説明

ムスカリン受容体拮抗薬およびβ2アドレナリン受容体作動薬の組み合わせ

鼻または口を介した吸入投与のためのムスカリン性アセチルコリン受容体拮抗薬およびβ2作動薬の新規な組み合わせ、ならびにこれらを使用する方法が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、喘息および関連疾患の治療に使用するための医薬製品および組成物に関する。
【0002】
より詳細には、本発明は、ムスカリン受容体拮抗薬およびβ2アドレナリン受容体作動薬の組み合わせ、ならびにMムスカリン性アセチルコリン受容体および/またはβ2アドレナリン受容体を介して媒介される疾患の治療への前記組み合わせの使用に関する。
【0003】
より具体的には、本発明は、4−{(1R)−2−[(6−{2−[(2,6−ジクロロベンジル)オキシ]エトキシ}ヘキシル)アミノ]−1−ヒドロキシエチル}−2−(ヒドロキシメチル)フェノールトリフェニル酢酸塩と、4−[ヒドロキシ(ジフェニル)メチル]−1−{2−[(フェニルメチル)オキシ]エチル}−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタン臭化物とを含んでなる新規な医薬配合品、ならびに医薬品、特に、Mムスカリン性アセチルコリン受容体および/またはβ2アドレナリン受容体を介して媒介される疾患の治療、例えば、炎症性疾患または呼吸器疾患の予防および治療への前記配合品の使用に関する。
【背景技術】
【0004】
選択的β2アドレナリン受容体作動薬は、気管支拡張剤が必要である臨床状態の予防および治療に使用されてきた。このような状態には、慢性閉塞性肺疾患(COPD)(例えば、慢性および喘鳴性気管支炎、気腫)、喘息、呼吸器感染症および上気道疾患(例えば、季節性鼻炎およびアレルギー性鼻炎を含む鼻炎)などの気流閉塞に関連する疾患が含まれる。
【0005】
β2アドレナリン受容体作動薬(β2作動薬)は、患者に気管支拡張効果を引き起こし、息切れの症状の軽減をもたらすので、特に、喘息および他の関連疾患は、典型的には、β2アドレナリン受容体作動薬(β2作動薬)で治療される。β2作動薬クラス内では、サルブタモール、ビトルテロール、ピルブテロールおよびテルブタリンなどの、即時軽減のために現在利用可能な短時間作用性化合物が存在する。サルメテロールおよびホルモテロールなどの、商業的に入手可能な長時間作用性化合物も存在する。サルメテロールは、喘息の治療で、1日2回使用するための処方により利用可能である。
【0006】
過去20年間にわたって、COPDの治療のための忍容性が良好で有効な気管支拡張剤として、吸入抗コリン剤が確立されてきた。抗コリン剤による治療は、FEV(1秒の強制呼気量)、静止時および動的肺過膨張、症状および運動能力を有意に改善し、COPD憎悪を抑制する。最近では、ほんのわずかな吸入抗コリン気管支拡張剤が利用可能である:短時間作用性臭化イプラトロピウム(イプラトロピウム;1日4回投与)および臭化オキシトロピウム、ならびに長時間作用性臭化チオトロピウム(チオトロピウム;1日1回投与)。
【0007】
国際公開第03/024439号は、一般式:
【化1】

【0008】

の化合物、ならびにその塩、溶媒和物および生理学的に機能性の誘導体を記載している。
【0009】
化合物4−{(1R)−2−[(6−{2−[(2,6−ジクロロベンジル)オキシ]エトキシ}ヘキシル)アミノ]−1−ヒドロキシエチル}−2−(ヒドロキシメチル)フェノールは、国際公開第03/024439に具体的に記載されており、その薬学的に許容される塩、特に酢酸塩、トリフェニル酢酸塩、α−フェニルケイ皮酸塩、1−ナフトエ酸塩および(R)−マンデル酸塩も具体的に記載されている。
【0010】
国際公開第2005/104745号は、式:
【化2】

【0011】

の化合物を記載している。
【0012】
国際公開第2005/104745号は、化合物4−[ヒドロキシ(ジフェニル)メチル]−1−{2−[(フェニルメチル)オキシ]エチル}−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタン臭化物を具体的に記載している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】国際公開第03/024439号
【特許文献2】国際公開第2005/104745号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0014】
第1の態様では、本発明は、治療剤:
a)式:
【化3】

【0015】

(式中、Xは、薬学的に許容されるアニオンである)
の化合物と、
b)式:
【化4】

【0016】

の化合物
またはその薬学的に許容される塩と
を含んでなる新規な医薬配合品を提供する。
【0017】
以降、化合物(II)は、上に示される遊離塩基、および/または本文脈により指示されるその1種もしくは複数の塩を指し得る。
【0018】
一実施形態では、医薬配合品は、4−{(1R)−2−[(6−{2−[(2,6−ジクロロベンジル)オキシ]エトキシ}ヘキシル)アミノ]−1−ヒドロキシエチル}−2−(ヒドロキシメチル)フェノールトリフェニル酢酸塩と、4−[ヒドロキシ(ジフェニル)メチル]−1−{2−[(フェニルメチル)オキシ]エチル}−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタン臭化物とを含んでなる。
【0019】
一実施形態では、4−{(1R)−2−[(6−{2−[(2,6−ジクロロベンジル)オキシ]エトキシ}ヘキシル)アミノ]−1−ヒドロキシエチル}−2−(ヒドロキシメチル)フェノールトリフェニル酢酸塩および4−[ヒドロキシ(ジフェニル)メチル]−1−{2−[(フェニルメチル)オキシ]エチル}−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタン臭化物は、前記医薬配合品中の唯一の有効成分である。
【0020】
別の実施形態では、化合物(I)および化合物(II)の医薬配合品は、吸入副腎皮質ステロイドをさらに含んでなる。
【0021】
また、本発明は、治療用化合物の1種または複数の投与が必要である状態を治療するための薬剤の製造への医薬配合品の使用を提供する。
【0022】
一実施形態では、使用は、化合物(I)および化合物(II)の同時または連続投与による、炎症性疾患または呼吸器疾患の治療のための薬剤を製造するためである。
【0023】
別の実施形態では、使用は、化合物(I)および化合物(II)の同時または連続投与による、慢性閉塞性肺疾患(COPD)および/または喘息の治療のための薬剤を製造するためである。
【0024】
また、本発明は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)および/または喘息などの炎症性疾患または呼吸器疾患の治療に使用するための前記医薬配合品を提供する。
【0025】
本発明の別の実施形態は、化合物(I)および化合物(II)を含んでなる医薬配合品を、それを必要とする患者に連続的にまたは同時に投与するステップを含んでなる、炎症性疾患または呼吸器疾患を治療する方法である。
【0026】
本発明の一実施形態では、炎症性疾患または呼吸器疾患は、慢性閉塞性肺疾患、慢性気管支炎、喘息、慢性気道閉塞、肺線維症、肺気腫、アレルギー性鼻炎、小気道疾患、気管支拡張症および嚢胞性線維症からなる群から選択される。
【0027】
本発明の別の実施形態では、医薬配合品は、化合物(I)および化合物(II)の同時または連続投与による炎症性疾患または呼吸器疾患の治療、より具体的には慢性閉塞性肺疾患(COPD)および/または喘息の治療のために使用され得る。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明は、
a)式:
【化5】

【0029】

(式中、Xは、薬学的に許容されるアニオンである)
の化合物と、
b)式:
【化6】

【0030】

の化合物またはその薬学的に許容される塩
とを含んでなる医薬配合品に関する。
【0031】
によって示される薬学的に許容されるアニオンは、塩化物、臭化物、ヨウ化物、水酸化物、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、フマル酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、シュウ酸塩、コハク酸塩、マンデル酸塩、メタンスルホン酸塩またはp−トルエンスルホン酸塩から選択され得る。一実施形態では、薬学的に許容されるアニオンXは、臭化物である。
【0032】
本明細書の目的のために、化合物(I)の四級部分(カチオン)の構造式も、4−[ヒドロキシ(ジフェニル)メチル]−1−{2−[(フェニルメチル)オキシ]エチル}−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタンと呼ぶ。
【0033】
本発明の一実施形態では、化合物(I)は、4−[ヒドロキシ(ジフェニル)メチル]−1−{2−[(フェニルメチル)オキシ]エチル}−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタン臭化物(本明細書では化合物(I)臭化物とも呼ぶ)である。
【0034】
化合物(II)の薬学的に許容される酸付加塩には、塩酸、臭化水素酸、硫酸、クエン酸、酒石酸、リン酸、乳酸、ピルビン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、トリフェニル酢酸、フェニル酢酸、置換フェニル酢酸、例えば、メトキシフェニル酢酸、スルファミン酸、スルファニル酸、コハク酸、シュウ酸、フマル酸、マレイン酸、リンゴ酸、グルタミン酸、アスパラギン酸、オキサロ酢酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、アリールスルホン酸(例えば、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸またはナフタレンジスルホン酸)、サリチル酸、グルタル酸、グルコン酸、トリカルバリル酸、マンデル酸、ケイ皮酸、置換ケイ皮酸(例えば、4−メチルケイ皮酸および4−メトキシケイ皮酸およびα−フェニルケイ皮酸を含む、メチル、メトキシ、ハロまたはフェニル置換ケイ皮酸)、アスコルビン酸、オレイン酸、ナフトエ酸、ヒドロキシナフトエ酸(例えば、1−または3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸)、ナフタレンアクリル酸(例えば、ナフタレン−2−アクリル酸)、安息香酸、4−メトキシ安息香酸、2−または4−ヒドロキシ安息香酸、4−クロロ安息香酸、4−フェニル安息香酸、ベンゼンアクリル酸(例えば、1,4−ベンゼンジアクリル酸)およびイセチオン酸から形成されるものが含まれる。
【0035】
一実施形態では、化合物(II)の薬学的に許容される塩は、酢酸塩、1−ナフトエ酸塩および(R)−マンデル酸塩から選択される。
【0036】
別の実施形態では、化合物(II)の薬学的に許容される塩は、α−フェニルケイ皮酸塩である。
【0037】
別の実施形態では、化合物(II)の薬学的に許容される塩は、トリフェニル酢酸塩である。
【0038】
化合物(II)について上に示した構造式は、4−{(1R)−2−[(6−{2−[(2,6−ジクロロベンジル)オキシ]エトキシ}ヘキシル)アミノ]−1−ヒドロキシエチル}−2−(ヒドロキシメチル)フェノールと呼ばれ得る。
【0039】
本発明の一実施形態では、化合物(II)は、4−{(1R)−2−[(6−{2−[(2,6−ジクロロベンジル)オキシ]エトキシ}ヘキシル)アミノ]−1−ヒドロキシエチル}−2−(ヒドロキシメチル)フェノールトリフェニル酢酸塩(化合物(II)トリフェニル酢酸塩とも呼ぶ)である。
【0040】
一実施形態では、本発明の医薬配合品は、4−[ヒドロキシ(ジフェニル)メチル]−1−{2−[(フェニルメチル)オキシ]エチル}−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタン臭化物と、4−{(1R)−2−[(6−{2−[(2,6−ジクロロベンジル)オキシ]エトキシ}ヘキシル)アミノ]−1−ヒドロキシエチル}−2−(ヒドロキシメチル)フェノールトリフェニル酢酸塩とを含んでなる。
【0041】
別の実施形態では、化合物(I)および化合物(II)の医薬配合品は、吸入副腎皮質ステロイド、例えば、プロピオン酸フルチカゾン、フランカルボン酸モメタゾン、ブデソニドまたは6α,9α−ジフルオロ−17α−[(2−フラニルカルボニル)オキシ]−11β−ヒドロキシ−16α−メチル−3−オキソ−アンドロスタ−1,4−ジエン−17β−カルボチオ酸S−フルオロメチルエステル(フルチカゾンフランカルボン酸エステル)をさらに含んでなる。
【0042】
一実施形態では、前記医薬配合品は、4−[ヒドロキシ(ジフェニル)メチル]−1−{2−[(フェニルメチル)オキシ]エチル}−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタン臭化物、4−{(1R)−2−[(6−{2−[(2,6−ジクロロベンジル)オキシ]エトキシ}ヘキシル)アミノ]−1−ヒドロキシエチル}−2−(ヒドロキシメチル)フェノールトリフェニル酢酸塩と、6α,9α−ジフルオロ−17α−[(2−フラニルカルボニル)オキシ]−11β−ヒドロキシ−16α−メチル−3−オキソ−アンドロスタ−1,4−ジエン−17β−カルボチオ酸S−フルオロメチルエステル(フルチカゾンフランカルボン酸エステル)とを含んでなる。
【0043】
一実施形態では、本発明の医薬配合品は、唯一の有効成分として4−[ヒドロキシ(ジフェニル)メチル]−1−{2−[(フェニルメチル)オキシ]エチル}−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタン臭化物と、4−{(1R)−2−[(6−{2−[(2,6−ジクロロベンジル)オキシ]エトキシ}ヘキシル)アミノ]−1−ヒドロキシエチル}−2−(ヒドロキシメチル)フェノールトリフェニル酢酸塩とを含んでなる。
【0044】
化合物(I)、具体的には4−[ヒドロキシ(ジフェニル)メチル]−1−{2−[(フェニルメチル)オキシ]エチル}−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタン臭化物は、動物モデルおよびヒトにおける研究の対象であり、1日1回投与の可能性を秘める長時間作用性高親和性汎活性ムスカリン受容体拮抗薬であることが分かった。
【0045】
化合物(II)、具体的には4−{(1R)−2−[(6−{2−[(2,6−ジクロロベンジル)オキシ]エトキシ}ヘキシル)アミノ]−1−ヒドロキシエチル}−2−(ヒドロキシメチル)フェノールおよびその塩は、動物およびヒトの研究で広く試験されており、有利な安全性プロファイルと共に24時間にわたって持続性の気管支拡張作用を示すことが分かり、したがって1日1回投与の可能性を秘めている。
【0046】
化合物(I)および化合物(II)ならびにこれらの組み合わせは、慢性閉塞性肺疾患、慢性気管支炎、喘息、慢性気道閉塞、肺線維症、肺気腫、アレルギー性鼻炎、小気道疾患、気管支拡張症および嚢胞性線維症などの炎症性疾患または呼吸器疾患の治療の可能性を秘めていると考えられる。
【0047】
COPDは、息切れ(呼吸困難)および日常的な活動もしくは身体運動を行う能力の制限などの、持続的な毎日の症状として現れる、気道閉塞および肺からの最大呼気流の減少を特徴とする慢性疾患である。さらに、日ごとの症状および活動制限の悪化を引き起こし、症状/制限の悪化の重症度のために患者の入院にもつながり得る、状態の周期的憎悪も存在する。さらに、数年間にわたる進行性の肺機能の低下(疾患の進行)も存在する。
【0048】
COPDの気管支拡張剤治療には、必ずしもそれだけに限らないが、症状、特に呼吸困難を減少させて、患者がより多くの日常的な活動および身体運動を要する他の活動を行うことを可能にすること、および憎悪を防止することが含まれる。
【0049】
喘息は、広範な、可変性の可逆的気流閉塞を特徴とする慢性状態である。症状には、咳、喘鳴、息切れおよび/または胸の締め付け感が含まれる。喘息発作は、一般的に、気道の収縮(気管支収縮)を引き起こす、花粉、塵埃または他のアレルゲンなどのトリガーへの暴露によって引き起こされる。喘息などの状態を患っている被験体は、時々、多様に状態の顕性の症状を示さない場合もあれば、症状を示している間、周期的な発作を患うこともあれば、状態の憎悪または悪化を経験することもあることが認識されよう。本文脈中、用語「治療」とは、このような周期的な発作または現在の状態の憎悪などの予防を含むことが意図されている。このような治療は、「維持治療」または「維持療法」と呼ぶことができる。
【0050】
治療効果を達成するために必要とされる、化合物(I)および化合物(II)、本発明の一実施形態では4−[ヒドロキシ(ジフェニル)メチル]−1−{2−[(フェニルメチル)オキシ]エチル}−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタン臭化物および4−{(1R)−2−[(6−{2−[(2,6−ジクロロベンジル)オキシ]エトキシ}ヘキシル)アミノ]−1−ヒドロキシエチル}−2−(ヒドロキシメチル)フェノールトリフェニル酢酸塩の量は、当然、投与経路、治療を受けている被験体、治療する特定の障害または疾患、および疾患の重症度によって異なるだろう。一実施形態では、投与経路は、口または鼻を介した吸入による。さらなる実施形態では、投与経路は、口を介した吸入による。
【0051】
一実施形態では、化合物(I)、具体的には4−[ヒドロキシ(ジフェニル)メチル]−1−{2−[(フェニルメチル)オキシ]エチル}−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタン臭化物は、約1mcg〜約1000mcg/1日、例えば、1日当たり100、250または500mcgの用量で吸入により投与することができる。さらなる実施形態では、化合物(I)、具体的には4−[ヒドロキシ(ジフェニル)メチル]−1−{2−[(フェニルメチル)オキシ]エチル}−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタン臭化物は、1日当たり62.5mcgまたは125mcgの用量で吸入により投与することができる。一般に、化合物(I)は、1日1回用量として投与されるだろう。
【0052】
さらなる実施形態では、化合物(I)、具体的には4−[ヒドロキシ(ジフェニル)メチル]−1−{2−[(フェニルメチル)オキシ]エチル}−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタン臭化物は、1日当たり62.5mcgの用量で、1日1回、吸入により投与することができる。
【0053】
さらなる実施形態では、化合物(I)、具体的には4−[ヒドロキシ(ジフェニル)メチル]−1−{2−[(フェニルメチル)オキシ]エチル}−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタン臭化物は、1日当たり125mcgの用量で、1日1回、吸入により投与することができる。
【0054】
化合物(II)は、例えば、約1mcg〜約400mcg/日(遊離塩基として計算)の用量で、吸入により投与することができる。一実施形態では、化合物(II)、具体的には4−{(1R)−2−[(6−{2−[(2,6−ジクロロベンジル)オキシ]エトキシ}ヘキシル)アミノ]−1−ヒドロキシエチル}−2−(ヒドロキシメチル)フェノールトリフェニル酢酸塩は、約1mcg〜100mcg/日、例えば3、6.25、12.5、25、50または100mcg/日(遊離塩基として計算)の用量で、吸入により投与することができる。一般に、化合物(II)は、1日1回用量として投与されるだろう。一実施形態では、化合物(II)は、12.5mcg/日の用量で、吸入により投与することができる。別の実施形態では、化合物(II)は、25mcg/日の用量で、吸入により投与することができる。別の実施形態では、化合物(II)は、50mcg/日の用量で、吸入により投与することができる。
【0055】
さらなる実施形態では、4−{(1R)−2−[(6−{2−[(2,6−ジクロロベンジル)オキシ]エトキシ}ヘキシル)アミノ]−1−ヒドロキシエチル}−2−(ヒドロキシメチル)フェノールトリフェニル酢酸塩は、1日当たり25mcgの用量で、1日1回、吸入により投与することができる。
【0056】
さらなる実施形態では、本発明は、1日当たり25mcgの用量の4−{(1R)−2−[(6−{2−[(2,6−ジクロロベンジル)オキシ]エトキシ}ヘキシル)アミノ]−1−ヒドロキシエチル}−2−(ヒドロキシメチル)フェノールトリフェニル酢酸塩および1日当たり125mcgの用量の4−[ヒドロキシ(ジフェニル)メチル]−1−{2−[(フェニルメチル)オキシ]エチル}−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタン臭化物を含んでなる、吸入による1日1回投与のための医薬配合品を提供する。
【0057】
さらなる実施形態では、本発明は、1日当たり25mcgの用量の4−{(1R)−2−[(6−{2−[(2,6−ジクロロベンジル)オキシ]エトキシ}ヘキシル)アミノ]−1−ヒドロキシエチル}−2−(ヒドロキシメチル)フェノールトリフェニル酢酸塩および1日当たり62.5mcgの用量の4−[ヒドロキシ(ジフェニル)メチル]−1−{2−[(フェニルメチル)オキシ]エチル}−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタン臭化物を含んでなる、吸入による1日1回投与のための医薬配合品を提供する。
【0058】
組み合わせが、吸入副腎皮質ステロイドをさらに含む場合、これは、単独療法について既知の用量と適合性の用量で使用することができる。吸入副腎皮質ステロイドがフルチカゾンフランカルボン酸エステルである場合、これは1日に約25mcg〜約800mcgの用量で、および必要に応じて分割用量で、吸入により投与することができる。したがって、フルチカゾンフランカルボン酸エステルの1日用量は、一般に1日1回用量として、例えば25、50、100、200、300、400、600または800mcgであり得る。一実施形態では、フルチカゾンフランカルボン酸エステルの1日用量は、100mcgである。さらなる実施形態では、フルチカゾンフランカルボン酸エステルの1日用量は、50mcgである。
【0059】
本明細書に記載する医薬配合品の個々の化合物は、別々のまたは組み合わせた医薬製剤/組成物で、連続的にまたは同時に、投与することができる。したがって、化合物(I)および化合物(II)を、例えば、別々に製剤化し、別々のパックもしくは装置で提供することができ、または前記個々に製剤化した成分を、単一のパックもしくは装置で提供することができる。必要に応じて、個々の成分を同じ製剤中で混合し、固定された医薬配合として提供することができる。一般に、このような製剤は、以降に記載する医薬担体または添加剤を含むだろうが、いかなる添加剤も含まない化合物の組み合わせも、本発明の範囲内である。一実施形態では、医薬配合品の個々の化合物は、組み合わせた医薬製剤または組成物で同時に投与することができる。
【0060】
医薬配合品が、吸入副腎皮質ステロイド、例えば6α,9α−ジフルオロ−17α−[(2−フラニルカルボニル)オキシ]−11β−ヒドロキシ−16α−メチル−3−オキソ−アンドロスタ−1,4−ジエン−17β−カルボチオ酸S−フルオロメチルエステル(フルチカゾンフランカルボン酸エステル)をさらに含む場合、これも同様に、1種もしくは複数の医薬担体または添加剤と共にあるいはなしで、別々に製剤化し、連続または同時投与で提供することができる、あるいは吸入副腎皮質ステロイドを、化合物(I)および/または化合物(II)と混合することができる。6α,9α−ジフルオロ−17α−[(2−フラニルカルボニル)オキシ]−11β−ヒドロキシ−16α−メチル−3−オキソ−アンドロスタ−1,4−ジエン−17β−カルボチオ酸S−フルオロメチルエステルは、例えば、国際公開第02/12265号に記載のようにまたは以降に記載するように、製剤化することができる。
【0061】
そのため、さらなる態様では、本発明は、
連続または同時投与のための、別々に提供される化合物(I)および化合物(II)を含んでなる医薬配合品、
連続または同時投与のための、同じパックまたは装置に入れられているが、別々に提供される化合物(I)と、化合物(II)とを含んでなる医薬配合品、ならびに
同時投与のために、互いの混合物である化合物(I)と、化合物(II)とを含んでなる医薬配合品
を提供する。
【0062】
各場合で、化合物(I)および/または化合物(II)の各々を、医薬担体もしくは添加剤と共にまたはなしで製剤化することができる。
【0063】
本発明は、化合物(I)および化合物(II)の少なくとも1つが、薬学的に許容される担体または添加剤と共に製剤化される、化合物(I)および化合物(II)を含んでなる医薬配合品をさらに提供する。
【0064】
本発明は、化合物(I)および化合物(II)の各々が、薬学的に許容される担体または添加剤と共に製剤化される、化合物(I)および化合物(II)を含んでなる医薬配合品をさらに提供する。
【0065】
本発明の一実施形態では、化合物(I)および化合物(II)の組成物は、種々の種類の吸入器、例えば、貯蔵式乾燥粉末吸入器、単位用量乾燥粉末吸入器、定量多用量乾燥粉末吸入器、鼻吸入器または加圧式定量吸入器、噴霧器もしくは注入器によって生成および投与することができる、微粒子粉末または霧を含む、吸入に適したものを含む。
【0066】
組成物は、薬学の分野で周知の方法のいずれかによって調製することができる。一般に、前記方法は、有効成分を、1種または複数の副成分を構成する担体と会合させるステップを含む。一般に、組成物は、有効成分を均一かつ密接に液体担体もしくは微細固体担体、またはその両方と会合させ、その後、必要であれば生成物を所望の組成物に成形することによって調製される。
【0067】
粉末組成物は、一般的に、有効成分、および単糖、二糖または多糖類(例えば、乳糖もしくはデンプン)などの適当な粉末基剤(担体/賦形剤/添加剤物質)の吸入用粉末混合物を含有する。乳糖の使用が好ましい。乳糖は、例えば、無水乳糖またはα−乳糖一水和物であり得る。一実施形態では、担体は、α−乳糖一水和物である。乾燥粉末組成物はまた、有効成分および担体に加えて、糖エステル、ステアリン酸カルシウムまたはステアリン酸マグネシウムなどのさらなる添加剤(例えば、第3作用物質(ternary agent))を含むことができる。
【0068】
あるいは、有効成分は、添加剤なしで提供することができる。疑念を回避するために、本明細書での用語「組成物」または「製剤」の使用は、添加剤もしくは担体を含むまたは含まない有効成分を指す。
【0069】
本発明は、化合物(I)および化合物(II)の少なくとも1つが、薬学的に許容される担体および第3作用物質と共に製剤化される、化合物(I)および化合物(II)を含んでなる医薬配合品をさらに提供する。
【0070】
本発明は、化合物(II)が、薬学的に許容される担体および第3作用物質と共に製剤化される、化合物(I)および化合物(II)を含んでなる医薬配合品をさらに提供する。
【0071】
別の実施形態では、本発明は、両化合物が、薬学的に許容される担体および第3作用物質と共に製剤化される、化合物(I)および化合物(II)の組み合わせを含んでなる医薬製剤をさらに提供する。
【0072】
本発明は、連続または同時投与のための、同じパックまたは装置に入れられているが、それぞれ別々に薬学的に許容される担体および第3作用物質と共に製剤化される、4−{(1R)−2−[(6−{2−[(2,6−ジクロロベンジル)オキシ]エトキシ}ヘキシル)アミノ]−1−ヒドロキシエチル}−2−(ヒドロキシメチル)フェノールトリフェニル酢酸塩と、4−[ヒドロキシ(ジフェニル)メチル]−1−{2−[(フェニルメチル)オキシ]エチル}−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタン臭化物とを含んでなる、吸入投与のための医薬配合品をさらに提供する。
【0073】
一実施形態では、前記第3作用物質は、ステアリン酸マグネシウムである。
【0074】
本発明は、連続または同時投与のための、同じパックまたは装置に入れられているが、それぞれ別々に薬学的に許容される担体としての乳糖および第3作用物質としてのステアリン酸マグネシウムと共に製剤化される、4−{(1R)−2−[(6−{2−[(2,6−ジクロロベンジル)オキシ]エトキシ}ヘキシル)アミノ]−1−ヒドロキシエチル}−2−(ヒドロキシメチル)フェノールトリフェニル酢酸塩と、4−[ヒドロキシ(ジフェニル)メチル]−1−{2−[(フェニルメチル)オキシ]エチル}−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタン臭化物とを含んでなる、吸入投与のための医薬配合品をさらに提供する。
【0075】
組成物は、単位剤形で提供することができる。吸入による肺への局所送達のための乾燥粉末組成物は、例えば、吸入器または注入器で使用するために、例えばゼラチンのカプセルもしくはカートリッジ、または例えば積層アルミ箔のブリスターに入れて提供することができる。
【0076】
カプセル、カートリッジまたはブリスターの各々は、一般的に1mcg〜1000mcgの間、例えば100〜500mcgの化合物(I)および/または1mcg〜400mcgの間、例えば1〜100mcgの化合物(II)を含有することができる。製剤の包装は、単位用量または多用量送達に適したものとすることができる。上に示すように、化合物(I)および化合物(II)を、単独でまたは混合物で製剤化することができる。したがって、前記化合物を、別々の単位用量に組み込んでもよいし、必要に応じて追加の添加剤と共にまたはなしで単一の単位用量に混ぜ合わせてもよい。
【0077】
さらなる実施形態では、カプセル、カートリッジまたはブリスターの各々は、125mcgもしくは62.5mcgの化合物(I)および/または25mcgの化合物(II)を含有することができる。
【0078】
なおさらなる実施形態では、カプセル、カートリッジまたはブリスターの各々は、125mcgもしくは62.5mcgの4−[ヒドロキシ(ジフェニル)メチル]−1−{2−[(フェニルメチル)オキシ]エチル}−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタン臭化物および/または25mcgの4−{(1R)−2−[(6−{2−[(2,6−ジクロロベンジル)オキシ]エトキシ}ヘキシル)アミノ]−1−ヒドロキシエチル}−2−(ヒドロキシメチル)フェノールトリフェニル酢酸塩を含有することができる。
【0079】
一実施形態では、吸入投与に適した組成物を、適当な吸入装置内部に取り付けられた薬剤パックで提供される複数の密封用量容器に組み込むことができる。この容器は、破裂可能(rupturable)であるか、剥離可能であるかあるいは1つずつ開封可能であることができ、当技術分野で既知のように、その用量の乾燥粉末組成物は、吸入装置のマウスピースで吸い込むことにより投与される。薬剤パックは、いくつかの異なる形状、例えば、ディスク形状または細長いストリップ形状をとることができる。代表的な吸入装置は、GlaxoSmithKlineにより市販されているDISKHALER(商標)およびDISKUS(商標)装置である。DISKUS(商標)吸入装置は、例えば、GB2242134Aに記載されている。
【0080】
乾燥粉末吸入組成物はまた、吸入装置中のバルク貯蔵容器に入れて提供することができ、その装置には、貯蔵容器から吸入チャネルに一定用量の組成物を計量するための計量機構が備わっており、計量された用量は患者が吸入装置のマウスピースで吸い込むことによって吸入可能である。この種類の市販されている装置の例は、AstraZenecaのTURBUHALER(商標)、ScheringのTWISTHALER(商標)およびInnovataのCLICKHALER(商標)である。
【0081】
乾燥粉末吸入組成物のためのさらなる送達方法は、一定用量の組成物をカプセルに入れて提供することであり(1カプセル当たり1用量)、そのカプセルは、典型的には要求に応じて患者によって、吸入装置に充填される。この装置は、カプセルを破裂させる、貫通するまたは他のやり方で開封するための手段を有し、結果として、患者が装置のマウスピースで吸い込むと、定量が患者の肺の中に吸い込まれ得る。このような装置の市販品の例としては、GlaxoSmithKlineのROTAHALER(商標)およびBoehringer IngelheimのHANDIHALER(商標)を挙げることができる。
【0082】
乾燥粉末組成物は、任意選択で1種または複数の添加剤との混合物で、化合物(I)および化合物(II)の別々の格納を可能にする送達装置に入れて提供することもできる。したがって、例えば、組み合わせの個々の化合物は、同時に投与可能であるが、別々に、例えば、国際公開第2003/061743号、国際公開第2007/012871号および/または国際公開第2007/068896号に記載されているように、例えば別々の医薬組成物中に保管される。一実施形態では、有効成分の別々の格納を可能にする送達装置は、剥離可能なブリスターストリップ形状の2つの薬剤パックを有する吸入装置であり、各パックは、その長さに沿って配置されたブリスターポケット中に予め予め計量された(pre−metered)用量を含有する。前記装置は、装置を作動させる度に、各ストリップのポケットを剥離して開封し、各パックの新たに暴露された用量の各々が、装置のマウスピースと通じる多岐管と隣接するようにパックを配置する内部インデックス機構を有する。患者がマウスピースで吸い込むと、同時に各用量がその関連するポケットから多岐管へと引き出され、マウスピースを介して患者の呼吸器の中へ吸い込まれる。したがって、装置を使用する度に、患者は、各薬剤パックの用量からなる組み合わせ療法を投与される。異なる化合物の別々の格納を可能にするさらなる装置は、InnovataのDUOHALER(商標)である。
【0083】
さらなる実施形態では、本発明は、第1組成物が、
i.4−[ヒドロキシ(ジフェニル)メチル]−1−{2−[(フェニルメチル)オキシ]エチル}−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタン臭化物、および
ii.乳糖、および
iii.第1組成物の総重量基準で約0.6%w/wの量のステアリン酸マグネシウムを含んでなる、第2組成物が、
i.4−{(1R)−2−[(6−{2−[(2,6−ジクロロベンジル)オキシ]エトキシ}ヘキシル)アミノ]−1−ヒドロキシエチル}−2−(ヒドロキシメチル)フェノールトリフェニル酢酸塩、および
ii.乳糖、および
iii.第2組成物の総重量基準で約1.0%w/wの量のステアリン酸マグネシウムを含んでなる、
別々に提供される2種の組成物を含んでなる乾燥粉末吸入器(吸入器1)を提供する。
【0084】
さらなる実施形態では、本発明は、各組成物が単位用量形態である、吸入器1を提供する。
【0085】
さらなる実施形態では、本発明は、単位用量形態がカプセル、カートリッジまたはブリスターである、吸入器1を提供する。
【0086】
さらなる実施形態では、本発明は、4−[ヒドロキシ(ジフェニル)メチル]−1−{2−[(フェニルメチル)オキシ]エチル}−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタン臭化物が、約125mcg/用量の量で存在する、吸入器1を提供する。
【0087】
さらなる実施形態では、本発明は、4−{(1R)−2−[(6−{2−[(2,6−ジクロロベンジル)オキシ]エトキシ}ヘキシル)アミノ]−1−ヒドロキシエチル}−2−(ヒドロキシメチル)フェノールトリフェニル酢酸塩が、約25mcg/用量の量で存在する、吸入器1を提供する。
【0088】
さらなる実施形態では、本発明は、第2組成物が、6α,9α−ジフルオロ−17α−[(2−フラニルカルボニル)オキシ]−11β−ヒドロキシ−16α−メチル−3−オキソ−アンドロスタ−1,4−ジエン−17β−カルボチオ酸S−フルオロメチルエステル(フルチカゾンフランカルボン酸エステル)をさらに含んでなる、吸入器1を提供する。
【0089】
さらなる実施形態では、本発明は、6α,9α−ジフルオロ−17α−[(2−フラニルカルボニル)オキシ]−11β−ヒドロキシ−16α−メチル−3−オキソ−アンドロスタ−1,4−ジエン−17β−カルボチオ酸S−フルオロメチルエステル(フルチカゾンフランカルボン酸エステル)が、約100mcg/用量の量で存在する、吸入器1を提供する。
【0090】
吸入のためのスプレー用組成物は、水溶液もしくは懸濁液として、または適当な液体噴霧剤の使用により、例えば、定量吸入器などの加圧パックから送達されるエアロゾルとして製剤化することができる。吸入に適したエアロゾル組成物は、懸濁液または溶液のいずれであってもよく、一般的に医薬製品、およびフルオロカーボンもしくは水素含有クロロフルオロカーボンまたはこれらの混合物、特にハイドロフルオロアルカン、特に1,1,1,2−テトラフルオロエタン、1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロ−n−プロパンまたはこれらの混合物などの適当な噴霧剤を含有する。エアロゾル組成物は、任意選択で、界面活性剤、例えばオレイン酸、レシチンまたは例えば国際公開第94/21229号および国際公開第98/34596号に記載されるようなオリゴ乳酸誘導体、ならびに/あるいは共溶媒、例えばエタノールなどの当技術分野で周知の追加の製剤添加剤を含有することができる。加圧製剤は、一般的に、弁(例えば、計量弁)で閉じられ、マウスピースを備えたアクチュエータにはめ込まれたキャニスタ(例えば、アルミニウムキャニスタ)中に保持されるだろう。
【0091】
したがって、本発明のさらなる態様として、任意選択で界面活性剤および/または共溶媒と組み合わせて、単独でまたは噴霧剤としてのフルオロカーボンもしくは水素含有クロロフルオロカーボンとの混合物で製剤化される化合物(I)および化合物(II)を含んでなる医薬配合品が提供される。本発明の別の態様によると、噴霧剤は、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロ−n−プロパンおよびこれらの混合物から選択される。
【0092】
本発明の別の態様は、任意選択で界面活性剤および/または共溶媒と組み合わせて、単独でまたは噴霧剤としてのフルオロカーボンもしくは水素含有クロロフルオロカーボンとの混合物で製剤化される化合物(I)および化合物(II)からなる医薬配合品である。本発明の別の実施形態では、噴霧剤は、1,1,1,2−テトラフルオロエタンまたは1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロ−n−プロパンおよびこれらの混合物から選択される。
【0093】
必要に応じて、本発明による組成物は、適当な緩衝化剤の添加によって緩衝することができる。
【0094】
吸入による投与のための有効成分は、望ましくは制御された粒径を有する。気管支系への吸入のための最適な粒径は、通常は1〜10μm、好ましくは2〜5μmである。20μmを超える大きさを有する粒子は、一般的には吸い込まれて小気道に達する際に大きすぎる。これらの粒径を達成するために、製造する有効成分の粒子は、慣習的手段、例えば、微粒子化によって縮小させることができる。所望の分画を、空気分級またはふるい分けによって分離することができる。好ましくは、粒子は結晶であろう。
【0095】
本発明による乾燥粉末組成物は、担体を含んでなることができる。担体が乳糖、例えばα−乳糖一水和物である場合、製剤の約91〜約99重量%、例えば、97.7〜99.0%または91.0〜99.2%を形成することができる。一般に、担体、例えば乳糖の粒径は、本発明の範囲内の吸入薬剤よりもはるかに大きいだろう。担体が乳糖である場合、それは典型的には60〜90μmのMMD(質量中央径)を有する粉砕乳糖として存在するだろう。
【0096】
乳糖成分は、微細乳糖分画を含んでなることができる。「微細」乳糖分画は、6μm未満、例えば5μm未満などの7μm未満の粒径を有する乳糖の分画として定義される。「微細」乳糖分画の粒径は、4.5μm未満であり得る。微細乳糖分画は、存在する場合、3〜6重量%微細乳糖、例えば4.5重量%微細乳糖など、総乳糖成分の2〜10重量%を構成することができる。
【0097】
ステアリン酸マグネリウムは、組成物中に存在する場合、一般的に、組成物の総重量基準で、約0.2〜2%、例えば0.6〜2%または0.5〜1.75%、例えば0.6%、0.75%、1%、1.25%または1.5%w/wの量で使用される。ステアリン酸マグネシウムは、典型的には1〜50μm、より具体的には1〜20μm、例えば1〜10μmの範囲の粒径を有する。ステアリン酸マグネシウムの商業的供給源には、Peter Greven、Covidien/MallinckodtおよびFACIを含んでなる。
【0098】
さらなる実施形態では、化合物(I)が4−[ヒドロキシ(ジフェニル)メチル]−1−{2−[(フェニルメチル)オキシ]エチル}−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタン臭化物であり、組成物の総重量基準で0.6%w/wの量のステアリン酸マグネリウムを含有する乾燥粉末組成物として提供される、化合物(I)および化合物(II)を含む医薬配合品が提供される。
【0099】
なおさらなる実施形態では、化合物(II)が4−{(1R)−2−[(6−{2−[(2,6−ジクロロベンジル)オキシ]エトキシ}ヘキシル)アミノ]−1−ヒドロキシエチル}−2−(ヒドロキシメチル)フェノールトリフェニル酢酸塩であり、組成物の総重量基準で1.0%w/wの量のステアリン酸マグネリウムを含有する乾燥粉末組成物として提供される、化合物(I)および化合物(II)を含んでなる医薬配合品が提供される。
【0100】
鼻腔スプレーは、増粘剤、pHを調整するための緩衝塩もしくは酸もしくはアルカリ、等張性調節剤または抗酸化剤などの薬剤の添加により、水性または非水性ビヒクルと共に製剤化することができる。
【0101】
噴霧による吸入のための溶液は、酸もしくはアルカリ、緩衝塩、等張性調節剤または抗菌剤などの薬剤の添加により、水性ビヒクルと共に製剤化することができる。これらの溶液は、濾過もしくはオートクレーブ中での加熱により滅菌することができる、または非滅菌生成物として提供することができる。
【0102】
また、本発明は、
(a)連続的にまたは同時に組み合わせの個々の化合物を投与するための別々の医薬組成物を調製するステップ、または
(b)同時使用のために組み合わせ中の個々の化合物を一緒に投与するための組み合わせた医薬組成物を調製するステップであって、前記医薬組成物は1種または複数の薬学的に許容される担体および/または添加剤と共に前記組み合わせを含んでなるステップ
のいずれかを含んでなる、本明細書に定義される医薬配合品を調製する方法を提供する。
【0103】
4−{(1R)−2−[(6−{2−[(2,6−ジクロロベンジル)オキシ]エトキシ}ヘキシル)アミノ]−1−ヒドロキシエチル}−2−(ヒドロキシメチル)フェノールおよび4−{(1R)−2−[(6−{2−[(2,6−ジクロロベンジル)オキシ]エトキシ}ヘキシル)アミノ]−1−ヒドロキシエチル}−2−(ヒドロキシメチル)フェノールトリフェニル酢酸塩を含むその塩は、参照により本明細書に組み込まれている、国際公開第03/024439号(実施例78(i))に記載されているように調製することができる。
【0104】
4−[ヒドロキシ(ジフェニル)メチル]−1−{2−[(フェニルメチル)オキシ]エチル}−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタン臭化物は、参照により本明細書に組み込まれている、国際公開第2005/104745号に実施例84として記載されている。
【0105】
臨床試験
4−[ヒドロキシ(ジフェニル)メチル]−1−{2−[(フェニルメチル)オキシ]エチル}−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタン臭化物
4−[ヒドロキシ(ジフェニル)メチル]−1−{2−[(フェニルメチル)オキシ]エチル}−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタン臭化物は、前臨床モデルで肺に直接投与すると、インビトロにおいてヒトM3受容体で緩慢な可逆性およびインビボで長時間の作用を示す、有効な長時間作用性の強力な汎活性抗ムスカリン気管支拡張剤であることが分かった。動物において吸入を介して投与した場合のインビトロモデルを使用して、ならびにその後の健常人およびCOPD被験体での初期研究で同定されたこの化合物の長時間の作用は、COPDのための1日1回の気管支拡張剤としてのこの化合物の使用の可能性を支持する。
【0106】
この化合物の安全性、耐容性、薬物動態および薬力学を調査するために、健常人およびCOPD患者の両者で、4−[ヒドロキシ(ジフェニル)メチル]−1−{2−[(フェニルメチル)オキシ]エチル}−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタン臭化物を使用していくつかの臨床的薬理学試験を行った。プレチスモグラフィー(sGaw、Raw)およびスパイロメトリー(FEV)により測定される単一吸入用量のこの化合物の気管支拡張効果および作用持続時間を、上記の試験のいくつかで評価した。これらの試験は、化合物についての臨床的に関連する気管支拡張作用および24時間の作用持続時間を示した。
【0107】
COPDの被験体における4−[ヒドロキシ(ジフェニル)メチル]−1−{2−[(フェニルメチル)オキシ]エチル}−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタン臭化物の安全性、有効性および薬物動態を評価するよう設計された1つのこのような試験では、14日の治療期間にわたって摂取された5種類の1日1回用量(62.5mcg、125mcg、250mcg、500mcgおよび1000mcg)は、プラセボに比べて統計的に有意な肺機能の改善を引き起こした。全ての1日1回用量が、非盲検チオトロピウムアクティブコントロール群(18mcg、1日1回)よりもトラフFEVで数値的に大きい改善を示した。さらに、この試験は、4−[ヒドロキシ(ジフェニル)メチル]−1−{2−[(フェニルメチル)オキシ]エチル}−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタン臭化物が1日1回プロファイルを有することを確認した。
【0108】
さらなる試験では、COPDの被験体において、28日間にわたり乾燥粉末吸入器を介して1日1回投与される3種の用量(125mcg、250mcgおよび500mcg)の4−[ヒドロキシ(ジフェニル)メチル]−1−{2−[(フェニルメチル)オキシ]エチル}−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタン臭化物の有効性および安全性を評価した。この試験は、4−[ヒドロキシ(ジフェニル)メチル]−1−{2−[(フェニルメチル)オキシ]エチル}−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタン臭化物が、安全で有効であると思われ、24時間にわたる有意な気管支拡張作用を維持することを確認した。
【0109】
化合物(II)(α−フェニルケイ皮酸塩またはトリフェニル酢酸塩として)
α−フェニルケイ皮酸塩またはトリフェニル酢酸塩としての化合物(II)は、単一および反復用量の試験を含む、いくつかの臨床薬理学試験で研究されてきた。さらに、これらの試験は、乳糖および八酢酸セロビオースもしくはステアリン酸マグネシウムのいずれかと共に製剤化された化合物(II)を評価してきた。喘息患者では、プラセボに比べて、試験した全用量の化合物(II)について、統計的かつ臨床的に有意なトラフ(24時間)FEVの改善が観察された。25μg〜100μgの単一用量の化合物(II)トリフェニル酢酸塩(乳糖およびステアリン酸マグネシウムを含有する)は、プラセボに対する平均投与後23〜24時間FEVの200mL以上の増加によって評価される24時間の作用持続時間を示した。
【0110】
COPD患者では、100mcgおよび400mcgの化合物(II)α−フェニルケイ皮酸塩(乳糖のみ含む)による治療は、100mLを超える加重平均トラフFEV(22〜24時間)で、異なる臨床的に関連するプラセボとの調整平均差を達成した。25μg〜100μgの単一用量の化合物(II)トリフェニル酢酸塩(乳糖およびステアリン酸マグネシウムを含有する)は、プラセボに対する平均投与後23〜24時間FEVの190mL以上の増加によって評価される24時間の作用持続時間を示した。
【0111】
併用療法
単独療法および併用療法として、単一吸入用量の化合物(I)臭化物および化合物(II)トリフェニル酢酸塩の安全性、耐容性、薬物動態および薬力学を評価するための臨床試験の一部として、化合物(I)臭化物および化合物(II)トリフェニル酢酸塩の組み合わせを、20〜65歳の16人の日本人健常人に投与した。この試験は、無作為二重盲検プラセボ対照四元交差試験とし、被験体は、4つの治療期間の各々で、単一用量の
・化合物(I)臭化物(500mcg用量)、
・化合物(II)トリフェニル酢酸塩(50mcg用量)、
・同時に化合物(I)臭化物(500mcg用量)および化合物(II)トリフェニル酢酸塩(50mcg用量)、または
・プラセボ
を投与された。試験への組み入れ時に、被験体を、ウィリアムズ設計に基づいて4つの治療順序の1つに割り当てた。
【0112】
この日本人健常人での臨床試験は、単一吸入用量として同時に投与される化合物(I)臭化物(500mcg用量)および化合物(II)トリフェニル酢酸塩(50mcg用量)(化合物(I)臭化物(500mcg用量)および化合物(II)トリフェニル酢酸塩(50mcg用量))の肺機能パラメータへの効果を評価した。乾燥粉末吸入器を使用して投与される単一吸入用量および組み合わせは、忍容性が良好であることが分かった。この試験では、FEV値を記録した。FEV値は、プラセボに比べて全治療群で高かった。化合物(I)臭化物(500mcg用量)および化合物(II)トリフェニル酢酸塩(50mcg用量)を同時に投与された群は、プラセボに対して最大の差を示した。
【0113】
医薬製剤
ブレンドの調製
化合物(I)臭化物
Ph.Eur/USNFの要件を満たす、DMV Fronterra Excipientsから供給される医薬品グレードのα−乳糖一水和物を使用することができる。使用前に、α−乳糖一水和物を粗目スクリーン(例えば、500または800ミクロンのメッシュサイズを有する)を通してふるい分けることができる。Sympatecによって測定することができるα−乳糖一水和物の微粉レベルは、4.5%w/w4.5ミクロン未満であり得る。
【0114】
1〜5ミクロン、例えば2〜5ミクロンの質量中央径を得るために、使用前にAPTMマイクロナイザーで化合物(I)臭化物を微粒子化する。
【0115】
8〜12ミクロンの質量中央粒径を備える、Ph.Eur/USNFの要件を満たす、Peter Grevenから供給される医薬品グレードのステアリン酸マグネシウムを使用することができる。
【0116】
ブレンドA
乳糖一水和物をふるいに通し、次いで、ステアリン酸マグネシウムと合わせて、高せん断ミキサー(QMM、PMAまたはTRV25もしくはTRV65などのTRVシリーズミキサー)または低せん断タンブリングブレンダー(Turbulaミキサー)のいずれかを使用してブレンドして、ステアリン酸マグネシウム/乳糖プレミックスを用意することができる。これを、以降ブレンドAと呼ぶ。
【0117】
ブレンドB
最終的なブレンドBは、以下のように得ることができる。一定量のブレンドAおよび化合物(I)臭化物を、例えば、COMIL(商標)を使用して選別し、次いで、高せん断ミキサー(QMM、PMAまたはTRV25もしくはTRV65などのTRVシリーズミキサー)または低せん断タンブリングブレンダー(Turbulaミキサー)のいずれかを使用して残りのブレンドAとブレンドすることができる。
【表1】

【0118】

注:74.1gの化合物(I)臭化物は、62.5gの遊離カチオンに相当する。添加される化合物(I)臭化物の量は、投入原薬の割り当てられた純度を反映するよう調整することができる。
【表2】

【0119】

注:148.3gの化合物(I)臭化物は、125gの遊離カチオンに相当する。添加される化合物(I)臭化物の量は、投入原薬の割り当てられた純度を反映するよう調整することができる。
【表3】

【0120】

ブリスターストリップの調製
次いで、ブレンドした組成物を、吸入用乾燥粉末の供給のために一般的に使用される種類のブリスターストリップ中に移し(1ブリスター当たりのブレンドの典型的な公称平均量は12.5〜13.5mgである)、ブリスターストリップを慣習的な様式で密封した。
【0121】
化合物(II)トリフェニル酢酸塩
Ph.Eur/USNFの要件を満たす、DMV Fronterra Excipientsから供給される医薬品グレードのα−乳糖一水和物を使用することができる。使用前に、α−乳糖一水和物を粗目スクリーン(典型的なメッシュサイズ500ミクロン)を通してふるい分けることができる。Sympatecによって測定することができるα−乳糖一水和物の微粉レベルは、4.5%w/w4.5ミクロン未満であり得る。
【0122】
2〜5ミクロン、例えば18ミクロンなどの、1〜5ミクロンのMMD(質量中央径)を得るために、使用前にAPTMマイクロナイザーで化合物(II)トリフェニル酢酸塩を微粒子化する。
【0123】
8〜12ミクロンの質量中央粒径を備える、Ph.Eur/USNFの要件を満たす、Peter Grevenから供給される医薬品グレードのステアリン酸マグネシウムを使用することができる。
【0124】
ブレンドA
乳糖一水和物をふるいに通し、次いで、ステアリン酸マグネシウム(典型的には130g)と合わせて、高せん断ミキサー(QMM、PMAまたはTRV25もしくはTRV65などのTRVシリーズミキサー)または低せん断タンブリングブレンダー(Turbulaミキサー)のいずれかを使用してブレンドして、ステアリン酸マグネシウム/乳糖プレミックスを用意することができる。これを、以降ブレンドAと呼ぶ。
【0125】
ブレンドB
最終的なブレンドBは、以下のように得ることができる。適当な量のブレンドAおよび化合物(II)トリフェニル酢酸塩(典型的には5〜165g)を、例えば、COMIL(商標)を使用して選別し、次いで、高せん断ミキサー(QMM、PMAまたはTRVシリーズミキサー)または低せん断タンブリングブレンダー(Turbulaミキサー)のいずれかを使用して残りのブレンドAとブレンドすることができる。ブレンド中の化合物(II)トリフェニル酢酸塩の最終濃度は、典型的には0.02%w/w〜0.8%w/w遊離塩基当量の範囲である。
【0126】
ブリスターストリップの調製
ブレンドした組成物を、吸入用乾燥粉末の供給のために一般的に使用される種類のブリスターストリップ中に移し(1ブリスター当たりのブレンドBの典型的な公称平均量は12.5〜13.5mgである)、次いでブリスターストリップを慣習的な様式で密封する。
【0127】
調製例
上記手順を使用して、以下の代表的な製剤を調製することができる:
【表4】

【0128】

注:使用する化合物(II)トリフェニル酢酸塩の量は、1.59の塩基から塩への換算係数に基づく。例えば、41gの化合物(II)トリフェニル酢酸塩は、25gの遊離塩基に相当する。
【表5】

【0129】

乾燥粉末吸入装置例
吸入粉末としての化合物(I)臭化物および化合物(II)トリフェニル酢酸塩を、2つのブリスターストリップを含有するDPI装置に入れて投与することができる。1つのストリップは、微粒子化した化合物(I)臭化物(1ブリスター当たり約500μg)、ステアリン酸マグネシウムおよび乳糖一水和物のブレンドを含有する。第2のストリップは、微粒子化した化合物(II)トリフェニル酢酸塩(1ブリスター当たり約25μg)、ステアリン酸マグネシウムおよび乳糖一水和物のブレンドを含有する。DPI装置は、作動させると、2つのブリスターストリップの各々から同時に単一ブリスターの内容物を送達するだろう。各ブリスターストリップは、1ストリップ当たり30個のブリスターを含有する二重箔ラミネートである。
【0130】
さらなる実施形態では、吸入粉末としての化合物(I)臭化物および化合物(II)トリフェニル酢酸塩を、1つのストリップが微粒子化した化合物(I)臭化物(1ブリスター当たり約125または62.5μg)、ステアリン酸マグネシウム(1ブリスター当たり総粉末重量の0.6%w/wの量)および乳糖一水和物のブレンドを含有する、2つのブリスターストリップを含有する乾燥粉末吸入装置に入れて投与することができる。第2のストリップは、微粒子化した化合物(II)トリフェニル酢酸塩(1ブリスター当たり約25μg)、ステアリン酸マグネシウムおよび乳糖一水和物のブレンドを含有する。第2のストリップは、任意選択で、1ブリスター当たり約100μgの量の6α,9α−ジフルオロ−17α−[(2−フラニルカルボニル)オキシ]−11β−ヒドロキシ−16α−メチル−3−オキソ−アンドロスタ−1,4−ジエン−17β−カルボチオ酸S−フルオロメチルエステル(フルチカゾンフランカルボン酸エステル)をさらに含んでなる。DPI装置は、作動させると、2つのブリスターストリップの各々から同時に単一ブリスターの内容物を送達するだろう。各ブリスターストリップは、1ストリップ当たり7、14または30個の充填ブリスターを含有する二重箔ラミネートである。
【0131】
さらなる実施形態では、吸入粉末としての化合物(I)臭化物および化合物(II)トリフェニル酢酸塩を、1つのストリップが微粒子化した化合物(I)臭化物(1ブリスター当たり約125または62.5μg)、化合物(II)トリフェニル酢酸塩(1ブリスター当たり約25μg)、ステアリン酸マグネシウムおよび乳糖一水和物のブレンドを含有する、2つのブリスターストリップを含有する乾燥粉末吸入装置に入れて投与することができる。第2のストリップは、1ブリスター当たり約100μgの量の6α,9α−ジフルオロ−17α−[(2−フラニルカルボニル)オキシ]−11β−ヒドロキシ−16α−メチル−3−オキソ−アンドロスタ−1,4−ジエン−17β−カルボチオ酸S−フルオロメチルエステル(フルチカゾンフランカルボン酸エステル)および乳糖一水和物のブレンドを含有する。DPI装置は、作動させると、2つのブリスターストリップの各々から同時に単一ブリスターの内容物を送達するだろう。各ブリスターストリップは、1ストリップ当たり7、14または30個の充填ブリスターを含有する二重箔ラミネートである。
【0132】
それだけに限らないが、本明細書で引用する特許および特許出願を含む全ての刊行物は、
完全に記載されたかのように参照により本明細書に組み込まれるものとして個々の刊行物の各々が具体的および個々に示されているように、参照により本明細書に組み込まれる。
【0133】
上記記載は、その好ましい実施形態を含む本発明を十分に開示している。本明細書に具体的に開示される実施形態の変更および改良は、以下の特許請求の範囲内である。さらに複雑にすることなく、当業者は、前記記載を使用して、本発明を最大限に利用することができると考えられる。そのため、本明細書の実施例は、単なる例示に過ぎず、本発明の範囲を何等限定するものではないと解釈すべきである。独占的所有または特権を請求する本発明の実施形態を以下のように定義する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式:
【化1】

化合物(I)
(式中、Xは、薬学的に許容されるアニオンである)
の化合物と、
b)式:
【化2】

の化合物またはその薬学的に許容される塩(化合物(II))と、
を含んでなる、医薬配合品。
【請求項2】
化合物(I)について、前記薬学的に許容されるアニオンが、塩化物、臭化物、ヨウ化物、水酸化物、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、フマル酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、シュウ酸塩、コハク酸塩、マンデル酸塩、メタンスルホン酸塩またはp−トルエンスルホン酸塩からなる群から選択される、請求項1に記載の配合品。
【請求項3】
化合物(I)が、4−[ヒドロキシ(ジフェニル)メチル]−1−{2−[(フェニルメチル)オキシ]エチル}−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタン臭化物である、請求項1または2に記載の配合品。
【請求項4】
化合物(II)が、4−{(1R)−2−[(6−{2−[(2,6−ジクロロベンジル)オキシ]エトキシ}ヘキシル)アミノ]−1−ヒドロキシエチル}−2−(ヒドロキシメチル)フェノールα−フェニルケイ皮酸塩である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の配合品。
【請求項5】
化合物(II)が、4−{(1R)−2−[(6−{2−[(2,6−ジクロロベンジル)オキシ]エトキシ}ヘキシル)アミノ]−1−ヒドロキシエチル}−2−(ヒドロキシメチル)フェノールトリフェニル酢酸塩である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の配合品。
【請求項6】
化合物(I)および化合物(II)が、別々の投与に適した形態で提供される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の配合品。
【請求項7】
化合物(I)および化合物(II)が、連続投与に適した形態で提供される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の配合品。
【請求項8】
化合物(I)および化合物(II)が、同時投与に適した形態で提供される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の配合品。
【請求項9】
化合物(I)および化合物(II)が、互いの混合物である、請求項8に記載の配合品。
【請求項10】
化合物(I)および化合物(II)の少なくとも1つが、薬学的に許容される担体または添加剤と共に製剤化される、請求項1〜9のいずれか一項に記載の配合品。
【請求項11】
経口または経鼻吸入による投与に適した形態の請求項1〜9のいずれか一項に記載の配合品。
【請求項12】
前記形態が、貯蔵式乾燥粉末吸入器、単位用量乾燥粉末吸入器、定量多用量乾燥粉末吸入器、鼻吸入器または加圧式定量吸入器から選択される薬剤ディスペンサーを介した吸入による投与に適している、請求項11に記載の配合品。
【請求項13】
化合物(I)および化合物(II)の各々が、乾燥粉末組成物の形態で提供される、請求項12に記載の配合品。
【請求項14】
化合物(I)および化合物(II)が、別々の組成物として提供される、請求項13に記載の配合品。
【請求項15】
化合物(I)および化合物(II)が、混合組成物として提供される、請求項13に記載の配合品。
【請求項16】
化合物(I)または化合物(II)の前記組成物の少なくとも1つが、担体を含有する、請求項14または15に記載の配合品。
【請求項17】
化合物(I)および化合物(II)の両組成物が、担体を含有する、請求項14または15に記載の配合品。
【請求項18】
前記担体が乳糖である、請求項16または17に記載の配合品。
【請求項19】
前記組成物の少なくとも1つが、第3作用物質を含有する、請求項13〜18のいずれか一項に記載の配合品。
【請求項20】
両組成物が、第3作用物質を含有する、請求項13〜18のいずれか一項に記載の配合品。
【請求項21】
前記第3作用物質が、ステアリン酸マグネシウムである、請求項19に記載の配合品。
【請求項22】
両組成物中の前記第3作用物質が、ステアリン酸マグネシウムである、請求項20に記載の配合品。
【請求項23】
ステアリン酸マグネシウムが、化合物(I)の組成物中に約0.6%w/wの量および/または化合物(II)の組成物中に約1.0%w/wの量で存在する、請求項22に記載の配合品。
【請求項24】
前記別々の組成物または混合組成物が、単位用量形態である、請求項13〜23のいずれか一項に記載の配合品。
【請求項25】
前記単位用量形態が、カプセル、カートリッジまたはブリスターパックである、請求項24に記載の配合品。
【請求項26】
前記組成物が、乾燥粉末吸入器を介して投与される、請求項13〜25のいずれか一項に記載の配合品。
【請求項27】
前記吸入器が、前記有効成分の別々の格納を可能にする、請求項26に記載の配合品。
【請求項28】
化合物(I)が、約1〜1000mcg/用量の量で存在する、請求項1〜27のいずれか一項に記載の配合品。
【請求項29】
化合物(I)が、125mcg/用量の量で存在する、請求項1〜27のいずれか一項に記載の配合品。
【請求項30】
化合物(I)が、62.5mcg/用量の量で存在する、請求項1〜27のいずれか一項に記載の配合品。
【請求項31】
化合物(II)が、1〜100mcg/用量の量で存在する、請求項1〜30のいずれか一項に記載の配合品。
【請求項32】
化合物(II)が、25mcg/用量の量で存在する、請求項1〜30のいずれか一項に記載の配合品。
【請求項33】
請求項1〜32のいずれか一項に記載の配合品を含有する乾燥粉末吸入器。
【請求項34】
化合物(I)および化合物(II)の各々が、吸入用スプレー組成物の形態で提供される、請求項11に記載の配合品。
【請求項35】
化合物(I)および化合物(II)が、別々の組成物または混合組成物として提供される、請求項34に記載の配合品。
【請求項36】
前記スプレー組成物が、水溶液または懸濁液である、請求項34または35に記載の配合品。
【請求項37】
前記スプレー組成物が、エアロゾル組成物である、請求項34または35に記載の配合品。
【請求項38】
噴霧剤としてフルオロカーボンまたは水素含有クロロフルオロカーボンを含んでなる、請求項37に記載の配合品。
【請求項39】
前記噴霧剤が、ハイドロフルオロアルカンである、請求項38に記載の配合品。
【請求項40】
前記噴霧剤が、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロ−n−プロパンまたはこれらの混合物である、請求項39に記載の配合品。
【請求項41】
共溶媒をさらに含んでなる、請求項34〜40のいずれか一項に記載の配合品。
【請求項42】
界面活性剤をさらに含んでなる、請求項34〜41のいずれか一項に記載の配合品。
【請求項43】
プロピオン酸フルチカゾン、フランカルボン酸モメタゾン、ブデソニドおよび6α,9α−ジフルオロ−17α−[(2−フラニルカルボニル)オキシ]−11β−ヒドロキシ−16α−メチル−3−オキソ−アンドロスタ−1,4−ジエン−17β−カルボチオ酸S−フルオロメチルエステル(フルチカゾンフランカルボン酸エステル)からなる群から選択される吸入副腎皮質ステロイドをさらに含んでなる、請求項1〜42のいずれか一項に記載の配合品。
【請求項44】
前記吸入副腎皮質ステロイドが、6α,9α−ジフルオロ−17α−[(2−フラニルカルボニル)オキシ]−11β−ヒドロキシ−16α−メチル−3−オキソ−アンドロスタ−1,4−ジエン−17β−カルボチオ酸S−フルオロメチルエステル(フルチカゾンフランカルボン酸エステル)である、請求項43に記載の配合品。
【請求項45】
6α,9α−ジフルオロ−17α−[(2−フラニルカルボニル)オキシ]−11β−ヒドロキシ−16α−メチル−3−オキソ−アンドロスタ−1,4−ジエン−17β−カルボチオ酸S−フルオロメチルエステル(フルチカゾンフランカルボン酸エステル)が、100mcg/用量の量で存在する、請求項44に記載の配合品。
【請求項46】
請求項1〜11および34〜45のいずれか一項に記載の配合品を含有する加圧式定量吸入器。
【請求項47】
化合物(I)および化合物(II)の1つまたは複数の投与が必要である状態の予防または治療のための薬剤の製造における請求項1〜32および34〜45のいずれか一項に記載の配合品の使用。
【請求項48】
化合物(I)および化合物(II)の、同時または任意の順序での連続投与による、炎症性疾患または呼吸器疾患を治療するための請求項47に記載の使用。
【請求項49】
化合物(I)および化合物(II)の同時または連続投与による、慢性閉塞性肺疾患(COPD)および/または喘息の治療のための薬剤を製造するための請求項47または48に記載の使用。
【請求項50】
請求項1〜32および34〜45のいずれか一項に記載の配合品を、それを必要とする患者に投与するステップを含んでなる、炎症性疾患または呼吸器疾患を予防または治療する方法。
【請求項51】
前記配合品の有効成分が、連続的にまたは同時に投与される、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記疾患が、慢性閉塞性肺疾患、慢性気管支炎、喘息、慢性気道閉塞、肺線維症、肺気腫、アレルギー性鼻炎、小気道疾患、気管支拡張症および嚢胞性線維症からなる群から選択される、請求項50または51に記載の方法。
【請求項53】
前記疾患が、慢性閉塞性肺疾患(COPD)である、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
請求項1〜32および34〜45のいずれか一項に記載の配合品の有効成分の同時または連続投与による、慢性閉塞性肺疾患(COPD)を治療するための請求項53に記載の方法。
【請求項55】
投与が、口または鼻による吸入を介する、請求項50〜54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
投与が、貯蔵式乾燥粉末吸入器、定量多用量乾燥粉末吸入器、鼻吸入器または加圧式定量吸入器から選択される薬剤ディスペンサーを介する、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記配合品が、1日当たり1回投与される、請求項50〜56のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
化合物(I)および化合物(II)の、同時または任意の順序での連続投与による、炎症性疾患または呼吸器疾患の治療に使用するための、請求項1〜32および34〜45のいずれか一項に記載の配合品。
【請求項59】
化合物(I)および化合物(II)の同時または連続投与による、慢性閉塞性肺疾患(COPD)および/または喘息の治療に使用するための、請求項58に記載の配合品。
【請求項60】
第1組成物が、
i.4−[ヒドロキシ(ジフェニル)メチル]−1−{2−[(フェニルメチル)オキシ]エチル}−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタン臭化物、および
ii.乳糖、および
iii.前記第1組成物の総重量基準で約0.6%w/wの量のステアリン酸マグネシウムを含んでなり、第2組成物が、
iv.4−{(1R)−2−[(6−{2−[(2,6−ジクロロベンジル)オキシ]エトキシ}ヘキシル)アミノ]−1−ヒドロキシエチル}−2−(ヒドロキシメチル)フェノールトリフェニル酢酸塩、および
v.乳糖、および
vi.前記第2組成物の総重量基準で約1.0%w/wの量のステアリン酸マグネシウムを含んでなる、
別々に提供される2種の組成物を含んでなる乾燥粉末吸入器。
【請求項61】
各組成物が、単位用量形態である、請求項60に記載の乾燥粉末吸入器。
【請求項62】
前記単位用量形態が、カプセル、カートリッジまたはブリスターである、請求項61に記載の乾燥粉末吸入器。
【請求項63】
4−[ヒドロキシ(ジフェニル)メチル]−1−{2−[(フェニルメチル)オキシ]エチル}−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタン臭化物が、約125mcg/用量の量で存在する、請求項61または62に記載の乾燥粉末吸入器。
【請求項64】
4−[ヒドロキシ(ジフェニル)メチル]−1−{2−[(フェニルメチル)オキシ]エチル}−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタン臭化物が、約62.5mcg/用量の量で存在する、請求項61または62に記載の乾燥粉末吸入器。
【請求項65】
4−{(1R)−2−[(6−{2−[(2,6−ジクロロベンジル)オキシ]エトキシ}ヘキシル)アミノ]−1−ヒドロキシエチル}−2−(ヒドロキシメチル)フェノールトリフェニル酢酸塩が、約25mcg/用量の量で存在する、請求項61〜64のいずれか一項に記載の乾燥粉末吸入器。
【請求項66】
前記第2組成物が、6α,9α−ジフルオロ−17α−[(2−フラニルカルボニル)オキシ]−11β−ヒドロキシ−16α−メチル−3−オキソ−アンドロスタ−1,4−ジエン−17β−カルボチオ酸S−フルオロメチルエステル(フルチカゾンフランカルボン酸エステル)をさらに含んでなる、請求項60に記載の乾燥粉末吸入器。
【請求項67】
前記第2組成物が、6α,9α−ジフルオロ−17α−[(2−フラニルカルボニル)オキシ]−11β−ヒドロキシ−16α−メチル−3−オキソ−アンドロスタ−1,4−ジエン−17β−カルボチオ酸S−フルオロメチルエステル(フルチカゾンフランカルボン酸エステル)をさらに含んでなる、請求項61〜65のいずれか一項に記載の乾燥粉末吸入器。
【請求項68】
6α,9α−ジフルオロ−17α−[(2−フラニルカルボニル)オキシ]−11β−ヒドロキシ−16α−メチル−3−オキソ−アンドロスタ−1,4−ジエン−17β−カルボチオ酸S−フルオロメチルエステル(フルチカゾンフランカルボン酸エステル)が、約100mcg/用量の量で存在する、請求項67に記載の乾燥粉末吸入器。

【公表番号】特表2013−512270(P2013−512270A)
【公表日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−541445(P2012−541445)
【出願日】平成22年11月29日(2010.11.29)
【国際出願番号】PCT/EP2010/068429
【国際公開番号】WO2011/067212
【国際公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【出願人】(397009934)グラクソ グループ リミテッド (832)
【氏名又は名称原語表記】GLAXO GROUP LIMITED
【住所又は居所原語表記】Glaxo Wellcome House,Berkeley Avenue Greenford,Middlesex UB6 0NN,Great Britain
【Fターム(参考)】