネシウム合金を得るステップS113と、前記半固体状のAZ91Dマグネシウム合金材料を機械攪拌器によって攪拌すると同時に、30グラムのSiCナノ粒子を加えて、半固体状の混合物を得るステップS114と、前記半固体状の混合物を620℃まで加熱させて、液体状態の混合物を得るステップS115と、前記液体状態の混合物を超音波処理するステップS116と、前記超音波処理された液体状態の混合物を680℃まで加熱させて、金型に注入するステップS117と、前記金型を冷却して、SiC/AZ91Dマグネシウム基複合材料体を形成するステップS118と、を含む。
【0032】
前記ステップS112において、前記保護ガスは、二酸化炭素及び六フッ化硫黄の混合ガスである。
【0033】
前記ステップS114において、前記機械攪拌器の攪拌速度は、300r/minである。前記30グラムのSiCナノ粒子の平均粒径は40nmである。前記SiCナノ粒子を、前記半固体状のAZ91Dマグネシウム合金材料に加える前に、300℃まで予熱される。前記ステップS116において、前記液体状態の混合物を10分間超音波処理し、前記超音波の周波数が20kHz、その最大出力パワーが1.4kWである。
【0034】
前記ステップS117において、前記金型は予熱される。前記金型の予熱温度は、260℃である。
【0035】
(実施例2)
本実施例は、SiCナノ粒子の重量パーセンテージが1.0wt%であるSiC/AZ91Dマグネシウム基複合材料体の製造方法を提供する。前記SiC/AZ91Dマグネシウム基複合材料体の製造方法は、実施例1のマグネシウム基複合材料体の製造方法と比べて、次の異なる点がある。AZ91Dマグネシウム合金の用量は14キログラムである。前記半固体状のAZ91Dマグネシウム合金に加えるSiCナノ粒子の量は、140グラムである。前記超音波処理された液体状態の混合物を650℃まで加熱させて、金型に注入する。前記液体状態の混合物を超音波で15分間処理する。
【0036】
(実施例3)
本実施例は、SiCナノ粒子の重量パーセンテージが1.5wt%であるSiC/AZ91Dマグネシウム基複合材料体の製造方法を提供する。前記SiC/AZ91Dマグネシウム基複合材料体の製造方法は、電気抵抗炉及び2キログラムのAZ91Dマグネシウム合金を提供するステップS311と、保護ガスで、前記電気抵抗炉によって前記AZ91Dマグネシウム合金を650℃まで加熱させるステップS312と、前記AZ91Dマグネシウム合金を580℃まで冷却させて、30分間保温して、半固体状のAZ91Dマグネシウム合金を得るステップS313と、前記半固体状のAZ91Dマグネシウム合金材料を機械攪拌器によって攪拌すると同時に、30グラムのSiCナノ粒子を加えて、半固体状の混合物を得るステップS314と、前記半固体状の混合物を620℃まで加熱させて、液体状態の混合物を得るステップS315と、前記液体状態の混合物を超音波処理するステップS316と、前記超音波処理された液体状態の混合物を700℃まで加熱させて、金型に注入するステップS317と、前記金型を冷却して、SiC/AZ91Dマグネシウム基複合材料体を形成するステップS318と、を含む。
【0037】
前記ステップS312において、前記保護ガスは、二酸化炭素及び六フッ化硫黄の混合ガスである。
【0038】
前記ステップS314において、前記機械攪拌器の攪拌速度は、300r/minである。前記30グラムのSiCナノ粒子の平均粒径は40nmである。前記SiCナノ粒子が、前記半固体状のAZ91Dマグネシウム合金材料に加える前に、300℃まで予熱される。前記ステップS316において、前記液体状態の混合物を15分間超音波処理し、前記超音波の周波数が、20kHzであり、その最大出力パワーが1.4kWである。
【0039】
前記ステップS317において、前記金型は予熱される。前記金型の予熱温度は、260℃である。
【0040】
(実施例4)
本実施例は、SiCナノ粒子の重量パーセンテージが2.0wt%であるSiC/AZ91Dマグネシウム基複合材料体の製造方法を提供する。前記SiC/AZ91Dマグネシウム基複合材料体の製造方法は、実施例3のマグネシウム基複合材料体の製造方法と比べて、次の異なる点がある。AZ91Dマグネシウム合金の重量は14キログラムである。前記半固体状のAZ91Dマグネシウム合金に加えるSiCナノ粒子の量は、40グラムである。
【0041】
(実施例5)
本実施例は、CNTの重量パーセンテージが0.5wt%であるCNT/ AZ91Dマグネシウム基複合材料体の製造方法を提供する。前記CNT/AZ91Dマグネシウム基複合材料体の製造方法は、電気抵抗炉及び2キログラムのAZ91Dマグネシウム合金を提供するステップS511と、前記電気抵抗炉を600℃まで加熱させて、これに保護ガスを導入するステップS512と、前記AZ91Dマグネシウム合金を600℃まで加熱された前記電気抵抗炉に置くステップS513と、前記電気抵抗炉によって前記AZ91Dマグネシウム合金を650℃まで加熱させるステップS514と、前記AZ91Dマグネシウム合金を550℃まで冷却させて、30分間保温して、半固体状のAZ91Dマグネシウム合金を得るステップS515と、前記半固体状のAZ91Dマグネシウム合金材料を超音波で攪拌すると同時に、10グラムのCNTを加えて、半固体状の混合物を得るステップS516と、前記半固体状の混合物を620℃まで加熱させて、液体状態の混合物を得るステップS517と、前記液体状態の混合物を超音波処理するステップS518と、前記超音波処理された液体状態の混合物を700℃まで加熱させて、金型に注入するステップS519と、前記金型を冷却して、SiC/AZ91Dマグネシウム基複合材料体を形成するステップS520と、を含む。
【0042】
前記ステップS512において、前記保護ガスは、二酸化炭素及び六フッ化硫黄の混合ガスである。
【0043】
前記ステップS516において、前記超音波の攪拌速度は、200r/minである。前記CNTの、内径は5nm〜10nmであり、外径は30nm〜50nmであり、長さは0.5μm〜2μmである。
【0044】
前記ステップS518において、前記液体状態の混合物を15分間超音波処理し、前記超音波の周波数が、20kHzであり、その最大出力パワーが1.4kWである。
【0045】
前記ステップS519において、前記金型は予熱される。前記金型の予熱温度は、260℃である。
【0046】
(実施例6)
本実施例は、CNTの重量パーセンテージが1.0wt%であるCNT/AZ91Dマグネシウム基複合材料体の製造方法を提供する。前記CNT/AZ91Dマグネシウム基複合材料体の製造方法は、実施例5のマグネシウム基複合材料体の製造方法と比べて、次の異なる点がある。前記半固体状のAZ91Dマグネシウム合金に加えるCNTの量は、20グラムである。CNTの重量パーセンテージが1.0wt%である本実施例のCNT/AZ91Dマグネシウム基複合材料体の抗張力は、従来のAZ91Dマグネシウム基合金に比べると12%より高く、降伏強度は10%より高く、壊れた後の伸び率は40%より高い。
【0047】
(実施例7)
本実施例は、CNTの重量パーセンテージが1.5wt%であるCNT/AZ91Dマグネシウム基複合材料体の製造方法を提供する。前記CNTの重量パーセンテージが1.5wt%であるCNT/AZ91Dマグネシウム基複合材料体の製造方法は、実施例5のマグネシウム基複合材料体の製造方法と比べて、次の異なる点がある。前記半固体状のAZ91Dマグネシウム合金に加えるCNTの量は、30グラムである。CNTの重量パーセンテージが1.5wt%である本実施例のCNT/AZ91Dマグネシウム基複合材料体の抗張力は、従来のAZ91Dマグネシウム基合金に比べると22%より高く、降伏強度は21%より高く、壊れた後の伸び率は42%より高い。
【0048】
(実施例8)
本実施例は、CNTの重量パーセンテージが2.0wt%であるCNT/AZ91Dマグネシウム基複合材料体の製造方法を提供する。前記CNTの重量パーセンテージが2.0wt%であるCNT/AZ91Dマグネシウム基複合材料体の製造方法は、実施例5のマグネシウム基複合材料体の製造方法と比べて、次の異なる点がある。前記半固体状のAZ91Dマグネシウム合金に加えるCNTの量は、40グラムである。CNTの重量パーセンテージが2.0wt%である本実施例のCNT/AZ91Dマグネシウム基複合材料体の抗張力は、従来のAZ91Dマグネシウム基合金に比べると8.6%より高く、降伏強度は4.7%より高く、壊れた後の伸び率は47%より高い。図2を参照すると、CNTの重量パーセンテージが2.0wt%であるCNT/AZ91Dマグネシウム基複合材料体に、複数のCNTが均一的に分散されており、前記複数のCNTが互いに凝集されていない。図3を参照すると、前記CNT/AZ91Dマグネシウム基複合材料体における窪んだ割れ目の周りのCNTも均一的に分散されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半固体状のマグネシウム基材料を形成する第一ステップと、
前記半固体状のマグネシウム基材料に強化ナノ粒子材料を加えて、半固体状の混合物を得る第二ステップと、
前記半固体状の混合物を加熱させて、液体状態にさせる第三ステップと、
前記液体状態の混合物を超音波処理する第四ステップと、
前記液体状態の混合物を冷却させて、マグネシウム基複合材料体を得る第五ステップと、
を含むことを特徴とするマグネシウム基複合材料体の製造方法。
【請求項2】
前記第一ステップにおいて、前記半固体状のマグネシウム基材料を形成する方法は、固体マグネシウム基金属を提供する第一サブステップと、前記固体マグネシウム基金属を、その液相線温度より50℃高い温度まで加熱して、液体状のマグネシウム基材料を形成する第二サブステップと、前記液体状のマグネシウム基材料を、その液相線温度及び固相線温度の間の温度まで冷却することにより、半固体状のマグネシウム基金属を形成する第三サブステップと、を含むことを特徴とする請求項1に記載のマグネシウム基複合材料体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−137219(P2011−137219A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−255022(P2010−255022)
【出願日】平成22年11月15日(2010.11.15)
【出願人】(598098331)ツィンファ ユニバーシティ (534)
【出願人】(500080546)鴻海精密工業股▲ふん▼有限公司 (1,018)
【Fターム(参考)】