説明

メディア処理装置およびメディア処理装置の駆動制御方法

【課題】データ書込み異常やプリンタに異常が発生しても、データの書込みを継続して行なうことのできるメディア処理装置を提供すること。
【解決手段】CD/DVDパブリッシャ1はメディアドライブ3におけるデータ書込み異常を検出するデータ書込み異常検出部31と、レーベルプリンタ4で発生するインク供給異常状態を検出するインクニアエンド検出部41を備える。データ書込み異常が検出されると、書込み異常メディアには書込み異常マークが印刷されてメディア収納スタッカ6に収納される。インク供給異常状態が検出されると、書込み正常メディアは強制的にメディア収納スタッカ6に収納される。従って、作成途中のメディアがメディアドライブ3内やレーベルプリンタ4内などに残ってしまうことがない。よって、メディアドライブ3に新たなブランクメディア10を供給して、データ書込み動作を継続できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CD、DVDなどのメディアにデータの書込みおよびレーベル印刷を行なうCD/DVDパブリッシャなどのメディア処理装置に関し、更に詳しくは、データ書込み異常やプリンタに異常が発生しても、データの書込みを継続して行なうことのできるメディア処理装置およびメディア処理装置の駆動制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
メディア処理装置、たとえばCD/DVDパブリッシャは、卒業アルバムのDVDや雑誌に付録として添付されているCDなどのメディアを作成するために用いられる。CD/DVDパブリッシャでは、供給用のメディアスタッカに収納しておいたブランクメディアを、まず、メディアドライブに供給し、そこにおいて所定のデータを書込み、データ書込み後のメディアをプリンタに供給し、そこにおいてレーベルを印刷する。そして、印刷が終了した完成メディアを出力用のメディアスタッカに収納する。これら一連の動作を繰返し行なうことによって大量のメディアを作成する。所定枚数のメディアの作成が終了すると、オペレータは収納用のメディアスタッカに収納された完成メディアを一括して取り出すことができる。
【0003】
CD/DVDパブリッシャにおいて、メディアドライブでデータ書込みエラーが発生した場合、あるいは、プリンタで印刷エラーが発生した場合には、その時点で、データ書込み動作あるいは印刷動作を停止あるいは中断させる必要がある。また、動作を再開するには、メディアドライブあるいはプリンタを正常状態に復帰させ、データ書込みエラーあるいは印刷エラーが発生したメディアを取り除く必要がある。
【0004】
ここで、プリンタにおける印刷エラーの発生確率は、メディアドライブにおけるデータ書込みエラーが発生する確率に比べて極めて高い。この理由は、プリンタは、それ自体にエラーが発生しなくても、消耗品としてのインクやトナーなどが無くなり、印字不良あるいは印字不可のエラー状態に陥るからである。
【0005】
特許文献1、2には、インク切れが発生した場合に、プリンタが備えるLEDや警告表示手段によってオペレータに異常の発生を通知する技術が開示されている。特許文献3には、インクの残量が所定の残量より少ないインク切れ間近状態を検出して、プリンタが備える表示パネルや、プリンタを制御しているコンピュータに異常の発生を表示して、オペレータに知らせる技術が開示されている。
【特許文献1】特開2002−86697号公報
【特許文献2】特開2002−86698号公報
【特許文献3】特開2006−116956号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
CD/DVDパブリッシャにおいては、卒業アルバムなどを作成する場合のように大量のメディアを作成する場合には、24時間稼動でCD、DVDなどのメディアを作成することが多い。この場合、深夜には無人となる可能性が高く、この間に、データ書込みエラーが発生した場合には、この書込み異常メディアをメディアドライブから取り除くまでの間はメディア作成動作(データ書込み動作およびレーベル印刷動作)が停止あるいは中断してしまう。また、インク切れが発生した場合にも、インクを補填するまでの間はメディア作成動作が停止あるいは中断してしまう。このような無人稼動中は、エラーの発生に気づかずに動作の停止あるいは中断状態が長時間に亘ってしまう可能性がある。また、オペレータとCD/DVDパブリッシャが離れている場合も、エラーの発生に気づかずに、無人稼動の時と同様に動作の停止あるいは中断状態が発生してしまう可能性がある。
【0007】
このような事態が発生すると、メディア作成作業が大幅に遅れてしまう。また、CD/DVDパブリッシャの動作停止あるいは中断時間が長くなると、処理効率が大幅に低下し、消費電力の無駄が増大する。エラーの発生頻度が高いインク切れを回避するためには、大量のメディアを作成する際に、インク残量の確認作業、インクの補填作業、あるいはインクカートリッジを新しいものに交換する作業を行う必要がある。このような作業を都度行うことは面倒であり、インクカートリッジの交換頻度が高まりインクの無駄が発生してしまう。
【0008】
ここで、エラーが発生した場合でもメディア作成動作が中断あるいは停止しないようにするために、エラーが発生した時点でメディアドライブ内、プリンタ内あるいは搬送経路上にあるメディアをメディアスタッカに排出することが考えられる。しかし、CD/DVDパブリッシャは収納用のメディアスタッカを1つしか備えていないので、それらのメディアを排出すると、下記の各種メディアが単一のメディアスタッカの中で混在してしまう。
【0009】
(1)データ書込みとレーベル印刷が終了した完了メディア
(2)再利用することができない書込み異常メディア
(3)レーベルを印刷するだけで作成済み完成メディアとすることができる未印刷状態の書込み正常メディア
(4)レーベル印刷の途中でプリンタ異常により印刷を中断したため、再利用することができない印刷異常メディア
この場合、書込み異常メディアと未印刷状態の書込み正常メディアとは目視で識別することができないので、両メディアの分別するために一枚づつデータ書込み異常を検査しなければならず、分別作業に膨大な時間を費やしてしまうという問題が発生する。
【0010】
一方、発生したエラー毎に異なる排出用のメディアスタッカを備えるとすれば、メディア処理装置の構成が複雑になり、装置の小型化や低コスト化を妨げるという問題がある。
【0011】
本発明の課題は、このような点に鑑みて、データ書込み異常やプリンタに異常が発生しても、データの書込みを継続して行なうことのできるメディア処理装置およびメディア処理装置の駆動制御方法を提案することにある。
【0012】
また、データ書込み異常やプリンタに異常が発生した場合に、メディアドライブ内、プリンタ内あるいは搬送経路上にあるメディアを、正常にデータ書込み、およびレーベル印刷が行なわれたメディアと同一のメディアスタッカに排出しても、それらを目視により容易に識別できるメディア処理装置およびメディア処理装置の駆動制御方法を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の課題を解決するために、本発明のメディア処理装置の駆動制御方法は、メディア供給部からメディアドライブにメディアを供給し、当該メディアドライブによって前記メディアにデータを書込み、データ書込み後の書込み済みメディアをプリンタに供給し、前記書込み済みメディアが正常にデータが書込まれた書込み正常メディアである場合には、当該書込み正常メディアにレーベルを印刷し、前記書込み済みメディアがデータ書込み異常が発生した書込み異常メディアである場合には、当該書込み異常メディアにデータ書込み異常が発生したことを示す書込み異常マークを印刷し、前記レーベル印刷あるいは前記書込み異常マークが印刷された後の印刷済みメディアをメディア収納スタッカに収納し、前記プリンタのインク残量が所定量以下のインクニアエンド状態に陥ったことが検出された後は、当該インクニアエンド状態が解消されるまでの間、前記書込み正常メディアを、前記レーベルを印刷することなく前記メディア収納スタッカに収納することを特徴とする。
【0014】
本発明によれば、データ書込み異常が発生した場合でも、インクニアエンド状態が発生した場合でも、書込み済みメディアはメディア収納スタッカに収納される。書込み済みメディアがメディアドライブ内、プリンタ内、あるいは搬送経路上に残ってしまうことがないので、新たなメディアをメディアドライブに供給して、そのメディアに対するデータの書込みを行うことができる。すなわち、異常が発生してもメディア処理装置の処理動作が完全に停止あるいは中断することがなく、メディアへのデータ書込み動作を継続して行うことができる。
【0015】
例えば、メディアドライブによるCDへのデータの書込み速度は1枚あたり150秒程度、DVDへのデータの書込み速度は1枚あたり600秒程度である。これに対して、プリンタによるレーベルの印刷速度は高解像度で印刷しても1枚あたり40秒程度である。従って、メディアへのデーダ書込み動作が停止することなく行なわれれば、プリンタに発生した異常によってメディア処理装置の処理動作の全体が中止あるいは中断してしまった場合と比べて、処理時間の損失を大幅に抑制できる。
【0016】
また、本発明は、メディア作成動作中に異常が発生せずにレーベル印刷まで終了した完成メディアとデータ書込み異常やプリンタのインクニアエンド状態が発生したメディアを単一のメディア収納スタッカに収納している。異常が発生したメディアを排出するためのメディアスタッカを完成メディアを収納するメディア収納スタッカとは別に備える必要がないので、メディア処理装置の構造を簡略化して、小型化、低コスト化を図ることができる。ここで、単一のメディア収納スタッカに収納されることになる、完成メディア、書込み異常マークが印刷された状態の書込み異常メディア、印刷途中状態の書込み正常メディア、未印刷状態の書込み正常メディアは、いずれも印刷状態が異なるので、目視によって識別することができる。従って、未印刷状態の書込み正常メディアだけを取り出して、その後にレーベルを印刷して完成メディアとすることが容易にできる。また、再利用することができないデータ書込み異常メディアと印刷途中状態の書込み正常メディアとを取り出して廃棄することが容易にできる。
【0017】
また、プリンタのインク残量が所定量以下になったインクニアエンド状態が検出されると、それ以降は書込み正常メディアへのレーベル印刷を行なわないので、書込み異常マークを印刷するためのインク量を確保しておくことができる。すなわち、インクニアエンド状態に陥ったことが検出された後にメディアドライブにおいてデータ書込み異常が発生した場合でも、書込み異常メディアに書込み異常マークを印刷することが可能である。
【0018】
本発明において、前記プリンタにより前記書込み正常メディアにレーベルを印刷している途中の時点で、前記プリンタが前記インクニアエンド状態に陥ったことが検出された場合には、当該プリンタのレーベル印刷動作を強制終了させ、当該プリンタから印刷途中の前記書込み正常メディアを取り出して前記メディア収納スタッカに収納することが望ましい。レーベル印刷動作を強制終了させれば、不必要な印刷処理の継続によってインクが消費されてしまうことを防止できるので、その後にデータ書込み異常が発生した際に、書込み異常メディアに書込み異常マークを印刷するだけのインク量を確保しておくことができる。また、印刷動作が強制終了されているので印刷途中状態の書込み正常メディアとレーベルの印刷が正常に終了した状態の完成メディアとを目視によって識別し易い。
【0019】
また、本発明において、前記プリンタにより前記書込み正常メディアにレーベルを印刷している途中の時点で、前記プリンタが前記インクニアエンド状態に陥ったことが検出された場合には、印刷途中の当該書込み正常メディアに印刷が途中で終了したことを示す印刷異常マークを印刷し、当該プリンタのレーベル印刷動作を強制終了させ、当該プリンタから前記印刷異常マークが印刷された正常メディアを取り出して前記メディア収納スタッカに収納するようにしてもよい。完成メディアと印刷途中の書込み正常メディアは、印刷を中断したタイミングによっては一部の印刷データが欠落していることを目視で識別することが困難となるため、分別作業に膨大な時間を費やしてしまうという問題が発生する。そこで、印刷途中の書込み正常メディアに印刷異常マークを印刷して、その分別を容易にすることができる。
【0020】
本発明において、前記プリンタが複数種類のインクを用いてレーベルを印刷することができる多色プリンタであれば、各インクについて前記インクニアエンド状態を検出することが望ましい。
【0021】
この場合には、予め定めた一つのインクを用いて前記書込み異常マークを印刷し、前記書込み異常マークの印刷に用いられているインクについて、インクが実質的に零のインクエンド状態を検出し、当該インクがインクエンド状態に陥った後は、インクエンド状態に陥っていない残りのインクのいずれか一つを用いて前記書込み異常マークを印刷すれば、書込み異常マークを確実に印刷することができる。
【0022】
また、本発明において、前記プリンタが複数種類のインクを用いてレーベルを印刷することができる多色プリンタであれば、各インクについて前記インクニアエンド状態、および、インクの残量が実質的に零のインクエンド状態に陥ったインクエンド状態を検出し、前記プリンタにより前記書込み正常メディアにレーベルを印刷している途中の時点で、前記プリンタが前記インクニアエンド状態に陥ったことが検出された場合には、当該プリンタのレーベル印刷動作を終わりまで継続させ、前記プリンタにより前記書込み正常メディアにレーベルを印刷している途中の時点で、当該プリンタがインクエンド状態に陥ったことが検出された場合には、当該プリンタのレーベル印刷動作を強制終了させ、当該プリンタから、印刷済みあるいは印刷途中の前記書込み正常メディアを取り出して前記メディア収納スタッカに収納することもできる。
【0023】
この場合には、前記インクニアエンド状態を検出する各インクのインク残量を、1枚のメディアに対するレーベル印刷に必要なインク消費量以上のインク残量としておけば、印刷途中において一のインクにインクニアエンド状態が検出された場合でも、当該印刷途中のメディアに対する印刷を最後まで行うことができる。このような各インクのインク残量は、印刷データ量から予測することが可能である。
【0024】
また、予め定めた一つのインクを用いて前記書込み異常マークを印刷し、当該インクがインクエンド状態に陥った後は、インクエンド状態に陥っていない残りのインクのいずれか一つを用いて前記書込み異常マークを印刷することが望ましい。
【0025】
本発明において、前記インクニアエンド状態あるいは前記インクエンド状態が検出されると、その旨の警告を発して、オペレータなどに知らせることが望ましい。これらのインク供給異常状態が発生した旨の警告が発せられれば、オペレータは、単一のメディア収納スタッカに収納されているメディアの中に未印刷状態のメディアや印刷途中状態のメディアが混在していることを知ることができる。よって、メディア収納スタッカに収納されたメディアをメディア処理装置から取り出した後で、分別作業を行なう必要があることを認識できる。また、オペレータに、インクカートリッジの交換やインクの充填などの対応を促すことができる。
【0026】
ここで、前記プリンタのレーベル印刷動作を強制終了させる場合には、インクエンド状態に陥っていない残りのインクのいずれか一つを用いて当該印刷途中の書込み正常メディアに印刷が途中で終了したことを示す印刷異常マークを印刷することが望ましい。完成メディアと印刷途中の書込み正常メディアは、印刷を中断したタイミングによっては一部の印刷データが欠落していることを目視で識別することが困難な場合があるが、印刷異常マークを印刷することによって、その分別作業を容易にすることができる。
【0027】
また、前記データ書込み異常が検出されると、その旨の警告を発して、オペレータなどに知らせることが望ましい。オペレータは、警告によって単一のメディア収納スタッカに収納されているメディアの中に書込み異常メディアが混在していることを知ることができるので、メディア収納スタッカに収納されたメディアをメディア処理装置から取り出した後で、分別作業を行なう必要があることを認識できる。
【0028】
ここで、このような本発明によるメディア処理装置の駆動制御方法は、メディア処理装置のハードウエアおよびそれに搭載したファームウエアにより実現することができる。しかしながら、メディア処理装置のファームウエア、ハードウエアなどの複雑化を回避し、本発明の駆動制御方法をメディア処理装置に実行させるためには、通信回線を介して外部からメディア処理装置を駆動制御すればよい。すなわち、駆動制御装置の側に搭載したアプリケーションソフト、ドライバソフトなどによって、メディア処理装置のハードウエアの動作状態を示すステータス情報を受信するようにして、本発明の駆動制御方法に従って動作するようにメディア処理装置を駆動制御すればよい。
【0029】
次に、本発明のメディア処理装置は、メディアにデータを書込むメディアドライブと、メディアドライブにおいてデータ書込みが終わった書込み済みメディアに印刷を行なうプリンタと、メディアを排出するためのメディア収納スタッカと、前記メディアドライブのデータ書込み異常を検出するためのデータ書込み異常検出手段と、前記プリンタのインク残量が所定量以下のインクニアエンド状態に陥いったことを検出するインクニアエンド検出手段と、メディアの搬送を行なうメディア搬送機構を有し、前記プリンタは、前記書込み済みメディアが正常にデータが書込まれた書込み正常メディアである場合にはレーベルを印刷し、データ書込み異常が発生した書込み異常メディアである場合には、前記書込み済みメディアがデータ書込み異常が発生した書込み異常メディアである場合には、当該書込み異常メディアにデータ書込み異常が発生したことを示す書込み異常マークを印刷し、前記インクニアエンド状態を検出した後は、当該インクニアエンド状態が解消されるまでの間、前記プリンタは前記書込み正常メディアへのレーベルの印刷を停止し、前記メディア搬送機構は、前記書込み済みメディアを前記プリンタから前記メディア収納スタッカに収納することを特徴とする。
【0030】
本発明において、前記メディア搬送機構は、前記インクニアエンド状態が検出された後は、前記書込み正常メディアを、前記メディアドライブから前記メディア収納スタッカに収納するようにしてもよい。インクニアエンド状態が検出された後は、データ書込み異常が発生していない書込み正常メディアには、なんらの印刷も行なわなくてよい。従って、メディア搬送機構が書込み正常メディアをプリンタを経由することなくメディア収納スタッカに収納すれば、その収納動作が迅速に行なわれる。
【0031】
本発明において、前記プリンタにより前記書込み正常メディアにレーベルを印刷している途中の時点で、前記インクニアエンド状態が検出された場合には、当該プリンタはレーベル印刷動作を強制終了し、前記メディア搬送機構は当該プリンタから印刷途中の前記書込み正常メディアを取り出して前記メディア収納スタッカに収納することが望ましい。
【0032】
また、前記プリンタにより前記書込み正常メディアにレーベルを印刷している途中の時点で、前記インクニアエンド状態が検出された場合には、当該プリンタは、印刷途中の当該書込み正常メディアに印刷が途中で終了したことを示す印刷異常マークを印刷して、レーベル印刷動作を強制終了し、前記メディア搬送機構は当該プリンタから前記印刷異常マークが印刷された前記書込み正常メディアを取り出して前記メディア収納スタッカに収納するようにしてもよい。
【0033】
ここで、前記プリンタが複数種類のインクを用いてレーベルを印刷することができる多色プリンタならば、前記インクニアエンド検出手段は、各インクについて前記インクニアエンド状態を検出することが望ましい。
【0034】
この場合には、前記プリンタの各インクについて、インクの残量が実質的に零のインクエンド状態に陥ったことを検出するインクエンド検出手段を有し、前記プリンタは予め定めた一つのインクを用いて前記書込み異常マークを印刷し、当該インクのインクエンド状態が検出された後は、前記プリンタはインクエンド状態が検出されていない残りのインクのいずれか一つを用いて前記書込み異常マークを印刷すればよい。
【0035】
また、前記プリンタが複数種類のインクを用いてレーベルを印刷することができる多色プリンタならば、次のようにすることができる。すなわち、前記プリンタの各インクについて、インクの残量が実質的に零のインクエンド状態に陥ったことが検出するインクエンド検出手段を有し、前記インクニアエンド検出手段は、前記プリンタの各インクについて前記インクニアエンド状態を検出するものであり、前記プリンタにより前記書込み正常メディアにレーベルを印刷している途中の時点で、前記インクニアエンド状態に陥ったことが検出された場合には、当該プリンタはレーベル印刷動作を終了することなく継続し、前記プリンタにより前記書込み正常メディアにレーベルを印刷している途中の時点で、インクエンド状態に陥ったことが検出された場合には、当該プリンタはレーベル印刷動作を強制終了し、前記メディア搬送機構は、当該プリンタから印刷済みあるいは印刷途中の前記書込み正常メディアを取り出して前記メディア収納スタッカに収納する。
【0036】
この場合には、前記インクニアエンド状態であるか否かを検出するための基準となるインク残量を、1枚のメディアに対するレーベル印刷に必要なインク消費量以上のインク残量とすることが望ましい。
【0037】
また、前記プリンタは予め定めた一つのインクを用いて前記書込み異常マークを印刷し、当該インクのインクエンド状態が検出された後は、前記プリンタはインクエンド状態が検出されていない残りのインクのいずれか一つを用いて前記書込み異常マークを印刷することが望ましい。
【0038】
ここで、前記プリンタは、レーベル印刷動作を強制終了させる場合には、インクエンド状態に陥っていない残りのインクのいずれか一つを用いて当該印刷途中の書込み正常メディアに印刷が途中で終了したことを示す印刷異常マークを印刷し、前記メディア搬送機構は当該プリンタから前記印刷異常マークが印刷された前記書込み正常メディアを取り出して前記メディア収納スタッカに収納することが望ましい。
【0039】
さらに、前記インクニアエンド状態が検出されると警告を発するインクニアエンド状態警告手段を有していることが望ましい。
【0040】
これに加えて、前記データ書込み異常が検出されると警告を発するデータ書込み異常警告手段を有していることが望ましい。
【発明の効果】
【0041】
本発明によれば、データ書込み異常が発生した場合でも、インクニアエンド状態が発生した場合でも、書込み済みメディアはメディア収納スタッカに収納される。書込み済みメディアが、メディアドライブ内、プリンタ内、あるいは搬送経路上に残ってしまうことがないので、新たなメディアをメディアドライブに供給して、そのメディアに対するデータの書込みを行うことができる。すなわち、異常が発生してもメディア処理装置の処理動作が完全に停止あるいは中断することがなく、メディアへのデータ書込み動作を継続して行うことができる。
【0042】
また、本発明は、メディア作成動作中に異常が発生せずにレーベル印刷まで終了した完成メディアとデータ書込み異常やプリンタのインクニアエンド状態が発生したメディアを単一のメディア収納スタッカに収納している。異常が発生したメディアを排出するためのメディアスタッカを完成メディアを収納するメディア収納スタッカとは別に備える必要がない。従って、メディア処理装置の構造を簡略化して、小型化、低コスト化を図ることができる。
【0043】
ここで、完成メディア、書込み異常マークが印刷された状態の書込み異常メディア、印刷異常マークが印刷された印刷途中状態の書込み正常メディア、未印刷状態の書込み正常メディアは、いずれも単一のメディア収納スタッカに収納される。しかし、それぞれの印刷状態は異なるので、目視によって識別することができる。従って、未印刷状態の書込み正常メディアだけを取り出して、その後にレーベルを印刷して完成メディアとすることが容易である。また、再利用することができないデータ書込み異常メディアと印刷途中状態の書込み正常メディアとを取り出して廃棄することが容易にできる。
【0044】
また、プリンタのインク残量が所定量以下になったインクニアエンド状態が検出されると、それ以降は書込み正常メディアへのレーベル印刷を行なわないので、書込み異常マークおよび印刷異常マークを印刷するためのインク量を確保しておくことができる。すなわち、インクニアエンド状態が検出された後にデータ書込み異常が発生した場合でも、書込み異常メディアに書込み異常マークを印刷することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0045】
以下に、図面を参照して本発明を適用したメディア処理装置の実施の形態を説明する。
【0046】
[実施の形態1]
(構成の説明)
図1は本発明の実施の形態に係るCD/DVDパブリッシャを示す斜視図である。内部構造が分かるように、その前面の開閉扉を開くと共に、その筐体の上板部分の一部を取り外した状態で示してある。なお、本実施例ではインクジェットプリンタを使用して説明している。
【0047】
CD/DVDパブリッシャ1は、CD、DVDなどのメディアに、データの書込みとレーベルの印刷とを連続して行なうものであり、メディアを搬送するメディア搬送機構2と、メディアにデータを書込むメディアドライブ3と、メディアにレーベルを印刷するレーベルプリンタ4とを有している。また、メディアドライブ3に供給されるブランクメディア10を収納するメディア供給スタッカ5(メディア供給部)と、データの書込み、およびレーベル印刷が終了した完成メディアを収納するためのメディア収納スタッカ6とを備えている。
【0048】
詳細に説明すると、CD/DVDパブリッシャ1は筺体11を備え、この筐体11の前面には左右に開閉可能な開閉扉12、13が取り付けられている。右側の開閉扉13の下側部分は前方に迫り出した操作パネル面14となっており、ここには、メディアドライブでデータ書込み異常が発生した場合、および、レーベルプリンタ4にインクの供給異常が発生した場合にその旨の警告を発するために点滅駆動されるLEDを備えた警告表示部16(インク状態警告手段、書込み状態警告手段)が配置されている。
【0049】
筐体11内において、左側の開閉扉12の裏側には、縦方向に上側からメディア供給スタッカ5とメディア収納スタッカ6とが配置されている。各メディアスタッカ5、6は、メディアを上下方向に積層した状態で収納するものである。これらのメディアスタッカ5、6は、開閉扉12を開けて手前に引き出すことが可能であり、引き出した状態のメディア供給スタッカ5にはブランクメディアを供給あるいは補充でき、引き出した状態のメディア収納スタッカ6からは、それらに収納されているメディアを取り出すことができる。
【0050】
メディアスタッカ5、6の後方にはメディア搬送機構2が配置されている。メディア搬送機構2は、垂直ガイド軸21と、この垂直ガイド軸21に取り付けられたメディアキャリア22を備えている。メディアキャリア22は垂直ガイド軸21に沿って昇降可能であるとともに、垂直ガイド軸21を中心に旋回可能になっている。メディア搬送機構2は、メディアキャリア22の昇降および旋回の組み合わせによって、メディアドライブ3、レーベルプリンタ4、メディア供給スタッカ5およびメディア収納スタッカ6の間でメディアを搬送することができる。
【0051】
筐体11内の正面中央部の後ろ側の部位には、上側にメディアドライブ3が配置され、下側にレーベルプリンタ4が配置されている。図1では、メディアドライブ3のメディアトレイ35およびレーベルプリンタ4のメディアトレイ45が引き出された状態になっている。引き出された状態のメディアトレイ35、45の位置が、メディアドライブ3およびレーベルプリンタ4とメディア搬送機構2とのメディア受け渡し位置である。
【0052】
筐体11内における右側の開閉扉13を開けると、レーベルプリンタ4にインクを供給する複数のインクカートリッジ46が装着されたカートリッジ装着部47が配置されている。インクカートリッジ46の交換は、右側の開閉扉13を開けた状態で正面から簡単に行うことができる。
【0053】
図2はCD/DVDパブリッシャ1の主要部分の機能ブロック図である。図2に示すように、CD/DVDパブリッシャ1は、メディアドライブ3において発生するデータ書込み異常を検出するデータ書込み異常検出部31(データ書込み異常検出手段)を備えている。また、レーベルプリンタ4において異常状態を検出するプリンタ異常検出部40を備えている。前期プリンタ異常検出部40はレーベルプリンタ4のインクが実質的に無くなったインクエンド状態を検出するインクエンド検出部41(インクエンド検出手段)と、インク残量が所定量以下になったインクニアエンド状態を検出するインクニアエンド検出部42(インクニアエンド状態検出手段)とを備えている。インクエンド検出部41およびインクニアエンド検出部42は、レーベル印刷に用いられる複数のインクのそれぞれについて、インクエンド状態およびインクニアエンド状態を検出するものである。
【0054】
さらに図2を参照してCD/DVDパブリッシャ1の主要機能を説明する。まず、メディア搬送機構2は、メディア供給スタッカ5に収納されているブランクメディア10を逐次メディアドライブ3に供給する(ST1)。ブランクメディア10が供給されるとメディアドライブ3は所定のデータを書込む(ST2)。データの書込みが終了したメディア(書込み済みメディア)は、メディア搬送機構2によってレーベルプリンタ4に供給される(ST3)。
【0055】
レーベルプリンタ4では、データ書込み異常検出部31がデータ書込み異常を検出した書込み済みメディア(書込み異常メディア)には、書込み異常マークを印刷する(ST4)。書込み異常マークは9ptの「×」印である。また、データ書込み異常検出部31がデータ書込み異常を検出しなか書込み済みメディア(書込み正常メディア)には、レーベルを印刷する(ST5)。
【0056】
そして、レーベルプリンタ4におけるレーベル印刷が終了した書込み正常メディア(完成メディア)は、メディア搬送機構2によってレーベルプリンタ4からメディア収納スタッカ6に収納される(ST6)。これら一連の処理動作が、指定枚数分、あるいは、メディア供給スタッカ5に収納されているブランクメディア10が無くなるまで繰り返し行われる。
【0057】
ここで、インクニアエンド検出部42が、複数のインクのうちの一のインクがインクニアエンド状態に陥ったことを検出した後は、レーベルプリンタ4は書込み正常メディアへのレーベル印刷を行なわない。従って、メディア搬送機構2は未印刷状態の書込み正常メディア(未印刷状態メディア)をレーベルプリンタ4からメディア収納スタッカ6に収納する(ST6)。なお、インクニアエンド検出部42が、複数種類のインクのいずれかのインクのインクニアエンド状態を検出した後は、レーベルプリンタ4は書込み正常メディアへのレーベル印刷を行なわない。従って、メディア搬送機構2は未印刷状態の書込み正常メディア(未印刷状態メディア)をメディアドライブ3から、直接、メディア収納スタッカ6に収納するようにすることもできる(ST7)。
【0058】
ただし、レーベルプリンタ4においてレーベルの印刷が始まった後に、複数のインクのうちの一のインクがインクニアエンド状態に陥ったことを検出した場合には、レーベルプリンタ4はそのまま印刷を続行する。その後、当該印刷途中の書込み正常メディアの印刷が終了する前にインクエンド状態に陥ったことを検出した場合には、レーベルの印刷を強制修了し、印刷異常マークを印刷する(ST8)。印刷異常マークは30ptの「×」印である。レーベルの印刷が強制終了されると、メディア搬送機構2は、印刷途中状態の書込み正常メディア(印刷異常メディア)をレーベルプリンタ4からメディア収納スタッカ6に収納する(ST6)。
【0059】
このように、本例のCD/DVDパブリッシャ1は、メディアドライブ3においてデータ書込み異常が発生した場合でも、レーベルプリンタ4にインクニアエンド状態が発生した場合でも、書込み済みメディアはメディア収納スタッカ6に収納される。書込み済みメディアが、メディアドライブ3内、レーベルプリンタ4内、あるいは搬送経路上に残ってしまうことがないので、新たなメディアをメディアドライブ3に供給して、そのメディアに対するデータの書込みを行うことができる。すなわち、異常が発生してもCD/DVDパブリッシャ1の処理動作が完全に停止あるいは中断することがないので、処理に時間のかかるブランクメディア10へのデータの書込みを継続して行なうことができる。
【0060】
また、本例のCD/DVDパブリッシャ1は、完成メディア、書込み異常メディア、印刷異常メディアおよび未印刷状態メディアを単一のメディア収納スタッカ6に収納している。メディア排出用のメディアスタッカが1つで足りるので、装置の小型化、低コスト化を図ることができる。
【0061】
さらに、単一のメディア収納スタッカ6に収納された完成メディア、書込み異常メディア、印刷異常メディアおよび未印刷状態メディアは、いずれも印刷状態が異なるので、目視によって識別することができる。従って、未印刷状態メディアだけを取り出して、レーベルを印刷することによって完成メディアとすることができる。また、再利用することができない書込み異常メディアおよび印刷異常メディアを取り出して、廃棄することができる。
【0062】
さらに、インクニアエンド状態が検出された後は、レーベルプリンタ4でレーベル印刷を行なわないようにしているので、その後にデータ書込み異常が発生した場合でも、書込み異常メディアに書込み異常マークを印刷するだけのインク量を確保しておくことができる。
【0063】
(処理動作の説明)
図3は、CD/DVDパブリッシャ1によるメディア作成の処理動作を示すフローチャートである。このフローチャートに従ってメディア作成動作を説明する。
【0064】
まず、ステップST10で、メディア搬送機構2はメディア供給スタッカ5に収納されているブランクメディア10の有無を確認する。ブランクメディア10が無ければステップST11に移行して、メディア作成の処理動作は終了する。ブランクメディア10があれば、ステップST12に移行して、メディア搬送機構2はメディア供給スタッカ5からメディアドライブ3の引き出された状態のメディアトレイ35にブランクメディア10を搬送する。
【0065】
メディアドライブ3は、メディアを受け取ると、メディアトレイ35を内部に収納して、ステップST13のデータの書込み処理を開始する。
【0066】
データの書込みが終了すると、ステップST14に移行して、メディア搬送機構2は、書込み済みメディアをメディアドライブ3からレーベルプリンタ4の引き出された状態のメディアトレイ45へ搬送する。
【0067】
次に、ステップST15で、データ書込み異常検出部31がデータ書込み異常を検出したか否かを判定する。データ書込み異常を検出した場合には、ステップST16に移行して、書込み異常メディアに書込み異常マークを印刷し、ステップST17で、メディア搬送機構2は、書込み異常マークが印刷された書込み異常メディアをレーベルプリンタ4からメディア収納スタッカ6に収納した後、ステップST10に戻る。
【0068】
ステップST15においてデータ書込み異常検出部31がデータ書込み異常を検出しなかった場合、すなわち、データ書込みが正常であった場合には、ステップST18でプリンタ異常検出部40のインク供給異常状態を判定する。ステップST18では、複数種類のインクのうちのいずれかのインクがインクニアエンド状態でも、インクエンド状態でも、インク供給異常状態と判定する。
【0069】
ステップST18でインク供給異常状態と判定した場合には、ステップST19に移行して、書込み異常の発生を警告表示部16に表示し、ステップST20で、メディア搬送機構2は未印刷状態の書込み正常メディアをレーベルプリンタ4からメディア収納スタッカ6に収納した後、ステップST10に戻る。
【0070】
ステップST18でインク供給正常と判定した場合には、ステップST21でレーベルの印刷処理を行なう。レーベル印刷中はプリンタ異常検出部40がインクエンドおよびインクニアエンドの検出を行なっている。
【0071】
ここで、レーベルの印刷中のステップST22において、インクニアエンド検出部42がインクニアエンド状態を検出すると、ステップST23で警告表示部16にインクニアエンド状態が発生した旨を表示する。この際、レーベルプリンタ4によるレーベルの印刷を中止することなく、継続して行なう。その後、当該書込み正常メディアの印刷中に、ステップST24において、インクエンド検出部41がインクエンド状態を検出すると、ステップST25に移行する。なお、インクニアエンド状態を検出する時点の各インクのインク残量を、1枚のメディアに対するレーベル印刷に必要なインク消費量以上のインク残量としておけば、印刷中にインクニアエンド状態を検出した場合でも、当該印刷中の書込み正常メディアに対する印刷を最後まで行なうことができる。このようなインク毎のインク残量は、印刷データ量から予測することが可能である。
【0072】
ステップST25で警告表示部16にインクエンド状態が発生した旨を表示する。続いて、ステップST26で、当該印刷中のメディアに印刷異常マークを印刷し、レーベルプリンタ4によるレーベル印刷を強制終了する。このときの印刷異常マークは、インクエンドが発生していない色のインクを使用する。また、ステップST26で、印刷異常マークを印刷したメディアは印刷異常メディアとなる。続いて、ステップST27で、メディア搬送機構2は印刷異常マークが印刷された印刷異常メディアをレーベルプリンタ4からメディア収納スタッカ6に収納した後、ステップST10に戻る。
【0073】
ステップST24においてインクエンドではなかった場合には、ステップST28でレーベル印刷の終了を確認するまで、ステップST21〜ST24の処理動作を繰り返す。
【0074】
そして、ステップST28でレーベル印刷が終了したことを確認すると、ステップST29で、完成メディアをメディア搬送機構2はレーベルプリンタ4からメディア収納スタッカ6に収納した後、ステップST10に戻る。
【0075】
(作用効果の説明)
本例では、書込み異常マークが9ptの「×」印なので、書込み異常マークを印刷するためのインク量が少なくて済む。また、データ書込み異常が発生する割合は極めて低いので、実質的に書込み異常マークを印刷するためのインク量を考慮する必要性が低い。もしも、インクエンド検出部41が書込み異常マークの印刷に用いているインクがインクエンド状態となった場合でも、本例のレーベルプリンタ4は複数種類のインクを用いて印刷することができる多色プリンタなので、当該インクエンドを検出したインクとは異なる色のインクを用いて書込み異常マークを印刷することができる。また、複数種類のインクの全てが同時にインクエンド状態となる割合はきわめて低いので、使用するインクの色を変更する事で書込み異常マークを印刷することができる。なお、書込み異常マークは「×」印に限られるものではなく、また、その数や大きさも9ptに限られるものでもない。メディア収納スタッカ6に収納される他の印刷状態のメディアから目視によって識別できるマークであればよい。
【0076】
また、本例では、レーベル印刷中にインクエンド状態が発生した場合、印刷異常マークを印刷した印刷異常メディアを作成するため、完成メディアや他の異常発生メディアとの識別が容易である。また、印刷データとインクの残量を管理していれば、レーベル印刷中にインクエンドが発生する割合は低いので、実質的に印刷異常マークを印刷するためのインク量を考慮する必要性が低い。もしも、インクエンド検出部41が印刷異常マークの印刷に用いているインクがインクエンド状態となった場合でも、本例のレーベルプリンタ4は複数種類のインクを用いて印刷することができる多色プリンタなので、当該インクエンドを検出したインクとは異なる色のインクを用いて印刷異常マークを印刷することができる。また、複数種類のインクの全てが同時にインクエンド状態となる割合はきわめて低いので、使用するインクの色を変更する事で印刷異常マークを印刷することができる。なお、印刷異常マークは「×」印に限られるものではなく、その数や大きさも30ptに限られるものでもない。メディア収納スタッカ6に収納される他の印刷状態のメディアから目視によって識別できるマークであればよい。
【0077】
また、本例では、メディア搬送機構2は、ブランクメディアスタッカ5からメディアドライブ3への搬送、メディアドライブ3からレーベルプリンタ4への搬送、レーベルプリンタ4から収納用メディアスタッカ6への搬送、という決められた3つの搬送動作を繰返し行なうだけでよい。搬送パターンが決まっているので、メディア搬送機構2に搭載するファームウエアを簡略化することができる。
【0078】
さらに、本例では、レーベルプリンタ4による書込み正常メディアに対するレーベル印刷開始の時点で、複数種類のインクのうちいずれかのインクのインクニアエンド状態あるいはインクエンド状態であるか否かを判定し、いずれかの状態であった場合は、レーベル印刷をせずメディア収納スタッカに収納しているので、完成メディアや他の異常メディアとは、目視によって容易に識別できる。
【0079】
また、レーベルプリンタ4でのレーベルの印刷中にインクエンド状態を検出した場合には、印刷異常マークの印刷後にレーベルの印刷動作を強制終了させるので、不必要な印刷の継続によってインクを浪費することがない。
【0080】
さらに、本例では、インクニアエンド状態が発生した場合には、警告表示部16のLEDを点灯させてその旨を表示している。このような警告が発せられれば、オペレータは、メディア収納スタッカ6に収納されているメディアの中に未印刷状態の書込み正常メディアや印刷異常メディアが混在していることを知ることができる。従って、メディア収納スタッカ6に収納されたメディアをCD/DVDパブリッシャ1から取り出した後で、分別作業が必要であることを認識できる。さらに、オペレータに、インクカートリッジ46の交換などの対応を促すことができる。また、データ書込み異常が検出された場合にも、警告表示部16のLEDを点灯させてその旨を表示している。オペレータは警告によってメディア収納スタッカ6に収納されているメディアの中に書込み異常メディアが存在していることを知ることができるので、メディア収納スタッカ6に収納されたメディアをCD/DVDパブリッシャ1から取り出した後で、分別作業を行なう必要があることを認識できる。
【0081】
また、本例では、カートリッジ装着部47にインクカートリッジ46が装着されていない状態を検出するようにしてもよい。この場合には、インクエンドを検出した場合の処理動作と同様の処理動作を行なえばよい。
【0082】
さらに、本例では、メディア供給スタッカ5からブランクメディア10を搬送してデータの書込みを行なっていたが、供給されるメディアはブランクメディア10に限られるものではない。データ書込み領域の一部分に既にデータが書込まれている追記型或いは書き換え型のメディアをメディア供給スタッカ5に収納しておいて、それらに所定のデータを書込むこともできる。
【0083】
また、レーベルプリンタ4としてインクジェットプリンタを用いていたが、レーベルプリンタ4としては、レーザプリンタなどトナーインクを用いてレーベルの印刷を行なうプリンタであってもよい。
【0084】
(実施の形態1の変形例)
実施の形態1では、メディア搬送機構2によってメディアドライブ3からレーベルプリンタ4に書込み済みメディアを搬送した後に、メディアドライブ3におけるデータ書込み異常を検出していたが、書込み済みメディアをレーベルプリンタ4に搬送する前に、データ書込み異常検出部31がデータ書込み異常を検出するようにしてもよい。
【0085】
このような処理動作を図4のフローチャートを参照して説明する。実施の形態1とは、ステップST13からステップST21に至る間の処理動作が異なっているが、他の処理動作は同一であるので同一の符号を付してその説明を省略する。
【0086】
本例では、ステップST13において、メディアドライブ3によるデータの書込みが終了すると、ステップST30に移行して、まず、データ書込み異常検出部31がデータ書込み異常を検出したか否かを判定する。
【0087】
データ書込み異常を検出した場合には、ステップST31に移行して、メディア搬送機構2が書込み異常メディアをレーベルプリンタ4の引き出された状態のメディアトレイ45に搬送し、ステップST32で書込み異常マークを印刷する。
【0088】
そして、ステップST33に移行して、メディア搬送機構2が、書込み異常マークが印刷された書込み異常メディアをレーベルプリンタ4からメディア収納スタッカ6に収納した後、ステップST10に戻る。
【0089】
ステップST30において、データ書込みが正常であった場合には、ステップST34でインク供給異常状態であるか否かを判定する。ステップST34では、複数種類のインクのうちいずれかのインクがインクニアエンド状態でも、インク供給異常状態と判定する。
【0090】
ステップST34でインク供給異常状態と判定した場合には、ステップST35に移行して、書込み異常の発生が警告表示部16に表示し、ステップST36で、メディア搬送機構2が、未印刷状態の書込み正常メディアをメディアドライブ3からメディア収納スタッカ6に収納した後、ステップST10に戻る。
【0091】
ステップST34でインク供給正常と判定した場合には、ステップST37で、メディア搬送機構2は、書込み正常メディアをメディアドライブ3からレーベルプリンタ4の引き出された状態のメディアトレイ45に搬送する。その後、ステップ21に移行して、レーベルプリンタ4は書込み正常メディアにレーベルの印刷を行なう。
【0092】
本例によれば、書込み正常メディアをレーベルプリンタ4に搬送する前にプリンタ異常検出部40がインク供給異常状態を検出した場合には、メディア搬送機構2が書込み正常メディアをメディアドライブ3からメディア収納スタッカ6に直接収納する。なんらの印刷も行なう必要がない書込み正常メディアはレーベルプリンタ4を経由させることなくメディア収納スタッカ6に収納されるので、その収納動作が効率的に行なわれる。
【0093】
[実施の形態2]
前記の例では、CD/DVDパブリッシャ1のメディアドライブ3、レーベルプリンタ4、メディア搬送機構2は、その駆動をCD/DVDパブリッシャ1に搭載しているファームウエアで自動判別制御を行なうようにしていたが、CD/DVDパブリッシャ1に通信可能に接続された駆動制御装置からその駆動を制御して、前記の例と同様のメディア発行の処理を行なうこともできる。この場合には、駆動制御装置の側に搭載したアプリケーションソフトやドライバソフトなどによって、メディア作成装置に指令を与えると共に、メディア作成装置からのハードウエアの動作状態を示すステータス情報を監視するようにして、メディア作成装置を駆動制御すればよい。
【0094】
(構成の説明)
図5はこのように構成されたメディア作成システムの一例を示すブロック図である。本例のメディア作成システム100は、駆動制御装置70とCD/DVDパブリッシャ1Aとを備えている。駆動制御装置70はCD/DVDパブリッシャ1Aとの間で通信可能に接続されたコンピュータであり、CD/DVDパブリッシャ1Aを駆動制御するためのアプリケーションソフトが動作している。CD/DVDパブリッシャ1Aの基本的な構成は実施の形態1のCD/DVDパブリッシャ1と同様であり、対応する部位には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0095】
駆動制御装置70は、CD/DVDパブリッシャ1Aとの間で行なわれる制御指令やステータス情報等の送受信に用いられるインタフェース71と、インタフェース71で受信した情報を処理するデータ受信部72と、CD/DVDパブリッシャ1Aのレーベルプリンタ4のインク供給異常状態を監視するインク供給状態監視部73と、メディアドライブ3のデータ書込み異常を監視するデータ書込み状態監視部74と、メディア供給スタッカ5のディスクの残量などを監視するスタッカ状態監視部75と、CD/DVDパブリッシャ1Aを駆動制御するための各種の制御指令を生成する指令生成部81〜84と、生成した制御指令を送信するデータ送信部78と、これら各部を制御する駆動制御部79とを備えている。
【0096】
指令生成部81〜84は、メディア搬送機構2を駆動制御してメディアを指定位置から指定位置まで搬送するための制御指令を生成する搬送指令生成部81、メディアドライブ3を駆動制御して、ブランクメディア10に所定のデータを書込むための書込み指令を生成する書込み処理指令生成部82、レーベルプリンタ4を駆動制御して書込み済みメディアに所定のレーベル印刷や異常マークをするための印刷指令を生成するための印刷処理指令生成部83、およびCD/DVDパブリッシャ1Aの動作状態を監視するための各種の情報を取得する情報取得指令を生成する情報取得指令生成部84である。
【0097】
一方、CD/DVDパブリッシャ1Aは、駆動制御装置70との間で行なわれる制御指令やステータス情報の送受信に用いられるインタフェース91と、インタフェース91で受信した指令を処理するデータ受信部92と、駆動制御装置70にパブリッシャ側の情報を生成し通知する情報通知部94〜96と、生成した情報を送信するデータ送信部97と、これら各部およびメディア搬送機構2、メディアドライブ3およびレーベルプリンタ4を制御する制御部93とを備えている。
【0098】
情報通知部94〜96は、データ書込み異常検出部31が検出したデータ書込み異常を通知する書込み情報通知部94、プリンタ異常検出部40が検出したインクエンド状態およびインクニアエンド状態を制御部93に通知するインク情報通知部95、メディア供給スタッカ5に収納されているメディアの残量などを制御部93に通知するスタッカ情報通知部96である。
【0099】
(処理動作の説明)
次に、図6は駆動制御装置70の処理動作を示すフローチャートである。このフローチャートに従って説明する。まず、ステップST101で、スタッカ状態監視部75がメディア供給スタッカ5に収納されているブランクメディア10の残量を取得する。ステップST102でブランクメディア10が無ければステップST103に移行して、メディア作成の処理動作を終了する。ブランクメディア10があればステップST104に移行して、搬送指令生成部81がメディア供給スタッカ5からメディアドライブ3にブランクメディア10を搬送する搬送指令を生成し、データ送信部78によって送信する。
【0100】
次に、ステップST105で、書込み処理指令生成部82がブランクメディア10にデータの書込みを行なう書込み処理指令を生成し、データ送信部78によって送信する。次に、ステップST106で、メディアドライブ3からレーベルプリンタ4へ書込み済みメディアを搬送する搬送指令を生成し、データ送信部78によって送信する。
【0101】
ステップST107で、データ書込み状態監視部74が、データ書込み異常が発生したか否かを取得してステップST108に移行する。
【0102】
ステップST108でデータ書込み異常を取得した場合には、ステップST109に移行して、データ書込み異常が発生したことを駆動制御装置70のディスプレイ等に表示する。続くステップST110で、印刷処理指令生成部83は、書込み異常マークの印刷を行なう印刷処理指令を生成し、データ送信部78によって送信する。次に、ステップST111で、搬送指令生成部81は、書込み異常メディアをレーベルプリンタ4からメディア収納スタッカ6に搬送する搬送指令を生成し、データ送信部78によって送信した後、ステップST101に戻る。
【0103】
ステップST108でデータ書込み正常を取得した場合には、ステップST112でインク供給状態監視部73がインク供給に異常が発生しているか否かを取得して、ステップST113に移行する。ステップST113では、インクニアエンド検出部42が複数種類のインクのうちいずれかのインクのインクニアエンドを取得した場合も、インクエンドを取得した場合にも、いずれの場合もインク供給異常状態として判定する。
【0104】
ステップST113でインク供給異常状態を取得した場合には、ステップST114に移行して、インク供給異常状態が発生したことを駆動制御装置70のディスプレイ等に表示する。続くステップST115で、搬送指令生成部81は、レーベルが未印字状態の書込み正常メディアをレーベルプリンタ4からメディア収納スタッカ6に搬送する搬送指令を生成し、データ送信部78によって送信した後、ステップST101に戻る。
【0105】
ステップST113でインク供給正常を取得した場合には、ステップST116に移行して、印刷処理指令生成部83が書込み正常メディアにレーベルの印刷を行なう印刷処理指令を生成し、データ送信部78によって送信する。レーベル印刷中はメディア作成装置のプリンタ異常検出部40がインクエンドおよびインクニアエンドの検出を行なっている。次に、ステップST117でインク供給状態監視部73がインク供給に異常が発生しているか否かを取得してステップST118に移行する。本例では、インクニアエンド検出部42が、複数種類のインクのうちいずれかのインクのインクニアエンドを取得した場合も、インクエンドを取得した場合にも、いずれの場合もインク供給異常状態として判定する。
【0106】
ステップST118でインク供給異常状態を取得した場合には、ステップST119に移行して、印刷異常が発生したことを駆動制御装置70のディスプレイ等に表示する。続くステップST120で、印刷処理指令生成部83は、印刷異常マークの印刷を行なう印刷処理指令を生成し、データ送信部78によって送信する。続くステップST121で、搬送指令生成部81は、印刷が未完成の印刷異常メディアをレーベルプリンタ4からメディア収納スタッカ6に搬送する搬送指令を生成し、データ送信部78によって送信した後、ステップST101に戻る。
【0107】
ステップST118でインク供給正常を取得した場合には、ステップST122でレーベル印刷の終了を確認するまでステップST116〜ST118を繰り返す。ステップST122でレーベル印刷の終了を確認するとステップST123に移行して、搬送指令生成部81は、完成メディアをレーベルプリンタ4からメディア収納スタッカ6に搬送する搬送指令を生成し、データ送信部78によって送信した後、ステップST101に戻る。
【0108】
次に、図7はCD/DVDパブリッシャ1Aの処理動作を示すフローチャートである。このフローチャートに従って説明する。
【0109】
ステップST201でCD/DVDパブリッシャ1Aは駆動制御装置70からの制御指令の有無を確認する。駆動制御装置70からの制御指令が有る場合はステップST202に移行し、制御指令が無い場合はステップST210に移行する。
【0110】
ステップST202で搬送指令であった場合、ステップST203に移行して、メディア搬送機構2を制御した後、ステップST201に戻る。メディア搬送機構2の制御とは、駆動制御装置70のステップST104で生成された搬送指令の場合はメディア供給スタッカ5からメディアドライブ3にブランクメディア10を搬送する。ステップST106で生成された搬送指令の場合はメディアドライブ3からレーベルプリンタ4に書込み済みメディアを搬送する。ステップST111、ステップST115、ステップST121、ステップST123で生成された搬送指令の場合は、レーベルプリンタ4からメディア収納スタッカ6に書込み異常メディア、未印刷状態の書込み正常メディア、印刷異常メディア、完成メディアを搬送する。
【0111】
ステップST204で、駆動制御装置70のステップST105で生成された書込み処理指令であった場合、ステップST205に移行して、メディアドライブ3を駆動して、所定のデータの書込み処理を行なった後、ステップST201に戻る。
【0112】
ステップST206で、印刷処理指令であった場合、ステップST207に移行して、レーベルプリンタ4を制御した後、ステップST201に戻る。レーベルプリンタ4の制御とは、駆動制御装置70のステップST110で生成された印刷処理指令の場合は書込み異常マークの印刷を行なう。駆動制御装置70のステップST116で生成された印刷処理指令の場合はレーベル印刷を行なう。駆動制御装置70のステップST120で生成された印刷処理指令の場合は印刷異常マークの印刷を行なう。
【0113】
ステップST208で、駆動制御装置70の情報取得指令生成部84が生成した情報取得指令であった場合、ステップST209に移行して指定された情報の送信を行なった後、ステップST201に戻る。
【0114】
次に、ステップST210では、インクニアエンド検出部42がインクニアエンド状態を検出すると、ステップST211に移行して、警告表示部16にインクニアエンド状態が発生した旨の警告を表示する。続いて、ステップST212に移行して、インクエンド状態を監視する。
【0115】
ステップST212では、インクエンド検出部41がインクエンド状態を検出すると、警告表示部16にインクエンド状態が発生した旨の警告を表示する。ステップST214で、インクエンドの状態が継続している場合、ステップST201に戻る。一方、オペレータによって、インクの充填やインクカートリッジ46の交換が行なわれたことにより、ステップST214で、インクエンド状態で無くなると、ステップST215で警告表示部16の表示を解除する。
【0116】
(作用効果の説明)
実施の形態2に係るメディア作成システムによっても、実施の形態1と同様な作用効果を得ることができる。
【0117】
これに加えて、CD/DVDパブリッシャ1Aは、駆動制御装置70からの指令によって動作するので、CD/DVDパブリッシャ1Aの自動制御動作や、その設定処理が不要となるため、搭載するファームウエアを簡略化することができる。
【0118】
なお、本例では、レーベル印刷中に、複数種類のインクのうちいずれかのインクのインクニアエンド状態を検出した後は、インク供給異常状態を検出したものとしてレーベルの印刷を強制的に停止して、印刷異常マークを印刷した印刷異常メディアをメディア収納スタッカ6に収納しているが、実施の形態1のように、インクエンド状態が検出されるまで当該書込み正常メディアへのレーベルの印刷を継続してもよい。また、実施の形態1の変形例のように、書込み済みメディアをレーベルプリンタ4に搬送する前に、データ書込み異常検出部31がデータ書込み異常を検出して、書込み正常メディアをメディアドライブ3からメディア収納スタッカ6へ搬送するようにすることもできる。いずれの場合にも、駆動制御装置70からの制御指令によって、その処理を柔軟に変更できる。
【0119】
また、本例のレーベルプリンタ4は複数種類のインクを用いて印刷することができる多色プリンタなので、インクエンド検出部41が書込み異常マークや印刷異常マークの印刷に用いているインクのインクエンド状態を検出した場合には、当該インクエンドを検出したインクとは異なる色のインクを用いて書込み異常マークや印刷異常マークを印刷すれば、書込み異常マークや印刷異常マークの印刷を確実に行なうことができる。この場合にも、駆動制御装置70からの制御指令によって、書込み異常マークや印刷異常マークの印刷に用いるインクを変更すればよい。
【0120】
また、本例では、インクニアエンド状態およびインクエンド状態を検出した場合には、駆動制御装置70のディスプレイおよびCD/DVDパブリッシャ1Aの警告表示部16にその旨を表示している。このような警告が発せられれば、オペレータは、メディア収納スタッカ6に収納されているメディアの中に未印刷状態の書込み正常メディアや印刷異常メディアが混在していることを知ることができる。従って、メディア収納スタッカ6に収納されたメディアをCD/DVDパブリッシャ1Aから取り出した後で、分別作業が必要であることを認識できる。さらに、オペレータに、インクカートリッジ46の交換などの対応を促すことができる。また、データ書込み異常が検出された場合にも、駆動制御装置70のディスプレイおよび警告表示部16のLEDを点灯させてその旨の警告している。オペレータは警告によってメディア収納スタッカ6に収納されているメディアの中に書込み異常メディアが存在していることを知ることができるので、メディア収納スタッカ6に収納されたメディアをCD/DVDパブリッシャ1Aから取り出した後で、分別作業を行なう必要があることを認識できる。
【0121】
また、本例ではCD/DVDパブリッシャ1Aに予め用意されていた所定のデータをブランクメディア10に書込んでいるが、駆動制御装置70の側に書込み用のデータを用意しておいて、書込み処理指令より前にCD/DVDパブリッシャ1Aに転送した後に、メディア作成の処理動作を開始してもよい。また、レーベルプリンタ4が印刷するレーベルのデータについても、同様に処理することができる。
【0122】
さらに、本例ではメディア供給スタッカ5にあるブランクメディア10の残量を通知するスタッカ情報通知部96を備えているので、ここから通知される情報に基づいて駆動制御装置70のディスプレイにブランクメディア10の枚数を常時表示するようにすることもできる。
【0123】
また、インク供給異常状態としてインクニアエンドおよびインクエンドを検出していたが、カートリッジ装着部47にインクカートリッジ46が装着されていない状態をインク供給異常として検出してもよい。また、プリンタ異常検出部40が検出する異常はインク供給異常状態に限られるものではなく、プリンタのハードウェアに発生した異常を検出するものであってもよい。いずれの場合にも、インクエンドを検出した場合の処理動作と同様の処理動作を行なうようにすることができる。
【0124】
さらには、メディア供給スタッカ5からブランクメディア10を搬送してデータの書込みを行なっていたが、供給されるメディアはブランクメディアに限られるものではない。データ書込み領域の一部分に既にデータが書込まれている追記型或いは書き換え型のメディアをメディア供給スタッカ5に収納しておいて、それらに所定のデータを書込むこともできる。
【0125】
また、レーベルプリンタ4としてインクジェットプリンタを用いていたが、レーベルプリンタとしては、レーザプリンタなどトナーインクを用いてレーベルの印刷を行なうプリンタであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0126】
【図1】本発明を適用したCD/DVDパブリッシャの斜視図である。
【図2】CD/DVDパブリッシャの機能ブロック図である。
【図3】CD/DVDパブリッシャの処理動作を示すフローチャートである。
【図4】図3に示したCD/DVDパブリッシャの変形例の処理動作を示すフローチャートである。
【図5】本発明を適用したメディア処理システムのブロック図である。
【図6】メディア処理システムの駆動制御装置の制御動作を示すフローチャートである。
【図7】メディア処理システムのCD/DVDパブリッシャの処理動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0127】
1,1A・CD/DVDパブリッシャ、2・メディア搬送機構、3・メディアドライブ、4・レーベルプリンタ、5・メディア供給スタッカ、6・メディア収納スタッカ、10・ブランクメディア、11・筺体、12,13・開閉扉、14・操作パネル面、16・警告表示部、21・垂直ガイド軸、22・メディアキャリア、31・データ書込み異常検出部、35,45・メディアトレイ、40・プリンタ異常検出部、41・インクエンド検出部、42・インクニアエンド検出部、46・インクカートリッジ、47・カートリッジ装着部、70・駆動制御装置、71,91・インタフェース、72,92・データ受信部、73・インク供給状態監視部、74・データ書込み状態監視部、75・スタッカ状態監視部、78,97・データ送信部、79・駆動制御部、81・搬送指令生成部、82・書込み処理指令生成部、83・印刷処理指令生成部、84・情報取得指令生成部、93・制御部、94・書込み情報通知部、95・インク情報通知部、96・スタッカ情報通知部、100・メディア処理システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メディア供給部からメディアドライブにメディアを供給し、
当該メディアドライブによって前記メディアにデータを書込み、
データ書込み後の書込み済みメディアをプリンタに供給し、
前記書込み済みメディアが正常にデータが書込まれた書込み正常メディアである場合には、当該書込み正常メディアにレーベルを印刷し、
前記書込み済みメディアがデータ書込み異常が発生した書込み異常メディアである場合には、当該書込み異常メディアにデータ書込み異常が発生したことを示す書込み異常マークを印刷し、
前記レーベル印刷あるいは前記書込み異常マークが印刷された後の印刷済みメディアをメディア収納スタッカに収納し、
前記プリンタのインク残量が所定量以下のインクニアエンド状態に陥ったことが検出された後は、当該インクニアエンド状態が解消されるまでの間、前記書込み正常メディアを、前記レーベルを印刷することなく前記メディア収納スタッカに収納することを特徴とするメディア処理装置の駆動制御方法。
【請求項2】
請求項1において、
前記プリンタにより前記書込み正常メディアにレーベルを印刷している途中の時点で、前記プリンタが前記インクニアエンド状態に陥ったことが検出された場合には、当該プリンタのレーベル印刷動作を強制終了させ、
当該プリンタから印刷途中の前記書込み正常メディアを取り出して前記メディア収納スタッカに収納することを特徴とするメディア処理装置の駆動制御方法。
【請求項3】
請求項1において、
前記プリンタにより前記書込み正常メディアにレーベルを印刷している途中の時点で、前記プリンタが前記インクニアエンド状態に陥ったことが検出された場合には、印刷途中の当該書込み正常メディアに印刷が途中で終了したことを示す印刷異常マークを印刷し、当該プリンタのレーベル印刷動作を強制終了させ、
当該プリンタから前記印刷異常マークが印刷された正常メディアを取り出して前記メディア収納スタッカに収納することを特徴とするメディア処理装置の駆動制御方法。
【請求項4】
請求項1ないし3のうちのいずれかの項において、
前記プリンタは複数種類のインクを用いてレーベルを印刷することができる多色プリンタであり、
各インクについて前記インクニアエンド状態を検出することを特徴とするメディア処理装置の駆動制御方法。
【請求項5】
請求項4において、
予め定めた一つのインクを用いて前記書込み異常マークを印刷し、
前記書込み異常マークの印刷に用いられているインクについて、インクが実質的に零のインクエンド状態を検出し、当該インクがインクエンド状態に陥った後は、インクエンド状態に陥っていない残りのインクのいずれか一つを用いて前記書込み異常マークを印刷することを特徴とするメディア処理装置の駆動制御方法。
【請求項6】
請求項1において、
前記プリンタは複数種類のインクを用いてレーベルを印刷することができる多色プリンタであり、
各インクについて前記インクニアエンド状態、および、インクの残量が実質的に零のインクエンド状態に陥ったインクエンド状態を検出し、
前記プリンタにより前記書込み正常メディアにレーベルを印刷している途中の時点で、前記プリンタが前記インクニアエンド状態に陥ったことが検出された場合には、当該プリンタのレーベル印刷動作を終わりまで継続させ、
前記プリンタにより前記書込み正常メディアにレーベルを印刷している途中の時点で、当該プリンタがインクエンド状態に陥ったことが検出された場合には、当該プリンタのレーベル印刷動作を強制終了させ、
当該プリンタから、印刷済みあるいは印刷途中の前記書込み正常メディアを取り出して前記メディア収納スタッカに収納することを特徴とするメディア処理装置の駆動制御方法。
【請求項7】
請求項6において、
前記インクニアエンド状態であるか否かを検出するための基準となるインク残量を、1枚のメディアに対するレーベル印刷に必要なインク消費量以上のインク残量としたことを特徴とするメディア処理装置の駆動制御方法。
【請求項8】
請求項6または7において、
予め定めた一つのインクを用いて前記書込み異常マークを印刷し、
当該インクがインクエンド状態に陥った後は、インクエンド状態に陥っていない残りのインクのいずれか一つを用いて前記書込み異常マークを印刷することを特徴とするメディア処理装置の駆動制御方法。
【請求項9】
請求項6ないし8のうちのいずれかの項において、
前記プリンタのレーベル印刷動作を強制終了させる場合には、インクエンド状態に陥っていない残りのインクのいずれか一つを用いて当該印刷途中の書込み正常メディアに印刷が途中で終了したことを示す印刷異常マークを印刷することを特徴とするメディア処理装置の駆動制御方法。
【請求項10】
請求項1ないし9のうちのいずれかの項において、
前記インクニアエンド状態あるいは前記インクエンド状態が検出されると、その旨の警告を発することを特徴とするメディア処理装置の駆動制御方法。
【請求項11】
請求項1ないし10のうちのいずれかの項において、
前記データ書込み異常が検出されると、その旨の警告を発することを特徴とするメディア処理装置の駆動制御方法。
【請求項12】
請求項1ないし11のうちのいずれかの方法によりメディア処理装置を駆動制御する駆動制御装置であって、
通信回線を介して外部から前記メディア処理装置を駆動制御することを特徴とするメディア処理装置の駆動制御装置。
【請求項13】
メディアにデータを書込むメディアドライブと、
メディアドライブにおいてデータ書込みが終わった書込み済みメディアに印刷を行なうプリンタと、
メディアを排出するためのメディア収納スタッカと、
前記メディアドライブのデータ書込み異常を検出するためのデータ書込み異常検出手段と、
前記プリンタのインク残量が所定量以下のインクニアエンド状態に陥いったことを検出するインクニアエンド検出手段と、
メディアの搬送を行なうメディア搬送機構を有し、
前記プリンタは、前記書込み済みメディアが正常にデータが書込まれた書込み正常メディアである場合にはレーベルを印刷し、データ書込み異常が発生した書込み異常メディアである場合には、前記書込み済みメディアがデータ書込み異常が発生した書込み異常メディアである場合には、当該書込み異常メディアにデータ書込み異常が発生したことを示す書込み異常マークを印刷し、前記インクニアエンド状態を検出した後は、当該インクニアエンド状態が解消されるまでの間、前記プリンタは前記書込み正常メディアへのレーベルの印刷を停止し、
前記メディア搬送機構は、前記書込み済みメディアを前記プリンタから前記メディア収納スタッカに収納することを特徴とするメディア処理装置。
【請求項14】
請求項13において、
前記メディア搬送機構は、前記インクニアエンド状態が検出された後は、前記書込み正常メディアを、前記メディアドライブから前記メディア収納スタッカに収納することを特徴とするメディア処理装置。
【請求項15】
請求項13または14において、
前記プリンタにより前記書込み正常メディアにレーベルを印刷している途中の時点で、前記インクニアエンド状態が検出された場合には、当該プリンタはレーベル印刷動作を強制終了し、前記メディア搬送機構は当該プリンタから印刷途中の前記書込み正常メディアを取り出して前記メディア収納スタッカに収納することを特徴とするメディア処理装置。
【請求項16】
請求項13または14において、
前記プリンタにより前記書込み正常メディアにレーベルを印刷している途中の時点で、前記インクニアエンド状態が検出された場合には、当該プリンタは、印刷途中の当該書込み正常メディアに印刷が途中で終了したことを示す印刷異常マークを印刷して、レーベル印刷動作を強制終了し、
前記メディア搬送機構は当該プリンタから前記印刷異常マークが印刷された前記書込み正常メディアを取り出して前記メディア収納スタッカに収納することを特徴とするメディア処理装置。
【請求項17】
請求項13ないし16のうちのいずれかの項において、
前記プリンタは複数種類のインクを用いてレーベルを印刷することができる多色プリンタであり、
前記インクニアエンド検出手段は、各インクについて前記インクニアエンド状態を検出することを特徴とするメディア処理装置の駆動制御方法。
【請求項18】
請求項17において、
前記プリンタの各インクについて、インクの残量が実質的に零のインクエンド状態に陥ったことを検出するインクエンド検出手段を有し、
前記プリンタは予め定めた一つのインクを用いて前記書込み異常マークを印刷し、当該インクのインクエンド状態が検出された後は、前記プリンタはインクエンド状態が検出されていない残りのインクのいずれか一つを用いて前記書込み異常マークを印刷することを特徴とするメディア処理装置。
【請求項19】
請求項13または14において、
前記プリンタは複数種類のインクを用いてレーベルを印刷することができる多色プリンタであり、
前記プリンタの各インクについて、インクの残量が実質的に零のインクエンド状態に陥ったことが検出するインクエンド検出手段を有し、
前記インクニアエンド検出手段は、前記プリンタの各インクについて前記インクニアエンド状態を検出するものであり、
前記プリンタにより前記書込み正常メディアにレーベルを印刷している途中の時点で、前記インクニアエンド状態に陥ったことが検出された場合には、当該プリンタはレーベル印刷動作を終了することなく継続し、
前記プリンタにより前記書込み正常メディアにレーベルを印刷している途中の時点で、インクエンド状態に陥ったことが検出された場合には、当該プリンタはレーベル印刷動作を強制終了し、前記メディア搬送機構は、当該プリンタから印刷済みあるいは印刷途中の前記書込み正常メディアを取り出して前記メディア収納スタッカに収納することを特徴とするメディア処理装置。
【請求項20】
請求項19において、
前記インクニアエンド状態であるか否かを検出するための基準となるインク残量を、1枚のメディアに対するレーベル印刷に必要なインク消費量以上のインク残量としたことを特徴とするメディア処理装置。
【請求項21】
請求項19または20において、
前記プリンタは予め定めた一つのインクを用いて前記書込み異常マークを印刷し、当該インクのインクエンド状態が検出された後は、前記プリンタはインクエンド状態が検出されていない残りのインクのいずれか一つを用いて前記書込み異常マークを印刷することを特徴とするメディア処理装置。
【請求項22】
請求項19ないし21のうちのいずれかの項において、
前記プリンタは、レーベル印刷動作を強制終了させる場合には、インクエンド状態に陥っていない残りのインクのいずれか一つを用いて当該印刷途中の書込み正常メディアに印刷が途中で終了したことを示す印刷異常マークを印刷し、前記メディア搬送機構は当該プリンタから前記印刷異常マークが印刷された前記書込み正常メディアを取り出して前記メディア収納スタッカに収納することを特徴とするメディア処理装置。
【請求項23】
請求項13ないし22のうちのいずれかの項において、
前記インクニアエンドあるいは前記インクエンドが検出されると、その旨の警告を発するインク状態警告手段を有することを特徴とするメディア処理装置。
【請求項24】
請求項13ないし23のうちのいずれかの項において、
前記データ書込み異常が検出されると、その旨の警告を発する書込み状態警告手段を有することを特徴とするメディア処理装置の駆動制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−119941(P2008−119941A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−306256(P2006−306256)
【出願日】平成18年11月13日(2006.11.13)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】