説明

メモリカード保持構造

【課題】 複数の接触端子に長い端子が含まれる場合に、当該長い端子の変形を抑制することができるメモリカード保持構造を得る。
【解決手段】 複数の接触端子10のうち、長い端子10Lの先端部10a側(すなわち、短い端子10Sの支持位置より先端側)をベースシェル2側に支持する支持部15を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メモリカード保持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、ディジタルカメラや携帯電話等の種々の電子機器において、ミニSDメモリカード(登録商標)等の小型記憶媒体(以下、メモリカードと称する)を挿抜可能に装着するためのメモリカード保持構造を装備したものが増加しつつある。
【0003】
この種のメモリカード保持構造では、典型的には、電子機器側に固定されるメモリカードのケースに形成されたカード受容部内にメモリカードが挿入された状態で、当該メモリカードの各端子(I/O接触面)にそれぞれ接触する複数の接触端子(コンタクト)が設けられており、それら接触端子を介してメモリカードと前記電子機器との間で各種データや信号の授受が行われるようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
この特許文献1では、メモリカードの端子(電極)の数に応じて複数の接触端子が設けられている。各接触端子の基端部は、カード受容部の奥側に設けたコンタクトブロックに固定される一方、先端部はカード受容部の内方に突出して設けられており、この先端部とメモリカードの端子とが接触する構成となっている。
【0005】
そして、複数の接触端子には、メモリカードの端子(電極)の設定位置に対応して、短い端子と長い端子とが含まれている。
【特許文献1】特開2004−119148号公報(第4頁、第18図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、かかる従来のメモリーカード保持構造では、長い端子と短い端子とで撓み量を同じに設定した場合、長い端子のメモリーカードの端子との接触面圧は、短い端子のメモリーカードの端子との接触面圧より低くなり、加えて、長い端子は寸法バラツキ等の影響を受けやすいこともあって、メモリーカードの挿入時に作用する力や熱ストレス等によって、曲げ変形や座屈変形が生じやすい。かかる変形が生じた場合には、長い端子とメモリーカードの端子との接触面圧が低下し、接触不良の原因となる恐れがある。
【0007】
また、ケースが金属の電導体で形成されている場合には、曲がった長い端子の先端部がケースに接触して、電気的に短絡してしまう恐れもある。
【0008】
そこで、本発明は、複数の接触端子に長い端子が含まれる場合に、当該長い端子の接触面圧を確保し、かつ変形を抑制することができるメモリカード保持構造を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の発明にあっては、メモリカードの表裏方向に対向するベースシェルおよびカバーシェルと、上記ベースシェルおよびカバーシェルを含む閉断面によって形成されたカード受容部の奥側に設けられたコンタクトブロックと、上記コンタクトブロックに固定されて上記カード受容部内で挿入口側に向けて延伸し、メモリカードの端子と接触する複数の接触端子と、を備え、上記複数の接触端子に、短い端子と長い端子とが含まれるメモリカード保持構造において、上記長い端子を、上記ベースシェルによって、上記コンタクトブロックによる短い端子の支持位置より先端側の位置で支持するようにしたことを特徴とする。
【0010】
請求項2の発明にあっては、上記ベースシェルを導電性金属によって形成し、上記ベースシェルと上記長い端子との間に絶縁部材を介在させ、当該ベースシェルによって当該絶縁部材を介して当該長い端子を支持するようにしたことを特徴とする。
【0011】
請求項3の発明にあっては、上記コンタクトブロックを上記ベースシェルに沿って上記カード受容部の内方に向けて突出させ、当該突出させた部分によって上記長い端子を支持するようにしたことを特徴とする。
【0012】
請求項4の発明にあっては、上記長い端子がベースシェルに対して相対的に移動するのを規制する移動規制機構を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明によれば、コンタクトブロックによる短い端子の支持位置より先端側の位置で長い端子を支持するように構成したため、長い端子の撓む長さを短くして、当該長い端子の撓み量を小さくすることができ、以て、当該長い端子の変形を抑制して、メモリカードの端子との接触面圧の低下、ひいては接触不良等が生じるのを抑制することができる。
【0014】
このため、ベースシェルが導電性金属で形成される場合においては、長い端子とベースシェルとが接触して短絡が生じるのが抑制されるという利点がある。
【0015】
請求項2の発明によれば、長い端子を、絶縁部材を介して導電性金属製のベースシェルによって支持するようにしたため、長い端子とベースシェルとの間に介在させる部材によって短絡が生じるのを抑制することができる。
【0016】
また、コンタクトブロックは、通常、絶縁部材によって形成するため、コンタクトブロックの一部を長い端子とベースシェルとの間に介在させるようにしてもよく、こうすれば、絶縁部材を別途設けた場合に比べて部品点数が低減し、ひいては、製造に要する手間が減り、製造コストを削減できるという利点がある。
【0017】
請求項3の発明によれば、コンタクトブロックをベースシェルに沿ってカード受容部の内方に向けて突出させた部分で長い端子を支持するようにしたため、支持する部分を別途構成する場合に比べて、部品点数が低減し、ひいては、製造に要する手間が減り、製造コストを削減できるという利点がある。
【0018】
また、このように、コンタクトブロックをカード受容部の内方に向けて延伸させることで、長い端子の変形をより確実に抑制することができる上、コンタクトブロックの倒れや回転が抑制され、さらには、メモリカードの支持剛性を高めることができるという利点もある。
【0019】
請求項4の発明によれば、ベースシェルに対する長い端子の相対的な移動が規制されるため、メモリカードが長い端子に引っ掛かったり、メモリカードへの接触面圧が過大になって摩耗や変形等が生じたりするのが抑制される。また、長い端子のメモリカードの端子に対する接触位置の位置決め精度が向上して、接触不良等が生じにくくなるという利点もある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。図1〜図8は本発明にかかるメモリカード保持構造の一実施形態を示し、図1は、メモリカード保持構造の斜視図、図2は、メモリカード保持構造の斜視図であって、メモリカードが装着された状態を示す図、図3はメモリカード保持構造の分解斜視図である。
【0021】
また、図4および図5は、メモリカードが差し込まれる状態を順を追って示すシェルカバーを外したメモリカード保持構造の平面図であり、図6は、コンタクトブロックに固定した複数の接触端子の平面図、図7は、コンタクトブロックに固定した複数の接触端子を底面側から見た斜視図、図8は、メモリカード保持構造の図6のA−A線に対応する断面図である。
【0022】
本実施形態にかかるメモリカード保持構造1は、電子機器等(図示せず)に装備され、メモリカード20を挿抜可能に装着するためのソケットとして機能するものである。メモリカード20が装着された状態では、メモリカード20の表面または裏面に露出形成された端子(電極;図示せず)と、メモリカード保持構造1に設けられた接触端子10とが接触して導通し、電子機器等とメモリカード20との間でデータや信号等の授受が可能となる。
【0023】
また、このメモリカード保持構造1は、メモリカード20を開口(入口)1bから凹部としてのカード受容部1a内に挿入して押し込むことで当該メモリカード20が所定の装着状態でロックされ、再度押し込むことでロックが解除されてメモリカード20がカード受容部1aの挿入口1bから飛び出す、いわゆるプッシュオン・プッシュオフ機能を備えたものとして構成されている。
【0024】
このメモリカード保持構造1は、基本的には、一側面(前面)に細長い帯状の挿入口1bが形成された扁平な角筒状に構成されたケースと、ケースのカード受容部1a内で挿入口1b側と奥側との間で進退可能に支持されるスライダ4と、スライダ4をカード受容部1a内で挿入口1b側に付勢する付勢機構としてのコイルスプリング7と、カード受容部1aの奥側に設けられたコンタクトブロック5と、当該コンタクトブロック5に固定された複数の接触端子10と、を備えて構成されている。
【0025】
すなわち、このメモリカード保持構造1では、ステンレススチール等の導電性を有する金属板で形成されてメモリカード20の表裏方向に対向配置されるベースシェル2およびカバーシェル3を含む閉断面によって、メモリカード20を挿抜可能に受容するカード受容部1aが形成されている。本実施形態では、ベースシェル2およびカバーシェル3を金属材料によって形成することで、ケースの剛性および強度を確保するとともに、導電性材料とすることで、これらをグラウンド(アース)として利用している。
【0026】
ベースシェル2は、略正方形状の基底壁部2aを備え、その基底壁部2aの対向する一対の幅方向端縁を略直角に折り曲げて略一定高さの側壁2b,2cを立設して、全体として扁平な断面U字状に形成してある。
【0027】
一対の側壁2b,2cのうち、片側(図3中向こう側)の側壁2cの挿入口1b側の端部には基底壁部2aの角部を起立させて、スライダ4が挿入口1bから脱落するのを阻止するストッパー2dが形成されており、さらに、基底壁部2aには、コンタクトブロック5を係着するための爪部2eや、メモリカード20の抜き差し方向に沿って伸びる凸条2fを設けてある。
【0028】
一方、カバーシェル3は、図3に示すように、ベースシェル2と同様にステンレススチール等の金属板でベースシェル2の基底壁部2aと同形状となる略正方形の平板状に形成され、そのカバーシェル3にはメモリカード20を押さえるためのバネ構造体3a,3bや、後述のピン6を押さえるためのバネ構造体3cが形成されている。
【0029】
そして、カバーシェル3をベースシェル2の側壁2b,2cの起立先端に載置して、それらをレーザー溶接等によって結合することにより、それらカバーシェル3とベースシェル2との間に扁平な閉断面となるカード受容部1aが形成される。
【0030】
スライダ4は、当該スライダ4に形成した凹部4aがベースシェル2に設けた前記凸条2fに係合することにより、片側(図3中向こう側)の側壁2cに沿って進退案内されるようになっている。このスライダ4にはメモリカード20の一側縁の段差部20a(図4参照)に適合する係止部4bが形成されるとともに、その段差部20aよりも差し込み方向とは反対側に形成されるメモリカード20の切欠部20b(図4参照)と係合する突起4cが形成される。
【0031】
したがって、メモリカード20をメモリカード保持構造1の挿入口1bからカード受容部1a内に差し込むと、メモリカード20は段差部20aが係止部4bに突き当たるとともに、切欠部20bが突起4cと係合することにより、メモリカード20がスライダ4に保持された状態でカード受容部1a内を進退可能となる。
【0032】
スライダ4は、一端部6aをコンタクトブロック5の嵌合穴5aに回動可能に支持したピン6と、そのピン6の他端部6bを所定経路で案内する溝部4dと、スライダ4とコンタクトブロック5との間に介装されてスライダ4を挿入口1b側に付勢するコイルスプリング7と、によってカード受容部1a内での位置が規制される。
【0033】
溝部4dの底面には適宜な段差が設けられており、ピン6の他端部6bをコイルスプリング7の付勢力あるいはメモリカード20の押し込み力によって溝部4dの側壁に突き当てるとともに、カバーシェル3に設けたバネ構造体3cによって溝部4dの底壁に突き当てることで、ピン6の他端部6bを、少なくともある区間では逆行させずに規定された順方向に案内する経路が形成されている。
【0034】
そして、溝部4dの挿入口1b側の一部を平面視で略ハート形にして、いわゆるハートカム機構を形成してあり、上述したメモリカード20のプッシュオン・プッシュオフ機能が具現化されている。
【0035】
コンタクトブロック5は、絶縁性樹脂を平面視で略L字状に形成した奥壁部5bと側壁部5cとを備えており、奥壁部5bをカード受容部1aの奥側に配置し、かつ、側壁部5cをカード受容部1aの一方の側壁2b(図3中手前側)に沿って配置した状態で、ベースシェル2に爪部2eを介して固定される。
【0036】
奥壁部5bには、導電性金属により棒状に形成された複数の接触端子10が貫通して支持されており、それら接触端子10の先端部10aは奥壁部5bから挿入口1bに向かってカード受容部1a内に突出している。
【0037】
メモリカード20は、接触端子10とカバーシェル3との間に差し込まれるようになっており、その接触端子10の先端部10aには、カバーシェル3方向に滑らかに突出する湾曲部10bが形成されており、メモリカード20がカード受容部1aの奥側の所定位置に装着されたときに、湾曲部10bがメモリカード20のベースシェル2への対向面(図中下面)に形成された電極に接触する。
【0038】
また、奥壁部5bには、コイルスプリング7の内方に挿通されるガイドピン11が固定され、そのガイドピン11によってコイルスプリング7の座屈変形を防止するようになっている。
【0039】
そして、図3に示すように、コンタクトブロック5の奥壁部5bから突設した円柱状突起5dには、可動アーム12が回動可能に支持されており、その可動アーム12の回動先端部12aは、円柱状突起5dに嵌合されるトーションスプリング13によって挿入口1b方向に付勢された状態で、差し込まれたメモリカード20の先端部によってカード受容部1aの奥側に押し込まれる。
【0040】
したがって、図4に示すように、メモリカード20がカード受容部1aの奥側の装着位置まで挿入されていない状態では、可動アーム12の回動先端部12aは挿入口1b方向に押し出された状態にあり、図5に示すように、メモリカード20がカード受容部1aの奥側の装着位置まで差し込まれた状態では、可動アーム12の回動先端部12aはカード受容部1aの奥側に位置することになる。
【0041】
つまり、可動アーム12は、メモリカード20の進退に伴って図4に示す挿入口1b側の位置と、図5に示す奥側の位置との間で回動し、可動アーム12が挿入口1b側の位置にあるときに、コンタクトブロック5に固定した2つの固定接点14,14a間を電気的に短絡する一方、可動アーム12が奥側の位置にあるときには、上記2つの固定接点14,14a間の電気的導通を遮断するようになっている。
【0042】
よって、固定接点14,14a間の電気的導通状態を検知することにより、メモリカード20がメモリカード保持構造1の所定位置にセットされたか否かを検出することができる。
【0043】
一方、側壁部5cは、カード受容部1aの幅方向一端部において、奥側から挿入口1b側まで延設されており、これにより、コンタクトブロック5の倒れや回転が抑制されるとともに、ケースの支持剛性が高められている。この場合、側壁部5cは、ベースシェル2およびカバーシェル3の双方に当接させるのが好適である。
【0044】
ここで、本実施形態では、複数の接触端子10は、図6に示すように、メモリカード20の端子位置に応じて短い端子10Sと長い端子10Lとの集合として構成されている。
【0045】
そして、図7,図8に示すように、前記複数の接触端子10を構成する短い端子10Sおよび長い端子10Lのうち、長い端子10Lに、それの先端部10a側をベースシェル2側に支持する支持部15を設けてある。
【0046】
支持部15は、長い端子10Lの少なくともベースシェル2への対向側(図3中下側)に一体化された絶縁部材としての絶縁性樹脂で形成され、その絶縁性樹脂を長い端子10Lとベースシェル2(詳細には基底壁部2a)との間に介在させて、それら長い端子10Lとベースシェル2とを所要距離だけ離隔してある。
【0047】
すなわち、本実施形態では、コンタクトブロック5を絶縁性樹脂で成形する際に、接触端子10を同時にインサート成形するようになっており、そのインサート成形時に支持部15を同じ絶縁性樹脂で同時にインサート成形するようになっている。
【0048】
支持部15は、本実施形態では長い端子10Lの長さ方向の略中央部までコンタクトブロック5から一体に延び、その長い端子10Lの外周を絶縁性樹脂で取り巻いてあり、特に、その絶縁性樹脂はベースシェル2への対向側の肉厚を他の部分よりも厚く形成して、その肉厚部分によって、基底壁部2aと長い端子10Lとの所要距離を確保してある。
【0049】
このとき、長い端子10Lを取り巻いた絶縁性樹脂は、図3,図8に示すように、その長い端子10Lのカバーシェル3への対向側(図3中上側)の一部に、絶縁性樹脂が鋳込まれない露出部分15aを設けてある。
【0050】
このように絶縁性樹脂に露出部分15aを設けることにより、絶縁性樹脂でインサート成形した際に、溶融した絶縁性樹脂が硬化する際の熱収縮率をベースシェル2側(図中下側)で大きくして、長い端子10Lがカバーシェル3側(図中上側)に反り返るのを抑制することができ、ひいては、メモリカード20を抜き差しする際に長い端子10Lから受ける反力が過大になるのを抑制することができる。
【0051】
また、本実施形態では、図7,図8に示すように、支持部15に、長い端子10Lがベースシェル2に対して相対的に移動するのを規制すべく圧入突起16が設けられている。
【0052】
この圧入突起16は、支持部15のベースシェル2側(図中下側)先端部から一体に短円柱状に突設され、その圧入突起16はベースシェル2の基底壁部2aに形成した嵌合穴2gに圧入される。すなわち、本実施形態では、この圧入突起16と嵌合穴2gとによって、移動規制機構が構成されている。
【0053】
以上の本実施形態にかかるメモリカード保持構造によれば、接触端子10を構成する短い端子10Sと長い端子10Lのうち、長い端子10Lの先端部10a側、すなわち短い端子10Sの支持位置より先端側が、支持部15を介してベースシェル2に支持されるので、メモリカード20の端子に接触する長い端子10Lの先端部10aのバネ定数が大きくなって、長い端子10Lの変形が抑制され、以て、当該長い端子10Lとメモリカード20の端子との接触面圧の低下、ひいては接触不良等が生じるのを抑制することができる。
【0054】
また、短い端子10Sおよび長い端子10Lを含めた接触端子10が熱ストレスによって撓み変形した場合にも、支持部15によって長い端子10Lの先端部10a側が支持されるため、その長い端子10Lの撓み変形量を小さく抑えて、先端部10aがメモリカード保持構造1のベースシェル2に接触するのを防止することができるため、長い端子10Lが導電性金属で形成されたベースシェル2と電気的に短絡してしまうのを抑制することができる。
【0055】
このとき、支持位置から各端子10L,10Sの先端までの距離を略等しくすれば、長い端子10Lと短い端子10Sとで、メモリカード20の端子との接触面圧をほぼ等しく設定することができ、特定の端子のみが摩耗したりするのを抑制することができる。
【0056】
しかも、本実施形態では、上記作用効果に加えて、支持部15を絶縁性樹脂で形成して長い端子10Lの少なくともベースシェル2への対向側に一体化し、その絶縁性樹脂を長い端子10Lとベースシェル2との間に介在させて、それら長い端子10Lとベースシェル2(基底壁部2a)とを所要距離だけ離隔させたので、絶縁性樹脂によって長い端子10Lとベースシェル2との距離を一定に維持することができ、長い端子10Lの位置精度を確保しつつ、絶縁性をも同時に確保することができる。
【0057】
さらに、コンタクトブロック5をベースシェル2の基底壁部2aに沿ってカード受容部1aの内方に向けて突出させた部分として支持部15を形成し、当該支持部15で長い端子10Lを支持するようにしたため、支持部を別途形成する場合に比べて部品点数が低減し、ひいては、製造に要する手間が減り、製造コストを削減できるという利点がある。
【0058】
また、この突出させた部分、すなわち支持部15は、長い端子10Lの変形をより確実に抑制することができる上、コンタクトブロック5の倒れや回転を抑制し、さらに、ケースの剛性を高めるという効果も奏する。
【0059】
また、支持部15に圧入突起16を設けて、その圧入突起16をベースシェル2の嵌合穴2gに圧入したことにより、長い端子10Lがベースシェル2に対して相対的に移動するのが規制されて、長い端子10Lがベースシェル2から浮き上がる方向の変形を抑制できるため、メモリカード20をカード受容部1aに差し込む際に、長い端子10Lが浮き上がって、それにメモリカード20が引っ掛かってしまうのを抑制することができる上、差し込まれたメモリカード20の電極に対する接触面圧が過大になり、当該長い端子10Lやメモリカード20の電極に摩耗や変形等が生じるのを抑制することができる。
【0060】
次に、図9,図10は、上記実施形態とは別の実施形態を示しており、上記実施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明を省略してそれぞれ述べる。なお、図9,図10は、いずれも、支持部の断面図を示している。
【0061】
すなわち、上記実施形態では、図8に示すように、支持部15がコンタクトブロック5から長い端子10Lの長さ方向略中央部まで連続して絶縁性樹脂を突出させた場合を開示したが、図9にかかる実施形態では、支持部15Aをコンタクトブロック5と連続させることなく長い端子10Lの長さ方向略中央部に部分的に設けてある。もちろん、支持部15Aは、長い端子10Lのベースシェル2側(図中下側)に設けられるとともに、絶縁性樹脂で形成してある。
【0062】
次に、図10にかかる実施形態では、長い端子10Lの長さ方向略中央部にベースシェル2側に突出する略V字状の屈曲部15bを形成し、その屈曲部15bを支持部15Bとして屈曲先端部15cをベースシェル2に当接させてある。この場合において、ベースシェル2が導電性金属で形成される場合には、屈曲先端部15cの外側(ベースシェル2側)に樹脂等の絶縁部材を固着する等すればよい。また、ベースシェル2側に設けてもよい。
【0063】
よって、以上の図9,図10にかかる実施形態にあっても、長い端子10Lの先端部10aがベースシェル2側に支持されるため、上記実施形態と同様の作用効果を得ることができる。そして、これら実施形態においても、長い端子10Lがベースシェル2に対して相対的に移動するのを規制する移動規制機構を設けるのが好適である。
【0064】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態には限定されず、種々の変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の一実施形態にかかるメモリカード保持構造の斜視図。
【図2】本発明の一実施形態にかかるメモリカード保持構造の斜視図であって、メモリカードが差し込まれた状態を示す図。
【図3】本発明の一実施形態にかかるメモリカード保持構造の分解斜視図。
【図4】本発明の一実施形態にかかるメモリカード保持構造のシェルカバーを外した状態での平面図であって、メモリカードが装着される前の状態を示す図。
【図5】本発明の一実施形態にかかるメモリカード保持構造のシェルカバーを外した状態での平面図であって、メモリカードが装着された状態を示す図。
【図6】本発明の一実施形態にかかるコンタクトブロックに固定した複数の接触端子の平面図。
【図7】本発明の一実施形態にかかるコンタクトブロックに固定した複数の接触端子を底面から見た斜視図。
【図8】本発明の一実施形態にかかるメモリカード保持構造の図6のA−A線に対応する断面図。
【図9】本発明の別の実施形態にかかるメモリカード保持構造の図6のA−A線に対応する断面図。
【図10】本発明のさらに別の実施形態にかかるメモリカード保持構造の図6のA−A線に対応する断面図。
【符号の説明】
【0066】
1 メモリカード保持構造
1a カード受容部
1b 挿入口
2 ベースシェル
3 カバーシェル
5 コンタクトブロック
10 接触端子
10a 接触端子の先端部
10S 短い端子
10L 長い端子
15 支持部(絶縁部材、突出させた部分)
15A、15B 支持部(絶縁部材)
20 メモリカード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メモリカードの表裏方向に対向するベースシェルおよびカバーシェルと、
前記ベースシェルおよびカバーシェルを含む閉断面によって形成されたカード受容部の奥側に設けられたコンタクトブロックと、
前記コンタクトブロックに固定されて前記カード受容部内で挿入口側に向けて延伸し、メモリカードの端子と接触する複数の接触端子と、
を備え、
前記複数の接触端子に、短い端子と長い端子とが含まれるメモリカード保持構造において、
前記長い端子を、前記ベースシェルによって、前記コンタクトブロックによる短い端子の支持位置より先端側の位置で支持するようにしたことを特徴とするメモリカード保持構造。
【請求項2】
前記ベースシェルを導電性金属によって形成し、
前記ベースシェルと前記長い端子との間に絶縁部材を介在させ、当該ベースシェルによって当該絶縁部材を介して当該長い端子を支持するようにしたことを特徴とする請求項1に記載のメモリカード保持構造。
【請求項3】
前記コンタクトブロックを前記ベースシェルに沿って前記カード受容部の内方に向けて突出させ、当該突出させた部分によって前記長い端子を支持するようにしたことを特徴とする請求項1に記載のメモリカード保持構造。
【請求項4】
前記長い端子がベースシェルに対して相対的に移動するのを規制する移動規制機構を設けたことを特徴とする請求項1または2に記載のメモリカード保持構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−80693(P2007−80693A)
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−267451(P2005−267451)
【出願日】平成17年9月14日(2005.9.14)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】