説明

マッサージ機器およびマッサージプログラム

【課題】 ユーザに対してストレスを改善するマッサージを行うマッサージ機器およびマッサージプログラムを提供することを課題とする。
【解決手段】 ユーザにマッサージを施すマッサージ部10、20、30、40と、前記ユーザの生体情報を取得する生体情報取得部210と、前記生体情報取得部で取得された前記生体情報に基づいて、前記ユーザのストレスの度合いを推定するストレス推定部90と、前記ストレス推定部によって推定された前記ユーザのストレスの度合いに基づいて、前記マッサージ部が前記ユーザに施すマッサージの動作を決定する動作決定部70とを備えるマッサージ機器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザのストレスの度合いに基づいてユーザに施すマッサージコースを選択するマッサージ機器およびマッサージプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、ユーザにマッサージを施すマッサージ機器が使用されている。例えば、肩、腰、背中などからだの部位ごとにマッサージを施す機器やベッド形状でユーザの背面全体にマッサージを施す機器が知られているが、ユーザが着座する座部と、座部に着座したユーザの背中を支持してユーザにマッサージを施す背もたれ部と、ユーザのふくらはぎを支持するフットレスト部と、ユーザの足裏を支持する足裏部とを備えたマッサージチェアが広く知られている。マッサージチェアは、ユーザの首、肩、背中、腰、尻、もも、ふくらはぎ、足裏などの部位に圧力を加えることによってユーザにマッサージを施す。それらのマッサージをユーザに施すために、マッサージチェアには予めマッサージのコースが備えられている。すなわち、各コース毎にどの部位にどの様な種類のマッサージ動作をどれだけ(時間、マッサージ強度など)施すか、が定められている。マッサージ動作の種類には、もみ動作、指圧動作、たたき動作、たたきもみ動作、ローリング動作(もみ玉で撫でる動作のこと)などが挙げられる。
【0003】
このようなマッサージチェアは、背もたれ部やフットレスト部などの傾きを調節するリクライニング機能を有しており、ユーザがリラックスした状態でマッサージを受けられるように構成されている。ユーザがリラックスした状態でマッサージを受けることによって、マッサージ効果の向上が図られている。
【0004】
ユーザがリラックスした状態でマッサージを受けられるためには、マッサージチェアの背もたれ部やフットレスト部の傾きが考慮されるばかりではなく、マッサージ動作の種類、マッサージが施される部位、マッサージ時間、マッサージ強度などがその時のユーザに合ったものである必要がある。
【0005】
そこで、被施療者がリラックス状態にあるかどうかを判定して、被施療者をリラックス状態に誘導するリラックスコースを有し、動作指示スイッチによって受け付けられた動作選択の内容や、もみ球の配置位置等のマッサージの動作に関する情報を表示するマッサージ機が提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−341989号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記従来技術では、リラックスコースを有し被施療者をリラックス状態へと誘導するマッサージを行う事はできるが、被施療者(以下、ユーザとも書く)のストレスを改善することは出来なかった。
【0008】
そこで、本発明はユーザに対してストレスを改善するマッサージを行うマッサージ機器およびマッサージプログラムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るマッサージ機器は、ユーザにマッサージを施すマッサージ部と、前記ユーザの生体情報を取得する生体情報取得部と、前記生体情報取得部で取得された前記生体情報に基づいて、前記ユーザのストレスの度合いを推定するストレス推定部と、前記ストレス推定部によって推定された前記ユーザのストレスの度合いに基づいて、前記マッサージ部が前記ユーザに施すマッサージの動作を決定する動作決定部とを備える。
【0010】
本発明は、ユーザの生体情報に基づいて、ユーザのストレスの度合いを推定するストレス推定部と、ストレス推定部によって推定されたユーザのストレスの度合いに基づいて、ユーザに施すマッサージの動作を決定する動作決定部とを備えるため、ユーザのストレスの度合いに応じたマッサージを、ユーザに対して施すことができる。
【0011】
なお、前記生体情報取得部で取得される前記ユーザの生体情報は、心拍に関する情報であり、前記心拍に関する情報から前記ユーザの心拍周期を検出し、検出された前記心拍周期を用いて前記心拍周期のゆらぎの程度に関する値である心拍変動係数を算出する心拍情報処理演算部を備え、前記ストレス推定部は、前記心拍情報処理演算部で算出された前記心拍変動係数に基づいて前記ユーザのストレスの度合いを推定してもよい。これにより、ユーザのストレスの度合いを精度良く推定することができ、ユーザのストレスの度合いに応じたマッサージを、ユーザに対して施すことができる。
【0012】
また、前記心拍情報処理演算部は、所定期間における時間軸方向に対する前記心拍周期のデータを1次関数で近似したときの傾きの値を算出する変化量算出部と、前記変化量算出部が算出した前記傾きの値が閾値以内と判定された前記所定期間の一部または全部である区間を有効区間として検出する有効区間検出部を有し、前記有効区間検出部が検出した前記有効区間の前記心拍周期を用いて前記心拍変動係数を算出してもよい。これにより、有効なデータのみを使用してユーザのストレスの度合いを精度良く推定することができ、ユーザのストレスの度合いに応じたマッサージを、ユーザに対して施すことができる。
【0013】
さらに、前記マッサージ部は、前記ユーザに対する、前記動作決定部において前記ユーザに施すマッサージの動作を決定するまでに、前記ユーザへの事前のイニシャルマッサージの施療を開始してもよい。
【0014】
さらに、前記ユーザへのマッサージの施療を開始してから施療を終了するまでのマッサージ工程において、前記マッサージの制御を行うマッサージ制御部を備え、前記マッサージ制御部が出力する前記ユーザのストレスに関する情報を出力する出力部を備え、前記マッサージ制御部は、前記マッサージ工程の途中において、または前記マッサージ工程の終了後において、前記ユーザのストレスに関する情報を前記出力部へ向けて出力してもよい。
【0015】
本発明に係るマッサージプログラムは、マッサージ機器に搭載されたプロセッサを、前記マッサージ機器を制御する制御ユニットとして、機能させるマッサージプログラムであって、ユーザにマッサージを施すマッサージステップと、前記ユーザの生体情報を取得する生体情報取得ステップと、前記生体情報取得ステップで取得された前記生体情報に基づいて、前記ユーザのストレスの度合いを推定するストレス推定ステップと、前記ストレス推定ステップによって推定された前記ユーザのストレスの度合いに基づいて、前記マッサージステップが前記ユーザに施すマッサージの動作を決定する動作決定ステップとを備える。
【0016】
本発明に係るマッサージ機器は、ユーザにマッサージを施すマッサージ部と、前記ユーザへのマッサージの施療を開始してから施療を終了するまでのマッサージ工程において、前記マッサージの制御を行うマッサージ制御部と、前記ユーザの生体情報を取得する生体情報取得部と、前記生体情報取得部で取得された前記生体情報に基づいて、前記マッサージ工程を開始する前に、前記ユーザのストレスの度合いを推定するストレス推定部と、前記ストレス推定部によって推定された前記ユーザのストレスの度合いに基づいて、前記マッサージ工程を開始する前に、前記ユーザに施すマッサージのコースを選択するコース選択部とを備える。
【0017】
本発明に係るマッサージチェアは、ユーザが着座する座部と、前記座部に着座した前記ユーザの背中を支持して前記ユーザにマッサージを施す背もたれ部と、前記ユーザへのマッサージの施療を開始してから施療を終了するまでのマッサージ工程において、前記マッサージの制御を行うマッサージ制御部、とを備えたマッサージチェアであって、前記座部に着座した前記ユーザの生体情報を取得する生体情報取得部と、前記生体情報取得部で取得された前記生体情報に基づいて、前記マッサージ工程を開始する前に、前記ユーザのストレスの度合いを推定するストレス推定部と、前記ストレス推定部によって推定された前記ユーザのストレスの度合いに基づいて、前記マッサージ工程を開始する前に、前記ユーザに施すマッサージのコースを選択するコース選択部と、前記コース選択部が前記ユーザに施すマッサージのコースを選択したとき、マッサージのコースが選択された旨の出力を行う出力部を備える。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、ユーザに対してストレスを改善するマッサージを行うマッサージ機器およびマッサージプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】実施の形態に係るマッサージチェアの外観を示す図である。
【図2】実施の形態に係るマッサージチェアの構成を示す機能ブロック図である。
【図3】実施の形態に係る心拍情報処理演算部の構成を示す機能ブロック図である。
【図4】実施の形態に係る有効区間を検出するための説明の図である。
【図5】実施の形態に係る心拍情報処理演算部における演算フロー図である。
【図6】実施の形態に係るストレス推定部の構成を示す機能ブロック図である。
【図7】実施の形態に係るマッサージコース選択部の構成を示す機能ブロック図である。
【図8】実施の形態に係るマッサージコース選択を説明する図である。
【図9】実施の形態に係るマッサージ制御部の構成を示す機能ブロック図である。
【図10】実施の形態に係るマッサージコース記憶部の構成を示す機能ブロック図である。
【図11】実施の形態に係るマッサージ動作のフロー図である。
【図12】実施の形態に係る実験結果を示す図である。
【図13】実施の形態に係る実験結果を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態につき図面を参照して説明する。
【0021】
ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。従って、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0022】
本実施形態では、マッサージ機器の一例として、マッサージチェアを例に説明を行う。なお、下記で述べるマッサージ動作の種類、マッサージが施される部位、マッサージ時間、マッサージ強度などがその時のユーザに合ったものであることの要請は、マッサージチェアに限るものではなく、上に述べたマッサージチェア以外のマッサージ機器でも要求される事である。
(マッサージチェアの構成)
以下において、本発明の一実施形態に係るマッサージチェアの構成について、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るマッサージチェア100の外観を示す図である。
【0023】
同図(a)のマッサージチェア100の外観斜視図に示すように、マッサージチェア100は、本体部110と、背もたれ部10と、座部20と、1対のフットレスト部30a及びフットレスト部30b(フットレスト部30と総称する場合がある)と、1対の足裏部40a及び足裏部40b(足裏部40と総称する場合がある)とを有する。また、マッサージチェア100には、マッサージチェア100の動作をユーザが操作するためのリモートコントローラ200が設けられている。
【0024】
本体部110は、背もたれ部10、座部20、フットレスト部30及び足裏部40を支持しており、マッサージチェア100がユーザに施すマッサージの制御等を行うマッサージ制御部(後述)を有している。また、本体部110は、背もたれ部10、座部20、フットレスト部30及び足裏部40の傾きを制御する機能(リクライニング機能)を有する。
【0025】
背もたれ部10は、ユーザの背中を支持する背もたれ面10aを有しており、ユーザの肩、背中や腰などにマッサージを施す。
【0026】
座部20は、ユーザが着座する座面20aを有している。また、座面20aは、1対の肘掛け部22a及び肘掛け部22b(肘掛け部22と総称する場合がある)を有している。なお、肘掛け部22aには、リモートコントローラ200が設けられている。
【0027】
フットレスト部30a及びフットレスト部30bは、ユーザの左右のふくらはぎをそれぞれ支持しており、ユーザのふくらはぎにマッサージを施す。なお、フットレスト部30a及びフットレスト部30bは同様の構成を有している。
【0028】
足裏部40a及び足裏部40bは、ユーザの左右の足裏をそれぞれ支持しており、ユーザの足裏にマッサージを施す。なお、足裏部40a及び足裏部40bは同様の構成を有している。
【0029】
同図(b)に示すように、背もたれ部10は、ユーザの肩、背中及び腰にマッサージを施すためのもみ玉12を有し、もみ玉12により背もたれ部10はユーザにマッサージを施すことができる。背もたれ部10には、もみ玉12が上下方向に移動するための経路12aも有している。なお、もみ玉12は、ユーザの肩などをもむ「もみ」動作、ユーザの肩などを掴む「つかみ」動作、ユーザの肩などを掴むようにもむ「つかみもみ」動作、ユーザの肩などに圧力をゆっくりと加える「指圧」動作、ユーザの背中や腰などをたたく「たたき」動作、ユーザの背中や腰などをたたきながらもむ「たたきもみ」動作、ユーザの背中や腰などを撫でる「ローリング」動作などのマッサージ動作を行う。
【0030】
フットレスト部30は、ユーザのふくらはぎにマッサージを施すエアバック31を有する。エアバック31は、空気が充填されることによって膨らみ、空気が抜かれることによって萎むので、ユーザのふくらはぎに断続的に圧力を加えることができる。
【0031】
足裏部40は、ユーザの足裏にマッサージを施す複数の指圧部41a及び指圧部41b(指圧部41と総称する場合がある)を有する。指圧部41a及び指圧部41bは、ユーザの足裏のつぼに圧力を加える突起を有しており、突起を上下させることによって足裏のつぼに刺激を与える。なお、指圧部41a及び指圧部41bは同様の構成を有している。
【0032】
リモートコントローラ(以下、単にリモコンと書く)200は、上述したように、座部20の肘掛け部22に設けられており、ワイヤ200aによってマッサージチェア100に接続されている。また、リモコン200は、座部20の肘掛け部22から着脱可能に構成されている。
【0033】
なお、リモコン200は、マッサージチェア100との間でワイヤ200aを介して信号を送受信するが、リモコン200とマッサージチェア100との間は、IrDAやBluetooth(登録商標)などの無線技術を用いて信号を送受信してもよい。
【0034】
リモコン200には、例えばスイッチやタッチパネルなどでありユーザの操作を入力する入力部と、ランプやLED、LCDなどの表示デバイス及びスピーカなどの音声出力デバイスである出力部が備えられており、ユーザの心拍に関する情報(以下、心拍情報)を取得する生体情報取得部が備えられている。
【0035】
リモコン200は1つで構成されていてもよく、また複数で構成されていてもよい。例えば、肘掛け部22に備え付けられたメインリモコンと、マッサージ機から着脱可能なハンディタイプのサブリモコンで構成されていてもよい。本実施形態では、リモコン200はメインリモコンとサブリモコンから構成されている。
(マッサージチェアの機能ブロック)
以下において、本発明の一実施形態に係るマッサージチェアの構成を示す機能ブロックについて、図面を参照しながら説明する。図2は、本発明の一実施形態に係るマッサージチェア100の構成を示す機能ブロック図である。
【0036】
図2に示すように、マッサージチェア100は、上述の背もたれ部10と、座部20と、フットレスト部30と、足裏部40と、本体部110と、リモコン200とを有する。
【0037】
背もたれ部10は、肩位置センサ11と、もみ玉12と、もみモータ14aとたたきモータ14bと指圧モータ14cと昇降モータ14d(モータ14と総称する場合がある)と、エアバッグ15を有する。
【0038】
例えば、肩位置センサ11は、もみ玉12に接続されており、ユーザがマッサージチェア100に着座した状態、すなわち、ユーザの背中が背もたれ面10aによって支持された状態で、もみ玉12が経路12aに沿って上下に移動した際にユーザの肩位置を検出し、検出された肩位置を肩位置情報として出力する。
【0039】
もみモータ14aは、例えば1つのモータともみ玉12を水平方向に動かす機構を有し(不図示)、左右のもみ玉12を例えば水平に動かし続けることで「もみ」動作が、左右のもみ玉12を例えば水平に寄せ合う方向に動かすことで「つかみ」動作が、この2つの動作を組み合わせる事で「つかみもみ」動作が実現される。たたきモータ14bは、例えば1つのモータともみ玉12を垂直方向に交互に動かす機構を有し(不図示)、「たたき」動作が実現される。指圧モータ14cは、例えば1つのモータともみ玉12を垂直方向に同時にゆっくり押し付ける機構を有し(不図示)、「指圧」動作が実現される。昇降モータ14dは、経路12aに沿ってもみ玉12を上下に移動させる機構を有し(不図示)、もみ玉の上下方向の移動及び「ローリング」動作が実現される。個別に説明しなかったその他のマッサージ動作は、これらモータ14および上述の各機構を使用して実現されうる。
【0040】
背もたれ部10はさらに、ユーザの肩、背中及び腰にマッサージを施すエアバック15を有する。エアバック15は、空気が充填されることによって膨らみ、空気が抜かれることによって萎むので、ユーザの肩、背中及び腰に断続的に圧力を加えることができる。
【0041】
なお、本実施形態のマッサージチェアは、電源投入された後は、マッサージ制御部による制御の下、ユーザの肩位置検出を行い、ユーザの生体情報の取得を行い、ユーザのストレス推定を行い、ユーザに施すマッサージコースを自動選択してユーザへのマッサージ施療を行い、マッサージコースが終了したらユーザへのマッサージの施療を終了する(この一連の動作を、以下ではマッサージシーケンスと呼ぶ場合がある)。なお、ユーザへのマッサージ施療は、具体的には、ユーザのコリ感を推定するための予備マッサージと、ユーザに実際に施療のためのマッサージを施す本マッサージとから構成され、マッサージ施療では、予備マッサージと本マッサージが交互に所定回繰り返される。
【0042】
本実施形態では、マッサージ工程は、ユーザへのマッサージの施療を開始してから、ユーザへのマッサージの施療が終了する迄である。なお、マッサージ工程は、マッサージシーケンス全体であったり、肩位置センサ11によってユーザの肩位置が検出されてから、ユーザへのマッサージの施療が終了するまでであったりしてもよい。
【0043】
座部20は、ユーザの尻、ももなどにマッサージを施すエアバック21を有する。エアバック21は、空気が充填されることによって膨らみ、空気が抜かれることによって萎むので、ユーザの尻、ももなどに断続的に圧力を加えることができる。
【0044】
フットレスト部30は、エアバック31を有する。エアバック31は、上述したように、ユーザのふくらはぎにマッサージを施す。
【0045】
足裏部40は、指圧部41を有する。指圧部41は、上述したように、ユーザの足裏にマッサージを施す。
【0046】
よって、背もたれ部10はユーザにマッサージを施すマッサージ部であり、座部20、フットレスト部30、足裏部40もユーザにマッサージを施すマッサージ部である。
【0047】
メインリモコン200mは、入力部220mと、出力部(以下、表示部)230mとを有する。
【0048】
サブリモコン200sは、生体情報取得部210と、入力部220sと、出力部(以下、表示部)230sとを有する。本実施形態では、リモコン200sはユーザの両手で把持される。
【0049】
生体情報取得部210は、ユーザの生体情報を検出するセンサであるが、本実施形態では、生体情報取得部210は心拍センサであるとして心拍センサ210と呼ぶ。心拍センサ210は、ユーザの心拍情報(例えば、心拍波形など)を検出する。
【0050】
心拍センサ210は、例えば、リモコン200sを把持するユーザの両手の手掌の電位差から心電位を計測する2組以上の電極から構成される心電位センサなどである。
【0051】
なお、心拍センサ210は、心拍センサ210によって検出された心拍情報をDAC(Digital Analog Converter)を経て、本体部110に送信する。
【0052】
生体情報取得部は、心拍以外に、脈拍数、皮膚温度、発汗量、皮膚電気活動(EDA;electrodermal activity)、脳波、脈波、血流量、血圧や体温などを生体情報として検出してもよい。
【0053】
入力部220(入力部220m、入力部220sを併せて総称する)は、マッサージの開始、マッサージの終了やマッサージコースの選択をユーザが操作するための各種キー、タッチパネルなどによって構成されている。また、入力部220は、ユーザが押下したキーに対応する操作信号を本体部110に送信する。
【0054】
表示部230(表示部230m、表示部230sを併せて総称する)は、マッサージコースの自動選択が終了した旨の報知やマッサージ施療前に推定したストレス値の表示、ユーザに施されるマッサージコースの表示(例えばマッサージコースの名称などを表示)、残り時間などの情報を表示する。また、表示部230は、本体部110から送出されるマッサージ制御部80が出力するユーザのストレスに関する情報を表示する。なお、後でも述べるように、ユーザのストレスに関する情報の表示は、例えば前記ユーザのストレスの度合い、ストレスの度合いの変化についてまたは変化した旨の表示、後述の評価用の文章、さらにマッサージ制御部80がマッサージ効果(即ち、ユーザのストレス改善)を評価してその評価の結果の表示(例えばユーザのストレスの度合いの変化に関する善・悪・不変の評価の表示等)などが含まれる。表示部230にはコースランプの点灯などによる表示を含めてもよい。
【0055】
本体部110は、心拍情報処理演算部50、マッサージコース選択部70、マッサージ制御部80、およびストレス推定部90からなる制御ユニットと、マッサージコース記憶部60と、リクライニング制御部120を有する。なお、本実施形態にかかるマッサージ動作に関わる機能部のみを列挙したものであり、本体部110中の機能部はこれらには限られない。また、制御ユニットに、マッサージコース記憶部60と、リクライニング制御部120が含まれていてもよい。
【0056】
制御ユニットは、マッサージチェア100に搭載されたCPUなどのプロセッサで実行される機能部である。
【0057】
心拍情報処理演算部50は、心拍センサ210から得られたユーザの心拍情報から心拍周期や心拍数などを算出するが、本実施形態では少なくとも心拍周期と心拍周期の変化量を算出する。また、心拍周期の変化量を基準値と比較して心拍情報が有効である期間である有効期間を算出し、有効期間のみの心拍周期を用いて心拍変動係数を算出する。心拍情報処理演算部50は、この心拍変動係数算出値を後段のストレス推定部90に出力する。なお、プログラムにおいては、生体情報取得ステップに相当する。
【0058】
なお、心拍情報処理演算部50の詳細については後述する(図3を参照)。
【0059】
ストレス推定部90は、心拍情報処理演算部50から得られた心拍変動係数算出値を基準値と比較して、ストレス推定値を算出する。算出されたストレス推定値を後段のマッサージコース選択部70に出力する。なお、プログラムにおいては、ストレス推定ステップに相当する。
【0060】
なお、ストレス推定部90の詳細については後述する(図6を参照)。
【0061】
マッサージコース選択部70は、ユーザに施すマッサージの動作を決定する動作決定部の一種であり、定められたマッサージコースの中から所定のマッサージコースを選択する機能を有する。詳しくは、ストレス推定部90から得られたストレス推定値を基準値と比較して、マッサージコースを選択する。なお、ユーザによりリモコン200の入力部220から操作信号が入力されたときは、当該操作信号を優先して、マッサージコース選択を行う。選択されたマッサージコースをマッサージコース記憶部60、マッサージ制御部80に対して出力する。なお、プログラムにおいては、動作決定ステップに相当する。
【0062】
なお、マッサージコース選択部70の詳細については後述する(図7を参照)。
【0063】
マッサージコース記憶部60は、マッサージコースに対応した複数のマッサージ内容と、各マッサージコースに係るマッサージコースプログラムを記憶する。ここで、マッサージコースプログラムとは、ユーザの各部位にマッサージを施す時間、ユーザの各部位に施されるマッサージの強さ、及び、ユーザの各部位に施されるマッサージのスピードなどを制御するためのプログラムである。なお、マッサージコースは任意に定めうるが、本実施形態ではユーザのストレス低減を目的とするコース、ユーザのコリ改善を目的とするコース、及び、ユーザの疲労回復を目的とするコースの3つ(後出のA〜Cの3コースに相当)である。
【0064】
マッサージコース記憶部60は、マッサージコース選択部70から出力されたマッサージコースに従って、上記マッサージコースプログラムなどをマッサージ制御部80へ出力する。
【0065】
なお、マッサージコース記憶部60の詳細については後述する(図10を参照)。
【0066】
マッサージ制御部80は、少なくともユーザへのマッサージの施療を開始してから施療を終了するまでのマッサージ工程においてマッサージの制御を行うものであり、本実施形態では電源投入されて以降、マッサージ施療その他の制御を行う。具体的には、マッサージ制御部80は、マッサージコース選択部70から出力されたマッサージコースとマッサージコース記憶部60から出力されたマッサージコースプログラムなどに従って、当該マッサージコースのマッサージ動作を背もたれ部10、座部20、フットレスト部30、足裏部40、リクライニング制御部120などのマッサージに関与する機能部に指示する。例えば、当該マッサージプログラムに従って、もみ玉12、モータ14、エアバック15,21,31及び指圧部41などの制御、及びリクライニング制御を行う。なお、プログラムにおいては、マッサージステップに相当する。
【0067】
なお、マッサージ制御部80の詳細については後述する(図9を参照)。
【0068】
リクライニング制御部120は、マッサージ制御部80の制御の下、背もたれ部10、座部20、フットレスト部30及び足裏部40の本体110に対する傾きを各々調節するリクライニング制御を行う。具体的には、背もたれ部10、座部20、フットレスト部30及び足裏部40に存在する角度調節のためのアクチュエータ(不図示)に対して制御信号を出力する。各アクチュエータは制御信号に応じた本体110に対する角度となるよう調節を行う。
(心拍情報処理演算部50の構成)
以下において、上述した心拍情報処理演算部50の構成について、図面を参照しながら説明する。図3は、本発明の一実施形態に係る心拍情報処理演算部50の構成を示す機能ブロック図である。
【0069】
図3に示すように、心拍情報処理演算部50は、心拍情報取得部51と、心拍周期算出部52と、変化量算出部53と、基準値記憶部54、有効区間検出部55、心拍変動係数算出部56、出力部57を有する。
【0070】
心拍情報取得部51は、リモートコントローラ200sの心拍センサ210から送信された心拍情報を受け取る。なお、本体部110に送信された心拍情報は本体部110内のメモリに記憶されてもよく、心拍情報取得部51は、メモリに記憶された心拍情報を読み出す形態でもよい。本実施形態では、心拍情報を格納するメモリの容量が大きくなる事から、心拍情報処理演算部50は心拍センサ210から送信された心拍情報を直接使用する。
【0071】
心拍周期算出部52は、心拍情報の中の心電位波形からR波のピークを検出し、ピーク間隔(RR間隔:RRI;R−Rインターパル:R-R Interval )から心拍数や心拍周期を算出する。なお、心拍数や心拍周期は、心電位波形のT波のピーク間隔からを算出してもよいし、心電位波形以外にも心拍波形として脈波を使用して、脈波のピーク間隔から求めてもよい。
【0072】
変化量算出部53は、心拍周期算出部52で算出された心拍周期の変化量を算出する。心拍周期は時々刻々変化しているので、その変化の量を算出する。
【0073】
基準値記憶部54は、出荷前に各種実験結果により定められた所定値、またはマッサージチェア100をユーザが過去に利用した際に変化量算出部53によって算出された変化量の平均値などを、変化量の基準値として記憶している。
【0074】
有効区間検出部55は、変化量算出部53で算出された心拍周期の変化量と基準値記憶部54に記憶されている変化量の基準値との比較を行い、心拍センサ210で得られた心拍情報が有効であるかどうかを判定し、有効である場合は、当該心拍情報が有効である区間を検出してその区間を出力する。
【0075】
心拍変動係数算出部56は、心拍周期算出部52で算出された心拍周期のうち、有効区間検出部55によって有効であるとされた区間のものを使用して、心拍変動係数の算出を行う。心拍変動係数の算出では、心拍周期のゆらぎの程度すなわち心拍周期の値の散らばりの程度に関する演算を行う。心拍周期のゆらぎは、例えば、後で説明する図4(b)および(d)にみられるように、RRIの値(サンプリング値)が時間軸方向に対して一定ではなく、散らばっている事を意味している。本実施形態では、後で述べるように心拍周期の分散値、標準偏差値、平均心拍周期を算出して心拍変動係数の算出を行う。心拍変動係数は、心電図のRRIの変動係数CV(Coefficient of Variation)値であり、CVRRとも呼ばれる。
【0076】
出力部57は、心拍変動係数算出部56で算出された心拍変動係数をストレス推定部90へ出力する。
【0077】
なお、リラックス状態にある人がストレスを感じているような場合も多く存在することから、ストレス状態はリラックス状態の対極にあると言うわけではなく、また、ストレス状態とリラックス状態は相互に関連の深いものと言うわけではない。よって、リラックス状態を考慮するマッサージ機が、必ずストレスを考慮する機能を有しているというべきではない。
【0078】
次に、心拍情報処理演算部50において有効区間を検出する方法について述べる。
【0079】
図4に、有効区間を検出するための説明の図を載せる。
【0080】
同図(a)に、心拍センサ210から取得された心拍波形を示す。横軸は時間(msec)、縦軸は心電位(mV)であり、ユーザの心電位の波形図があらわされている。同図(a)中のRは心電位R波のピーク値であり、周期的に存在している。
【0081】
ここで、このピーク値R間の間隔(以下、RR間隔、またはRRIと呼ぶ)に注目すると、同図(b)に表わされるRRI波形図(心拍変動波形図)が得られる。横軸はピーク値Rが得られた時間、縦軸はRRI(msec)である。実際は、RRI毎のサンプリング値(離散値)としてRRI値が得られるが、同図では、特性が分かりやすいようにアナログ波形で表している。
【0082】
RRI波形図は、呼吸性成分と呼ばれる周波数成分と、それよりは低い周波数成分である血圧性成分と呼ばれる周波数成分が重畳した波形となっている。呼吸性成分は、0.15〜0.45Hzの成分で、HF(High Frequency)成分とも呼ばれる。血圧性成分は、0.05〜0.15Hzの成分で、LF(Low Frequency)成分とも呼ばれる。呼吸性変動は副交感神経の活動指標として用いられ、ピークパワー値が大きいほどストレスが低減していると判断でき、小さいほどストレスの度合いが大きいと判断できると言われている。同図(b)のRRI波形図にFFT演算などを施すと、同図(c)のような周波数領域の特性図が得られる。この同図(c)に上述の呼吸性成分(HF成分)、血圧性成分(LF成分)が表われている。
【0083】
同図(d)に血圧性変動を無視した場合のRRI波形図を示す。血圧性変動によるRRI波形の脈動は呼吸性変動に比べて小さいので無視できるのであるが、ユーザに外乱による刺激等が加えられた場合、RRIが狭くなりRRI波形図に歪みが生じる。同図(d)において、RRI値の平均値レベルに対し呼吸性変動成分の波形図が低くなっている部分が上記の歪みの部分である。具体的には、所定期間におけるRRIサンプリング値を使用して、その平均値レベルを最小二乗法などにより一次近似してその傾きを求め、その傾きが所定値(基準値記憶部54に格納されている)よりも大きくなっている部分である。なお、本実施形態において、所定期間は12秒分である。
【0084】
上記の外乱による刺激等によるRRI波形図の歪みは、心拍変動係数を算出する場合に、その誤差を増大させるので、算出の際には使用しない。心拍変動係数は安静状態で計測した心拍周期データを用いる必要があるため、マッサージ刺激などに起因する瞬時的なストレスが生じたときには正確なストレスの度合いを推定することができない。たとえば、瞬時的なストレスによって心拍数が上昇するので心拍周期(RRI)が縮小して心拍変動係数は大きくなるので、ストレスの度合いが小さくなったと誤判定されるからである。よって、このRRI波形図の歪みの部分は、データが無効である区間なので使用しない(無効区間)。
【0085】
すなわち、マッサージ刺激などによる瞬時ストレスの有無などを心拍数の変化量から判定して心拍変動係数を算出することができ、無効区間を使用しないことで定常ストレスについてのみ推定することができる。
【0086】
なお、上出の所定値は、実験や過去の実績によって定められ、心拍変動係数の精度をある程度担保できるような値となる。
【0087】
心拍情報処理演算部50は、以上の手順により有効区間を検出する。なお、本実施形態では、12秒分のRRIデータを1グループでまとめて扱い、当該12秒分のデータ毎に有効か、無効かを検出する。なお、1グループの時間は12秒に限られず、10秒程度以上であれば良い。これは、血圧性変動が10秒程度の周期で起こっており(図4(c)より周波数が0.1Hz前後)、血圧性変動による影響を低減させるために、1グループの時間が10秒程度以上必要だからである。
【0088】
次に、心拍情報処理演算部50内の各機能部において心拍変動係数を算出する演算フローについて述べる。
【0089】
図5(a)に、この演算フローS1000を示す。演算フローS1000は、例えば電源投入などにより開始され、開始されるとステップS1001へ至る。
【0090】
ステップS1001では、心拍情報取得部51が心拍情報を受け取る。
【0091】
ステップS1002では、心拍周期算出部52が心拍周期を算出する。
【0092】
ステップS1003では、変化量算出部53が心拍の変化量を算出する。具体的には、12秒分のRRI波形を最小2乗法を用いて一次近似してその傾きを求める。
【0093】
ステップS1004では、有効区間検出部55が基準値記憶部54に格納されている所定値とステップS1003で求めた傾きとを比較する。傾きの絶対値が所定値以内の時はステップS1005へ移行し、傾きの絶対値が所定値超過の時はステップS1006へ移行する。
【0094】
ステップS1005では、12秒分のRRIデータが有効であるとして、有効区間検出部55は当該12秒分のRRIデータについて有効フラグを立て(有効フラグ=1)、心拍変動係数算出部56へ通知する。ステップS1007へ移行する。
【0095】
ステップS1006では、12秒分のRRIデータが無効であるとして、有効区間検出部55は当該12秒分のRRIデータについて有効フラグを下し(有効フラグ=0)、心拍変動係数算出部56へ通知する。ステップS1007へ移行する。 なお、ステップS1004で所定値と比較する理由は、RRI波形には血圧性変動が存在しており、RRI波形を一次近似した場合には(図4(b)に示されるようにRRI血圧性変動成分は約0.1Hzの正弦波状に脈動しているので)この血圧性変動によりいくらかの傾きが算出されるので、RRI血圧性変動成分の部分を無効区間として検出しないようにするためである。よって、この所定値はRRI血圧性変動成分の部分を無効区間として検出しないような値となっている。
【0096】
ステップS1007では、有効とされた後述のN個のRRI値を使用して、心拍変動係数算出部56が心拍変動係数を算出し、出力部57へ送出する。なお本実施形態では、心拍変動係数は以下の式で算出される。
【0097】
【数1】



【0098】
心拍周期(i)は、i個目の心拍周期のことであり(i=1〜N)、平均心拍周期は、N個の心拍周期の平均値である。なお、Nは出荷前に各種実験結果により定められた所定値、またはマッサージチェア100をユーザが過去に利用した際に得られた値などであり、本実施形態では、例えばN=100が用いられる。
【0099】
同図(b)を使用して、ステップS1007で有効フラグが1であるグループからN個のRRI値を使用する方法について説明する。
【0100】
上述のように、本実施形態では、12秒分のRRIデータを1グループでまとめて扱うので、4秒ずつずれた12秒のグループ、Aグループ、Bグループ、Cグループ・・・を考える。
【0101】
Aグループ、Bグループ、Cグループで重なる4秒の共通部分(同図(b)では(あ)の部分)が有効かどうかを考える。N個のRRI値は、有効とされたこの4秒の共通部分の集合から抽出される。
【0102】
Aグループ、Bグループ、Cグループが全てステップS1004、ステップS1005で有効とされたとすると、重なる4秒の共通部分(あ)は有効とされる。共通部分(あ)が有効とされたグループのみに含まれるからである。
【0103】
しかし、DグループがステップS1004、ステップS1006で無効とされたとすると、重なる4秒の共通部分(い)は無効とされる。共通部分(い)が有効とされたグループのみに含まれる訳ではないからである(無効とされた当該Dグループにも含まれるからである)。同様に、4秒の共通部分(う)、(え)も無効とされる。
【0104】
EグループがステップS1004、ステップS1005で有効とされ、図示しないFグループ、GグループもステップS1004、ステップS1005で有効とされた場合には、重なる4秒の共通部分(お)は有効とされる。共通部分(お)が有効とされたグループのみに含まれるからである。
【0105】
以上のように、ステップS1007では、有効フラグが1であるグループで4秒ずつずれているもの3つ(3グループ)を使用してその重なる部分(4秒の共通部分)を使用する。そしてステップS1007は、その4秒の共通部分で有効とされたもので集合を構成し、この集合からN個のRRI値を時間順に取り出して、上記式1を用いて心拍変動係数を算出する。
(ストレス推定部90の構成)
以下において、上述したストレス推定部90の構成について、図面を参照しながら説明する。図6は、本発明の一実施形態に係るストレス推定部90の構成を示す機能ブロック図である。
【0106】
図6に示すように、ストレス推定部90は、心拍変動係数算出値取得部91、基準値記憶部92、ストレス推定値算出部93、出力部94を有する。
【0107】
心拍変動係数算出値取得部91は、前段の出力部57から出力された心拍変動係数値を取得する。
【0108】
基準値記憶部92は、出荷前に各種実験結果により定められた所定値、またはマッサージチェア100をユーザが過去に利用した際に算出された心拍変動係数の平均値、過去の被験者実験により得られた安静状態での心拍変動係数の平均値などを、心拍変動係数の基準値として記憶している。
【0109】
ストレス推定値算出部93は、心拍変動係数算出値取得部91で取得された心拍変動係数と基準値記憶部92に記憶されている心拍変動係数の基準値との比較を行い、ストレス推定値を算出する。本実施形態では、ストレス推定値として、例えば1〜3の値を使用し、ストレス推定値が3の場合に「ストレスが非常に大きい」、ストレス推定値が2の場合に「ストレスが大きい」、ストレス推定値が1の場合に「ストレスが小さい」などの評価用の文章が使用される(図8のストレス推定値および推定結果の列を参照)。
【0110】
心拍変動係数が大きいほどストレスが低減していると判断でき、小さいほどストレスの度合いが大きいと判断することができる。そこで、算出した心拍変動係数と基準値と比較することで、ユーザの定常状態におけるストレスの度合いすなわちストレス推定値を用いて段階毎に分類する。この分類については、マッサージコース選択部70および図8の説明の所で併せて説明する。
【0111】
出力部94は、ストレス推定値算出部93で算出されたストレス推定値をマッサージコース選択部70へ出力する。
(マッサージコース選択部70の構成)
以下において、上述したマッサージコース選択部70の構成について、図面を参照しながら説明する。図7は、本発明の一実施形態に係るマッサージコース選択部70の構成を示す機能ブロック図である。
【0112】
図7に示すように、マッサージコース選択部70は、ストレス推定値取得部71、操作信号取得部72、基準値記憶部73、コース選択部74、出力部75を有する。
【0113】
ストレス推定値取得部71は、前段の出力部94から出力されたストレス推定値を取得する。
【0114】
操作信号取得部72は、リモコン200の入力部220から入力されたマッサージコース選択に関する操作信号を受け付ける。
【0115】
基準値記憶部73は、出荷前に各種実験結果により定められた所定値、またはマッサージチェア100をユーザが過去に利用した際に算出されたストレス推定値などを、ストレス推定値の基準値として記憶している。
【0116】
コース選択部74は、ストレス推定値に応じて、マッサージコースを選択する。ストレスの度合いが大きいほど、ストレス低減効果の有るマッサージコースを選択する。このマッサージコースは、あらかじめ被験者実験によって決定したものである。なお、ユーザからコース指定があった場合、すなわちコース選択に関する操作信号があった場合は、当該操作信号による指定を優先してマッサージコース選択を行う。
【0117】
出力部75は、コース選択部74で選択されたマッサージコースをマッサージ制御部80、マッサージコース記憶部60へ出力する。
【0118】
図8を使用して、コース選択部74における、ストレス推定結果によるコース選択、およびCVRR値との関係について説明する。
【0119】
算出したCVRR値が小さいほどストレスの度合いが大きいと判断して、よりストレス低減効果の大きいコースを選択する。本実施例では、算出したCVRR値が3.5%未満のとき、ストレスが非常に大きいと判断して、ストレス低減効果が最も大きいAコースを選択し、算出したCVRR値が3.5%以上、4.5%未満のとき、ストレスが大きいと判断して、ストレス低減効果が次に大きいBコースを選択し、算出したCVRR値が4.5%以上のとき、ストレスが小さいと判断して、ストレス低減効果が最も小さいCコースを選択している。
【0120】
なお、同図には後述する実験結果も併せて記載されている。
【0121】
同図中の各コースにおける動作の内訳の一例は下記のとおりである。なお、カッコ内の数字はそのコースに占める動作の時間的割合を示しており、動作がa動作、b動作、c動作、d動作、その他の動作の順に実行されるという訳ではない。
【0122】

・Aコース:ストレス低減効果が最も大きいストレス低減効果があるコース
a動作(40%)+b動作(30%)+c動作(10%)+d動作(10%)+その他(10%)
・Bコース:ストレス低減効果よりもコリ改善などのマッサージ効果を優先したコース
a動作(30%)+b動作(20%)+c動作(20%)+d動作(20%)+その他(10%)
・Cコース:ストレス低減効果は小さいが疲労回復などのリフレッシュ効果があるコース
a動作(10%)+b動作(20%)+c動作(30%)+d動作(30%)+その他(10%)

ストレス低減効果は、a動作>b動作>c動作>d動作、である。もみ玉12の動作が大きいほど、ストレス低減効果が薄いとされている。これは、もみ玉12の動作が大きいほどユーザへの刺激が大きくなり、副交感神経に対して交感神経が優位となってストレスが大きくなることが理由であると考えられる。なお、例えばa動作にはもみ動作が使用され、b動作には指圧動作が使用され、c動作にはたたき動作が使用され、d動作にはたたきもみ動作が使用され、その他動作にはローリング動作が使用される。a動作、b動作、c動作、d動作、その他の動作は出荷前にマッサージチェア100に設定される。
(マッサージ制御部80の構成)
以下において、上述したマッサージ制御部80の構成について、図面を参照しながら説明する。図9は、本発明の一実施形態に係るマッサージ制御部80の構成を示す機能ブロック図である。
【0123】
図9に示すように、マッサージ制御部80は、コース指定信号取得部81、タイマ82、肩位置情報取得部83、コース動作制御部84、指示部85、その他制御部86を有する。
【0124】
コース指定信号取得部81は、前段の出力部75から出力されたマッサージコース、およびマッサージコース記憶部60のプログラム出力部75から出力されたマッサージコースプログラムを取得する。
【0125】
タイマ82は、マッサージ動作等を制御する上から時間情報が必要となるので、コース動作制御部84や他の機能部に対して時間情報を出力する。
【0126】
肩位置情報取得部83は、背もたれ部10の肩位置センサ11から出力される肩位置情報を取得する。
【0127】
コース動作制御部84は、取得されたマッサージプログラムに従って、既出のマッサージシーケンスにおけるユーザへのマッサージ施療動作の制御を行う。例えば、もみ玉12、モータ14、エアバック15,21,31及び指圧部41などの制御、及びリクライニング制御を行うべく、機能部毎に制御情報を出力する。
【0128】
指示部85は、コース動作制御部84からの制御情報を、背もたれ部10、座部20、フットレスト部30、足裏部40、リクライニング制御部120などのうちの対応する機能部に対して制御情報を送信することで指示を行う。
【0129】
その他制御部86は、マッサージシーケンスにおけるマッサージ動作以外のマッサージチェア100における動作制御を行う。例えば、リモコン200の入力部220、表示部230との間の制御や電源周りの制御等を行う。
(マッサージコース記憶部60の構成)
以下において、上述したマッサージコース記憶部60の構成について、図面を参照しながら説明する。図10は、本発明の一実施形態に係るマッサージコース記憶部60の構成を示す機能ブロック図である。
【0130】
図10に示すように、マッサージコース記憶部60は、ベースアドレス算出部61、メモリ部62、プログラム出力部63を有する。
【0131】
ベースアドレス算出部61は、前段の出力部75から出力されたマッサージコースを取得し、そのマッサージコースが格納されているメモリ上のアドレス(ベースアドレス)を出力する。
【0132】
メモリ部62には各マッサージコースのプログラムが格納されており、メモリ部62は、ベースアドレスに相対アドレスを付加して、出力部75から出力されたマッサージコースに対応したマッサージコースプログラムを読み出す。なお、プログラムには、そのマッサージコースに含まれる動作や使用するモータ・エアバッグ等、施療時間、強度等が含まれる。
【0133】
プログラム出力部63は、読み出されたマッサージコースプログラムをマッサージ制御部80へ出力する。
(全体の動作フロー)
次に、図11を使用して、ユーザに施される一連のマッサージ動作について説明する。
【0134】
電源がONされると、動作はステップS100へ移行する。
【0135】
ステップS100では、肩位置センサ11を使用してマッサージ制御部80が肩位置を検出する。この肩位置に従って、背中、腰等の位置が確定し、ユーザのマッサージ施療範囲が決定される。次にステップS1000と、ステップS400へ移行する。
【0136】
当該ステップS1000−1は、既に上で述べた心拍情報処理演算部50における心拍変動係数の算出である(ステップS1001〜ステップS1007)。マッサージ施療前の心拍変動係数を算出する。次にステップS200−1へ移行する。
【0137】
ステップS200−1では、ストレス推定部90においてストレス推定値を算出する。なお、この際、表示部230はマッサージ施療前のユーザの推定されたストレス状態をストレス推定値に従って表示する。次にステップS300へ移行する。
【0138】
ステップS300では、マッサージコース選択部70がストレス推定値に従ってマッサージコースを選択する。また、この際、表示部230はマッサージのコースが選択された旨の出力、例えば、コース選択終了の旨の報知、選択されたコースの表示(コースランプの点灯でも可)、を行う。なお、マッサージ施療前のストレス推定値の表示を、この段で併せて行ってもよい。
【0139】
ステップS400では、上記ステップS1000−1〜ステップ200−1〜ステップS300の動作と並行して、すなわち、マッサージ制御部80がマッサージ工程の制御を開始する前であって、かつ、心拍センサ210においてユーザの生体情報の取得を開始してからマッサージコース選択部70においてユーザに施すマッサージのコースを選択するまでに、ユーザへの事前のマッサージであるイニシャルマッサージを施療する。イニシャルマッサージは、急にマッサージ負荷がユーザの体に掛からない様にマッサージ施療前にユーザに予備的に負荷を掛けるために、または心拍情報の取得やストレス推定、マッサージコース選択に時間が係るので、ユーザを飽きさせないために実行される。この目的のためになされるのであれば、予備マッサージや本マッサージとは別のイニシャルマッサージと見做してよい。なお、イニシャルマッサージは、マッサージコース選択部70においてユーザに施すマッサージのコースを選択するまでに行う物であってもよく、また、肩位置検出を開始してから行うものであってもよい。
【0140】
なお、本実施形態では既に述べたように心拍情報の有効、無効を判定するが、このイニシャルマッサージと心拍変動係数の算出を並行して行う局面が、本実施形態のマッサージチェアが効果を発揮する一つの局面である。すなわち、通常の場合と比べて、イニシャルマッサージによる外的刺激により無効な心拍情報の取得が発生する頻度が増加するからである。
【0141】
ステップS500では、選択されたマッサージコースに従って、ユーザにマッサージの施療を開始する。施療されるマッサージは予備マッサージと本マッサージからなる。予備マッサージは、ユーザのツボのコリ感、および背面全体のコリ感を調べるためにユーザに施されるマッサージであり、本マッサージは、予備マッサージでの調査結果に従って、実際にユーザに施されるマッサージである。予備マッサージと本マッサージは1組で扱われ各々1回ずつ施療される。その後ステップS1000−2へ移行する。
【0142】
当該ステップS1000−2は、既に上で述べた心拍情報処理演算部50における心拍変動係数の算出である。マッサージ施療中の心拍変動係数を算出する。次にステップS200−2へ移行する。
【0143】
ステップS200−2では、ストレス推定部90においてストレス推定値を算出する。なお、この際、表示部230はマッサージ施療中のユーザの推定されたストレス状態や既出の評価用の文章をストレス推定値に従って表示する。なお、表示部230は本体部110から送出されるマッサージ制御部80が評価したマッサージ効果の評価結果を表示してもよい。次にステップS600へ移行する。
【0144】
ステップS600では、上記の予備マッサージ1回と本マッサージ1回を1組としたマッサージ施療が終了したか判断し、マッサージ施療の終了後に、所定の組数だけ実施されたかどうかが判断される。所定の組数だけ実施された場合はステップS1000−3へ移行し、所定の組数だけ実施されていない場合はステップS500へ戻る。なお、本実施形態では、ステップS200−2におけるストレス状態の推定、およびストレス推定値等の表示は、任意の回数、任意のタイミングで実行される。よって、必ずしも当該ステップS500〜ステップS600のループの度に実行される訳ではない。
【0145】
なお、本実施形態では既に述べたように心拍情報の有効、無効を判定するが、このマッサージ施療中に心拍変動係数の算出を行う局面が、本実施形態のマッサージチェアが効果を発揮する一つの局面である。すなわち、通常の場合と比べて、マッサージによる外的刺激により無効な心拍情報の取得が発生する頻度が増加するからである。
【0146】
当該ステップS1000−3は、既に上で述べた心拍情報処理演算部50における心拍変動係数の算出である。マッサージ施療後の心拍変動係数を算出する。次にステップS200−3へ移行する。
【0147】
ステップS200−3では、ストレス推定部90においてストレス推定値を算出する。なお、この際、表示部230はマッサージ施療後のユーザの推定されたストレス状態や既出の評価用の文章をストレス推定値に従って表示する。また、マッサージ施療前のストレス状態(ストレス推定値を含んでも良い)とマッサージ施療後のストレス状態(ストレス推定値を含んでも良い)の表示も行う。これにより、ユーザはマッサージによるストレス低減の程度、ストレス改善効果を把握する事ができる。なお、表示部230は、本体部110から送出されるマッサージ制御部80が評価したマッサージ効果の評価結果を表示してもよい。
(作用及び効果)
本発明の一実施形態に係るマッサージチェア100によれば、心拍情報処理演算部50で心拍情報が有効である期間である有効期間を検出して有効期間のみの心拍周期を用いて心拍変動係数を算出し、ストレス推定部90でストレス推定値を算出し、マッサージコース選択部70でマッサージコースを選択して、ユーザにマッサージを施療する。よって、ユーザのストレスの度合いを推定して、ユーザに施すマッサージコースを選択し、ユーザに対してストレスを改善するマッサージを行うマッサージ機器およびマッサージプログラムを提供することができる。
【0148】
また、表示部230でマッサージコースの自動選択が終了した旨の報知やマッサージ施療前に推定したストレス値の表示、ユーザに施されるマッサージコースの表示(マッサージコースの名称の表示や、コースランプの点灯を含む)、残り時間などの情報の表示、およびユーザのストレスに関する情報(例えば前記ユーザのストレスの度合い(例えば、上述のストレス推定値や評価用の文章など)やストレスの度合いの変化についての表示、または変化した旨の表示、マッサージ制御部80が評価したユーザのストレスの度合いの変化に関する善・悪・不変の評価など)の表示等がなされる。これにより、ユーザのストレスの度合いを推定して、ユーザに施すマッサージコースを選択してユーザにマッサージを施療し、マッサージのコースが選択された旨の出力を行うマッサージ機器およびマッサージプログラムを提供することができる。
【実施例1】
【0149】
次に、本実施形態のマッサージチェア100のストレス改善効果を確認する実験について述べる。
【0150】
実験の概要は以下のとおりである。
【0151】

・被験者数:18名(A、B、Cの各マッサージコースに各々6名)
・実験内容:本実施形態のマッサージチェア100によるマッサージを行い、
心拍情報としてマッサージ前後、及びマッサージコース中の心電位を計測。 (サンプリング:サンプリング周波数=1kHz)

各マッサージコースの特徴を下記に示す。
【0152】

(マッサージコースA)ストレス低減効果があるコース
(マッサージコースB)コリ改善などのマッサージ効果があるコース
(マッサージコースC)疲労回復などのリフレッシュ効果があるコース

上記の計測した心電位サンプリングデータを使用して、マッサージ前後の心拍数、心拍変動係数を算出した。
【0153】
図12に、実験結果(心拍数の変化)を示す。心拍数の変化では、マッサージコース開始時とマッサージコース終了時で、マッサージコースによる顕著な差違は見られなかった。
【0154】
このことにより、マッサージコースの違いに関わらず、次に示す心拍変動係数の変化において心拍数の変化による影響がほとんど含まれていないことが分かる。これにより、定常的なストレスの変化を計測していると言うことができる。
【0155】
図13に、実験結果(心拍変動係数の変化)を示す。Aコースはストレス低減効果があるコースなのでマッサージ終了時は開始前と比べて上昇しているべきところ実験結果もそうなっている。Bコースはコリ改善などのマッサージ効果があるコースなのでマッサージ終了時は開始前と比べて変動が少なくあるべきところ実験結果もそうなっている。Cコースは疲労回復などのリフレッシュ効果があるコースなのでマッサージ終了時は開始前と比べて減少しているべきところ実験結果もそうなっている。なお、ユーザに外乱を付加しているので、マッサージ施療中はユーザの緊張の度合いが時々刻々変化しており、結果として同図に示すようにマッサージ終了時とは異なる結果となっている。
【0156】
このことにより、マッサージコース開始前に推定したストレスの度合いに応じて、CVRR値が算出され、A、B、Cの各マッサージコースが自動的に選択されることで、ユーザに、ストレス低減、コリ改善、リフレッシュの各効果を与えることができると言う事ができる。
【0157】
なお、図8の心拍変動係数増加値の列に、この実験結果による算出値を記載している。心拍変動係数増加値は、「(コース終了時の心拍変動係数算出値)− (コース開始時の心拍変動係数算出値)」で与えられる。
【0158】
以上のように、本実施形態のマッサージチェア100ではストレス改善効果があることが確認された。
【0159】
以上の実験の結果から、本発明者らがCVRRを、ユーザのストレスの度合いを推定して、ユーザに施すマッサージコースを選択するマッサージ機器およびマッサージプログラムに適用することを思い立ったものである。
(その他の実施形態)
先に述べたように、上の実施形態はマッサージ機器の一例としてマッサージチェアを例に説明を行ってものであり、上の実施形態で開示された発明は、マッサージチェアに限られず、他のマッサージチェア以外のマッサージ機器でも適用可能である事に留意すべきである。すなわち、上の実施形態における、肩検出や、背もたれ部、フットレスト部および足裏部のリクライニング制御などの記載はマッサージチェア特有の記載であることを念頭に勘案すれば、他のマッサージ機器への適用は容易に想到できる。
【0160】
ユーザに施すマッサージの動作を決定する動作決定部は、上記では定められたマッサージコースの中から所定のマッサージコースを選択するマッサージコース選択部70を例に挙げて説明を行ったが、動作決定部はコースを選択するものだけでなく、もみ動作、指圧動作、たたき動作、たたきもみ動作、ローリング動作などを組み合わせるなどして、ユーザに施すマッサージの動作を決定するものであってもよい。
【0161】
上実施形態では、ストレス低減を目的とするコース、ユーザのコリ改善を目的とするコース、及び、ユーザの疲労回復を目的とするコースの3つを例として説明を行ったが、マッサージコースはこの3つに限られない。
【0162】
また、上実施形態では、心電位を使用して心拍変動係数を計算したが、脈波等のバイタルデータを代替データとして使用しても良い。
【0163】
また、上実施形態では、本マッサージ以外にイニシャルマッサージや予備マッサージを行ったが、これらのマッサージが施されるタイミングや数、程度は上実施形態の例に限られず、任意に実行可能である。また、イニシャルマッサージや予備マッサージを行わなくてもよい。
【0164】
本実施の形態における制御ユニットは、ハードウェア的には、任意のコンピュータのCPU、メモリ、その他のLSIなどで実現できる。ただし、当該機能ブロックが、ハードウェアのみ、ソフトウェアのみ、あるいは、それらの組合せ等、いろいろな形態で実現できることは言うまでもない。図2では、機能部で表されているのでハードウェア的に捉えられがちであるが、当該機能部を機能ステップに置き換えて考えることで容易にソフトウエア的に捉えることができる。また、ソフトウエアの動作フローは、図5、図11のマッサージ動作をソフトウエアの制御に置き換えて考えるなどすることで容易にソフトウエア的に捉えることができる。
【0165】
本発明の実施の形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。以上の実施の形態は、あくまでも、本発明の一つの実施形態であって、本発明ないし各構成要件の用語の意義は、以上の実施の形態に記載されたものに制限されるものではない。
【符号の説明】
【0166】
10 背もたれ部(マッサージ部)
20 座部(マッサージ部)
30 フットレスト部(マッサージ部)
40 足裏部(マッサージ部)
50 心拍情報処理演算部(制御ユニット)
52 心拍周期演算部
53 変化量算出部
55 有効区間検出部
56 心拍変動係数算出部
60 マッサージコース記憶部
70 マッサージコース選択部(制御ユニット)
74 コース選択部
80 マッサージ制御部(制御ユニット)
90 ストレス推定部(制御ユニット)
93 ストレス推定値算出部
100 マッサージチェア(マッサージ機器)
110 本体部
200 リモコン
210 心拍センサ(生体情報取得部)
220 入力部
230 表示部(出力部)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザにマッサージを施すマッサージ部と、
前記ユーザの生体情報を取得する生体情報取得部と、
前記生体情報取得部で取得された前記生体情報に基づいて、前記ユーザのストレスの度合いを推定するストレス推定部と、
前記ストレス推定部によって推定された前記ユーザのストレスの度合いに基づいて、前記マッサージ部が前記ユーザに施すマッサージの動作を決定する動作決定部とを備える
マッサージ機器。

【請求項2】
前記生体情報取得部で取得される前記ユーザの生体情報は、心拍に関する情報であり、
前記心拍に関する情報から前記ユーザの心拍周期を検出し、検出された前記心拍周期を用いて前記心拍周期のゆらぎの程度に関する値である心拍変動係数を算出する心拍情報処理演算部を備え、
前記ストレス推定部は、前記心拍情報処理演算部で算出された前記心拍変動係数に基づいて前記ユーザのストレスの度合いを推定する
請求項1に記載のマッサージ機器。

【請求項3】
前記心拍情報処理演算部は、
所定期間における時間軸方向に対する前記心拍周期のデータを1次関数で近似したときの傾きの値を算出する変化量算出部と、前記変化量算出部が算出した前記傾きの値が閾値以内と判定された前記所定期間の一部または全部である区間を有効区間として検出する有効区間検出部を有し、
前記有効区間検出部が検出した前記有効区間の前記心拍周期を用いて前記心拍変動係数を算出する
請求項2に記載のマッサージ機器。

【請求項4】
前記マッサージ部は、
前記ユーザに対する、前記動作決定部において前記ユーザに施すマッサージの動作を決定するまでに、前記ユーザへの事前のイニシャルマッサージの施療を開始する
請求項1から3の何れかに記載のマッサージ機器。

【請求項5】
マッサージ機器に搭載されたプロセッサを、前記マッサージ機器を制御する制御ユニットとして、機能させるマッサージプログラムであって、
ユーザにマッサージを施すマッサージステップと、
前記ユーザの生体情報を取得する生体情報取得ステップと、
前記生体情報取得ステップで取得された前記生体情報に基づいて、前記ユーザのストレスの度合いを推定するストレス推定ステップと、
前記ストレス推定ステップによって推定された前記ユーザのストレスの度合いに基づいて、前記マッサージステップが前記ユーザに施すマッサージの動作を決定する動作決定ステップとを備える
マッサージプログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−220820(P2010−220820A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−71494(P2009−71494)
【出願日】平成21年3月24日(2009.3.24)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】