説明

モバイル通信及び位置測定機器

本発明は、複数のモバイルネットワーク機器(10〜80)と協動して動作するモバイル通信及び位置測定機器(1)に関し、該モバイル通信及び位置測定機器(1)は、プロセッシングユニット(2)と、各々が対応するモバイルネットワーク機器(10〜80)と対応するタイムスタンプとに関する情報を有する複数のエントリーを含むデータ構造と、各送信時点でデータパケットを送信するユニット(4)と、前記複数のモバイルネットワーク機器(10〜80)に属するセンダーモバイル機器(10〜80)により送信されたデータパケットを受信するユニット(4)と、前記データパケットに含まれる位置データに基づいて対応するモバイルネットワーク機器(10〜80)の相対位置を測定するユニット(190〜310)と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モバイル通信及び位置測定機器に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、現在多くの民間通信システムが使われている。これらは一般的に、警察官、建築作業員、救助隊員などの専門職ユーザ向けのモバイル無線システムであるプライベートモバイル無線(PMR)システムと呼ばれる。
【0003】
現在のPMRシステムは、典型的に、一以上のリピータ(基地局)と、VHF(超短波)又はUHF(極超短波)周波数帯内で互いに且つ基地局と通信可能なモバイル端末とも呼ばれる複数のモバイル機器と、を有する。
【0004】
性能に関する限り、現在使われているPMRシステムは、各モバイル機器を有するユーザ同士が数キロ離れていても通信することを可能として幅広いサービスエリアを提供する。
【0005】
モバイル機器がモバイル機器同士により共有される無線チャネルにアクセスすることにより、通信が行われる。セキュリティ上の理由から、このアクセスは使用可能なモバイル機器のみに許可されており、これにより対応するPMRシステムのユーザの閉じたグループが形成され、このグループの管理、即ちユーザ許可の付与もまた動的に行われる。
【0006】
通信が一対一タイプ、即ちデータが第一モバイル機器から送信されて第二モバイル機器により受信されるだけであるようなセルラーネットワークとは異なり、PMRシステムでは、通信は一般的に一対多タイプであり、即ちデータが第一モバイル機器から送信されて同じグループに属するその他の全てのモバイル機器により受信される。さらに、通信は典型的に「押して話す、離して聞く」(PTT式)のタイプであり、ユーザがモバイル機器自体に設けられたプッシュボタンを押すとモバイル機器が無線チャネルにアクセスする。
【0007】
上記のPMRシステムの枠組みの範囲内において、異なるモバイル機器間の通信は、地上基幹無線システム(TETRA)基準、プロジェクト25基準、及びMPT1327基準(第一世代基幹無線基準)などの通信基準に準拠して行われる。
【0008】
TETRA基準は、スイッチング及び管理基盤(SwMI)としても知られるネットワーク基盤を必要とし、このネットワーク基盤は、基地局(BS)のネットワークを有し、対応する無線源を配分することにより様々なモバイル機器間の通信を仲裁するよう構成されている。
【0009】
TETRA基準によれば、異なるタイプの無線インターフェース、即ち異なる通信モード(プロトコル)が用いられてもよい。これらのモードに含まれるのは、モバイル機器が互いに直接通信するダイレクトモード(ダイレクトモード動作、DMO)、モバイル機器がネットワーク基盤SwMIを独占的に介して通信する基盤又は基幹モード(基幹モード動作、TMO)、DMOモードで動作するモバイル機器により発信される信号のリピータとしてモバイル機器が作用してネットワーク範囲が拡大するリピータモード、DMOモードで動作するモバイル機器のグループとTMOモードで動作するモバイル機器のグループとの間の仲裁手段としてモバイル機器が機能するゲートウェイモード(ゲートウェイモード動作、GMO)である。さらに、音声及びデータトラフィックに最適化されたTETRA無線インターフェース(音声プラスデータ、V+D)、及びデータパケットトラフィックに最適化されたTETRA無線インターフェース(パケットデータ最適化,PTO)があり、特に、V+D無線インターフェースを実行するモバイル機器の場合、モバイル機器は「トランキング(trunking)」モードで動作し、即ち無線チャネルを動的に使用及び切り離すことにより異なるユーザグループにより無線チャネルが有効に共有される。
【0010】
ネットワーク基盤が存在することにより、TETRA基準に準拠するPMRシステムは典型的に以下のサービスをユーザに提供することができ、これらのサービスは、半二重及びPTTモードでのグループ音声電話、緊急電話、動的グループ管理、優先メカニズムを用いた階層通信、及び低ビットレートのデジタルデータ送信を含む。特に、TETRA基準により、該基準に対応するモバイル機器を、携帯電話即ちSwMIネットワーク基盤を介して公衆交換電話網(PSTN)に接続された端末として、動作させることができ、また、「通信指令係」即ち一つのモバイル機器から発信された信号を同一グループに属する他のモバイル機器へと分配するモバイル機器の選択を介するグループ電話を実現することができる。
【0011】
北アメリカで一般的に使用されるプロジェクト25通信基準は、TETRA基準に類似しているとともに八個の異なる通信インターフェースを有している。プロジェクト25基準に適合したモバイル機器は従来の無線機器との間でアナログモードで通信可能であり、また、該モバイル機器同士の間でデジタル及びアナログで通信可能である。特に、モバイル機器間の通信はリピータによる仲介を介してデフォルト設定で行われるが、プロジェクト25基準には「トークアラウンド」と呼ばれるモードがさらに含まれており、これによりモバイル機器同士がネットワーク基盤の仲介を必要とすることなく直接通信可能となる。
【0012】
最後に、MPT1327基準は産業PMRシステム用の通信基準である。モバイル機器に加え、MPT1327はシステムコントローラ(トランキングシステムコントローラ)及びネットワーク基盤を必要とする。より詳細には、MPT1327基準に基づくPMRシステムはマルチ無線チャネルを有し、このうちの一つは制御チャネル(CC)として定義され、残りのチャネルは通話チャネル(TC)として定義される。モバイル機器及びネットワーク基盤間の通信は制御チャネル上で行われ、したがって一対一の電話及びグループ電話の両方が可能となる。
【0013】
上記の通信基準は広い地理的範囲にわたってグループ通信を提供するが、モバイル機器の位置測定はサポートしておらず、また高ビットレートでのデジタル通信も可能でない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
上記の課題を解決するため、特にデジタルデータの通信速度を増大させるために、改善された通信システムが提案される。該通信システムには、前述したタイプのモバイル機器と、広帯域機器、即ち例えばワイヤレスローカルエリアネットワーク(WLAN)技術をサポートする機器などの高ビットレートでデジタル通信を提供する機器と、が組み込まれている。
【0015】
いわゆるモバイルアドホックネットワーク(MANET)も開発され、これは一般的にノードと呼ばれるモバイル機器のネットワークであり、これは、調整アルゴリズムを分配型又は集中型で実行して従来ネットワーク基盤により実行された例えばデータルーティングなどの機能を実施する。そのようなモバイル機器のネットワークは、外部基盤がなくても動作可能であるが、ユーザに他のユーザの位置に関する情報を提供しないのでモバイル機器の相互位置測定を提供せず、したがって助けを必要としている可能性のあるユーザの迅速な位置測定が要求される専門的使用には不適切である。
【0016】
一方で、例えばグローバル・ポジショニング・システム(GPS)又はもっと単純な無線自動識別機器(RFID)ラベルなどのモバイル無線通信機器が知られている。また、携帯電話の識別装置により携帯電話がある携帯電話の位置を推測するGMS(グローバル・システム・フォー・モバイル・コミュニケーションズ)に組み込まれたモバイル無線通信機器も知られている。
【0017】
例えば、特許出願US6373430には、ワイヤレスネットワークを介して通信する、自らの位置を示す無線信号を送信する少なくとも一つの第二のユニットを有するポータブルGPS/無線ユニットが開示されている。GPS/無線ユニットは、複数のサテライトからサテライト信号を受信するGPS受信機、第二のユニットから送信された無線信号を受信する無線受信機、入力サテライト信号に依存するユニットの位置を算出するとともに入力無線信号に基づいて第二のユニットの位置を特定するプロセッサ、及び第二のユニットの位置を示す画像を有する。
【0018】
同様に、特許出願EP1162474には、自らの現在の位置を別のポータブル機器に通信するGPS型位置決め装置を有するポータブル機器が記載されている。この機器は、地理的な地図を取得する装置とこの地理的な地図に基づいて別のポータブル機器の現在の位置を示す画像とをさらに有する。
【0019】
一方で、特許出願EP1576386には、画像に組み込まれた地図作成位置測定装置、キーボード、ワイヤレスコミュニケーション手段、及びGPS位置測定手段が記載されている。
【0020】
したがって、EP1576386、EP1162474、US6373430、及びモバイル機器とネットワーク基盤とから構成されるシステムを有する周知のモバイル機器は、様々な問題を抱えている。特に、GPSシステムを用いるモバイル機器の場合、GPS受信機を利用するので位置測定は非常に正確であるものの、衛星群からの信号を受信して関連付けることができるよう空空間(sky vault)の適切な視認性が必要となる。反対に、RFIDラベルを用いる低コストのモバイル機器の場合、位置測定は狭い領域内でのみ可能であり、これはRFIDラベルが受け取る電力が少なく発信された信号が数メータ以上の距離まで到達できないからである。最後に、GSMネットワークによる位置測定システムは、しばしば大きな不正確さにより影響され、これによりGSMネットワークは専門的使用には不適切となる。さらに、GSMネットワークによる位置測定システムは、GSMネットワークの携帯電話の地図製作が公知のものではないことから電話会社によってした実行可能でない。
【0021】
また、当該分野で知られるモバイル機器は、サテライト型又は地上型のいずれかの位置測定システムがある時に、それ自体の及び他のモバイル機器の地理的位置の測定しかできない。そのため、上記したようなモバイル機器を有する通信及び位置測定システムは、閉空間又はネットワークサービスエリアの外の使用には一般的に適さない。さらに、上記のシステムのネットワークサービスエリアの有無に対して大きく依存することから、ネットワークサービスエリアの可能な妨害に起因するサービス提供の不確定さが許されないような、非常時の使用にも適さない。
【0022】
本発明は、従来技術の課題を少なくとも部分的に解決するモバイル通信及び位置測定機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明は特許請求の範囲の請求項1に記載のモバイル通信及び位置測定機器を開示する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施形態に基づくモバイル通信及び位置測定機器のブロック図である。
【図2】複数のモバイル通信及び位置測定機器間の接続スキームの例を示す図である。
【図3】本発明の実施形態に基づくデータ構造の例を示す。
【図4】本発明の実施形態に基づくモバイル通信及び位置測定機器において、該モバイル通信及び位置測定機器がデータパケットを受信した時に実行されるステップを示すフローチャートである。
【図5】モバイル通信及び位置測定機器間のデータ送信シーケンスの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明のより良い理解のために、本発明のいくつかの実施例を、本発明を限定することを意図しない図面を参照して説明する。
【0026】
図1には、モバイル通信及び位置測定機器、以下モバイル機器1という、が示される。モバイル機器1はマイクロコントローラユニット2を有し、該マイクロコントローラユニット2には、GPS受信機3、IEEE802.15.4基準に準拠し且つ好ましくは2.4GHz産業科学医療用(ISM)周波数帯内で動作する短距離無線インターフェース4、典型的にヘッドセットとマイク(図1には図示せず)を有する音響インターフェース5、画像6、PTT式押ボタン7a、緊急時押ボタン7b、及びローカル時計8を含む周辺機器が接続されている。
【0027】
マイクロコントローラユニット2は、とりわけ周辺機器と協動することで、モバイル機器のグループの作成、モバイル機器の追跡、グループ電話の処理、緊急時の信号発生、及び通信の暗号化などの機能をサポートするよう、設定されている。
【0028】
具体的には、各モバイル機器にユニークな識別子を割り当てることでモバイル機器のグループを作成することができる。実用的観点から、コンピュータにより実行される設定ソフトウェアなどの前記識別子をマイクロコントローラユニット2に読み込ませる外部プログラミング装置を用いてモバイル機器1に識別子を割り当てることができる。この割り当ては周知の技術を用いて実行されてもよく、したがって詳細は記載しない。
【0029】
モバイル機器の追跡はマイクロコントローラユニット2により実行される追跡アルゴリズムを介して達成される。このアルゴリズムについて図2の例を参照して説明する。図2は、符号10〜80で明確に示される八個のモバイル機器1からなるグループ100を示す。与えられたモバイル機器10〜80のグループについて、追跡アルゴリズムにより、各モバイル機器10〜80は他のモバイル機器10〜80の相対位置を決定することができる。
【0030】
図2は、モバイル機器10がどの様に追跡アルゴリズムを実行するかを示す。また該アルゴリズムは残りのモバイル機器20〜80によっても同様に実行される。
【0031】
追跡アルゴリズムによると、モバイル機器10は、マイクロコントローラユニット2内に他のモバイル機器20〜80に関する情報を含むデータ構造を格納する。具体的には、データ構造には、モバイル機器10にとって周知のモバイル機器20〜80、即ち図中においてモバイル機器10により情報が有されるモバイル機器20〜80、の各々に対し一つのエントリーを含む。各エントリーは対応するモバイル機器に関する情報を含む。さらに、モバイル機器10は周知のモバイル機器、この例においては全てのモバイル機器20〜80とされる、を以下の三つのカテゴリに分類する。
−第一カテゴリは、モバイル機器10と直接通信可能な、即ちモバイル機器10と電磁信号を交換して該モバイル機器10と直接通信できる、モバイル機器20及び30を有する。
−第二カテゴリは、中間モバイル機器を仲介してモバイル機器10と間接的に通信可能なモバイル機器40、50、60を有する。したがってモバイル機器40、50、60は、空間内にモバイル機器10と考慮するモバイル機器40、50、60との間に対応する経路C1、C2、C3を形成するよう配される。各経路C1、C2、C3は中間モバイル機器の連続(それぞれ、モバイル機器20、モバイル機器30、モバイル機器30及び50)により形成され、直前のモバイル機器及び次のモバイル機器と各中間モバイル機器とは前記連続内において直接通信可能である。
−第三カテゴリは、モバイル機器10と直接的にも間接的にも通信不可能な、即ちモバイル機器10とは通信不可能であるものの前情報に基づき周知の、モバイル機器70及び80を有し、以下に詳細に説明する。
【0032】
各エントリーに含まれる情報は対応するモバイル機器20〜80が属するカテゴリによる。しかしながら、例えば、対応するモバイル機器20〜80の識別子、アラーム状態の表示、可能であれば対応するモバイル機器の絶対位置、及び後述するタイムスタンプなどのいくつかの情報は、全エントリー内で利用可能である。
【0033】
第一カテゴリに属するモバイル機器(モバイル機器20及び30)について、エントリーは、モバイル機器20、30のモバイル機器10からの推定相対距離をさらに含む。
【0034】
第二カテゴリに属するモバイル機器(モバイル機器40、50及び60)について、エントリーは、最短経路長さを含み、該最短経路長さは該最短経路を構成する中間モバイル機器の数として表わされる。
【0035】
第三カテゴリに属するモバイル機器(モバイル機器70、80)についてはさらなる情報はない。
【0036】
図3は、図2の接続スキームを参照して、モバイル機器10による上記データ構造の考えられる実行の定性的な例を示す。
【0037】
モバイル機器10は例えば約一秒の周期で周期的にデータパケットを送信して、モバイル機器20〜80の位置を測定するとともにモバイル機器10自体のデータ構造に含まれる情報を前記モバイル装置20〜80に送信する。このデータパケット又はより正確にはこれに対応する電磁信号は、周期的に異なる送信電力Peで送信される。
【0038】
各データパケットには以下のデータが含まれる。
−モバイル機器10の識別子
−離散的な電力レベルで表わされる、データパケット送信時の送信電力Pe
−可能であれば、典型的にはモバイル機器10自体のGPS受信機3を用いて任意の位置測定技法で取得されるモバイル機器10の最新推定絶対位置
−緊急時押ボタン7bを押すことでユーザによりセットされていてもよい、モバイル機器10のアラーム状態の表示
【0039】
上記の情報に加え、データパケットには、上記データ構造から得られるモバイル機器に関する追加情報がさらに含まれる。
【0040】
モバイル機器10と直接通信可能なモバイル機器20、30の場合、上記追加情報には考慮している各モバイル機器20、30について以下の情報が含まれる。
−モバイル機器10と考慮しているモバイル機器20、30との間の最新推定距離
−前記最新推定距離が算出された時点とデータパケットが送信された時点との間の経過時間
−可能であれば、考慮しているモバイル機器20、30の絶対位置
−考慮しているモバイル機器20、30の可能なアラーム状態に関する表示
【0041】
モバイル機器10と間接通信可能なモバイル機器40、50、60の場合、上記追加情報には、考慮している各モバイル機器40〜60について以下の情報が含まれる。
−モバイル機器10と考慮しているモバイル機器40〜60との間の最新最短距離長さ
−第一中間モバイル機器がそれ自体のデータ構造内に対応するエントリーを作成するために用いたデータパケットを間接通信可能なモバイル機器40〜60が送信した時点と、モバイル機器10がデータパケットを送信した時点との間の経過時間
−可能であれば、考慮しているモバイル機器40〜60の絶対位置、及び
−考慮しているモバイル機器40〜60の可能なアラーム状態に関する表示
【0042】
最後に、直接的にも間接的にも通信不可能なモバイル機器70、80の場合、各々について上記追加情報には以下の情報が含まれる。
−考慮するモバイル機器70、80の通信不可状態に関する表示
−モバイル機器10が考慮するモバイル機器70、80に関する情報を少なくとも一つ含む前回データパケットを受信した時点からの経過時間
−可能であれば、モバイル機器10に周知の考慮するモバイル機器70、80の前回絶対位置
【0043】
モバイル機器10は上記した種類のデータパケットを周期的に送信する。直接通信可能なモバイル機器(以下、これをセンダーモバイル機器といい、図2のモバイル機器20及び30に対応する)は、そのようなパケットを受信し、以下で説明するように該パケットの内容に基づいて自らのデータ構造を更新する。したがって、グループ100に属するモバイル機器10〜80は、自らの空間的位置に関する情報をブロードキャスト送信してモバイル機器10〜80の各々が他のモバイル機器10〜80の位置を知ることができるよう、互いに協動する。
【0044】
図2を参照して、モバイル機器10〜80がデータパケットを受信した時にモバイル機器10〜80により実行されるデータ構造更新手順を説明する。簡単のために、モバイル機器20により実行される更新手順を以下に記載するが、同様の手順が残りのモバイル機器10、30〜80によっても実行される。さらに、モバイル機器20により受信されたデータパケットはモバイル機器10により送信されたものと仮定し、該データパケットはモバイル機器30及び50に関する情報、特にモバイル機器30がモバイル機器10と直接通信可能であるという情報及びモバイル機器50が一つの中間ユニット即ちモバイル機器30を有する経路を介してモバイル機器10と間接通信可能であるという情報を含むとする。さらに、データパケットはモバイル機器10により送信電力Peで送信され且つ受信電力Prでモバイル機器20により受信されたとする。
【0045】
図4に示されるとおり、データパケットがある受信時点で受信された後、モバイル機器20はデータパケットに含まれる識別子からモバイル機器10を識別するとともに自らのデータ構造を以下のステップで更新する。
−モバイル機器20は自らのローカル時計8を使用してデータパケットの受信時点を算出する(ブロック190)
−本明細書には記載しない周知の技法を用いて、データパケットに示された送信電力Peとモバイル機器20により測定された受信電力Prとの間の差分に等しい電力損失△Pに基づいて、モバイル機器20とモバイル機器10との間の推定距離を算出する(ブロック200)
−モバイル機器10を直接通信可能と分類する(ブロック210)
−前回エントリーを更新(ブロック220)又は新しいエントリーを作成(ブロック230)することにより、モバイル機器20とモバイル機器10との間の推定距離をモバイル機器20自らのデータ構造の対応するエントリー内に格納し(ブロック220、230)、そして、前記エントリー(新しい又は更新されたエントリー)内にデータパケットの受信時点を示すタイムスタンプを入力する
−データパケットに含まれるモバイル機器30及び50に関する情報に基づいて、発生時点、即ち前記情報が参照する時点、を、パケット受信時点からデータパケット自体に含まれる各時間間隔を差し引くことにより算出する(ブロック240)。前記発生時点はパケット送信と前記情報の発生との間の経過時間を示す。
−データパケットに情報が含まれる各モバイル機器30、50について、モバイル機器20自体のデータ構造内に対応するエントリーが存在するか検証する(ブロック250)
−整合するエントリーが存在しない場合、対応するエントリーを作成し(ブロック260)、考慮しているモバイル機器30、50を間接通信可能と分類し(ブロック270)、そして経路長さ(図4中の符号1)に関する情報及び前回算出された発生時点を入力する(ブロック280、290)。経路長さの情報は考慮するモバイル機器30、50のタイプに依存し、モバイル機器30については最短経路長さに関する情報は1にセットされ(ブロック280)、モバイル機器50については、最短経路に関する情報は、図4でIpと示されるパケットに示された値を1単位増加させることにより2にセットされる(ブロック290)
−反対に、整合するエントリーがすでに存在する場合には、発生時点とエントリー内に含まれるタイムスタンプとを比較し(ブロック300)、続いて、以下の場合のみエントリーを更新する(ブロック310)
−i)発生時点がエントリー内に含まれるタイムスタンプの後である場合、又は
−ii)発生時点がタイムスタンプに整合した場合、ii.a)モバイル10と直接通信可能なモバイル機器30について、モバイル機器30が、前回、1よりも長い最短経路長さを介して間接通信可能であったことを、対応するエントリーが示す場合、又はii.b)モバイル機器10と間接通信可能なモバイル機器50について、データパケット内に示された1単位増加した最短経路長さが、対応するエントリー内に格納された最短経路長さよりも短い場合
−可能であれば、モバイル機器10及びモバイル機器30〜80両方の絶対位置に関する情報を格納する(ブロック320)
−任意のモバイル機器に関するアラーム状態の情報を格納する(ブロック330)
【0046】
モバイル機器20がモバイル機器10、30〜80に関する情報を含むデータパケットを所定閾値よりも長い間受信しなければ、モバイル機器20は、その様なモバイル機器10、30〜80を通信不可能と分類することで自らのデータ構造内の対応するエントリーを更新する。
【0047】
換言すれば、データ構造の各エントリーのタイムスタンプは、ローカル時計に対して算出された、対応する情報が参照する時点を示す。
【0048】
実際、直接通信可能なモバイル機器においては、タイムスタンプはデータパケットの受信時点を示す。反対に、間接通信可能なモバイル機器においては、タイムスタンプは、最短経路に沿って続いて伝達される情報を決定するために使用されたデータパケットを、最短経路の第一機器が、考慮するモバイル機器から受信した時点、即ち伝達時間が無視できると仮定すると考慮するモバイル機器による送信時点、を示す。
【0049】
例として、図3には、三つのモバイル機器10、20、30が示され、各モバイル機器10、20、30は初期状態では他のモバイル機器の位置に関する情報を有していない。また、モバイル機器10、20、30は、モバイル機器10、20、30とセンダーモバイル機器との間の推定距離をデータパケットの受信直後に算出するよう構成されているとともにデータパケットの伝達時間は無視できるものと仮定する。
【0050】
時間t0において、モバイル機器10が、モバイル機器20によってのみ受信される第一データパケットを送信する(実線)とすると、続いてモバイル機器20は、この第一データパケットに基づいてモバイル機器10に関するエントリーを入力するとともにモバイル機器10との間の推定距離を関連付けることにより自らのデータ構造を更新する。したがってこのエントリーに関連するタイムスタンプは前記パケットの受信時点、即ち時間t0となる。
【0051】
続いて、時間t1において、モバイル機器20は、時間△tがt1−t0である時間にモバイル機器10がモバイル20と直接通信したことを示す情報を含む第二データパケットを送信する(点線)。前記第二データパケットは、例えばモバイル機器10が移動したためにモバイル機器20がモバイル機器10と通信できなくなるので、モバイル機器30によってのみ受信される。前記第二データパケットに基づいて、モバイル機器30は、モバイル機器30とモバイル機器20との間の推定距離と自らのローカル時計に基づいて決定された時間t1’に等しいタイムスタンプとを含むモバイル機器20についてのエントリーを作成することにより、自らのデータ構造を更新する。
【0052】
換言すれば、時間t1’はモバイル機器30のローカル時計に基づいた時間t1を表わす。さらに、モバイル機器30は、モバイル機器10についてのエントリーをさらに作成し、ここでモバイル機器30は間接接続を格納して最短経路1と時間t0’=t1’−△tに対応するタイムスタンプとをセットする。これにより、モバイル機器のローカル時計を同期させる必要がなくなるとともに、全てのモバイル機器において正しい事象の連続が保たれる。
【0053】
上記の追跡アルゴリズムを実行することにより、モバイル機器10〜80は他のモバイル機器10〜80の位置に関する情報を取得することができ、この中で、無線インターフェース4又は音声通信においては音声インターフェース5を用いるとともにそれら全てが各マイクロコントローラユニット2と協動して動作させることにより、モバイル機器10〜80間の通信が周知の技法により可能となる。
【0054】
モバイル機器10が正常に動作しているならば、他のモバイル機器10〜80の位置(絶対位置又は相対位置)に関する情報が画像6上に表示される。受信されたデータパケットに、モバイル機器のアラーム状態に関する表示が含まれている場合、マイクロプロセッサユニット2が音声インターフェース5及び/又は画像6を制御して音響及び/又は視覚警告を発生させる。マイクロプロセッサユニット2は、所定の時間が経過した後に前記警告信号を停止するよう構成されている。
【0055】
同様にして、マイクロプロセッサユニット2は、有利には、モバイル機器のいずれかが通信不可と分類されたことを検知したときにも前記信号を発生するよう構成されている。
【0056】
グループ電話管理に関する限りでいえば、上記したタイプのモバイル機器は通信チャネルを共有しており、即ちこれらのモバイル機器は同じ周波数帯を使用して互いに通信しているので、互いにモニタリングするだけでなくデータ(例えば音声データ)を交換することもできる。さらに、各モバイル機器は、通信チャネルを共有することにより、内蔵された音声インターフェース5を介して発生した音声情報などの情報を、一対多電話スキームに基づいて他の全てのモバイル機器にブロードキャスト送信することができる。
【0057】
前記ブロードキャスト送信は、ユーザがPTT式押ボタン7aを押すと初期化されるとともに通信チャネルへアクセスする可能性、即ち実際の周波数帯の使用の可能性の度合いに依存する。実際に、共用通信チャネルが当然ながら制限された周波数帯を有することから、単一のモバイル機器による通信チャネルへのアクセスは、仲裁アルゴリズムにしたがって仲裁される。
【0058】
例として、仲裁アルゴリズムは、モバイル機器が所定の順番で一つずつ通信チャネルにアクセスすることに応じて使用され、これらのモバイル機器には異なる優先順位が割り当てられている。さらに、例えば仲裁アルゴリズムは緊急事態にあるモバイル機器に高い優先順位を与えることで前記順番を動的に変化させてもよく、これにより必要時に迅速に警告が発生する。複数の機器が緊急事態にある場合、そのような機器について、通信チャネルへのアクセスは所定の順番に基づいて処理され、即ちそのような機器がアラーム状態にない場合のように処理され、したがって通信チャネルへのアクセスは所定の優先順位を反映する。
【0059】
セキュリティ上の理由から、モバイル機器間の通信は周知の暗号化技法を用いて暗号化されるが、本明細書には記載しない。
【0060】
上記のモバイル機器を複数有するシステムにおいて、固定の基盤がなくとも、各モバイル機器が他のモバイル機器と通信してシステム自体の構成とモバイル機器の位置とに関する情報を協動して作成する。その上、上記のモバイル機器同士の同等の(即ち非階層的な)性質により、上記システムは一つのモバイル機器の異常に対して回復力を有するものとなる。
【0061】
最後に、本明細書内に記載した通信及び位置測定機器1は、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲を逸脱しない限りで変更及び修正可能であることは、明らかである。具体的には、GPS受信機3の換わりにガリレオシステムなどの異なる位置測定システムを用いてもよい。同様に、緊急時押ボタン7bの換わりに、音声認識装置などの別の機能的に等価な緊急時信号発生装置を用いてもよい。さらに、特定の実施形態においては、PTT式押ボタン7a及び音声インターフェース5を省いてもよく、このようなモバイル機器1の実施形態においては、ユーザは緊急状態を通知することのみできる。最後に、画像6を省いてもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のモバイルネットワーク機器(10〜80)と協動して動作するよう構成されたモバイル通信及び位置測定機器(1)において、
プロセッシングユニット(2)と、
対応するモバイルネットワーク機器(10〜80)と対応するタイムスタンプとに関する情報を各々が有する複数のエントリーを含むデータ構造と、
対応するモバイルネットワーク機器(10〜80)の位置を示す位置データを有するデータパケットを各送信時点で送信する手段(4)と、
使用中、前記複数のモバイルネットワーク機器(10〜80)に属するセンダーモバイル機器(10〜80)から送信されたデータパケットを受信する手段(4)と、
前記送信する手段により送信された前記データパケットに含まれる前記位置データに基づいて、対応するモバイルネットワーク機器(10〜80)の相対位置を測定する手段(190〜310)と、
を有していることを特徴とするモバイル通信及び位置測定機器。
【請求項2】
前記プロセッシングユニット(2)が、前記センダーモバイル機器(10〜80)からの推定距離を算出する手段(200)を有し、
前記推定距離は対応する算出時点において算出される
ことを特徴とする請求項1に記載のモバイル通信及び位置測定機器。
【請求項3】
各データパケットは各送信電力Peを示す電力データを有し、
前記推定距離は前記データパケットに含まれる前記電力データに基づいて算出される
ことを特徴とする請求項2に記載のモバイル通信及び位置測定機器。
【請求項4】
受信されたデータパケットに関連する受信電力Prを測定し、前記送信電力Peと前記受信電力Prとの間の差分に等しい電力損失△Pを算出することにより、前記推定距離が算出されることを特徴とする請求項3に記載のモバイル通信及び位置測定機器。
【請求項5】
前記データ構造の各エントリーに含まれる対応するモバイルネットワーク機器(10〜80)に関する情報には、
前記センダーモバイル機器(10〜80)からの推定距離と、ここで前記対応するタイムスタンプは前記推定距離を算出するために用いられる前記電力データを有する前記データパケットの受信時点を示すとされ、
前記モバイルネットワーク機器(10〜80)の連続に属し該連続を介して間接通信可能な第一モバイルネットワーク機器(10〜80)の場合は最短経路長さ(C1、C2、C3)と、ここで前記対応するタイムスタンプは前記第一モバイルネットワーク機器(10〜80)によるデータパケットの発生時点を示すとされる、
が含まれる
ことを特徴とする請求項2〜4のいずれか一項に記載のモバイル通信及び位置測定機器。
【請求項6】
各データパケットは、各位置データについて時間表示をさらに有し、
前記各位置データには、
直接通信可能な場合は前記各モバイルネットワーク機器(10〜80)からの推定距離と、ここで前記対応するタイムスタンプは前記推定距離の算出に用いられた前記電力データを含む前記データパケットの受信時点と前記データパケットの送信時点との間の経過時間を示すとされ、
前記モバイルネットワーク機器(10〜80)の連続に属するとともに該連続を介して間接通信可能な第一モバイルネットワーク機器(10〜80)の場合は最短経路長さ(C1、C2、C3)と、ここで前記対応するタイムスタンプは前記発生時点と前記送信時点との間の経過時間を示すとされる、
が含まれる
ことを特徴とする請求項5に記載のモバイル通信及び位置測定機器。
【請求項7】
前記相対位置を測定する手段(190〜310)が、
各データパケットの受信時点を測定する手段(190)と、
前記データパケット内に含まれる位置データによって特定される各モバイルネットワーク機器(10〜80)について、前記受信時点と前記対応する時間表示との間の差分に等しいタイムスタンプを算出する手段(240)と、
前記データ構造が前記特定されたモバイルネットワーク機器(10〜80)に関するエントリーを有するか否かを検証する手段(250)と、
前記特定されたモバイルネットワーク機器(10〜80)についてエントリーがない場合に作動し且つ1単位増加された前記最短経路長と前記タイムスタンプとを前記特定されたモバイルネットワーク機器(10〜80)に関連づける、新しいエントリーを作成する手段(260)と、
前記特定されたモバイルネットワーク機器(10〜80)についての前記エントリーが既に存在し且つ前記格納されたタイムスタンプを含む場合に作動する、前記算出されたタイムスタンプと格納されたタイムスタンプとを比較する手段(300、310)と、
を有し、
前記比較する手段は前記算出されたタイムスタンプが前記格納されたタイムスタンプの後であるならば前記エントリーを更新するよう構成されている
ことを特徴とする請求項5又は6に記載のモバイル通信及び位置測定機器。
【請求項8】
前記比較する手段(300、310)は、前記算出されたタイムスタンプが前記格納されたタイムスタンプに整合し、前記データパケットが前記エントリーに含まれる前記最短経路長さよりも短い最短経路を示すならば前記エントリーを更新するよう構成されていることを特徴とする請求項7に記載のモバイル通信及び位置測定機器。
【請求項9】
前記モバイル通信及び位置測定機器(1)自体の絶対位置を推定する位置測定手段(3)をさらに有することを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載のモバイル通信及び位置測定機器。
【請求項10】
前記データパケットが対応するモバイルネットワーク機器(10〜80)の推定絶対位置を含むことを特徴とする請求項9に記載のモバイル通信及び位置測定機器。
【請求項11】
アラーム状態の信号を発生する手段(7b)をさらに含むことを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載のモバイル通信及び位置測定機器。
【請求項12】
前記データパケットが対応するモバイルネットワーク機器(10〜80)の前記アラーム状態の表示を含むことを特徴とする請求項11に記載のモバイル通信及び位置測定機器。
【請求項13】
前記モバイルネットワーク機器(10〜80)の位置を表示する手段(6)をさらに含むことを特徴とする請求項1〜12のいずれか一項に記載のモバイル通信及び位置測定機器。
【請求項14】
前記データパケットを送信する手段(4)と前記送信されたデータパケットを受信する手段(4)とが、通信チャネルを規定する同じ周波数帯で動作するよう構成されていることを特徴とする請求項1〜13のいずれか一項に記載のモバイル通信及び位置測定機器。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれか一項に記載の複数のモバイル通信及び位置測定機器(10〜80)を有することを特徴とするモバイルコミュニケーションシステム(100)。
【請求項16】
請求項14に記載の複数のモバイル通信及び位置測定機器(10〜80)を有し、
前記モバイル通信及び位置測定機器(10〜80)が、仲裁アルゴリズムにしたがって前記通信チャネルにアクセスするよう構成されている
ことを特徴とするモバイルコミュニケーションシステム(100)。
【請求項17】
前記仲裁アルゴリズムが、前記モバイル通信及び位置測定機器(10〜80)がアラーム状態にあるか否かに基づいて前記モバイル通信及び位置測定機器(10〜80)に異なる優先順位を割り当てるよう構成されていることを特徴とする請求項16に記載のモバイルコミュニケーションシステム(100)。
【請求項18】
モバイルネットワーク機器(10〜80)の位置を測定する方法において、
各々が対応するモバイルネットワーク機器(10〜80)と対応するタイムスタンプとに関する情報を有する複数のエントリーを含むデータ構造を構築するステップと、
各々が対応するモバイルネットワーク機器(10〜80)の位置を示す位置データを含むデータパケットを、各送信時点において送信するステップと、
モバイルネットワーク機器により送信されたデータパケットを送信するステップと、
前記データパケットに含まれる前記位置データに基づいて、対応するモバイルネットワーク機器(10〜80)の相対位置を測定するステップ(190〜310)と、
を含むことを特徴とするモバイルネットワーク機器(10〜80)の位置を測定する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2011−525073(P2011−525073A)
【公表日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−513068(P2011−513068)
【出願日】平成21年6月12日(2009.6.12)
【国際出願番号】PCT/IB2009/005939
【国際公開番号】WO2009/150527
【国際公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
【出願人】(510317313)シスベル テクノロジー ソシエタ ア レスポンサビリタ リミタータ (1)
【Fターム(参考)】