説明

モノマー混合物、ポリマー、被覆剤及び被覆を製造する方法

本発明は、アルキル基中に炭素原子数1〜10を有し、そのアルキル基は二重結合又はヘテロ原子を有していないアルキル(メタ)アクリレート1種以上少なくとも30質量%及びアルキル基中に少なくとも1個のアルデヒド基を有している(メタ)アクリレート1種以上0.1〜40質量%を含有している、モノマー混合物に関する。更に本発明は、このモノマー混合物から得られるポリマー並びに前記のポリマーを含有している被覆剤に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モノマー混合物及びこのモノマー混合物の使用下に得られるポリマーに関する。更に、本発明は、被覆剤、被覆を製造する方法及び被覆された物品に関する。
【0002】
被覆剤、殊にラッカーは、従来から合成されている。より新しい被覆剤は、架橋剤の添加によって比較的耐溶剤性のラッカーに硬化されうるカルボニル基含有ポリマーを含有している。これらの被覆剤は、特にWO94/025433中に開示されている。しかしながら、これら被覆剤の特性プロフィルの改良は、引き続き要望されている。
【0003】
本発明の課題は、技術水準を考慮して、優れた特性を有するポリマーに加工することのできるモノマー混合物を提供することである。この特性には、殊に被覆剤及びこの被覆剤から得られる被覆によって明らかになる特徴がこれに属する。
【0004】
殊にこのモノマー混合物は、分散液又はポリマー、例えば非常に低い残留モノマー含分を有するエマルジヨンポリマーまで加工することができるべきである。
【0005】
従って本発明の課題は更に、特別長い貯蔵性及び耐久性を有する被覆剤を提供することであった。更にこの被覆剤から得られる被覆の硬度は、広い範囲で変動可能であるべきである。殊に、高い破断時の伸び及び/又は高い引張り強度によって優れている機械的に安定な被覆が得られるべきである。更にこの被覆剤から得られる被覆は、硬度及び引張り強度に関連して低い脆性を示すべきである。
【0006】
もう一つの課題は、その使用によって揮発性の有機溶剤なしに被覆剤が得られる、ポリマーを提供することである。この被覆剤から得られる被覆は、高い耐侯性、殊に高いUV−安定性を有すべきである。更に、この被覆剤から得られる膜は、短時間後に低い粘着性を有すべきである。
【0007】
更にこのポリマー又はモノマー混合物から得られる被覆は、溶剤に対する特別高い安定性を有すべきである。この場合に、多くの種々の溶剤に対して高い安定性を有すべきである。同様に、酸性及びアルカリ性洗浄剤に対して非常に良好な安定性を示すべきである。
【0008】
従って本発明の更なる課題は、特別コスト的に好適に得られるモノマー混合物、ポリマー及び被覆剤を提供することであった。この場合に、これらの製品及びその製造法は環境認容性であるべきである。ポリマーに関して、これは、同等の性能で、製造コストのかかるモノマーをできるだけ少ない割合で含有すべきである。
【0009】
もう一つの課題は、その使用目的のために特別良好に好適である繊維材料及び皮革用の被覆剤を提供することにあると見ることができる。殊にこの被覆は、高い耐摩耗性及び優れた強度で充分高い弾性を示すべきである。殊にこの被覆は、殊に清浄剤に対する優れた耐化学薬品性及び煮沸洗濯時の低い損失を示すべきである。
【0010】
更に本発明の課題は、高い化学薬品抵抗性で優れた機械的負荷性を示す、床張り、家具及び他の比較的硬い基材用の被覆剤を提供することであった。
【0011】
例えば、優れた特性プロフィルを有する、工業用ラッカー及びプライマー用の結合剤を提供すべきである。即ちこれらのラッカーは、建物の内装又は外装領域で、例えばファッサード塗料として使用することが可能であるべきである。
【0012】
更にこのラッカーは、木材、紙、金属及びプラスチック上で適用可能であるべきであり、この際、殊に木材用のクリアラッカー、木材用の工業用ラッカー、木材用の工業用プライマーを挙げることができる。この際この被覆剤は、優れた付着性、たわみ性及び耐食性を示すべきである。
【0013】
これらの、並びに他の明白に記載されていないが、個々に記載の関連性から容易に推考可能な又は推論可能である課題は、請求項1に記載の全ての特徴を有するモノマー混合物によって解決される。本発明によるモノマー混合物の合目的な変形が従属請求項で保護される。ポリマー、被覆剤、被覆を製造する方法並びに被覆された物品に関して、請求項16、20、21及び25は、根底にある課題の解決を提供する。
【0014】
相応して本発明の目的物は、
少なくとも30質量%のアルキル基中に炭素原子数1〜10を有し、このアルキル基が二重結合又はヘテロ原子を有していないアルキル(メタ)アクリレート1種以上、及び
0.1〜40質量%のアルキル基中に少なくとも1個のアルデヒド基を有している(メタ)アクリレート1種以上
を含有している、モノマー混合物である。
【0015】
更に本発明による手段によって、特に次の利点を得ることができる:
本発明によるモノマー混合物は、非常に少ない残留モノマー含分を有するポリマー、被覆剤及び被覆に加工することができる。
【0016】
本発明による被覆剤から得られ、これらのポリマー又はモノマー混合物をベースとしている被覆の硬度は、広い範囲で変動可能である。好ましい変容によれば、殊に機械的に安定である被覆を得ることができる。本発明の被覆剤から得られる被覆は、殊にメチルイソブチルケトン(MIBK)又はエタノールを用いる実験で明らかである、意想外に高い耐溶剤性を示す。
【0017】
意外にも、殊に高い破断時の伸び及び/又は高い引張り強度によって優れている機械的に安定な被覆を得ることができる。この被覆剤から得られる被覆は有利に、硬度及び引張り強度に関連する低い脆性を示す。
【0018】
本発明によるモノマー混合物の使用下に得られる被覆剤は、一般に揮発性の有機溶剤を必要としない。更にこのことから、本発明による被覆剤は、高い貯蔵安定性、高い耐久性及び非常に良好な貯蔵可能性を示す。殊に凝集物形成は全く現れない。
【0019】
本発明による被覆剤から得られる被覆は、高い耐候性、殊に高い耐UV性を示す。更にこの被覆剤から得られる膜は、短時間後に低い粘着性を有する。
【0020】
本発明によるモノマー混合物、ポリマー及び被覆剤は、経費的に好適に大規模に製造することができる。このポリマーに関して、これは同じ性能で、経費をかけて製造すべきモノマーを比較的低い割合で含有して製造することができる。このポリマーのこの性能は、特にそれから得られる被覆剤及び被覆の特性から明らかである。
【0021】
本発明による被覆剤は、環境認容性であり、安全にかつ多大な経費をかけずに加工することができ、製造することができる。この場合に、本発明による被覆剤は、非常に高い剪断安定性を示す。
【0022】
更に本発明による被覆剤は、殊に繊維材料及び皮革の被覆のために使用することができる。殊にこれから得られる被覆は、優れた強度で、高い耐摩耗性及び充分高い弾性を示す。
【0023】
更に本発明による被覆剤の特別な形態は、硬い基材、例えば木材、金属及びプラスチック上で使用することができ、この際、これにより得られる被覆は優れた特性を有する。従って得られる被覆は、殊に家具試験DIN68861−1による試験で、優れた等級(Einstufung)を示す。更にその機械特性は優れている。殊に好ましい被覆は被覆の低い脆性の場合に得ることのできる高い硬度を有する。更にこの被覆は、高い引張り強度及び高い破断時の伸びを示すことができる。
【0024】
更に、本発明による結合剤を工業用ラッカー及びプライマーを得るために使用することができる。それというのも、これは優れた特性プロフィルを有するからである。例えば、このラッカーは建物の内装又は外装領域で、例えばファッサード塗料として使用することができる。
【0025】
更に、このラッカーは、木材、紙、金属及びプラスチック上に適用することができ、この際、これは殊に木材用クリアラッカー、木材の工業用ラッカー、木材の工業用プライマーとして好適である。この場合にこの被覆剤は、優れた付着性、たわみ性及び耐食性を示すことができる。
【0026】
本発明によるモノマー混合物は、アルキル基中に少なくとも1個のアルデヒド基を有している(メタ)アクリレート1種以上0.1〜40質量%、有利に1〜20質量%、特別好ましくは1.5〜10質量%及び全く特別好ましくは2〜6質量%を含有する。
【0027】
アルキル基中に少なくとも1個のアルデヒド基を有している(メタ)アクリレートは、一般に、一般式(I):
【化1】

[式中、Rは水素又はメチル基を表し、Xは酸素又は式NR’の基(ここで、R’は水素又は炭素原子数1〜6を有する基である)を表し、Rは炭素原子数3〜31及び少なくとも1個のアルデヒド基を有している基を表す]に相当する。
【0028】
用語「炭素原子数1〜6を有する基」又は「炭素原子数3〜31を有する基」は、それぞれ炭素原子数1〜6又は3〜31を有している基を表している。これには、芳香族及びヘテロ芳香族基並びにアルキル−、シクロアルキル−、アルコキシ−、シクロアルコキシ−、アルケニル−、アルカノイル−、アルコキシカルボニル基並びにヘテロ脂肪族基が包含される。この場合に記載の基は分枝又は非分枝であることができる。更にこれらの基は、置換基、殊にハロゲン原子又はヒドロキシ基を有していることができる。
【0029】
基R’はアルキル基を表すことが有利である。好ましいアルキル基には、メチル−、エチル−、プロピル−、イソプロピル−、1−ブチル−、2−ブチル−、2−メチルプロピル−、t−ブチル−基がこれに属する。
【0030】
式(I)中で、基Rは炭素原子数3〜31、殊に炭素原子数3〜25、有利には3〜9、特別好ましくは4〜6を有する基を表し、これは少なくとも1個のアルデヒド基を有している。本発明のもう一つの態様によれば、炭素原子数10〜25、有利には12〜24、全く特別好ましくは14〜23を有する(メタ)アクリレートモノマーが好ましい。この場合に、基Rは1、2、3個又はそれ以上のアルデヒド基を有していてよく、この際、基Rは置換されていてよく、他の官能基、例えばC−C−二重結合を有していてもよい。本発明の好ましい変形によれば、基Rは1又は2個のアルデヒド基を有しているアルキル−又はアルケニル基を表し、この際、正に1個のアルデヒド基を有している基が特別好ましい。これらの基は、ヘテロ原子、殊に酸素−及び/又は窒素原子を、例えばエステル−、エーテル−、アミノ−及び/又はアミド基として有していることができる。
【0031】
好ましい1実施形によれば、少なくとも1個のアルデヒド基を有している(メタ)アクリレートは、エノール又はエノレートを形成していてもよい。相応して、少なくとも1個のアルデヒド基を有している好ましい(メタ)アクリレートは、このアルデヒド基に対してα−位の炭素原子上に少なくとも1個の水素原子を有している。
【0032】
好ましい基Rとしては、殊に1−ホルミルエチル−、2−ホルミルエチル−、2−ホルミルプロピル−、3−ホルミルプロピル−、2−ホルミル−オクタ−7−エニル−、2,7−ジホルミルオクチル−、9−ホルミルオクタデシル−及び10−ホルミルオクタデシル−基が挙げられる。
【0033】
式(I)による好ましい(メタ)アクリレートモノマーには、特に基R中に炭素原子数3〜9を有する(メタ)アクリレートモノマー、例えば3−オキソプロピル(メタ)アクリレート(2−ホルミルエチル(メタ)アクリレート)、4−オキソブチル(メタ)アクリレート(3−ホルミルプロピル(メタ)アクリレート)及び2−メチル−3−オキソプロピル(メタ)アクリレート(2−ホルミル−2−メチル−エチル(メタ)アクリレート)がこれに属し、この際、4−オキソブチルメタアクリレート及び2−メチル−3−オキソプロピルメタアクリレートが特別好ましい。
【0034】
更に式(I)による(メタ)アクリレートモノマーには、基R中に炭素原子数10〜25を有する(メタ)アクリレートモノマー、例えば脂肪酸、脂肪アルコール及び脂肪酸アミドから誘導される(メタ)アクリレート、例えば次のものが、これに属する:
9−ホルミルオクタデカン−12−エン−イル−(メタ)アクリレート、9,12−ジホルミルオクタデシル−(メタ)アクリレート、12−ホルミルオクタデカン−6,9−ジエン−イル−(メタ)アクリレート、9−ホルミルヘキサデシル(メタ)アクリレート、10−ホルミルヘキサデシル(メタ)アクリレート、9−ホルミルオクタデシル(メタ)アクリレート、10−ホルミルオクタデシル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピル−9−ホルミルオクタデカン酸エステル、(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピル−10−ホルミルオクタデカン酸エステル、(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピル−9−ホルミルオクタデカン酸アミド及び/又は(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピル−10−ホルミルオクタデカン酸アミド。
【0035】
記載のモノマーは、単独で又は2種以上の化合物の混合物として使用することができる。
【0036】
式(I)による(メタ)アクリレートモノマーは、当業者に予期されなかった利点を有し、触媒の存在下での、式(II):
【化2】

[式中、Rは水素又はメチル基を表し、Xは酸素又は式NR’の基(ここで、R’は水素又は炭素原子数1〜6を有する基である)を表し、Rは少なくとも1個のC−C−二重結合及び炭素原子数2〜30、特に炭素原子数2〜24を有する不飽和基を表す]の出発物質と一酸化炭素及び水素との反応によって、得ることができる。
【0037】
極めて高い選択率に関連する特別な利点は、メタクリレートの使用により得ることができるので、アクリレートに比べてメタクリレートの方が好ましい。この選択率は、式(II)による化合物中に存在する二重結合の異なる反応性に関連し、この場合には意外にも、(メタ)アクリル−基の二重結合は反応せずに、本質的に基R中に含有されている二重結合が反応される。
【0038】
触媒の存在下での不飽和化合物と一酸化炭素及び水素との反応は、屡々ヒドロホルミル化法と称される。触媒としては、殊に金属及び/又は金属含有化合物を使用することができ、この際、鉄−白金−群の好ましい金属には、鉄、コバルト、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム及び白金が包含される。好ましい触媒には、殊にロジウム、イリジウム、パラジウム及び/又はコバルト(この際、ロジウムが特別好ましい)を含有する化合物が挙げられる。更にコバルトが特別好ましい。
【0039】
これら金属は、殊に錯体の形で使用でき、この際に中心原子は、V族の元素を介して結合される。殊に窒素、燐、アンチモン及び/又はヒ素を含有しているリガンドを有する錯体がこれに属する。
【0040】
特別な1実施形によれば、殊に少なくとも1個の燐含有化合物をリガンドとして含有している錯体を、触媒反応のために使用することができる。好ましい燐含有化合物は、芳香族基及び少なくとも1個、特別好ましくは2個の燐原子を含有する。この燐含有化合物には、殊にホスフィン類、亜燐酸塩、ホスフィナイト、ホスホナイトが挙げられる。ホスフィン類の例は、トリフェニルホスフィン、トリス(p−トリル)ホスフィン、トリス(m−トリル)ホスフィン、トリス(o−トリル)ホスフィン、トリス(p−メトキシフェニル)ホスフィン、トリス(p−ジメチルアミノフェニル)ホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリシクロペンチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリ−(1−ナフチル)ホスフィン、トリベンジルホスフィン、トリ−n−ブチルホスフィン、トリ−t−ブチルホスフィンである。亜燐酸塩の例は次のものである:亜燐酸トリメチル、亜燐酸トリエチル、亜燐酸トリ−n−プロピル、亜燐酸トリ−i−プロピル、亜燐酸トリ−n−ブチル、亜燐酸トリ−i−ブチル、亜燐酸トリ−t−ブチル、亜燐酸トリス(2−エチルヘキシル)、亜燐酸トリフェニル、亜燐酸トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)、亜燐酸トリス(2−t−ブチル−4−メトキシフェニル)、亜燐酸トリス(2−t−ブチル−4−メチルフェニル)及び亜燐酸トリス(p−クレシル)である。ホスホナイトの例はメチルジエトキシホスフィン、フェニルジメトキシホスフィン、フェニルジフェノキシホスフィン、2−フェノキシ−2H−ジベンズ[c,e][1,2]オキサホスホリン及びその中の水素原子の全て又は一部がアルキル−及び/又はアリール基又はハロゲン原子で置換されているそれらの誘導体である。慣用のホスフィナイトリガンドは、ジフェニル(フェノキシ)ホスフィン及びその誘導体ジフェニル(メトキシ)ホスフィン及びジフェニル(エトキシ)ホスフィンである。
【0041】
殊にキレート化されたリガンドで意想外の利点を得ることができ、この際に、大きい容積を有するリガンド、殊に多くの芳香族又は環式基が特別好ましい。
【0042】
この特別好ましいリガンドには、殊に4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)−9,9−ジメチルキサンテン(Xantphos)及びその誘導体10,10’−(2,7−ジ−t−ブチル−9,9−ジメチル−9H−キサンテン−4,5−ジイル)ビス(10H−フェノキサホスフィニン)(POP-Xantphos)及びビフェフォス(Biphephos):
【化3】

が挙げられる。
【0043】
ヒドロホルミル化のための触媒及びリガンドは、例えば:WO2008/071508A1(欧州特許庁に2007年11月13日に、出願番号PCT/EP2007/062248で出願);EP982314B1(欧州特許庁に1999年8月17日に、出願番号99116208で出願);WO2008/012128A1(欧州特許庁に2007年5月29日に、出願番号PCT/EP2007/055165で出願);WO2008/006633A1(欧州特許庁に2007年5月11、29日に、出願番号PCT/EP2007/054576で出願);WO2007/036424A1(欧州特許庁に2006年9月8日に、出願番号PCT/EP2006/066181で出願);WO2007/028660A1(欧州特許庁に2006年6月2日に、出願番号PCT/EP2006/062872で出願);WO2005/090276A1(欧州特許庁に2005年1月27日に、出願番号PCT/EP2005/050347で出願)中に記載されており、この際、開示の目的でこれら刊行物を参照でき、ここに開示された触媒及びリガンドは、本発明にも適用されうる。
【0044】
本発明の方法の特別な1態様によれば、リガンドとして使用される燐含有化合物は金属に対して過剰に使用することができる。この態様により、選択性及び反応性に関する意想外の利点を得ることができる。金属対リガンドの比は、1:1〜1:1000の範囲、特別好ましくは1:2〜1:200の範囲であることが有利でありうる。
【0045】
式(I)による(メタ)アクリレートの製造のために使用することができ、前記式(II)に相当する好ましい出発物質には、特に不飽和アルコールから誘導される、アルキル基中に炭素原子数2〜8を有する(メタ)アクリレート及び少なくとも1個の炭素−炭素−二重結合を有しているアルキル基中に炭素原子数9〜30、特に9〜24を有する(メタ)アクリレートがこれに属する。
【0046】
不飽和アルコールから誘導される、アルキル基中に炭素原子数2〜8を有する(メタ)アクリレートには、2−プロピニル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート及びビニル(メタ)アクリレートがこれに属する。
【0047】
アルキル基中に少なくとも1個の二重結合を有し、アルキル基中の炭素原子数9〜30、有利には炭素原子数9〜24を有する(メタ)アクリレートには、殊に不飽和脂肪酸、脂肪アルコール及び脂肪酸アミドから誘導される(メタ)アクリレート、例えば、次のものがこれに属する:ヘプタデセニルオイルオキシ−2−エチル−(メタ)アクリル酸アミド、ヘプタデカン−ジエン−イルオイルオキシ−2−エチル−(メタ)アクリル酸アミド、ヘプタデカン−トリエン−イルオイルオキシ−2−エチル−(メタ)アクリル酸アミド、ヘプタデセニロイルオキシ−2−エチル−(メタ)アクリル酸アミド、(メタ)アクリロイルオキシ−2−エチル−パルミトレイン酸アミド、(メタ)アクリロイルオキシ−2−エチル−油酸アミド、(メタ)アクリロイルオキシ−2−エチル−イコセン酸アミド、(メタ)アクリロイルオキシ−2−エチル−セトレイン酸アミド、(メタ)アクリロイルオキシ−2−エチル−エルカ酸アミド、(メタ)アクリロイルオキシ−2−エチル−リノール酸アミド、(メタ)アクリロイルオキシ−2−エチル−リノレン酸アミド、(メタ)アクリロイルオキシ−2−プロピル−パルミトレイン酸アミド、(メタ)アクリロイルオキシ−2−プロピル−油酸アミド、(メタ)アクリロイルオキシ−2−プロピル−イコセン酸アミド、(メタ)アクリロリロイルオキシ−2−プロピル−セトレイン酸アミド、(メタ)アクリロイルオキシ−2−プロピル−エルカ酸アミド、(メタ)アクリロイルオキシ−2−プロピル−リノール酸アミド及び(メタ)アクリロイルオキシ−2−プロピル−リノレン酸アミド;(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピル−リノール酸エステル、(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピル−リノレン酸エステル及び(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピル−油酸エステル;オクタデカン−ジエン−イル−(メタ)アクリレート、オクタデカン−トリエン−イル−(メタ)アクリレート、ヘキサデセニル(メタ)アクリレート、オクタデセニル(メタ)アクリレート及びヘキサデカン−ジエン−イル−(メタ)アクリレート。
【0048】
式(II)の出発物質は、単独で又は混合物として使用することができる。
【0049】
式(II)の出発物質及び前記の触媒と共に、この反応のために、水素(H)及び一酸化炭素(CO)が使用される。この反応は、1〜200バールの範囲、特に好ましくは1〜150バールの範囲、殊に好ましくは1〜100バールの範囲の全ガス圧で有利に実施される。本発明のもう一つの局面によれば、この全ガス圧は有利に2〜30バール、特別好ましくは3〜20バールである。意外にも、式(I)のカルボニル化合物の選択率及び収率を、低い圧力値で改善することができる。
【0050】
本発明の特別な1局面によれば、反応が実施される水素圧が、一酸化炭素の圧力よりも高いことが可能である。水素対一酸化炭素のモル比は、殊に10:1〜1:10の範囲、特別好ましくは1:1〜2:1の範囲であることができる。
【0051】
式(II)による出発物質と水素及び一酸化炭素との反応が実施される温度は、厳密ではない。この反応が20〜250℃の範囲、好ましくは40〜200℃の範囲、特別好ましくは50〜160℃の範囲の温度で実施されることによって特別な利点を得ることができる。本発明のもう一つの変容によれば、この温度は30〜100℃、特別好ましくは40〜80℃、全く特別好ましくは50〜55℃の範囲内にあることができる。意外にも、式(I)によるカルボニル化合物の選択率及び収率を、比較的低い温度値で改善することができる。
【0052】
反応時間は、殊に使用触媒系及び反応方式に依存し、相応して広い範囲内にあることができる。この反応時間又は滞留時間(連続的方法での)は、有利に1分〜30時間、特に好ましくは10分〜20時間の範囲である。
【0053】
本発明の特別な1局面によれば、この反応を不活性の有機溶剤中で実施することができる。この溶剤には、例えば芳香族炭化水素、例えばトルエン又はキシレン、エーテル、例えばTHF又はジオキサン及びカルボン酸エステル、例えば酢酸エチルが挙げられる。特別有利にこの反応は、本質的に不活性有機溶剤を使用せずに実施することができる。この場合には殊に、出発物質並びにリガンドも、その中で反応が実施される媒体を構成する。
【0054】
請求項1によるカルボニル化合物を製造するための反応混合物中の金属触媒の質量割合は、反応混合物の全質量に対して有利に1〜1000ppmの範囲、特別好ましくは2〜500ppmの範囲、全く特別好ましくは5ppm〜300ppmの範囲である。この場合の金属触媒の割合は、触媒中に含有されている金属の質量に関連している。
【0055】
更に安定剤の使用によって意想外の利点を得ることができる。好ましい安定剤、例えばヒドロキノン、ヒドロキノンエーテル、例えばヒドロキノンモノメチルエーテル又はジ−t−ブチルブレンツカテキン、フェノチアジン、メチレンブルー又は立体障碍されたフェノール、例えば2,4−ジメチル−6−t−ブチルフェノールは、当業者にとっては公知である。これらの化合物は、単独で又は混合物の形で使用することができ、一般に市場で入手可能である。更なる詳細については、慣用の専門文献、殊にRoempp-Lexikon Chemie; Herausgeber: J,Falbe,M.Regitz;Stuttgart,New York;10.Auflage(1996); Stich-wort "Antioxidantien"及びこの中に引用されている文献を参照することができる。
【0056】
ヒドロホルミル化は、連続的又は非連続的に実施することができる。工業的実施形の例は、撹拌釜、気泡塔、噴射ノズル反応器、管状反応器又はループ反応器であり、これらの一部はカスケード化されているか及び/又はビルトインを備えていることができる。
【0057】
この反応は、連続して又は複数の段階で行うことができる。生じたアルデヒド化合物及び触媒の分離は、慣用の方法で、例えば分別、抽出、適当な膜を用いるナノ濾過によって実施することができる。このことは工業的に、例えば蒸留、フォーリングフィルム蒸発器(Fallfilm-verdampfer)又は薄膜蒸発器によって行うことができる。このことは特に、高沸点溶剤中に溶けている触媒を低沸点物から分離する場合に特別に当て嵌まる。分離された触媒溶液は、更なるヒドロホルミル化のために使用することができる。
【0058】
当業者に容易に推測できない利点が、アルキル基中に少なくとも1個のアルデヒド基を有している(メタ)アクリレート1〜8質量%、特別好ましくは2〜6質量%(モノマーの全質量に対して)を含有しているモノマー混合物によって達成することができる。
【0059】
本発明によるモノマー混合物は、アルキル基中にアルデヒド基少なくとも1個を有している(メタ)アクリレート少なくとも1種と並んで、アルキル基中に炭素原子数1〜10を有し、そのアルキル基が二重結合又はヘテロ原子を有していないアルキル(メタ)アクリレート1種以上少なくとも30質量%、有利に少なくとも55質量%、全く特別好ましくは少なくとも70質量%を含有している。用語(メタ)アクリレートには、メタアクリレート及びアクリレート並びにそれらの混合物が包含される。これらのモノマーは一般に公知である。
【0060】
殊に次のものがこれに属する:線状の又は分枝した飽和アルコールから誘導される、アルキル(メタ)アクリレート、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソ−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソ−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルへキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、3−イソ−プロピルヘプチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート;及びシクロアルキル(メタ)アクリレート、例えばシクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、環上に少なくとも1個の置換基を有しているシクロヘキシル(メタ)アクリレート、例えばt−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート及びトリメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート、メチルノルボルニル(メタ)アクリレート、ジメチルノルボルニル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、1−アダマンチル(メタ)アクリレート、2−アダマンチル(メタ)アクリレート、メンチル(メタ)アクリレート及びイソボルニル(メタ)アクリレート。
【0061】
特別な1実施形によれば、殊にアルキル基中に炭素原子数1〜10を有し、そのアルキル基が二重結合又はヘテロ原子を有していないアルキルアクリレートを含有しているモノマー混合物が重要である。
【0062】
次のものがこれに属する、殊に飽和アルコールから誘導されるアルキルアクリレート、例えばメチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、イソ−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、ペンチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、ヘプチルアクリレート、オクチルアクリレート及びエチルヘキシルアクリレート;及びシクロアルキルアクリレート、例えばシクロペンチルアクリレート及びシクロヘキシルアクリレート。記載のアルキルアクリレートのうち、エチルアクリレート、ブチルアクリレート及びエチルヘキシルアクリレートが特別好ましく、この際、ブチルアクリレートが全く特別好ましい。
【0063】
本発明の第1の局面による特別好ましいモノマー混合物は、アルキル基中に炭素原子数1〜10を有し、そのアルキル基が二重結合又はヘテロ原子を有していない、アルキルアクリレート1種以上少なくとも30質量%、有利には少なくとも55質量%及び全く好ましくは少なくとも70質量%を含有することができる。
【0064】
本発明の特別な1実施形によれば、殊にアルキル基中に炭素原子数1〜10を有し、このアルキル基が二重結合又はヘテロ原子を有していないメタクリレートを含有しているモノマー混合物が好ましい。
【0065】
次のものがこれに属する:殊に飽和アルコールから誘導される、アルキル基中に炭素原子数1〜10を有するアルキルメタクリレート、例えばメチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、イソ−プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート及びペンチルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ヘプチルメタクリレート、オクチルメタクリレート、3−イソ−プロピルヘプチルメタクリレート、ノニルメタクリレート、デシルメタクリレート及びシクロアルキルメタクリレート、例えばシクロペンチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート及びイソボルニルメタクリレート。この場合に、メチルメタクリレート及びシクロアルキルメタクリレートが特別好ましい。
【0066】
有利に本発明の第1の実施形によるモノマー混合物は、アルキル基中に炭素原子数1〜10を有し、そのアルキル基が二重結合又はヘテロ原子を有していないアルキルメタアクリレート0〜60質量%、好ましくは10〜50質量%、全く特別好ましくは20〜40質量%を含有することができる。
【0067】
意想外の利点は、殊にアルキル基中に炭素原子数1〜10を有するアルキルアクリレート対アルキル基中に炭素原子数1〜10を有するアルキルメタクリレートの比較的高い質量比を特徴としている、第1の実施形によるモノマー混合物によって達成されうる。アルキル基中に炭素原子数1〜10を有するアルキルアクリレート対アルキル基中に炭素原子数1〜10を有するアルキルメタクリレートの質量比は、有利に1:1〜50:1、特別好ましくは3:2〜5:1の範囲内にあることができる。
【0068】
第1の実施形によるモノマー混合物は、殊に、非常にしなやかな材料、殊に織物、編物及びフリース上で適用されるポリマー又は被覆剤の製造のために好適である。相応して、これら被覆剤は、殊に繊維材料、皮革及び/又はフリース、例えば繊維フリース又はフリース物質上で使用することができる。この場合に、被覆すべき材料には特別な限定はなく、天然−、プラスチック−及び/又はガラス繊維上、殊にガラス繊維フリース上で使用することができる。
【0069】
本発明の第2の局面による特別好ましいモノマー混合物は、アルキル基中に炭素原子数1〜10を有し、そのアルキル基が二重結合又はヘテロ原子を有していないアルキルメタアクリレート1種以上少なくとも30質量%、有利には少なくとも55質量%、全く好ましくは少なくとも70質量%を含有することができる。
【0070】
有利に本発明の第2の実施形によるモノマー混合物は、アルキル基中に炭素原子数1〜10を有し、そのアルキル基が二重結合又はヘテロ原子を有していないアルキルアクリレート0〜60質量%、好ましくは10〜50質量%、全く特別好ましくは20〜40質量%を含有することができる。
【0071】
殊に、アルキル基中に炭素原子数1〜10を有するアルキルアクリレート対アルキル基中の炭素原子数1〜10を有するアルキルメタクリレートの比較的低い質量比を特徴としている、本発明の第2の実施形によるモノマー混合物によって、意想外の利点を得ることができる。アルキル基中に炭素原子数1〜10を有するアルキルアクリレート対アルキル基中に炭素原子数1〜10を有するアルキルメタクリレートの質量比は、1:50〜1:1、特別好ましくは1:5〜2:3の範囲内にあることが有利である。
【0072】
本発明の第2の実施形によるモノマー混合物は、殊に、比較的硬い材料、殊に木材、金属又はプラスチックに好適であるポリマー又は被覆剤の製造のために好適である。
【0073】
前記のモノマーと並んで、本発明によるモノマー混合物は、これと共重合可能である他のモノマーを含有することができる。この共重合可能なモノマーには、特に、1個の酸基有しているモノマー、エステル基を有しているモノマーA(これは、先に記載のアルキル基中に少なくとも1個のアルデヒド基を有している(メタ)アクリレート及びアルキル基中に炭素原子数1〜10を有するアルキル(メタ)アクリレートとは異なる)、1個のアミノ−又はアミド基を有しているモノマー及びスチレンモノマーがこれに属する。
【0074】
コモノマーの好ましい群は、1個のアミノ−及びアミド基を有するモノマーである。
【0075】
これらのモノマーには、殊に、第1級アミド基(−CO−NH)又は第2級アミド基(−CO−NHR)を有しているモノマー、例えば(メタ)アクリルアミド、N−メチロールメタアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミドがこれに属し、この際、メタアクリルアミドが全く特別好ましい。更にこれらには次のものが属する:脂肪酸アミドから誘導されるモノマー、例えば飽和脂肪酸アミドから誘導される(メタ)アクリレート、例えばペンタデシロイルオキシ−2−エチル−(メタ)アクリル酸アミド、ヘプタデシロイルオキシ−2−エチル−(メタ)アクリル酸アミド、(メタ)アクリロイルオキシ−2−エチル−ラウリン酸アミド、(メタ)アクリロイルオキシ−2−エチル−ミリスチン酸アミド、(メタ)アクリロイルオキシ−2−エチル−パルミチン酸アミド、(メタ)アクリロイルオキシ−2−エチル−ステアリン酸アミド、(メタ)アクリロリルオキシ−2−プロピル−ラウリン酸アミド、(メタ)アクリロイルオキシ−2−プロピル−ミリスチン酸アミド、(メタ)アクリロイルオキシ−2−プロピル−パルミチン酸アミド及び(メタ)アクリロイルオキシ−2−プロピル−ステアリン酸アミド及び不飽和脂肪酸アミドから誘導される(メタ)アクリレート、例えばヘプタデセニルオイルオキシ−2−エチルー(メタ)アクリル酸アミド、ヘプタデカ−ジエン−イルオイルオキシ−2−エチル−(メタ)アクリル酸アミド、ヘプタデカ−トリエン−イルオイルオキシ−2−エチル−(メタ)アクリル酸アミド、ヘプタデセニルオイルオキシ−2−エチル−(メタ)アクリル酸アミド、(メタ)アクリロイルオキシ−2−エチル−パルミトレイン酸アミド、(メタ)アクリロイルオキシ−2−エチル−油酸アミド、(メタ)アクリロイルオキシ−2−エチル−イコセン酸アミド、(メタ)アクリロイルオキシ−2−エチル−セトレイン酸アミド、(メタ)アクリロイルオキシ−2−エチル−エルカ酸アミド、(メタ)アクリロイルオキシ−2−エチル−リノール酸アミド、(メタ)アクリロイルオキシ−2−エチル−リノレン酸アミド、(メタ)アクリロイルオキシ−2−プロピルパルミトレイン酸アミド、(メタ)アクリロイルオキシ−2−プロピル−油酸アミド、(メタ)アクリロイルオキシ−2−プロピル−イコセン酸アミド、(メタ)アクリロイルオキシ−2−プロピル−セトレイン酸アミド、(メタ)アクリロイルオキシ−2−プロピル−エルカ酸アミド、(メタ)アクリロイルオキシ−2−プロピル−リノール酸アミド及び(メタ)アクリロイルオキシ−2−プロピル−リノレン酸アミド。
【0076】
ここで、第1級アミド基を有しているモノマーが殊に好ましい。更に、1個のアミド基を有し、炭素原子数20まで、有利に炭素原子数15まで、特別好ましくは炭素原子数10までを有するモノマーが好ましい。
【0077】
更に例えば次のものがこれに属する:第1級アミノ基を有するモノマー、例えばアミノエチル(メタ)アクリレート、アミノプロピル(メタ)アクリレート、アミノペンチル(メタ)アクリレート及びアミノヘキサデシル(メタ)アクリレート;第2級アミノ基を有するモノマー、例えばN−メチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−メチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N−エチルアミノペンチル(メタ)アクリレート及びN−ブチルアミノヘキサデシル(メタ)アクリレート;又は第3級アミノ基を有するモノマー、例えばN,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノペンチル(メタ)アクリレート及びN,N−ジブチルアミノヘキサデシル(メタ)アクリレート。
【0078】
好ましい1実施形によれば、殊に第1級アミド基(−CO−NH)及び第2級アミド基(−CO−NHR)を有しているモノマーが好ましい。アミド基を有しているポリマーを含有している被覆組成物から得られた被覆は、良好な機械特性及び高い耐溶剤性を示し、この際、この被覆組成物は卓越した耐久性を有する。
【0079】
もう一つの局面によれば、アミノ基1個を有しているモノマーが好ましい。アミノ基を有しているポリマーを含有している被覆剤から得られる被覆は、優れた性能を示し、この際この性能には、殊に良好な機械特性及び種々の溶剤に対する優れた抵抗性が包含される。これらの性能は、比較的低い熱処理温度及び比較的短い熱処理時間の際に得られる。この場合に、殊に第2級アミノ基を有しているモノマーは、殊に機械特性及び耐溶剤性に関して特別な性能をもたらすことが可能である。第1級又は第3級アミノ基を有しているモノマーは、被覆剤の耐久性と被覆の性能との間の相対的に釣り合いのとれた割合によって優れている。
【0080】
本発明による特別な1局面によれば、モノマー混合物は、モノマーの全質量に対してアミノ−及びアミド基1個を有しているモノマー0.1〜10質量%、特別好ましくは0.5〜5質量%を含有することができる。
【0081】
しなやかな材料、例えば繊維材料用の被覆剤を製造するためのモノマー混合物の場合には、アミノ−又はアミド基を有しているモノマーの使用によって、耐化学薬品性に関して、殊にMIBK中での膨潤に関して優れた利点を得ることができる。
【0082】
比較的硬い基材、殊に木材又は金属上での適用の場合には、アミノ−又はアミド基1個を有しているモノマーから誘導されるポリマー又は被覆剤は、機械特性、殊に引張り強度に関して意想外の利点を示す。
【0083】
意想外の利点は、殊にポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレートを含有しているモノマー混合物によって得ることができる。従って、ポリマー、殊にこのモノマー混合物から得られるポリマー分散液は、優れた加工性、殊に優れた剪断安定性を示す。
【0084】
ポリアルキレングルコールモノ(メタ)アクリレートは、1個の(メタ)アクリレート基と共に、1個のポリアルキレングリコール−基を有しているモノマーである。このモノマーの製造は、特にWO2006/024538(欧州特許庁に2005年9月2日に、出願番号PCT/EP2005/009466で出願);及びWO2005/0009299(米国特許庁(USPTO)に2004年5月20日に、出願番号PCT/US2004/015898で出願)中に記載されており、この際、開示の目的でこれら刊行物は参照され、その中に記載のポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート及びその製造法は本発明に適用されうる。従って、(メタ)アクリル酸とエポキシドとの反応により、ヒドロキシ基1個を有しているポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレートを得ることができる。更にアルキル(メタ)アクリレートとアルコキシポリアルキレングリコール、殊にメトキシポリアルキレングリコールとの反応によって、ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレートを得ることができる。
【0085】
ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレートの重量平均分子量は、有利に350〜20000g/モルの範囲、特別好ましくは500〜10000g/モルの範囲(GPCにより測定)である。
【0086】
ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレートの製造のために好ましいポリアルキレングリコールには、殊にポリ−C〜C−アルキレングリコール化合物がこれに属する。屡々ポリ−C〜C−アルキレンオキシド又はポリ(オキシ−C〜C−アルキレン)化合物とも称されるポリ−C〜C−アルキレングルコール化合物は、C〜C−アルキレングリコールから誘導される、複数個の、通常は少なくとも3、屡々少なくとも5、殊に少なくとも10、通常は500を越えない、屡々400を越えない、例えば7〜300、殊に10〜200個の繰返し単位を有している、オリゴマーの又は高分子量のポリエーテルであると理解される。これら化合物は、線状であるか又は分枝していることができる。
【0087】
好ましいポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレートは、一般式(III):
【化4】

[式中、nは繰返し単位の数を表し、通常は3〜500の範囲、殊に5〜400の範囲、特別好ましくは10〜300の範囲、全く特別好ましくは10〜200の範囲の数であり、AはC〜C−アルキレン、例えば1,2−エタンジイル、1,3−プロパンジイル、1,2−プロパンンジイル、1,2−ブタンジイル又は1,4−ブタンジイルを表し;Rは水素又はメチルを表し、Rは水素又は有利にC−原子数1〜10、殊に1〜4を有するアルキル、フェニル、ベンジル、有利にC−原子数1〜10を有するアシル(=C(O)−アルキル)、SOH−基又はPO、殊にC〜C10−アルキル、特別好ましくはC〜C−アルキル及び特別にメチル又はエチルを表す]で記載することができる。
【0088】
特別好ましく使用可能な(ポリ−C〜C−アルキレングリコール)−モノ(メタ)アクリル酸エステルは、式(III)中の繰返し単位A−Oの少なくとも50質量%、有利には少なくとも70質量%、殊に少なくとも90質量%、特別に全てが、エチレングリコール又はエチレンオキシドから誘導されることを特徴としている。相応して、式(III)中の単位A−Oの少なくとも50質量%、殊に少なくとも70質量%、全く特別好ましくは少なくとも90質量%及び特別には全てが、CH−CH−Oを表すことが有利である。本発明のもう一つの好ましい態様によれば、式(III)中の繰返し単位A−Oの少なくとも50質量%、有利には少なくとも70質量%、殊に少なくとも90質量%及び特別には全てが、プロピレングリコール又はプロピレンオキシドから誘導されることができる。
【0089】
好ましいポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレートには、殊に前記式(III)中の基Rとしてのアルキル基を特徴としているアルコキシポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレートがこれに属する。この場合に、殊にメトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート(MPEG−(メタ)アクリレートとも称される)が特別好ましい。
【0090】
特別好ましく使用できるポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレートは、CAS−No.26915−72−0を有するメトキシポリエチレングリコールモノメタクリレートである。このメトキシポリエチレングリコールモノメタクリレートは、好ましくは350〜5500の範囲の数平均分子量を有するので、前記式(III)中のnは有利に6〜120の範囲内にある。これらのモノマーは、殊にPlex(R)6850−0、Plex(R)6969−0、Plex(R)6968−0及びPlex(R)6965−0なる商品名で、Evonik Roehm GmbHから市場で入手することができる。
【0091】
殊にこのモノマー混合物中のモノマーの質量に対して、0.1〜10質量%、特別好ましくは1〜5質量%及び全く特別好ましくは2〜3質量%のポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレートを含有しているモノマー混合物によって、意想外の利点を得ることができる。
【0092】
酸基含有モノマーは、有利に前記のモノマーとラジカル共重合することのできる化合物である。これには、例えば1個のスルホン酸基を有しているモノマー、例えばビニルスルホン酸;1個のホスホン基を有しているモノマー、例えばビニルホスホン酸及び不飽和カルボン酸、例えばメタクリル酸、アクリル酸、イタコン酸、フマル酸及びマレイン酸がこれに属する。メタクリル酸及びアクリル酸が特別好ましい。酸基含有モノマーは、単独で又は2、3又は複数の酸基含有モノマーの混合物として使用することができる。
【0093】
本発明の好ましい1実施形によれば、モノマー混合物は、モノマーの全質量に対して0.1〜10質量%、特別好ましくは0.5〜5質量%の酸基含有モノマーを含有することができる。
【0094】
好ましいエステル基を有しているモノマーAには、殊に式(I)のモノマー及びアルキル基中に炭素原子数1〜10を有するアルキル(メタ)アクリレートとは異なる、(メタ)アクリレート、フマレート、マレエート及び/又は酢酸ビニルがこれに属する。
【0095】
例えば次のものがこれに属する:飽和アルコールから誘導される、アルキル基中に炭素原子数少なくとも11を有する(メタ)アクリレート、例えば2−t−ブチルヘプチル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、5−メチルウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、2−メチルドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、5−メチルトリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、2−メチルヘキサデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート、5−イソ−プロピルヘプタデシル(メタ)アクリレート、4−t−ブチルオクタデシル(メタ)アクリレート、5−エチルオクタデシル(メタ)アクリレート、3−イソ−プロピルオクタデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、ノナデシル(メタ)アクリレート、エイコシル(メタ)アクリレート、セチルエイコシル(メタ)アクリレート、ステアリルエイコシル(メタ)アクリレート、ドコシル(メタ)アクリレート及び/又はエイコシルテトラトリアコンチル(メタ)アクリレート;
シクロアルキル(メタ)アクリレート、例えば3−ビニルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、2,4,5−トリ−t−ブチル−3−ビニルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、2,3,4,5−テトラ−t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート;
ヘテロ環式(メタ)アクリレート、例えば2−(1−イミダゾリル)エチル(メタ)アクリレート、2−(4−モルホリニル)エチル(メタ)アクリレート、1−(2−メタクリロイルオキシエチル)−2−ピロリドン、2−(3−オキサゾリジニル)エチルメタクリレート;
(メタ)アクリル酸のニトリル及び他の窒素含有メタクリレート、例えばN−(メタクリロイルオキシエチル)ジイソブチルケチミン、N−(メタクリロイルオキシエチル)ジヘキサデシルケチミン、メタクリロイルアミドアセトニトリル、2−メタクリロイルオキシエチルメチルシアナミド、シアノメチルメタクリレート;
アリール(メタ)アクリレート、例えばベンジル(メタ)アクリレート又はフェニル(メタ)アクリレート、この際、アリール基はそれぞれ非置換であるか又は4個までの置換基を有していることができる;
アルキル基中に1個のヒドロキシ基を有している(メタ)アクリレート、殊に2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、有利に2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、例えば2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート及び3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、有利にヒドロキシプロピルメタクリレート(HPMA)、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、有利にヒドロキシブチルメタクリレート(HBMA)、3,4−ジヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2,5−ジメチル−1,6−ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオール(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート及び(メタ)アクリル酸のポリアルコキシル化誘導体、殊にプロピレンオキシド単位2〜10個、有利に3〜6個を有するポリプロピレングルコール−モノ(メタ)アクリレート、有利に約5個のプロピレンオキシド単位を有するポリプロピレングリコール−モノメタクリレート(PPM5)、エチレンオキシド単位2〜10個、有利に3〜6個を有するポリエチレングリコール−モノ(メタ)アクリレート、有利にエチレンオキシド単位約5個を有するポリエチレングルコール−モノメタクリレート(PEM5)、ポリブチレングルコール−モノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコール−モノ(メタ)アクリレート;
(メタ)アクリル基2個以上を有する(メタ)アクリレート、グリコール−ジ(メタ)アクリレート、例えばエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングルコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングルコールジ(メタ)アクリレート、テトラ−及びポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオール(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオール(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート;
エトキシル化されたビスフェノールAのジメチルアクリレート;
3個以上の二重結合を有する(メタ)アクリレート、例えばグリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリットテトラ(メタ)アクリレート及びジペンタエリスリットペンタ(メタ)アクリレート;
グルセリンカーボネートメタクリレート、2−カルバモイルオキシエチルメタクリレート。
【0096】
エステル基を有しているモノマーAには、更にビニルエステル、例えば酢酸ビニル、塩化ビニル、ビニルベルサテート、エチレンビニルアセテート、エチレンビニルクロリド;
マレイン酸誘導体、例えば無水マレイン酸、マレイン酸のエステル、例えばマレイン酸ジメチルエステル、メチルマレイン酸アンヒドリド;及びフマル酸誘導体、例えばフマル酸ジメチルエステルがこれに属する。
【0097】
コモノマーのもう一つの好ましい群は、スチレンモノマー、例えばスチレン、側鎖中にアルキル置換基1個を有する置換されたスチレン、例えばα−メチルスチレン及びα−エチルスチレン、環にアルキル置換基1個を有する置換されたスチレン、例えばビニルトルエン及びp−メチルスチレン、ハロゲン化スチレン、例えばモノクロロスチレン、ジクロロスチレン、トリブロモスチレン及びテトラブロモスチレンである。
【0098】
先に記載のモノマーと並んで、モノマー混合物の重合により得られる本発明によるポリマーは、他のモノマーを含有することができる。例えば次のものがこれに属する:ヘテロ環式ビニル化合物、例えば2−ビニルピリジン、3−ビニルピリジン、2−メチル−5−ビニルピリジン、3−エチル−4−ビニルピリジン、2,3−ジメチル−5−ビニルピリジン、ビニルピリミジン、ビニルピペリジン、9−ビニルカルバゾール、3−ビニルカルバゾール、4−ビニルカルバゾール、1−ビニルイミダゾール、2−メチル−1−ビニルイミダゾール、N−ビニルピロリドン、2−ビニルピロリドン、N−ビニルピロリジン、3−ビニルピロリジン、N−ビニルルカプロラクタム、N−ビニルブチロラクタム、ビニルオキソラン、ビニルフラン、ビニルチオフェン、ビニルチオラン、ビニルチアゾール及び水素化されたビニルチアゾール、ビニルオキサゾール及び水素化されたビニルオキサゾール;
1−[2−[[2−ヒドロキシ−3−(2−プロペニルオキシ)プロピル]アミノ]エチル]−2−イミダゾリジノン;
1−[2−[2−ヒドロキシ−3−(2−プロペン−1−イルオキシ)プロポキシ]エチル]−2−イミダゾリジノン、2−メチル−N−[2−(2−オキソ−1−イミダゾリジニル)エチル]−2−プロペンアミド、2−メチル−2−(2−オキソ−1−イミダゾリジニル)エチル−2−プロペンエステル、トリメチロールプロパンオキセタン、1−(ブチルアミノ)−3−(2−プロペン−1−イルオキシ)−2−プロパノール;
マレインイミド、メチルマレインイミド;
ビニル−及びイソプレニルエーテル;及び
ビニルハロゲニド、例えば塩化ビニル、弗化ビニル、塩化ビニリデン及び弗化ビニリデン。
【0099】
第1の実施形によれば、殊に、
アルキル基中に炭素原子数1〜10を有し、そのアルキル基が二重結合又はヘテロ原子を
有していないアルキルアクリレート 30〜99質量%、
アルキル基中に少なくとも1個のアルデヒド基を有している(メタ)アクリレート
0.1〜10質量%、
1個のアミノ−又はアミド基を有している(メタ)アクリレート 0.1〜10質量%、
アルキル基中に炭素原子数1〜10を有するアルキルメタアクリレート
0〜60質量%及び
ポリアルキレングルコールモノ(メタ)アクリレート 0〜10質量%
(それぞれ、モノマーの質量に対して)
を含有している、モノマー混合物が好ましい。
【0100】
更に、本発明による第1の実施形による、
アルキル基中に炭素原子数1〜10を有し、そのアルキル基が二重結合又はヘテロ原子を
有していないアルキルアクリレート 30〜99質量%、
アルキル基中に少なくとも1個のアルデヒド基を有している(メタ)アクリレート
1〜8質量%、
1個のアミノ−又はアミド基を有している(メタ)アクリルモノマー 1〜5質量%、
アルキル基中に炭素原子数1〜10を有しているアルキルメタアクリレート
10〜45質量%及び
ポリアルキレングルコールモノ(メタ)アクリレート 1〜5質量%
(それぞれ、モノマーの質量に対して)
を含有している、モノマー混合物が特別好ましい。
【0101】
本発明の第2の実施形によれば、殊に、
アルキル基中に炭素原子数1〜10を有し、そのアルキル基が二重結合又はヘテロ原子を
有していないアルキルメタアクリレート 30〜99質量%、
アルキル基中に少なくとも1個のアルデヒド基を有している(メタ)アクリレート
0.1〜10質量%、
1個のアミノ−又はアミド基を有している(メタ)アクリルモノマー0.1〜10質量%
アルキル基中に炭素原子数1〜10を有するアルキルアクリレート 0〜60質量%及び
ポリアルキレングルコールモノ(メタ)アクリレート 0〜10質量%
(それぞれ、モノマーの質量に対して)
を含有している、モノマー混合物が特別好ましい。
【0102】
更に、第2の実施形による、
アルキル基中に炭素原子数1〜10を有し、そのアルキル基が二重結合又はヘテロ原子を
有していないアルキルメタアクリレート 30〜99質量%、
アルキル基中に少なくとも1個のアルデヒド基を有している(メタ)アクリレート
1〜8質量%、
1個のアミノ−又はアミド基を有している(メタ)アクリルモノマー 1〜5質量%、
アルキル基中に炭素原子数1〜10を有するアルキルアクリレート 10〜50質量%
及び
ポリアルキレングルコールモノ(メタ)アクリレート 1〜5質量%
(それぞれ、モノマーの質量に対して)
を含有している、モノマー混合物が特別好ましい。
【0103】
更に、(メタ)アクリレート基と同じ反応性を有する炭素炭素−二重結合2個以上を有している(メタ)アクリレートを非常に僅かな割合で含有している、モノマー混合物が好ましい。本発明の特別な1変容によれば、2個以上の(メタ)アクリレート−基を有する化合物の割合は、最大でも5質量%、殊に最大でも2質量%、殊に好ましくは最大でも1質量%、特別好ましくは最大でも0.5質量%、全く特別好ましくは最大でも0.1質量%(モノマーの全質量に対して)に限定されている。
【0104】
本発明のモノマー混合物は、殊にポリマーの製造又は変性のために使用することができる。重合は、任意の公知法により行うことができる。殊に、ラジカル、カチオン又はアニオン重合がこれに属し、この際、これら重合法の変法、例えばATRP(Atom Transfer Radikal Polymerisation)、NMP−法(Nitroxide Mediated Polymerisation)又はRAFT(Reversible Addition Fragmentation Chain Transfer)を使用することができる。
【0105】
これによって得られるポリマーは新規であり、従って同様に、本発明の目的物である。本発明によるポリマーは、アルキル基中に少なくとも1個のアルデヒド基を有している(メタ)アクリレートから誘導される単位少なくとも1つを有している。既に記載のように、本発明によるモノマーは、ラジカル重合によって反応させることができる。従って、概念「単位」は、その際に2個の共役結合が形成される二重結合の反応から生じる。通常、2個以上の単位が1ポリマー中に含有されている場合に、これらの単位は繰り返し単位とも称される。
【0106】
先に挙げられているモノマー又はモノマー混合物は、例えば溶液重合、塊状重合又は乳化重合によって反応させることができ、この際に、ラジカル乳化重合によって意想外の利点を得ることができる。
【0107】
乳化重合の方法は、特に、Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry, 5th Edition 中に記載されている。一般にはこのために、水と共に慣用の添加物、殊にエマルジヨンの安定化のための乳化剤及び保護コロイドを含有していてよい水相が製造される。
【0108】
引き続き、この水相にモノマーを添加し、水相で重合させる。均質なポリマー粒子を製造する場合には、モノマー混合物を一定の時間に渡り連続的に又は回分により添加することができる。
【0109】
乳化重合を、例えばミニ−又はマイクロ乳化として実施することができ、これらは、Chemistry and Technology of Emulsion Polymerisation,A.M. van Herk(editor), Blackwell Publishing,Oxford 2005及びJ.O’Donnell,E.W.Kaler,Macromolecular Rapid Communications 2007,28(14),1445-1454中に詳細に記載されている。ミニ乳化(Miniemulsion)は、通常は補助安定剤又は膨潤剤を使用する特徴を有し、この際には屡々、長鎖状のアルカン又はアルカノールが使用される。ミニ乳化時の液滴の大きさは、有利に0.05〜20μmの範囲内にある。マイクロ乳化(Mikroemulsion)の場合の液滴の大きさは、好ましくは1μmを下回る範囲にあり、この際これによって、50nmの大きさを下回る粒子を得ることができる。マイクロ乳化の場合には、屡々付加的な界面活性剤、例えばヘキサノール又は類似の化合物が使用される。
【0110】
水相中でのモノマー含有相の分散は、公知の手段を用いて行うことができる。殊に機械的方法並びに超音波の適用がこれに属する。
【0111】
均質なエマルジヨンポリマーの製造時には、アルキル基中に少なくとも1個のアルデヒド基を有している(メタ)アクリレート0.1〜20質量%、より好ましくは1〜10質量%、殊に2〜6質量%を含有している、モノマー混合物を使用することが有利でありうる。
【0112】
コア−シェル−ポリマーを製造する場合には、このモノマー混合物の組成を段階的に変えることができ、この際には、この組成の変更の前に、重合を、それぞれ使用モノマー混合物の合計質量に対して有利に少なくとも80質量%、特に好ましくは少なくとも95質量%の変換率に達するまで重合させる様に行う。ここで、コア−シェル−ポリマーとは、例えば電子顕微鏡でこのコア−シェル−構造を示さなかったが、2段又は多段乳化重合によって製造されたポリマーを意味する。各段での重合の反応進行の追跡は、公知方法で、例えば重量測定により又はガスクロマトグラフィを用いて行うことができる。コアの製造のためのモノマー組成物は、有利に(メタ)アクリレート50〜100質量%を含有し、この際、アクリレートとメタクリレートとの混合物が特別好ましく使用される。本発明の特別な1局面によれば、コア中のアクリレート対メタクリレートの質量比は、1以上、特に好ましくは2以上であることができる。コアの製造の後に、この上に有利に、アルキル基中に少なくとも1個のアルデヒド基を有している(メタ)アクリレート1〜40質量%、特に好ましくは2〜20質量%、殊に3〜19質量%を含有している、モノマー混合物をグラフトさせるか又はコア上に重合させることができる。
【0113】
この乳化重合を、0〜120℃の範囲、特に好ましくは30〜100℃の範囲の温度で実施することが有利である。この場合に、60℃〜90℃の範囲、適切には70〜85℃の範囲、特に75〜85℃の範囲の重合温度が全く特別好適であることが立証された。
【0114】
重合の開始は、乳化重合のために慣用の開始剤を用いて行われる。好適な有機開始剤は、例えばヒドロペルオキシド、例えばt−ブチル−ヒドロペルオキシド又はクモールヒドロペルオキシドである。好適な無機開始剤は、過酸化水素並びにペルオキソ二硫酸のアルカリ金属塩及びアンモニウム塩、殊にアンモニウム、ナトリウム−及びカリウムペルオキソジスルフェートである。好適なレドックス−開始剤系は、例えば3級アミンとペルオキシド又は二亜硫酸ナトリウム及びペルオキソ二硫酸のアルカリ金属−及びアンモニウム塩、殊にナトリウム−及びカリウムペルオキソジスルフェートとの組み合わせである。
【0115】
更なる詳細は、専門文献、殊にH.Rauch-Puntigam,Th.Voelker,"Acryl-und Methacrylverbindungen",Springer,Heidelberg,1967又はKirk-Othmer,Encyclopedia of Chemical Technology,Vol.1,Seiten 386ff,J.Wiley,New York,1978から知ることができる。本発明の範囲では、有機及び/又は無機開始剤の使用が特別好ましい。
【0116】
前記の開始剤は、単独で又は混合して使用することができる。これらは有利に、各段のモノマーの合計質量に対して0.05〜3.0質量%の量で使用される。重合の経過にわり、並びに種々の重合温度でラジカル流を一定に保持するために、重合を、異なる半価時間を有する種々の重合開始剤の混合物を用いて実施することも有利でありうる。
【0117】
バッチの安定化は、乳化剤及び/又は保護コロイドを用いて有利に行なわれる。低い分散液粘度を得るために、エマルジヨンを乳化剤によって安定化させることが好ましい。乳化剤の全量は、使用モノマーの全質量に対して有利に0.1〜15質量%、殊に1〜10質量%、特別好ましくは2〜5質量%である。本発明の特別な1局面によれば、乳化剤の一部を重合の間に添加することができる。
【0118】
特別好適な乳化剤は、アニオン乳化剤又は非イオン乳化剤又はこれらの混合物、殊に次のものである:
− アルキルスルフェート、有利にアルキル基中に炭素原子数8〜18を有しているもの、アルキル基中に炭素原子数8〜18を有し、エチレンオキシド単位1〜50個を有しているアルキル−及びアルキルアリールエーテルスルフェート;
− スルホネート、有利にアルキル基中に炭素原子数8〜18を有しているアルキルスルホネート、アルキル基中に炭素原子数8〜18を有しているアルキルアリールスルホネート、スルホコハク酸とアルキル基中に炭素原子数4〜15を有している1価のアルコール又はアルキルフェノールとのエステル及び半エステル;場合によりこれらアルコール及びアルキルフェノールはエチレンオキシド単位1〜40個でエトキシ化されていてもよい;
− 燐酸部分エステル及びそのアルカリ金属−及びアンモニウム塩、有利にアルキル−又はアルキルアリール基中に炭素原子数8〜20及びエチレンオキシド単位1〜5個を有しているアルキル−又はアルキルアリールホスフェート;
− アルキル基中に有利に炭素原子数8〜20及びエチレンオキシド単位8〜40個を有しているアルキルポリグリコールエーテル;
− アルキル基又はアルキルアリール基中に有利に炭素原子数8〜20及びエチレンオキシド単位8〜40個を有しているアルキルアリールポリグリコールエーテル;
− エチレンオキシド/プロピレンオキシド−コポリマー、有利には、好適にエチレンオキシド−又はプロピレンオキシド単位8〜40個を有しているブロックコポリマー。
【0119】
特別好ましいアニオン乳化剤には、殊に脂肪アルコールエーテルスルフェート、ジイソオクチルスルホスクシネート、ラウリルスルフェート、C15−パラフィンスルホネートが挙げられ、この際にこれら化合物は一般に、アルカリ金属塩として、殊にナトリウム塩として使用することができる。これらの化合物は、殊にDisponil(R)FES32、Aerosol(R)OT75、Texapon(R)K1296及びStatexan(R)K1なる商品名で、Firmen Cognis GmbH,Cytec Industries,Inc.und Bayer AGから市場で入手することができる。
【0120】
適切な非イオン乳化剤は、有利にエチレンオキシド単位30個を有するt−オクチルフェノールエトキシレート及び好ましくはアルキル中に炭素原子数8〜20及びエチレンオキシ単位8〜40個を有している脂肪アルコールポリエチレングリコールエーテルである。これらの乳化剤は、Triton(R)X305(Fluka)、Tergitol(R)15−S−7(Sigma-Aldrich Co.)、Marlipal(R)1618/25(Sasol Germany)及びMarlipal(R)O13/400(Sasol Germany)なる商品名で、市場で入手可能である。
【0121】
アニオン乳化剤と非イオン乳化剤とからの混合物を使用することが好ましい。アニオン乳化剤対非イオン乳化剤の質量比は、20:1〜1:20の範囲、好ましくは2:1〜1:10、特別好ましくは1:1〜1:5の範囲であることが好都合である。この場合に、スルフェート、殊に脂肪アルコールエーテルスルフェート、ラウリルスルフェート又はスルホネート、殊にジイソオクチルスルホスクシネート又はパラフィンスルホネートをアニオン乳化剤として、及びそれぞれアルキル基中に炭素原子数8〜20及びエチレンオキシド単位8〜40個を有しているアルキルフェノールエトキシレート又は脂肪アルコールポリエチレングリコールエーテルを非イオン乳化剤として含有している混合物が全く特別な効を奏している。
【0122】
場合によっては、乳化剤を、保護コロイドと混合して使用することもできる。好適な保護コロイドには、特に部分鹸化されたポリ酢酸ビニル、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチル−、メチル−、ヒドロキシエチル−、ヒドロキシプロピル−セルロース、澱粉、プロテイン、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリルアミド、ポリビニルスルホン酸、メラミンホルムアルデヒドスルホネート、ナフタリンホルムアルデヒドスルホネート、スチレン−マレイン酸−及びビニルエーテルマレイン酸−コポリマーが包含される。保護コロイドが使用される場合にはこれを、モノマーの全量に対して、0.01〜1.0質量%の量で使用することが有利である。保護コロイドは、重合の開始前に装入又は配量添加することができる。開始剤を前装入するか又は配量添加することができる。更に開始剤の一部を前装入し、残りを配量添加することも可能である。
【0123】
バッチを重合温度まで加熱し、かつ有利に水溶液中への開始剤の前装入及び/又は配量添加を行うことによって重合を開始させることが好ましい。この場合には、モノマーの一部を反応器中に前装入し、残分を一定の時間に渡って配量添加することができる。通常は、反応器中に前装入されたモノマー分を重合させ、次いで初めて流入を開始することが有利である。限定量のモノマーの前装入に対して選択的に、例えばモノマーの1〜5%が配量添加された後に、流入を数分間中断することができる。乳化剤及びモノマーの配量添加を別々に実施することができるか又は有利には混合物として、殊に水中の乳液として実施することができる。
【0124】
乳化重合は、広いpH−範囲で実施することができる。それは2〜9が有利である。特別な1実施形では、重合を4〜8、殊に6〜8のpH−値で実施する。同様に重合の後に分散液を、使用のために好ましいpH−範囲に調節することができる。着色された被覆系にとっては、一般にこの範囲は8〜9又はそれ以上である。
【0125】
望ましい自己架橋の促進のために、分散液のpH−値を更に1〜4、特に好ましくは1.5〜3の範囲の値に調節することができる。このことは、分散液の適用の直前に行うことができる。更に分散液に、自己架橋の促進のために触媒を添加することができ、この際にはこのことを、有利に被覆剤の適用の直前に行うべきである。この触媒には、特に炭酸アルカリ、シアン化アルカリ、酢酸ナトリウム、希アルカリ及び希塩酸がこれに属する。
【0126】
被覆剤の耐久性の改善のために、殊に早すぎる自己架橋を避けるために、このpH−値を中性点付近に、即ち6〜9の範囲に調節することができる。
【0127】
これらポリマーの分子量は広範囲であり、差当たって厳密ではない。良好な機械特性を有し、特別硬くて耐溶剤性の被覆剤が望まれる場合には、できるだけ高い分子量が有用でありうる。THF中に不溶であるポリマーを高割合で含有している好ましいエマルジヨンポリマーが、先に記載の方法で得ることができる。高い分子量を得るための反応温度は公知である。従ってこの場合には、殊に分子量調節剤の使用を放棄することができる。
【0128】
特別良好にかつ簡単に加工することのできる被覆剤は、低い分子量を有するポリマーを含有することもでき、この際にこの被覆の耐溶剤性及び硬度は、比較的高い水準に達する。特別良好な加工性を有するこのポリマーは、有利に1000000g/モルを下回る、好ましくは500000/モルを下回る、特別好ましくは250000g/モルを下回る分子量を有する。この分子量は、ゲルパーミエーシヨンクロマトグラフィ(GPC)を用いて、PMMA−標準に対して測定することができる。
【0129】
ポリマー、殊に低い分子量を有するエマルジヨンポリマーは、この重合の前又はその間の反応混合物中への分子量調節剤の添加によって得ることができる。このために硫黄不含の分子量調節剤及び/又は硫黄含有分子量調節剤を使用することができる。
【0130】
硫黄不含の分子量調節剤には、これらのみに限定されるものではないが、例えば、ジマーのα−メチルスチレン(2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン)、脂肪族及び/又は脂環式アルデヒドのエノールエーテル、テルペン、β−テルピネン、テルピノール、1,4−シクロヘキサジエン、1,4−ジヒドロナフタリン、1,4,5,8−テトラヒドロナフタリン、2,5−ジヒドロフラン、2,5−ジメチルフラン及び/又は3,6−ジヒドロ−2H−ピランがこれに属し、ジマーのα−メチルスチレンが好ましい。
【0131】
硫黄含有分子量調節剤としては、有利にメルカプト化合物、ジアルキルスルフィド、ジアルキルジスルフィド及び/又はジアリールスルフィドを使用することができる。次の重合調節剤が例として挙げられる:ジ−n−ブチルスルフィド、ジ−n−オクチルスルフィド、ジフェニルスルフィド、チオジグリコール、エチルチオエタノール、ジイソプロピルジスルフィド、ジ−n−ブチル−ジスルフィド、ジ−n−ヘキシルジスルフィド、ジアセチルジスルフィド、ジエタノールスルフィド、ジ−t−ブチルトリスルフィド及びジメチルスルホキシド。分子量調節剤として使用される化合物は、メルカプト化合物、ジアルキルスルフィド、ジアルキルジスルフィド及び/又はジアリールスルフィドが好ましい。これらの化合物の例は、エチルチオグリコレート、2−エチルヘキシルチオグリコレート、システイン、2−メルカプトエタノール、1,3−メルカプトプロパノール、3−メルカプトプロパン−1,2−ジオール、1,4−メルカプトブタノール、メルカプト酢酸、3−メルカプトプロピオン酸、メルカプトコハク酸、チオグリセリン、チオ酢酸、チオ尿素及びアルキルメルカプタン、例えばn−ブチルメルカプタン、n−ヘキシルメルカプタン又はn−ドデシルメルカプタンである。特別好ましく使用される重合調節剤は、メルカプトアルコール及びメルカプトカルボン酸である。
【0132】
これらの分子量調節剤は、重合時に使用されるモノマーに対して有利に0.05〜10、特別好ましくは0.1〜5質量%の量で使用される。この重合時には、当然、重合調節剤の混合物も使用することができる。更に、分子量調節剤の使用下における重合を、これにより得られるポリマーの最低−膜形成−温度(MFT)を低めるために使用することができる。好ましい実施形によれば、この分子量調節剤の割合を、このポリマー又は本発明による被覆剤が、最大でも60℃、特に好ましくは最大でも50℃、全く特別好ましくは最大でも40℃の最低−膜形成−温度(MFT)(これはDIN ISO 2115によって測定できる)を有するように、決定することができる。分子量調節剤の割合が高くなるほど、最低−膜形成−温度は低くなる。
【0133】
粒子半径の調節は、特に乳化剤の割合によって影響されうる。殊に重合の開始時にこの割合が高くなるほど、より小さい粒子が得られる。
【0134】
先に記載の方法により得られるポリマー、殊に好ましく得られるエマルジヨンポリマーは、本発明のもう一つの目的物である。
【0135】
このエマルジヨンポリマーは、架橋されていないか又はテトラヒドロフラン(THF)中に20℃で可溶な分(Anteil)がエマルジヨンポリマーの質量に対して60質量%を上回って存在する程度に僅かに架橋されていることが有利である。もう一つの好ましい実施形においてこのエマルジヨンポリマーは、エマルジヨンポリマーの質量に対して2〜60質量%、特に好ましくは10〜50質量%、全く特別好ましくは20〜40質量%の、20℃でTHF中に可溶な分を含有することができる。この可溶な分の測定のために、このポリマーの乾燥試料を、試料の質量に対して200倍量の溶剤中に、20℃で4時間貯蔵した。この場合に、できるだけ自己架橋が起こらない程度にこの乾燥を行う。このことは、例えば凍結乾燥によって行うことができる。この貯蔵の後にこの溶液から不溶分を、例えば濾過によって分離する。溶剤の蒸発の後に、残分の質量を測定する。例えば真空下に乾燥されたエマルジョンポリマーの試料0.5gを、THF150ml中で4時間貯蔵することができる。
【0136】
エマルジヨンポリマーの粒径は、広範囲内に存在することができる。従って、殊に10〜500nm、好ましくは10〜100nm、特別好ましくは20〜60nmの範囲の粒径を有するエマルジヨンポリマーを使用することができる。殊に50nmを下回る粒径が膜形成及び被覆特性のために有利でありうる。粒子の半径は、PCS(光子相関分光法:Photon Correlation Spektroscopy)によって測定することができ、この際に記載のデータは、r50−値(粒子の50%は小さく、50%は大きい)に当て嵌まる。このために、例えばBeckman Coulter N5 Submicron Particle Size Analyzerを使用することができる。
【0137】
本発明によるポリマーのガラス転移温度は、有利に−60℃〜100℃、殊に好ましくは−30〜70℃、特別好ましくは−20〜40℃の範囲、全く特別好ましくは0〜25℃の範囲である。このガラス転移温度は、ポリマーの製造のために使用されるモノマーの種類及び割合によって影響されうる。この場合に、ポリマーのガラス転移温度Tgは、公知方法で、示差走査熱量測定法(DSC)を用いて、殊にDIN ISO 11357に従って測定される。このガラス転移温度は、有利に10℃/minの加熱速度での第2加熱曲線のガラスステージ(Glasstufe)の中点として測定することができる。更にこのガラス転移温度Tgは、Fox−式を用いて近似的に計算することができる。Fox T.G., Bull.Am. Physics Soc. 1,3,123頁(1956)によれば、これは、
【数1】

[式中、Xはモノマーnの質量割合(質量%/100)を意味し、Tgはモノマーnのホモポリマーのガラス転移温度(ケルビン)を意味する]に当て嵌まる。
【0138】
更に当業者に役立つ情報は、Polymer Handbook 2nd Edition,J.Wiley & Sons,New York(1975)(この文献は、慣用のホモポリマーのTg−値を示している)から知ることができる。この場合に、このポリマーは1以上の異なるガラス転移温度を有することがありうる。従ってこれらの値は、アルキル基中に少なくとも1個のアルデヒド基を有している(メタ)アクリレート少なくとも1種の、有利には本発明によるモノマー混合物の重合によって得られるセグメントに当て嵌まる。
【0139】
このポリマーの構成は、多くの用途及び特性のためには厳密ではない。相応して、このポリマー、殊にエマルジヨンポリマーは、ランダムコポリマー、勾配−コポリマー(Gradienten-Copolymer)、ブロックコポリマー及び/又はグラフトコポリマーであることができる。ブロックコポリマー又は勾配−コポリマーは、例えばモノマー組成を連鎖成長の間で断続的に変えることによって得ることができる。本発明による好ましい1局面によれば、エマルジヨンポリマーはランダムコポリマーであり、ここでは、この重合に渡るモノマー組成は実質的に一定である。しかしながら、モノマーは種々の共重合パラメータを有することがありうるので、正確な組成はポリマーのポリマー連鎖上で変動することができる。
【0140】
このポリマーは、例えば水性分散液中で一定の組成を有する粒子を形成する均質ポリマーであることができる。この場合に、好ましくはエマルジヨンポリマーであるこのポリマーは、本発明によるモノマー混合物の重合によって得られる1以上のセグメントから成っていることができる。
【0141】
もう一つの実施形によれば、このエマルジヨンポリマーは、1、2、3個又はそれ以上のシェルを有していてよいコア−シェル−ポリマーであることができる。この場合に、本発明によるモノマー混合物の重合によって得られるこのセグメントは、有利に、コア−シェル−ポリマーの最外シェルを形成する。このシェルは、共有結合によって、コア又は内部シェルと結合していることができる。更にこのシェルは、コア又は内部シェル上に重合させることができる。この実施形で、特に本発明によるモノマー混合物の重合により得られるこのセグメントは、屡々好適な溶剤によってコアから分離され、かつ単離されうる。
【0142】
本発明によるモノマー混合物の重合により得られるセグメントとコアとの質量比は、有利に6:1〜1:6の範囲であることができる。コアのガラス転移温度がシェルのそれよりも高い場合には、6:1〜2:1の比が好ましく;逆の場合には1:1〜1:5が特別好ましい。
【0143】
コアは、有利に(メタ)アクリレートから誘導される単位50〜100質量%、有利に60〜90質量%を有しているポリマーから形成されていることができる。この場合に、そのアルコール基が炭素原子数1〜30、殊に炭素原子数1〜20、全く特別好ましくは炭素原子数1〜10を有する(メタ)アクリル酸のエステルが好ましい。これには、殊に飽和アルコールから誘導される(メタ)アクリレート、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソ−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート及びヘキシル(メタ)アクリレートがこれに属する。
【0144】
本発明の特別な1態様によれば、コアの製造のために、メタアクリレート及びアクリレートを含有している混合物が使用されうる。従って殊に、メチルメタクリレート及び炭素原子数2〜10、特に2〜8を有するアクリレート、例えばエチルアクリレート、ブチルアクリレート、ヘキシルアクリレート及びエチルヘキシルアクリレートの混合物を使用することができる。殊に、コアの製造又はコア−シェル−ポリマーが1以上のシェルを有する場合には、その内部シェルの製造のためのモノマー混合物が重要であり、これは、炭素原子数2〜10を有するアクリレートを、コア又は少なくとも1つの内部シェルの製造のためのモノマーの全質量に対して、少なくとも30質量%、特に好ましくは少なくとも50質量%、かつ全く特別好ましくは少なくとも60質量%の量で含有する。
【0145】
更に、コアのポリマーは、先に記載のコモノマーを含有することができる。好ましい変容によれば、このコアは架橋されていることができる。この架橋は、2、3個又はそれ以上のラジカル重合可能な二重結合を有しているモノマーの使用によって達成することができる。
【0146】
本発明によるモノマー混合物の重合によって得られる本発明のエマルジヨンポリマーのシェルは、好ましくはアルキル基中に少なくとも1個のアルデヒド基を有している(メタ)アクリレートから誘導される単位2〜8質量%を含有することができる。
【0147】
特別な1局面によれば、このコアは有利に、−30〜200℃の範囲、殊に−20〜150℃の範囲のガラス転移温度を有することができる。>50℃、殊に>100℃のガラス転移温度を有することが特別好ましい。有利に本発明によるモノマー混合物の重合により得られる本発明によるエマルジヨンポリマーのシェルは、有利に−60℃〜100℃、殊に−30℃〜70℃の範囲、特別好ましくは20〜40℃の範囲、全く特別好ましくは0〜25℃の範囲のガラス転移温度を有することができる。本発明の特別な1局面によれば、コアのガラス転移温度は、シェルのガラス転移温度よりも大きいことができる。コアのガラス転移温度がシェルのガラス転移温度を少なくとも10℃、好ましくは少なくとも20℃上回っていることが好都合である。この場合に、このガラス転移温度は、先に記載の方法により、有利にDSCによって測定することができる。
【0148】
本発明によるモノマー混合物の重合によって得られるポリマーを、単離することができる。本発明の特別な1態様によれば、乳化重合によって得られる分散液それ自体を、被覆剤として使用することができる。
【0149】
先に記載のモノマー混合物との反応により得られる前記のポリマー又は化合物を含有している被覆剤は、同様に本発明の目的物である。この被覆剤は、基材の被覆のために好適である組成物である。本発明による被覆剤は、架橋剤によって架橋可能である。更に、好ましい被覆剤は、自己架橋の傾向を示す。自己架橋は、殊に40℃を上回る、好ましくは60℃を上回る、特別好ましくは100℃を上回る温度での膜の熱処理によって得ることができる。
【0150】
膜が架橋される時間は、例えば膜のpH−値及びアルデヒド基を有する繰返し単位の種類及び量及び被覆の所望の機械強度に依存して決まる。
【0151】
自己架橋を10秒〜120分の範囲、特に好ましくは1分〜30分の範囲の時間にわたって実施する方法が、特別重要である。架橋された膜は、屡々高い耐溶剤性及び優れた機械特性によって優れている。
【0152】
アミノ基又はアミド基を有するモノマーから誘導される単位を有している被覆剤又はポリマーは、殊にこの被覆剤又はポリマーから得られる被覆の耐化学薬品性及び機械特性、熱処理後の引張り強度に関する意想外の利点を示す。従って熱処理によって、耐化学薬品性及び機械特性を、予想外の程度に改善することができる。
【0153】
好ましい1実施形によれば、優れた被覆を得るために、この自己架橋を、その変換率が使用アルデヒド基の割合に対して少なくとも5%、特に好ましくは少なくとも10%、殊に好ましくは少なくとも20%、全く特別好ましくは少なくとも50%であるように実施することができる。この場合に、第1工程でアルドールが形成されると推量することができる。
【0154】
更に、高めた温度で自己架橋を実施して、二重結合の形成をもたらす脱水を開始させる変法が殊に好ましい。意外にもこれによって、特別に耐溶剤性で機械的に安定な被覆を得ることができる。
【0155】
本発明による被覆剤の耐久性を、比較的低い温度での貯蔵によって殊に改善することができる。
【0156】
有利にこの被覆剤は、僅かな量のみの環境に危険な溶剤を含有し、この際、水性分散液は特別好ましい被覆剤である。この水性分散液は、10〜70質量%、特に好ましくは20〜60質量%の範囲の固体物質含有率を有することが好ましい。この分散液の動的粘度は、固体含有率及び粒子寸法に依存し、広い範囲を包囲することができる。従って、高いポリマー含有率を有する微細分散液の場合で特定の場合には、これは10000mPasを上回っていることができる。大抵は、10〜4000mPas、好ましくは10〜1000mPas、全く特別好ましくは10〜500mPasの範囲の動的粘度(DIN EN ISO 2555に従い、250で測定)(Brookfield)が好都合である。
【0157】
更に本発明による水性分散液は、周知のように、被覆剤の特性を特定の要件に適合させるための添加剤又は他の成分を有していることができる。これらの添加物質には、殊に流動性改良剤、顔料及び染料がこれに属する。
【0158】
本発明による被覆剤は、最大でも50℃、特別好ましくは最大でも35℃、全く特別好ましくは最大でも25℃の最低−膜形成−温度(DIN ISO 2115により測定できる)を有することが有利である。
【0159】
この被覆剤、特に水性分散液は、0〜100mgKOH/g、好ましくは1〜40mgKOH/gの範囲、全く特別好ましくは2〜10mgKOH/gの範囲の酸価を有することが好都合でありうる。この酸価は、DIN ISO 2114に従って、分散液を用いて測定でき、この際に、値は固体含有率に関連している。
【0160】
本発明による被覆剤、殊に水性分散液のヒドロキシル価は、有利に0〜400mgKOH/g、特別好ましくは1〜200mgKOH/gの範囲、全く特別好ましくは3〜150mgKOH/gの範囲であることができる。このヒドロキシル価は、DIN ISO 4629に従い、分散液を用いて測定することができ、この際、値は固体含有率に関連している。
【0161】
本発明による分散液は、エマルジヨンポリマーと共に他の成分を含有することができる。
【0162】
本発明によるポリマー又は被覆剤の架橋を、架橋剤の添加によって行うことができる。このためには、多官能性を有する求核性化合物が好適である。特に次のものが特別に好適である:ジアミン、例えば2,2’−(エチレンジオキシ)ジエチルアミン(Jeffamine (R)XTJ-504, CAS-No.929-59-9)、尿素(CAS-No.57-13-6)及び尿素誘導体、例えばエチレン尿素(イミダゾリジノンとも称される:CAS-No.120-93-4)、ジフェニル尿素(CAS-No.102-07-8)、ジエチル尿素(CAS-No.623-76-7)及びプロピレン尿素(テトラ−2−ヒドロピリミジノンとも称される;CAS-No.1852-17-1)及びジヒドラジド、例えばアジピン酸ジヒドラジド(ADH)。
【0163】
特別好ましい架橋剤は、特にWO94/25433(欧州特許庁に、出願番号PCT/EP94/01283で、1994年4月25日に出願)中に記載されており、この際、この刊行物は開示の目的で参照され、その中に開示されている架橋剤は本発明にも適用されうる。
【0164】
架橋剤の割合は厳密ではなく、この際に、架橋剤の量は、有利にポリマーで計量される。特別好ましくはポリマー中に含有されている架橋可能な基と架橋剤の反応性基とのモル比は10:1〜1:10の範囲内にあり、特別好ましくは4:1〜1:4の範囲、全く特別好ましくは2:1〜1:2の範囲内にある。
【0165】
本発明のポリマーは、殊に被覆剤中で又は添加剤として使用することができる。殊にラッカー、含浸剤、接着剤及び/又はプライマーがこれに属する。特別好ましくは、この被覆剤、殊に水性分散液を、皮革及び/又は繊維材料、例えば織物、編物又はフリース物質の被覆又は含浸のために使用することができる。更にこの分散液は、木材、金属又はプラスチックの被覆のために使用することができる。従って、殊に工業的被覆用のラッカー及び建築物用ラッカーは、優れた性能を示し、この際にこれらラッカーは、例えば家具又は床材の被覆のために使用することができる。
【0166】
本発明による被覆剤から得られる被覆は高い耐溶剤性を示し、この際、殊に溶剤によってこの被覆から僅かな分のみが溶出されるだけである。好ましい被覆は、殊にメチルイソブチルケトン(MIBK)に対して高い安定性を示す。従って、MIBKでの処理の後の質量損失は、使用被覆の質量に対して有利に最大でも50質量%、好ましくは最大でも35質量%、殊に好ましくは最大でも20質量%、全く特別好ましくは最大でも15質量%である。MIBKの吸収は、使用被覆の質量に対して有利」に最大でも1000質量%、特別好ましくは最大でも800質量%、殊に好ましくは最大でも600質量%、全く特別好ましくは最大でも500質量%である。これらの値は、約25℃の温度及び少なくとも4時間の作用時間で測定され、この際、架橋され、完全に乾燥された被覆が測定される。
【0167】
本発明による被覆から得られる被覆は、高い機械的安定性を示す。振かん硬度(Pendel-haerte)(DIN ISO 1522に従い測定)は、少なくとも15秒、特に少なくとも25秒であることが好ましい。
【0168】
本発明による被覆は、意外にも良好な機械特性を示す。殊に少なくとも200%の、特に好ましくは少なくとも300%の公称破断時の伸び(nominale Bruchdehnung)(DIN EN ISO 527 パート3に従い測定)を有する被覆が特別重要である。
【0169】
更に、低くても2MPa、特別好ましくは低くても4MPaの引張り強度(DIN EN ISO 527 パート3に従い測定)を示す被覆が好ましい。
【0170】
更に本発明は意外にも、低くても2MPa、特に好ましくは低くても4MPaの引張り強度で、少なくとも200%の、特に好ましくは少なくとも300%の破断時の伸びを示す被覆を提供する。
【0171】
更に本発明による被覆剤から得られる好ましい被覆は、殊にクロスカット−試験(Gitterschnitt-Versuch)によって測定できる意想外に高い付着強度によって優れている。従って、殊に、規格DIN EN ISO 24090による、0〜1、特に好ましくは0の等級を得ることができる。
【0172】
次に本発明を実施例及び比較例につき詳細に説明するが、これによって本発明を限定するものではない。
【0173】
4−オキソブチルメタクリレートの製造
一定温度に保持されたビュレットから、定圧保持器を備えた100mlパルオートクレーブ(Parr Autoklaven)中に、THF25ml中のメタクリル酸アリルエステル10ミリモルを加え、この供給物を10バールの圧力下で、それぞれメタクリル酸アリルエステルに対して0.1モル%のRh(acac)(CO)acac=アセチルアセトネート]及び0.2モル%のキサントフォス(Xantphos)の存在下に、65℃の温度で、CO/H−ガス混合物(これは、1:1のモル比を有する)と、20時間の反応時間で反応させた。90%の収率が得られ、この際、この反応混合物は、4−オキソブチルメタアクリレート及び2−メチル−3−オキソプロピルメタアクリレートを含有した。4−オキソブチルメタアクリレート対2−メチル−3−オキソプロピルメタアクリレートの比は92:8であった。
【0174】
メタアクリロイルオキシ−2−エチル−脂肪酸アミドの混合物の製造
撹拌スリーブ及び撹拌モータ付きサーベル攪拌機(Saebelruhrer)、窒素導入管、液相温度計(Sumpfthermometer)及び蒸留ブリッジを備えている四首フラスコ中に、脂肪酸メチルエステル混合物206.3g(0.70モル)、エタノールアミン42.8g(0.70モル)及びLiOH0.27g(0.26%)を装入した。この脂肪酸メチルエステル混合物は、飽和C12〜C16脂肪酸メチルエステル6質量%、飽和C17〜C20脂肪酸メチルエステル2.5質量%、一価不飽和C18脂肪酸メチルエステル52質量%、一価不飽和C20〜C24脂肪酸メチルエステル1.5質量%、多価不飽和C18脂肪酸メチルエステル36質量%、多価不飽和C20〜C24脂肪酸メチルエステル2質量%を含有した。
【0175】
この反応混合物を150℃まで加熱した。2時間かかって、メタノール19.5mlを留去させた。得られた反応生成物は、脂肪酸エタノールアミド86.5%を含有した。得られた反応混合物を、精製することなく更なる処理を行った。
【0176】
冷却の後に、メチルメタクリレート1919g(19.2モル)、LiOH 3.1g及びヒドロキノンモノメチルエーテル500ppmとフェノチアジン500ppmとから成る阻害剤混合物を添加した。
【0177】
撹拌下に反応装置を、窒素で10分間フラッシングした。その後、この反応混合物を加熱沸騰させた。メチルメタアクリレート/メタノール−共沸混合物を分離し、引続き塔頂温度を段階的に100℃まで上昇させた。この反応の終了後に、この反応混合物を約70℃まで冷却させ、濾過した。
【0178】
回転蒸発器で、過剰のメチルメタアクリレートを分離除去した。生成物370gを得ることができた。
【0179】
例1(木材−及び金属被覆用の分散液の製造)
BuA−co−MMA−ObMA−MAS=46−51−2−1
差し当たり、1リットルPE−ビーカー中で、アクリル酸ブチル(BA)110.4g、メタクリル酸メチル(MMA)122.4g、メタクリル酸オキソブチル(ObMA)4.8g、メタクリル酸(MAS)2.4g、ペルキソ二硫酸アンモニウム(APS)0.72g、Disponil FES 32(30%)7.2g及び水215.5gを、ウルトラ−トウラックス(Ultra-Turrax)を用いて、4000UpMで、3分間乳化させた。
【0180】
水浴を用いて熱処理でき、翼攪拌機を備えている1リットルガラス反応器中に、水134g及びDisponil FES 32(30%)0.18gを装入し、80℃まで加熱し、水10g中に溶かされたペルオキソ二硫酸アンモニウム(APS)0.18gを加えた。APS−添加の5分後に、これに、予製エマルジヨンを240分かかって(間隔:流入3分、休み4分、残分流入237分)配量添加した。
【0181】
流入の終了後に、80℃で1時間後混合した。その後、室温まで冷却させ、分散液を、0.09mmメッシュ幅を有するVA−織布篩を通して濾過分離した。
【0182】
製造されたエマルジヨンは、40±1%の固体含有率、2.2のpH−値、13mPasの粘度及び65nmのrN5−値を有した。
【0183】
例2(木材−及び金属被覆用の分散液の製造)
BuA−co−MMA−ObMA−MAS=45−50−4−1
例1を実質的に繰り返すが、ここでは、モノマーの質量に対して約4質量%のメタクリル酸オキソブチル約4質量%を含有しているモノマー混合物を流入分として使用した。この使用されるモノマー混合物の製造のために、1リットルPE−ビーカー中で、アクリル酸ブチル(BA)105.96g、メタクリル酸メチル(MMA)117.96g、メタクリル酸オキソブチル(ObMA)9.6g、メタクリル酸(MAS)2.4g、メタクリロイルオキシ−2−エチル−脂肪酸アミド−混合物4.92g、ペルキソ二硫酸アンモニウム(APS)0.72g、Disponil FES 32(30%)7.2g及び水208.6gを、ウルトラ−トウラックスを用いて、4000UpMで3分間乳化させた。
【0184】
製造されたエマルジヨンは、40±1%の固体含有率、2.3のpH−値、13mPasの粘度及び65nmのrN5−値を有した。
【0185】
例3(木材−及び金属被覆用の分散液の製造)
BuA−co−MMA−ObMA−MAS=44−49−6−1
例1を実質的に繰り返すが、ここでは、モノマーの質量に対して約6質量%のメタクリル酸オキソブチルを含有しているモノマー混合物を流入分として使用した。この使用されるモノマー混合物の製造のために、1リットルPE−ビーカー中で、アクリル酸ブチル(BA)105.96g、メタクリル酸メチル(MMA)117.96g、メタクリル酸オキソブチル9.6g、メタクリル酸(MAS)2.4g、メタクリロイルオキシ−2−エチル−脂肪酸アミド−混合物4.92g、ペルキソ二硫酸アンモニウム(APS)0.72g、Disponil FES 32(30%)7.2g及び水208.6gを、ウルトラ−トウラックスを用いて、4000UpMで3分間乳化させた。
【0186】
製造されたエマルジヨンは、40±1%の固体含有率、2.3のpH−値、14mPasの粘度及び68nmのrN5−値を有した。
【0187】
例4〜6(例1〜3で得られた分散液のアジピン酸ジヒドラジドでの架橋)
例1から3で得られた分散液を、アジピン酸ジヒドラジド(ADH)と当モルで架橋させた。このために、撹拌下に15%ADH−溶液をこの分散液に滴加し、2時間撹拌し、膜を室温で乾燥させた。
【0188】
こうして得られた被覆剤の特性を、種々の方法で検査した。このために、乾燥された膜で、耐溶剤性、水吸収性及び硬度に関する試験を実施した。
【0189】
耐溶剤性の測定を、メチルイソブチルケトン(MIBK)の使用下に行い、この際に、試料(A)を、MIBKで、室温で4時間膨潤させた。引き続き、試料を溶剤から取り出し、過剰の溶剤を除去し、質量を測定した。引き続きこの試料を、約140℃で1時間乾燥させた(B)。AとBとの質量差から、溶剤で除去された試料分を算出した。この膨潤を、可溶性分の除かれた試料Bの質量を基準として計算し、以後のテキスト中で、「真の膨潤率(wahre Quellung)」と称した。
【0190】
更に、家具試験をDIN68861−1と同様に実施した。評価スケールは1〜5である(ここで、5=目視可能な変化なし、1=試験面が著しく変わったか又は破壊した)。
【0191】
付着性の測定を、DIN ISO 2409によるクロスカット−試験を用いて実施した。
【0192】
得られた結果は第1表中に挙げらている。例4は例1による分散液の使用下に、例5は例2による分散液の使用下に、かつ例6は例3による分散液の使用下に得られた。
【0193】
比較例1
BuA−co−MMA−AAEMA−MAS=46−51−2−1
比較のために、メタクリル酸オキソブチルの代わりに、市場で得られるメタクリル酸アセトアセトキシエチル(AAEMA)を分散液中に導入した。
【0194】
相応して、例1を実質的に繰り返すが、ここでは、モノマーの質量に対して約2質量%のメタクリル酸アセトアセトキシエチルをメタクリル酸オキソブチルの代わりに含有しているモノマー混合物を流入分として使用した。この使用されるモノマー混合物の製造のために、1リットルPE−ビーカー中で、アクリル酸ブチル(BA)110.4g、メタクリル酸メチル(MMA)122.4g、メタクリル酸アセトアセトキシエチル(AAEMA)4.8g、メタクリル酸(MAS)2.4g、ペルキソ二硫酸アンモニウム(APS)0.72g、Disponil FES 32(30%)7.2g及び水215.5gを、ウルトラ−トウラックスを用いて、4000UpMで、3分間乳化させた。
【0195】
製造されたエマルジヨンは、40±1%の固体含有率、2.4のpH−値、12mPasの粘度及び65nmのrN5−値を有した。
【0196】
比較例2
BuA−co−MMA−AAEMA−MAS=45−50−4−1
比較例1を実質的に繰り返すが、ここでは、モノマーの質量に対して約4質量%のメタクリル酸アセトアセトキシエチルを含有しているモノマー混合物を流入分として使用した。この使用されるモノマー混合物の製造のために、1リットルPE−ビーカー中で、アクリル酸ブチル(BA)108g、メタクリル酸メチル(MMA)120g、メタクリル酸アセトアセトキシエチル(AAEMA)9.6g、メタクリル酸(MAS)2.4g、ペルキソ二硫酸アンモニウム(APS)0.72g、Disponil FES 32(30%)7.2g及び水215.5gを、ウルトラ−トウラックスを用いて、4000UpMで、3分間乳化させた。
【0197】
製造されたエマルジヨンは、40±1%の固体含有率、2.4のpH−値、14mPasの粘度及び62nmのrN5−値を有した。
【0198】
比較例3
BuA−co−MMA−AAEMA−MAS=44−49−6−1
比較例1を実質的に繰り返すが、ここでは、モノマーの質量に対して約6質量%のメタクリル酸アセトアセトキシエチルを含有しているモノマー混合物を流入分として使用した。この使用されるモノマー混合物の製造のために、1リットルPE−ビーカー中で、アクリル酸ブチル(BA)105.6g、メタクリル酸メチル(MMA)117.6g、メタクリル酸アセトアセトキシエチル(AAEMA)14.4g、メタクリル酸(MAS)2.4g、ペルキソ二硫酸アンモニウム(APS)0.72g、Disponil FES 32(30%)7.2g及び水215.5gを、ウルトラ−トウラックスを用いて、4000UpMで、3分間乳化させた。
【0199】
製造されたエマルジヨンは、40±1%の固体含有率、2.4のpH−値、13mPasの粘度及び61nmのrN5−値を有した。
【0200】
比較例4〜6(比較例1〜3で得られた分散液のジヒドラジドでの架橋)
比較例1〜3で得られた分散液を、アジピン酸ジヒドラジド(ADH)と当モルで架橋させた。このために、この分散液に15%ADH−溶液を撹拌下に滴加し、混合物を撹拌し、かつ膜を室温で乾燥させた。
【0201】
こうして得られた被覆剤の特性を種々の方法で検査した。このために、乾燥された膜で、耐溶剤性、付着性及び硬度に関する試験を、例4〜6に関して先に記載されていると同様に実施した。
【0202】
比較例4は比較例1による分散液の使用下に、比較例5は比較例2による分散液の使用下に、かつ比較例6は比較例3による分散液の使用下に得られた。
【0203】
得られた結果が第1表中に挙げられている。
【0204】
【表1】

【0205】
【表2】

【0206】
例4〜6により得られた分散液は、木材及び金属に対する被覆剤に関して優れた特性スペクトルを示している。
【0207】
例7
例2を実質的に繰り返すが、ここでは、モノマーの質量に対して1.7質量%のメタクリルアミドを含有しているモノマー混合物を流入分として使用した。この使用されるモノマー混合物の製造のために、1リットルPE−ビーカー中で、アクリル酸ブチル(BA)105.96g、メタクリル酸メチル(MMA)117.96g、メタクリル酸オキソブチル9.6g、メタクリル酸(MAS)2.4g、メタクリルアミド(MAA)4.08g、ペルキソ二硫酸アンモニウム(APS)0.72g、Disponil FES 32(30%)7.2g及び水208.6gを、ウルトラ−トウラックスを用いて、4000UpMで3分間乳化させた。
【0208】
製造されたエマルジヨンは、40±1%の固体含有率、12mPasの粘度及び66nmのrN5−値を有した。
【0209】
例8
例2を実質的に繰り返すが、ここでは、モノマーの質量に対して約2質量%のメタクリロイオキシ−2−エチル−脂肪酸アミド−混合物を含有しているモノマー混合物を、流入分として使用した。この使用されるモノマー混合物の製造のために、1リットルPE−ビーカー中で、アクリル酸ブチル(BA)105.96g、メタクリル酸メチル(MMA)117.96g、メタクリル酸オキソブチル9.6g、メタクリル酸(MAS)2.4g、メタクリロイルオキシ−2−エチル−脂肪酸アミド−混合物4.92g、ペルキソ二硫酸アンモニウム(APS)0.72g、Disponil FES 32(30%)7.2g及び水208.6gを、ウルトラ−トウラックスを用いて、4000UpMで3分間乳化させた。
【0210】
製造されたエマルジヨンは、39±1%の固体含有率、11mPasの粘度及び65nmのrN5−値を有した。
【0211】
例9〜11
例2、7及び9のエマルジヨンを自己架橋させた。このために、全ての分散液のpH−値を5.8に調節した。これらの分散液から、被覆を製造し、これらの(MIBK)中での膨潤率を検査した。この場合に、室温で膜を製造し、この温度で24時間乾燥させた。
【0212】
耐溶剤性の測定をメチルイソブチルケトン(MIBK)の使用下に行い、この際に、MIBKを用いて試料を室温で4時間膨潤させた。引き続き試料を溶剤から取り出し、過剰の溶剤を除去した。膨潤された試料の質量から、溶剤吸収率を計算した。引き続き、試料を約140℃で1時間乾燥させた。この質量損失から、この溶剤によって除去された試料分を計算する。
【0213】
得られた結果が第2表中に挙げられている。例9は例2による分散液の使用下に、例10は例7による分散液の使用下に、かつ例11は例8による分散液の使用下に得られた。
【0214】
【表3】

【0215】
例12(BA−co−MMA−メタクリル酸オキソブチル−HEMAをベースとする繊維材料適用のための分散液の製造)
先ず、2リットルPE−ビーカー中で、アクリル酸ブチル(BA)210.4g、メタクリル酸メチル(MMA)167.6g、メタクリル酸オキソブチル(ObMA)12g、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(HEMA)10g、4,4’−アゾビス−(4−シアノバレリアン酸)12g、Disponil FES 32(30%)12g及び水345.68gを、ウルトラ−トウラックスを用いて、4000UpMで3分間乳化させた。
【0216】
水浴で熱処理でき、翼攪拌機を備えている2リットルガラス反応器中に、水240g、Disponil FES32(30%)0.3gを装入し、これを80℃まで加熱し、4,4’−アゾビス−(4−シアノバレリアン酸)3gを加えた。開始剤添加の5分後にこれに、予製エマルジヨンを、240分かかって(間隔:流入3分、休み4分、残分流入237分)配量添加した。流入容器からのこのエマルジヨンの配量のために、0.193kg/hの出力に調節された、5mmピストン付きLewa−ピストン配量ポンプTyp HKを使用した。
【0217】
流入終了後に、80℃で1時間後混合を行った。その後、この分散液を室温まで冷却させ、メッシュ幅0.09mmのVA−織布篩を通して濾過した。
【0218】
製造されたエマルジヨンは、40±1%の固体含有率、6.4のpH−値、11mPasの粘度及び107nmのrN5−値を有した。
【0219】
引き続き、燐酸を用いてpH〜2.0までpH−調節を行った。
【0220】
例13(BA−co−MMA−メタクリル酸オキソブチル−MMAをベースとする繊維材料適用のための分散液の製造)
例12を実質的に繰り返した。しかしながらここでは、メタクリルアミドを含有しているモノマー混合物を流入物として使用した。このモノマー混合物の製造のために、2リットルPE−ビーカー中で、アクリル酸ブチル(BA)212g、メタクリル酸メチル(MMA)169.2g、メタクリル酸オキソブチル(ObMA)12g、メタクリルアミド(MAA)6.8g、4,4’−アゾビス−(4−シアノバレリアン酸)12g、Disponil FES 32(30%)12g及び水345.68gを、ウルトラ−トウラックスを用いて、4000UpMで3分間乳化させた。
【0221】
製造されたエマルジヨンは、40±1%の固体含有率、6.3のpH−値、12mPsaの粘度及び93nmのrN5−値を有した。引き続き燐酸を用いて、pH〜2.0までのpH−調節を行った。
【0222】
例12及び13に記載の分散液から、被覆を製造し、それらの機械特性及び溶剤(MIBK)中での膨潤率を検査した。この場合に、室温で膜を製造し、この温度で24時間乾燥させた。室温でもう一つの膜を製造したが、ここでは付加的に140℃に30分間加熱した。これらの結果は、第2表〜第5表中にまとめられている。
【0223】
【表4】

【0224】
【表5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも30質量%のアルキル基中に炭素原子数1〜10を有し、このアルキル基が二重結合又はヘテロ原子を有していないアルキル(メタ)アクリレート1種以上、及び
0.1〜40質量%のアルキル基中に少なくとも1個のアルデヒド基を有している(メタ)アクリレート1種以上
を含有しているモノマー混合物。
【請求項2】
アルキル基中に少なくとも1個のアルデヒド基を有している(メタ)アクリレートは、アルデヒド基に対してα−位の炭素原子上に1個の水素原子を有していることを特徴とする、請求項1又は2に記載のモノマー混合物。
【請求項3】
アルキル基中に少なくとも1個のアルデヒド基を有している(メタ)アクリレートは、アルキル基中に炭素原子数3〜9を有しており、有利に4−オキソブチル(メタ)アクリレート及び2−メチル−3−オキソプロピル(メタ)アクリレートから選択されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載のモノマー混合物。
【請求項4】
モノマー混合物は、1個のアミノ−又はアミド基を有している(メタ)アクリルモノマー、有利に第1級アミド基(−CO−NH)又は第2級アミド基(−CO−NHR)を有しているモノマー少なくとも1種を含有していることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項に記載のモノマー混合物。
【請求項5】
(メタ)アクリルモノマーは、第1級又は第3級のアミノ基を有しているモノマーであることを特徴とする、請求項4に記載のモノマー混合物。
【請求項6】
モノマー混合物は、1個のアミノ−又はアミド基を有しているモノマー0.1〜10質量%を含有していることを特徴とする、請求項4又は5に記載のモノマー混合物。
【請求項7】
モノマー混合物は、ポリアルキレングルコールモノ(メタ)アクリレート少なくとも1種を含有していることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項に記載のモノマー混合物。
【請求項8】
ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレートは、350〜20000g/モルの重量平均分子量を有していることを特徴とする、請求項7に記載のモノマー混合物。
【請求項9】
ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレートは、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレートであることを特徴とする、請求項7又は8に記載のモノマー混合物。
【請求項10】
モノマー混合物は、炭素原子数1〜10を有し、そのアルキル基は二重結合又はヘテロ原子を有していないアルキルアクリレート少なくとも30質量%を含有していることを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項に記載のモノマー混合物。
【請求項11】
アルキル基中に炭素原子数1〜10を有しているアクリル酸アルキルは、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル及び/又はアクリル酸エチルへキシルから選択されることを特徴とする、請求項10に記載のモノマー混合物。
【請求項12】
モノマー混合物は、炭素原子数1〜10を有し、そのアルキル基は二重結合又はヘテロ原子を有していないアルキルメタクリレート少なくとも30質量%を含有していることを特徴とする、請求項1から11までのいずれか1項に記載のモノマー混合物。
【請求項13】
アルキルメタアクリレートは、メタククリル酸メチル及びメタクリル酸シクロアルキルから選択されていることを特徴とする、請求項12に記載のモノマー混合物。
【請求項14】
モノマー混合物は、アルキル基中に炭素原子数1〜10を有し、そのアルキル基は二重結合又はヘテロ原子を有していないアルキルアクリレート少なくとも1種及びアルキル基中に炭素原子数1〜10を有し、そのアルキル基は二重結合又はヘテロ原子を有していないアルキルメタアクリレート少なくとも1種を含有しており、この際、アルキル基中に炭素原子数1〜10を有しているアルキルアクリレート対アルキル基中に炭素原子数1〜10を有しているアルキルメタアクリレートの質量比は、1:1〜50:1の範囲であることを特徴とする、請求項1から13までのいずれか1項に記載のモノマー混合物。
【請求項15】
モノマー混合物は、アルキル基中に炭素原子数1〜10を有し、そのアルキル基は二重結合又はヘテロ原子を有していないアルキルアクリレート少なくとも1種及びアルキル基中に炭素原子数1〜10を有し、そのアルキル基は二重結合又はヘテロ原子を有していない、アルキルメタアクリレート少なくとも1種を含有しており、この際、アルキル基中に炭素原子数1〜10を有しているアルキルアクリレート対アルキル基中に炭素原子数1〜10を有しているアルキルメタアクリレートの質量比は、1:50〜1:1の範囲であることを特徴とする、請求項1から13までのいずれか1項に記載のモノマー混合物。
【請求項16】
請求項1から15までのいずれか1項に記載のモノマー混合物から誘導される繰返し単位を有している、ポリマー。
【請求項17】
ポリマーはエマルジヨンポリマーであることを特徴とする、請求項16に記載のポリマー。
【請求項18】
ポリマーは、コア−シェル−ポリマーであることを特徴とする、請求項19に記載のポリマー。
【請求項19】
コア−シェル−ポリマーのコアは、(メタ)アクリレート少なくとも50〜100質量%を含有していることを特徴とする、請求項18に記載のポリマー。
【請求項20】
被覆剤は、請求項16から19までのいずれか1項に記載のポリマーを含有していることを特徴とする、被覆剤。
【請求項21】
請求項20に記載の被覆剤を基材上に適用し、かつ硬化させることを特徴とする、被覆を製造する方法。
【請求項22】
被覆剤を木材、金属、プラスチック、繊維材料、フリース物質及び/又は皮革上に適用することを特徴とする、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
ポリマーをジアミン及び/又はジヒドラジドと反応させることを特徴とする、請求項21から22までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
ポリマーを、40℃を上回る温度での熱処理によって自己架橋させることを特徴とする、請求項21から23までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
請求項21から24までのいずれか1項に記載の方法により得られる、被覆された物品。

【公表番号】特表2012−502125(P2012−502125A)
【公表日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−525517(P2011−525517)
【出願日】平成21年8月31日(2009.8.31)
【国際出願番号】PCT/EP2009/061177
【国際公開番号】WO2010/026118
【国際公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【出願人】(390009128)エボニック レーム ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (293)
【氏名又は名称原語表記】Evonik Roehm GmbH
【住所又は居所原語表記】Kirschenallee,D−64293 Darmstadt,Germany
【Fターム(参考)】