説明

マルチ試薬パック

マルチ試薬パックは、複数の試薬区画を有し、また、その試薬区画から試薬を使用する特定の試験プロトコルに関係するデータを担持する読取り書込みメモリーチップをさらに含む。データを、試薬パックと解析装置の間で、および任意にさらに供給元に、転送することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2002年5月28日出願の米国仮特許出願第60/383,896号、および2002年5月29日出願の国際特許出願第PCT/US02/17006号の恩恵を主張し、その両方を参照により本明細書に組み込む。
【0002】
本発明の分野は、保管装置、特に自動解析装置に関する場合の保管装置である。
【背景技術】
【0003】
ゲノミクス研究およびプロテオミクス研究は、解析に利用可能な、莫大な数のヌクレオチド配列およびペプチド配列を見出した。その結果、近年、莫大な数の知られている遺伝子または知られているポリペプチドの存在および/または量に関する、試料の高速大量スクリーニングが、大きな関心を呼んでいる。高速大量処理装置の数が増え続ける中、スクリーニング中の操作者の介入を軽減する試薬の管理が、ますます重要になり、試薬管理の数多くの構成および方法が、当技術で知られている。
【0004】
例えば、さまざまな高速大量スクリーニングの装置が、液体ポートを使用し、この液体ポートが、外部に取り付けられたリザーバから流体管路を介して試薬を受け取る。外部に取り付けられたリザーバは、分析器に供給することのできる試薬の総量を有利に増大させ、かつ一般に、リザーバの容量によってしか制限されない。しかし、このような構成の分析器は、リザーバを再充填するための操作者の介入なく、比較的長期間にわたって操作することができるが、様々な試薬必要量で行う多数試験の手順に対して、同一の分析器を使用する場合は、外部に取り付けられたリザーバは、実用不可能である。
【0005】
他の例では、試薬を、標準的なマルチウエルプレートに事前に充填することができ、これをロボット装置に挿入する。このような構成は、様々な試薬必要量で行う多数試験の手順に、迅速に適応できるかに関する諸問題を、通常克服するものである。しかし、マルチウエルプレートにおけるリザーバの大きさによって、利用可能な量が、比較的制限される。さらに、このようなシステムは、通常、マルチウエルプレートの取扱い能力を必要とする。さらに、マルチウエルプレートは、不適切な使用を回避するために、(たいていの場合バーコードによって)ラベル付けをしなければならない。
【0006】
バーコードによるラベル付けは、比較的簡単であり、したがって、高速大量スクリーニングで一般に使用されている。しかし特に流体が取り扱われる場合、バーコードは汚れることがあり、または容器が繰り返し使用される場合には機械的な品質低下を起こすことがある。このような問題を克服するために、Konradは、その公開された米国特許出願第2001/0021356号で、(キャップ内の、および/または試験管内に埋め込まれた)マイクロチップを備える試験管について記述している。操作者は、コンピュータを使用して、(患者名または分析結果などの)データを、好ましくは音声認識プログラムを介して、マイクロチップにアップロードする。このような構成は、バーコードラベルに関連した諸問題の少なくとも一部を解決するが、様々な欠点もなお残る。中でも、データの正しい選択およびアップロードは、依然として操作者が行わねばならず、これは誤操作を招きかねない。さらに、操作者は依然として、試験管が適切な試験手順で使用されることを確認しなければならない。したがって、操作者は、試験管を適切な分析器に挿入する前に、チップの情報を読まなければならない。なおさらに、チップのデータは、操作者が装置に保存されたデータを更新するまでそのままであるので、操作者の介入を大きく増大させることになる。
【0007】
このように、試薬容器用の様々なシステムが当技術で知られているが、多数の問題がなおも残っている。したがって、改良された試薬取扱い方法およびシステム、特に自動解析装置用の試薬取扱いがなお必要である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、読取り書込みメモリーチップが、データを解析装置に供給し、解析装置からデータを受け取るマルチ試薬パックの構成および方法であって、多数試験の手順の過程にわたって、データが解析装置によって修正される、マルチ試薬パックの構成および方法を対象とする。修正データを使用して、特定条件の使用者に注意を喚起して、マルチ試薬パックの未許可の使用/再充填を防ぎ、さらに任意に、その解析装置を介して修正データが供給元に転送されることが好ましい。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の主題の一態様で、使い捨てマルチ試薬パックは、第1の区画および第2の区画を含むハウジングを有し、第1の区画および第2の区画は、それぞれ第1の事前充填された試薬および第2の事前充填された試薬を含む。このような装置は、閉鎖要素を含み、その閉鎖要素は、ハウジングに連結され、第1の位置と第2の位置の間で移動可能であり、マルチ試薬パックが解析装置に配設される時、閉鎖要素が、アクチュエータによって第1の位置と第2の位置との間で移動され、閉鎖要素が第2の位置にある時、第1の区画および第2の区画の少なくとも一方が、ピペットにアクセス可能であることがさらに好ましい。読取り書込みメモリーチップは、マルチ試薬パックの特定情報、試薬の特定情報、試験の特定情報、ロックコード、および時系列的情報のうちの少なくとも1つを、解析装置に供給し、解析装置は、試薬の特定情報、ロックコード、および時系列的情報のうちの少なくとも1つを、読取り書込みメモリーチップに供給する。
【0010】
特に想定されるマルチ試薬パックの特定情報は、個別の識別子、マルチ試薬パックの製造年月日、第1および第2の事前充填された試薬で利用可能な試験手順のリスト、環境パラメータ、および/あるいは、第1および/または第2の事前充填された試薬の保管期限を含む。特に、好ましい試薬の特定情報は、化学組成、充填年月日、元の充填容積、および/あるいは、第1および第2の事前充填された試薬の位置情報、および/あるいは、第1および/または第2の事前充填された試薬の残りの容積を含む。
【0011】
同様に、好ましい試験の特定情報は、第1および第2の事前充填された試薬の少なくとも1つを使用する試験手順、マルチ試薬パックを使用する試験手順の許容最大数、較正データ、および/またはロックコード含み、好ましい時系列的情報は、閉鎖要素が第2の位置にあった累積時間、またはマルチ試薬パックの最初の使用から経過した時間を含む。好ましいロックコードは、マルチ試薬パックのさらなる使用を禁止することができ、またはユーザパスワードを使用して、消去することができる。
【0012】
想定される装置は、読取り書込みメモリーチップと解析装置の少なくとも一方からデータを受け取る供給元に、電子的に結合されたデータ転送インタフェースをさらに含むことができ、このようなデータを使用して、別のマルチ試薬パックの配送を開始し、または第1および第2の事前充填された試薬の少なくとも1つへの需要を予測することができる。試薬に関しては、様々な試薬を、マルチ試薬パックで使用することができることが認識されるべきであり、適切な事前充填された試薬には、分光検出可能な薬剤、蛍光検出可能な薬剤、光度検出可能な(luminometrically detectable)薬剤、放射検出可能な薬剤、核酸、ポリペプチド、および/または緩衝剤が含まれる。
【0013】
本発明の主題の他の態様では、マルチ試薬パックは、第1の事前充填された試薬および第2の事前充填された試薬を有し、読取り書込みメモリーチップをさらに含み、読取り書込みメモリーチップは、第1および第2の事前充填された試薬の算出された容積の情報を解析装置に供給し、算出された容積の情報は、解析装置によって、解析装置でのマルチ試薬パックの第1および第2の事前充填された試薬の過去の消費量を使用して作られ、算出された容積の情報は、解析装置によって、読取り書込みメモリーチップに書き込まれる。
【0014】
最も好ましくは、算出された容積の情報は、解析装置によって、読取り書込みメモリーチップによって供給された最初の容積情報を使用して計算され、解析装置は、解析装置でのマルチ試薬パックのさらなる使用を防止するロックコードを作り出す(例えば、ロックコードが、解析装置によって読取り書込みメモリーチップに書き込まれる)。別法としてまたは追加として、解析装置を、試験手順を実行するようにプログラムすることができ、検証シーケンスが、第1および第2の事前充填された試薬の試薬必要量を算出し、第1および第2の事前充填された試薬の試薬必要量が、第1および第2の事前充填された試薬の算出された容積の情報よりも大きい場合、試験手順は実行されない。必要に応じて、想定される解析装置は、読取り書込みメモリーチップと解析装置の少なくとも一方からデータを受け取る供給元に、電子的に結合されたデータ転送インタフェースをさらに含むことができる(例えば、別のマルチ試薬パックの配送を開始し、または第1および第2の事前充填された試薬の少なくとも1つへの需要を予測する)。
【0015】
本発明の主題のさらに他の態様では、マルチ試薬パックは、第1の事前充填された試薬および第2の事前充填された試薬を有し、読取り書込みメモリーチップをさらに有し、その読取り書込みメモリーチップは、第1および第2の事前充填された試薬の少なくとも1つに固有の較正データを供給する。このような装置では、読取り書込みメモリーチップが解析装置に、第1および第2の事前充填された試薬を使用する試験手順のためのプロトコル、または、第1および第2の事前充填された試薬を使用する試験手順を開始する識別子をさらに提供することが好ましい。別法としてまたは追加として、このような装置は、供給元に電子的に結合されたデータ転送インタフェースをさらに備えることができ、供給元は、読取り書込みメモリーチップと解析装置の少なくとも一方に、データ更新を供給する(例えば、第1および第2の事前充填された試薬を使用する試験手順のための、訂正された較正データまたは修正プロトコルなど)。
【0016】
本発明の様々な目的、特徴、態様および利点が、本発明の好ましい実施形態の以下の詳しい記述とともに、同様の符号が同様の構成要素を表す添付の図面からより明らかになろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本明細書で使用する用語「使い捨てマルチ試薬パック」とは、少なくとも2つの物理的に(例えば別個の容器によって)分離された試薬を有する装置を指し、所定回数を使用されると、または試薬の量が最小限度に達すると、その装置の操作者は、装置を廃棄する。別法として、使用者が、装置を供給元に送付し、供給元が装置に再充填することもできる。このように、また異なった観点から見ても、使い捨てマルチ試薬パックは、所定回数を使用されると、または試薬の量が最小限度に達すると、操作者によって再充填されることはない。
【0018】
本明細書でさらに使用する用語「事前充填された試薬」とは、一般に操作者とは別の人によって、最も一般的にはマルチ試薬パックの商業的供給元によって、マルチ試薬パックに充填される試薬を指す。したがって、操作者によってマルチ試薬パック内に充填される、または使用場所(例えば病院または研究室)における患者の試料(例えば血液試料)、緩衝剤、または検出試薬は、事前充填された試薬とは見なさない。用語「商業的供給元」および「供給元」とは、本明細書では交換可能に使用され、試薬の少なくとも1つ、最も一般的にはマルチ試薬パックの試薬の少なくとも1つを販売するエンティティを指す。
【0019】
改良されたマルチ試薬パックは、ハウジングに、少なくとも2つ、より一般的には4つから8つの区画を含み、そのハウジングは、読取り書込みメモリーチップおよび閉鎖要素をなおさらに含むことが一般に想定される。さらに詳しくは、また図1に示すように、例示的なマルチ試薬パック100が有するハウジング110は、滑動蓋カバー112と、(開口部からは一部しか見ることができない)試薬区画を含む本体114とを備える。蓋112が有する開口部112A〜112Hは、蓋が開放位置にある時、(図示しない)ピペットの、試薬区画へのアクセスを提供する。密閉要素112I〜112Qは、蓋が閉鎖位置にある時、試薬区画を密閉して閉鎖する。(任意にCPUおよび/または電源に結合された)読取り書込みメモリーチップ120は、本体114に結合される。
【0020】
マルチ試薬パックの大きさおよび形状に関しては、特定の寸法および形状は、一般に特定の解析装置に応じて決まることを認識されたい。例えば、比較的大きな試薬の容積および/または数多くのタイプの試薬が必要な場合、その寸法は、最大1000cmであることができる(またさらにそれを超える)。しかしより一般的には、マルチ試薬パックの想定される寸法は、およそ50〜500cmの(または必要に応じてそれよりも小さい)範囲内であろう。同様に、特定の試薬容器の形状を、全体として箱形状の構成に限定する必要がないことも認識されたい。例えば、代替的な容器の形状は、特に円筒形状も含む。
【0021】
したがって、想定されるマルチ試薬パックの試薬区画の数、寸法、および容積は、大幅に変化する場合があり、また、適切なマルチ試薬パックは、1から20、より一般的には2から10、最も一般的には4から8の試薬区画を有することができることが、一般に想定される。一般的には、試薬区画の寸法と容積は同一であろうが、異なった寸法および容積の試薬区画も想定される。さらに、試薬区画の配置は、本明細書で提示する本発明の主題にとって重要ではないことを理解されたい。このように、試薬区画は、一般に順次に配置されるが、代替的な配置も、本体および/またはマルチ試薬パックの代替的形状によって決定されることができる。試薬区画の数、容積、および構成に応じて、想定されるマルチ試薬パックの本体の形状は、大幅に変化することを理解されたい。しかし、本体および閉鎖要素は共に、箱形状または円筒形状を有することが一般的に好ましい。
【0022】
その結果、閉鎖要素は、滑動蓋カバーに限定される必要はなく、閉鎖要素が、一時、全区画の完全な(最も好ましくは耐液の)閉鎖を可能にし、また別の時に、容器内の試薬の少なくとも一部に、液体取扱い装置(例えば、ピペット、攪拌装置、試料ホルダなど)がアクセスできるように、少なくとも1つの容器を開けることを可能にする限り、容器を一時的に閉鎖する全ての知られている方法が、適切であると考えられる。したがって、またマルチ試薬パックが箱形状を有する場合は特に、適切な閉鎖要素は、滑動蓋(または、開口部を備えた柔軟な/可動のカバー要素を含む他のカバー要素)を含む。他方、マルチ試薬パックが円筒形状を有する場合は、閉鎖要素は、一度に1つまたは複数の容器の試薬にアクセスすることを可能にする、1つまたは複数の開口部を備えた回転カバーであることもできることが想定される。なおさらに、特に想定される閉鎖要素は、本体および/または試薬区画と密閉係合して、マルチ試薬パック内に試薬が存在しながら、マルチ試薬パックの出荷および輸送を可能にする。しかし別法として、区画の少なくとも1つが、試薬区画内の試薬の、液漏れ防止の封入のための、追加の取り外し可能な閉鎖カバーを有することも想定される。
【0023】
本発明の主題の特に好ましい態様では、閉鎖要素が、第1の位置と第2の位置との間で、解析装置のアクチュエータによって移動されて、完全に自動化された方法で、(複数の)試薬区画の開閉を可能にする。そのため、マルチ試薬パックの閉鎖要素は、マルチ試薬パックが解析装置に配設される(例えば、解析装置によってその全体が封入される)間に、作動されることを認識されたい。しかし、あまり好ましくない態様では、試験手順を開始する前に、操作者が閉鎖要素を開くことが(または取り除くことさえも)できる。例示的解析装置200を図2に表すが、複数のマルチ試薬パック210が、解析装置内で配設され、かつアクチュエータ220によって開けられ、また、電子インタフェース230が、マルチ試薬パックの(図示しない)読取り書込みメモリーチップと通信する。我々の同時係属の国際特許出願第PCT/US02/17006号(2002年5月29日出願、上述)に、例示的な解析装置を記述している。
【0024】
使い捨てマルチ試薬パックの適切な材料には、天然高分子および合成高分子、金属、合金、炭素繊維ベースの材料、ならびにそれらの妥当な全ての組み合わせが含まれる。しかし、マルチ試薬パックは、大部分は、少なくともいくらかの化学分解に対する抵抗性を有して、ポリエチレン、ポリスチレン、または他の低コスト材料から製造されることが一般に好ましい。このように、想定されるマルチ試薬パックは、望ましい物理化学特性を付与する特定の被覆物(例えば、光から保護するカーボンブラック)で被覆されることもでき、あるいは、望ましい物理化学的特性を付与する補助物質(例えば、熱伝導のためのアルミニウムの鑢粉)を含むこともできる。
【0025】
事前充填される試薬に関しては、事前充填される試薬の化学組成および容積には、大幅に異なることができることを理解されたく、分析試験手順用の全ての知られている試薬が、ここで使用するのに適切であると見なされる。そのため、適切な試薬には、水性試薬(例えば、緩衝剤、酵素基質溶液、核酸、またはポリペプチド含有溶液など)、ならびに非水性試薬(例えば、シンチレーション溶液、親油性溶剤など)が含まれる。他の観点から言うと、適切な試薬には、分析試験手順で様々な機能を実行するのに使用される全ての試薬が含まれ、pHを調整/維持する緩衝剤、非結合組成物および/または未反応組成物を除去する洗浄溶液、定量化可能な信号をもたらす基質含有溶液(例えば蛍光基質、発色団基質、光遺伝子基質)、消光溶液、および試験手順で生成された信号を標準化する較正溶液を含む。当然ながら、試薬区画を空にして、汚れた、または他の問題のある流体(例えば、処理する前に殺菌しなければならない流体、放射性廃棄流体)を受け取るようにできることも、なおさらに理解されたい。なお他の例では、適切な試薬は、消毒剤、および分析物の決定に直接関連しない他の試薬も含むことができる。例えば、漂白剤を試薬として使用して、バイオチップを、処理前に殺菌することもできる。別法として、蒸発を少なくとも部分的に制御するように、保湿剤を含むことができる。
【0026】
本発明の主題によるマルチ試薬パックは、メモリーチップを含み、メモリーチップは、マルチ試薬パックに関する情報と、マルチ試薬パックを使用する試験手順と、(以下に述べる)他の情報とを、少なくとも一時的に記憶することをさらに想定することができる。読取り専用メモリーチップが、はっきりと除外される訳ではないが、メモリーチップは、読取り書込みメモリーチップであることが一般に好ましい。数多くの読取り書込みメモリーチップが当技術で知られているが、そのようなメモリーチップの全てが、ここで使用するのに適切であると見なされる。しかし、特に適切な読取り書込みメモリーチップは、非揮発性の読取り書込みメモリーチップを含む。メモリーチップに記憶される特定の情報に応じて、そのようなチップの容量は、大幅に変化する場合があることが想定される。例えば、メモリーチップが、特定の試験手順を実行するためのルーチンおよび較正曲線を記憶する場合、128Kbないしそれより大きな容量が適切であると考えられる。他方、チップに比較的少しの情報しか記憶されかつ/または書き込まれない場合は、32Kb以下の容量が想定される。
【0027】
本発明の主題の特に好ましい態様では、読取り書込みメモリーチップは、マルチ試薬パックの特定情報、試薬の特定情報、試験の特定情報、ロックコードおよび/または時系列的情報を解析装置に供給し、解析装置は、試薬の特定情報、ロックコード、および時系列的情報のうちの少なくとも1つを、読取り書込みメモリーチップに供給する。例えば、解析装置の操作者(またはデータ転送要素を介して操作者以外の人)によって、品質制御または他の製造に関する情報が所望される場合、適切なマルチ試薬パックの特定情報は、マルチ試薬パックの個別の識別子、マルチ試薬パックの製造年月日、および/あるいは、第1および/または第2の事前充填された試薬の保管期限を含むことが想定される。他の例では、想定されるマルチ試薬パックの特定情報には、マルチ試薬パックの第1および第2の事前充填された試薬で利用可能な試験手順のリスト、またはマルチ試薬パックを使用する試験手順のためのマニュアルまたはチェックリストも含むことができる。なおさらに想定される態様では、マルチ試薬パックの特定情報は、マルチ試薬パックに対する特に重要な操作および/または環境パラメータ(例えば、記録された使用履歴、推奨される保管条件、記録された保管履歴など)を含むことができる。
【0028】
同様に、チップが、試薬の特定情報を供給しかつ/または受け取ることも想定され、その場合、特に想定される試薬特定情報は、マルチ試薬パックの第1および第2の事前充填された試薬の化学組成および/または位置情報を含む。試薬の特定情報のさらなる例には、充填年月日、元の充填容積、および/あるいは、マルチ試薬パック使用の任意の時間中の、第1および/または第2の事前充填された試薬の残存容積がある。
【0029】
必要に応じて、チップは、試験の特定情報を受け取りかつ/または供給することもできる。例えば、試験の特定情報は、第1および第2の事前充填された試薬の少なくとも1つを使用する試験手順、またはその試験手順に対する参照コードを含むことができる(参照コードは、解析装置に記憶された試験手順を始動させる)。なおさらに想定される適切な試験の特定情報の例では、特に、供給元が未許可の再充填を管理することを望む場合、チップは、マルチ試薬パックを使用する許容最大数の試験手順を、解析装置から受け取り、または解析装置に供給できることが想定される。
【0030】
例えば、20回の試験手順に関して構成された、過去に使用されなかったマルチ試薬パックのチップは、過去に試験が実行されなかった情報、またはこのマルチ試薬パックを使用する20回の試験を行うことができるという情報を、解析装置に供給する。解析装置が、特定数の試験手順を完了すると、解析装置は、特定数の試験が実行されたことをチップに書き込み、あるいは、カウントダウン設定をそれに応じて調整して、次の使用の前に、20回から特定数を差し引いた数の試験をなお行うことができること、または、カウントダウン設定によって指示された特定数の試験をなお行うことができることを、装置に知らせる。当然ながら、チップによって記憶/供給される全てのデータを用いて、類似のデータ交換および/またはデータ修正が実行できることを理解されたい。
【0031】
本発明の主題のさらに他の好ましい態様では、チップは、較正データも含むことができることが想定され、そのような較正データは、マルチ試薬パックの第1および/または第2の試薬に関係するものであることが特に好ましい。例えば、第1の試薬が、光学的に出検出可能なラベルを備える場合、そのような第1の試薬を使用して過去に確立された較正曲線を、製造者がチップに書き込んで、例えばラベルの濃度偏差を明らかにすることができる。別法としてまたは追加として、較正データを、チップに記憶された他のデータと併せて使用することもできる。例えば、チップが、時系列的情報(例えば、閉鎖要素が、ある特定の試薬に対して開いていた累積時間、または最初の使用の年月日/時間、または最後の使用から経過した時間など)を受け取り/供給する場合、試験結果を、そのような情報を使用して標準化することができる。このような較正は、容器が開けられると試薬が品質低下を起こし、または時間と共に崩壊する場合に、特に有利である。
【0032】
さらに、必要に応じて、チップは、マルチ試薬パックのさらなる使用を禁止するロックコードも含むことができる。例えば、試薬パックの使用が、選択された操作者に限られる場合、解析装置は、ロックコードを、チップに過去に記憶されたロックコードと比較することができる(例えば、ロックコードは、操作者がパスワードを使用して変更または消去することができる)。他の例では、解析装置は、チップにロックコードを書き込んで、1つまたは複数の試薬の条件に応じて、マルチ試薬パックのさらなる使用を防止することができる。例えば、マルチ試薬パックが、ある特定の試験手順に関して構成される場合、および少なくとも1つの試薬が、その試験に充分な量を満たしていないという情報を、チップが解析装置に供給する場合、解析装置は、ロックコードをチップに書き込むことによってさらなる使用を禁止することができる。別法として、試薬の完全さを確定するために、少なくとも1つの試薬が、試験手順を内部制御するものとして使用される場合、解析装置が、望ましい試薬の量より少ないものしか検出しない場合、解析装置は、ロックコードをチップに書き込むことによってさらなる使用を防止することができる。
【0033】
本発明の主題の数多くの態様において、様々なデータが、読取り書込みチップと解析装置との間で交換され、かつ/または解析装置によって(または読取り書込みチップによっても)修正されるが、データ転送インタフェースを解析装置で使用して、読取り書込みチップにデータを供給し、かつ/または読取り書込みチップから受け取るようにできることも認識されたい(例えば、適切なデータ転送インタフェースには、電話、DSL、またはケーブルモデム、無線ネットワーク、およびローカルネットワークに結合されたハブなどがある)。
【0034】
例えば、特に好ましい一態様では、データ転送インタフェースは、供給元と電子的に結合され、供給元が、読取り書込みチップおよび/または解析装置からデータを受け取って、他のマルチ試薬パックの配送を開始し、または第1および第2の事前充填された試薬の少なくとも1つへの需要を予測することができる。別法として、データ転送インタフェースを使用して、操作者が現場で対処できない特定の機能不良または他の問題を解決することができる。そのような場合、供給元は、電子的にマルチ試薬パックおよび/または解析装置に接続し、解析装置の状態を識別する(例えば、解析装置またはチップは、供給元によって読取ることのできる故障コードを作り出すことができる)。
【0035】
したがって、本発明の主題の特に好ましい態様で、本発明者らは、マルチ試薬パックが、第1の事前充填された試薬および第2の事前充填された試薬を有し、またマルチ試薬パックが、第1および第2の事前充填された試薬の算出された容積の情報を、解析装置に供給する読取り書込みメモリーチップをさらに備え、算出された容積の情報が、解析装置によって、マルチ試薬パックの第1および第2の事前充填された試薬の、解析装置での過去の消費量を使用して出され、算出された容積の情報が、解析装置によって、読取り書込みメモリーチップに書き込まれることを想定する。
【0036】
例えば、過去に使用されなかったマルチ試薬パックは、解析装置に、第1の試薬の容積が50mlであるという情報を供給することができる。第1の試薬を5ml使用して試験手順が実行されると、解析装置は、マルチ試薬パックが第2の試験手順で使用される時、チップが、解析装置に、第1の試薬の容積がその時点で45mlであるという情報を供給するように、チップの情報を修正する(例えば、50mlという情報を上書きすることによって、または使用の情報を供給し、使用の情報が、解析装置によって計算されることによって行うことができる)。このような計算を有利に使用して、予想外の試験中断を防止し、または不充分な試薬容積で試験手順が開始される他の望ましくない状況を防止することができる。例えば、(例えば解析装置で実行される)検証ルーチンが、試薬の量が不充分であると判定すると、解析装置は、解析装置におけるマルチ試薬パックのさらなる使用を防止するロックコードを作る(例えば、ロックコードを、解析装置が、読取り書込みメモリーチップに書き込み、または、独自のマルチ試薬パックの識別子コードと関連づけて解析装置に記憶することができる)。このように、他の観点から言えば、本発明者は、解析装置が、試験手順を実行するようにプログラムされ、検証シーケンスが、第1および第2の事前充填された試薬の試薬必要量を計算し、第1および第2の事前充填された試薬の試薬必要量が、第1および第2の事前充填された試薬の算出された容積の情報よりも大きい場合、試験手順が実行されないことを想定する。
【0037】
したがって、なおさらに特に好ましい態様では、本発明者は、第1の事前充填された試薬および第2の事前充填された試薬を備えたマルチ試薬パックであって、マルチ試薬パックが、第1および第2の事前充填された試薬の少なくとも1つに固有の較正データを供給する読取り書込みメモリーチップをさらに備えるパックを想定する。さらに、そのような装置の読取り書込みメモリーチップは、解析装置に、(a)第1および第2の事前充填された試薬を使用する試験手順用のプロトコル、または(b)第1および第2の事前充填された試薬を使用する試験手順を開始する識別子を有利にさらに供給することができる。当然ながら、また既に論じたように、適切な解析装置は、供給元に電子的に結合されたデータ転送インタフェースをさらに備えることができ、供給元が、読取り書込みメモリーチップと解析装置の少なくとも一方に、データ更新を供給する(例えば、データ更新は、第1および第2の事前充填された試薬を使用する試験手順のための、訂正較正データまたは修正プロトコルを含む)。
【0038】
特に想定された解析装置は、自動ピペッタ、検出器、および試料処理プラットフォームをさらに含んで、統合された解析装置を形成することができる。本明細書で提示する教示内容と併せて想定される特に好ましい試料処理プラットフォームは、我々の2003年5月28日出願の「Integrated Sample Processing Platform」という名称の、同時係属の国際特許出願に記述されたものを含み、その出願を参照により本明細書に組み込む。本明細書で提示する教示内容と併せて想定される特に好ましい光学検出器は、我々の、2003年5月28日出願の「Microarray Detector and Methods」という名称の、同時係属の国際特許出願に記述されたものを含み、その出願を参照により本明細書に組み込む。本明細書で提示する教示内容と併せて想定される特に好ましい自動ピペッタは、我々の、2003年5月28日出願の「Level−Controlled Pipette For Automated Analytic Devices」という名称の、同時係属の国際特許出願に記述されたものを含み、その出願を参照により本明細書に組み込む。
【0039】
このように、改良された試薬パックの特定の実施形態および適用を、開示した。しかし、既に本明細書に述べたものとは別の多くの修正形態が、本明細書の発明概念から逸脱することなく可能であることが、当業者に明らかである。したがって、本発明の主題は、請求の範囲の精神による以外は、限定されるものではない。さらに、明細書および請求項のいずれの解釈においても、全ての用語は、文脈と一致する最大限に広範な意味で解釈されるべきである。特に、「備える」および「備えている」という用語は、包括的な意味での要素、構成要素、またはステップを指し、ここで参照した要素、構成要素、またはステップが、存在し、あるいはそれらを利用することができ、あるいは明確には参照されない他の要素、構成要素、またはステップと組み合わすことができることを示すものと解釈されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】例示的試薬パックの概略図である。
【図2】複数のマルチ試薬パックが搭載された解析装置の概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
使い捨てマルチ試薬パックであって、
第1の区画および第2の区画を含むハウジングを備え、第1および第2の区画が、それぞれ第1の事前充填された試薬および第2の事前充填された試薬を含み、前記使い捨てマルチ試薬パックがさらに、
ハウジングに結合され、かつ第1の位置と第2の位置との間で移動可能な閉鎖要素を備え、該閉鎖要素が、マルチ試薬パックが解析装置に配設される時、アクチュエータによって第1の位置と第2の位置との間で移動され、第1の区画および第2の区画の少なくとも一方が、閉鎖要素が第2の位置にある時、ピペットにアクセス可能であり、前記使い捨てマルチ試薬パックがさらに、
読取り書込みメモリーチップを備え、該読取り書込みメモリーチップが、マルチ試薬パックの特定情報、試薬の特定情報、試験の特定情報、ロックコード、および時系列的情報のうちの少なくとも1つを、解析装置に供給し、解析装置が、試薬の特定情報、ロックコード、および時系列的情報のうちの少なくとも1つを、読取り書込みメモリーチップに供給する、使い捨て試薬パック。
【請求項2】
マルチ試薬パックの特定情報が、マルチ試薬パックの個別の識別子、マルチ試薬パックの製造年月日、第1および第2の事前充填された試薬で利用可能な試験手順のリスト、環境パラメータ、ならびに第1および第2の事前充填された試薬の少なくとも1つの保管期限の少なくとも1つを含む、請求項1に記載の使い捨てマルチ試薬パック。
【請求項3】
試薬の特定情報が、第1および第2の事前充填された試薬の化学組成、第1および第2の事前充填された試薬の位置情報、第1および第2の事前充填された試薬の少なくとも1つの充填年月日、第1および第2の事前充填された試薬の少なくとも1つの元の充填容積、ならびに第1および第2の事前充填された試薬の少なくとも1つの残りの容積を含む、請求項1に記載の使い捨てマルチ試薬パック。
【請求項4】
試験特定情報が、第1および第2の事前充填された試薬の少なくとも1つを使用する試験手順の少なくとも1つ、マルチ試薬パックを使用する試験手順の許容最大数、較正データ、およびロックコードのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の使い捨てマルチ試薬パック。
【請求項5】
時系列的情報が、閉鎖要素が第2の位置にあった累積時間、またはマルチ試薬パックの最初の使用から経過した時間を含む、請求項1に記載の使い捨てマルチ試薬パック。
【請求項6】
ロックコードが、マルチ試薬パックのさらなる使用を禁止し、またはユーザパスワードを使用してロックコードを消去することができる、請求項1に記載の使い捨てマルチ試薬パック。
【請求項7】
解析装置が、データ転送インタフェースをさらに含み、該データ転送インタフェースが、読取り書込みメモリーチップと解析装置の少なくとも一方からデータを受け取る供給元に電子的に結合される、請求項1に記載の使い捨てマルチ試薬パック。
【請求項8】
データを使用して、別のマルチ試薬パックの配送を開始し、または第1および第2の事前充填された試薬の少なくとも1つへの需要を予測する、請求項7に記載の使い捨てマルチ試薬パック。
【請求項9】
ハウジングが、第3の区画および第4の区画を含み、第1および第2の事前充填された試薬が、分光検出可能な薬剤、蛍光検出可能な薬剤、光度検出可能な薬剤、放射検出可能な薬剤、核酸、ポリペプチド、および緩衝剤から成る一群から選択される、請求項1に記載の使い捨てマルチ試薬パック。
【請求項10】
第1の事前充填された試薬および第2の事前充填された試薬を備えたマルチ試薬パックであって、該マルチ試薬パックが、第1および第2の事前充填された試薬の算出された容積情報を解析装置に供給する読取り書込みメモリーチップをさらに備え、算出された容積情報が、解析装置でのマルチ試薬パックの第1および第2の事前充填された試薬の過去の消費量を使用して、解析装置によって作られ、算出された容積情報が、解析装置によって、読取り書込みメモリーチップに書き込まれる、マルチ試薬パック。
【請求項11】
算出された容積情報が、読取り書込みメモリーチップに供給された最初の容積情報を使用して、解析装置によってさらに算出される、請求項10に記載のマルチ試薬パック。
【請求項12】
解析装置が、解析装置内のマルチ試薬パックのさらなる使用を防止するロックコードを作り出す、請求項10に記載のマルチ試薬パック。
【請求項13】
ロックコードが、解析装置によって読取り書込みメモリーチップに書き込まれる、請求項12に記載のマルチ試薬パック。
【請求項14】
解析装置が、試験手順を実行するようにプログラムされ、検証シーケンスが、第1および第2の事前充填された試薬の試薬必要量を算出し、第1および第2の事前充填された試薬の試薬必要量が、第1および第2の事前充填された試薬の算出された容積情報よりも大きい場合、試験手順が実行されない、請求項10に記載のマルチ試薬パック。
【請求項15】
解析装置が、データ転送インタフェースをさらに含み、該データ転送インタフェースが、読取り書込みメモリーチップと解析装置の少なくとも一方からデータを受け取る供給元に電子的に結合される、請求項10に記載のマルチ試薬パック。
【請求項16】
データを使用して、別のマルチ試薬パックの配送を開始し、または第1および第2の事前充填された試薬の少なくとも1つへの需要を予測する、請求項15に記載のマルチ試薬パック。
【請求項17】
第1の事前充填された試薬および第2の事前充填された試薬を備えたマルチ試薬パックであって、第1および第2の事前された充填試薬の少なくとも1つに固有の較正データを供給する読取り書込みメモリーチップをさらに備える、マルチ試薬パック。
【請求項18】
読取り書込みメモリーチップが、解析装置に、(a)第1および第2の事前充填された試薬を使用する試験手順用のプロトコル、または(b)第1および第2の事前充填された試薬を使用する試験手順を開始する識別子をさらに供給する、請求項17に記載のマルチ試薬パック。
【請求項19】
解析装置が、供給元に電子的に結合されたデータ転送インタフェースをさらに備え、供給元が、読取り書込みメモリーチップと解析装置の少なくとも一方に、データ更新を供給する、請求項18に記載のマルチ試薬パック。
【請求項20】
データ更新が、第1および第2の事前充填された試薬を使用する試験手順のための、訂正較正データまたは修正プロトコルを含む、請求項19に記載のマルチ試薬パック。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使い捨てマルチ試薬パックであって、
第1の区画および第2の区画を含むハウジングを備え、第1および第2の区画が、それぞれ第1の事前充填された試薬および第2の事前充填された試薬を含み、前記使い捨てマルチ試薬パックがさらに、
ハウジングに結合され、かつ第1の位置と第2の位置との間で移動可能な閉鎖要素を備え、該閉鎖要素が、マルチ試薬パックが解析装置に配設される時、アクチュエータによって第1の位置と第2の位置との間で移動され、第1の区画および第2の区画の少なくとも一方が、閉鎖要素が第2の位置にある時、ピペットにアクセス可能であり、前記使い捨てマルチ試薬パックがさらに、
読取り書込みメモリーチップを備え、該読取り書込みメモリーチップが、マルチ試薬パックの特定情報、試薬の特定情報、試験の特定情報、ロックコード、および時系列的情報のうちの少なくとも1つを、解析装置に供給し、解析装置が、試薬の特定情報、ロックコード、および時系列的情報のうちの少なくとも1つを、読取り書込みメモリーチップに供給し、
試薬の特定情報が、第1および第2の事前充填された試薬の化学組成以外の情報を含む、使い捨て試薬パック。
【請求項2】
マルチ試薬パックの特定情報が、マルチ試薬パックの個別の識別子、マルチ試薬パックの製造年月日、第1および第2の事前充填された試薬で利用可能な試験手順のリスト、環境パラメータ、ならびに第1および第2の事前充填された試薬の少なくとも1つの保管期限の少なくとも1つを含む、請求項1に記載の使い捨てマルチ試薬パック。
【請求項3】
試薬の特定情報が、第1および第2の事前充填された試薬の位置情報、第1および第2の事前充填された試薬の少なくとも1つの充填年月日、第1および第2の事前充填された試薬の少なくとも1つの元の充填容積、ならびに第1および第2の事前充填された試薬の少なくとも1つの残りの容積を含む、請求項1に記載の使い捨てマルチ試薬パック。
【請求項4】
試験特定情報が、第1および第2の事前充填された試薬の少なくとも1つを使用する試験手順の少なくとも1つ、マルチ試薬パックを使用する試験手順の許容最大数、較正データ、およびロックコードのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の使い捨てマルチ試薬パック。
【請求項5】
時系列的情報が、閉鎖要素が第2の位置にあった累積時間、またはマルチ試薬パックの最初の使用から経過した時間を含む、請求項1に記載の使い捨てマルチ試薬パック。
【請求項6】
ロックコードが、マルチ試薬パックのさらなる使用を禁止し、またはユーザパスワードを使用してロックコードを消去することができる、請求項1に記載の使い捨てマルチ試薬パック。
【請求項7】
解析装置が、データ転送インタフェースをさらに含み、該データ転送インタフェースが、読取り書込みメモリーチップと解析装置の少なくとも一方からデータを受け取る供給元に電子的に結合される、請求項1に記載の使い捨てマルチ試薬パック。
【請求項8】
データを使用して、別のマルチ試薬パックの配送を開始し、または第1および第2の事前充填された試薬の少なくとも1つへの需要を予測する、請求項7に記載の使い捨てマルチ試薬パック。
【請求項9】
ハウジングが、第3の区画および第4の区画を含み、第1および第2の事前充填された試薬が、分光検出可能な薬剤、蛍光検出可能な薬剤、光度検出可能な薬剤、放射検出可能な薬剤、核酸、ポリペプチド、および緩衝剤から成る一群から選択される、請求項1に記載の使い捨てマルチ試薬パック。
【請求項10】
第1の事前充填された試薬および第2の事前充填された試薬を備えたマルチ試薬パックであって、該マルチ試薬パックが、第1および第2の事前充填された試薬の算出された容積情報を解析装置に供給する読取り書込みメモリーチップをさらに備え、算出された容積情報が、解析装置でのマルチ試薬パックの第1および第2の事前充填された試薬の過去の消費量を使用して、解析装置によって作られ、算出された容積情報が、解析装置によって、読取り書込みメモリーチップに書き込まれる、マルチ試薬パック。
【請求項11】
算出された容積情報が、読取り書込みメモリーチップに供給された最初の容積情報を使用して、解析装置によってさらに算出される、請求項10に記載のマルチ試薬パック。
【請求項12】
解析装置が、解析装置内のマルチ試薬パックのさらなる使用を防止するロックコードを作り出す、請求項10に記載のマルチ試薬パック。
【請求項13】
ロックコードが、解析装置によって読取り書込みメモリーチップに書き込まれる、請求項12に記載のマルチ試薬パック。
【請求項14】
解析装置が、試験手順を実行するようにプログラムされ、検証シーケンスが、第1および第2の事前充填された試薬の試薬必要量を算出し、第1および第2の事前充填された試薬の試薬必要量が、第1および第2の事前充填された試薬の算出された容積情報よりも大きい場合、試験手順が実行されない、請求項10に記載のマルチ試薬パック。
【請求項15】
解析装置が、データ転送インタフェースをさらに含み、該データ転送インタフェースが、読取り書込みメモリーチップと解析装置の少なくとも一方からデータを受け取る供給元に電子的に結合される、請求項10に記載のマルチ試薬パック。
【請求項16】
データを使用して、別のマルチ試薬パックの配送を開始し、または第1および第2の事前充填された試薬の少なくとも1つへの需要を予測する、請求項15に記載のマルチ試薬パック。
【請求項17】
第1の事前充填された試薬および第2の事前充填された試薬を備えたマルチ試薬パックであって、第1および第2の事前された充填試薬の少なくとも1つに固有である試験で使用するために、較正データを解析装置に供給する読取り書込みメモリーチップをさらに備える、マルチ試薬パック。
【請求項18】
読取り書込みメモリーチップが、解析装置に、(a)第1および第2の事前充填された試薬を使用する試験手順用のプロトコル、または(b)第1および第2の事前充填された試薬を使用する試験手順を開始する識別子をさらに供給する、請求項17に記載のマルチ試薬パック。
【請求項19】
解析装置が、供給元に電子的に結合されたデータ転送インタフェースをさらに備え、供給元が、読取り書込みメモリーチップと解析装置の少なくとも一方に、データ更新を供給する、請求項18に記載のマルチ試薬パック。
【請求項20】
データ更新が、第1および第2の事前充填された試薬を使用する試験手順のための、訂正較正データまたは修正プロトコルを含む、請求項19に記載のマルチ試薬パック。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2006−501437(P2006−501437A)
【公表日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−507800(P2004−507800)
【出願日】平成15年5月28日(2003.5.28)
【国際出願番号】PCT/US2003/016903
【国際公開番号】WO2003/100389
【国際公開日】平成15年12月4日(2003.12.4)
【出願人】(503211471)オウトジエノミクス・インコーポレーテツド (6)
【Fターム(参考)】