説明

ミリ波による放送信号伝送システム

【課題】同軸ケーブルを敷設する必要が無く、かつ、広帯域の放送信号を伝送し得るミリ波による放送信号伝送システムを提供する。
【解決手段】BS/CSアンテナ10は、JSAT3号衛星1、JSAT4号衛星2、BS衛星3、110°CS衛星4からの電波を受信してコンバータによりIF信号に変換し、ミリ波送信機20に出力する。ミリ波送信機20は、上記各衛星に対するIF信号を複数の帯域に分割してミリ波帯に変換すると共にローカル信号を付加し、偏波面を変えて送信する。システムの各加入者側に設けられるミリ波受信機30は、ミリ波送信機20からの信号を受信し、受信信号中のローカル信号を使用してミリ波を元のIF信号に変換し、CSチューナ33に出力する。このCSチューナ33は、ミリ波受信機30から出力されるIF信号の中から所望チャンネルのテレビ信号を選択し、テレビ受信機36に出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばBS(Broadcasting Satellite)放送、CS(Communication Satellite)放送等による放送信号を受信し、ミリ波に変換して伝送するミリ波による放送信号伝送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、BS放送やCS放送を含むテレビ共同受信システムは、CS放送をブロックコンバータやダウンコンバータの局部発振周波数の設定により、BS放送と重ならない中間周波数に変換し、1本の同軸ケーブルでBS放送とCS放送及び地上放送を伝送している(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2002−84204号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、近年、CS放送では、110度、124度、128度衛星等の複数の衛星放送があり、BS放送及びCS放送の全てを伝送する場合、7.2GHzの広帯域が必要である。このため従来のテレビ共同受信システムでは、BS放送及びCS放送の全てを伝送する場合には、1本の同軸ケーブルでは伝送することができず、複数本の同軸ケーブルが必要となり、システム構成が複雑になると共にその設置も面倒である。
【0004】
本発明は上記の課題を解決するためになされたもので、同軸ケーブルを敷設する必要が無く、かつ、広帯域の放送信号を伝送し得るミリ波による放送信号伝送システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、複数の衛星放送を受信してテレビ共同受信システムの加入者側に伝送する放送信号伝送システムにおいて、複数の衛星放送を受信する衛星受信用アンテナと、前記各アンテナにより受信した各衛星放送の偏波の異なる受信信号をチャンネルが重ならないように周波数配列された夫々の中間周波信号に変換する各衛星放送受信に対応する複数のコンバータと、前記夫々の中間周波信号を共通のローカル信号で夫々ミリ波帯にアップコンバートする複数の放送信号伝送用のミリ波送信機と、前記複数の放送信号伝送用のミリ波送信機の少なくとも1つは、前記共通のローカル信号を前記アップコンバートされた中間周波信号と共にミリ波信号として送信し、前記ミリ波信号に含まれるローカル信号により、ミリ波信号を元の中間信周波信号にダウンコンバートする加入者側のミリ波受信機とを具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、各衛星から送られてくるテレビ放送信号をテレビ共同受信設備側で受信し、複数のミリ波送信機で帯域分割してミリ波に変換し、各システム加入者のミリ波受信機に送信することにより、同軸ケーブルを敷設する必要が無く、かつ、広帯域の放送信号を伝送することができる。
【0007】
また、上記ミリ波送信機は、ミリ波を送信する際、ローカル信号を付加しているので、ミリ波受信機側でローカル信号を発生することなく、ミリ波を元のIF信号に変換することができる。従って、ミリ波受信機の構成を簡易化でき、かつ、安定した受信動作が可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
【0009】
(基本構成)
図1は、本発明に係るミリ波による放送信号伝送システムの基本構成図である。1はJSAT3号衛星(CS)、2はJSAT4号衛星(CS)、3はBS衛星、4は110°CS衛星である。上記JSAT3号衛星1及びJSAT4号衛星2は、それぞれ垂直偏波及び水平偏波を使用してテレビ放送を行なっている。また、BS衛星3は右旋偏波を使用し、110°CS衛星4は右旋偏波及び左旋偏波を使用してテレビ放送を行なっている。
【0010】
JSAT3号衛星1は、図2(a)に示すように12.268GHz〜12.7315GHzの周波数帯域による垂直偏波、12.270GHz〜12.7465GHzの周波数帯域による水平偏波を使用し、複数チャンネルのテレビ信号を送信している。
【0011】
JSAT4号衛星2は、図2(b)に示すように12.2545GHz〜12.7315GHzの周波数帯域による垂直偏波、及び12.2695GHz〜12.7465GHzの周波数帯域による水平偏波を使用し、複数チャンネルのテレビ信号を送信している。
【0012】
BS衛星3は、図2(c)に示すように11.7183GHz〜12.169GHzの周波数帯域による右旋偏波を使用し、複数チャンネルのテレビ信号を送信している。
【0013】
110°CS衛星4は、図2(c)に示すように12.271GHz〜12.751GHzの周波数帯域による垂直偏波、及び12.2751GHz〜12.7551GHzの周波数帯域による水平偏波を使用し、複数チャンネルのテレビ信号を送信している。
【0014】
一方、マンション等の共同住宅等に設けられるテレビ共同受信設備側には、図1に示すように各衛星1〜4からの電波を受信するBS/CSアンテナ10が設置される。このBS/CSアンテナ10は、各衛星1〜4からの電波を受信してコンバータにより中間周波信号(以下、IF信号という)に変換し、ミリ波送信機20に出力する。このミリ波送信機20は、上記BS/CSアンテナ10からコンバータを介して入力されたIF信号を例えば59GHz〜66GHzのミリ波に変換し、局部発振周波数のキャリア信号(以下、ローカル信号という)を付加して送信する。
【0015】
システムの各加入者側には、ミリ波受信機30が設けられる。
【0016】
上記ミリ波受信機30は、ミリ波送信機20から送られてくる信号を受信し、受信信号中に含まれるローカル信号を使用してミリ波を元のIF信号に変換し、CSチューナ33に出力する。このCSチューナ33は、ミリ波受信機30から出力されるIF信号の中から所望チャンネルのテレビ信号を選択し、テレビ受信機36に出力する。
【0017】
上記ミリ波送信機20で衛星放送をミリ波に変換して送信する場合、BS放送では300MHzの帯域、CS放送では、110度、124度、128度の衛星放送を全て伝送すると7.2GHzの広帯域が必要である。また、電波法上で許容されているミリ波の全帯域は図3に示すように59GHz〜66GHz、占有帯域は最大で2.5GHzである。このため1つのミリ波送信機20では、全帯域を送信できないので、複数のミリ波送信機を用いて図3に示すように帯域を分割し、偏波面を変えて伝送する。例えば右旋偏波によりA、B、Cのチャンネル(ch)、左旋偏波によりD、E、Fのチャンネル(ch)を伝送する。上記A、B、C、D、E、Fの各チャンネルは、衛星から送信される各偏波のチャンネル群から成っている。
【0018】
また、位相変調を基本とした変調方式、例えばQPSK、8PSK、nQCAMなどでは位相雑音に対して影響を受け易いので、ミリ波送信機20から出力される各チャンネルの信号に図3に示したようにローカル信号LCを付加する。そして、ミリ波受信機30側で受信信号の中のローカル信号LCを使用してミリ波を元のIF信号に変換する。
【0019】
以下、ミリ波による放送信号伝送システムの具体的な構成について説明する。
【0020】
(第1実施形態)
図4は、本発明の第1実施形態に係るテレビ共同受信システムにおけるBS/CS放送のミリ波伝送の構成図である。
【0021】
マンション等の共同住宅等に設けられるテレビ共同受信設備には、JSAT3号衛星1からの電波を受信する第1のCSアンテナ11、JSAT4号衛星2からの電波を受信する第2のCSアンテナ12、BS衛星3及び110°CS衛星4からの電波を受信するBS/CSアンテナ13が設置される。上記BS衛星3及び110°CS衛星4は、ほぼ同じ角度方向に位置しているので、1つのアンテナでテレビ放送を受信することができる。
【0022】
第1のCSアンテナ11は、図5(a)に示すようにJSAT3号衛星1から送られてくる垂直偏波及び水平偏波の信号を受信し、コンバータ15により異なる周波数のCS-IF信号、例えば1050〜1532MHzと1592〜2039MHzのCS-IF信号に変換し、第1のミリ波送信機21に出力する。上記図5は、各衛星放送に対する伝送周波数配列図を示したものである。上記第1のミリ波送信機21は、コンバータ15により変換されたCS-IF信号を例えば59GHzのローカル信号を使用して60.05〜60.532GHz(約60.1〜60.5GHz)、60.592〜61.039GHz(約60.6〜61GHz)のミリ波に変換し、右旋偏波のチャンネルAとしてシステムの加入者側に送信する。この場合、第1のミリ波送信機21は、上記チャンネルAの信号に対して59GHzのローカル信号を付加して送信する。
【0023】
第2のCSアンテナ12は、図5(b)に示すようにJSAT4号衛星2から送られてくる垂直偏波及び水平偏波の信号を受信し、コンバータ16により異なる周波数のCS-IF信号、例えば1050〜1532MHzと1592〜2039MHzのCS-IF信号に変換し、第2のミリ波送信機22に出力する。上記第2のミリ波送信機22は、コンバータ16により変換されたCS-IF信号を例えば第1のミリ波送信機21と同じ59GHzのローカル信号を用いて60.05〜60.532GHz(約60.1〜60.5GHz)、60.592〜61.039GHz(約60.6〜61GHz)のミリ波に変換すると共に、59GHzのローカル信号を付加し、左旋偏波のチャンネルDとしてシステムの加入者側に送信する。
【0024】
BS/CSアンテナ13は、図5(c)に示すようにBS衛星3及び110°CS衛星4からの放送信号を受信し、右旋用コンバータ17によりBS衛星3及び110°CS衛星4による右旋偏波の信号を1つのバンドとして、異なる周波数のBS/CS-IF信号例えば1032〜1489MHzと1595〜2071MHzのBS/CS-IF信号に変換し、第3のミリ波送信機23に出力する。上記第3のミリ波送信機23は、右旋用コンバータ17により変換されたBS/CS-IF信号を例えば62GHzのローカル信号を使用して63.032〜63.489GHz(約63〜63.5GHz)、63.595〜64.071GHz(約63.6〜64.1GHz)のミリ波に変換すると共に、62GHzのローカル信号を付加し、右旋偏波のチャンネルBとしてシステムの加入者側に送信する。
【0025】
また、BS/CSアンテナ13により受信した110°CS衛星4からの左旋偏波信号は、左旋用コンバータ18により図5(d)に示すように例えば1595〜2071MHzのCS-IFに変換し、第4のミリ波送信機24に出力する。この第4のミリ波送信機24は、右旋用コンバータ17により変換されたCS-IF信号を例えば62GHzのローカル信号を使用して63.595〜64.071GHz(約63.6〜64.1GHz)のミリ波に変換すると共に、62GHzのローカル信号を付加し、左旋偏波のチャンネルEとしてシステムの加入者側に送信する。
【0026】
上記第1〜第4のミリ波送信機21〜24の送信用アンテナは、共同住宅の屋上等において側方に突出するように設け、下方に向けて電波を送信するように設定する。
【0027】
一方、システムの各加入者側には、第1のミリ波受信機31、第2のミリ波受信機32が設けられる。このミリ波受信機31、32の受信用アンテナは、システム加入者が居住する共同住宅のベランダ等に設け、上記ミリ波送信機21〜24の送信用アンテナからの送信電波を受信できるようにする。
【0028】
上記第1のミリ波受信機31は、上記第1のミリ波送信機21から送られてくるチャンネルAの右旋偏波信号、及び第2のミリ波送信機22から送られてくるチャンネルDの左旋偏波信号を受信し、各チャンネルに含まれるローカル信号を使用して元のCS-IF信号に変換し、CSチューナ34に出力する。このCSチューナ34は、第1のミリ波受信機31で変換されたIF信号の中から指定されたチャンネルの信号を受信し、所定の中間周波信号に変換してテレビ受信機36へ出力する。上記CSチューナ34は、選択されたチャンネルに応じて右旋偏波と左旋偏波とを切替える偏波切替信号を第1のミリ波受信機31に出力する。この第1のミリ波受信機31は、CSチューナ34からの偏波切替信号に従ってチャンネルAの右旋偏波信号とチャンネルDの左旋偏波信号とを切替えて受信する。
【0029】
第2のミリ波受信機32は、上記第3のミリ波送信機23から送られてくるチャンネルBの右旋偏波信号、及び第4のミリ波送信機24から送られてくるチャンネルEの左旋偏波信号を受信し、各チャンネルに含まれるローカル信号を使用して元のCS-IF信号に変換し、BS/CSチューナ35に出力する。このBS/CSチューナ35は、第2のミリ波受信機32で受信及び周波数変換されたIF信号の中から指定されたチャンネルの信号を受信し、所定の中間周波信号に変換してテレビ受信機36へ出力する。また、上記BS/CSチューナ35は、選択されたチャンネルに応じて右旋偏波と左旋偏波とを切替える偏波切替信号を第2のミリ波受信機32に出力する。この第2のミリ波受信機32は、BS/CSチューナ35からの偏波切替信号に従ってチャンネルBの右旋偏波信号とチャンネルEの左旋偏波信号とを切替えて受信する。
【0030】
次に、上記第1〜第4のミリ波送信機21〜24及び第1、第2のミリ波受信機31、32の詳細な構成について図6及び図7を参照して説明する。
図6(a)は、第1のミリ波送信機21の詳細な構成を示したものである。第1のミリ波送信機21は、ミキサー41a、59GHzのローカル信号を発生するローカル信号発振部42a、BPF回路(バンドパスフィルタ回路)43a、右旋用アンテナ44aからなっている。
【0031】
上記ミキサー41aは、コンバータ15から出力されるJSAT3号の1050〜1532MHz、1592〜2039MHzのCS-IF信号と、ローカル信号発振部42aで発生した59GHzのローカル信号とを混合し、60.05〜60.532GHz、60.592〜61.039GHzのミリ波に変換してBPF回路43aに出力する。また、ローカル信号発振部42aで発生した59GHzのローカル信号をBPF回路43aに入力する。BPF回路43aは、ミキサー41aから出力されるCS-IF信号及びローカル信号発振部42aからのローカル信号を取り込み、右旋用アンテナ44aから右旋偏波のチャンネルAとしてシステムの加入者側に送信する。
【0032】
第2のミリ波送信機22は、図6(b)に示すようにミキサー41b、59GHzのローカル信号を発生するローカル信号発振部42b、BPF回路43b、左旋用アンテナ44bからなっている。
【0033】
上記ミキサー41bは、コンバータ16から出力されるJSAT4号の1050〜1532MHz、1592〜2039MHzのCS-IF信号と、ローカル信号発振部42bで発生した59GHzのローカル信号とを混合し、60.05〜60.532GHz、60.592〜61.039GHzのミリ波に変換してBPF回路43bに出力する。BPF回路43bは、ミキサー41bから出力されるCS-IF信号及びローカル信号発振部42bで発生したローカル信号を取り込み、左旋用アンテナ44bから左旋偏波のチャンネルDとしてシステムの加入者側に送信する。
【0034】
第3のミリ波送信機23は、図6(c)に示すようにミキサー41c、62GHzのローカル信号を発生するローカル信号発振部42c、BPF回路43c、右旋用アンテナ44cからなっている。
【0035】
上記ミキサー41cは、右旋用コンバータ17から出力されるBS衛星3及び110°CS衛星4の1032〜1489MHz、1595〜2071MHzのBS/CS-IF信号と、ローカル信号発振部42cで発生した62GHzのローカル信号とを混合し、63.032〜63.489GHz、63.595〜64.071GHzのミリ波に変換してBPF回路43cに出力する。BPF回路43cは、ミキサー41cから出力されるBS/CS-IF信号及びローカル信号発振部42cで発生したローカル信号を取り込み、右旋用アンテナ44cから右旋偏波のチャンネルBとしてシステムの加入者側に送信する。
【0036】
第4のミリ波送信機24は、図6(d)に示すようにミキサー41d、62GHzのローカル信号を発生するローカル信号発振部42d、BPF回路43d、左旋用アンテナ44dからなっている。
【0037】
上記ミキサー41dは、左旋用コンバータ18から出力される110°CS衛星4の1595〜2071MHzのCS-IF信号と、ローカル信号発振部42dで発生した62GHzのローカル信号とを混合し、63.595〜64.071GHzのミリ波に変換してBPF回路43dに出力する。BPF回路43dは、ミキサー41dから出力されるCS-IF信号及びローカル信号発振部42dで発生したローカル信号を取り込み、左旋用アンテナ44dから左旋偏波のチャンネルEとしてシステムの加入者側に送信する。
【0038】
一方、各加入者毎に設けられる第1のミリ波受信機31は、図7(a)に示すようにミリ波受信用のアンテナ51a、バンドパスフィルタ(BPF)52a、ミキサー53a、増幅器54aからなっている。アンテナ51aは、第1のミリ波送信機21から送信されるチャンネルAの右旋偏波、及び第2のミリ波送信機22から送信されるチャンネルDの左旋偏波の信号をCSチューナ34からの偏波切替制御信号により切替えて受信し、バンドパスフィルタ52aに入力する。このバンドパスフィルタ52aは、アンテナ51aにより受信したチャンネルA、Dの周波数帯域及び59MHzのローカル信号を通過させ、ミキサー53aに出力する。ミキサー53aは、59MHzのローカル信号とチャンネルAまたはDの信号とを混合して元のCS-IF信号に変換し、増幅器54aを介してCSチューナ34へ出力する。
【0039】
また、第2のミリ波受信機32は、図7(b)に示すようにミリ波受信用のアンテナ51b、バンドパスフィルタ(BPF)52b、ミキサー53b、増幅器54bからなっている。アンテナ51bは、第3のミリ波送信機23から送信されるチャンネルBの右旋偏波、及び第4のミリ波送信機24から送信されるチャンネルEの左旋偏波の信号をBS/CSチューナ35からの偏波切替制御信号により切替えて受信し、バンドパスフィルタ52bに入力する。このバンドパスフィルタ52bは、アンテナ51bにより受信したチャンネルB、Eの周波数帯域及び62MHzのローカル信号を通過させ、ミキサー53bに出力する。ミキサー53bは、62MHzのローカル信号とチャンネルBまたはEの信号とを混合して元のBS/CS-IF信号、CS-IF信号に変換し、増幅器54bを介してBS/CSチューナ35へ出力する。
【0040】
上記のように各衛星から送られてくるテレビ放送信号をテレビ共同受信設備側で受信し、ミリ波送信機21〜24でミリ波に変換して各システム加入者のミリ波受信機31、32に送信することにより、同軸ケーブルを敷設する必要が無く、かつ、広帯域の放送信号を伝送することができる。
【0041】
また、上記ミリ波送信機21〜24は、ミリ波を送信する際、各チャンネルA、D及びB、Eの信号と共にローカル信号を送信しているので、ミリ波受信機31、32でローカル信号を発生することなく、ミリ波を元のIF信号に変換することができる。ミリ波受信機31、32側でローカル信号を発生させた場合には、ローカル信号の周波数が不安定になり易く、受信信号の品質が低下する原因となる。また、ミリ波受信機31、32側でローカル信号を発生させた場合、ローカル信号の周波数を安定化するためには、回路構成が非常に複雑になる。しかし、上記実施形態で示したようにミリ波送信機21〜24が各チャンネルの信号と共にローカル信号を送信することにより、ミリ波受信機31、32の構成を簡易化でき、かつ、安定した受信が可能となる。
【0042】
(第2実施形態)
次に本発明の第2実施形態に係るミリ波による放送信号伝送システムについて説明する。
この第2実施形態における全体の構成は、第1実施形態に示した図4と同じ構成であるので詳細な説明は省略する。この第2実施形態では、第1〜第4のミリ波送信機21〜24におけるローカル信号発振部42a〜42dの発振周波数を図8(a)〜(d)に示すように設定している。例えばローカル信号発振部42aの発振周波数を59GHz、ローカル信号発振部42bの発振周波数を60.5GHz、ローカル信号発振部42cの発振周波数を62GHz、ローカル信号発振部42dの発振周波数を63.5GHzに設定する。すなわち、上記ローカル信号発振部42a〜42dの発振周波数は、図9(a)〜(d)に示すようにIF信号をミリ波に変換したときの周波数配列のガードバンドの間あるいはその近傍に設定する。図9は、各衛星放送に対する伝送周波数配列図を示したものである。
【0043】
第1のミリ波送信機21は、コンバータ15により変換されたJSAT3号衛星1のCS-IF信号を59GHzのローカル信号により、図9(a)に示すように60.05〜60.532GHz、60.592〜61.039GHzのミリ波に変換すると共に、59GHzのローカル信号を付加し、右旋偏波のチャンネルAとしてシステムの加入者側に送信する。この場合、チャンネルAのガードバンドは、60.532GHz〜60.592GHzとなるので、第2のミリ波送信機22のローカル信号の周波数を例えば60.55GHzに設定する。
【0044】
第2のミリ波送信機22は、コンバータ16により変換されたJSAT4号衛星2のCS-IF信号を60.55GHzのローカル信号により、図9(b)に示すように61.6〜62.082GHz、62.142〜62.589GHzのミリ波に変換すると共に、60.55GHzのローカル信号を付加し、左旋偏波のチャンネルDとしてシステムの加入者側に送信する。この場合、チャンネルDのガードバンドは、62.082GHz〜62.142GHzとなるので、第3のミリ波送信機23のローカル信号の周波数を例えば62GHzに設定する。
【0045】
第3のミリ波送信機23は、右旋用コンバータ17により変換されたBS衛星3及び110°CS衛星4による右旋偏波のBS/CS-IF信号を62GHzのローカル信号により、図9(c)に示すように63.032〜63.489GHz、63.595〜64.071GHzのミリ波に変換すると共に、62GHzのローカル信号を付加し、右旋偏波のチャンネルBとしてシステムの加入者側に送信する。この場合、チャンネルBのガードバンドは、63.489GHz〜63.595GHzとなるので、第4のミリ波送信機24のローカル信号の周波数を例えば63.5GHzに設定する。
【0046】
第4のミリ波送信機24は、左旋用コンバータ18により変換された110°CS衛星4による右旋偏波のBS/CS-IF信号を63.5GHzのローカル信号により、図9(d)に示すように65.095〜65.571GHzのミリ波に変換すると共に、63.5GHzのローカル信号を付加し、左旋偏波のチャンネルEとしてシステムの加入者側に送信する。
【0047】
システムの加入者側に設けられた第1のミリ波受信機31及び第2のミリ波受信機32は、上記第1実施形態の図7(a)、(b)に示したものと同様の構成であるので詳細な説明は省略する。第1のミリ波受信機31及び第2のミリ波受信機32は、第1実施形態の場合と同様の受信動作を行ない、ミリ波送信機21〜24から送信されるローカル信号の周波数を使用してミリ波を元のIF信号に変換する。
【0048】
上記のようにミリ波送信機21〜24におけるローカル信号発振部42a〜42dの発振周波数を周波数配列のガードバンドの間あるいはその近傍に設定することにより、各偏波面で伝送されていないチャンネルに各信号を伝送できるので、混信を防止することができる。
【0049】
(第3実施形態)
次に本発明の第3実施形態に係るミリ波による放送信号伝送システムについて説明する。上記第1及び第2実施形態では、システムの加入者側に第1のミリ波受信機31及び第2のミリ波受信機32を設けた場合について示したが、この第3実施形態では、図10に示すように第1〜第4のミリ波送信機21〜24からの送信信号を1つのミリ波受信機60で受信するように構成している。
【0050】
この場合、コンバータ15、16は、図12(a)、(b)に示すようにJSAT3号衛星1及びJSAT4号衛星2の放送波を第1実施形態と同じ周波数のCS-IF信号に変換して出力するが、右旋用コンバータ17及び左旋用コンバータ18は、BS衛星3及び110°CS衛星4の放送波をコンバータ15、16より高い周波数のIFに変換する。例えば右旋用コンバータ17は、BS衛星3及び110°CS衛星4の右旋偏波を図12(c)に示すように2532GHz〜2989GHz、3095GHz〜3571GHzのBS/CS-IF信号に変換して第3のミリ波送信機23に出力する。また、左旋用コンバータ18は、110°CS衛星4の左旋偏波を図12(d)に示すように3095GHz〜3571GHzのCS-IF信号に変換して第4のミリ波送信機24に出力する。
【0051】
上記第1〜第4のミリ波送信機21〜24は、JSAT3号衛星1に対する第1のミリ波送信機21の送信出力に59GHzのローカル信号を挿入し、他の第2〜第4のミリ波送信機22〜24の送信出力にはローカル信号を挿入しないように構成する。
【0052】
図11は、第1〜第4のミリ波送信機21〜24の構成を示したもので、第1のミリ波送信機21のみローカル信号発振部42aを備え、他のミリ波送信機22〜24はローカル信号発振部を備えていない。
【0053】
第1のミリ波送信機21は、ローカル信号発振部42aで発生した59GHzのローカル信号をミキサー41aに入力すると共に分配器45aで2分配し、その一方をBPF回路43aに入力する。ミキサー41aは、図12(a)に示すようにコンバータ15から送られてくるJSAT3号衛星1に対するCS-IF信号とローカル信号発振部42aで発生したローカル信号とを混合し、上記CS-IF信号をミリ波に変換してBPF回路43aに出力する。このBPF回路43aは、ミキサー41aで変換されたミリ波に分配器45aで分配されたローカル信号を付加する。このBPF回路43aで、ミリ波にローカル信号LCが付加された信号が右旋用アンテナ44aからチャンネルAの右旋偏波として送信される。
【0054】
また、上記分配器45aで分配された他方のローカル信号は、第2のミリ波送信機22に送られて分配器45bで2分配され、その一方がミキサー41bに入力され、他方が第3のミリ波送信機23へ送られる。この第3のミリ波送信機23に送られたローカル信号は、更に分配器45cで2分配され、その一方がミキサー41cに入力され、他方が第4のミリ波送信機24へ送られてミキサー41dに入力される。
【0055】
第2のミリ波送信機22は、コンバータ16から送られてくるJSAT4号衛星2に対するCS-IF信号と第1のミリ波送信機21からのローカル信号とを混合してミリ波に変換し、BPF回路43bに入力する。このBPF回路43bは、ミキサー41bで変換されたミリ波のみを選択し、左旋用アンテナ44bへ出力する。従って、左旋用アンテナ44bからは、図12(b)に示すようにJSAT4号衛星2に対するミリ波の信号がチャンネルDの左旋偏波として送信される。
【0056】
上記第1のミリ波送信機21及び第2のミリ波送信機22から送信されるチャンネルA、Dの周波数帯は、第1実施形態の場合と同じである。
【0057】
第3のミリ波送信機23は、右旋用コンバータ17から送られてくるBS衛星3及び110°CS衛星4の右旋偏波に対するBS/CS-IF信号と第1のミリ波送信機21から送られてくる59GHzのローカル信号とをミキサー41cで混合し、図12(c)に示すように61.532GHz〜61.989GHz、62.095GHz〜62.571GHzのミリ波に変換する。このミリ波の信号は、BPF回路43cを介して右旋用アンテナ44cへ送られ、チャンネルBの右旋偏波として送信される。
【0058】
第4のミリ波送信機24は、左旋用コンバータ18から送られてくる110°CS衛星4の左旋偏波に対するCS-IF信号と第1のミリ波送信機21から送られてくるローカル信号とをミキサー41dで混合し、図12(d)に示すように62.095GHz〜62.571GHzのミリ波に変換する。このミリ波の信号は、BPF回路43dを介して左旋用アンテナ44dへ送られ、チャンネルEの左旋偏波として送信される。
【0059】
上記のように第1のミリ波送信機21の送信出力のみにローカル信号が付加され、第2〜第4のミリ波送信機22〜24の送信出力にはローカル信号は付加されない。
【0060】
一方、ミリ波受信機60は、図10に示すように上記第1〜第4のミリ波送信機21〜24からの送信信号を受信し、分配器37を介してCSチューナ34及び周波数変換器38に2分配する。
【0061】
上記ミリ波受信機60は、図13に示すように右旋用アンテナ61a及び左旋用アンテナ61bを備えている。右旋用アンテナ61aは、第1のミリ波送信機21及び第3のミリ波送信機23から送信されるチャンネルA、Bの右旋偏波の信号を受信し、左旋用アンテナ61bは、第2のミリ波送信機22及び第4のミリ波送信機24から送信されるチャンネルD、Eの左旋偏波の信号を受信する。
【0062】
上記右旋用アンテナ61aで受信した右旋偏波の信号は、バンドパスフィルタ62aを介してミキサー63aに入力される。また、左旋用アンテナ61bで受信した左旋偏波の信号は、バンドパスフィルタ62bを介してミキサー63bに入力される。
【0063】
上記バンドパスフィルタ62aは、右旋用アンテナ61aで受信した信号の中からチャンネルAに含まれる59GHzのローカル信号を分離する。このバンドパスフィルタ62aで分離して取り出されたローカル信号は、増幅器64で増幅された後、分配器65で2分配され、ミキサー63a、63bに入力される。
【0064】
ミキサー63aは、バンドパスフィルタ62aから出力されるチャンネルA、Bの右旋偏波の信号と59GHzのローカル信号とを混合して元のIF信号、すなわち、図14(a)に示すようにJSAT3号衛星1のCS-IF信号、BS衛星3及び110°CS衛星4の右旋偏波のBS/CS-IF信号に変換する。
【0065】
また、ミキサー63bは、バンドパスフィルタ62bから出力されるチャンネルD、Eの左旋偏波の信号と59GHzのローカル信号とを混合して元のIF信号、すなわち、図14(b)に示すようにJSAT4号衛星2及び110°CS衛星4の左旋偏波のCS-IF信号に変換する。
【0066】
そして、上記ミキサー63a、63bで変換された信号は、切替スイッチ66で選択されて増幅器67に入力される。上記切替スイッチ66は、図10に示すCSチューナ34またはBS/CSチューナ35から送られてくる偏波切替制御信号により動作し、ミキサー63aあるいはミキサー63bの出力信号を選択する。増幅器67は、上記切替スイッチ66により選択されたミキサー63aあるいはミキサー63bの出力信号を増幅し、図10に示したように分配器37を介してCSチューナ34及び周波数変換器38に出力する。
【0067】
CSチューナ34は、JSAT3号衛星1及びJSAT4号衛星2のテレビ放送信号の中から指定されたチャンネルを選択し、テレビ受信機36に出力する。また、CSチューナ34は、チャンネルの切替え操作に応じて偏波切替制御信号をミリ波受信機60に出力する。
【0068】
周波数変換器38は、BS衛星3及び110°CS衛星4に対するチャンネルBの右旋偏波の信号及び110°CS衛星4に対するチャンネルEの左旋偏波の信号をBS/CSチューナ35にて受信できるIF周波数に変換する。BS/CSチューナ35は、周波数変換器38で変換されたBS衛星3及び110°CS衛星4の放送信号の中から指定されたチャンネルを選択し、テレビ受信機36に出力する。また、BS/CSチューナ35は、チャンネルの切替え操作に応じて偏波切替制御信号をミリ波受信機60に出力する。
【0069】
上記第3実施形態によれば、第1のミリ波送信機21から出力する1つのローカル信号によって周波数の変換処理を行なうことができるので、スプリアス、相互変調等の妨害を低減することができる。また、ミリ波送信機は、ローカル信号の分だけ送信電力を増加できるので、長距離伝送が可能になる。更に、1台のミリ波受信機60で全チャンネルを受信できるので、コストを低減することができる。
【0070】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態に係るミリ波による放送信号伝送システムについて説明する。この第4実施形態に係るシステム全体の構成は、第3実施形態の図10に示した構成と同じであるので、詳細な説明は省略する。
【0071】
上記第3実施形態は、第1のミリ波送信機21から出力されるチャンネルAの右旋偏波に対してのみローカル信号を付加しているが、この第4実施形態では、図16に示すように第1のミリ波送信機21から出力されるチャンネルAの右旋偏波、及び第2のミリ波送信機22から出力されるチャンネルDの左旋偏波に対してローカル信号を付加するようにしたものである。
【0072】
図15は、第4実施形態における第1〜第4のミリ波送信機21〜24の構成図である。この第1〜第4のミリ波送信機21〜24は、第3実施形態の図11に示したものとほぼ同様であるが、第2のミリ波送信機22においても第1のミリ波送信機21と同様に分配器45bで分配した59GHzのローカル信号をBPF回路43bに入力し、左旋用アンテナ44bからもローカル信号が送信されるようにしている。ミリ波送信機21〜24のその他の構成は、第3実施形態と同じであるので、詳細な説明は省略する。
【0073】
また、ミリ波の受信側は、第3実施形態におけるミリ波受信機60に代えて図17に示すミリ波受信機70が使用される。このミリ波受信機70は、アンテナ71、ミキサー72、増幅器73からなっている。
【0074】
アンテナ71は、図10に示すCSチューナ34またはBS/CSチューナ35から送られてくる偏波切替制御信号によって偏波面を切替え、ミリ波送信機21、23から送信されるチャンネルA、Bの右旋偏波、あるいはミリ波送信機22、24から送信されるチャンネルD、Eの左旋偏波の信号を受信してミキサー72に入力する。ミキサー72は、チャンネルA、Bの右旋偏波に対しては第1のミリ波送信機21から送られてくるローカル信号により元のIF信号に変換し、チャンネルD、Eの左旋偏波の信号に対しては第2のミリ波送信機22から送られてくるローカル信号により元のIF信号に変換する。増幅器73は、ミキサー72で変換されたIF信号を増幅し、図10に示したように分配器37を介してCSチューナ34及び周波数変換器38に出力する。以下、上記第3実施形態の場合と同様の処理が行なわれる。
【0075】
上記第4実施形態に示したように、第1のミリ波送信機21から送信されるチャンネルAの右旋偏波の信号、及び第2のミリ波送信機22から送信される左旋偏波の信号にローカル信号を付加することにより、ミリ波受信機70でアンテナ71の偏波面を切替えてもローカル信号を必ず受信でき、IF信号に変換することができる。従って、ミリ波受信機70は、第1のミリ波送信機21及び第2のミリ波送信機22の両方の信号を常に受信する必要はなく、第3実施形態の場合に比較して回路構成を簡易化でき、コストを低減することができる。
【0076】
(第5実施形態)
次に、本発明の第5実施形態に係るミリ波による放送信号伝送システムについて説明する。図18は、第5実施形態に係るミリ波による放送信号伝送システムの全体構成を示したものである。この第5実施形態は、図10に示した第3実施形態において、第1〜第4のミリ波送信機21〜24とは別個に、右旋偏波のローカル信号送信機25を独立して設け、このローカル信号送信機25から右旋偏波のローカル信号を送信するように構成している。この場合、ミリ波送信機21〜24からはローカル信号を送信しない。また、受信側にはミリ波受信機60に代えてミリ波受信機60Aを設けている。
【0077】
図19は、上記第1〜第4のミリ波送信機21〜24及びローカル信号送信機25の詳細を示す構成図である。
【0078】
ローカル信号送信機25は、ローカル信号発振部251、分配器252、バンドパスフィルタ253、右旋用アンテナ254からなっている。ローカル信号発振部251は、例えば59GHzのローカル信号を発生し、分配器252により2分配する。この分配器252により2分配した一方の信号は、バンドパスフィルタ253を介して右旋用アンテナ254に送られ、この右旋用アンテナ254から右旋偏波のローカル信号としてミリ波受信機60Aへ送信される。
【0079】
また、上記分配器252で2分配された他方の信号は、ローカル信号送信機25へ送られ、分配器45aを介してミキサー41aに入力される。第1のミリ波送信機21は、ローカル信号発振部を備えておらず、上記ローカル信号送信機25のローカル信号発振部251から送られてくるローカル信号を使用してJSAT3号衛星1に対するCS-IF信号をミリ波に変換する。第1〜第4のミリ波送信機21〜24のその他の構成は、図11に示した第3実施形態のものと同様の構成であるので、詳細な説明は省略する。
【0080】
ミリ波受信機60Aは、図20に示すようにミリ波送信機21〜24からの送信信号を受信するアンテナ601、及びローカル信号送信機25から送信される右旋偏波のローカル信号を受信する右旋偏波用アンテナ602を備えている。
【0081】
上記アンテナ601は、CSチューナ34またはBS/CSチューナ35から送られてくる偏波切替制御信号により偏波面を切替え、ミリ波送信機21、23から送信されるチャンネルA、Bの右旋偏波、あるいはミリ波送信機22、24から送信されるチャンネルD、Eの左旋偏波の信号を受信してミキサー603に出力する。
【0082】
また、右旋偏波用アンテナ602は、ローカル信号送信機25から送信される右旋偏波のローカル信号を受信し、バンドパスフィルタ604を介してミキサー603に出力する。ミキサー603は、アンテナ601で受信したチャンネルA、Bの右旋偏波、あるいはチャンネルD、Eの左旋偏波の信号に対し、右旋偏波用アンテナ602で受信したローカル信号により、図14に示したように元のIF信号に変換して増幅器605に出力する。増幅器605は、ミキサー603で変換されたIF信号を増幅し、図18に示したように分配器37を介してCSチューナ34及び周波数変換器38に出力する。以下、上記第3実施形態の場合と同様の処理が行なわれる。
【0083】
上記第5実施形態によれば、第1〜第4のミリ波送信機21〜24は、ローカル信号を送信しないので、送信電力を許容最大限まで増加でき、長距離伝送が可能になる。また、1台のミリ波受信機60Aで全チャンネルを受信できるので、コストを低減することができる。
【0084】
(第6実施形態)
次に、本発明の第6実施形態に係るミリ波による放送信号伝送システムについて説明する。図21は、第6実施形態に係るミリ波による放送信号伝送システムの全体構成を示したものである。この第6実施形態は、第1〜第4のミリ波送信機21〜24とは別個に、右旋偏波のローカル信号送信機25及び左旋偏波のローカル信号送信機26を独立して設け、右旋偏波のローカル信号及び左旋偏波のローカル信号を送信するように構成している。すなわち、上記図18に示した第5実施形態において、右旋偏波用のローカル信号送信機25の他に、更に左旋偏波用のローカル信号送信機26を設けたものである。また、受信側にはミリ波受信機60に代えてミリ波受信機70を設けている。このミリ波受信機70は、図17に示した第4実施形態のものと同じ構成である。
【0085】
図22は、上記第1〜第4のミリ波送信機21〜24及びローカル信号送信機25、26の詳細を示す構成図である。ローカル信号送信機25は、第5実施形態の場合と同様に59GHzのローカル信号発振部251、分配器252、バンドパスフィルタ253及び右旋用アンテナ254からなっている。また、ローカル信号送信機26は、分配器262、バンドパスフィルタ263、左旋用アンテナ264からなっている。
【0086】
ローカル信号送信機25の分配器252から外部に出力されるローカル信号は、ローカル信号送信機26の分配器262に入力されて2分配される。上記分配器262で2分配された一方の信号は、バンドパスフィルタ263を介して左旋用アンテナ264に出力され、この左旋用アンテナ264から左旋偏波用ローカル信号としてミリ波受信機70へ送信される。
【0087】
また、上記分配器262で2分配された他方の信号は、第1のミリ波送信機21へ送られ、分配器45aを介してミキサー41aに入力される。第1〜第4のミリ波送信機21〜24のその他の構成は、図19の第5実施形態で示したものと同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0088】
上記第6実施形態によれば、第1〜第4のミリ波送信機21〜24は、第5実施形態の場合と同様にローカル信号を送信しないので、送信電力を許容最大限まで増加でき、長距離伝送が可能になる。また、1台のミリ波受信機70で全チャンネルを受信できるので、コストを低減することができる。
【0089】
また、右旋偏波用のローカル信号送信機25及び左旋偏波用のローカル信号送信機26を設けることにより、ミリ波受信機70でアンテナ71(図17参照)の偏波面を右旋偏波あるいは左旋偏波の何れに切替えてもローカル信号を必ず受信でき、IF信号に変換することができる。従って、ミリ波受信機70は、図17に示したように回路構成を簡易化でき、コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】本発明に係るミリ波による放送信号伝送システムの基本構成図。
【図2】各種衛星放送における送信信号の周波数帯域を示す図。
【図3】本発明に係るミリ波による放送信号伝送システムの基本動作を説明するための図。
【図4】本発明の第1実施形態に係るミリ波による放送信号伝送システムの全体構成を示すブロック図。
【図5】同実施形態における伝送周波数の配列を示す図。
【図6】同実施形態におけるミリ波送信機の構成を示すブロック図。
【図7】同実施形態におけるミリ波受信機の構成を示すブロック図。
【図8】本発明の第2の実施形態に係るミリ波による放送信号伝送システムのミリ波送信機の構成を示すブロック図。
【図9】同実施形態における伝送周波数の配列を示す図。
【図10】本発明の第3実施形態に係るミリ波による放送信号伝送システムの全体構成を示すブロック図。
【図11】同実施形態におけるミリ波送信機の構成を示すブロック図。
【図12】同実施形態における伝送周波数の配列を示す図。
【図13】同実施形態におけるミリ波受信機の構成を示すブロック図。
【図14】同実施形態におけるミリ波受信機の出力周波数の配列を示す図。
【図15】本発明の第4実施形態に係るミリ波による放送信号伝送システムのミリ波送信機の全体構成を示すブロック図。
【図16】同実施形態における伝送周波数の配列を示す図。
【図17】同実施形態におけるミリ波受信機の構成を示すブロック図。
【図18】本発明の第5実施形態に係るミリ波による放送信号伝送システムの全体構成を示すブロック図。
【図19】同実施形態におけるミリ波送信機及びローカル信号送信機の構成を示すブロック図。
【図20】同実施形態におけるミリ波受信機の構成を示すブロック図。
【図21】本発明の第6実施形態に係るミリ波による放送信号伝送システムの全体構成を示すブロック図。
【図22】同実施形態におけるミリ波送信機及びローカル信号送信機の構成を示すブロック図。
【符号の説明】
【0091】
1…JSAT3号衛星、2…JSAT4号衛星、3…BS衛星、4…110°CS衛星、10…BS/CSアンテナ、11、12…CSアンテナ、13…BS/CSアンテナ、15、16…コンバータ、17…右旋用コンバータ、18…左旋用コンバータ、20…ミリ波送信機、21〜24…第1〜第4のミリ波送信機、25、26…ローカル信号送信機、30…ミリ波受信機、31、32…第1、第2のミリ波受信機、33、34…CSチューナ、35…BS/CSチューナ、36…テレビ受信機、37…分配器、38…周波数変換器、41a〜41d…ミキサー、42a〜42d…ローカル信号発振部、43a〜43d…BPF回路、44a、44c…右旋用アンテナ、44b、44d…左旋用アンテナ、45a〜45c…分配器、51a、51b…アンテナ、52a、52b…バンドパスフィルタ、53a、53b…ミキサー、54a、54b…増幅器、60、60A…ミリ波受信機、61a…右旋用アンテナ、61b…左旋用アンテナ、62a、62b…バンドパスフィルタ、63a、63b…ミキサー、64…増幅器、65…分配器、66…切替スイッチ、67…増幅器、70…ミリ波受信機、71…アンテナ、72…ミキサー、73…増幅器、251…ローカル信号発振部、252…分配器、253…バンドパスフィルタ、254…右旋用アンテナ、262…分配器、263…バンドパスフィルタ、264…左旋用アンテナ、601…アンテナ、602…右旋偏波用アンテナ、603…ミキサー、604…バンドパスフィルタ、605…増幅器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の衛星放送を受信してテレビ共同受信システムの加入者側に伝送する放送信号伝送システムにおいて、
複数の衛星放送を受信する衛星受信用アンテナと、前記各アンテナにより受信した各衛星放送の偏波の異なる受信信号をチャンネルが重ならないように周波数配列された夫々の中間周波信号に変換する各衛星放送受信に対応する複数のコンバータと、前記夫々の中間周波信号を共通のローカル信号で夫々ミリ波帯にアップコンバートする複数の放送信号伝送用のミリ波送信機と、前記複数の放送信号伝送用のミリ波送信機の少なくとも1つは、前記共通のローカル信号を前記アップコンバートされた中間周波信号と共にミリ波信号として送信し、前記ミリ波信号に含まれるローカル信号により、ミリ波信号を元の中間信周波信号にダウンコンバートする加入者側のミリ波受信機とを具備することを特徴とするミリ波による放送信号伝送システム。
【請求項2】
複数の衛星放送を受信してテレビ共同受信システムの加入者側に伝送する放送信号伝送システムにおいて、
複数の衛星放送を受信する衛星受信用アンテナと、前記各アンテナにより受信した各衛星放送の偏波の異なる受信信号をチャンネルが重ならないように周波数配列された夫々の中間周波信号に変換する各衛星放送受信に対応する複数のコンバータと、前記夫々の中間周波信号を共通のローカル信号で夫々ミリ波帯にアップコンバートする複数の放送信号伝送用のミリ波送信機と、前記共通のローカル信号をミリ波信号として送信するローカル信号伝送用のミリ波送信機と、前記ローカル信号伝送用のミリ波送信機から送信されたローカル信号により、ミリ波信号を元の中間信周波信号にダウンコンバートする加入者側のミリ波受信機とを具備することを特徴とするミリ波による放送信号伝送システム。
【請求項3】
複数の衛星放送を受信してテレビ共同受信システムの加入者側に伝送する放送信号伝送システムにおいて、
複数の衛星放送を受信する衛星受信用アンテナと、前記各アンテナにより受信した各衛星放送の偏波の異なる受信信号をチャンネルが重ならないように周波数配列された夫々の中間周波信号に変換する各衛星放送受信に対応する複数のコンバータと、前記夫々の中間周波信号を共通のローカル信号で夫々ミリ波帯にアップコンバートしミリ波信号として右旋もしくは左旋偏波で送信する複数の放送信号伝送用のミリ波送信機と、前記共通のローカル信号をミリ波信号として一の送信機は右旋偏波、他の一の送信機は左旋偏波で送信するローカル信号伝送用のミリ波送信機と、前記ローカル信号伝送用のミリ波送信機から送信されたローカル信号により、ミリ波信号を元の中間信周波信号にダウンコンバートする加入者側のミリ波受信機とを具備することを特徴とするミリ波による放送信号伝送システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2008−193741(P2008−193741A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−112226(P2008−112226)
【出願日】平成20年4月23日(2008.4.23)
【分割の表示】特願2003−80496(P2003−80496)の分割
【原出願日】平成15年3月24日(2003.3.24)
【出願人】(504378814)八木アンテナ株式会社 (190)
【出願人】(301022471)独立行政法人情報通信研究機構 (1,071)
【Fターム(参考)】