説明

メディア装置、メディア装置の制御方法及びプログラム

【課題】記録時及び再生時の向きがユーザにより変更される場合にも、記録した音声または映像が正しい向きで再生されるメディア装置、メディア装置の制御方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】複数のマイクロホン13は相互に離間して配置されている。検出部14は自機の向きを検出する。音声信号割当部200は、検出部14による検出結果に基づき、前記複数のマイクロホン13より取得した音声信号を複数の音声チャンネルに割当てる。記憶部17は、音声信号割当部200により割当てられた音声信号を記録する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音声または映像の記録及び再生を行うメディア装置、メディア装置の制御方法及びプログラムに関し、詳しくは向きを適宜変更して使用されるメディア装置、メディア装置の制御方法及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
小型の録音装置や録画装置が普及しており、録音再生または録画再生専用の装置に限らず、携帯型メディア装置やスマートフォン、PDA(Personal Digital Assistant)等においても録音再生機能や録画再生機能が付与されている。これらの装置においては、録音用にステレオマイクが備えられていることもあり、ステレオマイクは装置の筐体に所定の間隔を隔てて配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−180857号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術は、表示パネルと操作部とを1つの面に配備した携帯端末機器であって、機器の持ち方を検出し、検出した向きに合わせて表示パネルの画像を表示する装置が開示されている。このような装置においては、録画したファイルを再生する際に、画像についてはユーザの使用向きに合わせて表示されるが、画像に伴って記録されているステレオ音声の左右向きについては、装置の使用向きによっては左右が逆になってしまう。
【0005】
本発明の目的は、記録時及び再生時の向きがユーザにより変更される場合にも、記録した音声または映像が正しい向きで再生されるメディア装置、メディア装置の制御方法及びプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、第1の発明に係るメディア装置(1)は、相互に離間して配置されている複数のマイクロホン(13)、自機の向きを検出する検出部(14)、前記検出部(14)による検出結果に基づき、前記複数のマイクロホン(13)より取得した音声信号を複数の音声チャンネルに割当てる音声信号割当部(200)、前記音声信号割当部(200)により割当てられた音声信号を記録する記憶部(17)を備えることを特徴とする。
【0007】
第2の発明に係るメディア装置(1)は、第1の発明において、前記複数のマイクロホン(13)は2つのマイクロホンであり、前記音声信号割当部(200)は、前記2つのマイクロホン(13)により取得した音声信号を右チャンネルおよび左チャンネルに割当てる。
【0008】
第3の発明に係るメディア装置(1)は、第2の発明において、前記検出部(14)は、自機の上下向きを検出し、前記音声信号割当部(200)は、前記検出部(14)において自機の向きが上下逆向きであることが検出された場合、前記2つのマイクロホン(13)により取得した音声信号を左右逆のチャンネルに割当てる。
【0009】
第4の発明に係るメディア装置(1)は、第1から第3のいずれか1の発明において、映像を撮影する撮像部(19)、前記撮像部(19)により取得した映像信号の処理を行う映像データ処理部(220)、をさらに備え、前記映像データ処理部(220)は、前記検出部(14)による検出結果に基づき、前記撮像部(19)により取得した映像信号の向きを変更する処理を行い、前記記憶部(17)は、前記音声信号に加えて前記映像データ処理部(220)により処理された映像信号を記録する。
【0010】
第5の発明に係るメディア装置(1)は、第4の発明において、前記映像データ処理部(220)は、前記検出部(14)において自機の向きが上下逆向きであることが検出された場合、前記撮像部(19)により取得した映像信号の向きを上下逆に変更する処理を行う。
【0011】
第6の発明に係るメディア装置(1)の制御方法は、自機の向きを検出する検出ステップ、前記検出ステップにおける検出結果に基づき、複数のマイクロホン(13)により取得した音声信号を複数の音声チャンネルに割当てる音声信号割当てステップ、前記音声信号割当てステップにより割当てられた音声信号を記録する記録ステップ、を備えることを特徴とする。
【0012】
第7の発明に係るプログラムは、メディア装置(1)が備えるコンピュータを、 自機の向きを検出する検出部(14)からの信号に基づき自機の向きを判断させる向き判断ステップ、前記向き判断ステップにおける判断結果に基づき、音声信号を複数の音声チャンネルに割当てる音声信号割当部(200)に、複数のマイクロホン(13)により取得した音声信号を割当させる音声信号割当てステップ、前記音声信号割当てステップにより割当てられた音声信号を、音声信号を記録する記憶部(17)に記録させる記録ステップ、として実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、記録時及び再生時の向きがユーザにより変更される場合にも、記録した音声または映像が正しい向きで再生される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明におけるメディア装置の構成ブロック図である。
【図2】本発明におけるメディア装置の正面斜視図である。
【図3】本発明におけるメディア装置の背面斜視図である。
【図4】本発明における第1の実施例に係るメディア装置による動作を表すフローチャートである。
【図5】本発明における第1の実施例に係るメディア装置を用いた、音声を記録、再生する場合の説明概念図である。
【図6】本発明における第2の実施例に係るメディア装置による動作を表すフローチャートである。
【図7】本発明における第2の実施例に係るメディア装置を用いた、音声及び映像の両方を記録、再生する場合説明概念図である。
【図8】本発明における音声信号割当部による音声データの割当て処理の説明概念図である。
【図9】本発明における音声信号割当部を構成する回路を示す概念図である。
【図10】本発明における音声信号割当部による音声データの割当て処理の説明概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明のメディア装置1について、図1から図3に基づき説明する。図1は、メディア装置1の構成ブロック図であり、図2及び図3はメディア装置1の正面斜視図及び背面斜視図である。メディア装置1は、ユーザが両手又は片手で把持したり、掌に載せたりすることができる縦、横、厚さの寸法及び重量であることが好ましい。
【0016】
メディア装置1は、音声の記録または音声に加えて映像の記録を行うことができる、ポータブルレコーダ等であり、同様の機能を有しているものであれば、携帯型メディア装置、PDA、タブレット型PC、携帯電話、スマートフォン等であってもよい。
【0017】
メディア装置1は、表示部11、操作部12、マイクロホン13、検出部14、入力部15、出力部16、記憶部17、スピーカ18、撮像部19、制御部20を備える。
【0018】
表示部11は、メディア装置1に一体化して備えられる液晶表示装置や有機EL(Electro Luminescence)表示装置等であり、メディア装置1に関する各種情報を表示する。操作部12は、メディア装置1に対する各種操作を受け付けるスイッチやボタン、表示部11上に設けられたタッチパネル装置等である。
【0019】
マイクロホン13は、メディア装置1に備えられ、音声信号を取得する。マイクロホン13は、メディア装置1の本体左側に配置される左側マイクロホン13L、本体右側に配置される右側マイクロホン13Rからなる。
【0020】
検出部14は、メディア装置1の向きを検出するセンサであり、加速度センサ等により、メディア装置1が通常方向(図2およびに図3に示した向き)の状態であるか、逆方向(図2およびに図3に示した向きと上下逆の向き)の状態であるかを検出する。加速度センサは例えば2軸や3軸またはそれ以上の方向に対する加速度を検出するものが用いられる。
【0021】
入力部15は、メディア装置1に外部からの各種データや各種信号を入力する入力端子等である。出力部16は、メディア装置1から外部装置等へ各種データや各種信号を出力する出力端子等である。入力部15および出力部16は、端子等を介さず、無線通信や非接触通信等により入出力を行ってもよい。
【0022】
記憶部17は、例えばHDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリ等により構成され、各種データを記憶する。記憶部40は、図示しない接続部に接続されたメモリカード、USBメモリ、外部HDD等の外部記憶デバイスであってもよい。
【0023】
スピーカ18は、メディア装置1において再生される各種コンテンツ等の音声を出力する。スピーカ18は、メディア装置1の本体左側に配置される左側スピーカ18L、本体右側に配置される右側スピーカ18Rからなる。また、制御部20とスピーカ18の間には、図示しない増幅部が含まれていてもよい。
【0024】
撮像部19は、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサに加えて対物レンズ等により構成され、対物レンズに入射する映像をデータとして取得する。撮像部19は、イメージセンサおよび対物レンズに加えて、制御部20の制御により対物レンズ等を駆動することにより焦点を合わせる図示しないレンズ駆動部を備えていてもよい。
【0025】
制御部20は、例えばCPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、DSP(Digital Signal Processor)等により構成されるとともに、音声信号割当部200、音声データ処理部210、ADC(Analog Digital Converter)215、DAC(Digital Analog Converter)216、映像データ処理部220を備える。
【0026】
音声信号割当部200は、検出部14から取得した信号をCPU等が解析したメディア装置1の傾き状態に対応し、記憶部17に記憶する音声信号の左右チャンネルを割当てる。音声信号割当部200は、各種電子回路により構成されるスイッチや、DSP等の処理により実現される。
【0027】
音声データ処理部210はDSP等により実現され、CPU等からの指令等により音声データのデコードやエンコード、音質調整、サラウンド処理等の処理を行う。例えば、マイクロホン13により取得され後述するADC215によりデジタルデータに変換された音声データを、ユーザの選択等によってMP3(MPEG Audio Layer-3)形式への圧縮等を行う。
【0028】
ADC215は、マイクロホン13や入力部15から入力されたアナログ音声信号をデジタル音声データに変換する。DAC216は、記憶部17に記憶され再生されたデジタル音声データをアナログ音声信号に変換し、出力部16やスピーカ18に出力する。ADC215とDAC216は専用のICであってもよい。
【0029】
映像データ処理部220は、DSPや映像データ処理用のプロセッサ等により実現され、撮像部19により取得した映像データの画質調整、エンコード、デコード等を行う。映像データの画質調整には、映像データの向きの変更も含まれる。また、映像データは、静止画であっても動画であってもよい。例えば、撮像部19により取得した映像データが静止画である場合はJPEG形式等に圧縮し、音声データと映像データを含む動画である場合にはMPEG−4形式等に圧縮する。
【0030】
メディア装置1は、一例として図2および図3に示されるように矩形の筐体として構成されるが、矩形に限らず他の各種形状であってもよい。図2はメディア装置1の正面斜視図であり、正面側には表示部11、操作部12、およびスピーカ18が配置されている。スピーカ18は、正面に向かって左側に左側スピーカ18Lが配置され、右側に右側スピーカ18Rが配置されている。操作部12は、表示部11上に形成されるタッチパネルであってもよい。操作部12およびスピーカ18は、メディア装置1の正面側の配置に限らず、側面や裏面に配置されていてもよいが、スピーカ18はメディア装置1の正面に向かって左側に左側スピーカ18L、右側に右側スピーカ18Rが配置される。
【0031】
図2に示すように、メディア装置の正面に向かって左右方向をX軸方向、上下方向をY軸方向、奥行き方向をZ軸方向として説明する。
【0032】
図3は、メディア装置1の裏面斜視図であり、裏面側には撮像部19およびマイクロホン13が配置される。マイクロホン13は、正面に向かって左側に左側マイクロホン13Lが配置され、右側に右側マイクロホン13Rが配置されている。マイクロホン13は、メディア装置1の裏面側の配置に限らず、側面や正面に配置されていてもよいが、マイクロホン13はメディア装置1の正面に向かって左側に左側マイクロホン13L、右側に右側マイクロホン13Rが配置される。
【0033】
ユーザは、メディア装置1を用いて、音声や映像の記録を行うことができる。例えば、マイクロホン13によりメディア装置1の周辺または特定方向の音声を取得し音声データとして記憶部17に記憶することができる。さらに撮像部19により撮像部19が向いている方向を中心とした映像を映像データとして記憶部17に記憶することができる。これらの音声データや映像データは音声データ処理部210または映像データ処理部220により適宜圧縮処理され、記憶部17に記憶される。
【0034】
また、メディア装置1は記憶部17に記憶された音声データや映像データをユーザによる操作部12の操作により再生する。記憶部17に記憶された各種データは、自機により記録した音声データや映像データに加えて、他機器により記録されたものであってもよい。また再生する各種データは記憶部17としての外部記憶デバイスや、外部装置から入力部15を介して供給されてもよい。
【0035】
ここで、メディア装置1の通常方向及び逆方向について定義する。ユーザは、メディア装置1の正面側を自分の方へ向けつつ、X軸およびY軸によって形成されるXY平面上で種々の回転角度(時計回りの回転方向位置)に回転して使用する場合がある。この回転角度について基準の回転角度を定め。該基準回転角度における向きを「通常方向」、該基準角度に対して180°回転した回転角度の向きを「逆方向」と定義する。メディア装置1では、図2に示した状態のメディア装置1の回転角度を基準の回転角度に定める。したがって、図2のメディア装置1の向きが通常方向となり、図2のメディア装置1を上下反対にした向きが逆方向となる。
【0036】
上述した「通常方向」および「逆方向」は、図2に示す方向およびその逆方向を中心に±45度程度の幅を持たせてもよい。つまり図2に示す状態を中心に検出部14が検出したXY平面上の回転角度が±45度の範囲内であれば、通常方向での使用とされ、図2に示す方向を上下反対にした状態を中心にXY平面上の回転角度が±45度の範囲内であれば逆方向での使用としてもよい。
【0037】
また、メディア装置1の回転方向としてY軸およびZ軸によって形成されるYZ平面上での回転に対しても、図2に示す状態を中心に検出部14が検出したYZ平面上の回転角度が±45度の範囲内であれば、通常方向での使用とされ、図2に示す方向を上下反対にした状態を中心にYZ平面上の回転角度が±45度の範囲内であれば逆方向での使用としてもよい。
【0038】
次に、本発明におけるメディア装置の動作における第1の実施例について、図4および図5に基づき説明する。図4は、第1の実施例に係る動作を説明したフローチャートであり、音声の記録に係る動作を説明したものである。
【0039】
先ず、メディア装置1の制御部20はユーザによる操作部12の操作によって音声記録動作が開始されたか否かを判断する(ステップS11)。ステップS11において音声記録動作が開始されたと判断された場合は(ステップS11:Yes)、制御部20は検出部14からの出力を基にメディア装置1の向きが逆方向であるか否かを判断する(ステップS12)。ステップS11において音声記録動作が開始されていないと判断された場合は(ステップS11:No)、ステップS11の処理を繰り返す。ステップS11における音声記録動作の開始は、通常はユーザによる操作部12の操作によって行われるが、操作部12を用いたユーザ設定によるタイマーを用いた音声記録動作の開始であってもよい。
【0040】
ステップS12において、メディア装置1の向きが逆方向であると判断された場合は(ステップS12:Yes)、制御部12は記録する音声の左右チャンネルを切替えて記録する処理を行う(ステップS14)。ステップS14における処理の詳細は別途説明するが、制御部20は左側マイクロホン13Lから入力された音声信号を音声信号割当部200の処理によって右チャンネルの音声データとし、同様に右側マイクロホン13Rから入力された音声信号を音声信号割当部200の処理によって左チャンネルの音声データとして、記憶部17に記録する。
【0041】
ステップS12において、メディア装置1の向きが逆方向ではないと判断された場合は(ステップS12:No)、制御部12は記録する音声の左右チャンネルを切替えずに通常の音声記録処理を行う(ステップS13)。
【0042】
ステップS13およびステップS14による音声記録動作中において、制御部20はユーザによる操作部12の操作によって音声記録動作が終了したか否かを判断する(ステップS15)。ステップS15において音声記録動作が終了したと判断された場合は(ステップS15:Yes)、本処理を終了する。ステップS15における音声記録動作の終了は、通常はユーザによる操作部12の操作によって行われるが、操作部12を用いたユーザ設定によるタイマーを用いた記録動作の終了や、記憶部17の記憶残容量が所定以下となったことの判断、図示しないバッテリの残容量が所定以下となったことの判断等により行われてもよい。
【0043】
ステップS15において音声記録動作が終了していないと判断された場合は(ステップS15:No)、ステップS12の処理に移行する。
【0044】
図5は、第1の実施例による音声の記録および再生を説明した概念図である。図5(a)はメディア装置1を用いて記録対象50の音声を録音している概念図であり、ここでメディア装置1は上下逆方向で使用されている。このように使用される場合、ユーザから見て右側に左側マイクロホン13Lが位置し、左側に右側マイクロホン13Rが位置している。このためメディア装置1に内蔵された検出部14からの出力信号により、制御部20は音声信号割当部200により左側マイクロホン13Lから入力された音声信号が右チャンネルの音声データとして記録され、右側マイクロホン13Rから入力された音声信号が左チャンネルの音声データとして記録されるように制御する。
【0045】
図5(a)の状態においては、表示部11に音声の記録中である旨を表示してもよい。図5(a)の例においては「録音中」と表示されている。また、検出部14の出力に基づきメディア装置1が上下逆方向で音声記録動作がおこなわれているため、表示部11には音声チャンネルが反転して記録されている旨の表示も行ってもよい。
【0046】
図5(b)は、図5(a)の状態により録音された音声データを通常方向におけるメディア装置1の使用により再生している概念図である。ここで左側スピーカ18Lから出力されている音声は、図5(a)において右側マイクロホン13Rにより入力され、記憶部17の左チャンネルの音声データとして記録された音声である。同様に右側スピーカ18Rから出力されている音声は左側マイクロホン13Lにより入力され、記憶部17の右チャンネルの音声データとして記録された音声である。
【0047】
図5(c)は、図5(a)の状態により録音された音声データを、記憶部17である可搬式の記録媒体55を用いて外部音声再生装置60により再生している概念図である。外部音声再生装置60は据置き型やポータブル型等各種形態のオーディオ再生装置であり車載装置であってもよく、左ch用スピーカ61Lおよび右ch用スピーカ61Rを備えている。ここで記録媒体55を、外部音声再生装置60が備える図示しないメモリカードスロット等に挿入してメディア装置1により録音した音声データを再生すると、左ch用スピーカ61Lからは図5(a)において右側マイクロホン13Rにより入力され左チャンネルの音声データとして記録された音声が出力される。同様に右ch用スピーカ61Rからは左側マイクロホン13Lにより入力され右チャンネルの音声データとして記録された音声が出力される。
【0048】
このように、音声記録時にメディア装置1が逆方向で使用されているにもかかわらず、自装置または他の装置における再生であっても左右の音声が逆になることがなく違和感のない音声の再生が可能となる。
【0049】
次に、本発明におけるメディア装置の動作における第2の実施例について、図6および図7に基づき説明する。図6は、第2の実施例に係る動作を説明したフローチャートであり、音声および映像による動画の記録に係る動作を説明したものである。図6の説明においては、図4に示す第1の実施例の説明と同一の処理に関する説明は省略する。
【0050】
先ず、メディア装置1の制御部20はユーザによる操作部12の操作によって動画記録動作が開始されたか否かを判断する(ステップS21)。ステップS21において動画記録動作が開始されたと判断された場合は(ステップS21:Yes)、制御部20は検出部14からの出力を基にメディア装置1の向きが逆方向であるか否かを判断する(ステップS12)。ステップS21において動画記録動作が開始されていないと判断された場合は(ステップS21:No)、ステップS21の処理を繰り返す。ステップS21における動画記録動作の開始は、通常はユーザによる操作部12の操作によって行われるが、操作部12を用いたユーザ設定によるタイマーを用いた動画記録動作の開始であってもよい。
【0051】
ステップS12において、メディア装置1の向きが逆方向であると判断された場合は(ステップS12:Yes)、制御部12は記録する動画における音声の左右チャンネルを切替えるとともに動画における映像を上下反転して記録する処理を行う(ステップS24)。ステップS24における処理の詳細は別途説明するが、制御部20は左側マイクロホン13Lから入力された音声信号を音声信号割当部200の処理によって右チャンネルの音声データとし、同様に右側マイクロホン13Rから入力された音声信号を音声信号割当部200の処理によって左チャンネルの音声データとする。さらに制御部20は撮像部19により取得した映像データを映像データ処理部220により上下反転させ、音声とともに記憶部17に記録する。
【0052】
ステップS12において、メディア装置1の向きが逆方向ではないと判断された場合は(ステップS12:No)、制御部12は記録する音声の左右チャンネルを切替えず、記録する映像の上下を反転させずに、通常の動画記録処理を行う(ステップS23)。
【0053】
ステップS23およびステップS24による動画記録動作中において、制御部20はユーザによる操作部12の操作によって動画記録動作が終了したか否かを判断する(ステップS25)。ステップS25において動画記録動作が終了したと判断された場合は(ステップS25:Yes)、本処理を終了する。ステップS25における動画記録動作の終了は、通常はユーザによる操作部12の操作によって行われるが、操作部12を用いたユーザ設定によるタイマーを用いた記録動作の終了や、記憶部17の記録残容量が所定以下となったことの判断、図示しないバッテリの残容量が所定以下となったことの判断等により行われてもよい。
【0054】
ステップS25において動画記録動作が終了していないと判断された場合は(ステップS25:No)、ステップS12の処理に移行する。
【0055】
図7は、第2の実施例による動画の記録および再生を説明した概念図である。図7(a)はメディア装置1を用いて記録対象50の動画を録画している概念図であり、ここでメディア装置1は上下逆方向で使用されている。このように使用される場合、ユーザから見て右側に左側マイクロホン13Lが位置し、左側に右側マイクロホン13Rが位置している。このためメディア装置1に内蔵された検出部14からの出力信号により、制御部20は記録している動画における音声データを音声信号割当部200により左側マイクロホン13Lから入力された音声信号が右チャンネルの音声データとして記録され、右側マイクロホン13Rから入力された音声信号が左チャンネルの音声データとして記録されるように制御する。 また、図7(a)の状態においては撮像部19により撮影された映像は映像データ処理部220の処理によって上下逆に変換され、記憶部17に記録される。
【0056】
図7(a)の状態においては、表示部11に動画の記録中である旨を表示してもよい。図7(a)の例においては「記録中」と表示されており、その背景には現在記録している記録対象50を含む記録範囲の映像が表示される。表示部11に映像データ処理部220による上下反転前の映像を表示してもよく、上下反転後の映像を表示してもよい。
【0057】
図7(b)は、図7(a)の状態により記録された動画データを通常方向におけるメディア装置1の使用により再生している概念図である。ここで左側スピーカ18Lから出力されている音声は、図7(a)において右側マイクロホン13Rにより入力され、記憶部17の左チャンネルの音声データとして記録された音声である。同様に右側スピーカ18Rから出力されている音声は左側マイクロホン13Lにより入力され、記憶部17の右チャンネルの音声データとして記録された音声である。また、表示部11に表示される映像は、図7(a)において撮像部19により取得され映像データ処理部220によって上下逆に変換され記憶部17に記録された映像である。
【0058】
図7(c)は、図7(a)の状態により記録された動画データを、記憶部17である可搬式の記録媒体55を用いて外部映像音声再生装置70により再生している概念図である。外部映像音声再生装置70は据置き型やポータブル型等各種形態の動画再生装置であり車載装置であってもよい。図7(c)の例において、外部映像音声再生装置70はDVD(Digital Versatile Disc)再生装置やBD(Blu-ray Disc)再生装置等の映像音声再生装置71および液晶テレビ装置等の映像表示装置72からなる。映像表示装置72は左ch用スピーカ73Lおよび右ch用スピーカ73Rを備える。
【0059】
ここで記録媒体55を映像音声再生装置71が備える図示しないメモリカードスロット等に挿入してメディア装置1により記録した動画データを再生すると、映像表示装置72における左ch用スピーカ73Lからは図7(a)において右側マイクロホン13Rにより入力され左チャンネルの音声データとして記録された音声が出力される。同様に右ch用スピーカ73Rからは左側マイクロホン13Lにより入力され右チャンネルの音声データとして記録された音声が出力される。さらに、映像表示装置72においては図7(a)で取得された上下逆に記録された映像が表示される。
【0060】
このように、動画記録時にメディア装置1が逆方向で使用されているにもかかわらず、自装置または他の装置における再生であっても、音声の左右および映像の上下が逆になることがなく違和感のない動画再生が可能となる。
【0061】
図5および図7においては、メディア装置1により記録された各種データを、メモリカード等の記録媒体55を用いて外部音声再生装置60または外部映像音声再生装置で再生可能としたが、記録媒体55に限らず、有線または無線による伝送であってもよい。例えばRCA規格のケーブルやHDMI(High−Definition Multimedia Interface)による接続、Wi−Fi(Wireless Fidelity)通信やブルートゥース等の通信、トランスファージェット等の近距離通信などによるデータ伝送などである。
【0062】
なお、図4におけるステップS12、S13、S14の処理、図6におけるステップS12、S23,S24の処理は、当初検出部14が検出したメディア装置1の向きと異なる結果が得られた場合、その都度S13、S14、S23、S24の処理を実行するのではなく、記録開始時のみの判断であってもよい。さらには異なる向きであることが検出されたときから所定時間経過した場合に、異なる向きに対応する処理を行ってもよい。その場合には、制御部20には図示しない遅延回路を設け、所定時間経過後に、異なるも向きであることが検出されたときの音声データまたは動画データから異なる向きに対応する処理を行ってもよい。このような処理により、メディア装置1の誤った動作等による意図しない音声や映像の反転を防止することができる。
【0063】
次に、上記実施例における音声信号割当部200による音声信号の左右切り替え処理について、図8から図10を用いて説明する。
【0064】
図8は、音声データがリニアPCM信号であるときの音声信号割当部200による処理を表す概念図である。リニアPCM信号は右チャンネルの音声信号(Rchデータ)と左チャンネルの音声信号(Lchデータ)が交互に配置されている。図8に示すように、リニアPCMデータ300の音声データがLn-1、Rn-1、Ln、Rn、Ln+1、Rn+1、Ln+1と配置されている場合に、DSP等により構成される音声信号割当部200は、これらの音声信号を位相反転リニアPCMデータ300'として右チャンネルと左チャンネルの音声データを入れ替える。この処理によりリニアPCMデータ300はR'n-1、L'n-1、R'n、L'n、R'n+1、L'n+1、R'n+2の配置となる位相反転リニアPCMデータ300'に変換され、記憶部17に記憶される。この変換された音声データを再生することにより、左右チャンネルを入れ替えた音声データを再生することができる。
【0065】
図9は、他の構成によって音声信号割当部200を構成した概念図である。この場合の音声信号割当部200は、制御部20により制御されるオーディオスイッチIC等により実現される。検出部14の出力を基にメディア装置1の向きが逆方向であると制御部20が判断した場合、制御部20は音声信号割当部200であるオーディオスイッチに所定電圧等の信号を出力してスイッチを切り替え、図9における破線で表す回路を導通させる。これにより、左側マイクロホン13Lにより取得した音声信号は音声信号割当部200によりADC215における右ch用DAC215Rに入力される。同様に右側マイクロホン13Rにより取得した音声信号は左ch用DAC215Lに入力される。ADC215によりデジタルデータ化された音声データは、音声データ処理部210により適宜圧縮処理などの処理が行われ、記憶部17に記憶される。
【0066】
図10は、音声信号がLRクロック信号により右チャンネルと左チャンネルとに定義される場合の音声信号割当部200による処理を表す概念図であり、音声信号割当部200は制御部20を構成するDSP等により実現される。図10(a)は、メディア装置1が通常方向である場合の音声信号割当部200における処理例であり、音声データ300(DATA)は、マイクロホン13から入力されADC215によりデジタルデータに変換されたデータであり、システムクロック315に同期している状態を示している。音声データ300は所定のビット長ごとに左チャンネル用の音声データ(Left Data)と右チャンネル用の音声データ(Right Data)として割当てられている。このため、システムクロック315に同期したLRクロック310によって、音声データ300を左右各々のチャンネルの信号として割当てる。
【0067】
図10(b)は、LRクロック310における左右チャンネルを定義する信号を逆にした状態を示す。具体的には、LRクロック310における通常Hiレベルの信号(例えばデジタル信号の"1"を表すレベルの信号)とLowレベルの信号(例えばデジタル信号の"0"を表すレベルの信号)のレベルを反転させることにより、左右チャンネルの割当を逆にする。また、レベルの反転以外にもLRクロック310の周期を半周期シフトさせることにより、左右チャンネルの割当を逆にすることができる。
【0068】
このようにしてLRクロック310による左右チャンネルの割当を逆にすることにより、左側マイクロホン13Lにより取得した音声信号を右チャンネルの音声データとし、同様に右側マイクロホン13Rにより取得した音声信号を左チャンネルの音声データとして、記憶部17に記憶することができる。したがって、左右チャンネルを逆にして記憶部17に記憶された音声データを再生することができる。
【0069】
なお、本発明は上述した実施の形態のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更(付加及び削除も含む。)が可能であることは言うまでもない。
【0070】
例えば、検出部14が検出したメディア装置1の向きが、図2に示す状態からXY平面上に時計周りおよび半時計周りのいずれかの方向に90度(±45度)程度傾いて使用されている場合、音声信号割当部200はその状態で上に位置するマイクロホン13により取得した音声信号を、右チャンネルの音声データとして取得してもよい。具体的には、図2の状態より時計周りに90度傾いて音声または動画が記録される場合は、上に位置する左側マイクロホン13Lにより取得した音声信号を右チャンネルの音声データとして記録し、下に位置する右側マイクロホン13Rにより取得した音声信号を左チャンネルの音声データとして記録する。またその逆の設定でもよい。
【0071】
映像データについても同様であり、メディア装置1を時計周りに90度(±45度)程度傾いた状態で記録された場合には、映像データ処理部220の処理により映像データを逆方向(反時計周りに90度)回転させて記憶部17に記憶させる。反時計回りに90度(±45度)傾いた状態で記録された場合であっても、映像データを時計周りに90度回転させて記憶する。
【符号の説明】
【0072】
1:メディア装置、11:表示部、13:マイクロホン、14:検出部、18:スピーカ、19:撮像部、20:制御部、200:音声信号割当部、220:映像データ処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
相互に離間して配置されている複数のマイクロホン、
自機の向きを検出する検出部、
前記検出部による検出結果に基づき、前記複数のマイクロホンより取得した音声信号を複数の音声チャンネルに割当てる音声信号割当部、
前記音声信号割当部により割当てられた音声信号を記録する記憶部
を備えることを特徴とするメディア装置。
【請求項2】
前記複数のマイクロホンは2つのマイクロホンであり、
前記音声信号割当部は、前記2つのマイクロホンにより取得した音声信号を右チャンネルおよび左チャンネルに割当てる、
請求項1に記載のメディア装置。

【請求項3】
前記検出部は、自機の上下向きを検出し、
前記音声信号割当部は、前記検出部において自機の向きが上下逆向きであることが検出された場合、前記2つのマイクロホンにより取得した音声信号を左右逆のチャンネルに割当てる、
請求項2に記載のメディア装置。
【請求項4】
映像を撮影する撮像部、
前記撮像部により取得した映像信号の処理を行う映像データ処理部、
をさらに備え、
前記映像データ処理部は、前記検出部による検出結果に基づき、前記撮像部により取得した映像信号の向きを変更する処理を行い、
前記記憶部は、前記音声信号に加えて前記映像データ処理部により処理された映像信号を記憶する、
請求項1から3のいずれか1項に記載のメディア装置。
【請求項5】
前記映像データ処理部は、前記検出部において自機の向きが上下逆向きであることが検出された場合、前記撮像部により取得した映像信号の向きを上下逆に変更する処理を行う、
請求項4に記載のメディア装置。
【請求項6】
自機の向きを検出する検出ステップ、
前記検出ステップにおける検出結果に基づき、複数のマイクロホンにより取得した音声信号を複数の音声チャンネルに割当てる音声信号割当てステップ、
前記音声信号割当てステップにより割当てられた音声信号を記録する記録ステップ、
を備えることを特徴とするメディア装置の制御方法。
【請求項7】
メディア装置が備えるコンピュータを、
自機の向きを検出する検出部からの信号に基づき自機の向きを判断させる向き判断ステップ、
前記向き判断ステップにおける判断結果に基づき、音声信号を複数の音声チャンネルに割当てる音声信号割当部に、複数のマイクロホンにより取得した音声信号を割当させる音声信号割当てステップ、
前記音声信号割当てステップにより割当てられた音声信号を、音声信号を記録する記憶部に記録させる記録ステップ、
として実行させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−139437(P2011−139437A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−258064(P2010−258064)
【出願日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【出願人】(308036402)JVC・ケンウッド・ホールディングス株式会社 (1,152)
【Fターム(参考)】