説明

マッサージ装置

【課題】 より手もみ感覚に近いマッサージを行うことができるマッサージ装置を提供すること。
【解決手段】 脚マッサージ部2は、脚Lを収容する凹状の溝部13,13が形成され、溝部13,13の内側面17a,17a,17b,17bには、溝部13,13の開口19側に位置する上部エアバッグ18a,18a,18c,18cと、底面20側に位置する下部エアバッグ18b,18b,18d,18dとが溝部13,13の長手方向に直交する方向に並んで設けられ、上部エアバッグ18a,18a,18c,18c及び下部エアバッグ18b,18b,18d,18dが、互いに近接する端部26,26,…においてそれぞれ内側面17a,17a,17b,17bに固定されて、略同時に膨張することにより被施療部のマッサージを行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアバッグの膨張収縮により脚、腕等の肢体のマッサージを行うマッサージ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば人の脚や腕が挿入される凹状の溝部が形成され、この溝部の内側面に、空気の給排気により膨張収縮するエアバッグが設けられたマッサージ装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1に記載のマッサージ装置では、ユーザが溝部に例えば脚を挿入した後、溝部の両側面に設けられた2つのエアバッグが膨縮して脚を左右から押圧することによって、マッサージ効果が得られるようになっている。
【0003】
しかしながら、人の手で脚をマッサージする場合は、その脚の中央より外側寄り又は内側寄りを上下から挟み込むようにしてもんだり、上方から下方向に押したりすることが多く行われるため、脚の両側方から略水平方向に押圧する従来のマッサージ装置では、ユーザが受けるマッサージ感覚が手もみの場合とは異なり、ユーザに違和感を感じさせてしまうおそれがある。
【特許文献1】特開2000−316932号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、より手もみ感覚に近いマッサージを行うことができるマッサージ装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような課題を解決するために、本発明は、肢体を収容する凹状の溝部が形成され、該溝部の内側面には、該溝部の開口側に位置する第1エアバッグと、底面側に位置する第2エアバッグとが該溝部の長手方向に直交する方向に並んで設けられ、前記第1エアバッグ及び前記第2エアバッグが、互いに近接する側においてそれぞれ前記内側面に固定されて、略同時に膨張することを特徴とする。
【0006】
または、肢体を収容する凹状の溝部が形成され、該溝部の互いに対向する内側面のそれぞれには、該溝部の開口側に位置する第1エアバッグと、底面側に位置する第2エアバッグとが該溝部の長手方向に直交する方向に並んで設けられ、前記第1エアバッグ及び前記第2エアバッグが、互いに近接する側においてそれぞれ前記内側面に固定され、一方の内側面に設けられた第1エアバッグと、他方の内側面に設けられた第2エアバッグとが一対で略同時に膨張することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、第1エアバッグと第2エアバッグが互いに近接する側においてそれぞれ内側面に固定されているので、近接していない側が膨張することでより手もみ感覚に近いマッサージを行うことができるマッサージ装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明を実施するための最良の形態について説明する。
【0009】
図1は本実施の形態に係るマッサージ装置としての脚マッサージ部を有するマッサージチェアを示す。マッサージチェア1は、脚マッサージ部(オットマン)2の他に、基部3と、基部3に載置された座部4と、座部4の両側方に設けられた肘掛け部5,5と、座部4の後縁部にリクライニング可能に設けられた背凭れ部6とを有している。座部4及び背凭れ部6には腰掛けたユーザ(被施療者)の身体の各部位をマッサージするためのエアバッグ等の施療子(図示略)が内蔵されている。マッサージチェア1は、マッサージモードとして例えば通常モードと手もみモードとを備え、モードごとに複数のコースが設定されている。そして、ユーザはリモコン7の操作によって所望のモード及びコースを選択することができるようになっている。
【0010】
脚マッサージ部2は、基部3の前方に設けられ、脚マッサージ部電動昇降機構(図示略)によって座部4に対して所定範囲内の任意の角度で傾斜し昇降可能となっている。脚マッサージ部2の外表面は例えばカバー(図示略)によって覆われている。
【0011】
図2及び図3は、外表面を覆うカバーを除いた脚マッサージ部を示す。脚マッサージ部2は、左右の側壁10,10と、これらの側壁10,10の中間に配される仕切壁12とが例えば一体に形成されて、断面U字状(凹状)の溝部13,13が左右に形成されている。
【0012】
これらの溝部13,13はユーザの肢体である脚を載置するためのものであり、各溝部13の両側方にはユーザの脚(下腿部)を膨張収縮によりマッサージするエアバッグ16(図4参照)が内蔵されている。具体的には、各溝部13の側壁10側の内側面17aには第1エアバッグとしての上部エアバッグ18aと、第2エアバッグとしての下部エアバッグ18bとが、また各溝部13の仕切壁12側の内側面17bには第1エアバッグとしての上部エアバッグ18cと、第2エアバッグとしての下部エアバッグ18dとが、それぞれ設けられている。上部エアバッグ18aと下部エアバッグ18bとは内側面17aにおいて溝部13の長手方向(延在方向、図2のX方向)と略直交する方向(図2のY方向、上下方向)に並設され、溝部13の開口19側に上部エアバッグ18aが、底面20側に下部エアバッグ18bが位置している。同様に、上部エアバッグ18cと下部エアバッグ18dとは内側面17bにおいて溝部13の長手方向と略直交方向に並設され、開口19側に上部エアバッグ18cが、底面20側に下部エアバッグ18dが位置する。
【0013】
また、上部エアバッグ18a,18c及び下部エアバッグ18b,18dは、互いに近接する側の端部、すなわち内側面17a,17bのそれぞれ上下方向(Y方向)中央寄りに位置する端部26,26,26,26がビス28等によって固定されて、内側面17a,17bに取り付けられる。さらに、これらの上部エアバッグ18a,18c、下部エアバッグ18b,18dはすべて略同一の大きさとなっている。
【0014】
エアバッグ16(上部エアバッグ18a,18a,18c,18c、下部エアバッグ18b,18b,18d,18d)は、図4に示すエア給排気装置24によって膨張収縮するようになっている。エア給排気装置24は、エアポンプ21を備え、エアポンプ21には上部エアバッグ18a,18a,18c,18c、下部エアバッグ18b,18b,18d,18dがそれぞれ分岐した給排気管22によって接続されている。給排気管22の分岐した各管路には三方弁で構成された電磁弁23が設けられ、各電磁弁23はエアポンプ21とエアバッグ16との連通・遮断、給排気管22の開放を選択的に行うようになっている。すなわち、電磁弁23によってエアポンプ21とエアバッグ16とが連通されると、エアポンプ21からの圧搾空気がエアバッグ16内に流入してエアバッグ16に給気され、内圧が変化して膨張する。つぎに、エアポンプ21とエアバッグ16とが遮断されると、エアバッグ16の膨張状態が維持される。さらに、給排気管22が開放されると、給排気管22を介してエアバッグ16が大気と連通し、エアバッグ16内の空気が大気に排出されて排気されエアバッグ16が収縮する。
【0015】
エアポンプ21及び電磁弁23は、リモコン7からの制御信号に従って制御部25により動作制御される。リモコン7はユーザの操作に応じた信号を制御部25に出力する。
【0016】
マッサージチェア1のユーザがリモコン7によって、例えば手もみモードうちの所定のコースを選択すると、制御部25の制御によって、図5に示すように、脚マッサージ部2の内側面17a,17aの上部エアバッグ18a,18aと下部エアバッグ18b,18bとが(すなわち溝部13,13において同一の側面上に位置するエアバッグ同士が)、一対で略同時に膨張する。そして、その後上部エアバッグ18a,18aと下部エアバッグ18b,18bとは同じタイミングで略同時に収縮と膨張を繰り返す。
【0017】
ここで、上部エアバッグ18a,18a及び下部エアバッグ18b,18bは内側面17a,17aの上下方向(Y方向)中央寄りの一端、すなわち互いに近接する側の端部26,26,26,26,で固定されているので、上部エアバッグ18a,18a、下部エアバッグ18b,18bの膨張時、端部26,26,26,26と対向する端部27側を端部26側よりも大きく膨張させることができる。すなわち、上部エアバッグ18a,18a、下部エアバッグ18b,18bは、エア給排気装置24によって給気されると、端部26,26,26,26を固定位置として、溝部13,13の開口19側又は底面20側が大きく膨張する。
【0018】
これによって、溝部13,13に収容されたユーザの脚Lの中央より外側寄りが、斜め上方向と斜め下方向とから同時に押圧を受け、ユーザは上下から挟んでもまれるような手もみマッサージに近い感覚を得られることができる。また、上部エアバッグ18a,18aと下部エアバッグ18b,18bとはその大きさが略同一であるため、斜め上方向からと斜め下方向からとでユーザの脚Lを略同じ力で押圧することができ、上下で均一なマッサージを実現することができる。
【0019】
一方、ユーザの脚Lの中央より内側寄りをマッサージするために、脚マッサージ部2の内側面17b,17bの上部エアバッグ18c,18cと下部エアバッグ18d,18dとが一対で略同時に膨張するようにしてもよい。これによって、ユーザの脚Lの内側寄りのマッサージにも外側寄りの場合と同様の効果が得られる。
【0020】
さらに、内側面17a,17aにおける一対のエアバッグ(上部エアバッグ18a,18a及び下部エアバッグ18b,18b)の同時膨張と、内側面17b,17bにおける一対のエアバッグ(上部エアバッグ18c,18c及び下部エアバッグ18d,18d)の同時膨張とが交互に行われるようにしてもよい。これによって、ユーザの脚Lの外側寄りと内側寄りとをまんべんなく均一にマッサージすることが可能となる。
【0021】
つぎに、ユーザがリモコン7によって、手もみモードうちの他の所定のコースを選択すると、制御部25の制御によって、図6に示すように、脚マッサージ部2の内側面17a,17aの上部エアバッグ18a,18aと内側面17b,17bの下部エアバッグ18d,18dとが(すなわち溝部13,13において一方の線D1(脚の外側寄り上方と内側寄り下方とを結ぶ線)上に位置するエアバッグ同士が)、一対で略同時に膨張する。そして、その後上部エアバッグ18a,18aと下部エアバッグ18d,18dとは同じタイミングで略同時に収縮と膨張を繰り返す。
【0022】
これによって、ユーザの脚Lが線D1に沿う方向に上下から同時に押圧を受け、ユーザは上方向から下方向に、また下方向から上方向に、押されるような手もみマッサージに近い感覚を得られることができる。また、このように押圧されることによって、脹脛部のツボがより的確に刺激されるとともに、押圧力によって脚がずれるようなこともなくしっかりと固定された状態でマッサージを受けることができる。さらに、上部エアバッグ18a,18aと下部エアバッグ18d,18dとはその大きさが略同一であるため、均一なマッサージを実現することができる。
【0023】
一方、他方の線D2(脚の内側寄り上方と外側寄り下方とを結ぶ線)に沿う方向にユーザの脚Lを押圧するために、図7で示すように、脚マッサージ部2の内側面17b,17bの上部エアバッグ18c,18cと内側面17a,17aの下部エアバッグ18b,18bとが一対で略同時に膨張するようにしてもよい。これによって、他方の線D2に沿う方向にも同様の効果が得られる。
【0024】
さらに、一方の線D1上における一対のエアバッグ(内側面17aに設けられた上部エアバッグ18a,18a及び内側面17bに設けられた下部エアバッグ18d,18d)の同時膨張と、他方の線D2上における一対のエアバッグ(内側面17bに設けられた上部エアバッグ18c,18c及び内側面17aに設けられた下部エアバッグ18b,18b)の同時膨張とが交互に行われるようにしてもよい。これによって、ユーザの脚Lの一方の線D1に沿う方向と他方の線D2に沿う方向とをまんべんなく均一にマッサージすることが可能となる。
【0025】
なお、本発明は上述した実施の形態に限られるものではなく、例えば本実施の形態では脚をマッサージする脚マッサージ部として説明したが、例えばマッサージを受ける肢体は腕等の身体部位であってもよく脚に限定されるものではない。また、マッサージチェアに設けられるものに限定されず、他のマッサージ機に設けられてもよいし、単体であってもよい。
【0026】
また、本実施の形態に係る脚マッサージ部では、その選択されるコースに合わせて、同一の側面上に位置するエアバッグが一対で略同時に膨張したり、一方の内側面上に位置する開口側のエアバッグと他方の内側面上に位置する底面側のエアバッグとが一対で略同時に膨張したり、さらにはこれらの対と他の対とで膨張させる対を交互に換えたりすることとしたが、これらすべての機能を有する必要はなく、いずれかの機能を有していれば足りる。
【0027】
さらには、溝部の両側方に4つのエアバッグを備えていなくても、少なくともその有する機能に応じて必要なエアバッグが設けられていればよい。また、各エアバッグは、その有する機能によってはそれぞれ別体でなくてもよく、例えば互いに連通する2つのエア室が形成された1つのエアバッグを溝部の内側面に設けることによって、上部エアバッグと下部エアバッグとを一体とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本実施の形態に係る脚マッサージ部を有するマッサージチェアを示す斜視図である。
【図2】図1の脚マッサージ部のカバーを除いた状態を示す斜視図である。
【図3】図2に示す脚マッサージ部を正面から見た図である。
【図4】脚マッサージ部の制御に関する構成を模式的に説明するブロック図である。
【図5】脚マッサージ部の同一側面上に位置する一対のエアバッグが膨張した状態を説明する図である。
【図6】脚マッサージ部の一方の線D1上に位置する一対のエアバッグが膨張した状態を説明する図である。
【図7】脚マッサージ部の他方の線D2上に位置する一対のエアバッグが膨張した状態を説明する図である。
【符号の説明】
【0029】
2 脚マッサージ部(マッサージ装置)
13 溝部
17a,17b 内側面
18a,18c 上部エアバッグ(第1エアバッグ)
18b,18d 下部エアバッグ(第2エアバッグ)
19 開口
20 底面
L 脚(肢体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
肢体を収容する凹状の溝部が形成され、
該溝部の内側面には、該溝部の開口側に位置する第1エアバッグと、底面側に位置する第2エアバッグとが該溝部の長手方向に直交する方向に並んで設けられ、
前記第1エアバッグ及び前記第2エアバッグが、互いに近接する側においてそれぞれ前記内側面に固定されて、略同時に膨張することを特徴とするマッサージ装置。
【請求項2】
肢体を収容する凹状の溝部が形成され、
該溝部の互いに対向する内側面のそれぞれには、該溝部の開口側に位置する第1エアバッグと、底面側に位置する第2エアバッグとが該溝部の長手方向に直交する方向に並んで設けられ、
前記第1エアバッグ及び前記第2エアバッグが、互いに近接する側においてそれぞれ前記内側面に固定され、
一方の内側面に設けられた第1エアバッグと、他方の内側面に設けられた第2エアバッグとが一対で略同時に膨張することを特徴とするマッサージ装置。
【請求項3】
請求項2に記載のマッサージ装置において、
前記一方の内側面に設けられた第1エアバッグ及び前記他方の内側面に設けられた第2エアバッグが一対で略同時に膨張するマッサージ動作と、前記他方の内側面に設けられた第1エアバッグ及び前記一方の内側面に設けられた第2エアバッグが一対で略同時に膨張するマッサージ動作とを、交互に行うことを特徴とするマッサージ装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のマッサージ装置において、
前記第1エアバッグと前記第2エアバッグとは略同一の大きさであることを特徴とするマッサージ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−95169(P2006−95169A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−286618(P2004−286618)
【出願日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】