説明

ユッカ抽出物、キラヤ抽出物及び乳酸菌の複合組成物を含有する飲食品及びその製造法

【課題】乳酸菌の血中コレステロール低下作用を増強し、乳酸菌と併用することにより血中トリグリセリドを低下させる全く安全な新しい組成物を含有する飲食品の提供。
【解決手段】 ユッカ及びキラヤ抽出物と乳酸菌あるいはビフィズス菌を含む乳酸菌を併用し、飲食品に含有させる。
【効果】当該飲食品は血中コレステロール及び血中トリグリセリドを効率的に低下させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユッカ抽出物及びキラヤ抽出物を混合・配合した複合組成物(以下、ユッカ及びキラヤ抽出物の複合組成物と称する。)と乳酸菌を混合・配合した複合組成物(以下、ユッカ、キラヤ及び乳酸菌の複合組成物と称する。)を含有する飲食品及びその製造法に関する。
【背景技術】
【0002】
良く知られている通り、乳酸菌とは、乳糖やブドウ糖などの糖を利用して増殖し、その過程で多量の乳酸を産生する菌(ホモ型乳酸発酵菌)または乳酸、アルコール及び炭酸ガスなどを産生する菌(ヘテロ型乳酸発酵菌)であり、更には乳酸と酢酸などを産生するビフィズス菌も含まれる。
【0003】
乳酸菌は、発酵乳用乳酸菌と腸管系乳酸菌に分類される。発酵乳用乳酸菌は、乳酸桿菌属(Lactobacillus delbrueckii subsp.bulgaricus、Lactobacillus delbrueckii subsp.lactis、Lactobacillus helveticus、Lactobacillus helveticus subsp.jugurtiなど)、乳酸球菌属(Streptococcus thermophilus、Lactococcus lactis subsp.Lactis、Lactococcus lactis subsp.Cremoris、Lactococcus deacetilactisなど)とロイコノストック属(Leuconostoc cremorisなど)に分類される。
【0004】
腸管系乳酸菌は、乳酸桿菌属(Lactobacillus acidophilus、Lactobacillus crispatus、Lactobacillus amylovorus、Lactobacillus gallinarum、Lactobacillus gasseri、Lactobacillus johnsonii、Lactobacillus casei、Lactobacillus casei subsp.rhamnosusなど)、乳酸球菌属(Enterococcus faeciumなど)とビフィズス属(Bifidobacterium bifidum、Bifidobacterium longum、Bifidobacterium breve、Bifidobacterium infantis、Bifidobacterium adolescentisなど)に分類される。
【0005】
乳酸菌には、バチルス・コアグランス(Bacillus coagulans)、ラクトバチルス・スポロゲネス(Lactobacillus sporogenes)のような有胞子性乳酸菌も含まれる。
【0006】
ヨーグルトは、ブルガリア菌、サーモフィラス菌、アシドフィラス菌、ビフィズス菌の1種または2種以上によって製造される。
【0007】
便通・便秘・下痢の改善、消化・吸収の向上、腸内腐敗の防止、腸内細菌フローラの正常化、腸内の清浄、免疫機能の亢進などが、乳酸菌の一般的機能として知られている。
【0008】
乳酸菌による血中コレステロール低下作用及び食品中コレステロール低減方法も知られている。例えば、ラクトコッカスに属する乳酸菌を用いた飲食品(特許文献1参照)、凍結乾燥乳酸菌を用いた組成物(特許文献2参照)、胆汁酸脱抱合作用を示さない新規なラクトバチルス乳酸菌を用いる方法(特許文献3参照)、乳酸菌による発酵豆乳(特許文献4参照)、カビ培養物、酵母、乳酸菌培養物を配合した組成物及び食品(特許文献5参照)、エンテロコッカス(Enterococcus)属の乳酸菌の産生する抱合胆汁酸脱抱合酵素を用いる方法(特許文献6参照)、ラクトバチルス(Lactobacillus)属乳酸菌の乳清蛋白質培養物とストレプトコッカス・サーモフィラス(Streptococcus thermophilus)の乳清蛋白質培養物の混合物を用いた食品(特許文献7参照)、ラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシス・ラクティス(Lactococcus lactis subsp.lactis)を用いた食品中コレステロール低減方法(特許文献8参照)、乳酸菌による発酵豆乳(特許文献9参照)、ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)、ラクトバチルス・ヒルガルディ(Lactobacillus hilgardii)、ラクトバチルス・パラアリメンタリウス(Lactobacillus paralimentarius)を用いた食品(特許文献10参照)及びラクトバチルス・ガセリ(Lactobacillus gasseri)を用いた飲食物(特許文献11参照)、有胞子性乳酸菌による方法(非特許文献1参照)などである。
【0009】
【特許文献1】特開平5−65229
【特許文献2】特開平6−56680
【特許文献3】特開平7−250670
【特許文献4】特開平10−229841
【特許文献5】特開平10−298083
【特許文献6】特開2000−166548
【特許文献7】特開2000−197469
【特許文献8】特開2002−65203
【特許文献9】特開2003−81855
【特許文献10】特開2003−235501
【特許文献11】特開2003−306436
【非特許文献1】J.C.Mohan et al.,Indian J.Med.Res.,Vol.95,pp.431−432,1990
【0010】
また、乳酸菌の血中コレステロール低下作用、血中トリグリセリド低下作用について多くの基礎研究、臨床試験が実施されてきた。特に、1990年以後に実施され学術論文として報告された11報のヒト臨床試験の結果を中心としたレビューが発表された(非特許文献2参照)。
【0011】
【非特許文献2】肖 金忠、医学のあゆみ、207巻、835−840、2003
【0012】
これらの11報の学術論文に関する総合的判断では、乳酸菌が血中コレステロールを低下させる成績と低下させない成績のいずれもあり、どちらとも断言することはできないと云うのが結論であった。いずれにせよ、乳酸菌による血中コレステロール低下作用は不十分であり、満足できるものではないことは明らかである。
【0013】
また、これらの11報の全てで血中トリグリセリドを低下させた成績は得られなかった。即ち、乳酸菌は血中トリグリセリド低下に関して無効であると結論することができると考えられる。
【0014】
ユッカ抽出物は、ユリ科のユッカ・シディゲラ(Yucca schidigera)の根茎より水または含水アルコールで抽出して得られた抽出物である。キラヤ抽出物は、バラ科のキラヤ・サポナリア(Quillaja saponalia)の樹皮より水または含水アルコールで抽出して得られた抽出物である。
【0015】
ユッカ抽出物及びキラヤ抽出物は、天然物由来の食品添加物として、日本、米国などで承認を得ており、特に飲料、化粧品などの乳化剤、起泡剤などとして汎用されている。
【0016】
ユッカ抽出物及びキラヤ抽出物は、固有の香り、味、色があり、そのままでも食品素材として使用できるが、好ましくは、更に精製した製品、場合によっては高度に精製した製品が望まれる。
【0017】
ユッカ抽出物及びキラヤ抽出物に関して、それぞれ単独の抽出物が、いずれも血中コレステロール低下作用を有することが報告されている(非特許文献3参照)。
【0018】
ユッカ及びキラヤ抽出物の複合組成物は、ヒト血中総コレステロール低下作用、ヒト血中LDLコレステロール低下作用及び消化管機能改善作用に対してユッカ抽出物とキラヤ抽出物は相乗的に有効性を発揮し、ユッカ抽出物単独、キラヤ抽出物単独の場合よりも格段に優れた有効性を示すこと、及び、ユッカ抽出物とキラヤ抽出物の配合割合を96:4〜65:35等といろいろと変化させた例、更には、優れたヒト血中コレステロール低下作用を有する混合割合の代表例は、キラヤ抽出物が60%でユッカ抽出物が40%の混合物であることなどが既に開示されている(特許文献12及び非特許文献4参照)。
【0019】
特許文献12及び非特許文献4によれば、ユッカ及びキラヤ抽出物の複合組成物の血中トリグリセリド低下作用は認められなかった。
【0020】
また、ユッカ及びキラヤ抽出物の組成物を含有する飲食品の形体としては、溶液状の飲料形体及び固形状の食品形体が知られている。(特許文献12及び13参照)。
【0021】
【非特許文献3】J.Milgate and D.C.K.Roberts,Nutrition Research,Vol.15, No.8,pp.1223−1249,1995
【非特許文献4】S.W.Kim et al,Arch.Pharm.Res.,Vol.26,No.12,pp.1042−1046,2003
【特許文献12】PCT/KR01/00299
【特許文献13】特願2003−394738
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
乳酸菌を使用した血中コレステロール低下能を有する機能性飲食品で、これまでに知られている飲食品の血中コレステロール低下作用は強いものではなく、甚だ不充分なものであった。そのため、乳酸菌の血中コレステロール低下作用を増強し、しかも全く安全で飲食品として用いることができる新しい組成物の開発が強く求められていた。
【0023】
また、ユッカ抽出物及びキラヤ抽出物の複合組成物においても、その価格は安価なものではないため、より少ない摂食量でも充分な血中コレステロール低下作用を持たせることが求められていた。そのため、ユッカ抽出物及びキラヤ抽出物の複合組成物の血中コレステロール低下作用を増強し、しかも全く安全で飲食品として用いることができる新しい組成物の開発が強く求められていた。
【0024】
これまでの多くのヒト臨床試験の結果では、乳酸菌が血中トリグリセリド低下作用を有することは認められていない。従って、乳酸菌と併用することによって血中トリグリセリド低下作用を発揮させることができ、しかも全く安全で飲食品として用いることができる新しい組成物の開発が強く求められていた。
【0025】
これまでのヒト臨床試験の結果では、ユッカ及びキラヤ抽出物の複合組成物が血中トリグリセリド低下作用を有することは認められていない。従って、ユッカ及びキラヤ抽出物の複合組成物と併用することによって血中トリグリセリド低下作用を発揮させることができ、しかも全く安全で飲食品として用いることができる新しい組成物の開発が強く求められていた。
【0026】
そこで本発明が解決しようとする課題は、ユッカ抽出物及びキラヤ抽出物の複合組成物と乳酸菌を混合・配合することにより、それぞれの血中コレステロール低下作用を増強し、より効率的に血中コレステロールを低下させること、更には、ユッカ及びキラヤ抽出物の複合組成物も乳酸菌も単独では血中トリグリセリド低下効果を有さないが、ユッカ抽出物及びキラヤ抽出物の複合組成物と乳酸菌を混合・配合することにより血中トリグリセリド低下効果を有するようにすること、しかも全く安全な新しい複合組成物を含有する飲食品及び飲食品素材を提供することにある。
【0027】
本発明の課題の飲食品は、ユッカ、キラヤ及び乳酸菌の複合組成物を構成要素とするが、この構成要素以外に混合・配合する飲食品素材を限定するものではない。即ち、一般的な食品素材を広く混合・配合することができる。このようにして得られた飲食品は、ユッカ、キラヤ及び乳酸菌の複合組成物を構成要素として含有している。即ち、ユッカ、キラヤ及び乳酸菌の複合組成物は飲食品素材の一つであり、従って本発明の課題は飲食品及び飲食品素材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0028】
本発明者らは、ユッカ及びキラヤ抽出物の複合組成物の血中コレステロール低下作用を増強することができる飲食品素材及び血中トリグリセリド低下作用を発揮させることができる飲食品素材について鋭意検討を進めた結果、乳酸菌がそのような作用を有することを見出し本発明を完成した。
【0029】
即ち、課題を解決する手段は、ユッカ及びキラヤ抽出物の複合組成物と乳酸菌を併用することである。そのことによって、血中コレステロールをより効率的に低下させることができること及びユッカ及びキラヤ抽出物の複合組成物または乳酸菌のそれぞれ単独では血中トリグリセリドを低下させないが、これらを併用することによって血中トリグリセリドを低下させることができる。更には、ユッカ抽出物、キラヤ抽出物及び乳酸菌のいずれも全く安全な飲食品素材であり、これらを含有する飲食品は理想的な飲食品として期待できる。
【発明の効果】
【0030】
本発明のユッカ及びキラヤ抽出物の複合組成物と乳酸菌を混合・配合した複合組成物を含有する飲食品または飲食品素材は、従来のユッカ及びキラヤ抽出物を含有する飲食品または飲食品素材、乳酸菌を含有する飲食品または飲食品素材に比して、次の効果を有する。
【0031】
(1)ユッカ及びキラヤ抽出物の複合組成物と乳酸菌は、併用することによって、それぞれ単独に使用した場合よりも、血中コレステロールをより効率的に低下させ、且つ、ユッカ抽出物、キラヤ抽出物及び乳酸菌のいずれも全く安全な飲食品素材であり、これらを含有する製品は理想的な飲食品または飲食品素材とすることができる。
【0032】
このユッカ及びキラヤ抽出物の複合組成物と乳酸菌の相乗的血中コレステロール低下作用は、試験例2及び表2によって証せられる。
【0033】
即ち、試験例2及び表2に示したように血中コレステロール低下に対して、ユッカ及びキラヤ抽出物の複合組成物単独及びビフォドバクテリウム・ロンガム単独での有効性は認めなかった。しかるに、ユッカ及びキラヤ抽出物の複合組成物と乳酸菌を併用して投与した場合は、血中コレステロールに有意な著しい低下を認めた。
【0034】
(2)ユッカ及びキラヤ抽出物の複合組成物または乳酸菌のそれぞれ単独では血中トリグリセリドを低下させないが、これらを併用することによって血中トリグリセリドを低下させる飲食品または飲食品素材とすることができる。
【0035】
このユッカ及びキラヤ抽出物の複合組成物と乳酸菌の相乗的血中トリグリセリド低下作用は、試験例2及び表2によって証せられる。
【0036】
即ち、試験例2及び表2に示したように血中トリグリセリド低下に対して、ユッカ及びキラヤ抽出物の複合組成物単独及びビフォドバクテリウム・ロンガム単独での有効性は認めなかった。しかるに、ユッカ及びキラヤ抽出物の複合組成物と乳酸菌を併用して投与した場合は、血中トリグリセリドに有意な著しい低下を認めた。
【0037】
ユッカ及びキラヤ抽出物の複合組成物と乳酸菌を併用することによって血中コレステロール低下作用を増強できること、及び血中グリセリドを著しく低下させることができることは、これまで全く報告のない新規なことであり大きな進歩である。
【0038】
血中コレステロール低下作用の増強は、高脂血症の予防、治療、心筋梗塞と脳梗塞、脳卒中の原因である動脈硬化を予防、治療することにつながり非常に有用なことである。
【0039】
血中トリグリセリド低下作用も高脂血症の予防、治療につながるだけでなく、抗肥満にもつながり非常に有用なことである。
【0040】
血中コレステロール及び血中トリグリセリドに対する相乗的低下作用の作用機序は不明であるが、その新規性、進歩性、有用性は明らかである。
【0041】
(3)良く知られているように乳酸菌は、便通・便秘・下痢の改善、消化・吸収の向上、腸内腐敗の防止、腸内細菌フローラの正常化、腸内の清浄などの機能を有している。一方、ユッカ及びキラヤ抽出物の複合組成物も、腹部膨満感(ガス膨張)、げっぷ、便秘、下痢などの消化器症状に対して優れた改善効果を有している。ユッカ抽出物、キラヤ抽出物はいずれも植物から抽出・精製されたサポニン類を主成分とする天然物であり、乳酸菌は微生物である。これらの全く異なる成分は作用機作も異なるため、それらを配合することにより、より広い範囲の消化器症状異常に対して優れた改善効果を期待できる。
【0042】
(4)分泌された胆汁で再吸収されずに大腸に達した胆汁酸は、大腸内細菌によって発癌性物質として知られている二次胆汁酸に変換され大腸癌発生の危険を増大させる。ユッカ及びキラヤ抽出物は、コレステロール及び脂肪の吸収阻害物質であり、その主な作用メカニズムの一つは、胆汁酸とのミセル形成による再吸収阻害である。ミセル化された胆汁酸は、大腸内細菌の作用を受け難い状態ではあるが、より多くの胆汁酸が大腸内へ移行されてくるので、より確実に胆汁酸の二次胆汁酸への変換を抑制する手段を講じることは、食品としての安全性を完全なものとする上で望ましいことである。乳酸菌は、菌体内に胆汁酸を蓄積し菌体外に放出しない機能を持っている。菌体内胆汁酸は、大腸内細菌によって二次胆汁酸に変換されないので、結果として、大腸へ移行されて来るより多くの胆汁酸を含めて二次胆汁酸の生成が抑制されることになり、ユッカ及びキラヤ抽出物と乳酸菌との混合・配合は飲食品としてより理想的なものとなる。
【0043】
(5)ユッカ及びキラヤ抽出物の複合組成物は、脂肪の吸収を阻害することによるダイエット効果が期待できる(非特許文献4参照)。乳酸菌自体の整腸作用からもマイルドなダイエット効果が期待できる。更には、ユッカ及びキラヤ抽出物の複合組成物と乳酸菌の相乗的血中トリグリセリド低下作用は、抗肥満効果の増強を示唆しており、従って、ユッカ及びキラヤ抽出物と乳酸菌との混合・配合により、より優れたダイエット効果が期待できる。
【0044】
(6)試験例1及び表1に示したように、ユッカ及びキラヤ抽出物の複合組成物は、ビフィドバクテリウム・ロンガムなどのビフィドバクテリウムの増殖を著しく促進する作用を有することが明らかとなった。これは、これまで報告されていない新規なことである。このことは、本発明の骨子であるユッカ及びキラヤ抽出物の複合組成物と乳酸菌との併用が非常に合理的なものであることを意味すると同時に、前項(1)、(2)、(3)、(4)及び(5)に述べた、本発明のいろいろな効果を効率的に発現する基盤を作ることを意味している重要なことである。
【発明を実施するための最良の形態・実施例】
【0045】
本発明は、その構成要素としてユッカ及びキラヤ抽出物の複合組成物と乳酸菌を配合・混合し、更に各種の飲食品素材を配合して製造した飲食品及び飲食品素材が実施形態の原則である。
【0046】
ユッカ及びキラヤ抽出物の複合組成物と乳酸菌を構成要素とする飲食品及び飲食品素材は、これまでに報告例がなく新規な飲食品または飲食品素材である。
【0047】
本発明に使用できる乳酸菌は、発酵用乳酸桿菌(例えば、Lactobacillus delbrueckii subsp.bulgaricus、Lactobacillus delbrueckii subsp.lactis、Lactobacillus helveticus、Lactobacillus helveticus subsp.jugurti)、発酵用乳酸球菌(例えば、Streptococcus thermophilus、Lactococcus lactis subsp.lactis、Lactococcus lactis subsp.cremoris、Lactococcus deacetilactis)、ロイコノストック属(Leuconostoc cremoris)、腸管系乳酸桿菌(例えば、Lactobacillus acidophilus、Lactobacillus crispatus、Lactobacillus amylovorus、Lactobacillus gallinarum、Lactobacillus gasseri、Lactobacillus johnsonii、Lactobacillus casei、Lactobacillus casei subsp.rhamnosus)、腸管系乳酸球菌(例えば、Enterococcus faecium、Streptococcus faecium、Enterococcus faecalis、Streptococcus faecalis)、ビフィズス属(例えば、Bifidobacterium bifidum、Bifidobacterium longum、Bifidobacterium breve、Bifidobacterium infantis、Bifidobacterium adolescentis)、有胞子性乳酸菌(例えば、Bacillus coagulans、Lactobacillus sporogenes)、植物性乳酸菌(例えば、Lactobacillus plantarum、Pediococcus halophilus)及びその他のプロバイオティック乳酸菌(例えば、Lactobacilus reuteri、Lactobacillus rhamnosus、Lactobacillus salivarius、Lactobacillus hilgardii、Lactobacillus paralimentarius、Enterococcus faecalis、Enterococcus haecium)などである。
【0048】
これらの乳酸菌の1種または2種以上を混合・配合して用いることができる。
【0049】
好ましい実施形態の一つは、ビフィズス属(例えば、Bifidobacterium bifidum、Bifidobacterium longum、Bifidobacterium breve、Bifidobacterium infantis、Bifidobacterium adolescentis)の1種または2種以上を混合・配合して用いることである。
【0050】
ビフィズス属以外の乳酸菌とビフィズス属の乳酸菌を混合・配合した製品も好ましい実施形態の一つである。
【0051】
ヨーグルトは、ブルガリア菌、サーモフィラス菌、アシドフィラス菌、ビフィズス菌の1種または2種以上を用いて製造されるが、これらの乳酸菌も本発明に使用できる。
【0052】
乳酸菌は、例えば、遠心分離及び濾過などによって集菌した湿潤状態で用いることもできるが、好ましい実施方法の一つは、凍結乾燥した菌体または凍結乾燥助剤などを用いて凍結乾燥した菌体を用いることである。
【0053】
ヨーグルトも本発明の好ましい実施形態の一つである。
【0054】
ヨーグルトにはいろいろな種類のものがあるが、大きくはプレーンタイプヨーグルト、ハードタイプヨーグルト、ソフトタイプヨーグルト、ドリンクタイプヨーグルト及びフローズンタイプヨーグルトに分けられる。
【0055】
カスピ海ヨーグルト、ケフィアヨーグルトなどの一般的名称で呼称されるヨーグルトも好ましい実施形態の一つである。
【0056】
ビフィドバクテリウム・ロンガムなどのビフィズス菌を含有するヨーグルトも好ましい実施形態の一つである。
【0057】
カルピス、ヤクルト、発酵乳(酸乳)などの乳酸菌飲料も本発明の好ましい実施形態の一つである。
【0058】
乳酸菌飲料、ヨーグルトなどには、天然果汁、コーヒー、カカオ、ミネラル、炭酸、アルコールなどの嗜好性食品素材を添加することもできる。
【0059】
乳酸菌飲料、ヨーグルトなどには、健康食品に使用されている一般的な素材を添加・配合することができる。これらの素材の種類、添加量は、本発明による血中コレステロール低下作用、血中トリグリセリド低下作用などを阻害しなければ、特に制限されるものではなく、ビタミン類、アミノ酸類、有機酸類、ペプチド類、タンパク質類、オリゴ糖類、イソフラボン類、カテキン類、脂質類、ミネラル類、酵母エキス類、プロポリス類、クロレラ、スピルリナ、ハーブ類、野菜・果実・その他の天然物抽出物類、卵黄・卵白などの加工品類、補酵素類、酵素類、有用微生物(生菌及び死菌)、微生物由来品などの適量を使用することができる。
【0060】
これらの乳酸菌飲料、ヨーグルトなどには、食品に添加することができる、着色剤、甘味料、香料、保存料、酸化防止剤、乳化剤、増粘剤、品質改良剤、調味料、酸味料、強化剤などを適宜、配合添加することができる。
【0061】
ヨーグルト、乳酸菌飲料、乳酸菌による発酵豆乳などの溶液状の飲料とする場合には、乳または豆乳にユッカ及びキラヤ抽出物の複合組成物を添加・混合してから、1種または2種以上の乳酸菌を用いて、ヨーグルト、発酵豆乳を製造しても良いし、または、1種または2種以上の乳酸菌を用いて製造したヨーグルト、発酵豆乳などにユッカ及びキラヤ抽出物の複合組成物を添加・混合しても良い。
【0062】
ヨーグルトの場合には、例えば、ストレプトコッカス・サーモフィラスとラクトバチルス・ブルガリカスでヨーグルトを製造し、それにビフィズス菌を添加・混合するのも好ましい実施形態の一つである。その場合、pHが約5以上のヨーグルトとしてビフィズス菌を添加・混合するのも好ましい実施形態の一つである。
【0063】
乳酸菌は、本発明の必須要件であるから、乳酸菌により発酵などの変化を受けたヨーグルト、酸乳などが本発明の対象であり、牛乳、バター、チーズ、ホエイなどの乳酸菌を含まない通常の乳製品は、本発明の対象ではない。
【0064】
本発明の好ましい実施形態の一つは、錠剤、被覆された錠剤、カプセル、小包、散剤、粉末製品、溶液、懸濁液、乳剤、顆粒剤、シロップ、スティック、三方シールのような通常の形態で調製される。これらの実施形態を固形サプリメントと称する。
【0065】
本発明で使用できるユッカ及びキラヤ抽出物の複合組成物は、既に開示されている組成物に代表される(特許文献12及び非特許文献4参照)。
【0066】
ドリンクなどの液状製品、ヨーグルトなどの半液状製品、固形サプリメントなどの固形状製品などの本発明の製品に使用されるユッカ抽出物とキラヤ抽出物の複合組成物は、固形分ベースで、それぞれの合計で0.01〜95重量%を含有させることができるが、0.1〜80重量%が好ましい例である。
【0067】
ユッカ抽出物とキラヤ抽出物の複合組成物は、90:10〜10:90で配合することができるが、80:20〜20:80が好ましい配合割合である。
【0068】
エンテロコッカス・フェカリス(ストレプトコッカス・フェカリス)、ラクトバチルス・アシドフィラス、ラクトバチルス・ブルガリカスを使用する場合は、これらの生菌菌体を集め、乾燥した後、澱粉、乳糖、白糖、それらの混合物などの適当な賦形剤と混合した局外規ラクトミンの使用が好ましい形態の一つである。
【0069】
ビフィドバクテリウムとしては、例えば、森永乳業株式会社製の森永ビフィズス菌末(BB536)や協和発酵株式会社製の耐酸性凍結乾燥ビフィズス菌末(FDビフィズスATK)などを用いることができる。
【0070】
有胞子性乳酸菌(ラクトバチルス・スポロゲネス;バチルス・コアグランス)としては、ラクボン原末が繁用できる。ラクボン原末は、通常、5×10〜12×1012個/gの菌数を含有する粉末が使用できる。
【0071】
有胞子性乳酸菌の成育を促進させるため、タカジアスターゼ、ビオチン(ビタミンH)あるいは両者を併用して使用することも好まれる実施形態である。
【0072】
その好ましい配合例としては、有胞子性乳酸菌の5×10〜12×1012個に対し、タカジアスターゼN1が約3g、ビオチンが約0.4mgを挙げることができる。
【0073】
本発明の固形サプリメントには、健康食品に使用されている一般的な素材を添加・配合することができる。これらの素材の種類、添加量は、本発明による血中コレステロール低下作用、血中トリグリセリド低下作用などを阻害しなければ、特に制限されるものではなく、ビタミン類、アミノ酸類、有機酸類、ペプチド類、タンパク質類、オリゴ糖類、イソフラボン類、カテキン類、脂質類、ミネラル類、酵母エキス類、プロポリス類、クロレラ、スピルリナ、ハーブ類、野菜・果実・その他の天然物抽出物類、卵黄・卵白などの加工品類、補酵素類、酵素類、有用微生物(生菌及び死菌)、微生物由来品などの適量を使用することができる。
【0074】
更なる成分として、一般に使用される通常の賦形剤などを添加することができる。
【0075】
賦形剤などの添加量は、通常0〜90%であるが、1〜80%が好ましい添加量である。
【0076】
これらの固形サプリメントには、医薬品や食品に添加することができる、着色剤、甘味料、香料、保存料、酸化防止剤、乳化剤、増粘剤、品質改良剤、調味料、酸味料、強化剤などを適宜、配合添加することができる。
【0077】
また、例えば、賦形剤(例えば、澱粉、乳糖、微結晶セルロース、セルロース、リン酸水素カルシウム、砂糖)、分散または結合剤(例えば、炭酸カルシウム、二酸化ケイ素、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アラビアゴム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、酸化チタン)、乳化剤(例えば、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、レシチン、アルキルスルホネート、アリールスルホネート)、潤滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ステアリン酸、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、ラウリルスルホン酸ナトリウム、なたね油脂末)、その他の補助剤(例えば、水、パラフィン、ピーナッツオイルやごま油などの植物油、エタノールやグリセリンなどのアルコール、プロピレングリコールやポリエチレングリコールなどのグリコール)などを添加することによって通常の手段で製造することができる。
【0078】
以上のように説明した固形サプリメント、ヨーグルト、乳酸菌飲料において、ユッカ及びキラヤ抽出物の複合組成物及び乳酸菌を同時に配合した製品例、報告はこれまでになく本発明の固形サプリメント、ヨーグルト、乳酸菌飲料は新規な製品である。
【0079】
以下に、実施例及び試験例を挙げて本発明を詳細に説明する。
【実施例1】
【0080】
ユッカ抽出物(40%)とキラヤ抽出物(60%)から成る複合組成物(350g)と乳糖(330g)を良く混合し、この混合物をパウレック社の流動層造粒機(STERA−1型)を用いて、送入空気圧は2kg/cm、水をスプレーして造粒した。スプレーは、流速5ml/分、圧力0.8〜0.85kg/cmで15分間実施した。約80℃の吸気温度で約8分間乾燥させた後、50μmの目開きの篩を通過させ、整粒工程を行ない顆粒状とした。これにビフィズス菌末(6g)、ラクトミン(フェカリス菌)、ラクトミン(アシドフィルス菌)及びステアリン酸マグネシウム(4g)を混合し、畑鉄工所製打錠機(AP22SS−U)を使用して、常法通り、1錠(210mg)の錠剤を打錠した。
【実施例2】
【0081】
ユッカ抽出物(40%)とキラヤ抽出物(60%)から成る複合組成物(600g)と乳糖(400g)を良く混合し、実施例1と同様にして顆粒を製造した。この顆粒にビフィドバクテリウム・ロンガム菌散(24g)、ビフィドバクテリウム・ビフィダム菌散(24g)、ラクトバチルス・アシドフィルス菌散(24g)、コーンスターチ(122g)とステアリン酸マグネシウム(6g)を混合し、畑鉄工所製打錠機(AP22SS−U)を使用して、常法通り、1錠(300mg)の錠剤を打錠した。
【実施例3】
【0082】
ユッカ抽出物(40%)とキラヤ抽出物(60%)から成る複合組成物(300g)、カテキンエキス末(300g)、ビフィドバクテリウム・ロンガム菌散(24g)、ビフィドバクテリウム・ビフィダム菌散(24g)、ラクトバチルス・アシドフィルス菌散(24g)、乳糖(188g)、デキストリン(100g)、セルロース(180g)、グリセリン脂肪酸エステル(36g)、二酸化ケイ素(24g)を混合し、畑鉄工所製打錠機(AP22SS−U)を使用して、常法通り、1錠(300mg)の錠剤を打錠した。
【実施例4】
【0083】
ユッカ抽出物(40%)とキラヤ抽出物(60%)から成る複合組成物(400g)、カテキンエキス末(450g)、ビフィドバクテリウム・ロンガム菌散(24g)、ビフィドバクテリウム・ビフィダム菌散(24g)、ラクトバチルス・アシドフィルス菌散(24g)、フェヌグワーク胚乳粉末(96g)、乳糖(107g)、デキストリン(150g)、セルロース(150g)、グリセリン脂肪酸エステル(75g)、を混合し、畑鉄下所製打錠機(AP22SS−U)を使用して、常法通り、1錠(300mg)の錠剤を打錠した。
【実施例5】
【0084】
1日分(1.5g)の組成が、ユッカ抽出物(60%)とキラヤ抽出物(40%)から成る複合組成物(700mg)、ラクボン(有胞子性乳酸菌)(10mg)、ラクトミン(アシドフィルス菌)(18mg)、耐酸性凍結乾燥ビフィズス菌末(FDビフィズスATK)(18mg)、天然オリゴ糖ラフィノース(170mg)、ビオチン(2μg)、乳糖(234mg)とバレイショデンプン(350mg)となるように、これらの各成分を加えて均一に混合し散剤を製造した。
【実施例6】
【0085】
1日分(3g;1包が1.5gのスティック状栄養健康食品)の組成が、ユッカ抽出物(70%)とキラヤ抽出物(30%)から成る複合組成物(350mg)、ラクボン(有胞子性乳酸菌)(5mg)、ラクトミン(アシドフィルス菌)(10mg)、ビフィドバクテリウム・ロンガム菌散(10mg)、ビフィドバクテリウム・ビフィダム菌散(10mg)、ビオチン(1μg)、タカジアスターゼN1(10mg)、フラクトオリゴ糖(100mg)、ビタミンC(62.5mg)、クエン酸(62.5mg)、グラニュー糖(400mg)、コーンスターチ(240mg)と乳糖(240mg)となるように、これらの各成分を加えて均一に混合した。1袋1.5gのスティック状製品とした。
【実施例7】
【0086】
ラクトミン(アシドフィルス菌)をヨーグルトミックス(生乳に脱脂乳を2%となるように添加し、100℃で15分加熱)に接種し、20℃で24時間培養した。調製ヨーグルト150gに対し、ユッカ抽出物(30%)とキラヤ抽出物(70%)から成る複合組成物(750mg)、フラクトオリゴ糖(200mg)、ラクボン(有胞子性乳酸菌)(10mg)、耐酸性凍結乾燥ビフィズス菌末(FDビフィズスATK)(10mg)、ビオチン(1μg)を添加・混合して、紙コップに充填し冷却して製品とした。
【実施例8】
【0087】
脱脂乳を80〜85℃で20〜30分間殺菌した後、ホモゲナイズした。これにラクトミン(アシドフィルス菌)を接種して、37〜40℃で20時間発酵させた。生じたカードを砕きながら、5℃に冷却し、これを発酵乳とした。別に砂糖(20%)、ユッカ抽出物(40%)とキラヤ抽出物(60%)から成る複合組成物(0.6%)、ラクボン(有胞子性乳酸菌)(0.04%)、耐酸性凍結乾燥ビフィズス菌末(FDビフィズスATK)(0.04%)、ラクトミン(アシドフィルス菌)(0.04%)、ビオチン(2μg)、フラクトオリゴ糖(0.6%)、適量の酸味料、香料を添加しホモゲナイズし、5℃に冷却し、糖液とした。このようにして得られた発酵乳と糖液を等量混合して乳酸菌飲料とした。
【実施例9】
【0088】
象印製「ヨーグルトメーカー」の容器を充分に洗浄し、熱湯消毒した後、牛乳(500ml)を加え、別にユッカ抽出物(40%)とキラヤ抽出物(60%)から成る複合組成物(1g)を5mlの水に溶かし、約95℃に15分加熱殺菌した水溶液を添加した。更に、カスピ海ヨーグルトの粉末種菌(食の安全と健康ネットワークで販売)を大さじで3杯添加した。熱湯消毒したスプーンで混合した後、27℃で15時間静置して製造した。
【実施例10】
【0089】
ヤクルト(65ml)を冷蔵庫から出し室温に放置し室温に近づけた。約半分のリンゴをすり下ろして、さらしの布で絞り、リンゴ果汁を調製した。別に、スキムミルク(60g)に砂糖(20g)を加えて充分に混合しておいた。リンゴ果汁に水を加えて合わせて500mlとし、これにスキムミルクと砂糖を混合したもの、及びユッカ抽出物(40%)とキラヤ抽出物(60%)から成る複合組成物(900mg)を軽く混ぜながら加え溶解した。加熱沸騰させ、沸騰後、弱火にして10分加熱殺菌した。沸騰液を水を張ったボールなどに入れて約35℃まで急冷し、保温水筒中へ移した。ヤクルト(ラクトバチルス・カゼイ・シロタ株を含む)(65ml)を加えて、部屋の暖かなところで約10時間発酵させて製造した。
【試験例1】
【0090】
乳酸菌用のMRS培地(日本ベクトン・ディッキンソン株式会社製)5.2gを水90mlに溶解し、試験管(9ml)6本に分注し、121℃で15分間滅菌した。1本には水1mlを加えて対象とした。別にユッカ及びキラヤ抽出物の複合組成物の1%、3%、6%、12%、20%水溶液3mlを調製し、0.22μmフィルターで無菌濾過した。このユッカ及びキラヤ抽出物の複合組成物の水溶液(1ml)を他の5本の試験管に加え、0.1%、0.3%、0.6%、1.2%、2%のユッカ及びキラヤ抽出物の複合組成物含有培地を調製した。これらの試験管に、別に、注1のようにして培養したビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)の菌液の100μlを接種した。各試験管の200μlをとり、その100μlを用い乳酸菌数(ビフィドバクテリウム・ロンガム)を測定し、その平均値を培養前の乳酸菌数とした(注2参照)。残りの100μlを用いてpHを測定した。更に、37℃で一定時間嫌気培養後、その200μlをとり100μlを用いて乳酸菌数、残りの100μlを用いて、経時的にpH、生菌数を測定した。乳酸菌数は、培養液の100μlをとり嫌気性希釈液(注3参照)で10−5〜10−8に希釈した液の100μlをBL寒天(ニッスイ株式会社製)の平板上でコーンラージュを用いて塗布し、37℃で72時間嫌気培養後、生育したコロニー数を数えた。1検体当たり3枚のBL寒天平板上の乳酸菌生菌数を数え、それらの平均値を乳酸菌数として算出した。結果を表1に示した。
注1:乳酸菌用のMRS培地5.2gを水100mlに溶解した溶液10mlを121℃で15分で滅菌した。スキムミルク(10%)とグルタミン酸ナトリウム(1%)から成る水溶液中で凍結保存(−80℃)されているビフィドバクテリウム・ロンガムをBL2寒天培地上で画線嫌気培養して生じたコロニーの1白金耳を接種し37℃で18時間嫌気培養した。
注2:この実験での培養前の乳酸菌数は1.8×10個/ml、pHは6.6であった。
注3:嫌気性希釈液:1リッターの水に、リン酸1カリウム(4.5g)、リン酸2ナトリウム(6.0g)、寒天(0.5g)ツイン80(0.5g)、システイン塩酸塩(0.5g)を溶解し、pHを7.0に調整した。
【0091】

【0092】
表1からユッカ及びキラヤ抽出物の複合組成物がビフィドバクテイルム・ロンガムの著しく増殖を促進することは明らかである。また、ユッカ及びキラヤ抽出物の複合組成物を添加していない時、培養3時間後の生菌数が減少しているが、これはMRS培地がビフィドバクテリウム・ロンガムにとっては、増殖に適した培地ではないので対数増殖期に移行する前の誘導期において、増殖が活発でない状態での生菌数測定のバラツキによるものと考えられる。ユッカ及びキラヤ抽出物の複合組成物を添加した場合は、0.1%〜0.6%添加でも3時間後の生菌数の減少は殆ど見られず、1.2%〜2.0%添加では増殖していることが確認できた。このことも、ユッカ及びキラヤ抽出物の複合組成物がビフィドバクテリウム菌の増殖にとって適した組成物であることを意味している。ユッカ及びキラヤ抽出物1.2%、2.0%添加では、培養24時間で生菌数の減少が見られるが、これは、ユッカ及びキラヤ抽出物の増殖促進効果が大きいため増殖速度が速くなり、24時間後では一部のビフィドバクテリウム・ロンガムが死滅期に入っていることによると考えられる。
【試験例2】
【0093】
CL2飼料(日本クレア株式会社製)で飼育した5週齢のBALB/C無菌マウス30匹を用い、無菌マウス群とビフィドバクテリウム・ロンガム定着マウス群の2群(各群15匹)に分けた。ビフィドバクテリウム・ロンガム定着マウス群は、次のようにして作出した。5週間飼育した時点で、注1のようにして調製したビフィドバクテリウム・ロンガムの菌液の0.5mlを1回だけ経口投与した。この投与でビフィドバクテリウム・ロンガムは無菌マウスに定着した。ビフィドバクテリウム・ロンガムの定着の確認は、注2のようにして行なった。更に1週間CL2飼料で飼育して計6週間飼育した。その後、放射線殺菌したコレステロール飼料(注3参照)で飼育し、同時にユッカ及びキラヤ抽出物の複合組成物の投与も開始した。ユッカ及びキラヤ抽出物の複合組成物の投与は、0.5%および1.0%濃度で飲料水に溶かしてマウスが自由に飲むようにして与えた。対照群(無菌マウス群)は、ユッカ及びキラヤ抽出物の複合組成物の非投与群、0.5%のユッカ及びキラヤ抽出物の複合組成物投与群、1.0%のユッカ及びキラヤ抽出物の複合組成物投与群の3群(各群5匹)に分けた。ビフィドバクテリウム・ロンガム定着群もユッカ及びキラヤ抽出物の複合組成物の非投与群、0.5%のユッカ及びキラヤ抽出物の複合組成物投与群、1.0%のユッカ及びキラヤ抽出物の複合組成物投与群の3群(各群5匹)に分けた。コレステロール食で4週間飼育し、この間、YQ2は飲料水より自由摂取で与えた。コレステロール食での飼育後、4週目にて血中トリグリセリド、血中総コレステロールを測定した。その結果、ユッカ及びキラヤ抽出物組成物の無添加群の群間比較で、無菌マウス群とビフィドバクテリウム・ロンガム定着群において、血中トリグリセリド及び血中コレステロールは、有意差を認めなかった。即ち、ビフィドバクテリウム・ロンガム単独での有効性は認めなかった。しかるに、ビフィドバクテリウム・ロンガム定着群において、ユッカ及びキラヤ抽出物の複合組成物を併用して投与した場合は、ユッカ及びキラヤ抽出物組成物の無添加に対して、且つ、無菌マウス群に対して、p<0.01で統計的に有意差があった。結果を表2に示した。表2では、初期値からの血中トリグリセリド、血中コレステロールの低下率で表した。
注1:乳酸菌用のMRS培地5.2gを水100mlに溶解した溶液10mlを121℃で15分で滅菌した。これにビフィドバクテリウム・ロンガムを摂取し、37℃で18時間嫌気培養した。
注2:ビフィドバクテリウム・ロンガム投与後、1週、2週、4週後の糞便中のビフィドバクテリウム・ロンガムの測定を行ない確認した。
注3:マウスのコレステロール飼料の組成は、コーンスターチ(50.4486%)、ミルクカゼイン(20.0%)、アルファ化コーンスターチ(1.0%)、グラニュー糖(10.0%)、精製ラード(7.0%)、アビセルセルロース(5.0%)、ミネラル混合(AIN−93G−MX;3.5%)、ビタミン混合(AIN−93VX;1.0%)、L−シスチン(0.3%)、重酒石酸コリン(0.25%)、第3ブチルヒドロキノン(0.0014%)、コレステロール(1.0%)、コール酸ナトリウム(0.5%)
【0094】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユッカ抽出物とキラヤ抽出物の複合組成物及び乳酸菌を含有することを特徴とする飲食品
【請求項2】
ユッカ抽出物とキラヤ抽出物の割合が90:10〜10:90の複合組成物であることを特徴とする請求項1記載の飲食品
【請求項3】
飲食品が固形サプリメントであることを特徴とする請求項1及び2記載の飲食品
【請求項4】
飲食品がヨーグルトであることを特徴とする請求項1及び2記載の飲食品
【請求項5】
飲食品が乳酸菌飲料であることを特徴とする請求項1及び2記載の飲食品
【請求項6】
ビフィズス菌を含む乳酸菌を用いることを特徴とする請求項1、2、3、4及び5記載の飲食品
【請求項7】
血中トリグリセリドを低下させることを特徴とする請求項1、2、3、4、5及び6記載の飲食品
【請求項8】
血中コレステロールを低下させることを特徴とする請求項1、2、3、4、5及び6記載の飲食品

【公開番号】特開2007−82403(P2007−82403A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−295441(P2004−295441)
【出願日】平成16年9月8日(2004.9.8)
【出願人】(503431378)株式会社日本メディシン (1)
【Fターム(参考)】