説明

モジュールの製造方法

【課題】層間接続導体を形成する複数の接続端子が支持体に挿入されてなるる端子集合体を形成し、この端子集合体を配線基板に実装することで、層間接続導体を備えるモジュールを低コストかつ短い製造時間で製造できる技術を提供する。
【解決手段】層間接続導体を形成する柱状の接続端子11および電子部品102を配線基板101上に実装し、樹脂封止してなるモジュール100を製造する場合に、配線基板101の一方主面に、電子部品102を実装するとともに、複数の孔が形成された支持体12に接続端子11を挿入して成る端子集合体10を実装し(第1実装工程)、実装された電子部品102ならびに端子集合体10を樹脂層により封止する(第1封止工程)。こうすることにより、層間接続導体を有するモジュール100を低コストかつ短い時間で製造できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、層間接続導体を形成する複数の接続端子を用いたモジュールの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、図7のモジュールの一例に示すように、配線基板501の両面に実装された各種の電子部品502が、樹脂層503により封止されたモジュール500が知られている(例えば特許文献1参照)。また、モジュール500の一方の主面には金属シールド層504が設けられ、他方の主面には外部接続用の実装用端子505が設けられている。そして、金属シールド層504および実装用端子505は、それぞれ層間接続用のビア導体506により配線基板501の配線層と電気的に接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開2005/078796号(段落0017〜0025,0035、図1、要約書など)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ビア導体506は、配線基板501に設けられた樹脂層503にレーザ加工により形成されたビアホールに、デスミア処理が施された後、AgやCuなどを含む導電ペーストが充填されたり、ビアフィルめっきが施されることにより形成される。このように、レーザ加工を用いて樹脂層503にビアホールが形成される場合、レーザの出力調整が難しく、ビアホールの形成精度にばらつきが生じることが問題となっている。また、ビア導体506は、複数の工程を経て樹脂層503に形成されるため、モジュールの製造時間の短縮を図る上で妨げとなっていた。また、レーザ加工により樹脂層503に形成されたビアホールにデスミア処理が施される際の薬液や、ビアフィルめっきが施される際の薬液が、樹脂層503や配線基板501を浸食するという問題があった。
【0005】
本発明は、上記した課題に鑑みてなされたものであり、層間接続導体を形成する複数の接続端子が支持体に形成された孔に挿入されて準備された端子集合体を配線基板に実装して層間接続導体を形成することで、低コストかつ短い製造時間でモジュールを高精度に製造する技術を提供できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した目的を達成するために、本発明のモジュールの製造方法は、層間接続導体を形成する柱状の接続端子および電子部品を配線基板上に実装し樹脂封止してなるモジュールの製造方法において、樹脂製の支持体に複数の孔を形成し、前記孔に前記柱状の接続端子の一方端部を挿入して端子集合体を準備する準備工程と、前記配線基板の一方主面に、電子部品を実装するとともに前記接続端子の他方端部が前記配線基板に接続されるように前記接続端子を実装する第1実装工程と、前記電子部品および前記接続端子を樹脂層により封止する第1封止工程とを備えることを特徴としている(請求項1)。
【0007】
また、前記準備工程において、前記支持体に複数の孔を所定間隔で形成し、前記各孔のうち必要個所に前記柱状の接続端子の一方端部を挿入することを特徴としている(請求項2)。
【0008】
そして、前記支持体には、前記複数の孔に加えて、樹脂を充填するための穴が形成されていることを特徴としている(請求項3)。
【0009】
また、前記第1封止工程の前に前記支持体および前記接続端子を研磨または研削することにより前記支持体の少なくとも一部を除去してもよい(請求項4)。
【0010】
また、前記第1封止工程の前に、前記支持体を溶解して除去するとよい(請求項5)。
【0011】
また、前記第1封止工程の後に、前記支持体および前記接続端子を研磨または研削することにより前記支持体の少なくとも一部を除去してもよい(請求項6)。
【0012】
また、前記第1封止工程の後に、前記樹脂層の表面を研磨または研削する工程を備えるようにしてもよい(請求項7)。
【0013】
また、前記研磨または研削する工程において、前記接続端子の一方端部を削るようにしてもよい(請求項8)。
【0014】
そして、前記配線基板の他方主面に他の電子部品を実装する第2実装工程と、前記他の電子部品を樹脂層により封止する第2封止工程とをさらに備えるようにしてもよい(請求項9)。
【0015】
また、前記第2実装工程において、前記配線基板の他方主面に前記接続端子の他方端部が接続されるように前記接続端子を実装してもよい(請求項10)。
【0016】
また、前記第2封止工程により形成された樹脂層に、前記配線基板の他方主面に実装される前記接続端子の一方端部に接続されるように、他の電子部品を実装するとよい(請求項11)。
【発明の効果】
【0017】
請求項1の発明によれば、樹脂製の支持体に複数の孔を形成し、該孔に柱状の接続端子の一方端部を挿入して端子集合体を形成し、配線基板の一方主面に、電子部品を実装するとともに接続端子の他方端部が配線基板に接続されるように端子集合体を実装し、実装された電子部品および接続端子を樹脂層により封止することで、端子集合体の接続端子によりモジュールの層間接続導体が形成される。
【0018】
したがって、従来のようにビアホールを形成せずに層間接続導体を形成することができるので、ビアホールにデスミア処理が施される際の薬液や、ビアフィルめっきが施される際の薬液が、樹脂層や配線基板を浸食するという問題が生じるおそれがない。また、レーザ加工により形成されたビアホールによる層間接続導体と比較すると、層間接続導体の形成精度のばらつきが抑制されて、層間接続導体を精度よく形成することができるので、モジュールを高精度に製造することができる。
【0019】
また、複数の孔が形成された樹脂製の支持体に接続端子を挿入するという簡易な構成で端子集合体を形成することができるため、端子集合体を容易かつ安価に形成することができる。そして、容易かつ安価に形成された端子集合体を電子部品とともに配線基板に一般的な表面実装技術を用いて実装するだけで、モジュールに層間接続導体を形成することができる。また、複数の接続端子が支持体に挿入されて形成された端子集合体を配線基板に実装することにより、一度に複数の層間接続導体をモジュールに形成することができる。したがって、従来のような、複数の工程を経て形成されるビア導体により層間接続導体が形成されるモジュールと比較して、低コストかつ短い製造時間で層間接続導体を備えるモジュールを製造することができる。
【0020】
また、請求項2の発明によれば、端子集合体は、支持体に複数の孔を所定間隔で形成し、それらの各孔のうち、必要な個所に接続端子の一方端部を挿入することで形成される。このように構成すると、層間接続導体の形成位置がそれぞれ異なる複数のモジュールに対して、支持体に形成された複数の孔のうち必要な個所に接続端子を挿入することで端子集合体を準備することができる。したがって、モジュールごとに、それぞれ個別に孔の形成位置が異なる支持体を製作する必要がないため、端子集合体を安価に製作することができる。
【0021】
また、請求項3の発明によれば、支持体には、接続端子が挿入される孔に加えて樹脂を充填するための穴が形成されているため、モジュールの上方から樹脂によりモジュールを封止するときの樹脂の充填を容易に行なうことができる。また、モジュールの側方から樹脂を充填する場合には、当該穴が、樹脂層を形成するときに発生し、ボイドの原因となる気泡の抜け道となるため、樹脂層にボイドが形成されるのを防止することができる。
【0022】
請求項4の発明によれば、第1封止工程の前に支持体と接続端子を研磨または研削することにより支持体の少なくとも一部が除去されるため、接続端子の一方端部により形成される外部接続用のランドを支持体の表面に形成することができる。また、支持体の全部を除去した場合は、配線基板の一方主面に実装された接続端子および電子部品を樹脂により封止する際の障壁がなくなるため、配線基板の一方主面に充填される樹脂の充填性が向上する。また、支持体の除去により、配線基板の一方主面に樹脂を充填するときに生じる空気(気泡)の抜け道を確保できるため、樹脂層にボイドが発生するのを抑制することができる。
【0023】
請求項5の発明によれば、第1封止工程の前に、支持体は溶解されて除去されるため、配線基板の一方主面への樹脂の充填性が向上するとともに、樹脂層にボイドが発生するのを抑制することができる。
【0024】
また、請求項6の発明によれば、第1封止工程の後に支持体と接続端子が研磨または研削されることにより支持体の少なくとも一部が除去されるため、樹脂封止後に、接続端子の一方端部により形成される外部接続用のランドを確実に形成することができる。
【0025】
請求項7の発明によれば、第1封止工程の後に樹脂層の表面が研磨または研削されるため、樹脂層表面の平坦化を図ることができるとともに、モジュールの低背化を図ることができる。
【0026】
請求項8の発明によれば、研磨または研削する工程において、樹脂表面と一緒に接続端子の一方端部が削られるため、樹脂層の表面に接続端子の一方端部により形成される外部接続用のランドを確実に形成することができる。
【0027】
請求項9の発明によれば、配線基板の他方主面にも電子部品が実装され、実装された電子部品が樹脂層により封止されるため、モジュールに実装される電子部品の実装密度を高めることができるので実用的である。
【0028】
請求項10の発明によれば、配線基板の他方主面に端子集合体がさらに実装されるので、配線基板の他方主面に形成された樹脂層にも接続端子による層間接続導体を容易に形成することができる。
【0029】
請求項11の発明によれば、第2封止工程により形成された樹脂層に、配線基板の他方主面に実装される接続端子の一方端部に接続されるように他の電子部品が実装されるため、モジュールに実装される電子部品の実装密度をさらに高めることができるので実用的である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の第1実施形態にかかるモジュールに用いる端子集合体の底面図である。
【図2】本発明の第1実施形態にかかるモジュールの製造方法を示す図である。
【図3】本発明の第1実施形態にかかるモジュールの製造方法の変形例を示す図である。
【図4】本発明の第2実施形態にかかるモジュールを示す図である。
【図5】本発明の第3実施形態にかかるモジュールを示す図である。
【図6】本発明の第4実施形態にかかるモジュールを示す図である。
【図7】従来のモジュールの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態にかかるモジュールについて、図1、図2を参照して説明する。図1は本発明の第1実施形態にかかるモジュールに用いる端子集合体の底面図であり、(a)〜(c)はそれぞれ異なる端子集合体を示す。図2は本発明の第1実施形態にかかるモジュールの製造方法を示す図であり、(a)〜(d)はそれぞれ異なる工程を示す。
【0032】
図2(d)に示すように、層間接続導体を形成する柱状の接続端子11および電子部品102を配線基板101上に実装し樹脂封止してなるモジュール100の製造方法について説明する。なお、この実施形態で説明するモジュールの製造方法では、通信携帯端末のマザー基板などに実装される、Bluetooth(登録商標)モジュールおよび無線LANモジュールなどの各種の通信モジュール、アンテナスイッチモジュール、電源モジュールなどの高周波用回路モジュールが製造される。
【0033】
まず、所定の径および断面形状を有するCuやCu−Fe合金などの導電性材料からなる線材を所定の長さで切断することで、所望の径および長さで、層間接続導体を形成する柱状の接続端子11を用意する。次に、所望の配列で接続端子11を配置できるように、接続端子11の一方端部を挿入するための複数の孔13が板状の部材に形成された支持体12を用意する。
【0034】
支持体12は、樹脂を用いて、例えば、射出成形により形成することができる。この場合、支持体12の厚みが薄すぎると、射出成形するときに金型内で樹脂が回り込まず、ウェルドが発生し、接続端子11を孔13に挿入するときに樹脂が割れたり、接続端子11がまっすぐに立たないおそれがある。また、支持体12の厚みが厚すぎると、材料コストが増加したり、接続端子の挿入が困難になるおそれがある。そこで、例えば、接続端子11の径を80μm〜500μmで形成した場合、支持体12の厚みは、0.3mm〜1.2mm、好ましくは0.5mm〜0.8mmで形成するのがよい。
【0035】
そして、図1(a)に示すように、支持体12に形成された複数の孔13それぞれに接続端子11の一方端部を挿入することで端子集合体10を形成する(準備工程)。孔13の径を接続端子11の径と同じ、またはわずかに小さくしておき、接続端子11を孔13に押し込むことにより、接続端子11が抜けない端子集合体10を形成することができる。
【0036】
このとき、図1(b)に示すように、支持体12に複数の孔13を所定間隔で格子状に形成し、各孔13のうち必要な個所に接続端子11の一方端部を挿入することで、端子集合体10を形成してもかまわない。
【0037】
また、図1(c)に示すように、支持体12に、接続端子11が挿入されない部分に樹脂を充填するための穴14を設けてもかまわない。なお、支持体12に形成された複数の孔13は支持体12を貫通する孔であってもよいし、有底孔であってもよい。接続端子11は孔13を全て埋めるように挿入されてもよいし、孔の途中まで挿入されてもよい。
【0038】
次に、図2(a)に示すように、配線基板101の一方主面に各種のチップ部品やICなどの電子部品102を実装するとともに、モジュール100の層間接続導体を形成する複数の接続端子11が支持体12に挿入されて成る端子集合体10を、各接続端子11の他方端部が配線基板101に接続されるように、配線基板101の一方主面の所定位置に実装する(第1実装工程)。このとき、端子集合体10および電子部品102は、半田リフローや超音波振動接合などの一般的な表面実装技術により実装するとよい。
【0039】
なお、配線基板101は、この実施形態では、複数のセラミックグリーンシートが積層されて焼成されてなる多層セラミック基板である。セラミックグリーンシートは、アルミナおよびガラスなどの混合粉末が有機バインダおよび溶剤などと一緒に混合されたスラリーがシート化されたものであり、セラミックグリーンシートの所定位置に、レーザー加工などによりビアホールが形成され、形成されたビアホールにAgやCuなどを含む導体ペーストが充填されて、層間接続用のビア導体が形成され、導体ペーストによる印刷により種々の電極パターンが形成される。その後、各セラミックグリーンシートを積層、圧着することによりセラミック積層体を形成して約1000℃前後の低い温度で、所謂、低温焼成して形成されている。
【0040】
このように、配線基板101には、内部配線パターン、端子集合体10および電子部品102が実装される実装用電極および外部接続用電極などの種々の電極パターンが設けられているが、配線基板101は、樹脂やポリマー材料などを用いた、プリント基板、LTCC、アルミナ系基板、ガラス基板、複合材料基板、単層基板、多層基板などで形成することができ、モジュール100の使用目的に応じて、適宜最適な材質を選択して配線基板101を形成すればよい。
【0041】
次に、図2(b)に示すように、配線基板101の一方主面に実装された端子集合体10の支持体12、および、支持体12に形成された孔13に挿入された接続端子11の一方端部を研磨または研削することにより、支持体12を除去する。このとき、研磨または研削することにより、支持体12の一部のみを除去してもかまわない。また、支持体12は、薬剤で溶解することにより除去してもかまわない。この場合、樹脂溶解剤として、例えば、ダイナロイ社製の「ダイナゾルブ711」を用いて支持体12を除去するとよい。
【0042】
続いて、図2(c)に示すように、配線基板101の一方主面に樹脂を充填することにより、配線基板101の一方主面に実装された電子部品102および接続端子11を第1樹脂層103により封止する。第1樹脂層103は、エポキシ樹脂やフェノール樹脂、シアネート樹脂などの熱硬化性の樹脂に、酸化アルミニウムやシリカ(二酸化ケイ素)、二酸化チタンなどの無機フィラーが混合された複合樹脂により形成することができる。
【0043】
例えば、PETフィルム上に複合樹脂を成型して半硬化させた樹脂シートを用いて第1樹脂層103を形成する場合には、所望の厚みを有するスペーサ(型)が周囲に配置された状態の配線基板101に樹脂シートを被せ、スペーサ厚みになるように加熱プレスした後、配線基板101をオーブンにより加熱して樹脂を硬化させることにより、所望の厚みを有する第1樹脂層103を形成することができる。なお、第1樹脂層103は、液状の樹脂を用いたポッティング技術やトランスファーモールド技術、コンプレッションモールド技術など、樹脂層を形成する一般的な成型技術を用いて形成すればよい。
【0044】
次に、図2(d)に示すように、ローラブレード等により第1樹脂層103の表面を研磨や研削することにより、不要な樹脂を除去する(研磨または研削工程)。このとき、樹脂と一緒に接続端子11の一方端部を、研磨や研削することにより削ってもよい。このようにすることで、第1樹脂層103の表面に接続端子11の一方端部が露出し、その結果、接続端子11の一方端部により形成された外部接続用のランドが形成され、モジュール100が完成する。このとき、接続端子11の他方端部を配線基板101に接続するときに、半田の厚みなどの影響で、接続端子11の配線基板101からの高さにばらつきが生じている場合には、第1樹脂層103と一緒に接続端子11の一方端部を削ることにより、接続端子11の配線基板101からの高さを揃えることができる。なお、第1樹脂層103の表面に露出した接続端子11の一方端部に例えばNi/Auめっきを施してもよい。
【0045】
また、第1封止工程において、各接続端子11の一方端部が露出するように第1樹脂層103が形成される場合には、第1樹脂層103の表面を研磨または研削する工程は、必ずしも実行しなくともよい。
【0046】
また、第1封止工程の前に支持体12を除去せずに、配線基板101に樹脂を充填して樹脂層103を形成した後、支持体12を研磨または研削することにより除去してもよい。この場合、配線基板101の側面側から樹脂を充填すればよい。また、端子集合体10が、図1(b)に示すように、支持体12に形成された複数の孔13に部分的に接続端子11が挿入されて形成されている場合には、支持体12の上方から接続端子11が挿入されていない孔13を利用して樹脂を充填してもよく、図1(c)に示すように、支持体12に樹脂充填用の穴14が設けられている場合には、当該穴14を利用して、支持体12の上方から樹脂を充填すればよい。このように、第1樹脂層103を形成した後に研磨または研削することにより支持体を除去することで接続端子11の一方端部により形成される外部接続用のランドをモジュール100の表面に形成することができる。なお、接続端子11の一方端部が支持体12の孔13を通して露出する場合には、必ずしも支持体12を除去する必要はない。
【0047】
また、第1封止工程において配線基板101に樹脂を充填した後で、研磨または研削することにより、支持体12の一部を除去してもかまわない。支持体12の一部を除去する方法として、例えば、図3(a)〜(c)に第1の実施形態の変形例にかかるモジュールの製造方法を示す。図3(a)〜(c)はそれぞれ異なる工程を示す。図3(a)は第1実装工程であり、第1の実施形態と同様の工程である。
【0048】
次に、図3(b)に示すように、配線基板101の一方主面に樹脂を充填することにより、配線基板101の一方主面に実装された電子部品102および接続端子11を第1樹脂層103により封止する。
【0049】
そして、図3(c)に示すように、配線基板101の一方主面に実装された端子集合体10の支持体12の一部および、支持体12に形成された孔13に挿入された接続端子11の一方端部を研磨または研削することにより、モジュール100を形成してもよい。この場合、モジュール100は、第1樹脂層103の表面が、支持体12の一部で覆われた構成となる。この構成は、支持体12と配線基板101とが第1樹脂層103を挟み込むため、反りが抑制されたモジュールとすることができる。
【0050】
したがって、上記した実施形態によれば、接続端子11を支持体12に挿入して成る端子集合体10および電子部品102を配線基板101の一方主面に実装し、端子集合体10ならびに電子部品102を第1樹脂層103により封止するという簡単な構成で、層間接続導体を形成できるため、従来技術のように、複数の工程を経て形成されるビアホールを設ける必要がなく、モジュール100の生産にかかるコストの削減ならびに製造時間の短縮を図ることができる。さらに、従来のように、デスミア処理が施される際の薬液や、ビアフィルめっきが施される際の薬液が、樹脂層や配線基板を浸食するという問題も生じない。
【0051】
また、この実施形態では、層間接続導体を形成する複数の接続端子11が支持体12に挿入されてなる端子集合体10が準備される。例えば、板状の金属導体を用意して、該金属導体にエッチング処理や削り出しなどを行なうことにより、支持体12と複数の接続端子11を一体形成することが考えられるが、この場合、所望の接続端子11の形状を精度よく形成することが困難である。この点、この実施形態では、接続端子11と支持体12が別個に形成されるため、特に、接続端子11の形状を容易に精度よく形成することができるのでモジュール100を精度よく製造することができる。また、エッチング処理や削り出しの際に廃棄される材料がないため、端子集合体10の製造コストを低減することができる。
【0052】
また、図1(b)に示すように、支持体12に所定間隔で複数の孔13を形成し、各孔13のうちの必要な個所に接続端子11の一方端部を挿入して端子集合体10を形成するようにすれば、異なる位置に層間接続導体(接続端子11)を配置しなければならない複数のモジュールに対して、一つの支持体12を製作するだけで各モジュール用の端子集合体10を形成することができる。すなわち、接続端子11を異なる位置に配置しなければならい複数のモジュールに対して、一つの金型を用いて支持体12を射出成形するだけで、それぞれのモジュールに対応した端子集合体10を形成できるため、端子集合体10の製作コストを抑えることができる。
【0053】
さらに、孔13が貫通孔である場合、接続端子11が挿入されていない孔(空き孔)13は、電子部品102や接続端子11を樹脂封止する際に、樹脂を配線基板101面に充填するのに利用できるため、支持体12を除去しなくても、モジュール100(支持体12)の上側から樹脂を効率よく充填することができる。また、封止樹脂を配線基板101の側面側から充填する場合にも、当該孔が樹脂封止の際に樹脂にかみ込まれる空気の抜け道となるため、第1樹脂層にボイドが発生するのを抑制することができる。また、樹脂をモジュール100の上側と側面側の両方から充填する場合も、モジュール100の上側(支持体12の空き孔13)と側面側に樹脂を充填できる隙間があるため、樹脂の充填性が向上する。
【0054】
また、図1(c)に示すように、支持体12の接続端子11が挿入されない部分に、樹脂充填用の穴14を設けた場合には、第1封止工程の前に、支持体12を除去しなくてもモジュール100の上側から樹脂を充填するときの樹脂の充填性が向上するとともに、穴14が空気の抜け道となって、第1樹脂層にボイドが発生することを抑制することができる。
【0055】
また、端子集合体10を配線基板101の一方主面に一般的な表面実装技術を用いて実装するだけで、複数の層間接続導体を形成できるため、層間接続導体を備えるモジュールを、低コストかつ短い時間で製造することができる。
【0056】
また、端子集合体10は、電子部品102を配線基板101に表面実装するためのマウンタが備える部品吸着用の吸着コレットなどの形状を変更するだけで、配線基板101上に実装することが可能であるため、既存の設備を利用できるという利点がある。さらに、接続端子11は層間接続導体を形成するものであり、従来のように、層間接続導体を形成するのにビアホールを形成する必要がない。すなわち、モジュール100の層間接続導体の形成を既存のマウンタを使用して行うことができるという大きな利点を有する。
【0057】
また、第1封止工程の前に、支持体12を研磨または研削することにより除去した場合、配線基板101の一方主面の上方から樹脂封止するときの障壁がなくなるため、配線基板101の一方主面に充填される樹脂の充填性が向上する。また、樹脂内の空気(気泡)が抜けやすく、第1樹脂層103にボイドが発生することを抑制できる。
【0058】
また、第1封止工程の前に、支持体12を溶解することにより除去した場合も、研磨または研削により支持体12を除去した場合と同様に、配線基板101の一方主面に充填される樹脂の充填性が向上するとともに、第1樹脂層103にボイドが発生することを抑制できる。
【0059】
また、これらの場合、配線基板101の一方主面に実装された端子集合体10の支持体12が樹脂封止前に除去されているため、第1樹脂層103を形成するために、液状の樹脂や樹脂シートなどの種々の態様の樹脂を使用することができ、一般的に知られている種々の方法により第1樹脂層103を容易に形成することができる。
【0060】
そして、第1封止工程の前に、研磨または研削することにより、支持体12の一部を除去した場合は、支持体12の表面に接続端子11の一方端部が露出するため、接続端子11の一方端部により形成される外部接続用のランドを支持体12の表面に形成することができる。
【0061】
また、第1封止工程の後に、研磨または研削することにより、支持体12の少なくとも一部を除去した場合は、支持体12の表面または樹脂層103の表面に接続端子11の一方端部が露出するため、樹脂封止後に、接続端子11の一方端部により形成される外部接続用のランドを樹脂層103の表面に形成することができる。
【0062】
また、第1封止工程においては樹脂が硬化する際に収縮を伴うため、配線基板101上の第1樹脂層103側に反りが生じるが、第1封止工程の後で支持体12を除去する場合には、支持体12を備えた状態で第1封止工程、すなわち樹脂を硬化させることができるため、支持体12と配線基板101とが第1樹脂層103を挟み込む構造となり、樹脂の硬化収縮によるモジュール100の反りを低減させることができる。
【0063】
また、第1封止工程の後に、第1樹脂層103の表面を研磨または研削することで、第1樹脂層103の表面を平坦化することができるとともにモジュール100を低背化することができる。
【0064】
また、第1樹脂層103の表面に加えて、接続端子11の一方端部を研磨または研削することで、上記した樹脂の平坦化ならびにモジュール100の低背化が図れるのみならず、接続端子11の一方端部により形成される外部接続用のランドをより確実に形成することができる。
【0065】
<第2実施形態>
本発明の第2実施形態にかかるモジュールについて、図4を参照して説明する。図4は本発明の第2実施形態にかかるモジュールを示す図である。
【0066】
この実施形態にかかるモジュールが、上記した第1実施形態と異なるのは、図4に示すように、モジュール100aの配線基板101の他方主面に電子部品102がさらに実装される(第2実装工程)とともに、それらの電子部品102が第2樹脂層104により封止される(第2封止工程)点である。その他の構成は上記した第1実施形態と同様の構成であるため、同一符号を付すことによりその構成の説明は省略する。
【0067】
この場合、配線基板101の他方主面に電子部品102が実装されることにより、モジュール100aに実装される電子部品102の実装密度を高めることができるので実用的である。
【0068】
<第3実施形態>
本発明の第3実施形態にかかるモジュールについて、図5を参照して説明する。図5は本発明の第3実施形態にかかるモジュールを示す図である。
【0069】
この実施形態にかかるモジュールが、上記した第2実施形態と異なるのは、図5に示すように、モジュール100bの配線基板101の他方主面に設けられた第2樹脂層104に金属シールド層105が設けられている点である。その他の構成は上記した第1、第2実施形態と同様の構成であるため、同一符号を付すことによりその構成の説明は省略する。なお、金属シールド層105は、配線基板101に設けられたGND用配線と電気的に接続されるのが望ましい。
【0070】
このように構成すると、第2樹脂層104に金属シールド層105が設けられているため、特に、第2樹脂層104に封止される電子部品102に外部からノイズが伝搬するのが防止できるとともに、第2樹脂層104に封止される電子部品102から電磁波などが輻射するのが防止できる。
【0071】
<第4実施形態>
本発明の第4実施形態にかかるモジュールについて、図6を参照して説明する。図6は本発明の第4実施形態にかかるモジュールを示す図である。
【0072】
この実施形態にかかるモジュールが、図4を参照して説明した第2実施形態と異なるのは、図6に示すように、モジュール100cの配線基板101の他方主面に接続端子11が実装されることにより(第2実装工程)、第2樹脂層104に接続端子11による層間接続導体が設けられている点である。すなわち、上記した第1実施形態において配線基板101の一方主面について説明したのと同様に、接続端子11が支持体12の孔13に挿入されて成る端子集合体10を配線基板101の他方主面に実装することにより、接続端子11が配線基板101に接続され、第2封止工程において配線基板101の他方主面に樹脂を充填することによりモジュール100cが形成される。なお、第2封止工程において、配線基板101の他方主面に実装された各接続端子11の一方端部が露出するように第2樹脂層104が形成される場合には、支持体12を除去する必要はなく、また、支持体12の一部のみを除去して接続端子の一方端部を確実に露出させてもよい。
【0073】
また、この実施形態では、第2樹脂層104に設けられた接続端子11により形成された層間接続導体に接続されるように、第2樹脂層104にさらに電子部品102が実装される。その他の構成は上記した第1〜第3実施形態と同様の構成であるため、同一符号を付すことによりその構成の説明は省略する。
【0074】
このように構成すると、配線基板101の他方主面に端子集合体10がさらに実装されるので、第2樹脂層104に接続端子11による層間接続導体を形成することができ、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0075】
また、第2封止工程により形成された第2樹脂層104の表面に、第2樹脂層104に設けられた接続端子11に接続されるように電子部品102がさらに実装されるため、モジュール100cに実装される電子部品102の実装密度をさらに高めることができるので実用的である。
【0076】
なお、本発明は上記した各実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、上記したもの以外に種々の変更を行なうことが可能である。
【0077】
例えば、上記した実施形態では、モジュール単体ごとの製造方法について説明したが、複数のモジュールの集合体を形成した後に、個々のモジュールに個片化することによりモジュールを製造してもよい。この場合、配線基板101の集合体に複数の接続端子11が支持体12の孔13に挿入された端子集合体10を実装する際に、上記したように端子集合体を個別に用意するのではなく、それぞれのモジュール100に実装される端子集合体10が一体的に形成された集合体を用意し、この端子集合体10の集合体を配線基板101の集合体に実装してもよい。このようにすると、配線基板101への端子集合体10の実装時間の短縮を図ることができるので、モジュールの製造時間の短縮を図ることができる。また、配線基板101の集合体に、個々のモジュール100に対応する端子集合体10を複数実装してもよい。このようにすると、端子集合体10の集合体を実装する場合よりも位置精度よく実装することができる。
【0078】
また、上記した実施形態では、接続端子11を円柱状に形成したが、接続端子11の形状はこれに限られず、例えば、四角柱状や多角柱状など、所望の断面形状を有する柱状に形成してもかまわない。
【0079】
また、露出した接続端子11の一方端部に、Ni/Auめっきなどを施して、そこに半田などのバンプを形成してもよい。このようにすることで、モジュールを外部基板などと接続する際に、外部基板側に半田バンプを形成する必要がなくなり、実用的である。
【0080】
そして、モジュールの配線基板に柱状の接続端子を表面実装技術を用いて実装することにより、モジュールの層間接続導体を形成する技術に本発明を広く適用することができ、種々の電子部品を配線基板に搭載することにより、種々の機能を有するモジュールを構成することができる。
【符号の説明】
【0081】
10 端子集合体
11 接続端子
12 支持体
13 孔
14 穴
100,100a、100b,100c モジュール
101 配線基板
102 電子部品
103 第1樹脂層
104 第2樹脂層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
層間接続導体を形成する柱状の接続端子および電子部品を配線基板上に実装し樹脂封止してなるモジュールの製造方法において、
樹脂製の支持体に複数の孔を形成し前記孔に前記柱状の接続端子の一方端部を挿入して端子集合体を準備する準備工程と、
前記配線基板の一方主面に、前記電子部品を実装するとともに前記接続端子の他方端部が前記配線基板に接続されるように前記接続端子を実装する第1実装工程と、
前記電子部品および前記接続端子を樹脂層により封止する第1封止工程と
を備えることを特徴とするモジュールの製造方法。
【請求項2】
前記準備工程において、前記支持体に複数の孔を所定間隔で形成し、前記各孔のうち必要個所に前記柱状の接続端子の一方端部を挿入することを特徴とする請求項1に記載のモジュールの製造方法。
【請求項3】
前記支持体には、前記複数の孔に加えて、樹脂を充填するための穴が形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のモジュールの製造方法。
【請求項4】
前記第1封止工程の前に前記支持体および前記接続端子を研磨または研削することにより前記支持体の少なくとも一部を除去することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のモジュールの製造方法。
【請求項5】
前記第1封止工程の前に、前記支持体を溶解して除去することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のモジュールの製造方法。
【請求項6】
前記第1封止工程の後に前記支持体および前記接続端子を研磨または研削することにより前記支持体の少なくとも一部を除去することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のモジュールの製造方法。
【請求項7】
前記第1封止工程の後に、前記樹脂層の表面を研磨または研削する工程を備えることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載のモジュールの製造方法。
【請求項8】
前記研磨または研削する工程において、前記接続端子の一方端部を削ることを特徴とする請求項7に記載のモジュールの製造方法。
【請求項9】
前記配線基板の他方主面に他の電子部品を実装する第2実装工程と、前記他の電子部品を樹脂層により封止する第2封止工程とをさらに備えることを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載のモジュールの製造方法。
【請求項10】
前記第2実装工程において、前記配線基板の他方主面に前記接続端子の他方端部が接続されるように前記接続端子を実装することを特徴とする請求項9に記載のモジュールの製造方法。
【請求項11】
前記第2封止工程により形成された樹脂層に、前記配線基板の他方主面に実装される前記接続端子の一方端部に接続されるように、他の電子部品を実装することを特徴とする請求項10に記載のモジュールの製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−58516(P2013−58516A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−194570(P2011−194570)
【出願日】平成23年9月7日(2011.9.7)
【出願人】(000006231)株式会社村田製作所 (3,635)
【Fターム(参考)】