説明

マルチコンポーネントキャリアを用いた無線通信ネットワークにおける基地局と移動体端末との間のデータ送信のスケジューリング

移動体端末(701)と基地局との間でマルチコンポーネントキャリア信号を用いた無線データ送信のスケジューリング方法を記載する。当該方法は、移動体端末)において、基地局から使用可能なコンポーネントキャリアを示す情報を受信する工程、移動体端末において、不連続な帯域幅を有するコンポーネントキャリアを扱う移動体端末の現在の能力を示す少なくとも一つの動的パラメータを検出する工程、移動体端末において少なくとも一つの動的パラメータに基づいて使用可能なコンポーネントキャリアのどれを使用するかを決定する工程、移動体端末701から基地局へ、データ送信のために使用することを決定したコンポーネントキャリアを示す情報を送信する工程を含む。これにより、移動体端末は、マルチコンポーネントキャリアをサポートするための消費電力が高い場合や、複雑なハードウェアが必要とされる場合といった不利な場合に、使用するコンポーネントキャリア数を制限することを選択できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マルチコンポーネントキャリア信号を送信するように構成された無線通信ネットワークにおける、移動体端末と基地局との間のデータ送信のスケジューリングのための方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
各世代において、無線通信システムは更に高まるデータ転送速度によって特徴付けられる。データ転送速度の増加の一部は変調、符号化等の改善に起因するものかもしれないが、大幅なデータレートの増加には、概してより広帯域なシステム帯域幅が必要とされる。例えば、(4G無線通信システムとして提案されている)IMT (International Mobile Telecommunications)advancedは最大100MHzの帯域幅について言及している。しかしながら、無線スペクトルは限りあるリソースであり、多くの事業者とシステムとが限りある無線リソース獲得のために争うので、係るシステムが100MHzの連続したスペクトルを自由に使用できる可能性は低い。
【0003】
スペクトルが限定的で断片的であったとしても、増加する帯域要求へのアプローチの一つとして、不連続なスペクトルを統合することができる。ベースバンドの観点から、このアプローチによりシステム帯域幅を、4Gのスループット要求である1Gb/sまでサポートするように、十分に効果的に増加させることが可能である。スペクトルの不連続部分におけるデータ送信は、スペクトル利用を、既存のスペクトル使用や地理的位置に対しても適用可能であるので、柔軟性を導入することができる。加えて、異なる変調方式や符号化方式をスペクトルの異なる部位においても有利に適用することができる。
【0004】
3GPP Long Term Evolution(LTE)のような、現在のセル方式システムの可能性のある展開として、不連続なスペクトルをサポートすることは、マルチコンポーネントキャリアまたは複数帯域を導入するということである。そのような複数帯域システム、または、マルチコンポーネントキャリアシステムにおいて、分離されたスペクトルの各部位はひとつのLTEシステムとしてみなすことができる。複数帯域伝送は、ITU IMT-Advancedのケーパビリティをターゲットとしている3G LTEの今後のリリースの主要部分になる可能性が高い。そのようなシステムで使用する移動体端末は、マルチコンポーネントキャリアを受信し、異なる帯域幅を有し、異なるキャリア周波数で送信が可能であろう。
【0005】
特許文献1は、複数のアクセス端末の間に無線リソースが分配される複数キャリア通信システムを開示している。あるアクセス端末に割り当てられるキャリアは、アクセス端末から受信したスケジューリング情報に基づいてネットワークによって決定される。スケジューリング情報はデータ要求、サービス品質要求、利用可能な送信電力のヘッドルーム、アクセス端末の位置、又は、アクセス端末に関係するハードウェア制約を含むことができる。この開示は不連続な帯域幅の使用とは関連しない。
【0006】
複数の不連続なコンポーネントキャリアをサポートする移動体端末の設計は簡単な仕事ではない。フロントエンドの無線はスペクトルの「チャンク(chunks)」間での閉塞信号(ブロッキング信号)を抑圧できることが求められる。この問題に対処するために異なる種類の無線アーキテクチャを用いることができる。しかしながら、これは典型的に、標準的な連続システム受信機に比べて電流消費の面で欠点を持つ。それゆえ、移動体端末のフロントエンド受信機設計への挑戦を考慮に入れた、効率的な不連続な複数キャリアLTEシステム設計の要請がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許出願公開第2007/007090号明細書
【発明の概要】
【0008】
それゆえ、発明の実施形態は、より効率的で、不連続の帯域を有するコンポーネントキャリアを取り扱う移動体端末の現在の性能を考慮した、データ転送スケジューリングの柔軟な方法を提供することを目的とする。
発明の実施形態によれば、マルチコンポーネントキャリア信号を送信するように構成された無線通信ネットワークにおける、移動体端末と基地局との間のデータ送信のスケジューリング方法を使用することで、当該目的は達成される。なお、マルチコンポーネントキャリアにおける各コンポーネントキャリアは、該コンポーネントキャリア周辺の所定の帯域幅において信号送信を提供する。
【0009】
当該方法は、移動体端末において、基地局から使用可能なコンポーネントキャリアを示す情報を受信する工程、移動体端末において、不連続な帯域幅を有するコンポーネントキャリアを扱う移動体端末の現在の能力を示す少なくとも一つの動的パラメータを検出する工程、移動体端末において少なくとも一つの動的パラメータに基づいて、データ送信のために使用可能なコンポーネントキャリアのどれを使用するかを決定する工程、移動体端末から基地局へ、データ送信のために使用することを決定したコンポーネントキャリアを示す情報を送信する工程を含んでいてもよい。
【0010】
移動体端末は、移動体端末にて検出された動的パラメータとの関連で、使用するコンポーネントキャリアの数を制御してもよい。こうすることで、移動体端末は、マルチコンポーネントキャリアをサポートするための消費電力が高い場合や、複雑なハードウェアが必要とされる場合といった不利な場合に、使用するコンポーネントキャリア数を制限することを選択できる。
【0011】
ある実施形態では、上記方法は、少なくとも一つの動的パラメータを、パラメータのグループの中から選択する工程を更に備える。当該パラメータのグループは、移動体端末のバッテリの充電レベルを示すパラメータと、移動体端末からのデータ送信について所定の品質レベルを達成するために必要とされる、移動体端末の送信電力レベルを示すパラメータと、移動体端末のベースバンド処理能力のレベルを示すパラメータとからなる。
【0012】
移動体端末のバッテリの充電レベルを示すパラメータとの関連で、移動体端末に使用するコンポーネントキャリア数を制御させることで、バッテリ寿命を延ばすことが可能になる。これはバッテリ充電レベルが低い場合にマルチコンポーネントキャリアの使用を制限することで実現され、これによりマルチコンポーネントキャリアをサポートするために必要とされる電力を節約できる。加えてバッテリ電圧が低い場合には、マルチコンポーネントキャリアをサポートする必要がないため、移動体端末の設計をより簡単化できる。
【0013】
データ送信のための所定の品質レベルを達成するために、パラメータが移動体端末からの送信電力のレベルを示すようにすることで、移動体端末の設計を簡単化することができる。これは、送信電力が高い場合に、移動体端末はマルチコンポーネントキャリアをサポートする必要が無いからである。これは、送信電力が高い場合に、使用するコンポーネントキャリアの数を制限することにより達成できる。
【0014】
パラメータが移動体端末におけるベースバンド処理能力のレベルを示すようにすることで、移動体端末における処理リソースをより効率的に活用できる。これは移動体端末における処理リソースが少ない場合に、使用するコンポーネントキャリアの数を制限することにより達成される。
【0015】
ある実施形態では、上記方法はさらに、パラメータのレベルの1つが所定の閾値を超えたことによりトリガされるコンポーネントキャリアイベント発生を検出する工程と、コンポーネントキャリアイベントが検出された場合に、コンポーネントキャリアのどれを使用するかを決定する工程を実行する工程とを備える。
【0016】
パラメータレベルの一つが所定の閾値を超えたことによりトリガされるイベントとの関連でマルチコンポーネントキャリアの使用を制御することで、上記方法を移動体端末において容易に実装することが可能になる。
【0017】
ある実施形態では、決定したコンポーネントキャリアを示す情報を送信する工程は、無線リソース制御(RRC)シグナリングプロトコルを使用する。
【0018】
ある実施形態では、決定したコンポーネントキャリアを示す情報を送信する工程は、媒体アクセス制御(MAC)シグナリングプロトコルを使用する。
【0019】
本発明の実施形態のいくつかは、マルチコンポーネントキャリア信号を送信するように構成された無線通信ネットワークにおける、移動体端末と基地局との間のデータ送信のスケジューリングを行うように構成された移動体端末に関する。なお、マルチコンポーネントキャリアにおける各コンポーネントキャリアは該コンポーネントキャリア周辺の所定の帯域幅において信号送信を提供する。当該移動体端末は、基地局から使用可能なコンポーネントキャリアを示す情報を受信し、不連続な帯域幅を有するコンポーネントキャリアを扱う移動体端末の現在の能力を示す少なくとも一つの動的パラメータを検出し、少なくとも一つの動的パラメータに基づいて、データ送信のために使用可能なコンポーネントキャリアのどれを使用するかを決定し、基地局へ、データ送信のために使用することを決定したコンポーネントキャリアを示す情報を送信するように構成されている。
【0020】
上記方法のために上述した実施形態に対応する実施形態は、同様に上記移動体端末に対して適用される。
【0021】
発明の実施形態のいくつかは、上記方法を実行するためのプログラムコードを有するコンピュータプログラム及びコンピュータで読み取り可能な記憶媒体に関連する。
【0022】
本発明の実施形態は、図面を参照して以下でより詳細に記述される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】マルチコンポーネントキャリアを示す周波数プロット図である。
【図2】移動体端末および基地局間でのデータ転送スケジューリング法のフロー図である。
【図3a】低出力でマルチコンポーネントキャリアでの送信を行った際のスペクトル漏えいを示す周波数プロット図である。
【図3b】高出力でマルチコンポーネントキャリアでの送信を行った際のスペクトル漏えいを示す周波数プロット図である。
【図4】バッテリ電圧を充電状況の関数として示すプロット図である。
【図5a】フィルタリング前の2つのコンポーネントキャリア間に位置する低エネルギー干渉信号振幅を示す周波数プロット図である。
【図5b】フィルタリング後の2つのコンポーネントキャリア間に位置する低エネルギー干渉信号振幅を示す周波数プロット図である。
【図6a】フィルタリング前の2つのコンポーネントキャリア間に位置する高エネルギー干渉信号振幅を示す周波数プロット図である。
【図6b】フィルタリング後の2つのコンポーネントキャリア間に位置する高エネルギー干渉信号振幅を示す周波数プロット図である。
【図7】移動体端末の機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本明細書で説明する統合スペクトルまたはマルチバンドシステムにおいて、連続または不連続ないくつかの周波数帯が一つの携帯受信機と通信するために割り当てられる。帯域内における変調方式及びアクセス方式はどのようなものであってもよく、例えば、直交周波数分割多重(OFDM)、単一キャリア周波数分割多重(SC-FDMA)、符号分割多元接続(CDMA)などがある。本願では、そのようなシステムを「マルチコンポーネントキャリアシステム」と定義する。この文脈において、1つの帯域のことを1つの「コンポーネントキャリア」という。いくつかの刊行物では、この種のシステムが「マルチキャリア」と呼ばれているが、この用語はOFDMを定義する場合にも一般的に使用される。
【0025】
図1はより大きな帯域幅を得るためのマルチコンポーネントキャリアの統合例を示す。一番左のコンポーネントキャリアは他のコンポーネントキャリアから周波数的に十分に分離されていることに注意すべきである。キャリア間隔が広いので、キャリア間干渉をごくわずかな量にすることができる。しかしながら、右側の2つのコンポーネントキャリアは周波数的に十分な間隔を確保できていない。
【0026】
図2は本発明の実施形態のフローチャートを示す。ステップ100において、移動体端末はまず、当該移動体端末と通信するための基地局を含むマルチコンポーネントキャリアセルを検出する。これはセル検索手順を使用することで達成される。移動体端末は次いでステップ110において、マルチコンポーネントキャリアセルにおける利用可能性のあるコンポーネントキャリアに関する情報を受信する。この情報はコンポーネントキャリアの帯域幅およびキャリア周波数に関する情報を含む。利用可能性のあるコンポーネントキャリアの数はいくつであってもよく、単一のコンポーネントキャリアのみが使用可能であるという特別な状況も含む。ステップ120において、移動体端末はマルチコンポーネントキャリアセルとの間でデータの送受信に使用する、使用可能なコンポーネントキャリアのサブセットを決定する。そして、マルチコンポーネントキャリアセルへ当該サブセットについて通知する。この選択は移動体端末の物理リソースに基づいてなされる。このサブセットは厳密にサブセットである必要はなく、選択したサブセットがマルチキャリアセルから受信した利用可能性のあるコンポーネントキャリアの全てを含んでいてもよい。次にステップ130において、移動体端末はマルチキャリアセルに接続し、ステップ140においてコンポーネントキャリアイベントの監視を開始する。そのようなイベントは任意の動的パラメータに関連していてもよく、動的パラメータには、移動体端末の充電状況や、移動体端末の送信電力、移動体端末の処理負荷、干渉信号のエネルギー、或いは、移動体端末のアプリケーションからのデータ転送要求が含まれる。ステップ150において、移動体端末はイベントを検出すると使用可能なコンポーネントキャリアの新しいサブセットを選択し、マルチコンポーネントキャリアセルに新しいサブセットについて情報を伝える。
【0027】
ある実施形態では、マルチコンポーネントキャリアセルは要求されたコンポーネントキャリアのサブセットを拒絶し、代わりに異なるサブセットを提案する機会を与えられてもよい。
【0028】
マルチキャリアの設定を目的とした移動体端末及びマルチキャリアセル間での通信は、例えばRRC(Radio Resource Control:無線リソース制御)プロトコル、MAC(Medium Access Control:媒体アクセス制御)プロトコル、或いは、レイヤ1シグナリングといった詳細に定義されたシグナリングプロトコルを用いて実現される。
【0029】
図3aは移動体端末から基地局へと低出力で送信を行った際のスペクトル漏えいを示す。送信電力レベルは一般的に、所定の品質レベル要求に基づいて選択される。電力閉ループは一般的に、送信電力を調整するために使用される。当該ループは、基地局で送信品質レベルを監視することにより機能する。もし、品質レベルが所定の閾値を下回ると、基地局から移動体端末へ制御信号が送信され送信電力が増加する。逆に、品質レベルが所定の閾値を超えると、基地局は移動体端末に送信電力を減らすように指示する。2つの分散コンポーネントキャリア301、302を示す。
【0030】
送信機及びRF電力増幅器における非線形性は、スペクトル漏えいを招く相互変調雑音をもたらす。これは特に、周波数領域で高電力密度をもつ狭帯域なコンポーネントキャリアを使用する際に、著しい相互変調雑音の影響を引き起こすことから、問題となる。使用しているコンポーネントキャリアの帯域の外側に位置する帯域を他のユーザが使用できるようにするために、移動体端末には厳格なスペクトル漏えいに関する要求が課される。303は2つのコンポーネントキャリア301、302のスペクトル漏えいを示しており、304は携帯ネットワークでの漏えい要求を示している。2つのコンポーネントキャリア301、302からのスペクトル漏えい303はキャリアの送信電力が低い場合には漏えい要求304を下回っている。
【0031】
図3bは移動体端末から基地局への送信電力が大きい場合のスペクトル漏えいを示している。2つの分散キャリア305、306が示されている。これらは図3aにおける2つのコンポーネントキャリア301、302と同じ周波数に位置しているが、送信電力を増加させているため、それらの振幅はより大きくなっている。2つのキャリアのスペクトル漏えい307は、携帯ネットワークにおけるスペクトル漏えい要求を超えている。より線形な送信機およびRF電力増幅器を使用することは、この問題を軽減するための可能性のある方法である。しかしながら、高度に線形な部品は一般的により多くの電力を消費し、移動体端末の複雑性およびコストを増加させる。
【0032】
本発明の実施形態を利用する場合に、個々のキャリアの送信電力に基づいてコンポーネントキャリアの数を制御できるかもしれない。これを達成する一つの方法は、送信電力が増加したときに、使用するコンポーネントキャリアの数を減少させることである。もしくは、高出力で送信を行う際には、狭帯域のコンポーネントキャリアの使用を制限してもよい。これは、コストのかかるハードウェアを必要とせず、妥当な消費電力で、移動体端末におけるマルチキャリアサポートを可能にする。
【0033】
図4は移動体端末にて用いられる典型的なバッテリについて、充電状況の関数として電圧をプロットした図である。充電状況は0%から100%まで変化する。ここでは3つの異なる段階が図示され、そこには、バッテリ電圧が少し落ちている初期化段階401、バッテリ電圧がほとんど変化しない安定期段階402、及び、バッテリ電圧が0にまで落ちる終末段階403が含まれる。移動体端末の機能は、初期化段階401及び安定期段階402においては電圧の変化によって影響されない。しかしながら、終末段階においては、バッテリは移動体端末の機能をサポートできず、結局のところ移動体端末は強制的に電源を落とされる。移動体端末においてマルチコンポーネントキャリアをサポートするためには、より線形な送信機ブロックおよび、特には、線形な電圧増幅器が必要とされるが、これらは高い消費電力を有する。それゆえ、マルチコンポーネントキャリアをサポートする移動体端末は、終末段階において比較的に早くに機能を停止してしまうだろう。
【0034】
しかしながら、本発明の実施形態によれば、コンポーネントキャリアの数を、移動体端末のバッテリの充電状況に基づいて制御してもよい。これは、バッテリの充電状況が低いときに使用するコンポーネントキャリア数を減らすことで実現され、それによって、移動体端末における複雑で高価なアーキテクチャを必要とせずに、複数キャリアのサポートおよびバッテリの長寿命化が実現される。
【0035】
発明の実施形態によれば、使用するコンポーネントキャリアの数は、動的パラメータとして機能する電力管理システムによって制御されてもよい。電力管理システムは、マルチコンポーネントキャリアをサポートする電力消費量の推定によって機能し、推定した電力消費量との関連で使用するキャリアの数を決定してもよい。これは、マルチコンポーネントキャリアをサポートするための電力消費量が大きい場合に、使用するコンポーネントキャリアの数を制限することでなされてもよい。移動体端末におけるバッテリの充電状況は、電力管理システムへの入力として用いられてもよい。電力管理システムを使用することで、バッテリの長寿命化が達成される。
【0036】
これによって、マルチコンポーネントキャリアをサポートするための電力消費量が比較的少ない状況でのみ、マルチコンポーネントキャリアがサポートされてもよい。
【0037】
図5aは、移動体端末におけるフィルタリング前の、2つのコンポーネントキャリア501、502の間に位置する低エネルギー干渉信号502の周波数プロット図である。504は、干渉信号を遮断するための移動体端末におけるフィルタ性能を示す閾値である。閾値は移動体端末におけるフィルタの品質によって決定される。干渉信号502の振幅は、閾値504より低い。図5bは、図5aと同じ状況での移動体端末におけるフィルタリング後の周波数プロット図である。干渉信号の強度は無視できるレベルにまで抑えられており、そして2つのコンポーネントキャリア501、502について良好なサービス品質が達成されている。
【0038】
図6aは移動体端末におけるフィルタリング前の、2つのコンポーネントキャリア601、602の間に位置する高エネルギー干渉信号602の周波数プロット図である。604は干渉信号を遮断するための移動体端末におけるフィルタ性能を示す閾値である。この状況では、干渉信号の振幅は閾値604よりも高い。図6bは、図6aと同じ状況での移動体端末におけるフィルタリング後の周波数プロット図である。干渉信号の強度は低くなっているが、2つの干渉信号601、602の振幅と比べると比較的高いままであるため、結果としてキャリアのサービス品質は悪くなっている。これは、より高い閾値を持つ高性能フィルタを使用することで正すことができるが、その場合には、全体の消費電力及びデバイスの全体的なコストが再び増加してしまう。
【0039】
本発明の実施形態を用いて、使用するコンポーネントキャリアの数を干渉信号強度に基づいて制御してもよい。これは、高エネルギー干渉信号が存在する場合にマルチコンポーネントキャリアの使用を制限することで実現される。それゆえ、高エネルギー干渉信号に対処するための高価なハードウェアを必要とせずに、高エネルギー干渉信号が存在しない、最も一般的な状況において良好な複数キャリアサポートを実現する。
【0040】
移動体端末は単純な通信機器から、音楽や映画のアプリケーション、地図、辞書およびゲームといった様々な異なるアプリケーションを提供する、すべての機能を持った持ち運び可能なコンピュータシステムへと形を変えた。この進化は、移動体端末における処理性能に対する要求を増やした。マルチコンポーネントキャリアのサポートは、移動体端末の全体的な処理負荷をさらに増加させた。複雑なアプリケーションはそれゆえ、マルチコンポーネントキャリアが用いられている際にはゆっくりと処理され、ユーザ体験を低下させる。本発明の実施形態を用いることで、使用するコンポーネントキャリアの数を、移動体端末における処理負荷との関連で制御してもよい。これは複雑なアプリケーションを処理している際に、より少ないコンポーネントキャリアを用いることで達成される。これによって、複雑なアプリケーションの高速処理を確保して、ユーザ体験を向上させる。
【0041】
図7は、本発明の原理を用いた無線通信ネットワークにおける、移動体端末と基地局との間でのデータ送信をスケジューリングするように構成された移動体端末701の機能ブロック図である。移動体端末は、RF信号を使用して基地局と通信するためのアンテナ702を含む。アンテナからのRF信号はRFブロック703にて受信され、移動体端末701が基地局から使用可能なコンポーネントキャリアを指示する情報を受信するDETブロック704へと送られる。移動体端末はブロック706にて移動体端末は、連続または不連続な帯域幅を形成するコンポーネントキャリアを処理する現在の移動体端末の能力を示す、少なくとも一つの動的パラメータを検出する。706にて検出された少なくとも一つの動的パラメータは、704にて検出された使用可能なコンポーネントキャリアとともに制御ブロック705へ送信される。制御ブロック705において移動体端末701は、基地局との間でデータを送受信するために使用する、使用可能なコンポーネントキャリアのサブセットを決定し、基地局にこのサブセットを通知する。サブセットは厳密にサブセットである必要はなく、選ばれたサブセットはマルチキャリアセルから受信したすべての使用可能なコンポーネントキャリアを含んでもよい。
【0042】
本発明の実施形態によれば、使用するコンポーネントキャリアの数が異なる動的パラメータの組み合わせとの関連で決定されてもよい。組み合わせは以下のパラメータのどの組み合わせであってもよい。移動体端末のバッテリレベル、移動体端末の送信電力、移動体端末の処理負荷、干渉信号強度、または、移動体端末におけるアプリケーションのデータ送信要求。例として、本発明に対応する機能を有する移動体端末は、バッテリレベルと送信電力との両方の観点から使用するコンポーネントキャリアの数を制御してもよい。
【0043】
様々な本発明の実施形態を説明・提示したが、発明はそれらに制限されるものではなく、特許請求の範囲において定義される発明の主題の範囲に含まれる他の方法で実施されてもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチコンポーネントキャリア信号であって、各コンポーネントキャリアが該コンポーネントキャリア周辺の所定の帯域幅において信号送信を提供するところのマルチコンポーネントキャリア信号を送信するように構成された無線通信ネットワークにおける、移動体端末(701)と基地局との間のデータ送信のスケジューリング方法であって、
前記移動体端末(701)において、前記基地局から使用可能なコンポーネントキャリアを示す情報を受信する工程(704)と、
前記移動体端末(701)において、不連続な帯域幅を有するコンポーネントキャリアを扱う前記移動体端末の現在の能力を示す少なくとも一つの動的パラメータを検出する工程(706)と、
前記移動体端末(701)において前記少なくとも一つの動的パラメータに基づいて、前記データ送信のために前記使用可能なコンポーネントキャリアのどれを使用するかを決定する工程(705)と、
前記移動体端末(701)から前記基地局へ、前記データ送信のために使用することを決定したコンポーネントキャリアを示す情報を送信する工程(702、703)と
を備えることを特徴とするデータ送信のスケジューリング方法。
【請求項2】
前記少なくとも一つの動的パラメータを、パラメータのグループの中から選択する工程を更に備え、
前記パラメータのグループは、
前記移動体端末のバッテリの充電レベルを示すパラメータと、
前記移動体端末からのデータ送信について所定の品質レベルを達成するために必要とされる、前記移動体端末の送信電力レベルを示すパラメータと、
前記移動体端末のベースバンド処理能力のレベルを示すパラメータと
からなることを特徴とする請求項1に記載のデータ送信のスケジューリング方法。
【請求項3】
前記パラメータのレベルの1つが所定の閾値を超えたことによりトリガされるコンポーネントキャリアイベント発生を検出する工程と、
前記コンポーネントキャリアイベントが検出された場合に、前記コンポーネントキャリアのどれを使用するかを決定する工程を実行する工程と
をさらに備えることを特徴とする請求項2に記載のデータ送信のスケジューリング方法。
【請求項4】
前記決定したコンポーネントキャリアを示す情報を送信する工程は、無線リソース制御(RRC)シグナリングプロトコルを使用することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のデータ送信のスケジューリング方法。
【請求項5】
前記決定したコンポーネントキャリアを示す情報を送信する工程は、媒体アクセス制御(MAC)シグナリングプロトコルを使用することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のデータ送信のスケジューリング方法。
【請求項6】
マルチコンポーネントキャリア信号であって、各コンポーネントキャリアが該コンポーネントキャリア周辺の所定の帯域幅において信号送信を提供するところのマルチコンポーネントキャリア信号を送信するように構成された無線通信ネットワークにおける、移動体端末(701)と基地局との間のデータ送信のスケジューリングを行うように構成された移動体端末(701)であって、
前記基地局から使用可能なコンポーネントキャリアを示す情報を受信(704)し、
不連続な帯域幅を有するコンポーネントキャリアを扱う前記移動体端末の現在の能力を示す少なくとも一つの動的パラメータを検出(706)し、
前記少なくとも一つの動的パラメータに基づいて、前記データ送信のために前記使用可能なコンポーネントキャリアのどれを使用するかを決定(705)し、
前記基地局へ、前記データ送信のために使用することを決定したコンポーネントキャリアを示す情報を送信(702、703)する
ように構成されたことを特徴とする移動体端末。
【請求項7】
前記移動体端末は、前記少なくとも一つの動的パラメータを、パラメータのグループの中から選択するようにさらに構成され、
前記パラメータのグループは、
前記移動体端末のバッテリの充電レベルを示すパラメータと、
前記移動体端末からのデータ送信について所定の品質レベルを達成するために必要とされる、前記移動体端末の送信電力レベルを示すパラメータと、
前記移動体端末のベースバンド処理能力のレベルを示すパラメータと
からなることを特徴とする請求項6に記載の移動体端末。
【請求項8】
前記パラメータのレベルの1つが所定の閾値を超えたことによりトリガされるコンポーネントキャリアイベント発生を検出し、
前記コンポーネントキャリアイベントが検出された場合に、前記コンポーネントキャリアのどれを使用するかを決定する
ようにさらに構成されたことを特徴とする請求項7に記載の移動体端末。
【請求項9】
無線リソース制御(RRC)シグナリングプロトコルを使用して前記決定したコンポーネントキャリアを示す情報を送信するように構成されたことを特徴とする請求項6乃至8のいずれか1項に記載の移動体端末。
【請求項10】
媒体アクセス制御(MAC)シグナリングプロトコルを使用して前記決定したコンポーネントキャリアを示す情報を送信するように構成されたことを特徴とする請求項6乃至8のいずれか1項に記載の移動体端末。
【請求項11】
第三世代ロング・ターム・エボリューション(LTE)システムにおいて使用されるように構成されたことを特徴とする請求項6乃至10のいずれか1項に記載の移動体端末。
【請求項12】
コンピュータ上で実行された場合に、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の方法を前記コンピュータに実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項13】
コンピュータ上で実行された場合に、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の方法を前記コンピュータに実行させるコンピュータプログラムを記憶した、コンピュータで読み取り可能な記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4】
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【図5a】
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【図5b】
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【図6a】
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【図6b】
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【図7】
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【公表番号】特表2012−530437(P2012−530437A)
【公表日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−515417(P2012−515417)
【出願日】平成22年5月31日(2010.5.31)
【国際出願番号】PCT/EP2010/057533
【国際公開番号】WO2010/145933
【国際公開日】平成22年12月23日(2010.12.23)
【出願人】(598036300)テレフオンアクチーボラゲット エル エム エリクソン(パブル) (2,266)
【Fターム(参考)】