説明

マルチモード光ファイバー通信システム

【課題】マルチモード光ファイバにおけるパルス拡散による歪みに対処すること。
【解決手段】データ処理回路(47-62)を含むトランシーバユニット。データ処理回路は、入力データ信号(43)から非反転データ信号(45)と反転データ信号(48)を生成し、制御信号を受信し、制御信号(70,71)に従って反転データ信号と反転データ信号のうちの少なくとも一方に調節可能な遅延(46,49)を適用し、制御信号(70,71)に従って反転データ信号と反転データ信号のうちの少なくとも一方に調節可能な利得係数(55,56)を適用し、適用後に、非反転データ信号と反転データ信号を結合し、処理されたデータ信号(63)を生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はマルチモード光ファイバ通信システムに関し、特に、マルチモード光通信チャネルを通る信号伝搬における非線形性によって、レシーバに提供される信号が劣化する光通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
光信号は、信号の生成時にも、光通信チャネルを介した伝送時にも、種々の雑音源や歪みの影響を受けやすい。光トランスミッタや光レシーバにおける雑音源には、熱雑音やショット雑音がある。レシーバの受信部には、高感度にするためにアバランシェダイオードが使用される場合があり、それによって、アバランシェフォトダイオード雑音が生じることがある。光信号の生成は一般に、雑音源やドリフトの影響を受けやすい。例えば、レーザーダイオードの出力パワーは、使用時の温度上昇に従って、あるいは、周囲の温度変化によって、緩やかに変動することがある。システム歪みの原因は、光通信リンクにおける新しいマルチモード光ファイバや既存のマルチモード光ファイバの使用による非線形変動である場合がある。マルチモード光ファイバでは、種々のモードが異なる伝搬速度を有し、その伝搬速度の違いにより、1つのパルスが複数の隣接パルスに分散され、符号間干渉(ISI)を引き起こすことがある。シングルモード光ファイバでも、パルス歪みは発生するが、その規模はあまり大きくない。このように、それらの影響はアイパターンに非常に近いものとなり、レシーバにおける測定ビットエラーレート(BER)を増加させることがある。
【0003】
温度変化による変化は、例えば、レーザー光源の温度安定化や、レシーバにおける自動利得制御によって簡単に補正することが可能であるが、マルチモード光ファイバにおけるパルス拡散に起因する変化を補正することは難しい。
【0004】
そのため、高速通信リンク、例えば、少なくとも5ギガビット/秒のデータレートで動作するリンクは、シングルモード光ファイバと共に、高精度光ファイバコネクタを使用する傾向にある。このことは、リンクの長さが通常10m〜100m程度であるローカルエリアネットワークのようにリンクが非短い距離を介して動作している場合であっても、リンクの長さが1km〜10kmである地下鉄ネットワークにおいても当てはまる。こうした高速通信リンクによれば、例えば10−12といった非常に低いBERにおいて信頼できるパフォーマンスが得られるが、コストを大幅に削減した場合でもそれに匹敵するパフォーマンスが必要とされており、実際には、マルチモード光ファイバと安価なコネクタを使用しなければならない。
【0005】
そのため近年では、FDDIグレードのマルチモード光ファイバを介して最大10ギガビット/秒で動作する通信リンクに、マルチモード光ファイバが使用されている。850nmの光源を使用した場合、こうしたリンクの長さは、約30mまでに制限される。1310nmの光源を使用した場合、こうしたリンクの長さは約80mまでに制限される。しかしながら、設置されるマルチモード光ファイバ通信リンクの最大90%では、少なくとも300mを超えるデータ伝送が必要とされる。
【0006】
また、レシーバにイコライザ回路(等化器)を使用して、符号間干渉を補正することも提案されている。こうしたイコライザ回路は、フォトディテクタ回路の出力を入力として受信し、その入力から少なくとも2つのイコライザ係数を生成する。更に、信号遅延ラインが、フォトディテクタ回路の出力を受信する。遅延ラインから引き出された出力がそれぞれ、乗算等によってイコライザ係数と結合された後、互いに加算され、均一化された出力信号が生成される。この方法は、特定タイプの信号歪みの補正には有効であるが、その結果レシーバ回路のコストが増加するため、マルチモード光ファイバにおけるパルス拡散に起因した歪み問題の根本的原因の解決にはならない。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、マルチモード光ファイバ伝送リンクに接続するための光トランスミッタユニットが得られる。この光トランスミッタユニットは、入力データ信号を受信するためのデータ入力と、データ信号処理回路と、光放射源とを含み、前記データ信号処理回路は、前記データ入力から入力データ信号を受信し、処理されたデータ信号を前記光放射源に供給するように構成され、前記光放射源は、該光放射源から、マルチモード光ファイバによって伝送するための光信号を生成するように構成され、前記データ信号処理回路は、
前記入力信号から非反転データ信号及び反転データ信号を生成し、
前記処理されたデータ信号の生成を制御するための制御信号を受信し、
前記制御信号に従って調節可能な遅延を前記非反転データ信号と前記反転データ信号のうちの少なくとも一方に適用し、
前記制御信号に従って調節可能な利得係数を前記非反転データ信号と前記反転信号のうちの少なくとも一方に適用し、
前記調節可能な遅延(複数の場合もあり)及び前記利得係数(複数の場合もあり)を適用した後、前記非反転データ信号と前記反転データ信号を結合し、前記処理されたデータ信号を生成するように構成される。
【0008】
また、本発明によれば、第1の光トランシーバー及び第2の光トランシーバからなるマルチモード光ファイバ伝送システムが得られる。前記第1の光トランシーバは第1のトランスミッタユニット及び第1のレシーバユニットを有し、前記第2の光トランシーバは、第2のトランスミッタユニット及び第2のレシーバユニットを有し、前記光トランシーバ間における双方向光通信のために、対になるトランスミッタユニットとレシーバユニットの間に少なくとも1つのマルチモード光ファイバ伝送リンクが延び、前記第2の光トランシーバは、前記第2のレシーバユニットにおける受信光信号の質を検出し、第2のトランスミッタから第1のレシーバユニットへ前記受信光信号の質を示す情報を伝達するように構成され、前記第1の光トランシーバは、前記情報に応じて、前記第2のレシーバユニットにおける受信光信号の品質を最適化するための制御信号を生成するように構成される。
【0009】
更に、本発明は、光通信システムにおいてマルチモード光ファイバを介してデータを伝送する方法を提供する。この方法は、
入力データ信号を受信するステップと、
前記入力データ信号から非反転データ信号及び反転データ信号を生成するステップと、
前記非反転データ信号と前記反転データ信号のうちの少なくとも一方に、調節可能な遅延を適用するステップと、
前記非反転データ信号と前記反転データ信号のうちの少なくとも一方に、調節可能な利得係数を適用するステップと、
前記遅延(複数の場合もあり)及び前記利得係数(複数の場合もあり)の制御を許可する制御信号を受信するステップと、
前記調節可能な遅延(複数の場合もあり)及び前記利得係数(複数の場合もあり)の適用後、前記非反転データ信号と前記反転信号を結合し、処理されたデータ信号を生成するステップと、
前記処理されたデータ信号を使用して、光信号を生成するステップと、
前記光信号をマルチモード光ファイバを介して伝送するステップと
からなる。
【0010】
「利得」という用語は、正の利得と負の利得(すなわち、減衰)の両方に使用される。本発明の一実施形態において、データ処理回路は、
前記制御信号に従って第1の調節可能な遅延を適用するための第1の可変遅延ライン及び関連制御入力と、
前記制御信号に従って第2の調節可能な遅延を適用するための第2の可変遅延ライン及び関連制御入力と、
前記制御信号に従って第1の調節可能な利得を適用するための第1の可変利得ステージ及び関連制御入力と、
前記制御信号に従って第2の調節可能な利得を適用するための第2の可変利得ステージ及び関連制御入力と
を含む。
【0011】
なお、本発明の種々の態様は、デジタル電子回路とアナログ電子回路のどちらを使用して実施してもよく、また、両者を混成で使用してもよい。例えば、遅延ラインは、アナログ遅延ラインであってもデジタル遅延ラインであってもよく、後者の場合、ソフトウェアで実施してもハードウェアで実施してもよく、例えば、デジタル信号プロセッサ(DSP)チップ内で実施してもよい。同様に、可変利得は、アナログ増幅器を使用して実施しても、デジタル増幅器を使用して実施してもよく、例えば、DSPチップ内でソフトウェア又はハードウェアとして実施される。
【0012】
調節可能な遅延、及び/又は、調節可能な利得係数を変化させるためのユーザ調節可能な設定手段があることが望ましい。この設定手段は、トランスミッタに接続されるマルチモード光ファイバの長さに関して較正できるものが便利である。
【発明を実施するための好ましい実施形態】
【0013】
図1は、マルチモード光ファイバを介した伝送中に光パルス1がどのように劣化することがあるかの一例を示している。横軸は、時間、又は、光ファイバの長手方向における距離を表わし、縦軸は、伝送された光放射の強度を表している。ただし、光ファイバの種類や長さといった多数の要因から、マルチモード光ファイバリンクでは、特定の形のパルス歪みにおいて大きな変化が現れる。
【0014】
最初は、パルス1は、鋭い立ち上がりエッジ2と同様の鋭い立ち下がりエッジ3を有する幅の狭いパルスである。光ファイバの長手方向に沿ってパルスが伝送されるのにつれて、種々のモードが異なる速度で伝搬する。その結果、受信パルスは、主として立ち下りエッジ4において拡散される。受信パルスの強度も幾らか低下する。ただし、図1は、パルスの形の変化を見やすくするために、ピーク送信強度とピーク受信強度が同じになるように描かれている。
【0015】
図2は、パルス10に強度の窪み11と、その後に続く最初のピーク12を含めることによってパルス10を最初に事前補正し、伝送時のパルス拡散によって窪み11が埋められ、図3に示すような比較的最適に近い受信パルス20を得ることが可能な方法を示している。この形の事前補正を光伝送システムで行うためには、強度の窪み11を形成するための基準線15が、非ゼロでなければならない。従って、この形の事前補正には、図1に示したような事前補正を持たないマルチモード光ファイバに存在する通常の基準線5よりも高い基準線15が必要とされる。光通信システムでは一般に、レーザーダイオードにバイアス電圧をかけ、線形強度と電流特性の関係を示す曲線において光出力が基準の位置にくるようにする。事前補正の形によっては、レーザーダイオードをこのライナー勾配の基準よりも高い位置までバイアスし、窪み11を立ち下がりエッジのパルス拡散を補正できる程度の十分な深さにするために、反転が必要になる場合がある。
【0016】
図4は、本発明の好ましい実施形態によるマルチモード光ファイバ伝送システム30を示す概略図である。システム30は、一対のマルチモード光ファイバ伝送リンク33、34によって接続された一対の光トランシーバユニット31、32を有する。第1のトランシーバユニット31は、第1のマルチモード光ファイバリンク33に沿ってフォトディテクタ37に光信号を伝送する光放射源36を備えた光トランスミッタ35を有する。フォトディテクタ37は、第2の光トランシーバユニット32における光レシーバ38の一部である。
【0017】
第2の光トランシーバユニット32は、第2のマルチモード光ファイバリンク34に沿って第1のトランシーバユニット31の光レシーバ42のフォトディテクタ41に光信号を伝送する光放射源40を備えた光トランスミッタ39を有する。
【0018】
通常、光放射源36、40はそれぞれ、レーザーダイオード及び関連電子駆動回路から構成される。フォトディテクタ37、41は通常、関連受信回路を備えたフォトダイオードからなる。光プラグ、受容部、及び、光ファイバ33、34自体の構造は図示されていない。なぜなら、それらは、従来の光コネクタ及びマルチモード光ファイバケーブルから提供される可能性があるからである。
【0019】
第1の光トランシーバユニット31は、外部データソース44に接続された信号入力43を有する。信号入力43は、従来の入力回路(図示せず)によって処理され、調整される。非反転データ信号45は、第1の遅延ライン46に供給される。データ反転器(インバータ)47は、非反転データ信号45を受信し、反転データ信号48を第2の遅延ライン49に供給する。2本の遅延ライン46、49間の相対遅延は、遅延制御回路52から供給される対応する遅延制御信号50、51によって調節することができる。この構成によれば、非反転データ信号45と反転データ信号48の間の相対遅延を、遅延制御回路52によって設定することができる。調節しなければならないのは相対遅延であるから、遅延ライン46、49は1本しか必要ない。つまり、図4は、比較的一般的な回路構成を示している。
【0020】
遅延ライン46、49はそれぞれ、非反転データ信号53及び反転データ信号54を遅延させ、それらを振幅制御ステージ55、56に渡す働きをする。その結果、遅延された非反転データ信号53と反転データ信号54の相対的振幅を、利得制御回路59から提供される制御信号57、58によって設定することができる。
【0021】
遅延制御回路52と利得制御回路59は合わせて、事前補正コントローラ60を構成する。後で詳しく説明するように、事前補正の形を最適化するために、事前補正コントローラ60は、自動的に、又は、手動で制御することができる。
【0022】
次に、振幅制御ステージ55からの出力61と振幅制御ステージ56からの出力62を結合し、処理されたデータ信号63を生成する。この結合は例えば、それらの信号を互いに加算することによって行われ、あるいは、それらの信号を入力として個別の増幅器に供給した後、それらを結合することによって行われる。なお、この構成において、インバータ47の位置や、遅延・振幅制御回路を設ける実際の順序は、図示したものとは違っていてもよい。例えば、インバータ47は、最終遅延、又は、振幅制御ステージ49、56の後ろに設けてもよい。あるいは、この反転は、増幅器への負の入力によって行ってもよい。
【0023】
図4から分かるように、事前補正のこの形は、実施が単純であり、アナログ電子回路でも、デジタル電子回路でも簡単に実施することが可能である。また、事前補正のこの形は、反転データ信号と非反転データ信号の相対的遅延及び振幅を調節して、マルチモード光ファイバを介した伝送後の劣化した光信号の立ち下がりエッジを補正することが可能であるため、有効な形でもある。
【0024】
伝送信号33は、第2のトランシーバユニット32の光レシーバ38によって受信される。フォトレシーバ37内のレシーバ回路から、信号出力64が出力される場合がある。本発明の一態様において、このレシーバ回路は更に、受信信号65を信号分析回路66に提供する場合がある。信号分析回路66は、受信信号の質を分析するように構成される。分析は例えば、ビットエラーレートや論理的信号伝送間の時間間隔について行われる。第2のマルチモード光ファイバ34を介して第1のトランシーバユニット31のフォトレシーバ41に制御信号を送信するために、信号分析回路66は、光トランスミッタ40に入力67を供給する。フォトレシーバ41は、信号出力68をデータ出力69として出力するとともに、制御入力70として事前補正コントローラ60にも出力する。この方法では、処理されたデータ信号63の閉ループ制御を行うために、信号分析回路66は、事前補正コントローラ60と通信することができる。第2のマルチモードリンク34における事前補正が全くない場合や、不十分であることに起因する問題を回避するために、信号分析回路66から出力される制御信号67は、事前補正コントローラ60がデコード可能なパルス拡散の影響を受けない比較的低い周波数の形で出力される場合がある。
【0025】
更に、又は、代替として、トランシーバユニット31は、スイッチやダイアル72のような手動制御手段に接続された手動制御入力71を有する場合があり、手動制御手段によってユーザは、事前補正の所望のレベルを設定することができる。例えば、手動事前補正制御手段72は、2つのトランシーバユニット31、32間の光ファイバ33の長さに関して、較正される場合がある。
【0026】
図5は、光通信システム30におけるデータを伝送する方法の主なステップを示すフロー図80である。入力データを、それを反転させたものと共に供給81する。次に、非反転データ信号と反転データ信号のうちの少なくとも一方に、調節可能な遅延を適用する。これを行う1つの方法は、第1の可変遅延ラインを使用して非反転データ信号を遅延させ、第2の可変遅延ラインを使用して反転データ信号を遅延させ、同時に、制御信号を使用して、第1の遅延ラインと第2の遅延ラインの間の相対遅延を制御することである。
【0027】
次に、非反転データ信号と反転データ信号のうちの少なくとも一方に、調節可能な利得係数を適用する。これを行う1つの方法は、第1の利得ステージを使用して非反転データ信号を減衰又は増幅し、第2の利得ステージを使用して反転データ信号を減衰又は増幅し、同時に、制御信号を使用して、第1の利得ステージと第2の利得ステージの間の相対利得を制御することである。
【0028】
次に、相対遅延及び利得係数の制御を許可する制御信号を受信84する。この行う1つの方法は、調節可能な遅延、及び/又は、調節可能な利得係数を調節するために、トランスミッタに接続されるマルチモード光ファイバの長さに関して較正された設定手段を手動で調節することである。別の方法は、マルチモード光ファイバを介して伝送された光信号を第2の光トランシーバユニットで受信し、受信した光信号の質を検出することである。その後、受信した光信号の検出された質に応じて、第2の光トランシーバユニットにおける受信信号の質を最適化するための制御信号を自動生成する場合がある。
【0029】
次に、調節可能な相対遅延及び利得係数を適用した後、非反転データ信号と反転データ信号を結合85し、処理されたデータ信号を生成する。次に、その処理されたデータ信号を使用86して、マルチモード光ファイバリンクを介して伝送87するための光信号を生成する。
【0030】
このように、本発明によれば、光ファイバにおける種々の光モードの信号伝達特性が異なることに起因した伝送信号生成の影響を受けることがあるマルチモード光ファイバ通信システムにおいて、光信号を伝達するための便利なシステム及び方法が得られる。
【0031】
添付の特許請求の範囲によって規定されるような本発明の範囲から外れることなく、上記の構成要素の構成や配置に、種々の変更、修正、及び/又は、追加を行うことが可能であるものと考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】マルチモード光ファイバにおけるパルス拡散により受信パルスがどのように劣化するかを示す概略図である。
【図2】伝送パルスの形を変化させ、受信パルスの劣化を低減させるために使用可能な事前補正方法を示す概略図である。
【図3】伝送パルスの形を変化させ、受信パルスの劣化を低減させるために使用可能な事前補正方法を示す概略図である。
【図4】本発明の好ましい実施形態によるマルチモード光ファイバ伝送システムを示す概略図である。このシステムは、一対のマルチモード光ファイバによって接続された一対の光トランシーバユニットを有し、第1のトランシーバは図2の事前補正を行うように構成され、他方のトランシーバは、受信信号を分析し、第1の光トランシーバと通信し、事前補正を調節及び最適化するように構成される。
【図5】光通信システムにおいて、本発明の好ましい実施形態による光トランシーバユニットを使用して、マルチモード光ファイバを介してデータを伝送する方法を示すフロー図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチモード光ファイバ伝送リンク(33)に接続するための光トランスミッタユニット(35)であって、入力データ信号(43)を受信するためのデータ入力(44)、信号処理回路(47-62)、及び、光放射源(36)を含み、前記信号処理回路は、前記データ入力(44)から入力データ信号(43)を受信し、処理されたデータ信号(63)を前記光放射源(36)に供給するように構成され、前記光放射源は、該光放射源から、マルチモード光ファイバ(33)によって伝送するための光信号(10)を生成するように構成され、前記データ処理回路(47-62)は、
前記入力データ信号(43)から非反転データ信号(45)及び反転データ信号(48)を生成し、
前記処理されたデータ信号(63)の生成を制御するための制御信号(70,71)を受信し、
前記制御信号(70,71)に従って前記非反転データ信号と前記反転データ信号(45,48)のうちの少なくとも一方に、調節可能な遅延(46,49)を適用し、
前記制御信号(70,71)に従って前記非反転データ信号と前記反転データ信号(45,48)のうちの少なくとも一方に、調節可能な利得係数(55,56)を適用し、
前記調節可能な遅延(46,49)及び前記利得係数(55,56)の適用後に、前記非反転データ信号と前記反転データ信号を結合し、前記処理されたデータ信号(63)を生成するように構成される、光トランスミッタユニット。
【請求項2】
前記データ処理回路(47-62)は、
前記制御信号(70,71)に従って第1の調節可能な遅延を適用するための第1の可変遅延ライン(46)及び関連制御入力(50)と、
前記制御信号(70,71)に従って第2の調節可能な遅延を適用するための第2の可変遅延ライン(49)及び関連制御入力(51)と、
前記制御信号(70,71)に従って第1の調節可能な利得を適用するための第1の可変利得ステージ(55)及び関連制御入力(57)と、
前記制御信号(70,71)に従って第2の調節可能な利得を適用するための第2の可変利得ステージ(56)及び関連制御入力(58)と
を含む、請求項1に記載の光トランスミッタユニット(35)。
【請求項3】
前記処理されたデータ信号(63)を使用して前記光放射源を駆動するための駆動回路(36)を含む、請求項1又は請求項2に記載の光トランスミッタユニット(35)。
【請求項4】
前記調節可能な遅延(46,49)を変化させ、及び/又は、前記調節可能な利得係数(55,56)を変化させるためのユーザ調節可能な設定手段(72)を含み、該設定手段(72)は、前記トランスミッタユニット(35)に接続されるマルチモード光ファイバ(33)の長さに関して較正される、請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載の光トランスミッタユニット(35)。
【請求項5】
第1の光トランシーバ及び第2の光トランシーバ(31,32)を含むマルチモード光ファイバ伝送システム(30)であって、前記第1のトランシーバ(31)は第1のトランスミッタユニット(35)及び第1のレシーバユニット(38)を有し、前記第2のトランシーバ(32)は第2のトランスミッタユニット(39)及び第2のレシーバユニット(42)を有し、前記トランシーバ(31,32)間の双方向光通信のために、対になるトランスミッタユニットとレシーバユニット(35,38;39,42)の間に少なくとも1つのマルチモード光ファイバ伝送リンク(33,34)が延び、前記第1のトランスミッタユニットは、請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載されたトランスミッタユニットであり、前記第2のトランシーバ(32)は、前記第2のレシーバユニット(38)における受信光信号(20)の質(66)を判定し、前記第2のトランスミッタユニット(39)から前記第1のレシーバユニット(42)へ前記受信信号の質を示す情報を伝達するように構成され、前記第1のトランシーバ(31)は、前記情報に応じて、前記第2のレシーバユニット(38)における受信信号(20)の質を最適化するための制御信号(70)を生成するように構成される、マルチモード光ファイバ伝送システム(30)。
【請求項6】
光通信システム(30)においてマルチモード光ファイバ(30)を介してデータを伝送する方法であって、
入力データ信号(43)を受信するステップと、
前記入力データ信号(43)から非反転データ信号(45)及び反転データ信号(46)を生成(81)するステップと、
前記非反転データ信号と前記反転データ信号(45,48)のうちの少なくとも一方に、調節可能な遅延(46,48)を適用(82)するステップと、
前記非反転データ信号と前記反転データ信号(45,48)のうちの少なくとも一方に、調節可能な利得係数(55,56)を適用(83)するステップと、
前記遅延(46,49)及び前記利得係数(55,56)の制御を許可する制御信号(70,71)を受信(84)するステップと、
前記調節可能な遅延(46,49)及び前記利得係数信号(55,56)の適用後、前記非反転データ信号と前記反転データ信号(45,48)を結合(85)し、処理されたデータ信号(63)を生成するステップと、
前記処理されたデータ信号(63)を使用して、光信号(10)を生成するステップと、
前記光信号(10)をマルチモード光ファイバ(33)を介して伝送(87)するステップと
からなる方法。
【請求項7】
第1の可変遅延ライン(46)を使用して、前記非反転データ信号(45)を遅延させるステップと、
第2の可変遅延ライン(49)を使用して、前記反転データ信号(48)を遅延させるステップと、
前記制御信号(70,71)を使用して、前記第1の遅延ラインと前記第2の遅延ライン(46,49)の間の相対遅延を制御するステップと
を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
第1の利得ステージ(55)を使用して、前記非反転データ信号(45)を減衰又は増幅するステップと、
第2の利得ステージ(56)を使用して、前記反転データ信号(48)を減衰又は増幅するステップと、
前記制御信号(70,71)を使用して、前記第1の利得ステージと前記第2の利得ステージ(55,56)の間の相対利得を制御するステップと
を含む、請求項6又は請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記調節可能な遅延(46,49)、及び/又は、前記調節可能な利得係数(55,56)を調節するために、前記トランスミッタユニット(35)に接続されるマルチモード光ファイバ(33)の長さに関して較正された設定手段(72)を調節するステップを含む、請求項6又は請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記マルチモード光ファイバ(33)を介して伝送された光信号(20)を光トランシーバユニット(32)において受信するステップと、
前記受信光信号(20)の質(66)を検出するステップと、
前記受信光信号(20)の検出された質に応じて、前記第2のレシーバユニット(38)における前記受信光信号(20)の質を最適化するための制御信号(70)を自動生成するステップと
を含む、請求項6〜8のうちのいずれか一項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−20177(P2007−20177A)
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−185532(P2006−185532)
【出願日】平成18年7月5日(2006.7.5)
【出願人】(506076606)アバゴ・テクノロジーズ・ジェネラル・アイピー(シンガポール)プライベート・リミテッド (129)
【Fターム(参考)】