説明

モータの制御システムおよびモータの制御方法

【課題】モータの過負荷を保護しつつ、モータを停止せずに当該モータを用いた作業を継続することが可能なモータの制御システムおよびモータの制御方法を提供することを課題とする。
【解決手段】コントローラ30は、駆動電流Idriがしきい値Ihighを超えたと判断する間に、駆動電流Idriの時間積分を行い、この時間積分値Asが所定の限界値Ashighを超えた場合に、モータ10は過負荷状態であると判断し、サーボアンプ20からモータ10に供給する電流値Iの最大電流Imaxを所定の制限値Ilim以下に制限することによりモータ10の過負荷状態を回避する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータの制御システムおよびモータの制御方法に関し、より詳細には、モータの過負荷を保護し、かつ、係る過負荷保護時においても当該モータを停止することなく使用可能とする技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、組立ライン等の製品製造工程において、ワークの搬送、把持、移動、加工、部品組付等のために、複数のモータが使用されている。このようなモータとして、モータの駆動量が動作指令どおりに制御できるサーボモータ等が利用されている。
また、このようなモータの制御として、モータの出力を制御してモータの過負荷を保護し、不測の運転停止、又はモータの故障等を防止する技術が広く実用化されている。
【0003】
例えば、特許文献1に開示された技術は、過負荷時に流れる大電流によって駆動される制止装置を設け、この制止装置によって電源とモータとの通電を遮断するものである。これにより、過負荷時に確実に、かつ短時間にモータ電流を遮断することが可能となる。
しかしながら、過負荷時に遮断される電源とモータとの通電を復帰させる場合に、別途設けられる復帰装置を操作する必要等があり、係る操作のために作業を中断しなければならず、手間がかかるとともに作業時間が長くなる点で不利がある。
【0004】
また、上記のような問題を解決する手段として、特許文献2に開示された技術は、過負荷の際に一定の条件下で一時的にモータへの通電を休止させて、所定の停止時間経過後に自動的に通電を復帰させるものである。これにより、モータの復帰に係る手間を省くことが可能となる。
しかしながら、特許文献2に記載の技術においても、一定時間モータを休止することにより、作業の中断が発生し、作業時間が長くなる点で不利がある。
【特許文献1】特公昭62−6482号公報
【特許文献1】特開2007−259626号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、以上の如き状況を鑑みてなされたものであり、モータの過負荷を保護しつつ、モータを停止せずに当該モータを用いた作業を継続することが可能なモータの制御システムおよびモータの制御方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の本発明の第一の態様であるモータの制御システムは、モータと、前記モータに任意の値の電流を供給して回転駆動するサーボアンプと、前記サーボアンプから前記モータを駆動する電流値のフィードバックを受けて、当該フィードバックされる電流値に基づいて前記サーボアンプの前記モータへ供給する電流の最大値を制限することによって、前記モータを制御するコントローラと、を具備するモータの制御システムであって、前記コントローラは、前記フィードバックされる電流値が所定のしきい値を超えている間、当該電流値の時間積分を行い、当該時間積分値が所定の限界値を超えた場合に、前記最大値を所定の制限値以下に制限したものである。
これによれば、コントローラによってモータが過負荷状態であると判断したときに、当該モータへ供給する電流の最大値を制限するので、モータの過負荷状態から保護できるとともに、前記最大値を制限することによりモータを連続使用することができる。また、モータの過負荷を適切に保護できるので、コントローラがモータの過負荷状態と判断するまでの間のモータの出力を十分に確保できる。
【0007】
請求項2に記載の発明においては、さらに、前記コントローラは、前記フィードバックされる電流値が所定のしきい値を超えた後に当該電流値の時間積分を開始するとともに、前記フィードバックされる電流値が前記しきい値を下回った後に、前記時間積分を中断したものである。
【0008】
請求項3に記載の発明においては、さらに、前記コントローラは、前記フィードバックされる電流値が所定の下限値を下回った場合に、前記時間積分値をゼロにリセットしたものである。
【0009】
請求項4に記載の発明においては、さらに、前記所定の制限値は、前記モータの連続定格値としたものである。
【0010】
請求項5に記載の発明においては、さらに、前記モータは、低出力モータであり、かつ、ロボットアームに用いられるモータとしたものである。
【0011】
請求項6に記載の本発明の第二の態様であるモータの制御方法は、サーボアンプにより供給されるモータへの電流値をフィードバック制御するモータの制御方法であって、前記フィードバックされる電流値が所定のしきい値を超えている間、当該電流値の時間積分を行い、当該時間積分値が所定の限界値を超えた場合に、前記サーボアンプの前記モータに供給する電流の最大値を所定の制限値以下に制限したものである。
これによれば、コントローラによってモータが過負荷状態であると判断したときに、当該モータへ供給する電流の最大値を制限するので、モータの過負荷状態から保護できるとともに、前記最大値を制限することによりモータを連続使用することができる。また、モータの過負荷を適切に保護できるので、コントローラがモータの過負荷状態と判断するまでの間のモータの出力を十分に確保できる。
【0012】
請求項7に記載の発明においては、さらに、前記フィードバックされる電流値が所定のしきい値を超えた後に当該電流値の時間積分を開始するとともに、前記フィードバックされる電流値が前記しきい値を下回った後に、前記時間積分を中断したものである。
【0013】
請求項8に記載の発明においては、さらに、前記フィードバックされる電流値が所定の下限値を下回った場合に、前記時間積分値をゼロにリセットしたものである。
【0014】
請求項9に記載の発明においては、さらに、前記所定の制限値は、前記モータの連続定格値としたものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、モータの過負荷を保護しつつ、モータを停止することなく当該モータを用いた作業を継続することが可能となり、モータの出力を十分に発揮できるとともに、モータの信頼性を向上できる。
また、本発明に係るモータの制御システムを組立ライン等に設けられるロボットアームに適用すれば、最大出力が80W以下のいわゆる低出力モータを使用した場合でも十分な出力を得ることが可能となり、実用性を向上できるとともに、モータの作動に起因する組立ラインの停止が生じないので、組立ラインにおける作業時間を短縮できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下では、図1〜図2を参照して、本発明に係るモータの制御システムの実施の一形態であるモータの制御システム1(以下、単に「制御システム1」と記す。)について説明する。
制御システム1は、図1に示すように、制御システム1は、モータ10、サーボアンプ20、コントローラ30等を具備し、サーボアンプ20によってモータ10へ供給される電流値をフィードバック制御するシステムである。本実施形態における「フィードバック制御」とは、サーボアンプ20によってモータ10の制御の状態(つまり、実際にモータ10を駆動する駆動電流Idriの値)を確認し、これをコントローラ30にフィードバックするとともに、コントローラ30によって前記フィードバックされた制御の状態に基づいてサーボアンプ20を介してモータ10を制御する構成のことである。
【0017】
モータ10は、本発明に係るモータの実施の一形態であり、サーボモータ、交流モータ、直流モータ、ギヤードモータ、又はステッピングモータ等からなる電動モータである。本実施形態では、エンコーダ(不図示)を内部に具備する最大出力80Wの直流モータを使用している。
図1に示すように、モータ10はサーボアンプ20から駆動電流Idri(本実施形態では、より厳密には直流電流)の供給を受けて回転駆動されるとともに、前記エンコーダにより検出されるモータ10の回転数(パルス信号)をサーボアンプ20に出力する構成である。そして、サーボアンプ20によって前記エンコーダにより検出されるモータ10の回転数とモータ10を駆動している駆動電流Idriの値との間の関係(つまり、入力と出力との比例関係)により、モータ10の駆動状態を確認している。
【0018】
サーボアンプ20は、本発明に係るサーボアンプの実施の一形態であり、その内部にD/A変換器、A/D変換器(ともに不図示)等を具備する。前記D/A変換器を介してコントローラ30から伝送されてくる出力信号Pmaxを最大電流Imaxに変換し、最大電流Imax以下の駆動電流Idriをモータ10に供給するとともに、前記A/D変換器を介して実際にモータ10を駆動した駆動電流Idriの値を入力信号Pdriに変換してコントローラ30にフィードバックする機能を有するものである。また、サーボアンプ20には所定の電圧を有する電源(不図示)が接続されており、サーボアンプ20はこの電源からの交流電流を直流電流に変換するとともにコントローラ30からの出力信号Pmaxに応じた最大電流Imax以下に制御して、モータ10に駆動電流Idriを供給する構成である。
以上のように、サーボアンプ20は、モータ10に供給する電流の最大値として出力信号Pmaxの指令をコントローラ30から受け取るとともに、前記電源からの電流を駆動電流Idriに変換してモータ10に供給するものである。
【0019】
コントローラ30は、本発明に係るコントローラの実施の一形態であり、サーボアンプ20からモータ10へ供給される駆動電流Idriを最大電流Imax以下に制限するための出力信号Pmaxを伝送するとともに、サーボアンプ20から駆動電流Idriのフィードバック(入力信号Pdriの入力)を受け、この駆動電流Idriに基づいて、モータ10の最大電流Imaxを随時決定し、出力信号Pmaxを連続的にサーボアンプ20に伝送することにより、サーボアンプ20を介してモータ10をフィードバック制御するものである。
本実施形態では、図1に示すように、コントローラ30は、サーボアンプ20に出力信号Pmaxを伝送し、モータ10の最大電流Imaxを決定する。サーボアンプ20は、この最大電流Imaxを超えない駆動電流Idriをモータ10に供給して回転駆動する。そして、サーボアンプ20より駆動電流Idriとして(より厳密には、サーボアンプ20内のA/D変換器を介して、)入力信号Pdriがコントローラ30に入力される構成である。
【0020】
以上のように、本実施形態に係る制御システム1は、モータ10と、サーボアンプ20と、コントローラ30とを具備し、サーボアンプ20は、モータ10に駆動電流Idriを供給して回転駆動し、コントローラ30は、サーボアンプ20からモータ10を回転駆動する駆動電流Idriの値のフィードバックを受けて、この駆動電流Idriの値に基づいてモータ10をフィードバック制御するものである。
【0021】
以下では、図2〜図4を参照して、本発明に係るモータの制御システムの一形態として、ロボットアーム110を具備する組立ライン100にモータ10を用いた場合における、モータ10の制御システム1について説明する。
【0022】
図2に示すように、本実施形態のモータ10は、自動車の車体を組み立てる組立ライン100に設けられるロボットアーム110のアクチュエータとして用いられている。また、組立ライン100は、モータ10と同時にサーボアンプ20、コントローラ30(ともに図2においては不図示)等を備える。すなわち、組立ライン100は制御システム1を具備するものである。
図2に示すように、ロボットアーム110は、車体120にウインドガラス130を組み付ける作業を補助するための多関節のロボットアームであり、モータ10を駆動させることによって前記各関節の角度を調整し、ロボットアーム110を作動する構成である。また、ロボットアーム110の先端部には、ウインドガラス130を吸着して保持するための吸着装置140が設けられ、この吸着装置140近傍には作業用ハンドル150がウインドガラス130より側方に突出して設けられる。
このように構成される組立ライン100において、車体120にウインドガラス130を組み付ける際には、作業者の手作業によって作業用ハンドル150を操作し、ロボットアーム110を作動させることによって作業を行うものである。
【0023】
組立ライン100において、車体120にウインドガラス130を組み付ける際のモータ10の駆動電流Idriの変動は、例えば図3(a)に示すマップ200としてコントロ−ラ30に記憶されていく。マップ200は、作業時間T(s)におけるモータ10の駆動電流Idri(A)の変動を示すマップである。
より具体的には、マップ200は、図3(a)に示すように、以下の(1)〜(4)の工程に係る駆動電流Idriの値の変動を示している。すなわち、(1)ウインドガラス130を車体120近傍まで近づけるために、ロボットアーム110を所定の位置まで操作し、(2)前記所定の位置にて所定時間ロボットアーム110を停止させ、(3)ウインドガラス130を車体120の所定箇所に組み付け、(4)次のサイクルへ移行する際の駆動電流Idriの値の変動を示すものである。
また、図3(b)に示すように、コントローラ30はマップ200と同時に、マップ200に応じて作成されるマップ300を記憶する。マップ300は、作業時間T(s)と、マップ200において駆動電流Idriが所定のしきい値Ihigh以上となったときの、駆動電流Idri(A)を作業時間T(s)にて積分した時間積分値As(A・s)との関係を示すマップである。
【0024】
以下では、上記(1)〜(4)の工程中におけるコントローラ30による制御フローについて図4を参照して説明する。
図4に示すように、駆動電流Idriが所定のしきい値Ihighを超えたかどうかを判断する(S100)。駆動電流Idriがしきい値Ihighを超えたと判断した場合は(S100:Yes)、つまり、サーボアンプ20からの入力信号Pdriが所定のしきい値Phighを超えたと判断した場合は、駆動電流Idriが所定の下限値Irelより大きいかどうかを判断する(S110)。また、駆動電流Idriがしきい値Ihigh以下と判断した場合は(S100:No)、再度、駆動電流Idriとしきい値Ihighとを比較し、駆動電流Idriがしきい値Ihighを超えたと判断するまでこれ以降のステップには移行しない。
駆動電流Idriが下限値Irelより大きいと判断した場合は(S110:Yes)、コントローラ30は、駆動電流Idriの前記しきい値Ihighを超えた部分の時間積分(本実施形態では、図3(a)中の斜線で示す部分の面積の演算であり、図3(b)に示すマップ300としてコントローラ30に記憶される。)を開始する(S120)。
また、駆動電流Idriが下限値Irel以下と判断した場合は(S110:No)、時間積分値Asをゼロにリセットする(S150)。
続いて、この時間積分値Asが所定の限界値Ashighを超えたかどうかを判断する(S130)。時間積分値Asが限界値Ashighを超えたと判断した場合は(S130:Yes)、サーボアンプ20からモータ10に供給する駆動電流Idriの最大電流Imaxを所定の制限値Ilim以下に制限する(S140)。
一方、時間積分値Asが限界値Ashigh以下と判断した場合は(S130:No)、再度駆動電流Idriが所定の下限値Irelより大きいかどうかを判断し(S110)、駆動電流Idriがまだしきい値Ihighをよりも大きいと判断した場合は(S100:Yes)、(駆動電流Idriが所定の下限値Irelより大きいかどうかの判断(S110)を行った上で)駆動電流Idriの時間積分を継続する(S120)。
また、駆動電流Idriがしきい値Ihigh以下となっていたときには、駆動電流Idriの時間積分は行われず、再度駆動電流Idriがしきい値Ihighを超えたと判断するまでこれ以降のステップには移行しない。すなわち、駆動電流Idriの時間積分を停止する。
【0025】
本実施形態では、モータ10の制御における制限開始条件であるしきい値Ihighは、モータ10の連続定格電流Iconより小さい値(例えば、連続定格電流Iconの80%程度)として設定され、コントローラ30に予め記憶されており、モータ10の制御における制限解除条件である下限値Irelは、連続定格電流Iconより十分に小さい値(例えば、連続定格電流Iconの40%程度)として設定され、コントローラ30に予め記憶されている。また、制限値Ilimは、連続定格電流Iconに設定され、コントローラ30に予め記憶されている。
また、時間積分値Asの限界値Ashighは、モータ10の負荷率(つまり、モータ10を駆動する駆動電流Idri(A))と作業時間T(s)との関係を示すマップ400における連続使用可能時間(本実施形態では、図5に示す斜線部分の面積(A・s))の一例として積算され、予めコントローラ30に記憶されている。
【0026】
なお、本発明に係るしきい値は、本実施形態のしきい値Ihighに限定されず、使用するモータの特性等に応じて適宜変更しても良く、例えば前記使用するモータの連続定格電流よりも大きい値としても良い。
また、本発明に係る下限値は、本実施形態の下限値Irelに限定されず、使用するモータの特性等に応じて適宜変更しても良く、モータの使用サイクルを繰り返すに際して、当該モータを駆動する電流の最小値よりも大きい値であれば良い。
また、本発明に係る制限値は、本実施形態の制限値Ilimに限定されず、使用するモータの特性等に応じて適宜変更しても良く、例えば前記使用するモータの連続使用時間等を考慮して値を設定しても良い。
また、本発明に係る限界値Ashighは、本実施形態の限界値Ashighに限定されず、使用するモータの特性等に応じて適宜変更しても良く、例えば前記使用するモータの負荷率と動作時間との関係に応じて値を設定しても良い。
【0027】
以上のように、本発明に係るモータの制御システムの実施の一形態である制御システム1において、コントローラ30は、駆動電流Idriがしきい値Ihighを超えたと判断した後に、駆動電流Idriの時間積分を開始し、この時間積分値Asが所定の限界値Ashighを超えた場合に、モータ10は過負荷状態であると判断し、サーボアンプ20からモータ10に供給する電流値Iの最大電流Imaxを所定の制限値Ilim以下に制限することによりモータ10の過負荷状態を回避するものである。
これによれば、モータ10を駆動する駆動電流Idriをコントローラ30にフィードバックしてこの時間積分値Asを評価することによる簡易な方法にて、モータ10の過負荷状態を検出し、モータ10の最大電流Imaxを制限して係る過負荷状態を回避しつつ、モータ10の連続駆動を実現できる。また、駆動電流Idriの最大電流Imaxを制限値Ilimに制限するまでの間に最大電流Imaxを高く設定でき、モータ10の出力を担保できる。さらには、本実施形態に係る制御システム1は、コントローラ30による制御方法を変更することによって既存のサーボアンプ20及びモータ10に対して適用可能であるので、新たなサーボアンプ、モータ等を導入するコストを削減できるという利点もある。
また、本実施形態におけるモータ10は、最大出力80W以下のいわゆる低出力モータであるが、上述のように十分な出力を担保できるので、例えば本実施形態のように作業者が介在する組立ライン100等へのモータ10の適用が実現され、モータ10の実用性が向上する。
また、本実施形態におけるロボットアーム110は、最大出力80W以下、かつ、駆動軸を一軸としたアクチュエータとしてモータ10を用いているので、いわゆる産業用ロボットには該当せず、作業者が介在することが可能となり、モータ10の実用性が向上する。
【0028】
また、本発明に係るモータの制御システムの実施の一形態である制御システム1においては、さらに、駆動電流Idriがしきい値Ihighを下回った場合に、前記時間積分を中断するものである。
これによれば、モータ10が過負荷状態と判断されるまでの出力を十分に確保することが可能となる。
【0029】
また、本発明に係るモータの制御システムの実施の一形態である制御システム1においては、さらに、駆動電流Idriが所定の下限値Irelを下回った場合に、時間積分値Asをゼロにリセットするものである。
これによれば、モータ10の過負荷状態をより適切に判断することが可能となり、モータ10を使用している最中に急に停止することがなく、モータ10の信頼性を向上できる。
【0030】
また、本発明に係るモータの制御システムの実施の一形態である制御システム1においては、さらに、所定の制限値Ilimは、モータ10の連続定格電流Iconとするものである。
これによれば、モータ10の出力をより確実に保証することができるとともに、モータ10の連続使用時間をより確実に保証することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明に係るモータの制御システムの実施の一形態を示すブロック図。
【図2】本発明に係るモータの制御システムの実施の一形態を示す模式図。
【図3】本発明に係るモータの制御システムにおける制御方法の実施の一形態を示すマップ。
【図4】本発明に係るモータの制御システムにおける制御方法の実施の一形態を示すフロー図。
【図5】本発明に係るモータの実施の一形態の動作時間と負荷率との関係を示すマップ。
【符号の説明】
【0032】
1 モータの制御システム
10 モータ
20 サーボアンプ
30 コントローラ
Idri 駆動電流(モータを駆動する電流値)
Ihigh しきい値
Irel 下限値
As 時間積分値
Ashigh 限界値

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータと、
前記モータに任意の値の電流を供給して回転駆動するサーボアンプと、
前記サーボアンプから前記モータを駆動する電流値のフィードバックを受けて、当該フィードバックされる電流値に基づいて前記サーボアンプの前記モータへ供給する電流の最大値を制限することによって、前記モータを制御するコントローラと、を具備するモータの制御システムであって、
前記コントローラは、前記フィードバックされる電流値が所定のしきい値を超えている間、当該電流値の時間積分を行い、当該時間積分値が所定の限界値を超えた場合に、前記最大値を所定の制限値以下に制限することを特徴とするモータの制御システム。
【請求項2】
前記コントローラは、前記フィードバックされる電流値が所定のしきい値を超えた後に当該電流値の時間積分を開始するとともに、前記フィードバックされる電流値が前記しきい値を下回った後に、前記時間積分を中断することを特徴とする、請求項1に記載のモータの制御システム。
【請求項3】
前記コントローラは、前記フィードバックされる電流値が所定の下限値を下回った場合に、前記時間積分値をゼロにリセットすることを特徴とする、請求項1または請求項2の何れかに記載のモータの制御システム。
【請求項4】
前記所定の制限値は、前記モータの連続定格値であることを特徴とする、請求項1〜請求項3の何れか一項に記載のモータの制御システム。
【請求項5】
前記モータは、低出力モータであり、かつ、ロボットアームに用いられるモータであることを特徴とする、請求項1〜請求項4の何れか一項に記載のモータの制御システム。
【請求項6】
サーボアンプにより供給されるモータへの電流値をフィードバック制御するモータの制御方法であって、
前記フィードバックされる電流値が所定のしきい値を超えている間、当該電流値の時間積分を行い、当該時間積分値が所定の限界値を超えた場合に、前記サーボアンプの前記モータに供給する電流の最大値を所定の制限値以下に制限することを特徴とするモータの制御方法。
【請求項7】
前記フィードバックされる電流値が所定のしきい値を超えた後に当該電流値の時間積分を開始するとともに、前記フィードバックされる電流値が前記しきい値を下回った後に、前記時間積分を中断することを特徴とする、請求項6に記載のモータの制御方法。
【請求項8】
前記フィードバックされる電流値が所定の下限値を下回った場合に、前記時間積分値をゼロにリセットすることを特徴とする、請求項6または請求項7の何れかに記載のモータの制御方法。
【請求項9】
前記所定の制限値は、前記モータの連続定格値であることを特徴とする、請求項6〜請求項8の何れか一項に記載のモータの制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−207319(P2009−207319A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−48842(P2008−48842)
【出願日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(594133456)株式会社アラキ製作所 (8)
【Fターム(参考)】