マルチキャリア無線通信システム
【課題】マルチキャリア無線通信システムにおいて、無線伝搬路の状況に応じてサブキャリアの割り当てを行うことにより、通信品質の悪いサブキャリアが割当てられることを防止し、通信品質の向上を図る。
【解決手段】移動局と基地局との間の無線伝搬路を移動局ごと且つサブキャリアごとに推定するチャネル推定回路13と、チャネル推定情報を所定の条件に基づいて判定し、該判定結果に基づき、無線伝搬路上で良好なサブキャリアから成る有効サブキャリア群を移動局ごとに選定し、該有効サブキャリア群から、移動局に割当てるサブキャリアを選択するマッピング制御回路10とを備え、移動局とサブキャリアとの対応関係を示すマッピング情報を、移動局と基地局との間で共有するように構成し、移動局ごとに同時に割り当てるサブキャリアに対し、同一のシンボル情報をコピーして割り当て、拡散符号を重畳して周波数拡散を行う。
【解決手段】移動局と基地局との間の無線伝搬路を移動局ごと且つサブキャリアごとに推定するチャネル推定回路13と、チャネル推定情報を所定の条件に基づいて判定し、該判定結果に基づき、無線伝搬路上で良好なサブキャリアから成る有効サブキャリア群を移動局ごとに選定し、該有効サブキャリア群から、移動局に割当てるサブキャリアを選択するマッピング制御回路10とを備え、移動局とサブキャリアとの対応関係を示すマッピング情報を、移動局と基地局との間で共有するように構成し、移動局ごとに同時に割り当てるサブキャリアに対し、同一のシンボル情報をコピーして割り当て、拡散符号を重畳して周波数拡散を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基地局との間で無線通信する移動局ごとに、異なる無線周波数のサブキャリアを割当てるマルチキャリア無線通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、基地局との間で無線通信する移動局ごとに、異なる無線周波数のサブキャリアを割当てるマルチキャリア無線通信システムが知られている。
図12および図13は、マルチキャリア無線通信システムにおいて、ユーザに割り当てるサブキャリアをシンボル周期単位でホッピングさせる周波数ホッピングを用いた直交周波数分割多重(Orthogonal Frequency Division Multiplexing;OFDM)方式の概念図である。この周波数ホッピングを用いたOFDM(以下、周波数ホッピングOFDMと称する)方式では、図12に示すように、シンボル周期Tsごとに、各ユーザが使用するサブキャリアを各々独立に変更しながら通信を行う。ここで、同一セル内では個々のユーザに独立したサブキャリアのホッピングパターンを割り当て、隣接する基地局間では互いに異なるホッピングパターンを割り当てる。これにより、同一周波数における同一チャネル間干渉の影響を軽減することが可能となる。
【0003】
なお、周波数ホッピングOFDM方式における送受信機の構成は、通常のOFDM方式のものと同一であり、受信側がサブキャリアの割り当てパターンを事前に把握することにより、自局宛のサブキャリアのみを受信・判定し(高速フーリエ変換(FFT)は一括処理)、ベースバンドのデータ系列に変換している。
【0004】
上述した周波数ホッピングOFDM方式に係る従来技術については、例えば特許文献1,2,3に記載されている。また、周波数ホッピングパターンに係る従来技術については、例えば特許文献4,5,6に記載されている。これらの従来技術では、同一セル内干渉の回避、隣接セルから同一チャネル干渉の軽減、並びに、周波数ダイバーシチ効果の獲得を目的として個々のユーザに割り当てるサブキャリアを周波数ホッピングさせている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−110529号公報
【特許文献2】特開平7−288491号公報
【特許文献3】特開平9−321736号公報
【特許文献4】特開2000−286822号公報
【特許文献5】特開2001−156739号公報
【特許文献6】特開2001−230753号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上述した従来の周波数ホッピングOFDM方式に係る技術では、ランダムのホッピングパターンを使用したり、或いは同じ周波数のサブキャリアが確率的に隣接セルで割り当てられ難いホッピングパターンを使用しており、無線伝搬路やセル間干渉の影響がサブキャリアの割り当て時に考慮されていない。このため、受信品質の悪いサブキャリアが割当てられることにより、受信誤りの発生確率が増大し、通信品質が劣化するという問題が生じる。
【0007】
例えば、チャネル帯域幅が広帯域になるほどマルチパスによる周波数選択性フェージングの影響を受けやすくなり、ホッピング中の何れかのサブキャリアがレベル的に落ち込んだ場合にシンボル誤りが発生する確率が高くなる。このシンボル誤りを誤り訂正符号やARQ(Automatic Repeat Request)により補償することになるが、そのためには符号化率の低い誤り訂正符号を使用することになるので、伝送効率が低下するという問題が生じる。また、伝搬路歪による品質劣化に対して送信電力を上げることにより対処した場合には、同じサブキャリア周波数を用いる隣接セルの基地局あるいはユーザに与える干渉電力が大きくなり、システム全体としてパフォーマンスが低下するという問題が生じる。
【0008】
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、その目的は、マルチキャリア無線通信システムにおいて、無線伝搬路の状況に応じてサブキャリアの割り当てを行うことにより、通信品質の悪いサブキャリアが割当てられることを防止し、通信品質の向上を図ることができるマルチキャリア無線通信システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明に係るマルチキャリア無線通信システムは、基地局との間で無線通信する移動局ごとに、異なる無線周波数のサブキャリアを割当てるマルチキャリア無線通信システムにおいて、移動局と基地局との間の無線伝搬路を移動局ごと且つサブキャリアごとに推定するチャネル推定手段と、前記推定結果のチャネル推定情報を所定の条件に基づいて判定する判定手段と、前記判定結果に基づき、無線伝搬路上で良好なサブキャリアから成る有効サブキャリア群を移動局ごとに選定する有効サブキャリア群選定手段と、前記選定結果の有効サブキャリア群から移動局に割当てるサブキャリアを選択するサブキャリア割当制御手段と、を有するサブキャリア割当装置であって基地局との間で無線通信する移動局ごとに異なる無線周波数のサブキャリアを割当てるサブキャリア割当装置を備え、前記サブキャリア割当装置による割当結果である移動局とサブキャリアとの対応関係を示すマッピング情報を、移動局と基地局との間で共有するように構成したマルチキャリア無線通信システムであり、移動局ごとに同時に割り当てるサブキャリアに対し、同一のシンボル情報をコピーして割り当て、拡散符号を重畳して周波数拡散を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、マルチキャリア無線通信システムにおいて、無線伝搬路の状況に応じてサブキャリアの割り当てを行うことができるので、通信品質の悪いサブキャリアが割当てられることを防止できる。これにより、通信品質の向上を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態に係る周波数ホッピングOFDM方式のマルチキャリア無線通信システムの基地局100の構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示すマッピング制御回路10の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るサブキャリア割当処理の手順を示すフローチャートである。
【図4】本発明の一実施形態に係るサブキャリア割当方法を説明するための概念図である。
【図5】本発明の一実施形態に係るサブキャリア割当方法を説明するための概念図である。
【図6】本発明の一実施形態に係るマルチキャリア無線通信システムの移動局200の構成を示すブロック図である。
【図7】本発明の他の実施形態に係る基地局100aの構成を示すブロック図である。
【図8】図7に示すマッピング制御回路10aの構成を示すブロック図である。
【図9】本発明の他の実施形態に係る移動局200aの構成を示すブロック図である。
【図10】本発明に係る符号拡散の概念を適用したサブキャリア切替制御方法の実施例を示す概念図である。
【図11】本発明に係る符号拡散の概念を適用したサブキャリア切替制御方法の実施例を示す概念図である。
【図12】従来の周波数ホッピングOFDM方式の概念図である。
【図13】従来の周波数ホッピングOFDM方式の概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る周波数ホッピングOFDM方式のマルチキャリア無線通信システムの基地局100の構成を示すブロック図である。この基地局100は時分割複信(TDD;Time Division Duplex)方式に対応するものであり、図1にはTDD方式の送受信機能に係る構成が示されている。
【0013】
先ず、基地局100の送信機能について説明する。
図1において、ユーザ1〜L宛ての各々のデータ系列1−1〜Lは、データ・マッピング回路2に入力される。データ・マッピング回路2は、マッピング制御回路10から入力されたマッピング情報に基づき、データ系列1−1〜Lの個々に対してサブキャリア番号を割当てる。それらデータ系列1−1〜Lとサブキャリア番号の各組は、IFFT(逆高速フーリエ変換)回路3に入力される。上記マッピング情報は、ユーザ(移動局)とサブキャリアとの対応関係を示す情報である。
【0014】
IFFT3は、データ系列1−1〜Lの個々に対してIFFTを施し、この変換後の各データ系列1−1〜Lに対応する信号に対して、それぞれ対応付けられているサブキャリア番号に基づき、該当するサブキャリア周波数を乗算する。この乗算結果として、サブキャリア周波数の個数nに対応するn個の信号f1〜fnが得られる。これら信号f1〜fnは加算器4に入力される。
【0015】
加算器4は、それら入力された信号f1〜fnを加算してガードインターバル付加回路5に出力する。
ガードインターバル付加回路5は、その入力された信号に対してガードインターバルを付加する。このガードインターバルが付加された信号(ベースバンド信号)はスイッチ6を介して乗算器7に入力される。
乗算器7は、その入力されたベースバンド信号に対して、高周波発振器8から出力されるキャリア信号を乗算する。この乗算結果の信号はアンテナ9を介して無線送信される。
【0016】
次に、基地局100の受信機能について説明する。
図1において、アンテナ9により受信された無線信号は乗算器7に入力され、高周波発振器8から出力されるキャリア信号と乗算される。この乗算結果の信号(ベースバンド信号)は、スイッチ6を介してガードインターバル除去回路11に入力される。ガードインターバル除去回路11は、その入力されたベースバンド信号からガードインターバルを除去する。この除去結果の信号は、FFT(高速フーリエ変換)回路12に入力される。
【0017】
FFT回路12は、その入力された信号に対してFFTを施す。これにより、サブキャリアごとのベースバンド受信信号が得られる。このサブキャリアごとのベースバンド受信信号は、チャネル推定回路13およびデータ判定回路14に入力される。
【0018】
チャネル推定回路13は、その入力されたサブキャリアごとのベースバンド受信信号に基づき、ユーザごとに、毎シンボル周期または先頭のプリアンブル部分、あるいは定期的に挿入されるパイロットシンボルにより、移動局と自基地局100との間の無線伝搬路を推定する。この無線伝搬路推定処理では、ユーザごと且つサブキャリアごとに、移動局と基地局100との間の無線伝搬路の特性を表すパラメータを測定する。例えば、受信信号電力、干渉信号電力、雑音電力、受信信号電力と干渉信号電力の比、受信信号電力と雑音電力の比、又は干渉電力と雑音電力の合成電力と受信信号電力の比などを測定する。このユーザごと且つサブキャリアごとの測定結果のデータ(チャネル推定情報)は、データ判定回路14およびマッピング制御回路10に入力される。
【0019】
データ判定回路14は、チャネル推定回路13から入力されたチャネル推定情報に基づき、FFT回路12から入力されたサブキャリアごとのベースバンド受信信号のデータ判定を行う。このデータ判定結果のサブキャリアごとのベースバンド受信信号はデータ・デマッピング回路15に入力される。
【0020】
データ・デマッピング回路15は、マッピング制御回路10から入力されたマッピング情報に基づき、データ判定回路14から入力されたサブキャリアごとのベースバンド受信信号に含まれるデータシンボルをユーザ別に並び替える。この並び替えによって各ユーザ1〜Lからのデータ系列16−1〜Lが得られる。
【0021】
また、マッピング制御回路10は、チャネル推定回路13から入力されたユーザごと且つサブキャリアごとのチャネル推定情報に基づき、どのユーザに対してどのサブキャリアを割り当てるのが最適であるのかを判断し、この判断結果に基づいたマッピング情報を生成する。
【0022】
なお、図1では周波数変換時に必要となる低域通過フィルタやタイミング再生回路等の一般的な構成要素については省略している。
【0023】
図2は、上記した図1に示すマッピング制御回路10の構成を示すブロック図である。
図2において、マッピング制御回路10には、上記図1のチャネル推定回路13からユーザごと且つサブキャリアごとのチャネル推定情報が入力される。また、予め基地局100に設定されている優先割当制御情報が入力される。この優先割当制御情報は、ユーザの優先度を表す情報である。
【0024】
図2のマッピング制御回路10において、閾値判定部21は、ユーザごと且つサブキャリアごとに、チャネル推定情報を閾値により判定する。具体的には、チャネル推定情報に含まれる無線伝搬路特性に係るパラメータと所定の閾値とを比較し、合否判定する。このユーザごと且つサブキャリアごとの判定結果は、有効サブキャリア群選定部22に通知される。
【0025】
有効サブキャリア群選定部22は、閾値判定部21から通知されたユーザごと且つサブキャリアごとの判定結果に基づき、ユーザごとに、無線伝搬路上で良好なサブキャリアから成る有効サブキャリア群Uを選定する。このユーザごとの有効サブキャリア群Uはサブキャリア割当制御回路23に通知される。
【0026】
サブキャリア割当制御回路23は、有効サブキャリア群選定部22から通知されたユーザごとの有効サブキャリア群Uから、それぞれ該当するユーザに割当てるサブキャリアを選択する。このサブキャリア割当処理では、優先割当制御情報に基づき、優先度の高いユーザから順番に、該当する有効サブキャリア群Uから一つ或いは複数のサブキャリアを選択し割当てる。このとき、ユーザ間で同じサブキャリアが重複して割り当てられることがないようにする。この割当の結果の情報、つまり、ユーザとサブキャリアとをマッピングした情報(マッピング情報)は、上記図1のデータ・マッピング回路2およびデータ・デマッピング回路15に入力される。また、該マッピング情報は、制御フレーム生成部31に入力され、制御フレーム内に格納されて全ユーザに無線送信される。
【0027】
なお、有効サブキャリア群Uからサブキャリアを選択する方法は、各種の方法が考えられる。例えば、ランダムに選択する。或いは、一定の基準(例えば周波数の大きい順)に従って選択する。或いは、チャネル推定情報に基づき、良好なサブキャリアから選択する。
【0028】
図3は、本実施形態に係るサブキャリア割当処理の手順を示すフローチャートである。
図3において、先ず、ユーザごとに、チャネル推定結果(チャネル推定情報)と所定の閾値Th0とを比較する(ステップS1)。この閾値比較は、全サブキャリア(サブキャリアの個数Ns)に対して個々に行う。
【0029】
次いで、ステップS1の比較結果に基づき、ユーザごとに、無線伝搬路上で良好なサブキャリアから成る有効サブキャリア群Uを選定する(ステップS2)。この有効サブキャリア群Uは、当該ユーザ用のサブキャリア候補の集合である。これにより、無線伝搬路上の特性が悪いサブキャリアは、サブキャリア候補から除外される。
【0030】
図3では、ユーザ単位で利用可能なサブキャリア番号の集合Ui={ai1, ai2, ・・・, aix}が定義されている。但し、iはユーザ番号、aixは利用可能なサブキャリア番号(但し、xは1≦x≦Nsの整数、Nsは全サブキャリアの個数)を表す。このとき、ユーザごとにUiは独立の集合となるが、その要素が重複する可能性はある。
【0031】
次いで、ステップS2で選択されたユーザごとの有効サブキャリア群Uから、ユーザごとに、該当する有効サブキャリア群Uから一つ或いは複数のサブキャリアを選択する(ステップS3)。ここで、あるユーザ用のサブキャリアを選択する場合、既に他のユーザ用に選択済みのサブキャリアは、当該ユーザのサブキャリア候補から除外する。また、サブキャリアを選択するユーザの順序は、優先割当制御情報のユーザ優先順位に従う。
【0032】
例えば、ユーザ数がN(Nは任意の正の整数)であり、同時割当サブキャリア数がn(nは1≦n≦Nsの整数である場合、第1のユーザは自局が利用可能なサブキャリア番号の集合U1={a11, a12, ・・・, a1x}から、無線通信に用いる第1番目から第n番目のサブキャリア番号をランダム、あるいは一定の基準(例えば受信信号電力の高いサブキャリアから順次選択する、一定間隔で選択する、定式を用いて選択する等)に基づいて選択する。次いで、第2のユーザは、自局が利用可能なサブキャリア番号の集合U2={a21, a22, ・・・, a2x}のうち、第1のユーザが選択したサブキャリア番号を除外した残りのサブキャリア番号の中から、無線通信に用いる第1番目から第n番目のサブキャリア番号をランダム、あるいは一定の基準(同上)に基づいて選択する。同様にして全ユーザのサブキャリア番号の選択を行う。
【0033】
次いで、ステップS3のサブキャリア選択の結果、有効サブキャリア群Uの中に、利用可能なサブキャリアがなかったユーザについては(ステップS4の判定結果がNO)、当該ユーザの有効サブキャリア群Uの中のサブキャリアに隣接するサブキャリアであって未割当のサブキャリアを探索し、発見したサブキャリアを当該ユーザに割当てる(ステップS5)。
【0034】
次いで、上記ステップS3又はS5のユーザごとのサブキャリア割当結果に基づき、ユーザごとに、利用するサブキャリアを特定するサブキャリア番号を決定する(ステップS6)。
【0035】
次いで、その決定したサブキャリア番号とユーザとの対応関係を示すマッピング情報を生成する(ステップS7)。
【0036】
なお、上記した図3のサブキャリア割当処理の実行周期は、(1)毎シンボルごと、(2)kシンボル(1<k<M;Mは1周波数ホッピングブロックに相当するシンボル数)ごと、(3)1周波数ホッピングブロック(Mシンボル)ごと、(4)m周波数ホッピングブロック(mは2以上の整数)ごと、(5)任意の時間単位、などのいずれであってもよい。
【0037】
また、ユーザの優先順位付けの方法については、様々な方法が考えられるが、本発明では特に制限を設ける必然性はない。
【0038】
なお、有効サブキャリア群の中に利用可能なサブキャリアが存在しない場合の処理(図3のステップS5)において、上記したように、有効サブキャリア群中のサブキャリアに隣接するサブキャリアを順番にサーチし、空きのサブキャリアを発見した順に選択する、以外の方法も適用可能である。例えば、何れの局にも割り当てられていない任意のサブキャリアを選択するようにしてもよい。或いは、閾値Th0を2段階、あるいはそれ以上の段階で用意しておき、第1の閾値Th0で得られた有効サブキャリア群中でサブキャリア候補がなくなった場合、第2の閾値Th0を用いて新たな有効サブキャリア群を選択するようにしてもよい。また、閾値Th0を極端に低く設定すれば、全ユーザについて全サブキャリアを対象とした選定を行うことになり、その場合は第1のユーザから順に、例えば受信信号電力の高いサブキャリアから選定するようにしてもよい。
【0039】
図4および図5は本実施形態に係るサブキャリア割当方法を説明するための概念図である。
図4には、シンボル周期Tsごとに、各ユーザに割り当てるサブキャリアがホッピングしていく様子を示している。
図4において、時刻t=0〜3Tsの期間では、
ユーザ1の有効サブキャリア群U1={f1,f2,f3,f4,f5,f6,f7}、
ユーザLの有効サブキャリア群UL={f4,f5,f6,f7,f8,f9,f10}、
ユーザiの有効サブキャリア群Ui={fn−5,fn−4,fn−3,fn−2,fn−1,fn}、
が各ユーザのチャネル推定情報に基づいてそれぞれ選択されている。ここで、ユーザ1の有効サブキャリア群U1とユーザLの有効サブキャリア群ULの中には、お互いに重複するサブキャリアf4,f5,f6,f7が含まれている。
【0040】
そして、例えばユーザ1に着目すると、ユーザ1のサブキャリアには、有効サブキャリア群U1から、
時刻t=0〜Tsの期間ではサブキャリアf2が、
時刻t=Ts〜2Tsの期間ではサブキャリアf3が、
時刻t=2Ts〜3Tsの期間ではサブキャリアf4が、
それぞれ選択されている。
【0041】
同様に、ユーザLのサブキャリアは有効サブキャリア群ULから、また、ユーザiのサブキャリアは有効サブキャリア群Uiから、それぞれ選択される。このとき、ユーザLのサブキャリアには、ユーザ1のサブキャリアとは異なるものが選択される。
【0042】
そして、時刻t=kTs〜(k+1)Tsの期間では、各ユーザの有効サブキャリア群が更新されている。このように、有効サブキャリア群は、無線伝搬路の状況に応じて適宜アップデートを図ることが好ましい。
【0043】
図5には、一ユーザ(ユーザ1)に係る周波数ホッピングの一例が示されている。
図5において、ユーザ1の有効サブキャリア群U1は、M個のサブキャリアの中から部分的に選定されている。図5の例では、周波数ホッピングの1周期に対応する周期ブロック(破線で囲まれたブロック)は3つに分割されている。つまり、破線で囲まれた3つのブロックが、周波数ホッピングの1周期分である。ユーザ1の有効サブキャリア群U1は、その周期ブロックに対応するサブキャリアから構成されている。
【0044】
そして、図5では、ユーザ1に係るサブキャリアの周波数ホッピングのパターンが2種類(第1,第2のホッピングパターン)示されている。第1のホッピングパターンは、ユーザ1の有効サブキャリア群U1から選択されたサブキャリア系列U11である。第2のホッピングパターンは、ユーザ1の有効サブキャリア群U1から選択されたサブキャリア系列U12である。
【0045】
図5に示されるように、一つのホッピングパターン中に、同じサブキャリアが複数回使用されている。例えば、サブキャリア系列U11では、最大周波数のサブキャリア1、2番目に大きな周波数のサブキャリア2、最小周波数のサブキャリアMなどが複数回使用されている。しかし、これらのサブキャリアは、いずれもユーザ1に対して無線伝搬路上で良好なものであるので、通信品質の向上を図ることができる。
【0046】
なお、周期ブロックごと、あるいは周期ブロックの整数倍ごとに、有効サブキャリア群の更新を行うことにより、無線伝搬路の時間変動に対して円滑に追従することができる。
【0047】
図6は、本実施形態に係るマルチキャリア無線通信システムの移動局200の構成を示すブロック図である。この移動局200はTDD方式に対応するものであり、図6にはTDD方式の送受信機能に係る構成が示されている。マルチキャリア無線通信システムのユーザは、移動局200を使用して基地局100に無線接続することにより、無線通信を行うことができる。
【0048】
先ず、移動局200の送信機能について説明する。
図6において、送信データ系列201は、データ・マッピング回路202に入力される。データ・マッピング回路202は、マッピング情報検出回路210から入力されたマッピング情報に基づき、送信データ系列201に対してサブキャリア番号を割当てる。この送信データ系列201とサブキャリア番号の組は、IFFT回路203に入力される。
【0049】
IFFT203は、送信データ系列201に対してIFFTを施し、この変換後の信号に対して、送信データ系列201に対応付けられているサブキャリア番号に基づき、該当するサブキャリア周波数を乗算する。この乗算結果として、サブキャリア周波数の個数nに対応するn個の信号f1〜fnが得られる。これら信号f1〜fnは加算器204に入力される。
【0050】
加算器204は、それら入力された信号f1〜fnを加算してガードインターバル付加回路205に出力する。
ガードインターバル付加回路205は、その入力された信号に対してガードインターバルを付加する。このガードインターバルが付加された信号(ベースバンド信号)はスイッチ206を介して乗算器207に入力される。
乗算器207は、その入力されたベースバンド信号に対して、高周波発振器208から出力されるキャリア信号を乗算する。この乗算結果の信号はアンテナ209を介して無線送信される。
【0051】
次に、移動局200の受信機能について説明する。
図6において、アンテナ209により受信された無線信号は乗算器207に入力され、高周波発振器208から出力されるキャリア信号と乗算される。この乗算結果の信号(ベースバンド信号)は、スイッチ206を介してガードインターバル除去回路211に入力される。ガードインターバル除去回路211は、その入力されたベースバンド信号からガードインターバルを除去する。この除去結果の信号は、FFT(高速フーリエ変換)回路212に入力される。
【0052】
FFT回路212は、その入力された信号に対してFFTを施す。これにより、サブキャリアごとのベースバンド受信信号が得られる。このサブキャリアごとのベースバンド受信信号は、チャネル推定回路213およびサブキャリア選択/判定回路214に入力される。
【0053】
チャネル推定回路213は、その入力されたサブキャリアごとのベースバンド受信信号に基づき、毎シンボル周期または先頭のプリアンブル部分、あるいは定期的に挿入されるパイロットシンボルにより、基地局100と自移動局200との間の無線伝搬路を推定する。この無線伝搬路推定処理では、マッピング情報検出回路210から入力されたマッピング情報に基づき、無線伝搬路を推定する対象となるサブキャリアを選択し、この選択したサブキャリアについての無線伝搬路特性に係るパラメータを測定する。例えば、受信信号電力、干渉信号電力、雑音電力、受信信号電力と干渉信号電力の比、受信信号電力と雑音電力の比、又は干渉電力と雑音電力の合成電力と受信信号電力の比などを測定する。この測定結果のデータ(チャネル推定情報)は、サブキャリア選択/判定回路214に入力される。
【0054】
サブキャリア選択/判定回路214は、チャネル推定回路213から入力されたチャネル推定情報に基づき、FFT回路212から入力されたサブキャリアごとのベースバンド受信信号のデータ判定を行う。このデータ判定処理では、マッピング情報検出回路210から入力されたマッピング情報に基づき、データ判定対象となるサブキャリアを選択し、この選択したサブキャリアについてのデータ判定を行う。このデータ判定結果のサブキャリアごとのベースバンド受信信号はパラレル/シリアル変換回路215に入力される。
【0055】
パラレル/シリアル変換回路215は、入力されたパラレル信号をシリアル信号に変換し、シリアルデータ系列として出力する。この出力されたシリアルデータ系列は、受信フレームの受信タイミングに応じてスイッチ216により、マッピング情報検出回路210に入力されるか、或いは、受信データ系列217として出力される。
【0056】
マッピング情報検出回路210には、受信フレームのうち、制御フレームが入力される。マッピング情報検出回路210は、入力された制御フレームの中から、マッピング情報を取り出す。このマッピング情報は、上記した基地局100のマッピング制御回路10が生成し、制御フレームにより全ユーザに配信されたものである。つまり、該マッピング情報は、基地局100および全ユーザ間で共有される。
【0057】
なお、図6では周波数変換時に必要となる低域通過フィルタやタイミング再生回路等の一般的な構成要素については省略している。
【0058】
次に、本発明の他の実施形態として、周波数ホッピングOFDM方式および周波数分割複信(FDD;Frequency Division Duplex)方式のマルチキャリア無線通信システムについて説明する。
【0059】
上述した実施形態におけるTDD方式の場合、基地局100は送受信に同じ無線周波数を使用して、移動局200への送信と移動局200からの受信とを時分割で行う。したがって、基地局100と移動局200間の無線伝搬路は送受信で同じとなる。このため、基地局100が受信した信号に基づいて測定したチャネル推定情報は、基地局100と移動局200間の双方向の無線伝搬路に対して有効である。これにより、該チャネル推定情報に基づいて、基地局100と移動局200間の双方向の無線伝搬路に共通のサブキャリア割当を行うことができる。つまり、上記した基地局100が生成したマッピング情報は、基地局100と移動局200間の双方向の無線伝搬路に対して共通のものとなる。
【0060】
しかしながら、FDD方式の場合、送受信で異なる無線周波数を使用するので、基地局と移動局間の無線伝搬路は送受信で異なる。したがって、基地局から移動局へ送信する際のサブキャリア割当には、移動局が受信した無線信号に基づいて測定したチャネル推定情報が必要となる。また、移動局から基地局へ送信する際のサブキャリア割当には、基地局が受信した無線信号に基づいて測定したチャネル推定情報が必要となる。
以下、このようなFDD方式に適用可能な基地局および移動局について説明する。なお、以下の説明においては、移動局から基地局へ向う方向を「上り」と称し、基地局から移動局へ向う方向を「下り」と称する。
【0061】
図7は、本発明のFDD方式の実施形態に係る基地局100aの構成を示すブロック図である。図7にはFDD方式の送受信機能に係る構成が示されている。この図7において図1の各部に対応する部分には同一の符号を付け、その説明を省略する。
【0062】
図7の基地局100aにおいて、チャネル推定回路13は、基地局100aが受信した信号に基づいて、上りリンクのチャネル推定情報(上りリンク・チャネル推定情報)を測定する。また、データ判定回路14aは、基地局100aが受信した信号の中から、各ユーザから送信された下りリンク・チャネル推定情報を取り出す。下りリンク・チャネル推定情報は、移動局が受信した信号に基づいて測定された下りリンクのチャネル推定情報である。上りリンク・チャネル推定情報および下りリンク・チャネル推定情報は、マッピング制御回路10aに入力される。
【0063】
マッピング制御回路10aは、上りリンク・チャネル推定情報に基づいて上りリンクのサブキャリア割当を行い、また、下りリンク・チャネル推定情報に基づいて下りリンクのサブキャリア割当を行う。
【0064】
図8は、図7に示すマッピング制御回路10aの構成を示すブロック図である。図8に示されるように、マッピング制御回路10aは、上りリンクのサブキャリア割当用の閾値判定部21−1および有効サブキャリア群選定部22−1と、下りリンクのサブキャリア割当用の閾値判定部21−2および有効サブキャリア群選定部22−2と、サブキャリア割当制御回路23aとを有する。
【0065】
図8において、閾値判定部21−1は、各ユーザの上りリンク・チャネル推定情報を閾値判定する。有効サブキャリア群選定部22−1は、その閾値判定結果に基づき、各ユーザの上りリンク用の有効サブキャリア群Uuを選定する。サブキャリア割当制御回路23aは、その各ユーザの上りリンク用の有効サブキャリア群Uuから、ユーザごとに、上りリンク用のサブキャリアを選択して上りリンク・マッピング情報を生成する。この上りリンク・マッピング情報は、制御フレーム生成部31に入力される。
【0066】
同様に、閾値判定部21−2は、各ユーザの下りリンク・チャネル推定情報を閾値判定する。有効サブキャリア群選定部22−2は、その閾値判定結果に基づき、各ユーザの下りリンク用の有効サブキャリア群Udを選定する。サブキャリア割当制御回路23aは、その各ユーザの下りリンク用の有効サブキャリア群Udから、ユーザごとに、下りリンク用のサブキャリアを選択して下りリンク・マッピング情報を生成する。この下りリンク・マッピング情報は、図7のデータ・マッピング回路2およびデータ・デマッピング回路15、並びに制御フレーム生成部31に入力される。
【0067】
制御フレーム生成部31に入力された上りリンク・マッピング情報および下りリンク・マッピング情報は、制御フレーム内に格納されて全ユーザに無線送信される。
【0068】
図9は、本発明のFDD方式の実施形態に係る移動局200aの構成を示すブロック図である。図9にはFDD方式の送受信機能に係る構成が示されている。この図9において図6の各部に対応する部分には同一の符号を付け、その説明を省略する。マルチキャリア無線通信システムのユーザは、移動局200aを使用して基地局100aに無線接続することにより、無線通信を行うことができる。
【0069】
図9の移動局200aでは、上り用と下り用それぞれに乗算器207−1,207−2、高周波発振器208−1,208−2、アンテナ209−1,209−2が設けられる。また、下りリンク・チャネル推定情報制御回路220が設けられる。
【0070】
図9の移動局200aにおいて、データ・マッピング回路202は、マッピング情報検出回路210から入力された上りリンク・マッピング情報に基づき、送信データ系列201に対してサブキャリア番号を割当てる。
【0071】
マッピング情報検出回路210aは、自移動局200aが受信した制御フレームの中から、上りリンク・マッピング情報および下りリンク・マッピング情報を取り出す。これら上りリンク・マッピング情報および下りリンク・マッピング情報は、上記した基地局100aのマッピング制御回路10aが生成し、制御フレームにより全ユーザに配信されたものである。つまり、該上りリンク・マッピング情報および下りリンク・マッピング情報は、基地局100aおよび全ユーザ間で共有される。
【0072】
チャネル推定回路213aは、FFT回路212から入力されたサブキャリアごとのベースバンド受信信号に基づき、毎シンボル周期または先頭のプリアンブル部分、あるいは定期的に挿入されるパイロットシンボルにより、基地局100aと自移動局200aとの間の無線伝搬路を推定する。この無線伝搬路推定処理では、マッピング情報検出回路210から入力された下りリンク・マッピング情報に基づき、無線伝搬路を推定する対象となるサブキャリアを選択し、この選択したサブキャリアについての無線伝搬路特性に係るパラメータを測定する。この測定結果のデータ(下りリンク・チャネル推定情報)は、サブキャリア選択/判定回路214および下りリンク・チャネル推定情報制御回路220に入力される。
【0073】
サブキャリア選択/判定回路214は、チャネル推定回路213から入力された下りリンク・チャネル推定情報に基づき、FFT回路212から入力されたサブキャリアごとのベースバンド受信信号のデータ判定を行う。
【0074】
また、下りリンク・チャネル推定情報制御回路220は、チャネル推定回路213から入力された下りリンク・チャネル推定情報を制御情報に加工してデータ・マッピング回路202に出力する。データ・マッピング回路202は、その入力された下りリンク・チャネル推定情報を上りリンク信号の制御ヘッダ内に格納する。これにより、移動局200aが受信した信号に基づいて測定された下りリンク・チャネル推定情報は、基地局100aに無線送信される。
【0075】
このようにFDD方式の場合、上下リンクが異なる周波数を用いることから、各々独立にチャネル推定を行う必要がある。即ち、上りリンクについては、基地局が、各ユーザから伝送される上りリンク信号の通信品質(受信信号電力等)を測定して、その状態を元に各ユーザの周波数ホッピングパターンを基地局で決定し、その情報をユーザに対して通知する。一方、下りリンクについては、各ユーザが、基地局から伝送される下りリンク信号の通信品質(受信信号電力等)を測定し、チャネル情報そのもの、あるいは、ユーザ側で選定したサブキャリア群に関する情報を基地局側にフィードバックし、その情報に基づいて基地局側で周波数ホッピングパターンを決定するとともに、制御情報として各ユーザに報知する。
【0076】
以上、本発明の実施形態を図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【0077】
例えば、TDD方式の場合、上下リンクは同じ周波数を用いることから、基本的に同じチャネル特性(無線伝搬路特性)を有するものと考えられる。従って、上下何れかの方向でチャネル推定を行い、その結果に基づいてサブキャリア群を選定し、周波数ホッピングパターンを決定すれば良い。
即ち、上述した実施形態のように、各ユーザから伝送される上りリンク信号の通信品質(受信信号電力等)を測定して、その状態を元に各ユーザの周波数ホッピングパターンを基地局で決定し、その情報をユーザに対して通知するように構成する。或いは、他の実施例として、各ユーザが、自移動局で受信する下りリンク信号の通信品質(受信信号電力等)に基づいてサブキャリア群を選定し、その情報を基地局にフィードバックして基地局側で周波数ホッピングパターンを決定し、その情報をユーザに対して通知するように構成してもよい。
【0078】
なお、符号拡散の概念を適用してサブキャリア切替制御を行うようにしてもよい。図10および図11は、符号拡散の概念を適用したサブキャリア切替制御方法の実施例を示す概念図である。
図10において、破線で囲まれた時間・周波数拡散を行うブロック内で、ホッピングするサブキャリアに同じ情報データ301をコピーして複数割り当て、更に拡散符号を重畳することにより時間軸および周波数軸で同時にスペクトル拡散処理を施す。このように、ホッピングするサブキャリアに拡散処理を施すことにより、時間軸および周波数軸で同時に耐干渉性を獲得することができる。また、MMSECにより逆拡散処理を行うことにより、時間・周波数ダイバーシチ効果を同時に得ることも期待できる。
【0079】
図11では、拡散符号長をNと設定した場合に、N多重することにより同時に通信できるユーザ数を増やす、あるいは、ユーザ当りの伝送速度をマルチコード化によって高速化する手法を表している。この手法を適用することにより周波数利用効率を最大限高めることが可能となる。
【0080】
このように、周波数ホッピングを行うサブキャリアに拡散符号を割り当てることにより、同一チャネル干渉に耐性を持ち、且つ、時間・周波数ダイバーシチ効果が得られる特性の優れた無線方式を提供することが可能となる。更に、直交関係にある拡散符号を割り当てることにより、同一サブチャネルを複数のユーザで同時に使用しながら通信を行うことが可能となり、単純に時間・周波数拡散を行う周波数ホッピングOFDM方式に比較して通信容量を増やすことが可能となる。
【0081】
なお、本発明は、各種の無線通信システムに適用することができる。例えば、ディジタルセルラーシステム、ディジタル移動通信システム、高速無線アクセス、加入者系無線アクセス、固定マイクロ波伝送、無線LAN、パーソナルエリアネットワーク、ディジタル衛星通信、移動衛星システム、センサーネットワーク等のディジタル無線通信システムに適用可能である。
【符号の説明】
【0082】
2,202…データ・マッピング回路、3,203…逆高速フーリエ変換回路(IFFT)、4,204…加算器(Σ)、5,205…ガードインターバル付加回路、6,206,216…スイッチ、7,207…乗算器、8,208…高周波発振器(fc)、9,209…アンテナ、10,10a…マッピング制御回路、11,211…ガードインターバル除去回路、12,212…高速フーリエ変換回路(FFT)、13,213,213a…チャネル推定回路、14,14a…データ判定回路、15…データ・デマッピング回路、21…閾値判定部、22…有効サブキャリア群選定部、23,23a…サブキャリア割当制御回路、31…制御フレーム生成部、100,100a…基地局、200,200a…移動局、210,210a…マッピング情報検出回路、214…サブキャリア選択/判定回路、215…パラレル/シリアル変換回路、220…下りリンク・チャネル推定情報制御回路。
【技術分野】
【0001】
本発明は、基地局との間で無線通信する移動局ごとに、異なる無線周波数のサブキャリアを割当てるマルチキャリア無線通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、基地局との間で無線通信する移動局ごとに、異なる無線周波数のサブキャリアを割当てるマルチキャリア無線通信システムが知られている。
図12および図13は、マルチキャリア無線通信システムにおいて、ユーザに割り当てるサブキャリアをシンボル周期単位でホッピングさせる周波数ホッピングを用いた直交周波数分割多重(Orthogonal Frequency Division Multiplexing;OFDM)方式の概念図である。この周波数ホッピングを用いたOFDM(以下、周波数ホッピングOFDMと称する)方式では、図12に示すように、シンボル周期Tsごとに、各ユーザが使用するサブキャリアを各々独立に変更しながら通信を行う。ここで、同一セル内では個々のユーザに独立したサブキャリアのホッピングパターンを割り当て、隣接する基地局間では互いに異なるホッピングパターンを割り当てる。これにより、同一周波数における同一チャネル間干渉の影響を軽減することが可能となる。
【0003】
なお、周波数ホッピングOFDM方式における送受信機の構成は、通常のOFDM方式のものと同一であり、受信側がサブキャリアの割り当てパターンを事前に把握することにより、自局宛のサブキャリアのみを受信・判定し(高速フーリエ変換(FFT)は一括処理)、ベースバンドのデータ系列に変換している。
【0004】
上述した周波数ホッピングOFDM方式に係る従来技術については、例えば特許文献1,2,3に記載されている。また、周波数ホッピングパターンに係る従来技術については、例えば特許文献4,5,6に記載されている。これらの従来技術では、同一セル内干渉の回避、隣接セルから同一チャネル干渉の軽減、並びに、周波数ダイバーシチ効果の獲得を目的として個々のユーザに割り当てるサブキャリアを周波数ホッピングさせている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−110529号公報
【特許文献2】特開平7−288491号公報
【特許文献3】特開平9−321736号公報
【特許文献4】特開2000−286822号公報
【特許文献5】特開2001−156739号公報
【特許文献6】特開2001−230753号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上述した従来の周波数ホッピングOFDM方式に係る技術では、ランダムのホッピングパターンを使用したり、或いは同じ周波数のサブキャリアが確率的に隣接セルで割り当てられ難いホッピングパターンを使用しており、無線伝搬路やセル間干渉の影響がサブキャリアの割り当て時に考慮されていない。このため、受信品質の悪いサブキャリアが割当てられることにより、受信誤りの発生確率が増大し、通信品質が劣化するという問題が生じる。
【0007】
例えば、チャネル帯域幅が広帯域になるほどマルチパスによる周波数選択性フェージングの影響を受けやすくなり、ホッピング中の何れかのサブキャリアがレベル的に落ち込んだ場合にシンボル誤りが発生する確率が高くなる。このシンボル誤りを誤り訂正符号やARQ(Automatic Repeat Request)により補償することになるが、そのためには符号化率の低い誤り訂正符号を使用することになるので、伝送効率が低下するという問題が生じる。また、伝搬路歪による品質劣化に対して送信電力を上げることにより対処した場合には、同じサブキャリア周波数を用いる隣接セルの基地局あるいはユーザに与える干渉電力が大きくなり、システム全体としてパフォーマンスが低下するという問題が生じる。
【0008】
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、その目的は、マルチキャリア無線通信システムにおいて、無線伝搬路の状況に応じてサブキャリアの割り当てを行うことにより、通信品質の悪いサブキャリアが割当てられることを防止し、通信品質の向上を図ることができるマルチキャリア無線通信システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明に係るマルチキャリア無線通信システムは、基地局との間で無線通信する移動局ごとに、異なる無線周波数のサブキャリアを割当てるマルチキャリア無線通信システムにおいて、移動局と基地局との間の無線伝搬路を移動局ごと且つサブキャリアごとに推定するチャネル推定手段と、前記推定結果のチャネル推定情報を所定の条件に基づいて判定する判定手段と、前記判定結果に基づき、無線伝搬路上で良好なサブキャリアから成る有効サブキャリア群を移動局ごとに選定する有効サブキャリア群選定手段と、前記選定結果の有効サブキャリア群から移動局に割当てるサブキャリアを選択するサブキャリア割当制御手段と、を有するサブキャリア割当装置であって基地局との間で無線通信する移動局ごとに異なる無線周波数のサブキャリアを割当てるサブキャリア割当装置を備え、前記サブキャリア割当装置による割当結果である移動局とサブキャリアとの対応関係を示すマッピング情報を、移動局と基地局との間で共有するように構成したマルチキャリア無線通信システムであり、移動局ごとに同時に割り当てるサブキャリアに対し、同一のシンボル情報をコピーして割り当て、拡散符号を重畳して周波数拡散を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、マルチキャリア無線通信システムにおいて、無線伝搬路の状況に応じてサブキャリアの割り当てを行うことができるので、通信品質の悪いサブキャリアが割当てられることを防止できる。これにより、通信品質の向上を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態に係る周波数ホッピングOFDM方式のマルチキャリア無線通信システムの基地局100の構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示すマッピング制御回路10の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るサブキャリア割当処理の手順を示すフローチャートである。
【図4】本発明の一実施形態に係るサブキャリア割当方法を説明するための概念図である。
【図5】本発明の一実施形態に係るサブキャリア割当方法を説明するための概念図である。
【図6】本発明の一実施形態に係るマルチキャリア無線通信システムの移動局200の構成を示すブロック図である。
【図7】本発明の他の実施形態に係る基地局100aの構成を示すブロック図である。
【図8】図7に示すマッピング制御回路10aの構成を示すブロック図である。
【図9】本発明の他の実施形態に係る移動局200aの構成を示すブロック図である。
【図10】本発明に係る符号拡散の概念を適用したサブキャリア切替制御方法の実施例を示す概念図である。
【図11】本発明に係る符号拡散の概念を適用したサブキャリア切替制御方法の実施例を示す概念図である。
【図12】従来の周波数ホッピングOFDM方式の概念図である。
【図13】従来の周波数ホッピングOFDM方式の概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る周波数ホッピングOFDM方式のマルチキャリア無線通信システムの基地局100の構成を示すブロック図である。この基地局100は時分割複信(TDD;Time Division Duplex)方式に対応するものであり、図1にはTDD方式の送受信機能に係る構成が示されている。
【0013】
先ず、基地局100の送信機能について説明する。
図1において、ユーザ1〜L宛ての各々のデータ系列1−1〜Lは、データ・マッピング回路2に入力される。データ・マッピング回路2は、マッピング制御回路10から入力されたマッピング情報に基づき、データ系列1−1〜Lの個々に対してサブキャリア番号を割当てる。それらデータ系列1−1〜Lとサブキャリア番号の各組は、IFFT(逆高速フーリエ変換)回路3に入力される。上記マッピング情報は、ユーザ(移動局)とサブキャリアとの対応関係を示す情報である。
【0014】
IFFT3は、データ系列1−1〜Lの個々に対してIFFTを施し、この変換後の各データ系列1−1〜Lに対応する信号に対して、それぞれ対応付けられているサブキャリア番号に基づき、該当するサブキャリア周波数を乗算する。この乗算結果として、サブキャリア周波数の個数nに対応するn個の信号f1〜fnが得られる。これら信号f1〜fnは加算器4に入力される。
【0015】
加算器4は、それら入力された信号f1〜fnを加算してガードインターバル付加回路5に出力する。
ガードインターバル付加回路5は、その入力された信号に対してガードインターバルを付加する。このガードインターバルが付加された信号(ベースバンド信号)はスイッチ6を介して乗算器7に入力される。
乗算器7は、その入力されたベースバンド信号に対して、高周波発振器8から出力されるキャリア信号を乗算する。この乗算結果の信号はアンテナ9を介して無線送信される。
【0016】
次に、基地局100の受信機能について説明する。
図1において、アンテナ9により受信された無線信号は乗算器7に入力され、高周波発振器8から出力されるキャリア信号と乗算される。この乗算結果の信号(ベースバンド信号)は、スイッチ6を介してガードインターバル除去回路11に入力される。ガードインターバル除去回路11は、その入力されたベースバンド信号からガードインターバルを除去する。この除去結果の信号は、FFT(高速フーリエ変換)回路12に入力される。
【0017】
FFT回路12は、その入力された信号に対してFFTを施す。これにより、サブキャリアごとのベースバンド受信信号が得られる。このサブキャリアごとのベースバンド受信信号は、チャネル推定回路13およびデータ判定回路14に入力される。
【0018】
チャネル推定回路13は、その入力されたサブキャリアごとのベースバンド受信信号に基づき、ユーザごとに、毎シンボル周期または先頭のプリアンブル部分、あるいは定期的に挿入されるパイロットシンボルにより、移動局と自基地局100との間の無線伝搬路を推定する。この無線伝搬路推定処理では、ユーザごと且つサブキャリアごとに、移動局と基地局100との間の無線伝搬路の特性を表すパラメータを測定する。例えば、受信信号電力、干渉信号電力、雑音電力、受信信号電力と干渉信号電力の比、受信信号電力と雑音電力の比、又は干渉電力と雑音電力の合成電力と受信信号電力の比などを測定する。このユーザごと且つサブキャリアごとの測定結果のデータ(チャネル推定情報)は、データ判定回路14およびマッピング制御回路10に入力される。
【0019】
データ判定回路14は、チャネル推定回路13から入力されたチャネル推定情報に基づき、FFT回路12から入力されたサブキャリアごとのベースバンド受信信号のデータ判定を行う。このデータ判定結果のサブキャリアごとのベースバンド受信信号はデータ・デマッピング回路15に入力される。
【0020】
データ・デマッピング回路15は、マッピング制御回路10から入力されたマッピング情報に基づき、データ判定回路14から入力されたサブキャリアごとのベースバンド受信信号に含まれるデータシンボルをユーザ別に並び替える。この並び替えによって各ユーザ1〜Lからのデータ系列16−1〜Lが得られる。
【0021】
また、マッピング制御回路10は、チャネル推定回路13から入力されたユーザごと且つサブキャリアごとのチャネル推定情報に基づき、どのユーザに対してどのサブキャリアを割り当てるのが最適であるのかを判断し、この判断結果に基づいたマッピング情報を生成する。
【0022】
なお、図1では周波数変換時に必要となる低域通過フィルタやタイミング再生回路等の一般的な構成要素については省略している。
【0023】
図2は、上記した図1に示すマッピング制御回路10の構成を示すブロック図である。
図2において、マッピング制御回路10には、上記図1のチャネル推定回路13からユーザごと且つサブキャリアごとのチャネル推定情報が入力される。また、予め基地局100に設定されている優先割当制御情報が入力される。この優先割当制御情報は、ユーザの優先度を表す情報である。
【0024】
図2のマッピング制御回路10において、閾値判定部21は、ユーザごと且つサブキャリアごとに、チャネル推定情報を閾値により判定する。具体的には、チャネル推定情報に含まれる無線伝搬路特性に係るパラメータと所定の閾値とを比較し、合否判定する。このユーザごと且つサブキャリアごとの判定結果は、有効サブキャリア群選定部22に通知される。
【0025】
有効サブキャリア群選定部22は、閾値判定部21から通知されたユーザごと且つサブキャリアごとの判定結果に基づき、ユーザごとに、無線伝搬路上で良好なサブキャリアから成る有効サブキャリア群Uを選定する。このユーザごとの有効サブキャリア群Uはサブキャリア割当制御回路23に通知される。
【0026】
サブキャリア割当制御回路23は、有効サブキャリア群選定部22から通知されたユーザごとの有効サブキャリア群Uから、それぞれ該当するユーザに割当てるサブキャリアを選択する。このサブキャリア割当処理では、優先割当制御情報に基づき、優先度の高いユーザから順番に、該当する有効サブキャリア群Uから一つ或いは複数のサブキャリアを選択し割当てる。このとき、ユーザ間で同じサブキャリアが重複して割り当てられることがないようにする。この割当の結果の情報、つまり、ユーザとサブキャリアとをマッピングした情報(マッピング情報)は、上記図1のデータ・マッピング回路2およびデータ・デマッピング回路15に入力される。また、該マッピング情報は、制御フレーム生成部31に入力され、制御フレーム内に格納されて全ユーザに無線送信される。
【0027】
なお、有効サブキャリア群Uからサブキャリアを選択する方法は、各種の方法が考えられる。例えば、ランダムに選択する。或いは、一定の基準(例えば周波数の大きい順)に従って選択する。或いは、チャネル推定情報に基づき、良好なサブキャリアから選択する。
【0028】
図3は、本実施形態に係るサブキャリア割当処理の手順を示すフローチャートである。
図3において、先ず、ユーザごとに、チャネル推定結果(チャネル推定情報)と所定の閾値Th0とを比較する(ステップS1)。この閾値比較は、全サブキャリア(サブキャリアの個数Ns)に対して個々に行う。
【0029】
次いで、ステップS1の比較結果に基づき、ユーザごとに、無線伝搬路上で良好なサブキャリアから成る有効サブキャリア群Uを選定する(ステップS2)。この有効サブキャリア群Uは、当該ユーザ用のサブキャリア候補の集合である。これにより、無線伝搬路上の特性が悪いサブキャリアは、サブキャリア候補から除外される。
【0030】
図3では、ユーザ単位で利用可能なサブキャリア番号の集合Ui={ai1, ai2, ・・・, aix}が定義されている。但し、iはユーザ番号、aixは利用可能なサブキャリア番号(但し、xは1≦x≦Nsの整数、Nsは全サブキャリアの個数)を表す。このとき、ユーザごとにUiは独立の集合となるが、その要素が重複する可能性はある。
【0031】
次いで、ステップS2で選択されたユーザごとの有効サブキャリア群Uから、ユーザごとに、該当する有効サブキャリア群Uから一つ或いは複数のサブキャリアを選択する(ステップS3)。ここで、あるユーザ用のサブキャリアを選択する場合、既に他のユーザ用に選択済みのサブキャリアは、当該ユーザのサブキャリア候補から除外する。また、サブキャリアを選択するユーザの順序は、優先割当制御情報のユーザ優先順位に従う。
【0032】
例えば、ユーザ数がN(Nは任意の正の整数)であり、同時割当サブキャリア数がn(nは1≦n≦Nsの整数である場合、第1のユーザは自局が利用可能なサブキャリア番号の集合U1={a11, a12, ・・・, a1x}から、無線通信に用いる第1番目から第n番目のサブキャリア番号をランダム、あるいは一定の基準(例えば受信信号電力の高いサブキャリアから順次選択する、一定間隔で選択する、定式を用いて選択する等)に基づいて選択する。次いで、第2のユーザは、自局が利用可能なサブキャリア番号の集合U2={a21, a22, ・・・, a2x}のうち、第1のユーザが選択したサブキャリア番号を除外した残りのサブキャリア番号の中から、無線通信に用いる第1番目から第n番目のサブキャリア番号をランダム、あるいは一定の基準(同上)に基づいて選択する。同様にして全ユーザのサブキャリア番号の選択を行う。
【0033】
次いで、ステップS3のサブキャリア選択の結果、有効サブキャリア群Uの中に、利用可能なサブキャリアがなかったユーザについては(ステップS4の判定結果がNO)、当該ユーザの有効サブキャリア群Uの中のサブキャリアに隣接するサブキャリアであって未割当のサブキャリアを探索し、発見したサブキャリアを当該ユーザに割当てる(ステップS5)。
【0034】
次いで、上記ステップS3又はS5のユーザごとのサブキャリア割当結果に基づき、ユーザごとに、利用するサブキャリアを特定するサブキャリア番号を決定する(ステップS6)。
【0035】
次いで、その決定したサブキャリア番号とユーザとの対応関係を示すマッピング情報を生成する(ステップS7)。
【0036】
なお、上記した図3のサブキャリア割当処理の実行周期は、(1)毎シンボルごと、(2)kシンボル(1<k<M;Mは1周波数ホッピングブロックに相当するシンボル数)ごと、(3)1周波数ホッピングブロック(Mシンボル)ごと、(4)m周波数ホッピングブロック(mは2以上の整数)ごと、(5)任意の時間単位、などのいずれであってもよい。
【0037】
また、ユーザの優先順位付けの方法については、様々な方法が考えられるが、本発明では特に制限を設ける必然性はない。
【0038】
なお、有効サブキャリア群の中に利用可能なサブキャリアが存在しない場合の処理(図3のステップS5)において、上記したように、有効サブキャリア群中のサブキャリアに隣接するサブキャリアを順番にサーチし、空きのサブキャリアを発見した順に選択する、以外の方法も適用可能である。例えば、何れの局にも割り当てられていない任意のサブキャリアを選択するようにしてもよい。或いは、閾値Th0を2段階、あるいはそれ以上の段階で用意しておき、第1の閾値Th0で得られた有効サブキャリア群中でサブキャリア候補がなくなった場合、第2の閾値Th0を用いて新たな有効サブキャリア群を選択するようにしてもよい。また、閾値Th0を極端に低く設定すれば、全ユーザについて全サブキャリアを対象とした選定を行うことになり、その場合は第1のユーザから順に、例えば受信信号電力の高いサブキャリアから選定するようにしてもよい。
【0039】
図4および図5は本実施形態に係るサブキャリア割当方法を説明するための概念図である。
図4には、シンボル周期Tsごとに、各ユーザに割り当てるサブキャリアがホッピングしていく様子を示している。
図4において、時刻t=0〜3Tsの期間では、
ユーザ1の有効サブキャリア群U1={f1,f2,f3,f4,f5,f6,f7}、
ユーザLの有効サブキャリア群UL={f4,f5,f6,f7,f8,f9,f10}、
ユーザiの有効サブキャリア群Ui={fn−5,fn−4,fn−3,fn−2,fn−1,fn}、
が各ユーザのチャネル推定情報に基づいてそれぞれ選択されている。ここで、ユーザ1の有効サブキャリア群U1とユーザLの有効サブキャリア群ULの中には、お互いに重複するサブキャリアf4,f5,f6,f7が含まれている。
【0040】
そして、例えばユーザ1に着目すると、ユーザ1のサブキャリアには、有効サブキャリア群U1から、
時刻t=0〜Tsの期間ではサブキャリアf2が、
時刻t=Ts〜2Tsの期間ではサブキャリアf3が、
時刻t=2Ts〜3Tsの期間ではサブキャリアf4が、
それぞれ選択されている。
【0041】
同様に、ユーザLのサブキャリアは有効サブキャリア群ULから、また、ユーザiのサブキャリアは有効サブキャリア群Uiから、それぞれ選択される。このとき、ユーザLのサブキャリアには、ユーザ1のサブキャリアとは異なるものが選択される。
【0042】
そして、時刻t=kTs〜(k+1)Tsの期間では、各ユーザの有効サブキャリア群が更新されている。このように、有効サブキャリア群は、無線伝搬路の状況に応じて適宜アップデートを図ることが好ましい。
【0043】
図5には、一ユーザ(ユーザ1)に係る周波数ホッピングの一例が示されている。
図5において、ユーザ1の有効サブキャリア群U1は、M個のサブキャリアの中から部分的に選定されている。図5の例では、周波数ホッピングの1周期に対応する周期ブロック(破線で囲まれたブロック)は3つに分割されている。つまり、破線で囲まれた3つのブロックが、周波数ホッピングの1周期分である。ユーザ1の有効サブキャリア群U1は、その周期ブロックに対応するサブキャリアから構成されている。
【0044】
そして、図5では、ユーザ1に係るサブキャリアの周波数ホッピングのパターンが2種類(第1,第2のホッピングパターン)示されている。第1のホッピングパターンは、ユーザ1の有効サブキャリア群U1から選択されたサブキャリア系列U11である。第2のホッピングパターンは、ユーザ1の有効サブキャリア群U1から選択されたサブキャリア系列U12である。
【0045】
図5に示されるように、一つのホッピングパターン中に、同じサブキャリアが複数回使用されている。例えば、サブキャリア系列U11では、最大周波数のサブキャリア1、2番目に大きな周波数のサブキャリア2、最小周波数のサブキャリアMなどが複数回使用されている。しかし、これらのサブキャリアは、いずれもユーザ1に対して無線伝搬路上で良好なものであるので、通信品質の向上を図ることができる。
【0046】
なお、周期ブロックごと、あるいは周期ブロックの整数倍ごとに、有効サブキャリア群の更新を行うことにより、無線伝搬路の時間変動に対して円滑に追従することができる。
【0047】
図6は、本実施形態に係るマルチキャリア無線通信システムの移動局200の構成を示すブロック図である。この移動局200はTDD方式に対応するものであり、図6にはTDD方式の送受信機能に係る構成が示されている。マルチキャリア無線通信システムのユーザは、移動局200を使用して基地局100に無線接続することにより、無線通信を行うことができる。
【0048】
先ず、移動局200の送信機能について説明する。
図6において、送信データ系列201は、データ・マッピング回路202に入力される。データ・マッピング回路202は、マッピング情報検出回路210から入力されたマッピング情報に基づき、送信データ系列201に対してサブキャリア番号を割当てる。この送信データ系列201とサブキャリア番号の組は、IFFT回路203に入力される。
【0049】
IFFT203は、送信データ系列201に対してIFFTを施し、この変換後の信号に対して、送信データ系列201に対応付けられているサブキャリア番号に基づき、該当するサブキャリア周波数を乗算する。この乗算結果として、サブキャリア周波数の個数nに対応するn個の信号f1〜fnが得られる。これら信号f1〜fnは加算器204に入力される。
【0050】
加算器204は、それら入力された信号f1〜fnを加算してガードインターバル付加回路205に出力する。
ガードインターバル付加回路205は、その入力された信号に対してガードインターバルを付加する。このガードインターバルが付加された信号(ベースバンド信号)はスイッチ206を介して乗算器207に入力される。
乗算器207は、その入力されたベースバンド信号に対して、高周波発振器208から出力されるキャリア信号を乗算する。この乗算結果の信号はアンテナ209を介して無線送信される。
【0051】
次に、移動局200の受信機能について説明する。
図6において、アンテナ209により受信された無線信号は乗算器207に入力され、高周波発振器208から出力されるキャリア信号と乗算される。この乗算結果の信号(ベースバンド信号)は、スイッチ206を介してガードインターバル除去回路211に入力される。ガードインターバル除去回路211は、その入力されたベースバンド信号からガードインターバルを除去する。この除去結果の信号は、FFT(高速フーリエ変換)回路212に入力される。
【0052】
FFT回路212は、その入力された信号に対してFFTを施す。これにより、サブキャリアごとのベースバンド受信信号が得られる。このサブキャリアごとのベースバンド受信信号は、チャネル推定回路213およびサブキャリア選択/判定回路214に入力される。
【0053】
チャネル推定回路213は、その入力されたサブキャリアごとのベースバンド受信信号に基づき、毎シンボル周期または先頭のプリアンブル部分、あるいは定期的に挿入されるパイロットシンボルにより、基地局100と自移動局200との間の無線伝搬路を推定する。この無線伝搬路推定処理では、マッピング情報検出回路210から入力されたマッピング情報に基づき、無線伝搬路を推定する対象となるサブキャリアを選択し、この選択したサブキャリアについての無線伝搬路特性に係るパラメータを測定する。例えば、受信信号電力、干渉信号電力、雑音電力、受信信号電力と干渉信号電力の比、受信信号電力と雑音電力の比、又は干渉電力と雑音電力の合成電力と受信信号電力の比などを測定する。この測定結果のデータ(チャネル推定情報)は、サブキャリア選択/判定回路214に入力される。
【0054】
サブキャリア選択/判定回路214は、チャネル推定回路213から入力されたチャネル推定情報に基づき、FFT回路212から入力されたサブキャリアごとのベースバンド受信信号のデータ判定を行う。このデータ判定処理では、マッピング情報検出回路210から入力されたマッピング情報に基づき、データ判定対象となるサブキャリアを選択し、この選択したサブキャリアについてのデータ判定を行う。このデータ判定結果のサブキャリアごとのベースバンド受信信号はパラレル/シリアル変換回路215に入力される。
【0055】
パラレル/シリアル変換回路215は、入力されたパラレル信号をシリアル信号に変換し、シリアルデータ系列として出力する。この出力されたシリアルデータ系列は、受信フレームの受信タイミングに応じてスイッチ216により、マッピング情報検出回路210に入力されるか、或いは、受信データ系列217として出力される。
【0056】
マッピング情報検出回路210には、受信フレームのうち、制御フレームが入力される。マッピング情報検出回路210は、入力された制御フレームの中から、マッピング情報を取り出す。このマッピング情報は、上記した基地局100のマッピング制御回路10が生成し、制御フレームにより全ユーザに配信されたものである。つまり、該マッピング情報は、基地局100および全ユーザ間で共有される。
【0057】
なお、図6では周波数変換時に必要となる低域通過フィルタやタイミング再生回路等の一般的な構成要素については省略している。
【0058】
次に、本発明の他の実施形態として、周波数ホッピングOFDM方式および周波数分割複信(FDD;Frequency Division Duplex)方式のマルチキャリア無線通信システムについて説明する。
【0059】
上述した実施形態におけるTDD方式の場合、基地局100は送受信に同じ無線周波数を使用して、移動局200への送信と移動局200からの受信とを時分割で行う。したがって、基地局100と移動局200間の無線伝搬路は送受信で同じとなる。このため、基地局100が受信した信号に基づいて測定したチャネル推定情報は、基地局100と移動局200間の双方向の無線伝搬路に対して有効である。これにより、該チャネル推定情報に基づいて、基地局100と移動局200間の双方向の無線伝搬路に共通のサブキャリア割当を行うことができる。つまり、上記した基地局100が生成したマッピング情報は、基地局100と移動局200間の双方向の無線伝搬路に対して共通のものとなる。
【0060】
しかしながら、FDD方式の場合、送受信で異なる無線周波数を使用するので、基地局と移動局間の無線伝搬路は送受信で異なる。したがって、基地局から移動局へ送信する際のサブキャリア割当には、移動局が受信した無線信号に基づいて測定したチャネル推定情報が必要となる。また、移動局から基地局へ送信する際のサブキャリア割当には、基地局が受信した無線信号に基づいて測定したチャネル推定情報が必要となる。
以下、このようなFDD方式に適用可能な基地局および移動局について説明する。なお、以下の説明においては、移動局から基地局へ向う方向を「上り」と称し、基地局から移動局へ向う方向を「下り」と称する。
【0061】
図7は、本発明のFDD方式の実施形態に係る基地局100aの構成を示すブロック図である。図7にはFDD方式の送受信機能に係る構成が示されている。この図7において図1の各部に対応する部分には同一の符号を付け、その説明を省略する。
【0062】
図7の基地局100aにおいて、チャネル推定回路13は、基地局100aが受信した信号に基づいて、上りリンクのチャネル推定情報(上りリンク・チャネル推定情報)を測定する。また、データ判定回路14aは、基地局100aが受信した信号の中から、各ユーザから送信された下りリンク・チャネル推定情報を取り出す。下りリンク・チャネル推定情報は、移動局が受信した信号に基づいて測定された下りリンクのチャネル推定情報である。上りリンク・チャネル推定情報および下りリンク・チャネル推定情報は、マッピング制御回路10aに入力される。
【0063】
マッピング制御回路10aは、上りリンク・チャネル推定情報に基づいて上りリンクのサブキャリア割当を行い、また、下りリンク・チャネル推定情報に基づいて下りリンクのサブキャリア割当を行う。
【0064】
図8は、図7に示すマッピング制御回路10aの構成を示すブロック図である。図8に示されるように、マッピング制御回路10aは、上りリンクのサブキャリア割当用の閾値判定部21−1および有効サブキャリア群選定部22−1と、下りリンクのサブキャリア割当用の閾値判定部21−2および有効サブキャリア群選定部22−2と、サブキャリア割当制御回路23aとを有する。
【0065】
図8において、閾値判定部21−1は、各ユーザの上りリンク・チャネル推定情報を閾値判定する。有効サブキャリア群選定部22−1は、その閾値判定結果に基づき、各ユーザの上りリンク用の有効サブキャリア群Uuを選定する。サブキャリア割当制御回路23aは、その各ユーザの上りリンク用の有効サブキャリア群Uuから、ユーザごとに、上りリンク用のサブキャリアを選択して上りリンク・マッピング情報を生成する。この上りリンク・マッピング情報は、制御フレーム生成部31に入力される。
【0066】
同様に、閾値判定部21−2は、各ユーザの下りリンク・チャネル推定情報を閾値判定する。有効サブキャリア群選定部22−2は、その閾値判定結果に基づき、各ユーザの下りリンク用の有効サブキャリア群Udを選定する。サブキャリア割当制御回路23aは、その各ユーザの下りリンク用の有効サブキャリア群Udから、ユーザごとに、下りリンク用のサブキャリアを選択して下りリンク・マッピング情報を生成する。この下りリンク・マッピング情報は、図7のデータ・マッピング回路2およびデータ・デマッピング回路15、並びに制御フレーム生成部31に入力される。
【0067】
制御フレーム生成部31に入力された上りリンク・マッピング情報および下りリンク・マッピング情報は、制御フレーム内に格納されて全ユーザに無線送信される。
【0068】
図9は、本発明のFDD方式の実施形態に係る移動局200aの構成を示すブロック図である。図9にはFDD方式の送受信機能に係る構成が示されている。この図9において図6の各部に対応する部分には同一の符号を付け、その説明を省略する。マルチキャリア無線通信システムのユーザは、移動局200aを使用して基地局100aに無線接続することにより、無線通信を行うことができる。
【0069】
図9の移動局200aでは、上り用と下り用それぞれに乗算器207−1,207−2、高周波発振器208−1,208−2、アンテナ209−1,209−2が設けられる。また、下りリンク・チャネル推定情報制御回路220が設けられる。
【0070】
図9の移動局200aにおいて、データ・マッピング回路202は、マッピング情報検出回路210から入力された上りリンク・マッピング情報に基づき、送信データ系列201に対してサブキャリア番号を割当てる。
【0071】
マッピング情報検出回路210aは、自移動局200aが受信した制御フレームの中から、上りリンク・マッピング情報および下りリンク・マッピング情報を取り出す。これら上りリンク・マッピング情報および下りリンク・マッピング情報は、上記した基地局100aのマッピング制御回路10aが生成し、制御フレームにより全ユーザに配信されたものである。つまり、該上りリンク・マッピング情報および下りリンク・マッピング情報は、基地局100aおよび全ユーザ間で共有される。
【0072】
チャネル推定回路213aは、FFT回路212から入力されたサブキャリアごとのベースバンド受信信号に基づき、毎シンボル周期または先頭のプリアンブル部分、あるいは定期的に挿入されるパイロットシンボルにより、基地局100aと自移動局200aとの間の無線伝搬路を推定する。この無線伝搬路推定処理では、マッピング情報検出回路210から入力された下りリンク・マッピング情報に基づき、無線伝搬路を推定する対象となるサブキャリアを選択し、この選択したサブキャリアについての無線伝搬路特性に係るパラメータを測定する。この測定結果のデータ(下りリンク・チャネル推定情報)は、サブキャリア選択/判定回路214および下りリンク・チャネル推定情報制御回路220に入力される。
【0073】
サブキャリア選択/判定回路214は、チャネル推定回路213から入力された下りリンク・チャネル推定情報に基づき、FFT回路212から入力されたサブキャリアごとのベースバンド受信信号のデータ判定を行う。
【0074】
また、下りリンク・チャネル推定情報制御回路220は、チャネル推定回路213から入力された下りリンク・チャネル推定情報を制御情報に加工してデータ・マッピング回路202に出力する。データ・マッピング回路202は、その入力された下りリンク・チャネル推定情報を上りリンク信号の制御ヘッダ内に格納する。これにより、移動局200aが受信した信号に基づいて測定された下りリンク・チャネル推定情報は、基地局100aに無線送信される。
【0075】
このようにFDD方式の場合、上下リンクが異なる周波数を用いることから、各々独立にチャネル推定を行う必要がある。即ち、上りリンクについては、基地局が、各ユーザから伝送される上りリンク信号の通信品質(受信信号電力等)を測定して、その状態を元に各ユーザの周波数ホッピングパターンを基地局で決定し、その情報をユーザに対して通知する。一方、下りリンクについては、各ユーザが、基地局から伝送される下りリンク信号の通信品質(受信信号電力等)を測定し、チャネル情報そのもの、あるいは、ユーザ側で選定したサブキャリア群に関する情報を基地局側にフィードバックし、その情報に基づいて基地局側で周波数ホッピングパターンを決定するとともに、制御情報として各ユーザに報知する。
【0076】
以上、本発明の実施形態を図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【0077】
例えば、TDD方式の場合、上下リンクは同じ周波数を用いることから、基本的に同じチャネル特性(無線伝搬路特性)を有するものと考えられる。従って、上下何れかの方向でチャネル推定を行い、その結果に基づいてサブキャリア群を選定し、周波数ホッピングパターンを決定すれば良い。
即ち、上述した実施形態のように、各ユーザから伝送される上りリンク信号の通信品質(受信信号電力等)を測定して、その状態を元に各ユーザの周波数ホッピングパターンを基地局で決定し、その情報をユーザに対して通知するように構成する。或いは、他の実施例として、各ユーザが、自移動局で受信する下りリンク信号の通信品質(受信信号電力等)に基づいてサブキャリア群を選定し、その情報を基地局にフィードバックして基地局側で周波数ホッピングパターンを決定し、その情報をユーザに対して通知するように構成してもよい。
【0078】
なお、符号拡散の概念を適用してサブキャリア切替制御を行うようにしてもよい。図10および図11は、符号拡散の概念を適用したサブキャリア切替制御方法の実施例を示す概念図である。
図10において、破線で囲まれた時間・周波数拡散を行うブロック内で、ホッピングするサブキャリアに同じ情報データ301をコピーして複数割り当て、更に拡散符号を重畳することにより時間軸および周波数軸で同時にスペクトル拡散処理を施す。このように、ホッピングするサブキャリアに拡散処理を施すことにより、時間軸および周波数軸で同時に耐干渉性を獲得することができる。また、MMSECにより逆拡散処理を行うことにより、時間・周波数ダイバーシチ効果を同時に得ることも期待できる。
【0079】
図11では、拡散符号長をNと設定した場合に、N多重することにより同時に通信できるユーザ数を増やす、あるいは、ユーザ当りの伝送速度をマルチコード化によって高速化する手法を表している。この手法を適用することにより周波数利用効率を最大限高めることが可能となる。
【0080】
このように、周波数ホッピングを行うサブキャリアに拡散符号を割り当てることにより、同一チャネル干渉に耐性を持ち、且つ、時間・周波数ダイバーシチ効果が得られる特性の優れた無線方式を提供することが可能となる。更に、直交関係にある拡散符号を割り当てることにより、同一サブチャネルを複数のユーザで同時に使用しながら通信を行うことが可能となり、単純に時間・周波数拡散を行う周波数ホッピングOFDM方式に比較して通信容量を増やすことが可能となる。
【0081】
なお、本発明は、各種の無線通信システムに適用することができる。例えば、ディジタルセルラーシステム、ディジタル移動通信システム、高速無線アクセス、加入者系無線アクセス、固定マイクロ波伝送、無線LAN、パーソナルエリアネットワーク、ディジタル衛星通信、移動衛星システム、センサーネットワーク等のディジタル無線通信システムに適用可能である。
【符号の説明】
【0082】
2,202…データ・マッピング回路、3,203…逆高速フーリエ変換回路(IFFT)、4,204…加算器(Σ)、5,205…ガードインターバル付加回路、6,206,216…スイッチ、7,207…乗算器、8,208…高周波発振器(fc)、9,209…アンテナ、10,10a…マッピング制御回路、11,211…ガードインターバル除去回路、12,212…高速フーリエ変換回路(FFT)、13,213,213a…チャネル推定回路、14,14a…データ判定回路、15…データ・デマッピング回路、21…閾値判定部、22…有効サブキャリア群選定部、23,23a…サブキャリア割当制御回路、31…制御フレーム生成部、100,100a…基地局、200,200a…移動局、210,210a…マッピング情報検出回路、214…サブキャリア選択/判定回路、215…パラレル/シリアル変換回路、220…下りリンク・チャネル推定情報制御回路。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基地局との間で無線通信する移動局ごとに、異なる無線周波数のサブキャリアを割当てるマルチキャリア無線通信システムにおいて、
移動局と基地局との間の無線伝搬路を移動局ごと且つサブキャリアごとに推定するチャネル推定手段と、前記推定結果のチャネル推定情報を所定の条件に基づいて判定する判定手段と、前記判定結果に基づき、無線伝搬路上で良好なサブキャリアから成る有効サブキャリア群を移動局ごとに選定する有効サブキャリア群選定手段と、前記選定結果の有効サブキャリア群から移動局に割当てるサブキャリアを選択するサブキャリア割当制御手段と、を有するサブキャリア割当装置であって基地局との間で無線通信する移動局ごとに異なる無線周波数のサブキャリアを割当てるサブキャリア割当装置を備え、
前記サブキャリア割当装置による割当結果である移動局とサブキャリアとの対応関係を示すマッピング情報を、移動局と基地局との間で共有するように構成したマルチキャリア無線通信システムであり、
移動局ごとに同時に割り当てるサブキャリアに対し、同一のシンボル情報をコピーして割り当て、拡散符号を重畳して周波数拡散を行うことを特徴とするマルチキャリア無線通信システム。
【請求項1】
基地局との間で無線通信する移動局ごとに、異なる無線周波数のサブキャリアを割当てるマルチキャリア無線通信システムにおいて、
移動局と基地局との間の無線伝搬路を移動局ごと且つサブキャリアごとに推定するチャネル推定手段と、前記推定結果のチャネル推定情報を所定の条件に基づいて判定する判定手段と、前記判定結果に基づき、無線伝搬路上で良好なサブキャリアから成る有効サブキャリア群を移動局ごとに選定する有効サブキャリア群選定手段と、前記選定結果の有効サブキャリア群から移動局に割当てるサブキャリアを選択するサブキャリア割当制御手段と、を有するサブキャリア割当装置であって基地局との間で無線通信する移動局ごとに異なる無線周波数のサブキャリアを割当てるサブキャリア割当装置を備え、
前記サブキャリア割当装置による割当結果である移動局とサブキャリアとの対応関係を示すマッピング情報を、移動局と基地局との間で共有するように構成したマルチキャリア無線通信システムであり、
移動局ごとに同時に割り当てるサブキャリアに対し、同一のシンボル情報をコピーして割り当て、拡散符号を重畳して周波数拡散を行うことを特徴とするマルチキャリア無線通信システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−213333(P2010−213333A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−104151(P2010−104151)
【出願日】平成22年4月28日(2010.4.28)
【分割の表示】特願2004−331877(P2004−331877)の分割
【原出願日】平成16年11月16日(2004.11.16)
【出願人】(000208891)KDDI株式会社 (2,700)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年4月28日(2010.4.28)
【分割の表示】特願2004−331877(P2004−331877)の分割
【原出願日】平成16年11月16日(2004.11.16)
【出願人】(000208891)KDDI株式会社 (2,700)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]