説明

モイスチャ処理装置

【課題】軽量かつ安価なカバー材を形成して運搬性や取り扱い性の向上を図ることができるモイスチャ処理装置を提供する。
【解決手段】処理対象物7を収容可能であり、カバー材2で覆われて下部が外部と連通している処理空間3と、該処理空間3内に水分を供給するための水分供給手段4と、前記処理空間3の下部に備わる加熱手段5とを備え、前記加熱手段5により前記水分供給手段4から供給された水分を蒸発させてモイスチャとし、前記加熱手段5によって発生する上昇気流を利用して前記処理空間3を前記モイスチャで充満させて前記処理対象物7を処理するモイスチャ処理装置1であって、前記カバー材2は、針金で枠体を形成されていて、前記枠体は、金属製又は樹脂製のシートで覆われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モイスチャによって処理対象物を殺菌、乾燥等の処理、特に調理するために用いられるモイスチャ処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
モイスチャを用いた処理装置が特許文献1に開示されている。この処理装置は、モイスチャ発生時の上昇気流を利用して、上部に配置された対象物に対し、モイスチャにより調理等の処理を施すものである。特許文献1に記載の処理装置を用いれば、簡便なものを用いて安価にモイスチャを発生させることができる。さらに、この処理装置自体の運搬性を向上させれば、場所を選ばず上記処理装置を使用することができ、好適である。
【特許文献1】実用新案登録第3136596号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、上記従来技術を考慮したものであって、軽量かつ安価なカバー材を形成して運搬性や取り扱い性の向上を図ることができるモイスチャ処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前記目的を達成するため、請求項1の発明では、処理対象物を収容可能な処理空間と、該処理空間を覆っているカバー材と、前記処理空間内に水分を供給するための水分供給手段と、前記処理空間の下部に備わる加熱手段とを備え、前記加熱手段により前記水分供給手段から供給された水分を蒸発させてモイスチャとし、前記加熱手段によって発生する上昇気流を利用して前記処理空間を前記モイスチャで充満させて前記処理対象物を処理するモイスチャ処理装置であって、前記カバー材は、針金で枠体を形成されていて、前記枠体は、金属製又は樹脂製のシートで覆われることを特徴とするモイスチャ処理装置を提供する。
【0005】
請求項2の発明では、請求項1に記載の発明において、前記カバー材の外側及び/又は内側は、金属又は耐熱性樹脂材料からなる板材で覆われることを特徴としている。
請求項3の発明では、請求項1又は2に記載の発明において、前記枠体には、棒状又は板状の補強材が取り付けられることを特徴としている。
請求項4の発明では、請求項1〜3のいずれかに記載の発明において、前記シートはアルミシートであることを特徴としている。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明によれば、カバー材が針金で形成されていて、前記枠体は、金属製又は樹脂製のシートで覆われているため、カバー材全体としての軽量化を図ることができ、運搬性や取り扱い性が向上する。また、針金と金属製又は樹脂製のシートは安価で入手することができるので、カバー材製造の際のコストを格段に抑えることができる。
請求項2の発明によれば、カバー材の外側及び/又は内側は、金属又は耐熱性樹脂材料からなる板材で覆われるため、高温のモイスチャに対して耐久性の向上を図ることができる。また、カバー材の両側を板材で覆うことにより、カバー材の剛性を高めることができ、さらなる耐久性の向上を図ることができる。また、板材表面を洗浄することはシート表面を洗浄することよりも容易であるため、取り扱い性が向上する。
【0007】
請求項3の発明によれば、枠体には、棒状又は板状の補強材が取り付けられるため、枠体の剛性を高め、耐久性を向上することができる。また、この補強材同士を接続部として取り扱えば、カバー材を形成する各面の枠体をそれぞれ接続することが容易となり、カバー材の組み立て容易性を向上することができる。
請求項4の発明によれば、シートはアルミシートであるため、安価かつ容易に入手することができ、カバー材の生産性が向上する。また、軽量化を実現しつつ、十分に処理空間と外部空間を隔てることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1は本発明に係るモイスチャ処理装置の概略図である。
図示したように、本発明に係るモイスチャ処理装置1は、処理空間3と、水分供給手段4と、加熱手段5で構成されている。処理空間3は、カバー材2により覆われて形成されている。処理空間3内には網目状に形成された処理台6が配設されている。この処理台6上に処理対象物7が載置され、処理空間3内に収容される。
【0009】
水分供給手段4は、水タンク9と、バルブ10と、配管11で構成される。加熱手段5は処理空間3内の下部に備えられている。加熱手段5は、ガスボンベ(不図示)を用いたカセットコンロであるが、ヒーター(セラミックヒーター)等を用いてもよい。加熱手段5上には水分受け部材8が載置されている。水分供給手段4から水分受け部材8に水分が供給され、加熱手段5により当該水分が加熱されてモイスチャ(湿り空気)を発生させる。水分供給手段4と加熱手段5は、モイスチャを発生させることができればこのような構成に限らない。例えば、水で満たされた水槽内に超音波振動子を投入し、これをガスバーナーで加熱してミスト状とするものでもよい。
【0010】
処理装置1で処理対象物7を湿り空気により処理する場合、まず処理対象物7を処理台6に載置する。この後、バルブ10を調整して、水タンク9内の水を配管11の出口から水分受け部材8に供給する。この供給された水分を加熱手段5により加熱し、モイスチャを発生させる。なお、モイスチャ発生効率を高めるため、配管11の水分出口側をノズル形状とし、水分を拡散させながら水分受け部材8に供給してもよい。加熱による上昇気流で、モイスチャは上部に載置された処理対象物7まで移動し、モイスチャが持つ熱エネルギーを処理対象物7に付与する。すなわち、湿り空気により処理対象物7を処理(調理)できる。なお、処理には他に、殺菌、消毒、乾燥も含まれる。
【0011】
図2はカバー材の概略図である。
図示したように、カバー材2は、枠体12とシート13で形成されている。具体的には、針金を複数本用いて下面に対して上面が小さい略四角柱形状の枠体12が形成されている。すなわち、カバー材2は、上下の四角形状の横枠12a,12b(上側の横枠12aは下側の横枠12bより針金で囲まれた面積が小さい)と、これらを連結する4本の縦枠12cで形成されている。なお、枠体12の形状は略四角柱形状に限らず、円柱あるいは多角柱、円錐、角錘等、どのような形状でもよい。例えば、シートの内側に円形の針金を所定間隔で配設して蛇腹状としてもよい。蛇腹状とすれば、不使用時はコンパクトにたためるので、収納性が向上する。
【0012】
シート13は、両側の縦枠12cと上下の横枠12a,12bで囲まれた面(カバー材側面)と、上側の横枠12aで囲まれた面(カバー材上面)を覆っている。シート13は、金属製又は樹脂製のシートからなる。特に、アルミ製のアルミシートが好ましい。下側の横枠12bは、縦枠12cの下端よりも上側に位置している。したがって、枠体12の下側、すなわち横枠12bより下側はシート13で覆われていない。このため、処理空間3(図1参照)は下側にて外部空間と連通している。これにより、処理空間3内で発生したモイスチャは常圧となり、処理空間3の体積が膨張することを防止している。なお、カバー材2の上側の一部に開口を設け、この開口からある程度の量のモイスチャを逃がすようにしてもよい。これにより、処理空間3内のモイスチャの流れを一様化でき、発生したモイスチャの分布を揃えることができる。また、横枠12aの針金の間、あるいは隣り合う縦枠12c間に針金を適宜架け渡し、又はカバー材上面やカバー材側面に格子状に針金を配設して、枠体12の強度を高めてもよい。
【0013】
このように、カバー材2が針金で形成されていて、枠体12は、金属製又は樹脂製のシート13で覆われているため、カバー材2全体としての軽量化を図ることができ、運搬性や取り扱い性が向上する。また、針金と金属製又は樹脂製のシート13は安価で入手することができるので、カバー材製造の際のコストを格段に抑えることができる。また、シートをアルミシートとすれば、安価かつ容易に入手することができ、カバー材の生産性が向上する。また、軽量化を実現しつつ、十分に処理空間と外部空間を隔てることができる。なお、アルミシートではなく、他にも極めて薄くて軽い金属板を用いることも可能である。さらに、針金を用いることにより、折りたたみ可能なカバー材2を形成することができ、利用者は容易にカバー材2を組み立てることが可能となる。折りたたみ可能とすれば、コンパクトとなり、保管する際のスペース効率を向上することができる。シート外側には、断熱材等を配設することが容易にできる。また、針金の代用として、他にも金属製の棒状部材を適宜利用できる。
【0014】
図3は板材で覆われたカバー材の概略断面図である。
図示したように、枠体12で形成されている面(上述したカバー材側面、カバー材上面)の両側はシート13で覆われている。このシート13の外側、すなわちカバー材2の両面に、さらに金属又は耐熱性樹脂材料からなる板材14が配設されている。これにより、処理空間3(図1参照)内で発生する高温のモイスチャに対して耐久性の向上を図ることができる。カバー材2の剛性を高めることができ、さらなる耐久性の向上を図ることができる。また、板材14の表面を洗浄することはシート13の表面を洗浄することよりも容易であるため、このような板材14でシート13を挟持することにより、取り扱い性を向上させることができる。
【0015】
図4は補強材を取り付けたカバー材の概略図である。
図は、針金からなる縦枠12cの外側をシート13(不図示)、板材14の順で覆ったものの左右両側に、角板状の補強材15を取り付けたものを示す。このように補強材15を取り付けることにより、枠体12の剛性を高め、耐久性を向上させることができる。また、補強材15に隣り合う補強材15との嵌合部や接続部等を設けることにより、補強材15同士の接続を容易に行うことができ、したがってカバー材2を形成する各面の枠体をそれぞれ接続することが容易となり、カバー材2の組み立て容易性を向上することができる。なお、補強材15は板材に限らず、丸い棒状でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係るモイスチャ処理装置の概略図である。
【図2】カバー材の概略図である。
【図3】板材で覆われたカバー材の概略断面図である。
【図4】補強材を取り付けたカバー材の概略図である。
【符号の説明】
【0017】
1 モイスチャ処理装置
2 カバー材
3 処理空間
4 水分供給手段
5 加熱手段
6 処理台
7 処理対象物
8 水分受け部材
9 水タンク
10 バルブ
11 配管
12 枠体
12a 横枠
12b 横枠
12b 縦枠
13 シート
14 板材
15 補強材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理対象物を収容可能な処理空間と、
該処理空間を覆っているカバー材と、
前記処理空間内に水分を供給するための水分供給手段と、
前記処理空間の下部に備わる加熱手段とを備え、
前記加熱手段により前記水分供給手段から供給された水分を蒸発させてモイスチャとし、前記加熱手段によって発生する上昇気流を利用して前記処理空間を前記モイスチャで充満させて前記処理対象物を処理するモイスチャ処理装置であって、
前記カバー材は、針金で枠体を形成されていて、前記枠体は、金属製又は樹脂製のシートで覆われていることを特徴とするモイスチャ処理装置。
【請求項2】
前記カバー材の外側及び/又は内側は、金属又は耐熱性樹脂材料からなる板材で覆われることを特徴とする請求項1に記載のモイスチャ処理装置。
【請求項3】
前記枠体には、棒状又は板状の補強材が取り付けられることを特徴とする請求項1又は2に記載のモイスチャ処理装置。
【請求項4】
前記シートはアルミシートであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のモイスチャ処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−115307(P2010−115307A)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−289751(P2008−289751)
【出願日】平成20年11月12日(2008.11.12)
【出願人】(505430838)有限会社創造舎 (8)
【出願人】(506120253)株式会社環境セラステクノ (8)
【Fターム(参考)】