説明

マルチレベル基板処理装置

【課題】床面積当たりの高いスループットを有する基板処理装置を提供する。
【解決手段】基板搬送部24と基板処理チャンバ26、27とを含む基板処理装置22において、基板搬送部は、搬送チャンバ32と搬送機構34とを有する。搬送機構は、回転可能ドライバ48と、ドライバに回動可能に接続して鉛直方向に回動するアーム50と、関節を有する手首64によってアームの端部に回動可能に接続されている基板ホルダ52とを有する。アームは、基板ホルダ52を鉛直方向に上下動できる。基板処理チャンバは、鉛直方向に2つの異なるレベルで搬送チャンバに固定接続している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板処理装置に関し、特に、搬送チャンバに接して垂直方向に異なる高さに基板処理チャンバを有する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
マットソンテクノロジ(Mattson Technology)は、2枚の半導体ウェハの出し入れを同時に行うアスペン(ASPEN)システムと呼ばれるシステムを有する。バッチシステム、単一のウェハシステム、クラスタツールシステムも、従来技術において公知である。米国特許第4,951,601号は、複数の処理チャンバおよび基板搬送装置を有する基板処理装置を開示する。米国特許第5,180,276号は、2つの基板ホルダを有する基板搬送装置を開示する。米国特許第5,270,600号は、基板搬送装置の同軸駆動軸アセンブリを開示する。米国特許第4,094,722号は、4枚のウェハを保持する回転可能なパレットを開示する。米国特許第4,381,965号は、マルチプレーナ電極プラズマエッチャを開示する。米国特許第4,675,096号は、取り入れ・取り出し位置を並列に有する取り入れ・取り出しチャンバを開示する。他の関連技術は、以下のものを含む。すなわち、米国特許第1,190,215号、米国特許第2,282,608号
、米国特許第3,730,595号、米国特許第3,768,714号、米国特許第3,823,836号、米国特許第3,874,525号、米国特許第4,062,463号、米国特許第4,109,170号、米国特許第4,208,159号、米国特許第4,666,366号、米国特許第4,721,971号、米国特許第4,730,975号、米国特許第4,907,467号、米国特許第4,909,701号、米国特許第5,151,008号、米国特許第5,333,986号、米国特許第5,447,409号、欧州特許公告第0423608号、日本特許公告第2−292153号である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明の一実施例によれば、基板処理装置は、基板搬送部と基板処理チャンバとから成る。基板搬送部は、搬送チャンバと、搬送チャンバに対して基板を輸送する搬送機構とを有する。基板処理チャンバは、搬送チャンバに固定接続されている。処理チャンバのうち第1の処理チャンバは、第2の処理チャンバの真上の平面内に配置されている。搬送機構は、第1および第2の処理チャンバに対して基板を輸送できる。
【0004】
本発明の他の実施例によれば、基板を基板処理チャンバに対して輸送する基板搬送機構は、回転自在ドライバと、第1のアームと、第1の基板ホルダとからなる。第1のアームは、ドライバに回動可能に接続されている。アームにおいて、第1のアーム領域が第2のアーム領域に回動可能に接続されている。第1の基板ホルダは、第2のアーム領域に回動可能に接続されている。アーム領域のうちの少なくとも一方は、回動するとき、鉛直方向に回動しながら移動する。
【0005】
本発明の他の実施例によれば、基板を基板処理チャンバに対して搬送する基板搬送機構は、第1のアームと基板ホルダとから成る。第1のアームは、互いに回動自在に接続された2つのアーム領域を有し、相対的に回動すると、並行に且つ鉛直方向に移動する。基板ホルダは、関節を有する手首によって、アーム領域の一方に可動に取り付けられている。手首は、少なくとも2つの方向に回動し、基板ホルダを水平状態に維持する。
【0006】
本発明の他の実施例によれば、基板処理装置は、基板搬送部と、基板処理チャンバと、コントローラとから成る。基板搬送部は、搬送チャンバと、基板搬送機構とを有する。基板処理チャンバは、搬送チャンバに固定接続されている。処理チャンバは、少なくとも2つの鉛直方向に高さが異なる水平面に位置し、水平面のうちの少なくとも1つは、少なくとも2つの処理チャンバを有する。コントローラが存在して、基板搬送機構を制御することにより鉛直方向に高さが異なる水平面で基板を処理チャンバに対して出し入れする。
【0007】
本発明の他の実施例によれば、基板処理装置の基板搬送機構は、ドライバと、2本のアームと、2つの基板ホルダとから成る。アームは、ドライバに回動自在に接続されて鉛直方向に移動する。各アームは、少なくとも2つのアーム領域を有する。基板ホルダの各々は、別々のアームに接続されている。
【0008】
本発明の方法により、基板処理装置において基板を移動させる方法は、互いに回動自在に接続されている直列接続の部材を基板搬送機構に供給する行程から成る。部材の一方は、搬送機構の端部に接続された基板ホルダから成り、相対的な部材の回動運動を制御して、基板処理チャンバに対して実質的に直線的に基板ホルダを移動させる。
【0009】
本発明の他の方法により、基板処理装置内で基板を移動させる方法は、アームを基板搬送機構に設けて基板ホルダにドライバを接続する行程からなる。アームは、中間のジョイントで互いに回動自在に接続されるとともに内側のジョイントでドライバに回動自在に接続されている2つの直列接続アーム領域を有する。基板ホルダは、端部のジョイントで少なくとも2本の回転軸に沿って移動するように、アームに回動自在に接続されている。そして、アーム領域と基板ホルダとドライバとの回転運動を制御して、鉛直方向に異なる位置および水平方向に異なる位置にある基板処理チャンバに対して基板ホルダを移動させる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、従来の基板処理装置の概念的な平面図である。
【図2】図2は、本発明の特徴を取り入れた基板処理装置の概念的な平面図である。
【図2A】図2Aは、図2に示す装置の部分概略図である。
【図2B】図2Bは、アームが伸長状態にある図2Aと同様な部分概略図である。
【図2C】図2Cは、アームが右側処理モジュールの前方で収縮状態にある図2Aと同様な部分概略図である。
【図2D】図2Dは、アームが伸長状態にある図2Cと同様な部分概略図である。
【図3】図3は、図2に示す装置の側面図である。
【図4】図4は、図3に示す2つのアーム領域の間のジョイントの断面図である。
【図5A】図5Aは、本発明の他の実施例の平面図である。
【図5B】図5Bは、図5Aに示す装置の側面図である。
【図6】図6は、本発明の他の実施例の平面図である。
【図7】図7は、本発明の他の実施例の部分側面図である。
【図8】図8は、関節を有する手首の他の実施例の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の上記概念および他の特徴を、添付図面を参照しながら、以下の記載において説明する。
【0012】
図1に、従来の基板処理装置10を示す。装置10は、搬送部12と、4つの基板処理モジュール14と、2つの基板エレベータモジュール16とを有する。搬送部10は、搬送チャンバ18と搬送機構20とを有する。搬送機構20は、さまざまな基板処理モジュール14とエレベータモジュール16との間で基板を移動させることができる。
【0013】
図2に、本発明の特徴を取り入れた基板処理装置22を示す。装置22は、搬送部24と、4つの基板処理モジュール26、27、28、29と、2つの基板エレベータモジュール30、31とを含む。
【0014】
搬送部24は、搬送チャンバ32と、搬送機構34とを含む。図示した実施例において、搬送チャンバ32は、ほぼ正方形であり、一端に2つの基板エレベータモジュール30、31が接続され反対側に4つの処理モジュール26、27、28、29が接続している。図3も参照する。エレベータモジュール30、31の各々において、フレーム36が搬送チャンバ32に固定接続している。可動ゲート、すなわちドア38が、エレベータモジュール30、31の各々と搬送チャンバ32との接合点に設けられている。エレベータモジュール30、31の各々は、基板Sのカセット40を保持する。カセット40は、エレベータモジュール30、31によって上下動することができる。別の可動ゲート、すなわちドア42が、エレベータモジュール30、31の各々に設けられて、カセット40を出し入れする。他の実施例において、任意タイプの基板エレベータモジュールや基板供給モジュールを設けることができる。
【0015】
基板処理モジュール26、27、28、29の各々は、フレーム44を有し、このフレーム44は、搬送チャンバ32にゲート機構46によって固定接続されている。ゲート機構46によって、パスを、チャンバ32とモジュール26、27、28、29との間に開くことができる。また、ゲート機構46を動かして、チャンバ32からモジュール26、27、28、29を封止するためにパスを閉じることができる。モジュール26−29は、基板の加熱及び冷却を含む適宜のタイプの基板処理を行うように構成することができる。図示した実施例において、処理モジュール26、27、28、29は、2つの積層構造に配置される。第1のモジュール26は、第2のモジュール27の鉛直方向上方に位置する。第3のモジュール28は、第4のモジュール29の鉛直方向上方に位置する。他の実施例において、第1のモジュール26は、第2のモジュール27に対して鉛直方向真上ではない上方に配置することができる。例えば、第1のモジュール26の中心軸は、第2のモジュール27の中心軸からわずかにずれていることもある。他の場合は、第2のモジュールに対して全体的にずれている第1のモジュール26を含むことがある。同じずれが、第4のモジュール29に対する第3のモジュール28に対して設けられることがある。または、オフセットやアライメントされたモジュールまたはモジュール対の適宜の組み合わせを設けることができる。モジュール26、27の対及びモジュール28、29の対は、並列に互いに隣接して配置される。図1の装置10を図2の装置22に比較して分かるように、装置22の正面の幅W2は、装置10の正面の幅W1よりもかなり小さい。複数基板処理装置が同一の部屋に置かれている状況において、装置22の構成によって、処理装置のうち、以前の装置10よりも所定の床面積に並列に置くことができる。以前の装置10および装置22の両方は、同じ数の処理モジュール、すなわち4つの処理モジュールを有する。これらは、両方とも実質的に同じ時間量において同じ機能を実行できる。同じ数の装置22が使用される場合、以前の装置10で使用したものよりも、使用される床面積が小さくなる。同様に、より多くの装置22を、以前の装置10と同じ床面積にて使用することができる。装置22も、メンテナンスや修理のために、非常に接近した並行配置に置くことができ、処理モジュール26、27、28、29(全て一側面にある)への簡単なアクセスを備える。
【0016】
従来の搬送機構20は、単一の水平面内にて、基板をロードしたりアンロードする小なる鉛直方向移動によって、基板を移動させることのみが必要であった。他方、搬送機構34は、鉛直方向にオフセットされた上方モジュール26,28及び下方モジュール27,29に対する出し入れのために、基板を鉛直方向に移動できることが必要であった。図3に示す実施例において、搬送機構34は、回転可能ドライバ48と、アーム50と、基板ホルダ52とを含む。回転可能ドライバ48は、メインコントローラ54に接続している。メインコントローラ54は、コンピュータを含む。このコンピュータは、ゲート38、42、46等の、装置22の他の部品にも接続されている。コントローラ54は、矢印A1に示すように、ドライバ48の軸回転を制御する。アーム50は、第1のアーム領域56と、第2のアーム領域58とからなる。第1のアーム領域56は、ジョイント60にてドライバ48に回動自在に接続されて、矢印A2に示すように、鉛直方向にのみ、ドライバ48に対して回転する。すなわち、第1のアーム領域56は、軸中心の鉛直方向以外は、ドライバ48に対する運動に制限されている。第2のアーム領域58は、一端部がジョイント62にて第1のアーム領域56の反対の端部に、矢印A3により示すように回動自在に接続されている。この接続は、第2のアーム領域58が、第1のアーム領域56に対して鉛直方向においてのみ回動するように、制限されている。第2のアーム領域58の反対の端部に、関節接続の手首64が存在する。手首64によって、基板ホルダ52はアーム50に接続される。手首64は、矢印A4にて示すように、ジョイント66でアーム50に回動自在に取り付けられている。ジョイント66での接続は、手首64がジョイント66で第2のアーム領域58に対して垂直方向にのみ回動されるように制限されている。基板ホルダ52は、矢印A5に示すように、手首64の上部に回動自在に接続している。この接続も、基板ホルダ52がこの接続で手首64に対して水平方向においてのみ回動するように、制限されている。
【0017】
図3は、右下の処理モジュール27に基板Sを挿入しようとしている位置Bにある搬送機構34を示す。図3は、右上の処理モジュール26に基板Sを挿入しようとしている異なる位置Cにある点線で示された搬送機構34も示す。位置Bおよび位置Cを比較するときに気付くように、位置Bおよび位置Cにおいて、基板ホルダ52はそれぞれ水平な高さにある。具体的には、搬送機構34は、基板ホルダを搬送機構34のあらゆる位置において水平レベルに維持する。これは、基板Sの基板ホルダ52での移動を防ぐのに有効である。図4に、ジョイント62の領域を示す。分かるように、第1のアーム領域56は、内部を挿通するチャネル68を有する。第2のアーム領域58は、シャフト70によって第1のアーム領域56に接続されている。シャフト70は、ジョイントで真空シール72によって第2のアーム領域58にしっかりと接続している。シャフト70は、第1のアーム領域56へと延在して、2つのベアリング74によって回転自在に接続されている。磁性流体(ferrofluidic)シール76やリップシール等の大気に対する真空シール(atmospheric to vacuum seal)が、シャフト70の入り口で第1のアーム領域56に向けて設けられている。シャフト70は、内部を挿通するチャネル78を有し、第2のアーム領域58は、内部を通過するチャネル80を有する。3つのチャネル68、78、80は、制御ケーブル82をアーム50を経由して手首64及び基板ホルダ52にまで通過させるためのパスを形成する。第1のアーム領域56に、ジョイント移動制御領域84が位置する。図示した実施例において、ジョイント移動制御領域84は、第1のアーム領域56に対してシャフト70を軸方向に回転させるのに適している電気モータである。ジョイント移動制御領域84は、制御ケーブル82の部分82’に接続している。図示した実施例において、制御ケーブル82は、コントローラ54および電源まで回転自在ドライバ48を介して延在する電気ケーブルである。ジョイント60での回転自在ドライバ48への第1のアーム領域56の接続は、ジョイント62の場合と実質的に同一である。同様に、ジョイント66での第2のアーム領域58の端部への手首64の接続は、ジョイント62の場合と実質的に同一である。しかし、他の実施例において、任意のタイプの機械的ジョイント構造や接続を、3つのジョイント60、62、66で行うことができる。更に、ジョイント構造は、実質的に同一である必要はない。ジョイント移動制御領域84は、電気モータと記載したが、2つの部材の相対位置を知らせる電気位置センサやエンコーダ84aを含む。他の実施例において、位置エンコーダは光である。制御ケーブル82は、流体または気体用の導管を含むことがある。チャネル68、78、80も、基板Sの基板ホルダ52に対する保持を支援する装置や機構(図示せず)に関しては、基板ホルダ52との接続用に、内部を延在する別のケーブルや導管を有することがある。手首64も、水平回転領域65を含み、水平回転領域65は、基板ホルダ52に接続されて、矢印A5に示すように回転する。搬送チャンバ32は、好ましくは空気の無い状態、すなわち真空に維持されている。しかし、チャネル68、78、80は、好ましくは大気に開放されている。これが、シール72、76および他のシール(図示せず)がジョイントにて設けられる理由である。チャネル68、78、80は、好ましくは、搬送チャンバ32の真空から密封されて、アームにある制御ケーブル及び他の制御部材を保護すると共に、チャンバ32の環境を保護する。アームにある制御ケーブル及び他の制御部材は、チャンバ23から分離して維持されて、モジュール26−29からチャンバ32に入ることがある腐食ガスからの腐食を防ぎ、モジュールから極端な高温および低温の有害な影響を防止し、電気ノイズ干渉から制御部材を隔離する。チャンバ32の真空環境は、ジョイントの制御部材及び潤滑油によって汚染物質粒子またはガスの影響から保護されている。しかし、他の実施例において、チャネル68、78、80を真空に維持しても良い。
【0018】
上述のように、基板ホルダ52は、水平レベルに維持されて、基板Sのホルダ上での移動を防止すべきである。これをなしとげるために、コントローラ54は、2つのアーム領域56、58の相対位置に基づいて、さらに、回転可能ドライバ48に対する第1のアーム領域56の位置に基づいて、枢軸点66でのアーム50に対する手首64の回転を自動制御する。最初の2つのジョイント60、62にある位置センサは、回転可能ドライバ48と、第1のアーム領域56と、これに対する第2のアーム領域58との位置を、コントローラ54に信号を送る。コントローラ54は、基板ホルダ52を水平面内に置くために、予めプログラムされた情報に基づいて、第2のアーム領域58に対する手首64の位置を選択するように予めプログラムされている。他の実施例において、コントローラは、部材48、56、58の検出された位置に基づいたアルゴリズムを使用することがある。他の実施例において、手首64は、能動自己制御水平レベル化装置を有することができる。さらに他の実施例において、例えば、基板がホルダによって積極的に把持される場合、非水平基板移動に対応していることもある。さらに他の実施例において、装置22は、本発明に引用されている米国特許第5,279,309号に記載されているような、3次元ビーコン・光センサを有することができる。
【0019】
搬送機構34は、コントローラ54によって制御されて、処理モジュール26、27、28、29およびエレベータモジュール30、31に対してほぼ直線的に基板ホルダ52を移動させる。これを行うために、水平回転領域65および回転自在ドライバ48は、アーム50が伸縮されてアーム50の他の点では放射状の移動を補正すると回転される。例えば、図2Aおよび図2Bを参照すると、アーム50が、図2Aに示す収縮位置から図2Bに示す伸長位置に伸長するとき、回転可能ドライバ48は、矢印A1aに示すように回転され、水平回転領域65は、矢印A5aに示すように回転される。回転A1a,A5aの速度は、アーム50のアーム領域の回転に基づいてコントローラ54によって制御され、故に、基板ホルダ52および基板Sは、ほぼ直線状のパスに沿って処理モジュール28に挿入される。同様に、アーム50が、図2Bに示す伸長位置から図2Aに示す収縮位置に縮むとき、回転自在ドライバ48は、矢印A1bに示すように回転され、水平回転領域65は、矢印A5bに示すように回転される。これによって、処理モジュール28内部からの基板ホルダのほぼ直線的な引き込みが可能になる。基板ホルダ52が左下方の処理モジュール29に対して出し入れされるとき、同様の補償回転が行われる。図2Cおよび図2Dに、右上方の処理モジュール26に対するアーム50の伸縮を示す。アームが伸長する間、補償回転A1cおよびA5cが行われる。アームが縮む間、補償回転A1dおよびA5dが行われる。同様の補償回転は、右下方の処理モジュール27に対しても行われる。同様に、同様の補償回転が、エレベータモジュール30、31に対する挿入及び引き出しに対して行われる。他の実施例において、モジュール26−31が適切に配置されて、伸長および収縮の搬送機構の未補償移動パスに対して適切な入口を有する場合は、回転自在ドライバ48および水平回転領域65による補償回転は、行う必要はない。他の実施例において、コントローラが水平回転領域65および回転自在ドライバ48を動かして補償回転を行うよりは、補償回転は、アーム領域56、58の移動に基づいて、機械的にドライバ48及び領域65を回転させるアーム50への直接機械的結合によって行うこともできる。これは、本発明に引用されている米国特許第5,431,529号にて開示されるような、ギアやベルト、バンドなどの手段によって行われる。アーム領域56、58が回動するときに基板ホルダを垂直方向に移動させるアーム50の能力によって、搬送機構34は、モジュール26‐31において基板を上下動させるために、回転自在ドライバ48を鉛直方向に可動とすることは必要ではない。しかし、回転自在ドライバ48は、必要に応じて鉛直運動機構を含む。他の実施例において、手首64は、コントローラ54に接続された垂直移動体(mover)を含み、モジュール26−31において基板ホルダ52を鉛直方向に上下動せしめる。他の実施例において、アーム50は、3つ以上のアーム領域を含むことがある。回動アーム領域に加えて関節を有するアーム領域を設けることもできる。本発明に引用している米国特許出願第08/587087号に開示されるように、一度に基板に保持して搬送できる基板ホルダを使用することともできる。
【0020】
図5Aおよび図5Bに、本発明の他の実施例を示す。基板処理装置100は、図1に示される装置10と同様な上面を有する。しかし、装置100は、8つの処理モジュール102と、ほぼ六角形状の搬送チャンバ104と、搬送機構106と、4つのエレベータモジュール108とを有する。図5Bに示すように、装置100は、処理モジュール102を2つの高さD,Eに有する。処理モジュール102は、4つの位置F、G、H、Iに配置され、各位置において2つのモジュール102が積層されている。搬送機構106は、図3に示す機構34とほぼ同じである。しかし、本実施例において、第1のアーム領域110は、回転自在ドライバ112に対して中央に取り付けられている。更に、第2のアーム領域114は、第1のアーム領域の中心軸と同じ平面に中心軸を有するように、第1のアーム領域110に取り付けられる。しかし、適宜の鉛直回動アーム構成を形成することもできる。図1を図5Aと比較すると分かるように、装置100の軌跡は、装置10の軌跡と同じである。しかし、装置100は、2倍の基板処理モジュールを有し、故に、装置10よりも床面積当たり高いスループットを有する。
【0021】
図6に、他の実施例を示す。本実施例において、基板処理装置200は、搬送機構202以外は図2に示す装置22とほぼ同じである。装置200は、搬送チャンバ32と、4つの処理モジュール26−29と、2つのエレベータモジュール30、31とを有する。搬送機構202は、主回転装置204と、2つの副回転装置206と、2本のアーム208と、2つの基板ホルダ210とを含む。主回転装置204は、時計回りまたは反時計回りのいずれかの方向に、副回転装置206およびアーム208を回転させることができる。2つの副回転装置206は、独立に回転自在である。したがって、主回転装置は、エレベータモジュール30、31と処理モジュール26−29との間で基板を移動させるために使う必要がない。このタイプの実施例により、スループットを増加させることができる。図2に示す装置は、図6に示すような2つの別々の基板ホルダよりは、複数基板のホルダを有することができる。勿論、モジュール26−31は、複数の基板と複数基板のホルダとを収容するように構成することが必要である。
【0022】
図7に、他の実施例を示す。本実施例において、搬送機構220は、3本のアーム222、224、226と、関節を有する手首228と、基板ホルダ229と、垂直移動体230とを有する。基板処理装置も、垂直円筒体に処理モジュール232を3つの高さに有する。移動体230は、第1のアーム222を鉛直方向に上下動させるように構成されている。第1のアーム222は、実質的に鉛直方向に維持され、移動体も、第1のアーム222を軸中心に回転せしめて、アーム224、226と、手首228と、ホルダ229とを第1のアーム222の中心軸を中心として回転せしめる。アーム224、226の回動と組み合わせた第1のアーム222の鉛直移動によって、垂直方向の高さが異なる3つのモジュール232に対する基板ホルダ229の出し入れを行うことができる。もちろん、処理モジュールを、4つ以上の異なる高さに設けることもできる。更に、ある高さのモジュールが次の高さのものに対してずれているように、モジュールは、鉛直方向においてアライメントされている必要はない。これは、モジュールへのダクト線に対して必要とされるか、または操作するためにモジュールのモータに対して領域を設けるために必要とされる。
【0023】
図8に、関節を有する手首250の他の実施例を示す。本実施例において、第2のアーム領域58は、矢印A48に示すように、手首250の上部に回動自在に接続されている。水平回転領域252は、手首250の底部に位置して、矢印A58に示すように回転できる。このタイプの実施例について、基板ホルダ254は、主回転装置を中心としてアームを回転させずに、処理装置の対向する側部の間に移動することができる。アームは、振り子と同様に、手首250を前後に揺動せしめるのみであり、回転装置252は、基板ホルダ254の向きを変える。他の実施例において、関節を有する適宜のタイプの手首を設けることができる。
【0024】
なお、上記説明は、本発明を説明するのみである。さまざまな代替例および変形例が、当業者によって本発明の請求の範囲から逸脱せずに導出されるものである。それ故に、本発明は、請求の範囲に含まれる様々な代替例、変形例を含むものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板処理装置であって、
搬送チャンバ及び基板搬送機構を有する基板搬送部と、
前記搬送チャンバに固定的に接続されている基板処理チャンバと、を含み、
前記基板処理チャンバの各々は鉛直高さの異なる少なくとも2つの水平面内に配され、前記鉛直高さの異なる水平面の各々は、互いに90°未満の角度をなしている少なくとも2つの基板処理チャンバを有し、当該鉛直方向において異なる位置にある少なくとも2つの基板処理チャンバの各々は、閉鎖可能取り付け具の各々によって前記搬送チャンバに別々かつ独立に取り付けられて、別々かつ独立している隔離基板処理領域を当該鉛直方向において異なる位置にある少なくとも2つの基板処理チャンバ内部に形成し、
前記基板処理装置は、前記基板搬送機構を移動させて前記鉛直高さの異なる水平面において前記基板処理チャンバに基板を挿入しかつ前記基板処理チャンバから基板を取り出すコントローラをさらに含むことを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の基板処理装置であって、当該鉛直方向において異なる位置にある少なくとも2つの基板処理チャンバの各々が、前記搬送チャンバに固定的に接続されている別々のフレームを有することを特徴とする基板処理装置。
【請求項3】
請求項1に記載の基板処理装置であって、当該鉛直方向において異なる位置にある少なくとも2つの基板処理チャンバが、互いに少なくとも部分的に鉛直方向に整列していることを特徴とする基板処理装置。
【請求項4】
請求項1に記載の基板処理装置であって、当該鉛直方向において異なる位置にある少なくとも2つの基板処理チャンバのうちの少なくとも1つから鉛直方向にオフセットしておりかつ前記搬送チャンバに接続されている第3の基板処理チャンバをさらに含み、当該鉛直方向において異なる位置にある少なくとも2つの基板処理チャンバのうちの少なくとも1つ及び前記第3の基板処理チャンバの各々への基板の挿入及び基板の取り出しが、各々2つの異なった鉛直高さでなされることを特徴とする基板処理装置。
【請求項5】
請求項1に記載の基板処理装置であって、当該鉛直方向において異なる位置にある少なくとも2つの基板処理チャンバが互いに少なくとも部分的に水平方向にオフセットしていることを特徴とする基板処理装置。
【請求項6】
請求項1に記載の基板処理装置であって、前記水平面内にある少なくとも2つの基板処理チャンバの各々が中心線を有し、前記中心線が前記基板搬送部の回転軸において互いに交差していることを特徴とする基板処理装置。
【請求項7】
請求項1に記載の基板処理装置であって、前記鉛直高さの異なる少なくとも2つの水平面内に配されておりかつ前記搬送チャンバに結合されている少なくとも2つのエレベータモジュールをさらに含み、当該鉛直方向において異なる位置にあるエレベータモジュールの各々は基板カセットを保持し、前記エレベータモジュールの各々は、前記エレベータモジュール内に前記基板カセットを取り込みかつ外部雰囲気から前記エレベータモジュールを封止する第1の可動ゲートと、前記基板を通過させて前記搬送チャンバの雰囲気にて前記基板を前記搬送チャンバ内に取り込む第2の可動ゲートと、を含むことを特徴とする基板処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−139098(P2011−139098A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−75610(P2011−75610)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【分割の表示】特願2008−151727(P2008−151727)の分割
【原出願日】平成9年4月23日(1997.4.23)
【出願人】(398029692)ブルックス オートメーション インコーポレイテッド (81)
【Fターム(参考)】