説明

ミキサ車およびミキサ車監視システム

【課題】 安価なミキサ車監視システム、および、該ミキサ車監視システムに最適となるミキサ車を提供することである。
【解決手段】 架台に回転自在に搭載されるドラムDと、ドラムDを回転駆動する双方向型であって吐出量可変なポンプ2とモータ1からなる駆動手段と、ドラムDの回転を設定可能な操作装置4と、操作装置4の設定に基づいて駆動手段を制御する制御装置3とを備えたミキサ車において、ドラムDの回転情報と、ドラムDを少なくとも排出回転させるときにおけるポンプ2の吐出圧力情報またはモータ1の出力トルク情報またはその両方と、を送信する無線通信手段5を備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ミキサ車およびミキサ車監視システムの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
ミキサ車と言われるアジテータトラックにあっては、コンクリートプラントにおいてドラム内に投入されるモルタルやレディミクストコンクリート等(以下、「生コン」という)を打設現場へ運搬する役割を担っている。
【0003】
そして、ミキサ車は、打設現場に到着後、生コンを排出してドラム内が空の状態となると、コンクリートプラントに引き返し、再度生コンをドラム内に積載し打設現場と向かうことになる。
【0004】
このようにミキサ車は、生コンをコンクリートプラントから打設現場へと運搬するために、該コンクリートプラントと打設現場とを往復することになるが、生コンは一度混練されると固化が始まり、ミキサ車で運搬された生コンのスランプ値が基準値を満たしていない場合には最悪の場合には返品を余儀なくされる場合もあるので、コンクリートプラントでは、生コンの品質を劣化させない目的でミキサ車が運搬を終えて同コンクリートプラントに到着してから生コンを混練するなどしていた。
【0005】
すると、必然的にミキサ車は、生コンの混練が終了するまでコンクリートプラントで待機することを余儀なくされることになり無駄な時間が生じて、結果、ミキサ車の稼働率は悪いものとなっている。
【0006】
そこで、コンクリートプラント側でミキサ車の位置や生コン運搬中かコンクリートプラントへ向かっているかを把握できるように、GPS(Global Positioning System)を使用した位置情報およびドラム回転方向情報等をミキサ車からコンクリートプラントに送信するシステムの提案がある。
【0007】
この提案では、ミキサ車の位置把握および生コン運搬中か否かをコンクリートプラントで把握することができるので、ミキサ車がコンクリートプラントに帰ってくるまでに、該ミキサ車が運搬するべき生コンをあらかじめ混練しておくことができるようになり、これにより、ミキサ車がコンクリートプラントで待機するといった無駄時間を削減してミキサ車の稼働率を向上することができるものである(たとえば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−346295号公報(発明の実施の形態,図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、従来提案にあっては、GPSを搭載しミキサ車の正確な位置を把握できる点で優れているが、以下の不具合があると指摘される可能性がある。
【0009】
すなわち、従来提案では、上述のようにGPSを搭載していることからハードウェエアのみならずソフトウェアも非常に高価となってしまう。
【0010】
また、生コンを運搬中であるか否かの判断をドラム回転速度(単位時間あたりの回転数)あるいはミキサ車の荷重あるいはその両方に基づいて行っているが、ミキサ車が生コンを排出し終わってもドラムを投入側に回転させている場合には、生コン運搬中か否かの判断が行えず、また、荷重センサの配置場所によってはミキサ車が坂道を走行中であったり、傾斜地に停車中であったりする場合には、正確な荷重を検出できず、荷重を検出することを踏まえても、生コンを運搬中であるか否かを正確に判断することが難しい。
【0011】
そこで、本発明は、上記不具合を改善するために創案されたものであって、その目的とするところは、安価なミキサ車監視システム、および、該ミキサ車監視システムに最適となるミキサ車を提供することであり、他の目的は、作業状態を正確に把握することが可能なミキサ車監視システム、および、該ミキサ車監視システムに最適となるミキサ車を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記した目的を達成するために、この発明のミキサ車は、架台に回転自在に搭載されるドラムと、ドラムを回転駆動する双方向型であって吐出量可変なポンプとモータからなる駆動手段と、ドラムの回転を設定可能な操作装置と、操作装置の設定に基づいて駆動手段を制御する制御装置とを備えたミキサ車において、ドラムの回転情報と、ドラムを少なくとも排出回転させるときにおけるポンプの吐出圧力情報またはモータの出力トルク情報またはその両方と、を送信する無線通信手段を備えたことを特徴とする。
【0013】
さらに、この発明のミキサ車監視システムは、ミキサ車に搭載されるドラムの回転情報と、ミキサ車に搭載されドラムを回転駆動するモータに液圧を供給する双方向型吐出量可変のポンプの吐出圧力情報または上記モータの出力トルク情報またはその両方と、を送信する無線通信手段と、該送信される各情報を受信する無線受信手段と、受信した各情報を出力する出力手段を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、少なくともドラムの回転情報とポンプにおける吐出圧力情報の2つの情報を送信するので、コンクリート側のオペレータは、ミキサ車が生コンを運搬中であるか、コンクリートプラントに向かっている途中であるか、打設現場で作業中であるかを正確に把握することができる。
【0015】
すると、ミキサ車がコンクリートプラントに向かっている途中であることを正確に判断することができるので、復路走行中のミキサ車に搭載させるべき生コンをコンクリートプラントであらかじめ生コン投入準備をしておくことができ、ミキサ車のコンクリートプラントでの待機時間を確実かつ大幅に削減することができ、これにより、ミキサ車の稼働率を向上することができる。
【0016】
したがって、ミキサ車の位置を特定することを要せずに、ミキサ車の作業状態を把握して、ミキサ車の稼働率を向上することが可能であるから、GPS等の高価な装置を用いずに済むので、ミキサ車およびミキサ車監視システムを安価にすることが可能である。
【0017】
さらに、復路走行中である複数台のミキサ車を把握することも可能であるので、複数台のミキサ車を一括管理することによりミキサ車の稼働率の向上を図ることも可能である。
【0018】
また、ドラム内に生コンが積載されているかの判断を、ポンプの吐出圧力もしくはモータのトルクの大きさを基準として行うことができ、かつ、該吐出圧力もしくはトルクは、ミキサ車が傾斜面に停車した場合にあってもミキサ車の傾斜の影響を受けずらいので、ドラム自体の荷重を検出して生コンの積載を判断する方法に比較して、バラツキなく正確にドラム内に生コンが積載されているか否かを判断することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下に、図示した実施の形態に基づいて、この発明を説明する。図1は、一実施の形態におけるミキサ車に搭載されるミキサ車監視システムの一部の概念図である。図2は、一実施の形態におけるミキサ車に搭載される操作装置を示す図である。図3は、一実施の形態におけるミキサ車監視システムの概念図である。
【0020】
ミキサ車本体については公知のものであるので特に説明はしないが、一実施の形態における図示しないミキサ車は、図1に示すように、ドラムDを回転駆動する駆動手段である液圧モータ1および液圧モータ1に液圧を供給する双方向吐出型であって吐出量可変な液圧ポンプ2と、液圧モータ1および液圧ポンプ2を制御する制御装置たるコントローラ3と、ミキサ車走行用のエンジンEと、パーキングブレーキ装置Bと、コントローラ3に接続されコントローラ3にドラム回転指令を入力可能な操作装置4と、コントローラ3に接続された無線送信手段5とを搭載している。
【0021】
液圧ポンプ2は、ミキサ車のエンジンEに、PTO(Power Take Off)を介して接続されており、該エンジンのクランクシャフトの回転運動が減速機等を介して伝達されて回転駆動される。
【0022】
また、液圧ポンプ2は、具体的には、斜板カム(図示せず)の傾角を変更することにより吐出方向および吐出量を可変にするアキシャル形の双方向吐出ポンプとして構成され、該液圧ポンプ2にループ状の管路6を介して接続された液圧モータ1をそれぞれ正回転および逆回転することが可能である。
【0023】
そして、上記液圧ポンプ2の傾斜カムの変更は、具体的にたとえば、図示しないサーボシリンダにより行われ、この液圧ポンプ2の吐出方向および吐出量は、容量検出センサ21で検知してコントローラ3に入力され、コントローラ3は、容量検出センサ21が検出する吐出方向および吐出量をフィードバックとしてサーボシリンダを駆動し液圧ポンプ2の吐出方向と吐出量を制御することができるようになっている。
【0024】
また、液圧モータ1は、具体的にはたとえば、傾転角の変更により回転速度が変化するように設定され、回転速度センサ11で単位時間あたりの回転速度を検知するようになっており、コントローラ3は、回転速度センサ11が検出する回転速度をフィードバックとして上記傾転角を調節して、液圧モータ1の回転方向および回転速度を制御することができるようになっている。
【0025】
また、液圧ポンプ2の吐出方向および吐出容量と、液圧モータ1の傾転角をフィードバックとして液圧モータ1の回転速度および回転方向を制御するとしてもよい。
【0026】
なお、具体的には、コントローラ3は、図示しない液圧モータ1の傾転角および液圧ポンプ2の傾斜カムの傾角を調節する各々のサーボシリンダに、液圧の供給を可能とする各々の電磁弁のソレノイドに対し、各々ポンプ用とモータ用の制御信号を出力し、液圧モータ1および液圧ポンプ2を独立に駆動制御することになる。
【0027】
さらに、上記液圧モータ1がドラムDを投入回転させる時にループ状の管路6のうち該液圧モータ1に液圧を供給する側の管路61の途中には、圧力センサ62が設けられ、また、上記液圧モータ1がドラムDを排出回転させる時にループ状の管路6のうち該液圧モータ1に液圧を供給する側の管路63の途中には、圧力センサ64が設けられており、該圧力センサ62,64は、それぞれ管路61、63内の圧力、すなわち、液圧ポンプ2の吐出圧力を検出し、その出力電圧からなる吐出圧力信号をコントローラ3に伝達するようになっている。
【0028】
そして、上記液圧モータ1の回転シャフト(図示せず)は、減速機を介してドラムDの端部に連結され、これら液圧モータ1および液圧ポンプ2からなる駆動手段によってドラムDを投入排出回転および停止させることが可能なようになっている。
【0029】
なお、ドラムDは、詳しく図示はしないが、有底筒状のドラムシェルと、ドラムシェルの内周面に外周側が固定される螺旋状のブレードと、ドラムシェル内の開口端側におけるブレードの内周側に固定されてドラムシェルの軸芯部に配置されるシールパイプとを備えて構成される公知のものである。
【0030】
転じて、操作装置4は、図2に示すように、ドラムDの回転設定を入力可能なボリューム型のスイッチ41およびドラムDの自動洗浄を行う自動洗浄スイッチ42を備えており、ミキサ車のユーザーのスイッチ41操作によって入力されるドラム回転速度、回転方向、停止および自動洗浄スイッチ42操作によって入力される自動洗浄の回転設定が回転指令信号として信号線等を介してコントローラ3に送信することができるようになっている。
【0031】
上記した自動洗浄とは、生コン排出後のドラムD内に洗浄水を投入し、ドラムDを交互に投入排出回転させてドラムD内の洗浄を行うことをさし、ミキサ車のユーザーが自動洗浄スイッチ42を押圧することによって、後述のコントローラ3が所定のドラム回転パターンでドラムDを交互に投入排出回転させるように液圧モータ1および液圧ポンプ2を制御するようになっている。
【0032】
なお、操作装置4とコントローラ3の通信においては、信号線を介さない無線によって行うとされてもよい。
【0033】
エンジンEは、コントローラ3からのエンジン回転速度指令信号をうけてエンジンEのスロットル弁E1の開度を調節するスロットル調整装置E2によってエンジン回転速度が制御される。
【0034】
このエンジンEの回転数は、回転速度センサE3によって検出され、この回転速度センサE3が出力するエンジン回転数はコントローラ3に入力される。
【0035】
そして、コントローラ3は、上記エンジン回転数をフィードバックとしてエンジン回転速度指令信号をスロットル調整装置E2に出力してスロットル調整装置E2を制御する。
【0036】
したがって、ミキサ車停車中であっても、ドラムDの回転駆動が必要な場合には、上記コントローラ3がスロットル調整装置E2を制御して、エンジンEの回転数を所定の回転速度に維持することができるようになっている。
【0037】
パーキングブレーキ装置Bは、公知のものであるので説明を省略するが、このパーキングブレーキ装置Bには、パーキングブレーキがかけられている状態を検知するスイッチB1が設けられている。
【0038】
このスイッチB1は、パーキングブレーキがかけられミキサ車が停車している状態、すなわち、パーキングブレーキ装置Bが作動している状態で停車信号をコントローラ3に送信するようになっている。
【0039】
スイッチB1は、具体的にたとえば、パーキングブレーキ装置Bの操作レバーB2が停車位置まで操作されるときに、上記操作レバーB2によって押圧されるように構成したものであればよく、また、パーキングブレーキ装置Bの操作レバーB2の位置を検出する位置センサとされて構成されても良い。
【0040】
コントローラ3は、容量検出センサ21から入力される吐出方向および吐出量の信号、回転速度センサ11から入力される回転速度の信号、操作装置4から入力される回転指令信号、圧力センサ62,63から入力される各吐出圧力信号、回転速度検出センサE3から入力されるエンジン回転速度の信号およびスイッチB1から入力される停車信号の各信号を受け取り、液圧モータ1、液圧ポンプ2の駆動およびエンジンEの回転速度調節に必要な電流もしくは電圧からなる制御信号を出力することができるものであればよい。
【0041】
具体的にたとえば、コントローラ3は、ハードウェアとしては図示しないが、各信号を増幅するためのアンプと、アナログ信号をデジタル信号に変換する変換器と、CPU(Central Prossesing Unit)等の演算装置と、ROM(Read Only Memory)等の記憶装置とから構成され、液圧モータ1および液圧ポンプ2の駆動に必要な演算処理手順と制御信号出力手順および自動洗浄時の処理を含む制御手順は、プログラムとしてROMや他の記憶装置に予め格納させておくとする周知なコンピュータシステムとして構成されている。
【0042】
なお、制御手順については、特に詳しく説明しないが、操作装置4により設定される回転設定指令通りのドラムDの回転動作を実現するのに適した制御手順が採用される。
【0043】
また、上述の制御手順にあっては、操作装置4における回転設定を実現するとしているが、たとえば、生コン運搬中にあっては、操作装置4の回転設定にかかわらず生コンの品質を保つ最適なドラム回転を実現するような制御をしてもよい。
【0044】
上記したコントローラ3は、上記した構成に加えて、無線送信手段5を備えており、上述の吐出方向および吐出量、液圧モータ1の回転速度、各吐出圧力、操作装置4の回転指令、エンジン回転速度および停車信号およびコントローラ3が出力する制御信号の情報を無線送信手段5で無線送信することができるようになっている。
【0045】
なお、ドラム回転情報は、少なくともドラムDの回転方向を把握できる情報であり、この場合、液圧モータ1の回転速度および液圧ポンプ2の吐出方向の情報で構成され、ドラムDの回転設定情報は上記回転指令で構成され、パーキングブレーキ装置Bの作動状態情報は、上記停車信号で構成される。
【0046】
この無線送信手段5は、上記各情報を受取り、これらを送信するものであれば良いが、具体的には、図示しない送信部とコントローラ3のCPU、記憶装置等で構成されるが、上記情報の送信手順は、上記したコントローラ3の記憶装置に格納されるとともに、上記CPUにて送信手順が実行される。
【0047】
なお、CPUが送信手順を処理実行するうえで必要となるデータ、プログラム等が上記RAMに適宜記憶されることは無論である。
【0048】
上記送信部としては、搬送波をデジタル変調等で変調して送信するものであればよく、公知の無線装置を使用することができ、携帯電話パケット通信網を利用するものであっても良い。
【0049】
そして、無線送信手段5は、上記信号の加えて、ミキサ車の固有情報をも送信する。この固有情報は、ミキサ車を特定するためのもので、コントローラ3の記憶装置に格納され、上記送信手順を処理実行する際に、記憶装置から適宜呼び出して、上記情報の先頭に固有情報を加えて送信する。
【0050】
上記各情報および固有情報の送信は、常時行われても良いし、適宜の間隔を持たせて行われてもよく、そのタイミングは任意であるが、ミキサ車の状態をきめ細かに監視するようの場合にあっては、送信の間隔は短いほうが好ましい。
【0051】
なお、あらかじめミキサ車に番号を割り当てておき、この番号を固有情報として用いればよいが、固有情報としては他にミキサ車を特定できるものであればよい。
【0052】
また、無線送信手段5は、コントローラ3と分離したかたち、すなわち、コントローラ3とは別に、無線送信用の演算処理装置や記憶装置を備えて構成されてもよく、その場合には、各センサからの信号およびコントローラ3の制御信号を無線送信手段5で取り込んで、これらを情報として送信するようにしてもよい。
【0053】
つづいて、ミキサ車監視システムのコンクリートプラント側に設置される無線受信手段8について説明すると、無線受信手段は、図3に示すように、無線送信手段5が送信する上記各種の情報を受け取る受信部8を備え、この受信部8は、コンクリートプラント側制御装置9に接続されている。
【0054】
そして、コンクリートプラント側制御装置9は、受信部8で受け取った情報が入力される制御部91と、無線受信手段における制御手順等が記憶される記憶部92と、制御部91に図示しないインターフェース回路を介して接続される出力手段たるディスプレイ装置93とを備えて構成されている。
【0055】
なお、受信部8は、無線送信手段5によって変調された搬送波から情報を得られるものであれば良く、既存の装置を使用可能である。
【0056】
また、制御部91は、具体的にはたとえば、CPUと、RAMと、ハードディスク等の記憶装置と、ディスプレイ装置93を制御するグラフィックコントローラとを備えて構成され、情報をディスプレイ装置93に出力するための制御手順は、上記記憶装置内に記憶されている。
【0057】
ディスプレイ装置93としては、たとえば、LCD(Liquid Crystal Display)、エレクトロルミネッセンス、CRT(Cathode Ray Tube)等を使用すればよい。
【0058】
そして、コンクリートプラント側に設置されるディスプレイ装置93には、ミキサ車から送信される情報が適宜表示されるようになっている。
【0059】
なお、無線送信手段5が、容量検出センサ21、回転速度センサ11、操作装置4、圧力センサ62,63、回転速度センサE3、スイッチB1およびコントローラ3が出力した信号をそのまま無線受信手段9に送信する場合には、上記制御部91で該各信号を、オペレータが理解しやすいように変換する。
【0060】
この場合、たとえば、制御部91は、吐出方向を投入、排出、停止のいずれかの吐出方向に対応する文字に、吐出量の信号を吐出量の値に、液圧モータ1の回転速度を投入、排出、停止のいずれかに対応する文字およびドラムDの回転速度の値に、回転指令信号を投入、排出、停止、自動洗浄のいずれかに対応する文字とドラムDの回転速度の値、各吐出圧力信号を圧力の値に、エンジン回転速度の信号をエンジンEの回転速度の値に、それぞれ変換し、オペレータが読み取り可能な値や状態を示す文字に変換し、ディスプレイ装置93に変換されたものを表示するようにする。
【0061】
なお、液圧モータ1の回転速度をドラムDの回転速度に変換するには、減速機の減速比を積算すればよい。
【0062】
また、停車信号が無い場合には、制御部91は、ミキサ車が走行中であることを判断し、ディスプレイ装置93に走行中の表示を、停車信号がある場合にはディスプレイ装置93に停車中の表示をするようになっている。
【0063】
ここで、上記制御部91で各信号を変換することに換えて、ミキサ車のコントローラ3側であらかじめ変換する処理をし、処理後の情報を無線送信装置5で送信するようにしておいても良い。
【0064】
したがって、コンクリートプラント側のオペレータは、適宜表示されるミキサ車の情報をディスプレイ装置93によって確認することができる。
【0065】
このディスプレイ装置93への情報の表示は、1台のミキサ車だけでなく、複数台分のミキサ車の情報を一括して表示するようにしておくことで、オペレータは、複数台のミキサ車の情報を確認することができる。
【0066】
具体的には、オペレータは、以下のようにしてミキサ車がどのような作業状態か確認することができる。
【0067】
ミキサ車が生コンを運搬している状態にあっては、ドラム回転方向は投入回転している状態であり、また、液圧ポンプ2の吐出圧力はドラムDが空の状態に比較して高くなっている状態である。
【0068】
上記投入回転をもってして、ミキサ車は、生コンを運搬中であるか、生コンを排出してコンクリートプラントへ向かっている途中であるかいずれかとなる。
【0069】
ここで、生コンは粘度が高く、また、ドラムD内のブレードに附着しやすく、ドラムD内が空の状態に比較して生コンが積載されている状態のほうが生コンを含んだドラムDの慣性質量が大きくなりドラムDを回転させるトルクが高くなることから、液圧モータ1に液圧を供給する管路61内の圧力は、生コン積載時のほうが高くなるので、圧力センサ62が検出した吐出圧力が高いことをもってして、ドラムD内に生コンが投入されているか否かを判断することができる。
【0070】
ここで、生コンが積載されているかを判断するための吐出圧力に対する閾値は、実際に生コンを積載してデータサンプルを集めて決定すればよい。
【0071】
逆に、圧力センサ62が検出した吐出圧力が上記閾値より低い場合には、ドラムD内は空であると判断することができる。なお、生コンがドラムD内に積載されている状態でドラムDが停止していることはないので、ドラムDが停止していることをもってしても生コンがドラムD内に無い、すなわち、生コン排出済みであることが確認できる。
【0072】
そして、ドラムDの回転情報からドラムDが排出回転している場合であって、吐出圧力が閾値を超えている場合には、オペレータは、ミキサ車が打設現場にて生コン排出作業に従事していることを把握することができ、また、ドラムDの回転情報からドラムDが排出回転している場合であって、吐出圧力が閾値を超えていない場合には、オペレータは、ドラムD内には生コンが少なくなっていることを判断できるので、ミキサ車の生コン排出作業が終了間近であることを把握することができる。
【0073】
このように、ミキサ車は、ドラムDの回転情報と液圧ポンプ2の吐出圧力情報の2つの情報を送信するので、ミキサ車およびミキサ車監視システムによれば、コンクリート側のオペレータは、ミキサ車が生コンを運搬中であるか、コンクリートプラントに向かっている途中であるか、打設現場で作業中であるかを正確に把握することができる。
【0074】
すると、ミキサ車がコンクリートプラントに向かっている途中であることを正確に判断することができるので、復路走行中のミキサ車に搭載させるべき生コンをコンクリートプラントであらかじめ生コン投入準備をしておくことができ、ミキサ車のコンクリートプラントでの待機時間を確実かつ大幅に削減することができ、これにより、ミキサ車の稼働率を向上することができる。
【0075】
したがって、ミキサ車の位置を特定することを要せずに、ミキサ車の作業状態を把握して、ミキサ車の稼働率を向上することが可能であるから、GPS等の高価な装置を用いずに済むので、ミキサ車およびミキサ車監視システムを安価にすることが可能である。
【0076】
さらに、復路走行中である複数台のミキサ車を把握することも可能であるので、複数台のミキサ車を一括管理することによりミキサ車の稼働率の向上を図ることも可能である。
【0077】
また、ミキサ車は同じ排出場所に複数台が複数回往復することが多く、ミキサ車が最初に打設現場とコンクリートプラントとを往復したときの情報から2回目以降の現場到着時間、プラント帰着時間を精度良く予測することもできる。
【0078】
なお、ドラム回転情報としては、液圧モータ1の回転速度、液圧ポンプ2の吐出方向を用いているが、これを、液圧モータ1の回転方向のみとしてもよく、さらに、液圧ポンプ2の吐出方向および液圧モータ1の傾転角からドラムDの回転状態を推定可能であるので、これらをドラム回転情報としてもよいし、コントローラ3の各制御指令と各センサで検出する各情報から液圧モータ1の回転方向を推定可能、たとえば、液圧モータ1の傾転角を調整する制御信号と液圧ポンプ2の吐出方向とで回転方向を推定する可能であるので、これらをドラム回転情報としてもよい。
【0079】
また、ドラムD内に生コンを積載しているか否かについて問題となるのは、ドラムDが投入回転しているときであるから、圧力センサ64を省略してもよく、この場合にもミキサ車が往路走行中であるか、生コン排出作業中であるか、復路走行中であるかの判断が可能であるので、本発明の効果は失われない。
【0080】
なお、本実施の形態においては、圧力センサ62,64で吐出圧力を検出するとしているが、ドラムD内に生コンを積載しているか否かを判断する閾値があらかじめ決められているのであれば、管路61,63の途中に該閾値を超える場合にオン動作する圧力スイッチを設けておくとしてもよく、この場合には、圧力スイッチがオン動作する場合、生コン積最中と判断され、他方、オン動作しない場合にはドラムD内が空であると判断されることになる。
【0081】
さらに、液圧モータ1の回転シャフトのトルクを検出するトルクセンサを設ける場合には、吐出圧力情報と同様にトルクセンサが検出するトルク情報にてドラムD内に生コンが積載されているかを判断できるので、圧力センサ62,64を省略することができ、トルクセンサを1つ設けるのみ投入排出回転のいずれのトルクを検出することができる利点がある。
【0082】
また、ドラムD内に生コンが積載されているかの判断を、上記液圧ポンプ2の吐出圧力もしくは液圧モータ1のトルクの大きさを基準として行うことができ、かつ、該吐出圧力もしくはトルクは、ミキサ車が傾斜面に停車した場合にあってもミキサ車の傾斜の影響を受けずらいので、ドラム自体の荷重を検出して生コンの積載を判断する方法に比較して、バラツキなく正確にドラム内に生コンが積載されているか否かを判断することが可能である。
【0083】
さらに、上記ドラムの回転情報および液圧ポンプ2の吐出圧力情報に加えて送信装置4から入力されるドラムDの回転設定情報から、オペレータは、上記したドラムの回転情報および液圧ポンプ2の吐出圧力情報のみから判断しえるミキサ車の状態に加えて、ミキサ車のユーザーがどのような作業を行おうとしているかを把握することがきる。
【0084】
すなわち、オペレータは、上記ドラムの回転情報および液圧ポンプ2の吐出圧力情報からミキサ車の種々の作業状況を把握することができるが、そのミキサ車の状態がミキサ車のユーザーの意図に沿ったものか否かの確認を行うことができる。
【0085】
そして、ミキサ車のユーザーのドラムDの操作を確認することができるので、オペレータは、ユーザーがどのような作業を行おうとしているかを容易に把握することができるようになる。
【0086】
したがって、ミキサ車が回転設定情報をも送信する場合には、オペレータは、ミキサ車のユーザーの操作をも把握することができるので、ミキサ車の作業状態の特定が容易となる効果を奏する。
【0087】
さらに、この実施の形態の場合、自動洗浄機能を備えているが自動洗浄は、ドラムDの洗浄は生コン排出後に行われることから、オペレータにおけるミキサ車が復路走行中であることの判断を容易とする効果が得られる。
【0088】
また、ミキサ車が生コンをドラムD内に投入してから生コン排出までの要する時間をコントローラ3およびコンクリートプラント側制御装置9でモニターするようにしておけば、生コンの品質管理も可能である。
【0089】
つづいて、上記ドラムDの回転情報と液圧ポンプ2の吐出圧力情報に加えてエンジンEのエンジン回転速度情報からオペレータは、ミキサ車が走行中であるのか、否かを判断することができる。
【0090】
すなわち、ミキサ車が走行中であれば、エンジンEのエンジン回転速度は停車時より高くなるので、ミキサ車が走行状態か否かを判断できるのである。
【0091】
なお、上記情報は、ミキサ車の情報送信時における情報であるので、ミキサ車が走行中に渋滞停止していたり、信号待ちをしていたりする状態では、エンジン回転速度は低くなるが、適宜の間隔で情報送信を行うことで、オペレータは、エンジン回転速度の変化を監視することで正確にミキサ車が走行中であるか否かを判断することができる。
【0092】
また、エンジン回転速度と、ドラムの回転情報と、吐出圧力情報とを合わせることで、オペレータは、ミキサ車が生コンを運搬中であるのか、ミキサ車が生コンを積載したまま待機中であるのか、ミキサ車が復路走行中であるのかを判断することができる。
【0093】
具体的には、エンジン回転速度からミキサ車が走行中であるのか、停車中であるのかを判断できるのは上述のとおりであるが、ミキサ車が走行中であって、ドラムDが投入回転をしており圧力センサ62で検出する吐出圧力が閾値を超えている場合には、オペレータは、ミキサ車は打設現場に向けて走行中、すなわち、生コン運搬作業に従事していることが把握できる。
【0094】
つづいて、ミキサ車が停車中であって、ドラムDが投入回転をしており圧力センサ62で検出する吐出圧力が閾値を超えている場合には、オペレータは、ミキサ車は生コンを積載したまま打設現場で待機中であることが判断でき、ミキサ車が打設現場に到着済みであることを把握することができる。
【0095】
また、ミキサ車が打設現場に到着し上記待機中であると判断できる場合に、ドラムDが投入回転方向に一定以上の回転数で回転を始めると、排出前の混練作業を開始したと判断できる。
【0096】
さらに、ミキサ車が停車中であって、ドラムDが排出回転しており圧力センサ64で検出する吐出圧力が閾値を超えている場合には、オペレータは、ミキサ車が生コン排出作業中にあることを判断することができる。
【0097】
またさらに、ミキサ車が停車中であって、ドラムDが排出回転しており圧力センサ64で検出する吐出圧力が閾値を超えていない場合には、オペレータは、ドラムD内には生コンが少なくなっていることを判断できるので、ミキサ車の生コン排出作業が終了間近であることを把握することができる。
【0098】
そして、ミキサ車が走行中であって、ドラムDが停止している場合、もしくはドラムDが投入回転をしており吐出圧力が閾値を超えない場合には、オペレータはミキサ車が復路走行中であることを把握することができる。
【0099】
さらに、ドラムDが投入回転もしくは停止しておりドラムD内に生コンが積載されていないと判断されながら、エンジン回転速度の監視からミキサ車が停止していると判断される場合には、オペレータは、ミキサ車が復路走行中に渋滞に巻き込まれていることを把握することもでき、この場合には、ミキサ車のコンクリートプラントへ到着時間が遅れることを把握することができる。
【0100】
すなわち、オペレータは、ミキサ車の到着が遅れることを事前に予測することが可能となるので、ミキサ車の正確な位置を把握できなくとも、複数台のミキサ車の配車手配をリアルタイムで変更することができ、また、ミキサ車の正確な位置を把握できなくとも、コンクリートプラントでの準備作業のタイミングをある程度コントロールすることができるのである。
【0101】
このように、ミキサ車は、上記ドラムDの回転情報、液圧ポンプ2の吐出圧力情報に加えてエンジン回転速度の情報を送信する場合には、オペレータは、ドラムDの回転情報、液圧ポンプ2の吐出圧力情報のみから判断可能なミキサ車の作業状態に加えて、ミキサ車の走行状態の把握も可能となり、ミキサ車が打設現場で待機中であることの把握およびミキサ車のコンクリートプラントへの到着時間予測も可能となる。
【0102】
したがって、ミキサ車がエンジン回転速度情報をも送信するので、オペレータはミキサ車の作業状態をより細かく把握することができ、ミキサ車への的確な指示、配車繰り等を行うことができるから、より一層ミキサ車の稼働率を向上することができる。
【0103】
また、上記ドラムDの回転情報と液圧ポンプ2の吐出圧力情報、エンジンEのエンジン回転速度情報に加えてパーキングブレーキ装置Bの作動状態を把握できる停止信号からオペレータは、ミキサ車が走行中であるのか、否かをより正確に判断することができる。
【0104】
すなわち、ミキサ車が走行中であれば、パーキングブレーキ装置Bは作動していないので、オペレータは、ミキサ車が確実に走行状態であることを把握でき、他方、パーキングブレーキ装置Bが作動して停止信号が確認される場合には、ミキサ車は確実に停車中であることを把握することができるのである。
【0105】
なお、上記情報は、ミキサ車の情報送信時における情報であるので、ミキサ車が走行中に渋滞停止していたり、信号待ちをしていたりする状態では、通常、パーキングブレーキ装置Bは作動せず、停止信号はミキサ車から送信されないので、正確にミキサ車が停止中であるか否かを判断することができる。
【0106】
また、エンジン回転速度と、ドラムの回転情報と、吐出圧力情報と、上記停止信号を合わせることで、オペレータは、ミキサ車が生コンを運搬中であるのか、ミキサ車が生コンを積載したまま待機中であるのか、ミキサ車が復路走行中であるのかを判断することができる。
【0107】
具体的には、エンジン回転速度からミキサ車が走行中であるのか、停車中であるのかを判断できるのは上述のとおりであるが、パーキングブレーキ装置Bが作動していない場合には、これをもってして、オペレータは、ミキサ車がいまだ走行中に渋滞等で停止している状態であることが把握でき、さらに、ドラムDが投入回転をしており吐出圧力が閾値を超えている場合には、オペレータは、ミキサ車は打設現場に向けて走行中、すなわち、生コン運搬作業に従事していることを正確に把握でき、逆に、吐出圧力が閾値を超えない場合には、オペレータは、ミキサ車はコンクリートプラントに向けて復路走行中であることを正確に把握できる。
【0108】
つづいて、ミキサ車が停車中であって、パーキングブレーキ装置Bが作動しているにもかかわらず、ドラムDが投入回転をしており吐出圧力が閾値を超えている場合には、オペレータは、ミキサ車は生コンを積載したまま打設現場で待機中であることが判断でき、ミキサ車が打設現場に到着済みであることを正確に把握することができる。
【0109】
さらに、ミキサ車が停車中であって、パーキングブレーキ装置Bが作動しており、ドラムDが排出回転しており吐出圧力が閾値を超えていない場合には、オペレータは、ドラムD内には生コンが少なくなっていることを判断できるので、ミキサ車の生コン排出作業が終了間近であることを把握することができる。
【0110】
またさらに、ミキサ車が走行中であって、パーキングブレーキ装置Bが作動しておらず、ドラムDが排出回転しており吐出圧力が閾値を超えている場合には、オペレータは、ミキサ車が走行しながら生コン排出する作業をしていることを判断することができる。
【0111】
したがって、ミキサ車がパーキングブレーキ装置Bの作動状態情報を送信するので、エンジン回転速度のみではミキサ車が走行中か停車中か判断が難しい場合にあっても、オペレータは、正確にミキサ車の作業状態を把握することが可能となるのである。
【0112】
さらに、パーキングブレーキ装置Bが作動しておらずドラムDが投入回転もしくは停止しておりドラムD内に生コンが積載されていないと判断されながら、エンジン回転速度の監視からミキサ車が停止していると判断される場合には、オペレータは、ミキサ車が復路走行中に渋滞に巻き込まれていることを正確に把握することもでき、この場合には、ミキサ車のコンクリートプラントへ到着時間が遅れることを把握することができる。
【0113】
すなわち、オペレータは、がミキサ車の到着が遅れることを事前に予測することが可能となるので、ミキサ車の正確な位置を把握できなくとも、複数台のミキサ車の配車手配をリアルタイムで変更することができ、また、ミキサ車の正確な位置を把握できなくとも、コンクリートプラントでの準備作業のタイミングをある程度コントロールすることができるのであるのは言うまでもないが、パーキングブレーキ装置Bの作動状態情報を加えることによってよりミキサ車の状態をより正確に把握することができる効果を奏するのである。
【0114】
さらに、この実施の形態にあっては、無線送信装置5は、コントローラ3の制御信号をも送信する。したがって、オペレータは、ミキサ車の実際のドラムDの回転速度、回転方向、および液圧ポンプ2の吐出量、吐出方向、エンジンEのエンジン回転速度等と、制御信号から液圧モータ1、液圧ポンプ2、エンジンEをどのように制御しようとしているのかを把握できる。
【0115】
そして、この制御信号から導き出されるドラムDの回転速度、回転方向、および液圧ポンプ2の吐出量、吐出方向、エンジンEのエンジン回転速度等の制御目標値に対して、実際のドラムDの回転速度、回転方向、および液圧ポンプ2の吐出量、吐出方向、エンジンEのエンジン回転速度等とを比較し乖離が大きい場合には、オペレータは、ミキサ車側のミキサ車監視システムに何らかの異常があることを判断することができる。
【0116】
そして、ミキサ車管理システムに異常がある場合に、オペレータは異常を判断することができるので、誤った情報が送信されていることを把握することができる。
【0117】
したがって、コンクリートプラントでは、誤った情報に基づいて生コン投入準備作業をすることを回避することができる。
【0118】
また、ミキサ車監視システムに異常があるミキサ車を特定できるので、ミキサ車のメンテナンス情報としても活用することができ、そのようなミキサ車の運行を停止させることができる。
【0119】
特に、制御装置を搭載したミキサ車にあっては、制御装置に異常がある場合、運搬作業中における生コンの品質維持が困難となる事態もあるので、そのようなミキサ車の運行を停止することで、生コンの品質維持をすることができるのである。
【0120】
つまり、ミキサ車が制御装置の制御信号をも送信することで、ミキサ車管理システムの異常を早期に発見することができ、ミキサ車のメンテナンスおよび生コンの品質維持を保つことができるのである。
【0121】
以上、述べてきたところでは、ミキサ車の作業状態の判断については、ミキサ車監視システムを利用するオペレータが行うとしてきたが、以上に示した判断基準に照らし合わせればフローチャートの作成は容易であるので特にフローチャートを示して説明はしないが、上記ミキサ車の作業状態の判断をコンクリートプラント側の制御部91の制御処理で行って、その結果をディスプレイ装置93に表示するとしてもよいことは無論であり、そうすることで、オペレータの作業負担を軽減することができる。
【0122】
以上で、本発明の実施の形態についての説明を終えるが、本発明の範囲は図示されまたは説明された詳細そのものには限定されないことは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0123】
【図1】一実施の形態におけるミキサ車に搭載されるミキサ車監視システムの一部の概念図である。
【図2】一実施の形態におけるミキサ車に搭載される操作装置を示す図である。
【図3】一実施の形態におけるミキサ車監視システムの概念図である。
【符号の説明】
【0124】
1 液圧モータ
11 回転速度センサ
2 液圧ポンプ
21 容量検出センサ
3 制御装置たるコントローラ
4 操作装置
41 スイッチ
42 自動洗浄スイッチ
5 無線送信手段
6、61,63 管路
62,64 圧力センサ
8 無線受信手段
8 受信部
9 コンクリートプラント側制御装置
91 制御部
92 記憶部
93 ディスプレイ装置
B パーキングブレーキ装置
B1 スイッチ
B2 操作レバー
D ドラム
E エンジン
E1 スロットル弁
E2 スロットル調整装置
E3 回転速度センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
架台に回転自在に搭載されるドラムと、ドラムを回転駆動する双方向型であって吐出量可変なポンプとモータからなる駆動手段と、ドラムの回転を設定可能な操作装置と、操作装置の設定に基づいて駆動手段を制御する制御装置とを備えたミキサ車において、ドラムの回転情報と、ドラムを少なくとも排出回転させるときにおけるポンプの吐出圧力情報またはモータの出力トルク情報またはその両方と、を送信する無線通信手段を備えたことを特徴とするミキサ車。
【請求項2】
無線通信手段は、ドラムの回転設定情報を送信することを特徴とする請求項1に記載のミキサ車
【請求項3】
ポンプを駆動する走行用エンジンを備え、無線通信手段は、エンジン回転速度情報を送信すること特徴とする請求項1または2に記載のミキサ車
【請求項4】
パーキングブレーキ装置を備え、無線通信手段は、該パーキングブレーキ装置の作動状態情報を送信することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のミキサ車
【請求項5】
無線通信手段は、制御装置がポンプおよびモータに対し与える制御信号を送信することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のミキサ車
【請求項6】
無線通信手段は、制御装置が走行用エンジンに対し与える制御信号を送信することを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のミキサ車
【請求項7】
ミキサ車に搭載されるドラムの回転情報と、ミキサ車に搭載されドラムを回転駆動するモータに液圧を供給する双方向型吐出量可変のポンプの吐出圧力情報または上記モータの出力トルク情報またはその両方と、を送信する無線通信手段と、該送信される各情報を受信する無線受信手段と、受信した各情報を出力する出力手段を備えたことを特徴とするミキサ車監視システム。
【請求項8】
無線通信手段および無線受信手段は、ドラムの回転設定情報を送受信することを特徴とすることを特徴とする請求項7に記載のミキサ車監視システム。
【請求項9】
無線通信手段および無線受信手段は、ミキサ車の走行用エンジンのエンジン回転速度情報を送受信すること特徴とする請求項7または8に記載のミキサ車監視システム。
【請求項10】
無線通信手段および無線受信手段は、パーキングブレーキ装置の作動状態情報を送受信することを特徴とする請求項7から9のいずれかに記載のミキサ車監視システム。
【請求項11】
無線通信手段および無線受信手段は、制御装置がポンプおよびモータに対し与える制御信号を送受信することを特徴とする請求項7から10のいずれかに記載のミキサ車監視システム。
【請求項12】
無線通信手段および無線受信手段は、制御装置が走行用エンジンに対し与える制御信号を送信することを特徴とする請求項7から11のいずれかに記載のミキサ車監視システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−240377(P2006−240377A)
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−56156(P2005−56156)
【出願日】平成17年3月1日(2005.3.1)
【出願人】(000000929)カヤバ工業株式会社 (2,151)
【Fターム(参考)】