説明

マニピュレータ装置

【課題】オペレータがマニピュレータ装置のアームユニットの位置を的確に認識することができ、操作を容易にすることができる。
【解決手段】マニピュレータ装置が、ハンド側旋回動作軸を回転中心として旋回可能に腕部の他端に連結されたハンド部を備えるアームユニットと、使用者の手により操作される操作部と、ハンド側旋回動作軸と同じ方向に配置された操作側旋回動作軸を回転中心として操作部を旋回可能に腕部に連結する連結部と、操作部と連結部との間に介在して配置され、操作側旋回動作軸回りに作用する回転力を検出する力検出用センサとを備える操作ユニットと、力検出用センサにより検出された回転力の大きさに応じてハンド部を旋回させる駆動装置と、駆動装置によりハンド部に付与される駆動力を操作部に伝達し、ハンド部の回動角度に応じて、操作部を旋回させる連動機構とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オペレータ(使用者)の手動操縦により駆動して、対象物に対する処理を行うマニピュレータ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、重量物の運搬や人間が届かない高所の作業などに人間が手動操縦して運搬対象物を持ち上げたり、移動させたりするためのマニピュレータが開発されている。このような従来のマニピュレータは、対象物を把持するために開閉可能とされたハンドと、その一端にハンドが支持されるとともにハンドを自在に移動可能とさせる各種関節を有するアームを備えており、人間の手動操縦によってハンドの位置及び開閉動作を操作することが可能とされている。
【0003】
このような従来のマニピュレータ装置の例として、例えば特許文献1では、人間による操作で重量物を運搬することができるマニピュレータが提案されている。
【0004】
特許文献1に記載のマニピュレータ装置は、オペレータが左右アームの間に立った状態で位置し、各アームにそれぞれ設けられているジョイスティックをそれぞれ左右の手で操作してアームを操縦する。具体的には、ジョイスティックを原点に対して傾けると、ジョイスティックの傾き方向に応じてアームが移動する。
【0005】
従来のマニピュレータ装置におけるアーム操作のためのマン・マシンインターフェースとしては、特許文献1に開示されているジョイスティックのほかにも様々な形態のものが提案されている。例えば、特許文献2に開示されている手持ちの操作器タイプのものや、特許文献3に開示されているトルクセンサを用いたものが提案されている。
【0006】
特許文献2に開示されている手持ちの操作器では、両手で操作器を保持し、親指で多くの操作を実行するという操作方法が採用されている。
【0007】
また、特許文献3に開示されているトルクセンサを用いた操作器では、搬送の対象であるオブジェクトをロボットハンドと作業者とで相持ちし、人間がオブジェクトに力を加えることでセンサがオブジェクトの移動の方向を検出してロボットハンドが移動するという操作方法が採用されている。
【0008】
【特許文献1】特開平9−234684号公報
【特許文献2】特開2005−342891号公報
【特許文献3】特開2008-213119号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1のようにジョイスティックをマニピュレータ装置のマン・マシンインターフェースとして使用する場合、アームの移動のためにジョイスティックを特定の方向へ傾けるという動作によって行うこととなる。すなわち、現在のアームの位置がどのあたりにあるかについては、オペレータはアームの位置を目視により確認する以外に明確に認識することができない。すなわち、アームを伸ばす動作を行う場合は、アームが前方向に伸ばされた状態であるかアームが収縮されている状態であるかにかかわらず、ジョイスティックを前方に傾けるという一義的な動作により操縦を行うこととなる。よって、操縦しているアームがどのような位置にあるか、例えば、アームが目的位置に到達しているか否かについては、オペレータがハンドの位置を目視により判断し、任意の位置でジョイスティックの傾きを戻してアームの運動を停止させるという動作を行うこととなる。
【0010】
また、マニピュレータ装置の用途によっては、オペレータの安全のために、オペレータの前に防護壁を設け、アームの部分だけを防護壁の奥側へ出す場合がある。この場合、オペレータは、防護壁によってハンドを目視できないため、目視によるアームの位置を認識することが難しいという問題もある。
【0011】
したがって、ジョイスティックによってマニピュレータ装置を操作する場合には、アームの位置をオペレータが的確に認識しにくく、操作が煩雑になるという問題がある。
【0012】
特許文献2の操作器でも、具体的なアームの位置の確認は直接目視、またはアームの位置を検出できるようにマニピュレータ装置を構成して、検出結果を操作器に表示する方法を採るなど、目視によりアームの位置を認識する方法が採用されている。そのため、マニピュレータ装置のアームの位置をオペレータが的確に認識しにくいという問題がある。
【0013】
特許文献3の操作器についても、オペレータがオブジェクトを動かした結果の位置によってロボットハンドが移動するようになっているため、オペレータは自己の動きとしてハンドの位置を認識することができるが、ロボットハンドとオペレータとの相持ちの状態での搬送に限られるため、搬送範囲は限られており、高所の作業など多様な作業に対応することが困難である。
【0014】
従って、本発明の目的は、これらの課題を解決することにあって、オペレータ(使用者)がマニピュレータ装置のハンドの位置あるいはアームユニットの位置を的確に認識することができ、その操作を容易にすることができるマニピュレータ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するために、本発明は以下のように構成する。
【0016】
本発明の第1態様によれば、ベース部と、
その一端がベース部に支持された腕部と、その基端から先端へ向かう方向に配置されたハンド側旋回動作軸を回転中心として旋回可能に腕部の他端に連結されたハンド部とを備えるアームユニットと、
ハンド側旋回動作軸回りにハンド部を旋回させる旋回動作駆動装置と、
使用者の手により操作される操作部と、ハンド側旋回動作軸と同じ方向に配置された操作側旋回動作軸を回転中心として操作部を旋回可能に腕部に連結する連結部と、操作部と連結部との間に介在して配置され、操作側旋回動作軸回りに作用する回転力を検出する力検出用センサとを備える操作ユニットと、
旋回動作駆動装置を制御して、力検出用センサにより検出された操作側旋回動作軸回りの回転力の大きさに応じた回動角度にてハンド部を旋回させる制御装置と、
旋回動作駆動装置によりハンド部に対して付与される回転駆動力を操作部に対して伝達し、ハンド側旋回動作軸回りのハンド部の回動角度に応じて、操作側旋回動作軸回りに操作部を旋回させる旋回動作連動機構とを備える、マニピュレータ装置を提供する。
【0017】
本発明の第2態様によれば、ベース部と、
その一端がベース部に支持された腕部と、腕部の延在方向に対して交差するハンド側傾斜動作軸を回転中心として回動可能に腕部の他端に連結されたハンド部とを有するアームユニットと、
ハンド側傾斜動作軸回りにハンド部を回動させて、腕部に対してハンド部を傾斜させる傾斜動作駆動装置と、
使用者の手により操作される操作部と、ハンド側傾斜動作軸と同じ方向に配置された操作側傾斜動作軸を回転中心として操作部を回動可能に腕部に連結する連結部と、操作部と連結部との間に介在して配置され、操作側傾斜動作軸回りに作用する回転力を検出する力検出用センサとを備える操作ユニットと、
傾斜動作駆動装置を制御して、力検出用センサにより検出された操作側傾斜動作軸回りの回転力の大きさに応じた回動角度にてハンド部を回動させる制御装置と、
傾斜動作駆動装置によりハンド部に対して付与される回転駆動力を操作部に対して伝達し、ハンド側傾斜動作軸回りのハンド部の回動角度に応じて、操作側傾斜動作軸回りに操作部を回動させる傾斜動作連動機構とを備える、マニピュレータ装置を提供する。
【0018】
本発明の第3態様によれば、ハンド部は、その基端から先端へ向かう方向に配置され、かつハンド側傾斜動作軸と直交するハンド側旋回動作軸を回転中心として旋回可能に腕部に連結され、
操作ユニットにおいて、連結部は、ハンド側旋回動作軸と同じ方向に配置された操作側旋回動作軸を回転中心として回動可能に操作部を腕部に連結させるとともに、力検出センサは、操作側旋回動作軸回りに作用する回転力をさらに検出可能であって、
ハンド側旋回動作軸回りにハンド部を旋回させる旋回動作駆動装置を備え、
制御装置は、旋回動作駆動装置を制御して、力検出用センサにより検出された操作側旋回動作軸回りの回転力の大きさに応じた回動角度にてハンド部を回動させ、
さらに、旋回動作駆動装置によりハンド部に対して付与される回転駆動力を操作部に対して伝達し、ハンド側旋回動作軸回りのハンド部の回動角度に応じて、操作側旋回動作軸回りに操作部を回動させる旋回動作連動機構を備える、第2態様に記載のマニピュレータ装置を提供する。
【0019】
本発明の第4態様によれば、操作部は、操作側傾斜動作軸をその軸芯として配置され、使用者の手により把持されるグリップ状のハンドルであり、操作側傾斜動作軸と操作側旋回動作軸との交差位置が、ハンドルにおける使用者による把持領域内に配置される、第3態様に記載のマニピュレータ装置を提供する。
【0020】
本発明の第5態様によれば、ハンド部は開閉動作可能であり、
ハンド部の開閉動作を駆動する開閉動作駆動装置をさらに備え、
操作ユニットは、使用者の指により操作されるトリガ部と、トリガ部の動作量を検出するトリガ検出用センサとをさらに備え、
制御装置は、開閉動作駆動装置を制御して、トリガ検出用センサにより検出されたトリガ部の動作量に応じてハンド部を開閉駆動させ、
ハンド部の開閉動作量に連動して、操作ユニットのトリガ部を動作させるトリガ連動機構を備える、第3または第4態様に記載のマニピュレータ装置を提供する。
【0021】
本発明の第6態様によれば、腕部は、鉛直方向および水平方向に揺動可能に支持された上腕部と、直動関節を介して上腕部の延在方向に沿って進退移動可能に上腕部に連結され、その先端にハンド部が連結された前腕部とを備え、
上腕部の鉛直方向の揺動を駆動する鉛直揺動駆動装置と、
上腕部の水平方向の揺動を駆動する水平揺動駆動装置と、
直動関節による前腕部の進退移動を駆動する進退移動駆動装置と、をさらに備え、
操作ユニットにおいて、
操作部は、力検出用センサを介在させて連結部により前腕部に連結され、
力検出用センサは、ハンド側旋回動作軸と同じ方向に配置された第1軸と、ハンド側傾斜動作軸と同じ方向に配置された第2軸と、第1軸および第2軸と直交する第3軸との3軸の方向にて、操作部に作用する力を検出可能であって、
制御装置は、進退移動駆動装置を制御して、力センサにより検出された第1軸沿いの力に応じた動作量にて前腕部の進退移動を行い、水平揺動駆動装置を制御して、力センサにより検出された第2軸沿いの力に応じた動作量にて上腕部を水平方向に揺動させ、垂直揺動駆動装置を制御して、力センサにより検出された第3軸沿いの力に応じた動作量にて上腕部を鉛直方向に揺動させる、第3から第5態様のいずれか1つに記載のマニピュレータ装置を提供する。
【0022】
本発明の第7態様によれば、傾斜動作連動機構は、
ハンド部のハンド側傾斜動作軸に連結されかつハンド側傾斜動作軸回りのハンド部の回動と連動するハンド側傾斜動作プーリと、
操作ユニットの連結部において操作側傾斜動作軸に連結された操作側傾斜動作プーリと、
ハンド側傾斜動作プーリおよび操作側傾斜動作プーリに巻き回された傾斜動作連動ベルトとを備える、第2から第6態様のいずれか1つに記載のマニピュレータ装置を提供する。
【0023】
本発明の第8態様によれば、傾斜動作連動ベルトは、金属ワイヤである、第7態様に記載のマニピュレータ装置を提供する。
【0024】
本発明の第9態様によれば、旋回動作連動機構は、
ハンド部のハンド側旋回動作軸に連結されかつハンド側旋回動作軸回りのハンド部の旋回と連動するハンド側旋回動作プーリと、
操作ユニットの連結部において操作側旋回動作軸に連結された操作側旋回動作プーリと、
ハンド側旋回動作プーリおよび操作側旋回動作プーリに巻き回された旋回動作連動ベルトとを備える、第2から第7態様のいずれか1つに記載のマニピュレータ装置を提供する。
【0025】
本発明の第10態様によれば、旋回動作連動ベルトは、金属ワイヤである、第9態様に記載のマニピュレータ装置を提供する。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、その基端から先端へ向かう方向に配置されたハンド側旋回動作軸を回転中心として旋回可能に腕部に連結されたハンド部を有するアームユニットと、使用者の手により操作される操作部と、ハンド側旋回動作軸と同じ方向に配置された操作側旋回動作軸を回転中心として操作部を旋回可能に腕部に連結する連結部と、操作部と連結部との間に介在して配置され、操作側旋回動作軸回りに作用する回転力を検出する力検出用センサとを有する操作ユニットとが備えられていることにより、使用者の操作における手の動きと、その操作によるハンド部の動作とをより似通った動作とすることができる。具体的には、使用者が操作側旋回動作軸回りに操作部に対して回転力を付与するような動作(操作)を行った場合には、力検出用センサによりこの回転力が検出され、制御装置により、旋回動作駆動装置が制御されて、検出された回転力の大きさ応じた回動角度にてハンド部を旋回させることができる。したがって、使用者は、操作における自己の手の動き(すなわち、手の旋回)の程度で、ハンド部の旋回量および位置を認識することができる。
【0027】
さらに、旋回動作連動機構が備えられていることにより、旋回動作駆動装置によりハンド部に対して付与される回転駆動力を操作部に対して伝達し、ハンド側旋回動作軸回りのハンド部の回動角度に応じて、操作側旋回回動軸回りに操作部を旋回させることができる。すなわち、旋回動作駆動装置によるハンド部の旋回動作と、操作部の旋回動作とを連動させることができる。特に、このような連動は、旋回動作駆動装置とは別に操作部を旋回させるための駆動装置を設けることなく、旋回動作駆動装置の駆動力を用いて、操作部を旋回させている。したがって、連動におけるタイムラグなどを少なくすることが可能となり、高い連動性を実現できる。よって、使用者は、操作部の旋回位置を認識することで、ハンド部の旋回位置を認識することができる。
【0028】
また、このようなハンド部の操作は、ハンド側旋回動作軸回りのハンド部の旋回動作の他に、例えば、腕部の延在方向に対して交差するハンド側傾斜動作軸を回転中心としたハンド部の傾斜動作に対しても適用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下に、本発明にかかる実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0030】
図1A、図1Bは、本発明の一の実施形態にかかるマニピュレータ装置1の構成を示す図であり、図1Aは側面図、図1Bは平面図を示している。図1A、図1Bに示すように、マニピュレータ装置1は、オペレータ(使用者)OPが、自己の背後に沿って配置されたベース(ベース部)2にそれぞれ設けられている左右のアームユニット3r、3lの間に位置し、オペレータOPの左右の両腕でそれぞれ左右のアームユニット3r、3lの操縦を行う。なお、左右のアームユニット3r、3lは左右を区別する場合に添え字のr及びlを付して各構成要素を区別することとし、左右を区別する必要がない場合は添え字を付さずに、単にアームユニット3と表記する。
【0031】
オペレータOPは、マニピュレータ装置1の操縦時において、ベース2に設けられているサドル4に座ってもよいし、立位状態であってもよい。具体的には、オペレータOPの両肩がおおむねベース2と左右のアームユニット3r、3lの関節部分に位置するような高さとなるように、自己の身長等に応じて操縦姿勢を決定すればよい。
【0032】
以下、本実施形態にかかるマニピュレータ装置1の構成を明確に示すため、図1A,図1Bに示すXYZ座標軸系を用いて構成の説明を進める。X軸は、図1Aに示すように、水平方向かつオペレータOPの前後方向に延在する軸であり、オペレータOPの前方向を正方向とする。Y軸は、図1Bに示すように、水平方向かつオペレータOPの左右方向に延在する軸であり、オペレータOPの右方向を正方向とする。Z軸は、鉛直方向に延在する軸であり、上方向を正方向とする。
【0033】
ベース2は、図1A、図1Bに示すように、ほぼZ軸に平行に設けられたスタンド部16と、スタンド部16の上端に設けられた本体部17とを備える。スタンド部16は、オペレータOPの背面に沿うように配置されており、必要に応じてサドル4が設けられている。本体部17は、大略Y軸方向に延在し、オペレータOPの左右の肩胛骨の背面に位置するように設けられる。
【0034】
本体部17の左右両端はオペレータOPの前方へ張り出すように張り出し部分が設けられている。張り出し部分の先端には、本体部17と左右のアームユニット3r、3lの肩部11とを連結するための肩部回転関節18が設けられている。肩部回転関節18は、肩部11をZ軸中心に回転可能に本体部17に連結し、肩部回転関節18によって、アームユニット3r、3lはXY平面上を回動可能(すなわち、水平揺動可能)となる。
【0035】
本体部17には、アームユニット3r、3lの肩部11をZ軸中心に回転させるための肩部アクチュエータ(水平揺動駆動装置)5が左右それぞれに設けられている(右のアームユニット3r用のみ図示)。肩部アクチュエータ5は、本体19と、本体19に対して進退可能なピストン20とを備える直動アクチュエータである。ピストン20は、例えば、本体19に内蔵されているボールねじ(図示せず)によって本体19に対して進退移動可能となっている。肩部アクチュエータ5の本体19が本体部17側に連結され、ピストン20が肩部11のクランク21に連結されている。肩部アクチュエータ5のピストン20がY軸方向に伸縮することにより、肩部11のクランク21がY軸方向に移動し、肩部回転関節18を中心として肩部11を水平方向に揺動駆動させる。
【0036】
本体部17にそれぞれ取り付けられる左右のアームユニット3r、3lは、肩部11、上腕部12、前腕部13、ハンド部14を備えている。アームユニット3r、3lの上腕部12は、回転関節である上腕関節22を介して肩部11に対して回転可能(すなわち、鉛直方向に揺動可能)に連結されている。また、前腕部13は、直動関節である前腕関節23を介して上腕部12に対して長手方向(延在方向)に進退移動自在に連結されている。また、前腕部13の先端にはハンド部14が設けられている。
【0037】
アームユニット3r、3lにおける前腕部13の後端には、操作ユニット15が設けられている。操作ユニット15は、オペレータOPが手Hで把持して力を加えることにより、加えられた力を検出してアームユニット3r、3lを操作する。
【0038】
肩部11は、Z軸方向に長手の部材であり、ベース2の本体部17の張り出し部分の両端に左右対称のものが設けられている。肩部11は、上述のようにベース2の本体部17に肩部回転関節18を介してZ軸中心に回動自在に連結され、アームユニット3r、3lをベース2に対して水平移動可能とする。また、図1A、および上腕部12の構成を示す図2に示すように、肩部11には上腕部12に交差するように設けられる上腕シャフト24を連結するためのシャフト連結部25が設けられている。上腕シャフト24は、後述するように、上腕部12の前腕関節23に連結され、上腕部12に対する前腕部13の傾斜角度を調整する。
【0039】
上腕部12は、上述のように上腕関節22を中心として肩部11に設けられている上腕アクチュエータ(鉛直揺動駆動装置)6によって肩部11に対してY軸中心に上下移動(鉛直方向に揺動)する。また、肩部11がZ軸中心に回動するように構成されているため、アームユニット3r、3lは、肩部11及び上腕部12の回動によって、ベース部材2に対して上下方向および左右(水平)方向に移動可能とされている。
【0040】
上腕アクチュエータ6は、本体27と本体27に対して進退可能に構成されているシリンダ26とを備える直動アクチュエータである。シリンダ26は、たとえば、本体27に設けられているボールねじ(図示せず)によって本体27に対して進退移動可能となっている。上腕アクチュエータ6のシリンダ26の先端26aは、上腕部12に軸支されており、シリンダ26が伸びることで上腕部12を上方(Z軸方向)へ移動させ、シリンダ26が縮むことで上腕部12を下方(Z軸方向)へ移動させる。
【0041】
上腕部12は、その長手方向に沿って移動する直動関節である前腕関節23を備える。前腕関節23は、前腕部13に設けられる前腕アクチュエータ(進退移動駆動装置)7(図3A参照)のスライダ36として機能する。前腕関節23は、上腕部12の先端に設けられている回転部28に対して、回転中心29を中心として回動可能に構成されている。また、前腕関節23に連結されている前腕クランク部30は、上腕シャフト24と連結しており、上腕シャフト24によって、前腕クランク部30の傾斜角度が決定される。
【0042】
上腕シャフト24は、肩部11の上腕関節22の下方に設けられているシャフト連結部25と、上腕部12に対して上方に設けられている前腕クランク部30とにそれぞれ両端部分が連結されている。上腕部12には、上腕シャフト24を貫通させるための貫通孔31(図1B参照)が設けられており、上腕シャフト24がこの貫通孔31を通ることで、上腕部12と上腕シャフト24は互いに交差するように配置される。
【0043】
このよう構成されることにより、図1Aに示すように、上腕部12が上がっているときは、図2の矢印91に示す方向に前腕クランク部30が傾斜し、前腕部13が上腕部12に対して上方に傾斜する。一方、上腕部が下がっているときは、図2の矢印92に示す方向に前腕クランク部30が傾斜し、前腕部13が上腕部12に対して下方に傾斜する。このように上腕シャフト24と前腕関節23を構成することにより、上腕部12が上がったときは、前腕部13が上方に傾斜してより高い位置へ容易にハンド部14を到達させることができるとともに、上腕部12が下がったときは、前腕部13が下方に傾斜してより低い位置へハンド部14を到達させることができる。よって、高所位置及び低所位置におけるハンド部14の到達範囲が広くなり、広い作業領域を確保することができる。
【0044】
図3Aの前腕部13の側面図および図3Bの前腕部13の平面図に示すように、前腕部13は、上腕部12に対して略平行に配置される棒状の本体32の先端にハンド部14を回動可能に配置するための取り付け部33を備える。また、本体32の後端には、操作ユニット15を取り付けるための操作固定部34が設けられている。
【0045】
本体32の下側には、前腕アクチュエータ7が設けられている。前腕アクチュエータ7は、ボールねじ35とスライダ36とを備える直動アクチュエータである。前腕アクチュエータ7のスライダ36は上述の通り、上腕部12の前腕関節23を備えている。前腕アクチュエータ7のボールねじ35を駆動させるためのモータ37が駆動すると,プーリ38を介してボールねじ35が回転し、ボールねじ35に対するスライダ36の位置が移動する。これにより、スライダ36に連結されている前腕部13が上腕部12に対して進退可能に移動する。例えば、図3Aに実線で示す位置にスライダ36(前腕関節23)が位置する場合、前腕部13は上腕部12に重なる部分が多く、前腕部13が収縮した状態となる。一方、図3Aにて点線で示す位置にスライダ36(前腕関節23)が位置する場合、前腕部13は上腕部12に対して伸張した状態となっている。なお、図3Aに示すように、前腕部13において、前腕アクチュエータ7が露出して状態とされているため、オペレータが誤って前腕アクチュエータ7に接触しないようにアクチュエータカバー39が設けられている。
【0046】
操作固定部34は、前腕部13の本体32に対して上方へ突出した突状部分であり、オペレータOP側に操作ユニット15が連結軸40によって軸支される。また、連結軸40は、筒状に構成されており、内部にさらに別の連結軸42を備える。連結軸40及び連結軸42は、それぞれ操作固定部34を挟むように操作側傾斜プーリ41vおよび操作側旋回プーリ41wに接続されている。後述するように操作側傾斜プーリ41vの回転は、連結軸40に連結されているハンド部14の前腕部13に対する傾斜動作と連動する。すなわち、ハンド部14が傾斜動作されると、操作側傾斜プーリ41vの回転角度に連動させて操作ユニット15が傾斜動作される。なお、図3Bに示すように操作側傾斜プーリ41v,操作側旋回プーリ41wにはそれぞれ、後述するハンド部14に連結される傾斜連動ワイヤ(傾斜動作連動ベルト)42v、旋回連動ワイヤ(旋回動作連動ベルト)42wが巻き掛けられており、両ワイヤ42v、42wを引き回すための案内プーリ43v、43wが設けられている。
【0047】
本体32の取り付け部33は、前腕部13の本体32の延在方向に対してハンド部14を傾斜可能(すなわち、図3Aに示す状態にて上下方向に傾斜可能)とするための第1ギア44及び第2ギア45を備える。第1ギア44は、取り付け部33を挟んで前腕部13の反対側面に取り付けられる上下傾斜モータ(傾斜動作駆動装置)8によって駆動され、第2ギア45を駆動させる。第2ギア45がその回転中心である傾斜軸(ハンド側傾斜動作軸)B周りに回転駆動されることで、ハンド部が前腕部13に対して上下方向へ傾斜させる。なお、第2ギア45は、入れ子式に配置された2重の回転軸46、47の外側の軸46によってハンド側傾斜プーリ48vに連結されており、第2ギア45の回転はハンド側傾斜プーリ48vに伝達される。なお、前腕部13の延在方向に対して交差する軸が、傾斜軸Bとなっている。
【0048】
次に、ハンド部14の詳細構成について、図4を用いて説明する。図4に示すように、ハンド部14は、開閉可能な爪を備えた部材であり、前腕部13に対して、上下方向に傾斜動作可能(傾斜軸B周りに回動可能)に、そしてハンド部14の基部から先端に向かう方向に配置された軸(後述する旋回軸C)を中心として旋回動作可能に構成されており、対象物に対する作業(把持による運搬作業など)を行うことが可能とされている。
【0049】
ハンド部14は、固定爪54と固定爪54に対して開閉可能な可動爪55を備える。可動爪55は、固定爪54のフレーム57とリンク部材56a、56bによって連結されている。フレーム57には、爪開閉アクチュエータ(開閉動作駆動装置)10が設けられ、爪開アクチュエータ10がリンク部材56aおよび56bを動作させることで、可動爪55を固定爪54に対して開閉駆動させる。
【0050】
爪開閉アクチュエータ10は、筐体58内にボールねじ59が設けられ、ボールねじ59に沿ってスライダ60が移動する直動アクチュエータである。また、ボールねじ59を駆動するために、モータ61が設けられている。筐体58は固定爪54に連結軸62で連結され、スライダ60は可動爪55を駆動させるためのリンク部材56aに連結軸63で連結される。スライダ60の移動に伴いリンク部材56aおよび56bが進退移動することにより、可動爪55が開閉動作する。
【0051】
また、ハンド部14には、ハンド部14を旋回駆動させる旋回モータ(旋回動作駆動装置)8を備えており、旋回モータ8の駆動によりハンド部14がその基端から先端に向かう旋回軸(ハンド側旋回動作軸)C回りに旋回可能とされている。旋回モータ8の駆動軸の回転はギア64、65を介して固定爪54のフレーム57に伝達され、図4に示す旋回軸Cを中心としてハンド部14が旋回駆動する。なお、ハンド部14の旋回軸Cには、傘歯車53が設けられており、この傘歯車53は前腕部13のギア45に連結する傘歯車52(図3B参照)に連結している。従って、ハンド部14の旋回軸Cを中心とする回転駆動は、前腕部13の傘歯車52に伝達される。傘歯車52は、入れ子構造の回転軸47と連結され、その回転をハンド側旋回プーリ48wに伝達する。なお、旋回軸Cと傾斜軸Bとは互いに直交している。
【0052】
なお、ハンド部14を操作するための爪開閉アクチュエータ10の動作信号及びハンド部14の可動爪55の開閉の位置情報は、旋回軸Cに沿って設けられる同軸ケーブル66を通じてハンド部14の外部に取り出される。
【0053】
次に、操作ユニット15の詳細構成について、図5Aから図5Cを用いて説明する。図5Aから図5Cに示すように、操作ユニット15は、オペレータの手により握って操作されるグリップ部(操作部)69と、グリップ部69を前腕部13に連結する連結部67と、グリップ部69と連結部67との間に介在して配置された3軸方向の力を測定可能な力センサ(力検出用センサ)68とを備える。
【0054】
連結部67は、例えば鈎形状を有する部材であり一端67bが前腕部13の操作固定部34に連結軸40により軸支されており、連結軸40を中心として回転可能とされている。また、連結軸40には操作側傾斜プーリ41vが連結されている。なお、この連結軸40の回転中心が操作側傾斜軸(操作側傾斜動作軸)Aとなっており、ハンド部14の傾斜軸Bと同じ方向に配置されている。
【0055】
連結部67の他端であるセンサ取り付け部67aには力センサ(力検出用センサ)68が設けられている。力センサ68は、図6の模式図に示すように、互いに直交するα、β、γの3軸方向の力(並進力)とそれぞれの3軸方向のねじれ力(回転力)を1つのセンサで同時に計測する機能を有するセンサである。このような力センサ68としては、例えば、ミネベア株式会社製の6軸力センサ「OPFTシリーズ」などを使用することができる。具体的には力センサ68は、基準部68aに対して作動部68bが連結した構成であり、作動部68bに基準部68aに対するα、β、γの3軸方向の少なくとも1つの力が加わることで基準部68aに対して作動部68bがどのように付勢されているか、また、作動部68bにねじれ力が加えられた場合に、α、β、γの3軸方向沿いのねじれ力を計測し、出力端子69を通じて出力する。なお、本実施形態にかかるマニピュレータ装置1では、力センサのねじれ検出は、α軸周りのねじれ力wと、γ軸周りのねじれ力vのみをアームユニット3r、3lの動作制御のための入力信号とし、β軸周りのねじれ力については動作制御の入力信号として使用しない。本実施形態では、力検出用センサとして、6軸力センサに代表されるような力センサ68を用いるが、このような場合に代えて、各軸方向のひずみを検出するようなひずみセンサを組み合わせて用いてもよい。
【0056】
また、力センサ68の基準部68aは、支持軸70により連結部67のセンサ取り付け部67aに対して回転駆動できるように軸支されている。基準部68aを連結部67に取り付けるこの支持軸70にはプーリ71が設けられており、力センサ68が支持軸70を回転中心として回転すると同じ回転角度でプーリ71も連動する。この力センサ68の支持軸70の回転中心が、操作側旋回軸(操作側旋回動作軸)Dとなっており、ハンド部14の旋回軸Cと同じ方向に配置されている。
【0057】
プーリ71は、案内プーリ71aにより案内されて無端ベルト72により連結部の一端67b側に設けられたプーリ73pと連動する。またプーリ73pはギア73gと固着されている。また、ギア73gは、ギア74と噛み合っている。ギア74は、連結軸42によって操作側旋回プーリ41wと連結されている。すなわち、プーリ71の回転と、操作側旋回プーリ41wの回転とは連動する。
【0058】
力センサ68の作動部68bは、グリップ部69に接続されている。グリップ部69は本体75、グリップ(グリップ状のハンドル)76、トリガ(トリガ部)77を有する。オペレータOPはグリップ76を握った状態で、例えば人差し指をトリガ77にかけてグリップ部69を把持する。オペレータOPがグリップ部69に力を加えると、加えられた力が作動部68bに伝達されて、この力を力センサ68が検出し、検出結果を出力する。
【0059】
また、図5Aおよび図5Cに示すように、操作側傾斜軸Aはグリップ76の軸心上に配置され、操作側旋回軸Dはグリップ76におけるオペレータOPの手による把持領域(手によって把持される領域)の略中央に配置されるように、それぞれの軸A、Dとグリップ76の配置関係が設定されている。
【0060】
グリップ部69のトリガ77は、図7に示す模式断面図のように、グリップ部69の本体75内で矢印95に示す方向にスライド可能に配置されたスライダ78に接続されている。トリガ77は、トリガを引いていない状態へ戻す方向へ、図示しないスプリングで常時付勢されている。
【0061】
トリガ77は、グリップ部69の内部に設けられているトリガセンサ(トリガ検出用センサ)79に当接可能とされている。オペレータOPの操作によりトリガ77が引かれるとトリガセンサ79は、トリガ77が当接していること検出してオン/オフの切り替え出力信号として出力する。トリガセンサ79の出力はハンド部14の爪開閉アクチュエータ10へ入力される。
【0062】
スライダ78はワイヤ80に連結されている。ワイヤ80は案内プーリ81により操作ユニット15の外部に案内される。ワイヤ80の他端は、ハンド部の旋回軸Cを通して、ハンド部の可動爪55に接続されている。ワイヤ80の長さは、ハンド部の可動爪55が最大に開放されているときに戻っている状態とし、可動爪55が完全に閉じているときに最大に引いた状態となっている。
【0063】
オペレータOPがトリガ77を引きトリガセンサ79に力が加わると、トリガセンサ79からの出力信号により爪開閉アクチュエータ10が可動爪55を閉じるように駆動する。また、ハンド部14の可動爪55が閉じる方向に作動するとワイヤ80がゆるみ、トリガ77をさらに引き込み可能となる。一方、可動爪55が開放するとワイヤ80によってトリガ77が引っ張られ、トリガ77が元の位置に移動する。本実施形態では、このようにハンド部14の可動爪55の開閉動作量に連動して、操作ユニット15のトリガ77を動作させる機構(すなわちワイヤ80のよる連結機構)が、トリガ連動機構となっている。
【0064】
次に、本実施形態にかかるマニピュレータ装置1の制御動作について説明する。図8は、本実施形態のマニピュレータ装置1の制御構成を示すブロック図である。図8においては、左右それぞれのアームユニット3r、3lより代表して右側のアームユニット3rについてのみの制御ブロックを示している。なお、左側のアームユニット3lについても同様の制御構成が設けられている。なお、右側アームユニット3rと左側アームユニット3lについての各制御ブロックを区別するときは、添え字のr及びlを付して各構成要素を区別することとし、区別する必要がない場合は添え字を付さずに表記する。
【0065】
図8に示すように、本実施形態のマニピュレータ装置1の動作制御は、CPU81と制御プログラム82とが協働することによって実現される。CPU81及び制御プログラム82には、例えばICチップなどを使用することができ、これらに力センサ68及びトリガセンサ79からの検出信号が入力されることによって、駆動機構83(83r、83l)を駆動制御する。駆動機構83に内包される各アクチュエータ及びモータは、それぞれドライバ(図示Dにて表示)を通じてCPU81と接続され、CPU81からの動作信号に基づいて動作する。なお、本実施形態では、CPU81と制御プログラム82(あるいは制御プログラム82を記憶保持する記憶装置)とにより制御装置が構成されている。
【0066】
操作ユニット15に設けられている力センサ68は、α、β、γの3軸方向について正負方向の力と、α軸周りのねじりw及びγ軸周りのねじりvの双方向のねじり力について検出し出力する。また、トリガセンサ78は、トリガ77によって付勢された力の有無を検出し出力する。
【0067】
力センサ68から出力された5つのベクトル検出信号Rα、Rβ、Rγ、Rv、Rw及びトリガ77のオン・オフの検出信号Rtは、CPU81に入力され、それぞれ駆動機構83に設けられている各アクチュエータ5、6、7、10及びモータ8、9を駆動する。
【0068】
力センサ68のα軸(第1軸)に沿った方向の付勢力を検出したベクトル信号Rαは、アームユニット3を伸縮する方向の力であり、CPU81は前腕アクチュエータ7を駆動させる。力センサ68にオペレータOPの前方へ押し出す方向の力が加えられた場合は、前腕アクチュエータ7は前腕部13を伸張させる方向へ駆動する。一方、力センサ68にオペレータOP側に引き戻す方向の力が加えられた場合は、前腕アクチュエータ7は前腕部13を収縮させる方向へ駆動する。前腕アクチュエータ7が駆動することによって、アームユニット3全体の長さが伸縮する。なお、操作ユニット15は前腕部13に設けられているため、前腕部13の伸縮とともに操作ユニット15も移動し、操作ユニット15を把持するオペレータOPの腕Hも屈伸することとなる。
【0069】
力センサ68のβ軸(第3軸)に沿った方向の付勢力を検出したベクトル信号Rβは、アームユニット3をZ軸方向へ移動させる方向の力であり、CPU81は上腕アクチュエータ6を駆動させる。力センサ68にオペレータOPの上向き方向の力が加えられた場合は、上腕アクチュエータ6はアームユニット3を上向きへ移動させる方向、すなわちシリンダ26を伸張させる方向へ駆動する。一方、操作ユニット15にオペレータOPの下向きの力が加えられた場合は、上腕アクチュエータ6はアームユニット3を上向きへ移動させる方向、すなわちシリンダ26を収縮させる方向へ駆動する。アームユニット3の上下移動に伴い操作ユニット15を把持するオペレータOPの腕Hはアームユニット3と同様に上下方向へ移動することとなる。
【0070】
力センサ68のγ軸(第2軸)に沿った方向の付勢力を検出したベクトル信号Rγは、アームユニット3をY軸方向へ移動させる方向の力であり、CPU81は肩部アクチュエータ5を駆動させる。力センサ68にオペレータOPの右側方向の力が加えられた場合は、肩部アクチュエータ5はアーム3を右方向へ移動させる方向、すなわち右側の肩部アクチュエータ5rの場合は、シリンダを収縮させる方向へ駆動し、左側の肩部アクチュエータ5lの場合は、シリンダを伸張させる方向へ駆動する。一方、操作ユニット15にオペレータOPの左側方向の力が加えられた場合は、肩部アクチュエータ5はアームユニット3を左方向へ移動させる方向、すなわち右側の肩部アクチュエータの場合は、シリンダを伸張させる方向へ駆動し、左側の肩部アクチュエータの場合は、シリンダを収縮させる方向へ駆動する。アームユニットの移動に伴い操作ユニット15を把持するオペレータOPの腕Hはアームユニットと同様に移動することとなる。
【0071】
力センサ68のα軸周りのねじり力を検出したベクトル信号Rwは、ハンド部14を旋回軸Cの周りへ回転させる方向の力であり、CPU81は旋回モータ8を駆動してハンド部14の旋回動作を行う。旋回モータ8は、力センサ68にα軸に対して右回りの力が加えられた場合は、ハンド部14を右回転させる方向へ駆動し、力センサ68に左回りの力が加えられた場合は、ハンド部14を左回転させる方向へ駆動する。
【0072】
力センサ68のγ軸周りのねじり力を検出したベクトル信号Rvは、ハンド部14を前腕部13に対して上下方向へ傾斜させる方向の力であり、CPU81は上下傾斜モータ9を駆動させて、ハンド部14の傾斜動作を行う。上下傾斜モータ9は、力センサ68にγ軸に対して右回りの力が加えられた場合は、ハンド部14を傾斜軸B周りに右回転すなわち上方向へ駆動し、力センサ68に左回りの力が加えられた場合は、ハンド部14を傾斜軸B周りに左回転すなわち下方向へ駆動する。
【0073】
グリップ部69の矢印95方向のねじれ(図5C参照)、すなわち操作側旋回軸D周りの回動は、それぞれの動作を伝達するプーリ71、71a及びギア73g、74を介して、操作側旋回プーリ41wと連動し、操作側旋回プーリ41wに巻かけられている旋回連動ワイヤ42w及びハンド側旋回プーリ48wを通じて、傘歯車52,53と連動する。すなわち、ハンド部14の旋回軸Cを中心とした旋回動作は、プーリ71に連動し、結果として力センサ68及び力センサに連結しているグリップ部69を矢印95の方向へ旋回、すなわち操作側旋回軸D周りに旋回させる。これによって、ハンド部14の旋回は、操作ユニット15のグリップ76の旋回として反映され、オペレータOPは、ハンド部14の位置移動に応じた手の向きで操作ユニット15を把持することができる。なお、本実施形態では、このように旋回モータ8の駆動力を操作ユニット15に伝達して、グリップ76を操作側旋回軸D周りに旋回させる機構が、旋回動作連動機構となっている。また、ハンド部14の旋回における回動角度と、ハンド部14の旋回に連動されるグリップ76の旋回における回動角度とが、互いに同じ回動角度となるように、旋回動作連動機構が構成されることが好ましい。
【0074】
また、ハンド部14の上下動(傾斜動作)の駆動時に回転するギア45に回転軸46を介して接続されるハンド側傾斜プーリ48vは、傾斜連動ワイヤ42vを介して操作側傾斜プーリ41vと連動する。操作側傾斜プーリ41vは、連結軸42を介して操作ユニット15の連結部67と連結している。よって、ハンド部15が上下方向に移動、すなわち傾斜軸B周りに回動すると、操作側傾斜プーリ41vが連動し、それに応じて操作ユニット15が連結軸42を中心(操作側傾斜軸Aを中心)として矢印96(図5B参照)に示すように旋回する。これによって、ハンド部14の上下動は、操作ユニット15の連結軸42を中心として旋回として反映され、オペレータOPは、ハンド部14の位置移動に応じた手の向きで操作ユニット15を把持することができる。なお、本実施形態では、このように上下傾斜モータ9の駆動力を操作ユニット15に伝達して、グリップ76を操作側傾斜軸A周りに回動させる機構が、傾斜動作連動機構となっている。また、ハンド部14の上下傾斜における回動角度と、ハンド部14の上下傾斜に連動される操作ユニット15の回動角度とが、互いに同じ回動角度となるように、傾斜動作連動機構が構成されることが好ましい。
【0075】
トリガセンサ79によって検出されたトリガ77の引き込み方向のベクトル信号Rtは、ハンド部14の可動爪55を閉じるように爪開閉アクチュエータ10を駆動させる。なお、CPU81は、トリガセンサ79に付勢力が加わらない場合は、爪開閉アクチュエータ10を開放するように制御されており、可動爪55の開放に伴いトリガ77が元の位置に向かって移動する。したがって、トリガ77を操作するオペレータOPは、トリガ77の引き込みの程度を通じて、ハンド部14の可動爪55の開閉状態を認識することができる。
【0076】
ここで、本実施形態のマニピュレータ装置1におけるハンド部14を含むアームユニット3の動作制御方法、すなわち、制御ループについて、図9のフローチャートに示す。なお、以下の説明においては、マニピュレータ装置1の各種動作制御の中より代表して、ハンド部14の開閉動作以外の動作制御について、説明するものとする。
【0077】
マニピュレータ装置1において、オペレータOPによりアームユニット3の動作制御を行い、ハンド部14の目標動作(例えば、目標位置まで移動)を行うような場合には、まず、図9のフローチャートのステップS1において、グリップ部69を把持するオペレータOPの手が目標動作と同様な動作を行うようにグリップ部69を操作する。
【0078】
次に、このようなオペレータOPの操作により、グリップ部69に対して付加された付勢力を、力センサ68により検出する(ステップS2)。力センサ68にて検出された付勢力は、CPU81に入力されて、CPU81にて、検出された力の大きさに応じた駆動量にて、モータまたはアクチュエータを駆動制御する(ステップS3)。
【0079】
これにより、ハンド部14を含むアームユニット3の動作が開始される(ステップS4)。それとともに、アームユニット3の動作に連動してグリップ部69が動作される(ステップS5)。このようにモータまたはアクチュエータにより駆動されるアームユニット3の動作に連動して、グリップ部69が動作されることにより、グリップ部69を把持しているオペレータOPはグリップ部69の動作を通じて、アームユニット3の動作を認識することができ、このような認識に基づいて、オペレータOPは、アームユニット3が目標動作を達成したかどうかを判断する(ステップS6)。目標動作が完了していないと判断される場合には、この認識結果に基づいて、オペレータOPは、アームユニット3の目標動作を完了させるために必要な動作を行うようにグリップ部69をさらに操作する(ステップS1)。その後、ステップS2からS5までの動作処理が行われる。アームユニット3が目標動作を達成し、グリップ部69の状態を通じてオペレータOPが目標動作を完了したことを認識した場合には、ステップS6にて、オペレータOPはアームユニット3の動作制御を完了させる。
【0080】
このように本実施形態のマニピュレータ装置1では、ハンド部14あるいはアームユニット3の目標動作と同様な動きにて、オペレータOPの手によりグリップ69を操作することで、ハンド部14あるいはアームユニット3の動作を行うことができる。さらに、ハンド部14あるいはアームユニット3の動作に連動して、ハンド部14あるいはアームユニット3と同様な動きにてグリップ部69が動作するため、グリップ部69の動きを通じて、オペレータOPはハンド部14あるいはアームユニット3の動作状況を認識することができる。
【0081】
次に、本実施形態のマニピュレータ装置1において、アームユニット3の動作制御におけるオペレータOPの操作力とモータ(あるいはアクチュエータ)が発生する力の関係を、図10のグラフに示す。
【0082】
図10のグラフでは、アームユニット3の目標動作における初期位置P0から目標位置P1までの動作位置と、時間との関係を、上段のグラフに示している。下段のグラフでは、アームユニット3の動作において、モータが発生する力と、力センサ68に対して付加される力(付勢力)の時間変化について示している。なお、力センサ68には、オペレータOPによる操作力と、ハンド部14等との連動によるグリップ部69の動作により生じる力(モータによる力)との合力が付加されることになる。
【0083】
まず、上段の動作位置を示すグラフを参照すると、時間区間T0−T1において、アームユニット3は加速運動を行っており、時間区間T1−T2において、等速運動を行っており、時間区間T2−T3において、減速運動を行っており、アームユニット3は時間T3において目標位置にP1に到達して、目標動作が完了する。
【0084】
次に、下段のモータが発生する力を参照すると、アームユニット3が動作を開始する時間T0において、加速方向に最も大きな力F1を発生し、加速運動が終了する時間T1にて発生する力が0となっている。その後、等速運動区間T1−T2では、モータは慣性力により動作を行っているため、発生される力は実質的に0が保たれた状態とされる。さらにその後、減速運動が開始される時間T2において、減速方向に最も大きな力F2を発生し、減速運動が終了する時間T3にて発生する力が0となっている。
【0085】
下段の力センサ68に対して付加される力を参照すると、アームユニット3が動作を開始する時間T0において、加速方向に最も大きな力F3が付加され、等速運動区間T1−T2では、一定の力F4が付加され、減速運動が開始される時間T2において、減速方向に最大の力F5が付加され、減速運動が終了する時間T3にて付加される力が0となっている。
【0086】
ここで、モータが発生する力と力センサ68に付加される力との差F6が、オペレータOPに伝わる操作感、すなわち、オペレータOPがグリップ部69に対して実際に与えている力F6となる。図10に示すアームユニット3の動作制御の例では、アームユニット3が動作を開始する時のオペレータOPによる力F6が、動作を停止する時の力F6よりも少し大きくなるように設定されている。このように設定することでアームユニット3の動作を開始する時に、オペレータOPが少し重い操作感を感じ、停止させるときには少し弱い操作感を感じるようにすることができる。
【0087】
図10に示すグラフからは、モータによるアームユニット3の駆動動作に連動してグリップ部69が動作されることにより、オペレータOPに伝わる力をオペレータOPが受け取って認識しながら、オペレータOPがグリップ部69の操作力を調整することができることがわかる。したがって、グリップ部69の連動動作によりオペレータOPの手に伝えられる力の変化を認識することで、アームユニット3の動作状態を把握することが可能となる。
【0088】
このように、本実施形態にかかるマニピュレータ装置1は、オペレータOPの側方から前方に向かって伸びるアームユニット3が、上腕部12と前腕部13が伸縮自在に構成されており、かつオペレータOPが把持する操作ユニット15が前腕部13に設けられているため、前腕部13の伸縮に応じてオペレータOPの腕の曲げの程度が変化する。すなわち、前腕部13が伸びているときは操作ユニット15と上腕部12の距離が大きいため、オペレータOPの腕は伸びた状態となる一方、前腕部13が縮んでいるときは操作ユニット15と上腕部12の距離が短いためオペレータOPの腕は曲げられた状態となる。また、操作ユニット15は、ハンド部14の上下傾斜動作及びねじれ(旋回)動作に応じて前腕部13に対する位置を変化する。よって、オペレータOPが操作ユニット15を把持する腕の向きがハンド部14の向きと一致する。したがって、オペレータOPは、目視による位置判断によらなくても、マニピュレータ装置1のハンド部14の位置を、自身の腕の曲がり程度や手の姿勢で認識することができる。
【0089】
また、本実施形態のマニピュレータ1では、ハンド部14の上下傾斜動作およびねじり(旋回)動作を駆動する上下傾斜モータ9および旋回モータ8の駆動力が、プーリおよびワイヤ等を用いた連動機構によって、操作ユニット15に伝達されて、操作ユニット15のグリップ部69を、ハンド部14と同様に動作させるような構成が採用されている。そのため、ハンド部14と操作ユニット15とを連動させるための他の駆動装置を必要とせず、アームユニット3の構造を簡単なものとすることができる。さらに、他の駆動装置を用いて連動を実現するような場合(例えば、電気的なフィードバック制御にて他のモータを駆動することで操作ユニットを動作させる場合)に比して、連動におけるタイムラグの発生を抑制することができ、操作ユニット15の動きをハンド部14の動きにより近づけることができ、オペレータによる操作性を向上させることができる。
【0090】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その他種々の態様で実施可能である。
【0091】
例えば、マニピュレータ装置は、両腕を備えている必要はなく、1つのアームのみを有する構成であってもよい。この場合、操作ユニットは、アームユニットとオペレータの間に配置されるように構成されていることが好ましい。
【0092】
また、アームユニットの動作としては、鉛直方向の動作、水平方向の動作、前腕部の進退動作、ハンド部の上下傾斜動作、ハンド部の旋回動作、およびハンド部の開閉動作が行われるような場合を例として説明したが、これらの動作のうちの少なくとも1つの動作が行われるアームユニットに対して、本発明の構成を適用することができる。
【0093】
また、ハンド部、上腕部、前腕部を駆動させるためのアクチュエータとしては、トルクを大きくするためにボールねじとスライダを備えた直動アクチュエータを用いているが必ずしもこの構成に限定されず、用途に応じて適宜任意の直動アクチュエータを用いることができる。
【0094】
また、ハンド部と操作ユニットとの連動を行うための連動機構として、プーリおよびワイヤを用いた構成を例として説明したが、このような場合に代えて、シャフトドライブ機構、リンク機構、流体圧を用いた駆動力伝達機構などを採用することもできる。ただし、プーリおよびワイヤを用いた連動機構では、その構造を軽量かつ簡単なものにすることができる。連動に必要な強度の確保および構造を軽量化という観点からは、このようなワイヤとして金属製のワイヤを用いることが好ましい。また、連動機構において、オペレータの安全を確保するために、ワイヤに過剰な力が加わった場合にワイヤが切断されるように、ワイヤの仕様が決定されることが好ましい。
【0095】
なお、上記様々な実施形態のうちの任意の実施形態を適宜組み合わせることにより、それぞれの有する効果を奏するようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1A】本発明の実施形態にかかるマニピュレータ装置の構成を示す側面図
【図1B】図1Aのマニピュレータ装置の構成を示す平面図
【図2】図1Aのマニピュレータ装置の肩部及び上腕部の構成を示す模式図
【図3A】図1Aのマニピュレータ装置の前腕部の構成を示す側面図
【図3B】図1Aのマニピュレータ装置の前腕部の構成を示す平面図
【図4】図1Aのマニピュレータ装置のハンド部の構成を示す側面図
【図5A】図1Aのマニピュレータ装置の操作ユニットの構成を示す平面図
【図5B】図1Aのマニピュレータ装置の操作ユニットの構成を示す側面図
【図5C】図1Aのマニピュレータ装置の操作ユニットの構成を示す正面図
【図6】図5Aの操作ユニットに用いられる力センサの構成を示す図
【図7】図5Aの操作ユニットの内部構成を示す図
【図8】本実施形態にかかるマニピュレータ装置の制御動作機構を示すブロック図
【図9】本実施形態のマニピュレータ装置の動作制御手順を示すフローチャート
【図10】本実施形態のマニピュレータ装置の動作制御におけるオペレータの操作力とモータが発生する力の関係を示すグラフ
【符号の説明】
【0097】
1 マニピュレータ装置
2 ベース
3、3r、3l アームユニット
4 サドル
5 肩部アクチュエータ
6 上腕アクチュエータ
7 前腕アクチュエータ
8 旋回モータ
9 上下傾斜モータ
10 爪開閉アクチュエータ
11 肩部
12 上腕部
13 前腕部
14 ハンド部
15 操作ユニット
41v 操作側傾斜プーリ
41w 操作側旋回プーリ
42v 傾斜連動ワイヤ
42w 旋回連動ワイヤ
48v ハンド側傾斜プーリ
48w ハンド側旋回プーリ
54 固定爪
55 可動爪
77 トリガ
83、83r、83l 駆動機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース部と、
その一端がベース部に支持された腕部と、その基端から先端へ向かう方向に配置されたハンド側旋回動作軸を回転中心として旋回可能に腕部の他端に連結されたハンド部とを備えるアームユニットと、
ハンド側旋回動作軸回りにハンド部を旋回させる旋回動作駆動装置と、
使用者の手により操作される操作部と、ハンド側旋回動作軸と同じ方向に配置された操作側旋回動作軸を回転中心として操作部を旋回可能に腕部に連結する連結部と、操作部と連結部との間に介在して配置され、操作側旋回動作軸回りに作用する回転力を検出する力検出用センサとを備える操作ユニットと、
旋回動作駆動装置を制御して、力検出用センサにより検出された操作側旋回動作軸回りの回転力の大きさに応じた回動角度にてハンド部を旋回させる制御装置と、
旋回動作駆動装置によりハンド部に対して付与される回転駆動力を操作部に対して伝達し、ハンド側旋回動作軸回りのハンド部の回動角度に応じて、操作側旋回動作軸回りに操作部を旋回させる旋回動作連動機構とを備える、マニピュレータ装置。
【請求項2】
ベース部と、
その一端がベース部に支持された腕部と、腕部の延在方向に対して交差するハンド側傾斜動作軸を回転中心として回動可能に腕部の他端に連結されたハンド部とを有するアームユニットと、
ハンド側傾斜動作軸回りにハンド部を回動させて、腕部に対してハンド部を傾斜させる傾斜動作駆動装置と、
使用者の手により操作される操作部と、ハンド側傾斜動作軸と同じ方向に配置された操作側傾斜動作軸を回転中心として操作部を回動可能に腕部に連結する連結部と、操作部と連結部との間に介在して配置され、操作側傾斜動作軸回りに作用する回転力を検出する力検出用センサとを備える操作ユニットと、
傾斜動作駆動装置を制御して、力検出用センサにより検出された操作側傾斜動作軸回りの回転力の大きさに応じた回動角度にてハンド部を回動させる制御装置と、
傾斜動作駆動装置によりハンド部に対して付与される回転駆動力を操作部に対して伝達し、ハンド側傾斜動作軸回りのハンド部の回動角度に応じて、操作側傾斜動作軸回りに操作部を回動させる傾斜動作連動機構とを備える、マニピュレータ装置。
【請求項3】
ハンド部は、その基端から先端へ向かう方向に配置され、かつハンド側傾斜動作軸と直交するハンド側旋回動作軸を回転中心として旋回可能に腕部に連結され、
操作ユニットにおいて、連結部は、ハンド側旋回動作軸と同じ方向に配置された操作側旋回動作軸を回転中心として回動可能に操作部を腕部に連結させるとともに、力検出センサは、操作側旋回動作軸回りに作用する回転力をさらに検出可能であって、
ハンド側旋回動作軸回りにハンド部を旋回させる旋回動作駆動装置を備え、
制御装置は、旋回動作駆動装置を制御して、力検出用センサにより検出された操作側旋回動作軸回りの回転力の大きさに応じた回動角度にてハンド部を回動させ、
さらに、旋回動作駆動装置によりハンド部に対して付与される回転駆動力を操作部に対して伝達し、ハンド側旋回動作軸回りのハンド部の回動角度に応じて、操作側旋回動作軸回りに操作部を回動させる旋回動作連動機構を備える、請求項2に記載のマニピュレータ装置。
【請求項4】
操作部は、操作側傾斜動作軸をその軸芯として配置され、使用者の手により把持されるグリップ状のハンドルであり、操作側傾斜動作軸と操作側旋回動作軸との交差位置が、ハンドルにおける使用者による把持領域内に配置される、請求項3に記載のマニピュレータ装置。
【請求項5】
ハンド部は開閉動作可能であり、
ハンド部の開閉動作を駆動する開閉動作駆動装置をさらに備え、
操作ユニットは、使用者の指により操作されるトリガ部と、トリガ部の動作量を検出するトリガ検出用センサとをさらに備え、
制御装置は、開閉動作駆動装置を制御して、トリガ検出用センサにより検出されたトリガ部の動作量に応じてハンド部を開閉駆動させ、
ハンド部の開閉動作量に連動して、操作ユニットのトリガ部を動作させるトリガ連動機構を備える、請求項3または4に記載のマニピュレータ装置。
【請求項6】
腕部は、鉛直方向および水平方向に揺動可能に支持された上腕部と、直動関節を介して上腕部の延在方向に沿って進退移動可能に上腕部に連結され、その先端にハンド部が連結された前腕部とを備え、
上腕部の鉛直方向の揺動を駆動する鉛直揺動駆動装置と、
上腕部の水平方向の揺動を駆動する水平揺動駆動装置と、
直動関節による前腕部の進退移動を駆動する進退移動駆動装置と、をさらに備え、
操作ユニットにおいて、
操作部は、力検出用センサを介在させて連結部により前腕部に連結され、
力検出用センサは、ハンド側旋回動作軸と同じ方向に配置された第1軸と、ハンド側傾斜動作軸と同じ方向に配置された第2軸と、第1軸および第2軸と直交する第3軸との3軸の方向にて、操作部に作用する力を検出可能であって、
制御装置は、進退移動駆動装置を制御して、力センサにより検出された第1軸沿いの力に応じた動作量にて前腕部の進退移動を行い、水平揺動駆動装置を制御して、力センサにより検出された第2軸沿いの力に応じた動作量にて上腕部を水平方向に揺動させ、垂直揺動駆動装置を制御して、力センサにより検出された第3軸沿いの力に応じた動作量にて上腕部を鉛直方向に揺動させる、請求項3から5のいずれか1つに記載のマニピュレータ装置。
【請求項7】
傾斜動作連動機構は、
ハンド部のハンド側傾斜動作軸に連結されかつハンド側傾斜動作軸回りのハンド部の回動と連動するハンド側傾斜動作プーリと、
操作ユニットの連結部において操作側傾斜動作軸に連結された操作側傾斜動作プーリと、
ハンド側傾斜動作プーリおよび操作側傾斜動作プーリに巻き回された傾斜動作連動ベルトとを備える、請求項2から6のいずれか1つに記載のマニピュレータ装置。
【請求項8】
傾斜動作連動ベルトは、金属ワイヤである、請求項7に記載のマニピュレータ装置。
【請求項9】
旋回動作連動機構は、
ハンド部のハンド側旋回動作軸に連結されかつハンド側旋回動作軸回りのハンド部の旋回と連動するハンド側旋回動作プーリと、
操作ユニットの連結部において操作側旋回動作軸に連結された操作側旋回動作プーリと、
ハンド側旋回動作プーリおよび操作側旋回動作プーリに巻き回された旋回動作連動ベルトとを備える、請求項2から7のいずれか1つに記載のマニピュレータ装置。
【請求項10】
旋回動作連動ベルトは、金属ワイヤである、請求項9に記載のマニピュレータ装置。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−207980(P2010−207980A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−58020(P2009−58020)
【出願日】平成21年3月11日(2009.3.11)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】