メモリカードソケット
【課題】従来のメモリカードに対応しつつ、新しいメモリカードにも対応可能なメモリカードソケットを提供する。
【解決手段】メモリカードソケットは、カード挿入口から挿入されたメモリカードMC1の先端側と衝合し、メモリカードMC1からの押力を受けてメモリカードMC1とともに後方へ移動するスライダーと、メモリカードMCの挿入時にスライダーを所定位置でロックし、該ロック後にスライダーを後方移動させるとロックを解除するスライダーロック手段と、スライダーに先端側を衝合させた状態で先端位置が互いに異なる複数種類のメモリカードのそれぞれに対応して設けられ、スライダーが上記所定位置でロックされると、複数種類のメモリカードの側面において先端位置から同じ距離に設けられた係合凹所103に係入してメモリカードをロック位置に保持する複数の係合爪15a,16aを有する係合ばね片15,16とを備える。
【解決手段】メモリカードソケットは、カード挿入口から挿入されたメモリカードMC1の先端側と衝合し、メモリカードMC1からの押力を受けてメモリカードMC1とともに後方へ移動するスライダーと、メモリカードMCの挿入時にスライダーを所定位置でロックし、該ロック後にスライダーを後方移動させるとロックを解除するスライダーロック手段と、スライダーに先端側を衝合させた状態で先端位置が互いに異なる複数種類のメモリカードのそれぞれに対応して設けられ、スライダーが上記所定位置でロックされると、複数種類のメモリカードの側面において先端位置から同じ距離に設けられた係合凹所103に係入してメモリカードをロック位置に保持する複数の係合爪15a,16aを有する係合ばね片15,16とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、SDメモリカード(登録商標)やマルチメディアカード(MMC)のようなメモリカードやSDメモリカードと同様の大きさおよび端子配列を有するSDIOカード(登録商標)を挿抜自在に接続するためのメモリカードソケットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、小型で大容量のメモリカードとしてSDメモリカードが提供されており、このようなSDメモリカードは、それを使用する機器(以下、ホスト機器と言う。)に設けられたメモリカードソケットに装着されて使用される(例えば特許文献1参照)。
【0003】
図17(a)〜(c)は従来のSDメモリカードMC1を示し、矩形板状のカード体100の内部にフラッシュメモリ等の不揮発性の記憶素子を収納してある。カード体100の一面には長手方向における一側(カード挿入方向の前側部)に9個のコンタクトパッドP1〜P9が短幅方向に並べて配設されている。またカード体100の長手方向に沿う両側縁には段部101が形成されるとともに、前側部の片方の角部に斜めに傾斜する切欠部102を形成してある。またカード体100の幅方向における片側縁には、後述するメモリカードソケットの係合爪が係合する係合凹所103が形成されると共に、反対側の側縁にはライトプロテクトスイッチの摘み105がスライド移動自在に配置される凹部104を設けてある。尚、コンタクトパッドP1〜P8の間には絶縁のためのリブ106が形成されている。
【0004】
SDメモリカードMC1は、動作モードを切り替えて使用することが可能であり、動作モードに応じて各コンタクトパッドP1〜P9の機能が切り替えられるようになっている。従来のSDメモリカードMC1において、データの高速転送が可能なモードでは、4個のコンタクトパッドを介してデータ転送を行っており、1クロックサイクルで4ビットのデータ転送が可能となっている。
【0005】
このようなSDメモリカードMC1は、例えばデジタルカメラやデジタルビデオカメラのような映像記録機器の記憶媒体として使用されるのであるが、近年の映像記録機器の高精細度化に伴って、記憶媒体に記憶されるコンテンツが大容量化しており、大容量のデータをリアルタイムで記録したり、或いはコンピュータなどの外部機器に転送する場合に従来のSDメモリカードMC1ではデータの転送速度が十分速いとはいえず、比較的長い時間がかかっていた。
【0006】
そこで、データの転送速度を高速化した高速型SDメモリカードMC2が従来提供されている。図18(a)〜(c)は高速型SDメモリカードMC2の三面図であり、この高速型SDメモリカードMC2では、従来型のSDメモリカードMC1と同じ位置にコンタクトパッドP1,P2,P4,P5,P7〜P9を設けてある。またコンタクトパッドP3,P6の前後方向寸法を短くして、前端位置を後側にずらし、コンタクトパッドP3の前方位置に2個のコンタクトパッドP10,P11を左右に並べて配置するとともに、コンタクトパッドP6の前方位置に2個のコンタクトパッドP12,P13を左右に並べて配置してある。
【0007】
このような高速型SDメモリカードMC2の動作モードは、従来のSDメモリカードと同様の動作を行うSDモードと、より高速のデータ転送が可能な高速モードに切り替えが可能となっており、SDモードと高速モードとで各コンタクトパッドP1〜P13の機能が切り替えられるようになっている。
【0008】
そして、高速モードでは、コンタクトパッドP10,P11が対をなして、1ビットの差動データ信号を送受信すると共に、コンタクトパッドP12,P13が対をなして、1ビットの差動データ信号を送受信する。すなわち、上述のSDモードでは、4個のコンタクトパッドを用いて4ビットのデータを送受信していたが、高速モードでは、コンタクトパッドP10,P11の対と、コンタクトパッドP12,P13の対とを用いて2ビットのデータを送受信している。ここで、高速モードの方がSDモードよりも1クロックサイクルで伝送可能なビット数は少ないが、差動データを送受信することで動作クロックの周波数を飛躍的に高く設定できるため、高速モードではSDモードに比べて高速なデータ伝送を実現することができる。
【0009】
このように、高速型SDメモリカードMC2では、従来のSDメモリカードMC1に比べて高速のデータ転送が可能になっているが、従来のSDメモリカードMC1をブリッジメディアとして使用するホスト機器が既に数多く生産されている。これらのホスト機器は、従来のSDメモリカードに対応したメモリカードソケット(以下、従来型ソケットと言う。)を採用しているため、高速型SDメモリカードMC2には、従来型ソケットに装着して、データ転送が行えるようにすることが要求されている。
【0010】
そこで、高速型SDメモリカードMC2は、カード体100の前側角部に設けた切欠部107以外は従来のSDメモリカードMC1と同様の外形形状及び寸法に形成されている。切欠部107は、従来のSDメモリカードMC1と同じ位置でカード体100の前面に接する第1切欠部108と、第1切欠部108に連続して設けられ、カード体100の側面に接する第2切欠部109とで構成される。第2切欠部109は、第1切欠部108を距離dだけ後方に平行移動させて設けられ、第1切欠部108と第2切欠部109との間には段差が設けてある。
【0011】
このように、高速型SDメモリカードMC2では、カード体100の前側の角部に深さの異なる第1切欠部108と第2切欠部109を設けてあり、メモリカードソケットにカード体100を挿入した際に、従来型ソケットではカード体100の第1切欠部108がメモリカードソケットのスライダと衝合するのに対して、高速型SDメモリカードMC2に対応したメモリカードソケット(以下、高速対応型ソケットと言う。)では、カード体100の第2切欠部109がスライダと衝合することによって、メモリカードMC2がより深い位置まで差し込まれることになる。すなわち、従来型ソケットにメモリカードを挿入した場合は、高速対応型ソケットにメモリカードを挿入した場合に比べて、SDメモリカードMC2の挿入位置が浅くなっており、両ソケットでソケット内部に配置されたコンタクトがI/O接触面に接触する位置を異ならせることができる。
【0012】
したがって、従来型ソケットでは、コンタクトパッドP3,P6の前側位置に設けたコンタクトパッドP10〜P13にソケット内部に配置したコンタクトが接触することはなく、従来のSDメモリカードMC1と同様に9個のコンタクトパッドP1〜P9のみをソケット側のコンタクトに接触させることができるようになり、従来型ソケットに対して互換性を持たせることができる。
【特許文献1】特開2004−71175号公報
【特許文献2】特開2003−249290号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上述のように高速伝送が可能な高速型のSDメモリカードは、高速対応型ソケットと従来型ソケットの両方で使用することができるのであるが、高速対応型ソケットに、従来型のSDメモリカードが挿入された場合でも、従来型ソケットに装着した場合と同様に、データの書き込み或いは読み出しが行えるようにすることが要求されている。
【0014】
本発明は上記問題点に鑑みて為されたものであり、その目的とするところは、従来のメモリカードに対応しつつ、新しいメモリカードにも対応可能なメモリカードソケットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、前面に開口したカード挿入口を通してメモリカードがスライドして挿抜されるソケット本体と、ソケット本体の内部に前後方向に移動自在に配置され、カード挿入口から挿入されたメモリカードの先端側と衝合し、メモリカードからの押力を受けてメモリカードとともに後方へ移動するスライダーと、スライダーを前方方向へ常時付勢する付勢ばねと、スライダーの最後部位置への移動後のメモリカードの押力の解除時にスライダーを所定位置でロックし、該ロック後にメモリカードへの押力が加わってスライダーが後方移動するときにロックを解除するスライダーロック手段と、スライダーに先端側を衝合させた状態で先端位置が互いに異なる複数種類のメモリカードの一面にそれぞれ設けた複数のI/O接触面にそれぞれ接触する複数のコンタクトと、複数種類のメモリカードのそれぞれに対応して設けられ、スライダーが上記所定位置でロックされると、複数種類のメモリカードの側面において先端位置から同じ距離に設けられた係合凹所に係入してメモリカードをロック位置に保持する複数の係合爪とを備えたことを特徴とする。
【0016】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、複数の係合爪は、メモリカードの側方から係合凹所に係入することを特徴とする。
【0017】
請求項3の発明は、請求項1の発明において、複数の係合爪は、メモリカードの厚み方向から係合凹所に係入することを特徴とする。
【0018】
請求項4の発明は、請求項3の発明において、係合凹所に係入する複数の係合爪が、カード挿入方向に並んで配置されたことを特徴とする。
【0019】
請求項5の発明は、請求項1の発明において、複数の係合爪の一部は、メモリカードの側方から係合凹所に係入し、複数の係合爪の残部は、メモリカードの厚み方向から係合凹所に係入することを特徴とする。
【0020】
請求項6の発明は、請求項1乃至5の何れか1項の発明において、複数の係合爪はスライダーとの相対位置が変化しないように設けられたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
請求項1の発明によれば、複数種類あるメモリカードは、スライダーに先端側を衝合させた状態での先端位置が互いに異なっており、複数の係合爪は、スライダーが所定位置でロックされると、対応する種類のメモリカードに設けた係合凹所に係入して、このメモリカードをロック位置で保持しているので、種類の異なるメモリカードを使用することができ、例えば従来型のSDメモリカードと高速型のSDメモリカードの両方を使用することが可能になる。
【0022】
請求項2の発明によれば、複数の係合爪はメモリカードの側方から係合凹所に係入しているので、メモリカードの厚み方向から係合爪が係合する場合に比べて、ソケット本体の厚み方向の寸法を小さくできる。
【0023】
請求項3の発明によれば、複数の係合爪はメモリカードの厚み方向から係合凹所に係入しているので、メモリカードの左右方向から係合爪が係合する場合に比べて、ソケット本体の左右方向寸法を小さくできる。
【0024】
請求項4の発明によれば、メモリカードに設けた係合凹所の左右方向寸法は厚み寸法に比べて小さいが、複数の係合爪をカード挿入方向に並べて配置することで、係合爪1個当たりの係り代を大きくとることができ、複数の係合爪を係合凹所に確実に係入させることができる。
【0025】
請求項5の発明によれば、複数の係合爪の一部のみが、メモリカードの側方から係合凹所に係入しているので、全ての係合爪がメモリカードの側方から係合凹所に係入する場合に比べて、ソケット本体の左右方向寸法を小さくできる。しかも、複数の係合爪の残部が、メモリカードの厚み方向から係合凹所に係入しているので、全ての係合爪がメモリカードの厚み方向から係合凹所に係入する場合に比べて、ソケット本体の厚み方向寸法を小さくできる。
【0026】
請求項6の発明によれば、例えば複数の係合爪とスライダーとを一体に構成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0028】
(実施形態1)
本実施形態では、従来型のSDメモリカードMC1と高速型SDメモリカードMC2の両方に対応可能にしたメモリカードソケットについて図1〜図8を参照して説明する。尚、以下の説明では特に断りが無いかぎり、図3中の矢印a−bを上下方向、矢印c−dを左右方向、矢印e−fを前後方向として説明を行う。
【0029】
図3及び図4はメモリカードソケットAの外観斜視図、図5はカバーシェル2を外した状態の平面図であり、メモリカードソケットAは、ベースシェル1及びカバーシェル2からなるソケット本体3と、複数本のコンタクトC1〜C13を保持するコンタクトブロック4と、スライダー5とを主要な構成として備えている。
【0030】
ベースシェル1は、例えば厚さが極薄い矩形板状のステンレス金属板に打ち抜き加工且つ曲げ加工を施すことにより形成され、左右両側部を上側に折り曲げて側片1a,1bを形成したものであり、上側及び前後両側が開放されている。
【0031】
ベースシェル1の後部および左側部には上側に突出する複数個の突出片1cが折り曲げ形成されており、これらの突出片1cをコンタクトブロック4の基体6下面に開口した圧入溝(図示せず)に圧入することで、ベースシェル1の上面にコンタクトブロック4が圧入固定されるようになっている。尚、ベースシェル1の後端よりやや前方には、コンタクトブロック4に保持されるコンタクトC1〜C13を逃がすための貫通孔7が複数形成されている。
【0032】
またベースシェル1の前側縁の右端には、メモリカードMC1,MC2の通過位置よりも外側位置から上側方向に突出し、さらにその先端側が後方に突出する側面視L字形の支持片8が折り曲げ形成されている。支持片8の上面に設けた軸孔(図示せず)にはカムピン9の一端側の軸部9aが係入され、支持片8に対してカムピン9が回転自在に軸支されている(図5参照)。またベースシェル1の右側縁には、スライダー5の下面に設けた凹溝(図示せず)に嵌ってスライダー5をガイドする突条部10,10が前後方向に並んで切り起こし形成されている。
【0033】
カバーシェル2は、図6(a)〜(c)に示すように、厚さが極薄い矩形板状のステンレス金属板に打ち抜き加工且つ曲げ加工を施すことにより形成され、カバーシェル2の後縁からは下方に突出する曲げ片11が折り曲げ形成されている。またカバーシェル2には、曲げ片11よりもやや前端寄りの位置に、下方に突出する複数個の突出片12が切り起こしによって形成されている。而して、上面にコンタクトブロック4の基体6が固定されたベースシェル1の上側にカバーシェル2を載置して、カバーシェル2の突出片12をコンタクトブロック4の基体6に設けた圧入溝(図示せず)に圧入するとともに、カバーシェル2の周縁部とベースシェル1との当接部位をレーザ溶接などの方法で溶接することにより、カバーシェル2がベースシェル1及びコンタクトブロック4に対して固定され、前面にカード挿入口3aが開口する扁平な箱状のソケット本体3が構成される。
【0034】
また、カバーシェル2の右側部の前寄り部位には、ベースシェル1の支持片8に支持されたカムピン9の他端側の軸部9bと対向する部位に、T字形の弾接ばね片13が切り起こしによって形成されている。この弾接ばね片13は、カムピン9の軸部9bに弾接して、軸部9bを下側方向(スライダー5側)に付勢しており、軸部9bの先端をスライダー5に設けたガイド溝14bの底面(凹凸面14c)に当接させるようになっている。また、カバーシェル2の右側部には、ベースシェル1の支持片8に対向する部位にカムピン9の一端側の軸部9aを押さえて、軸部9aの脱落を防止する押さえ片23が切り起こしによって形成されている。
【0035】
また、カバーシェル2の右側部の後部寄りには2本の係合ばね片15,16が切り起こしによって形成されている。係合ばね片15,16は弾性を有する細長い帯板状であって、後端側でカバーシェル2に連結されるとともに、前端側が左右方向において撓み自在となっており、前端側には内側方向に屈曲した山形の係合爪15a,16aがそれぞれ形成されている。これら係合ばね片15,16は互いに長さが異なっており、従来型のSDメモリカードMC1の装着時には長さの長い係合ばね片15の係合爪15aがメモリカードMC1の係合凹所103に係合するとともに、高速型SDメモリカードMC2の装着時には長さの短い係合ばね片16の係合爪16aがメモリカードMC2の係合凹所103に係合するように、各係合ばね片15,16の長さ寸法が設定されている。尚、本実施形態では両係合ばね片15,16の長さ寸法を異ならせているが、係合爪15a,15bの位置がカード挿入方向において異なる位置に配置されるように係合ばね片15,16を設ければ良い。
【0036】
而して、カード装着時には従来型のSDメモリカードMC1又は高速型SDメモリカードMC2に対応した係合ばね片15,16の係合爪15a又は16aが、メモリカードの係合凹所103に係入することによって、メモリカードMC1,MC2の脱落を防止するようになっている。
【0037】
コンタクトブロック4は平面視の形状が略L形に形成された樹脂成型品からなる基体6を備え、この基体6は、ベースシェル1及びカバーシェル2の後側辺に沿って配置されて、ソケット本体3の後面を閉塞する側部6aと、側部6aの左側部から前方に突出しベースシェル1の側片1bに沿って配置される側部6bとで構成されている。また側部6aの前面右端には、コイルばね17の一端側を保持するばね受け(図示せず)が設けられ、コンタクトブロック4とスライダー5との間にコイルばね17(付勢ばね)が介装されており、コイルばね17のばね力によってスライダー5は常時前方方向(カード挿入口3a側)に向かって付勢されている。また側部6bには、カード挿入方向に沿って延び、メモリカードMC1,MC2の裏面と対向する段部22が設けられている。
【0038】
さらに基体6の側部6aには、高速型SDメモリカードMC2の後部裏面に並行形成された複数のコンタクトパッドP1〜P13(I/O接触面)にそれぞれ対応接触する13本のコンタクトC1〜C13が圧入或いは同時成形により一体に保持されている。各コンタクトC1〜C13は、接触側のばね部を側部6aの前面側(カード挿入口3a側)に突出させるとともに、半田付け端子18を側部6aの後面から上側に突出させている。また本実施形態では図示を省略しているが、側部6bにはライトプロテクトスイッチの摘み105の位置を検出するための位置検出用接点が配設されている。
【0039】
またスライダー5は合成樹脂成型品であって、メモリカードMC1,MC2の右側縁に当接する側部5aと、側部5aの後端部から側方に突出してメモリカードの先端側の角部と衝合する側部5bとでL字形に形成されている。また側部5aの内側面の下側縁には、カード挿入方向に沿って延び、メモリカードMC1,MC2の裏面と対向する段部19が一体に突設されている。尚、側部5bの幅は、高速型SDメモリカードMC2の第2切欠部109の幅と略同じか若干小さい寸法に形成されており、側部5bの前面には従来型SDメモリカードMC1の切欠部102又は高速型SDメモリカードMC2の第2切欠部108と略同じ角度で斜めに傾斜している。而して、メモリカードソケットAに従来型のSDメモリカードMC1が挿入された場合はSDメモリカードMC1の切欠部102が側部5bの傾斜面と衝合し、高速型SDメモリカードMC2が挿入された場合は高速型SDメモリカードMC2の第2切欠部109が側部5bの傾斜面と衝合することになり、メモリカードMC1,MC2からの押力を受けてスライダー5が後方に移動することになる。
【0040】
また側部5aの下面には、コイルばね17の前端側が挿入される凹溝(図示せず)や、ベースシェル1に設けた突条部10,10が挿入されるガイド溝(図示せず)が形成されており、組立状態においてはスライダー5が前後方向に沿ってスライド移動自在に保持されるとともに、コイルばね17により前方方向への付勢力を受けている。而して、メモリカードMC1,MC2の非挿入時にはコイルばね17のばね力によりスライダー5が前方へ移動し、スライダー5の前端部がベースシェル1の支持片8に当接する位置でスライダー5が停止する。一方、カード挿入口3aを通してソケット内部にメモリカードMC1,MC2が挿入されると、メモリカードMC1,MC2の先端部が側部5bの傾斜面と衝合することで、メモリカードMC1,MC2からの押力がスライダー5に加わり、スライダー5がメモリカードMC1,MC2とともに前後方向にスライド移動するようになっている。
【0041】
また更に側部5aの前側部の上面には、図5に示すようにカムピン9の軸部9bが移動自在に係入されるハートカム溝部14が形成され、ハートカム溝部14よりも後側にはカバーシェル2に設けた係合ばね片15,16が挿入される凹溝20が形成されている。
【0042】
ハートカム溝部14は、ハートカム14aと、ハートカム14aの周部に形成されたガイド溝14bとで構成され、ガイド溝14bの底面には凹凸面14cが形成されている。カムピン9の軸部9bはガイド溝14b内に係入し、弾接ばね片13によって軸部9bの先端がガイド溝14bの底面(凹凸面14c)に押し付けられており、スライダー5の前後移動に伴い、ガイド溝14bとこのガイド溝14bの底面に形成した凹凸面14cとで、カムピン9の軸部9bのガイド溝14b内での相対的な移動がガイドされるようになっている。尚、ハートカム14aの前部には、前側に開放された凹部14dが形成されており、スライダー5が最後部位置へ移動した後、メモリカードMC1,MC2の押力が解除された際に、カムピン9の軸部9bが凹部14dに嵌り込むことで、スライダー5の前方方向への移動が規制され、スライダー5が所定位置で保持されるようになっている。また側部5aの上面に設けた凹溝20の右側端面には、ソケット本体3の内側方向に突出する突壁21が前側部に形成してある。
【0043】
而して、図8(b)に示すようにスライダー5が上記所定位置まで移動すると、カバーシェル2に設けた係合ばね片15,16が突壁21に乗り上げ、突壁21によって内側方向に押圧されるので、係合ばね片15,16が弾性変形することで、係合ばね片15,16の先端側に設けた係合爪15a,16aをメモリカードMC1又はMC2の係合凹所103内に進入させてメモリカードMC1,MC2をロック位置で保持することができる。一方、図8(a)に示すようにメモリカードMC1,MC2がロック位置まで挿入されていない状態では、カバーシェル2に設けた係合ばね片15,16が突壁21から降りて、係合ばね片15,16を撓ませる力が無くなるので、係合ばね片15,16の弾性復帰力によって係合爪15a,16aが係合凹所103から外側に退出し、メモリカードMC1,MC2のロック状態が解除されるようになっている。
【0044】
ところで、本実施形態のメモリカードソケットAを組み立てるに当たっては、コンタクトC1〜C13を圧入或いは同時成形により一体に保持させたコンタクトブロック4の基体6をベースシェル1の上面に載置し、ベースシェル1の突出片1cを基体6の下面に設けた圧入溝に圧入することによって、基体6をベースシェル1上に固定する。そして、基体6のばね受けにコイルばね17の一端側を保持させた状態で、コイルばね17の他端側をスライダー5の下面の凹溝内に挿入させるとともに、ベースシェル1の突条部10をスライダー5下面のガイド溝内に挿入させるようにして、スライダー5をベースシェル1上に載置した後、カムピン9の一端側の軸部9aをベースシェル1の支持片8に設けた軸孔に係入させるとともに、カムピン9の他端側の軸部9bをスライダー5のハートカム溝部14内に係入させる。その後、ベースシェル1の両側片1a,1bの先端部間にカバーシェル2を橋架する形で載置し、カバーシェル2の突出片12を基体6の嵌合溝に圧入するとともに、ベースシェル1とカバーシェル2との当接部位をレーザ溶接により接合することで、前部にカード挿入口3aが開口した箱状のソケット本体3が形成され、メモリカードソケットAの組立が完了する。尚、この状態ではカムピン9の軸部9bがガイド溝14bの後端の位置A(図5参照)に移動している。
【0045】
次に、メモリカードソケットAにメモリカードMC1,MC2を挿抜する際の動作について説明する。メモリカードMC1,MC2が装着されていない状態では、コイルばね17の弾発力を受けて、側部5aの前端部が支持片8と衝合する位置までスライダー5が前方方向に移動している。この状態では、係合ばね片15,16の係合爪15a,16aが凹溝20内に後退しており、係合爪15a,16aの先端部が凹溝20から内側方向へ突出しないようになっている(図8(a)参照)。
【0046】
この状態から高速型SDメモリカードMC2を前後方向及び表裏方向を正規の方向に向けてカード挿入口3aからソケット内に挿入すると、メモリカードMC2がスライダー5の側部5aと基体6の側部6bとの間に挿入されて、メモリカードMC2の裏面の段部101,101が、両側部5a,6bに設けた段部19,22の上側に乗ることになる。そして、メモリカードMC2をソケット本体3内に更に挿入すると、メモリカードMC2の先端側に設けた第2切欠部109がスライダー5の側部5bに衝合してスライダー5を後方へ押すことになる。
【0047】
その後、スライダー5に加わるコイルばね17の弾発力に抗してメモリカードMC2を更に内側へ押し入れると、メモリカードMC2の移動に共動してスライダー5が後退することになる。このスライダー5の後退によりカムピン9の軸部9bはハートカム溝部14のガイド溝14b底部の凹凸面14cによってガイドされながら、ガイド溝14b内を図5中の下側へ移動し、図5中の位置Bに移動することになる。そして、メモリカードMC2の先端位置が基体6の側部6a前面に当たる位置に近い位置までメモリカードMC2を押し込むと、カムピン9の軸部9bがガイド溝14bの前端部に当たる位置Cに至ることになり、それ以上の押し込みができなくなる。またこの時、スライダー5の後方移動に伴って、凹溝20の内側端面に設けた突壁21が係合ばね片15,16の中間部位に当接し、係合ばね片15,16を内側方向へ撓ませるので、係合ばね片15,16の係合爪15a,16aが側部5aの内側面よりも内側方向に突出し、一方の係合ばね片16に設けた係合爪16aが係合凹所103に係入することで、メモリカードMC2をロックし、メモリカードMC2の脱落が防止される(図2(a)(b)参照)。
【0048】
そして、この位置でメモリカードMC2に加えていた押力を解除すると、コイルばね17の弾発力を受けてスライダー5がメモリカードMC2と共に前方へ戻りかけるが、カムピン9の軸部9bがガイド溝14bに案内されながらハートカム14aの凹部14dに嵌り込む位置(図5の位置)まで移動することになる。従ってカムピン9の軸部9bがハートカム14aの凹部14dに当接することで、これ以上のスライダー5の前方移動が規制され、係合ばね片16によりロックされたメモリカードMC2もその位置でソケット本体3内に留まることになる。このロック位置では、コンタクトブロック4の側部6aから前方に突出する各コンタクトC1〜C13がメモリカードMC2のコンタクトパッドP1〜P13にそれぞれ接触することになり、上述したSDモード或いは高速モードでデータ転送が行えるようになっている。
【0049】
以上のようにして挿着されたメモリカードMC2をメモリカードソケットAから取り出す際は、まずソケット本体3のカード挿入口3aより外部に露出するメモリカードMC2の後部を挿入方向に押し、メモリカードMC2と共にスライダー5を挿入方向へ移動させる。この移動によってカムピン9の軸部9bがハートカム14aの凹部14dから離脱するとともに、ガイド溝14bにガイドされて凹部14dより右側前方に出て、ガイド溝14b内の位置Eに移動する。
【0050】
その後、メモリカードMC2に与えた押力を無くすと、スライダー5はコイルばね17の弾発力を受けて前方へ移動することなり、スライダー5の前方移動に伴ってカムピン9の軸部9bはガイド溝14bにガイドされながら、ハートカム14aの右側のガイド溝14b内の位置Fを通って、ガイド溝14bの後端部の位置Aまで移動する。またスライダー5の前方方向への移動に伴い、スライダー5の突壁21が係合ばね片15,16から離れるため、係合ばね片15,16が初期位置に戻って、係合爪16aが係合凹所103から外に出るとともに、両係合爪15a,16aが凹溝20内に退避するから、係合爪16aによってメモリカードMC2が再びロックされることはなく、メモリカードMC2のロックを確実に解除できる。そして、スライダー5がさらに前方方向へ移動し、側部5aの前端部が支持片8と当接した状態では、メモリカードMC2の後部がソケット本体3のカード挿入口3aから外部へ大きく露出するので、メモリカードMC2をソケット本体3から取り出すことが可能になる。ここにおいて、ハートカム溝部14とカムピン9とから、スライダー5の最後部位置への移動後のメモリカードMCの押力の解除時にスライダー5を所定位置でロックし、該ロック後にメモリカードMCへの押力が加わってスライダー5が後方移動するときにロックを解除するスライダーロック手段が構成される。
【0051】
また本実施形態のメモリカードソケットAは、高速型SDメモリカードMC2に加えて、従来型のSDメモリカードMC1にも対応しており、従来型のSDメモリカードMC1を挿抜する際の動作について以下に説明する。
【0052】
メモリカードが装着されていない状態で、従来型のSDメモリカードMC1を前後方向及び表裏方向を正規の方向に向けてカード挿入口3aからソケット内に挿入すると、メモリカードMC1がスライダー5の側部5aと基体6の側部6bとの間に挿入されて、メモリカードMC1の裏面の段部101,101が、両側部5a,6bに設けた段部19,22の上側に乗ることになる。そして、メモリカードMC1をソケット本体3内に更に挿入すると、メモリカードMC2の先端側に設けた切欠部102がスライダー5の側部5bに衝合してスライダー5を後方へ押すことになる。
【0053】
その後、スライダー5に加わるコイルばね17の弾発力に抗してメモリカードMC1を更に内側へ押し入れると、メモリカードMC1の移動に共動してスライダー5が後退することになる。このスライダー5の後退によりカムピン9の軸部9bはハートカム溝部14のガイド溝14b底部の凹凸面14cによってガイドされながら、ガイド溝14b内を図5中の下側へ移動し、図5中の位置Bに移動することになる。そして、メモリカードMC2の先端位置が基体6の側部6a前面に当たる位置に近い位置までメモリカードMCを押し込むと、カムピン9の軸部9bがガイド溝14bの前端部に当たる位置Cに至ることになり、それ以上の押し込みができなくなる。またこの時、スライダー5の後方移動に伴って、凹溝20の内側端面に設けた突壁21が係合ばね片15,16の中間部位に当接し、係合ばね片15,16を内側方向へ撓ませるので、係合ばね片15,16の係合爪15a,16aが側部5aの内側面よりも内側方向に突出し、一方の係合ばね片15に設けた係合爪15aが係合凹所103に係入することで、メモリカードMC1をロックし、メモリカードMC1の脱落が防止される(図2(a)(b)参照)。
【0054】
そして、この位置でメモリカードMC1に加えていた押力を解除すると、コイルばね17の弾発力を受けてスライダー5がメモリカードMC1と共に前方へ戻りかけるが、カムピン9の軸部9bがガイド溝14bに案内されながらハートカム14aの凹部14dに嵌り込む位置(図5の位置)まで移動することになる。従ってカムピン9の軸部9bがハートカム14aの凹部14dに当接することで、これ以上のスライダー5の前方移動が規制され、係合ばね片15によりロックされたメモリカードMC1もその位置でソケット本体3内に留まることになる。ここで、従来型のSDメモリカードMC1を装着する際には、SDメモリカードMC1の切欠部102がスライダー5の側部5bと衝合するため、ロック状態におけるSDメモリカードMC1の先端位置は、高速型SDメモリカードMC1を装着した場合に比べて前寄り(カード挿入口3a側)となる。したがって、コンタクトブロック4の側部6a前端面からコンタクトパッドP1〜P9までの距離が、高速型SDメモリカードMC2の装着時に比べて遠くなるため、高速型SDメモリカードC2用に設けたコンタクトC10〜C11はコンタクトパッドP1〜P9に接触することはなく、コンタクトC1〜C9のみを従来型SDメモリカードMC1のコンタクトパッドP1〜P9に接触させることができ、従来型ソケットに装着した場合と同様のデータ伝送を行うことができる。
【0055】
以上のようにして装着された従来型のSDメモリカードMC1をメモリカードソケットAから取り出す際は、まずソケット本体3のカード挿入口3aより外部に露出するメモリカードMC1の後部を挿入方向に押し、メモリカードMC1と共にスライダー5を挿入方向へ移動させる。この移動によってカムピン9の軸部9bがハートカム14aの凹部14dから離脱するとともに、ガイド溝14bにガイドされて凹部14dより右側前方に出て、ガイド溝14b内の位置Eに移動する。
【0056】
その後、メモリカードMC2に与えた押力を無くすと、スライダー5はコイルばね17の弾発力を受けて前方へ移動することなり、スライダー5の前方移動に伴ってカムピン9の軸部9bはガイド溝14bにガイドされながら、ハートカム14aの右側のガイド溝14b内の位置Fを通って、ガイド溝14bの後端部の位置Aまで移動する。またスライダー5の前方方向への移動に伴い、スライダー5の突壁21が係合ばね片15,16から離れるため、係合ばね片15,16が初期位置に戻って、係合爪15aが係合凹所103から外に出て、両係合爪15a,16aが凹溝20内に退避するから、メモリカードMC1のロックが解除される。そして、スライダー5がさらに前方方向へ移動し、側部5aの前端部が支持片8と当接した状態では、メモリカードMC1の後部がソケット本体3のカード挿入口3aから外部へ大きく露出するので、メモリカードMC1をソケット本体3から取り出すことが可能になる。
【0057】
以上説明したように本実施形態のメモリカードソケットAでは、スライダー5に先端側を衝合させた状態で先端位置が互いに異なる複数種類のメモリカードソケットMC1,MC2に対応して複数の係合ばね片15,16を設けてあり、各係合ばね片15,16の係合爪15a,16aは、スライダー5が所定位置でロックされると、対応する種類のメモリカードMC1,MC2に設けた係合凹所103に係入して、このメモリカードMC1,MC2をロック位置で保持しているので、種類の異なるメモリカードMC1,MC2を使用することができる。また本実施形態では、高速型SDメモリカードMC2を装着して使用することができるとともに、従来型のSDメモリカードMC1を装着した場合でも、SDメモリカードMC1をロックして、従来型ソケットに装着したのと同様のデータ転送を行うことができるので、従来型のSDメモリカードMC1と高速型SDメモリカードMC2の両方に対応可能なメモリカードソケットAを提供することができる。さらに本実施形態では、複数の係合爪15a,16aが、メモリカードの側方から係合凹所103に係入しているので、メモリカードの厚み方向から係合爪15a,16aが係合する場合に比べて、ソケット本体3の厚み方向の寸法を小さくできる。
【0058】
(実施形態2)
本発明の実施形態2について図9〜図11を参照して説明を行う。実施形態1では、それぞれ係合爪15a,16aを有する2本の係合ばね片15,16をカバーシェル2に設けているのに対して、本実施形態では、メモリカードMC1,MC2の係合凹所103に、カードの側方から係入する係合爪30a,31aを備えた係合ばね片30,31をスライダー5に圧入或いは同時成形により一体的に設けてある。
【0059】
図9はベースシェル1及びカバーシェル2を外した状態を模式的に図示した平面図、図10(a)〜(c)はカバーシェル2を概略的に図示した平面図、側面図及び斜視図である。また図11(a)はメモリカードソケットAに高速型のSDメモリカードMC2を装着した状態の平面図、同図(b)はメモリカードソケットAに従来型のSDメモリカードMC1を装着した状態の平面図である。
【0060】
コンタクトブロック4の樹脂製基体6は、ソケット本体3の後部に配置される側部6aと、側部6aの左右両側部から前方に向かって突出する側部6b,6cとで構成され、側部6aには実施形態1と同様に複数本のコンタクトC1〜C13が圧入或いは同時成形により保持されている。
【0061】
またスライダー5は合成樹脂成型品であって、メモリカードMC1,MC2の側縁に当接する側部5aと、側部5aの後端部から側方に突出し、メモリカードMC1,MC2の先端側の角部に設けた切欠部(切欠部102又は第2切欠部109)と衝合する側部5bとでL字形に形成されている。2本の係合ばね片30,31は、それぞれ弾性を有する帯板を曲成することによってJ字形に形成されており、円弧状に湾曲した係合爪30a,31aを前側に向け、さらにその先端を側部5aの内側端面よりも外側(図9中の左側)に位置させた状態で、後端部がスライダー5の側部5aに支持されている。したがって、係合ばね片30,31が後述のガイドリブ35によって内側方向に撓められていない状態では、係合爪30a,31aの先端側が側部5aの内側端面よりも内側方向(メモリカード側)へ突出していないので、係合爪30a,31aがメモリカードMC1,MC2の係合凹所103に係合することはない。尚、係合ばね片30の係合爪30aは、スライダー5に高速型SDメモリカードMC2の先端側が衝合した状態でメモリカードMC2の係合凹所103に係入する位置に配置されている。また係合ばね片31の係合爪31aは、スライダー5に従来型のSDメモリカードMC1の先端側が衝合した状態でメモリカードMC1の係合凹所103に係入する位置に配置される。
【0062】
一方、カバーシェル2には、前後方向に移動するスライダー5と対向する部位にガイドリブ35を切り起こしによって形成してある。ガイドリブ35の前端側は係合ばね片30,31よりも外側に位置し、後端側にいくにつれてソケット本体3の内側方向に突出する向きに傾斜しており、後端側でカバーシェル2に連結されている。尚、図9ではガイドリブ35のみを図示してあり、カバーシェル2のその他の構成は実施形態1と同様であるので、図示及び説明は省略する。
【0063】
ここで、ソケット内部にメモリカードMC1,MC2が挿入されていない状態、すなわちスライダー5がコイルばね17のばね力を受けて、前方方向に移動している状態では、係合ばね片30,31はガイドリブ35によって内側に撓められておらず、係合ばね片30,31の前端側は外側に開いた状態(初期状態)となっているので、係合爪30a,31aは側部5aの内側端面よりも外側に後退しており、この状態ではメモリカードMC1,MC2の係合凹所103に係合爪30a,31aが係入することはない。
【0064】
そして、図11(a)に示すようにメモリカードソケットAに高速型SDメモリカードMC2を挿入した場合、実施形態1で説明したのと同様の動作を行ってスライダー5が所定位置でロックされるのであるが、この時スライダー5の後方への移動に伴い、係合ばね片30,31がカバーシェル2のガイドリブ35によって内側方向に撓められ、係合爪30a,31aが側部5aから内側方向へ突出するため、メモリカードMC2に対応して設けた係合ばね片30の係合爪30aが係合凹所103内に係入することで、メモリカードMC2がロック状態で保持される。
【0065】
なお、実施形態1で説明したように種類の異なるメモリカードMC1,MC2では、スライダー5に先端側(角部に設けた切欠部)を衝合させた際にメモリカードの先端位置が異なっているので、スライダー5の側部5bから係合凹所103(種類に関係無く定位置にある)までの距離が異なってくるが、複数本の係合ばね片30,31は、対応する種類のメモリカードに合わせて係合爪30a,31aの位置を異ならせており、スライダー5との相対位置が変化しないようにスライダー5に保持させているので、カード挿入時には対応する係合ばね片30,31の係合爪30a,31aが係合凹所103内に係入されることにより、それ以外の係合ばね片30,31の係合爪30a,31aはメモリカードMCの側部に当接し、弾性によって撓められることになる。
【0066】
一方、メモリカードMC2をソケットから取り外す際は、実施形態1と同様の操作を行うと、スライダー5のロックが解除されて、スライダー5が前方方向へ移動するのであるが、スライダー5の前方方向への移動に伴い、カバーシェル2のガイドリブ35が係合ばね片30,31から離れるため、ガイドリブ35が係合ばね片30,31を内側方向に撓める力が無くなり、係合爪30a,31aが側部5aの内側端面から外側に後退する。したがって、係合爪30a,31aが係合凹所103と係合することはなく、メモリカードMC2のロックが解除されるので、メモリカードMC2をソケット本体3から取り出すことが可能になる。
【0067】
また図11(b)に示すようにメモリカードソケットAに従来型のSDメモリカードMC1を挿入した場合、実施形態1で説明したのと同様の動作を行ってスライダー5が所定位置でロックされるのであるが、この時スライダー5の後方への移動に伴い、係合ばね片30,31がカバーシェル2のガイドリブ35によって内側方向に撓められ、係合爪30a,31aが側部5aから内側方向へ突出するため、メモリカードMC1に対応して設けた係合ばね片31の係合爪31aが係合凹所103内に係入することで、メモリカードMC1がロック状態で保持される。
【0068】
一方、メモリカードMC1をソケットから取り外す際は、実施形態1と同様の操作を行うと、スライダー5のロックが解除されて、スライダー5が前方方向へ移動するのであるが、スライダー5の前方方向への移動に伴い、カバーシェル2のガイドリブ35が係合ばね片30,31から離れるため、ガイドリブ35が係合ばね片30,31を内側方向に撓める力が無くなり、係合爪30a,31aが側部5aの内側端面から外側に後退する。したがって、係合爪30a,31aが係合凹所103と係合することはなく、メモリカードMC1のロックが解除されるので、メモリカードMC1をソケット本体3から取り出すことが可能になる。
【0069】
以上説明したように本実施形態においても、スライダー5に先端側を衝合させた状態で先端位置が互いに異なる複数種類のメモリカードソケットMC2,MC1に対応して複数の係合ばね片30,31を設けてあり、各係合ばね片30,31の係合爪30a,31aは、スライダー5が所定位置でロックされると、対応する種類のメモリカードMC2,MC1に設けた係合凹所103に係入して、メモリカードMC2,MC1をロック位置で保持しているので、種類の異なるメモリカードMC1,MC2を使用することができる。また本実施形態では、高速型SDメモリカードMC2を装着して使用することができるとともに、従来型のSDメモリカードMC1を装着した場合でも、SDメモリカードMC1をロックして、従来型ソケットに装着したのと同様のデータ転送を行うことができるので、従来型のSDメモリカードMC1と高速型SDメモリカードMC2の両方に対応可能なメモリカードソケットAを提供することができる。さらに本実施形態では、複数の係合爪30a,31aが、メモリカードの側方から係合凹所103に係入しているので、メモリカードの厚み方向から係合爪30a,31aが係合する場合に比べて、ソケット本体3の厚み方向の寸法を小さくできる。また本実施形態では、複数の係合爪30a,31aを有する係合ばね片30,31は、スライダー5との相対位置が変化しないように設けられているので、複数の係合ばね片30,31を圧入或いは同時成形などの方法でスライダーと一体に設けることができ、スライダー5と複数の係合ばね片30,31とを1つの部品として取り扱えるから、組立の手間を低減することができる。
【0070】
(実施形態3)
本発明の実施形態3について図12及び図13を参照して説明を行う。実施形態1では、カバーシェル2に設けた2本の係合ばね片15,16の係合爪15a,16aを、メモリカードの係合凹所103内に側方から係入させているのに対して、本実施形態では、スライダー5に設けた2本の係合ばね片32,33の係合爪32a,33aを、メモリカードの係合凹所103内に厚み方向(本実施形態では上方)から係入させている。尚、スライダー5に設けた係合ばね片32,33以外の構成は実施形態1と略同様であるので、共通する構成要素には同一の符号を付して、その説明は省略する。
【0071】
図12はベースシェル1及びカバーシェル2を外した状態を模式的に図示した平面図、図13(a)はメモリカードソケットAに高速型のSDメモリカードMC2を装着した状態の平面図、同図(b)はメモリカードソケットAに従来型のSDメモリカードMC1を装着した状態の平面図である。
【0072】
コンタクトブロック4の樹脂製基体6は、ソケット本体3の後部に配置される側部6aと、側部6aの左右両側部から前方に向かって突出する側部6b,6cとで構成され、側部6aには実施形態1と同様に複数本のコンタクトC1〜C13が圧入或いは同時成形により保持されている。
【0073】
またスライダー5は合成樹脂成型品であって、メモリカードMC1,MC2の側縁に当接する側部5aと、側部5aの後端部から側方に突出し、メモリカードMC1,MC2の先端側の角部に設けた切欠部(切欠部102又は第2切欠部109)と衝合する側部5bとでL字形に形成されている。スライダー5の側部5bの上側(カバーシェル2側)には、メモリカードMC1,MC2の係合凹所103が通過する位置に、ベースシェル1側に突出する山形突起からなる係合爪32a,33aを先端に備えた係合ばね片32,33が取着されている。尚、係合ばね片33の係合爪33aは、スライダー5に高速型SDメモリカードMC2の先端側が衝合した状態でメモリカードMC2の係合凹所103に係入する位置に形成されている。また、係合ばね片32の係合爪32aは、スライダー5に従来型のSDメモリカードMC1の先端側が衝合した状態でメモリカードMC1の係合凹所103に係入する位置に形成されている。尚、カバーシェル2と係合ばね片32,33との間には係合ばね片32,33が撓み可能な空間が設けてある。
【0074】
ここで、図13(a)に示すようにメモリカードソケットAに高速型SDメモリカードMC2を挿入した場合、実施形態1で説明したのと同様の動作を行ってスライダー5が所定位置でロックされるのであるが、ソケット内部に挿入されたメモリカードMC2の先端側がスライダー5に衝合する際に、メモリカードMC2の上面によって係合ばね片32,33が上側(ベースシェル1と反対側)に撓められ、先ず手前側に設けられた係合爪32aに係合凹所103が嵌るが、係合爪32aは山形に形成されているので、メモリカードMC2がさらに後方に挿入されると、係合凹所103の端縁が係合爪32aを乗り越えて後方に進み、メモリカードMC2の先端側をスライダー5の側部5bに衝合させた状態では、メモリカードMC2に対応して設けた係合ばね片33の係合爪33aが係合凹所103内に係入することで、メモリカードMC2がロック状態で保持される。
【0075】
一方、メモリカードMC2をソケットから取り外す際は、実施形態1と同様の操作を行うと、スライダー5のロックが解除されて、スライダー5が前方方向へ移動するのであるが、スライダー5が前端位置まで移動した状態でメモリカードMC2を引き出そうとすると、係合凹所103の端縁が、山形に形成された係合爪32a,33aをそれぞれ乗り越えていくことで、メモリカードMC2のロックが解除され、メモリカードMC2をソケット本体3から容易に取り出すことが可能になる。
【0076】
また図13(b)に示すようにメモリカードソケットAに従来型のSDメモリカードMC1を挿入した場合、実施形態1で説明したのと同様の動作を行ってスライダー5が所定位置でロックされるのであるが、ソケット内部に挿入されたメモリカードMC2の先端側がスライダー5に衝合する際に、メモリカードMC2の上面によって係合ばね片32,33が上側(ベースシェル1と反対側)に撓められ、メモリカードMC2の先端側をスライダー5の側部5bに衝合させた状態では、手前側に設けられた係合爪32aに係合凹所103が係入することによって、メモリカードMC1がロック状態で保持される。
【0077】
一方、メモリカードMC1をソケットから取り外す際は、実施形態1と同様の操作を行うと、スライダー5のロックが解除されて、スライダー5が前方方向へ移動するのであるが、スライダー5が前端位置まで移動した状態でメモリカードMC2を引き出そうとすると、係合凹所103の端縁が、山形に形成された係合爪32aを乗り越えていくことで、メモリカードMC2のロックが解除され、メモリカードMC1をソケット本体3から容易に取り出すことが可能になる。
【0078】
以上説明したように本実施形態においても、スライダー5に先端側を衝合させた状態で先端位置が互いに異なる複数種類のメモリカードソケットMC1,MC2に対応して複数の係合ばね片32,33を設けてあり、係合ばね片32,33はスライダー5との相対位置が変化しないようスライダー5に設けられているので、カード挿入時には対応する係合ばね片30,31の係合爪30a,31aが係合凹所103内に係入して、メモリカードMC1,MC2をロックするので、種類の異なるメモリカードMC1,MC2を使用することができる。また本実施形態では、高速型SDメモリカードMC2を装着して使用することができるとともに、従来型のSDメモリカードMC1を装着した場合でも、SDメモリカードMC1をロックして、従来型ソケットに装着したのと同様のデータ転送を行うことができるので、従来型のSDメモリカードMC1と高速型SDメモリカードMC2の両方に対応可能なメモリカードソケットAを提供することができる。さらに本実施形態では、複数の係合爪32a,33aが、メモリカードの厚み方向(上方又は下方)から係合凹所103に係入しているので、メモリカードの側方(左右方向)から係合爪32a,33aが係合する場合に比べて、ソケット本体3の左右方向寸法を小さくできる。
【0079】
また、メモリカードに設けた係合凹所の左右方向寸法は厚み寸法に比べて小さいので、複数の係合爪32a,33aが、メモリカードと平行な平面内でカード挿入方向と直交する方向(左右方向)に並べて配置された場合、係合爪32a,33aの1個当たりの係り代が小さくなるが、本実施形態では、一方の係合ばね片32に設けた係合爪32aを、係合ばね片33側に張り出して設けてあり、係合ばね片32の係合爪32aと、係合ばね片33の係合爪33aとを、カード挿入方向において一列に並べて配置しているので、各係合爪32a,33aの係り代を大きくとることができ、複数の係合爪32a,33aを係合凹所103に確実に係入させることができる。また本実施形態では、複数の係合爪32a,33aを有する係合ばね片32,33は、スライダー5との相対位置が変化しないように設けられているので、複数の係合ばね片32,33をスライダーと圧入或いは同時成形により一体に設けることができ、スライダー5と複数の係合ばね片32,33とを1つの部品として取り扱えるから、組立の手間を低減することができる。
【0080】
(実施形態4)
本発明の実施形態4について図14〜図16を参照して説明を行う。実施形態1では、それぞれ係合爪15a,16aを有する2本の係合ばね片15,16をカバーシェル2に設けているのに対して、本実施形態では、従来型のSDメモリカードMC1の係合凹所103に、カードの側方から係入する係合爪30aを備えた係合ばね片30と、高速型のSDメモリカードMC2の係合凹所103に厚み方向(本実施形態では例えば上方)から係入する係合爪33aを備えた係合ばね片33とをスライダー5に設けてある。尚、係合ばね片30,33以外の構成は実施形態1と略同様であるので、共通する構成要素には同一の符号を付して、その説明は省略する。
【0081】
図14はベースシェル1及びカバーシェル2を外した状態を模式的に図示した平面図、図15(a)〜(c)はカバーシェル2を概略的に図示した平面図、側面図及び斜視図である。また図16(a)はメモリカードソケットAに高速型のSDメモリカードMC2を装着した状態の平面図、同図(b)はメモリカードソケットAに従来型のSDメモリカードMC1を装着した状態の平面図である。
【0082】
コンタクトブロック4の樹脂製基体6は、ソケット本体3の後部に配置される側部6aと、側部6aの左右両側部から前方に向かって突出する側部6b,6cとで構成され、側部6aには実施形態1と同様に複数本のコンタクトC1〜C13が圧入或いは同時成形により保持されている。
【0083】
またスライダー5は合成樹脂成型品であって、メモリカードMC1,MC2の側縁に当接する側部5aと、側部5aの後端部から側方に突出し、メモリカードMC1,MC2の先端側の角部に設けた切欠部(切欠部102又は第2切欠部109)と衝合する側部5bとでL字形に形成されており、スライダー5には2本の係合ばね片30,33が取着されている。
【0084】
係合ばね片30は弾性を有する帯板を曲成することによってJ字形に形成されており、円弧状に湾曲した係合爪30aを前側に向け、さらにその先端を側部5aの内側端面よりも内側方向(図14中の右側)に突出させた状態で、後端部がスライダー5の側部5aに支持されている。したがって、係合ばね片30が後述のガイドリブ36によって外側方向に撓められていない状態では、係合爪30aの先端側が側部5aの内側端面よりも内側方向(メモリカード側)へ突出し、係合爪30aがメモリカードの係合凹所103に係合することになる。尚、係合ばね片30の係合爪30aは、スライダー5に従来型のSDメモリカードMC1の先端側が衝合した状態でメモリカードMC1の係合凹所103に係入する位置に配置される。
【0085】
また係合ばね片33は弾性を有する帯板を曲成することによって形成され、側部5bの上側部に後端側が支持されるとともに、ベースシェル1側に突出する山形突起からなる係合爪33aを前端側に備えており、当該係合爪33aはメモリカードMC1,MC2の係合凹所103が通過する位置に配置されている。尚、係合ばね片33の係合爪33aは、スライダー5に高速型SDメモリカードMC2の先端側が衝合した状態でメモリカードMC2の係合凹所103に係入する位置に設けられている。ここで、カバーシェル2と係合ばね片33との間には係合ばね片33が撓み可能な空間が設けてある。
【0086】
一方、カバーシェル2には、図15(a)〜(c)に示すように前後方向に移動するスライダー5と対向する部位にガイドリブ36を切り起こしによって形成してある。ガイドリブ36の後端側は係合ばね片30の前端部よりも外側に位置し、前端側にいくにつれてソケット本体3の外側方向に突出する向きに傾斜しており、前端側でカバーシェル2に連結されている。尚、図15では図示を簡単にするためガイドリブ36のみを図示してある。
【0087】
ここで、ソケット内部にメモリカードMC1,MC2が挿入されていない状態、すなわちスライダー5がコイルばね17のばね力を受けて、前方方向に移動している状態では、係合ばね片30の先端に設けた係合爪30aがガイドリブ36に沿って外側方向に撓められ、係合ばね片30の前端側が外側に開いた状態となるため、係合爪30aは側部5aの内側端面よりも外側に後退しており、この状態ではメモリカードMC1,MC2の係合凹所103に係合爪30aが係入することはない。
【0088】
そして、図16(a)に示すようにメモリカードソケットAに高速型SDメモリカードMC2を挿入した場合、実施形態1で説明したのと同様の動作を行ってスライダー5が所定位置でロックされるのであるが、メモリカードMC2をソケット内部に挿入して、その先端側をスライダー5の側部5bに衝合させる際には、メモリカードMC2の上面によって係合ばね片33が上側(ベースシェル1と反対側)に撓められ、その後スライダー5の側部5bに先端側が衝合した状態では、係合ばね片33の係合爪33aが係合凹所103内に係入することで、メモリカードMC2がロック状態で保持される。また、スライダー5の後方への移動に伴い、係合ばね片30の先端側がガイドリブ36に沿って内側方向へ突出するが、係合爪30aと係合凹所103の位置が一致していないため、係合爪30aがメモリカードMC1の側部に当接して係合ばね片30が撓められた状態となる。
【0089】
一方、メモリカードMC2をソケットから取り外す際は、実施形態1と同様の操作を行うと、スライダー5のロックが解除されて、スライダー5が前方方向へ移動するのであるが、スライダー5の前方への移動に伴い、係合ばね片30の先端側がガイドリブ36に沿って外側方向に開いた状態となるため、係合ばね片30の係合爪30aが係合凹所103に係入することはない。また、スライダー5が前端位置まで移動した状態でメモリカードMC2を引き出そうとすると、係合凹所103の端縁が、山形に形成された係合爪33aを乗り越えていくことで、メモリカードMC2のロックが解除され、メモリカードMC2をソケット本体3から容易に取り出すことが可能になる。
【0090】
また図16(b)に示すようにメモリカードソケットAに従来型のSDメモリカードMC1を挿入した場合、実施形態1で説明したのと同様の動作を行ってスライダー5が所定位置でロックされるのであるが、この場合はスライダー5の後方への移動に伴い、係合ばね片30の先端側がガイドリブ36に沿って内側方向へ突出すると、係合爪30aが係合凹所103に係入することで、メモリカードMC2がロック状態で保持される。
【0091】
一方、メモリカードMC1をソケットから取り外す際は、実施形態1と同様の操作を行うと、スライダー5のロックが解除されて、スライダー5が前方方向へ移動するのであるが、スライダー5の前方方向への移動に伴い、係合ばね片30の先端側がガイドリブ36に沿って外側方向に開いた状態となるため、係合ばね片30の係合爪30aが係合凹所103から外側に後退することによってロック状態が解除され、メモリカードMC2をソケット本体3から取り出すことが可能になる。
【0092】
以上説明したように本実施形態においても、スライダー5に先端側を衝合させた状態で先端位置が互いに異なる複数種類のメモリカードソケットMC2,MC1に対応して複数の係合ばね片30,33を設けてあり、係合ばね片30,33はスライダー5との相対位置が変化しないようスライダー5に設けられているので、カード挿入時には対応する係合ばね片30,33の係合爪30a,33aが係合凹所103内に係入して、メモリカードMC2,MC1をロックするので、種類の異なるメモリカードMC1,MC2を使用することができる。また本実施形態では、高速型SDメモリカードMC2を装着して使用することができるとともに、従来型のSDメモリカードMC1を装着した場合でも、SDメモリカードMC1をロックして、従来型ソケットに装着したのと同様のデータ転送を行うことができるので、従来型のSDメモリカードMC1と高速型SDメモリカードMC2の両方に対応可能なメモリカードソケットAを提供することができる。
【0093】
さらに本実施形態では、複数の係合爪の一部(係合爪30a)がメモリカードの側方から係合凹所103に係入し、複数の係合爪の残部(係合爪33a)がメモリカードの厚み方向(上方又は下方)から係合凹所103に係入しており、全ての係合爪がメモリカードの側方から係合凹所103に係入する場合に比べてソケット本体3の左右方向寸法を小さくでき、且つ、全ての係合爪がメモリカードの厚み方向から係合凹所103に係入する場合に比べてソケット本体3の厚み方向寸法を小さくできる。また更に本実施形態では、複数の係合爪30a,33aを有する係合ばね片30,33は、スライダー5との相対位置が変化しないように設けられているので、複数の係合ばね片30,33をスライダーと圧入或いは同時成形により一体に設けることができ、スライダー5と複数の係合ばね片30,33とを1つの部品として取り扱えるから、組立の手間を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】実施形態1のメモリカードソケットに従来型のSDメモリカードが挿入された状態を示し、(a)はベースシェル及びスライダーを外した状態を裏側から見た平面図、(b)はベースシェル及びスライダーを外した状態の側面図である。
【図2】同上に高速型のSDメモリカードが挿入された状態を示し、(a)はベースシェル及びスライダーを外した状態を裏側から見た平面図、(b)はベースシェル及びスライダーを外した状態の側面図である。
【図3】同上にSDメモリカードを挿入する前の状態を示す外観斜視図である。
【図4】同上を裏側から見た外観斜視図である。
【図5】同上のカバーシェルを外した状態の平面図である。
【図6】同上に用いるカバーシェルを示し、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は外観斜視図である。
【図7】同上のベースシェル及びスライダーを外した状態を示し、(a)は裏側から見た平面図、(b)は側面図である。
【図8】(a)は同上のカード挿入時又はカード取出時の状態を示す要部の平面図、(b)は同上のカードロック時の状態を示す要部の平面図である。
【図9】実施形態2のメモリカードソケットを示し、ベースシェル及びカバーシェルを外した状態を裏側から見た平面図である。
【図10】同上に用いるカバーシェルを示し、(a)は概略的な平面図、(b)は概略的な側面図、(c)は概略的な斜視図である。
【図11】(a)は同上に高速型のSDメモリカードが挿入された状態を裏側から見た一部省略せる平面図、(b)は同上に従来型SDメモリカードが挿入された状態を裏側から見た一部省略せる平面図である。
【図12】実施形態3のメモリカードソケットを示し、ベースシェル及びカバーシェルを外した状態を裏側から見た平面図である。
【図13】(a)は同上に高速型のSDメモリカードが挿入された状態を裏側から見た一部省略せる平面図、(b)は同上に従来型SDメモリカードが挿入された状態を裏側から見た一部省略せる平面図である。
【図14】実施形態4のメモリカードソケットを示し、ベースシェル及びカバーシェルを外した状態を裏側から見た平面図である。
【図15】同上に用いるカバーシェルを示し、(a)は概略的な平面図、(b)は概略的な側面図、(c)は概略的な斜視図である。
【図16】(a)は同上に高速型のSDメモリカードが挿入された状態を裏側から見た一部省略せる平面図、(b)は同上に従来型SDメモリカードが挿入された状態を裏側から見た一部省略せる平面図である。
【図17】本実施形態に用いるSDメモリカードを示し、(a)は裏側から見た平面図、(b)は左側面図、(c)は右側面図である。
【図18】本実施形態に用いる高速型SDメモリカードを示し、(a)は裏側から見た平面図、(b)は表側から見た平面図、(c)はカード挿入方向から見た側面図である。
【符号の説明】
【0095】
A メモリカードソケット
1 ベースシェル
2 カバーシェル
3 ソケット本体
3a カード挿入口
4 コンタクトブロック
5 スライダー
9 カムピン(スライダーロック手段)
14 ハートカム溝部(スライダーロック手段)
17 コイルばね
15,16 係合ばね片
15a,16a 係合爪
C1〜C13 コンタクト
P1〜P13 コンタクトパッド
MC1 メモリカード
【技術分野】
【0001】
本発明は、SDメモリカード(登録商標)やマルチメディアカード(MMC)のようなメモリカードやSDメモリカードと同様の大きさおよび端子配列を有するSDIOカード(登録商標)を挿抜自在に接続するためのメモリカードソケットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、小型で大容量のメモリカードとしてSDメモリカードが提供されており、このようなSDメモリカードは、それを使用する機器(以下、ホスト機器と言う。)に設けられたメモリカードソケットに装着されて使用される(例えば特許文献1参照)。
【0003】
図17(a)〜(c)は従来のSDメモリカードMC1を示し、矩形板状のカード体100の内部にフラッシュメモリ等の不揮発性の記憶素子を収納してある。カード体100の一面には長手方向における一側(カード挿入方向の前側部)に9個のコンタクトパッドP1〜P9が短幅方向に並べて配設されている。またカード体100の長手方向に沿う両側縁には段部101が形成されるとともに、前側部の片方の角部に斜めに傾斜する切欠部102を形成してある。またカード体100の幅方向における片側縁には、後述するメモリカードソケットの係合爪が係合する係合凹所103が形成されると共に、反対側の側縁にはライトプロテクトスイッチの摘み105がスライド移動自在に配置される凹部104を設けてある。尚、コンタクトパッドP1〜P8の間には絶縁のためのリブ106が形成されている。
【0004】
SDメモリカードMC1は、動作モードを切り替えて使用することが可能であり、動作モードに応じて各コンタクトパッドP1〜P9の機能が切り替えられるようになっている。従来のSDメモリカードMC1において、データの高速転送が可能なモードでは、4個のコンタクトパッドを介してデータ転送を行っており、1クロックサイクルで4ビットのデータ転送が可能となっている。
【0005】
このようなSDメモリカードMC1は、例えばデジタルカメラやデジタルビデオカメラのような映像記録機器の記憶媒体として使用されるのであるが、近年の映像記録機器の高精細度化に伴って、記憶媒体に記憶されるコンテンツが大容量化しており、大容量のデータをリアルタイムで記録したり、或いはコンピュータなどの外部機器に転送する場合に従来のSDメモリカードMC1ではデータの転送速度が十分速いとはいえず、比較的長い時間がかかっていた。
【0006】
そこで、データの転送速度を高速化した高速型SDメモリカードMC2が従来提供されている。図18(a)〜(c)は高速型SDメモリカードMC2の三面図であり、この高速型SDメモリカードMC2では、従来型のSDメモリカードMC1と同じ位置にコンタクトパッドP1,P2,P4,P5,P7〜P9を設けてある。またコンタクトパッドP3,P6の前後方向寸法を短くして、前端位置を後側にずらし、コンタクトパッドP3の前方位置に2個のコンタクトパッドP10,P11を左右に並べて配置するとともに、コンタクトパッドP6の前方位置に2個のコンタクトパッドP12,P13を左右に並べて配置してある。
【0007】
このような高速型SDメモリカードMC2の動作モードは、従来のSDメモリカードと同様の動作を行うSDモードと、より高速のデータ転送が可能な高速モードに切り替えが可能となっており、SDモードと高速モードとで各コンタクトパッドP1〜P13の機能が切り替えられるようになっている。
【0008】
そして、高速モードでは、コンタクトパッドP10,P11が対をなして、1ビットの差動データ信号を送受信すると共に、コンタクトパッドP12,P13が対をなして、1ビットの差動データ信号を送受信する。すなわち、上述のSDモードでは、4個のコンタクトパッドを用いて4ビットのデータを送受信していたが、高速モードでは、コンタクトパッドP10,P11の対と、コンタクトパッドP12,P13の対とを用いて2ビットのデータを送受信している。ここで、高速モードの方がSDモードよりも1クロックサイクルで伝送可能なビット数は少ないが、差動データを送受信することで動作クロックの周波数を飛躍的に高く設定できるため、高速モードではSDモードに比べて高速なデータ伝送を実現することができる。
【0009】
このように、高速型SDメモリカードMC2では、従来のSDメモリカードMC1に比べて高速のデータ転送が可能になっているが、従来のSDメモリカードMC1をブリッジメディアとして使用するホスト機器が既に数多く生産されている。これらのホスト機器は、従来のSDメモリカードに対応したメモリカードソケット(以下、従来型ソケットと言う。)を採用しているため、高速型SDメモリカードMC2には、従来型ソケットに装着して、データ転送が行えるようにすることが要求されている。
【0010】
そこで、高速型SDメモリカードMC2は、カード体100の前側角部に設けた切欠部107以外は従来のSDメモリカードMC1と同様の外形形状及び寸法に形成されている。切欠部107は、従来のSDメモリカードMC1と同じ位置でカード体100の前面に接する第1切欠部108と、第1切欠部108に連続して設けられ、カード体100の側面に接する第2切欠部109とで構成される。第2切欠部109は、第1切欠部108を距離dだけ後方に平行移動させて設けられ、第1切欠部108と第2切欠部109との間には段差が設けてある。
【0011】
このように、高速型SDメモリカードMC2では、カード体100の前側の角部に深さの異なる第1切欠部108と第2切欠部109を設けてあり、メモリカードソケットにカード体100を挿入した際に、従来型ソケットではカード体100の第1切欠部108がメモリカードソケットのスライダと衝合するのに対して、高速型SDメモリカードMC2に対応したメモリカードソケット(以下、高速対応型ソケットと言う。)では、カード体100の第2切欠部109がスライダと衝合することによって、メモリカードMC2がより深い位置まで差し込まれることになる。すなわち、従来型ソケットにメモリカードを挿入した場合は、高速対応型ソケットにメモリカードを挿入した場合に比べて、SDメモリカードMC2の挿入位置が浅くなっており、両ソケットでソケット内部に配置されたコンタクトがI/O接触面に接触する位置を異ならせることができる。
【0012】
したがって、従来型ソケットでは、コンタクトパッドP3,P6の前側位置に設けたコンタクトパッドP10〜P13にソケット内部に配置したコンタクトが接触することはなく、従来のSDメモリカードMC1と同様に9個のコンタクトパッドP1〜P9のみをソケット側のコンタクトに接触させることができるようになり、従来型ソケットに対して互換性を持たせることができる。
【特許文献1】特開2004−71175号公報
【特許文献2】特開2003−249290号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上述のように高速伝送が可能な高速型のSDメモリカードは、高速対応型ソケットと従来型ソケットの両方で使用することができるのであるが、高速対応型ソケットに、従来型のSDメモリカードが挿入された場合でも、従来型ソケットに装着した場合と同様に、データの書き込み或いは読み出しが行えるようにすることが要求されている。
【0014】
本発明は上記問題点に鑑みて為されたものであり、その目的とするところは、従来のメモリカードに対応しつつ、新しいメモリカードにも対応可能なメモリカードソケットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、前面に開口したカード挿入口を通してメモリカードがスライドして挿抜されるソケット本体と、ソケット本体の内部に前後方向に移動自在に配置され、カード挿入口から挿入されたメモリカードの先端側と衝合し、メモリカードからの押力を受けてメモリカードとともに後方へ移動するスライダーと、スライダーを前方方向へ常時付勢する付勢ばねと、スライダーの最後部位置への移動後のメモリカードの押力の解除時にスライダーを所定位置でロックし、該ロック後にメモリカードへの押力が加わってスライダーが後方移動するときにロックを解除するスライダーロック手段と、スライダーに先端側を衝合させた状態で先端位置が互いに異なる複数種類のメモリカードの一面にそれぞれ設けた複数のI/O接触面にそれぞれ接触する複数のコンタクトと、複数種類のメモリカードのそれぞれに対応して設けられ、スライダーが上記所定位置でロックされると、複数種類のメモリカードの側面において先端位置から同じ距離に設けられた係合凹所に係入してメモリカードをロック位置に保持する複数の係合爪とを備えたことを特徴とする。
【0016】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、複数の係合爪は、メモリカードの側方から係合凹所に係入することを特徴とする。
【0017】
請求項3の発明は、請求項1の発明において、複数の係合爪は、メモリカードの厚み方向から係合凹所に係入することを特徴とする。
【0018】
請求項4の発明は、請求項3の発明において、係合凹所に係入する複数の係合爪が、カード挿入方向に並んで配置されたことを特徴とする。
【0019】
請求項5の発明は、請求項1の発明において、複数の係合爪の一部は、メモリカードの側方から係合凹所に係入し、複数の係合爪の残部は、メモリカードの厚み方向から係合凹所に係入することを特徴とする。
【0020】
請求項6の発明は、請求項1乃至5の何れか1項の発明において、複数の係合爪はスライダーとの相対位置が変化しないように設けられたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
請求項1の発明によれば、複数種類あるメモリカードは、スライダーに先端側を衝合させた状態での先端位置が互いに異なっており、複数の係合爪は、スライダーが所定位置でロックされると、対応する種類のメモリカードに設けた係合凹所に係入して、このメモリカードをロック位置で保持しているので、種類の異なるメモリカードを使用することができ、例えば従来型のSDメモリカードと高速型のSDメモリカードの両方を使用することが可能になる。
【0022】
請求項2の発明によれば、複数の係合爪はメモリカードの側方から係合凹所に係入しているので、メモリカードの厚み方向から係合爪が係合する場合に比べて、ソケット本体の厚み方向の寸法を小さくできる。
【0023】
請求項3の発明によれば、複数の係合爪はメモリカードの厚み方向から係合凹所に係入しているので、メモリカードの左右方向から係合爪が係合する場合に比べて、ソケット本体の左右方向寸法を小さくできる。
【0024】
請求項4の発明によれば、メモリカードに設けた係合凹所の左右方向寸法は厚み寸法に比べて小さいが、複数の係合爪をカード挿入方向に並べて配置することで、係合爪1個当たりの係り代を大きくとることができ、複数の係合爪を係合凹所に確実に係入させることができる。
【0025】
請求項5の発明によれば、複数の係合爪の一部のみが、メモリカードの側方から係合凹所に係入しているので、全ての係合爪がメモリカードの側方から係合凹所に係入する場合に比べて、ソケット本体の左右方向寸法を小さくできる。しかも、複数の係合爪の残部が、メモリカードの厚み方向から係合凹所に係入しているので、全ての係合爪がメモリカードの厚み方向から係合凹所に係入する場合に比べて、ソケット本体の厚み方向寸法を小さくできる。
【0026】
請求項6の発明によれば、例えば複数の係合爪とスライダーとを一体に構成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0028】
(実施形態1)
本実施形態では、従来型のSDメモリカードMC1と高速型SDメモリカードMC2の両方に対応可能にしたメモリカードソケットについて図1〜図8を参照して説明する。尚、以下の説明では特に断りが無いかぎり、図3中の矢印a−bを上下方向、矢印c−dを左右方向、矢印e−fを前後方向として説明を行う。
【0029】
図3及び図4はメモリカードソケットAの外観斜視図、図5はカバーシェル2を外した状態の平面図であり、メモリカードソケットAは、ベースシェル1及びカバーシェル2からなるソケット本体3と、複数本のコンタクトC1〜C13を保持するコンタクトブロック4と、スライダー5とを主要な構成として備えている。
【0030】
ベースシェル1は、例えば厚さが極薄い矩形板状のステンレス金属板に打ち抜き加工且つ曲げ加工を施すことにより形成され、左右両側部を上側に折り曲げて側片1a,1bを形成したものであり、上側及び前後両側が開放されている。
【0031】
ベースシェル1の後部および左側部には上側に突出する複数個の突出片1cが折り曲げ形成されており、これらの突出片1cをコンタクトブロック4の基体6下面に開口した圧入溝(図示せず)に圧入することで、ベースシェル1の上面にコンタクトブロック4が圧入固定されるようになっている。尚、ベースシェル1の後端よりやや前方には、コンタクトブロック4に保持されるコンタクトC1〜C13を逃がすための貫通孔7が複数形成されている。
【0032】
またベースシェル1の前側縁の右端には、メモリカードMC1,MC2の通過位置よりも外側位置から上側方向に突出し、さらにその先端側が後方に突出する側面視L字形の支持片8が折り曲げ形成されている。支持片8の上面に設けた軸孔(図示せず)にはカムピン9の一端側の軸部9aが係入され、支持片8に対してカムピン9が回転自在に軸支されている(図5参照)。またベースシェル1の右側縁には、スライダー5の下面に設けた凹溝(図示せず)に嵌ってスライダー5をガイドする突条部10,10が前後方向に並んで切り起こし形成されている。
【0033】
カバーシェル2は、図6(a)〜(c)に示すように、厚さが極薄い矩形板状のステンレス金属板に打ち抜き加工且つ曲げ加工を施すことにより形成され、カバーシェル2の後縁からは下方に突出する曲げ片11が折り曲げ形成されている。またカバーシェル2には、曲げ片11よりもやや前端寄りの位置に、下方に突出する複数個の突出片12が切り起こしによって形成されている。而して、上面にコンタクトブロック4の基体6が固定されたベースシェル1の上側にカバーシェル2を載置して、カバーシェル2の突出片12をコンタクトブロック4の基体6に設けた圧入溝(図示せず)に圧入するとともに、カバーシェル2の周縁部とベースシェル1との当接部位をレーザ溶接などの方法で溶接することにより、カバーシェル2がベースシェル1及びコンタクトブロック4に対して固定され、前面にカード挿入口3aが開口する扁平な箱状のソケット本体3が構成される。
【0034】
また、カバーシェル2の右側部の前寄り部位には、ベースシェル1の支持片8に支持されたカムピン9の他端側の軸部9bと対向する部位に、T字形の弾接ばね片13が切り起こしによって形成されている。この弾接ばね片13は、カムピン9の軸部9bに弾接して、軸部9bを下側方向(スライダー5側)に付勢しており、軸部9bの先端をスライダー5に設けたガイド溝14bの底面(凹凸面14c)に当接させるようになっている。また、カバーシェル2の右側部には、ベースシェル1の支持片8に対向する部位にカムピン9の一端側の軸部9aを押さえて、軸部9aの脱落を防止する押さえ片23が切り起こしによって形成されている。
【0035】
また、カバーシェル2の右側部の後部寄りには2本の係合ばね片15,16が切り起こしによって形成されている。係合ばね片15,16は弾性を有する細長い帯板状であって、後端側でカバーシェル2に連結されるとともに、前端側が左右方向において撓み自在となっており、前端側には内側方向に屈曲した山形の係合爪15a,16aがそれぞれ形成されている。これら係合ばね片15,16は互いに長さが異なっており、従来型のSDメモリカードMC1の装着時には長さの長い係合ばね片15の係合爪15aがメモリカードMC1の係合凹所103に係合するとともに、高速型SDメモリカードMC2の装着時には長さの短い係合ばね片16の係合爪16aがメモリカードMC2の係合凹所103に係合するように、各係合ばね片15,16の長さ寸法が設定されている。尚、本実施形態では両係合ばね片15,16の長さ寸法を異ならせているが、係合爪15a,15bの位置がカード挿入方向において異なる位置に配置されるように係合ばね片15,16を設ければ良い。
【0036】
而して、カード装着時には従来型のSDメモリカードMC1又は高速型SDメモリカードMC2に対応した係合ばね片15,16の係合爪15a又は16aが、メモリカードの係合凹所103に係入することによって、メモリカードMC1,MC2の脱落を防止するようになっている。
【0037】
コンタクトブロック4は平面視の形状が略L形に形成された樹脂成型品からなる基体6を備え、この基体6は、ベースシェル1及びカバーシェル2の後側辺に沿って配置されて、ソケット本体3の後面を閉塞する側部6aと、側部6aの左側部から前方に突出しベースシェル1の側片1bに沿って配置される側部6bとで構成されている。また側部6aの前面右端には、コイルばね17の一端側を保持するばね受け(図示せず)が設けられ、コンタクトブロック4とスライダー5との間にコイルばね17(付勢ばね)が介装されており、コイルばね17のばね力によってスライダー5は常時前方方向(カード挿入口3a側)に向かって付勢されている。また側部6bには、カード挿入方向に沿って延び、メモリカードMC1,MC2の裏面と対向する段部22が設けられている。
【0038】
さらに基体6の側部6aには、高速型SDメモリカードMC2の後部裏面に並行形成された複数のコンタクトパッドP1〜P13(I/O接触面)にそれぞれ対応接触する13本のコンタクトC1〜C13が圧入或いは同時成形により一体に保持されている。各コンタクトC1〜C13は、接触側のばね部を側部6aの前面側(カード挿入口3a側)に突出させるとともに、半田付け端子18を側部6aの後面から上側に突出させている。また本実施形態では図示を省略しているが、側部6bにはライトプロテクトスイッチの摘み105の位置を検出するための位置検出用接点が配設されている。
【0039】
またスライダー5は合成樹脂成型品であって、メモリカードMC1,MC2の右側縁に当接する側部5aと、側部5aの後端部から側方に突出してメモリカードの先端側の角部と衝合する側部5bとでL字形に形成されている。また側部5aの内側面の下側縁には、カード挿入方向に沿って延び、メモリカードMC1,MC2の裏面と対向する段部19が一体に突設されている。尚、側部5bの幅は、高速型SDメモリカードMC2の第2切欠部109の幅と略同じか若干小さい寸法に形成されており、側部5bの前面には従来型SDメモリカードMC1の切欠部102又は高速型SDメモリカードMC2の第2切欠部108と略同じ角度で斜めに傾斜している。而して、メモリカードソケットAに従来型のSDメモリカードMC1が挿入された場合はSDメモリカードMC1の切欠部102が側部5bの傾斜面と衝合し、高速型SDメモリカードMC2が挿入された場合は高速型SDメモリカードMC2の第2切欠部109が側部5bの傾斜面と衝合することになり、メモリカードMC1,MC2からの押力を受けてスライダー5が後方に移動することになる。
【0040】
また側部5aの下面には、コイルばね17の前端側が挿入される凹溝(図示せず)や、ベースシェル1に設けた突条部10,10が挿入されるガイド溝(図示せず)が形成されており、組立状態においてはスライダー5が前後方向に沿ってスライド移動自在に保持されるとともに、コイルばね17により前方方向への付勢力を受けている。而して、メモリカードMC1,MC2の非挿入時にはコイルばね17のばね力によりスライダー5が前方へ移動し、スライダー5の前端部がベースシェル1の支持片8に当接する位置でスライダー5が停止する。一方、カード挿入口3aを通してソケット内部にメモリカードMC1,MC2が挿入されると、メモリカードMC1,MC2の先端部が側部5bの傾斜面と衝合することで、メモリカードMC1,MC2からの押力がスライダー5に加わり、スライダー5がメモリカードMC1,MC2とともに前後方向にスライド移動するようになっている。
【0041】
また更に側部5aの前側部の上面には、図5に示すようにカムピン9の軸部9bが移動自在に係入されるハートカム溝部14が形成され、ハートカム溝部14よりも後側にはカバーシェル2に設けた係合ばね片15,16が挿入される凹溝20が形成されている。
【0042】
ハートカム溝部14は、ハートカム14aと、ハートカム14aの周部に形成されたガイド溝14bとで構成され、ガイド溝14bの底面には凹凸面14cが形成されている。カムピン9の軸部9bはガイド溝14b内に係入し、弾接ばね片13によって軸部9bの先端がガイド溝14bの底面(凹凸面14c)に押し付けられており、スライダー5の前後移動に伴い、ガイド溝14bとこのガイド溝14bの底面に形成した凹凸面14cとで、カムピン9の軸部9bのガイド溝14b内での相対的な移動がガイドされるようになっている。尚、ハートカム14aの前部には、前側に開放された凹部14dが形成されており、スライダー5が最後部位置へ移動した後、メモリカードMC1,MC2の押力が解除された際に、カムピン9の軸部9bが凹部14dに嵌り込むことで、スライダー5の前方方向への移動が規制され、スライダー5が所定位置で保持されるようになっている。また側部5aの上面に設けた凹溝20の右側端面には、ソケット本体3の内側方向に突出する突壁21が前側部に形成してある。
【0043】
而して、図8(b)に示すようにスライダー5が上記所定位置まで移動すると、カバーシェル2に設けた係合ばね片15,16が突壁21に乗り上げ、突壁21によって内側方向に押圧されるので、係合ばね片15,16が弾性変形することで、係合ばね片15,16の先端側に設けた係合爪15a,16aをメモリカードMC1又はMC2の係合凹所103内に進入させてメモリカードMC1,MC2をロック位置で保持することができる。一方、図8(a)に示すようにメモリカードMC1,MC2がロック位置まで挿入されていない状態では、カバーシェル2に設けた係合ばね片15,16が突壁21から降りて、係合ばね片15,16を撓ませる力が無くなるので、係合ばね片15,16の弾性復帰力によって係合爪15a,16aが係合凹所103から外側に退出し、メモリカードMC1,MC2のロック状態が解除されるようになっている。
【0044】
ところで、本実施形態のメモリカードソケットAを組み立てるに当たっては、コンタクトC1〜C13を圧入或いは同時成形により一体に保持させたコンタクトブロック4の基体6をベースシェル1の上面に載置し、ベースシェル1の突出片1cを基体6の下面に設けた圧入溝に圧入することによって、基体6をベースシェル1上に固定する。そして、基体6のばね受けにコイルばね17の一端側を保持させた状態で、コイルばね17の他端側をスライダー5の下面の凹溝内に挿入させるとともに、ベースシェル1の突条部10をスライダー5下面のガイド溝内に挿入させるようにして、スライダー5をベースシェル1上に載置した後、カムピン9の一端側の軸部9aをベースシェル1の支持片8に設けた軸孔に係入させるとともに、カムピン9の他端側の軸部9bをスライダー5のハートカム溝部14内に係入させる。その後、ベースシェル1の両側片1a,1bの先端部間にカバーシェル2を橋架する形で載置し、カバーシェル2の突出片12を基体6の嵌合溝に圧入するとともに、ベースシェル1とカバーシェル2との当接部位をレーザ溶接により接合することで、前部にカード挿入口3aが開口した箱状のソケット本体3が形成され、メモリカードソケットAの組立が完了する。尚、この状態ではカムピン9の軸部9bがガイド溝14bの後端の位置A(図5参照)に移動している。
【0045】
次に、メモリカードソケットAにメモリカードMC1,MC2を挿抜する際の動作について説明する。メモリカードMC1,MC2が装着されていない状態では、コイルばね17の弾発力を受けて、側部5aの前端部が支持片8と衝合する位置までスライダー5が前方方向に移動している。この状態では、係合ばね片15,16の係合爪15a,16aが凹溝20内に後退しており、係合爪15a,16aの先端部が凹溝20から内側方向へ突出しないようになっている(図8(a)参照)。
【0046】
この状態から高速型SDメモリカードMC2を前後方向及び表裏方向を正規の方向に向けてカード挿入口3aからソケット内に挿入すると、メモリカードMC2がスライダー5の側部5aと基体6の側部6bとの間に挿入されて、メモリカードMC2の裏面の段部101,101が、両側部5a,6bに設けた段部19,22の上側に乗ることになる。そして、メモリカードMC2をソケット本体3内に更に挿入すると、メモリカードMC2の先端側に設けた第2切欠部109がスライダー5の側部5bに衝合してスライダー5を後方へ押すことになる。
【0047】
その後、スライダー5に加わるコイルばね17の弾発力に抗してメモリカードMC2を更に内側へ押し入れると、メモリカードMC2の移動に共動してスライダー5が後退することになる。このスライダー5の後退によりカムピン9の軸部9bはハートカム溝部14のガイド溝14b底部の凹凸面14cによってガイドされながら、ガイド溝14b内を図5中の下側へ移動し、図5中の位置Bに移動することになる。そして、メモリカードMC2の先端位置が基体6の側部6a前面に当たる位置に近い位置までメモリカードMC2を押し込むと、カムピン9の軸部9bがガイド溝14bの前端部に当たる位置Cに至ることになり、それ以上の押し込みができなくなる。またこの時、スライダー5の後方移動に伴って、凹溝20の内側端面に設けた突壁21が係合ばね片15,16の中間部位に当接し、係合ばね片15,16を内側方向へ撓ませるので、係合ばね片15,16の係合爪15a,16aが側部5aの内側面よりも内側方向に突出し、一方の係合ばね片16に設けた係合爪16aが係合凹所103に係入することで、メモリカードMC2をロックし、メモリカードMC2の脱落が防止される(図2(a)(b)参照)。
【0048】
そして、この位置でメモリカードMC2に加えていた押力を解除すると、コイルばね17の弾発力を受けてスライダー5がメモリカードMC2と共に前方へ戻りかけるが、カムピン9の軸部9bがガイド溝14bに案内されながらハートカム14aの凹部14dに嵌り込む位置(図5の位置)まで移動することになる。従ってカムピン9の軸部9bがハートカム14aの凹部14dに当接することで、これ以上のスライダー5の前方移動が規制され、係合ばね片16によりロックされたメモリカードMC2もその位置でソケット本体3内に留まることになる。このロック位置では、コンタクトブロック4の側部6aから前方に突出する各コンタクトC1〜C13がメモリカードMC2のコンタクトパッドP1〜P13にそれぞれ接触することになり、上述したSDモード或いは高速モードでデータ転送が行えるようになっている。
【0049】
以上のようにして挿着されたメモリカードMC2をメモリカードソケットAから取り出す際は、まずソケット本体3のカード挿入口3aより外部に露出するメモリカードMC2の後部を挿入方向に押し、メモリカードMC2と共にスライダー5を挿入方向へ移動させる。この移動によってカムピン9の軸部9bがハートカム14aの凹部14dから離脱するとともに、ガイド溝14bにガイドされて凹部14dより右側前方に出て、ガイド溝14b内の位置Eに移動する。
【0050】
その後、メモリカードMC2に与えた押力を無くすと、スライダー5はコイルばね17の弾発力を受けて前方へ移動することなり、スライダー5の前方移動に伴ってカムピン9の軸部9bはガイド溝14bにガイドされながら、ハートカム14aの右側のガイド溝14b内の位置Fを通って、ガイド溝14bの後端部の位置Aまで移動する。またスライダー5の前方方向への移動に伴い、スライダー5の突壁21が係合ばね片15,16から離れるため、係合ばね片15,16が初期位置に戻って、係合爪16aが係合凹所103から外に出るとともに、両係合爪15a,16aが凹溝20内に退避するから、係合爪16aによってメモリカードMC2が再びロックされることはなく、メモリカードMC2のロックを確実に解除できる。そして、スライダー5がさらに前方方向へ移動し、側部5aの前端部が支持片8と当接した状態では、メモリカードMC2の後部がソケット本体3のカード挿入口3aから外部へ大きく露出するので、メモリカードMC2をソケット本体3から取り出すことが可能になる。ここにおいて、ハートカム溝部14とカムピン9とから、スライダー5の最後部位置への移動後のメモリカードMCの押力の解除時にスライダー5を所定位置でロックし、該ロック後にメモリカードMCへの押力が加わってスライダー5が後方移動するときにロックを解除するスライダーロック手段が構成される。
【0051】
また本実施形態のメモリカードソケットAは、高速型SDメモリカードMC2に加えて、従来型のSDメモリカードMC1にも対応しており、従来型のSDメモリカードMC1を挿抜する際の動作について以下に説明する。
【0052】
メモリカードが装着されていない状態で、従来型のSDメモリカードMC1を前後方向及び表裏方向を正規の方向に向けてカード挿入口3aからソケット内に挿入すると、メモリカードMC1がスライダー5の側部5aと基体6の側部6bとの間に挿入されて、メモリカードMC1の裏面の段部101,101が、両側部5a,6bに設けた段部19,22の上側に乗ることになる。そして、メモリカードMC1をソケット本体3内に更に挿入すると、メモリカードMC2の先端側に設けた切欠部102がスライダー5の側部5bに衝合してスライダー5を後方へ押すことになる。
【0053】
その後、スライダー5に加わるコイルばね17の弾発力に抗してメモリカードMC1を更に内側へ押し入れると、メモリカードMC1の移動に共動してスライダー5が後退することになる。このスライダー5の後退によりカムピン9の軸部9bはハートカム溝部14のガイド溝14b底部の凹凸面14cによってガイドされながら、ガイド溝14b内を図5中の下側へ移動し、図5中の位置Bに移動することになる。そして、メモリカードMC2の先端位置が基体6の側部6a前面に当たる位置に近い位置までメモリカードMCを押し込むと、カムピン9の軸部9bがガイド溝14bの前端部に当たる位置Cに至ることになり、それ以上の押し込みができなくなる。またこの時、スライダー5の後方移動に伴って、凹溝20の内側端面に設けた突壁21が係合ばね片15,16の中間部位に当接し、係合ばね片15,16を内側方向へ撓ませるので、係合ばね片15,16の係合爪15a,16aが側部5aの内側面よりも内側方向に突出し、一方の係合ばね片15に設けた係合爪15aが係合凹所103に係入することで、メモリカードMC1をロックし、メモリカードMC1の脱落が防止される(図2(a)(b)参照)。
【0054】
そして、この位置でメモリカードMC1に加えていた押力を解除すると、コイルばね17の弾発力を受けてスライダー5がメモリカードMC1と共に前方へ戻りかけるが、カムピン9の軸部9bがガイド溝14bに案内されながらハートカム14aの凹部14dに嵌り込む位置(図5の位置)まで移動することになる。従ってカムピン9の軸部9bがハートカム14aの凹部14dに当接することで、これ以上のスライダー5の前方移動が規制され、係合ばね片15によりロックされたメモリカードMC1もその位置でソケット本体3内に留まることになる。ここで、従来型のSDメモリカードMC1を装着する際には、SDメモリカードMC1の切欠部102がスライダー5の側部5bと衝合するため、ロック状態におけるSDメモリカードMC1の先端位置は、高速型SDメモリカードMC1を装着した場合に比べて前寄り(カード挿入口3a側)となる。したがって、コンタクトブロック4の側部6a前端面からコンタクトパッドP1〜P9までの距離が、高速型SDメモリカードMC2の装着時に比べて遠くなるため、高速型SDメモリカードC2用に設けたコンタクトC10〜C11はコンタクトパッドP1〜P9に接触することはなく、コンタクトC1〜C9のみを従来型SDメモリカードMC1のコンタクトパッドP1〜P9に接触させることができ、従来型ソケットに装着した場合と同様のデータ伝送を行うことができる。
【0055】
以上のようにして装着された従来型のSDメモリカードMC1をメモリカードソケットAから取り出す際は、まずソケット本体3のカード挿入口3aより外部に露出するメモリカードMC1の後部を挿入方向に押し、メモリカードMC1と共にスライダー5を挿入方向へ移動させる。この移動によってカムピン9の軸部9bがハートカム14aの凹部14dから離脱するとともに、ガイド溝14bにガイドされて凹部14dより右側前方に出て、ガイド溝14b内の位置Eに移動する。
【0056】
その後、メモリカードMC2に与えた押力を無くすと、スライダー5はコイルばね17の弾発力を受けて前方へ移動することなり、スライダー5の前方移動に伴ってカムピン9の軸部9bはガイド溝14bにガイドされながら、ハートカム14aの右側のガイド溝14b内の位置Fを通って、ガイド溝14bの後端部の位置Aまで移動する。またスライダー5の前方方向への移動に伴い、スライダー5の突壁21が係合ばね片15,16から離れるため、係合ばね片15,16が初期位置に戻って、係合爪15aが係合凹所103から外に出て、両係合爪15a,16aが凹溝20内に退避するから、メモリカードMC1のロックが解除される。そして、スライダー5がさらに前方方向へ移動し、側部5aの前端部が支持片8と当接した状態では、メモリカードMC1の後部がソケット本体3のカード挿入口3aから外部へ大きく露出するので、メモリカードMC1をソケット本体3から取り出すことが可能になる。
【0057】
以上説明したように本実施形態のメモリカードソケットAでは、スライダー5に先端側を衝合させた状態で先端位置が互いに異なる複数種類のメモリカードソケットMC1,MC2に対応して複数の係合ばね片15,16を設けてあり、各係合ばね片15,16の係合爪15a,16aは、スライダー5が所定位置でロックされると、対応する種類のメモリカードMC1,MC2に設けた係合凹所103に係入して、このメモリカードMC1,MC2をロック位置で保持しているので、種類の異なるメモリカードMC1,MC2を使用することができる。また本実施形態では、高速型SDメモリカードMC2を装着して使用することができるとともに、従来型のSDメモリカードMC1を装着した場合でも、SDメモリカードMC1をロックして、従来型ソケットに装着したのと同様のデータ転送を行うことができるので、従来型のSDメモリカードMC1と高速型SDメモリカードMC2の両方に対応可能なメモリカードソケットAを提供することができる。さらに本実施形態では、複数の係合爪15a,16aが、メモリカードの側方から係合凹所103に係入しているので、メモリカードの厚み方向から係合爪15a,16aが係合する場合に比べて、ソケット本体3の厚み方向の寸法を小さくできる。
【0058】
(実施形態2)
本発明の実施形態2について図9〜図11を参照して説明を行う。実施形態1では、それぞれ係合爪15a,16aを有する2本の係合ばね片15,16をカバーシェル2に設けているのに対して、本実施形態では、メモリカードMC1,MC2の係合凹所103に、カードの側方から係入する係合爪30a,31aを備えた係合ばね片30,31をスライダー5に圧入或いは同時成形により一体的に設けてある。
【0059】
図9はベースシェル1及びカバーシェル2を外した状態を模式的に図示した平面図、図10(a)〜(c)はカバーシェル2を概略的に図示した平面図、側面図及び斜視図である。また図11(a)はメモリカードソケットAに高速型のSDメモリカードMC2を装着した状態の平面図、同図(b)はメモリカードソケットAに従来型のSDメモリカードMC1を装着した状態の平面図である。
【0060】
コンタクトブロック4の樹脂製基体6は、ソケット本体3の後部に配置される側部6aと、側部6aの左右両側部から前方に向かって突出する側部6b,6cとで構成され、側部6aには実施形態1と同様に複数本のコンタクトC1〜C13が圧入或いは同時成形により保持されている。
【0061】
またスライダー5は合成樹脂成型品であって、メモリカードMC1,MC2の側縁に当接する側部5aと、側部5aの後端部から側方に突出し、メモリカードMC1,MC2の先端側の角部に設けた切欠部(切欠部102又は第2切欠部109)と衝合する側部5bとでL字形に形成されている。2本の係合ばね片30,31は、それぞれ弾性を有する帯板を曲成することによってJ字形に形成されており、円弧状に湾曲した係合爪30a,31aを前側に向け、さらにその先端を側部5aの内側端面よりも外側(図9中の左側)に位置させた状態で、後端部がスライダー5の側部5aに支持されている。したがって、係合ばね片30,31が後述のガイドリブ35によって内側方向に撓められていない状態では、係合爪30a,31aの先端側が側部5aの内側端面よりも内側方向(メモリカード側)へ突出していないので、係合爪30a,31aがメモリカードMC1,MC2の係合凹所103に係合することはない。尚、係合ばね片30の係合爪30aは、スライダー5に高速型SDメモリカードMC2の先端側が衝合した状態でメモリカードMC2の係合凹所103に係入する位置に配置されている。また係合ばね片31の係合爪31aは、スライダー5に従来型のSDメモリカードMC1の先端側が衝合した状態でメモリカードMC1の係合凹所103に係入する位置に配置される。
【0062】
一方、カバーシェル2には、前後方向に移動するスライダー5と対向する部位にガイドリブ35を切り起こしによって形成してある。ガイドリブ35の前端側は係合ばね片30,31よりも外側に位置し、後端側にいくにつれてソケット本体3の内側方向に突出する向きに傾斜しており、後端側でカバーシェル2に連結されている。尚、図9ではガイドリブ35のみを図示してあり、カバーシェル2のその他の構成は実施形態1と同様であるので、図示及び説明は省略する。
【0063】
ここで、ソケット内部にメモリカードMC1,MC2が挿入されていない状態、すなわちスライダー5がコイルばね17のばね力を受けて、前方方向に移動している状態では、係合ばね片30,31はガイドリブ35によって内側に撓められておらず、係合ばね片30,31の前端側は外側に開いた状態(初期状態)となっているので、係合爪30a,31aは側部5aの内側端面よりも外側に後退しており、この状態ではメモリカードMC1,MC2の係合凹所103に係合爪30a,31aが係入することはない。
【0064】
そして、図11(a)に示すようにメモリカードソケットAに高速型SDメモリカードMC2を挿入した場合、実施形態1で説明したのと同様の動作を行ってスライダー5が所定位置でロックされるのであるが、この時スライダー5の後方への移動に伴い、係合ばね片30,31がカバーシェル2のガイドリブ35によって内側方向に撓められ、係合爪30a,31aが側部5aから内側方向へ突出するため、メモリカードMC2に対応して設けた係合ばね片30の係合爪30aが係合凹所103内に係入することで、メモリカードMC2がロック状態で保持される。
【0065】
なお、実施形態1で説明したように種類の異なるメモリカードMC1,MC2では、スライダー5に先端側(角部に設けた切欠部)を衝合させた際にメモリカードの先端位置が異なっているので、スライダー5の側部5bから係合凹所103(種類に関係無く定位置にある)までの距離が異なってくるが、複数本の係合ばね片30,31は、対応する種類のメモリカードに合わせて係合爪30a,31aの位置を異ならせており、スライダー5との相対位置が変化しないようにスライダー5に保持させているので、カード挿入時には対応する係合ばね片30,31の係合爪30a,31aが係合凹所103内に係入されることにより、それ以外の係合ばね片30,31の係合爪30a,31aはメモリカードMCの側部に当接し、弾性によって撓められることになる。
【0066】
一方、メモリカードMC2をソケットから取り外す際は、実施形態1と同様の操作を行うと、スライダー5のロックが解除されて、スライダー5が前方方向へ移動するのであるが、スライダー5の前方方向への移動に伴い、カバーシェル2のガイドリブ35が係合ばね片30,31から離れるため、ガイドリブ35が係合ばね片30,31を内側方向に撓める力が無くなり、係合爪30a,31aが側部5aの内側端面から外側に後退する。したがって、係合爪30a,31aが係合凹所103と係合することはなく、メモリカードMC2のロックが解除されるので、メモリカードMC2をソケット本体3から取り出すことが可能になる。
【0067】
また図11(b)に示すようにメモリカードソケットAに従来型のSDメモリカードMC1を挿入した場合、実施形態1で説明したのと同様の動作を行ってスライダー5が所定位置でロックされるのであるが、この時スライダー5の後方への移動に伴い、係合ばね片30,31がカバーシェル2のガイドリブ35によって内側方向に撓められ、係合爪30a,31aが側部5aから内側方向へ突出するため、メモリカードMC1に対応して設けた係合ばね片31の係合爪31aが係合凹所103内に係入することで、メモリカードMC1がロック状態で保持される。
【0068】
一方、メモリカードMC1をソケットから取り外す際は、実施形態1と同様の操作を行うと、スライダー5のロックが解除されて、スライダー5が前方方向へ移動するのであるが、スライダー5の前方方向への移動に伴い、カバーシェル2のガイドリブ35が係合ばね片30,31から離れるため、ガイドリブ35が係合ばね片30,31を内側方向に撓める力が無くなり、係合爪30a,31aが側部5aの内側端面から外側に後退する。したがって、係合爪30a,31aが係合凹所103と係合することはなく、メモリカードMC1のロックが解除されるので、メモリカードMC1をソケット本体3から取り出すことが可能になる。
【0069】
以上説明したように本実施形態においても、スライダー5に先端側を衝合させた状態で先端位置が互いに異なる複数種類のメモリカードソケットMC2,MC1に対応して複数の係合ばね片30,31を設けてあり、各係合ばね片30,31の係合爪30a,31aは、スライダー5が所定位置でロックされると、対応する種類のメモリカードMC2,MC1に設けた係合凹所103に係入して、メモリカードMC2,MC1をロック位置で保持しているので、種類の異なるメモリカードMC1,MC2を使用することができる。また本実施形態では、高速型SDメモリカードMC2を装着して使用することができるとともに、従来型のSDメモリカードMC1を装着した場合でも、SDメモリカードMC1をロックして、従来型ソケットに装着したのと同様のデータ転送を行うことができるので、従来型のSDメモリカードMC1と高速型SDメモリカードMC2の両方に対応可能なメモリカードソケットAを提供することができる。さらに本実施形態では、複数の係合爪30a,31aが、メモリカードの側方から係合凹所103に係入しているので、メモリカードの厚み方向から係合爪30a,31aが係合する場合に比べて、ソケット本体3の厚み方向の寸法を小さくできる。また本実施形態では、複数の係合爪30a,31aを有する係合ばね片30,31は、スライダー5との相対位置が変化しないように設けられているので、複数の係合ばね片30,31を圧入或いは同時成形などの方法でスライダーと一体に設けることができ、スライダー5と複数の係合ばね片30,31とを1つの部品として取り扱えるから、組立の手間を低減することができる。
【0070】
(実施形態3)
本発明の実施形態3について図12及び図13を参照して説明を行う。実施形態1では、カバーシェル2に設けた2本の係合ばね片15,16の係合爪15a,16aを、メモリカードの係合凹所103内に側方から係入させているのに対して、本実施形態では、スライダー5に設けた2本の係合ばね片32,33の係合爪32a,33aを、メモリカードの係合凹所103内に厚み方向(本実施形態では上方)から係入させている。尚、スライダー5に設けた係合ばね片32,33以外の構成は実施形態1と略同様であるので、共通する構成要素には同一の符号を付して、その説明は省略する。
【0071】
図12はベースシェル1及びカバーシェル2を外した状態を模式的に図示した平面図、図13(a)はメモリカードソケットAに高速型のSDメモリカードMC2を装着した状態の平面図、同図(b)はメモリカードソケットAに従来型のSDメモリカードMC1を装着した状態の平面図である。
【0072】
コンタクトブロック4の樹脂製基体6は、ソケット本体3の後部に配置される側部6aと、側部6aの左右両側部から前方に向かって突出する側部6b,6cとで構成され、側部6aには実施形態1と同様に複数本のコンタクトC1〜C13が圧入或いは同時成形により保持されている。
【0073】
またスライダー5は合成樹脂成型品であって、メモリカードMC1,MC2の側縁に当接する側部5aと、側部5aの後端部から側方に突出し、メモリカードMC1,MC2の先端側の角部に設けた切欠部(切欠部102又は第2切欠部109)と衝合する側部5bとでL字形に形成されている。スライダー5の側部5bの上側(カバーシェル2側)には、メモリカードMC1,MC2の係合凹所103が通過する位置に、ベースシェル1側に突出する山形突起からなる係合爪32a,33aを先端に備えた係合ばね片32,33が取着されている。尚、係合ばね片33の係合爪33aは、スライダー5に高速型SDメモリカードMC2の先端側が衝合した状態でメモリカードMC2の係合凹所103に係入する位置に形成されている。また、係合ばね片32の係合爪32aは、スライダー5に従来型のSDメモリカードMC1の先端側が衝合した状態でメモリカードMC1の係合凹所103に係入する位置に形成されている。尚、カバーシェル2と係合ばね片32,33との間には係合ばね片32,33が撓み可能な空間が設けてある。
【0074】
ここで、図13(a)に示すようにメモリカードソケットAに高速型SDメモリカードMC2を挿入した場合、実施形態1で説明したのと同様の動作を行ってスライダー5が所定位置でロックされるのであるが、ソケット内部に挿入されたメモリカードMC2の先端側がスライダー5に衝合する際に、メモリカードMC2の上面によって係合ばね片32,33が上側(ベースシェル1と反対側)に撓められ、先ず手前側に設けられた係合爪32aに係合凹所103が嵌るが、係合爪32aは山形に形成されているので、メモリカードMC2がさらに後方に挿入されると、係合凹所103の端縁が係合爪32aを乗り越えて後方に進み、メモリカードMC2の先端側をスライダー5の側部5bに衝合させた状態では、メモリカードMC2に対応して設けた係合ばね片33の係合爪33aが係合凹所103内に係入することで、メモリカードMC2がロック状態で保持される。
【0075】
一方、メモリカードMC2をソケットから取り外す際は、実施形態1と同様の操作を行うと、スライダー5のロックが解除されて、スライダー5が前方方向へ移動するのであるが、スライダー5が前端位置まで移動した状態でメモリカードMC2を引き出そうとすると、係合凹所103の端縁が、山形に形成された係合爪32a,33aをそれぞれ乗り越えていくことで、メモリカードMC2のロックが解除され、メモリカードMC2をソケット本体3から容易に取り出すことが可能になる。
【0076】
また図13(b)に示すようにメモリカードソケットAに従来型のSDメモリカードMC1を挿入した場合、実施形態1で説明したのと同様の動作を行ってスライダー5が所定位置でロックされるのであるが、ソケット内部に挿入されたメモリカードMC2の先端側がスライダー5に衝合する際に、メモリカードMC2の上面によって係合ばね片32,33が上側(ベースシェル1と反対側)に撓められ、メモリカードMC2の先端側をスライダー5の側部5bに衝合させた状態では、手前側に設けられた係合爪32aに係合凹所103が係入することによって、メモリカードMC1がロック状態で保持される。
【0077】
一方、メモリカードMC1をソケットから取り外す際は、実施形態1と同様の操作を行うと、スライダー5のロックが解除されて、スライダー5が前方方向へ移動するのであるが、スライダー5が前端位置まで移動した状態でメモリカードMC2を引き出そうとすると、係合凹所103の端縁が、山形に形成された係合爪32aを乗り越えていくことで、メモリカードMC2のロックが解除され、メモリカードMC1をソケット本体3から容易に取り出すことが可能になる。
【0078】
以上説明したように本実施形態においても、スライダー5に先端側を衝合させた状態で先端位置が互いに異なる複数種類のメモリカードソケットMC1,MC2に対応して複数の係合ばね片32,33を設けてあり、係合ばね片32,33はスライダー5との相対位置が変化しないようスライダー5に設けられているので、カード挿入時には対応する係合ばね片30,31の係合爪30a,31aが係合凹所103内に係入して、メモリカードMC1,MC2をロックするので、種類の異なるメモリカードMC1,MC2を使用することができる。また本実施形態では、高速型SDメモリカードMC2を装着して使用することができるとともに、従来型のSDメモリカードMC1を装着した場合でも、SDメモリカードMC1をロックして、従来型ソケットに装着したのと同様のデータ転送を行うことができるので、従来型のSDメモリカードMC1と高速型SDメモリカードMC2の両方に対応可能なメモリカードソケットAを提供することができる。さらに本実施形態では、複数の係合爪32a,33aが、メモリカードの厚み方向(上方又は下方)から係合凹所103に係入しているので、メモリカードの側方(左右方向)から係合爪32a,33aが係合する場合に比べて、ソケット本体3の左右方向寸法を小さくできる。
【0079】
また、メモリカードに設けた係合凹所の左右方向寸法は厚み寸法に比べて小さいので、複数の係合爪32a,33aが、メモリカードと平行な平面内でカード挿入方向と直交する方向(左右方向)に並べて配置された場合、係合爪32a,33aの1個当たりの係り代が小さくなるが、本実施形態では、一方の係合ばね片32に設けた係合爪32aを、係合ばね片33側に張り出して設けてあり、係合ばね片32の係合爪32aと、係合ばね片33の係合爪33aとを、カード挿入方向において一列に並べて配置しているので、各係合爪32a,33aの係り代を大きくとることができ、複数の係合爪32a,33aを係合凹所103に確実に係入させることができる。また本実施形態では、複数の係合爪32a,33aを有する係合ばね片32,33は、スライダー5との相対位置が変化しないように設けられているので、複数の係合ばね片32,33をスライダーと圧入或いは同時成形により一体に設けることができ、スライダー5と複数の係合ばね片32,33とを1つの部品として取り扱えるから、組立の手間を低減することができる。
【0080】
(実施形態4)
本発明の実施形態4について図14〜図16を参照して説明を行う。実施形態1では、それぞれ係合爪15a,16aを有する2本の係合ばね片15,16をカバーシェル2に設けているのに対して、本実施形態では、従来型のSDメモリカードMC1の係合凹所103に、カードの側方から係入する係合爪30aを備えた係合ばね片30と、高速型のSDメモリカードMC2の係合凹所103に厚み方向(本実施形態では例えば上方)から係入する係合爪33aを備えた係合ばね片33とをスライダー5に設けてある。尚、係合ばね片30,33以外の構成は実施形態1と略同様であるので、共通する構成要素には同一の符号を付して、その説明は省略する。
【0081】
図14はベースシェル1及びカバーシェル2を外した状態を模式的に図示した平面図、図15(a)〜(c)はカバーシェル2を概略的に図示した平面図、側面図及び斜視図である。また図16(a)はメモリカードソケットAに高速型のSDメモリカードMC2を装着した状態の平面図、同図(b)はメモリカードソケットAに従来型のSDメモリカードMC1を装着した状態の平面図である。
【0082】
コンタクトブロック4の樹脂製基体6は、ソケット本体3の後部に配置される側部6aと、側部6aの左右両側部から前方に向かって突出する側部6b,6cとで構成され、側部6aには実施形態1と同様に複数本のコンタクトC1〜C13が圧入或いは同時成形により保持されている。
【0083】
またスライダー5は合成樹脂成型品であって、メモリカードMC1,MC2の側縁に当接する側部5aと、側部5aの後端部から側方に突出し、メモリカードMC1,MC2の先端側の角部に設けた切欠部(切欠部102又は第2切欠部109)と衝合する側部5bとでL字形に形成されており、スライダー5には2本の係合ばね片30,33が取着されている。
【0084】
係合ばね片30は弾性を有する帯板を曲成することによってJ字形に形成されており、円弧状に湾曲した係合爪30aを前側に向け、さらにその先端を側部5aの内側端面よりも内側方向(図14中の右側)に突出させた状態で、後端部がスライダー5の側部5aに支持されている。したがって、係合ばね片30が後述のガイドリブ36によって外側方向に撓められていない状態では、係合爪30aの先端側が側部5aの内側端面よりも内側方向(メモリカード側)へ突出し、係合爪30aがメモリカードの係合凹所103に係合することになる。尚、係合ばね片30の係合爪30aは、スライダー5に従来型のSDメモリカードMC1の先端側が衝合した状態でメモリカードMC1の係合凹所103に係入する位置に配置される。
【0085】
また係合ばね片33は弾性を有する帯板を曲成することによって形成され、側部5bの上側部に後端側が支持されるとともに、ベースシェル1側に突出する山形突起からなる係合爪33aを前端側に備えており、当該係合爪33aはメモリカードMC1,MC2の係合凹所103が通過する位置に配置されている。尚、係合ばね片33の係合爪33aは、スライダー5に高速型SDメモリカードMC2の先端側が衝合した状態でメモリカードMC2の係合凹所103に係入する位置に設けられている。ここで、カバーシェル2と係合ばね片33との間には係合ばね片33が撓み可能な空間が設けてある。
【0086】
一方、カバーシェル2には、図15(a)〜(c)に示すように前後方向に移動するスライダー5と対向する部位にガイドリブ36を切り起こしによって形成してある。ガイドリブ36の後端側は係合ばね片30の前端部よりも外側に位置し、前端側にいくにつれてソケット本体3の外側方向に突出する向きに傾斜しており、前端側でカバーシェル2に連結されている。尚、図15では図示を簡単にするためガイドリブ36のみを図示してある。
【0087】
ここで、ソケット内部にメモリカードMC1,MC2が挿入されていない状態、すなわちスライダー5がコイルばね17のばね力を受けて、前方方向に移動している状態では、係合ばね片30の先端に設けた係合爪30aがガイドリブ36に沿って外側方向に撓められ、係合ばね片30の前端側が外側に開いた状態となるため、係合爪30aは側部5aの内側端面よりも外側に後退しており、この状態ではメモリカードMC1,MC2の係合凹所103に係合爪30aが係入することはない。
【0088】
そして、図16(a)に示すようにメモリカードソケットAに高速型SDメモリカードMC2を挿入した場合、実施形態1で説明したのと同様の動作を行ってスライダー5が所定位置でロックされるのであるが、メモリカードMC2をソケット内部に挿入して、その先端側をスライダー5の側部5bに衝合させる際には、メモリカードMC2の上面によって係合ばね片33が上側(ベースシェル1と反対側)に撓められ、その後スライダー5の側部5bに先端側が衝合した状態では、係合ばね片33の係合爪33aが係合凹所103内に係入することで、メモリカードMC2がロック状態で保持される。また、スライダー5の後方への移動に伴い、係合ばね片30の先端側がガイドリブ36に沿って内側方向へ突出するが、係合爪30aと係合凹所103の位置が一致していないため、係合爪30aがメモリカードMC1の側部に当接して係合ばね片30が撓められた状態となる。
【0089】
一方、メモリカードMC2をソケットから取り外す際は、実施形態1と同様の操作を行うと、スライダー5のロックが解除されて、スライダー5が前方方向へ移動するのであるが、スライダー5の前方への移動に伴い、係合ばね片30の先端側がガイドリブ36に沿って外側方向に開いた状態となるため、係合ばね片30の係合爪30aが係合凹所103に係入することはない。また、スライダー5が前端位置まで移動した状態でメモリカードMC2を引き出そうとすると、係合凹所103の端縁が、山形に形成された係合爪33aを乗り越えていくことで、メモリカードMC2のロックが解除され、メモリカードMC2をソケット本体3から容易に取り出すことが可能になる。
【0090】
また図16(b)に示すようにメモリカードソケットAに従来型のSDメモリカードMC1を挿入した場合、実施形態1で説明したのと同様の動作を行ってスライダー5が所定位置でロックされるのであるが、この場合はスライダー5の後方への移動に伴い、係合ばね片30の先端側がガイドリブ36に沿って内側方向へ突出すると、係合爪30aが係合凹所103に係入することで、メモリカードMC2がロック状態で保持される。
【0091】
一方、メモリカードMC1をソケットから取り外す際は、実施形態1と同様の操作を行うと、スライダー5のロックが解除されて、スライダー5が前方方向へ移動するのであるが、スライダー5の前方方向への移動に伴い、係合ばね片30の先端側がガイドリブ36に沿って外側方向に開いた状態となるため、係合ばね片30の係合爪30aが係合凹所103から外側に後退することによってロック状態が解除され、メモリカードMC2をソケット本体3から取り出すことが可能になる。
【0092】
以上説明したように本実施形態においても、スライダー5に先端側を衝合させた状態で先端位置が互いに異なる複数種類のメモリカードソケットMC2,MC1に対応して複数の係合ばね片30,33を設けてあり、係合ばね片30,33はスライダー5との相対位置が変化しないようスライダー5に設けられているので、カード挿入時には対応する係合ばね片30,33の係合爪30a,33aが係合凹所103内に係入して、メモリカードMC2,MC1をロックするので、種類の異なるメモリカードMC1,MC2を使用することができる。また本実施形態では、高速型SDメモリカードMC2を装着して使用することができるとともに、従来型のSDメモリカードMC1を装着した場合でも、SDメモリカードMC1をロックして、従来型ソケットに装着したのと同様のデータ転送を行うことができるので、従来型のSDメモリカードMC1と高速型SDメモリカードMC2の両方に対応可能なメモリカードソケットAを提供することができる。
【0093】
さらに本実施形態では、複数の係合爪の一部(係合爪30a)がメモリカードの側方から係合凹所103に係入し、複数の係合爪の残部(係合爪33a)がメモリカードの厚み方向(上方又は下方)から係合凹所103に係入しており、全ての係合爪がメモリカードの側方から係合凹所103に係入する場合に比べてソケット本体3の左右方向寸法を小さくでき、且つ、全ての係合爪がメモリカードの厚み方向から係合凹所103に係入する場合に比べてソケット本体3の厚み方向寸法を小さくできる。また更に本実施形態では、複数の係合爪30a,33aを有する係合ばね片30,33は、スライダー5との相対位置が変化しないように設けられているので、複数の係合ばね片30,33をスライダーと圧入或いは同時成形により一体に設けることができ、スライダー5と複数の係合ばね片30,33とを1つの部品として取り扱えるから、組立の手間を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】実施形態1のメモリカードソケットに従来型のSDメモリカードが挿入された状態を示し、(a)はベースシェル及びスライダーを外した状態を裏側から見た平面図、(b)はベースシェル及びスライダーを外した状態の側面図である。
【図2】同上に高速型のSDメモリカードが挿入された状態を示し、(a)はベースシェル及びスライダーを外した状態を裏側から見た平面図、(b)はベースシェル及びスライダーを外した状態の側面図である。
【図3】同上にSDメモリカードを挿入する前の状態を示す外観斜視図である。
【図4】同上を裏側から見た外観斜視図である。
【図5】同上のカバーシェルを外した状態の平面図である。
【図6】同上に用いるカバーシェルを示し、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は外観斜視図である。
【図7】同上のベースシェル及びスライダーを外した状態を示し、(a)は裏側から見た平面図、(b)は側面図である。
【図8】(a)は同上のカード挿入時又はカード取出時の状態を示す要部の平面図、(b)は同上のカードロック時の状態を示す要部の平面図である。
【図9】実施形態2のメモリカードソケットを示し、ベースシェル及びカバーシェルを外した状態を裏側から見た平面図である。
【図10】同上に用いるカバーシェルを示し、(a)は概略的な平面図、(b)は概略的な側面図、(c)は概略的な斜視図である。
【図11】(a)は同上に高速型のSDメモリカードが挿入された状態を裏側から見た一部省略せる平面図、(b)は同上に従来型SDメモリカードが挿入された状態を裏側から見た一部省略せる平面図である。
【図12】実施形態3のメモリカードソケットを示し、ベースシェル及びカバーシェルを外した状態を裏側から見た平面図である。
【図13】(a)は同上に高速型のSDメモリカードが挿入された状態を裏側から見た一部省略せる平面図、(b)は同上に従来型SDメモリカードが挿入された状態を裏側から見た一部省略せる平面図である。
【図14】実施形態4のメモリカードソケットを示し、ベースシェル及びカバーシェルを外した状態を裏側から見た平面図である。
【図15】同上に用いるカバーシェルを示し、(a)は概略的な平面図、(b)は概略的な側面図、(c)は概略的な斜視図である。
【図16】(a)は同上に高速型のSDメモリカードが挿入された状態を裏側から見た一部省略せる平面図、(b)は同上に従来型SDメモリカードが挿入された状態を裏側から見た一部省略せる平面図である。
【図17】本実施形態に用いるSDメモリカードを示し、(a)は裏側から見た平面図、(b)は左側面図、(c)は右側面図である。
【図18】本実施形態に用いる高速型SDメモリカードを示し、(a)は裏側から見た平面図、(b)は表側から見た平面図、(c)はカード挿入方向から見た側面図である。
【符号の説明】
【0095】
A メモリカードソケット
1 ベースシェル
2 カバーシェル
3 ソケット本体
3a カード挿入口
4 コンタクトブロック
5 スライダー
9 カムピン(スライダーロック手段)
14 ハートカム溝部(スライダーロック手段)
17 コイルばね
15,16 係合ばね片
15a,16a 係合爪
C1〜C13 コンタクト
P1〜P13 コンタクトパッド
MC1 メモリカード
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面に開口したカード挿入口を通してメモリカードがスライドして挿抜されるソケット本体と、ソケット本体の内部に前後方向に移動自在に配置され、カード挿入口から挿入されたメモリカードの先端側と衝合し、メモリカードからの押力を受けてメモリカードとともに後方へ移動するスライダーと、スライダーを前方方向へ常時付勢する付勢ばねと、スライダーの最後部位置への移動後のメモリカードの押力の解除時にスライダーを所定位置でロックし、該ロック後にメモリカードへの押力が加わってスライダーが後方移動するときにロックを解除するスライダーロック手段と、スライダーに先端側を衝合させた状態で先端位置が互いに異なる複数種類のメモリカードの一面にそれぞれ設けた複数のI/O接触面にそれぞれ接触する複数のコンタクトと、複数種類のメモリカードのそれぞれに対応して設けられ、スライダーが上記所定位置でロックされると、複数種類のメモリカードの側面において前記先端位置から同じ距離に設けられた係合凹所に係入してメモリカードをロック位置に保持する複数の係合爪とを備えたことを特徴とするメモリカードソケット。
【請求項2】
前記複数の係合爪は、メモリカードの側方から前記係合凹所に係入することを特徴とする請求項1記載のメモリカードソケット。
【請求項3】
前記複数の係合爪は、メモリカードの厚み方向から前記係合凹所に係入することを特徴とする請求項1記載のメモリカードソケット。
【請求項4】
係合凹所に係入する複数の係合爪が、カード挿入方向に並んで配置されたことを特徴とする請求項3記載のメモリカードソケット。
【請求項5】
前記複数の係合爪の一部は、メモリカードの側方から前記係合凹所に係入し、前記複数の係合爪の残部は、メモリカードの厚み方向から前記係合凹所に係入することを特徴とする請求項1記載のメモリカードソケット。
【請求項6】
前記複数の係合爪はスライダーとの相対位置が変化しないように設けられたことを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載のメモリカードソケット。
【請求項1】
前面に開口したカード挿入口を通してメモリカードがスライドして挿抜されるソケット本体と、ソケット本体の内部に前後方向に移動自在に配置され、カード挿入口から挿入されたメモリカードの先端側と衝合し、メモリカードからの押力を受けてメモリカードとともに後方へ移動するスライダーと、スライダーを前方方向へ常時付勢する付勢ばねと、スライダーの最後部位置への移動後のメモリカードの押力の解除時にスライダーを所定位置でロックし、該ロック後にメモリカードへの押力が加わってスライダーが後方移動するときにロックを解除するスライダーロック手段と、スライダーに先端側を衝合させた状態で先端位置が互いに異なる複数種類のメモリカードの一面にそれぞれ設けた複数のI/O接触面にそれぞれ接触する複数のコンタクトと、複数種類のメモリカードのそれぞれに対応して設けられ、スライダーが上記所定位置でロックされると、複数種類のメモリカードの側面において前記先端位置から同じ距離に設けられた係合凹所に係入してメモリカードをロック位置に保持する複数の係合爪とを備えたことを特徴とするメモリカードソケット。
【請求項2】
前記複数の係合爪は、メモリカードの側方から前記係合凹所に係入することを特徴とする請求項1記載のメモリカードソケット。
【請求項3】
前記複数の係合爪は、メモリカードの厚み方向から前記係合凹所に係入することを特徴とする請求項1記載のメモリカードソケット。
【請求項4】
係合凹所に係入する複数の係合爪が、カード挿入方向に並んで配置されたことを特徴とする請求項3記載のメモリカードソケット。
【請求項5】
前記複数の係合爪の一部は、メモリカードの側方から前記係合凹所に係入し、前記複数の係合爪の残部は、メモリカードの厚み方向から前記係合凹所に係入することを特徴とする請求項1記載のメモリカードソケット。
【請求項6】
前記複数の係合爪はスライダーとの相対位置が変化しないように設けられたことを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載のメモリカードソケット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2009−289224(P2009−289224A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−144091(P2008−144091)
【出願日】平成20年6月2日(2008.6.2)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年6月2日(2008.6.2)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
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