説明

マンコンベア

【課題】 乗客の衣服の裾等が踏段とスカートガードとの間に挟まれることを抑止するために必要な気体の流量を小さくすることができ、送風手段を定格流量の小さなものとすることができるマンコンベアを提供すること。
【解決手段】 マンコンベア10は、移動経路を形成する一対の対向するスカートガード21a,21bと、一対のスカートガード21a,21b内の移動経路に設けられ、無端状に連結されて循環移動する複数の踏段22と、各スカートガード21a,21bの上方に設置されたデッキ23a,23bとを備えている。各デッキ23a,23bの踏段22側の側面には複数の孔23g,23hが設けられており、各デッキ23a,23bの内部には各孔23g,23hに連通する一対の流路31a,31bがそれぞれ設けられている。さらに、各流路31a,31bに気体を送って前記各デッキ23a,23bの孔23g,23hから気体を噴出させる送風手段40が設置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マンコンベアに係り、とりわけ乗客の衣服の裾等が踏段とスカートガードとの間に挟まれることを抑止することができるマンコンベアに関する。
【背景技術】
【0002】
動く歩道やエスカレータ等のマンコンベアは一般に、移動経路を形成する一対の対向するスカートガードと、この一対のスカートガード内の移動経路に設けられ、無端状に連結されて循環移動する複数の踏段と、スカートガードの上方に設置された一対のデッキと、これらのデッキから上方にそれぞれ延びる一対の欄干パネルとを備えている。
【0003】
このようなマンコンベアにおいて、踏段とスカートガードとの間には隙間が形成されている。この隙間に乗客の衣服の裾、乗客が落とした定期券あるいは切符等が挟まれることを抑止する安全装置としては、例えば特許文献1乃至5に開示されるものが知られている。
【0004】
特許文献1には、スカートガードの上方に設置された内デッキの下辺部分に、踏段側に突出した傾斜部からなる内デッキカバー片を設けた乗客コンベアの安全装置が開示されている。このような安全装置においては、内デッキに設けられた内デッキカバー片が踏段とスカートガードとの間にある隙間を覆い隠すようになっている。
【0005】
また、特許文献2には、乗降口付近において欄干パネルの基端部から踏段側に向けて突出するブラシ等の安全片を設けたエスカレータ等の安全装置が開示されている。
【0006】
また、特許文献3には、踏段とスカートガードとの間にある隙間の上部に設けられ踏段の移動方向に延設されたビーム体と、このビーム体から踏段側に突出するブラシ部材と、スカートガードの上部に取り付けられ折曲部を有する取付金具とを備えた乗客コンベアの安全装置が開示されている。
【0007】
また、特許文献4には、一方の乗降床から他方の乗降床にかけて配設されスカートガードから踏段に向かって突出する基台と、この基台に植立されて踏段の両側部を覆うように突出する刷毛体とを備えた乗客コンベアの安全装置が開示されている。
【0008】
また、特許文献5には、スカートガード全面に設けられた複数の孔から圧縮空気を踏段側に噴出させる乗客コンベアの安全装置が開示されている。このような安全装置においては、スカートガード全面に複数の孔を穿設するとともにスカートガードの裏側にダクトを配設し、冷気または暖気を帯びた圧縮空気をスカートガードの裏側のダクトから孔を通して踏段側に噴出させるようになっている。
【0009】
【特許文献1】特開平3−147697号公報
【特許文献2】特公昭55−18235号公報
【特許文献3】特開2003−146572号公報
【特許文献4】特開2004−18268号公報
【特許文献5】特開平5−213575号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上述の特許文献1乃至4に示す安全装置においては、踏段とスカートガードとの間にある隙間を完全に覆うことはできず、乗客の衣服の裾、乗客が落とした定期券あるいは切符等がこの隙間に挟まれることを完全に抑止することは困難である。
【0011】
また、上述の特許文献5に示す安全装置によりスカートガード全面に設けられた複数の孔から圧縮空気を踏段側に噴出させる乗客コンベアにおいては、このスカートガードが一方の乗降床(例えば下階床)から他方の乗降床(例えば上階床)まで延びているため、非常に広い範囲にわたってスカートガード全面に孔を穿設し、断面積および全長の大きなダクトに送風を行うこととなる。このため、当該ダクトに送られる気体の流量が大きくなり、当該ダクトに気体を送る送風機が定格流量の大きな大型のものになってしまうという問題がある。
【0012】
また、特許文献5に示す乗客コンベアにおいては、一つの送風機で当該乗客コンベアの全長にわたってスカートガード全面の孔から均一な送風を行うことは困難である。すなわち、送風機から遠い位置にある孔から噴出される気体の量は送風機から近い位置にある孔から噴出される気体の量に比べて少なくなるので、送風機から遠い位置では乗客の衣服の裾等が踏段とスカートガードとの間に挟まることを確実に抑止することができないという問題がある。
【0013】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、乗客の衣服の裾等が踏段とスカートガードとの間に挟まれることを抑止するために必要な気体の流量を小さくすることができ、送風手段を定格流量の小さなものとすることができるマンコンベアを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、移動経路を形成する一対の対向するスカートガードと、前記一対のスカートガード内の移動経路に設けられ、無端状に連結されて循環移動する複数の踏段と、前記各スカートガードの上方に設置され、前記踏段側の側面に複数の孔が設けられた一対のデッキと、前記各デッキの内部に設けられ、それぞれのデッキに設けられた前記各孔に連通する一対の流路と、前記各流路に気体を送って前記各デッキの孔からこの気体を噴出させる送風手段と、を備えたことを特徴とするマンコンベアである。
このようなマンコンベアによれば、流路はデッキの内部に設けられているのでこの流路の断面積は小さなものとなり、またデッキの孔から気体を噴出させるようになっている。このため、乗客の衣服の裾等が踏段とスカートガードとの間に挟まれることを抑止するために必要な気体の流量を小さくすることができ、送風手段を定格流量の小さなものとすることができる。
【0015】
本発明は、移動経路を形成する一対の対向するスカートガードと、前記一対のスカートガード内の移動経路に設けられ、無端状に連結されて循環移動する複数の踏段と、当該移動経路の下方に設置され、前記各踏段を案内する一対の案内レールと、前記各案内レールの下方に設けられ、前記踏段と前記スカートガードとの間の隙間に分岐流路を介して連通する一対の流路と、前記各流路に気体を送って前記分岐流路から前記隙間に下方からこの気体を噴出させる送風手段と、を備えたことを特徴とするマンコンベアである。
このようなマンコンベアによれば、流路は案内レールの下方に設けられているのでこの流路の断面積は小さなものとなり、また分岐流路から踏段とスカートガードとの間に下方から気体を噴出させるようになっている。このため、乗客の衣服の裾等が踏段とスカートガードとの間に挟まれることを抑止するために必要な気体の流量を小さくすることができ、送風手段を定格流量の小さなものとすることができる。
【0016】
本発明は、移動経路を形成する一対の対向するスカートガードと、前記一対のスカートガード内の移動経路に設けられ、無端状に連結されて循環移動する複数の踏段と、前記各スカートガードの上方に設置され、前記踏段側に向いている複数の開口が上面に設けられた一対のデッキと、前記各デッキの内部に設けられ、それぞれのデッキに設けられた前記各開口に連通する一対の流路と、前記各流路に気体を送って前記デッキの開口からこの気体を噴出させる送風手段と、を備えたことを特徴とするマンコンベアである。
このようなマンコンベアによれば、流路はデッキの内部に設けられているのでこの流路の断面積は小さなものとなり、またデッキの上面に設けられ踏段側に向いている開口から気体を噴出させるようになっている。このため、乗客の衣服の裾等が踏段とスカートガードとの間に挟まれることを抑止するために必要な気体の流量を小さくすることができ、送風手段を定格流量の小さなものとすることができる。
【0017】
本発明は、移動経路を形成する一対の対向するスカートガードと、前記一対のスカートガード内の移動経路に設けられ、無端状に連結されて循環移動する複数の踏段とを備えたマンコンベアにおいて、当該マンコンベアの乗降口の近傍において前記スカートガードに設けられた複数の孔と、前記各スカートガードの外側に設けられ、前記各孔に連通する一対の流路と、前記各流路に気体を送って前記スカートガードの孔からこの気体を噴出させる送風手段と、を備えたことを特徴とするマンコンベアである。
このようなマンコンベアによれば、マンコンベアの乗降口近傍のみにおいてスカートガードの孔から気体を噴出させるようになっている。このため、乗降床からマンコンベアの踏段に乗ろうとする乗客、あるいは踏段から乗降床に降りようとする乗客の衣服の裾等が踏段とスカートガードとの間に挟まれることを抑止することができ、しかもスカートガード全面に孔を設けた場合と比較して気体の流量を小さくすることができ、送風手段を定格流量の小さなものとすることができる。
【0018】
本発明のマンコンベアにおいては、前記送風手段はマンコンベアの乗降口近傍に設けられ、前記流路が前記送風手段から離れるにつれてこの流路の断面積が小さくなることが好ましい。
このようなマンコンベアによれば、流路は送風手段から離れるにつれてこの流路の断面積が小さくなるように設けられているので、流路の断面積が踏段の移動方向に沿って略同一である場合と比較して、各孔から噴出される気体の量をより均一にすることができる。このようにして、送風手段から遠ざかるにつれて孔から噴出される気体の量が減少してしまうことを抑止することができる。
【0019】
本発明のマンコンベアにおいては、前記送風手段はマンコンベアの乗降口近傍に設けられ、前記流路が前記送風手段から離れるにつれてこの流路に連通する前記孔の面積密度が大きくなることが好ましい。ここで、孔の面積密度とは、単位面積あたりの各孔の断面積の合計値の割合のことをいう。
このようなマンコンベアによれば、流路が送風手段から離れるにつれてこの流路に連通する孔の面積密度が大きくなっているので、デッキに対する孔の面積密度が踏段の移動方向に沿って略同一である場合と比較して、各孔から噴出される気体の量をより均一にすることができる。このようにして、送風手段から遠ざかるにつれて孔から噴出される気体の量が減少してしまうことを抑止することができる。
【0020】
本発明のマンコンベアにおいては、前記流路に連通する前記孔からの気体の噴出方向が斜め前方方向であることが好ましい。
このようなマンコンベアによれば、流路に連通する各孔から斜め前方方向に気体が噴出するようになっているので、これらの孔から真横に気体が噴出する場合と比較して、乗客の斜め後ろから斜め前に向かって気体が送られることになるので踏段に乗った乗客の不快感を軽減させることができる。
【0021】
本発明のマンコンベアにおいては、マンコンベアの乗降口の近傍における前記一対のデッキの上面に前記流路に連通する追加の開口が設けられ、この開口からの気体の噴出方向が斜め前方方向であることが好ましい。
このようなマンコンベアによれば、乗降口の近傍において流路に連通する開口から斜め前方方向に気体が噴出するようになっているので、乗降床からマンコンベアの踏段に乗ろうとする乗客、あるいは踏段から乗降床に降りようとする乗客の衣服の裾等が踏段とスカートガードとの間に挟まれることを抑止することができる。また、開口から真横に気体が噴出する場合と比較して、乗客の斜め後ろから斜め前に向かって気体が送られることになるので乗客の不快感を軽減させることができる。
【0022】
本発明のマンコンベアにおいては、マンコンベアの乗降口近傍に設けられ、前記踏段上において前記スカートガード近辺に乗客が存在するか否かを検知するセンサと、前記センサからの検知信号に基づいて、前記送風手段が作動するようこの送風手段を制御する制御手段と、を更に備えたことが好ましい。
このようなマンコンベアによれば、センサによりマンコンベアの乗降口近傍でスカートガード近辺に乗客が存在するか否かを検知し、このセンサからの検知信号に基づいて、制御手段により送風手段が作動するようこの送風手段を制御しているので、乗降床からマンコンベアの踏段に乗ろうとする乗客、あるいは踏段から乗降床に降りようとする乗客の衣服の裾等がスカートガードの近傍にあるときに送風を行うことができる。このことにより、必要最小限の送風手段の作動によって効率よく、乗客の衣服の裾等が踏段とスカートガードとの間に挟まれることを抑止することができる。
【0023】
本発明のマンコンベアにおいては、音声および/または表示により警報を発する警報手段と、前記センサからの検知信号に基づいて、前記警報手段が作動するようこの警報手段を制御する警報制御手段と、を更に備えたことが好ましい。
このようなマンコンベアによれば、センサによりマンコンベアの乗降口近傍でスカートガード近辺に乗客が存在するか否かを検知し、このセンサからの検知信号に基づいて、音声装置や表示装置等の警報手段により乗客に警報を発するよう当該警報手段を警報制御手段により制御しているので、乗降床からマンコンベアの踏段に乗ろうとする乗客、あるいは踏段から乗降床に降りようとする乗客の衣服の裾等がスカートガードの近傍にあるときに乗客に警報を与えて注意を喚起することができる。このことにより、乗客の衣服の裾等が踏段とスカートガードとの間の隙間に挟まれることをより確実に抑止することができる。
【0024】
本発明のマンコンベアにおいては、マンコンベアの乗降口近傍に設けられ、前記踏段上において前記スカートガード近辺に乗客が存在するか否かを検知するセンサと、予め設定された時間内において前記センサから検知信号が送られた回数を計測し、この計測回数が予め設定された回数よりも大きくなったときに前記送風手段が作動するようこの送風手段を制御する制御手段と、を更に備えたことが好ましい。
このようなマンコンベアによれば、予め設定された時間内においてセンサから検知信号が送られた回数を計測し、この計測回数が予め設定された回数よりも大きくなったときに送風手段が作動するようこの送風手段を制御しているので、デパート等の店舗における開店時や特売セール時、駅における朝夕のラッシュ時等のマンコンベアを利用する乗客の数が多い場合に、この乗客の数に応じて送風手段を作動させることができる。このことにより、必要最小限の送風手段の作動によって効率よく、乗客の衣服の裾等が踏段とスカートガードとの間に挟まれることを抑止することができる。
【0025】
本発明のマンコンベアにおいては、音声および/または表示により警報を発する警報手段と、予め設定された時間内において前記センサから検知信号が送られた回数を計測し、この計測回数が予め設定された回数よりも大きくなったときに前記警報手段が作動するようこの警報手段を制御する警報制御手段と、を更に備えたことが好ましい。
このようなマンコンベアによれば、予め設定された時間内においてセンサから検知信号が送られた回数を計測し、この計測回数が予め設定された回数よりも大きくなったときに音声装置や表示装置等の警報手段により乗客に警報を発するよう当該警報手段を警報制御手段により制御しているので、デパート等の店舗における開店時や特売セール時、駅における朝夕のラッシュ時等のマンコンベアを利用する乗客の数が多い場合に、この乗客の数に応じて送風手段を作動させながら、乗客に警報を与えて注意を喚起することができる。このことにより、乗客の衣服の裾等が踏段とスカートガードとの間に挟まれることを確実に抑止することができる。
【0026】
本発明のマンコンベアにおいては、予め設定された特定の期間内において前記送風手段が作動するようこの送風手段を制御する制御手段を更に備えたことが好ましい。
このようなマンコンベアによれば、制御手段によって、予め設定された特定の期間内において送風手段が作動するようこの送風手段を制御しているので、デパート等の店舗における開店時や特売セール時、駅における朝夕のラッシュ時等のマンコンベアを利用する乗客の数が多い時間帯のみに送風手段を作動させることができる。このことにより、必要最小限の送風手段の作動によって効率よく、乗客の衣服の裾等が踏段とスカートガードとの間に挟まれることを抑止することができる。
【0027】
本発明のマンコンベアにおいては、気体が送られる対象を、前記踏段の両側にある前記一対の流路のうち両方の流路またはいずれか一方の流路に切り替えながら前記送風手段が作動するよう前記送風手段を制御する制御手段を更に備えたことが好ましい。
このようなマンコンベアによれば、制御手段によって、気体が送られる対象を、踏段の両側にある一対の流路のうち両方の流路またはいずれか一方の流路に切り替えながら送風手段が作動するよう当該送風手段を制御している。ここで、マンコンベアの踏段に乗った乗客は、混雑時に片側の列(例えば、踏段の左側の列)を停止列、もう一方の列を歩行列としている場合が多いが、踏段の歩行列で歩行を行っている乗客の衣服の裾等が踏段とスカートガードとの間に挟まれる可能性が高くなっている。このような場合には踏段の歩行列側のみに送風を行うことにより、必要最小限の送風手段の作動によって効率よく、乗客の衣服の裾等が踏段とスカートガードとの間に挟まれることを抑止することができる。
【0028】
本発明のマンコンベアにおいては、前記踏段が上昇移動しているときおよび下降移動しているときのそれぞれの場合で独立して前記各流路に気体を送るか否かの作動状態を切り替えるよう前記送風手段を制御する制御手段を更に備えたことが好ましい。
このようなマンコンベアによれば、制御手段によって、踏段が上昇移動しているときおよび下降移動しているときのそれぞれの場合で独立して各流路に気体を送るか否かの作動状態を切り替えるよう送風手段を制御しているので、マンコンベアの運転状態に応じて必要最小限の送風手段の作動によって効率よく、乗客の衣服の裾等が踏段とスカートガードとの間に挟まれることを抑止することができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明のマンコンベアによれば、乗客の衣服の裾等が踏段とスカートガードとの間に挟まれることを抑止するために必要な気体の流量を小さくすることができ、送風手段を定格流量の小さなものとすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
第1の実施の形態
以下、図1および図2を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1は、本発明によるマンコンベア(エスカレータ)を示す側面図であり、図2は、図1のマンコンベアの第1の実施の形態を示すA−A断面図である。
【0031】
図1に示すマンコンベア(エスカレータ)10は、下階床11と上階床12との間に設けられた主枠13と、この主枠13の両端部に設けられた乗降床14、15とを備えており、例えば下階床11の乗降床14から乗り込んだ乗客を上階床12の乗降床15に搬送するようになっている。ここで、主枠13は、乗降床14の下方に設置された機械室13aと、乗降床15の下方に設置された機械室13bと、機械室13aおよび機械室13bの間に傾斜して架設された傾斜室13cと、機械室13a内に設けられた巻上機13dを有している。
【0032】
このようなマンコンベア10について図2を用いて詳述する。マンコンベア10は、図2に示すように、主枠13の傾斜室13cの上方部に移動経路を形成する一対の対向するスカートガード21a,21bと、この一対のスカートガード21a,21b内の移動経路に設けられ、無端状に連結されて循環移動する複数の踏段22と、それぞれのスカートガード21a,21bの上方に設置された一対のデッキ23a,23bと、これらのデッキ23a,23bから上方にそれぞれ延びる一対の欄干パネル24a,24bとを備えている。また、図1に示すように、欄干パネル24a,24bの上端には、手摺案内体(図示せず)を介して、踏段22の循環移動に対応して循環移動する一対の無端状の移動手摺27a,27bが設けられている。
【0033】
各踏段22は、踏段枠22aと、この踏段枠22aの上部に設けられ、乗客が乗ることができる踏板22bと、踏段枠22aの両側面下方部分から水平に延びるよう取り付けられた2組の一対の車軸22c,22dと、当該車軸22c,22dに枢設された一対の回動自在の前輪22e,22fおよび後輪22g,22hとを有している。
また、図1および図2に示すように、踏段22の移動経路の下方には、各踏段22を案内する一対の案内レール28a,28bが設けられている。
【0034】
図2に示すように、一対のデッキ23a,23bは、欄干パネル24a,24bよりも内側に設置され、各々一端がスカートガード21a,21bに取り付けられるとともに他端が欄干パネル24a,24bに取り付けられ、下方に開口している内デッキ23c,23dと、欄干パネル24a,24bよりも外側に設置された外デッキ23e,23fとから構成されている。内デッキ23c,23dの踏段22側の側面には、当該踏段22の移動方向に沿って複数の孔(貫通孔)23g,23hが設けられている。
【0035】
欄干パネル24a,24bは例えばガラスパネルからなり、それぞれデッキ23a,23bの内デッキ23c,23dと外デッキ23e,23fとの間から鉛直方向上方に延びている。
【0036】
図1および図2に示すように、本実施の形態によるマンコンベア10は更に、内デッキ23c,23dの下方の開口を覆うよう各々流路パネル30a,30bが設けられるとともに、マンコンベア10の乗降床14の下方に送風機(送風手段)40が設置されており、内デッキ23c,23dと流路パネル30a,30bとの間には空気等の気体を送るための流路31a,31bが形成されている。これらの流路31a,31bは図1に示すように送風機40に接続されるとともに、内デッキ23a,23bに設けられた各孔23g,23hに連通している(図2参照)。
送風機40は、一対の流路31a,31bに空気等の気体を送り、各内デッキ23c,23dの孔23g,23hから踏段22の踏板22b上の中央部に向かってこの気体を噴出させるようになっている。
【0037】
次にこのような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。
図1に示すマンコンベア(エスカレータ)10において、無端状に連結された多数の踏段22が主枠13内で循環移動することにより、下階床11の乗降床14からこの踏段22に乗り込んだ乗客を上階床12の乗降床15に搬送している。
【0038】
この際に、送風機40は一対の流路31a,31bに空気等の気体を送っている。そして、各流路31a,31bに送られた気体は、内デッキ23c,23dの側面に設けられた孔23g,23hから踏段22の踏板22b上の中央部に向かって噴出される(図2の矢印参照)。
このようにして、踏段22の端側に乗っている乗客の衣服の裾等を、内デッキ23c,23dの孔23g,23hから噴出された気体によってスカートガード21a、21bの近傍から踏段22上の中央部へ遠ざけることができ、この衣服の裾等が踏段22の側面とスカートガード21a,21bとの間に挟まれることを抑止することができる。
【0039】
以上のように本実施の形態のマンコンベア10においては、流路31a,31bは内デッキ23c,23dの内部に設けられているのでこの流路31a,31bの断面積は小さなものとなり、また内デッキ23a,23bの孔23g,23hから気体を噴出させるようになっている。このため、乗客の衣服の裾等が踏段22の踏段枠22aの側面とスカートガード21a,21bとの間に挟まれることを抑止するために必要な気体の流量を小さくすることができ、送風機(送風手段)40を定格流量の小さな小型のものとすることができる。
【0040】
第2の実施の形態
次に、図3により本発明の第2の実施の形態について説明する。図3は、図1のマンコンベアの第2の実施の形態を示すA−A断面図である。
【0041】
本実施の形態のマンコンベア10は、図3に示すように、流路31a,31bを内デッキ23c,23dの内部に設ける代わりに案内レール28a,28bの下方に設けた点が異なるのみであり、他は実質的に図1および図2に示す第1の実施の形態と同様の構成を有している。
図3に示す本実施の形態において、図1および図2に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0042】
図3に示すように、本実施の形態のマンコンベア10において、一対の案内レール28a,28bの下部に枠状の流路パネル30c,30dがそれぞれ取り付けられており、これらの流路パネル30c,30dの内部に空気等の気体を送るための流路31a,31bが形成されている。さらに、スカートガード21a,21bの下端部分と流路パネル30c,30dとの間にはそれぞれ分岐流路33a,33bを形成する分岐流路パネル32a,32bが設けられている。各分岐流路33a,33bは、一端がスカートガード21a,21bと、踏段22の側面に設けられた塞ぎ板22i,22jとの間の隙間の下端部分に連通し、他端が流路31a,31bに連通している。
送風機40は、一対の流路31a,31bに空気等の気体を送り、各分岐流路33a,33bから前記隙間に下方からこの気体を噴出させるようになっている。
【0043】
次にこのような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。
まず、送風機40は一対の流路31a,31bに空気等の気体を送る。そして、各流路31a,31bに送られた気体の一部が分岐流路33a,33bに分岐して送られ、スカートガード21a,21bと、踏段22の側面に設けられた塞ぎ板22i,22jとの間の隙間に下方から噴出される。このことにより、スカートガード21と塞ぎ板22i,22jとの間の隙間に上方に向かう気体の流れが形成され、踏板22bの側方からこの気体が上方に放出される(図2の矢印参照)。
このようにして、踏段22の端側に乗っている乗客の衣服の裾等を、スカートガード21a,21bと塞ぎ板22i,22jとの間の隙間に下方から噴出された気体によってスカートガード21a,21bの近傍から踏段22上の中央部へ遠ざけることができ、この衣服の裾等が踏段22の側面とスカートガード21a,21bとの間に挟まれることを抑止することができる。
【0044】
以上のように本実施の形態のマンコンベア10においては、流路31a,31bは案内レール28a,28bの下方に設けられているのでこの流路31a,31bの断面積は小さなものとなり、また分岐流路33a,33bから気体を噴出させるようになっている。このため、乗客の衣服の裾等が踏段22の踏段枠22aの側面とスカートガード21a,21bとの間に挟まれることを抑止するために必要な気体の流量を小さくすることができ、送風機(送風手段)40を定格流量の小さな小型のものとすることができる。
【0045】
第3の実施の形態
次に、図4により本発明の第3の実施の形態について説明する。図4は、図1のマンコンベアの第3の実施の形態を示すA−A断面図である。
【0046】
本実施の形態のマンコンベア10は、図4に示すように、内デッキ23c,23dの踏段22側の側面に孔23g,23hに設ける代わりに、これらの内デッキ23c,23dの上面に踏段22側に向いている複数の開口23i,23jを設けた点が異なるのみであり、他は実質的に図1および図2に示す第1の実施の形態と同様の構成を有している。
図4に示す本実施の形態において、図1および図2に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0047】
図4に示すように、本実施の形態のマンコンベア10において、内デッキ23c,23dの上面に、踏段22側を向いている開口パネル23k,23lが取り付けられており、各開口パネル23k,23lの内方に、流路31a,31bに連通するとともに踏段22側を向いている開口23i,23jが形成されている。
送風機40は、一対の流路31a,31bに空気等の気体を送り、各内デッキ23c,23dの開口23i,23jから踏段22の踏板22b上の中央部に向かってこの気体を噴出させるようになっている。
【0048】
次にこのような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。
まず、送風機40は一対の流路31a,31bに空気等の気体を送る。そして、各流路31a,31bに送られた気体は、内デッキ23c,23dの上面に設けられた開口23i,23jから踏段22の踏板22b上の中央部に向かって噴出される(図4の矢印参照)。
このようにして、踏段22の端側に乗っている乗客の衣服の裾等を、内デッキ23c,23dの開口23i,23jから噴出された気体によってスカートガード21a,21bの近傍から踏段22上の中央部へ遠ざけることができ、この衣服の裾等が踏段22の側面とスカートガード21a,21bとの間に挟まれることを抑止することができる。
【0049】
以上のように本実施の形態のマンコンベア10においては、流路31a,31bは内デッキ23c,23dの内部に設けられているのでこの流路31a,31bの断面積は小さなものとなり、また内デッキ23c,23dの開口23i,23jから気体を噴出させるようになっている。このため、乗客の衣服の裾等が踏段22の踏段枠22aの側面とスカートガード21a,21bとの間に挟まれることを抑止するために必要な気体の流量を小さくすることができ、送風機(送風手段)40を定格流量の小さな小型のものとすることができる。
【0050】
第4の実施の形態
次に、図5により本発明の第4の実施の形態について説明する。図5は、図1のマンコンベアの第4の実施の形態を示すB−B断面図である。
【0051】
本実施の形態のマンコンベア10は、図5に示すように、流路31a,31bを内デッキ23c,23dの内部に設ける代わりに、マンコンベア10の乗降床14,15の近傍においてスカートガード21a,21bの側面に孔21c,21dを設け、各スカートガード21a,21bの外側に流路31a,31bを設けた点が異なるのみであり、他は実質的に図1および図2に示す第1の実施の形態と同様の構成を有している。
図5に示す本実施の形態において、図1および図2に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0052】
図5に示すように、本実施の形態のマンコンベア10の乗降床14,15の近傍において、踏段22の踏板22bの近傍における一対のスカートガード21a,21bの各側面に孔(貫通孔)21c,21dが設けられている。また、各スカートガード21a,21bの外側にはコの字状の流路パネル30e,30fが取り付けられており、流路パネル30e,30fとスカートガード21a,21bとの間に流路31a,31bが形成されている。この流路31a,31bは前記孔21c,21dに連通するように形成されている。
送風機40は、一対の流路31a,31bに空気等の気体を送り、乗降床14,15の近傍における各スカートガード21a,21bの孔21c,21dから踏段22の踏板22b上の中央部に向かってこの気体を噴出させるようになっている。
【0053】
次にこのような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。
まず、送風機40は一対の流路31a,31bに空気等の気体を送る。そして、各流路31a,31bに送られた気体は、乗降床14,15の近傍においてスカートガード21a,21bの側面に設けられた孔21c,21dから踏段22の踏板22b上の中央部に向かって噴出される(図5の矢印参照)。
このようにして、踏段22の端側に乗っている乗客の衣服の裾等を、スカートガード21a,21bの孔21c,21dから噴出された気体によって当該スカートガード21a,21bの近傍から踏段22上の中央部へ遠ざけることができ、この衣服の裾等が踏段22の側面とスカートガード21a,21bとの間に挟まれることを抑止することができる。
【0054】
以上のように本実施の形態のマンコンベア10においては、マンコンベア10の乗降口近傍のみにおいてスカートガード21a,21bの孔21c,21dから気体を噴出させるようになっている。このため、乗降床14,15からマンコンベア10の踏段22に乗ろうとする乗客、あるいは踏段22から乗降床14,15に降りようとする乗客の衣服の裾等が踏段22とスカートガード21との間に挟まれることを抑止することができ、しかもスカートガード21a,21b全面に孔を設けた場合と比較して気体の流量を小さくすることができ、送風機(送風手段)40を定格流量の小さな小型のものとすることができる。
【0055】
第5の実施の形態
次に、図6により本発明の第5の実施の形態について説明する。図6は、気体を送る流路および送風手段を示す説明図である。
【0056】
本実施の形態のマンコンベア10は、図6に示すように、流路31a,31bは送風機40から離れるにつれてこの流路31a,31bの断面積が小さくなる点が異なるのみであり、他は実質的に図1および図2に示す第1の実施の形態と同様の構成を有している。
図6に示す本実施の形態において、図1および図2に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0057】
図1および図6に示すように、本実施の形態のマンコンベア10において、マンコンベア10の乗降床14の下方に送風機(送風手段)40が設置されており、また、流路31a,31bは送風機40から離れるにつれてこの流路31a,31bの断面積が小さくなるように流路パネル30a,30bが設けられている。
具体的には、図1においてマンコンベア10の乗降床14付近の流路31a,31bの断面積は最大となり、乗降床15付近の流路31a,31bの断面積が最小となるように、流路パネル30a,30bが内デッキ23c,23dに取り付けられている。
【0058】
以上のように本実施の形態のマンコンベア10においては、流路31a,31bは送風機40から離れるにつれてこの流路31a,31bの断面積が小さくなるように設けられているので、流路31a,31bの断面積が踏段22の移動方向に沿って略同一である場合と比較して、各孔23g,23hから噴出される気体の量をより均一にすることができる。このようにして、送風機40から遠ざかるにつれて孔23g,23hから噴出される気体の量が減少してしまうことを抑止することができる。
【0059】
第6の実施の形態
次に、図7により本発明の第6の実施の形態について説明する。図7は、気体を送る流路およびデッキに設けられた複数の孔を示す説明図である。
【0060】
本実施の形態のマンコンベア10は、図7に示すように、流路31a,31bが送風機(送風手段)40から離れるにつれてこの流路31a,31bに連通する孔23g,23hの面積密度が大きくなる点が異なるのみであり、他は実質的に図1および図2に示す第1の実施の形態と同様の構成を有している。ここで、孔23g,23hの面積密度とは、単位面積あたりの各孔23g,23hの断面積の合計値の割合のことをいう。
図7に示す本実施の形態において、図1および図2に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0061】
図1および図7に示すように、本実施の形態のマンコンベア10において、マンコンベア10の乗降床14の下方に送風機40が設置されており、また、流路31a,31bが送風機40から離れるにつれて、この流路31a,31bに連通する孔23g,23hの面積密度が大きくなるように、孔23g,23hが内デッキ23c,23dに穿孔されている。
具体的には、図7に示すように、流路31a,31bが送風機40から離れるにつれてこの流路31a,31bに連通する孔23g,23hの単位面積あたりの設置個数が増加している。あるいは、孔23g,23hの単位面積あたりの設置個数は均一であるが、流路31a,31bが送風機40から離れるにつれて当該孔23g,23hの1個あたりの断面積が増加していてもよい。
【0062】
以上のように本実施の形態のマンコンベア10においては、流路31a,31bが送風機40から離れるにつれてこの流路31a,31bに連通する孔23g,23hの面積密度が大きくなっているので、内デッキ23c,23dに対する孔23g,23hの面積密度が踏段22の移動方向に沿って略同一である場合と比較して、各孔23g,23hから噴出される気体の量をより均一にすることができる。このようにして、送風機40から遠ざかるにつれて孔23g,23hから噴出される気体の量が減少してしまうことを抑止することができる。
【0063】
第7の実施の形態
次に、図8により本発明の第7の実施の形態について説明する。図8は、踏段22の移動方向に沿ったマンコンベア10の概略断面図である。
【0064】
本実施の形態のマンコンベア10は、図8に示すように、孔23g,23hまたは21c,21dからの気体の噴出方向が踏段22の移動方向に対して斜め前方方向である点が異なるのみであり、他は実質的に図1および図2に示す第1の実施の形態または図5に示す第4の実施の形態と同様の構成を有している。
図8に示す本実施の形態において、図1および図2に示す第1の実施の形態または図5に示す第4の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0065】
図8に示すように、内デッキ23c,23dまたはスカートガード21a,21bにおいて各孔23g,23hまたは21c,21dの近傍にはそれぞれこれらの孔23g,23hまたは21c,21dを覆うよう風向ガイド25が取り付けられている。この風向ガイド25は、孔23g,23hまたは21c,21dから出る気体の噴出方向が踏段22の移動方向に対して斜め前方方向となるよう、内デッキ23c,23dまたはスカートガード21a,21bの流路31a,31bに接する面に傾斜して設けられている。
【0066】
以上のように本実施の形態のマンコンベア10においては、流路31a,31bに連通する各孔23g,23hまたは21c,21dから斜め前方方向(図8の矢印方向)に気体が噴出するようになっているので、これらの孔23g、23hまたは21c,21dから真横に気体が噴出する場合と比較して、乗客Pの斜め後ろから斜め前に向かって気体が送られることになるので踏段22に乗った乗客Pの不快感を軽減させることができる。
【0067】
第8の実施の形態
次に、図9および図10により本発明の第8の実施の形態について説明する。図9は、マンコンベア10の乗降口付近を上方から見た上面図であり、図10は、図9のマンコンベア10のC−C矢視断面図である。
【0068】
本実施の形態のマンコンベア10は、図9および図10に示すように、マンコンベア10の乗降口の近傍における一対の内デッキ23c,23dの上面に追加の開口34a,34bを設けた点が異なるのみであり、他は実質的に図1および図2に示す第1の実施の形態と同様の構成を有している。
図9および図10に示す本実施の形態において、図1および図2に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0069】
図9および図10に示すように、マンコンベア10の乗降床14または15の近傍における一対の内デッキ23c,23dの上面には、流路31a,31bに連通する追加の開口(孔)34a,34bが設けられている。また、各内デッキ23c,23dにおいてこの開口34a,34bの近傍には、当該開口34a,34bを覆うよう風向ガイド26が取り付けられている。各風向ガイド26は、開口34a,34bから出る気体の噴出方向が踏段22の移動方向に対して斜め前方方向(図9の矢印方向)となるよう、内デッキ23c,23dの上面に傾斜して設けられている。
【0070】
以上のように本実施の形態のマンコンベア10においては、乗降口の近傍において流路31a,31bに連通する開口34a,34bから斜め前方方向に気体が噴出するようになっているので、乗降床14または15からマンコンベア10の踏段22に乗ろうとする乗客、あるいは踏段22から乗降床14または15に降りようとする乗客の衣服の裾が踏段22とスカートガード21a,21bとの間に挟まれることを抑止することができる。また、開口34a,34bから真横に気体が噴出する場合と比較して、乗客の斜め後ろから斜め前に向かって気体が送られることになるので乗客の不快感を軽減させることができる。
【0071】
第9の実施の形態
次に、図11および図12により本発明の第9の実施の形態について説明する。図11は、マンコンベア10のセンサ41および制御装置(制御手段)50の構成を示す構成図であり、図12は、図11の制御装置50における制御内容を示すブロック図である。
【0072】
本実施の形態のマンコンベア10は、図11に示すように、マンコンベア10の乗降口近傍に、踏段22上においてスカートガード21a,21b近辺に乗客が存在するか否かを検知するセンサ41を設け、センサ41からの検知信号に基づいて送風機40が作動するようこの送風機40を制御する点が異なるのみであり、他は実質的に第1乃至第4の実施の形態と同様の構成を有している。
図11および図12に示す本実施の形態において、図1乃至図5に示す第1乃至第4の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0073】
図11に示すように、マンコンベア10の乗降床14または15の近傍における内デッキ23c,23dの内側面にセンサ41が設置されている。このセンサ41は、踏段22上においてスカートガード21a,21b近辺に乗客の衣服の裾等が存在するか否かを検知する近接センサである。また、このセンサ41には制御装置50が接続されている。
【0074】
制御装置50は、図11に示すように、センサ41からの検出信号が送られるCPU50aと、このCPU50aにデータバス50d,50eをそれぞれ介して接続されたタイマー50bおよびメモリ50cとを有している。メモリ50cには送風機40に係る送風時間を決める送風時間データ50fが記憶されている。CPU50aは送風機40の送風機駆動回路40aに送風開始信号および送風停止信号を送り、この送風機駆動回路40aが送風機40の送風開始および送風停止の制御を行うようになっている。
【0075】
次にこのような構成からなる本実施の形態の作用について図12のブロック図を用いて説明する。
まず、Step1−1においてマンコンベア10が起動され、Step1−2において通常状態の運転となる。このStep1−2において送風機40は作動していない。
【0076】
その後、マンコンベア10の踏段22に乗客が乗り、Step1−3においてセンサ41によって乗客の衣服の裾等がスカートガード21a,21bに近接していることが検知されると当該センサ41から制御装置50のCPU50aに検知信号が送られる。そして、Step1−4においてCPU50aは送風機駆動回路40aに送風開始信号を送り送風機40の作動を開始させるとともに、タイマー50bに送風運転時間のカウントを開始させる。
【0077】
そして、Step1−5において送風機40が送風運転を行っている間、タイマー50bは送風運転時間のカウントを行い、Step1−6においてタイマー50bによりカウントされた送風運転時間とメモリ50cに記憶されている送風時間データ50fの値とが比較される。タイマー50bによりカウントされた送風運転時間が送風時間データ50fの値に達したときには、Step1−7においてCPU50aは送風機駆動回路40aに送風停止信号を送り送風機40の作動を停止させる。
【0078】
送風機40の作動が停止すると、Step1−8においてマンコンベア10は通常状態の運転に戻り、最後にStep1−9においてマンコンベア10の運転が停止される。
【0079】
以上のように本実施の形態のマンコンベア10においては、センサ41によりマンコンベア10の乗降口近傍でスカートガード21a,21b近辺に乗客が存在するか否かを検知し、このセンサ41からの検知信号に基づいて、制御装置50により送風機40が作動するようこの送風機40を制御しているので、乗降床14または15からマンコンベア10の踏段22に乗ろうとする乗客、あるいは踏段22から乗降床14または15に降りようとする乗客の衣服の裾等がスカートガード21a,21bの近傍にあるときに送風を行うことができる。このことにより、必要最小限の送風機40の作動によって効率よく、乗客の衣服の裾等が踏段22とスカートガード21a,21bとの間に挟まれることを抑止することができる。
【0080】
第10の実施の形態
次に、図13および図14により本発明の第10の実施の形態について説明する。図13は、マンコンベア10の音声・表示制御盤42の構成を示す構成図であり、図14は、図13の音声・表示制御盤42の警報制御装置51における制御内容を示すブロック図である。
【0081】
本実施の形態のマンコンベア10は、図13に示すように、音声により警報を発する音声装置43と、表示により警報を発する表示装置44と、センサ41からの検知信号に基づいて、音声装置43および表示装置44が作動するようこれらの音声装置43および表示装置44を制御する警報制御装置(警報制御手段)51とを更に設けた点が異なるのみであり、他は実質的に図11および図12に示す第9の実施の形態と同様の構成を有している。
図13および図14に示す本実施の形態において、図11および図12に示す第9の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0082】
図13に示すように、マンコンベア10の乗降床14または15の近傍には音声・表示制御盤42が設置されており、この音声・表示制御盤42には、音声により警報を発するスピーカー等の音声装置43と、表示により警報を発するモニタ、タッチパネル等の表示装置44と、センサ41に接続されるとともに音声装置43および表示装置44に接続される警報制御装置51とが設けられている。警報制御装置51は、音声装置43に音声信号を送るとともに表示装置44に表示信号を送るようになっている。
【0083】
次にこのような構成からなる本実施の形態の作用について図14のブロック図を用いて説明する。
まず、Step2−1においてマンコンベア10が起動され、Step2−2において通常状態の運転となる。このStep2−2において送風機40は作動していない。
【0084】
その後、マンコンベア10の踏段22に乗客が乗り、Step2−3においてセンサ41によって乗客の衣服の裾等がスカートガード21a,21bに近接していることが検知されると当該センサ41から制御装置50のCPU50aに検知信号が送られて送風機40の作動が開始するとともに(図11参照)、このセンサ41から警報制御装置51にも検知信号が送られる。
【0085】
そして、Step2−4において警報制御装置51から音声装置43に音声信号が送られてこの音声装置43によってスピーカー等の音声により乗客の聴覚に訴える警報が発せられるとともに、当該警報制御装置51から表示装置44に表示信号が送られてこの表示装置44によってモニタ等の表示により乗客の視覚に訴える警報が発せられる。
なお、ここで警報制御装置51は、音声装置43のみによる警報または表示装置44のみによる警報を乗客に与えるよう制御を行ってもよい。
【0086】
Step2−5において音声装置43における音声による警報および表示装置44における表示による警報が終了すると、Step2−6においてマンコンベア10は通常状態の運転に戻り、最後にStep2−7においてマンコンベア10の運転が停止される。
【0087】
以上のように本実施の形態のマンコンベア10においては、センサ41によりマンコンベア10の乗降口近傍でスカートガード21a,21b近辺に乗客が存在するか否かを検知し、このセンサ41からの検知信号に基づいて、音声装置43や表示装置44等の警報手段により乗客に警報を発するよう当該警報手段を警報制御装置51により制御しているので、乗降床14または15からマンコンベア10の踏段22に乗ろうとする乗客、あるいは踏段22から乗降床14または15に降りようとする乗客の衣服の裾等がスカートガード21a,21bの近傍にあるときに乗客に警報を与えて注意を喚起することができる。このことにより、乗客の衣服の裾等が踏段22とスカートガード21a,21bとの間の隙間に挟まれることをより確実に抑止することができる。
【0088】
第11の実施の形態
次に、図15および図16により本発明の第11の実施の形態について説明する。図15は、マンコンベア10のセンサ41および制御装置(制御手段)52の構成を示す構成図であり、図16は、図15の制御装置52における制御内容を示すブロック図である。
【0089】
本実施の形態のマンコンベア10は、図15に示すように、制御装置52は予め設定された時間内においてセンサ41から検知信号が送られた回数を計測し、この計測回数が予め設定された回数よりも大きくなったときに送風機40が作動するようこの送風機40を制御する点が異なるのみであり、他は実質的に第9の実施の形態と同様の構成を有している。
図15および図16に示す本実施の形態において、図11乃至図12に示す第9の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0090】
制御装置52は、図15に示すように、センサ41からの検出信号が送られるカウンター52fと、カウンター52fにデータバス52gを介して接続されたCPU52aと、CPU52aにデータバス52dを介して接続されたメモリ52cと、カウンター52fに接続されたタイマー52bとを有している。カウンター52fは予め設定された時間内においてセンサ41から検知信号が送られた回数を計測するものである。また、メモリ52cには検知信号の回数に係る計測設定値が記憶されている。CPU52aは送風機駆動回路40aを介して送風機40に送風開始信号および送風停止信号を送るようになっている。
【0091】
次にこのような構成からなる本実施の形態の作用について図16のブロック図を用いて説明する。
まず、Step3−1においてマンコンベア10が起動され、Step3−2において通常状態の運転となる。このStep3−2において送風機40は作動していない。
【0092】
その後、マンコンベア10の踏段22に乗客が乗り、Step3−3においてセンサ41によって乗客の衣服の裾等がスカートガード21a,21bに近接していることが検知されると、当該センサ41から制御装置52のカウンター52fに検知信号が送られ、Step3−4においてタイマー52bにおける時間のカウントが開始されるとともに、カウンター52fにおいて予め設定された時間内における当該カウンター52fに検知信号が送られた回数が計測される。
【0093】
そして、Step3−5においてCPU52aはカウンター52fからデータバス52gを介して送られた計測回数とメモリ52cに記憶された計測設定値とが比較され、カウンター52fによりカウントされた計測回数がメモリ52cに記憶された計測設定値よりも大きくなった場合には、Step3−6においてCPU52aは送風機駆動回路40aに送風開始信号を送り送風機40の作動を開始させる。
【0094】
そして、所定の時間が経過するとStep3−7においてCPU50aは送風機駆動回路40aに送風停止信号を送り送風機40の作動を停止させる。
【0095】
送風機40の作動が停止すると、Step3−8においてマンコンベア10は通常状態の運転に戻り、最後にStep3−9においてマンコンベア10の運転が停止される。
【0096】
以上のように本実施の形態のマンコンベア10においては、予め設定された時間内においてセンサ41から検知信号が送られた回数を計測し、この計測回数が予め設定された回数よりも大きくなったときに送風機40が作動するようこの送風機40を制御しているので、デパート等の店舗における開店時や特売セール時、駅における朝夕のラッシュ時等のマンコンベア10を利用する乗客の数が多い場合に、この乗客の数に応じて送風機40を作動させることができる。このことにより、必要最小限の送風機40の作動によって効率よく、乗客の衣服の裾等が踏段22とスカートガード21a,21bとの間の隙間に挟まれることを抑止することができる。
【0097】
第12の実施の形態
次に、図17および図18により本発明の第12の実施の形態について説明する。図17は、マンコンベア10のセンサ41、制御装置(制御手段)52および音声・表示制御盤42の構成を示す構成図であり、図18は、図17の制御装置52および警報制御装置51における制御内容を示すブロック図である。
【0098】
本実施の形態のマンコンベア10は、図17に示すように、音声により警報を発する音声装置43と、表示により警報を発する表示装置44と、制御装置52からの警報信号に基づいて、音声装置43および表示装置44が作動するようこれらの音声装置43および表示装置44を制御する警報制御装置(警報制御手段)51とを更に設けた点が異なるのみであり、他は実質的に第11の実施の形態と同様の構成を有している。
図17および図18に示す本実施の形態において、図15乃至図16に示す第11の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0099】
図17に示すように、マンコンベア10の乗降床14または15の近傍には音声・表示制御盤42が設置されており、この音声・表示制御盤42には、音声により警報を発するスピーカー等の音声装置43と、表示により警報を発するモニタ、タッチパネル等の表示装置44と、制御装置52に接続されるとともに音声装置43および表示装置44に接続される警報制御装置51とが設けられている。警報制御装置51は、制御装置52から送られた警報信号に基づいて音声装置43に音声信号を送るとともに表示装置44に表示信号を送るようになっている。
【0100】
次にこのような構成からなる本実施の形態の作用について図18のブロック図を用いて説明する。
まず、Step4−1においてマンコンベア10が起動され、Step4−2において通常状態の運転となる。このStep4−2において送風機40は作動していない。
【0101】
その後、マンコンベア10の踏段22に乗客が乗り、Step4−3においてセンサ41によって乗客の衣服の裾等がスカートガード21a,21bに近接していることが検知されると、当該センサ41から制御装置52のカウンター52fに検知信号が送られ、Step4−4においてタイマー52bにおける時間のカウントが開始されるとともに、カウンター52fにおいて予め設定された時間内における当該カウンター52fに検知信号が送られた回数が計測される。
【0102】
そして、Step4−5においてCPU52aはカウンター52fからデータパス52gを介して送られた計測回数とメモリ52cに記憶された計測設定値とが比較され、カウンター52fによりカウントされた計測回数がメモリ52cに記憶された計測設定値よりも大きくなった場合には、CPU52aから送風機駆動回路40aに送風開始信号が送られるとともに(図15参照)、警報制御装置51に警報信号が送られる。Step4−6において、警報制御装置51がCPU52aから警報信号を受けると警報制御装置51から音声装置43に音声信号が送られてこの音声装置43によってスピーカー等の音声により警報が発せられるとともに、当該警報制御装置51から表示装置44に表示信号が送られ、この表示装置44によってモニタ等の表示により警報が発せられる。
【0103】
Step4−7において音声装置43における音声による警報および表示装置44における表示による警報が終了すると、Step4−8においてマンコンベア10は通常状態の運転に戻り、最後にStep4−9においてマンコンベア10の運転が停止される。
【0104】
以上のように本実施の形態のマンコンベア10においては、予め設定された時間内においてセンサ41から検知信号が送られた回数を計測し、この計測回数が予め設定された回数よりも大きくなったときに音声装置43や表示装置44等の警報手段により乗客に警報を発するよう当該警報手段を警報制御装置51により制御している。このため、デパート等の店舗における開店時や特売セール時、駅における朝夕のラッシュ時等のマンコンベア10を利用する乗客の数が多い場合に、この乗客の数に応じて送風機40を作動させながら、乗客に警報を与えて注意を喚起することができる。このことにより、乗客の衣服の裾等が踏段22とスカートガード21a,21bとの間に挟まれることを確実に抑止することができる。
【0105】
第13の実施の形態
次に、図19および図20により本発明の第13の実施の形態について説明する。図19は、マンコンベア10の送風機(送風手段)40および制御装置(制御手段)53の構成を示す構成図であり、図20は、図19の制御装置53における制御内容を示すブロック図である。
【0106】
本実施の形態のマンコンベア10は、図19に示すように、制御装置53により、予め設定された特定の期間内において送風機40が作動するようこの送風機40を制御する点が異なるのみであり、他は実質的に第1乃至第4の実施の形態と同様の構成を有している。
図19および図20に示す本実施の形態において、図1乃至図5に示す第1乃至第4の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0107】
図19に示すように、マンコンベア10において、送風機40に送風機駆動回路40aを介して制御装置53が接続されており、この制御装置53は、CPU53aと、CPU53aにデータバス53d,53eを介して接続されたカウンター53bおよびメモリ53cとを有している。カウンター53bは時間の経過を計測するものであり、またメモリ53cには送風機40に係る送風開始時刻および送風停止時刻のデータ(図19の53f,53g,53h,53i)が記憶されている。CPU53aは送風機駆動回路40aに送風開始信号および送風停止信号を送り、この送風機駆動回路40aが送風機40の送風開始および送風停止の制御を行うようになっている。
【0108】
次にこのような構成からなる本実施の形態の作用について図20のブロック図を用いて説明する。
まず、Step5−1においてマンコンベア10が起動され、Step5−2において通常状態の運転となる。このStep5−2において送風機40は作動していない。マンコンベア10の通常運転が行われている間、制御装置53においてカウンター53bにより日時の経過が計測されている。
【0109】
その後、Step5−3においてCPU53aがカウンター53bにより計測された現在の時刻とメモリ53cに記憶された送風開始時刻との比較を行う。カウンター53bにより計測された現在の時刻が送風開始時刻に達するとStep5−4においてCPU53aは送風機駆動回路40aに送風開始信号を送り送風機40の作動を開始させる。
【0110】
そして、送風機40により送風が行われている間、Step5−5においてCPU53aがカウンター53bにより計測された現在の時刻とメモリ53cに記憶された送風停止時刻との比較を行う。カウンター53bにより計測された現在の時刻が送風停止時刻に達するとStep5−6においてCPU53aは送風機駆動回路40aに送風停止信号を送り送風機40の作動を停止させ、マンコンベア10は通常状態の運転に戻る。最後にStep5−7においてマンコンベア10の運転が停止される。
【0111】
以上のように本実施の形態のマンコンベア10においては、制御装置53によって、予め設定された特定の期間内において送風機40が作動するようこの送風機40を制御しているので、デパート等の店舗における開店時や特売セール時、駅における朝夕のラッシュ時等のマンコンベア10を利用する乗客の数が多い時間帯のみに送風機40を作動させることができる。このことにより、必要最小限の送風機40の作動によって効率よく、乗客の衣服の裾等が踏段22とスカートガード21a,21bとの間に挟まれることを抑止することができる。
【0112】
第14の実施の形態
次に、図21および図22により本発明の第14の実施の形態について説明する。図21は、マンコンベア10の送風機(送風手段)40および制御装置(制御手段)54の構成を示す構成図であり、図22は、図21の制御装置54における制御内容を示すブロック図である。
【0113】
本実施の形態のマンコンベア10は、図21に示すように、制御装置54により、気体が送られる対象を、踏段22の両側にある一対の流路31a,31bのうち両方の流路31a,31bあるいはいずれか一方の流路31a(または流路31b)に切り替えながら送風機40が作動するよう当該送風機40を制御する点が異なるのみであり、他は実質的に第1乃至第4の実施の形態と同様の構成を有している。
図21および図22に示す本実施の形態において、図1乃至図5に示す第1乃至第4の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0114】
図21に示すように、マンコンベア10において、送風機40に送風機駆動回路40aを介して制御装置54が接続されており、この制御装置54は、CPU54aと、CPU54aにデータバス54cを介して接続されたメモリ54bとを有している。メモリ54bには送風機40に係る両側送風設定データ54d、右側送風設定データ54eおよび左側送風設定データ54fが記憶されている。CPU54aは送風機駆動回路40aに送風指令信号を送り、この送風機駆動回路40aが送風機40の両側の流路31a,31bあるいは片側の流路31a(または31b)に対する送風を制御するようになっている。
さらに、制御装置のCPU54aには両側送風設定スイッチBB、右側送風設定スイッチBRおよび左側送風設定スイッチBLがそれぞれ独立して接続されている。これらの設定スイッチは、遠隔制御によりON/OFFを設定することができるようになっている。
【0115】
次にこのような構成からなる本実施の形態の作用について図22のブロック図を用いて説明する。
まず、Step6−1においてマンコンベア10が起動され、Step6−2において通常状態の運転となる。このStep6−2において送風機40は作動していない。
【0116】
その後、Step6−3においてCPU54aは、メモリ54bに記憶された両側送風設定データ54dおよび両側送風設定スイッチBBのON信号に基づいて送風機40が両側の流路31a,31bに送風を行うことを判断し、Step6−4においてCPU54aは送風機駆動回路40aに送風指令信号を送り送風機40が両側の流路31a,31bに送風を行うようこの送風機40の作動を開始させる。その後所定の時間が経過すると送風機40の作動が停止し、Step6−5においてマンコンベア10は通常状態の運転に戻る。最後にStep6−6においてマンコンベア10の運転が停止される。
【0117】
一方、Step6−3において両側送風設定スイッチBBがOFFである場合には、Step6−7においてCPU54aは、メモリ54bに記憶された右側送風設定データ54eおよび右側送風設定スイッチBRのON信号に基づいて送風機40が踏段22の右側の流路31aに送風を行うことを判断し、Step6−8においてCPU54aは送風機駆動回路40aに送風指令信号を送り送風機40が右側の流路31aに送風を行うようこの送風機40の作動を開始させる。その後所定の時間が経過すると送風機40の作動が停止し、Step6−9においてマンコンベア10は通常状態の運転に戻る。
【0118】
さらに、Step6−7において右側送風設定スイッチBRがOFFである場合には、Step6−10においてCPU54aは、メモリ54bに記憶された左側送風設定データ54fおよび左側送風設定スイッチBLのON信号に基づいて送風機40が踏段22の左側の流路31bに送風を行うことを判断し、Step6−11においてCPU54aは送風機駆動回路40aに送風指令信号を送り送風機40が左側の流路31bに送風を行うようこの送風機40の作動を開始させる。その後所定の時間が経過すると送風機40の作動が停止し、Step6−12においてマンコンベア10は通常状態の運転に戻る。
【0119】
ここで、Step6−10において左側送風設定スイッチBRがOFFである場合には、Step6−13において送風機40は送風運転を行うことなくマンコンベア10は通常状態の運転を行う。
【0120】
以上のように本実施の形態のマンコンベア10においては、制御装置54によって、気体が送られる対象を、踏段22の両側にある一対の流路31a,31bのうち両方の流路31a,31bあるいはいずれか一方の流路31a(または流路31b)に切り替えながら送風機40が作動するよう当該送風機40を制御している。ここで、マンコンベア10の踏段22に乗った乗客は、混雑時に片側の列(例えば、踏段22の左側の列)を停止列、もう一方の列を歩行列としている場合が多いが、踏段22の歩行列で歩行を行っている乗客の衣服の裾等が踏段22とスカートガード21との間に挟まれる可能性が高くなっている。このような場合には踏段22の歩行列側のみに送風を行うことにより、必要最小限の送風機40の作動によって効率よく、乗客の衣服の裾等が踏段22とスカートガード21a,21bとの間の隙間に挟まることを抑止することができる。
【0121】
第15の実施の形態
次に、図23および図24により本発明の第15の実施の形態について説明する。図23は、マンコンベア10の送風機40の制御装置(制御手段)55の制御シーケンスを示す図であり、図24は、図23の制御装置55における制御内容を示すブロック図である。
【0122】
本実施の形態のマンコンベア10は、図23に示すように、制御装置55により、踏段22が上昇移動しているときおよび下降移動しているときのそれぞれの場合で独立して各流路31a,31bに気体を送るか否かの作動状態を切り替えるよう送風機40を制御する点が異なるのみであり、他は実質的に第1乃至第4の実施の形態と同様の構成を有している。
図23および図24に示す本実施の形態において、図1乃至図5に示す第1乃至第4の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0123】
図23に示すように、制御装置55には運転停止スイッチPS、上昇運転スイッチPU、下降運転スイッチPD、上昇運転時送風スイッチPBUおよび下降運転時送風スイッチPBDが接続されている。図23に示すシーケンス中のスイッチリレーU、D、BU、BDはそれぞれ上昇運転、下降運転、上昇運転時送風および下降運転時送風の場合にONとなるスイッチリレーであり、これらのスイッチリレーの入接点、切接点によりシーケンス回路が構成されている。
【0124】
次にこのような構成からなる本実施の形態の作用について図24のブロック図を用いて説明する。
まず、Step7−1においてマンコンベア10が起動され、Step7−2において通常状態の運転となる。このStep7−2において送風機40は作動していない。
【0125】
ここで、送風機40による送風が必要な場合には上昇運転時送風スイッチPBUまたは下降運転時送風スイッチPBDをONとする。その後、Step7−3においてシーケンスのスイッチリレーUによりマンコンベア10の上昇運転が肯定されると、Step7−4においてスイッチリレーBUにより上昇運転時の送風が判別され、この送風が肯定されるとStep7−5において制御装置55は送風機駆動回路40aに送風開始信号を送り送風機40の作動を開始させる。その後所定の時間が経過すると送風機40の作動が停止し、Step7−6においてマンコンベア10は通常状態の運転に戻る。最後にStep7−7においてマンコンベア10の運転が停止される。ここで、Step7−4において上昇運転時の送風が肯定されなかった場合には、Step7−8において送風機40による送風は行われることなくマンコンベア10は通常状態の運転を行う。
【0126】
一方、Step7−3においてマンコンベア10の上昇運転が肯定されなかった場合には、Step7−9においてシーケンスのスイッチリレーDにより下降運転が肯定されると、Step7−10においてスイッチリレーBDにより下降運転時の送風が判別され、この送風が肯定されるとStep7−11において制御装置55は送風機駆動回路40aに送風開始信号を送り送風機40の作動を開始させる。その後所定の時間が経過すると送風機40の作動が停止し、Step7−12においてマンコンベア10は通常状態の運転に戻る。
【0127】
また、Step7−9においてマンコンベア10の下降運転が肯定されなかった場合には、Step7−13においてマンコンベア10は停止状態となっている。また、Step7−10において下降運転時の送風が肯定されなかった場合には、Step7−14において送風機40による送風は行われることなくマンコンベア10は通常状態の運転を行う。
【0128】
以上のように本実施の形態のマンコンベア10においては、制御装置55によって、踏段22が上昇移動しているときおよび下降移動しているときのそれぞれの場合で独立して各流路31a,31bに気体を送るか否かの作動状態を切り替えるよう送風機40を制御しているので、マンコンベア10の運転状態に応じて必要最小限の送風機40の作動によって効率よく、乗客の衣服の裾等が踏段22とスカートガード21a,21bとの間に挟まれることを抑止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0129】
【図1】本発明によるマンコンベア(エスカレータ)を示す側面図である。
【図2】図1のマンコンベアの第1の実施の形態を示すA−A断面図である。
【図3】図1のマンコンベアの第2の実施の形態を示すA−A断面図である。
【図4】図1のマンコンベアの第3の実施の形態を示すA−A断面図である。
【図5】図1のマンコンベアの第4の実施の形態を示すB−B断面図である。
【図6】第5の実施の形態における、気体を送る流路および送風手段を示す説明図である。
【図7】第6の実施の形態における、気体を送る流路およびデッキに設けられた複数の孔を示す説明図である。
【図8】第7の実施の形態における踏段の移動方向に沿ったマンコンベアの断面図である。
【図9】第8の実施の形態におけるマンコンベアの乗降口付近を上方から見た上面図である。
【図10】図9のマンコンベアのC−C矢視断面図である。
【図11】第9の実施の形態におけるマンコンベアのセンサおよび制御装置(制御手段)の構成を示す構成図である。
【図12】図11の制御装置における制御内容を示すブロック図である。
【図13】第10の実施の形態におけるマンコンベアの音声・表示制御盤の構成を示す構成図である。
【図14】図13の音声・表示制御盤の警報制御装置における制御内容を示すブロック図である。
【図15】第11の実施の形態におけるマンコンベアのセンサおよび制御装置(制御手段)の構成を示す構成図である。
【図16】図15の制御装置における制御内容を示すブロック図である。
【図17】第12の実施の形態におけるマンコンベアのセンサ、制御装置(制御手段)および音声・表示制御盤の構成を示す構成図である。
【図18】図17の制御装置および警報制御装置における制御内容を示すブロック図である。
【図19】第13の実施の形態におけるマンコンベアの送風機(送風手段)および制御装置(制御手段)の構成を示す構成図である。
【図20】図19の制御装置における制御内容を示すブロック図である。
【図21】第14の実施の形態におけるマンコンベアの送風機(送風手段)および制御装置(制御手段)の構成を示す構成図である。
【図22】図21の制御装置における制御内容を示すブロック図である。
【図23】第15の実施の形態におけるマンコンベアの送風機の制御装置(制御手段)の制御シーケンスを示す図である。
【図24】図23の制御装置における制御内容を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0130】
10 マンコンベア
11 下階床
12 上階床
13 主枠
14,15 乗降床
21a,21b スカートガード
21c,21d 孔
22 踏段
23a,23b デッキ
23c,23d 内デッキ
23e,23f 外デッキ
23g,23h 孔
23i,23j 開口
23k,23l 開口パネル
24a,24b 欄干パネル
25 風向ガイド
26 風向ガイド
27a,27b 移動手摺
28a,28b 案内レール
30a,30b,30c,30d,30e,30f 流路パネル
31a,31b 流路
32a,32b 分岐流路パネル
33a,33b 分岐流路
34a,34b 開口
40 送風機
41 センサ
42 音声・表示制御盤
43 音声装置
44 表示装置
50 制御装置
51 警報制御装置
52 制御装置
53 制御装置
54 制御装置
55 制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動経路を形成する一対の対向するスカートガードと、
前記一対のスカートガード内の移動経路に設けられ、無端状に連結されて循環移動する複数の踏段と、
前記各スカートガードの上方に設置され、前記踏段側の側面に複数の孔が設けられた一対のデッキと、
前記各デッキの内部に設けられ、それぞれのデッキに設けられた前記各孔に連通する一対の流路と、
前記各流路に気体を送って前記各デッキの孔からこの気体を噴出させる送風手段と、
を備えたことを特徴とするマンコンベア。
【請求項2】
移動経路を形成する一対の対向するスカートガードと、
前記一対のスカートガード内の移動経路に設けられ、無端状に連結されて循環移動する複数の踏段と、
当該移動経路の下方に設置され、前記各踏段を案内する一対の案内レールと、
前記各案内レールの下方に設けられ、前記踏段と前記スカートガードとの間の隙間に分岐流路を介して連通する一対の流路と、
前記各流路に気体を送って前記分岐流路から前記隙間に下方からこの気体を噴出させる送風手段と、
を備えたことを特徴とするマンコンベア。
【請求項3】
移動経路を形成する一対の対向するスカートガードと、
前記一対のスカートガード内の移動経路に設けられ、無端状に連結されて循環移動する複数の踏段と、
前記各スカートガードの上方に設置され、前記踏段側に向いている複数の開口が上面に設けられた一対のデッキと、
前記各デッキの内部に設けられ、それぞれのデッキに設けられた前記各開口に連通する一対の流路と、
前記各流路に気体を送って前記デッキの開口からこの気体を噴出させる送風手段と、
を備えたことを特徴とするマンコンベア。
【請求項4】
移動経路を形成する一対の対向するスカートガードと、
前記一対のスカートガード内の移動経路に設けられ、無端状に連結されて循環移動する複数の踏段とを備えたマンコンベアにおいて、
当該マンコンベアの乗降口の近傍において前記スカートガードに設けられた複数の孔と、
前記各スカートガードの外側に設けられ、前記各孔に連通する一対の流路と、
前記各流路に気体を送って前記スカートガードの孔からこの気体を噴出させる送風手段と、
を備えたことを特徴とするマンコンベア。
【請求項5】
前記送風手段はマンコンベアの乗降口近傍に設けられ、
前記流路が前記送風手段から離れるにつれてこの流路の断面積が小さくなることを特徴とする請求項1記載のマンコンベア。
【請求項6】
前記送風手段はマンコンベアの乗降口近傍に設けられ、
前記流路が前記送風手段から離れるにつれてこの流路に連通する前記孔の面積密度が大きくなることを特徴とする請求項1記載のマンコンベア。
【請求項7】
前記流路に連通する前記孔からの気体の噴出方向が斜め前方方向であることを特徴とする請求項1または4記載のマンコンベア。
【請求項8】
マンコンベアの乗降口の近傍における前記一対のデッキの上面に前記流路に連通する追加の開口が設けられ、
この開口からの気体の噴出方向が斜め前方方向であることを特徴とする請求項1に記載のマンコンベア。
【請求項9】
マンコンベアの乗降口近傍に設けられ、前記踏段上において前記スカートガード近辺に乗客が存在するか否かを検知するセンサと、
前記センサからの検知信号に基づいて、前記送風手段が作動するようこの送風手段を制御する制御手段と、
を更に備えたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のマンコンベア。
【請求項10】
音声および/または表示により警報を発する警報手段と、
前記センサからの検知信号に基づいて、前記警報手段が作動するようこの警報手段を制御する警報制御手段と、
を更に備えたことを特徴とする請求項9に記載のマンコンベア。
【請求項11】
マンコンベアの乗降口近傍に設けられ、前記踏段上において前記スカートガード近辺に乗客が存在するか否かを検知するセンサと、
予め設定された時間内において前記センサから検知信号が送られた回数を計測し、この計測回数が予め設定された回数よりも大きくなったときに前記送風手段が作動するようこの送風手段を制御する制御手段と、
を更に備えたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のマンコンベア。
【請求項12】
音声および/または表示により警報を発する警報手段と、
予め設定された時間内において前記センサから検知信号が送られた回数を計測し、この計測回数が予め設定された回数よりも大きくなったときに前記警報手段が作動するようこの警報手段を制御する警報制御手段と、
を更に備えたことを特徴とする請求項11記載のマンコンベア。
【請求項13】
予め設定された特定の期間内において前記送風手段が作動するようこの送風手段を制御する制御手段を更に備えたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のマンコンベア。
【請求項14】
気体が送られる対象を、前記踏段の両側にある前記一対の流路のうち両方の流路またはいずれか一方の流路に切り替えながら前記送風手段が作動するよう前記送風手段を制御する制御手段を更に備えたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のマンコンベア。
【請求項15】
前記踏段が上昇移動しているときおよび下降移動しているときのそれぞれの場合で独立して前記各流路に気体を送るか否かの作動状態を切り替えるよう前記送風手段を制御する制御手段を更に備えたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のマンコンベア。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2006−176282(P2006−176282A)
【公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−371687(P2004−371687)
【出願日】平成16年12月22日(2004.12.22)
【出願人】(390025265)東芝エレベータ株式会社 (2,543)
【Fターム(参考)】