説明

ミシン

【課題】複数のミシンにおける出来高と個々のミシンにおける出来高を容易に把握することができるミシンを実現する。
【解決手段】ミシン10において、そのミシン10のミシン本体1において実行した縫製の縫製終了数と、インターフェースを介して接続されている他のミシンにおいて実行された縫製のうち、そのミシン10のミシン本体1が実行した縫製と同一ロットの縫製終了数を合計した合計縫製終了数を表示装置21に表示することによって、ミシンのオペレータは、オペレータ自身が操作するミシンにおける縫製終了数(各出来高)と、他のミシンにおけるロットが同じである被縫製物の全体の生産枚数である合計縫製終了数(総出来高)の、両方の出来高を確認して把握することを可能にした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミシンに係り、特に、縫製工場で作業者が縫い上げる被縫製物の生産に関するデータの集計を行うミシンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、縫製工場の生産ライン管理に用いられる生産高表示装置において、オペレータがミシンで縫い上げた被縫製物の縫製枚数や、単位時間や単位日数あたりの出来高などの生産履歴を集計して表示する技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開昭64−86994号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来技術の場合、各ミシンのオペレータは、それぞれのミシンにおいて個々の出来高を知ることはできるものの、複数のミシンで同じロットの製品を縫製している際に、全体での出来高を把握することはできないという問題があった。
【0004】
本発明の目的は、複数のミシンにおける出来高と個々のミシンにおける出来高を容易に把握することができるミシンを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、ミシンであって、縫製を実行するミシン本体と、ミシン本体において実行される縫製に対応するロット番号を記憶する記憶手段と、他のミシンとの間で通信を行う通信手段と、ミシン本体における縫製終了毎に、縫製終了数を計数するためのカウント信号を出力する出力手段と、通信手段を介して、他のミシンのカウント信号及びそのカウント信号に対応するロット番号を受信する受信手段と、記憶手段に記憶されたロット番号及び他のミシンのロット番号に基づいて、他のミシンのカウント信号のうち、ミシン本体が実行中の縫製と同一ロットのカウント信号を判別する判別手段と、出力手段から出力されたカウント信号と判別手段により判別された他のミシンのカウント信号との双方のカウント信号の数を計数することにより、同一ロットの縫製における合計縫製終了数を求める合計縫製終了数計数手段と、合計縫製終了数を表示する表示手段と、を備えたことを特徴とする。
【0006】
請求項1に記載の発明によれば、ミシンは、そのミシンのミシン本体において実行した所定の縫製が終了した際のカウント信号と、通信手段を介して接続されている他のミシンにおいて実行された縫製のうち、そのミシンのミシン本体が実行した縫製と同一ロットの縫製に関するカウント信号との双方のカウント信号の数を計数することにより、ミシン本体と他のミシンとが同一ロットの縫製を行う場合に、ミシン本体と他のミシンとの合計縫製終了数を求めて表示することができる。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のミシンにおいて、出力手段により出力されるカウント信号を計数することにより、ミシン本体の縫製終了数を計数する計数手段を備え、表示手段は、合計縫製終了数とともにミシン本体の縫製終了数を表示することを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明によれば、ミシン本体を操作するオペレータは、オペレータ自身が操作するミシンにおける縫製と同一ロットの合計縫製終了数のうちオペレータ自身が縫製した縫製終了数を合わせて知ることができ、全体の中でのオペレータ自身の貢献度を把握することができ、オペレータの貢献度を上げようとする意識や競争心を芽生えさせ、縫製作業の作業効率の向上や、縫製工場の活性化などを図ることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ミシンは、そのミシンのミシン本体において実行した所定の縫製が終了した際のカウント信号と、通信手段を介して接続されている他のミシンにおいて実行された縫製のうち、そのミシンのミシン本体が実行した縫製と同一ロットの縫製に関するカウント信号との双方のカウント信号の数を計数することにより、ミシン本体と他のミシンとが同一ロットの縫製を行う場合に、ミシン本体と他のミシンとの合計縫製終了数を求めて表示することができる。
つまり、ミシンのオペレータは、オペレータ自身が操作するミシンにおける縫製終了数(出来高)と、オペレータ自身が操作するミシンと同一ロットの縫製を実行中の他のミシンにおける縫製終了数(出来高)の合計である全体の合計縫製終了数(総出来高)を把握することができる。
また、このミシンは、所定の縫製が終了する度に出力されるカウント信号に基づき、縫製を実行した縫製終了数を計数することができるので、縫製終了毎のリアルタイムに、縫製終了数や合計縫製終了数を確認することができる。
また、ミシン本体を操作するオペレータは、オペレータ自身が操作するミシンにおける縫製と同一ロットの合計縫製終了数のうちオペレータ自身が縫製した縫製終了数を合わせて知ることができ、全体の中でのオペレータ自身の貢献度を把握することができ、オペレータの貢献度を上げようとする意識や競争心を芽生えさせ、縫製作業の作業効率の向上や、縫製工場の活性化などを図ることができる。
よって、このミシンは、複数のミシンにおける出来高と、個々のミシンにおける出来高との合計を、ミシンのオペレータが容易に把握することができるミシンであるといえる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図1から図6に基づいて説明する。
【0011】
本発明に係るミシン10は、図1、図2に示すように、ミシン本体1と、ミシン本体1に接続されている操作パネル20と、を有する。
なお、図2においては、本発明に係るミシン10である3つのミシン10a、10b、10cを示している。
【0012】
ミシン本体1は、図1、図2に示すように、電源スイッチ4のオンにより給電されるミシンモータ5と、ミシンモータ5の回転駆動がベルトなどの駆動伝達手段6を介して伝達される図示しないミシン主軸と、そのミシン主軸の回転駆動により上下動する針棒2と、針棒2に交換可能に備えられるミシン針3と、針棒2(ミシン針3)の下方において被縫製物を送る布送り機構8と、ミシン本体1を動作させるためのペダル7と、ミシン本体1を制御する制御部11(図2参照)が内部に収容されている制御ボックス9等を備えている。
ミシン本体1の制御部11は、図2に示すように、ミシン本体1の各部を統括制御するCPU11aと、ミシンの動作処理等に関する各種プログラムや各種データが記憶されるメモリ11bと、布送り機構8やモータやセンサなどの各種アクチュエータを駆動させる駆動制御回路11c等を備えている。なお、メモリ11bは、RAM、ROM、EEPROMなどによって構成される様々な記憶領域を有しており、各種データに応じた領域にそれらデータが格納されるようになっている。
このミシン本体1と操作パネル20とは、図2に示すように、内部インターフェース30を介して接続されている。
【0013】
そして、ミシン10(ミシン本体1)において、ペダル7が正方向である前方に踏み込まれる操作に基づきミシンモータ5が回転駆動して、針棒2(ミシン針3)が上下動する運針が開始されるとともに、布送り機構8が被縫製物を前後左右に移動させることによって、縫製が行われる。なお、ミシン10は、各種センサからの信号や、メモリ15に記憶された縫製データ等に基づき、制御部11がミシンモータ5や布送り機構8、各種アクチュエータ等を制御して、縫製を実行する。
また、縫製終了時、ペダル7が逆方向に踏み込まれる操作に基づき、図示しない糸切り機構が糸切りを行うとともに、ミシン本体1の制御部11は、その糸切り機構の糸切りのタイミングに伴う糸切り信号を、内部インターフェース30を介して操作パネル20に送信する。
【0014】
操作パネル20は、図2、図3に示すように、各種データ等が表示される表示手段としての表示装置21と、表示装置21の周囲に配される各種スイッチ22と、操作パネル20を統括制御するとともにミシン本体1において実行された縫製に関するデータを処理するCPU23と、ミシン本体1における生産履歴などのデータが記憶されるメモリ24と、図示しないインターフェースを介して着脱自在に接続されるメモリカード50等を備えている。
また、ミシン10の操作パネル20は、他のミシン10との間で通信を行うために通信手段としての外部インターフェース40を備えている。
【0015】
表示装置21は、液晶パネルの表示面にタッチセンサが重ねられてなるタッチパネルであり、各種データや各種操作ボタンが表示される。
この表示装置21は、表示制御回路25を介してCPU23とつながっており、表示装置21に表示する表示データは表示制御回路25を介してCPU23から送られ、表示装置21に表示されている操作ボタンが押下された操作信号は表示制御回路25を介してCPU23に送られる。
この表示装置21には、例えば、図3に示すように、ロット番号21aとプロセス番号21bとからなりミシン10が縫製を行う被縫製物のロットを示す管理番号と、現在時刻21cと、ロット毎の縫製終了予定時間21dと、ロット全体の予定縫製枚数21eと、ロット全体における完成縫製枚数21fと、そのミシン10において縫製された縫製枚数21gと、縫い直し画面への切替ボタン21hと、ロット選択画面への切替ボタン21iと、手元用カウントアップボタン21j等が表示されている。
この手元用カウントアップボタン21jは、所定の縫製終了毎にオペレータが押下するボタンであり、手元用カウントアップボタン21jが押下された操作信号は、CPU23に出力される。
【0016】
スイッチ群22は、表示装置21の操作ボタンによって入力する以外の操作入力を行うための操作スイッチであり、押下されたことに伴う操作信号はCPU23に出力される。
例えば、このスイッチ群22によって、ミシン本体1において実行される縫製に対応するロット番号など管理番号の入力が行われる。
【0017】
CPU23は、ミシン本体1において実行された縫製に関するデータを集計する制御を実行する。
また、CPU23は、単数または複数の他のミシン10との間で通信を行う通信手段の一部として機能する。つまり、通信手段としてのCPU23は、外部インターフェース40を通じた通信に関する制御を実行している。
【0018】
また、CPU23は、ミシン本体1における縫製終了毎に、その縫製終了を計数する計数手段として機能する。この計数手段としてのCPU23は、ミシン本体1(制御部11)から出力される糸切り信号、または、表示装置21の手元用カウントアップボタン21jが押下された操作信号の数を計数することによって縫製終了数を計数する制御を実行する。ここで、糸切り信号または手元用カウントアップボタン21jの操作信号は、ミシン本体1において実行される縫製終了毎に、縫製終了数を計数するために出力されるカウント信号として機能する。なお、計数手段としてのCPU23が、ペダル7操作に伴う糸切り信号と、カウントボタン21j押下に伴う操作信号のいずれをカウント信号として縫製終了数を計数するかは、オペレータによる入力操作(切替操作)によって設定可能になっている。
そして、糸切り信号がカウント信号として設定された場合は、糸切り信号を出力する制御部11がカウント信号を出力する出力手段として機能し、手元用カウントアップボタン21jの操作信号がカウント信号として設定された場合は、手元用カウントアップボタン21jの操作信号を出力する表示装置21がカウント信号を出力する出力手段として機能する。
【0019】
また、CPU23は、計数手段としてのCPU23が計数するためにCPU23に入力されるカウント信号をロット番号とともに、外部インターフェース40を介して他のミシン10の操作パネル20に送信する送信手段として機能する。
すなわち、この送信手段としてのCPU23は、カウント信号を他のミシン10の操作パネル20に送信する際には、そのカウント信号とともに、その縫製に関するロット番号のデータをあわせて送信するようになっている。
【0020】
また、CPU23は、他のミシン10において実行される縫製終了毎に、他のミシン10の操作パネル20からそれぞれ出力されるカウント信号及び当該カウント信号に対応するロット番号を、通信手段としての外部インターフェース40を介して他のミシン10から受信する受信手段として機能する。
【0021】
また、CPU23は、後述する記憶手段に記憶されたロット番号及び他のミシンから受信したロット番号に基づいて、受信手段としてのCPU23により受信した他のミシン10のそれぞれの縫製終了に関するカウント信号のうち、当該ミシン10のミシン本体1が実行中の縫製と同一ロットのカウント信号を判別する判別手段として機能する。
つまり、判別手段としてのCPU23は、受信したカウント信号に付されているロット番号のデータに基づいて、当該ミシン10のミシン本体1が実行中の縫製と同一ロットのカウント信号を判別するようになっている。
【0022】
また、CPU23は、ミシン本体1から出力されたカウント信号と判別手段によりミシン本体1が実行中の縫製と同一ロットのカウント信号と判別された他のミシン10のカウント信号との双方のカウント信号の数を計数する。
つまり、CPU23は、ミシン本体1からカウント信号が出力された場合と、または、他のミシン10からミシン本体1が実行中の縫製と同一ロットの縫製に関するカウント信号を受信した場合との何れの場合であっても、そのカウント信号がミシン本体1から出力されたものであるか、他のミシン10から受信したものであるかに関わりなく、双方のカウント信号の数を計数することにより、同一ロットの縫製における合計縫製終了数(総和)を求める合計縫製終了数計数手段として機能する。
【0023】
また、CPU23は、計数手段としてのCPU23により計数されたミシン本体1における縫製終了数と、合計縫製終了数計数手段としてのCPU23により計数された合計縫製終了数とを操作パネル20の表示装置21に表示する表示手段の一部として機能する。つまり、表示手段としてのCPU23は、縫製終了数や合計縫製終了数を表示装置21に表示するためのデータを、表示制御回路25を介して表示装置21に送出する制御を実行している。
【0024】
メモリ24は、計数手段としてのCPU23により計数された当該ミシン10の縫製終了数や、受信制御手段としてのCPU23により受信した他のミシン10のそれぞれの縫製終了に関するカウント信号や、合計縫製終了数計数手段としてのCPU23により計数された合計縫製終了数などを所定の記憶領域に記憶する。
また、メモリ24は、ミシン本体1において実行される縫製に対応するロット番号を記憶する記憶手段として機能する。なお、ロット番号は、スイッチ22を介して入力されたり、着脱自在なメモリカード50を介してロット番号に関するデータが入力されたりするようになっている。
なお、メモリ24は、RAM、ROM、EEPROMなどによって構成される様々な記憶領域を有しており、各種データに応じた領域にそれらデータが格納されるようになっている。
【0025】
なお、ミシン10の操作パネル20は、他のミシン10の操作パネル20と、図4に示すテーブルのような管理データを送受することによって、各種データの授受を行うようになっている。
管理データは、図4に示すように、X行Z列における進捗管理表の版数データ、Y行Z列における種別コード、U行Z列における進捗管理表の作成履歴を示すコード、L行Z列におけるロット識別コード、L行N列における計画枚数データ、P行Axx列におけるプロセス識別コード、L行Axx列における全体の完成枚数データ、L行Bxx列における縫い直し枚数データ、L行Cxx列における個々の完成枚数データ、L行Dxx列における作業開始時刻データ、L行Exx列における作業終了時刻データ、L行Fxx列における作業終了予定時刻データ等により構成されている。
【0026】
次に、本発明に係るミシン10における、被縫製物の縫製終了数に関する生産管理について、図5、図6に示すフローチャートに基づき説明する。
なお、本実施形態においては、図2に示すように、ミシン10aとミシン10bとミシン10cとが、それぞれ外部インターフェース40a、40b、40cを介して接続されており、この3つのミシン10a、10b、10cにおいて、それぞれ被縫製物を縫製するようになっている。
なお、ミシン10aは、ミシン本体1aと操作パネル20aが内部インターフェース30aによって接続された構成、ミシン10bは、ミシン本体1bと操作パネル20bが内部インターフェース30bによって接続された構成、ミシン10cは、ミシン本体1cと操作パネル20cが内部インターフェース30cによって接続された構成となっている。
【0027】
図5に示すフローチャートのように、まず、ミシン10aの電源スイッチ4がオン操作されたことに伴い、ミシン10aは起動し、操作パネル20aの表示装置21に初期画面を表示するとともに、各種データの初期化を実施する(ステップS101)。なお、同様にミシン10b、10cも起動している。
次いで、ミシン本体1aのCPU11aは、ペダル7が正方向に踏み込まれたか否かを監視し(ステップS102)、CPU11aが、ミシン本体1aのペダル7が踏み込まれたと判断すると(ステップS102;Yes)、ミシンモータ5を回転させて縫製を実行する(ステップS103)。
【0028】
更に、CPU11aは、ペダル7が正方向に踏み込まれているか否かを監視する(ステップS104)。
CPU11aが、ペダル7が踏み込まれていると判断すると(ステップS104;Yes)、ステップS103に戻り、縫製を継続する。
一方、CPU11aが、ペダル7は踏み込まれていないと判断すると(ステップS104;No)、ミシンモータ5を停止させて縫製を止める(ステップS105)。
【0029】
次いで、CPU11aは、ペダル7が逆方向に踏み込まれているか否かを判断する(ステップS106)。
CPU11aが、ペダル7が逆踏みされていないと判断すると(ステップS106;No)、CPU11aは、再度ペダル7が正方向に踏み込まれているか否かを監視する(ステップS107)。
CPU11aが、ペダル7が踏み込まれていると判断すると(ステップS107;Yes)、ステップS103に戻る。
一方、CPU11aが、ペダル7が踏み込まれていないと判断すると(ステップS107;No)、ステップS106に戻る。
【0030】
一方、CPU11aが、ペダル7が逆踏みされたと判断すると(ステップS106;Yes)、ミシン本体1aにおいて図示しない糸切り機構によって糸切りが行われる(ステップS108)。なお、その糸切りに伴ってミシン本体1aのCPU11aは、操作パネル20aのCPU23に糸切り信号を出力する。
そして、操作パネル20aのCPU23は、ミシン本体1aにおける縫製終了のカウント方式が、糸切り信号をカウント信号として計数する糸切り信号式か、手元用カウントアップボタン21jの操作信号をカウント信号として計数する手元カウントボタン式かを判断する(ステップS109)。
CPU23が、縫製終了に関するカウント方式が、糸切り信号式であると判断すると(ステップS109;Yes)、ステップS111へ進む。
一方、CPU23が、縫製終了に関するカウント方式が、手元カウントボタン式であると判断すると(ステップS109;No)、CPU23は、手元用カウントアップボタン21jが押下されたか否かを判断する(ステップS110)。そして、CPU23が、手元用カウントアップボタン21jが押下されたと判断すると(ステップS110;Yes)、ステップS111へ進む。
【0031】
ステップS111において、CPU23は、他のミシン10b、10cのそれぞれの操作パネル20b、20cにロット番号データ(ロットコード)とともにそれぞれのカウント方式に対応するカウント信号を送信する(ステップS111)。なお、同様にミシン10bのCPU23は、他のミシン10a、10cのそれぞれの操作パネル20a、20cに、ロット番号データが付されたカウント信号を送信し、ミシン10cのCPU23は、他のミシン10a、10bのそれぞれの操作パネル20a、20bに、ロット番号データが付されたカウント信号を送信している。
そして、CPU23は、それぞれのカウント方式に応じて設定されたカウント信号が出力される毎に1縫製終了数と加算して、ミシン10a(ミシン本体1a)における縫製終了数Aを計数する(ステップS112)。なお、カウント方式が糸切り信号式である場合、ペダル7操作に伴う糸切り信号をカウント信号として計数し、縫製終了数を計数する。また、カウント方式が手元カウントボタン式である場合、手元用カウントアップボタン21j押下に伴う操作信号をカウント信号として計数し、縫製終了数を計数する。
【0032】
そして、CPU23は、操作パネル20aの表示装置21にミシン10a(ミシン本体1a)が実行した縫製の縫製終了数A(例えば、表示装置21における縫製枚数21g)を表示して更新し(ステップS113)、ステップS102に戻る。
【0033】
また、図6に示す処理Fは、前述のステップS101からステップS113と並行して行われている処理である。
この処理Fにおいて、まず、操作パネル20のCPU23は、他のミシン(10b及び10c)の各操作パネル20(20b、20c)からのカウント信号をロット番号データとともに受信したか否かを監視し(ステップS201)、CPU23が受信したと判断すると(ステップS201;Yes)、そのカウント信号に付随しているロット番号データが、ミシン10aが実行中の縫製のロット番号データと同一であるか否かを判断するようにして、受信した縫製終了信号がミシン10aと同一ロットの縫製のカウント信号を判別する(ステップS202)。
【0034】
そして、CPU23が、受信したカウント信号はミシン10aが実行中の縫製のカウント信号と同一ロットの縫製のカウント信号でないと判断すると(ステップS202;No)、ステップS205へ進む。
一方、CPU23が、受信したカウント信号はミシン10aが実行中の縫製のカウント信号と同一ロットの縫製のカウント信号であると判断すると(ステップS202;Yes)、ステップS203へ進む。
【0035】
ステップS203において、操作パネル20aのCPU23は、他のミシンからのカウント信号を計数し、縫製終了数Bを算出する(ステップS203)。
そして、CPU23は、図5のステップS112の処理によりその時点で計数されているミシン10aの縫製終了数Aと、ステップS203で計数した他のミシン10b、10cの縫製終了数Bとを加算して、同一ロットの縫製における合計縫製終了数を求める(ステップS204)。
【0036】
そして、ステップS205において、CPU23は、操作パネル20aの表示装置21に最新の合計縫製終了数(例えば、表示装置21における完成縫製枚数21f)を表示して更新し(ステップS205)、ステップS201に戻る。
また、同様にミシン10bやミシン10cのCPU23も、所定の縫製に関してロットが同じである各ミシン10a、10b、10cのそれぞれの縫製終了数を合算した合計縫製終了数を算出して、操作パネル20aの表示装置21に表示する。
【0037】
このように、ミシン10(10a)は、ミシン本体1aにおいて実行した縫製の縫製終了数(縫製枚数21g)を操作パネル20の表示装置21に表示するとともに、外部インターフェース40(40b、40c)を介して接続されている各ミシン10b、10cがそれぞれ縫製した被縫製物の数量を通信によって送受して共有するようにして、所定の縫製に関してロットが同じである各ミシン10a、10b、10cのそれぞれの縫製終了数を合計した合計縫製終了数(完成縫製枚数21f)を操作パネル20(20a)の表示装置21に表示することができる。
つまり、外部インターフェース40a、40b、40cを介して接続されている各ミシン10a、10b、10cにおいて、ロットが同一である同じ被縫製物を縫製した場合、各ミシン10a、10b、10cの操作パネル20a、20b、20cの表示装置21には、それぞれのミシン10a、10b、10cにおける縫製終了数(各出来高)と、各ミシン10a、10b、10cのそれぞれの縫製終了数を合計した合計縫製終了数(総出来高)とが表示されるので、ミシンのオペレータは、オペレータ自身が操作するミシン10(例えば、ミシン10a)における各出来高と、複数のミシン(10a、10b、10c)におけるロットが同じである被縫製物の全体の総出来高の、両方の出来高を確認して把握することができる。
よって、このミシン10は、複数のミシンにおける出来高と、個々のミシンにおける出来高を、ミシンのオペレータが容易に把握することができるミシンであるといえる。
【0038】
そして、このようなミシン10であれば、各オペレータが全体の進捗状況を確認しながら縫製作業を進めることによって、予定縫製枚数より多く縫製を行ってしまったり、作業終了後に予定縫製枚数に足りなかったりするトラブルを防止することができる。
また、このようなミシン10であれば、複数のオペレータが同一ロットの被縫製物を手分けして縫製を行う場合、各オペレータは、オペレータ自身が操作するミシン10において縫製を行った縫製終了数(各出来高)と、複数のミシン(10a、10b、10c)において縫製された同一ロットの被縫製物の合計縫製終了数(総出来高)を把握することができるので、全体の中での自分個人の貢献度を把握することができる。それにより、各オペレータがそれぞれ貢献度を上げようとする意識や競争心が芽生えるなどして、縫製作業の作業効率の向上や、縫製工場の活性化などのメリットが生じることとなる。
また、このようなミシン10であれば、各オペレータが全体の進捗状況を確認しながら縫製作業を進めることができるので、ミシンの機械トラブルなどにより作業不能となるミシンが発生してしまった場合などに、稼動するミシンのオペレータによって、全体の縫製枚数や縫製作業状況を見ながら、適切な作業進行を図ることが可能になる。
【0039】
なお、以上の実施の形態においては、3つのミシンが接続された場合を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、ミシンの数は任意の数であってよい。
【0040】
また、以上の実施の形態において、接続された3つのミシンは同一ロットの縫製を行うように説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、複数のミシンは様々なロットの縫製を行うようになっており、その中で同一ロットの縫製を行うミシン同士がそれぞれ縫製した被縫製物の数量を通信によって送受して共有することにより、同一ロットの縫製終了数を合計した合計縫製終了数を各操作パネル20の表示装置21に表示するものである。
【0041】
また、その他、具体的な細部構造等についても適宜に変更可能であることは勿論である。
例えば、上記実施形態では、CPU23は、ミシン本体10aが実行した縫製の縫製終了数Aと他のミシン10b、10cが実行したミシン10aが実行中の同一ロットの縫製の縫製終了数Bとを個々に求め、A+Bの演算を行ってその合計縫製終了数を求めているが、同一ロットの縫製を実行している他のミシン10b、10cからカウント信号が出力あるいは受信される毎に、順次1縫製終了数を加算して同一ロットの合計縫製終了数を求めてもよい。
また、上記実施の形態では、各ミシン10a、10b、10cは、互いに他のミシンに対し当該ミシンが実行した縫製のカウント信号の出力(送信)し、各ミシン10a、10b、10cが合計縫製終了数を表示するようにしているが、一台のミシン(例えば、ミシン10a)のみが他のミシン(例えば、ミシン10b及びミシン10c)から同一ロットのカウント信号を受信して合計縫製終了数を求めて表示し、表示された合計縫製終了数を他のミシンのオペレータに口頭で伝えるようにすれば、各ミシンすべてが互いに縫製終了数を送信したり合計縫製終了数を算出したりする必要はないことは、勿論である。
また、上記実施の形態では、糸切り信号又は手元用カウントアップボタン21jの操作信号を縫製終了を計数するためのカウント信号として用いて、このカウント信号にロット番号を付して送信あるいは受信しているが、ロット番号を示すロット信号をカウント信号としてもよい。すなわち、各ミシンは、縫製終了毎にロット信号のみを他のミシンに対して送信し、このロット信号を受信したミシン本体の判別手段は、ミシン本体で実行中のロットと同一のロットのロット信号を受信したかどうかを判別するとともに、同一のロットと判定したロット信号自体を計数して合計縫製終了数を求めるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明に係るミシンの正面図である。
【図2】本発明に係るミシンの要部構成を示すブロック図であり、3つのミシンが外部インターフェースを介して接続された状態を示す説明図である。
【図3】操作パネルの正面図である。
【図4】ミシンにおける管理データの一例を示す説明図である。
【図5】本発明に係るミシンにおける被縫製物の生産管理に関するメイン処理を示すフローチャートである。
【図6】本発明に係るミシンにおける被縫製物の生産管理に関する内部処理Aを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0043】
1 ミシン本体
10(10a、10b、10c) ミシン
11 制御部(出力手段)
20(20a、20b、20c) 操作パネル
21 表示装置(表示手段、出力手段)
22 スイッチ
23 CPU(通信手段、受信手段、合計縫製終了数計数手段、計数手段、判別手段、合計算出手段、表示手段)
24 メモリ(記憶手段)
30(30a、30b、30c) 内部インターフェース
40(40a、40b、40c) 外部インターフェース(通信手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
縫製を実行するミシン本体と、
前記ミシン本体において実行される縫製に対応するロット番号を記憶する記憶手段と、
他のミシンとの間で通信を行う通信手段と、
前記ミシン本体における縫製終了毎に、縫製終了数を計数するためのカウント信号を出力する出力手段と、
前記通信手段を介して、他のミシンのカウント信号及び当該カウント信号に対応するロット番号を受信する受信手段と、
前記記憶手段に記憶されたロット番号及び前記他のミシンのロット番号に基づいて、前記他のミシンのカウント信号のうち、前記ミシン本体が実行中の縫製と同一ロットのカウント信号を判別する判別手段と、
前記出力手段から出力されたカウント信号と前記判別手段により判別された前記他のミシンのカウント信号との双方のカウント信号の数を計数することにより、前記同一ロットの縫製における合計縫製終了数を求める合計縫製終了数計数手段と、
前記合計縫製終了数を表示する表示手段と、
を備えたことを特徴とするミシン。
【請求項2】
前記出力手段により出力されるカウント信号を計数することにより、前記ミシン本体の縫製終了数を計数する計数手段を備え、
前記表示手段は、前記合計縫製終了数とともに前記ミシン本体の縫製終了数を表示することを特徴とする請求項1に記載のミシン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−278939(P2008−278939A)
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−123433(P2007−123433)
【出願日】平成19年5月8日(2007.5.8)
【出願人】(000003399)JUKI株式会社 (1,557)
【Fターム(参考)】