説明

モータ用駆動制御装置、モータシステム、並びに、モータ内蔵ローラシステム

【課題】モータやモータ内蔵ローラに対して回転速度が増大する方向に外力が作用しても回転速度を精度良く調整でき、逆起電力の発生を防止可能なモータ用駆動制御装置、並びに、当該モータ用駆動制御装置を備えたモータ内蔵ローラシステムの提供を課題とした。
【解決手段】制御装置10は、モータ2の回転子15の回転速度と設定速度とを速度比較部37で比較する。回転子15の回転速度が設定速度を基準として設定された基準速度よりも速い場合は、遅延パルス生成部32において、モータパルス認識部30からモータパルス信号とクロック信号生成部31で生成されたクロック信号とに基づき、モータパルス信号に対して位相が遅れた遅延パルス信号が発信される。モータ駆動部33は、遅延パルス信号に基づき、モータ2への通電を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータ用駆動制御装置、モータシステム、並びに、当該モータ用駆動制御装置とこれにより制御可能なモータを内蔵したモータ内蔵ローラとを備えたモータ内蔵ローラシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、下記特許文献1に開示されているようなモータ内蔵ローラが提供されている。モータ内蔵ローラは、回転自在に支持された筒状のローラ本体内に動力源としてモータが内蔵されたものである。この種のモータ内蔵ローラやモータの多くは、モータに接続されたモータ用駆動制御装置により、PWM(Pulse Width Modulation)制御、すなわちモータに対して通電させるオン時間の比率(デューティー比D)を変化させる制御を行うことにより回転速度が調整されている。具体的には、PWM制御の基準となる単位周期Tに対する前記したオン時間tの比率(D=t/T)において、周期Tとデューティー比Dを調整することにより、モータ内蔵ローラやモータの回転速度が調整されている。
【特許文献1】特開2004−107019号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記したように、モータ内蔵ローラや、これに内蔵されているモータの回転速度を制御するためにPWM制御を行った場合は、回転速度を低速にすべくデューティー比を小さくした状態において、モータ内蔵ローラやモータに対して加速方向に外力が作用すると、回転速度をうまく制御できなくなることがあった。さらに詳細には、従来技術の制御装置では、モータ内蔵ローラやモータが外力により加速方向に回され、回転速度が設定速度以上になった場合に、制御装置において回転速度を落とすようにPWM制御が働くこととなっていた。しかし、モータ内蔵ローラやモータの回転速度の設定値が小さい場合は、前記したようなPWM制御の基準となる単位周期Tに対するオン時間tの割合が小さい。そのため、この状態においてさらにモータ内蔵ローラやモータを制動しようとしても、制動のために短縮できるオン時間tはごく僅かであり、十分制動できない可能性があった。また、モータ内蔵ローラやモータに作用する外力が大きい場合は、オン時間tをゼロに設定してもの加速を抑制できないこともあった。
【0004】
また、上記したように、モータ内蔵ローラやモータの加速を抑制できず、これらが外力の作用に伴って回転してしまうと、モータが発電機として機能してしまい、制御装置を構成する基板やこれに実装されている部品などに逆起電力が作用し、場合によってはこれらの部品類が破損する可能性があった。さらに、モータ内蔵ローラやモータに作用する外力の大きさが一定でなければ、モータ内蔵ローラやモータの回転速度が安定しない可能性があるといった問題もあった。
【0005】
そこで、かかる問題を解消すべく、本発明は、モータやモータ内蔵ローラに対して回転速度が増大する方向に外力が作用しても回転速度を精度良く調整でき、逆起電力の発生を防止可能なモータ用駆動制御装置、並びに、当該モータ用駆動制御装置を備えたモータ内蔵ローラシステムの提供を目的とした。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した課題を解決すべく提供される請求項1に記載の発明は、回転子と、多相の駆動コイルを備えた固定子と、回転子の磁極の位置を検知してモータパルス信号を発信可能な回転位置検出手段とを有するモータに接続され、前記回転位置検出手段により検出された回転子の磁極の位置に応じて前記多相の駆動コイルへの通電状態を順次切り替えることにより回転子の回転速度を設定速度に調整可能なモータ用駆動制御装置であって、駆動コイルへの通電を制御するモータ駆動部と、回転位置検出手段から発信されるモータパルス信号を認識するモータパルス認識部と、前記モータパルス認識部において認識されたモータパルス信号に対して位相を遅らせた遅延パルス信号を生成可能な遅延パルス生成部と、回転子の回転速度を認識可能な速度認識部とを有し、当該速度認識部で認識される回転子の回転速度が設定速度よりも速いと認識されることを条件として、遅延パルス生成部により生成される遅延パルス信号に従ってモータ駆動部から駆動コイルへの通電を制御する制動運転を実施可能であることを特徴とするモータ用駆動制御装置である。
【0007】
本発明のモータ用駆動制御装置では、回転子の回転速度が設定速度よりも速いと認識されることを条件として制動運転がなされる。制動運転が実施されると、モータパルス信号に対して位相を遅らせた遅延パルス信号に従って駆動コイルへの通電が制御され、モータに対して制動力を作用させることができる。そのため、本発明のモータ用駆動制御装置によれば、回転子の回転速度の設定値が低い場合に、回転子の回転を加速する方向に外力が作用したとしても、回転子を所定の設定速度で回転するように制動することができる。
【0008】
本発明のモータ用駆動制御装置によれば、回転子の回転速度を精度良く調整できる。そのため、本発明によれば、モータに作用する外力の大きさが変動しても、モータの回転速度を安定させることができる。また、本発明のモータ用駆動制御装置によれば、回転子の回転速度を精度良く調整できるため、外力が作用してもモータが発電機として機能するといった不具合を防止できる。そのため、本発明のモータ用駆動制御装置では、外力の作用によってモータ側から逆起電力が作用したり、逆起電力の作用に伴って部品類が破損するといったような不具合の発生を防止することも可能である。
【0009】
上記請求項1に記載のモータ用駆動制御装置は、モータ駆動部が、モータパルス信号あるいは遅延パルス信号に基づいて駆動コイルへの通電をPWM制御することを特徴とするものに好適に採用することができる(請求項2)
【0010】
請求項3に記載の発明は、設定速度と回転子の速度との差に基づき、モータパルス信号と遅延パルス信号との位相差が調整されることを特徴とする請求項1又は2に記載のモータ用駆動制御装置である。
【0011】
かかる構成によれば、回転子の回転速度を設定速度に調整するのに適した制動力を回転子に作用させ、回転子の回転速度を精度良く調整できる。
【0012】
ここで、上記した本発明のモータ用駆動制御装置において、回転子の実際の回転速度が設定速度よりも速い場合であっても、その差がごく僅かであり、回転子に対して制動力を作用させるまでもない場合がある。かかる場合を想定した場合、上記請求項1〜3のいずれかに記載のモータ用駆動制御装置は、回転子の速度が設定速度よりも所定の速度以上速い場合に制動運転が実施されることを特徴とするものであってもよい(請求項4)。
【0013】
かかる構成によれば、回転子の回転速度が設定速度よりも所定の速度以上速い場合に限って制動運転を行うことができる。
【0014】
請求項5に記載の発明は、制動運転の開始後、モータパルス信号に対する遅延パルス信号の位相の遅れが、所定の期間毎に段階的あるいは連続的に変化することを特徴とする請求項1又は2に記載のモータ用駆動制御装置である。
【0015】
かかる構成とした場合についても、回転子の回転速度を設定速度に調整するのに適した制動力を回転子に作用させ、回転子の回転速度を精度良く調整できる。
【0016】
請求項6に記載の発明は、設定速度と回転子の速度との差に基づいて設定されるクロック数でクロック信号を発信可能なクロック信号生成部を有し、遅延パルス生成部において、クロック信号生成部で生成されたクロック信号に基づき、前記モータパルス認識部で認識されたモータパルス信号に対して位相を遅らせた遅延パルス信号を生成可能であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のモータ用駆動制御装置である。
【0017】
本発明では、設定速度と回転子の速度との差に基づいて設定されたクロック数でクロック信号を発信可能なクロック信号生成部が設けられており、これにより生成されるクロック信号に基づいて遅延パルス生成部において遅延パルス信号が生成される。そのため、本発明のモータ用駆動制御装置で発信される遅延パルス信号は、設定速度と回転子の速度との差を反映してモータパルス信号に対して位相を遅らせたものとなっている。従って、本発明のモータ用駆動制御装置によれば、外力の作用によって回転子の回転が加速された場合であっても、回転子の回転速度を設定速度に調整するのに適した制動力を回転子に作用させ、回転子の回転速度を精度良く調整できる。
【0018】
請求項7に記載の発明は、設定速度と回転子の速度との差に基づき、クロック信号の発信周波数が調整されることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のモータ用駆動制御装置である。
【0019】
かかる構成を採用することによっても、回転子の回転速度を設定速度に調整するのに適した制動力を回転子に作用させ、回転子の回転速度を精度良く調整できる。
【0020】
請求項8に記載の発明は、遅延パルス信号が、モータパルス認識部でモータパルス信号が認識されたタイミングを基準として、設定速度と回転子の速度との差に基づいて設定されるクロック数分だけクロック信号が発信されるまで位相を遅らせたものであることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のモータ用駆動制御装置である。
【0021】
かかる構成によっても、設定速度と回転子の速度との差に基づき、回転子の回転速度を設定速度に調整するのに適した制動力を回転子に作用させることができる。
【0022】
請求項9に記載の発明は、モータと、請求項1〜8のいずれかに記載のモータ用駆動制御装置とを備え、当該モータ用駆動制御装置によって、前記モータの動作が制御されることを特徴とするモータシステムである。
【0023】
本発明のモータシステムでは、上記した本発明のモータ用駆動制御装置によってモータの動作が制御される。そのため、仮に回転子の回転速度が設定速度よりも速くなる方向に外力が作用しても、回転子に制動力が作用し、回転子回転速度が精度良く設定速度に調整される。
【0024】
請求項10に記載の発明は、支軸に対して回転自在に支持されたローラ本体内にモータが内蔵され、当該モータの回転動力がローラ本体に伝達されることでローラ本体が固定軸に対して回転するモータ内蔵ローラと、請求項1〜8のいずれかに記載のモータ用駆動制御装置とを備え、当該モータ用駆動制御装置によって、前記モータの動作が制御されることを特徴とするモータ内蔵ローラシステムである。
【0025】
本発明のモータ内蔵ローラシステムでは、モータ内蔵ローラの駆動源となるモータの動作が、上記した本発明のモータ用駆動制御装置によって制御される。そのため、本発明によれば、モータの回転子の回転速度が設定速度よりも速くなる方向にモータ内蔵ローラに対して外力が作用しても、ローラ本体内に収容されているモータの回転子に制動力を作用させ、回転子およびモータ内蔵ローラの回転速度が設定速度になるように制動することができる。
【0026】
本発明によれば、ローラ本体内に収容されているモータを構成する回転子の回転速度を精度良く調整できる。そのため、本発明によれば、モータ内蔵ローラに作用する外力の大きさが変動しても、モータ内蔵ローラの回転速度を安定させることができる。また、本発明によれば、外力が作用してもモータが発電機として機能し、モータ側からモータ用駆動制御装置に対して逆起電力が作用したり、逆起電力の作用に伴って部品類が破損するといったような不具合の発生を防止することも可能である。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、モータやモータ内蔵ローラに対して回転速度が増大する方向に外力が作用しても回転速度を精度良く調整でき、逆起電力の発生を防止可能なモータ用駆動制御装置、並びに、当該モータ用駆動制御装置を備えたモータ内蔵ローラシステムを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
続いて、本発明の一実施形態にかかるモータシステム1、並びに、モータ用駆動制御装置(以下、制御装置10とも称す)について、図面を参照しつつ詳細に説明する。図1に示すように、モータシステム1は、モータ2と、制御装置10とを備えている。
【0029】
モータ2は、従来公知のブラシレスモータと同様に回転子15や固定子16、ホール素子17からなる回転位置検出手段19、回転軸18を備えたものである。回転子15は、磁石を備えている。本実施形態では、回転子15として、N・S一対(2極)の磁極を備えた磁石が採用されている。また、回転子15には、回転軸18が一体的に回転可能なように取り付けられている。固定子16は、多相(n相)の駆動コイル20を備えている。図2に示すように、本実施形態では、固定子16は、U,V,Wの3相の駆動コイル20(以下、それぞれを駆動コイル20U,20V,20Wとも称す)を備えている。
【0030】
ホール素子17は、回転子15の磁極を検知してパルス信号(以下、モータパルス信号とも称す)を発信可能なものであり、回転子15の回転位置を検出するために設けられている。本実施形態では、3つのホール素子17(以下、それぞれをホール素子17a〜17cとも称す)が回転子15の中心軸に対して120度の間隔をあけて配されており、これら3つのホール素子17a〜17cによって回転位置検出手段19が形成されている。
【0031】
図4(a)に示すように、ホール素子17a〜17cは、それぞれ独立的にモータパルス信号P(以下、それぞれをPa,Pb,Pcとも称す)を発信する。モータ2は、各ホール素子17a〜17cから発信される各モータパルス信号Pa,Pb,Pcに基づいて駆動コイル20に順次切替通電することにより、回転子15およびこれに一体化された回転軸18を所定方向に回転させたり、回転子15や回転軸18の回転を制動することができる。
【0032】
制御装置10は、モータ2の動作をPWM制御するものである。図1に示すように、制御装置10は、モータパルス認識部30や、クロック信号生成部31、遅延パルス生成部32、モータ駆動部33、駆動パルス生成部35、速度設定部36、速度比較部37を備えた構成とされている。制御装置10は、上記したモータ2に対して電気的に接続されている。
【0033】
モータパルス認識部30は、モータ2に設けられたホール素子17a〜17cから発信されるモータパルス信号P(Pa,Pb,Pc)を受信する部分である。モータパルス認識部30で受信されたモータパルス信号Pは、遅延パルス生成部32やモータ駆動部33に向けて発信される。
【0034】
クロック信号生成部31は、所定のクロック数Cでクロック信号を発信可能なものである。クロック信号生成部31で生成されたクロック信号は、遅延パルス生成部32に向けて発信される。クロック信号生成部31は、図3(d)に示すように、クロック数Cすなわち発信周波数Fを適宜調整し、クロック信号の発信間隔を変更することができる。
【0035】
遅延パルス生成部32は、モータ2を制動する際に作動する部分であり、モータパルス認識部30から受信したモータパルス信号Pに対して位相が遅れたパルス信号(以下、遅延パルス信号Lとも称す)を生成し、発信する機能を有する。さらに詳細に説明すると、遅延パルス生成部32は、図3(a)のようにモータパルス信号Pがモータ2側から発信されて来たのを検知すると、図3(b)のようにモータパルス信号Pが立ち上がる時点を基準として、クロック信号生成部31から発信されるクロック信号の1パルス分に相当する分だけ位相を遅らせた遅延パルス信号Lを発信することができる。すなわち、図4(b),(c)に示すように、遅延パルス生成部32は、モータパルス信号P(Pa,Pb,Pc)に対してクロック信号生成部31から発信されるクロック信号の1クロック分に相当する分だけ位相を遅らせた遅延パルス信号L(La,Lb,Lc)を発信することができる。
【0036】
モータ駆動部33は、モータパルス認識部30から発信されたモータパルス信号Pや、遅延パルス生成部32から発信された遅延パルス信号Lを受信し、これに基づいてモータ2への通電を制御する機能を有する部分である。さらに詳細には、モータ2を作動させる場合、モータ駆動部33は、モータパルス認識部30から受信したモータパルス信号Pに基づいて駆動コイル20への通電を制御し、回転子15を回転させる通常運転を実施することができる。
【0037】
速度設定部36は、モータ2の回転子15の回転速度(設定速度)を設定する部分である。また、速度比較部37は、モータパルス認識部30から発信されてくるモータパルス信号に基づいて回転子15の実際の回転速度を認識し、これと速度比較部37で設定された設定速度とを比較することができる。すなわち、速度比較部37は、回転子15の回転速度を検知する速度認識手段としての機能と、設定速度と回転速度とを比較する速度比較手段としての機能とを兼ね備えている。そして、回転子15の回転速度が、設定速度よりもある一定の速度以上速い場合は、速度比較部37から制動信号が発信される。
【0038】
具体的には、通常運転を行う場合において、例えばホール素子17a〜17cによって回転子15の磁極が図5(a)のような位置関係にあることが検知されると、モータ駆動部33により、図中に矢印で示すように駆動コイル20U側から駆動コイル20W側に電流が流れるように通電制御される。これにより、駆動コイル20W側がN極に励磁された状態になると共に、駆動コイル20U側がS極に励磁された状態になり、回転子15が図5(a),(b)に矢印で示す方向(図示状態では反時計回り方向)に回転する。その後、モータ駆動部33により、図5(c)に示すように、駆動コイル20V側から駆動コイル20W側に電流が流れるように電流の流れ方向が切り替えられる。これにより、駆動コイル20W側がN極に、駆動コイル20V側がS極にそれぞれ励磁した状態になると共に、これに追従して図5(c),(d)に矢印で示すように、回転子15がさらに反時計回りに回転する。
【0039】
ここで、本実施形態で採用されている制御装置10は、速度比較部37で設定されたモータ2の回転子15の回転速度(以下、設定速度とも称す)が所定の速度(以下、制動条件速度とも称す)以下である場合であって、速度比較部37において認識される回転子15の実際の回転速度が設定速度よりも所定速度だけ速い回転速度(以下、これを基準速度とも称す)以上である場合に、回転子15の回転を制動する制動運転を実施することができる。さらに詳細に説明すると、モータ2の回転子15が上記した基準速度以上の速度で回転しているか否かが速度比較部37において確認される。具体的には、速度比較部37において単位時間内に検知されるモータパルス信号のパルス数pcをカウントする。その一方で、速度比較部37は、速度設定部36で設定された設定速度で回転子15が回転した場合に検知されるであろうと想定されるパルス数psを認識する。そして、このパルス数ps,pcの差(pc−ps)が所定のパルス数以上である場合に、速度比較部37により、回転子15が基準速度以上の回転速度で回転していることが確認される。
【0040】
すなわち、図6(a)に示すようにモータパルス信号が発信されている場合について検討すると、図6(a)において期間A〜Gにおいて検知されたモータパルス信号の信号数(パルス数pc)は、図6(b)に示すように各期間A〜Gに対して少し遅れて確認される。そして、速度設定部36で設定された設定速度で回転子15が回転した場合に検知されるであろうと想定されるパルス数ps(図6の例ではps=10)を認識する。そして、図6(d)に示すように、各期間A〜Gについてのパルス数ps,pcの差(pc−ps)が確認される。このようにして確認されたパルス数ps,pcの差が所定のパルス数以上(図6に示す例ではps−pc≧2)である場合、速度比較部37により、回転子15が基準速度以上の回転速度で回転していることが確認される。
【0041】
上記したようにして回転子15の回転速度が設定速度よりも所定速度以上速く回転していることが確認されると、図6(e)に示すように速度比較部37から制動信号が発信される。これにより、制動運転が開始される。制動信号が発信されると、そのタイミングから所定の期間にわたってクロック信号生成部31から遅延パルス生成部32に向けてクロック信号が発信される。ここで発信されるクロック信号のクロック数Cは、回転子15の実際の回転速度と設定速度との差(以下、単に速度差Dとも称す)に基づいて設定される。
【0042】
具体的には、速度比較部37は、パルス数ps,pcの差(以下、単にパルス差pとも称す)に基づいて、速度差Dを認識する。そして、パルス差pに基づき、回転子15の回転速度が基準速度以上であると認識された場合は、速度比較部から制動信号が遅延パルス生成部32に向けて発信される。これに伴い、遅延パルス生成部32からモータ駆動部33に向けて所定のクロック数Cで遅延パルス信号Lが発信される。ここで発信される遅延パルス信号Lのクロック数Cは、前記したパルス差pに基づき、クロック信号の発信周波数Fを調整することにより変更される。図6(f)に示すように、発信周波数Fは、前記したパルス差pが大きくなるにつれ、低周波側に切り替えられる。本実施形態では、パルス差pと発信周波数Fが反比例する(p×X=一定)関係となるように設定されている。
【0043】
モータ駆動部33は、遅延パルス生成部32から受信した遅延パルス信号Lに基づき、回転子15の回転を制動する。これにより、回転子15の回転速度は徐々に低下していき、やがて設定速度程度(基準速度以下)まで低下する。具体的には、速度比較部37から制動信号が発信されると、上記したようにして設定された発信周波数F(クロック数C)でクロック信号生成部31からクロック信号が発信される。
【0044】
上記したようにしてクロック信号生成部31において生成されたクロック信号は、遅延パルス生成部32に向けて発信される。遅延パルス生成部32は、モータパルス認識部30から受信したモータパルス信号Pと、クロック信号生成部31から受信したクロック信号とに基づき、遅延パルス信号Lを生成し、モータ駆動部33に向けて発信する。さらに詳細には、図3に示すように、遅延パルス生成部32が期間Tnにおいてモータパルス信号Pを受信すると、この信号が立ち上がった時点から期間Tnにおけるクロック時間tnに相当する分だけ遅延した時点を起点として、モータパルス信号Pがオン状態である期間と同一の期間にわたってオン状態となる遅延パルス信号Lを生成する。遅延パルス生成部32で遅延パルス信号Lが生成されると、これがモータ駆動部33に向けて発信される。
【0045】
制動信号がオン状態となった後、遅延パルス生成部32から遅延パルス信号Lが発信されると、モータ駆動部33は、遅延パルス信号Lに基づいて駆動コイル20U,20V,20Wへの通電を行う。すなわち、制動信号がオン状態となった後は、モータパルス認識部30で認識されるモータパルス信号Pに対して遅延クロック信号の1クロック分に相当する分だけ位相が遅れた状態で駆動コイル20U,20V,20Wへの通電がなされる。そのため、制動信号がオン状態になると、モータ2の回転子15は、前記した位相の遅れ分だけ制動された状態になる。また、制動信号がオン状態になった場合において、回転子15の実際の回転速度と設定速度との速度差Dが大きい程クロック時間tnが長くなり、その分だけ位相の遅れが大きくなる。そのため、回転子15の回転速度が速い程、回転子15にかかる制動力が強くなっていく。
【0046】
上記した制動運転は、制動信号がオン状態となった後、速度比較部37で検知される速度差Dが所定速度よりも低くなるまで継続される。そして、速度差Dが小さくなり、回転子15の回転速度が設定速度と同一あるいは同程度(基準速度以下)になると、制動運転が終了し、通常運転に戻る。
【0047】
本実施形態の制御装置10では、回転子15の回転速度が設定速度よりも速いと認識されることを条件として制動運転がなされる。制動運転が実施されると、遅延パルス生成部32においてモータパルス信号に対して位相を遅らせた遅延パルス信号が発信される。そして、この遅延パルス信号に従い、モータ駆動部33によって駆動コイルへの通電が制御される。これにより、回転子15に対して制動力が作用し、設定速度あるいはこれよりも僅かに速い基準速度まで回転子15の回転速度が低減される。そのため、本実施形態の制御装置10によれば、仮に回転子15の回転速度の設定値が低い場合に、回転子15の回転を加速する方向に外力が作用したとしても、回転子15を所定の設定速度で回転するように制動することができる。
【0048】
上記実施形態では、回転子15が低速で回転している状況において外力の影響等により回転子15が加速方向に強制的に回転させられると、通常運転では回転速度を精度良く調整できないことに鑑み、設定速度が所定の速度以下である場合に制動運転を行う例を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、設定速度によらず必要に応じて制動運転を行う構成としてもよい。
【0049】
上記実施形態のように、制動運転の実施基準となる回転子15の設定速度(制動条件速度)を規定する場合、この制動条件速度は適宜設定することができる。なお、回転子15が低速で回転している状況において、外力の作用に伴う回転子15の加速の制動が困難であることを鑑みると、制動条件速度は、回転子15の最大回転速度に対して1%〜10%程度の速度に設定されることが望ましく、最大回転速度に対して5%以下程度に設定されることがより一層望ましい。
【0050】
また、制動条件速度は、外力の影響による回転子15の加速状況に応じて実施基準を設定することが望ましい。具体的には、回転子15の回転速度が、僅かでも設定速度上回ると問題が生じるような場合は、設定速度に対する速度誤差を考慮した上で制動条件速度を設定する必要がある。より具体的には、モータ2の使用環境等にもよるが、設定速度に対して3%程度の速度誤差が生じるものと想定される場合は、制動条件速度を回転子15の最大回転速度に対して3%〜5%に設定することが好ましく、3%に設定することがより一層好ましい。
【0051】
上記したように、制御装置10によれば、回転子15の回転速度を精度良く調整できる。そのため、本実施形態によれば、モータ2に作用する外力の大きさが変動するような場合であっても、回転子15の回転速度を安定させることができる。
【0052】
上記したように、モータシステム1では、回転子15の回転速度を精度良く調整できる。そのため、モータ2に対して外力の影響で回転子15が回転することがなく、モータ2が発電機として機能するといった不具合を防止できる。そのため、モータシステム1では、外力の作用によってモータ2側から制御装置10や電源に向けて逆起電力が作用したり、逆起電力の作用に伴って様々な部品類が破損するといったような不具合が発生しない。
【0053】
上記したように、制御装置10は、設定速度と回転子15の実際の回転速度との差(速度差D)に基づき、クロック信号生成部31においてクロック信号を発信する発信周波数Fを調整し、モータパルス信号に対する遅延パルス信号の位相差を調整している。そのため、制御装置10によりモータ2の駆動制御を行えば、回転子15の回転速度を設定速度に調整するのに適した制動力を回転子15に作用させ、回転子15の回転速度を精度良く調整できる。
【0054】
上記したように、本実施形態では、回転子15の実際の回転速度が、設定速度よりも所定の速度以上速い場合、すなわち基準速度以上の速度である場合に制動運転を行う構成とされており、回転子15の回転速度が設定速度よりも僅かに速い程度であり、基準速度以下であれば制動運転を行わないものであった。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、回転子15の実際の回転速度が、設定速度よりも速ければ必ず制動運転を行うこととしてもよい。かかる構成によれば、回転子15の回転速度をより一層精密に調整することができる。
【0055】
上記実施形態では、クロック信号生成部31から発信されるクロック信号の発信間隔を回転子15の実際の回転速度と設定速度との差に基づいて変更すると共に、1クロック分に相当する分だけモータパルス信号Pに対する遅延パルス信号Lの位相の遅れを増幅していく構成を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。具体的には、例えばクロック信号生成部31を時間の経過によらず所定のクロック数Cでクロック信号を発するものとし、回転子15の実際の回転速度と設定速度との差に基づいて設定されたクロック数X分だけモータパルス信号Pに対して遅れた遅延パルス信号Lを生成することとしてもよい。
【0056】
上記実施形態で示した制御装置10は、速度比較部37で確認された速度差Dに応じてモータパルス信号に対する遅延パルス信号の位相の遅れを調整することで、モータ2に作用する制動力を調整するものであったが、本発明はこれに限定されるものではない。具体的には、制動運転を開始した後、モータパルス信号に対する遅延パルス信号の位相の遅れが、所定の期間毎に段階的あるいは連続的に変化するものであってもよい。
【0057】
さらに詳細に説明すると、制御装置10は、例えばモータ2の制動運転の開始後、遅延パルス生成部32で生成される遅延パルス信号Lのモータパルス信号Pに対する位相の遅れを単位時間T毎に段階的に増大させるものとすることが可能である。この場合、制御装置10は、以下のようにして制動運転を行う。
【0058】
モータ2に外力が作用して回転子15の回転速度が設定速度よりも所定の速度以上速くなると、図6(e)に示すように速度比較部37から制動信号が発信される。これを受けて、クロック信号生成部31は、クロック信号を発信する。ここで、図6(g)に示すように、クロック信号生成部31は、制動信号が発信された時点から所定の単位時間T毎に1クロック分に相当する期間(以下、クロック時間とも称す)が長くなるように発信周波数F(クロック数C)を切り替えていく。すなわち、制動信号がオン状態になった後、単位時間T毎に期間T1,T2・・・,Tn(n=1,2,3,4・・・)とし、各期間Tnの間に発信されるクロック信号についてのクロック時間をtn(n=1,2,3,4・・・)とした場合、期間Tnにおけるクロック時間tnは、期間T(n−1)におけるクロック時間t(n−1)よりも大きくなる。すなわち、tn>t(n−1)の関係が成立する。
【0059】
上記したようにしてクロック信号生成部31において生成されたクロック信号は、遅延パルス生成部32に向けて発信される。遅延パルス生成部32は、モータパルス認識部30から受信したモータパルス信号Pと、クロック信号生成部31から受信したクロック信号とに基づき、遅延パルス信号Lを生成し、モータ駆動部33に向けて発信する。さらに詳細には、遅延パルス生成部32が期間Tnにおいてモータパルス信号Pを受信すると、この信号が立ち上がった時点から期間Tnにおけるクロック時間tnに相当する分だけ遅延した時点を起点として、モータパルス信号Pがオン状態である期間と同一の期間にわたってオン状態となる遅延パルス信号Lを生成する。遅延パルス生成部32で遅延パルス信号Lが生成されると、これがモータ駆動部33に向けて発信される。
【0060】
制動信号がオン状態となった後、遅延パルス生成部32から遅延パルス信号Lが発信されると、モータ駆動部33は、遅延パルス信号Lに基づいて駆動コイル20U,20V,20Wへの通電を行う。すなわち、制動信号がオン状態となった後は、モータパルス認識部30で認識されるモータパルス信号Pに対して遅延クロック信号の1クロック分に相当する分だけ位相が遅れた状態で駆動コイル20U,20V,20Wへの通電がなされる。そのため、制動信号がオン状態になると、モータ2の回転子15は、前記した位相の遅れ分だけ制動された状態になる。また、制動信号がオン状態になった後、回転子15の回転速度が基準速度以上である間は、単位時間T毎にクロック時間tnが長くなり、その分だけ位相の遅れが大きくなる。そのため、制動信号がオン状態になった後、単位時間Tが経過する毎に回転子15にかかる制動力が強くなっていく。このようにして制動運転が実施されることにより、回転子15の回転速度が基準速度まで低下すると、制動運転が終了する。
【0061】
上記したように、単位時間毎に遅延パルス生成部32で生成される遅延パルス信号Lのモータパルス信号Pに対する位相の遅れを単位時間T毎に段階的に増大させることとすると、回転子15に加わる制動力が段階的に強くなる。従って、本実施形態の制御装置10によれば、制動時に回転子15の回転速度を緩やかに調整することができる。
【0062】
なお、上記した変形例では、制動運転を行う際に、単位時間T毎に位相の遅れが段階的に増大するものを例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。具体的には、位相の遅れを変化させる期間を一定の期間(単位時間T)とせず、連続的に変動させるものとしてもよい。また、上記した変形例では、位相のずれが単位時間T毎に段階的に位相の遅れが変化するものであったが、連続的に変化するものであってもよい。さらに、上記した変形例では、時間を追う毎に位相のずれが増大するものであったが、時間を追う毎に位相のずれが減少するものとしたり、制動運転の開始直後と、開始後しばらくしてからとで位相のずれが異なるものであってもよい。かかる形態による制御を採用した場合についても、回転子15の回転速度を設定速度あるいはこれに近い速度に精度良く調整することができる。
【0063】
上記実施形態で示したモータ2は、回転位置検出手段19としてホール素子17a〜17cにより構成されるものを例示したが、例えばフォトトランジスタのようなものにより構成されるものであってもよい。
【実施例】
【0064】
続いて、上記したモータシステム1を適用した実施例であるモータ内蔵ローラシステム50について、図面を参照しつつ詳細に説明する。図7に示すように、モータ内蔵ローラシステム50は、上記したモータシステム1と、モータ内蔵ローラ60とを備えており、両者が電気的に接続されている。
【0065】
モータ内蔵ローラ60は、ローラコンベアや、巻き取り装置等の駆動源として利用可能なものである。モータ内蔵ローラ60は、上記したモータ2と、ローラ本体61と、閉塞部材62と、支軸63,65とを具備している。ローラ本体61は、両端が開口した金属製の筒体であり、両端が閉塞部材62によって閉塞されている。支軸63,65は、それぞれ閉塞部材62,62から突出した軸体であり、閉塞部材62,62に軸受66,67を介して回転自在に取り付けられている。
【0066】
図2に示すように、モータ内蔵ローラ60は、ローラ本体61内にモータ2と減速器70とから構成される駆動ユニット80を内蔵している。モータ2の回転軸18は、軸受71,72を介して支持されている。モータ2の回転軸18の一端側は、回転子の回転動力を減速するための減速器70に接続されている。
【0067】
減速器70は、遊星歯車列からなる減速器であり、回転軸18を介して伝播するモータ2の回転動力を所定の減速比で減速するものである。また、減速器70の出力軸73は、ローラ本体61の内部に固定されている連結部材76に動力を伝達可能なように接続されている。そのため、モータ2が作動すると、減速器70において減速され、減速器70の出力軸73および連結部材76を介してローラ本体61に伝播され、ローラ本体61が回転駆動する。
【0068】
上記したモータ内蔵ローラ60は、モータ2が上記実施形態に示した制御装置10によって駆動制御される。そのため、モータ内蔵ローラ60に対して加速方向に外力が作用し、モータ2の回転子15が加速したとしても、モータ内蔵ローラ60およびモータ2を設定速度に精度良く制動することができる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の一実施形態にかかるブラシレスモータシステムの構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示すブラシレスモータシステムにおいて採用されているモータの内部構造を示す模式図である。
【図3】(a)は図1に示すブラシレスモータが制動運転を行う際にモータパルス認識部で認識されるモータパルス信号のタイムチャート、(b)は遅延パルス生成部で生成される遅延パルス信号のタイムチャート、(c)はクロック生成部で生成されるクロック信号のタイムチャートである。
【図4】(a)は通常運転時にモータパルス認識部で認識されるモータパルス信号のタイムチャート、(b),(c)はクロック時間t1,t2の際に遅延パルス生成部で生成される遅延パルス信号のタイムチャートである。
【図5】(a)〜(d)は、ブラシレスモータを通常運転する際の動作状態を示す模式図である。
【図6】(a)はモータパルス認識部で認識されるモータパルス信号のタイムチャート、(b)はモータパルス信号のカウント値を示すタイムチャート、(c)は設定速度で回転子が回転する場合に発信されるモータパルス信号数を示すタイムチャート、(d)は(b),(c)のパルス数の差を示すタイムチャート、(e)は制御信号を示すタイムチャート、(f),(g)はクロック信号生成部におけるクロック信号の発信周波数の変遷を示すタイムチャートである。
【図7】本発明の一実施例にかかるモータ内蔵ローラシステムを示す説明図である。
【符号の説明】
【0070】
1 ブラシレスモータシステム(モータシステム)
2 モータ
10 ブラシレスモータ駆動制御装置(制御装置)
15 回転子
16 固定子
17 ホール素子
18 回転軸
19 回転位置検出手段
20 駆動コイル
30 モータパルス認識部
31 クロック信号生成部
32 遅延パルス生成部
33 モータ駆動部
37 速度比較部(速度認識部)
50 モータ内蔵ローラシステム
60 モータ内蔵ローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転子と、多相の駆動コイルを備えた固定子と、回転子の磁極の位置を検知してモータパルス信号を発信可能な回転位置検出手段とを有するモータに接続され、前記回転位置検出手段により検出された回転子の磁極の位置に応じて前記多相の駆動コイルへの通電状態を順次切り替えることにより回転子の回転速度を設定速度に調整可能なモータ用駆動制御装置であって、
駆動コイルへの通電を制御するモータ駆動部と、
回転位置検出手段から発信されるモータパルス信号を認識するモータパルス認識部と、
前記モータパルス認識部において認識されたモータパルス信号に対して位相を遅らせた遅延パルス信号を生成可能な遅延パルス生成部と、
回転子の回転速度を認識可能な速度認識部とを有し、
当該速度認識部で認識される回転子の回転速度が設定速度よりも速いと認識されることを条件として、遅延パルス生成部により生成される遅延パルス信号に従ってモータ駆動部から駆動コイルへの通電を制御する制動運転を実施可能であることを特徴とするモータ用駆動制御装置。
【請求項2】
モータ駆動部が、モータパルス信号あるいは遅延パルス信号に基づいて駆動コイルへの通電をPWM制御することを特徴とする請求項1に記載のモータ用駆動制御装置。
【請求項3】
設定速度と回転子の速度との差に基づき、モータパルス信号と遅延パルス信号との位相差が調整されることを特徴とする請求項1又は2に記載のモータ用駆動制御装置。
【請求項4】
回転子の速度が設定速度よりも所定の速度以上速い場合に制動運転が実施されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のモータ用駆動制御装置。
【請求項5】
制動運転の開始後、モータパルス信号に対する遅延パルス信号の位相の遅れが、所定の期間毎に段階的あるいは連続的に変化することを特徴とする請求項1又は2に記載のモータ用駆動制御装置。
【請求項6】
設定速度と回転子の速度との差に基づいて設定されるクロック数でクロック信号を発信可能なクロック信号生成部を有し、
遅延パルス生成部において、クロック信号生成部で生成されたクロック信号に基づき、前記モータパルス認識部で認識されたモータパルス信号に対して位相を遅らせた遅延パルス信号を生成可能であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のモータ用駆動制御装置。
【請求項7】
設定速度と回転子の速度との差に基づき、クロック信号の発信周波数が調整されることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のモータ用駆動制御装置。
【請求項8】
遅延パルス信号が、モータパルス認識部でモータパルス信号が認識されたタイミングを基準として、設定速度と回転子の速度との差に基づいて設定されるクロック数分だけクロック信号が発信されるまで位相を遅らせたものであることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のモータ用駆動制御装置。
【請求項9】
モータと、
請求項1〜8のいずれかに記載のモータ用駆動制御装置とを備え、
当該モータ用駆動制御装置によって、前記モータの動作が制御されることを特徴とするモータシステム。
【請求項10】
支軸に対して回転自在に支持されたローラ本体内にモータが内蔵され、当該モータの回転動力がローラ本体に伝達されることでローラ本体が固定軸に対して回転するモータ内蔵ローラと、
請求項1〜8のいずれかに記載のモータ用駆動制御装置とを備え、
当該モータ用駆動制御装置によって、前記モータの動作が制御されることを特徴とするモータ内蔵ローラシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−148096(P2009−148096A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−323806(P2007−323806)
【出願日】平成19年12月14日(2007.12.14)
【出願人】(592026819)伊東電機株式会社 (71)
【Fターム(参考)】