説明

ムスカリン受容体のモジュレーター

【課題】ムスカリン受容体のモジュレーター、かかるモジュレーターを含有してなる組成物、およびそれによるムスカリン受容体介在疾患の処置方法を提供すること。
【解決手段】ムスカリン受容体の活性を調節する方法であって、当該受容体活性を式(I)または(II)の化合物またはその医薬的に許容される塩を用いて調節する方法を提供する。式(I)または(II)で示される化合物、かかる化合物を含む医薬組成物を提供する。


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【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊離形またはその医薬的に許容される塩形態の、式(I):
【化1】


[式中、
R1、R2、R3 はそれぞれ独立してQ1 もしくは Q2 であるか、またはR2 および R3 が一体となってオキソを形成し;
Z1 は-N(Q1)-または-N(Q2)-であり;
Z2 は Nであり;
L は結合または-CH2-であり;
G は、少なくとも1個の環窒素原子を含む単環状脂肪族基、アダマンチル、または下記の式(III)で示される二環式もしくは三環式基であり:
【化2】

{ここで、Gは、X1 および環 B の環原子を含むいずれかの環原子を介して L に連結し、またGは所望によりオキソ、=N-OQ4、フッ素、Q2、-C(O)-X2-脂肪族(ここで、X2 は不存在、-O-、-NH-、-NQ2-または-S(O)z-であり、また脂肪族基は所望により Q3 から独立して選択される1〜3個の置換基で置換されていてよい)の1〜3個で置換されていてよく;
結合 r は単結合または二重結合であり、環 B が存在するとき、結合 r は B と融合し;
環 B はそれが存在するとき、5〜6員の環状脂肪族環またはヘテロ環状脂肪族環であり、所望によりオキソ、Q1 または Q2 の1〜3個で置換されていてよく;
X1 は-(CH2)i-、-O-、-S-、-N(Q2)-、または-N(-C(O)-X2-脂肪族)(ここで、X2 は不存在、-O-、-NH-、-NQ2-、または-S(O)z-であり、また脂肪族基は所望により Q3 から独立して選択される1〜3個の置換基で置換されていてよい)である}
各 Q1 は独立してハロ、-CN、-NO2、-OQ2、-S(O)zQ2、-S(O)zN(Q2)2、-N(Q2)2、-C(O)OQ2、-C(O)-Q2、-C(O)N(Q2)2、-C(O)N(Q2)(OQ2)、-N(Q2)C(O)-Q2、-N(Q2)C(O)N(Q2)2、-N(Q2)C(O)O-Q2、-N(Q2)S(O)z-Q2 または 所望によりQ2 もしくは Q3 から独立して選択される1〜3個の置換基を含んでいてよい脂肪族基であり;
各 Q2 は独立して H、脂肪族、環状脂肪族、アリール、アリールアルキル、へテロ環状、またはヘテロアリール環であり、それぞれは所望により Q3 から独立して選択される1〜3個の置換基を含んでいてよく;
各 Q3 は、ハロ、オキソ、-CN、-NO2、-CF3、-OCF3、-OH、-S(O)zQ4、-N(Q4)2、-COOQ4、-C(O)Q4、-OQ4、またはC1-C4 アルキル{所望によりハロ、オキソ、-CN、-NO2、-CF3、-OCF3、-OH、-SH、-S(O)zH、-NH2、もしくは-COOHで置換されていてよい}であり;
各 Q4 は脂肪族、環状脂肪族、アリール、アラルキル、へテロ環状脂肪族、ヘテロアラルキル、またはヘテロアリールであり、それぞれは所望によりハロ、オキソ、CN、NO2、CF3、OCF3、OH、SH、-S(O)zH、-NH2、または COOH から選択される1〜3個の置換基を含んでいてよく;
各 Q5 は所望によりハロ、C1-C4アルキル、オキソ、CN、NO2、CF3、OCF3、OH、SH、-S(O)zH、-NH2、COOH から選択される1〜3個の置換基を含んでいてよいヘテロ環状環であり;
各 i は独立して1、2または3であり;
各 m および n は2であり;
各 p は0または1であり;
各 y は独立して0または1であり;
各 z は独立して0、1または2であり;
各 t は1ないし4である;
ただし、
Z1 が-N(CH3)-であり、L が結合であり、そして G が所望により置換されていてよい単環状脂肪族、所望により置換されていてよい単環状へテロ脂肪族基、またはノルボルニル基であるとき、R1 置換基は H以外である;
L が-CH2-であり、R2 および R3 が =O を形成し、Z1 が-N(Q1)-(ここで、Q1 は脂肪族である)であり、そして G が置換単環状ヘテロ脂肪族基であるとき、R1 置換基は H 以外である]
で示される化合物。
【請求項2】
G が所望により Q2 または-C(O)-X2-脂肪族で置換されていてよく、X2 が不存在、-O-、-NH-、または-NQ2-であり、また該脂肪族基は所望により Q3 から独立して選択される1〜3個の置換基で置換されていてよい、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
G がアルキル、アリール、ハロアルキル、アルコキシカルボニル、またはアルコキシアミノで置換されている、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
G が所望により置換されていてよい5員ないし7員の単環状脂肪族基である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
G がQ2 および-C(O)-X2-脂肪族から独立して選択される1〜2個の置換基で置換され、X2 が不存在、-O-、-NH-、または-NQ2-であり、また該脂肪族基は所望により Q3 から独立して選択される1〜3個の置換基で置換されていてよい、請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
G がアルコキシカルボニル、アルキニルオキシカルボニル、アルコキシアルコキシカルボニル、ハロアルコキシカルボニル、ヘテロシクロアルコキシカルボニルおよびシクロアルコキシカルボニルから独立して選択される1〜2個の置換基で置換される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
G が、
【化3】

【化4】

【化5】


から選択されるものである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
G が、環B が存在しない、式(III)で示される 所望により置換されている二環式基である、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
X1 が-(CH2)i-である、請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
G が所望により置換されていてよいビシクロ[2.2.1]ヘプチル、ビシクロ[3.2.1]オクチル、ビシクロ[3.3.1]ノニル、ビシクロ[2.2.2]オクチル、またはビシクロ[2.2.1]ヘプタニルである、請求項8または9に記載の化合物。
【請求項11】
G が Q2 および-C(O)-X2-脂肪族から独立して選択される1ないし2個の置換基で置換されており、X2 が不存在、-O-、-NH-、または-NQ2-であり、また該脂肪族基は所望により Q3 から独立して選択される1〜3個の置換基で置換されている、請求項8〜10のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項12】
X1 が-N(Q2)-または-N(-C(O)-X2-脂肪族) であり、X2 が不存在、-O-、-NH-、または-NQ2-であり、また該脂肪族基は所望により Q3 から独立して選択される1〜3個の置換基で置換されていてよい、請求項8に記載の化合物。
【請求項13】
G が所望により置換されていてよいトロパンである、請求項12に記載の化合物。
【請求項14】
該トロパンが Q2 および-C(O)-X2-脂肪族で置換されており、X2 が不存在、-O-、-NH-、または-NQ2-であり、また該脂肪族基は所望により Q3 から独立して選択される1〜3個の置換基で置換されている、請求項12または13に記載の化合物。
【請求項15】
該トロパンが、トロパン環窒素原子で、アルコキシカルボニル、アルコキシアルコキシカルボニル、ヘテロシクロアルコキシカルボニル、シクロアルコキシカルボニル、アルコキシアリールオキシカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ハロアルコキシカルボニル、アルキニルオキシカルボニル、またはヘテロシクロアルキルアルコキシカルボニルで置換されている、請求項12〜14のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項16】
G が以下:
【化6】

【化7】


から選択される、請求項12〜15のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項17】
Z1 が、-NH-または-N(Q1)-である、請求項1〜16のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項18】
Z1 が-N(Q1)-であり、また Q1 がアルキルカルボニルアミノ、アルキルスルホニルアミノ、アルコキシカルボニルアミノ、アミノカルボニル、アルキルカルボニルアルキル、アルコキシアルコキシカルボニル、アルコキシアルキル、アルキルアミノカルボニル、アルコキシカルボニル、ハロアリールカルボニル、ハロアリールスルホニル、アルキルへテロアリールカルボニル、へテロアリールカルボニル、へテロシクロアルキルカルボニル、ハロアリールアミノカルボニル、アルキルへテロアリールスルホニル、シアノアルキルアリールカルボニル、へテロシクロアルコキシカルボニル、アルキニルオキシカルボニル、シクロアルコキシカルボニル、へテロビシクロアリールカルボニル、アルキルへテロアリールアミノカルボニル、アルキルスルホニル、アルキルカルボニルアルキル、アルコキシアリールカルボニル、ハロアルコキシカルボニル、アルキルアリールカルボニル、ハロアルコキシアリールカルボニル、またはアリールアミノカルボニルである、請求項1〜17のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項19】
Z1 が-NH-、および以下:
【化8】


【化9】


【化10】


【化11】


【化12】


から選択される、請求項1〜18のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項20】
R1 が水素、ハロ、または所望により置換されていてよいアルキル、へテロアリール、アルコキシ、アルケニル、シクロアルキル、シアノアルキルアリール、アルキルアリール、アルキルスルホニルアリール、アルキルカルボニルアリール、アリール、アミノカルボニルアリール、アルキルカルボニルアミノアリール、シクロアルケニル、およびアルコキシアリールから選択される、請求項1〜19のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項21】
R1 が水素、ハロ、メチル、および以下:
【化13】


から選択される、請求項1〜20のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項22】
R2 および R3 が独立して水素、アルキルであるか、または R2 および R3 が一体となってオキソを形成する、請求項1〜21のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項23】
R2 および R3 が共に水素である、請求項1〜22のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項24】
pが0である請求項1〜23のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項25】
化合物が以下の表:
【表1】


【表2】


【表3】


【表4】


【表5】


【表6】


【表7】


【表8】


【表9】


【表10】


【表11】


【表12】


【表13】


【表14】


【表15】


【表16】


【表17】


【表18】


【表19】


【表20】


【表21】


【表22】


【表23】


【表24】


【表25】


【表26】


【表27】


【表28】


【表29】


【表30】


【表31】


【表32】


【表33】


【表34】


【表35】


【表36】


から選択される、請求項1〜24のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項26】
以下:
【表37】


【表38】


【表39】


【表40】


から選択される化合物。
【請求項27】
請求項1〜26のいずれか一項に記載の化合物および医薬用担体を含有してなる医薬組成物。
【請求項28】
M1またはM4ムスカリン受容体の調節に使用するための、遊離形またはその医薬的に許容される塩形態の、式(I):
【化14】


[式中、
R1、R2、R3 はそれぞれ独立してQ1 もしくは Q2 であるか、またはR2 および R3 が一体となってオキソを形成し;
Z1 は-N(Q1)-または-N(Q2)-であり;
Z2 は Nであり;
L は結合、脂肪族基、C3-C6 環状脂肪族、-O-、-S(O)z-、-S(O)z-(C1-C4)アルキル-、-C(O)N(Q2)-、または-S(O)zN(Q2)-であり;ここで、脂肪族基は所望によりオキソ、Q1 または Q2 の1〜3個で置換されていてよく;
G は単環状脂肪族基、単環状へテロ脂肪族基、アダマンチル、または下記の式(III)で示される二環式もしくは三環式基であり:
【化15】

{式中、単環状脂肪族基、単環状へテロ脂肪族基、アダマンチル、および二環式もしくは三環式基は、X1 および環 B の環原子を含むいずれかの環原子を介して L に連結し、また単環状脂肪族基、単環状へテロ脂肪族基、二環式基および三環式基は所望によりオキソ、=N-OQ4、フッ素、Q2、-C(O)-X2-脂肪族(ここで、X2 は不存在、-O-、-NH-、-NQ2-または-S(O)z-であり、また脂肪族基は所望により Q3 から独立して選択される1〜3個の置換基で置換されていてよい)の1〜3個で置換されていてよく;
結合 r は単結合または二重結合であり、環 B が存在するとき、結合 r は B と融合し;
環 B はそれが存在するとき、5〜6員の環状脂肪族環またはヘテロ環状脂肪族環であり、所望によりオキソ、Q1 または Q2 の1〜3個で置換されていてよく;
X1 は-(CH2)i-、-O-、-S-、-N(Q2)-、または-N(-C(O)-X2-脂肪族)(ここで、X2 は不存在、-O-、-NH-、-NQ2-、または-S(O)z-であり、また脂肪族基は所望により Q3 から独立して選択される1〜3個の置換基で置換されていてよい)である}
各 Q1 は独立してハロ、-CN、-NO2、-OQ2、-S(O)zQ2、-S(O)zN(Q2)2、-N(Q2)2、-C(O)OQ2、-C(O)-Q2、-C(O)N(Q2)2、-C(O)N(Q2)(OQ2)、-N(Q2)C(O)-Q2、-N(Q2)C(O)N(Q2)2、-N(Q2)C(O)O-Q2、-N(Q2)S(O)z-Q2 または 所望によりQ2 もしくは Q3 から独立して選択される1〜3個の置換基を含んでいてよい脂肪族基であり;
各 Q2 は独立して H、脂肪族、環状脂肪族、アリール、アリールアルキル、へテロ環状、またはヘテロアリール環であり、それぞれは所望により Q3 から独立して選択される1〜3個の置換基を含んでいてよく;
各 Q3 は、ハロ、オキソ、-CN、-NO2、-CF3、-OCF3、-OH、-S(O)zQ4、-N(Q4)2、-COOQ4、-C(O)Q4、-OQ4、またはC1-C4 アルキル{所望によりハロ、オキソ、-CN、-NO2、-CF3、-OCF3、-OH、-SH、-S(O)zH、-NH2、もしくは-COOHで置換されていてよい}であり;
各 Q4 は脂肪族、環状脂肪族、アリール、アラルキル、へテロ環状脂肪族、ヘテロアラルキル、またはヘテロアリールであり、それぞれは所望によりハロ、オキソ、CN、NO2、CF3、OCF3、OH、SH、-S(O)zH、-NH2、または COOH から選択される1〜3個の置換基を含んでいてよく;
各 Q5 は所望によりハロ、C1-C4アルキル、オキソ、CN、NO2、CF3、OCF3、OH、SH、-S(O)zH、-NH2、COOH から選択される1〜3個の置換基を含んでいてよいヘテロ環状環であり;
各 i は独立して1、2または3であり;
各 m および n は2であり;
各 p は0または1であり;
各 y は独立して0または1であり;
各 z は独立して0、1または2であり;
各 t は1ないし4である;ただし、
Z1 が-CH2-または-N(CH3)-であり、L が結合であり、G が所望により置換されていてよい単環状脂肪族、所望により置換されていてよい単環状へテロ脂肪族基、またはノルボルニル基であるとき、R1 置換基は H 以外である;
L が-C(O)-CH2-であり、Z1 が-N(Q1)-(ここで、Q1 は所望により-S(O)2-で置換されていてよいフェニルである)であるとき、R1 置換基は H 以外である;
L が-S(O)2-(C1-C4)アルキル-であり、Z1 が-CH2-であるとき、R1 置換基は H 以外である;
L が-S(O)2-(C1-C4)アルキル-であり、R2 および R3 が =O を形成し、Z1 が-N(Q1)-(ここで、Q1 は脂肪族または-S(O)2-脂肪族である)であるとき、R1 置換基は H 以外である;また、
L が脂肪族であり、R2 および R3 が =O を形成し、Z1 が-N(Q1)-(ここで、Q1 は脂肪族である)であり、G が置換単環状ヘテロ脂肪族基であるとき、R1 置換基は H 以外である]
で示される化合物。
【請求項29】
患者のムスカリン受容体介在疾患を処置するか、またはその重篤度を低減するのに使用するための請求項28に記載の化合物であって、当該疾患がCNS由来病状(認識障害、注意欠陥多動障害(ADHD)、肥満、アルツハイマー病、脈管性認知症のような種々の認知症、CNS障害と関連する精神病(統合失調症、躁病、双極性障害を含む)、疼痛症状(急性および慢性症候群を含む)、ハンチントン舞踏病、フリードライヒ運動失調症、ジル・ド・ラ・トゥレット症候群、ダウン症候群、ピック病、臨床的うつ病、パーキンソン病を含む)、緑内障における眼内圧の低下のような末梢障害およびシェーグレン症候群を含むドライアイおよびドライマウスの処置、徐脈、胃酸分泌、喘息、GI 障害、および外傷治癒から選択される、化合物。

【公開番号】特開2012−107054(P2012−107054A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−39208(P2012−39208)
【出願日】平成24年2月24日(2012.2.24)
【分割の表示】特願2007−528089(P2007−528089)の分割
【原出願日】平成17年8月19日(2005.8.19)
【出願人】(598032106)バーテックス ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (414)
【氏名又は名称原語表記】VERTEX PHARMACEUTICALS INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】130 Waverly Street, Camridge, Massachusetts 02139−4242, U.S.A.
【Fターム(参考)】