説明

モータおよびディスク駆動装置

【課題】モータの軸受機構内の潤滑油の蒸発を抑える。
【解決手段】モータは回転部と軸受部と静止部とを備える。軸受部の上部と回転部との間に、潤滑油の界面が位置するシール部が構成され、ハブ筒部314と軸受部の上部との間に円筒間隙が構成され、ハブ筒部314の下部とステータ固定部の上部との間に、軸方向に延びる、または、下方に向かって径方向外方に傾斜する部位を含む第1連絡間隙71が構成され、ハブ筒部の下端と前記ステータコアの径方向内側の部位との間に、第1連絡間隙71から径方向外方に広がる第2連絡間隙72が構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動式のモータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ハードディスク駆動装置等のディスク駆動装置には、スピンドルモータが搭載される。特開2007−295666号公報に開示されるブラシレスモータは、取付板と、略円筒状のブッシュと、スラストプレートと、スリーブと、シャフトと、を有する。ブッシュは、取付板の固定孔内に嵌合される。スラストプレートは、ブッシュの下部に固定される。スリーブは、油に浸された焼結材料にて成型され、ブッシュの内周面に圧入固定される。スリーブには、シャフトが挿入される。シャフトは、スリーブによりラジアル方向に支持され、スラストプレートの上面に配置されたスラストワッシャによりスラスト方向に支持される。
【0003】
特開2003−153481号公報に開示されるディスク装置のモータは、ブラケットと、玉軸受である軸受と、ロータと、ステータとを備える。ブラケットは、ディスク装置のシャーシに固定される。ブラケットは、回転軸方向に延びる内周円筒部、を含む。軸受は、内周円筒部内に固定され、ロータのロータシャフト部は軸受により回転自在に支持される。ステータのステータコアは、内周円筒部の外周面に固定される。ステータコアの内周側部分は、ブラケットの底面部に当接する。外周側部分にはコイルが形成される。ステータコアの外周側部分は、内周側部分よりも回転軸方向上側に位置する。ステータコアの外周側部分がブラケットの底面部から離間することにより、コイルと底面部との干渉を防止することができる。
【特許文献1】特開2007−295666号公報
【特許文献2】特開2003−153481号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、潤滑油を介して回転部が回転可能に支持されるモータでは、軸受機構内の潤滑油の蒸発を抑える必要がある。
【0005】
本発明は、モータの軸受機構内の潤滑油の蒸発を抑えることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の例示的な一の側面に係るモータは、静止部と、回転部と、上下方向を向く中心軸を中心に前記回転部を前記静止部に対して回転可能に支持する軸受機構と、を備え、前記回転部が、前記中心軸を中心とする蓋部と、前記蓋部の外縁部から下方に延びる円筒状の側壁部と、前記側壁部の径方向内側にて、前記蓋部から下方に突出する筒状のハブ筒部と、前記側壁部の内周面に固定されるロータマグネットと、を備え、前記軸受機構が、前記中心軸に沿って前記蓋部から下方に延びるシャフト部と、前記シャフト部が挿入され、潤滑油を介して前記シャフト部を支持し、上部が前記ハブ筒部の径方向内側に位置する軸受部と、を備え、前記静止部が、前記ロータマグネットの径方向内側に位置するステータと、前記ステータの下側に位置するベース部と、前記ベース部の中央部から上方に延びる略円筒状であり、上端が、前記ハブ筒部の内側かつ前記ハブ筒部の下端よりも上に位置するステータ固定部と、を備え、前記ステータが、ステータコアと、コイルと、を備え、前記ステータコアが、前記ハブ筒部の下側に配置される環状のコアバックと、前記コアバックから径方向外方に延び、周囲に前記コイルが形成される複数のティース部と、を備え、前記コアバックと、前記複数のティース部の前記コイルが形成される巻線部と、の間の部位が、径方向外方に向かって上方へと向かう傾斜部を含み、前記軸受部の前記上部と前記回転部との間に、潤滑油の界面が位置するシール部が構成され、前記ハブ筒部の内周面と前記軸受部の前記上部の外周面との間に略円筒状の円筒間隙が構成され、前記ハブ筒部の下部と前記ステータ固定部の上部との間に、軸方向に延びる、または、下方に向かって径方向外方に傾斜する部位を含む第1連絡間隙が構成され、前記ハブ筒部の前記下端と前記ステータコアの径方向内側の部位との間に、前記第1連絡間隙から径方向外方に広がる第2連絡間隙が構成される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、モータの軸受機構内の潤滑油の蒸発を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、本発明の関連技術に係るディスク駆動装置の断面図である。
【図2】図2は、モータの断面図である。
【図3】図3は、ベースプレートおよび基板の底面図である。
【図4】図4は、モータの断面図である。
【図5】図5は、基板挿入孔を拡大して示す断面図である。
【図6】図6は、他の例に係るモータの断面図である。
【図7】図7は、ベースプレートおよび基板の底面図である。
【図8】図8は、他の例に係るモータの断面図である。
【図9】図9は、他の関連技術に係るモータのステータコアを示す平面図である。
【図10】図10は、ステータコアの断面図である。
【図11】図11は、ステータコアの平面図である。
【図12】図12は、さらに他の関連技術に係るモータのステータコアの平面図である。
【図13】図13は、ベースプレートの平面図である。
【図14】図14は、ベースプレートおよびステータコアの平面図である。
【図15】図15は、ステータコアの他の例を示す平面図である。
【図16】図16は、本発明の第1の実施形態に係るモータの断面図である。
【図17】図17は、モータの断面図である。
【図18】図18は、第2の実施形態に係るモータの断面図である。
【図19】図19は、ステータコアの他の例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書では、モータの中心軸方向における図1の上側を単に「上側」と呼び、下側を単に「下側」と呼ぶ。なお、上下方向は、実際の機器に組み込まれたときの位置関係や方向を示すものではない。また、中心軸に平行な方向を「軸方向」と呼び、中心軸を中心とする径方向を単に「径方向」と呼び、中心軸を中心とする周方向を単に「周方向」と呼ぶ。
【0010】
(関連技術)
図1は、本発明の関連技術に係るスピンドルモータ12を含むディスク駆動装置1の縦断面図である。以下の説明では、スピンドルモータ12を、単に、「モータ12」という。ディスク駆動装置1は、ハードディスク駆動装置である。ディスク駆動装置1は、いわるゆ、タブレット型PC(Personal Computer)に搭載可能である。ディスク駆動装置1は、ディスク11と、モータ12と、アクセス部13と、ハウジング14と、クランパ151と、を含む。モータ12は、情報を記録するディスク11を回転する。アクセス部13は、ディスク11に対して、情報の読み出しおよび書き込みの少なくとも一方を行う。
【0011】
ハウジング14は、無蓋箱状の第1ハウジング部材141と、板状の第2ハウジング部材142と、を含む。第1ハウジング部材141の内側には、ディスク11、モータ12、アクセス部13およびクランパ151が収容される。第1ハウジング部材141に第2ハウジング部材142が嵌められて、ハウジング14が構成される。ディスク駆動装置1の内部空間は、塵や埃が極度に少なく、清浄な空間が好ましい。ディスク駆動装置1内には、空気が充填される。なお、ヘリウムガスや水素ガスが充填されてもよく、これらの気体と空気との混合気体が充填されてもよい。図1では示していないが、ディスク駆動装置1では、第1ハウジング部材141の下面に後述のフレキシブル配線基板が配置される。
【0012】
ディスク11は、クランパ151により、モータ12にクランプされる。アクセス部13は、ヘッド131と、アーム132と、ヘッド移動機構133と、を含む。ヘッド131は、ディスク11に近接して、情報の読み出しおよび書き込みの少なくとも一方を磁気的に行う。アーム132は、ヘッド131を支持する。ヘッド移動機構133はアーム132を移動させることにより、ヘッド131がディスク11に対して相対的に移動する。これらの構成により、ヘッド131は、回転するディスク11に近接した状態にて、ディスク11の所要の位置にアクセスする。
【0013】
図2は、モータ12の縦断面図である。モータ12は、アウタロータ型の3相モータである。モータ12は、静止部2と、回転部3と、流体動圧軸受機構4と、を含む。以下の説明では、流体動圧軸受機構4を単に「軸受機構4」という。回転部3は、軸受機構4により、モータ12の上下方向を向く中心軸J1を中心に、静止部2に対して回転可能に支持される。
【0014】
静止部2は、ベース部であるベースプレート21と、ステータ22と、フレキシブル配線基板23と、を含む。以下、フレキシブル配線基板23を単に「基板23」という。ベースプレート21は、金属の板部材をプレス加工にて成型した部品である。ベースプレート21は、図1の第1ハウジング部材141の一部である。ベースプレート21は、基板挿入孔51と、半田逃がし孔52と、ステータ固定部211aと、を含む。基板挿入孔51および半田逃がし孔52は、ベースプレート21を上下方向に貫通する貫通孔である。基板23は、基板挿入孔51を介してベースプレート21の下面から上面に達する。ステータ固定部211aは、ベースプレート21の中央から上方に延びる略円筒状である。ベースプレート21およびステータ固定部211aは、プレスにて一繋がりの部材として成型される。
【0015】
ステータ22は、ベースプレート21の上側に配置される。ステータ22は、ステータコア221と、複数のコイル222と、を含む。ステータコア221は、複数の磁性鋼板220が軸方向に積層されることにより形成される。ステータコア221に導線が巻回されることにより、コイル222が構成される。ステータコア221の径方向内側の部位は、ステータ固定部211aの外周面に固定される。ステータ22には、基板23を介して外部電源からの電力が供給される。
【0016】
回転部3は、ロータハブ31と、ロータマグネット32と、を含む。ロータハブ31は、蓋部311と、略円筒状の側壁部312と、ディスク載置部313と、を含む。蓋部311は、中心軸J1を中心とする環状であり、ステータ22の上方に位置する。側壁部312は、蓋部311の外縁から下方に延びる。ディスク載置部313は、側壁部312から径方向外方に延びる。図1のディスク11は、ディスク載置部313上に載置される。ロータマグネット32は、側壁部312の内周面に固定され、ステータ22の径方向外側に位置する。ステータ22に電力が供給されることにより、ステータ22とロータマグネット32との間にてトルクが発生する。
【0017】
軸受機構4は、シャフト部41と、スリーブ42と、スリーブハウジング43と、スラストプレート44と、シール部材45と、潤滑油46と、を含む。以下、スリーブ42およびスリーブハウジング43をまとめて「軸受部40」と呼ぶ。シャフト部41は、中心軸J1を中心として蓋部311の径方向内側の部位から下方に延びる。シャフト部41とロータハブ31とは、一繋がりの部材である。シャフト部41の内部には、全長に亘って雌ねじ部411が設けられる。蓋部311の中央では、雌ねじ部411に図1の雄ねじ152が螺合することにより、クランパ151がモータ12に固定される。
【0018】
スリーブハウジング43は、有底略円筒状である。スリーブハウジング43の円筒部431は、ステータ固定部211aの内側に固定される。側壁部312の径方向内側、かつ、ステータ固定部211aおよびスリーブハウジング43の径方向外側には、蓋部311から下方に突出する筒状のハブ筒部314が位置する。ハブ筒部314の内周面と、円筒部431の外周面の上部との間に略円筒状の円筒間隙474が構成される。スリーブ42は、スリーブハウジング43の内周面に固定される。スリーブ42の内側には、シャフト部41が挿入される。スラストプレート44は、中央の雄ねじ部が雌ねじ部411の下部に螺合することにより、シャフト部41に固定される。シール部材45は、スリーブハウジング43の底面およびベースプレート21の中央部211の下面214に貼付される。
【0019】
モータ12では、スリーブ42の内周面とシャフト部41の外周面との間のラジアル間隙471、スリーブ42の上面およびスリーブハウジング43の上面と蓋部311の下面との間のスラスト間隙472、スラストプレート44の周囲の間隙473、および、円筒間隙474に潤滑油46が連続して存在する。円筒間隙474には、潤滑油46を保持するシール部474aが構成される。
【0020】
スリーブ42の内周面の上下にはラジアル動圧溝列が設けられる。スリーブ42の上面には、スラスト動圧溝列が設けられる。ラジアル間隙471では、ラジアル動圧溝列によりラジアル動圧軸受部481が構成される。スラスト間隙472では、スラスト動圧溝列によりスラスト動圧軸受部482が構成される。モータ12の駆動時には、ラジアル動圧軸受部481およびスラスト動圧軸受部482により、シャフト部41およびスラストプレート44が、軸受部40に対して非接触にて支持される。これにより、回転部3が、ベースプレート21およびステータ22に対して回転可能に支持される。
【0021】
図3は、モータ12のベースプレート21および基板23のみを示す底面図である。図3には、基板23に間隔が狭い平行斜線を付している。以下の図7においても同様である。図2および図3に示すように、ベースプレート21の下面は、中央部211の外縁部から径方向外方に向かって上方に傾斜する部位213、を含む。以下、部位213を「段差部213」と呼ぶ。段差部213は、中心軸J1を中心とする環状である。段差部213の径方向外側の部位212は、中央部211よりも上方に位置する。以下、部位212を「周辺部212」という。図3では、周辺部212に間隔が広い平行斜線を付している。なお、「段差部」という表現は、正確には、部位213の周囲を含めた段差状の部位を示すが、ここでは、説明の都合上、部位213を「段差部」と呼び、段差部213の上側の部位が周辺部212に対応し、段差部213の下側の部位が中央部211に対応する。
【0022】
中央部211には、複数の半田逃がし孔52が設けられる。半田逃がし孔52は、基板挿入孔51よりも径方向内側に位置する。図3に示すように、基板挿入孔51は、段差部213と軸方向に重なり、基板挿入孔51の下側の開口が段差部213に含まれる。図4は、モータ12の基板23近傍を拡大して示す断面図である。基板挿入孔51は、ロータマグネット32よりも径方向内側に位置する。
【0023】
図3および図4に示すように、基板23は、接続部231と、リード部232と、を含む。接続部231は、中心軸J1を中心とする略円弧状である。接続部231は、接続部231を貫通する複数の引出孔231b、を含む。引出孔231bは、半田逃がし孔52と軸方向に重なる。
【0024】
図4に示す接続部231の下面は、中央部211の上面215のうち、半田逃がし孔52の周囲の領域に接着され、半田逃がし孔52の全体が、接続部231と上下方向に重なる。接続部231の上面は、コイル222の下部に接する。なお、接続部231の上面には、絶縁膜が構成され、接続部231とコイル222との間の絶縁性が確保される。コイル222からの引出線223は、引出孔231bを介して、接続部231の下面に半田付けされる。引出線223の先端部は、下面に設けられた半田の塊である半田部233により覆われる。引出孔231bは、半田部233により塞がれる。半田部233全体は、半田逃がし孔52内に位置する。半田逃がし孔52内の全領域および基板挿入孔51には、接着剤24が存在する。これにより、半田逃がし孔52および基板挿入孔51からの気体の漏れが防止される。
【0025】
図3および図4に示すように、リード部232の上面は、段差部213および周辺部212の下面216に貼付される。リード部232の貼付には、両面テープや粘着材が利用される。周辺部212の下面216と、中央部211の下面214、すなわち、ベースプレート21の最下面との間の軸方向における距離は、リード部232の厚さ以上であることが好ましい。これにより、リード部232が、ベースプレート21の最下面よりも下方に突出することが防止される。なお、リード部232の上面は、段差部213および周辺部212の下面216に接着剤によって接着されてもよい。
【0026】
既述のように、図4に示す基板挿入孔51は、ロータマグネット32よりも径方向内側に位置するため、基板23がロータマグネット32に近接することが防止される。その結果、ロータマグネット32による基板23への磁気的影響を抑えることができる。また、ロータマグネット32の下面に磁性部材である環状のプレート321が配置されており、ロータマグネット32の下方への磁束漏れを防止することができる。これにより、ロータマグネット32による基板23への磁気的影響をより抑えることができる。
【0027】
図5は、ベースプレート21の基板挿入孔51を拡大して示す図である。図5では、接着剤24の図示を省略している。以下の説明では、基板挿入孔51の中央部211の上面215側のエッジ、すなわち、基板23の接続部231側のエッジを「上側エッジ511」と呼ぶ。基板挿入孔51の周辺部212の下面216側のエッジ、すなわち、基板23のリード部232側のエッジを「下側エッジ512」と呼ぶ。上側エッジ511は、中央部211の上面215と基板挿入孔51の中心軸J1に略平行な面である内周面513とを接続する傾斜面511a、を含む。下側エッジ512は、周辺部212の下面216と基板挿入孔51の内周面513とを接続する傾斜面512a、を含む。
【0028】
静止部2を組み立てる際には、リード部232が基板挿入孔51の上方から挿入され、接続部231およびリード部232がそれぞれ、中央部211の上面215および周辺部212の下面216に貼付される。次に、図4に示すステータコア221がステータ固定部211aに挿入され、コイル222の引出線223が接続部231の引出孔231bに挿入される。半田逃がし孔52内において引出線223が接続部231に半田付けされる。半田部233は、引出孔231bを封止する。半田逃がし孔52内の全領域に接着剤24が充填され、半田逃がし孔52が封止される。同様に、基板挿入孔51内も接着剤24にて封止される。モータ12では、基板挿入孔51に傾斜面511a,511bが設けられることにより、リード部232を基板挿入孔51に容易に挿入することができる。
【0029】
以上、モータ12を含むディスク駆動装置1について説明したが、モータ12では、ベースプレート21の中央部211の下面214よりも上側にて基板23の接続部231がステータ22に接続され、接続部231に設けられた半田部233が、半田逃がし孔52と上下方向に重なる。これにより、モータ12を薄型化しても、半田部233がベースプレート21から下方に突出することが防止される。接続部231の上面および下面がそれぞれ、軸方向においてコイル222およびベースプレート21に接することにより、基板が固定されていない状態となることを防止できると共に、基板の位置決めができる。基板挿入孔51が、ロータマグネット32よりも径方向内側に位置することにより、リード部232がロータマグネット32に近接することが防止され、ロータマグネット32による基板23への磁気的影響が抑えられる。
【0030】
プレス加工により段差部213を環状に成型することにより、ベースプレート21の上面の段差部213に対応する領域とロータマグネット32との間の距離が周方向に変化することが防止される。その結果、ベースプレート21とロータマグネット32との間の磁気吸引力の周方向における偏りの発生を防止することができる。
【0031】
図6は、他の例に係るモータの断面図である。図7は、モータ12のベースプレート21および基板23のみを示す底面図である。基板23の接続部231の内縁部と、半田逃がし孔52の径方向内側のエッジとの間に隙間9が設けられる。
【0032】
静止部2を組み立てる際には、まず、図6に示す接続部231の上面がコイル222に貼付され、引出線223が、接続部231の下面に半田付けされる。次に、ステータコア221が、ステータ固定部211aに挿入される。このとき、リード部232が基板挿入孔51に挿入される。リード部232は、周辺部212の下面216に貼付される。接続部231の内縁部と半田逃がし孔52の径方向内側のエッジとの間には隙間9が構成され、引出線223が隙間9を介して半田逃がし孔52内に位置する。また、半田部233は、半田逃がし孔52内に位置する。半田逃がし孔52内に、粘性の高い接着剤24が充填され、半田逃がし孔52が封止される。同様に、基板挿入孔51も接着剤24にて封止される。図6に示す場合においても、半田部233が、半田逃がし孔52内に位置することにより、モータ12の高さを抑えることができる。
【0033】
図8は、さらに他の例に係るモータの断面図である。ベースプレート21には、1つの大きな基板挿入孔53が設けられる。接続部231は、コイル222の下部に貼付され、リード部232は、基板挿入孔53を介してベースプレート21の下側に配置される。コイル222から引き出された引出線223は、接続部231の下面に半田付けされる。複数の半田部233の全ては、基板挿入孔53内に位置する。このように、図8では、基板挿入孔51が半田逃がし孔の役割を兼ねる。
【0034】
以上のように、モータ12では、ベースプレート21に上下方向に貫通する少なくとも1つの孔を有することにより、接続部231をベースプレート21の下面よりも上側に配置しつつ、リード部232をベースプレート21の下面に導くことができ、かつ、半田部233を当該孔内に位置させることができる。これにより、モータ12の薄型化が実現される。以下の実施形態および関連技術においても同様である。
【0035】
(他の関連技術)
図9は、他の関連技術に係るモータのステータコア221aを示す平面図である。ステータコア221aを除くモータの構造は、図2に示すモータ12と同様である。ステータコア221aは、環状のコアバック61と、複数のティース部62と、を含む。ここで、コアバック61とは、ステータコア221aのうち、ティース部62の間の間隙内端よりも径方向内側に存在する環状の部位をいう。図10は、図9に示す矢印Aの位置にてステータコア221aを切断した断面図である。なお、図10の右側がステータコア221aの径方向外側に対応する。ステータコア221aは、複数の磁性鋼板220を有し、各磁性鋼板220は、プレスにて成型される。以下、磁性鋼板220を「コア部材220」と呼ぶ。
【0036】
図9および図10に示すコアバック61は、図2のステータ固定部211aの外周面に接着剤を用いて固定される。ティース部62は、コアバック61から径方向外方に延びる。ティース部62は、巻線部621と、先端部622と、幅広部623と、を含む。巻線部621は、径方向に延びる直線状であり、周囲に図10中に二点鎖線にて示すコイル222が形成される。先端部622は、巻線部621の径方向外側の端部から周方向両側に広がる。幅広部623は、巻線部621とコアバック61との間にて巻線部621およびコアバック61に連続する部位である。先端部622および幅広部623は、巻線部621よりも周方向の幅が広い。
【0037】
巻線部621は、複数のコア部材220をかしめにて互いに固定するかしめ部621a、を含む。コアバック61は、かしめ部611と、図9に示す切欠部612と、を含む。かしめ部611は、コア部材220をかしめにて互いに固定する。ステータコア221aでは、巻線部621およびコアバック61のそれぞれにかしめ部621a,611が設けられることにより、コア部材220が互いに強固に固定され、ティース部62およびコアバック61におけるコア部材220の離間が防止される。
【0038】
図9に示すように、切欠部612は、コアバック61の内周面から径方向外方に向かって窪む。切欠部612は、図10のコア部材220を軸方向に重ねる際に、コア部材220の周方向における位置決めの目印となる。隣接する幅広部623の間には、スリット625が径方向に延びる。スリット625は、隣接する先端部622の間に構成されるスロット間隙626と径方向に重なる。スリット625の周方向の最大幅は、スロット間隙626の幅、すなわち、最小幅よりも小さい。なお、スリット625の最大幅は、スロット間隙626の幅と同じでもよい。
【0039】
図10に示すように、幅広部623は、コアバック61から径方向外方に向かって上方へと向かう傾斜部624を含む。以下、傾斜部624の図10における上側の面624a、すなわち、法線が上方に向かって図10の左側である径方向内側に傾斜する面を「上面624a」という。傾斜部624は、プレスにてステータコア221aが曲げられることにより成型される。傾斜部624の上面624aに垂直な方向における傾斜部624の厚さは、巻線部621およびコアバック61の軸方向の厚さよりも薄い。より正確には、複数のコア部材220の傾斜部624を形成する部位の厚さの合計が、コア部材220の巻線部621およびコアバック61を形成する部位の厚さの合計よりも薄い。その結果、実質的に磁路として使用される傾斜部624の厚さが薄くなる。
【0040】
図11は、図9の上側のティース部62を拡大して示す図である。傾斜部624の内縁部624bは、幅広部623の内縁部623b、すなわち、隣接する2つのスリット625の内端の間に位置する部位よりも径方向外側に位置する。図11では、幅広部623の内縁部623bを破線にて示している。傾斜部624の外縁部624cおよび幅広部623の外縁部623cは、中心軸J1を中心とする円弧状である。先端部622の周方向における幅は、幅広部623の同方向の最大幅よりも大きい。平面視において、幅広部623の周方向における両側の側端部623aは、先端部622の周方向における両側の端部622aと中心軸J1とを結ぶ直線L1上に位置する。
【0041】
ステータコア221aでは、図10に示すように、傾斜部624が設けられることにより、先端部622がコアバック61よりも上側に位置する。これにより、先端部622の軸方向における存在範囲を、二点鎖線にて示すロータマグネット32の磁気中心の軸方向の位置と径方向に重ねることができる。
【0042】
既述のように、傾斜部624の上面624aに垂直な方向の厚さは、巻線部621およびコアバック61の軸方向の厚さに比べて薄い。しかし、傾斜部624の周方向の幅が確保されることにより、ステータコア221aにおける磁路を確保することができる。また、ティース部62の強度を確保することができ、ステータ22の振動を低減することができる。モータ12では、幅広部623が設けられることにより、コイル222の巻き崩れを防止することができる。
【0043】
傾斜部624の内縁部624bが、幅広部623の内縁部623bよりも径方向外側に位置することにより、スリットが設けられないステータコアに比べてステータコア221aを容易に曲げることができる。
【0044】
図12は、さらに他の関連技術に係るモータ12のステータコア221bのティース部62を拡大して示す図である。平面視において、幅広部623の周方向における両側の側端部623aが、中心軸J1と先端部622の中央とを結ぶ直線L2に平行である。傾斜部624の外縁部624cおよび幅広部623の外縁部623cは、平面視において、直線L2に対して垂直な直線状である。
【0045】
図13は、ベースプレート21の中央部211を示す平面図である。図13では、ベースプレート21の上面215に平行斜線を付している。以下の図14においても同様である。中央部211は、上面215から上方へ突出する複数の突出部217、を含む。突出部217は、ベースプレート21の半抜き加工にて成型される。中心軸J1を中心として隣接する2つの突出部217の間のなす角は、90度以上180度未満であることが好ましい。モータ12の他の構造は、図2に示すモータ12と同様である。
【0046】
図14は、ステータコア221bがベースプレート21に取り付けられた状態を示す平面図である。突出部217は、ステータコア221bの幅広部623の間のスリット625に挿入される。突出部217は、傾斜部624の内縁部624bよりも径方向内側に位置し、幅広部623の側端部623aと周方向に係合する。これにより、中心軸J1に垂直な面内においてステータコア221bのベースプレート21に対する位置が容易に決定される。
【0047】
モータ12においても、傾斜部624の周方向の幅が確保されることにより、ステータコア221bにおける磁路を確保することができる。また、ティース部62の強度を確保することができる。以下の実施形態および関連技術においても同様である。
【0048】
モータ12では、コアバック61とステータ固定部211aとの間に隙間が存在する場合であっても、治具を用いて中心軸J1に垂直な面内におけるベースプレート21に対するステータコア221bの位置決めを行う作業が不要となり、モータ12の組立を効率よく行うことができる。特に、ステータ固定部211aを含むベースプレート21がプレス加工にて一繋がりの部材として成型される場合、ステータ固定部211aの形状誤差が大きく、コアバック61とステータ固定部211aとの間に隙間が必要となる。したがって、突出部217は、ベースプレート21がプレス加工にて成型される場合に適している。
【0049】
図15は、他の例に係るステータコア221cを示す平面図である。ステータコア221cでは、ティース部62から幅広部が省略される。ステータコア221cは、環状のコアバック61と、複数のティース部62と、複数の突起部65と、を含む。突起部65は、中心軸J1に垂直な面内においてコアバック61から径方向内方に延びる。突起部65は、図4のステータ固定部211aの外周面に接着剤を用いて固定される。突起部65は、ベースプレート21の上面215に軸方向に当接する。
【0050】
コアバック61は、径方向外方に向かって上方へと向かう傾斜部624である。図10の傾斜部624と同様に、コアバック61の上面に垂直な方向におけるコアバック61の厚さは、巻線部621の軸方向の厚さよりも薄い。傾斜部624であるコアバック61が設けられることにより、図10の場合と同様に、先端部622の軸方向における存在範囲を、ロータマグネット32の磁気中心の軸方向の位置と径方向に重ねることができる。
【0051】
(第1の実施形態)
図16は、本発明の第1の実施形態に係るモータ12の断面図である。モータ12では、ステータコア221dのうち、コアバック61、および、幅広部623のうち傾斜部624の上端よりも径方向内側の部位を構成するコア部材220の数が2である。巻線部621、先端部622、および、幅広部623のうち傾斜部624の上端よりも径方向外側の部位を構成するコア部材220の数は5である。ステータコア221dの他の構造は、図10に示すステータコア221aと同様である。
【0052】
ステータコア221dの傾斜部624の下端よりも径方向内側の部位63、すなわち、コアバック61および幅広部623の傾斜部624よりも内側の部位は、ロータハブ31のハブ筒部314の下側に配置される。以下、部位63を「内周部63」という。コアバック61は、ベースプレート21の中央部211の上面215に設けられた突起218と軸方向に当接する。ステータ固定部211aの上端は、ハブ筒部314の内側かつハブ筒部314の下端よりも上側に位置する。ハブ筒部314の内周面の下部は、下方に向かって径方向外方に傾斜する傾斜面314a、を有する。ステータ固定部211aの外周面の上部は、下方に向かって径方向外方に傾斜する傾斜面211b、を有する。
【0053】
ハブ筒部314の傾斜面314aと、ステータ固定部211aの傾斜面211bとの間に、下方に向かって径方向外方に傾斜する傾斜間隙71が構成される。以下、傾斜間隙71を「第1連絡間隙71」と呼ぶ。ハブ筒部314の下端と、ハブ筒部314と軸方向に対向するステータコア221dの内周部63との間に、第1連絡間隙71から径方向に広がる第2連絡間隙72が構成される。第2連絡間隙72の径方向の幅は、図9のコアバック61の径方向の幅、すなわち、コアバック61の内縁部とスリット625の内端との間の径方向の幅よりも僅かに大きい。
【0054】
スリーブハウジング43では、円筒部431の外周面の上部に下方に向かって径方向内方に傾斜する傾斜面431aが設けられる。傾斜面431aとハブ筒部314の内周面との間には、略円筒状の円筒間隙474が構成される。円筒間隙474には、潤滑油46の界面が位置するシール部474aが構成される。円筒間隙474は、第1連絡間隙71および第2連絡間隙72を介してステータ22の周囲の空間に繋がる。第1連絡間隙71の幅は、傾斜面431aの下端431bにおける円筒間隙474の径方向の最大幅よりも小さい。
【0055】
モータ12では、第1連絡間隙71および第2連絡間隙72が設けられることにより、シール部474aからの潤滑油46の蒸発を抑えることができる。第1連絡間隙71の幅が、円筒間隙474の径方向の最大幅よりも小さいことにより、潤滑油46の蒸発をより抑えることができる。
【0056】
コアバック61の軸方向の厚さを薄くすることにより、ハブ筒部314とベースプレート21との間の狭いスペースにコアバック61を配置することができ、モータ12を小型化することができる。また、巻線部621の軸方向の厚さをコアバック61の軸方向の厚さよりも厚くすることにより、電磁特性を向上することができる。
【0057】
図17は、他の例に係るモータ12を示す図である。モータ12では、ハブ筒部314の内周面の下部と、ステータ固定部211aの外周面の上部との間に、軸方向に延びる縦間隙である第1連絡間隙73が構成される。第1連絡間隙73の径方向の幅、および、第2連絡間隙72の軸方向の幅は、円筒間隙474の径方向の最大幅よりも小さい。これにより、円筒間隙474からの潤滑油46の蒸発をより抑えることができる。
【0058】
(第2の実施形態)
図18は、第2の実施形態に係るモータ12を示す図である。モータ12の軸受機構4aは、金属にて形成された1つのスリーブである軸受部49、を含む。軸受部49の内周面とシャフト部41の外周面との間にはラジアル間隙471が構成される。ラジアル間隙471の上側にて軸受部49の内周面の上部とシャフト部41の外周面の上部との間に、シール部475が構成される。軸受部49の外周面の下部は、ベースプレート21のステータ固定部211aに挿入される。外周面の上部と、ロータハブ31のハブ筒部314との間には、略円筒状の円筒間隙641が構成される。円筒間隙641は、軸受部49の上面とロータハブ31の蓋部311のハブ筒部314よりも径方向内側の下面との間にて径方向に広がる間隙642を介してシール部475に繋がる。モータ12の他の構造は、図16に示すモータ12と同様である。
【0059】
モータ12では、シール部475とステータ22の周囲の空間との間に間隙642、円筒間隙641、第1連絡間隙71および第2連絡間隙72が設けられるため、シール部475からの潤滑油46の蒸発をより抑えることができる。モータ12では、図17と同様に、縦間隙である第1連絡間隙73が構成されてもよい。
【0060】
以上、本発明の実施形態および関連技術について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。例えば、上記実施形態および関連技術では、基板挿入孔51の上側エッジ511の少なくとも接続部231と接する部位において、傾斜面511aが設けられていればよく、下側エッジ512の少なくともリード部232と接する部位において、傾斜面512aが設けられていればよい。これにより、リード部232を基板挿入孔51に容易に挿入することができる。また、上側エッジ511および下側エッジ512にはそれぞれ、傾斜面511a,512aに代えて凸形状の湾曲面が設けられてもよい。
【0061】
基板挿入孔51は、下側の開口が、段差部213の下側の部位である周辺部212に含まれるように設けられてもよい。また、リード部232が基板挿入孔51を介して周辺部212の下に配置されるのであれば、基板挿入孔51の下側の開口の少なくとも一部が、段差部213または周辺部212に含まれるのみでもよい。モータ12では、半田部233の少なくとも一部が、半田逃がし孔内に位置することにより、モータ12の高さを抑えることができる。
【0062】
図4に示すモータ12では、基板23の接続部231が、コイル222の下部に貼付されてもよい。この場合、ステータ22および基板23がベースプレート21に取り付けられる前に、接続部231の上面がコイル222に貼付され、引出線223が、接続部231の下面に半田付けされる。また、引出孔231bと半田部233は必ずしも軸方向に重なる必要はない。その場合、引出孔が接着材等にて塞がれればよい。
【0063】
上記実施形態および関連技術では、接続部231に切欠部を設け、切欠部を介して引出線223が接続部の下面に導かれてもよい。モータ12では、必ずしも、半田逃がし孔52内に接着剤24が充填される必要はなく、シール部材45にて半田逃がし孔52が塞がれることにより、気体の漏れが防止されてもよい。また、シール部材45を半田部233に接触させ、シール部材45で半田部233を上方に押してもよい。これにより、半田部233が半田逃がし孔52からはみ出ることが防止される。
【0064】
ベースプレート21は、プレス加工以外に切削等にて形成されてもよい。ベースプレート21の下面のうち、少なくともリード部232が存在する領域に、段差部の上側の部位が存在することにより、リード部232がベースプレート21から下方に突出することが防止される。ステータ固定部211aは、ベースプレート21とは別部材にて形成されてもよい。
【0065】
図2に示すモータ12では、シャフト部41が、ロータハブ31とは別部材であってもよい。この場合、シャフト部41は、圧入等によりロータハブ31に固定される。図2および図16に示すモータ12では、スラスト動圧溝列が、スリーブハウジング43の円筒部431の上面に設けられてもよい。上記関連技術では、ステータコアが、環状の部材を介してステータ固定部211aに間接的に固定されてもよい。
【0066】
ベースプレートに半田逃がし孔を設ける手法は、複数のディスクが搭載される大型のディスク駆動装置のモータに適用されてもよい。
【0067】
図9のステータコア221aでは、図19に示すように、平面視において、ティース部62の巻線部621の周方向における両側の側端部621bが径方向外方に向かって巻線部621の中央から周方向両側に広がるように湾曲してもよい。側端部621bは、先端部622の周方向における両側の端部622aに繋がる。幅広部623および先端部622の周方向における幅は、巻線部621の最も狭い部位、すなわち、径方向内側の部位の幅よりも大きい。図19に示すティース部62を有するステータコア221aであっても、幅広部623が設けられることにより、ステータコア221a内の磁路を確保することができる。なお、先端部622の周方向の幅および幅広部623の周方向の最小幅が、巻線部621の最小幅よりも大きいことにより、磁束の飽和が効率よく防止されるが、より好ましくは、先端部622の周方向の幅および幅広部623の周方向の最小幅は、巻線部621の最大幅よりも大きくされる。上記実施形態や他の関連技術においても同様である。
【0068】
ステータコア221aでは、平面視において、幅広部623の側端部623aが、先端部622の周方向における両側の端部622aと中心軸J1とを結ぶ直線L1上に位置するが、直線L1よりも周方向における外側、すなわち、直線L1を挟んで先端部622の中央とは反対側に位置してもよい。スリット625の内端は、傾斜部424の内縁部424bよりも僅かに径方向外側に位置してもよい。ステータコア221aでは、幅広部623全体が傾斜部であってもよい。図14と同様に、ベースプレート21に設けられた突出部217がスリット625に挿入されて、中心軸J1に垂直な面におけるステータコア221aのベースプレート21に対する位置が固定されてもよい。
【0069】
ベースプレート21の突出部217の数は、3に限定されず、2以上の他の数でもよい。複数の突出部217のうち、少なくとも隣接する1組の突出部217が90度以上180度未満であることが好ましい。突出部217の数が2である場合、中心軸J1を中心とする2つの突出部217の間のなす角は、およそ180度であることが好ましい。突出部として、ベースプレート21に設けられた貫通孔内に挿入されたピンが用いられてもよい。コアバック61には、2以上の切欠部612が設けられてもよい。この場合、切欠部612にベースプレート21に設けられた突起が挿入され、中心軸J1に垂直な面においてステータコア221aのベースプレート21に対する位置が固定されてもよい。
【0070】
図15に示すステータコア221cでは、コアバック61の一部のみが環状の傾斜部であってもよい。第1および第2の実施形態では、ステータコア221dのコアバック61、および、幅広部623の傾斜部624の上端よりも内側の部位を構成するコア部材220の数は、2以外に3または4であってもよい。さらには、第1連絡間隙71,73および第2連絡間隙72を設けることができるのであれば、ティース部62およびコアバック61の軸方向における厚さが同じであってもよい。
【0071】
上記実施形態、関連技術および各変形例における構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わされてよい。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明は、ディスク駆動装置のモータとして利用可能であり、ディスク駆動装置以外のモータとしても利用可能である。
【符号の説明】
【0073】
1 ディスク駆動装置
2 静止部
3 回転部
4 軸受機構
11 ディスク
12 モータ
13 アクセス部
14 ハウジング
21 ベースプレート
22 ステータ
32 ロータマグネット
40,49 軸受部
41 シャフト部
61 コアバック
62 ティース部
71,73 第1連絡間隙
72 第2連絡間隙
211 中央部
211a ステータ固定部
220 コア部材
221,221a〜221d ステータコア
222 コイル
311 蓋部
312 側壁部
314 ハブ筒部
474,641 円筒間隙
474a,475 シール部
621 巻線部
624 傾斜部
J1 中心軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
静止部と、
回転部と、
上下方向を向く中心軸を中心に前記回転部を前記静止部に対して回転可能に支持する軸受機構と、
を備え、
前記回転部が、
前記中心軸を中心とする蓋部と、
前記蓋部の外縁部から下方に延びる円筒状の側壁部と、
前記側壁部の径方向内側にて、前記蓋部から下方に突出する筒状のハブ筒部と、
前記側壁部の内周面に固定されるロータマグネットと、
を備え、
前記軸受機構が、
前記中心軸に沿って前記蓋部から下方に延びるシャフト部と、
前記シャフト部が挿入され、潤滑油を介して前記シャフト部を支持し、上部が前記ハブ筒部の径方向内側に位置する軸受部と、
を備え、
前記静止部が、
前記ロータマグネットの径方向内側に位置するステータと、
前記ステータの下側に位置するベース部と、
前記ベース部の中央部から上方に延びる略円筒状であり、上端が、前記ハブ筒部の内側かつ前記ハブ筒部の下端よりも上に位置するステータ固定部と、
を備え、
前記ステータが、
ステータコアと、
コイルと、
を備え、
前記ステータコアが、
前記ハブ筒部の下側に配置される環状のコアバックと、
前記コアバックから径方向外方に延び、周囲に前記コイルが形成される複数のティース部と、
を備え、
前記コアバックと、前記複数のティース部の前記コイルが形成される巻線部と、の間の部位が、径方向外方に向かって上方へと向かう傾斜部を含み、
前記軸受部の前記上部と前記回転部との間に、潤滑油の界面が位置するシール部が構成され、前記ハブ筒部の内周面と前記軸受部の前記上部の外周面との間に略円筒状の円筒間隙が構成され、
前記ハブ筒部の下部と前記ステータ固定部の上部との間に、軸方向に延びる、または、下方に向かって径方向外方に傾斜する部位を含む第1連絡間隙が構成され、前記ハブ筒部の前記下端と前記ステータコアの径方向内側の部位との間に、前記第1連絡間隙から径方向外方に広がる第2連絡間隙が構成される、モータ。
【請求項2】
前記円筒間隙に前記シール部が構成される、請求項1に記載のモータ。
【請求項3】
前記軸受部の前記上部の内周面と前記シャフト部の上部の外周面との間に前記シール部が構成され、
前記軸受部の上側において前記シール部と前記円筒間隙とが径方向に繋がる、請求項1に記載のモータ。
【請求項4】
前記コアバックの軸方向の厚さが、前記複数のティース部の前記巻線部の軸方向の厚さよりも薄い、請求項1ないし3のいずれかに記載のモータ。
【請求項5】
前記巻線部において、積層される鋼板の数が5であり、前記コアバックにおいて、積層される鋼板の数が2、3または4である、請求項4に記載のモータ。
【請求項6】
前記第1連絡間隙の幅が、前記円筒間隙の径方向の最大幅よりも小さい、請求項1ないし5のいずれかに記載のモータ。
【請求項7】
前記第2連絡間隙の径方向の幅が、前記コアバックの径方向の幅よりも大きい、請求項1ないし6のいずれかに記載のモータ。
【請求項8】
前記ベース部および前記ステータ固定部が、プレスにて一繋がりの部材として成型される、請求項1ないし7のいずれかに記載のモータ。
【請求項9】
ディスクを回転させる請求項1ないし8のいずれかに記載のモータと、
前記ディスクに対して情報の読み出しおよび書き込みの少なくとも一方を行うアクセス部と、
前記ディスク、前記モータおよび前記アクセス部を収容するハウジングと、
を備える、ディスク駆動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2013−66357(P2013−66357A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−247827(P2011−247827)
【出願日】平成23年11月11日(2011.11.11)
【出願人】(000232302)日本電産株式会社 (697)
【Fターム(参考)】