説明

マルチバンドデュプレクサモジュール

【課題】周波数帯が異なる複数の通信システムに対応可能であり、小型化を図ることができ、かつ低損失であるマルチバンドデュプレクサモジュールを提供する。
【解決手段】共通アンテナ端子7に周波数帯が異なる第1,第2のデュプレクサ3,4が接続されており、第1,第2のデュプレクサ内において、第1,第2のアンテナ端子3a,4aに接続されたインピーダンス整合回路が設けられておらず、共通アンテナ端子7と、第1のアンテナ端子3a及び第2のアンテナ端子4aとの間の少なくとも一方に、インダクタンス及びキャパシタンスの少なくとも一方を有するインピーダンス整合回路8が接続されている、マルチバンドデュプレクサモジュール1。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、周波数帯が異なる第1,第2のデュプレクサが一体化されているマルチバンドデュプレクサモジュールに関し、より詳細には、第1及び/または第2のデュプレクサにインピーダンス整合回路が接続されているマルチバンドデュプレクサモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の通信システムが搭載されているマルチバンド方式の携帯電話機が知られている。例えば、GSM方式と、3G方式との複数の方式に応じた通信システムが搭載されたマルチバンド方式の携帯電話機が存在する。
【0003】
このようなマルチバンドの携帯電話機では、1つの通信方式においてアンテナは共通化されている。アンテナが共通化されているので、共通化されたアンテナに対し、各通信方式に応じた周波数信号を送受信するための回路が接続されている。
【0004】
下記の特許文献1には、このような用途に用いられる高周波モジュールが開示されている。
【0005】
図25は、特許文献1に記載の高周波モジュールを示す回路図である。高周波モジュール1001では、アンテナ端子1002に、分波器1003が接続されている。分波器1003は、ハイパスフィルタHPF及びローパスフィルタLPFを有する。
【0006】
ローパスフィルタLPFに、高周波スイッチからなる第1のスイッチ1004が接続されており、ハイパスフィルタHPFに高周波スイッチからなる第2のスイッチ1005が接続されている。第1のスイッチ1004は、一方端がローパスフィルタLPFに接続されており、他端側に、3つの端子、GSM900−RX端子、GSM850−RX端子及びGSM850/900−TX端子を有する。GSM900−RX及びGSM850−RX端子は、それぞれ、GSM方式における900MHz及び850MHzの受信信号を取り出す受信端子であり、GSM850/900−TX端子は、850MHz及び900MHzの送信信号を出力するための端子である。
【0007】
ハイパスフィルタHPFは、アンテナ端子1002と送受信する信号のうち、相対的に高い周波数信号、すなわちDCS方式の送信信号及び受信信号を送受信するように、相対的に高い周波数の信号を通過させる。
【0008】
ハイパスフィルタHPFに、第2のスイッチ1005の一端が接続されている。第2のスイッチ1005の他端は、UMTS−TX/RX端子、PCS−RX端子、DCS−RX端子及びDCS/PCS−TX端子を有する。
【特許文献1】特開2006−129419号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記高周波モジュール1001では、ローパスフィルタLPF及びハイパスフィルタHPFを有する分波器1003に、高周波スイッチからなる第1,第2のスイッチ1004,1005を接続した構造を有するため、コストが高くつき、かつ高周波モジュール1001の小型化が困難であるという問題があった。加えて、高周波スイッチ1004,1005を用いているため、スイッチング部分における損失を無視できず、低損失化が困難であった。
【0010】
本発明の目的は、上述した従来技術の欠点を解消し、周波数帯が異なる複数の通信システムに対応可能であり、小型化を図ることができ、低損失であり、コストを低減することができるマルチバンドデュプレクサモジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によれば、上記課題を達成するために、共通アンテナ端子に接続されており、周波数帯が異なる第1,第2のデュプレクサを有するマルチバンドデュプレクサモジュールであって、前記共通アンテナ端子に接続される第1のアンテナ端子と、第1のアンテナ端子に接続されている複数の弾性波素子とを有する第1のデュプレクサと、前記共通アンテナ端子に接続されている第2のアンテナ端子と、該第2のアンテナ端子に接続されている複数の弾性波素子とを有し、周波数帯が第1のデュプレクサよりも高い第2のデュプレクサとを備え、前記第1のアンテナ端子と前記第1のアンテナ端子に接続されたいずれかの第1の弾性波素子との間にインピーダンス整合回路が接続されておらず、かつ前記第2のアンテナ端子と前記第2のアンテナ端子に接続されている第2の弾性波素子との間にインピーダンス整合回路が接続されておらず、前記共通アンテナ端子と前記第1及び第2のアンテナ端子の少なくとも一方との間にインダクタンス及びキャパシタンスの少なくとも一方を有するインピーダンス整合回路が接続されている、マルチバンドデュプレクサモジュールが提供される。
【0012】
本発明に係るマルチバンドデュプレクサモジュールのある特定の局面によれば、前記インピーダンス整合回路が、前記共通アンテナ端子と前記第1のアンテナ端子との間に接続された第1のインピーダンス整合回路を有し、該第1のインピーダンス整合回路において、前記インダクタンスが前記共通アンテナ端子と前記第1のアンテナ端子との間に直列に接続されており、前記キャパシタンスが前記共通アンテナ端子とグラウンド電位との間に接続されている。この場合には、周波数帯が高い第2のデュプレクサ側において電気的損失を小さくすることができる。
【0013】
本発明に係るマルチバンドデュプレクサモジュールの他の特定の局面によれば、前記インピーダンス整合回路が、前記共通アンテナ端子と前記第2のアンテナ端子との間に接続された第2のインピーダンス整合回路を有し、該第2のインピーダンス整合回路において、前記キャパシタンスが前記共通アンテナ端子と前記第2のアンテナ端子との間に直列に接続されており、前記インダクタンスが前記共通アンテナ端子とグラウンド電位との間に接続されている。この場合には、周波数帯が低い第1のデュプレクサ側において電気的損失を小さくすることができる。
【0014】
本発明に係るマルチバンドデュプレクサモジュールのさらに別の特定の局面によれば、前記インピーダンス整合回路が前記第1のインピーダンス整合回路を有し、前記共通アンテナ端子と前記第2のアンテナ端子との間にインピーダンス整合回路が付加されていない。従って、第2のデュプレクサ側における回路構成の単純化を図ることができ、マルチバンドデュプレクサモジュールの小型化を進めることができる。
【0015】
本発明に係るマルチバンドデュプレクサモジュールのさらに別の特定の局面では、前記第1のインピーダンス整合回路において、前記共通アンテナ端子に最も近い素子が、前記共通アンテナ端子と前記第1のアンテナ端子の間に直列に接続されたインダクタンスとされており、その場合には、周波数帯が高い第2のデュプレクサ側においてより電気的損失を小さくすることができる。
【0016】
本発明に係るマルチバンドデュプレクサモジュールのさらに他の特定の局面では、基板をさらに備え、前記第1,第2のデュプレクサ及び前記インピーダンス整合回路が前記基板に一体的に構成されている。従って、1つの部品として本発明のマルチバンドデュプレクサモジュールを提供することができる。よって、マルチバンドデュプレクサモジュールを用いた携帯電話機などの電子機器の小型化及び製造工程の簡略化を果たすことができる。
【0017】
本発明に係るマルチバンドデュプレクサモジュールのさらに他の特定の局面によれば、前記第1,第2のデュプレクサの内、少なくとも一方のデュプレクサが弾性波フィルタからなる。弾性波フィルタからなるデュプレクサでは小型化を進めることができるので、マルチバンドデュプレクサモジュールの小型化を進めることができる。
【0018】
本発明に係るマルチバンドデュプレクサモジュールのさらに別の特定の局面では、前記第1,第2のデュプレクサが送信端子及び受信端子をさらに有し、前記基板が第1〜第3の辺を有し、第1の辺に前記共通アンテナ端子が引き出されており、前記第2の辺に、第1のデュプレクサの送信端子と第2のデュプレクサの送信端子が引き出されており、前記第3の辺に第1のデュプレクサの受信端子と第2のデュプレクサの受信端子が引き出されている。従って、マルチバンドデュプレクサモジュールと外部との電気的接続構造の簡略化を果たすことができるので、マルチバンドデュプレクサモジュールが搭載された携帯電話機などの電子機器の小型化を進めることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係るマルチバンドデュプレクサモジュールでは、共通アンテナ端子と第1及び第2のアンテナ端子の少なくとも一方との間にインピーダンス整合回路が接続されており、第1,第2のデュプレクサにおける第1,第2のアンテナ端子の後段にはインピーダンス整合回路が接続されていないため、電気的損失を小さくしつつ、デュプレクサモジュールの小型化を進めることが可能となる。また、本発明のマルチバンドデュプレクサモジュールでは、上記構成を備えるため、例えば特許文献1に記載の高周波モジュールなどに比べて製造が容易であり、コストを低減することができる。
【0020】
よって、本発明のマルチバンドデュプレクサモジュールを用いることにより、該マルチバンドデュプレクサモジュールが搭載された電子機器の小型化、低コスト化を果たすことができ、かつ低損失化を果たすことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、図面を参照しつつ本発明の具体的な実施形態を説明することにより、本発明を明らかにする。
【0022】
図1は、本発明の一実施形態に係るマルチバンドデュプレクサモジュールの回路図である。また、図2及び図3は、本実施形態のマルチバンドデュプレクサモジュールの模式的平面図であり、図3は、マルチバンドデュプレクサモジュールの裏面に形成される端子の位置を模式的に示す平面図である。
【0023】
図2に示すように、本実施形態のマルチバンドデュプレクサモジュール1では、1枚のモジュール基板2上に、第1,第2のデュプレクサ3,4が搭載されている。また、基板2において、後述のインピーダンス整合回路8が構成されている。従って、マルチバンドデュプレクサモジュール1は、1つの部品として携帯電話機などに実装することができる。
【0024】
マルチバンドデュプレクサモジュール1では、第1のデュプレクサ3が、相対的に周波数帯が低い側のデュプレクサであり、いわゆるBAND8の帯域のデュプレクサである。第1のデュプレクサ3は、アンテナに接続される側のアンテナ端子3aと、送信端子3bと、受信端子3cとを有する。送信周波数は880〜915MHzであり、受信周波数は925〜960MHzである。
【0025】
他方、第2のデュプレクサ4は、相対的に周波数帯が高い側のデュプレクサであり、2GHz帯であるBAND1で用いられるデュプレクサである。ここでは、デュプレクサ4は、アンテナに接続される側の端子であるアンテナ端子4aと、送信端子4bと受信端子4cとを有する。送信周波数は1920〜1980MHzであり、受信信号の周波数は2110〜2170MHzである。
【0026】
なお、図19及び図20は、それぞれ、第1のデュプレクサ3及び第2のデュプレクサ4の回路構成を示す回路図である。図19に示すように、第1のデュプレクサ3では、第1のラダー型フィルタ5と、第2のフィルタ6とが、それぞれ、BAND8の送信フィルタ及び受信フィルタとして配置されている。ラダー型フィルタ5は、複数の直列腕共振子S1〜S8と、複数の並列腕共振子P1〜P3とを有するラダー型フィルタである。ここでは、直列腕共振子S3,S4に並列にコンデンサC1が接続されている。なお、インダクタンスL1〜L4は、配線パターンによるインダクタンス分である。
【0027】
第2のフィルタ6は、アンテナ端子3aに共通接続された平衡−不平衡変換機能を有する第1,第2の縦結合共振子型弾性波フィルタ部6a,6bと、第1,第2の縦結合共振子型弾性波フィルタ部6a,6bの後段に接続された第3,第4の縦結合共振子型弾性波フィルタ部6c,6dと有する。また、アンテナ端子3aと第1,第2の縦結合共振子型弾性波フィルタ部6a,6bとの間には、1ポート型弾性表面波共振子6e,6fがそれぞれ接続されている。
【0028】
他方、図20に示すように、第2のデュプレクサ4では、アンテナ端子4aに、第1,第2のラダー型フィルタF1,F2が接続されている。第1のラダー型フィルタF1は、送信側帯域フィルタであり、弾性表面波共振子からなる複数の直列腕共振子及び複数の並列腕共振子を有する。同様に、第2のラダー型フィルタF2には、受信側帯域フィルタを構成しており、同様の複数の直列腕共振子及び並列腕共振子を有する。
【0029】
図19に示すように、第1のデュプレクサ3では、アンテナ端子3aと、第1,第2のラダー型フィルタ5と第2のフィルタ6との間にインピーダンス整合回路が接続されていない。言い換えれば、アンテナ端子3aに、第1,第2のラダー型フィルタを構成しているアンテナ端子3a側に最も近い回路素子である直列腕共振子S1及び第2のフィルタを構成しているアンテナ端子3a側に最も近い回路素子である1ポート型弾性表面波共振子6e,6fが直接アンテナ端子3aに、他の回路素子を介在させることなく、接続されている。
【0030】
他方、図1に示すように、マルチバンドデュプレクサモジュール1では、共通アンテナ端子7に、第1,第2のデュプレクサ3,4のアンテナ端子3a,4aが接続されている。共通アンテナ端子7が、携帯電話機のアンテナに接続される。
【0031】
ここでは、インピーダンス整合を図るために、インピーダンス整合回路8が共通アンテナ端子7と第1のデュプレクサ3との間に接続されている。すなわち、インピーダンス整合回路8は、アンテナ端子3aよりも後段において第1のデュプレクサ3内に形成されているのではなく、アンテナ端子3aと共通アンテナ端子7との間に接続されている。
【0032】
本実施形態では、インピーダンス整合回路8は、共通アンテナ端子7とアンテナ端子3aとの間において直列に接続された複数のインダクタ9,10と、共通アンテナ端子7とグラウンド電位との間に接続されたキャパシタ11とを有する。すなわち、直列インダクタ9,10と、並列キャパシタ11とを有する。それによって、第2のデュプレクサ4側における電気的損失を大きくすることなく、第1のデュプレクサ3側におけるインピーダンス整合を図ることができる。これを、以下においてより具体的に説明する。
【0033】
なお、本実施形態では、図2に示すように、絶縁性材料からなるモジュール基板である基板2上に、上記第1,第2のデュプレクサ3,4を構成している各チップ部品が実装されている。そして、上記基板2上において、第1,第2のインダクタ9,10を構成するチップ型コイルが基板2上に搭載され、基板2上に形成された配線パターン12により、電気的に接続されている。また、上記配線パターン12には、チップ型コンデンサからなるキャパシタ11も搭載されている。
【0034】
本実施形態では、基板2は矩形の平面形状を有し、一方の辺に、第1,第2のデュプレクサ3,4の送信端子3b,4bに接続された導電パターン13,14が引き出されている。他方、導電パターン13,14が引き出されている短辺側の辺とは異なる長辺側の辺に、受信端子3c,4cにそれぞれ接続されている導電パターン15,16が引き出されている。
【0035】
図3において、基板2を透かして基板2の裏面に形成されている複数の端子電極を図示する。ここでは、上記導電パターン13,14が引き出されている部分の下方に、第1,第2の端子電極17,18が基板2の短辺に沿うように配置されている。第1,第2の端子電極17,18は、図示しない側面電極またはビアホール電極により前述した導電パターン13,14に電気的に接続されている。
【0036】
同様に、基板2の長辺側の辺に沿うように、第3,第4の端子電極19,20が形成されている。第3,第4の端子電極19,20は、基板2の側面に設けられた側面電極またはビアホール電極により、前述した導電パターン15,16にそれぞれ電気的に接続されている。従って、上記第1,第2の端子電極17,18が、BAND8及びBAND1の送信出力を入力する端子電極であり、第3,第4の端子電極19,20が、それぞれ、BAND8及びBAND1の受信出力を取り出す受信端子である。また、基板2の裏面には、第5の端子電極21が形成されている。第5の端子電極21は、図1に示した共通アンテナ端子7に相当する。すなわち、前述した配線パターン12が、側面電極またはビアホール電極により、端子電極21に接続されている。
【0037】
本実施形態のマルチバンドデュプレクサモジュール1では、上記のように、基板2上に、第1,第2のデュプレクサ3,4を搭載し、インピーダンス整合回路8を構成する第1,第2のインダクタ9,10及びキャパシタ11が搭載されており、全体として1つの部品として構成されている。従って、携帯電話機などに、マルチバンドデュプレクサモジュール1を容易に取り付け、搭載することができる。
【0038】
加えて、上記基板2の1辺に送信端子としての端子電極17,18が形成されており、長辺側の1辺に受信端子としての端子電極19,20が配置されているので、携帯電話機などにおいて、送信回路や受信回路との電気的接続を容易に行うことができる。従って、携帯電話機の高周波回路において、複数の電子部品をより一層高密度に配置し、小型化を進めることができる。
【0039】
なお、本実施形態では、インピーダンス整合回路8を構成する第1,第2のインダクタ9,10は、チップコイルにより形成されていたが、基板2上にミアンダ状の導電パターンを形成することにより、あるいは基板2内にミアンダ状の導電パターンを形成すること等により構成されてもよい。また、インダクタンス部分としてのインダクタに限らず、配線パターンによりインダクタが形成されてもよい。さらに、キャパシタンスについても、チップ型コンデンサに限らず、くし型電極などの静電容量を取り出し得る電極パターンを基板2上あるいは基板2内に形成することにより構成されてもよい。
【0040】
よって、インピーダンス整合回路8は、基板2上に複数の電子部品素子を搭載することにより形成される必要は必ずしもない。すなわち、基板2内にインピーダンス整合回路8が形成されていてもよい。同様に、第1,第2のデュプレクサ3,4についても、基板2内に形成されていてもよく、第1,第2のデュプレクサ3,4及びインピーダンス整合回路8は基板2に一体的に構成されることが好ましいが、その形態は特に限定されない。
【0041】
もっとも、本実施形態では、第1,第2のデュプレクサ3,4及びインピーダンス整合回路8を構成している第1,第2のインダクタ9,10及びキャパシタ11がいずれもチップ部品であるため、基板2を用意し、これらの複数のチップ部品を搭載するだけで、マルチバンドデュプレクサモジュール1を容易に組み立てることができる。
【0042】
次に、具体的な実験例に基づき、本実施形態によれば、電気的損失を小さくしつつ、インピーダンス整合を確実に図り得ることを説明する。
【0043】
上記実施形態において、図19,20に示したように、第1,第2のデュプレクサ3,4を、複数の弾性表面波共振子を用いて形成した。
【0044】
インピーダンス整合回路8においては、第1のインダクタ9のインダクタンスを5.7nH、第2のインダクタ10のインダクタンスを9.6nHとし、キャパシタ11の静電容量は4.8pFとした。第1,第2のデュプレクサの平面形状は2.5mm×2.0mmであり、インピーダンス整合回路においては、第1,第2のインダクタ9,10を構成しているチップ型コイルは、0.8×0.4mmの矩形の平面形状とした。キャパシタ11を構成しているチップ型コンデンサは、0.6×0.3mmの矩形とした。従って、全体としては、3×6mmの矩形の平面形状の基板2に、これらのチップ部品を搭載することにより、平面形状が3×6mmのマルチバンドデュプレクサモジュールを実現することができた。
【0045】
比較のために、図4に示す回路図のマルチバンドデュプレクサモジュール121を用意した。マルチバンドデュプレクサモジュール121は、第1,第2のデュプレクサ123,124内にもインピーダンス整合回路126,128を設けたことを除いては、上記実施形態と同様とされている。すなわち、第1のデュプレクサ123は、アンテナ端子123aと、送信端子123bと、受信端子123cとを有し、内部に上記実施形態と同様に、図19に示すような第1のラダー型フィルタ5と、第2のフィルタ6が形成されている。異なるところは、第1のラダー型フィルタ5と第2のフィルタ6との共通接続点とアンテナ端子123aとの間にインピーダンス整合回路126が接続されていることにある。インピーダンス整合回路126は、アンテナ端子123aとグラウンドとの間に接続された8.2nHのインダクタンスのインダクタ127を有する。
【0046】
第2のデュプレクサ124は、アンテナ端子124aと、送信端子124bと、受信端子124cとを有し、内部に上記実施形態と同様に、図20に示すような第1,第2のラダー型フィルタF1,F2が形成されている。異なるところは、第1のラダー型フィルタF1と第1のラダー型フィルタF2との共通接続点とアンテナ端子124aとの間にインピーダンス整合回路128が接続されていることにある。インピーダンス整合回路128は、アンテナ端子124aとグラウンドとの間に接続された3.9nHのインダクタンスのインダクタ129を有する。
【0047】
また、マルチバンドデュプレクサモジュール121は、上記インピーダンス整合回路8におけるインダクタンス及び静電容量を下記のように変更した。上記インピーダンス整合回路8は、9.9nHのインダクタンスの第1のインダクタ9と、20nHの第2のインダクタ10と、3.3nHの静電容量のキャパシタ11とにより形成した。なお、第2のデュプレクサ124側においては、インピーダンス整合回路は接続しなかった。
【0048】
また、第2の比較例として、図5に示すマルチバンドデュプレクサモジュールを用意した。図5に示すように、共通アンテナ端子7にダイプレクサ131が接続されている。このダイプレクサ131に、第1,第2のデュプレクサ123,124が接続されている。ここでも、図4に示した第1,第2のデュプレクサ123,124の場合と同様に、第1のデュプレクサ123,124内にインピーダンス整合回路126,128を接続した。
【0049】
また、第2の実施形態として、図14に示す回路構成のマルチバンドデュプレクサモジュールを形成した。このマルチバンドデュプレクサモジュールでは、第2のデュプレクサ4と共通アンテナ端子7との間に、第2のインピーダンス整合回路22が接続されており、その他の点については、第1の実施形態と同様とした。第2のインピーダンス整合回路22では、共通アンテナ端子7と第2のデュプレクサ4との間において、第2のデュプレクサ4に直列にキャパシタ23が接続されており、並列にインダクタ24が接続されている。ここでは、キャパシタ23の静電容量を15pF、インダクタ24のインダクタンスを20nHとした。また、第1のデュプレクサ3側において、共通アンテナ端子7との間に接続されているインピーダンス整合回路8においては、第1のインダクタ9のインダクタンスを6.4nH、第2のインダクタ10のインダクタンスを11.8nHとし、キャパシタ11の静電容量は、4.8pFとした。
【0050】
上記第1,第2の実施形態及び第1,第2の比較例の各マルチバンドデュプレクサモジュールの電気的特性を測定した。図6及び図7は、第1の実施形態及び第1,第2の比較例のマルチバンドデュプレクサモジュールにおけるBAND8の送信側及び受信側の各デュプレクサ単体の各フィルタ特性を示す図である。また、図8及び図9は、第1の実施形態及び第1,第2の比較例におけるBAND1における送信側及び受信側の各デュプレクサ単体のフィルタ特性を示す図である。
【0051】
図6〜図10において、実線が第1の実施形態の結果を、一点鎖線が第1の比較例の結果を、破線が第2の比較例の結果を示す。
【0052】
ダイプレクサを用いた従来例である第2の比較例の場合に比べて、第1の実施形態では、BAND1及びBAND8のいずれにおいても、挿入損失が小さくなっていることがわかる。
【0053】
ダイプレクサを用いた第2の比較例では、ダイプレクサの損失分が、第1,第2のデュプレクサの損失分に加わるため、損失が悪化している。これに対して、ダイプレクサの損失に比べ、インピーダンス整合回路8における損失は僅かであるため、第1の実施形態によれば、第2の比較例に比べて、いずれの帯域においても損失を小さくすることが可能とされている。
【0054】
他方、第1の比較例では、第1,第2のデュプレクサ123,124内に、インピーダンス整合回路126,128が内蔵されているので、インピーダンス整合回路126,128の影響により損失が増加している。これに対して、第1の実施形態では、基板2に実装されたインピーダンス整合回路8により、第1,第2のデュプレクサ3,4間のインピーダンス整合だけでなく、デュプレクサ3における送信側の第1のラダー型フィルタ5と受信側の第2のフィルタ6との間のインピーダンス整合も図られる。また、デュプレクサ4における送信側の第1のラダー型フィルタF1と受信側の第2のラダー型フィルタF2との間のインピーダンス整合も図られる。従って、インピーダンス整合用素子の数が少なくなるため、低損失化を図ることができる。また、第1,第2のデュプレクサ3,4内には、インピーダンス整合回路が内蔵されていないので、デュプレクサ3,4を小型化することができる。それによって、マルチバンドデュプレクサモジュール全体を小型とすることができる。
【0055】
上記第1の実施形態において、損失を低減する理由をより詳細に説明する。周波数帯が異なる第1,第2のデュプレクサのアンテナ端子を共通とする場合には、一方のデュプレクサの周波数帯におけるインピーダンスを50Ωに整合させると同時に、他方のデュプレクサの周波数帯におけるインピーダンスを開放とすることが重要である。すなわち、相手方の周波数帯におけるインピーダンスが開放でなければ、相手方の周波数帯に漏れる信号成分が大きくなり、自バンドのデュプレクサにおける挿入損失が悪化するからである。
【0056】
図10及び図11は、第1のデュプレクサ3すなわちBAND8の周波数帯のデュプレクサ3のアンテナ端子3aにおけるBAND8の周波数帯である880MHz〜960MHzにおけるインピーダンススミスチャートを示す。図11は、相手方の周波数帯であるBAND1すなわち1920〜2170MHzにおけるインピーダンススミスチャートを示す。
【0057】
また、図12及び図13は、BAND1の周波数帯で用いられるデュプレクサすなわちデュプレクサ4のアンテナ端子4aにおけるBAND1の周波数帯である1920〜2170MHzにおけるインピーダンススミスチャートを示す。図13は、相手方のBANDであるBAND8すなわち880〜960MHzにおけるアンテナ端子4aにおけるインピーダンススミスチャートを示す。
【0058】
図10〜図13に示されているように、デュプレクサ単体におけるアンテナ端子の自らの周波数帯のインピーダンス及び相手方の周波数帯におけるインピーダンスは共に容量性の領域内にある。これは、デュプレクサが弾性表面波フィルタで構成されている場合、自己の周波数帯においては、誘電率が高い圧電基板に形成されている引き回し配線の対接地容量の影響を受けること、並びに相手方の周波数帯においては、表面波が励振しないため、くし型電極が容量としてのみ働くことによる。その結果、自らの周波数帯におけるインピーダンスを50Ωにし、かつ相手方の周波数帯におけるインピーダンスをオープンとするには、誘導性のインピーダンスを有するインピーダンス整合回路が必要である。
【0059】
他方、デュプレクサ内にインピーダンス整合回路が内蔵されている場合には、自らの周波数帯のインピーダンスは50Ωとなり、相手方の周波数帯におけるインピーダンスは容量性または誘導性となる。すなわち、上記第1の比較例では、第1のデュプレクサ3において、自己の通過帯域であるBAND8におけるインピーダンスが50Ωになっている。そのため、相手方のBANDにおけるインピーダンスを開放とするように新たにマッチング回路を追加して調整すると、逆に、自らの周波数帯であるBAND8におけるインピーダンスが50Ωから外れることとなる。そのため、電気的損失が増大する。
【0060】
これに対して、上記第1の実施形態では、第1のデュプレクサ3において、BAND8及びBAND1のいずれにおいてもインピーダンスは容量性となる。従って、誘導性のインピーダンス整合回路8を接続することにより、自らの周波数帯であるBAND8のインピーダンスを50Ωとし、相手方の周波数帯であるBAND1におけるインピーダンスを開放とすることができる。従って、デュプレクサ3において、インピーダンス整合状態を最適化することができ、それによって、損失を低減することができる。
【0061】
また、図11及び図13において、第1の実施形態に従ってインピーダンス整合回路8を接続した場合の第1,第2のデュプレクサ3,4の相手方周波数帯におけるインピーダンススミスチャートを破線で示す。なお、この破線の波形は、マルチバンドデュプレクサを構成した場合の影響が正確に現れるように、相手方のデュプレクサにおける自らの周波数帯内インピーダンスを付加した回路で評価したものである。具体的には、相手方のデュプレクサの影響が正確に現れるように、容量性のインピーダンス素子共通アンテナ端子に接続している。
【0062】
図11に示すデュプレクサ3におけるアンテナ端子のインピーダンススミスチャートにおいて、実線で示すデュプレクサ単体の場合には、相手方の周波数帯であるBAND1のインピーダンスはより高い周波数領域となるため、電磁界的な結合はより強く生じ、インピーダンスの浮きが矢印Aで示すように、大きくなっていることがわかる。そのため、BAND1の周波数帯におけるインピーダンスを開放とするには、単にインダクタを接続するだけではなく、キャパシタを並列に接続することが必要となる。すなわち、直列に接続されたインダクタ9,10と、並列に接続されたキャパシタ11とを組み合わせることにより、ローパスフィルタが形成され、それによって、相手方の周波数帯であるBAND1における減衰量が大きくなり、インピーダンスの浮きが改善される。そのため、図11に破線で示すように、相手方の周波数帯であるBAND1におけるインピーダンス特性が開放状態かつ、浮きも小さくなるため、BAND1における損失を小さくすることができる。
【0063】
逆に、デュプレクサ4側においては、相手方のBANDであるBAND8におけるインピーダンスは周波数が相対的に低いため、電磁界的な結合はほとんど生じない。従って、図13に示すように、相手方の周波数帯における良好なインピーダンスの浮きを示していることがわかる。このため、デュプレクサ4側においては、インピーダンス整合回路としては、ハイパスフィルタは不良である。よって、インダクタンスだけでBAND8におけるインピーダンスを開放とし、かつ浮きを小さくすることができる。第1の実施形態では、デュプレクサ3に付加した共通アンテナ端子7に最も近いインダクタ9がデュプレクサ4のインピーダンス整合回路としての機能をも果している。そのため、デュプレクサ4側に、インピーダンス整合回路を接続する必要はなく、デュプレクサ4側における挿入損失をより一層小さくすることができる。
【0064】
もっとも、図14に示す変形例のように、第2のデュプレクサ4側において、共通アンテナ端子7との間に、インピーダンス整合回路22を前述したように、接続してもよい。この場合には、並列インダクタ24と直列キャパシタ23によりハイパスフィルタが構成され、それによってインピーダンス整合が果たされている。
【0065】
図15及び図16は、第1,第2の実施形態において、第1のデュプレクサ3側における送信帯域及び受信帯域の周波数特性を示す図であり、図17及び図18は、第1,第2の実施形態において、第2のデュプレクサ4の送信帯域及び受信帯域の周波数特性をそれぞれ示す図である。
【0066】
図15〜図18において、実線が第1の実施形態の結果を、破線が第2の実施形態の結果を示す。
【0067】
第2の実施形態では、上記ハイパスフィルタからなるインピーダンス整合回路22の接続により、第2のデュプレクサ4側におけるアンテナ端子のインピーダンスの浮きが改善され、相手方の周波数帯であるBAND8における損失を低減することができる。しかしながら、インピーダンス整合回路22を接続したため、BAND1における損失が大きくなる。そのため、第1の実施形態に比べ、損失が若干大きくなる。また、インピーダンス整合回路に必要な素子数も増加する。従って、第2の実施形態に比べて第1の実施形態の方が好ましいことがわかる。
【0068】
図21及び図22は、第1の比較例における第1のデュプレクサのアンテナ端子側における自己の周波数帯すなわちBAND8の周波数帯である880MHz〜960MHzにおけるインピーダンススミスチャート及び相手方の周波数帯であるBAND1である1920〜2170MHzにおけるインピーダンススミスチャートを示す。また、図23及び図24は、第1の比較例における第2のデュプレクサのアンテナ端子における自己の周波数帯であるBAND1におけるインピーダンススミスチャートを示し、図24は、相手方の周波数帯であるBAND8におけるインピーダンススミスチャートを示す。
【0069】
また、図22及び図24において、第1の比較例におけるインピーダンス整合回路8を接続した場合の第1,第2のデュプレクサ123,124の相手側周波数帯におけるインピーダンススミスチャートを破線で示す。
【0070】
第1,第2の実施形態及び第1,第2の比較例におけるBAND8及びBAND1の各送信帯域及び受信帯域における挿入損失を下記の表1に示す。
【0071】
【表1】

【0072】
なお、上記第1,第2の実施形態では、弾性表面波を利用して第1,第2のデュプレクサの各フィルタ回路が構成されていたが、弾性境界波を利用した弾性境界波フィルタにより各デュプレクサが形成されていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るマルチバンドデュプレクサモジュールの概略ブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係るマルチバンドデュプレクサモジュールの模式的平面図である。
【図3】第1の実施形態のマルチバンドデュプレクサモジュールの基板裏面の端子電極の位置を模式的に示す平面図である。
【図4】第1の比較例のマルチバンドデュプレクサモジュールの回路構成を示すブロック図である。
【図5】第2の比較例のマルチバンドデュプレクサモジュールの回路構成を説明するためのブロック図である。
【図6】第1の実施形態及び第1,第2の比較例における第1のデュプレクサのBAND8の送信側帯域における周波数特性を示す図である。
【図7】第1の実施形態及び第1,第2の比較例における第1のデュプレクサのBAND8の受信側帯域における周波数特性を示す図である。
【図8】第1の実施形態及び第1,第2の比較例における第1のデュプレクサのBAND1の送信側帯域における周波数特性を示す図である。
【図9】第1の実施形態及び第1,第2の比較例における第1のデュプレクサのBAND1の受信側帯域における周波数特性を示す図である。
【図10】第1の実施形態で用いられている第1のデュプレクサ単体におけるアンテナ端子におけるBAND8の周波数帯のインピーダンススミスチャートを示す図である。
【図11】第1の実施形態で用いられている第1のデュプレクサ単体におけるアンテナ端子におけるBAND1の周波数帯のインピーダンススミスチャートを示す図である。
【図12】第1の実施形態で用いられている第2のデュプレクサ単体のアンテナ端子におけるBAND1の周波数帯におけるインピーダンススミスチャートを示す図である。
【図13】第1の実施形態で用いられている第2のデュプレクサ単体のアンテナ端子におけるBAND8の周波数帯におけるインピーダンススミスチャートを示す図である。
【図14】本発明の第2の実施形態のマルチバンドデュプレクサモジュールの回路構成を示すブロック図である。
【図15】第1,第2の実施形態におけるBAND8の送信帯域の周波数特性を示す図である。
【図16】第1,第2の実施形態におけるBAND8の受信帯域の周波数特性を示す図である。
【図17】第1,第2の実施形態におけるBAND1の送信帯域の周波数特性を示す図である。
【図18】第1,第2の実施形態におけるBAND1の受信帯域の周波数特性を示す図である。
【図19】第1のデュプレクサ3の回路構成を示す回路図である。
【図20】第2のデュプレクサ4の回路構成を示す回路図である。
【図21】第1の比較例で用いられている第1のデュプレクサ単体におけるアンテナ端子におけるBAND8におけるインピーダンススミスチャートを示す図である。
【図22】第1の比較例で用いられている第1のデュプレクサ単体におけるアンテナ端子におけるBAND1におけるインピーダンススミスチャートを示す図である。
【図23】第1の比較例で用いられている第2のデュプレクサ単体におけるアンテナ端子におけるBAND1におけるインピーダンススミスチャートを示す図である。
【図24】第1の比較例で用いられている第2のデュプレクサ単体におけるアンテナ端子におけるBAND8におけるインピーダンススミスチャートを示す図である。
【図25】従来の高周波モジュールの回路図である。
【符号の説明】
【0074】
1…マルチバンドデュプレクサモジュール
2…モジュール基板
3…デュプレクサ
3a…アンテナ端子
3b…送信端子
3c…受信端子
4…デュプレクサ
4a…アンテナ端子
4b…送信端子
4c…受信端子
5…ラダー型フィルタ
6…フィルタ
6a〜6c…縦結合共振子型弾性波フィルタ部
6e,6f…1ポート型弾性波共振子
7…共通アンテナ端子
8…インピーダンス整合回路
9,10…インダクタ
11…キャパシタ
12…配線パターン
13〜16…導電パターン
17〜21…端子電極
22…インピーダンス整合回路
23…キャパシタ
24…インダクタ
F1,F2…ラダー型フィルタ
L1〜L4…インダクタンス
P1〜P3…並列腕共振子
S1〜S8…直列腕共振子
121…マルチバンドデュプレクサモジュール
123,124…デュプレクサ
123a…アンテナ端子
123b…送信端子
123c…受信端子
126…インピーダンス整合回路
127…インダクタ
128…インピーダンス整合回路
129…インダクタ
131…ダイプレクサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
共通アンテナ端子に接続されており、周波数帯が異なる第1,第2のデュプレクサを有するマルチバンドデュプレクサモジュールであって、
前記共通アンテナ端子に接続される第1のアンテナ端子と、第1のアンテナ端子に接続されている複数の弾性波素子とを有する第1のデュプレクサと、
前記共通アンテナ端子に接続されている第2のアンテナ端子と、該第2のアンテナ端子に接続されている複数の弾性波素子とを有し、周波数帯が第1のデュプレクサよりも高い第2のデュプレクサとを備え、
前記第1のアンテナ端子と前記第1のアンテナ端子に接続されたいずれかの第1の弾性波素子との間にインピーダンス整合回路が接続されておらず、かつ前記第2のアンテナ端子と前記第2のアンテナ端子に接続されている第2の弾性波素子との間にインピーダンス整合回路が接続されておらず、
前記共通アンテナ端子と前記第1及び第2のアンテナ端子の少なくとも一方との間にインダクタンス及びキャパシタンスの少なくとも一方を有するインピーダンス整合回路が接続されている、マルチバンドデュプレクサモジュール。
【請求項2】
前記インピーダンス整合回路が、前記共通アンテナ端子と前記第1のアンテナ端子との間に接続された第1のインピーダンス整合回路を有し、該第1のインピーダンス整合回路において、前記インダクタンスが前記共通アンテナ端子と前記第1のアンテナ端子との間に直列に接続されており、前記キャパシタンスが前記共通アンテナ端子とグラウンド電位との間に接続されている、請求項1に記載のマルチバンドデュプレクサモジュール。
【請求項3】
前記インピーダンス整合回路が、前記共通アンテナ端子と前記第2のアンテナ端子との間に接続された第2のインピーダンス整合回路を有し、該第2のインピーダンス整合回路において、前記キャパシタンスが前記共通アンテナ端子と前記第2のアンテナ端子との間に直列に接続されており、前記インダクタンスが前記共通アンテナ端子とグラウンド電位との間に接続されている、請求項1または2に記載のマルチバンドデュプレクサモジュール。
【請求項4】
前記インピーダンス整合回路が前記第1のインピーダンス整合回路を有し、前記共通アンテナ端子と前記第2のアンテナ端子との間にインピーダンス整合回路が付加されていない、請求項2に記載のマルチバンドデュプレクサモジュール。
【請求項5】
前記第1のインピーダンス整合回路において、前記共通アンテナ端子に最も近い素子が、前記共通アンテナ端子と前記第1のアンテナ端子の間に直列に接続されたインダクタンスである、請求項4に記載のマルチバンドデュプレクサモジュール。
【請求項6】
前記第1,第2のデュプレクサの内少なくとも一方のデュプレクサが弾性波フィルタ装置からなる、請求項1〜5のいずれか1項に記載のマルチバンドデュプレクサモジュール。
【請求項7】
基板をさらに備え、前記第1,第2のデュプレクサ及び前記インピーダンス整合回路が前記基板に一体的に構成されている、請求項1〜6のいずれか1項に記載のマルチバンドデュプレクサモジュール。
【請求項8】
前記第1,第2のデュプレクサが送信端子及び受信端子をさらに有し、前記基板が第1〜第3の辺を有し、第1の辺に前記共通アンテナ端子が引き出されており、前記第2の辺に、第1のデュプレクサの送信端子と第2のデュプレクサの送信端子が引き出されており、前記第3の辺に第1のデュプレクサの受信端子と第2のデュプレクサの受信端子が引き出されている、請求項7に記載のマルチバンドデュプレクサモジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2010−45563(P2010−45563A)
【公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−207766(P2008−207766)
【出願日】平成20年8月12日(2008.8.12)
【出願人】(000006231)株式会社村田製作所 (3,635)
【Fターム(参考)】