説明

モバイル通信装置

【課題】携帯電話の電源オフが求められる環境でも、搭載されているオフライン機能をより容易に活用できるモバイル通信装置を提供する。
【解決手段】カメラ機能などを電波出力禁止状態で使用する場合はその旨の周囲への告知を行うようにするとともに、このような告知を行わないカスタム設定は不可能として告知の信用性を確保する。告知は光で行い、通常は白色点灯するカメラ機能の補助照明部を緑色で点滅点灯させる。緑色の告知発光は電波出力禁止状態でカメラを使用している間継続し、撮影のための白色発光の間だけ中断する。告知は音で行い、安全を直感できる「グリーンモードです」等のフレーズを3秒間隔で二回アナウンスするセットを1分間隔で繰り返す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話などのモバイル通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話などのモバイル通信装置は通信を行っていなくても電波を常時発信しているため、病院や発着時の航空機の中など周囲に悪影響を及ぼす場所では、電源を切ることが求められる。また、ペースメーカ装着者の安全保護のため、電車などでは「携帯電話オフ車両」が設けられている場合もある。一方、上記のような電波発生による悪影響の問題に対応するため、電源そのものは切らずに電波出力のみを禁止し、音楽の再生やゲームのプレイなどオフラインでの機能は可能とするモードが選択できるよう構成されているモバイル通信装置も販売されている。また、このようなモードでモバイル通信装置を使用していることを周囲の人に告知するため、電波出力発生禁止状態であることが認識できる共通のアイコンを一般化し、これをモバイル通信装置で表示する提案も行われている。このような電波出力禁止モードを持つモバイル通信装置に関しては、その使用法をめぐって種々の提案が行われている。
【特許文献1】特開2005−229163号公報
【特許文献2】特開2006−229415号公報
【特許文献3】特開2006−253802号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、電波出力禁止モードは提案されてから久しいにも係らず、周囲の人にとっては電波出力状態での使用との区別が容易でないため、その普及のため検討すべき課題は多い。
【0004】
本発明の課題は、上記に鑑み、携帯電話の電源オフが求められる環境でも、搭載されているオフライン機能をより容易に活用できるモバイル通信装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を達成するため、本発明は、電波送受信部に関連する第一機能部と、電波送受信部に関連しない第二機能部と、第一機能部の機能を許可するか禁止するかを切換える切換部と、第一機能部の機能が禁止されていることを告知する告知部と、第一機能部の機能が禁止されているときに前記告知部の告知が行われない状態が生じ得ないよう制御する制御部とを有するモバイル通信装置を提供する。
【0006】
モバイル通信機器における通常の告知手段は、告知を行うかどうかが使用者のカスタム設定により選択可能となっているが、上記本発明の特徴によれば、第一機能部の機能が禁止されているときに前記告知部の告知が行われない状態となるようなカスタム設定ができないので、告知部による告知が行われているときには必ず電波が出力されていないことの信用性が確保できる。
【0007】
本発明の告知部は、例えば光によって告知を行うものであるが、この場合、本発明の詳細な特徴によれば、電波が出力されておらず安全であることを直感的に認知させるために緑色の光が用いられる。また、他の具体的な特徴によれば、告知部の光は第一機能部の機能が禁止されていることを告知すべく定められた点滅を伴う。
【0008】
本発明の他の具体的な特徴によれば、告知部は音によって告知を行うが、この場合より具体的な特徴によれば、電波が出力されておらず安全であることを直感的に認知させるたに「グリーン」というアナウンスフレーズを含む。
【0009】
また、他の具体的な特徴によれば、告知部の音は短時間間隔で所定回繰り返されるフレーズをワンセットとし、このワンセットをより長時間間隔を置いて繰り返すアナウンスとする。これによって、周囲の人が比較的固定している電波出力禁止環境において、同一人にアナウンスを繰り返すことが避けられるとともに、周囲の人の入れ替わりにも対応することができる。
【0010】
本発明の他の特徴によれば、電波送受信部に関連する機能部と、補助照明部を持つカメラ部と、機能部の機能を許可するか禁止するかを切換える切換部と、機能部の機能が禁止されているときに補助照明部によりその旨の告知を行う制御部とを有することを特徴とするモバイル通信装置が提供される。これによって、周囲の人から目立ち易くかつ使用中の機能に関係の深い告知手段によって電波出力禁止モードにてモバイル通信装置を使用していることを告知することができる。
【0011】
本発明の具体的な特徴によれば、補助照明部は機能部の機能が禁止されていることを告知する際、撮影に用いられる場合と異なる発光を行う。これによって告知力がより高まる。例えば、撮影に用いられる白色発光に対し、告知に緑色を用いれば電波が出ておらず安全であることを直感的に告知できるので好適である。また、告知の際に撮影の際より少ないエネルギーで発光させることにより電力消費を低減できる。さらに、告知の際に認知力のある点滅発光をおこなうことにより告知力を高めることができる。このように、撮影時と告知時とで異なる発光を行うことには種々の利点がある。
【0012】
本発明のさらに具体的な特徴によれば、機能部の機能が禁止されていることを告知するための補助照明部の発光は、機能部の機能が禁止されている間継続される。これによって、告知が常に行われ、周囲の人の入れ替わりにも対応することができる。
【0013】
本発明のさらに具体的な特徴によれば、機能部の機能が禁止されていることを告知するための補助照明部の発光は、撮影のために補助照明が必要な間だけ中断される。これによって、撮影に悪影響が及ぶことが防止できるとともに、中断は短時間なので告知能力を損なうこともない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1は、本発明の実施の形態に係るモバイル通信装置の実施例を示すブロック図である。本実施例は携帯電話2として構成されており、携帯電話2全体を制御するためのマイクロコンピュータからなる制御部4が操作部6の操作に応じて、電話機能部8などを制御する。操作部6は電源スイッチの機能も有する。電話機能部8は通常の電話機能に関する部分であり、音声の処理部や送話器、受話器を含む。
【0015】
制御部4の機能は、記憶部8に格納されたソフトウエアによって実行される。記憶部8は、また携帯電話2全体の制御に必要な種々のデータを一時的に格納するとともに、住所録データなど携帯電話に蓄積保持すべき情報の記憶装置にもなっている。制御部4は、さらに表示部10を制御し、操作部6の操作と連携するGUI表示を行うとともに制御結果の表示を行う。
【0016】
制御部4は、ゲーム機能部12の制御も行っている。このゲーム機能部12は、主にオフラインで機能するものであるがオンラインゲームにも関与して機能することができる。当然ながらゲームのプレイは操作部6と表示部10のGUIによって行われる。制御部4は、さらにAV記録再生部14を制御し、音楽やビデオコンテンツの記録再生を行っている。AV記録再生部14によるコンテンツの記録再生においても操作部6と表示部10によるGUIが関与する。AV記録再生部14も主にオフラインで機能するものであるが、オンラインでのコンテンツのダウンロードにも関与して機能することができる。
【0017】
携帯電話2は、電話機能部8および電話通信部16により通常の通話を含む電話回線を介した無線通信を行うことができる。携帯電話2には、これと別に、不図示の無線LAN、Bluetooth(商標)、微弱電波などによる近距離通信部が備えられており、近距離通信圏内に存在する他の携帯電話等との無線通信も可能となっている。この携帯近距離通信部は法規制上問題のない規格に基づくものであって、通信圏は限られるが電話回線などのように料金が発生しないものである。
【0018】
また、携帯電話2は、カメラ部18を有し、撮影した画像を記憶部8に記憶することが可能であるとともに、電話通信部16によって画像を他の携帯電話に送信することができる。このようにカメラ部18も主にオフラインで機能するものであるが、上記のようにオンラインでの画像通信にも関与して機能することができる。カメラ部18は、周囲が暗いときの撮影に用いられる補助照明部19を有しており、撮影時または撮影時前後に被写体に向けて照明光を発生する。補助照明部19はカメラ部の撮影レンズと同じ方向に向けて撮影レンズに近接して設けられており、白色LEDまたはフラッシュ閃光管によって構成される。
【0019】
なお、携帯電話2は、充電式の主電源20によって給電されていると共に、記憶部8はさらにリチウム電池などからなる補助電源22によりバックアップされている。これによって、主電源20の放電や交換の際に記憶部8に記憶されている情報が揮発するのを防ぐ。
【0020】
携帯電話2には、さらにイヤホンプラグを挿入するためのジャック24を有するイヤホン挿入部26が設けられている。ジャック24は一般的なイヤホンプラグを挿入することが可能であるとともに、電波出力禁止モード専用イヤホンのための専用プラグ28を挿入することも可能となっている。イヤホン挿入部26は、さらにメカ検知部30を有し、専用プラグ28がイヤホン挿入部26に挿入されているか否かを判別する。
【0021】
電波出力禁止モード専用イヤホンは、専用プラグ28、専用リモコン32、左用イヤホン34および右用イヤホン36からなっており、専用プラグ28と専用リモコン32は音声信号及び制御信号を伝えるケーブル38で接続されているとともに、専用リモコン32と左用イヤホン34および専用リモコン32と右用イヤホン36はそれぞれ音声信号を伝えるケーブル40、42によって接続されている。
【0022】
専用リモコン32、左用イヤホン34および右用イヤホン36およびこれらに接続されているケーブル、はそれぞれ電波出力禁止モード専用イヤホンであることを告知するために外観が共通色(例えば緑)で構成されている。専用リモコン32はGUI操作のための操作部44および表示部46を有するとともに、電波出力禁止状態であることを示すために共通に定められている電波禁止アイコン48が外観の目立つところに固定的に設けられている。一方、左用イヤホン34および右用イヤホン36にも、同様の電波禁止アイコン50、52がそれぞれ外観の目立つところに固定的に設けられている。電波禁止アイコンの設置場所は、専用リモコン32、左用イヤホン34および右用イヤホン36だけでなく、これらに接続されているケーブル38、40および42にもそれぞれ旗のような形状で設置してもよい。
【0023】
上記のように構成することにより、周囲の人は電波出力禁止モード専用イヤホンの外観色または電波禁止アイコンにより、携帯電話2が電場出力禁止モードで使用されていることを知ることができる。なお、携帯電話2は、電波出力禁止モード専用イヤホンが使用されている限り、即ち専用プラグ28がイヤホン挿入部26に挿入されている限り、通常通信モードでは使用できないよう構成されており、電波出力禁止モード専用イヤホンによる周囲への告知と携帯電話2の状態が矛盾しないようになっている。この点については、後に詳述する。
【0024】
電波出力禁止モード専用イヤホンは、AV記録再生部14またはゲーム機能部12のように基本的には、携帯電話2をオフラインで使用する際に用いられるものであるが、カメラ部18も基本的には携帯電話2をオフラインにして使用される。従って、カメラ部18も、電波出力禁止モードで使用する際にこれを周囲に告知するため、補助照明部19を共通色(例えば緑とし、電波出力禁止モード専用イヤホンの外観色と統一して、一般的な電波出力禁止モード告知色とする)で電波出力禁止モード設定中を通じて発光させるよう構成される。なお、このような電波出力禁止状態告知用の発光は、撮影補助光よりも少ないエネルギー消費で行われるとともに、その発光態様についても、電波出力禁止状態であることを示すために定められている共通タイミングで点滅させ、発光を目立たせるとともにその意味を明らかにする。
【0025】
上記のように補助照明部19を通常の撮影補助光と異なる色により異なった態様で発光させるためには、補助照明部19の照明窓を共通にして別の光源を設けるかまたは照明窓の色フィルタをメカ的に切換えるようにする。また照明光の制御については、共通の回路を兼用してもよ
く、また専用の回路を切換えて使用してもよい。補助照明部19の管理については、後に詳述する。
【0026】
図2は、図1の実施例における制御部4におけるモード切換え管理機能の基本フローチャートである。各種モード中の動作については、通常の携帯電話と同様であるので、図2では、説明を省略している。図2のフローは、携帯電話2の電源オン操作によってスタートし、まずステップS2で電波出力禁止モードを自動設定する。このように本発明の実施例では、電源が投入されると、まず電波出力モードにて携帯電話2を立ち上げ、電源投入時の電波出力による不測の事態を防止する。ステップS2のもう一つの意義は、電源投入時点で既に専用イヤホンが装着されている場合に備え、電波出力を最初から禁止しておくことにある。ステップS2に次いで、ステップS4では携帯電話機能の初期立上げおよび各部機能チェックが行われる。
【0027】
ステップS4での初期立上げと各部機能チェックが完了するとステップS6で専用イヤホンが装着されているかどうかをチェックする。このチェックの情報元は、図1のメカ検出部30である。ステップS6で専用イヤホンが装着されていることが検出されると、ステップS8で、電波出力禁止モード設定中であるかどうかがチェックされ、設定中でなければステップS10に進んで電波出力禁止モードを自動設定する。これによって、専用イヤホンが装着されている限り、携帯電話2は電波を出力する通常通信モードでは機能できなくなる。次いでステップS12で電波出力禁止モードアイコンの表示を指示してステップS14の電波出力モード管理処理に移行する。なお、ステップS12での指示は表示部10において電波禁止アイコンを表示させるものである。
【0028】
なお、ステップS2で既に電波出力禁止モードに自動設定されているのに加えてステップS10が設けられている理由は、電源投入後に通常モードへの切換が行われ、その後専用イヤホンが装着された場合に対応するためである。これに対し、専用イヤホンが装着されている状態で電源を投入した場合は、既にステップS2で電波出力禁止モードへの設定が済んでいるのでステップS8から直接ステップS14に移行する。ステップS14の詳細は後述する。
【0029】
一方、ステップS6で専用イヤホンの装着が検出されない場合はステップS16に進み、電波出力禁止モードの手動選択操作が行われたかどうかチェックする。そしてこの操作が検出されるとステップS12のアイコン表示を経由してステップS14に移行する。このように、専用イヤホンが装着されていない場合においても、従来の携帯電話と同様にして電波出力禁止モードを手動選択することができる。
【0030】
ステップS16で電波出力禁止モードの手動選択操作が検出されなかったときはステップS18に進み、カメラモードの手動選択操作が行われたかどうかチェックする。そしてこの検出がなければステップS22に進み、電波出力を許可してステップS24で通常通信モードを自動設定する。このように、専用イヤホンが装着されていない状態で電源を投入し、電波出力モードの手動選択やカメラモードの手動選択を行わなければ、つまり何もしなければ、携帯電話2はステップS6およびステップS16からステップS22を経て、自動的に通常通信モードに至る。
【0031】
ステップS24での通常通信モードへの自動設定が完了するとフローはステップS26に進み、電源オフ操作が行われたかどうかチェックし、操作が検出できなければステップS6に戻る。このとき専用イヤホンの装着が検出されればステップS8からステップS10に進んで強制的に電波出力禁止モードが自動設定されることは上記したとおりである。また、専用イヤホンの装着が検出されなければステップS6からステップS16に移行し、以後何もしなければステップS20に至り、この場合は通常通信モード機能中であるから直接ステップS26に至る。以下、ステップS6、ステップS16、ステップS18およびステップS26での検出がない限り、ステップS6からステップS26が繰り返される。
【0032】
一方、ステップS26で電源オフ操作が検出されたときはステップS28に進みモード管理機能終了処理を行ってフローを終了する。また、ステップS18でカメラモード手動選択操作が検出されたときにはステップS30のカメラモード管理処理に入る。なお、既に述べたように図2はモード管理機能に関する基本フローチャートであり、ステップS24で通常通信モードが設定されてからの通常携帯電話と同様の機能などは説明を省略している。
【0033】
図3は、図2のステップS14における電波出力禁止モード管理処理の詳細を示すフローチャートである。フローがスタートすると、ステップS32で通常通信モードの手動選択操作があったかどうかがチェックされる。操作があればステップS34に進み、専用イヤホンが装着中であるかどうかがチェックされる。図2からわかるようにステップS14の電波出力禁止モード管理処理へは、ステップS6の専用イヤホン装着検出を受けたステップS10の自動設定によるもののほか、専用イヤホンが装着されていない場合におけるステップS16の手動設定を経由する場合があるからである。
【0034】
ステップS34において専用イヤホンが装着中であることが検出されると、ステップS36に進み、専用イヤホン装着中は電波出力が禁止されている旨の表示が指示される。次いで、ステップS38で所定時間(たとえば5秒)待った上でステップS40に進み、再度専用イヤホンが装着中であるかどうかチェックする。これは、ステップS36で指示された表示を見た操作者が所定時間内に専用イヤホンを除去することを想定したものである。ステップS40で専用イヤホンが装着中でないことが検出されるとステップS42に進み、専用イヤホン装着なしで電波出力禁止モードになっている旨の表示が指示される。
【0035】
以上のように、一度電波出力禁止モードの管理処理に入ると、ステップS32で通常通信モードへの手動選択操作があってもそれだけでは直ちにモード変更を実行しない。これは、専用イヤホンが装着されているにもかかわらず通常通信モードが設定されることを禁止し、専用イヤホンが装着されている限り電波は出力されていないことの信用性を増すためである。さらにステップS40で専用イヤホンが装着されていない旨の検出ができた場合でも直ちにモード変更を実行しない。これは、電波出力が許されていない場所で通常通信モード手動選択操作を行い、かつ専用イヤホンが誤って脱落した場合等において通常通信モードに自動復帰することを防止するためである。つまり、専用イヤホンの除去によって電波出力禁止の旨の周囲への告知はできなくなるものの、誤って電波が出力されることだけは防止する。
【0036】
次いでステップS44に進んで、通常通信モードへの手動選択操作を再度行うよう使用者に要求する表示を指示する。次いでステップS46に進み、ステップS44における要求表示から所定時間内に手動操作が行われたかどうかチェックする。そしてステップS46で通常通信モード手動選択の再操作が検出されたときに限りステップS48に進み、通常通信モードへの設定を実行して図2の基本フローのステップS6に復帰する。一方ステップS46で所定時間内の再手動操作が検出されなかったときは使用者にモード変更の意思なしと看做してステップS50に進み、要求表示を停止した上でステップS32に戻る。
【0037】
上記のようにしてステップS46経由でステップS32に戻った場合において、ステップS32で通常通信モードへの手動選択操作が検出されたときは、ステップS34に進んで専用イヤホン装着中でないことが検出されるので、直接ステップS42に至り、以下同様にステップS42以降のステップを実行する。なお、図2のステップS16からステップS14に至ったときのように、元々専用イヤホンが装着されていない状況で図3のフローがスタートした結果ステップS32で通常通信モードへの手動選択操作が検出されたときも、ステップS34では専用イヤホン装着中でないことが検出される。この場合も、直接ステップS42に至り、以下同様にステップS42以降のステップを実行する。いずれにしても、ステップS32の手動操作検出およびステップS46での再操作検出を待って通常通信モードへの設定を実行する。
【0038】
ステップS32で通常通信モード手動選択操作が検出されない場合には、ステップS52に進み専用イヤホン装着中かどうかのチェックを行う。そして専用イヤホン装着中でなければ、ステップS54に進み、専用イヤホン装着なしで電波出力禁止モードになっている旨の表示を指示してステップS32に戻る。一方、ステップS52で専用イヤホン装着中であることが検出されたときは、直接ステップS32に戻る。以下、ステップS32で常通信モード手動選択操作が検出されない限り、電波出力禁止モードを維持してステップS32、ステップS52(およびステップS54)を繰り返す。なお、図3もモード切換え管理機能のみを図示し、音楽鑑賞やゲームプレイなど電波出力禁止モード維持中に利用できる機能については、電波出力禁止モードを有する通常携帯電話と同様なので、説明を省略している。
【0039】
ステップS40で専用イヤホン装着中であることが検出されたときは、ステップS36およびステップS38にもかかわらず専用イヤホンが除去されなかったものと看做して、ステップS32に戻る。以上のようにして、ステップS46での手動操作再検出がない限り、ステップS32からステップS46およびステップS50からステップS54が繰り返され、通常通信モードへの変更操作または専用イヤホン除去に対応する。
【0040】
上記から明らかなように本発明の実施例では、電波出力禁止モードへのモード変更は図2のステップS6からステップS12によって専用イヤホンの装着だけで自動的に行われるが、通常通信モードへの復帰は専用イヤホンを除去した上で手動設定操作を行うという手順を踏まない限り実行されないようにし、専用イヤホンの除去で自動的に通常通信モードに復帰しないようにするのはもちろん、単に手動設定操作を行っただけで直ちに通常通信モードへの復帰が行われることがないようにする。従って、専用イヤホンが誤って脱落した場合などに不用意に電波が出力されるようなことがない。このように、本発明の実施例では、専用イヤホンが装着されている限り確実に電波が出力されない状況を確実にするため、通常通信モードから電波出力禁止モードへの変更に関しては使用者の意思にかかわらず専用イヤホンの装着により強制的にモード変更を行うとともに、不用意に電波が出力されてしまうことを防止するため、電波出力禁止モードから通常通信モードへの復帰に関しては、条件つきでモード変更を実行するものである。なお、実施例では電波出力禁止モードから通常通信モードへの復帰の条件を使用者の意思の確認としているが、本発明の実施はこれに限定されるものではない。例えば、病院内、航空機内、携帯電話オフ車両内などのように電波出力が禁止されている環境にあるのではないことの確認をもって上記条件の成立とするなど、本発明の特徴は広く活用することができるものである。
【0041】
また、本発明の実施例では、まずステップS2で電波出力モードにて携帯電話2を立ち上げて電源投入時の電波出力による不測の事態を防止するとともに、ステップS6での専用イヤホン装着の有無、ステップS16での電波出力禁止モード手動設定の有無、またはステップS18でのカメラモード選択の有無などの諸条件のチェックを行い、電波出力を許可してよい条件が成立していることが確認できてからステップS22に進み、ステップS24で携帯電話2を通常通信モードに自動設定している。しかしながら、本発明の特徴の実施は上記に限定されるものではない。つまり、まず電波出力モードにて携帯電話2を立ち上げ、次いで電波出力を許可してよい条件の成立を確認した上で携帯電話2を通常通信モードに自動設定するという立上げ時のモード設定に関する本発明の特徴は、例えば、病院内、航空機内、携帯電話
オフ車両内などのように電波出力が禁止されている環境にあるのではないことの確認をもって上記条件の成立とするなど、広く活用することができるものである。
【0042】
本発明の実施例では、専用イヤホンの装着を検出のために図1のメカ検知部30を採用している。しかしながら、イヤホン挿入部26に専用プラグ28が挿入されているか否かを検知する検知部はこのようなものに限定されるものではない。例えば、ジャック24を通じて意専用リモコン32から送られてくる識別信号を制御部4で認証し、専用リモコンであることを検出することも可能である。
【0043】
図4は、図2のステップS30におけるカメラモード管理処理の詳細を示すフローチャートである。図4においてもモード切換管理を主体として説明し、カメラモード内におけるカメラ機能など通常のカメラつき携帯電話と同様の機能は説明を省略している。図1に明らかなようにカメラ部18は補助照明部19を有しているが、カメラモード管理処理に入って図4のフローがスタートしてステップS61で電波出力禁止モードであることが確認されるとステップS62において補助照明部19を活用し、これが通常の補助照明の際とは異なる電波出力禁止モード告知色(例えば緑)にて補助光点灯するよう指示する。また、このとき告知パターンとして認知される点滅を伴うようにしてもよい。
【0044】
ステップS62で開始された電波出力禁止モード告知色補助光点灯は、カメラモード中継続されるが、ステップS64からステップS70の処理により、補助光点灯が必要な撮影が行われる時間帯のみ、ステップS68のように本来の補助光を点灯させる。また、ステップS72からステップS82の処理により、電波出力禁止モードから通常通信モードに手動設定されたときは、所定の確認手順を経て、ステップS82により、電波出力禁止モード告知色補助光が消灯させられる。
【0045】
以下、図4のカメラモード管理処理のフローチャートにおける各ステップを説明する。フローがスタートすると、既に述べたように、ステップS61で電波出力禁止モードかどうかがチェックされる。図2においては、ステップS2で電波出力禁止モードが自動設定されたまま直接ステップS30に至る場合とステップS24で通常通信モードが自動設定されてステップS6に戻った結果ステップS30に至る場合が存在するからである。ステップS61で電波出力禁止モードであることが検出されるとステップS62に進み、電波出力禁止モード告知色にて点滅を伴う点灯が開始される。使用者はこの点灯が行われないように携帯電話2を設定することはできない。因みに、携帯電話2では、例えば目覚まし通知の際に表示部を光らせるかどうかの選択など、通常の告知手段については、操作部6と表示部10のGUI機能により使用者が任意にカスタム設定できるよう構成している。これに対し、電波出力禁止モードの告知に関しては、上記のように電波出力禁止モードでカメラモードに入った場合は必ずステップS62の点灯が行われるようにし、この点灯が行われないようなカスタム設定ができないようにすることによって、告知の信用性を確保している。
【0046】
次いでステップS64で、レリーズ操作などの撮影手動操作が行われたか否かをチェックし、操作が検出されるとステップS66に進んで被写体が補助照明の点灯と必要とするか否かのチェックを行う。これは被写体が暗いかまたは逆光状態にあることの検出による。ステップS66で補助光照明の点灯が必要と判断されるとステップS68に進み、通常の撮影補助光の点灯を行う。このときステップS62で開始した電波出力禁止モード告知色の補助光点灯は撮影への悪影響がないよう中断するが、後述のようにカメラの露出時間に相当する短時間だけなので、電波出力禁止モードである旨の告知力を損なうものではない。次いでステップS70で撮影が終了したかどうかチェックし、終了していなければステップS66に戻る。一方、ステップS66で補助照明の点灯が不要と判断されたときは直接ステップS70に移行する。この場合、撮影中も電波出力禁止モード告知色での補助光点灯は継続されることになるが、環境光が充分強いので撮影に悪影響を与えることはない。また、ステップS64で撮影手動操作がなかった場合は直接ステップS72に進む。以下、撮影が終了するまでステップS66からステップS70が繰り返される。
【0047】
ステップS70で撮影終了が検知されるとステップS72に進み、電波出力禁止モードか否かをチェックする。そして電波出力禁止モードであればステップS74で通常通信モード手動選択操作が行われたかどうかチェックし、操作の検出がなければステップS62に戻って電波出力禁止モード告知色補助光点灯を再開する。以下、ステップS74で通常通信モード手動選択操作が検出されない限り、電波出力禁止モードが維持され、ステップS62からステップS74が繰り返される。また、撮影手動操作によりステップS68で通常補助光点灯となったときでも撮影が終了するとステップS62に戻るので、既に述べたように、電波出力禁止モード告知色補助光点灯が中断されるのは、カメラの露出時間に相当する短時間だけとなる。
【0048】
一方、ステップS74で通常通信モード手動選択操作が検出されたときはステップS76に進み、通常通信モードを本当に選択してよいかどうかの確認表示が指示される。次いで、このような確認表示を開始してから所定時間内に確認の旨の手動操作があったかどうかをステップS78でチェックする。そして所定時間内に確認操作が検出された場合のみステップS80に進み、通常通信モード設定を実行して電波出力を許可する。ステップS82ではこれと対応して、電波出力禁止モード告知色補助光を消灯する指示を行う。
【0049】
次に、ステップS84でカメラモード終了操作が行われたかどうかがチェックされる。なお、ステップS72で電波出力禁止モードである旨の検出がなかったときは通常通信モードであることを意味するので直接ステップS84に至る。また、ステップS61で電波出力モードある旨の検出がなかったときも同様に直接ステップS84に至る。ステップS84でカメラモード終了操作が検出されないときはステップS86に進んで電波出力禁止モードか否かをチェックする。そして電波出力禁止モードであればステップS62に戻って電波出力禁止モード告知色補助光点灯を継続する。一方、ステップS86でカメラモード終了操作が検出されたときはステップS68に戻る。また、ステップS84でカメラモード終了操作が検出されたときはステップS90に移行し、カメラ機能終了処理を行って図2の基本フローにおけるステップS6に復帰する。
【0050】
以上のようにして、ステップS84でカメラモード終了操作が検出されない限り、ステップS62からステップS86が繰り返され、電波出力禁止モードである限りその旨を周囲に告知すべく、電波出力禁止モード告知色補助光点灯が継続される。なお、電波出力禁止モードから通常通信モードへの変更については、ステップS74からステップS80の手順を経て慎重にモード変更を実行するが、カメラモード中において通常通信モードから電波出力禁止モードへの手動選択操作が行われたときは、即座にモード変更を実行し、その旨がステップS72またはステップS86で随時検出されることによりステップS62で電波出力禁止モード告知色補助光が速やかに点灯される。
【0051】
なお、電波出力禁止モードにてカメラを使用していることの周囲への告知は上記の実施例のように補助照明部を利用するのが好適であるが、本発明の実施はこれに限るものではない。例えば、携帯電話2を折りたたみ式携帯電話として構成する場合において図1の表示部10を二画面で構成し、周囲から見やすい携帯電話2の背面側の表示部を利用し、図4のステップS62において、この背面側の表示部に電波禁止アイコンを表示するかまたは背面側表示部全体を緑色で点滅させる等の指示を行うよう構成してもよい。
【0052】
また、図4のステップS62において、表示と連動し、電波出力禁止モードである旨を告知する「グリーンモードです」等の音声アナウンスを例えば周囲にとって煩わしくない間隔と回数で行うよう指示するようにしてもよい。電波出力を嫌う環境は、比較的周囲の人が固定しているので、このようなアナウンスを必要以上に繰り返すことは望ましくない。従ってこのようなアナウンスのタイミングとしては、例えば、3秒間隔で二回のアナウンスをワンセットとし、このようなセットを周囲の人が入れ替わることも想定して一分間隔で繰り返すようにする。なお、上記のような音声アナウンスによる周囲への告知は、カメラモードにおける実施だけでなく、専用イヤホン使用中においても行うことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の実施の形態に係るモバイル通信装置の実施例を示すブロック図である。
【図2】図1の実施例の制御部におけるモード切換え管理機能の基本フローチャートである。
【図3】図2のステップS14の詳細を示すフローチャートである。
【図4】図2のステップS30の詳細を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0054】
16 電波送受信部8、16 第一機能部12、14、18 第二機能部4 切換部19 告知部4 制御部18 カメラ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電波送受信部と、前記電波送受信部に関連する第一機能部と、前記電波送受信部に関連しない第二機能部と、前記第一機能部の機能を許可するか禁止するかを切換える切換部と、前記第一機能部の機能が禁止されていることを告知する告知部と、前記第一機能部の機能が禁止されているときに前記告知部の告知が行われない状態が生じ得ないよう制御する制御部とを有することを特徴とするモバイル通信装置。
【請求項2】
前記告知部は光によって告知を行うことを特徴とする請求項1記載のモバイル通信装置。
【請求項3】
前記告知部の光は緑色であることを特徴とする請求項2記載のモバイル通信装置。
【請求項4】
前記告知部の光は前記第一機能部の機能が禁止されていることを告知すべく定められた点滅を行うことを特徴とする請求項2または3記載のモバイル通信装置。
【請求項5】
前記告知部は音によって告知を行うことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のモバイル通信装置。
【請求項6】
前記告知部の音は「グリーン」というアナウンスフレーズを含むことを特徴とする請求項4記載のモバイル通信装置。
【請求項7】
前記告知部の音は短時間間隔で所定回繰り返されるフレーズをワンセットとし、このワンセットをより長時間間隔を置いて繰り返すアナウンスであることを特徴とする請求項5または6記載のモバイル通信装置。
【請求項8】
前記第二機能部はカメラ機能であることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載のモバイル通信装置。
【請求項9】
前記告知部は撮影に用いられる補助照明部であることを特徴とする請求項8記載のモバイル通信装置。
【請求項10】
前記告知部は前記第一機能部の機能が禁止されていることを告知する際、補助照明部は撮影に用いられる場合と異なる発光を行うことを特徴とする請求項9記載のモバイル通信装置。
【請求項11】
前記第一機能部の機能が禁止されていることを告知するための前記補助照明部の発光は、前記第一機能部の機能が禁止されている間継続されることを特徴とする請求項10記載のモバイル通信装置。
【請求項12】
前記第一機能部の機能が禁止されていることを告知するための前記補助照明部の発光は、撮影のために補助照明が必要な間だけ中断されることを特徴とする請求項11記載のモバイル通信装置。
【請求項13】
電波送受信部と、前記電波送受信部に関連する機能部と、補助照明部を持つカメラ部と、前記機能部の機能を許可するか禁止するかを切換える切換部と、前記機能部の機能が禁止されているときに前記補助照明部によりその旨の告知を行う制御部とを有することを特徴とするモバイル通信装置。
【請求項14】
補助照明部は前記機能部の機能が禁止されていることを告知する際、撮影に用いられる場合と異なる発光を行うことを特徴とする請求項13記載のモバイル通信装置。
【請求項15】
前記機能部の機能が禁止されていることを告知するための前記補助照明部の発光は、前記機能部の機能が禁止されている間継続されることを特徴とする請求項14記載のモバイル通信装置。
【請求項16】
前記機能部の機能が禁止されていることを告知するための前記補助照明部の発光は、撮影のために補助照明が必要な間だけ中断されることを特徴とする請求項15記載のモバイル通信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−253781(P2009−253781A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−101098(P2008−101098)
【出願日】平成20年4月9日(2008.4.9)
【出願人】(000116024)ローム株式会社 (3,539)
【Fターム(参考)】