説明

ミクロ構造体の製造方法

【課題】ミクロ構造を表わしている表面特性を有するマスターからミクロ構造体を複製する方法を提供する。
【解決手段】ポリマーの液体溶液を製造し、前記溶液を、回転している平面のミクロ構造を有するマスターの上に回転被覆し、前記回転しているマスターの上の前記溶液を乾燥し、そして前記回転しているマスターの上の前記溶液の乾燥から形成されたポリマーフィルムを剥離する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に、微細な構造物(micro structure)の製作、特に、生物医学的な機械類および微細な機械類のような種々な分野のための微細な細密な装置の大量生産に関する。
【0002】
本発明は光ディスク(optical discs)に関連する。更に詳細には、本発明は、データ記録を複製する方法および装置、例えば、コンピューター(computer)、オーディオ(audio)およびビデオの記録のために使用されるようなコンパクトディスク(compact discs)、に関連する。
【背景技術】
【0003】
読み取り専用コンパクトディスク〔Compact disc read only memory(CD−ROM)〕であるディスク(discs)およびそれらのドライブ(drives)は、現在において、コンピューターのデータ蓄積装置、音楽芸術家のオーディオ記録、およびビデオのいたるところに使用されている。CD−ROMという表題に関して一般的な需要について知られていたことは、マスター(masters)からのCD−ROM複製物の製造は、たぶん、極めて多量であるということであった。
【0004】
CD−ROMの製造は、複製の忠実性および製造コスト(cost)の両方に関係している。CD−ROMの製作に使用される製造の方法は、半導体の製造に使用される方法、特に、マスク(mask)の製造に使用される方法、に極めて似ている。
【0005】
マスターリング(Mastering)は、(その名称が意味しているように)、ディスク−そのディスクから全ての他のディスクが造られる−を製造することである。その製造方法の第1工程は、複製のために使用することができるマスター(master)を造ることである。レーザー(laser)を使用して、フォトレジスト(photoresist)表面に、その中心トラック(center track)から始めてらせん模様に外方向へ動かしながら、データを含んでいるピット(pits)およびランド(lands)を書きこむことができる。
【0006】
ガラス製マスターの正確性をチェックした後に、従来の複製用機械を用いてスタンパー(stamper)を作製する。異った複製方法には僅かに異ったスタンパーを必要とするが、その機能は同じであり、大量生産用ディスクにデータの模様をエンボス(embossing)する。射出成形法により、ポジのディスク像を形成するネガのスタンパーを生成させる一連の中間のくぼみが造られる。製造サイクルにおけるこの部分の家族の木のような構造(family−tree−like structure)は、種々なディスクの生成物のための、例えば母、父、および息子または娘、のような名前のもとになる。
【0007】
コンパクトディスク(CDs)は、典型的には、一般的に、積層されたビデオディスクに使用されているポリメチルメタクリレート(PMMA)よりも、水の吸収および熱に対する感受性が少ない物質であるポリカーボネートプラスチックから造られている。ビデオディスクは、いっしょにサンドウィッチ状にした基板の2つのスライス(slices)から成っているので、それらはCDsよりもより多く硬質である。製造業者は、熱または水の吸収によるゆがみを防ぐために、例えばポリカーボネート樹脂を加熱し、それをディスクを形成する型に注入する射出成形のある種のタイプを使用することによって、予防措置をとっている。スタンパーで、冷プラスチックにデータの模様を押しつけ、次いでそのディスクを減圧室内に置き、そこでアルミニウムの反射層を付け加え、保護用ラッカーを用いて被覆する。ラベル(label)は、ラッカーで被覆された側上にシルクスクリーンするかまたは印刷される。
【0008】
射出成形は多くの利点を有している。世界中において製造工場はこの技術を使用しており、その特異性はよく知られている。製造用プラントが最初に活動を開始したときは、それらの収率は一般的に低かったが、経験するにつれて収率は実質的に増加した。射出成形についての批評において主張されていることは、その方法が面倒でありかつ装置について多くの投資を必要としそしてクリーンルーム(clean room)を必要とすることである。成形中にポリカーボネートのゆがみがそのプラスチックの中に現われ、それは読み取り用レーザー光の害となりまた該レーザー光をゆがめてしまう。そのような欠点があるにもかかわらず、現在可動している製造用プラントはこの方法を使用している。
【0009】
ミネソタ マイニング アンド マニュファクチュアリング コンパニー〔Minnesota Mining and Manufacturing Company(3M)〕は、従来技術の光重合法〔photo−polymerization(2P)〕を使用しており、その方法においては、予め切断されたポリカーボネートの前駆体樹脂が、マスターおよびベースプレート(base plate)の間に挿入され、次いでエンボスされている。次いで、このポリカーボネート前駆体のサンドイッチ状充填物を紫外線を用いて硬化させる。この複製方法は、部分的に、製造の間におけるプラスチックの加熱および冷却を避けることにより早くできることに利点がある。しかし、この2P法に対する批評では、収率が低いと言われている。なぜなら、不適当な硬化すなわちゆがみが捨てられる多くのディスクの原因となるからである。
【0010】
ベンロ(Venlo)(オランダ)のドクデータ(DOCData)およびロスアンゼルス(Los Angeles)のコムディスク(COMDisc)には、2種の全く異った方法が用いられており、それらでは、連続的に印刷またはエンボスする技術を使用することにより、早くかつ低コストでコンパクトデスクの複製物を造ることが試みられている。これら両方のシステムは、研究室の規模において行われたが、現在においてはそれらのいずれもが工業的に利用されていない。これらの技術は有望に見えかつ大いに魅力的であったが、大会社は、まだ、いずれの方法に対しても財政的に掛かり合っていない。
【0011】
マスターは、芸術家およびプログラマーによって提供されるテープまたはソフトウェアーから造られたデータ記録のオリジナルコピーである。レーザーおよび電子ビーム〔E−ビーム(E−beam)〕は、ガラスおよびフォトプレート(photoplate)の上に保持されているフォトレジストのための露光道具として使用される。同様に、半導体フォトマスク(semiconductor photomasks)が造られる。
【0012】
スタンパーは、マスターから複製されたサブマスター(sub−masters)である。電気メッキおよび感光性ポリマーは、レジストの像の中の間隙を充填して、製造された最終のコピーがマスターのポジであるような、マスターの逆の階調のサブマスター複製物を造り出す、2種の普通の方法である。
【0013】
従来技術である光重合法(2P)は、照射して重合体を生成する単量体で出発する。データを記録するディスクの複製においては、そのような方法は、紫外線照射および単量体溶液を加圧するための高価な機械を必要とする。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0014】
発明の概要
それ故、本発明の目的は、データ記録を複製する方法を提供することである。
更に本発明の目的は、マスターの記録から、浅い特性(shallow feature)、例えば800オングストロームと同等の浅さ、を忠実に複製する複製されたデータ記録を提供することである。
【0015】
簡単に言えば、本発明の態様は、分離前に、溶液例えばフルオロポリマーを、フォトレジスト像を有するマスターディスク例えばガラス基板上に回転被覆する方法である。そして、乾燥してフィルムを形成した後に、結果的に、マスターの表面上のミクロンサイズの光記録特性の忠実な再生であるポリマーの膜を生成する。そのような膜は、剥離してペリクルのような枠(pellicle−like frame)にとりつけるか、または複製物を支持するために剥離前に硬質かつ強固な基板に最初に積層するか、のいずれかである。
【0016】
本発明の利点は、極めて高解像度例えば0.1ミクロンを有しかつ高忠実度を有するマスターから像を再生し、そして高容量のデータ記録媒体を造ることができる方法を提供することである。
【0017】
本発明の他の利点は、スピナー(spinner)より他に、高度に特別な装置を必要としないで、データ記録光ディスクおよび半導体マスクの複製物を造ることができる方法を提供することである。
【0018】
本発明の利点は、加熱、高圧または高真空を必要としないで、マスターのデータ記録の忠実な複製物を製造できる複製方法を提供することである。
【0019】
更に、本発明の利点は、溶媒の自然乾燥および合致して書きとめられること(conformal mapping)を使用して、別の方法では加熱を必要とするであろうものを完成することができる、データ記録を複製するための製造方法を提供することである。
【0020】
本発明のこれらの目的およびその他の目的および利点は、当業者が種々な図面において例示されている好ましい態様の詳細な説明を読んだ後に、当業者にとって疑いもなく明らかになるであろう。
【0021】
発明の詳細
本発明の方法においては、従来のクロム−オン−グラス フォトプレート(chrome−on−glass photoplates)上に、電子、光またはイオンのビームの書き込みを有するマスクの従来の製造方法が包含される。図1には、マスターコピーを造るための工程を始めるプロセス10が例示されている。次いで、マスターコピー例えばフォトプレートは、工程12においてエッチング(etched)されてクロムを除き800−1000オングストローム(0.08−0.1ミクロン)と同等の浅さであるレリーフ特性(relief features)を造る。次いで、工程14において、適当な溶媒中に、ポリマー、例えばニトロセルロース、ポリビニル、ポリエステルまたはポリメチルメタクリレート、を溶解させてポリマー溶液を造る。次いで、工程16において、このポリマー溶液をレリーフ特性を有するマスクまたはそれに類似のマスターに回転被覆する。これには、1分あたり数100回転から数1000回転(RPM)まで速度を変えることができる適当なスピナーが使用される。好ましくは、そのようなスピナーは、回転させながらフィルムを乾燥させる排気孔を有している。適当な条件のもとで数ミクロンの厚さの薄いフィルムが形成され、マスタコピーの表面にある特性にそっくりと模造されている。次いで、工程18において、このフィルムをマスターから分離するかまたは剥離する。それは、単独で、またはマスターコピーから分離される前にそれを補強するためにより強い他の基板に積層した後で、のいずれかにおいてなされる。
【0022】
一般的に、得られたフィルムは、高品質でありかつ加工して光学的性質を変えることによって光学デバイス(optical device)としてのフィルムの性能を強化することができる。そのような技術には、抗反射性(AR)被覆が包含される。また、ミクロ・エッチイング技術またはレーザー技術によって、光学的特性を追加して加えることもでき、また既に含まれている光学的特性を減じることもできる。
【0023】
図1において、最後の集成工程20には、アルミニウム環−その上でフィルムは引っぱられてピンと張られ、ゆがみが除去される−を有するフリー−スタンディング コピー(free−standing copy)をいずれかで造ることが含まれている。別法として、例えば工程18において、フィルムの分離前に、光学的には良好なハードディスクを積層する。好ましくは、紫外線硬化性接着剤を使用してフィルムをアルミニウム枠に付ける。本発明に関連して、ペリクルの製造方法および技術は有用である。本発明の発明者であるギルバート ホング(Gilbert Hong)は、米国特許出願第07/936,758号〔出願日:1992年8月27日、発明の名称:エキシマーレーザーのための光化学的に安定な深い紫外線ペリクル(PHOTOCHEMICALLY STABLE DEEP ULTRAVIOLET PELLICLES)〕(この出願の明細書の全記載は本出願の明細書の記載に組み入れられる)に、そのようなペリクルの製造について記載している。
【0024】
プロセス10は、製造における広い範囲の領域、例えば光蓄積、生医学、半導体の製造およびミクロの機械化、等、に適用することができる。CD−ROMの製造においては、いわゆる“2P”法を使用する場合、例えばプラスチックスタンパー(サブ−マスター)および/または最終製品〔サブ−サブ−マスター(sub−sub−masters)〕の製造、に用いることができる。ある種の状況においては、フィルムの剥離工程を促進させるために剥離剤を使用することが望ましい。ペリクルの製造においては、フルオロポリマーおよびシリコーンを基材としたものが剥離剤として広く用いられている。フルオロポリマーから造られたスタンパーのためには、従来の任意のプラスチック物質から造られたスタンパーのコピーが、スタンパーからよく分離される。なぜなら、フルオロポリマーを非粘着性にするのには比較的小さい表面エネルギーであるからである。
【0025】
半導体組立てマスクの製造には、像または模様のためのベースとしてフォトプレートが使用される。フォトプレートは、典型的には、スパッターされたクロムのための薄いフィルムを有するガラスの極めて平らなピース(pieces)、例えば合成石英、である。感光性レジストがクロムに適用される。例えば、フォトレジストを露光するのにレーザービームが使用される。フォトレジストがポジ型またはネガ型かどうかに依存して、フォトレジストの露光領域または非露光領域の1つが浴中において洗い流され、次いで化学的エッチングに感受性のあるクロムを現わす。それ故、写真像は、クロムフィルムの中の模様によって模造されるべきフォトレジスト中にくぼみをつけられる。
【0026】
位相シフトマスクはクロムマスクに取って代わることができる。ミクロリトグラフィーに適用(micro−lithographic applications)するためには、位相シフトマスクは、光の強さの変化を必ずしもあてにする必要はないが、しかし像の再構成のための位相変化はむしろあてにされる。クロムなしに造られたマスクは、本発明で造ることができる。なぜなら、任意の所望の厚さのポリマーフィルムが用だてられるからである。
【0027】
本発明には、マスターのようなクロム像を受け入れかつそのときにクロムマスクの回転被覆によって位相シフトマスクを造るプロセスが包含されている。
【0028】
ペリクルの製造に有用な多くの物質は、位相シフトマスクとして有用である。例えば、反射率1.51を有するニトロセルロースは、PMアセテートの溶媒と共に使用できる。反射率1.48を有するブチラールは、EEアセテートの溶媒と共に使用できる。反射率1.49を有するセルロースアセテートは、EMアセテートの溶媒と共に使用できる。反射率1.32を有するフルオロポリマーは、FC−40およびフレオン(FREON)の溶媒と共に使用できる。好ましくは、そのような溶液は濾過して微粒子を除去する。例えば、ミリポアー、ポールフィルターおよびクノ(Millipore,Pall Filter and Cuno)によって市販されているような、0.2ミクロンのフィルターが有用であり、かつ工業的および一般的に利用可能である。
【0029】
図2は、従来のペリクルに類似している、アルミニウム枠28に付けられた集積回路デザイン特性26を有する簡単なポリマーフィルム24から成る、位相シフト集成体22を示している。枠28は、フィルム24を張って保持することによりフィルム24を光学的に平らにしている。位相のシフティングは、フィルム24に対して直角に光を通すことによって達成される。フィルム24の中の像は、フィルムの厚さの違いによって現わされ、そしてこれらの像は、半導体のウェハー(wafer)に移すことができる。結果的には、半導体加工のための位相シフトマスクは、まったくポリマーフィルムから造ることができる。本発明は、別な方法で従来技術においては達成することが殆んど不可能であったことに対して、実質的に単純化されたことを表わしているのである。
【0030】
また、最終的にはユニットレベルの特注化(unit−level customization)を可能にする大量生産は、本発明で可能である。像を有するペリクルは、従来のマスクからコピーとして造ることができ、また情報の大量の蓄積、例えばコンピューターのデータ、X線像、オーディオ/ビデオのデータ等、のためのマスターCD−ROMの潜在的コピーとして造ることができる。また、像を有するペリクルは、他のタイプのマスターから造ることができる。エッチングされた像を有する石英の単純な1片は、ディジタル1および0に相応する。結果的に、マスター上に回転被覆されたポリマー溶液は、マスターの幾何図形的配列をそれに相応してはっきり描いているコピーを生じる。
【0031】
オリジナルのクロムのないマスクは、従来技術のマスク製造技術によって造ることができる。しかし、クロムのブランク(chrome blanks)を使用する代りに、フォトレジストを有するガラスのブランク(chrome blanks)が使用される。フォトレジストは、レーザーまたは電子のビームで露光される。像はフォト−現像(photo−developed)される。次いで、その結果得られた模様化されたレジスト像は、プラズマエッチングまたは弗化水素酸を用いる液体相エッチングのいずれかによって、ガラス基板をエッチングするためのマスクとして使用される。また、エッチングされたガラスだけを有するマスクは、フォトレジストを使用することなしに、イオンビームエッチングまたはプラズマで強化された化学付着(chemical depodition)を用いる単一工程で造ることができる。現在においては、フォトリトログラフィー法がかなり進んでおり、好ましい。
【0032】
ニトロセルロース膜から造られたディスク上にデータを直接書き込むのは可能である。なぜなら、そのような物質は、強度の紫外光線〔エクスシマー レーザー(EXCIMER laser)等〕またはイオンビームによって、直接除去できるからである。次いで、ニトロセルロース膜は、スパン−オン ポリマーコピー(spun−on polymer copy)を造るためのスピナー上のマスターとして、または後で特注するのを可能にするテンプレート(template)、例えば情報を有するブランクを満たすもの(filling−in of blanks with information)として、使用することができる。
【0033】
情報の蓄積がブランク(blanks)である基板は、アルミニウム枠によって支持された標準のペリクルから造ることができる。これらのブランクには、光像のためのペリクルの最上部に、レーザーまたはイオンビームを用い、またはその他の光化学的に感受性のある剤〔photochemical sensitive agent(PSA)〕を加えることによって、書き込むことができる。これら2種の方法は、結果的に、僅かに異った種類のオリジナルを生じる。その1つは、単一の層の構造物を形成し、そして他のものは、2重の層の構造物を形成する。良好な強度を有する数ミクロンの厚さのフリー−スタンディング フィルムコピー(free−standing film copy)を造ることができる。多数の被覆も可能であって、第2の被覆は、適当に接着された第1の被覆から異るタイプのポリマーを付着するのに用いることができる。回転被覆および乾燥の間に、ベースのポリマーを攻撃することなしに、添加したポリマーを溶解する適当な溶剤が必要である。模様を詳細に描写すために、多数の層構造物中の少なくとも1層は、焦点を合わせた紫外光線、電子ビーム、またはイオンビームにより書かれるように充分に感受性がなければならない。
【0034】
本発明には、直接書き込み装置を用いて、後で個々に特注することができるテンプレートを大量生産するプロセスも包含される。例えば、クレジットカード、光メモリーカード、および健康保険カード等に有利である。本発明の2層構造物においては、第1の層は単一模様で大量生産することができ、そして第2の層は、後で、例えば続きものとして、特別な使用者に個人化するために特注することができる。
【0035】
CD−ROMsの製造においては、アルミニウムの被覆を用いてCDの反射率を強化することができる。CD−ROMコピーの光学的品質は、ペリクルの性能を改良するのに用いられた従来技術を使用して改良することができる。もしキラキラした反射が問題であるならば、抗反射性被覆剤は、それが適用されたときは、透過光線の強度を増加できる。単一の層の抗反射性被覆には、反射率n3〔ただし、n3=√n1であり、n1は基物質(base material)の反射率である〕を有する物質が含まれる。ニトロセルロースのためには、n1=1.50、それ故n3=1.23である。そのような低反射率を有する物質を見出すのが難かしいので、約1.3の反射率を有するフルオロポリマーがしばしば用いられる。その結果、3層構造物になる。
【0036】
簡単に「AM」、「AD」および「AS」と称される3種のフルオロポリマーがあり、それら全ては類似の性質を有しており、かつ種々なフィルムの抗反射性被覆剤として適当である。「AM」は、3M社(3M Company)から販売されており、ニトロセルロース、ポリビニルブチラールおよびセルロースアセテートのために使用することができる。「AD」は、AF−1600としてジュポン(DuPont)から販売されており、ポリビニルブチラールおよびセルロースアセテートのために使用することができる。「AS」は、CITOPとして旭化成(Asahi Chemical)から販売されており、ポリビニルブチラールのために使用することができる。「AD」は、最低の反射率を有し、それ故最もよい抗反射性を有している。
【0037】
2種の抗反射性被覆剤を組み合わせて使用することができる。例えば、その1つはより高い反射率を有するものであり、そして他のものはより低い反射率を有するものである。その結果として得られる関係は、n2/n3=√n1(ただし、n1は基物質であり、n3は最も外側の物質であり、そしてn2は中間物質である)である。この場合には、n3は、好ましくは、より低い反射率の物質であり、n2はより高い反射反射率の物質であり、そしてn1は中間の反射率を有する物質である。好ましい高反射率の物質には、クロロベンゼンに溶解されたポリスチレン、ポリスルホンが包含され、1.7の典型的な反射率を有している。好ましい低反射率の物質には、「AM」、「AS」および「AD」または3M社〔3M Company〕のFC−40が包含されており、溶媒のように使用され、そして1.3の典型的な反射率を有している。
【0038】
図3は、5層の構造物30の断面図を例示している。基板32は反射率1.50を有している。第1の1対の抗反射性被覆層34および36は反射率1.70を有している。第2の1対の抗反射性被覆層38および40は反射率1.32を有している。光学的な特性42は、基板32の表面の1つに示されており、記号に変えられたディジタルデーターが表わされている。
【0039】
蛍光染料を、ニトロセルロースまたはその他の任意の基物質例えば抗反射性物質のように適用される第2の被覆剤に添加することができる。例えば、図3において、被覆層34が蛍光染料を含んでいるならば、光学的特性42は蛍光強度において変化を生じるであろう。そのような変化は、光学的に、ディジタル1および0として読みとることができる。コントラストを増加したレベルにするために、異なった染料を異なった層に加えてもよい。例えば、基板32を赤色に染色し、そして被覆層34を緑色に染色することができる。クマリン類のような染料が好ましい。なぜなら、それらは、紫外光線を吸収し、可視光線を放射するからである。適当に濾過することにより、光の入射ビームを、放射された(蛍光)ビームに干渉しないようにすることができる。ペリクルをベースとした読み取り専用〔pellicle based read only memories(ROMs)〕においては、結果的に得られるシグナル:ノイズの比(signal−to−noise ratio)は、従来技術以上に改良されている。
【0040】
ミクロキューベット(microcuvettes)は、薬の配合物および試験のために薬品工業において用いられる。この工業界においては、極めて微小のサンプルで大規模な調査をするのが普通である。本発明は、1つのディスクの中に、種々な形態および形状のミクロキューベットを大量で製造することができる。ミクロキューベット集成物は、DNA分析、ミクロ分析および生物学的分析等において有用である。そのような技術は、大量の試験量を比較的安価にかつ同時に試験することを可能にする。そのような試験は、汚染を防ぐためにクリーンルーム(clean−room)の環境において行われる。チャンネル(channels)と連結されたミクロキューベットの列およびコラム(rows and columns)または分離されたくぼみ(potholes)として、本発明のプロセスと共に組み立てることができる。濃度勾配は、列またはコラムまたはその両方に沿って、ある種の自動組織によってキューベットを単純に満たすことによって確立することができる。濃度は時間の関数として変わり、試料は、チャンネルを経由して1つのキューベットから他のキューベットに連続して流れることが可能である。種々な組成配合の薬を試験して、最適の効果を得ることができる。自動機械およびコンピューターで見ることができる自動分析は、充分に自動化した薬試験用機械として構成することができる。ミクロ分析はDNA分析において必要である。なぜなら、情報の数10億(billions)のピース(pieces)を判読しなければならないからである。それ故、本発明は、DNAおよびその他の生化学的分析におけるある種の自動分析に組み入れるのに他に類がないほど適している。
【0041】
図4A〜図4Cには、1組の3つのチャンネル55〜57に内部連結されている1組の4つのキューベット51〜54を有するミクロキューベットが例示されている。図4Aにおいては、キューベット51〜54は平面図において四角である。図4Bにおいては、キューベット51〜54は、平面図において円形である。図4Cは、1つの勾配配置を示す断面図におけるキューベット51〜54を例示している。
【0042】
本発明を、本発明の好ましい態様に関連して記載したが、この記載は本発明を制限するものとして解釈されるべきではない。前述の開示を読んだ後においては、当業者にとって、種々な変更および修正がなされることは疑いもなく明らかであろう。従って、本明細の特許請求の範囲は、本発明の精神および範囲内に入る全ての変更および修正を含んでいると解釈されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】図1は、本発明方法の態様のフローチャートである。
【図2】図2は、本発明の全てポリマーフィルムの位相シフトマスク(all−polymeric film phase shift mask)の態様の断面図である。
【図3】図3は、本発明によって適用された2種の抗反射性被覆を有するペリクルの断面図である。
【図4】Aは、四角形キューベット(cuvettes)を有する本発明のミクロキューベットの態様の平面図である。 Bは、円形キューベットを有する本発明のミクロキューベットの態様の平面図である。 Cは、図3Aおよび図3Bのミクロキューベットの断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミクロ構造を表わしている表面特性を有するマスターからミクロ構造体を複製する方法において、
ポリマーの液体溶液を製造し、
前記溶液を、回転している平面のミクロ構造を有するマスターの上に回転被覆し、
前記回転しているマスターの上の前記溶液を乾燥し、そして
前記回転しているマスターの上の前記溶液の乾燥から形成されたポリマーフィルムを剥離する
諸工程から成り、かつ前記剥離されたフィルムは、マスターの前記表面に具体化されている前記ミクロ構造に相応する物理的表面特性を有している、前記のミクロ構造体の複製方法。
【請求項2】
前記マスター上にミクロキューベットを像形成させる予備工程を更に含んでおり、かつキューベットのシステムが、最終的には前記の剥離されたフィルムに形成される、請求項1に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2007−38683(P2007−38683A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−246204(P2006−246204)
【出願日】平成18年9月12日(2006.9.12)
【分割の表示】特願2005−156723(P2005−156723)の分割
【原出願日】平成7年3月7日(1995.3.7)
【出願人】(593158836)
【Fターム(参考)】