説明

マルチキャストサービス用のモビリティ処理

マルチキャストパケット送信状況の送信機のモビリティを処理する方法である。この方法は、パケットデータネットワークにわたるマルチキャストツリーをまず確立し(101)、前記マルチキャストツリーを介して前記送信機から複数の受信機へマルチキャストパケット群を送信する(102)。前記送信機に関するモビリティイベントの前に、前記パケットデータネットワーク内の適切な転送アンカーノードが識別され、かつ前記転送アンカーノードへ前記マルチキャストツリーがリルートされる(104)。続いて、前記送信機から前記転送アンカーノードへマルチキャストパケット群が送信され(105)、かつ前記転送アンカーノードにおいて前記マルチキャストツリーが投入される。前記モビリティイベントに続いて(106)、前記マルチキャストツリーへの投入のために、前記送信機は、前記転送アンカーノードへマルチキャストパケット群を送信することを継続する(107)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マルチキャストサービス用のモビリティ処理(handling:ハンドリング)に関するものであり、特に、発信元(ソース)のモビリティの処理に関するものである。
【背景技術】
【0002】
パケットデータ送信ネットワーク群の環境においては、用語「マルチキャスト」は、宛先のグループへの情報の同時配信のためのネットワークアドレス指定方法である。マルチキャストは、たった一度だけで、ネットワークの各リンクを介して、メッセージを配信するための最も効果的な方法を使用するものであり、これは、複数の宛先へのリンク群(典型的には、ネットワークスイッチ群とルータ群)が分かれている場合にのみコピーを作成する。マルチキャストは、メディア及びインターネットテレビアプリケーション群をストリーミングするために頻繁に使用されている。マルチキャストは、既存のインターネットアーキテクチャで使用されている。IETFのRRF3569及び4607で記載されるIPソース専用マルチキャスト(SSM)は、このようなマルチキャストサービスの1つである。加えて、マルチキャストは、公表(publish)/加入(subscribe)(あるいはpub/sub)パラダイムを採用する将来のネットワークで採用されることになる。pub/subネットワークは、ユーザへデータを配信することだけを行うことになる。これは、ユーザがそのデータに加入データしている場合である。データは、公表者によってネットワークに公表され、また、典型的には、いくつかの暗号化によって生成された署名が付随されている。この署名は、公表者とデータ自身の両方を識別する役目を果たしている。pub/subネットワーク環境では、マルチキャストは、複数の加入者が同一のデータストリームに加入している場合に生じる可能性がある。「PSIRP」として知られる共同プロジェクトが、この分野において現在取り組まれている。
【0003】
所与のマルチキャストグループは、典型的には、マルチキャストグループアドレスとソースアドレスとの両方によって識別される。IP環境では、マルチキャストアドレスは、(IPv6)アドレス群の特定の範囲から選択されるアドレスであり、一方、ソースアドレスは、送信機のIPアドレスである。加入者は、マルチキャストグループアドレスとソースアドレスとを使用して、マルチキャストルータ群の内の1つに登録することによって、マルチキャストグループに加入する。(アクセスルータ間で)ハンドオーバが実行される場合に自身のIPアドレスが変更される可能性がある移動体の送信機においては、ハンドーバ中及び後続のハンドオーバにおいてマルチキャストを維持するために、移動ノードは固定のアンカーノードに関連づけられる場合がある。この場合、アンカーノードのIPアドレスは、送信機とアンカーノードとの間で潜在的にトンネルされるデータを伴う、マルチキャストのソースアドレスとなる。このようなソリューションは、2002年の、シー.ジェルゲー及びティー.ノエルによる、「IPv6用の移動体SSMソース(MSSMSv6)のサポート」−処理中(期間終了)(2002年1月)で提示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、送信機のモビリティは、既存のマルチキャストツリーを容易に非効率なものにする可能性があり、これは、モバイルIPにおける三角ルーティングと同様の問題が生じることが明らかであろう。送信機が移動する場合、マルチキャストツリーのアンカーノードは、典型的には、送信機がマルチキャストツリー内の次にホップするノードから遠く離れている位置で終了する場合があることを意味するものではない。送信機が、既存のマルチキャストツリーを使用して送信することを継続する場合、この状況は、不必要なトラフィックのデュプリケーションと非効率なルーティングをもたらす可能性がある(いくつかの後続のホップが新規の位置で新規のリンク群を共有する可能性があるからである)。一方、ネットワークがマルチキャストツリーを直ちに再構成することを送信機がリクエストする場合、そうすることで、送信機の新規の位置でルーティングされることになり[トーマス シー.シュミット及びマチアス ワーリッシュ 2006aによる、「モーフィング配信ツリー−モビリティ下のマルチキャスト状態の改良と、移動体SSM送信機用の適合ルーティングスキーム」、電気通信システム(2006)、及びトーマス シー.シュミット及びマチアス ワーリッシュ 2006bによる、「ソース専用マルチキャストルーティングにおけるIPv6ソースモビリティへのツリーモーフィング方法による最初のパフォーマンス解析」、第5回、ネットワーキングの国際会議(ICN2006)]、これは、ネットワーク内で過度のシグナリングをもたらす可能性がある。
【0005】
これらの問題は、更に、ティー.サウザ、ピー.メンデス、及びイー.モンテリオによる、2006年の「移動環境にけるソース専用マルチキャストモデルの実験的評価、無線の世界、移動体及びマルチメディアネットワーク」、2006年、WoWMoM2006(2006年6月26−29日)、DOI=10.1109/WOWMOM.2006.44で、検討されている。
【0006】
移動ルータを備える移動ネットワークの場合、移動ルータは、移動ネットワークに属する移動ノード群に対するIP接続の安定性を維持する責任を担っている。特に、移動ルータは、移動ノード群によるモビリティ関連シグナリングを取り扱う。もちろん、移動ルータが移動する場合、いくつかの移動ノードは、ルータの移動の後に、潜在的に複数回、上述の問題を拡大させる。この問題は、例えば、国際公開第07134640号パンフレットと国際公開第03036916号パンフレットで記載されるように、移動ルータにモビリティ関連シグナリングの権利を委譲することを移動ノード群に許容することによって削減することができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の問題は、転送アンカーノードを使用して、かつモビリティイベントの前後で直ちにそのアンカーノードにおいてマルチキャストツリーを一時的にリルーティングすることによって解決することができる。
【0008】
本発明の第1の態様に従えば、マルチキャストパケット送信状況の送信機のモビリティを処理する方法が提供される。この方法は、まず、パケットデータネットワークにわたるマルチキャストツリーを確立し、そして、前記マルチキャストツリーを介して前記送信機から複数の受信機へマルチキャストパケット群を送信するステップを有する。前記送信機に関するモビリティイベントの前に、前記パケットデータネットワーク内の適切な転送アンカーノードが識別され、かつ前記転送アンカーノードへ前記マルチキャストツリーがリルーティングされる。次に、前記送信機から前記転送アンカーノードへマルチキャストパケット群が送信され、かつ前記転送アンカーノードにおいて前記マルチキャストツリーへ前記マルチキャストパケット群が投入される。前記モビリティイベントに続いて、前記マルチキャストツリーへの投入のために、前記送信機は、前記転送アンカーノードへマルチキャストパケット群を送信することを継続する。
【0009】
前記送信機は、移動ユーザ端末にあるいは移動ルータに配置されていても良い。後者の場合は、もちろん、移動ルータは、マルチキャストパケット群の実際の発信元に対する「プロキシ」として動作している。
【0010】
前記パケットデータネットワークにわたるマルチキャストツリーを確立するステップは、第1のアンカーノードにおいて前記マルチキャストツリーをルーティングするステップを有しても良い。この場合、前記転送アンカーノードへ前記マルチキャストツリーをリルーティングするステップは、前記第1のアンカーノードから前記転送アンカーノードへ前記マルチキャストツリーをリルーティングするステップを有する。
【0011】
前記パケットデータネットワークにわたるマルチキャストツリーを確立するステップは、前記送信機において前記マルチキャストツリーをルーティングするステップを有する。この場合、前記転送アンカーノードへ前記マルチキャストツリーをリルーティングするステップは、前記送信機から前記転送アンカーノードへ前記マルチキャストツリーをリルーティングするステップを有する。
【0012】
本発明の実施形態に従えば、前記モビリティイベントに続いて、かつ前記マルチキャストツリーへの投入のために、前記送信機から前記転送アンカーノードへマルチキャストパケット群を送信することの後に、前記転送アンカーノードから、新規の位置における前記送信機へ、あるいは前記送信機の前記新規の位置に対してローカルとなる更なるアンカーノードへ、前記マルチキャストツリーがリルーティングされる。
【0013】
前記送信機から前記転送アンカーノードへマルチキャストパケット群を送信するステップは、前記アンカーノードへ前記マルチキャストパケット群をトンネルするステップを有する。この場合、前記マルチキャストパケット群は、宛先アドレスとしてマルチキャストグループアドレスを有する内部ヘッダと、宛先アドレスとして前記アンカーノードを有する外部ヘッダを有する。
【0014】
マルチキャストグループのマルチキャストグループアドレスは、暗号化によって生成された暗号化生成アドレス(CGA)である。この場合、マルチキャストツリーのリルーティングは、前記マルチキャストツリーにわたってリルーティングメッセージを送信することによって達成され、前記リルーティングメッセージは、前記マルチキャストグループアドレスと、関係するパブリックキーと、及び前記暗号化生成アドレスに関係付けられているプライベートキーを使用して生成される署名とを含んでいる。これは、前記マルチキャストツリー内のノード群に、前記署名と前記パブリックキーとを使用して前記リルーティングメッセージを認証させることを可能にする。
【0015】
選択的には、マルチキャストグループの前記マルチキャストグループアドレスは、オーバレイルータブル暗号ハッシュ識別子(ORCHID)である。この場合、マルチキャストツリーのリルーティングは、前記マルチキャストツリーにわたってリルーティングメッセージを送信することによって達成され、前記リルーティングメッセージは、前記マルチキャストグループアドレスと、関係するパブリックキーと、及び前記オーバレイルータブル暗号ハッシュ識別子に関係付けられているプライベートキーを使用して生成される署名とを含んでいる。これは、前記マルチキャストツリー内のノード群に、前記署名と前記パブリックキーとを使用して前記リルーティングメッセージを認証させることを可能にする。より詳しくは、マルチキャストツリーのリルーティングは、前記マルチキャストツリーにわたって連続する2つのリルーティングメッセージを送信することによって達成され、前記2つのリルーティングメッセージは、前記マルチキャストグループアドレスを含み、前記2つのリルーティングメッセージの内の第1のメッセージは、前記オーバレイルータブル暗号ハッシュ識別子でルートされるハッシュチェーンで構成されるハッシュ値を含んでいて、前記2つのリルーティングメッセージの内の第2のメッセージは、前記ハッシュチェーンから対応する次のハッシュ値を公表する。この場合、前記マルチキャストツリー内のノード群は、前記第2のメッセージ内の前記次のハッシュ値を使用して前記第1のメッセージを認証することができる。
【0016】
本発明の第2の態様に従えば、パケットデータネットワークにわたって少なくとも1つのマルチキャストグループに対するパケット群の送信機として動作するように構成されている移動ノードが提供される。この移動ノードは、マルチキャストツリーを確立するあるいはマルチキャストツリーに参加するマルチキャストセッション確立あるいは参加ユニットと、前記マルチキャストツリーを介して複数の受信機へマルチキャストパケット群を送信するマルチキャストパケット送信機とを備える。この移動ノードには、更に、マルチキャストモビリティ処理ユニットが提供される。前記マルチキャストモビリティ処理ユニットは、前記送信機に関するモビリティイベントの前に、前記パケットデータネットワーク内の適切な転送アンカーノードを識別し、前記転送アンカーノードへ前記マルチキャストツリーをリルーティングし、かつ前記モビリティイベントの前後において前記マルチキャストツリーへ投入するために、前記マルチキャストパケット送信機に前記転送アンカーノードへ前記マルチキャストパケット群を送信させるように構成されている。
【0017】
前記マルチキャストパケット送信機は、モビリティイベントの前後に、前記転送アンカーノードへマルチキャストパケット群をトンネルするように構成されていても良い。前記マルチキャストモビリティ処理ユニットは、前記モビリティイベントに続いて、更なるアンカーノードあるいは自身において前記マルチキャストツリーをリルーティングするように構成されていても良い。
【0018】
本発明の第3の構成に従えば、パケットデータネットワーク内のパケット群をルーティングするように構成されているノードが提供される。このノードは、当該ノードをマルチキャストツリーに統合させることを可能にし、かつ暗号化によって生成されたマルチキャストグループアイデンティティあるいはアドレスに関連付けられているパブリックキーを使用して、所与のマルチキャストツリーに関連するツリーリルーティング指示を認証するように構成されているマルチキャストプロトコルユニットを備える。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】マルチキャストサービスを提供する際に関与するネットワークのノード群を示す図である。
【図2】マルチキャストツリーのリルーティングに従う図1のネットワークを示す図である。
【図3】2つのアンカーノードAP1とAP2を使用する代替の方法を示す図である。
【図4a】ソース専用マルチキャスト規格の環境においてマルチキャストツリーを確立し、かつ維持する際に関与する処理を示す図である。
【図4b】ソース専用マルチキャスト規格の環境においてマルチキャストツリーを確立し、かつ維持する際に関与する処理を示す図である。
【図4c】ソース専用マルチキャスト規格の環境においてマルチキャストツリーを確立し、かつ維持する際に関与する処理を示す図である。
【図4d】ソース専用マルチキャスト規格の環境においてマルチキャストツリーを確立し、かつ維持する際に関与する処理を示す図である。
【図4e】ソース専用マルチキャスト規格の環境においてマルチキャストツリーを確立し、かつ維持する際に関与する処理を示す図である。
【図4f】ソース専用マルチキャスト規格の環境においてマルチキャストツリーを確立し、かつ維持する際に関与する処理を示す図である。
【図5a】RSIRP提案の環境においてマルチキャストツリーを確立し、かつ維持する際に関与する処理を示す図である。
【図5b】RSIRP提案の環境においてマルチキャストツリーを確立し、かつ維持する際に関与する処理を示す図である。
【図5c】RSIRP提案の環境においてマルチキャストツリーを確立し、かつ維持する際に関与する処理を示す図である。
【図5d】RSIRP提案の環境においてマルチキャストツリーを確立し、かつ維持する際に関与する処理を示す図である。
【図6】マルチキャスト送信機として動作する移動クライアントを示す図である。
【図7】例えば、マルチキャストアンカーノードとして動作するネットワークノードを示す図である。
【図8】マルチキャストグループの環境におけるモビリティイベントを処理するための処理を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
マルチキャストのためのモビリティソリューションについて検討する。このソリューションは、このソリューションが最適なルーティングを依然としてサポートする方法(但し、より遅い速度で)で、任意の適切な(例えば、既存の)マルチキャストツリー生成アルゴリズムを利用して、送信機あるいはモバイルルータが移動するときにわずかなシグナリングを伴う高速ハンドオフを提供する。この提案されるソリューションは、任意のモビリティイベントの前に、好ましくは、現在の位置と予測される新規の位置の両方にトポロジー的に近い位置での、固定ネットワークのアンカーノードと確立する送信機(あるいはモバイルルータ)に依存する。このアンカーノードは、送信機にかわって、マルチキャストツリーのルートとなるように構成されている。ネットワークが関係している限りは、マルチキャストツリーは、ここでは、新規のアンカーノードにおいてリルート(re-rooted)される。送信機は、マルチキャストツリーの本質的に外側にあるアンカーノードへ、例えば、トンネリングを用いて、データを送信する。
【0021】
送信機が移動する場合、送信機は、アンカーノードへのマルチキャストデータの送信を継続する。ここで、ネットワークのマルチキャスト部分は、送信機の移動に直ちに反応する必要はない。これは、マルチキャストのソースアドレスがアンカーノードのIPアドレスを維持しているからである。送信機が新規の安定位置を一旦有すると、マルチキャストツリーはリルート(re-rooted:再経路選択)され得り、これは、送信機の新規の位置の時である。
【0022】
更なる最適化として、モビリティイベントの時点のシグナリングを削減するために、送信機がマルチキャストツリーでの受信機でもある場合、送信機は、マルチキャストツリーに関連付けられているデータについて、自身の現在位置とアンカーノードの両方へ、そのデータを転送することを指示されるまで、アンカーノードへデータを破棄することを指示するマルチキャストをすることを準備することができる。そして、移動後、データの送信を継続する時と同時に、移動ノードは、アンカーノードに、移動ノードへのマルチキャストデータの送信の再開を指示することができる。アンカーノードは、モビリティイベントの推定期間に対して受信されるメッセージをバッファすることができ、また、移動イベントが一旦完了すると、それらのメッセージを移動ノードへ「展開」することができる。
【0023】
図1に例示のネットワークが示され、ここでは、1つの送信機S、複数の受信機Rのセット、及び複数の中間ノードNのセットが示されている。このように接続されているネットワークに対しては、任意のノードがツリーのルートにして、すべての受信機が追加されるまで、再帰的に中間ノード群と受信機群を追加することによって、そのノードがルートなる1つ以上のツリーを生成することができる。選択的には、このグラフは、所与のノードをルートにして、そして、受信機Rのセットですべてのノードを包囲しながら、できる限り多くのリンクを除去するために取り除くことができる。実際には、このようなツリーは、様々な分散アルゴリズムで作成され、得られるツリーは、マルチキャストデータを配信するために使用される。関係する基本原理の詳細な考察については、エス.イー.ディーリング 1991年、「データグラム相互接続ネットワークにおけるマルチキャストルーティング」、博士論文、スタンフォード大学(1991年、12月)を参照されたい。
【0024】
最初に、モビリティが関係する前に、送信機は、1つ以上の固有に識別されるマルチキャストチャネルへのデータの送信を開始し、いくつかの受信機は、これらのチャネルの任意の組み合わせの「リスナー」として参加する。ネットワークは、受信機へデータを配信するためにマルチキャストツリー群のセットを形成する。この状況は、送信機が移動しない限りマルチキャストツリー群のルートに関して不動のままである。
【0025】
送信機が、移動したいあるいは移動しようとする可能性があると判定するとすぐ、送信機は、ネットワーク内のアンカーノードAを選択し、そして、接続を確立する。このアンカーノードは、モビリティイベント中は、ツリーのルートとして機能することになる(簡略化のため、ここでは、1つのマルチキャストチャネルだけが存在すると想定する)。アンカーノードを選択し、かつそれにツリーをリルートさせることを可能にする動作は、ネットワーク側の観点からの予備的なイベントとしてみなされる。この予備的なイベントは、再成長/再除去されることを広範囲にツリーがどのように必要とするかに依存して、かなりの時間がかかる場合がある。このようなツリーリルーティング(re-rooting)のための一般的な方法は、より以下で詳細に説明される。
【0026】
続いて、送信機がある位置から別の位置で移動することを決定する場合、送信機は、標準的なモビリティ手順を使用してこの決定を達成する。アンカーノードAが既にマルチキャストツリーのルートとして動作しているので、あるいは少なくともルートとして動作する用意があるので、移動した送信機は単にパケットをアンカーノードAへ送信することによって自身のパケットを配信することができ、そして、順に、パケットをツリーの下部に配信することになる。ここで、マルチキャストトラフィックをツリーの下部へ送信する観点からは、モビリティイベントは影響を与えることはない。(モビリティ)状況が再度一旦安定すると、即ち、送信機が差し迫った移動を計画していない場合、ツリーを再度リルートすることができ、これは自身の新規の位置の時点である。
【0027】
送信機が、送信容量に制限がある無線リンクのような高価なリンク下にある場合、1つのアンカーノードに代えて、複数のアンカーノード(つまり、「ローカルアンカーノード群」)を使用することが有益な場合がある。これは、移動ノードに、多くのツリー管理シグナリングをローカルアンカーノード群に委譲することを可能にし、これによって、高価なリンクを介するシグナリングトラフィックを削減する。例えば、ローカルアンカーノードは、いくつかの他のアンカーノードにおいてツリーをリルートするために必要とされるシグナリングのほとんどあるいはほぼすべてを処理することができる。このような場合、送信機は、最初にルートとして動作する代わりに、ローカルアンカーノードAP1を通じて常にとラリックを送信することを選択することができる。そして、移動を準備している場合、上述の場合のように、均衡のとれたアンカーノードAPを選択して、そこで、ツリーをリルートすることができる。最後に、移動の後、従前のネットワークとの接続の切断前あるいは切断後に、送信機は、新規の位置で新規のアンカーノードAP2を確立することができる。また、送信機は、要求されるシグナリング権をローカルアンカーノードAP1とAP2へ委譲することができ、これによって、この拡張されたスキームに、送信機の従前の位置を引き継ぐAP1と、送信機の新規の位置を引き継ぐAP2を除外して、規範事例と同様にに、確実に動作することを可能にする。
【0028】

マルチキャストツリーのリルーティング(Re-rooting a multicast tree)
一般的に、ツリーのリルーティング問題は文献で良く知られており、その問題を解決するための平行アルゴリズム及び分散アルゴリズムの両方が存在する。上述に挙げられる文献シュミットは、マルチキャスト環境におけるツリーリルーティングを考察している。図2は、図1のネットワークで、従前のルートから新規のルートへリルートされるマルチキャストツリーを示している。この分野についての他の文献には、以下のものが含まれる。
【0029】
ディー.ダブリュー.ウォール、1990年、ブロードキャスト及び選択的ブロードキャスト用メカニズム、博士論文、電気工学部、スタンフォード大学(1980年1月)。論文報告、190、コンピュータシステム研究室、スタンフォード。
【0030】
エル.コウ、ジー.マークコウスキー、及びエル.ベルマン、1981年、「シュタイナーツリー用高速アルゴリズム」、公式情報資料、15:141−145、1981年。
【0031】
クイング ジュー,エム.パルサ、及びジェイ.ジェイ、ガルシア−ルナ−アセブス、1995年、遅延制約最少コストマルチキャスティング用ソースベースアルゴリズム、INFOCOM’95、IEEEコンピュータ及び通信学会、第14回年次合同会議、ページ377−385、第1号(1995年4月2−6日)。
【0032】
RFC4601のセクション3.2−3.2では、どのようにしてIP SSMツリーがランデブーポイント(RP)から送信機へリルートされるかについて記載している。同一の方法が、識別子制約に合致する限り、従前のルートから新規のルートへSSMツリーをリルートするために使用することができる。識別子群については、以下で説明する。異なっているが依然として単純なアルゴリズムが、シュミット等による文献(2006a、2006b)に提示されている。
【0033】
選択的には、ネットワーク内の任意のノード(ここでも、移動ノードあるいは新規のアンカーノード)へ既存のマルチキャストツリーをリルートするための単純なアルゴリズムが提示される。ここでは、読者は、周知のダイクストラアルゴリズム(イー.ダブリュー.ダイクストラ、1959年、「グラフに伴う2つの問題についての注意点」)が精通していると想定される、計算数学、1(1959)、ページ269−271)。このアルゴリズムは、最少経路ツリーからマルチキャストツリーを構築するために、そのマルチキャストツリーから不必要なエッジ群と交点群とを削除するための最少経路ツリーと様々なツリー削除方法を作成するためのものである(例えば、エス.イー.ディーリング及びディー.アール.チェリトンによる提案、1990年、「データグラム相互接続ネットワーク及び拡張LAN群におけるマルチキャストルーティング」、ACMトランザクションコンピュータシステム、8.2(1990年5月)、ページ85−110)。DOI=http://doi.acm.org/10.1145/78952.78953、及びエスー.イー、ディーリング、1991年、「データグラム相互接続ネットワークマルチキャストルーティング」、博士論文、スタンフォード大学(1991年12月))。
【0034】
このアルゴリズムの基本的な特徴は、以下のように説明することができる。
【0035】
1.新規のルートからスタートすると、従前のツリー内にある最近接の頂点をサーチする。ここで、複数の最近接の頂点が存在する場合があることに注意されたい。また、新規のルートが従前のツリー内にある場合、このステップは通常の処理であることにも注意されたい。このようなサーチは、例えば、新規のルートが、最大ホップ数を徐々に増加させながらパケットを送信し、従前のツリーの一部である任意のノードからのリプライを各パケットに対して待機することによる分散方法で実行することができる。選択的には、新規のルートが自身の配置で十分な表現のネットワークグラフを有している場合、集中的な方法で、任意のパケットを送信することなくそのようなサーチを実行することができる。
【0036】
2.新規のルートから最近接の頂点(あるいは頂点群)までのツリーを構築する。例えば、従前のツリー内のノードが、ステップ1で送信された「サーチパケット」にリプライする場合、従前のツリーのノードから新規のルートまでの経路に沿うノード群は、そのリプライパケットに自身のアイデンティティを記録することができ、それによって、ツリーを形成する。新規のルータがネットワークグラフ表現を有している集中的な方法の場合では、新規のルートは、ダイクストラアルゴリズムを使用して新規のツリーを再構築することができる。
【0037】
3.任意の(最近接の)頂点(頂点群)から新規のツリーへ進む(流出する)サブツリーのすべてを追加する。分散方法の場合、このステップは、サーチパケットにリプライするステップの一部として、最近接の頂点(頂点群)によって、パケット群を近隣に送信することによって実現される。集中的な方法では、このステップは通常の処理であり、そして、新規のルートによって実行される。
【0038】
4.(任意の)最近接の頂点(頂点群)で終了する(流入する)幹の逆方向の(reversed)サブツリーを追加する。分散方法の場合、これは、最近接の頂点(頂点群)がパケット群を近隣に送信することによって再度実行される。集中的な方法の場合、これは、再度、通常の処理であり、そして、新規のルートによって実行される。
【0039】
5.任意の余剰のエッジ群を削除する。分散方法の場合、これは、分散型のディーリングアルゴリズムを実行して実現されるが、ローカライズされた方法だけによる。集中的な方法の場合、これは、集中型のディーリングアルゴリズムを新規のルートによって実行することによって実現することができる。
【0040】
この処理は、標準的な表記法を使用して表現することができ、ここでは、グラフG=(V,E)と、マルチキャストサブツリーT=(G,r,VT,ET)とすると、VT⊆VとETは、Eからの有向エッジ群<v,u>のサブセットである。
【0041】
頂点rから頂点r’へのツリーをリルートするための通常のアルゴリズムは以下のようになる。
【0042】
1.初期化
a)現在検討する頂点群のセットAを作成し、それで{r’}を初期化する。
【0043】
b)次に検討する頂点群のセットBを作成し、それを空にする。
【0044】
c)訪問先の頂点群のセットCを作成し、それを空にする。
【0045】
2.従前のツリーを検出する
A内の頂点群がT内にない間、即ち、A∩VT=φ
a)並行して、A内の頂点群から開始する各エッジ<v,u>を検討する。u∈Cでない場合、かつu∈Aでない場合、uをBに追加する。つまり、頂点がまだ訪問されておらず、現在も検討されていない場合、次に検討するためにそれを頂点のセットに追加する。
【0046】
b)現在検討されている頂点群のすべてに訪問済であることをマークする。即ち、C:=C+A
c)次の頂点群のセットを用いて継続する。即ち、A:=B;B:=φ
3.r’でルートとなる訪問済でかつ現在のノード群のマルチキャストツリーを構築する。
【0047】
これは、2つの周知のステップ群の組み合わせで実現することができる。
【0048】
a)ダイクストラのアルゴリズムを、ルートr’のグラフG(A∪C,E)に適用して、初期の新規のツリーT’を与える。
【0049】
b)ディーリングアルゴリズムを使用して初期の新規のツリーT’を除去し、そうすることで、新規のルートr’から従前のツリー内で検出された頂点(群)への経路群だけをカバーするようにする。即ち、A∩VT
【0050】
4.並行して、A∩VT内の頂点群から開始する各エッジ<v,u>を検討する。つまり、従前のツリーと新規のツリーとの交差点であるこれらのノード群から開始するエッジ群のすべてを検討する。
【0051】
a)uが既に訪問されている、あるいは現在検討されている場合、即ち、u∈A∪Cである場合、エッジを無視する。つまり、エッジ群は既に新規のツリーにあるか、あるいは必要とされなくなる。
【0052】
b)uが従前のツリー内にない場合、即ち、u∈VTでない場合、エッジを無視する。このエッジは新規のツリーに対して必要とされなくなる。[いくつかの場合では、新規のツリー内に含まれる候補が、提示されるアルゴリズムよりもより最適なツリーに導くことになるものとして想定される一方で、介在するコンピュータ上の複雑性を削減することが望ましい]。
【0053】
この時点で、2つのオプションが残っている。:1つは、頂点が現在検討されているエッジを介して流出するサブツリーに対するルートであること、もう1つは、検討されるエッジを介して現在の頂点に流入するデータが存在することである。
【0054】
a)<v,u>∈ETである場合、即ち、データがエッジを通じて流出している場合、vにおいてルートとなるサブツリー全体を新規のツリーに追加する。
【0055】
b)<u,v>∈ETである場合、データがエッジを通じて流入している場合、現在の頂点から従前のルートへの経路を逆転し、かつ結果として得られるサブツリーを新規のツリーに追加する。
【0056】
5.いくつかの場合では(上記の図2の例のように)、ステップ3からのツリーは完全なツリーとはならず、DAG(有向非環式グラフ)となり、そこでは、1つ以上の異なるエッジ群が存在することになり、この異なるエッジ群を通じて、データは従前のルートへ流れる、あるいはデータは新規のルートと従前のルートとの間のいくつかの頂点へ流れる。その場合、これらの冗長なエッジ群の1つだけ除いて全部が除去されるべきである。ディーリングの84ページ参照(1991年)。このような除去は、不必要なエッジ群を介して到達するディプリケートトラフィックに基づいて実行することができる。
【0057】
ここで、並列処理が上述のアルゴリズムに組み込まれることによって、周知の技術を使用して容易に分散できることに注意されたい。
【0058】
提示のアルゴリズムの主要な効果は、疎ツリー群の場合には特にかなり高速に動作することである。これは、新規のルートから従前のツリーを検出するためだけの包括的なサーチを要求するものである。例えば、従前のルートと新規のルートとが互いに近いときはいつでも、このアルゴリズムは、ダイクストラアルゴリズムとディーリングアルゴリズムを使用して新規のツリーを再構築するよりもかなり高速となる。
【0059】
ここで、特に、新規のルートが従前のツリー内の頂点群から選択される(以下の)典型的な場合では、新規のツリーは、従前のツリーと包括的なサーチが完全に回避されるくらいと同様に最適になる。
【0060】

アンカーノード選択
現在の状況では、2種類のアンカーノードが存在する。第1に、汎用モビリティアンカーノード群が存在し、これは、任意の従前の位置と任意の新規の位置との間の中間のどこかに位置している。第2に、ローカルアンカーノード群が存在し、これは、他のアンカーノード群によって到達可能とされるべきであり、また、送信機の従前の位置あるいは新規の位置のどちらかの近くに位置しているべきである。
【0061】
送信機が新規のアクセスポイントとの接続を確立する前に、送信機が従前のアクセスポイントとの自身の接続を切断する場合を検討する。これは、「接続前の切断」と呼ぶことにする。この場合、送信機は、大まかに見る以外は、自身の新規の位置を予想することはできない。それゆえ、これは、できる限り送信機から遠く離れている汎用アンカーノードを選択することを意味する一方で、マルチキャストツリー内の第1の分岐ポイントを越えることはない。ここで、マルチキャストツリーが第1のアクセスルータで分岐する場合には、アンカーノードはそこでルートとなるべきである。マルチキャストツリーが既に送信機で分岐している場合、即ち、送信機自身が複数のインタフェースを介して複数のパケットのコピーを送信している場合、アンカーノードは、依然として、送信機ノードの外で、好ましくは、ネットワークのいくつかの安定部分で、選択されなければならない。
【0062】
「切断前の接続」の場合、即ち、従前のアクセスポイントとの接続を切断する前に、送信機が新規のアクセスポイントとの接続を確立する場合、送信機は、両方向にパケットを送信機自身に送信することによって、従前の位置と新規の位置との間のトポロジーを推定することができる。このようなトポロジーの情報を用いると、送信機は、従前の位置と新規の位置との間の中間にあるどこかに位置している汎用アンカーノードを選択することを試行することができる。いくつかのレベルのトポロジーの情報が本質的に利用可能であるネットワークでは、例えば、トポロジー的に割り当てられたアドレス群を有するIPネットワークでは、汎用アンカーノードに対する適切な位置を、例えば、従前のIPアドレスと新規のIPアドレスとの最長共通アドレスプレフィックスを取得することによって、概算することができる。
【0063】
送信機が汎用アンカーノードを一旦選択すると、アンカーノードと送信機は、トンネルあるいは別の適切な手段をセットアップすることを必要とする、これは、送信機がアンカーノードへ(認証済の)パケット群を送信することを可能にし、そうすることで、アンカーノードがそのパケット群を正しいマルチキャストーツリーへ入力することができるようにする。複数のツリーが存在する場合、送信機は、IP拡張ヘッダのようなメタデータを送信することを必要とし、これは、どのマルチキャストツリーがデータを送信しているかを記述するものである。また、メタデータは、アンカーノードに、ツリーのルートになることを可能にし、かつそこにパケット群を投入することを可能にするための必須の認証情報を含んでいる。これは、マルチキャストプロトコルが、誰かが送信することをあるいはルートの役割を担うことを防ぐセキュリティ機能を有している場合である。トンネルをどのようにセットアップするかについての実際の方法あるいは他の転送経路をどのようにセットアップするかについての実際の方法のみならず、認証情報のタイプは、特定の実装に依存する。これについては、以下で更に説明する。
【0064】
いくつかの実装では、新規の位置から汎用アンカーノードへのパケットの送信動作は、自明なものでなくても良いが、確立すべき明示的な転送経路を要求することになる。このような場合、転送経路は、モビリティイベントの前にセットアップされなければならない。切断前の接続の場合、正確で単純な経路を構築することができる。接続前の切断の場合、アンカーノードに向かう多対1の経路を構築することが必要となる可能性があり、これは、潜在的なDoS問題を引き起こす。DoS問題を解決するための複数の潜在的な方法が存在する。第1に、転送経路の作成は、例えば、以下で説明する実施形態に基づくRSIRPブルームフィルタ群の場合のように、ネットワーク内の状態を確立することを要求しなくても良い場合がある。第2に、転送経路は、移動ノードにバインドされても良く、そうすることで、それを介してパケットを送信することができないノードはない。これは、例えば、すべての転送ノード群内のデジタル署名を検証することによって達成することができる。第3に、(ステートフルな)多対1転送経路の構築は、最初に、例えば、送信機にデジタルパズルを解くことを要求することによって、その経路に沿って送信するための自身の正当な要求を示すことを任意の新規の送信機に要求することができる。
【0065】
一旦、汎用アンカーノードと、要求されたトンネル及び転送状態の少なくとも一方とが存在すると、送信機は、上述の任意のアルゴリズムを利用して、ツリーの現在の位置からアンカーノードへのツリーリルーティングを開始する。一旦、ツリーがリルートされると、送信機は移動する準備に入る。
【0066】
送信機が移動すると、送信機は、アンカーノードから自身の新規の位置へパケットを送信することを単純に継続する。このことは、送信機を制御するノードが移動しているかどうか、あるいはサブネットワーク全体が移動しているかどうかの違いに関わらず発生する。汎用アンカーノードによってパケットを受け入れることを継続する限り(例えば、それれが、適切な認証データを搬送する限り)、パケットはマルチキャストツリー(群)に投入されることになる。
【0067】
送信機が一旦移動すると、いくつかの異なるオプションが利用可能である。第1に、送信機がすぐに再度移動するつもりであり、かつアンカーノードが適切に選択されている場合には、送信機は、マルチキャストツリーのルートとしてアンカーノードを利用することを継続することができる。第2に、送信機がすぐに移動するつもりであるが、アンカーノードは(極めて)次善の位置に存在する場合、送信機は、汎用アンカーノード選択手順を繰り返すことによって新規のアンカーノードを選択することができる。第3に、送信機が近い将来には移動するつもりはない場合、送信機は、上述のリルーティングアルゴリズムを利用して、自身の現存の位置へツリーのルートを移動することができる。第4に、送信機が移動するつもりはないが、高価な通信リンク下にある場合、送信機は、新規のローカルアンカーノードAP2を選択し、ツリーをそこにリルートすることができる。この第4のソリューションは、アンカーノード(AP2)に、移動ノードのための将来のシグナリングを引き受けさせることを可能にする、即ち、次の汎用アンカーノードの選択と、そのノードへのツリーのリルーティングを処理することを可能にする。
【0068】
モビリティを処理するための代替の方法を説明する。この方法は、特に、ネットワークと送信機との間の最後尾の通信リンクが高価なもの、例えば、無線リンクである場合に適用可能である。図3に示されるように、この変形においては、送信機は、固定ネットワーク内の2つのアンカーノードAP1とAP2とを選択し、ここで、前者は送信機の現在の位置の近くにあり、後者は自身が予想する新規の位置の近くにある。より正確にするためには、AP1が、モビリティイベントの前に、マルチキャストツリーに対して追加される経路長/遅延を最小化するために選択され、同様に、AP2に対しては、モビリティイベントの後に対してなされる。
【0069】
移動送信機は、最初に、AP1を、データを送信するマルチキャストツリーの新規のルートとしてセットアップする。移動送信機が移動した後、移動送信機は、AP2に、マルチキャストツリーの次のルートになることを指示する。AP2は、AP1がマルチキャストツリーの新規のルートであることを通知する認証済メッセージをAP1へ送信する。AP1は、次に、トンネルを開始する。そうでなければ、データのAP2への転送を開始する。その後、AP2へのツリーリルーティングは、上述のように実行される。
【0070】
この方法の利点は、移動送信機は、任意のパフォーマンスの不利益を招くことなく、かつ十分余裕をもって、モビリティイベントの前に、AP1とAP2とを選択し、その後、マルチキャストツリーのルートをAP1へ転送することができる。この変形は、予期せぬモビリティイベントの場合でさえも、AP1からAP2へのマルチキャストツリーの再構築を、移動送信機からの必要最小限の通信で実現することができる。しかしながら、送信機が複数のパケットを直接送信することを必要としない場合のみに動作するが、これは、典型的には、シグナリングデリゲーション(委譲)が使用される場合である。
【0071】

例示の実施形態
1.IPネットワーク群のソース専用マルチキャスト(SSM)
図4aは、SSMに従ってマルチキャストグループを確立するための手順を示している。第1のステップとして、移動ノード(MN)が、アクセスルータAR1によって所有されるアドレスブロックからIPアドレスIP1が割り当てられる。次に、S1は、SSMグループ(IP1、G)へ参加する。PIM JOINメッセージ(参加メッセージ)が、経路S1→F2→AP→F4→AR1に沿って送信される。S2は、同一のグループに参加する。PIM JOINメッセージが、S2→F3→F2に沿って送信される。同一のプロセスがS3、S4及び5に対して、それぞれ、経路S3→F3、経路S4→F1→AP、及び経路S5−S5が適用される。図4bは、ソース専用マルチキャスト(SMM)規格(RFC4601、RFC4607)に対する初期構成の後のIP SSM PIMマルチキャストツリーを示していて、ここで、移動送信機が処理する手順は、以下のように実施することができる。
【0072】
新規の認証済メッセージは、既存のSSMマルチキャストツリーに送信される。このメッセージは、マルチキャストツリーを、既存のソースIPアドレスから新規のソースIPアドレスへリルートさせる、リルーティング処理を開始する。これは、RFC4601のセクション3.2−3.3に記載されている。
【0073】
新規のメカニズムが、アンカーノードを検出し、かつ確立するために必要とされる。例えば、リバースDNSは、任意のIPプレフィックスで、利用可能なアンカーノード群についての情報を記憶するために使用され得る。
【0074】
セキュリティ問題に取り組むために、ツリーを、暗号化によって生成された暗号化生成アドレス(CGA:Cryptographically Generated Address)(RFC3972)、あるいはORCHID(Overlay Routable Cryptographic Hash Identifier:オーバレイルータブル暗号ハッシュ識別子)(RFC4843)アドレスと関連付けることが提案される。更新メッセージを認証するための2つのオプションとして、以下のものがある。
【0075】
1.仕様に従えば、CGA群とORCHID群の両方は、デフォルトで、パブリックキーの暗号化ハッシュを含んでいる。その結果、更新メッセージは、更新メッセージを介して、パブリックキーと署名とを含めることによって認証することができる。これは、構造的には、SeND(RFC3971)における近隣発見(ND)メッセージ群で、現在既になされていることに類似している。
【0076】
2.CGAとORCHIDそれぞれの仕様は、アドレスに、パブリックキー以外のデータをバインドさせることを可能にする。特に、ORCHIDの場合、パブリックキーを介してハッシュを取得する代わりに、ORCHIDは、ハッシュチェーンアンカーをORCHID内に配置し、かつ更新メッセージ群のシーケンスを認証するための任意の標準ハッシュチェーン群あるいはハッシュツリー群を使用することによって形成することができる。
【0077】
図4cは、MNの移動の前のIP SSM PIMリルーティングシグナリングを示している。この処理は、以下のステップ群を含んでいる。
【0078】
1.MNは、新規のPIM REROOTメッセージ(リルートメッセージ)を構築し、それを、IPv6ホップバイホップ(HBH)オプションに配置し、そして、パケットをマルチキャストグループアドレスGへ送信する。
【0079】
2.AR1はパケット群を受信し、HBHオプションを取得して認証し、そして、ツリーから自身を除去する。
【0080】
3.F4はパケットを受信し、HBHオプションを取得して認証し、そして、リンクF4→AP方向を逆転させる。
【0081】
4.APはパケットを受信し、HBHオプションを取得して認証し、そして、リンクA4→AP方向を逆転させる。
【0082】
5.ツリー内の他のノード群のすべてはパケットを処理し、そして、ソースアドレス変更IP1→APにマークする。
【0083】
6.MNはAPへパケット群をトンネルすることを開始し、次に、APは、そのパケット群をツリーに沿って送信する。
【0084】
図4dは、第1のリルーティング後のIP SSM PIMマルチキャストツリーを示している。
【0085】
図4eは、MNの移動後のIP SSM PIMリルーティングシグナリングを示す図である。
【0086】
0.MNは、AR2から新規のIPアドレスIP2を取得する。
【0087】
1.MNは、新規のPIM REROOTメッセージを構築し、それをIPv6ホップバイホップ(HBH)オプションに配置し、そして、パケットをAPへ送信する。
【0088】
2.AR2はパケットを受信し、HBHオプションを取得して認証し、そして、自身をツリーに追加する。
【0089】
3.F1はパケットを受信し、HBHオプションを取得して認証し、そして、リンクAP→F1方向を逆転する。
【0090】
4.APはパケットを受信し、HBHオプションを取得して認証し、そして、リンクAP→F1方向を逆転し、そして、パケットをGへ再送信する。
【0091】
5.ツリー内の他のノード群のすべてはパケットを処理して、そして、ソースアドレス変更AP→IP2にマークする。
【0092】
6.MNはAPへのパケットのトンネルを停止し、それに代わって、パケットをGへパケットを直接送信する。
【0093】
図4fは、第2のリルーティング後のIP SSM PIMマルチキャストツリーを示している。
【0094】

2.RSIRPアーキテクチャにおける純粋公表/加入マルチキャスト
PSIRPプロジェクトでは、ネットワーク相互接続は、純粋なソース専用マルチキャストモデルに基づいていて、これは、各パケットが概念的にソース(公表)識別子を搬送し、及び、マルチキャストラベル群のスタック(サレラ等、RTFM、公表/加入インターネットワーキングアーキテクチャ、ICTモバイルサミット、(2008年6月))、あるいは、リンク識別子群のセットの表現に基づくブルームフィルタ(ヨケラ等、LIPSIN:回線速度公表/加入相互接続ネットワーク、NSDI09に提出)を搬送する。前者の場合、各転送要素は、スタック内の最上位マルチキャストラベルを検証し、そして、マルチプロトコルラベルスイッチング(MPLS)の形式でラベルを置換し、そのスタックから1つのラベルをポップするあるいは新規のラベルをスタックにプッシュし、次に、1つ以上のインタフェースを通じてパケットを転送する。転送要素の最上位ラベルとやり取りする状態が存在しなければならない、そうでなければ、パケットが破棄されることになる。後者の場合、各転送要素はパケット内のブルームフィルタを検証し、そのパケットを、ブルームフィルタを追加しているそれらの外部リンク群へ転送する。ブルームフィルタが転送要素において任意の外部リンク群を含まない場合、パケットは破棄されることになる。
【0095】
この状況では、マルチキャストツリーをリルーティングすることは、潜在的に高価な操作である。これは、その操作が、典型的には、新規の転送状態をセットアップすること、いくつかの転送要素において転送状態を更新すること、完全なトポロジー情報を使用して新規のブルームフィルタを計算することの少なくともいずれかを要求するからである。ここで、上述の相対的に高速のリルーティングアルゴリズムですら、大規模かつ過密なネットワークでは、膨大な量の時間、潜在的には、数百ミリ秒以上かかる。特に、以下のことに注意している。
【0096】
・ソース認証は、例えば、ハッシュチェーン、パケットレベル認証(PLA)を使用して、PSIRP/RTFMで既に実施されている方法に基づくことができる。これは、ピー.ニカンデル及びジー.マリアス(2008)、「純粋公表/加入暗号プロトコル群に対する理解」、イギリス、ケンブリッジ、第16回セキュリティプロトコルワークショップの予備議事録、(2008年4月16日−18日)。
【0097】
・新規のルートからの従前のツリーを検出することは、潜在的に、制御プレーンでのいくつかのローカルブロードキャストメッセージを取り扱う。これは、高価になる可能性がある。これは、転送要素群のそれぞれにおいて低速な経路操作を要求するからである。また、新規のルートと従前のツリーに参加している閉じられた転送要素との間の距離が長くなり、更に、メッセージの数が大量になるからである。
【0098】
・従前の位置からアンカーノードへの転送トンネルを確立することは、単純かつ直接的であり、送信機から新規のルートを通過するための単一のセットアップメッセージを要求し、経路上の転送要素群のそれぞれにおいて新規の転送ラベルをセットアップする(ここで、送信機はアンカーノードの選択ステップの結果としてこの経路を知ることになる)。次に、パケットをトンネルするために、送信機は、単に、パケットを閉じられたFEへ転送する前にパケットに新規のラベルをプッシュし、そして、アンカーノードはラベルをポップして、その後、それを正規のツリーへ転送する。
【0099】
・切断前の接続の場合、新規の位置からアンカーノードへ転送トンネルを確立することは、新規の位置からアンカーノードへの経路を確立することと等価である。
【0100】
・接続前の切断の場合、移動ノードそれぞれに対して新規の転送トンネルを確立することは、転送要素群において過多の状態をもたらす可能性がある。ここでは、ブルームフィルタステートレス方法を使用すること、あるいはアンカーノードを共有する移動送信機のすべてによって共有される転送状態をセットアップすることを提案している。これは、N(アンカーノード数)×N(移動送信機数)からN(アンカーノード数)だけへと、転送要素毎の状態数を削減する。
【0101】
図5aは初期構成後のRSIRP RTFMマルチキャストツリーを示している。図5bは移動前のRSIRP RTFMリルーティングシグナリングを示していて、以下のステップ群を含んでいる。
【0102】
1.MNはREROOTメッセージを構築し、シグナリングプレーンを介してパケットをAPへ送信する。
【0103】
2.AR1はパケットを受信して、それを認証し、そして、ツリーから自身を削除する。
【0104】
3.F4はパケットを受信し、それを認証し、そして、リンクF4→AP方向を逆転する。
【0105】
4.APはパケットを受信し、それを認証し、そして、リンクF4→AP方向を逆転する。
【0106】
6.MNはAPへパケットをトンネルすることを開始し、そこで、そのパケットをリルートされたツリーに沿って送信する。
【0107】
図5cは第1のリルーティング後のRSIRP RTFMマルチキャストツリーを示している。
【0108】
図5dは移動後のRSIRP RTFMリルーティングシグナリングを示していて、以下のステップ群を含んでいる。
【0109】
1.MNはREROOTメッセージを構築し、シグナリングプレーンを介してパケットをAPへ送信する。
【0110】
2.AR2はパケットを受信して、それを認証し、そして、自身をツリーへ追加する。
【0111】
3.F1はパケットを受信し、それを認証し、そして、リンクAP→F1方向を逆転する。
【0112】
4.APはパケットを受信し、それを認証し、そして、リンクAP→F1方向を逆転する。
【0113】
6.MNはAPへパケットをトンネルすることを停止し、それに代わって、そのパケットをGへ直接送信する。
【0114】
図6はマルチキャストグループ内の送信機として動作するように構成されている移動ノード1の概要を示している。移動ノードは、例えば、セルラー電話ネットワークあるいはWLANのようなアクセスネットワークに接続されているインタフェース2を備えている。マルチキャストセッション確立ユニット3はインタフェースに接続され、そして、パケットデータネットワーク内のマルチキャストグループが要求される場合に、確立する。このユニット3は、送信機として、既存のグループに対してMNを参加させることができる。更に、パケット送信機4は、インタフェース2を介してマルチキャストパケット群を送信する。マルチキャストモビリティ処理ユニット5は、モビリティイベント、例えば、異なるアクセスネットワーク間でハンドオフが発生しようとしている場合を検出するように構成されている。このような検出に応じて、ユニット5は、転送アンカーノードを選択し、そして、送信機4に、マルチキャストツリーへREROOTメッセージを送信させ、選択されたアンカーノードにおいてマルチキャストツリーをリルートさせる。その後、モビリティイベントの前後で、送信機は転送アンカーポイントへマルチキャストパケットをトンネルする。もちろん、移動ノードの位置が一旦安定すると、マルチキャストツリーは、新規のローカルアンカーノードあるいは移動ノード自身にリルートされても良い。
【0115】
図7はネットワークノードを示していて、これは、例えば、IPルータであっても良い。ノード10は(複数の)入力インタフェース群11及び出力インタフェース群12、マルチキャストプロトコルユニット13を備え、このユニット13はマルチキャストグループに対する受信者登録を保持することを担当する。このユニットは、特に、メモリ14を含み、このメモリ14は、入力インタフェースで受信される場合に、出力インタフェースを介して送信されなければならない、所与のマルチキャストグループに属するパケット群を記憶する。また、メッセージ認証部15を含み、これは、上述のパブリックキー暗号化に基づいて、受信したリルーティングメッセージを認証するように構成されている。
【0116】
図8は、上述のモビリティ処理方法における主要なステップ群を示すフロー図である。この処理はステップ100において開始し、続いて、ステップ101において、マルチキャストツリーの確立を行う。ステップ102において、送信機は、マルチキャストツリーへのパケット群の送信を開始する。送信機はアンカーノードであっても良いし、あるいはネットワーク内のアンカーノードが定義されても良い。ステップ103において、送信機は、近い将来のモビリティイベントを検出し、それに応じて、ステップ104において、送信機は転送アンカーノードを識別し、そのアンカーノードへツリーをリルートする。ステップ105において、送信機は、転送アンカーノードへパケットをトンネルすることを開始する。ステップ106において、モビリティイベント、例えば、新規のアクセスネットワークへのハンドオーバが発生する。モビリティイベントに続いて、ステップ107において、送信機は、転送アンカーノードへパケットをトンネルすることを継続する。送信機の位置が一旦安定すると、ステップ108において、ツリーはソースあるいは更ならローカルアンカーノードへリルートされる。ステップ109において、この処理が終了する。
【0117】
当業者であれば、本発明の範囲から逸脱することなく、上述の実施形態を様々に変形することができることが理解するであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチキャストパケット送信状況の送信機のモビリティを処理する方法であって、
パケットデータネットワークにわたるマルチキャストツリーを確立し、前記マルチキャストツリーを介して前記送信機から複数の受信機へマルチキャストパケット群を送信するステップと、
前記送信機に関する近い将来のモビリティイベントの検出時で、かつ前記モビリティイベントの前に、前記パケットデータネットワーク内の適切な転送アンカーノードを識別するステップと、
前記転送アンカーノードへ前記マルチキャストツリーをリルーティングするステップと、
前記送信機から前記転送アンカーノードへマルチキャストパケット群を送信し、前記転送アンカーノードにおいて前記マルチキャストツリーへ前記マルチキャストパケット群を投入するステップと、
前記モビリティイベントに続いて、前記マルチキャストツリーへの投入のために、前記送信機から前記転送アンカーノードへマルチキャストパケット群を送信することを継続するステップと
を有することを特徴とする方法。
【請求項2】
前記送信機は、移動ユーザ端末にあるいは移動ルータに配置されている
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記パケットデータネットワークにわたるマルチキャストツリーを確立し、前記マルチキャストツリーを介して前記送信機から複数の受信機へマルチキャストパケット群を送信するステップは、第1のアンカーノードにおいて前記マルチキャストツリーをルーティングするステップを有し、
前記転送アンカーノードへ前記マルチキャストツリーをリルーティングするステップは、前記第1のアンカーノードから前記転送アンカーノードへ前記マルチキャストツリーをリルーティングするステップを有する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記パケットデータネットワークにわたるマルチキャストツリーを確立し、前記マルチキャストツリーを介して前記送信機から複数の受信機へマルチキャストパケット群を送信するステップは、前記送信機において前記マルチキャストツリーをルーティングするステップを有し、
前記転送アンカーノードへ前記マルチキャストツリーをリルーティングするステップは、前記送信機から前記転送アンカーノードへ前記マルチキャストツリーをリルーティングするステップを有する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
前記モビリティイベントに続いて、前記マルチキャストツリーへの投入のために、前記送信機から前記転送アンカーノードへマルチキャストパケット群を送信することの後に、前記転送アンカーノードから、新規の位置における前記送信機へ、あるいは前記送信機の前記新規の位置に対してローカルとなる更なるアンカーノードへ、前記マルチキャストツリーをリルーティングするステップを有する
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記送信機から前記転送アンカーノードへマルチキャストパケット群を送信し、前記転送アンカーノードにおいて前記マルチキャストツリーへ前記マルチキャストパケット群を投入するステップは、前記マルチキャストパケット群が、宛先アドレスとしてマルチキャストグループアドレスを有する内部ヘッダと、宛先アドレスとして前記アンカーノードを有する外部ヘッダとを有するように、前記アンカーノードへ前記マルチキャストパケット群をトンネルするステップを有する
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
マルチキャストグループの前記マルチキャストグループアドレスは、暗号化によって生成された暗号化生成アドレスである
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
マルチキャストツリーのリルーティングは、前記マルチキャストツリーにわたってリルーティングメッセージを送信することによって達成され、
前記リルーティングメッセージは、前記マルチキャストグループアドレスと、関係するパブリックキーと、及び前記暗号化生成アドレスに関係付けられているプライベートキーを使用して生成される署名とを含み、
前記マルチキャストツリー内のノード群は、前記署名と前記パブリックキーとを使用して前記リルーティングメッセージを認証する
ことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
マルチキャストグループのマルチキャストグループアドレスは、オーバレイルータブル暗号ハッシュ識別子である
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
マルチキャストツリーのリルーティングは、前記マルチキャストツリーにわたってリルーティングメッセージを送信することによって達成され、
前記リルーティングメッセージは、前記マルチキャストグループアドレスと、関係するパブリックキーと、及び前記オーバレイルータブル暗号ハッシュ識別子に関係付けられているプライベートキーを使用して生成される署名とを含み、
前記マルチキャストツリー内のノード群は、前記署名と前記パブリックキーとを使用して前記リルーティングメッセージを認証する
ことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
マルチキャストツリーのリルーティングは、前記マルチキャストツリーにわたって連続する2つのリルーティングメッセージを送信することによって達成され、
前記2つのリルーティングメッセージは、前記マルチキャストグループアドレスを含み、
前記2つのリルーティングメッセージの内の第1のメッセージは、前記オーバレイルータブル暗号ハッシュ識別子でルートされるハッシュチェーンで構成されるハッシュ値を含み、
前記2つのリルートメッセージの内の第2のメッセージは、前記ハッシュチェーンから対応する次のハッシュ値を公表し、
前記マルチキャストツリー内のノード群は、前記第2のメッセージ内の前記次のハッシュ値を使用して前記第1のメッセージを認証する
ことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項12】
パケットデータネットワークにわたって少なくとも1つのマルチキャストグループに対するパケット群の送信機として動作するように構成されている移動ノードであって、
マルチキャストツリーを確立するあるいはマルチキャストツリーに参加する、マルチキャストセッション確立あるいは参加ユニットと、
前記マルチキャストツリーを介して複数の受信機へマルチキャストパケット群を送信するマルチキャストパケット送信機と、
マルチキャストモビリティ処理ユニットとを備え、
前記マルチキャストモビリティ処理ユニットは、
前記送信機に関する近い将来のモビリティイベントの検出時で、かつ前記モビリティイベントの前に、前記パケットデータネットワーク内の適切な転送アンカーノードを識別し、前記転送アンカーノードへ前記マルチキャストツリーをリルーティングし、かつ前記モビリティイベントの前後において前記マルチキャストツリーへ投入するために、前記マルチキャストパケット送信機に前記転送アンカーノードへ前記マルチキャストパケット群を送信させる
ように構成されている
ことを特徴とする移動ノード。
【請求項13】
前記マルチキャストパケット送信機は、前記転送アンカーノードへマルチキャストパケット群をトンネルするように構成されている
ことを特徴とする請求項12に記載の移動ノード。
【請求項14】
前記マルチキャストモビリティ処理ユニットは、前記モビリティイベントに続いて、更なるアンカーノードあるいは自身において前記マルチキャストツリーをリルーティングするように構成されている
ことを特徴とする請求項12または13に記載の移動ノード。
【請求項15】
パケットデータネットワーク内のパケット群をルーティングするように構成されているノードであって、
当該ノードをマルチキャストツリーに統合させることを可能にし、かつ暗号化によって生成されたマルチキャストグループアイデンティティあるいはアドレスに関連付けられているパブリックキーを使用して、所与のマルチキャストツリーに関連するツリーリルーティング指示を認証するように構成されているマルチキャストプロトコルユニットを備える
ことを特徴とするノード。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【図4c】
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【図4d】
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【図4e】
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【図4f】
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【図5a】
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【図5b】
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【図5c】
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【図5d】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2012−506655(P2012−506655A)
【公表日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−532503(P2011−532503)
【出願日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際出願番号】PCT/EP2008/064368
【国際公開番号】WO2010/045977
【国際公開日】平成22年4月29日(2010.4.29)
【出願人】(598036300)テレフオンアクチーボラゲット エル エム エリクソン(パブル) (2,266)
【Fターム(参考)】