説明

マルチビューディスプレイ

【課題】視聴者間で視野角の差を広くすることができるマルチディスプレイを得る。
【解決手段】マルチビューディスプレイは、視差バリアのような視差光学素子(25)、ならびに、行および列として配列された複数の画素を有する空間光変調器(20)を備える。視差光学素子(25)は、複数の一次視点補正されたビューウィンドウを形成するために、画素構造と協働する。行は、グループとして配列され、視差エレメントは、行として配列される。各視差エレメントは、画素の行のそれぞれのグループと並ぶ。画素は、視差エレメントの各行の各視差エレメントを介して各ビューウィンドウ内に見ることのできる可視カラーのシーケンスが、視差エレメントの該行または隣接する各行内の該視差エレメントまたは最も近くにある各視差エレメントを介して見ることのできる画素カラーのシーケンスとは異なるように、配列されたカラーの画素のセットを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マルチビューディスプレイに関する。
【0002】
このようなディスプレイは、例えば、2人以上の異なる人が、同じディスプレイ画面上の2つ以上の異なる画像を見る必要があるときに使われ得る。視野角の差は、視聴者間で非常に大きいこと(約60度)が好ましい。
【0003】
このようなディスプレイは、三次元(3D)ディスプレイとしても、特に、自動立体ディスプレイとしても使用され得る。このようなディスプレイは、3D移動体ハンドセット、3Dゲーム、3Dコンピュータモニタ、3Dラップトップディスプレイ、3Dワークステーションおよび3Dプロ用イメージング(例えば、医療、設計または建築での利用のため)において、使用され得る。一部の3Dディスプレイにおいて、特定の視距離に対して、目の間隔を広げること、あるいは、特定の目の間隔に対して、視距離をより短くすることが必要である。いずれの場合も、広い分離角が必要とされる。
【背景技術】
【0004】
普通の視覚において、人間の2つの目は、頭部内で双方の目が離れた位置にあるため、異なる視野から世界の光景を理解する。これら2つの視野は、次いで、頭脳で使用され、一つの情景内の様々な対象に対する距離を評価する。三次元画像を効率的に表示するディスプレイを構築するためには、この状況を再生成し、観察者のそれぞれの目に一つずつある画像のいわゆる「立体ペア」を供給することが必要である。
【0005】
三次元ディスプレイは、異なるビューを目に供給するために使用される方法によって、2つのタイプに分類される。立体ディスプレイは、典型的には、広い表示画面にわたって、双方の画像を表示する。しかしながら、そのビューのそれぞれは、例えば、カラー、偏光状態または表示の時間によって、コード化される。それは、観察者が着用する眼鏡のフィルタシステムが、そのビューを分離でき、それぞれの目が、そのビューに対して意図されるビューを見させるだけにするためである。
【0006】
自動立体ディスプレイは、観察者が着用する視覚補助は一切必要としないが、2つのビューは、空間の規定された領域からのみ見ることができる。ディスプレイのアクティブなエリアの全体にわたって画像を見ることのできる空間の領域は、「ビュー領域」と呼ばれる。観察者の両目の一方が一方のビュー領域にあり、他方の目がそのペアの他方の画像に対するビュー領域にあるように、観察者が位置される場合、ビューの正しいセットが見られ、三次元画像は認知される。
【0007】
フラットパネル自動立体ディスプレイにおいて、ビュー領域の形成は、典型的には、ディスプレイユニットの画素構造と、総称的に視差光学素子と呼ばれる光学素子との組み合わせによる。このような光学素子の例は、視差バリアである。この素子は、不透明な領域によって分離される垂直な透過スリットを有するスクリーンである。このスクリーンは、図1に示す画素開口の二次元アレイを有する空間光変調器(SLM)の前方に設置され得る。
【0008】
ディスプレイは、液晶デバイス(LCD)形式の透過空間光変調器を備える。LCDは、アクティブマトリックスの薄膜トランジスタ(TFT)基板1、対向基板2、液晶層から形成される画素(ピクチャエレメント)平面3、偏光器4、および、視野角拡張フィルム5を備える。SLMは、矢印6で示される方向に向かって、照明付きバックライト(図示せず)によって照らされる。ディスプレイは、前視差バリアタイプであり、基板7、開口アレイ8および反射防止(AR)コーティング9を有する視差バリアを備える。
【0009】
SLMは、画素の列が、水平ピッチpを有する列を備える通常ビューに対して、垂直に伸びて提供されるように配列される。視差バリアは、互いに平行で、画素列に平行に伸びるスリットを有する開口またはスリットのアレイ8を提供する。スリットは、幅2wおよび水平ピッチbを有し、分離距離sだけ、画素平面3から間隔を空けている。
【0010】
ディスプレイは、ウィンドウ平面12を規定する見るビュー領域の最も広い部分に、左ビューウィンドウ10および右ビューウィンドウ11を備えた意図された視距離rを有する。ビューウィンドウ10および11は、典型的または平均的な人間の目の分離距離に実質的に等しくなるように、一般的に作られるピッチeを有する。各一次ビューウィンドウ10および11の中心は、半角αがディスプレイに対して法線になるように内在する。
【0011】
視差バリア内のスリットのピッチbは、SLMの画素ピッチpの整数倍に近くなるように選択される。それは、画素の列のグループを、視差バリアの特定のスリットと関連付けるためである。図1は、2つの画素列が、視差バリアの各スリットと関連付けされているSLMを示す。
【0012】
ウィンドウ10および11は、視差バリア7〜9の各スリットと、それと関連する画素との協働によって、形成される。しかしながら、隣接する画素は、各スリットと協働して、ウィンドウ平面12内のウィンドウ10および11の両側に位置される追加のビューウィンドウ(図示せず)を形成し得る。ウィンドウ10および11は、一次ビューウィンドウと称されるのに対し、任意の追加のウィンドウは、二次ビューウィンドウと称される。
【0013】
添付図面の図2は、SLMおよび視差バリアから形成された光の角度ゾーンを示す。ここで、視差バリアは、画素列ピッチpと正確な整数倍のピッチbを有する。この場合、ディスプレイパネル表面全体にわたる異なる場所から来る角度ゾーンは、混ざり、画像1または画像2に対するビューの純粋なゾーンは存在しない。これに対処するため、視差光学素子のピッチbは、ディスプレイの前のウィンドウ平面12で、角度ゾーンが収束するように、わずかに小さくされる。この視差光学素子ピッチにおける変化は、「視点補正(viewpoint correction)」と呼ばれ、これは、添付図面の図3に示される。このようにして生成されたビュー領域は、概ね、凧の形状をしている。
【0014】
カラーディスプレイにおいて、各画素は、一般的に、三原色の1つと関連するフィルタを提供する。それぞれが異なるカラーフィルタである3つの画素のグループを制御することで、実質的に全ての可視カラーが生成され得る。自動立体ディスプレイにおいて、立体画像の「チャネル」のそれぞれは、バランスのとれたカラー出力のためのカラーフィルタを十分含まなくてはならない。
【0015】
別の既知のタイプの方向性ディスプレイは、添付図面の図4に示されるような後方視差バリアディスプレイである。この場合において、視差バリア7、8は、SLM1〜5の後ろ(すなわち、SLMとバックライトの間)に置かれる。この配列は、バリアがSLMの後ろに保たれることで、起こり得るダメージから免れるという利点を有する。
【0016】
レンズスクリーン(lenticular screen)は、多数の方向に飛び越し画像(interlaced image)を導くために、使用される。これは、3D画像を与えるために、あるいは、多数の方向に多数の画像を与えるために、設計され得る。実用レンズは、周辺環境とバックライト環境との双方で、表面が非常に良く見ることのできるようにするために、散乱および弱い反射防止性能という問題を有する傾向がある。それゆえ、レンズスクリーンの画像品質は、不良であり得、画像画素にきわめて接近する必要性のように、視差バリアと同様の問題にシステムも悩まされている。プリズム構造のアレイは、同じような方法で使用され得る。
【0017】
画像分割(image splitting)のホログラフィの方法も、また存在するが、視野角問題、シュードスコピックゾーン(pseudoscopic zone)、および、画像の容易な制御方法の欠如に悩まされている。
【0018】
マイクロ偏光ディスプレイは、偏光された方向の光源、および、LCD画素と整列されたパターン付き高精度マイクロ偏光素子を使用する。このようなディスプレイは、高いウィンドウ画像品質、および、コンパクトなパッケージでの2D/3D機能に対する可能性を提供する。最も要求されるのは、視差問題を避けるためにマイクロ偏光素子のLCDを取り込むことである。
【0019】
図5は、P1、P2およびP3として示されている3つの既知のタイプのデュアルビューディスプレイを示す。これらディスプレイのそれぞれは、前方視差バリアのタイプであるが、後方視差バリアのタイプも等しくあり得、異なるタイプの視差光学素子を使用して具現化され得る。P1ディスプレイは、LCD20aを備え、LCD20aは、2つのビューを、画素の飛び越し単一列によって表示される左帯および右帯を有する飛び越し垂直帯として表示する画素列を備える。図5は、自動立体3Dディスプレイであるようなディスプレイが、30で示された視聴者とともに描かれている。画素列21aは、右目画像の帯を表示するのに対し、列22aは、左目画像の帯を表示する。隣接する列23aおよび24aは、左目画像帯および右目画像帯を表示し、こうして、LCD20a上にわたって表示する。視差バリア25aは、LCD20aの前方に配置され、通常の方法で、どの画素列が視聴者30のどちらの目で見ることができるかを制御する。
【0020】
P2ディスプレイは、隣接する画素列のペアが、ビューのうちの1つの帯を表示する点で、P1ディスプレイとは異なる。例えば、隣接する画素列21bおよび23bのペア、ならびに、隣接する画素列26bおよび27bのペアは、右目ビューのそれぞれの帯を表示する。一方、画素列22bおよび24bのペア、ならびに、画素列28bおよび29bのペアは、左目ビューのそれぞれの帯を表示する。バリア25bは、P1ディスプレイに対するバリア25aよりも、LCD20bから、さらに離れた間隔を空けた大きなピッチの幅広いスリットを提供する。このように、観察者30の各目は、バリア25bの各スリットを介して、2つの画素列を見ることができる。
【0021】
P3ディスプレイは、観察者30の各目が、視差バリア25cの各スリットを介する3つの画素列を見る点で、および、LCD20cによって表示される2つのビューのそれぞれの各帯が、3つの隣接する画素列によって表示される点で、P1およびP2ディスプレイとは異なる。このように、画素列21c、23c、28c、ならびに、画素列27c、31c、32cは、左目ビューの2つの帯を表示する。一方、画素列22c、24c、26c、ならびに、画素列29c、33c、34cは、右目ビューの2つの帯を表示する。
【0022】
一般に、ディスプレイは、Pnタイプであるものとして、分類され得る。このとき、各一次ビューウィンドウにおいて、n個の画素列が可視であり、各ビューの各帯はn個の隣接する画素列によって表示される。nが2以上であるPnディスプレイは、P1ディスプレイに対して、視点補正が提供されるディスプレイ(すなわち、ウィンドウ平面)の視距離を変化させずに、バリアスリット平面と画素平面との間で、より高い解像度のLCDパネルまたはより大きな分離距離が使用され得る点で、優位である。しかしながら、このようなディスプレイは不利な点を有し、バリア構造が、視聴者に、より見えるようになり得、本明細書に以下に記載されるようなカラー欠陥が生成され得る。
【0023】
図6は、従来の垂直縞カラーフィルタ(またはカラー画素の垂直帯)が使用されるP2タイプのディスプレイを示す。このように、カラーフィルタは、垂直な赤(R)、緑(G)、および、青(B)の帯(または、このように配列される本来的にカラー付けされた画素)の繰り返しパターンを備える。1つのビューに対するこの影響が、35で示されている。特に、そのビューで見られるカラーの順番は、基調をなす(underlying)カラー画素のRGBRGB・・・パターンではなく、その代わりに、RGGBBRRG・・・パターンである。
【0024】
このように、視聴者は、画素列のピッチより4倍大きいスケール上に、赤、緑および青の帯を認識し得る。
【0025】
図7は、P3タイプのディスプレイを示し、これもまた、繰り返しRGB列として配列された画素カラーを有する。ビューウィンドウの中央から見るとき、望ましくないカラーアーチファクトはなく、赤、緑および青の画素カラーは、バリア25の各スリットを介して、正しい比率で見ることができる。
【0026】
図8は、左画像および右画像に対する画素の隣接するグループが、異なる画像データを表示するときに、何か起こるかを示す。特に、一例として、左目画像に対する36のような3つの画素列の各セットが、白を表示して示されているのに対し、右目画像に対する37のような画素列は、黒であるとして示されている。ディスプレイが、38で示されるように各ビューウィンドウの中央から見られるとき、望ましくない可視アーチファクトはない。
【0027】
図8は、38で示された状況と対比して、視聴者が左に移動する影響を39で示す。これは、バリア25が相対的に右へ動くのと同等である。この影響によって、左目ビューの各赤の画素列は、だんだんと、ぼやけてくる。右目ビューの赤の画素が、見えるようになってくるが、それらは黒であるので、この影響によって、視聴者によって気付かれると、左目ビュー内に、シアン(cyan)へのカラーシフトがある。このように、最適位置以外からディスプレイを見るとき、表示されている画像に依存するカラーアーチファクトに、視聴者は気付く。
【0028】
特許文献1は、非周期的な視差バリア構造を開示している。ここで、等間隔の空いたスリットのグループは、異なる水平ピッチで、これら自身、等間隔を空けている。垂直な縞模様のカラーフィルタリングも、また開示されている。
【0029】
特許文献2は、画素カラー付けの非標準パターンを有するシングルビューまたは二次元(2D)ディスプレイを開示している。
【0030】
特許文献3は、P3タイプのマルチビューディスプレイを開示している。画素構造と相対的に視差バリア構造をシフトすることなく、観察者の側面に沿った動きを可能とするために、ディスプレイを正しく見るときに、各スリットを介して見ることのできる画素列に追加の画素列が、切り換えられる。
【0031】
非特許文献1および非特許文献2は、いわゆるずれた視差バリアを開示している。これらにおいて、スリットは、ディスプレイ構造の列方向に鋭角で配列される。このような配列は、P1タイプのディスプレイにおいて、モアレパターン形成を減らすために、開示されている。
【0032】
特許文献4および特許文献5は、RGB列の繰り返しグループを有するP1ディスプレイを開示している。
【0033】
特許文献6、特許文献7、特許文献8および特許文献9は、P1ディスプレイにおける視聴者の位置の指示を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0034】
【特許文献1】英国特許第2399653号明細書
【特許文献2】国際公開第02/091348号パンフレット
【特許文献3】独国特許発明第19822342号明細書
【特許文献4】欧州特許第1 427 223号明細書
【特許文献5】欧州特許第0 829 743号明細書
【特許文献6】欧州特許第1 401 216号明細書
【特許文献7】欧州特許第0 860 728号明細書
【特許文献8】米国特許出願公開第2002/0001128号明細書
【特許文献9】欧州特許第0 847 208号明細書
【非特許文献】
【0035】
【非特許文献1】Schmidtら、「Multi−Viewpoint Autostereoscopic Displays from 4D−Vision」Proc.SPIE、vol.4660、2002年、p212〜221
【非特許文献2】Sonら、「Moire Pattern Reduction in Full−Parallax Autostereoscopic Imaging Systems Using Two Crossed Lenticular Plates as a Viewing Zone Forming Optics」(Proceedings of the tenth International Display Workshop−Fukuoka 2003)、paper 3D2−2
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0036】
本発明の第一の局面に従うと、マルチビューディスプレイが提供される。該マルチビューディスプレイは、単一の第一のピッチで間隔を空けた複数の視差エレメントを備える視差光学素子と;2以上の整数n個のビューを見るためのn個の一次ビューウィンドウを形成するために視点補正を提供する第二のピッチで配列された複数の画素列を備える空間光変調器であって、各ビューウィンドウ内の各視差エレメントを介して見ることのできる2以上の整数w個の画素列を備え、各列の該画素は、同じカラーであり、該列は、3以上の整数x個の異なるカラーであり、同じサブシーケンスの繰り返しグループを備えるカラーのシーケンスとして配列され、各グループは、x以上の整数z個の列の2以上の整数y個のサブグループを備えることを特徴とし、各サブグループは、全てのx個のカラーの列を含み、該シーケンスの最小繰り返しピッチは、y.z個の列に等しい、空間光変調器(20)とを備える。
【0037】
上記変調器は、縞が上記列と並んでいる縞模様のカラーフフィルタ配列を含み得る。
【0038】
上記カラーの数xは、3に等しいこともあり得る。該3つのカラーは、原色であり得る。該原色は、赤、緑および青であり得る。
【0039】
各サブグループの上記列の数zは、xに等しいこともあり得る。
【0040】
各ウィンドウ内で見ることのできる上記列の数wは、2に等しいこともあり得る。各グループ内の上記サブグループの数yは、3に等しいこともあり得る。各サブシーケンスは、赤、緑、青、緑、青、赤、青、赤、緑であり得る。
【0041】
各ウィンドウ内で見ることのできる上記列の数wは、3に等しいこともあり得る。各グループ内の上記サブグループの数yは、6に等しいこともあり得る。各サブシーケンスは、赤、緑、青、赤、緑、青、緑、青、赤、緑、青、赤、青、赤、緑、青、赤、緑であり得る。
【0042】
本発明の第二の局面に従うと、マルチビューディスプレイが提供される。該マルチビューディスプレイは、複数の視差エレメントを備える視差光学素子と;2以上の整数n個のビューを見るためにn個の一次視点補正されたビューウィンドウを生成するために、該視差光学素子と協働する行および列として配列された複数の画素を備える空間光変調器であって、各ビューウィンドウ内の各視差エレメントを介して見ることのできる画素のそれぞれの単一の列を有し、該画素は、それぞれのカラー画像エレメントを表示するための複合色グループとして配列され、各グループは、互いに同じ列に隣接して配置された3以上の整数x個の異なるカラーのx以上の整数z個の画素を備え、各ビューに対する各カラーの該画素は、実質的に等間隔で水平に、かつ、実質的に等間隔で垂直になるように配置され、各グループの該画素の該カラーの列方向の順番は、同じ行内の隣接する各グループの該画素の該カラーの列方向の順番と異なることを特徴とする、空間光変調器とを備える。
【0043】
各カラーの上記画素は、上記変調器上に、実質的に等間隔で水平に、かつ、実質的に等間隔で垂直になるように配置され得る。
【0044】
上記画素は、x個の異なるカラーのz個の画素の繰り返しセットとして、行方向に配列され得、各行は、0より大きくzより小さい数の画素分だけ、隣接する各行と相対的な行方向内でオフセットされる。隣接する行の間の該オフセットは、同じ大きさを有し得る。隣接する行の間の該オフセットは、同じ方向を有し得る。
【0045】
上記異なるカラーの数xは、3に等しいこともあり得る。該3つのカラーは、原色であるり得る。該原色は、赤、緑および青であり得る。
【0046】
各グループ内の上記画素の数zは、xに等しいことあり得る。
【0047】
本発明の第三の局面に従うと、マルチビューディスプレイが提供される。該マルチビューディスプレイは、複数の視差エレメントを備える視差光学素子と;2以上の整数n個のビューを見るためにn個の一次視点補正されたビューウィンドウを生成するために、該視差光学素子と協働する行および列として配列された複数の画素を備える空間光変調器であって、各ビューウィンドウ内の各視差エレメントを介して見ることのできる各行内に2以上の整数w個の画素を有し、該行は、グループとして配列され、該視差エレメントは、行として配列されることを特徴として、行のそれぞれは、画素の行のそれぞれのグループと並び、異なるカラーの画素のセットを備える該画素は、視差エレメントの各行の各視差エレメントを介して各ビューウィンドウ内に見ることのできる画素カラーのシーケンスが、視差エレメントの該行または隣接する各行内の該視差エレメントまたは最も近くにある各視差エレメントを介して見ることのできる画素カラーのシーケンスとは異なるように配列される、空間光変調器とを備える。
【0048】
上記視差エレメントは、行方向内に並び得る。上記視差エレメントは、列方向に連続的であり得る。上記画素は、行方向に繰り返しカラーシーケンスとして配列され得、グループの隣接する各ペアの画素行は、行方向に互いに対して、少なくとも1画素ピッチ分だけ、および、該繰り返しカラーシーケンスの最小繰り返しピッチ分だけ、オフセットされ得る。
【0049】
各カラーの上記画素は、列として配列され得る。行の隣接する各ペアの上記視差エレメントは、行方向に互いに対してオフセットされ得る。
【0050】
上記オフセットは、同じ大きさであり得る。
【0051】
前記オフセットは、同じ方向であり得る。
【0052】
画素の行の上記グループまたは視差エレメントの上記行は、同じ方向である上記セットのオフセットを有し、かつ、逆方向であるセットの隣接するペアの該オフセットを有するセットとして配列され得る。
【0053】
行の各グループは、単一の行を備え得る。
【0054】
行の各グループは、複数の行を備え得る。行の各グループは、n個の行を備え得、上記ディスプレイは、ポートレート向きと風景向きとの間で回転可能であり得、また、上記視差エレメントは、二次元視差を提供するように配列され得る。上記オフセットは、視点補正を提供するために、上記列の上記ピッチと2倍異なり得る。各行の上記画素は、該列の該ピッチによって、互いから離されたn.w個の画素のグループとして配列され得る。
【0055】
上記数wは、2に等しいこともあり得、また、画素カラーの上記異なるシーケンスは、異なる組み合わせを備え得る。
【0056】
上記数wは、3に等しいこともあり得、また、画素カラーの前記異なるシーケンスは、異なる順列を備え得る。
【0057】
上記視差光学素子は、視差バリアであり得る。
【0058】
上記空間光変調器は、光減衰変調器であり得る。該変調器は、透過可能であり得る。該変調器は、液晶デバイスであり得る。
【0059】
上記ウィンドウの数nは、2に等しいこともあり得る。
【0060】
上記画素のセットは、3つのカラーであり得る。該3つのカラーは、原色であり得る。該原色は、赤、緑および青であり得る。
【0061】
このように、改善されたマルチビューディスプレイを提供することが可能になる。このようなディスプレイの実施形態および例は、以下の利点:
画像品質の改善、
マルチビューモードにおけるカラーアーチファクトの低減、
シングルビューモードで使用されるときのカラーアーチファクトの低減、
視聴者の位置に依存するカラーアーチファクトの低減
の1つ以上の組み合わせを達成し得る。
【0062】
nが2以上であるPnディスプレイは、空間光変調器の画素平面と、視差エレメントを含む平面との間の空間が、P1ディスプレイに対する空間より大きくされ得る。こうして、両平面間の任意の基板は、より大きな厚みとし得るので、例えば、比較的薄いガラスを取り扱うような製造上の問題は低減される。さらに、このために、視差バリアのような視差光学素子が、薄いガラスのような薄い基板の使用を必要とせずに、アクティブなタイプとすることが可能に、あるいは、より容易になる。従って、マルチビューモードとシングルビューモードとの間で切り換え可能なディスプレイを提供することが容易になる。例えば、視差バリアは、視差バリアを効率的に無効にして、単一の画像の通常のビューまたは広範なビュー領域にわたるビューを可能にするように、実質的に均一な透過モードに切り換えられ得る液晶デバイスによって具現化され得る。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】図1は、既知のマルチビューディスプレイの図解用水平断面図である。
【図2】図2は、見る領域の生成および視点補正の影響を示す図解用平面図である。
【図3】図3は、見る領域の生成および視点補正の影響を示す図解用平面図である。
【図4】図4は、別の既知のマルチビューディスプレイの図解用水平断面図である。
【図5】図5は、異なるタイプの既知のマルチビューディスプレイを示す図解用平面図である。
【図6】図6は、既知のタイプのP2ディスプレイによって作成された望ましくないカラーアーチファクトを示す。
【図7】図7は、既知のタイプのP3ディスプレイにおける望ましくない可視アーチファクトを示す。
【図8】図8は、既知のタイプのP3ディスプレイにおける望ましくない可視アーチファクトを示す。
【図9】図9は、本発明の実施形態を構成するマルチビューP2ディスプレイを示す図である。
【図10】図10は、本発明の実施形態を構成するマルチビューP3ディスプレイを示す図である。
【図11】図11は、本発明の実施形態を構成するP2ディスプレイおよびP3ディスプレイを示す図である。
【図12】図12は、本発明の実施形態で使用するための別の画素配列を示す。
【図13】図13は、既知のP1タイプのディスプレイ、および、本発明の実施形態を構成するP1タイプのディスプレイを示す図である。
【図14】図14は、本発明の実施形態を構成するディスプレイ用の更なる画素配列を示す。
【図15】図15は、本発明の実施形態を構成するディスプレイ用の更なる画素配列を示す。
【図16】図16は、本発明の実施形態を構成するディスプレイ用の更なる画素配列を示す。
【図17】図17は、本発明の実施形態を構成するずれたバリアスリット配列をともなうP2タイプのディスプレイを示す。
【図18】図18は、本発明の実施形態を構成するずれたバリアスリット配列をともなうP2タイプのディスプレイを示す。
【図19】図19は、本発明の実施形態を構成するずれたバリアスリット配列をともなうP3タイプのディスプレイを示す。
【図20】図20は、ジグザグバリアスリット配列をともなう図19に示すタイプのディスプレイを示す。
【図21】図21は、ジグザグバリアスリット配列をともなう図17に示すタイプのディスプレイを示す。
【図22】図22は、ポートレートビューモードおよび風景ビューモードを有し、本発明の実施形態を構成するP3タイプのディスプレイを示す。
【図23】図23は、ポートレートビューモードおよび風景ビューモードを有し、本発明の実施形態を構成する別のP3タイプのディスプレイを示す。
【発明を実施するための形態】
【0064】
本発明は、例として、添付図面を参照して、さらに記載される。
【0065】
同じ参照番号は、図面全体を通じて、同じパーツを示す。
【0066】
本明細書で以下に記載されるマルチビューディスプレイは、いずれも、2つのビュータイプすなわちデュアルビュータイプであるが、3つ以上のビューを提供し得るディスプレイも、また提供され得る。ディスプレイは、自動立体3D画像ディスプレイ、および、互いに独立して無関係であり得る画像の2人以上の視聴者向けのディスプレイのように、任意の適切な用途において、使用され得る。ディスプレイの全ては、赤、緑および青の画素からなるカラーディスプレイであり、RGBの画素の3つで複合色または「白」グループを形成する。しかしながら、RGGB画素またはRGYB画素を備える複合グループのように、他の配列も可能である。ここで、Y画素は、白である。ディスプレイは、空間光変調器としてフラットパネル液晶デバイス、および、視差光学素子として視差バリアを備える。しかしながら、他のタイプの空間光変調器(発光タイプを含む)および他のタイプの視差光学素子も使用され得る。
【0067】
図9に示すP2ディスプレイは、LCD20および視差バリア25を備える。これによって、2つの列の画素が、関連するカラーフィルタの縞とともに、視差バリア25の各スリットを介して各ビュー領域で見ることのできるようになる。ディスプレイは、赤、緑および青のフィルタ縞からなる水平な順番またはシーケンスであり、その縞が画素の列方向に垂直に伸び、その縞のそれぞれが単一の画素列と関連する既知のタイプのディスプレイとは異なる。特に、フィルタのシーケンス(図9の左から右に)、RGBGBRBRGのフィルタ縞の繰り返しサブシーケンスを備える。
【0068】
このように配置すると、マルチビュー画像ディスプレイにおいて、望ましくないカラーアーチファクトが低減される。しかしながら、このようなディスプレイが、視差バリア25が無効または除去されて、2Dまたはシングルビューモードで使用される場合、9つの画素列の周期で、望ましくないカラー縞を発生し得る。例えば、このようなモードにおいて、青画素を比較的高い密度で有する領域は、40で示される。
【0069】
図10は、水平すなわち行方向の画素カラーシーケンスが、既知のディスプレイと異なるP3ディスプレイを示す。このディスプレイにおいて、画素カラーは、RGBRGBGBRGBRBRGBRGの繰り返しシーケンスとして配列される。このような配列は、視聴者がディスプレイの前を側面に沿って移動すると、異なる列で異なるカラーシフトが生じる結果となる。それは、視距離が十分大きければ、本明細書に以前に記載される観察者の移動にともなうカラーシフトのアーチファクトは、低減され、感知され得ないようにするためある。しかしながら、ここでもまた、視差バリア25が除去または無効にされて、シングルビューモードで使用される場合、カラー縞のアーチファクトは見ることも可能である(青の密度が高い領域は、40で示される)。
【0070】
図11は、代替的なP2ディスプレイおよびP3ディスプレイを示す。このディスプレイにおいて、画素は、単一のカラーの列として、配列されていない。これらのディスプレイのそれぞれにおいて、各行は、RGB画素の繰り返しシーケンスを備える。しかしながら、各カラーの画素が、LCD20上で対角線上に並ぶように、隣接する行のパターンは、行方向に1画素ずらされるか、あるいはオフセットされる。P2ディスプレイにおいて、望ましくないカラーアーチファクトが、マルチビューモードにおいても、シングルビューモードにおいても、実質的に避けられるように、カラーは、バリアスリットを介して垂直に「平均化」する。同様に、P3ディスプレイにおいて、望ましくないカラーシフトのアーチファクトは、実質的に避けられるように、異なるカラーシフトは、異なる行で生じる。
【0071】
図12は、図11で示されるものと異なるP2ディスプレイまたはP3ディスプレイに対する代替的な画素カラーパターンを示す。行は、3つの行に対して一方向に、次いで、3つの行に対して逆方向に、ずらされるか、あるいはオフセットされるようになっている。このような配列は、例えば、シングルビューモードにおいて、図11の対角線上のカラー縞模様によって生じる任意の望ましくない影響を除去または低減するために使用され得る。
【0072】
3つの異なるカラーの画素を有するLCDの場合、隣接する行は、1画素または2画素ピッチで、オフセットされ得る。代替として、画素カラーの順番は、各行の中で変更され得る。
【0073】
図13は、既知タイプのP1ディスプレイを41で、および、本発明の実施形態を構成するP1ディスプレイを42で示す。42で示されるP1ディスプレイは、各ビューウィンドウの中で見ることができる各カラーの画素が、垂直および水平ピッチが互いに異なり得るが、垂直および水平に実質的に等間隔となるようにして、図11に示すディスプレイと同じカラー画素パターンを使用する。
【0074】
例えば、P2およびP3ディスプレイが、自動立体3Dディスプレイとして使用されるとき、両眼視差が、視差バリア構造に関連するカラー画素パターン生成のために、異なるカラーの画素間で生じることはあり得る。これは、予想外の立体外観を結果としてもたらし得る。例えば、視聴者から等距離で現れることを意図された赤い平面および緑の平面が、深さ方向で分かれているように現れ得る。
【0075】
図14〜図16は、個々のカラー間で、両眼視差の変動を減らすために使用され得るカラー画素パターンを示す。図14および図15は、P2タイプのディスプレイとともに使用するためのパターンを示す。こうして、図14は、カラーが水平にRGRGBRBRGBGBの繰り返しシーケンスを有する垂直な縞として配列されるパターンを示す。
【0076】
図15は、同じ繰り返しカラーシーケンスに基づくパターンを示すが、隣接する行が、4つの画素列幅でオフセットされる点で異なる。図16に示すパターンは、図9に示すパターンと同じである。
【0077】
以上に記載された実施形態において、各視差バリア25は、等間隔で連続的な垂直スリットを備える。図11、図12および図15に示された実施形態において、画素カラーの隣接する行は、行方向に互いにオフセットされる。連続的な垂直スリットは、各行に対する個々のスリットと同等であり、それら各行に対する個々のスリットとして、考えられ得る。これらのスリットは、互いに行方向に並び、列方向の連続的な垂直スリットを形成する。しかしながら、同様の性能は、カラー画素パターンと協働するスリットのオフセットされた行を有することで達成され得る。ここで、画素の各列は、同じカラーからなる。
【0078】
図17は、このような配列の例を示し、カラーフィルタの縞がRGB縞の繰り返しシーケンスとして配列される。画素の各行は、スリットの行と協働し、このスリットの行は、ほぼ画素列ピッチ分だけオフセットされる隣接する行のスリットを備える(視点補償(viewpoint compensation)を可能にする)。この配列は、P2タイプのディスプレイで使用され得、図11に示すP2ディスプレイと事実上、同等である。
【0079】
図18は、P2ディスプレイを示し、視差バリアのスリットの隣接する行の間のオフセットは、画素列ピッチのほぼ2倍に等しい(視点補償を可能にする)。
【0080】
図19は、P3ディスプレイを示し、スリットの隣接する行は、ほぼ1画素列ピッチだけ、互いに相対的にオフセットされる(視点補償を可能にする)。
【0081】
図17〜図19に示すタイプのディスプレイは、クロストークを避けるために、視聴者の動きの垂直な動きを制限してきた。特に、視聴者が、意図された水平ビュー平面より上または下からディスプレイを見ると、間違った画素が、視差バリアスリットを介して見えるようになる。この影響は、個々のスリット高さ(図19にXで示される)を低くすることで、低減され得る。これは、所定のディスプレイ照度に対する輝度低下の犠牲にして、垂直に見る自由をより多く提供するためである。
【0082】
図20および図21は、それぞれ、図19に示すP3ディスプレイおよび図17に示すP2ディスプレイの改変を示す。これは、許容可能でないような任意の対角線上の「バンディング(banding)」を低減または除去するためである。これらディスプレイのそれぞれにおいて、視差バリアスリットの行は、3つの行に対して一方向に、次いで、3つの行に対して逆方向に、オフセットされる。
【0083】
図22は、ポートレートビューモードまたは風景ビューモードで使用され得るか、あるいは、この両モード間で切り換えられ得るP3ディスプレイを示す。LCD20は、例えば、図7に示すように、RGB縞の繰り返しグループを有する垂直な縞模様となるカラーフィルタを備える。個々のカラー画素は、ディスプレイがポートレートモードに向けられると、行のピッチp2が、列のピッチp1のほぼ3倍となるように、四角形状の複合色のグループとして配列される。
【0084】
視差バリアは、四角形の50のような開口部のパターンを備える。ポートレートモードにおいて、開口部50は、視点補正を提供するために、6p1異なるピッチを有する行として配列される。隣接する行は、ほぼ列ピッチp1で互いに対してオフセットされ、開口部50の各行は、画素の2つの行と協働する。
【0085】
図22において、異なるカラーの画素は、異なる陰影で示され、その左画像画素および右画像画素を表示する画素は、それぞれLおよびRによって示される。
【0086】
ポートレートモードにおいて、図22のディスプレイは、図19に示したディスプレイと同じ方法で、本明細書で前述したカラーシフトのアーチファクトを克服する。
【0087】
風景モードにおいて、ディスプレイは、バリア開口部50が2p2のピッチを有する列として配列されるように、事実上90度回転される。このビューモードにおいて、視聴者30の右目と左目は、望ましくないカラーシフトのアーチファクトを一切なしに、幅広い側面方向のビュー範囲全体にわたって、異なるカラーの画素の同じエリアを見ることができる。
【0088】
左画像と右画像へのLCD画素の割り当ては、ポートレートモードと風景モードとの間で変化する。ディスプレイが、これら両モード間で切り換え可能なタイプである場合、ディスプレイの向きが変化されたとき、ディスプレイ制御装置は、左ビューおよび右ビューに画素を正しく割り当てるように配列され得る。これは、自動または手動で作動され得る。
【0089】
ディスプレイがポートレートモードと風景モードとの間で切り換え不要な場合、ディスプレイ制御装置は、ディスプレイ動作のモードに対して、画素割り当てを提供するように、事前設定され得る。
【0090】
図23は、ポートレートモードと風景モードとの間で切り換わり得る別のP3ディスプレイのポートレートモードのみを示す。図23に示されるデュアルビューディスプレイにおいて、画素の行は、自身の黒い状態に切り換えられた51のような画素によって互いから切り離された6つの画素からなるグループ内に配列される。代替として、視聴者の自由度を高めるために、このような画素51は、双方のビューの一方に対するデータを表示するために使用され得るか、あるいは、双方のビューに適切なグレーレベルを示すように制御され得る。開口部の行は、視点補正を提供するために、列ピッチの2倍異なる量だけ、行方向にずれる。同様に、黒に切り換わっている画素51は、列ピッチの2倍分、隣接する行とずれる。各行内に6つの画素からなるグループを分離する「冗長な」画素51が存在するので、結果として、各一次ビュー領域から、ディスプレイ全体で行方向に赤、緑および青の循環する3つの画素のセットの中央にある各開口部50を介して、見ることのできるカラーが生じる。行の隣接するペアの間にある冗長な画素または黒の画素をずらすことによって、4つの行にわたってカラーが均衡化され、視聴者からさほど見えない比較的小さなカラー分離が提供される。
【0091】
2Dまたはシングルビューの動作モードを提供するために、全ての実施形態における視差バリアは、除去または無効にされ得る。例えば、視差バリアは、バリア構造が提供されるマルチビューモードと、バリア構造が無効にされるシングルビューモードとの間で切り換え可能となるように、適切な電極パターニングを有する切り換え可能な液晶セルを備え得る。
【産業上の利用可能性】
【0092】
本発明は、マルチビューディスプレイに関する。
【0093】
このようなディスプレイは、例えば、2人以上の異なる人が、同じディスプレイ画面上の2つ以上の異なる画像を見る必要があるときに使われ得る。視野角の差は、視聴者間で非常に大きいこと(約60度)が好ましい。
【0094】
このようなディスプレイは、三次元(3D)ディスプレイとしても、特に、自動立体ディスプレイとしても使用され得る。このようなディスプレイは、3D移動体ハンドセット、3Dゲーム、3Dコンピュータモニタ、3Dラップトップディスプレイ、3Dワークステーションおよび3Dプロ用イメージング(例えば、医療、設計または建築での利用のため)において、使用され得る。一部の3Dディスプレイにおいて、特定の視距離に対して、目の間隔を広げること、あるいは、特定の目の間隔に対して、視距離をより短くすることが必要である。いずれの場合も、広い分離角が必要とされる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の視差エレメントを備える視差光学素子と、
2以上の整数n個のビューを見るためにn個の一次視点補正されたビューウィンドウを生成するために、該視差光学素子と協働する行および列として配列された複数の画素を備える空間光変調器であって、
各ビューウィンドウ内の各視差エレメントを介して見ることのできる画素のそれぞれの単一の列を有し、
該画素は、それぞれのカラー画像エレメントを表示するための複合色グループとして配列され、
各グループは、互いに同じ列に隣接して配置された3以上の整数x個の異なるカラーのx以上の整数z個の画素を備え、
各ビューに対する各カラーの該画素は、実質的に等間隔で水平に、かつ、実質的に等間隔で垂直になるように配置され、
各グループの該画素の該カラーの列方向の順番は、同じ行内の隣接する各グループの該画素の該カラーの列方向の順番と異なることを特徴とする、空間光変調器と
を備える、マルチビューディスプレイ。
【請求項2】
各カラーの前記画素は、前記変調器上に、実質的に等間隔で水平に、かつ、実質的に等間隔で垂直になるように配置されることを特徴とする、請求項1に記載のディスプレイ。
【請求項3】
前記画素は、x個の異なるカラーのz個の画素の繰り返しセットとして、行方向に配列され、各行は、0より大きくzより小さい数の画素分だけ、隣接する各行と相対的な行方向内でオフセットされることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のディスプレイ。
【請求項4】
隣接する行の間の前記オフセットは、同じ大きさを有することを特徴とする、請求項3に記載のディスプレイ。
【請求項5】
隣接する行の間の前記オフセットは、同じ方向を有することを特徴とする、請求項3または請求項4に記載のディスプレイ。
【請求項6】
前記異なるカラーの数xは、3に等しいことを特徴とする、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のディスプレイ。
【請求項7】
前記3つのカラーは、原色であることを特徴とする、請求項6に記載のディスプレイ。
【請求項8】
前記原色は、赤、緑および青であることを特徴とする、請求項7に記載のディスプレイ。
【請求項9】
各グループ内の前記画素の数zは、xに等しいことを特徴とする、請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載のディスプレイ。
【請求項10】
複数の視差エレメントを備える視差光学素子と、
2以上の整数n個のビューを見るためにn個の一次視点補正されたビューウィンドウを生成するために、該視差光学素子と協働する行および列として配列された複数の画素を備える空間光変調器であって、
各ビューウィンドウ内の各視差エレメントを介して見ることのできる各行内に2以上の整数w個の画素を有し、
該行は、グループとして配列され、該視差エレメントは、行として配列されることを特徴として、
行のそれぞれは、画素の行のそれぞれのグループと並び、
異なるカラーの画素のセットを備える該画素は、視差エレメントの各行の各視差エレメントを介して各ビューウィンドウ内に見ることのできる画素カラーのシーケンスが、視差エレメントの該行または隣接する各行内の該視差エレメントまたは最も近くにある各視差エレメントを介して見ることのできる画素カラーのシーケンスとは異なるように、配列される、空間光変調器と
を備える、マルチビューディスプレイ。
【請求項11】
前記視差エレメントは、行方向内に並ぶことを特徴とする、請求項10に記載のディスプレイ。
【請求項12】
前記視差エレメントは、列方向に連続的であることを特徴とする、請求項11に記載のディスプレイ。
【請求項13】
前記画素は、行方向に繰り返しカラーシーケンスとして配列され、
グループの隣接する各ペアの画素行は、行方向に互いに対して、少なくとも1画素ピッチ分だけ、および、該繰り返しカラーシーケンスの最小繰り返しピッチ分だけ、オフセットされることを特徴とする、請求項11または請求項12に記載のディスプレイ。
【請求項14】
各カラーの前記画素は、列として配列されることを特徴とする、請求項10または請求項11に記載のディスプレイ。
【請求項15】
行の隣接する各ペアの前記視差エレメントは、行方向に互いに対してオフセットされることを特徴とする、請求項14に記載のディスプレイ。
【請求項16】
前記オフセットは、同じ大きさであることを特徴とする、請求項13または請求項15に記載のディスプレイ。
【請求項17】
前記オフセットは、同じ方向であることを特徴とする、請求項13、請求項15および請求項16のいずれか1項に記載のディスプレイ。
【請求項18】
画素の行の前記グループまたは視差エレメントの前記行は、同じ方向である前記セットのオフセットを有し、かつ、逆方向であるセットの隣接するペアの該オフセットとを有するセットとして配列されることを特徴とする、請求項13、請求項15および請求項16のいずれか1項に記載のディスプレイ。
【請求項19】
行の各グループは、単一の行を備えることを特徴とする、請求項10〜請求項18のいずれか1項に記載のディスプレイ。
【請求項20】
行の各グループは、複数の行を備えることを特徴とする、請求項10〜請求項18のいずれか1項に記載のディスプレイ。
【請求項21】
行の各グループは、n個の行を備えることと、
前記ディスプレイは、ポートレート向きと風景向きとの間で回転可能であることと、
前記視差エレメントは、二次元視差を提供するように配列されることと
を特徴とする、請求項20に記載のディスプレイ。
【請求項22】
前記オフセットは、視点補正を提供するために、前記列の前記ピッチと2倍異なることを特徴とする、請求項15に従属する請求項21に記載のディスプレイ。
【請求項23】
各行の前記画素は、前記列の前記ピッチによって、互いから離されたn.w個の画素のグループとして配列されることを特徴とする、請求項21または請求項22に記載のディスプレイ。
【請求項24】
前記数wは、2に等しいこと、および、画素カラーの前記異なるシーケンスは、異なる組み合わせを備えることを特徴とする、請求項10〜請求項23のいずれか1項に記載のディスプレイ。
【請求項25】
前記数wは、3に等しいこと、および、画素カラーの前記異なるシーケンスは、異なる順列を備えることを特徴とする、請求項10〜請求項24のいずれか1項に記載のディスプレイ。
【請求項26】
前記視差光学素子は、視差バリアであることを特徴とする、請求項1〜請求項25のいずれか1項に記載のディスプレイ。
【請求項27】
前記空間光変調器は、光減衰変調器であることを特徴とする、請求項1〜請求項26のいずれか1項に記載のディスプレイ。
【請求項28】
前記変調器は、透過可能であることを特徴とする、請求項27に記載のディスプレイ。
【請求項29】
前記変調器は、液晶デバイスであることを特徴とする、請求項27または請求項28に記載のディスプレイ。
【請求項30】
前記ウィンドウの数nは、2に等しいことを特徴とする、請求項1〜請求項29のいずれか1項に記載のディスプレイ。
【請求項31】
前記画素のセットは、3つのカラーであることを特徴とする、請求項10〜請求項30のいずれか1項に記載のディスプレイ。
【請求項32】
前記3つのカラーは、原色であることを特徴とする、請求項31に記載のディスプレイ。
【請求項33】
前記原色は、赤、緑および青であることを特徴とする、請求項32に記載のディスプレイ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2011−158913(P2011−158913A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−49697(P2011−49697)
【出願日】平成23年3月7日(2011.3.7)
【分割の表示】特願2007−506394(P2007−506394)の分割
【原出願日】平成17年9月20日(2005.9.20)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】